JP2003113100A - 熱産生タンパク質発現促進剤及びそれを含有する組成物 - Google Patents

熱産生タンパク質発現促進剤及びそれを含有する組成物

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JP2003113100A JP2001304853A JP2001304853A JP2003113100A JP 2003113100 A JP2003113100 A JP 2003113100A JP 2001304853 A JP2001304853 A JP 2001304853A JP 2001304853 A JP2001304853 A JP 2001304853A JP 2003113100 A JP2003113100 A JP 2003113100A
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寿之 福田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、褐色脂肪細胞中の熱産生タンパク質
の発現を促進し、過剰脂肪蓄積抑制を促し、ダイエット
用の医薬品用、食品用及び化粧品用の組成物を提供する
ことを課題とする。 【解決手段】スイレン科(Nymphacaccac)または、ハス科
(Nelumbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)やオニバス(E
uryale ferox Salisb)、オオオニバス (Victoria amazo
nica)の種子の仁の極性溶媒抽出エキスは、褐色細胞中
のミトコンドリア内膜に存在する分子量32キロダルト
ンの熱産生タンパク質の発現を促進することにより過剰
脂肪蓄積を抑制し、これを、医薬品、食品及び化粧品に
配合することにより優れた抗肥満効果のある組成物の提
供ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓮肉(ハス属植物
の種子の仁)のエキスが褐色脂肪細胞のミトコンドリア
内膜に存在する分子量32キロダルトンの熱産生タンパ
ク質の発現を促進することにより、ダイエット効果を有
する組成物を提供する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】現在に於ける、肥満の研究は、摂取エネ
ルギーのコントロールからエネルギー消費のコントロー
ルへ移行しつつある。特に、褐色脂肪細胞中の熱産生タ
ンパク質(UCP:uncoupling protein)は、エネルギー消費
の促進に関与するものとして注目されている。熱産生タ
ンパク質の分子量は、32キロダルトンであり、肩胛骨
間、腋窩部、腎周囲の褐色脂肪細胞中のミトコンドリア
の内膜に存在する。ミトコンドリアでの電子伝達系とAT
P合成は、内膜でのプロトン濃度勾配により密に共役し
ている。熱産生タンパク質は、プロトン濃度勾配を短絡
的に解消するため、これが活性化されると酸化基質の化
学エネルギーは、ATP合成に利用されず熱へと変換され
る。そして、そこから生じた熱が体温の維持や余剰エネ
ルギーの散逸に使われ、この様にエネルギー消費に関連
している。
【0003】一方、ヒトが消費するエネルギーには、
生命維持に最低限必要な基礎代謝エネルギー、骨格筋
の運動で消費されるエネルギー、内外の環境の変化
(寒冷暴露や過食など)に対して積極的に消費されるエ
ネルギー(食事性熱産生)がある。この中で運動や生活
習慣の改善などの本人の努力が反映されにくいのはと
であり、熱産生タンパク質はこの両方に関与してい
る。は筋肉量、性、年齢などの様々な因子の影響を受
けるが、熱産生タンパク質もその一つと考えられてい
る。またの大部分は、熱産生タンパク質で説明される
と考えられている。このため、適当な刺激を与えて熱産
生タンパク質の発現を増加させることで、身体全体のエ
ネルギー消費量を増やし、肥満を解消または予防するこ
とにつながると思われる。
【0004】他方、蓮肉は、ハスの種子の仁を乾燥した
ものであり、主成分としてラフィノース5水和物、カル
シウム、リン、鉄がある。他には、含有される成分であ
るメチルコリパリン(methylcorypalline)は、冠状血管
拡張作用があり、ジメチルコクラウリン(demethylcocla
urine)には、子宮平滑筋弛緩作用がある。その他一般的
には、収斂作用、鎮静作用、経度の滋養作用があること
