JP2004041675A - X線ct画像再構成計算方法およびx線ct装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】−45゜≦view<45゜の第1のビュー角度群と、45゜≦view<135゜の第2のビュー角度群と、135゜≦view<225゜の第3のビュー角度群と、225゜≦view<315゜の第4のビュー角度群とに対するBP係数の乗算処理をSIMD命令を用いて実質的に同時に行う。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線CT(Computed Tomography)画像再構成計算方法およびX線CT装置に関し、更に詳しくは、処理の簡単化および高速化を行うことが出来るX線CT画像再構成計算方法およびX線CT装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、X線CT装置は、データ収集、前処理、フィルタ処理、逆投影処理および後処理の過程を経て画像を再構成するフィルタ補正逆投影(filtered back projection)法のものが主流になっている。
フィルタ処理および逆投影処理では、画像再構成に用いるビュー毎のデータにフィルタ処理を施すと共にBP係数を乗算して再構成領域上の各画素の逆投影画素データを求め、画像再構成に用いる全ビューの逆投影画素データを画素対応に加算して逆投影データを求めている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開昭60−194939号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のX線CT装置では、処理が煩雑であり、処理時間もかかる問題点がある。
そこで、本発明の目的は、処理の簡単化および高速化を行うことが出来るX線CT画像再構成計算方法およびX線CT装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の観点では、本発明は、BP係数が同一になる複数のビュー角度に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
各ビュー角度におけるX線管と再構成領域上の画素とX線検出器の相互の幾何学的位置関係すなわちジオメトリを考えると、ビュー角度差が90゜ずつのビュー角度では、ジオメトリが同一になる。従って、ビュー角度差が90゜ずつのビュー角度のデータに対しては、同一のBP(Back Projection)係数の乗算処理となる。
そこで、上記第1の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、BP係数が同一になる複数のビュー角度の各データに対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うこととした。これにより、処理の簡単化および高速化を行うことが出来る。
【0006】
第2の観点では、本発明は、360゜分のビュー角度範囲を4等分して90゜分ずつのビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分けるか、又は、オーバーラップを許容して90゜分より大きいビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分け、第1〜第4のビュー角度群に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
各ビュー角度におけるX線管と再構成領域上の画素とX線検出器の相互の幾何学的位置関係すなわちジオメトリを考えると、ビュー角度差が90゜ずつのビュー角度では、ジオメトリが同一になる。従って、ビュー角度差が90゜ずつのビュー角度のデータに対しては、同一のBP係数の乗算処理となる。
そこで、上記第1の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、90゜ずつのビュー角度差を持つ4つのビュー角度の各データに対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うこととした。これにより、処理の簡単化および高速化が可能になる。
【0007】
第3の観点では、本発明は、上記構成のX線CT画像再構成計算方法において、X線管またはX線検出器の回転面をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、−45゜≦view<45゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第1のビュー角度群とし、45゜≦view<135゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第2のビュー角度群とし、135゜≦view<225゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第3のビュー角度群とし、225゜≦view<315゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第4のビュー角度群とすることを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
上記第3の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、−45゜≦view<45゜、45゜≦view<135゜、135゜≦view<225゜および225゜≦view<315゜のビュー角度範囲を基本として4つのビュー角度群に分けるが、このようにすると、x方向の直線またはy方向の直線に対するジオメトリが各ビュー角度群で同一になる。このため、検出器上のデータをx方向の直線またはy方向の直線上のデータに一旦投影し、その直線上のデータを再構成領域上の画素に投影して逆投影画素データを求める逆投影方法(特願2002−45494号)を実施可能となり、さらなる処理の簡単化および高速化が可能になる。
