JP2004043399A - 血中脂質改善剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ミカン科サンショウのエキスからなる、血中脂質改善剤を食品などの経口投与用の組成物に含有させる。ミカン科サンショウの具体的な植物としては、サンショウ(Zanthoxylum piperitum)、カホクサンショウ(Zanthoxylum simulans Hance.)、ヒレサンショウ(Zanthoxylum beecheyanum) 、アメリカサンショウ(Zanthoxylum americanum)、トウサンショウ(Zanthoxylum simulana)、イヌザンショウ(Zanthoxylum schinifolium)、カラスザンショウ(Zanthoxylum ailanthoides)、フユザンショウ(Zanthoxylum armatum)、アサクラザンショウ(Zanthoxylum piperium f. inerme)、ヤマアサクラザンショウ(Zanthoxylumpiperium f. brevispinum)等が挙げられる。エキスとしては極性溶媒抽出物又はその溶媒除去物が好ましい。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血中脂質改善剤及びそれを含有する経口投与用の組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年において、医療の分野で特に重大な問題として取り上げられていることに、生活習慣病対策が挙げられる。生活慣習病は旧来は成人病と呼ばれており、不適切な生活態度の積み重ねとして、中年以後に多く発症する疾病の総称であったが、近年に於いては、発症年齢が若年化の一途をたどり、この様な名称に改められている。それだけ、問題も重大化していると言うことである。この様な生活習慣病に分類される疾病としては、肥満、糖尿病、高脂血症、高血圧などが挙げられ、この中でも高脂血症はアテローム性動脈硬化などを経て、高血圧症との複合的な合併症状に迄至る可能性が高く、取り分け重大な問題とされている。又、その発生頻度についても非常に多く、大きな社会問題となっている。この様な状況が生まれた背景には、戦後からの急激な食変化、言い換えれば、食の洋食化と摂取エネルギーの増大とがある。即ち、陸上動物性の脂質の摂取機会と摂取量が増大したことが、この様な高脂血症の社会問題化を招いていると言っても過言ではない。
【0003】
この様な高脂血症への対応として行われていることは、第一には、メバロチンやブラバスタチン等のコレステロール生合成阻害剤による、コレステロールの生合成を阻害して、血中のコレステロール量を減らす方法であるが、この方法に於いては、他の中性脂質についてはあまり有効とは言えないことと、阻害の程度に個体差が多く、適切な薬剤を選択するのが困難であることが挙げられる。又、コレステロール合成を阻害しても、その原料である脂質については影響が少ないため、中性脂肪に対しては有効とは言えなかった。更に、血中コレステロール量は減らせても、体全体における脂質量は変化させることができなかった。
【0004】
一方、ミカン科サンショウのエキスが血中脂質に影響を及ぼすことは知られていないし、これを血中脂質改善のために、経口投与用の組成物に含有させる試みも為されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、中性脂肪まで含めた血中脂質を改善する手段を提供することを課題とする。
【0006】
【課題の解決手段】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、中性脂肪まで含めた血中脂質を改善する手段を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、ミカン科サンショウのエキスにコレステロールのみならず、中性脂肪までも低減する、血中脂質改善作用を見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下の技術に関するものである。
(1)ミカン科サンショウのエキスからなる、血中脂質改善剤。
(2)エキスが、ミカン科サンショウの果実の極性溶媒抽出物及び/又はその溶媒除去物であることを特徴とする、(1)に記載の血中脂質改善剤。
(3)血中脂質改善効果が、血中脂質の熱エネルギーへの転換を機序とすることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の血中脂質改善剤。
(4)(1)〜(3)何れか1項に記載の血中脂質改善剤を含有する経口投与用の組成物。
(5)ミカン科サンショウのエキスを含有することを特徴とする、血中脂質改善用の経口投与用の組成物。
(6)エキスが、ミカン科サンショウの果実の極性溶媒抽出物及び/又はその溶媒除去物であることを特徴とする、(5)に記載の血中脂質改善用の経口投与用の組成物。
(7)食品であることを特徴とする、(4)〜(6)何れか1項に記載の経口投与用の組成物。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】
(1)本発明の血中脂質改善剤