で知られている。
【0005】しかしながら、これまでに、スイレン科(N
ymphacaccac)または、ハス科(Nelumbonaceae)のハス
属植物(Nelumbo)やオニバス(Euryale ferox Salisb)、
オオオニバス (Victoria amazonica)の種子の仁の極性
溶媒抽出エキスが、褐色脂肪細胞中の熱産生タンパク質
の発現を促進し、過剰脂肪蓄積を抑制をすることは知ら
れておらず、更に、このエキスを含有する医薬品用、食
品用及び化粧品用の組成物が、抗肥満効果があり、ダイ
エット用に好適であることも知られていない。ここで、
ダイエットとは、体脂肪を減らしリバウンドせずに痩せ
ると言うことを意味する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況をふまえて為されたものであり、褐色脂肪細胞中の
熱産生タンパク質の発現を促進し、過剰脂肪蓄積抑制を
促し、ダイエット用の医薬品用、食品用及び化粧品用の
組成物を提供することを課題とする。
【0007】
【課題の解決手段】この様な状況に鑑みて、本発明者ら
は鋭意研究努力を重ねた結果、スイレン科(Nymphacacca
c)または、ハス科(Nelumbonaceae)のハス属植物(Nelu
mbo)やオニバス(Euryale ferox Salisb)、オオオニバス
(Victoria amazonica)の種子の仁の極性溶媒抽出エキ
スは、褐色脂肪細胞中の熱産生タンパク質の発現を促進
することにより過剰脂肪蓄積抑制し、これを、医薬品、
食品及び化粧品に配合することにより優れたダイエット
効果のある組成物を提供できることを見い出し、発明を
完成させるに至った。即ち、本発明は、次に示す技術に
関するものである。 (1) スイレン科(Nymphacaccac) または、ハス科(N
elumbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)、オニバス(Eury
ale ferox Salisb)、オオオニバス (Victoria amazonic
a)のエキスから選ばれる一種乃至は二種以上を含有する
ことを特徴とする、組成物。 (2) ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo nucifer
a Gaertner)、中国姫蓮(Nelumbo spec.)、桜蓮 (Nelumb
o nucifera cv. Ouren)、紅舞姫蓮 (Nelumbo nucifera
cv. Benimaihiren)、キバナバス(Nelumbo lutea)、ネル
ンボ ヌシフェラ カスピカム(Nelumbo nucifera cv.
Cuspicum)、ネルンボ ハイブリダ:睡蓮(Nelumbo hybr
ida)の一種乃至は二種以上から選ばれることを特徴とす
る、(1)に記載の組成物。 (3) ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo nucifer
a Gaertner)及びキバナバス(Nelumbo lutea)の一種乃至
二種から選ばれることを特徴とする、(1)乃至(2)
に記載の組成物。 (4) エキスが種子の仁(蓮肉)の極性溶媒による抽
出物であることを特徴とする、(1)〜(3)の何れか
一に記載の組成物。 (5) 過剰脂肪蓄積抑制用であることを特徴とす
る、(1)〜(4)の何れか一に記載の組成物。 (6) スイレン科(Nymphacaccac)または、ハス科(Ne
lumbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)、オニバス(Eurya
le ferox Salisb)、オオオニバス (Victoria amazonic
a)のエキスから選ばれる一種乃至は二種以上を含有する
ことを特徴とする熱産生タンパク質発現促進剤。 (7) ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo nucifer
a Gaertner)、中国姫蓮(Nelumbo spec.)、桜蓮 (Nelumb
o nucifera cv. Ouren)、紅舞姫蓮 (Nelumbo nucifera
cv. Benimaihiren)、キバナバス(Nelumbo lutea)、ネル
ンボ ヌシフェラ カスピカム(Nelumbo nucifera cv.
