JP2019182786A - 抗糖化用組成物 - Google Patents

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Momoko Miyano
桃子 宮野
龍一郎 鈴木
Ryuichiro Suzuki
龍一郎 鈴木
義明 白瀧
Yoshiaki Shirataki
義明 白瀧
嘉仁 岡田
Yoshihito Okada
嘉仁 岡田
吉積 一真
Kazuma Yoshizumi
一真 吉積
良樹 ▲高▼木
良樹 ▲高▼木
Yoshiki Takagi
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Abstract

【課題】飲食品又は外用化粧料として安全性の高い抗糖化作用を有する天然物を見出し、それを有効成分とする抗糖化用組成物を提供する。【解決手段】本発明の抗糖化用組成物は、有効成分として褐藻類フクロノリ又は紅藻類ミリンからなる群より選ばれる1種又はその両方を含有し、糖尿病合併症(血管症、腎症、網膜症など)、神経障害、アルツハイマー病、動脈硬化、悪性腫瘍、骨疾患、神経変性疾患、皮膚の老化などの疾患や症状の予防および治療に用いられ得る。【選択図】なし

Description

本発明は、海藻抽出物を利用した化粧料に関する。
糖化反応は古くから食品の世界で知られており、食品を加熱することでアミノ酸と糖が反応して、味や香り、食感に変化がもたらされることが示されてきた。
一方、近年では生体反応としてのたんぱく質糖化反応が注目されてきている。この生体内における糖化反応は、身体の中のたんぱく質が体内に摂取された糖と反応して、変性される現象と考えられている。そして、化学反応を繰り返していくことによって、最終糖化産物AGEs(Advanced Glycation End-product)を生成する。このAGEsが生体内の様々な反応を阻害することによって、皮膚老化、認知症、癌等の種々の疾患を引き起こすと考えられている。
AGEsは、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病による合併症の原因物質でもある。
また、AGEsは、血管内皮細胞に存在する特異的な受容体(RAGE)に結合して、糖尿病性血管症の発症に関連することも知られている。
現在、わが国において、糖尿病患者およびその予備軍の数は2,050万人(2012年国民健康・栄養調査)にのぼり、我が国民の5人に一人が糖尿病予備軍であることを踏まえると、体内のAGEsを除去することは、今後の糖尿病の発症・進行を予防する上で非常に重要である。
また、生体内に存在する代表的なタンパク質の一つとして、コラーゲンが挙げられる。コラーゲンは体内でもその存在量が多く、さらに半減期が長く代謝サイクルの長いタンパク質であるため、体内に存在する糖質と反応することで、AGEsが蓄積し易いと考えられている。
コラーゲンが糖化されることにより、通常は起こりえない架橋反応が起こり、それらが老化の原因の一つとして考えられている。コラーゲンの糖化は、皮膚のハリの低下や骨粗鬆症、変形性関節症などの伸展に深く関与していると考えられており、糖化反応を抑制することは、老化現象や各種衰弱性の疾患を抑制することにつながることが考えられる。
一方で、AGEsは、食品中にも存在する。そもそもAGEsは、食品化学の研究において、今から100年ほど前にフランスの化学者であるメイラードにより発表された非酵素的糖化反応(褐変反応、メイラード反応)による褐変において注目された物質である。AGEsは、煮る・蒸すなどの調理方法ではほとんど含まれず、逆に焼く・炒める・揚げるなどの調理方法では多く含まれることが判っている。また、AGEsはコーヒー、味噌、醤油のような食材に多く含まれていることも知られている。
このように人間は、生活上、常に多量のAGEsを食品(特に、加工食品)から摂取している。食材としてAGEsを取り込むことに関しては、ほとんど害は無いと考えられているが、腎臓を悪くしている場合は注意が必要であり、また無害の食品性AGEsが体内で吸収された後に、有害性のAGEs(例えば、AGE-2)に転換される可能性があることも注意する必要がある。
このようにAGEsは生体内でも生成され、また体外からも摂取される。このため、生体内での過剰なAGEsの蓄積を抑制するために、種々の薬剤が提案されている。
例えば、AGEs生成抑制剤として、従来からアミノグアニジン、N-フェナシルチアゾリウムブロミドなどが知られている。アミノグアニジンは組織でのAGEsの蓄積を抑制し、加齢に伴う心臓血管や腎臓の機能低下の保護作用を有することが知られているが(非特許文献1)、肝障害等の副作用を引き起こす可能性があることが報告されており、その安全性が危惧されている。また、N-フェナシルチアゾリウムブロミドもその安全性に問題があり、医薬品や皮膚外用剤として適していない(非特許文献2)。
また、天然の抗糖化素材として緑豆種皮抽出物(特許文献1)、甘草葉部抽出物、マタタビ抽出物、ザクロ抽出物、マチルス抽出物、クスノハガシワ抽出物、セキセツソウ抽出物、ウメ抽出物、イロハモミジ抽出物、真珠タンパク質加水分解物(特許文献2)、大豆抽出物(特許文献3)などが報告されている。さらに、海藻由来の抗糖化素材としてワカメ(特許文献4)、カジメ、岩ノリ、メカブ、ノリ、長ヒジキ、アカモク(非特許文献3)などが挙げられている。
特開2015−182990号公報 特開2012−121874号公報 特開2012−219014号公報 特開2007−223977号公報
