JPH1017426A - 防腐,防虫,防蟻剤 - Google Patents

防腐,防虫,防蟻剤

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JPH1017426A
JPH1017426A JP17676796A JP17676796A JPH1017426A JP H1017426 A JPH1017426 A JP H1017426A JP 17676796 A JP17676796 A JP 17676796A JP 17676796 A JP17676796 A JP 17676796A JP H1017426 A JPH1017426 A JP H1017426A
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忠雄 守屋
Takeji Motai
武治 甕
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無毒性で安全性が高く、木材の防
腐,防虫,防蟻処理が、加圧注入,浸漬などによってで
きる複合化溶液を提供する。 【解決手段】 珪酸ナトリウム溶液を主成分とし、
これにホウ酸溶解溶液,ミョウバン溶解溶液,炭酸カリ
ウム溶液,沃化カリウム溶液,リン酸溶解溶液中の二種
類以上を混合したA液と、紅藻類中のイギス目,スギノ
リ目,テングサ目,カクレイト目,ダルス目などの藻か
ら抽出したB液とを混合した複合化溶液を用い、これを
適度に水によって稀釈し、これを木材に加圧注入,浸漬
などすることにより、木材質の防腐,防虫,防蟻処理を
無毒性の前記A液とB液とを用いて行なうことが容易に
できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加圧注入、浸漬、吹き
付け等の手段により木材を腐朽菌、虫、白蟻を含む蟻の
侵害から防除し、あるいは建物をとりまく土壌を白蟻の
侵入を阻止する土質に変質させるのに有効な働きをす
る、無毒性で安全性が高い水溶性の防腐,防虫,防蟻剤
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の木材を腐朽菌、虫害、白蟻から防
除する薬剤、あるいは建物をとりまく土壌を白蟻の侵入
から防除するための主要薬剤は次の通りである。 使用薬剤例: (イ)もっとも多く使用されている木材防腐・防虫剤 硫酸銅 (殺菌目的) 六価クロム(木材防腐の定着性と防錆性、硫酸銅と反応
木材中で難溶性化合物生成) ヒ素化合物(殺虫目的) から構成したCCA(商品名) (ロ)その他の木材防腐・防虫剤(使用はごく一部) ディルドリン、アルドリン、クロルデン、ペンタクロル
フェノール、BHC、DDT、ヘプタクロル、アレスリ
ン、チオダン、酢酸フェニル水銀、ナフタリン、臭化メ
チル、スミチオン、メトキシクロム (ハ)白蟻防除剤 クロルデン、ディルドリン、アルドリン、DDT、ペン
タクロルフェノール (ニ)土壌処理白蟻防除剤 クロルデン、ディルドリン、ダイマジノン、マラソン、
トクサフェン、ペンタクロルフェノール
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の薬剤のうち、C
CAとしてJIS、JAS等の規格に取り入れられてい
る防腐、防虫剤の毒性はきわめて強いものであり、これ
らの薬剤は100%圧力缶を使用して木材に注入してい
るが、作業中こぼれ落ちる薬剤の始末について工場周辺
住民の理解を得ることが不可能な状態にあり、安全な薬
剤の開発が業界を挙げて要望されている。また、CCA
は防蟻性が存在すると関係者の間で理解しようとしてい
るが、テストでも現場でも防蟻性は認められていない。
本発明は、木材の防腐,防虫,防蟻処理にきわめて毒性
の高い、人にも環境にも危険な薬剤を使用している現状
を、毒性を包含しない、人にも環境にもやさしい薬剤に
切り替え、安心して木材質を防腐,防虫,防蟻処理し、
かつ現在の毒性も高いが効果も大きいCCA(硫酸銅、
六価クロム、ヒ素化合物による構成)と同等以上の効果
を上げようとするものである。次に、現在防腐、防虫と
防蟻を一回の処理工程では可能とすることができないで
いるものを、一回の処理で可能とする薬剤構成とし、処
理を単純で合理的にしようとするものである。さらに、
現在建築物の床下とその周辺の土壌の防蟻処理に木材質
処理薬剤と同様、毒性の高い危険な薬剤を使用し、利用
者から問題提起されている薬剤を、前記木材処理薬剤と
同一で毒性の存在しない、人にも環境にもやさしい薬剤
をもって土壌処理し、関係者が毒性にも白蟻にも安心し
て生活できる処理効果を目的とするものである。
【0004】
【発明の構成】本発明のA液は、特許第1960242
号(特公平6−94594号)、特許第1581249
号(特公平2−1864号)、特許第1297063号
(特公昭60−22068号)に記載した硅酸ナトリウ
ム溶液を主成分とし、これにホウ酸溶解溶液、ミョウバ
ン溶解溶液、炭酸カリウム溶解溶液、沃化カリウム溶解
