JP2004043525A - 水性顔料分散体組成物、水性中塗り塗料組成物及び塗膜形成方法 - Google Patents

水性顔料分散体組成物、水性中塗り塗料組成物及び塗膜形成方法 Download PDF

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Koichi Obara
小原 浩一
Takeshi Imamura
今村 毅
Tetsuji Nitta
新田 哲治
Hiroki Hayashi
林 宏樹
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Nippon Paint Co Ltd
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Abstract

【課題】顔料が安定して水性中塗り塗料中に分散している水性顔料分散体組成物、上記顔料分散組成物からなり塗膜の下地隠蔽性、仕上がり外観に優れた水性中塗り塗料組成物及びこれを使用してなる複層塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】顔料及び分散樹脂からなる水性顔料分散体組成物であって、上記分散樹脂は、数平均分子量が1000〜8000のアクリル樹脂であることを特徴とする水性顔料分散体組成物。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料分散体組成物、水性中塗り塗料組成物及び塗膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用塗料の分野においては、外観性、耐チッピング性、耐候性、防錆性等の性能を得るために、中塗り塗料が使用されている。このような中塗り塗料は、環境への負荷を低減する目的で水性化が図られ、ポリエステル樹脂を塗膜形成成分とした水性中塗り塗料が広く開発されつつある。
【0003】
このような水性中塗り塗料においては、色相や、下地隠蔽性等を向上させる目的で顔料が配合されていることが多い。顔料を水性中塗り塗料組成物中に分散させるためには、分散樹脂が使用されており、このような分散樹脂としては、ポリエステル樹脂が最も一般的に使用されている。
【0004】
しかし、ポリエステル樹脂は、水中媒体に分散した状態では加水分解を受けやすいという性質を有する。このため、長期間保存するうちにポリエステル樹脂が水性中塗り塗料中で分解してしまい、これによって顔料の分散能が低下して顔料の沈降を生じ、長期保存安定性が悪い水性塗料組成物となる場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、顔料が安定して水性中塗り塗料中に分散している水性顔料分散体組成物、上記顔料分散組成物からなり塗膜の下地隠蔽性、仕上り外観に優れた水性中塗り塗料組成物及びこれを使用してなる複層塗膜形成方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料及び分散樹脂からなる水性顔料分散体組成物であって、上記分散樹脂は、数平均分子量が1000〜8000のアクリル樹脂であることを特徴とする水性顔料分散体組成物である。
上記顔料は、カーボンブラック、二酸化チタン及び硫酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0007】
本発明は、水性顔料分散体、水性樹脂及び硬化剤からなる水性中塗り塗料組成物であって、上記水性顔料分散体は、上述した水性顔料分散体組成物であることを特徴とする水性中塗り塗料組成物でもある。
【0008】
上記水性中塗り塗料組成物は、乾燥膜厚35μmとなるように塗装した塗膜のウェーブスキャンによる測定値W2が40以下であることが好ましい。
上記硬化剤は、メラミン樹脂及び/又はイソシアネート樹脂であることが好ましい。
上記水性中塗り塗料組成物は、塗料固形分90質量%以上での最低溶融粘度が20Pa・s以下であることが好ましい。
【0009】
本発明は、基材上に電着塗料を塗装して電着塗膜を形成する工程(1)、上記工程(1)で得られた電着塗膜上に水性中塗り塗料組成物を塗布して中塗り塗膜を形成する工程(2)、上記工程(2)で得られた中塗り塗膜上に上塗り塗料を塗布して上塗り塗膜を形成する工程(3)からなる複層塗膜形成方法であって、上記水性中塗り塗料組成物は、上述した水性中塗り塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜の形成方法でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明の水性顔料分散体組成物は、顔料が水を主体とする溶媒中に分散してなる組成物であり、通常、ペースト状の形態を有するものである。本発明の水性顔料分散体組成物は、このようなペースト状の状態で水性中塗り塗料組成物の調製に使用される。これによって、水性中塗り塗料中で効率よく顔料を分散させることができ、均一な物性を有する水性中塗り塗料組成物を得ることができるものである。
【0011】