【0008】
第4の観点では、本発明は、上記構成のX線CT画像再構成計算方法において、第1のビュー角度群で用いるBP係数をテーブル化しておき、第2〜第4のビュー角度群でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
BP係数は、逆投影画素データを求めようとする時に算出してもよいが、その算出時間がオーバーヘッドになる。
上記第4の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、BP係数を予め算出してテーブルに設定しておくことで、上記オーバーヘッドをなくすことが出来る。すなわち、テーブル化により、処理を高速化できる。
【0009】
第5の観点では、本発明は、画像再構成領域をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、view=−45゜,45゜,135゜,225゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うと共にview=0゜,90゜,180゜,270゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行い、さらに−45゜<view<0゜,0゜<view<45゜,45゜<view<90゜,90゜<view<135゜,135゜<view<180゜,180゜<view<225゜,225゜<view<270゜,270゜<view<315゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
各ビュー角度におけるX線管と再構成領域上の画素とX線検出器の相互の幾何学的位置関係すなわちジオメトリを考えると、view=−45゜,45゜,135゜,225゜ではジオメトリが同一になる。また、view=0゜,90゜,180゜,270゜でもジオメトリが同一になる。従って、これらのビュー角度で同一のBP係数の乗算処理となる。さらに、−45゜<view<0゜と0゜<view<45゜ではジオメトリが対称になる。また、45゜<view<90゜と90゜<view<135゜、135゜<view<180゜と180゜<view<225゜、225゜<view<270゜,270゜<view<315゜でもジオメトリが対称になる。また、−45゜<view<0゜と45゜<view<90゜と135゜<view<180゜と225゜<view<270゜ではジオメトリが同一になる。従って、これらのビュー角度で同一のBP係数の乗算処理となる。
そこで、上記第5の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、上記ビュー角度の各データに対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うこととした。これにより、処理の簡単化および高速化が可能になる。
【0010】
第6の観点では、本発明は、上記構成のX線CT画像再構成計算方法において、−45゜≦view≦0゜で用いるBP係数をテーブル化しておき、0゜<view<315゜でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
BP係数は、逆投影画素データを求めようとする時に算出してもよいが、その算出時間がオーバーヘッドになる。
上記第6の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、BP係数を予め算出してテーブルに設定しておくことで、上記オーバーヘッドをなくすことが出来る。すなわち、テーブル化により、処理を高速化できる。
【0011】
第7の観点では、本発明は、上記構成のX線CT画像再構成計算方法において、前記BP係数の乗算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
上記第7の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、SIMD(Single Instruction Multiple Data)命令を用いることにより、複数のデータに対する乗算処理を1命令で実行できる。
【0012】
第8の観点では、本発明は、上記構成のX線CT画像再構成計算方法において、BP係数の乗算処理を実質的に同時に行った複数のビュー角度のデータを逆投影画素データにそれぞれ加算する加算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
上記第8の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、複数のデータに対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行った後、得られた各データの逆投影画素データに対する加算処理をも実質的に同時に行うこととした。これにより、さらに処理の簡単化および高速化が可能となる。
【0013】
第9の観点では、本発明は、上記構成のX線CT画像再構成計算方法において、前記加算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法を提供する。
上記第9の観点によるX線CT画像再構成計算方法では、SIMD命令を用いることにより、複数のデータに対する加算処理を1命令で実行できる。
【0014】