溶液、リン酸溶解溶液から選定した二種類以上の溶液を
混合したものであるが、このようにして混合したA液
は、これを塗布した対象物に対し、きわめて展着、粘着
性が強く、わずか0.5ミクロンの対象物表面に対する薄
膜形成のみで、雨、風、太陽光線、塩害など自然界の厳
しい条件の下でも長い年月耐えうる特性を備えている。
【0005】また、A液を構成する混合溶液中、硅酸ナ
トリウム溶液とホウ酸溶解溶液、ミョウバン溶解溶液、
炭酸カリウム溶解溶液、沃化カリウム溶解溶液、リン酸
溶解溶液中の二種類以上のものとの結合溶液は、木材質
を構成する細胞壁中に浸透し、細胞壁中で高分子化し、
固定する。この細胞壁中における無機質溶液の固定は強
い防腐性能を発揮する。さらに、前記A液中、硅酸ナト
リウム溶液とホウ酸溶解溶液の結合液は、キクイムシ、
キクイナガムシ、ヒラタキクイムシ等木材食害虫ならび
に白蟻などの蟻に対し、強力な殺虫性能を発揮する。
【0006】次に、B液を構成する紅藻類中のイギス
目、スギノリ目、テングサ目、カクレイト目、ダルス目
中の二種類以上を適度に混合した藻を乾燥し、10〜5
0ミクロンの粒子に粉末加工し、これを煮沸して藻質に
包含されているエキスを抽出する。このようにして得ら
れるエキスは、人畜無害でありながらマクリ(イギス
目)に代表されるように殺虫性が高く、とくに白蟻をは
じめ甲虫類に対する忌避性が強い。さらに、オゴノリ
(スギノリ目)イトフノリ(カクレイト目)に代表され
る粘着性による白蟻に対する被膜形成による殺虫効果は
大である。
【0007】前記のような忌避性と粘着性効果を少量
で、かつ長期間保持する手段として、A液とB液との複
合化が大きな働きをする。A液は、B液と理想的な複合
化を行い、薄い膜質を処理対象物に形成し、時間の経過
とともに硬化し、高分子化するため処理対象物の木材あ
るいは土壌にも長期にわたり安定した防腐,防虫,防蟻
性能を忌避性を伴って付与し、効果を発揮する。さらに
また、A液とB液との複合化した溶液は、処理対象物内
もしくは処理対象物表面に粘着した後、高分子硅酸とし
て固定するため、屋外において雨、風、太陽光線に晒さ
れてもあるいは高温条件下にあっても長期間にわたり防
腐,防虫,防蟻の性能を維持し、その溶脱を抑制する。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態に係る防腐,
防虫,防蟻剤は、A液として、珪酸ナトリウム濃度30
〜35%のものを水1リットル中に10g〜700gを
溶解させた溶液に、ホウ酸、ミョウバン、炭酸カリウ
ム、沃化カリウム、リン酸の溶解溶液のうちの二種類以
上を1リットル中に0.1〜10gあるいは飽和溶液まで
含む溶液を加えて混合しPH値を10以上に調整した処
理液と使用する。
【0009】また、B液は、紅藻類中のスギノリ目のキ
リンサイ、イギス目のイギスまたはマクリ等の紅藻を乾
燥した後20〜200ミクロンに微粉砕し、水80部に
対し前記微粉砕した紅藻類を20部の割合で混合し、煮
沸して抽出液を採取し、使用する。そして、前記A液と
B液の複合液は、使用目的によって、キクイ虫、ナガキ
クイ虫、ヒラタキクイ虫などの甲虫類に対してはA液6
0〜70部、B液30〜40部、白アリに対してはA液
30〜40部、B液60〜70部を混合して使用するこ
とが好ましい。
【0010】なお、B液としては、前記スギノリ目、イ
ギス目のものに限られることなく、これらのものや、テ
ングサ目、カクレイト目、ダルス目などの紅藻類の二種
類以上を適量ずつ混合し、前述したものと同様にして用
いることができる。そして、A液およびB液は適宜水を
加え、後述する実施例のように稀釈して用いることが好
ましい。
【0011】前記複合化溶液は、25〜500倍に希釈
し、圧力処理缶内にて、処理木材に対し5〜15Kg/
cm2 の条件下にて複合化溶液を当該木材に加圧注入し、
防腐,防虫,防蟻を図る処理剤として有効である。前記
複合化溶液は、10〜500倍に希釈し、木材処理槽内
に入れて、防腐,防虫,防蟻処理用木材を槽内にて複合
化溶液に浸漬させ、あるいは前記処理用木材に吹き付け
て吸収させ、防腐,防虫,防蟻を図る処理剤として有効
である。
【0012】前記複合化溶液は、10〜500倍に希釈
し、建物の床下、布基礎の周辺土壌に2〜5l/m2
度散布し、あるいは土壌に混合して床下土壌として使用
し、防蟻を図る処理剤として有効である。前記複合化溶
液は、適宜の倍率に希釈し、合板、パーチクルボード、
ファイバーボードを構成する単板、木材小片、木材質繊
維もしくは当該製品に含浸させ、当該製品に防腐,防
虫,防蟻性能を付与する処理剤として有効である。な
お、前記複合化溶液の希釈は、通常水によって行ってい
る。
【0013】前記複合化溶液は、木材質に加圧注入もし
くは浸漬処理により、当該木材質内部あるいは木材質表
面に付着させた後、60℃〜100℃の高温加工を行
い、付着複合化溶液をゲル化し硬化させ、皮膜を生じし
めることにより、より効果の高い防腐,防虫,防蟻処理
を図ることを可能とする処理剤として有効である。
【0014】前記A液およびB液の複合化溶液を水で希
