JP2004042300A - 金型の製造方法及び装置 - Google Patents

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Tetsushi Nakamura
中村 哲史
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【課題】熟練技術を要することなく、短時間で、安全に、精確な金型を製造する方法と装置を提供すること。
【解決手段】オス型とメス型とから成り、少なくとも型面が金属製である金型において、モデル体の表面に溶融金属をコートし、溶融金属のコートされたモデル体をメス型用の型枠内に設置し、裏打ち剤を充填してメス型用の裏打ちを行い、モデル体を含むメス型の表面に溶融金属をコートし、溶融金属がコートされたメス型の上部に、オス型用の型枠を設置し、裏打ち剤を充填してオス型用の裏打ちを行う。ジェットモールディングによって溶融金属をコートしてもよい。溶融金属をコートする前に、溶融金属がコートされる部位に離型剤を施してもよい。モデル体を、成形したい所望の形状を備えたマスターモデルと、メス型用の型枠内に設置されたときにそのマスターモデルの上部に付設される基台とで構成してもよい。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オス型とメス型とから成り、少なくとも型面が金属製である金型を製造する方法と、その方法を実施する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の金型の製造過程は、次のようなものであった。
1.マスターモデルにニス等を塗布して防水処理をする。2.マスターモデルを基台に取り付け、モデル体とする。3.モデル体に離型剤を塗布して表面処理をする。4.モデル体を型枠にセットする。5.型枠の中に模型用の石膏を流す。6.脱型して、メス型に表面処理をする。7.メス型の中にモデル体を入れ離型処理をする。8.メス型を型枠にセットする。9.型枠の中に模型用石膏を流す。10.脱型して、オス型に表面処理をする。11.メス型とオス型を型枠にセットする。12.型枠の中に鋳造用石膏を流す。13.メス型とオス型の鋳造用石膏を脱型する。14.メス型とオス型の鋳造石膏を約320℃の電気炉に入れ約10時間乾燥する。15.乾燥したメス型とオス型の鋳造石膏を約300℃に加熱した鉄枠にセットする。16.鉄枠の中ヘ溶融金属を流す。17.冷却後、鉄枠を外し脱型する。18.脱型後、フライス機等により金型加工する。
【0003】
このような従来の手法によると、工程が長く、金型の完成まで約3日間を要していた。
そして、各工程、特に12時間程要するフライス機による金型加工に、熟練技術を要していた。
また、鉄枠の中ヘ流す溶融金属は、一般に、アルミ合金や亜鉛合金など高融点の材料を使用していた。高温のため危険性を伴うほか、冷却後の収縮が2%程度あり、精確な製造が困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、熟練技術を要することなく、短時間で、安全に、精確な金型を製造する方法と、その方法を実施する装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の金型の製造方法は、次の構成を備える。
すなわち、オス型とメス型とから成り、少なくとも型面が金属製である金型を製造する方法であって、モデル体の表面に溶融金属をコートする工程と、溶融金属のコートされたモデル体をメス型用の型枠内に設置し、裏打ち剤を充填してメス型用の裏打ちを行う工程と、モデル体を含むメス型の表面に、溶融金属をコートする工程と、溶融金属がコートされたメス型の上部に、オス型用の型枠を設置し、裏打ち剤を充填してオス型用の裏打ちを行う工程とを有することを特徴とする。
【0006】
ここで、溶融金属をコートする工程に、ジェットモールディングによる方法を用いて、作業の簡易化と省時間、安全性、並びに、収縮防止に寄与させてもよい。
【0007】
また、モデル体の表面に溶融金属をコートする前と、メス型用裏打ちの表面に溶融金属をコートする前の時点で、少なくとも溶融金属がコートされる部位に、離型剤を施して、円滑な離型に寄与させてもよい。
【0008】
モデル体を、成形したい所望の形状を備えたマスターモデルと、メス型用の型枠内に設置されたときにそのマスターモデルの上部に付設される基台とで構成して、製造された金型の利便に寄与させてもよい。
【0009】