本発明の水性顔料分散体は、顔料を含有してなるものである。上記顔料としては特に限定されないが、カーボンブラック、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化鉄等のような無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、カルバゾールバイオレット、アントラピリミジンイエロー、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダンスロンブルー、キナクリドンバイオレット等のような有機顔料の適量、その他必要に応じてクレー、タルク、カオリン等の体質顔料等を挙げることができる。カーボンブラック、二酸化チタン及び硫酸バリウムからなる群より選択される少なくとも1つの顔料を含有するものであることがより好ましい。上記顔料は、水性中塗り塗料組成物に配合される顔料成分であるが、そのままでは水に対する分散性が充分ではないため、水性中塗り塗料組成物中に配合させるためには、分散樹脂を使用して水中に分散させることが必要とされるものである。
【0012】
上記顔料は、本発明の水性顔料分散体組成物固形分中に、下限10質量%、上限95質量%の範囲内で含有されるものであることが好ましい。10質量%未満であると、顔料の含有量が過少であるため、水性中塗り塗料組成物に充分な量の顔料を配合させることができない場合がある。95質量%を超えると、顔料を充分に水性媒体中に分散させることが困難となる場合がある。
【0013】
本発明の水性顔料分散体は、分散樹脂として数平均分子量が下限1000、上限8000の範囲内であるアクリル樹脂を含有するものである。アクリル樹脂は、ポリエステル樹脂に比べて耐加水分解性に優れるため、これを用いることによって、長期間の保存安定性に優れた塗料組成物を得ることができる水性顔料分散体となる。また、アクリル樹脂は、ポリエステル樹脂に比べて溶融粘度が高いため、アクリル樹脂を使用した水性中塗り塗料は、下地隠蔽性に劣り、これによって外観不良を生じる場合が多かった。しかし、上記アクリル樹脂を使用した水性顔料分散体によって調整した水性中塗り塗料は、溶融粘度の上昇を生じることがない。従って、本発明の水性顔料分散体を使用して水性中塗り塗料を調製することによって、長期保存安定性及び下地隠蔽性の両方の性質に優れた水性中塗り塗料を得ることができる。
【0014】
上記アクリル樹脂の数平均分子量が1000未満の場合、分子量が低すぎて充分に顔料を水性媒体中に分散させることができない。また、数平均分子量が8000を超える場合は、水性中塗り塗料組成物を塗布して中塗り塗膜を形成した後、加熱溶融時に粘度が充分低下しないため、中塗り塗膜の下地隠蔽性が悪化する。上記下限は、1500であることがより好ましく、2000であることが更に好ましい。上記上限は、7500であることがより好ましく、6000であることが更に好ましい。
【0015】
上記アクリル樹脂の重合に使用する単量体としては特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等のエチレン系不飽和カルボン酸単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等のエチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;マレイン酸エチル、マレイン酸ブチル、イタコン酸エチル、イタコン酸ブチル等のエチレン系不飽和ジカルボン酸のモノエステル単量体;(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチルとε−カプロラクトンとの反応物等のヒドロキシル基含有エチレン系不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ブチルアミノエチル等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル単量体;アミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリルアミド、メチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸アミノアルキルアミド単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メトキシブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のその他のアミド基含有エチレン系不飽和カルボン酸単量体;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等の不飽和脂肪酸グリシジルエステル単量体;(メタ)アクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の飽和脂肪族カルボン酸ビニルエステル単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系単量体等を挙げることができる。上記エチレン性不飽和二重結合を有するアクリル単量体混合物は、上記単量体を単独で使用するものであっても、2以上の成分を併用して使用するものであってもよい。
【0016】
アクリル樹脂は、樹脂の水酸基価が、下限30、上限150の範囲内であることがより好ましい。水酸基価が30未満であると、架橋性が不充分になり、充分な塗膜性能を確保することができない場合がある。水酸基価が150を超えると、この樹脂を用いて得られた塗料の塗膜の耐水性及び耐候性が低下する場合がある。上記下限は、40であることがより好ましく、50であることが更に好ましい。上記上限は、130であることがより好ましく、100であることが更に好ましい。
【0017】
上記アクリル樹脂は、樹脂の酸価が、下限10、上限100の範囲内であることが好ましい。酸価が10未満であると、水分散性又は水溶性が低下して安定性が損なわれることがある。一方、酸価が100を超えると、樹脂の親水性が高くなりすぎて、塗膜の耐水性及び耐候性が低下することがある。上記下限は、20であることがより好ましく、30であることが更に好ましい。上記上限は、80であることがより好ましく、60であることが更に好ましい。