釈した処理液を木材に加圧注入して防腐,防虫,防蟻を
行う使用方法につき、模式図である図1の(a)〜
(e)を参照して説明する。(a)に示すように、生木
材1の細胞は、外周部に一次膜2が形成され、一次膜2
の内周側に二次膜3が形成され、二次膜3の中心側に内
腔4が形成されている。そして、一次膜2および二次膜
3には、結合水5と細胞膜組織とが含まれ、内腔4には
自由水6が含まれた木材質細胞を有している。そして、
(b)〜(c)に示すように、生木材1を減圧して内腔
4に含まれた自由水6を少し除き、前記複合化溶液を水
で希釈した処理液7を内腔4に注入する。これによっ
て、水と処理液7との濃度差による置換により、結合水
5を内腔4に、処理液7を細胞膜組織内に置換して浸透
させる。なお、(c)において、5aは未置換の結合水
である。(d)に示すように、二次膜3内へ置換浸透し
た処理液7は次第にゲル化7aし、細胞膜組織8内の結
合水5は内腔4へ引き出される。その後、(e)に示す
ように、細胞膜組織8に結合水5と置換して入った処理
液7がゲル化7aから硬化7bして固定する。このよう
に、処理液が固定することで、木材の防腐,防虫,防蟻
処理ができ、かつ防火性能が発揮でき、溶脱も発生せ
ず、長期間にわたり、所要の性能を保つことができる。
【0015】
【実施例1】A液およびB液の複合化処理溶液を、圧力
缶を使用して木材並びに木材質に加圧注入し、もしくは
浸漬処理して防虫試験を行った。詳細は次の通りであ
る。 使用剤の構成 A液及びB液をそれぞれ25℃の水で25倍(4%水溶
液)、50倍(2%水溶液)、100倍(1%水溶
液)、200倍(0.5%水溶液)に調整した。 により調整したそれぞれ同じ倍率パーセントの水
溶液ごとに等容量ずつ混合して複合化処理溶液とした。 試験に使用する木材は、 i)熊本県小国町の40年生のスギ丸太から採材した、
30mm×30mm×600mmサイズのスギ小角材を試験対
象ごとに10本ずつ合計70本を加工して使用した。 ii)タイ国トラン県ヤンタカオ町ゴム園の30年生のゴ
ムの木から採材した、30mm×30mm×600mmのゴム
小角材を、試験対象ごとに10本ずつ合計70本を加工
して使用した。 iii) タイ国トラン県ヤンタカオ町ゴム園の30年生の
ゴムの木から小型ロータリーレースを使用して採材した
厚さ1mm×幅300mm×長さ300mmのゴム材単板並び
に単板を接着加工した合板を使用した。 使用した虫と試験材の含水率 テストIはキクイムシ、テストIIはキクイナガムシ、テ
ストIIIはヒラタキクイムシをトラン県ヤンタカオ町の
現場で採取し、それぞれ50cm×50cm×80cmのアミ
を張った直方体状の箱に、種類別に300匹ずつ収容
し、これらの箱の中へテスト材を入れて食害させた。白
蟻は、ゴム園の伐採跡地を借用し、植林間隔3mの中間
点に試験材を埋め込み、3ケ月ごとに食害状況を調査し
た。なお、テストIIIのヒラタキクイムシに食害させる
試験材は乾燥室で12%〜15%に人工乾燥し、テスト
IとIIは、生材から加工したそのままの含水率、スギ材
は60%前後、ゴム材は80%前後の含水率であった。 前記処理溶液の加圧注入もしくは浸漬処理条件 i)加圧注入処理 スギ材にあっては、熊本県小国
町の東京木材研究所内の注薬缶(φ50cm×L2m)を
使用し、減圧700mm/Hgで60分間、続いて加圧1
5kg/cm2 で60分間、さらに減圧700mm/Hgで
30分間実施した。なお、ゴム材にあっては、タイ国ト
ラン県ヤンタカオ町のゴム材防虫缶を使用し、前記スギ
材の場合と同じ条件で加圧注入処理を行った。 ii)浸漬処理は、加圧処理缶を使用し、減圧、加圧処理
をせずに4時間浸漬した。 木材の表面に付着した前記処理液の高温加工 加圧注入材、浸漬処理材、合板等の表面に付着した前記
処理溶液を、処理後直ちに60℃〜100℃で高温加工
し、処理液をゲル化し、硬化して皮膜形成を行った。
【0016】前記試験の結果は表1の通りである。
【表1】
【0017】表1の試験結果のように、虫による被害の
もっとも烈しいタイ国のゴム園内にあって、テスト箱に
300匹の虫を飼育し、その飼育箱の中へテスト材を入
れ食害について調査した。このような防虫試験は例のな
い程の苛酷なものということができる。前記結果からす
ると、加圧も浸漬も25倍〜50倍処理溶液を使用した
場合は虫害は発生していない。しかし、100倍〜20
0倍処理溶液になると半分近くのテスト材が被害を受
け、この位の濃度が限界と思われる。無処理のテスト材
は、テスト期間3ケ月内にはテスト材の姿が存在しない
状態に食害される。従って、前記処理溶液の場合25倍
(4%)であれば、虫に対するきわめて顕著な効果のあ
ることが判明した。
【0018】
【実施例2】前記防虫試験と同様な処理溶液を圧力缶を
使用して加圧もしくは浸漬処理をし、ゴム林の伐採跡地
へ埋め込み、約1年間にわたって食害テストを実施し
た。防蟻試験の場合、地中に埋めるため、処理溶液の付
着面を60〜100℃の高温で加熱し、処理液中に主と