第10の観点では、本発明は、X線管と、X線検出器と、X線管またはX線検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながらデータを収集するスキャン手段と、データにフィルタ処理を施すと共にBP係数を乗算して再構成領域上の各画素の逆投影画素データを求める逆投影画素データ取得手段と、画像再構成に用いる全ビューの逆投影画素データを画素対応に加算して逆投影データを求める逆投影データ算出手段とを有するX線CT装置であって、前記逆投影画素データ取得手段は、BP係数が同一になる複数のビュー角度に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第10の観点によるX線CT装置では、上記第1の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0015】
第11の観点では、本発明は、X線管と、X線検出器と、X線管またはX線検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながらデータを収集するスキャン手段と、データにフィルタ処理を施すと共にBP係数を乗算して再構成領域上の各画素の逆投影画素データを求める逆投影画素データ取得手段と、画像再構成に用いる全ビューの逆投影画素データを画素対応に加算して逆投影データを求める逆投影データ算出手段とを有するX線CT装置であって、360゜分のビュー角度範囲を4等分して90゜分ずつのビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分けるか、又は、オーバーラップを許容して90゜分より大きいビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分けたときに、前記逆投影画素データ取得手段は、第1〜第4のビュー角度群に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第11の観点によるX線CT装置では、上記第2の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0016】
第12の観点では、本発明は、上記構成のX線CT装置において、X線管またはX線検出器の回転面をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、−45゜≦view<45゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第1のビュー角度群とし、45゜≦view<135゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第2のビュー角度群とし、135゜≦view<225゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第3のビュー角度群とし、225゜≦view<315゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第4のビュー角度群とすることを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第12の観点によるX線CT装置では、上記第3の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0017】
第13の観点では、本発明は、上記構成のX線CT装置において、第1のビュー角度群で用いるBP係数を保持するBP係数テーブルを具備し、前記逆投影画素データ取得手段は、第2〜第4のビュー角度群でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第13の観点によるX線CT装置では、上記第4の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0018】
第14の観点では、本発明は、X線管と、X線検出器と、X線管またはX線検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながらデータを収集するスキャン手段と、データにフィルタ処理を施すと共にBP係数を乗算して再構成領域上の各画素の逆投影画素データを求める逆投影画素データ取得手段と、画像再構成に用いる全ビューの逆投影画素データを画素対応に加算して逆投影データを求める逆投影データ算出手段とを有するX線CT装置であって、前記逆投影画素データ取得手段は、画像再構成領域をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、view=−45゜,45゜,135゜,225゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うと共にview=0゜,90゜,180゜,270゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行い、さらに−45゜<view<0゜,0゜<view<45゜,45゜<view<90゜,90゜<view<135゜,135゜<view<180゜,180゜<view<225゜,225゜<view<270゜,270゜<view<315゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第14の観点によるX線CT装置では、上記第5の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0019】
第15の観点では、本発明は、上記構成のX線CT装置において、−45゜≦view≦0゜で用いるBP係数を保持するBP係数テーブルを具備し、前記逆投影画素データ取得手段は、0゜<view<315゜でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第15の観点によるX線CT装置では、上記第6の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0020】