【0018】
上記アクリル樹脂を得るための重合方法は特に限定されるものではなく、溶液重合、分散重合、乳化重合等の公知の方法を使用することができる。
【0019】
上記アクリル樹脂は、本発明の水性顔料分散体組成物固形分に対して、下限5質量%、上限90質量%の範囲内であることが好ましい。上記下限は、10質量%であることがより好ましく、15質量%であることが更に好ましい。上記上限は、85質量%であることがより好ましく、80質量%であることが更に好ましい。
【0020】
また、本発明の水性顔料分散体組成物は、顔料及びアクリル樹脂固形分の質量比が、(顔料)/(アクリル樹脂)が10/90〜95/5の範囲内であることが好ましい。顔料が10/90よりも少ない場合は、アクリル樹脂の含有量が多量となるが、含有量を増やしたことによる効果の向上が見られないため、経済的に不利である。顔料が95/5よりも多い場合は、アクリル樹脂の量が少ないため、顔料を充分に分散させることが困難となるため、好ましくない。
【0021】
本発明の水性顔料分散体組成物は、水を主体とする水性媒体を分散媒とするものである。上記水性媒体には、水性顔料分散剤の物性を損なわない範囲で水以外の有機溶媒が含まれるものであってもよい。
【0022】
本発明の水性顔料分散体組成物は、上記成分の他、必要に応じて、分散剤、消泡剤等の成分を含有するものであってもよい。
【0023】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、上記水性顔料分散体組成物を含有してなるものである。上記水性顔料分散体組成物を使用して調整されたものであることによって、水性中塗り塗料組成物は、顔料が安定的に分散され、長期間の保存安定性に優れるものである。また、上記水性中塗り塗料組成物を塗布することによって得られた塗膜は、下地隠蔽性に優れるものである。
【0024】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、上記水性顔料分散体組成物の他、水性樹脂及び硬化剤を含有するものである。上記水性樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアクリル樹脂等を挙げることができる。なかでも、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0025】
上記ポリエステル樹脂としては特に限定されず、例えば、塗料の分野において通常使用される多塩基酸、多価アルコール及び多塩基酸及び多価アルコールの両方に属する化合物の重合反応によって得られる酸基及び/又は水酸基を有するポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0026】
上記多塩基酸としては特に限定されず、例えば、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラクロロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アゼライン酸、1,10−デカンジカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、トリメリット酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、安息香酸、及び、そのエステル形成誘導体(低級アルコールエステル、無水物、酸ハロゲン化物)等を挙げることができる。この中で、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、アジピン酸が好ましい。
【0027】
上記多価アルコールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、プロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ソルビタンモノオレート、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ソルビトール、ジグリセリン、トリグリセリン、トリペンタエリスリトール、ビスフェノールA等を挙げることができる。この中で、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
【0028】
上記多塩基酸及び多価アルコールの両方に属する化合物としては特に限定されず、例えば、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸等の芳香族オキシモノカルボン酸等を挙げることができる。
【0029】
上記ポリエステル樹脂は、例えば、上記多塩基酸と上記多価アルコールとを反応容器に所定量仕込み、常法により縮合反応させることにより製造することができる。
【0030】
上記ポリエステル樹脂の酸価は、下限10、上限100の範囲内であることが好ましい。上記下限はより好ましくは15であり、上記上限はより好ましくは90である。酸価が10未満であると、水分散性又は水溶性が低下して安定性が損なわれるおそれがある。一方、酸価が100を超えると、樹脂の親水性が高くなりすぎて、塗膜の耐水性及び耐候性が低下することがある。
【0031】