して硅酸ナトリウムとその他の無機質材とからなる処理
溶液をゲル化から硬化させ、皮膜形成を生じさせ、地中
の水分の影響を可能な限り少なくし、防蟻剤の溶脱を防
止することによる効果についても測定した。防蟻剤とし
て使用した薬剤処理条件は、実施例1と同じであり、加
熱加工のみが異なる。高温加熱による膜形成効果は、4
%溶液の場合は変化しないが、2%50倍水溶液にあっ
てその効果が明確に生じた。なお、ゴム林伐採跡のため
白蟻も多数見受けられるが、白蟻の好物のゴム材の根株
がたくさんあり、試験材に対する攻撃は烈しくなかった
ものと予想される。また、試験期間内に雨季と乾季とが
あり、乾季の方がより多く食害された。前記試験材の埋
設は、図2、図3に示すように、伐採根株11が縦l=
3m、横L=5mの間隔で配置されており、伐採根株1
1の縦方向間隔の中央にそれぞれスギ材、ゴム材などの
試験材12を地中にD=550mm埋設し、地表13上に
H=50mm突出させ、試験材12の上面にカラーピンか
らなる目印14を固定してある。
【0019】前記試験の結果は、表2の通りである。
【表2】
【0020】表2の試験結果のように、複合化処理溶液
の使用濃度が4%(25倍溶液)であれば、白蟻に対し
きわめて有効であり、とくに高温加工して膜形成したも
のは効果が顕著であるが、2%(50倍溶液)濃度のも
のは、ゴム材にあっては効果が少ないことがわかった。
【0021】
【実施例3】前記複合化処理溶液を用いる防腐試験は、
JIS A9201−1991に示された木材防腐剤の
試験方法が一般では正確に実施できないため、富山県林
業技術センター木材試験場に依頼して試験を実施した。
その内容は次の通りである。 試料ごとの注入量 (試料種類) (注入量) 低注入量 1/4倍 200kg/m3 中 〃 1/2倍 400kg/m3 高 〃 原液 800kg/m3 各種注入量における防腐性能
【0022】表3に記載の通り。
【表3】
【0023】 試験結果 JIS規格の性能基準は、耐候性操作を施した場合の質
量減少率が3%以下であるので、前記処理溶液は894
kg/cm3 で性能基準を満たした。要するに、JIS規
格A9201−1991木材防腐剤の試験方法による試
験に合格し、現在使用されているCCA等の薬剤と比較
し、特に耐候性操作による効力低下が少なく、防腐性能
はCCAより高い耐候性が期待できると判定された。
【0024】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1の発明に
係る防腐,防虫,防蟻剤は、硅酸ナトリウム溶液を主成
分とし、これにホウ酸溶解溶液、ミョウバン溶解溶液、
炭酸カリウム溶解溶液、沃化カリウム溶解溶液、リン酸
溶解溶液中の二種類以上を混合したA液と、紅藻類中の
スギノリ目、イギス目などの藻から抽出した溶液からな
るB液とを混合した複合化溶液を用い、A液およびB液
を必要に応じ水で適度に希釈した複合化処理液を木材に
加圧注入、浸漬または吹き付けをすることで、木材質の
防腐、防虫、および防蟻処理ができる。
【0025】また、A液およびB液を必要に応じ水で適
度に希釈した複合化処理液を、建物の床下の土壌に散布
したり、土壌に混合して床下土壌として用いることで、
建物の白蟻などの防蟻処理ができる。そして、請求項2
の発明のように、B液は、紅藻類中のイギス目、スギノ
リ目、テングサ目、カクレイト目、ダルス目中の二種類
以上を混合した藻を乾燥して粉末とし、この粉末を煮沸
して藻質に含まれたエキスを抽出した溶液にすると、防
腐,防虫,防蟻効果をよりよくできて好ましい。 さら
に、複合化溶液は、A液とB液との容量比をA液1〜
9、B液9〜1の割合にし、目的に応じ広い範囲で使用
できるが、A液5、B液5に近い割合にすることが好ま
しい。
【0026】前記A液とB液との複合化溶液は、無毒性
であり、前述したように、防腐,防虫,防蟻効果がそれ
ぞれ実用化レベルの性能を保持しており、一液の一回の
処理で防腐,防虫,防蟻の三つの目的を達成できると共
に、人や環境にやさしい安全性の高い薬剤ということが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防腐,防虫,防蟻剤の使用例を示
した説明図。
【図2】本発明に係る防腐,防虫,防蟻剤の実施例2の
木材と根株とを示した平面図。
【図3】図2の縦断側面図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年11月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年11月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 防腐,防虫,防蟻剤
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加圧注入、浸漬、吹き
付け等の手段により木材を腐朽菌、虫、白蟻を含む蟻の
侵害から防除し、あるいは建物をとりまく土壌を白蟻の
侵入を阻止する土質に変質させるのに有効な働きをす