Cuspicum)、ネルンボ ハイブリダ:睡蓮(Nelumbo hybr
ida)の一種乃至は二種以上から選ばれることを特徴とす
る、(6)に記載の熱産生タンパク質発現促進剤。 (8) ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo nucifer
a Gaertner)及びキバナバス(Nelumbo lutea)の一種乃至
二種から選ばれることを特徴とする、(6)乃至(7)
に記載の熱産生タンパク質発現促進剤。 (9) エキスが種子の仁(蓮肉)の極性溶媒による
抽出物であることを特徴とする、(6)〜(8)の何れ
か一に記載の熱産生タンパク質発現促進剤。 (10) 過剰脂肪蓄積抑制作用を有することを特徴と
する、(6)〜(9)の何れか一に記載の熱産生タンパ
ク質発現促進剤。 (11) 食品、医薬品または、化粧品であることを特
徴とする、(6)〜(10)の何れか一に記載の熱産生
タンパク質発現促進剤 (12) (6)〜(11)の何れか一に記載の熱産生
タンパク質発現促進剤を含有することを特徴とする、食
品用、医薬品用または、化粧品用の組成物。 (13) ダイエット用であることを特徴とする、(1
2)に記載の食品用、医薬品用または、化粧品用の組成
物。 以下、本発明について、実施の形態を中心に説明を加え
る。
【0008】
【発明の実施の形態】(1)本発明の熱産生タンパク質
発現促進剤 本発明の熱産生タンパク質発現促進剤は、スイレン科(N
ymphacaccac)または、ハス科(Nelumbonaceae)のハス
属植物(Nelumbo)、オニバス(Euryale ferox Salisb)、
オオオニバス (Victoria amazonica)のエキスからな
る。特に、ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo nucif
era Gaertner)、中国姫蓮(Nelumbo spec.)、桜蓮 (Nelu
mbo nucifera cv. Ouren)、紅舞姫蓮 (Nelumbo nucifer
a cv. Benimaihiren)、キバナバス(Nelumbo lutea)、ネ
ルンボ ヌシフェラ カスピカム(Nelumbo nucifera c
v. Cuspicum)、ネルンボ ハイブリダ:睡蓮(Nelumbo h
ybrida)等があり、これら植物のの一種乃至は二種以上
から選ばれることを特徴とする。本発明の熱産生タンパ
ク質の発現を促進する物質は、何れにも含まれている。
従って、本発明のエキスとしてはこれらの植物の何れも
が使用できる。しかし、中でも熱産生タンパク質発現促
進剤のエキスを抽出するのには、ハス (Nelumbo nucife
ra Gaertner)及びキバナバス(Nelumbo lutea)を用いる
のが好ましい。これは、熱産生タンパク質の発現を促進
する物質が多く含まれているからである。ここで、エキ
スとは、かかる植物の植物体それ自身、植物体を乾燥或
いは細切、粉砕など加工した加工物、植物体乃至はその
加工物を溶媒で抽出した抽出物、抽出物の溶媒を除去し
た、溶媒除去物、抽出物乃至はその溶媒除去物をカラム
クロマトグラフィーや液液抽出で精製した精製分画物な
どの総称を意味する。尚、エキスは、植物体の全草から
抽出することができる。これらの内、本発明の熱産生タ
ンパク質の発現を促進する物質としては、ハス属植物(N
elumbo)、オニバス(Euryale ferox Salisb)、オオオニ
バス (Victoria amazonica)の場合は、種子の仁(蓮
肉)の溶媒抽出物乃至はその溶媒除去物が好ましく例示
でき、かかる溶媒としては、極性溶媒が特に好ましく例
示できる。この様な極性溶媒としては、例えば、水、エ
タノール、メタノール、1,3−ブタンジオール、プロ
ピレングリコールなどのアルコール類、酢酸エチルや蟻
酸メチルなどのエステル類、アセトンやメチルエチルケ
トンなどのケトン類、クロロホルムや塩化メチレン等の
ハロゲン化炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル
類、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどのエー
テル類から選ばれる1種乃至は2種以上が好ましく例示
できる。これらの内、特に好ましいものは、水乃至はア
ルコールである。この様な抽出物を作成するには、植物