上記ポリエステル樹脂の水酸基価は、下限10、上限150の範囲内であることが好ましい。上記下限はより好ましくは30である。水酸基価が10未満であると、架橋性が不充分になり、充分な塗膜性能を確保することができない場合がある。水酸基価が150を超えると、この樹脂を用いて得られた塗料の塗膜の耐水性及び耐候性が低下する場合がある。
【0032】
更に、上記ポリエステル樹脂の数平均分子量は、下限1000、上限30000の範囲内であることが好ましい。上記下限は2000であることがより好ましく、上記上限は20000であることがより好ましい。数平均分子量が1000未満であると、塗料の塗膜の耐水性及び耐候性が低下する場合があり、数平均分子量が30000を超えると、高濃度で樹脂を塗料中に配合することが困難になる場合がある。
【0033】
上記硬化剤としては、上記水性樹脂と硬化反応を生じ、水性塗料組成物中に配合することができるものであれば特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、イソシアネート樹脂等を挙げることができる。
【0034】
上記メラミン樹脂としては特に限定されず、硬化剤として通常用いられるものを使用することができる。上記メラミン樹脂は、アルキルエーテル化したアルキルエーテル化メラミン樹脂であってもよく、メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂がより好ましい。
【0035】
上記メトキシ基及び/又はブトキシ基で置換されたメラミン樹脂としては、メトキシ基を単独で有するものとして、サイメル325、サイメル327、サイメル370、マイコート723;メトキシ基とブトキシ基との混合タイプとして、サイメル202、サイメル204、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル254、サイメル266、サイメル267(何れも商品名、三井サイテック社製);ブトキシ基を単独で有するものとして、マイコート506(商品名、三井サイテック社製)、ユーバン20N60、ユーバン20SE(何れも商品名、三井化学社製)等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、サイメル325、サイメル327、マイコート723がより好ましい。
【0036】
上記イソシアネート樹脂は、ジイソシアネート化合物を適当なブロック剤でブロックしたものである。上記ジイソシアネート化合物は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)等の脂肪族ジイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート類;キシリレンジイソシアネート(XDI)等の芳香族−脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香族ジイソシアネート類;ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、水素化されたTDI(HTDI)、水素化されたXDI(H6XDI)、水素化されたMDI(H12MDI)等の水素添加ジイソシアネート類等を挙げることができる。
【0037】
上記ジイソシアネート化合物をブロックするブロック剤としては、特に限定されず、例えば、メチルエチルケトオキシム、アセトキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;m−クレゾール、キシレノール等のフェノール類;ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコール類;ε−カプロラクタム等のラクタム類;マロン酸ジエチル、アセト酢酸エステル等のジケトン類;チオフェノール等のメルカプタン類;チオ尿酸等の尿素類;イミダゾール類;カルバミン酸類等を挙げることができる。なかでも、オキシム類、フェノール類、アルコール類、ラクタム類、ジケトン類が好ましい。
【0038】
上記硬化剤は、水性樹脂/硬化剤の割合が、質量比で90/10〜50/50の割合となるように本発明の水性中塗り塗料組成物中に含有することが好ましい。
【0039】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、塗料調製の目的に合わせて、上塗り塗料と明度又は色相等を合わせたセットグレーや各種の着色顔料を組み合わせたいわゆるカラー中塗り塗料とすることもできる。
【0040】
上記顔料は、一部を上記水性顔料分散体組成物とは異なる分散体組成物を調製して配合するものであってもよい。上記数平均分子量が1000〜8000のアクリル樹脂以外の分散樹脂としては特に限定されず、例えば、水性ポリエステル樹脂の他、当業者によってよく知られている各種樹脂を挙げることができる。
【0041】
上記顔料は、上記水性中塗り塗料組成物中において、全顔料質量Pに対する全ビヒクル成分の質量Vの比率P/Vで表わすと、1/10〜2/1の範囲であることが好ましい。ここで顔料以外の全ビヒクル成分とは、顔料以外の塗料を構成する全固形成分(互いに不相溶な主樹脂成分、それぞれの硬化剤及び顔料分散樹脂等)を意味する。上記P/Vが1/10未満では、顔料不足のために下地隠蔽性が低下するおそれがある。また、P/Vが2/1を超えると、顔料過多により硬化時の粘性増大を招き、フロー性が低下して塗膜外観が低下することがある。
【0042】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、媒体が水性媒体を主とするものであれば、その形態は特に限定されず、例えば、水溶性塗料組成物、水分散性塗料組成物、エマルション型塗料組成物等を挙げることができる。