る、無毒性で安全性が高い水溶性の防腐,防虫,防蟻剤
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の木材を腐朽菌、虫害、白蟻から防
除する薬剤、あるいは建物をとりまく土壌を白蟻の侵入
から防除するための主要薬剤は次の通りである。 使用薬剤例: (イ)もっとも多く使用されている木材防腐・防虫剤 硫酸銅 (殺菌目的) 価クロム(木材防腐の定着性と防錆性、硫酸銅と反応
木材中で難溶性化合物生成) ヒ素化合物(殺虫目的) から構成したCCA(商品名) (ロ)その他の木材防腐・防虫剤(使用はごく一部) ディルドリン、アルドリン、クロルデン、ペンタクロル
フェノール、BHC、DDT、ヘプタクロル、アレスリ
ン、チオダン、酢酸フェニル水銀、ナフタリン、臭化メ
チル、スミチオン、メトキシクロム (ハ)白蟻防除剤 クロルデン、ディルドリン、アルドリン、DDT、ペン
タクロルフェノール (ニ)土壌処理白蟻防除剤 クロルデン、ディルドリン、ダイマジノン、マラソン、
トクサフェン、ペンタクロルフェノール
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の薬剤のうち、C
CAとしてJIS、JAS等の規格に取り入れられてい
る防腐、防虫剤の毒性はきわめて強いものであり、これ
らの薬剤は100%圧力缶を使用して木材に注入してい
るが、作業中こぼれ落ちる薬剤の始末について工場周辺
住民の理解を得ることが不可能な状態にあり、安全な薬
剤の開発が業界を挙げて要望されている。また、CCA
は防蟻性が存在すると関係者の間で理解しようとしてい
るが、テストでも現場使用でも防蟻性は認められていな
い。本発明は、木材の防腐,防虫,防蟻処理にきわめて
毒性の高い、人にも環境にも危険な薬剤を使用している
現状を、毒性を包含しない、人にも環境にもやさしい薬
剤に切り替え、安心して木材質を防腐,防虫,防蟻処理
し、かつ現在の毒性も高いが効果も大きいCCA(硫酸
銅、価クロム、ヒ素化合物による構成)と同等以上の
効果を上げようとするものである。次に、現在防腐、防
虫と防蟻を一回の処理工程では可能とすることができな
いでいるものを、一回の処理で可能とする薬剤構成と
し、処理を単純で合理的にしようとするものである。さ
らに、現在建築物の床下とその周辺の土壌の防蟻処理に
木材質処理薬剤と同様、毒性の高い危険な薬剤を使用
し、利用者から問題提起されている薬剤を、前記木材処
理薬剤と同一で毒性の存在しない、人にも環境にもやさ
しい薬剤をもって土壌処理し、関係者が毒性にも白蟻に
も安心して生活できる処理効果を目的とするものであ
る。
【0004】
【発明の構成】本発明のA液は、特許第1960242
号(特公平6−94594号)、特許第1581249
号(特公平2−1864号)、特許第1297063号
(特公昭60−22068号)に記載した硅酸ナトリウ
ム溶液を主成分とし、これにホウ酸溶解溶液、ミョウバ
ン溶解溶液、炭酸カリウム溶解溶液、沃化カリウム溶解
溶液、リン酸溶解溶液から選定した二種類以上の溶液を
混合したものであるが、このようにして混合したA液
は、これを塗布した対象物に対し、きわめて展着、粘着
性が強く、わずか0.5ミクロン厚さの対象物表面に対す
る薄膜形成のみで、雨、風、太陽光線、塩害など自然界
の厳しい条件の下でも長い年月耐えうる特性を備えてい
る。
【0005】また、A液を構成する混合溶液中、硅酸ナ
トリウム溶液とホウ酸溶解溶液、ミョウバン溶解溶液、
炭酸カリウム溶解溶液、沃化カリウム溶解溶液、リン酸
溶解溶液中の二種類以上のものとの結合溶液は、木材質
を構成する細胞壁中に浸透し、細胞壁中で高分子化し、
固定する。この細胞壁中における無機質溶液の高分子化
膜質固定強い防腐性能を発揮する。さらに、前記A液
中、硅酸ナトリウム溶液とホウ酸溶解溶液の結合液は、
キクイムシ、キクイナガムシ、ヒラタキクイムシ等木材
食害虫ならびに白蟻などの蟻に対し、強力な殺虫性能を
発揮する。
【0006】次に、B液を構成する紅藻類中のイギス
目、スギノリ目、テングサ目、カクレイト目、ダルス目
中の二種類以上を適度に混合した藻を乾燥し、10〜5
0ミクロンの粒子に粉末加工し、これを煮沸して藻質に
包含されているエキスを抽出する。このようにして得ら
れるエキスは、人畜無害でありながらマクリ(イギス
目)に代表されるように殺虫性が高く、とくに白蟻をは
じめ甲虫類に対する忌避性が強い。さらに、オゴノリ
(スギノリ目)イトフノリ(カクレイト目)に代表され
る粘着性による白蟻に対する被膜形成による殺虫効果は
大である。
【0007】前記のような忌避性と粘着性効果を少量
で、かつ長期間保持する手段として、A液とB液との複
合化が大きな働きをする。A液は、B液と理想的な複合
化を行い、薄い膜質を処理対象物に形成し、時間の経過
とともに硬化し、高分子化するため処理対象物の木材あ
るいは土壌にも長期にわたり安定した防腐,防虫,防蟻
性能を忌避性を伴って付与し、効果を発揮する。さらに
また、A液とB液との複合化した溶液は、処理対象物内