体乃至はその加工物に1〜10倍量の溶媒を加え、室温
であれば数日、沸点付近の温度であれば数時間浸漬すれ
ばよい。しかる後に、不溶物を濾過などで除去し、必要
に応じて減圧濃縮や凍結乾燥により溶媒除去することが
出来る。ハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)の場
合、50%エタノール抽出後、濾過し、減圧濃縮し、そ
して場合によって凍結乾燥するのがエッセンスとして特
に好ましい。それは、種子の仁(蓮肉)の部分が熱産生
タンパク質の発現を促進する物質が多く含まれており、
特に好ましいからである。かくして得られた、本発明の
熱産生タンパク質発現促進剤であるスイレン科(Nymphac
accac)または、ハス科(Nelumbonaceae)のハス属植物
(Nelumbo)、オニバス(Euryale ferox Salisb)、オオオ
ニバス (Victoria amazonica)のエキスは、熱産生タン
パク質の発現を促進する作用に優れ、以て、エネルギー
消費を促進し、抗肥満効果がある。熱産生タンパク質
は、肩胛骨間、腋窩部、腎周囲の褐色脂肪細胞中のミト
コンドリアの内膜に存在し、分子量は、32キロダルト
ンである。そして、ミトコンドリアでの電子伝達系とAT
P合成は、内膜でのプロトン濃度勾配により密に共役し
ており、熱産生タンパク質は、プロトン濃度勾配を短絡
的に解消するため、これが活性化されると酸化基質の化
学エネルギーは、ATP合成に利用されず熱へと変換され
る。そして、そこから生じた熱が体温の維持や余剰エネ
ルギーの散逸に使われ、この様にエネルギー消費に関連
していると考えられている。又、この様なエキスには過
剰脂肪蓄積抑制作用を有する物質も含まれているため、
この様な作用を目的としてこれを、医薬品、食品及び化
粧品に配合することにより優れたダイエット効果のある
組成物を提供できる。この様な作用は、前記本発明の、
熱産生タンパク質発現促進剤と相乗的或いは相加的に働
くため、これらエキスを化粧料に含有させた場合、痩身
用の化粧料とすることも本発明の技術的範囲に属する。
【0009】(2)マウスの副睾丸周囲脂肪重量の測定
方法 8週齢のddY系雄性マウスを9匹を一群とし、飼料とし
て基礎飼料MFに精製ラードを20%添加し、被験物質
としてスイレン科(Nymphacaccac)または、ハス科(Nelu
mbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)
の50%エタノールエキス粉末を5%添加し、マウスに
4週間自由摂取させた。その後、副睾丸周囲脂肪組織を
採取し、重量を測定し、体重100gあたりの組織重量
を算出した。ベヒクル群(コントロール)と同時に被験
物質群を実験し、ベヒクル群の値を100とした時の相
対数値により、副睾丸周囲脂肪重量の増減による肥満抑
制作用の有無を確認した。
【0010】(3)マウスの肩胛骨間褐色脂肪組織中の
熱産生タンパク質の発現促進実験法 8週齢のddY系雄性マウスを9匹を一群とし、飼料とし
て基礎飼料MFに精製ラードを20%添加し、被験物質
としてスイレン科(Nymphacaccac)または、ハス科(Nelu
mbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)
の50%エタノールエキス粉末を5%添加し、マウスに
4週間自由摂取させた。その後、肩胛骨間褐色脂肪組織
を採取し、遠心により粗ミトコンドリア画分を得た。画
分中のタンパク質濃度を5μg/10μLに希釈後、ウ
ェスタンブロットによる熱産生タンパク質の検出を行っ
た。検出されたバンド強度を数値化し、ベヒクル群の値
を100とした時の相対的な熱産生タンパク質含量を求
めた。
【0011】(4)本発明の抗肥満作用を有する組成物 本発明の抗肥満作用を有する組成物は、スイレン科(Nym
phacaccac)または、ハス科(Nelumbonaceae)のハス属
植物(Nelumbo)、オニバス(Euryale ferox Salisb)、オ
オオニバス (Victoria amazonica)のエキスを含有する
ことを特徴とする。上記、熱産生タンパク質発現促進剤
を有するエキスは、肥満症やカロリー過多のヒトの改
善、予防及び治療に有効であり、経口投与や外用塗布す
ることにより、体脂肪を減らし、リバウンドせずに痩せ
ることができ、優れた改善効果が得られる。本発明の熱
産生タンパク質発現促進剤を有するスイレン科(Nymphac