第16の観点では、本発明は、上記構成のX線CT装置において、前記逆投影画素データ取得手段は、前記乗算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第16の観点によるX線CT装置では、上記第7の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0021】
第17の観点では、本発明は、上記構成のX線CT装置において、前記逆投影データ算出手段は、BP係数の乗算処理を実質的に同時に行った複数のビュー角度のデータを逆投影画素データにそれぞれ加算する加算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第17の観点によるX線CT装置では、上記第8の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0022】
第18の観点では、本発明は、上記構成のX線CT装置において、前記逆投影データ算出手段は、前記加算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第18の観点によるX線CT装置では、上記第9の観点によるX線CT画像再構成計算方法を好適に実施しうる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0024】
−第1の実施形態−
第1の実施形態では、ジオメトリが同一のビュー角度でのBP係数の乗算処理および投影データへの加算処理を実質的に同時に行う。
【0025】
図1は、第1の実施形態にかかるX線CT装置の構成ブロック図である。
このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。
【0026】
操作コンソール1は、操作者の入力を受け付ける入力装置2と、本発明に係るX線CT画像再構成計算処理などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で取得した投影データを収集するデータ収集バッファ5と、投影データから再構成したCT画像を表示するCRT6と、プログラムやデータやX線CT画像を記憶する記憶装置7とを具備している。
【0027】
撮影テーブル10は、被検体を乗せて走査ガントリ20のボア(空洞部)に入れ出しするクレードル12を具備している。クレードル12は、撮影テーブル10に内蔵するモータで駆動される。
【0028】
走査ガントリ20は、X線管21と、X線コントローラ22と、コリメータ23と、X線検出器24と、DAS(Data Acquisition System)25と、被検体の体軸の回りにX線管21などを回転させる回転コントローラ26と、制御信号などを操作コンソール1や撮影テーブル10とやり取りする制御インタフェース29とを具備している。
【0029】
図2は、記憶装置7に記憶しているBP係数ルックアップテーブル31を示す概念図である。
このBP係数ルックアップテーブル31には、−45゜≦V≦45゜−Δvのビュー角度範囲(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度範囲)内の各ビュー角度V毎に、再構成領域上の画素の位置に関係しないBP係数R1と、再構成領域上の画素の位置(X,Y)に依存するBP係数R2とが予め算出されて設定されている。
Δvは、ビュー角度のステップ角度(隣接するビュー間のビュー角度差)であり、例えば360゜で1000ビューであれば0.36゜である。
R1は、例えばR1=cos(V)である。
R2(X,Y)は、X線焦点から再構成領域上の座標(X,Y)の画素までの距離をr1とし、X線焦点からX線検出器24までの距離をr0とするとき、例えばR2(X,Y)=(r1/r0)2である。
【0030】
図3は、X線CT装置100の動作の流れを示す概略フロー図である。
ステップS1では、走査ガントリ20でX線管21とX線検出器24とを撮影対象の周りに回転させながらビュー角度Vとチャネル番号chとで表わされる投影データD(V,ch)を収集する。
【0031】
ステップS2では、投影データD(V,ch)に対して、前処理(オフセット補正,対数変換,X線線量補正,感度補正)を行う。
ステップS3では、前処理した投影データD(V,ch)に対して、フィルタ処理を行う。すなわち、フーリエ変換し、フィルタ(再構成関数)を掛け、逆フーリエ変換する。
ステップS4では、フィルタ処理した投影データD(V,ch)に対して、逆投影処理を行い、逆投影データD3(x,y)を求める。この逆投影処理については、図4を参照して後述する。
ステップS5では、逆投影データD3(x,y)に対して後処理を行い、CT画像を得る。
【0032】
図4は、逆投影処理(S4)の詳細フロー図である。なお、このフロー図は、PAD(Problem Analysis Diagram)で表現している。
ステップS11では、ビュー角度V=−45゜,−45゜+Δv,−45゜+2Δv,…,45゜−2Δv,45゜−Δv の各々についてステップS15,S16を繰り返す。
ステップS15では、BP係数ルックアップテーブル31からBP係数R1を読み込む。
ステップS16では、再構成領域上の画素のy座標Y=0,1,2,…,Eの各々についてステップS18を繰り返す。
【0033】
ステップS18では、再構成領域上の画素のx座標X=0,1,2,…,Eの各々についてステップS19〜S22を繰り返す。
ステップS19では、BP係数ルックアップテーブル31からBP係数R2(X,Y)を読み込む。
【0034】
ステップS20では、ビュー角度Vにおける座標(X,Y)の画素に対応するデータD(V,X,Y)を求める。すなわち、図5に示すように、座標(X,Y)の画素に対応するX線検出器24上の位置に最も近い2つの投影データD(V,ch),D(V,ch+1)の補間によって、データD(V,X,Y)を求める。同様にして、図6に示すように、ビュー角度V+90゜における座標(Y,E−X)の画素に対応するデータD(V+90゜,Y,E−X)を求める。同様にして、図7に示すように、ビュー角度V+180゜における座標(E−X,E−Y)の画素に対応するデータD(V+180゜,E−X,E−Y)を求める。さらに、同様にして、図8に示すように、ビュー角度V+270゜における座標(E−Y,X)の画素に対応するデータD(V+270゜,E−Y,X)を求める。