このような金型の製造方法を実施する装置は、オス型とメス型とから成り少なくとも型面が金属製である金型を製造する装置であって、モデル体の表面に溶融金属を供給してコートする溶融金属供給手段と、溶融金属のコートされたモデル体を設置するメス型用の型枠と、モデル体の設置されたメス型用の型枠内に、裏打ち剤を供給して充填しメス型用の裏打ちを行う裏打ち剤供給手段と、モデル体を含むメス型の表面に、溶融金属を供給してコートする溶融金属供給手段と、溶融金属がコートされたメス型の上部に設置するオス型用の型枠と、メス型用裏打ちの上部に設置されたオス型用の型枠内に、裏打ち剤を供給して充填しオス型用の裏打ちを行う裏打ち剤供給手段とを有することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面の例に基づいて説明する。
ここでは、靴のヒールを成形するための金型を例示して説明するが、本発明は、オス型とメス型とから成り少なくとも型面が金属製である任意の金型に適用可能であり、その実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜設計変更可能である。
【0011】
図1は、基台にマスターモデルを設置する様子を示す説明図である。
所望の靴ヒールのマスターモデル(10)が、基台(20)に取り付けられて、モデル体(30)が形成される。基台(20)は、後の工程で取り外されるので、このマスターモデル(10)との接合は、非固定的な仮取付である。
マスターモデル(10)と基台(20)は、合成樹脂や、金属、木、革、紙、繊維などによって形成されている。そして、マスターモデル(10)の表面のうち、基台(20)の接合面(21)に面する端面(11)以外の面(12)には、皮の模様など、所望の文様が凹凸によって形つくられている。
【0012】
図2は、モデル体に離型剤をコートした状態を示す説明図である。
モデル体(30)の表面のうち、基台(20)の外面(22)以外の面に、離型剤(40)が塗布される。
離型剤(40)は、水性や、油性、シリコン系などのものが利用でき、刷毛塗りやスプレー等によって塗布される。
【0013】
図3は、モデル体に金属をコートした状態を示す説明図である。
離型処理の施されたモデル体(30)は、ターンテーブルに載せられ回転させられながら、ジェットモールディングによって溶融金属(50)を均一にコートされる。
使用する金属(50)は、アルミや、亜鉛、錫、それらを主成分とする合金などが適宜利用できる。
ジェットモールディングによると、操作が簡易なため、熟練技術は必要なく短時間で作業を済ませられる。また、低融点の金属を使用できるので、固形時の収縮が皆無で、精度のよい金型を成形できる。比較的低温のため、安全性も確保できる。
【0014】
図4は、モデル体にメス型用の裏打ちをした状態を示す説明図である。
溶融金属(50)のコートされたモデル体(30)は、基台(20)の外面(22)を下にして、略筒状のメス型用の型枠(60)に設置される。
そして、メス型用型枠(60)内に裏打ち剤(70)を充填されて、モデル体(30)が埋設される。
裏打ち剤(70)には、樹脂や、溶融金属、石膏などが適宜利用できる。
【0015】
図5は、モデル体から基台を外す状態を示す説明図である。
裏打ち剤(70)が固化した後、メス型用型枠(60)が上下反転され、基台(20)がマスターモデル(10)から取り外される。離型剤(40)が施されいるので、基台(20)は金属(50)から円滑に離脱される。
なお、これから更にマスターモデル(10)を取り外したものがメス型(1)に相当する。
【0016】
図6は、メス型に離型剤をコートした状態を示す説明図である。
基台(20)がマスターモデル(10)に接していた部位、すなわち、マスターモデル(10)の端面(11)に、離型剤(41)が塗布される。
【0017】
なお、この段階で、マスターモデル(10)をもメス型用型枠(60)から取り除いてもよい。その場合は、マスターモデル(10)の形状通りに、砂や石膏などの充填物を充当し、その充填物の表面に離型剤(41)を塗布する。
【0018】
図7は、メス型に金属をコートした状態を示す説明図である。
マスターモデル(10)またはその代替物が含まれたメス型(1)の一部表面、すなわち、メス型(1)の離型剤(41)の塗布された一部表面に、ジェットモールディングによって溶融金属(51)がコートされる。
【0019】
図8は、メス型にオス型用の裏打ちをした状態を示す説明図である。
メス型用型枠(60)の上部に、オス型用の型枠(61)が連設される。
そして、オス型用型枠(61)内に裏打ち剤(71)を充填されて、モデル体(30)にコートされた溶融金属(51)が埋設される。
【0020】
図9及び10は、メス型及びオス型の模式図である。
裏打ち剤(71)が固化した後、メス型用型枠(60)とオス型用型枠(61)とが解離され、メス型用型枠(60)からはマスターモデル(10)またはその代替物が取り除かれる。その後、フライス機等によって金属表面を適宜加工され、メス型(1)及びオス型(2)が得られる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の金型の製造方法及び装置は、以上の構成を備えることによって次の効果を奏する。