【0043】
本発明の水性中塗り塗料組成物は、塗料固形分90質量%以上における上記最低溶融粘度が20Pa・s以下であることが好ましい。上記最低溶融粘度が20Pa・sを超える場合、塗料を塗装した後の高い塗料固形分における、加熱による溶融時のフロー性が不充分になり、得られる塗膜の下地隠蔽性が低下するおそれがある。上記最低溶融粘度は、好ましくは18以下である。なお、塗料の固形分を90質量%以上としたことは、塗料を塗装した後、加熱されてフローする際の塗料固形分が90質量%以上となることに由来するものである。
【0044】
上記水性中塗り塗料の塗装方法としては、特に限定されず、例えば、通称「リアクトガン」と言われるエアー静電スプレー、通称「マイクロ・マイクロベル(μμベル)」、「マイクロベル(μベル)」、「メタリックベル(メタベル)」等と言われる回転霧化式の静電塗装機等を用いることにより行うことができる。塗装後は上記電着塗装後と同様にプレヒートを行うことが好ましい。
【0045】
上記水性中塗り塗料によって形成される未硬化塗膜の膜厚は特に限定されるものではなく、用途に応じて設定することができる。上記膜厚の下限は、15μmであることが好ましく、より好ましくは20μmである。上記膜厚の上限は50μmであることが好ましく、より好ましくは40μmである。上記上限を超えると、鮮映性が低下することがあり、また、塗装時のタレや焼付け硬化時のワキなどの不具合が起こることがあり、上記下限を下回ると、外観及びチッピング性が低下するおそれがある。
【0046】
また、本発明の水性中塗り塗料組成物は、乾燥膜厚35μmとなるように塗装した塗膜のウェーブスキャンによる測定値W2が40以下であることが好ましい。上記ウェーブスキャンとしては、ビッグケミー−ガードナー社製のものを使用することが好ましい。また、W2とは、凹凸が800〜2400μmの範囲の測定値に該当するものであり、この範囲の凹凸が中塗り塗膜の下地隠蔽性能をもっとも反映したものである。
【0047】
本発明の複層塗膜の形成方法は、基材上に電着塗料を塗装することによって電着塗膜を形成する工程(1)、上記工程(1)によって得られた電着塗膜上に水性中塗り塗料組成物を塗布して中塗り塗膜を形成する工程(2)及び上記工程(2)によって得られた中塗り塗膜上に上塗り塗料を塗布して上塗り塗膜を形成する工程(3)からなる複層塗膜の形成方法であって、上記水性中塗り塗料組成物は、上述した水性中塗り塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜の形成方法である。
【0048】
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記工程(1)として、被塗装物に対してカチオン電着塗料を塗装する。上記カチオン電着塗料は、特に限定されるものではなく公知のカチオン電着塗料を使用することができる。上記公知のカチオン電着塗料としては、カチオン性基体樹脂及び硬化剤を含有する塗料組成物を挙げることができる。
【0049】
上記カチオン性基体樹脂は、特に限定されず、例えば、特公昭54−4978号公報、特公昭56−34186号公報等に記載されたアミン変性エポキシ樹脂系、特公昭55−115476号公報等に記載されたアミン変性ポリウレタンポリオール樹脂系、特公昭62−61077号公報、特開昭63−86766号公報等に記載されたアミン変性ポリブタジエン樹脂系、特開昭63−139909号公報、特公平1−60516号公報等に記載されたアミン変性アクリル樹脂系、特開平6−128351号公報等に記載されたスルホニウム基含有樹脂系等を挙げることができる。上記引例に記載されたものの他、ホスホニウム基含有樹脂系等を使用することもできる。上記カチオン性基体樹脂のなかでも、アミン変性エポキシ樹脂系を使用することが特に好ましい。
【0050】
上記カチオン電着塗料を塗装した後、上記水性中塗り塗料を塗装する(工程(2))。上記水性中塗り塗料の塗装は、上述した方法によって行うことができる。
【0051】
塗装後、乾燥又は加熱することによって中塗り塗膜を形成することができる。乾燥又は加熱する条件は特に限定されず、例えば、温度は下限室温、上限180℃、時間は下限5分間、上限60分間で適宜設定することができる。得られた塗膜が未硬化であっても、硬化していてもいずれでもよい。
【0052】
上記複層塗膜形成方法における第3の工程は、上記工程(2)で得られた中塗り塗膜上に、上塗り塗料を塗装して未硬化の上塗り塗膜を得る工程である。上記上塗り塗料は、被塗装物に対して美観と保護とを与えるものである。
【0053】
上記上塗り塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤、光輝性顔料、着色顔料及び体質顔料等の顔料及び各種添加剤からなるものを挙げることができる。上記塗膜形成性樹脂、硬化剤、着色顔料、各種添加剤としては、先の水性中塗り塗料組成物でそれぞれ述べたものを挙げることができる。顔料分散性や作業性の点から、アクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とメラミン樹脂との組み合わせが好ましい。また、上塗り塗料の調製方法についても、上記水性中塗り塗料において例示した方法を挙げることができる。
【0054】
上塗り塗料中に含まれるすべての顔料濃度(PWC)は、一般的には、下限0.1質量%、上限50質量%であり、より好ましくは、下限0.5質量%、上限40質量%であり、更に好ましくは、下限1質量%、上限30質量%である。上記顔料濃度が0.1質量%未満であると、顔料による効果が得られず、50質量%を超えると、得られる塗膜の外観が低下するおそれがある。