もしくは処理対象物表面に粘着した後、高分子硅酸とし
て固定するため、屋外において雨、風、太陽光線に晒さ
れてもあるいは高温条件下にあっても長期間にわたり防
腐,防虫,防蟻の性能を維持し、その溶脱を抑制する。
【0008】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態に係る防腐,
防虫,防蟻剤は、A液として、珪酸ナトリウム濃度30
〜35%のものを水1リットル中に10g〜700gを
溶解させた溶液に、ホウ酸、ミョウバン、炭酸カリウ
ム、沃化カリウム、リン酸の溶解溶液のうちの二種類以
上を1リットル中に0.1〜10gあるいは飽和溶液まで
含む溶液を加えて混合しPH値を10以上に調整した処
理液と使用する。
【0009】また、B液は、紅藻類中のスギノリ目のキ
リンサイ、イギス目のイギスまたはマクリ等の紅藻を乾
燥した後20〜200ミクロンに微粉砕し、水80部に
対し前記微粉砕した紅藻類を20部の割合で混合し、煮
沸して抽出液を採取し、使用する。そして、前記A液と
B液の複合液は、使用目的によって、キクイ虫、ナガキ
クイ虫、ヒラタキクイ虫などの甲虫類に対してはA液6
0〜70部、B液30〜40部、白アリに対してはA液
30〜40部、B液60〜70部を混合して使用するこ
とが好ましい。なお、B液としては、前記スギノリ目、
イギス目のものに限られることなく、これらのものや、
テングサ目、カクレイト目、ダルス目などの紅藻類の二
種類以上を適量ずつ混合し、前述したものと同様にして
用いることができる。そして、A液およびB液は適宜水
を加え、後述する実施例のように稀釈して用いることが
好ましい。
【0010】前記複合化溶液は、25〜500倍に希釈
し、圧力処理缶内にて、処理木材に対し5〜15Kg/
cm2 の条件下にて複合化溶液を当該木材に加圧注入し、
防腐,防虫,防蟻を図る処理剤として有効である。前記
複合化溶液は、10〜500倍に希釈し、木材処理槽内
に入れて、防腐,防虫,防蟻処理用木材を槽内にて複合
化溶液に浸漬させ、あるいは前記処理用木材に吹き付け
て吸収させ、防腐,防虫,防蟻を図る処理剤として有効
である。
【0011】前記複合化溶液は、10〜500倍に希釈
し、建物の床下、布基礎の周辺土壌に2〜5l/m2
度散布し、あるいは土壌に混合して床下土壌として使用
し、防蟻を図る処理剤として有効である。前記複合化溶
液は、適宜の倍率に希釈し、合板、集成材、パーチクル
ボード、ファイバーボードを構成する単板、木材小片、
木材質繊維もしくは当該製品に含浸させ、当該製品に防
腐,防虫,防蟻性能を付与する処理剤として有効であ
る。なお、前記複合化溶液の希釈は、通常水によって行
っている。
【0012】前記複合化溶液は、木材質に加圧注入もし
くは浸漬処理により当該木材質内部あるいは木材質表面
に付着させた後、60℃〜100℃の高温加工を行い、
付着複合化溶液をゲル化硬化させ、高分子化皮膜を生じ
しめることにより、より効果の高い防腐,防虫,防蟻処
理を図ることを可能とする処理剤として有効である。
【0013】前記A液およびB液の複合化溶液を水で希
釈した処理液を木材に加圧注入して防腐,防虫,防蟻を
行う使用方法につき、模式図である図1の(a)〜
(e)を参照して説明する。(a)に示すように、生木
材1の細胞は、外周部に一次膜2が形成され、一次膜2
の内周側に二次膜3が形成され、二次膜3の中心側に内
腔4が形成されている。そして、一次膜2および二次膜
3には、結合水5と細胞膜組織とが含まれ、内腔4には
自由水6が含まれた木材質細胞を有している。そして、
(b)〜(c)に示すように、生木材1を減圧して内腔
4に含まれた自由水6を可能な範囲に取り除き、前記複
合化溶液を水で希釈した処理液7を内腔4に注入する。
これによって、水と処理液7との濃度差による置換現象
が生じ、結合水5を内腔4に、処理液7を細胞膜組織内
に置換して浸透させる。なお、(c)において、5aは
未置換の結合水である。(d)に示すように、二次膜3
内へ置換浸透した処理液7は次第にゲル化7aし、細胞
膜組織8内の結合水5は内腔4へ引き出される。その
後、(e)に示すように、細胞膜組織8に結合水5と置
換して入った処理液7がゲル化処理液7aから高分子化
被膜7bして固定する。このように、処理液が被膜化
定することで、木材の防腐,防虫,防蟻処理ができ、か
つ防火性能が発揮でき、溶脱も発生せず、長期間にわた
り、木材質に防腐,防虫,防蟻性能を保持させる
【0014】
【実施例1】A液およびB液の複合化処理溶液を、圧力
缶を使用して木材並びに木材質に加圧注入し、もしくは
浸漬処理して防虫試験を行った。詳細は次の通りであ
る。 使用剤の構成 A液及びB液をそれぞれ25℃の水で25倍(4%水溶
液)、50倍(2%水溶液)、100倍(1%水溶
液)、200倍(0.5%水溶液)に調整した。 により調整したそれぞれ同じ倍率パーセントの水
溶液ごとに等容量ずつ混合して複合化処理溶液とした。 試験に使用する木材は、 i)熊本県小国町の40年生のスギ丸太から採材した、
30mm×30mm×600mmサイズのスギ小角材を試験対