本発明の血中脂質改善剤は、ミカン科サンショウのエキスからなる。本発明に言うミカン科サンショウとは、ミカン科(Rutaceae)のサンショウ属植物(Zanthoxylum)の総称であって、これに属する具体的な植物としては、サンショウ(Zanthoxylum piperitum)、カホクサンショウ(Zanthoxylum simulans Hance.)、ヒレサンショウ(Zanthoxylum beecheyanum) 、アメリカサンショウ(Zanthoxylum americanum)、トウサンショウ(Zanthoxylum simulana)、イヌザンショウ(Zanthoxylum schinifolium)、カラスザンショウ(Zanthoxylum ailanthoides)、フユザンショウ(Zanthoxylum armatum)、アサクラザンショウ(Zanthoxylum piperium f. inerme)、ヤマアサクラザンショウ(Zanthoxylum piperium f. brevispinum)等があり、これらの何れもが使用可能である。特に好ましいものは、最も一般的に入手可能なサンショウ(Zanthoxylum piperitum)である。以下、単にサンショウと称するときは、この植物を指す。本発明で言う、これらのエキスとは、植物体そのものを粉砕など加工した加工物、植物体乃至はその加工物に溶媒を加え、抽出した抽出物、抽出物から溶媒を除去した溶媒除去物、抽出物乃至はその溶媒除去物を更にカラムクロマトグラフィーや液液抽出などで分画精製した、分画精製物などの総称を意味する。本発明の血中脂質改善剤としては、溶媒抽出物或いはその溶媒除去物が好ましい。溶媒抽出物は、植物体乃至はその加工物に、1〜10重量倍の溶媒を加え、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬することにより製造することができる。溶媒としては、通常この様な抽出に用いられている溶媒であれば特段の限定はされないが、極性溶媒が特に好ましく例示できる。極性溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、1,3−ブタンジオール等のアルコール類、酢酸エチルや蟻酸メチルなどのエステル類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、クロロホルムや塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類などが好ましく例示でき、水及び/又はアルコールが特に好ましい。これは、溶出特性と安全性の観点からである。又、植物体に於いて使用する部位としては、何れの部位も使用可能であるが、有効成分を多く含むことから、果実を用いるのが特に好ましい。かくして得られたミカン科サンショウのエキスは、後記実施例に示す如く、優れた血中脂質改善作用を有する。更に、次に示す如く、ミカン科サンショウのエキスは、熱産生タンパクも活性化するため、血中より消失した脂質は、熱エネルギーに変換され、体脂肪として蓄積されない。この意味に於いても、本発明の血中脂質改善剤は、従来にない優れた効果を有すると言える。本発明の血中脂質改善剤の好ましい用量は、成人1日あたり、10〜10000mgを1回乃至は数回に分けて経口的に摂取することである。この為には、本発明の経口投与用の組成物に於いては、本発明の血中脂質改善剤を1〜50重量%含有することが好ましい。
【0008】
<製造例1>
サンショウの乾燥果実500gに5Lの50%エタノールを加え、一週間室温で抽出後、濾過して不溶物を取り除き、更に減圧濃縮をして、その後、凍結乾燥した。そして、本発明の血中脂質改善剤1を得た。(収量;21g)
【0009】
<製造例2>
サンショウをカホクサンショウに代え、同様に処理し、本発明の血中脂質改善剤2を得た。(収量;27g)
【0010】
マウスの肩胛骨間褐色脂肪組織中の熱産生タンパク質の発現促進実験
8週齢のddY系雄性マウスを9匹を一群とし、飼料として基礎飼料MFに精製ラードを20%添加し、被験物質として血中脂質改善剤1又は2を5%添加し、マウスに4週間自由摂取させた。その後、肩胛骨間褐色脂肪組織を採取し、遠心分離により粗ミトコンドリア画分を得た。画分中のタンパク質濃度を5μg/10μLに希釈後、ウェスタンブロットによる熱産生タンパク質の検出を行った。検出されたバンド強度を数値化し、ベヒクル群の値を100とした時の相対的な熱産生タンパク質含量を求めた。結果を表1に示す。これより、本発明の血中脂質改善剤は、熱産生タンパクの発現を促進し、脂質を熱エネルギーに変換していることがわかる。
【0011】
【表1】
【0012】
(2)本発明の経口投与用の組成物
本発明の経口投与用の組成物は、上記本発明の血中脂質改善剤を含有することを特徴とする。かかる血中脂質改善剤は唯一種を含有させることもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。本発明に言う経口投与用の組成物とは、経口で投与される製剤の総称を意味し、健康食品を含めた食品、飲料、経口投与医薬品等を包含する。本発明の経口投与用の組成物としては、食品が特に好ましい。これは、ミカン科サンショウの何れの植物も食品としての長い実績を有するためである。本発明の経口投与用の組成物は、必須成分であるミカン科サンショウのエキス以外に、通常上記の組成物で使用されている任意の成分を含有することができる。かかる任意成分としては、白糖等の糖衣剤、乳糖等の賦形剤、デンプンや結晶セルロースなどの崩壊剤、ゼイン、ゼラチン、シェラック等の被覆剤、ヒドロキシプロピルセルロースなどの結合剤、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ロウ類等の滑沢剤、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル等の流動促進剤、生理食塩水、ブドウ糖水溶液等の希釈剤、矯味矯臭剤、着色剤、殺菌剤、防腐剤、香料等が好ましく例示できる。本発明の経口投与用の組成物は、必須成分の本発明の血中脂質改善剤と任意の成分を常法に従って処理することにより製造することができる。