【0055】
上記上塗り塗料の塗料形態としては特に限定されず、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン)、非水分散型のいずれであってもよい。
上記上塗り塗料は、通常、乾燥膜厚として15〜70μmとなるように塗装される。上記乾燥膜厚が15μm未満であると、下地の隠蔽が不充分になったり、色ムラが発生するおそれがあり、70μmを超えると、塗装時にタレや、加熱硬化時にワキが発生したりするおそれがある。
【0056】
上記上塗り塗料の塗装方法としては、例えば、上記水性中塗り塗料の塗装の際に例示した方法を挙げることができる。上記上塗り塗料を自動車車体等に対して塗装する場合には、意匠性を高めるために、上記エアー静電スプレー塗装による多ステージ塗装、好ましくは、2ステージで塗装するか、又は、上記エアー静電スプレー塗装と上記回転霧化式静電塗装とを組み合わせた塗装方法により行うことが好ましい。
【0057】
上記上塗り塗膜は、ベース塗膜とクリヤー塗膜とからなるものであってもよい。この場合、上記工程(3)は、例えば、ベース塗料を塗装してベース塗膜を得た後、更に、クリヤー塗料を塗装して未硬化のクリヤー塗膜を得る工程である。上記ベース塗料としては、例えば、上記上塗り塗料を挙げることができる。
【0058】
上記ベース塗料は、通常、乾燥膜厚として5〜35μmとなるように塗装される。上記乾燥膜厚が5μm未満である場合、下地の隠蔽が不充分になったり、色ムラが発生するおそれがあり、また、35μmを超える場合、塗装時にタレや、加熱硬化時にワキが発生したりするおそれがある。
上記ベース塗料の塗装方法としては、例えば、上記上塗り塗料の塗装方法と同様の方法を挙げることができる。
【0059】
上記クリヤー塗料から得られるクリヤー塗膜は、ベース塗料として光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を用いた場合に光輝性顔料に起因するベース塗膜の凹凸、チカチカ等を平滑にしたり、また、ベース塗膜を保護するために形成されるものである。
上記クリヤー塗料としては特に限定されず、例えば、塗膜形成性樹脂、硬化剤及びその他の添加剤からなるものを挙げることができる。
【0060】
上記クリヤー塗料に使用される塗膜形成性樹脂としては特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられ、これらはアミノ樹脂及び/又はイソシアネート樹脂等の硬化剤と組み合わせて用いられる。透明性又は耐酸エッチング性等の点から、アクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂とアミノ樹脂との組み合わせ、又は、カルボン酸・エポキシ硬化系を有するアクリル樹脂及び/若しくはポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。
【0061】
上記クリヤー塗料の塗料形態としては、有機溶剤型、水性型(水溶性、水分散性、エマルジョン)、非水分散型、粉体型のいずれでもよく、また必要により、硬化触媒、表面調整剤等を用いることができる。
【0062】
上記クリヤー塗料の調製方法及び塗装方法としては、従来の方法に従って行うことができる。
上記クリヤー塗膜の乾燥膜厚は、用途により変化するが、10〜70μmである。この乾燥膜厚が上限を超えると、鮮映性が低下したり、塗装時にムラ、流れ等の不具合が起こることがあり、下限を下回ると、外観が低下するおそれがある。
【0063】
上記上塗り塗料を塗装する際、上記水性中塗り塗料を塗布した後、未硬化塗膜上に上記ベース塗料を塗布し、更に未硬化塗膜上にクリヤー塗料を塗布した後、3層の塗膜層を一度に硬化させる方法によって行うこともできる。
【0064】
上記加熱硬化させる温度としては、下限110℃、上限180℃の範囲内であることが好ましい。上記下限は120℃であることがより好ましく、上記上限は160℃であることがより好ましい。これにより、高い架橋度の硬化塗膜を得ることができる。上記温度が110℃未満であると、硬化が不充分になり、180℃を超えると、得られる塗膜が固く脆くなるおそれがある。加熱硬化させる時間は、上記温度に応じて適宜設定することができるが、温度が120〜160℃である場合、例えば、10〜60分間である。
【0065】
本発明の方法によって塗装することができる被塗装物は、カチオン電着塗装可能な金属製品であれば特に制限されない。例えば、鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛及びこれらの金属を含む合金、並びに、これらの金属によるメッキ又は蒸着製品を挙げることができる。
【0066】
本発明の水性顔料分散体組成物は、カーボンブラック、二酸化チタン及び硫酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つの顔料と数平均分子量が1000〜8000のアクリル樹脂からなるものであるため、顔料分散樹脂の加水分解に対する安定性が高く、かつ適度なリフロー性を有するため、水性中塗り塗料の長期保存性に優れ、塗膜の下地隠蔽性にも優れるものである。
【0067】
【実施例】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0068】
製造例1 アクリル樹脂溶液(A)の製造例(Mn=10000)