象ごとに10本ずつ合計70本を加工して使用した。 ii)タイ国トラン県ヤンタカオ町ゴム園の30年生のゴ
ムの木から採材した、30mm×30mm×600mmのゴム
小角材を、試験対象ごとに10本ずつ合計70本を加工
して使用した。 iii) タイ国トラン県ヤンタカオ町ゴム園の30年生の
ゴムの木から小型ロータリーレースを使用して採材した
厚さ1mm×幅300mm×長さ300mmのゴム材単板並び
に単板を接着加工した合板を使用した。 使用した虫と試験材の含水率 テストIはキクイムシ、テストIIはキクイナガムシ、テ
ストIIIはヒラタキクイムシをトラン県ヤンタカオ町の
現場で採取し、それぞれ50cm×50cm×80cmのアミ
を張った直方体状の箱に、種類別に300匹ずつ収容
し、これらの箱の中へテスト材を入れて食害させた。白
蟻は、ゴム園の伐採跡地を借用し、植林間隔3mの中間
点に試験材を埋め込み、3ケ月ごとに食害状況を調査し
た。なお、テストIIIのヒラタキクイムシに食害させる
試験材は乾燥室で12%〜15%に人工乾燥し、テスト
IとIIは、生材から加工したそのままの含水率、スギ材
は60%前後、ゴム材は80%前後の含水率であった。 前記処理溶液の加圧注入もしくは浸漬処理条件 i)加圧注入処理 スギ材にあっては、熊本県小国
町の東京木材研究所内の注薬缶(φ50cm×L2m)を
使用し、減圧700mm/Hgで60分間、続いて加圧1
5kg/cm2 で60分間、さらに減圧700mm/Hgで
30分間実施した。なお、ゴム材にあっては、タイ国ト
ラン県ヤンタカオ町のゴム材防虫缶を使用し、前記スギ
材の場合と同じ条件で加圧注入処理を行った。 ii)浸漬処理は、加圧処理缶を使用し、減圧、加圧処理
をせずに4時間浸漬した。 木材の表面に付着した前記処理液の高温加工 加圧注入材、浸漬処理材、合板等の表面に付着した前記
処理溶液を、処理後直ちに60℃〜100℃で高温加工
し、処理液をゲル化・高分子化し、硬化して皮膜形成を
行った。
【0015】前記試験の結果は表1の通りである。
【表1】
【0016】表1の試験結果のように、虫による被害の
もっとも烈しいタイ国のゴム園内にあって、テスト箱に
300匹の虫を飼育し、その飼育箱の中へテスト材を入
れ食害について調査した。このような防虫試験は例のな
い程の苛酷なものということができる。前記結果からす
ると、加圧も浸漬も25倍〜50倍処理溶液を使用した
場合は虫害は発生していない。しかし、100倍〜20
0倍処理溶液になると半分近くのテスト材が被害を受
け、この位の濃度が限界と思われる。無処理のテスト材
は、テスト期間3ケ月内にはテスト材の姿が存在しない
状態に食害される。従って、前記処理溶液の場合25倍
(4%)であれば、虫に対するきわめて顕著な効果のあ
ることが判明した。
【0017】
【実施例2】前記防虫試験と同様な処理溶液を圧力缶を
使用して加圧もしくは浸漬処理をし、ゴム林の伐採跡地
へ埋め込み、約1年間にわたって食害テストを実施し
た。防蟻試験の場合、地中に埋めるため、処理溶液の付
着面を60〜100℃の高温で加熱し、処理液中に主と
して硅酸ナトリウムとその他の無機質材とからなる処理
溶液をゲル化高分子化硬化させ、皮膜形成を生じさせ、
地中の水分の影響を可能な限り少なくし、防蟻剤の溶脱
を防止することによる効果についても測定した。防蟻剤
として使用した薬剤処理条件は、実施例1と同じであ
り、加熱加工のみが異なる。高温加熱による膜形成効果
は、4%溶液の場合は変化しないが、2%50倍水溶液
にあってその効果が明確に生じた。なお、ゴム林伐採跡
のため白蟻も多数見受けられるが、白蟻の好物のゴム材
の根株がたくさんあり、試験材に対する攻撃は烈しくな
かったものと予想される。また、試験期間内に雨季と乾
季とがあり、乾季の方がより多く食害された。前記試験
材の埋設は、図2、図3に示すように、伐採根株11が
縦l=3m、横L=5mの間隔で配置されており、伐採
根株11の縦方向間隔の中央にそれぞれスギ材、ゴム材
などの試験材12を地中にD=550mm埋設し、地表1
3上にH=50mm突出させ、試験材12の上面にカラー
ピンからなる目印14を固定してある。
【0018】前記試験の結果は、表2の通りである。
【表2】
【0019】表2の試験結果のように、複合化処理溶液
の使用濃度が4%(25倍溶液)であれば、白蟻に対し
きわめて有効であり、とくに高温加工して膜形成したも
のは効果が顕著であるが、2%(50倍溶液)濃度のも
のは、ゴム材にあっては効果が少ないことがわかった。
【0020】
【実施例3】前記複合化処理溶液を用いる防腐試験は、
JIS A9201−1991に示された木材防腐剤の
試験方法が一般では正確に実施できないため、富山県林
業技術センター木材試験場に依頼して試験を実施した。
その内容は次の通りである。 試料ごとの注入量 (試料種類) (注入量) 低注入量 1/4倍 200kg/m3 中 〃 1/2倍 400kg/m3 高 〃 原液 800kg/m3 各種注入量における防腐性能
【0021】表3に記載の通り。
【表3】