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, Vol.93, pp.3902-3907, 1996 Nature, Vol.82, No.6588, pp.275-278, 1996 江田美佳:東京海洋大学大学院修士論文、pp.1-pp.73, 2016、http://id.nii.ac.jp/1342/00001396/
本発明は化粧料として利用できる新たな天然物を見出すことを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、褐藻類であるフクロノリ又は紅藻類であるミリンの溶媒抽出物が高い抗糖化活性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の構成を主な構成とする。
1.褐藻類であるフクロノリ又は紅藻類であるミリンの乾燥物又は抽出物を含有することを特徴とする抗糖化用化粧料用組成物。
2.1.記載の化粧料用組成物を含有することを特徴とする、皮膚の老化防止用の外用化粧料。
3.剤型が、軟膏剤、クリーム剤、ジェル、ローション、乳液、パック、湿布剤、浴用剤、点眼剤、点鼻剤、シャンプー、リンス、コンディショナーのいずれかであることを特徴とする2.記載の皮膚の老化防止用の外用化粧料。
4.1.記載の化粧料用組成物を含有することを特徴とする、経口摂取化粧料。
褐藻類であるフクロノリ又は紅藻類であるミリンの溶媒抽出物が抗糖化作用を示すことは、本発明が新規に提起する作用機序である。
褐藻類であるフクロノリ又は紅藻類であるミリン抽出物由来の抗糖化組成物を含む化粧料は、新規な化粧料である。天然由来であるフクロノリやミリンは、従来から食経験もあることから、安全性の高い抗糖化作用を有する組成物である。
本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物は、強い抗糖化作用を有することから、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病合併症の予防又は治療、タンパク質の糖化反応に起因する動脈硬化症の予防又は治療、タンパク質の糖化反応に起因する皮膚の弾力低下やくすみ等の予防又は改善、及びタンパク質の糖化反応に起因する骨粗鬆症や変形性関節症等の疾患の予防又は治療に、大きく寄与し得る。
以下に、本発明の実施の形態について説明する。本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物の抗糖化作用は、陽性対象品であるアミノグアニジンと比べて同程度又はそれ以上の作用を有していることが確認され、本発明は新規な海藻由来の抗糖化組成物を活用する化粧料である。
本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物は、強い抗糖化作用を有することから、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病合併症の予防又は治療、タンパク質の糖化反応に起因する動脈硬化症の予防又は治療、タンパク質の糖化反応に起因する皮膚の弾力低下やくすみ等の予防又は改善、抗老化、及びタンパク質の糖化反応に起因する骨粗鬆症や変形性関節症等の発症を抑制できる機能性化粧料として、大きく寄与し得る。
このような作用機序が期待できるフクロノリ抽出物又はミリン抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物を含む化粧料は、新たな作用機序を発揮する化粧料である。
本実施形態の抗糖化用組成物を含む化粧料は、フクロノリの乾燥物又は抽出物、又はミリンの乾燥物又は抽出物を有効成分として含有する。
ここで、本実施形態において「乾燥物」とは、上記海藻を天日で、あるいは熱風を利用した人工乾燥したもののことで、それらを粉砕機などで粉砕した粉末も含む。また「抽出物」には、上記海藻を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物の何れもが含まれる。
[フクロノリ抽出物、ミリン抽出物の製造]
本実施形態において、フクロノリ抽出物及びミリン抽出物を製造するために使用する抽出原料は、フクロ海苔(学名:Colpomenia sinuosa)及びミリン(学名:Solieria pacifica)である。
フクロノリ(Colpomenia sinuosa;袋海苔)はカヤモノリ目カヤモノリ科の褐藻である。名前の通り体は薄い膜状の袋で、直径5〜20cmの凸凹した形状をしている。色は黄褐色から褐色で艶がない。手触りは硬いが脆くて破けやすい。一見、ネバリモに似ているが、ネバリモのような粘り気はない。主に潮間帯下部から潮下帯上部の波の静かな場所の岩上に生え、場所によっては海底を埋め尽くすように群生することもある。ほぼ一年中、日本各地でみることができる。このフクロノリから抽出された「フクロノリ抽出物」は硫酸多糖(フノラン)を主成分とする抽出物であり、歯の表層の再石灰化を促進する作用を有していることから、市販のチューインガムに配合されている。
ミリン(Solieria pacifica;みりん)はスギノリ目ミリン科の紅藻である。体は高さ20〜40cm、枝の幅5〜15mmの円柱状かやや扁平で、互生的に2〜3回枝分かれする。枝は基部で強くくびれ、先端は尖る。細胞が粘液質を多く含むため肉質で、手触りも柔らかく弾力がある。ただし、古いものは軟骨質に近い。色は紅色かやや黄色みを帯びた紅色。本州中〜南部、四国、九州に分布し、潮下帯に生息している。熊本県天草など、地域によっては食用にされている。