accac)または、ハス科(Nelumbonaceae)のハス属植物
(Nelumbo)、オニバス(Euryaleferox Salisb)、オオオニ
バス (Victoria amazonica)の種子の仁のエキスは、そ
のまま、あるいは慣用の製剤担体と共に動物及び人に投
与することが出来る。本発明の食品用及び医薬品用組成
物としての1日の好ましい有効投与量は、乾燥エキスと
して、0.01〜100mg/kg体重/日、更に好ま
しい投与量は0.5〜50mg/kg体重/日である。
投与形態としては、特に限定はなく、必要に応じて適宜
選択して使用され、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒
剤、散剤等の経口剤、注射剤、座剤等の非経口剤が挙げ
られる。以上の製剤は、常法によって製造される。通常
知られた任意成分を本発明の熱産生タンパク質促進剤
(=ハス属植物(Nelumbo)、オニバス(Euryale ferox Sa
lisb)、オオオニバス (Victoriaamazonica)の種子の仁
のエキス)の生理活性が損なわれない程度に配合するこ
とが出来る。かかる任意成分として、白糖、乳糖等の賦
形剤、デンプン、ゼラチン等の結合剤、カルボキシメチ
ルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース
カルシウム等の崩壊剤、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エ
ステル等の界面活性剤、タルク、ロウ類等の滑沢剤、軽
質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル等の流動促
進剤、生理食塩水、ブドウ糖水溶液等の希釈剤、矯味矯
臭剤、着色剤、殺菌剤、防腐剤、香料等が挙げられる。
また、本発明で言う化粧品用組成物とは、皮膚に外用で
適用される組成物の総称であって、貼付剤を含む皮膚外
用医薬や洗浄剤を含む化粧料が好ましく例示でき、これ
らの内では、化粧料であることが特に好ましい。これ
は、本発明の熱産生タンパク質発現促進剤の安全性が高
く、作用が穏やかであるためである。本発明の熱産生タ
ンパク質発現促進剤が関与し、痩身用の皮膚外用剤に於
ける、熱産生タンパク質発現促進剤の好ましい含有量
は、皮膚外用剤全量に対して、0.001重量%〜10
重量%であり、更に好ましくは0.01重量%〜5重量
%である。これは、少なすぎると熱産生タンパク質発現
促進作用が発揮されない場合があり、多すぎても効果が
頭打ちになり他の処方成分の自由度を損なうことがある
からである。
【0012】本発明の熱産生タンパク質発現促進剤が関
与する痩身用の皮膚外用剤は、上記必須成分以外に、通
常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意の成分を含有
することが出来る。かかる任意成分としては、例えば、
スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス
等の炭化水素類、ホホバ油、カルナウバワックス,オレ
イン酸オクチルドデシル等のエステル類、オリーブ油、
牛脂、椰子油等のトリグリセライド類、ステアリン酸、
オレイン酸、リチノレイン酸等の脂肪酸、オレイルアル
コール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール
等の高級アルコール、スルホコハク酸エステルやポリオ
キシエチレンアルキル硫酸ナトリウム等のアニオン界面
活性剤類、アルキルベタイン塩等の両性界面活性剤類、
ジアルキルアンモニウム塩等のカチオン界面活性剤類、
ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、
これらのポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステ
ル等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコー
ル、グリセリン、1,3−ブタンジオール等の多価アル
コール類、増粘・ゲル化剤、酸化防止剤、紫外線吸収
剤、色剤、防腐剤、粉体等を含有することができる。
【0013】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明について更に
詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限
定を受けないことは、言うまでもない。
【0014】<実施例1>ハス科(Nelumbonaceae)の
ハス(Nelumbo nucifera Gaertner)の種子の仁(蓮肉)
のエキスは、蓮肉500gに5Lの50%エタノールを
加え、一週間室温で抽出後、濾過して不溶物を取り除
き、更に減圧濃縮をして、その後、凍結乾燥した。そし
て、本発明の熱産生タンパク質発現促進剤であるハス
(蓮肉)のエキス1を得た。
【0015】<実施例2>ハス科(Nelumbonaceae)の
ハス(Nelumbo nucifera Gaertner)の種子の仁(蓮肉)
のエキスは、蓮肉500gに5Lの50%エタノールを
加え、攪拌しながら2時間、90℃で加熱し、室温まで
冷却した後、濾過して不溶物を取り除き、更に減圧濃縮
をして、その後、凍結乾燥した。そして、本発明の熱産
生タンパク質発現促進剤であるハス(蓮肉)のエキス2
を得た。
【0016】<実施例3〜7> 本発明のハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)エキ
スのマウスの副睾丸周囲脂肪重量に対する影響 8週齢のddY系雄性マウスを9匹を一群とし、飼料とし
て基礎飼料MFに精製ラードを20%添加し、被験物質
としてスイレン科(Nymphacaccac)または、ハス科(Nelu
mbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)
の50%エタノールエキス粉末を5%添加し、マウスに
4週間自由摂取させた。尚、ここで用いたエキスは、実
施例2の方法で抽出して処理した。ハス属植物(Nelumb
o)のエキスとして、実施例3:ハス (Nelumbo nucifera
Gaertner)、実施例4:キバナバス(Nelumbo lutea)、
実施例5:桜蓮(Nelumbo nucifera cv.Ouren)、実施例
6:オニバス(Euryale ferox Salisb)及び実施例7:ネ
ルンボ ヌシフェラ カスピカム(Nelumbo nucifera c
v. Cuspicum)を用いた。その後、副睾丸周囲脂肪組織を
採取し、重量を測定し、体重100gあたりの組織重量
を算出した。ベヒクル群(コントロール)と同時に被験
物質群を実験し、ベヒクル群の値を100とした時の相
対数値により、副睾丸周囲脂肪重量の増減による肥満抑
制作用の有無を確認した。表1に示すように、ベヒクル
群に比べ、ハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)の
エキスを添加したものは、副睾丸周囲脂肪組織重量比が
低値であった。このことから、当該エキスは、肥満抑制
効果があることがわかる。
【0017】
【表1】
【0018】<実施例8〜12>本発明のハス属植物(N
elumbo)の種子の仁(蓮肉)エキスのマウスの肩胛骨間
褐色脂肪組織中の熱産生タンパク質の発現に対する影響 8週齢のddY系雄性マウスを9匹を一群とし、飼料とし
て基礎飼料MFに精製ラードを20%添加し、被験物質
としてスイレン科(Nymphacaccac)または、ハス科(Nelu
mbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)
の50%エタノールエキス粉末を5%添加し、マウスに
4週間自由摂取させた。その後、肩胛骨間褐色脂肪組織
を採取し、遠心分離により粗ミトコンドリア画分を得
た。画分中のタンパク質濃度を5μg/10μLに希釈
後、ウェスタンブロットによる熱産生タンパク質の検出
を行った。検出されたバンド強度を数値化し、ベヒクル
群の値を100とした時の相対的な熱産生タンパク質含
量を求めた。尚、ハス属植物(Nelumbo)のエキスとし
て、実施例8:ハス (Nelumbo nucifera Gaertner)、実
施例9:キバナバス(Nelumbo lutea)、実施例10:桜
蓮(Nelumbo nucifera cv.Ouren)、実施例11:オニバ
ス(Euryale ferox Salisb)及び実施例12:ネルンボ
ヌシフェラ カスピカム(Nelumbo nucifera cv. Cuspic
um)を用いた。表2に示すように、ベヒクル群に比べ、
ハス属植物(Nelumbo)の種子の仁(蓮肉)のエキスを添
加したものは、熱産生タンパク質の発現が促進されてい