反応容器にジプロビレングリコールメチルエーテル40.0部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら120℃に昇温した。次いで、下記表1に記載したモノマー混合物100部及びジプロピレングリコールメチルエーテル10.0部及びターシャルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート2部からなる開始剤溶液を3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。更に、ジプロピレングリコールメチルエーテル5.0部及びターシャルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。脱溶剤装置により、減圧下(70torr)120℃で溶剤を16.11部留去した後、脱イオン水194.24部及びジメチルアミノエタノール8.82部を加えてアクリル樹脂溶液(A)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(A)の不揮発分は30.0%であり、粘度は10000センチポイズ(E型粘度計一回転測定)、数平均分子量=10000、重量平均分子量=30000、固形分酸価=56、固形分水酸基価=70、中和率100%であった。
【0069】
製造例2 アクリル樹脂溶液(B)の製造例(Mn=5000)
反応容器にジプロピレングリコールメチルエーテル40.0部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら120℃に昇温した。次いで、下記のモノマー混合物(2)100部及びジプロピレングリコールメチルエーテル10.0部及びターシャルブチルパーオキシ−2−エチルへキサノエート5部からなる開始剤溶液を3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。更に、ジプロピレングリコールメチルエーテル5.0部及びターシャルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。脱溶剤装置により、減圧下(70torr)120℃で溶剤を16.11部留去した後、脱イオン水194.24部及びジメチルアミノエタノール8.82部を加えてアクリル樹脂溶液(B)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(B)の不揮発分は30.0%であり、数平均分子量=5000、重量平均分子量=15000、固形分酸価=56、固形分水酸基価=70、中和率100%であった。
【0070】
製造例3 アクリル樹脂溶液(C)の製造例(Mn=3000)
反応容器にジプロビレングリコールメチルエーテル40.0部を加え、窒素気流中で混合攪拌しながら130℃に昇温した。次いで、下記表1のモノマー混合物100部及びジプロピレングリコールメチルエーテル10.0部及びターシャルブチルパーオキシ2−エチルへキサノエート13部からなる開始剤溶液を3時間にわたり並行して反応容器に滴下した。滴下終了後、0.5時間同温度で熟成を行った。更に、ジプロピレングリコールメチルエーテル5.0部及びターシャルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.3部からなる開始剤溶液を0.5時間にわたり反応容器に滴下した。滴下終了後、2時間同温度で熟成を行った。
脱溶剤装置により、減圧下(70torr)130℃で溶剤を16.11部留去した後、脱イオン水194.24部及びジメチルアミノエタノール8.82部を加えてアクリル樹脂溶液(C)を得た。得られたアクリル樹脂溶液(C)の不揮発分は30.0%であり、粘度は1000センチポイズ(E型粘度計一回転測定)、数平均分子量=3000、重量平均分子量=9000、固形分酸価=56、固形分水酸基価=70、中和率100%であった。
【0071】
【表1】
Figure 2004043525
【0072】
製造例4 水性樹脂用水性ポリエステル樹脂溶液(D)の製造
窒素導入管、攪拌機、温度調節器、冷却管及びデカンターを備えた反応容器に無水フタル酸176部、イソフタル酸197部、アジピン酸87部、トリメチロールプロパン102部、ネオペンチルグリコール272部及びジブチルチンオキサイド0.8部、キシレン17部を仕込み、キシレンの還流が始まってから2時間かけて温度を200℃まで昇温した。その間、反応により生成する水をキシレンと共沸させて除去した。カルボン酸の酸価が8になったところで150℃まで冷却し、無水トリメリット酸49部を加えた後、更に温度が60℃になるまで冷却し、ジメチルエタノールアミン46部を加え混合したものにイオン交換水1137部を加え、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ測定による数平均分子量2000、固形分40%、固形分酸価40、水酸基価100の水性型ポリエステル樹脂溶液(D)を得た。
【0073】
実施例1
(水性中塗り塗料組成物の調製)
製造例3で得られたアクリル樹脂溶液(C)を44.0部、CR−97(商品名、石原産業社製二酸化チタン)24.5部、B−34(商品名、堺化学社製沈降性硫酸バリウム)12部、MA−100(商品名、三菱化学社製カーボンブラック)0.5部及びLMR−100(商品名、富士タルク社製タルク)0.3部を、ペイントコンディショナー中でガラスビーズ媒体を加えて、室温で1時間混合分散し、粒度10μm以下の顔料分散体組成物を得た。この顔料分散体組成物84.0部に対して、製造例4で得られた水性ポリエステル樹脂溶液(D)72.0部、マーコート723(商品名、三井サイテック社製メラミン樹脂、固形分100質量%)18部及びサーフィノール104E(商品名、エアプロダクツジャパン社製表面調整剤)0.5部を、混合して10分間ディスパーにて攪拌混合し、水性中塗り塗料組成物を得た。