本明細書中で「フクロノリ」又は「ミリン」とはフクロノリ又はミリンの体全体をいい、葉片、葉状部、中肋、茎状部、仮根を含む。
フクロノリ抽出物、ミリン抽出物のそれぞれに含有される抗糖化作用を有する物質の詳細は不明であるが、海藻の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、上記海藻からこの作用を有する抽出物を得ることができる。
例えば、上記海藻を乾燥した後、そのまま又は粉砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行っても良いし、通常使用される乾燥機を用いて行っても良い。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用しても良い。脱脂等の前処理を行うことにより、上記海藻の極性溶媒による抽出処理を効率良く行うことができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、海洋深層水などのほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調製することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合物を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後に濾過をして抽出残渣を除去することにより、抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
なお、上述のようにして得られた抽出液はそのままでも抗糖化用組成物の有効成分として使用することが可能であるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
また、上記海藻からの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲での脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、外用化粧料等に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも事実上支障はない。
「抗糖化用組成物」
以上のようにして得られる各海藻由来成分は、優れた抗糖化作用を有している。表1に示すように、本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物の抗糖化作用は、陽性対象品であるアミノグアニジンと比べて同程度又はそれ以上の作用を有し、また、既に抗糖化作用が報告されているアラメ、ワカメ、ヒジキと比較しても、本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物のそれは、同程度又はそれ以上の作用を有している。この作用を利用して抗糖化用組成物の有効成分として用いることができる。
このような抗糖化用組成物は、飲食品、医薬品、外用化粧料、石鹸、点鼻剤、坐剤等に配合され得る。
フクロノリ抽出物又はミリン抽出物を含む抗糖化用組成物は、飲食品及び外用化粧料の素材として用いられ得る。フクロノリ抽出物又はミリン抽出物を含む抗糖化用組成物は、飲食品組成物(例えば、経口用サプリメントのような健康食品)及び外用化粧料組成物に含有することができる。これらの飲食品組成物及び外用化粧料組成物は、特に、例えば、糖尿病合併症(血管症、腎症、網膜症など)、神経障害、アルツハイマー病、動脈硬化症、悪性腫瘍、骨疾患、神経変性疾患、皮膚の老化などの疾患や症状の予防又は治療のために用いられ得る。
飲食品組成物はブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、マルチトール、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料、保存料などをさらに適宜含有し得る。このような飲食品は、用途に応じて、粉末、顆粒、カプセル、錠、シロップ、懸濁液などの形態に成形され得、飴などにも加工され得る。飲食品組成物(例えば、経口用サプリメント)の製造は、当業者が通常用いる方法によって行われ得る。飲食品への抗糖化用組成物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。飲食品組成物は、飲食品組成物全量に対して抗糖化用組成物を、0.1〜100質量%、より好ましくは10〜80質量%(抽出物基準)で含有し得る。
抗糖化用組成物又は飲食品組成物は、そのまま摂取することができ、水などの溶媒に溶かす又は懸濁させるなどしても摂取することができ、食事の前後、又は食間に経口摂取することができる。抗糖化用組成物又は飲食品組成物を飲食品に添加して、飲食することもできる。