【0035】
図9に示すように、求めたデータD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は、メモリーの連続したアドレスに記憶する。これは、SIMD命令を用いてステップS21の乗算処理を実行可能にするためである。
【0036】
さて、図5〜図8に示すように、X線管21およびX線検出器24の回転面をxy面とし、ビュー角度V=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とする。このとき、図5に示すように、−45゜≦V<45゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第1のビュー角度群とする。また、図6に示すように、45゜≦V<135゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第2のビュー角度群とする。また、図7に示すように、135゜≦V<225゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第3のビュー角度群とする。また、図8に示すように、225゜≦V<315゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第4のビュー角度群とする。
【0037】
図5〜図8から判るように、図5に示すビュー角度VにおけるX線管21と再構成領域上の座標(X,Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図6に示すビュー角度V+90゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(Y,E−X)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図7に示すビュー角度V+180゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(E−X,E−Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図8に示すビュー角度V+270゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(E−Y,X)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(X,Y)を共通に使用できることが判る。
【0038】
図4に戻り、ステップS21では、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) にBP係数R1,R2(X,Y)を乗算する。ここで、図9に示すように、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は連続したアドレスに格納されているから、SIMD命令を用いて1命令で乗算処理を実行できる。
図10に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)は、連続したアドレスに格納される。
【0039】
図4に戻り、ステップS22では、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を、それぞれ逆投影データD3(X,Y),D3(Y,E−X),D3(E−X,E−Y),D3(E−Y,X)に加算する。ここで、図10に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を連続したアドレスに格納し、また、図11に示すように、逆投影データD3(V,X,Y),D3(V+90゜,Y,E−X),D3(V+180゜,E−X,E−Y),D3(V+270゜,E−Y,X) を連続したアドレスに格納しておけば、SIMD命令を用いて加算処理を1命令で実行できる。そして、加算処理後、さらに画素(X,Y)の全ビューviewについての逆投影データD3(view,X,Y)を加算すれば、図12に示す投影データD3(X,Y)を求めることが出来る。
【0040】
第1の実施形態にかかるX線CT装置100によれば、4つのデータに関する乗算処理および加算処理を実質的に同時に実行するので、処理の簡単化および高速化が可能となる。
【0041】
−第2の実施形態−
第2の実施形態では、X線検出器24上のデータD(V,ch)をx方向の直線またはy方向の直線上のデータに一旦投影し、その直線上のデータを再構成領域上の画素に投影して逆投影画素データを求める逆投影方法(特願2002−45494号)に対して、ジオメトリが同一のビュー角度でのBP係数の乗算処理および投影データへの加算処理を実質的に同時に行う。
【0042】
図13は、第2の実施形態にかかるX線CT装置の記憶装置7に記憶しているBP係数ルックアップテーブル32,33を示す概念図である。
BP係数ルックアップテーブル32には、−45゜≦V≦45゜−Δvのビュー角度範囲(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度範囲)内の各ビュー角度V毎に、X線検出器24上のデータD(V,ch)をx方向の直線上に投影するためのBP係数R2(ch)が予め算出されて設定されている。
R2(ch)は、例えば、図15に示すように、回転中心ICを通り且つx方向に平行な直線La上にX線検出器24上のデータD(V,ch)をX線透過方向に投影した位置までのX線管21からの距離をr3とし、X線管21からX線検出器24までの距離をr0とするとき、例えばR2=(r3/r0)2である。