【0074】
実施例2
実施例1において、アクリル樹脂溶液(C)に替えて、アクリル樹脂溶液(B)を使用した以外は、実施例1と同様にして水性中塗り塗料組成物を調製した。
【0075】
比較例1
実施例1において、アクリル樹脂溶液(C)に替えてアクリル樹脂溶液(A)を使用した以外は、実施例1と同様にして水性中塗り塗料を調製した。
【0076】
比較例2
実施例1において、アクリル樹脂溶液(C)に替えて、水性ポリエステル樹脂溶液(D)を33.0部使用した以外は、実施例1と同様にして水性中塗り塗料組成物を調製した。
【0077】
上記実施例1によって得られた水性中塗り塗料組成物及び塗膜に対して、以下に示す方法によって物性を測定し、結果を表2に示した。
【0078】
<安定性>
実施例及び比較例の水性中塗り塗料組成物をフォードカップNo.4によって、20℃で30秒となるように希釈し、40℃で10日保管した前後での塗料の沈降を目視評価にて、また、粘度変化をフォードカップNo.4 20℃にて測定した。評価基準は以下の通りとした。
(1)沈降
○:沈降が見られない
×:沈降が見られる
(2)粘度変化
15秒以下の粘度変化を合格とした。
【0079】
<最低溶融粘度の測定>
カチオン電着塗装を施した300×300×0.3mmのブリキ板の表面に、得られた各水性中塗り塗料組成物を乾燥膜厚35μmとなるようにエアースプレー塗装してそのまま室温で放置し、ブリキ板上に形成された未硬化の塗膜を掻き取り、測定用試料としてサンプルビンに収集し、蓋をしっかり閉めた。サンプルビンから測定用試料から1gを量りとり、105℃で3時間加熱して、加熱残分を算出し、塗料固形分とした。さらに、測定用試料1.0gをソリキッドメーターMR−300(レオロジー社製同芯式粘弾性測定装置、条件:周波数0.3Hz、30℃から150℃まで、昇温速度2℃/分)にて粘度を測定し、最低溶融粘度を測定し、塗料固形分90質量%以上において、最低溶融粘度が20Pa・s以下を合格とした。
【0080】
<下地隠蔽性>
上記最低溶融粘度の測定方法によって得られた乾燥膜厚35μmの未硬化塗膜を、150℃で30分加熱硬化した塗膜の仕上がり外観をウェーブスキャン(ビッグケミー−ガードナー社製)にて測定し、800〜2400μmの中波長領域の測定値(W2値)により評価を行った。結果を表2に示した。
30以下を合格とした。
【0081】
【表2】
Figure 2004043525
【0082】
表2の結果から、本発明の水性顔料分散体組成物を使用して調整した水性中塗り塗料組成物の安定性は、水性ポリエステル樹脂を使用した顔料分散体組成物を使用して調整した水性中塗り塗料組成物よりも優れていることが明らかである。また、本発明の水性中塗り塗料組成物によって得られた塗膜は、仕上がり外観が水性ポリエステル樹脂を使用してなる顔料分散体組成物を使用した水性中塗り塗料組成物と同等である。これより、本発明の水性中塗り塗料組成物は、長期保存安定性に優れ、かつ従来の水性中塗り塗料組成物と同等の塗膜物性を有する塗膜を形成させることができることが明らかである。
【0083】
【発明の効果】
本発明の水性顔料分散体組成物は、分散樹脂が加水分解を受けず、安定性が高いものであるため、これを使用してなる水性中塗り塗料組成物は、長期保存安定性に優れる。また、上記水性中塗り塗料組成物は、塗膜物性が従来の水性中塗り塗料組成物と同等である。

Claims (7)

  1. 顔料及び分散樹脂からなる水性顔料分散体組成物であって、
    前記分散樹脂は、数平均分子量が1000〜8000のアクリル樹脂であることを特徴とする水性顔料分散体組成物。
  2. 顔料は、カーボンブラック、二酸化チタン及び硫酸バリウムからなる群から選択される少なくとも1つである請求項1記載の水性顔料分散体組成物。
  3. 水性顔料分散体、水性樹脂及び硬化剤からなる水性中塗り塗料組成物であって、
    前記水性顔料分散体は、請求項1又は2の水性顔料分散体組成物であることを特徴とする水性中塗り塗料組成物。
  4. 乾燥膜厚35μmとなるように塗装した塗膜のウェーブスキャンによる測定値W2が40以下である請求項3記載の水性中塗り塗料組成物。
  5. 硬化剤は、メラミン樹脂及び/又はイソシアネート樹脂である請求項3又は4記載の水性中塗り塗料組成物。
  6. 塗料固形分90質量%以上での最低溶融粘度が20Pa・s以下である請求項3、4又は5記載の水性中塗り塗料組成物。
  7. 基材上に電着塗料を塗装して電着塗膜を形成する工程(1)、前記工程(1)で得られた電着塗膜上に水性中塗り塗料組成物を塗布して中塗り塗膜を形成する工程(2)、前記工程(2)で得られた中塗り塗膜上に上塗り塗料を塗布して上塗り塗膜を形成する工程(3)からなる複層塗膜形成方法であって、
    前記水性中塗り塗料組成物は、請求項3、4、5又は6記載の水性中塗り塗料組成物であることを特徴とする複層塗膜の形成方法。
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JP2012116057A (ja) * 2010-11-30 2012-06-21 Nippon Steel Corp クロメートフリー着色塗装金属板

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