抗糖化用組成物又は飲食品組成物が添加された食品としては、例えば、在宅用糖尿病食、流動食、病者用食品(糖尿病食調製用組み合わせ食品など)、特定保健用食品、ダイエット食品、又は炭水化物を主成分とする飲食品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。具体的な食品形態としては、例えば、米飯製品、麦製品、野菜製品、乳製品、清涼飲料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。抗糖化用組成物又は飲食品組成物の飲食品への添加又は加工は、当業者が通常用いる方法によって行われ得、配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。人間以外の動物、例えば、家畜又はペット用(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル等)の飼料への添加も可能である。
本実施形態の抗糖化用組成物は、優れた抗糖化作用を有するとともに、皮膚に適用した場合の使用感と安全性に優れているため、例えば、外用化粧料として配合するのに好適である。本発明の抗糖化用組成物は軟膏剤、クリーム剤、ジェル、ローション、乳液、パック、湿布剤、浴用剤、点眼剤、点鼻剤などの形態にして、これを皮膚外用剤として利用することができる。
また、本発明の抗糖化用組成物は、皮膚用化粧品、シャンプー、リンス、コンディショナー等の毛髪用化粧品に配合することができ、その場合、外用化粧料に通常使用される基剤や添加物と共に使用することができる。更に、本発明の外用剤の有する機能をより増強したり、補填したりする目的で、様々な助剤を添加することも可能である。例えば、基材としては、グリセロール、エタノール、パラベン、ブチレングリコールなどが挙げられる。
上述の添加物としては、賦形剤(シリコン系ポリマー)、香料、色素、保存料(パラベン等)、増粘剤(シリコン系ポリマー、アクリル系ポリマー、カルボキシビニル系ポリマーなど)、キレート剤(EDTAなど)、甘味料(スクラロースなど)、清涼剤(メントールなど)、防腐防黴剤(フェノキシエタノールなど)等が挙げられる。
上述の助剤としては、例えば、他の薬効成分や他の油剤(リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、DHA、EPAなどの不飽和脂肪酸及びその誘導体や亜麻仁油、ヤシ油、ホホバ油、オリーブ油、スクワラン、スクワレン、馬油、コメヌカ油、ヒマシ油などの動植物より抽出された油及びその誘導体など)、保湿剤(コラーゲン又はその分解物、カロットエキスなどが含まれるコラーゲン類似ペプチド、大豆ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類、コンドロイチンなどのアミノ酸、トレハロースなどの糖類、海藻類、アルギン酸、グルコマンナン、ペクチンなどの水溶性食物繊維、リン脂質など)、界面活性剤(レシチンや脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体など)、紫外線吸収剤(酸化亜鉛や酸化チタンなど)、吸収促進剤等が挙げられる。
本発明の抗糖化用組成物を使用するにあたりその配合量は、他の成分との組み合わせや当該組成物の形態に応じて適宜定めることができる。通常、全配合量中、乾燥質量換算で好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上である。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(海藻エキスの調製)
クビレズタ(海ぶどう)、ヒトエグサ(アオサ)、スジアオノリ(アオノリ)、マクサ(テングサ)、マクリ、ツノマタ、トサカノリ、フクロフノリ、ウップルイノリ(黒地のり)、ミリン、フクロノリ、ヒジキ、タマハハキモク、ガゴメコンブ、アラメ、クロメ、ワカメの各原体は乾燥後ミキサーで粉砕し、メタノール(MeOH)で冷浸抽出 (24 hr×3回) を行った。得られた抽出エキスはロータリーエバポレーターにてMeOHを留去させたのち、減圧乾燥機にて乾燥させた。各海藻の抽出エキスは終濃度が10mg/mLとなるように、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)に溶解した。
(抗糖化作用試験)
pH 7.4に調整したリン酸緩衝液(phosphate buffered saline (PBS)) 95 μL、グルコース溶液(終濃度 200 mM)50 μL、ウシ血清アルブミン (BSA)溶液(終濃度 16 mM)50 μLおよびsample溶液(終濃度10mg/mL) 5 μLを加え200 μLとした反応液を、37℃で7日間インキュベーションを行い、生成したAGEsを抗AGEs抗体を用いたELISA1)法により検出した。また、blankはPBS 150 μLにBSA 50 μLを加え200 μLとしたもの、controlはPBS 100 μLにBSA 50 μL、グルコース 50 μLを加え200 μLとしたものをそれぞれ用い、同様に37℃で7日間インキュベーションし、ELISA法にてAGEsを検出した。インキュベーションにより生成したAGEsの量からサンプルの抗糖化作用率を評価した。2)
抗糖化作用率(%)
=(1-[(Sample test ― Sample blank)/(Control test ― Control blank)]×100
(式中、Sample test :試験溶液(test)の蛍光強度
Sample blank:試験溶液(blank)の蛍光強度
Control test:コントロール(test)の蛍光強度
Control blank:コントロール(blank)の蛍光強度)
1) 細胞工学別冊 医学実験マニュアルシリーズ 糖尿病研究ストラテジー, 東京, 118-120pp., 秀潤社, 1995.