た。このことから、当該エキスは、肥満抑制効果がある
ことがわかる。
【0019】
【表2】
【0020】<実施例13〜15>表3に示す処方に従
って、健康食品を作成した。即ち、処方成分を10重量
部の水と共に転動相造粒し、打錠して錠剤状の健康食品
を得た。これらのものは何れも優れた肥満に対する予
防、改善効果を示していた。尚、表中の数値の単位は重
量部を表す。
【0021】
【表3】
【0022】<実施例16〜18>表4に示す処方に従
って、健康食品を作成した。即ち、処方成分を撹拌可溶
化しドリンク製剤の健康食品を得た。これらのものは何
れも優れた肥満に対する予防、改善効果を示していた。
尚、表中の数値の単位は重量部を表す。
【0023】
【表4】
【0024】<実施例19〜21>表5の処方に従っ
て、室温で撹拌溶解することにより注射製剤の医薬品を
作成した。尚、表中の数値の単位は重量部を表す。体脂
肪率を下げる効果があった。
【0025】
【表5】
【0026】<実施例22>以下に示す処方で化粧水を
作成した。即ち、処方成分を室温で攪拌可溶化して化粧
水を得た。この化粧水を肥満に悩むパネラー1群3名を
用いて、腹部に、1ヶ月間、朝晩1日2回使用してもらい
その痩身作用の効果を評価してもらった。評価基準は、
評点2:著しい改善、評点1:明らかな改善、評点0.5:
わずかな改善、評点0:改善なしの基準である。平均評
点は0.79であった。本発明の熱産生タンパク質発現
促進効果のあるハスのエキス(蓮肉のエキス)を含有す
る化粧水は、腹部の痩身効果のあることが認められた。 実施例1のハスのエキス1(蓮肉のエキス) 1.0 重量部 1,3ブタンジオール 5.0 重量部 グリセリン 3.0 重量部 クエン酸ナトリウム 0.1 重量部 メチルパラベン 0.2 重量部 エタノール 8 重量部 水 82.7 重量部
【0027】<実施例23>以下に示す処方に従ってク
リームを作製した。即ち、イ、ロ、ハをそれぞれ80℃
に加熱溶解して、イにロを徐々に加え、更にハを加え乳
化した後、ホモミキサーにより乳化粒子を均一化し、冷
却してクリームを得た。このクリームは、優れた痩身効
果があった。 イ) スクワラン 10 重量部 セタノール 3 重量部 ソルビタンセスキステアレート 2 重量部 ポリオキシエチレン(20)ベヘニルエーテル 2 重量部 ビタミンA酸 1 重量部 ロ) 1,3−ブタンジオール 5 重量部 実施例2のハスのエキス2(蓮肉のエキス) 1 重量部 カルボキシビニルポリマー 0.3 重量部 水 40 重量部 ハ) 水 37.3 重量部 水酸化カリウム 0.2 重量部
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、スイレン科(Nymphacac
cac)または、ハス科(Nelumbonaceae)のハス属植物(Ne
lumbo)やオニバス(Euryale ferox Salisb)、オオオニバ
ス (Victoria amazonica)の種子の仁の極性溶媒抽出エ
キスは、褐色脂肪細胞中の熱産生タンパク質の発現を促
進することにより過剰脂肪蓄積を抑制し、これを、医薬
品、食品及び化粧品に配合することにより優れたダイエ
ット効果のある組成物を提供することが出来る。
【0029】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 3/00 A61P 3/00 3/04 3/04 C11B 1/10 C11B 1/10 9/00 9/00 9/02 9/02 (72)発明者 鎌倉 昌樹 神奈川県横浜市神奈川区高島台27番地1 ポーラ化成工業株式会社ポーラ横浜研究所 内 Fターム(参考) 4B018 MD61 ME01 MF01 4C083 AA111 AB032 AC022 AC072 AC102 AC122 AC182 AC302 AC442 AC482 AD092 AD622 CC04 CC05 DD31 EE50 4C088 AB39 AC04 CA04 CA08 NA14 ZA70 ZC21 ZC33 4H059 BA05 BA12 BA15 BA22 BA30 BA44 BC23 CA12 DA09

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スイレン科(Nymphacaccac)または、ハス
    科(Nelumbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)、オニバス