【0043】
BP係数ルックアップテーブル33には、−45゜≦V≦45゜−Δvのビュー角度範囲(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度範囲)内の各ビュー角度V毎に、再構成領域上の画素の位置に関係しないBP係数R1と、再構成領域上の画素のy座標Yに依存するBP係数R2(Y)とが予め算出されて設定されている。
R2(Y)は、例えば、図19に示すように、X線焦点から再構成領域上の座標(X,Y)の画素までの距離をr1とするとき、R2(Y)=(r1/r3)2=(h1/h3)2である。つまり、y=Y上のすべて画素のBP係数R2(Y)は、R2(Y)=(h1/h3)2で同一になる。
【0044】
図14は、第2の実施形態にかかるX線CT装置の逆投影処理を示すフロー図である。なお、このフロー図は、PADで表現している。
ステップS11では、ビュー角度V=−45゜,−45゜+Δv,−45゜+2Δv,…,45゜−2Δv,45゜−Δv の各々についてステップS12,S15,S16を繰り返す。
【0045】
ステップS12では、X線検出器24の各チャネルch=0,1,…,Iの各々についてステップS13,S14を繰り返す。
ステップS13では、BP係数ルックアップテーブル32からBP係数R2(ch)を読み込む。
ステップS14では、データD(V,ch),D(V+90゜,ch),D(V+180゜,ch),D(V+270゜,ch) をメモリーの連続したアドレスに記憶し、BP係数R2(ch)の乗算処理をSIMD命令を用いて実行する。
【0046】
さて、図15〜図18に示すように、X線管21およびX線検出器24の回転面をxy面とし、ビュー角度V=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とする。このとき、図15に示すように、−45゜≦V<45゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第1のビュー角度群とする。また、図16に示すように、45゜≦V<135゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第2のビュー角度群とする。また、図17に示すように、135゜≦V<225゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第3のビュー角度群とする。また、図18に示すように、225゜≦V<315゜のビュー角度群(もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群)を第4のビュー角度群とする。
【0047】
図15〜図18から判るように、図15に示すビュー角度VにおけるX線管21と回転中心ICを通り且つx方向に平行な直線LaとX線検出器24の相互のジオメトリと、図16に示すビュー角度V+90゜におけるX線管21と回転中心ICを通り且つy方向に平行な直線LbとX線検出器24の相互のジオメトリと、図17に示すビュー角度V+180゜におけるX線管21と回転中心ICを通り且つx方向に平行な直線LcとX線検出器24の相互のジオメトリと、図18に示すビュー角度V+270゜におけるX線管21と回転中心ICを通り且つy方向に平行な直線LdとX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(ch)を共通に使用できることが判る。
【0048】
乗算結果のデータR2(ch)・D(V,ch),R2(ch)・D(V+90゜,ch),R2(ch)・D(V+180゜,ch),R2(ch)・D(V+270゜,ch) は、データD(V,ch),D(V+90゜,ch),D(V+180゜,ch),D(V+270゜,ch) をそれぞれX線透過方向に直線La,Lb,Lc,Ld上に投影したデータになっている。
【0049】
図14に戻り、ステップS15では、BP係数ルックアップテーブル33からBP係数R1を読み込む。
ステップS16では、再構成領域上の画素のy座標Y=0,1,2,…,Eの各々についてステップS17,S18を繰り返す。
【0050】
ステップS17では、BP係数ルックアップテーブル33からBP係数R2(Y)を読み込む。
ステップS18では、再構成領域上の画素のx座標X=0,1,2,…,Eの各々についてステップS20’,S21’,S22を繰り返す。
【0051】
ステップS20’では、ビュー角度Vにおける座標(X,Y)の画素に対応するデータD(V,X,Y)を求める。すなわち、図20に示すように、座標(X,Y)の画素に対応する直線La上の位置に最も近い2つのデータR2(ch)・D(V,ch),R2(ch)・D(V,ch+1)の補間によって、データD(V,X,Y)を求める。同様にして、ビュー角度V+90゜における座標(Y,E−X)の画素に対応するデータD(V+90゜,Y,E−X)、ビュー角度V+180゜における座標(E−X,E−Y)の画素に対応するデータD(V+180゜,E−X,E−Y)、および、ビュー角度V+270゜における座標(E−Y,X)の画素に対応するデータD(V+270゜,E−Y,X)を求める。
【0052】
図9に示すように、求めたデータD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は、メモリーの連続したアドレスに記憶する。これは、SIMD命令を用いてステップS21’の乗算処理を実行可能にするためである。
【0053】
図14に戻り、ステップS21’では、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) にBP係数R1,R2(Y)を乗算する。ここで、図9に示すように、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は連続したアドレスに格納されているから、SIMD命令を用いて1命令で乗算処理を実行できる。