2) Suzuki R., Okada Y., Okuyama T., Chem. Pharm. Bull., 51, 1186-1188 (2003).
結果を表1に示す。
Figure 2019182786
表1に示すように、本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物の抗糖化作用は、陽性対象品であるアミノグアニジンと比べて同程度又はそれ以上の作用を有している。また、既に抗糖化作用が報告されているアラメ、ワカメ、ヒジキと比較しても、本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物のそれは、同程度又はそれ以上の作用を有している。
(錠剤の製造)
実施例1で得たフクロノリ抽出物、ミリン抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤化粧料(1)(2)を製造した。
(1)フクロノリ抽出物配合錠剤型化粧料
(組成) (配合:重量%)
フクロノリ抽出物 24
乳糖 63
コーンスターチ 12
グアーガム 1
(2)ミリン抽出物配合錠剤型化粧料
(組成) (配合:重量%)
ミリン抽出物 20
マルトース 65
デキストリン 14
キサンタンガム 1
(ジュースの製造)
実施例1でフクロノリ抽出物、得たミリン抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースタイプの経口摂取型の化粧料を製造した。
(1) フクロノリ抽出物含有ジュースタイプ化粧料
(組成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁 5.0
果糖ブドウ糖液糖 11.0
クエン酸 0.2
L-アスコルビン酸 0.02
香料 0.2
色素 0.1
フクロノリ抽出物 50.0
水 33.48
(2)ミリン抽出物含有ジュース
(組成) (配合:重量%)
冷凍ぶどう果汁 67.0
果糖ブドウ糖液糖 9.0
砂糖 2.0
酸味料 10
香料 2.0
ミリン抽出物 10
(フェイスクリームの製造)
実施例1で得られたミリン抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のフェイスクリームを製造した。
(組成) (配合:重量%)
イソステアリン酸イソプロピル 8.0
ホホバ油 6.0
セタノール 8.0
ステアリルアルコール 2.0
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1.5
プロピレングリコール 6.0
ソルビトール 1.0
パラベン 0.4
ミリン抽出物 0.5
ビタミンE 0.5
香料 0.1
精製水 66.0
(ハンドクリームの製造)
実施例1で得られたフクロノリ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のハンドクリームを製造した。
(組成) (配合:重量%)
ステアリン酸アルコール 6.0
ステアリン酸 2.0
水添ラノリン 4.0
スクワラン 9.0
オクチルドデカノール 10.0
POE(25)セチルアルコールエーテル 3.0
モノステアリン酸グリセリン 2.0
フクロノリ抽出物 1.0
防腐剤 0.4
1,3-ブチレングリコール 6.0
PEG1500 4.0
香料 0.1
精製水 52.50
本発明のフクロノリ抽出物又はミリン抽出物を有効成分とする抗糖化用組成物は、強い抗糖化作用を有することから、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病合併症の予防又は治療、タンパク質の糖化反応に起因する動脈硬化症の予防又は治療、タンパク質の糖化反応に起因する皮膚の弾力低下やくすみ等の予防又は改善、及びタンパク質の糖化反応に起因する骨粗鬆症や変形性関節症等の疾患の予防又は治療に、大きく寄与し得る。

Claims (4)

  1. 褐藻類であるフクロノリ又は紅藻類であるミリンの乾燥物又は抽出物を含有することを特徴とする抗糖化用化粧料用組成物。
  2. 請求項1記載の化粧料用組成物を含有することを特徴とする、皮膚の老化防止用の外用化粧料。
  3. 剤型が、軟膏剤、クリーム剤、ジェル、ローション、乳液、パック、湿布剤、浴用剤、点眼剤、点鼻剤、シャンプー、リンス、コンディショナーのいずれかであることを特徴とする請求項2記載の皮膚の老化防止用の外用化粧料。
  4. 請求項1記載の化粧料用組成物を含有することを特徴とする、経口摂取化粧料。
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CN112940143A (zh) * 2021-02-01 2021-06-11 浙江工商大学 具有活性羰基化合物清除能力的石花菜提取物的制备方法及其应用

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