    (Euryale ferox Salisb)、オオオニバス (Victoria ama
    zonica)から選ばれるエキスの一種乃至は二種以上を含
    有することを特徴とする、組成物。
  2. 【請求項2】 ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo n
    ucifera Gaertner)、中国姫蓮(Nelumbo spec.)、桜蓮
    (Nelumbo nucifera cv. Ouren)、紅舞姫蓮 (Nelumbo nu
    cifera cv. Benimaihiren)、キバナバス(Nelumbo lute
    a)、ネルンボヌシフェラ カスピカム(Nelumbo nucifer
    a cv. Cuspicum)、ネルンボ ハイブリダ:睡蓮(Nelumb
    o hybrida)の一種乃至は二種以上から選ばれることを特
    徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo n
    ucifera Gaertner)及びキバナバス(Nelumbo lutea)の一
    種乃至二種から選ばれることを特徴とする、請求項1乃
    至2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】エキスが種子の仁(蓮肉)の極性溶媒によ
    る抽出物であることを特徴とする、請求項1〜3の何れ
    か一項に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 過剰脂肪蓄積抑制用であることを特徴
    とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 スイレン科(Nymphacaccac) または、ハ
    ス科(Nelumbonaceae)のハス属植物(Nelumbo)、オニバ
    ス(Euryale ferox Salisb)、オオオニバス (Victoria a
    mazonica)のエキスから選ばれる一種乃至は二種以上を
    含有することを特徴とする熱産生タンパク質発現促進
    剤。
  7. 【請求項7】 ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo n
    ucifera Gaertner)、中国姫蓮(Nelumbo spec.)、桜蓮
    (Nelumbo nucifera cv. Ouren)、紅舞姫蓮 (Nelumbo nu
    cifera cv. Benimaihiren)、キバナバス(Nelumbo lute
    a)、ネルンボヌシフェラ カスピカム(Nelumbo nucifer
    a cv. Cuspicum)、ネルンボ ハイブリダ:睡蓮(Nelumb
    o hybrida)の一種乃至は二種以上から選ばれることを特
    徴とする、請求項6に記載の熱産生タンパク質発現促進
    剤。
  8. 【請求項8】 ハス属植物(Nelumbo)がハス (Nelumbo n
    ucifera Gaertner)及びキバナバス(Nelumbo lutea)の一
    種乃至二種から選ばれることを特徴とする、請求項6乃
    至7に記載の熱産生タンパク質発現促進剤。
  9. 【請求項9】 エキスが種子の仁(蓮肉)の極性溶媒
    による抽出物であることを特徴とする、請求項6〜8の
    何れか一項に記載の熱産生タンパク質発現促進剤。
  10. 【請求項10】 過剰脂肪蓄積抑制作用を有することを
    特徴とする、請求項6〜9の何れか一項に記載の熱産生
    タンパク質発現促進剤。
  11. 【請求項11】 食品、医薬品または、化粧品であるこ
    とを特徴とする、請求項6〜10の何れか一項に記載の
    熱産生タンパク質発現促進剤
  12. 【請求項12】 請求項6〜11の何れか一項に記載の
    熱産生タンパク質発現促進剤を含有することを特徴とす
    る、食品用、医薬品用または、化粧品用の組成物。
  13. 【請求項13】 ダイエット用であることを特徴とす
    る、請求項12に記載の食品用、医薬品用または、化粧
    品用の組成物。
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