【0013】
【実施例】
以下に、本発明について、実施例を挙げて更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【0014】
<実施例1>
以下に示す、動物高脂血症モデルを用いて、本発明の血中脂質改善剤1、2の効果を測定した。
動物:ddY系マウス(♂)8週齢 n=9
飼料:基礎飼料MFに精製ラード20%添加の高脂肪食
(但し、血中脂質改善剤投与群は高脂肪食に血中脂質改善剤1乃至は2の粉を末5%(w/w)混合。ベヒクル群はエキスのかわりにコーンスターチを5%(w/w)混合)
方法:調製した飼料を4週間自由摂取させ、最終日に5時間絶食させた後、頚静脈より採血し常法により血清を得て、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪、遊離脂肪酸を業者に依頼して測定。
結果を表2に示す。これより、本発明の血中脂質改善剤は、血中の総コレステロール量、HDLコレステロール量、中性脂肪量及び遊離脂肪酸量の何れをも低減していることがわかる。
【0015】
【表2】
*:p<0.05、**:p<0.01
【0016】
<実施例2>
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与用の組成物である食品を作成した。即ち、イの成分を流動層造粒装置に仕込み、20%エタノール20重量部を噴霧しながら流動層造粒を行い、40℃で5時間送風乾燥した後、100mg錠に打錠成形し、これに糖衣パンにて、ロの液を噴霧、送風しながら被覆を行い、150mg錠に加工し、本発明の経口投与組成物1(健康食品)を得た。
イ
結晶セルロース 50 重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 重量部
血中脂質改善剤1 45 重量部
ロ
ゼイン 9 重量部
カプリル酸モノグリセリド 1 重量部
エタノール 90 重量部
【0017】
<実施例3>
上記の経口投与用の組成物1を用いて使用テストを行った。パネラーは高脂血症(高コレステロール血症)に悩む40代の男性で、半年間経口投与組成物1を朝晩一日二回、一回二錠ずつ服用してもらった。試験開始前と試験終了後に体重と血中コレステロール量(μg/ml)を測定した。結果を表3に示す。これより、本発明の経口投与組成物の投与により、血中コレステロール量が改善されていること、及び、体重も増加せず却って減少して、肥満も改善されていることがわかる。
【0018】
【表3】
【0019】
<実施例4>
以下に示す処方に従って、本発明の経口投与用の組成物である食品を作成した。即ち、イの成分を流動層造粒装置に仕込み、20%エタノール20重量部を噴霧しながら流動層造粒を行い、40℃で5時間送風乾燥した後、100mg錠に打錠成形し、これに糖衣パンにて、ロの液を噴霧、送風しながら被覆を行い、150mg錠に加工し、本発明の経口投与組成物2(健康食品)を得た。
イ
結晶セルロース 50 重量部
ヒドロキシプロピルセルロース 5 重量部
血中脂質改善剤2 45 重量部
ロ
ゼイン 9 重量部
カプリル酸モノグリセリド 1 重量部
エタノール 90 重量部
【0020】
【発明の効果】
本発明によれば、中性脂肪まで含めた血中脂質を改善する手段を提供することができる。
Claims (7)
- ミカン科サンショウのエキスからなる、血中脂質改善剤。
- エキスが、ミカン科サンショウの果実の極性溶媒抽出物及び/又はその溶媒除去物であることを特徴とする、請求項1に記載の血中脂質改善剤。
- 血中脂質改善効果が、血中脂質の熱エネルギーへの転換を機序とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の血中脂質改善剤。
- 請求項1〜3何れか1項に記載の血中脂質改善剤を含有する経口投与用の組成物。
- ミカン科サンショウのエキスを含有することを特徴とする、血中脂質改善用の経口投与用の組成物。
- エキスが、ミカン科サンショウの果実の極性溶媒抽出物及び/又はその溶媒除去物であることを特徴とする、請求項5に記載の血中脂質改善用の経口投与用の組成物。
- 食品であることを特徴とする、請求項4〜6何れか1項に記載の経口投与用の組成物。
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JP2002205400A JP2004043399A (ja) | 2002-07-15 | 2002-07-15 | 血中脂質改善剤 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021031458A (ja) * | 2019-08-27 | 2021-03-01 | 中野Bc株式会社 | 熱産生タンパク質発現促進剤 |
-
2002
- 2002-07-15 JP JP2002205400A patent/JP2004043399A/ja active Pending
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JP7298841B2 (ja) | 2019-08-27 | 2023-06-27 | 中野Bc株式会社 | 熱産生タンパク質発現促進剤 |
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