【0022】 試験結果 JIS規格の性能基準は、耐候性操作を施した場合の質
量減少率が3%以下であるので、前記処理溶液は894
kg/cm3 で性能基準を満たした。要するに、JIS規
格A9201−1991木材防腐剤の試験方法による試
験に合格し、現在使用されているCCA等の薬剤と比較
し、特に耐候性操作による効力低下が少なく、防腐性能
はCCAより高い耐候性が期待できると判定された。
【0023】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1の発明に
係る防腐,防虫,防蟻剤は、硅酸ナトリウム溶液を主成
分とし、これにホウ酸溶解溶液、ミョウバン溶解溶液、
炭酸カリウム溶解溶液、沃化カリウム溶解溶液、リン酸
溶解溶液中の二種類以上を混合したA液と、紅藻類中の
スギノリ目、イギス目などの藻から抽出した溶液からな
るB液とを混合した複合化溶液を用い、A液およびB液
を必要に応じ水で適度に希釈した複合化処理液を木材に
加圧注入、浸漬または吹き付けをすることで、木材質の
防腐、防虫、および防蟻処理ができる。
【0024】また、A液およびB液を必要に応じ水で適
度に希釈した複合化処理液を、建物の床下の土壌に散布
したり、土壌に混合して床下土壌として用いることで、
当該溶液が土石分に展着して高分子化結合の被膜形成を
行い、長時間にわたり白蟻を防除する。そして、請求項
2の発明のように、B液は、紅藻類中のイギス目、スギ
ノリ目、テングサ目、カクレイト目、ダルス目中の二種
類以上を混合した藻を乾燥して粉末とし、この粉末を煮
沸して藻質に含まれたエキスを抽出した溶液にすると、
防腐,防虫,防蟻効果をよりよくできて好ましい。 さ
らに、複合化溶液は、A液とB液との容量比をA液1〜
9、B液9〜1の割合にし、目的に応じ広い範囲で使用
できるが、A液5、B液5に近い割合にすることが好ま
しい。
【0025】前記A液とB液との複合化溶液は、無毒性
であり、前述したように、防腐,防虫,防蟻効果がそれ
ぞれ実用化レベルの性能を保持しており、一液の一回の
処理で防腐,防虫,防蟻の三つの目的を達成できると共
に、人や環境にやさしい安全性の高い薬剤ということが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防腐,防虫,防蟻剤の使用例を示
した説明図。
【図2】本発明に係る防腐,防虫,防蟻剤の実施例2の
木材と根株とを示した平面図。
【図3】図2の縦断側面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A01N 59/26 A01N 59/26 C23C 22/00 C23C 22/00 Z

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硅酸ナトリウム溶液を主成分とし、これ
    にホウ酸溶解溶液、ミョウバン溶解溶液、炭酸カリウム
    溶解溶液、沃化カリウム溶解溶液、リン酸溶解溶液中の
    二種類以上の溶液を混合したA液と、 紅藻類中の藻から抽出した溶液からなるB液とを混合し
    て複合化溶液としたことを特徴とする防腐,防虫,防蟻
    剤。
  2. 【請求項2】 B液は、紅藻類中のイギス目、スギノリ
    目、テングサ目、カクレイト目、ダルス目中の二種類以
    上を混合した藻を乾燥して粉末とし、この粉末を煮沸し
    て藻質に含まれたエキスを抽出し、溶液としたことを特
    徴とする請求項1に記載の防腐,防虫,防蟻剤。
  3. 【請求項3】 複合化溶液は、A液とB液との容量比
    を、A液1〜9、B液9〜1、好ましくはA液5、B液
    5に近い割合にしたことを特徴とする請求項1または2
    に記載の防腐,防虫,防蟻剤。
JP17676796A 1996-07-05 1996-07-05 防腐,防虫,防蟻剤 Pending JPH1017426A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100423373B1 (ko) * 2001-03-29 2004-03-18 주식회사 넬바이오텍 안정화된 액상 규산 탄산염 소독제의 제조방법
JP2013531611A (ja) * 2010-03-16 2013-08-08 ニサス・コーポレーション 木材ベースのシロアリ用ベイトシステム
JP5379926B2 (ja) * 2011-03-04 2013-12-25 サンライズ産業株式会社 防除方法および防除用固化体、防除用固化体の施工方法、防除用固化体の施工に用いる母材および用材、防除用固化体の製造方法

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JP2013531611A (ja) * 2010-03-16 2013-08-08 ニサス・コーポレーション 木材ベースのシロアリ用ベイトシステム
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