すなわち、請求項1に記載の金型の製造方法または請求項5に記載の製造装置によると、モデル体の表面に溶融金属をコートし、それをメス型用の型枠内に設置して裏打ちしてメス型を形成し、引き続き、モデル体を含むメス型の表面に溶融金属をコートし、その上部にオス型用の型枠を設置して裏打ちを行うので、熟練技術を要することなく、短時間で、安全に、精確な金型を製造することができる。
【0022】
請求項2に記載の金型の製造方法によると、ジェットモールディングによって溶融金属をコートするので、簡易に短時間で安全性高く作業できると共に、成型後の収縮が防止されて精確な金型が得られる。
【0023】
請求項3に記載の金型の製造方法によると、溶融金属がコートされる部位に離型剤を施すので、離型時に円滑な操作を行える。
【0024】
請求項4に記載の金型の製造方法によると、モデル体を、マスターモデルと基台とで構成するので、利用しやすい形状のオス型を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】基台にマスターモデルを設置する様子を示す説明図
【図2】モデル体に離型剤をコートした状態を示す説明図
【図3】モデル体に金属をコートした状態を示す説明図
【図4】モデル体にメス型用の裏打ちをした状態を示す説明図
【図5】モデル体から基台を外す状態を示す説明図
【図6】メス型に離型剤をコートした状態を示す説明図
【図7】メス型に金属をコートした状態を示す説明図
【図8】メス型にオス型用の裏打ちをした状態を示す説明図
【図9】メス型の模式図
【図10】オス型の模式図
【符号の説明】
1  メス型
2  オス型
10  マスターモデル
11  マスターモデルの端面
12  端面以外の表面
20  基台
21  基台の接合面
22  基台の外面
30  モデル体
40、41  離型剤
50、51  金属
60  メス型用の型枠
61  オス型用の型枠
70、71  裏打ち剤

Claims (5)

  1. オス型とメス型とから成り、少なくとも型面が金属製である金型を製造する方法であって、
    モデル体の表面に溶融金属をコートする工程と、
    溶融金属のコートされたモデル体をメス型用の型枠内に設置し、裏打ち剤を充填してメス型用の裏打ちを行う工程と、
    モデル体を含むメス型の表面に、溶融金属をコートする工程と、
    溶融金属がコートされたメス型の上部に、オス型用の型枠を設置し、裏打ち剤を充填してオス型用の裏打ちを行う工程と
    を有することを特徴とする金型の製造方法。
  2. 溶融金属をコートする工程が、ジェットモールディングによる
    請求項1に記載の金型の製造方法。
  3. モデル体の表面に溶融金属をコートする前と、メス型用裏打ちの表面に溶融金属をコートする前の時点で、
    少なくとも溶融金属がコートされる部位に、離型剤を施す
    請求項1または2に記載の金型の製造方法。
  4. モデル体が、
    成形したい所望の形状を備えたマスターモデルと、
    メス型用の型枠内に設置されたときにそのマスターモデルの上部に付設される基台とから成る
    請求項1ないし3に記載の金型の製造方法。
  5. オス型とメス型とから成り少なくとも型面が金属製である金型を製造する装置であって、
    モデル体の表面に溶融金属を供給してコートする溶融金属供給手段と、
    溶融金属のコートされたモデル体を設置するメス型用の型枠と、
    モデル体の設置されたメス型用の型枠内に、裏打ち剤を供給して充填しメス型用の裏打ちを行う裏打ち剤供給手段と、
    モデル体を含むメス型の表面に、溶融金属を供給してコートする溶融金属供給手段と、
    溶融金属がコートされたメス型の上部に設置するオス型用の型枠と、
    メス型用裏打ちの上部に設置されたオス型用の型枠内に、裏打ち剤を供給して充填しオス型用の裏打ちを行う裏打ち剤供給手段と
    を有することを特徴とする金型の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN111300693A (zh) * 2020-04-09 2020-06-19 江苏九铸合金新材料有限公司 合金模具制造工艺及其制得的模具
WO2021002455A1 (ja) * 2019-07-03 2021-01-07 修三 坂手 立体造形物、平面画像の立体化法、立体プレートの製造方法、及びメス型の製造方法

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