図10に示すように、乗算結果R1・R2(Y)・D(V,X,Y),R1・R2(Y)・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2(Y)・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2(Y)・D(V+270゜,E−Y,X)は、連続したアドレスに格納される。
【0054】
図14に戻り、ステップS22では、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を、それぞれ逆投影データD3(X,Y),D3(Y,E−X),D3(E−X,E−Y),D3(E−Y,X)に加算する。ここで、図10に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を連続したアドレスに格納し、また、図11に示すように、逆投影データD3(V,X,Y),D3(V+90゜,Y,E−X),D3(V+180゜,E−X,E−Y),D3(V+270゜,E−Y,X) を連続したアドレスに格納しておけば、SIMD命令を用いて加算処理を1命令で実行できる。そして、加算処理後、さらに画素(X,Y)の全ビューviewについての逆投影データD3(view,X,Y)を加算すれば、図12に示す投影データD3(X,Y)を求めることが出来る。
【0055】
第2の実施形態にかかるX線CT装置によれば、4つのデータに関する乗算処理および加算処理を実質的に同時に実行するので、処理の簡単化および高速化が可能となる。
【0056】
−第3の実施形態−
第3の実施形態では、ジオメトリが同一および対称なビュー角度でのBP係数の乗算処理および投影データへの加算処理を実質的に同時に行う。
【0057】
図21は、第3の実施形態にかかるX線CT装置の記憶装置7に記憶しているBP係数ルックアップテーブル31’を示す概念図である。
このBP係数ルックアップテーブル31’には、−45゜≦V≦0゜のビュー角度範囲内のΔv刻みの各ビュー角度V毎に、再構成領域上の画素の位置に関係しないBP係数R1と、再構成領域上の画素の位置(X,Y)に依存するBP係数R2とが予め算出されて設定されている。
【0058】
図22,図23は、第3の実施形態に係るX線CT装置の逆投影処理を示すフロー図である。なお、このフロー図は、PADで表現している。
ステップS11では、ビュー角度V=−45゜と0゜についてステップS15,S16を繰り返す。
ステップS15では、BP係数ルックアップテーブル31’からBP係数R1を読み込む。
ステップS16では、再構成領域上の画素のy座標Y=0,1,2,…,Eの各々についてステップS18を繰り返す。
【0059】
ステップS18では、再構成領域上の画素のx座標X=0,1,2,…,Eの各々についてステップS19〜S22を繰り返す。
ステップS19では、BP係数ルックアップテーブル31’からBP係数R2(X,Y)を読み込む。
【0060】
ステップS20では、ビュー角度Vにおける座標(X,Y)の画素に対応するデータD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X)を求める。
図9に示すように、求めたデータD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は、メモリーの連続したアドレスに記憶する。これは、SIMD命令を用いてステップS21の乗算処理を実行可能にするためである。
【0061】
ステップS21では、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) にBP係数R1,R2(X,Y)を乗算する。ここで、図9に示すように、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は連続したアドレスに格納されているから、SIMD命令を用いて1命令で乗算処理を実行できる。
図10に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)は、連続したアドレスに格納される。
ここで、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) に対して同じBP係数R1,R2(X,Y)を使うことが出来るのは、ビュー角度V=−45゜,45゜,135゜,225゜では、ジオメトリが同一になるからである。また、ビュー角度V=0゜,90゜,180゜,270゜では、ジオメトリが同一になるからである。
【0062】
ステップS22では、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を、それぞれ逆投影データD3(X,Y),D3(Y,E−X),D3(E−X,E−Y),D3(E−Y,X)に加算する。ここで、図10に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を連続したアドレスに格納し、また、図11に示すように、逆投影データD3(V,X,Y),D3(V+90゜,Y,E−X),D3(V+180゜,E−X,E−Y),D3(V+270゜,E−Y,X) を連続したアドレスに格納しておけば、SIMD命令を用いて加算処理を1命令で実行できる。そして、加算処理後、D3(X,Y)=D3(V,X,Y)+D3(V+90゜,X,Y)+D3(V+180゜,X,Y)+D3(V+270゜,X,Y)として、図12に示すような投影データD3(X,Y)を求める。
【0063】
ビュー角度V=−45゜と0゜についてステップS15〜S22を実行すると、図23のステップS31へ進む。
【0064】
図23のステップS31では、ビュー角度V=−45゜+Δv,−45゜+2Δv,…,0゜−2Δv,0゜−Δv の各々についてステップS35,S36を繰り返す。
ステップS35では、BP係数ルックアップテーブル31’からBP係数R1を読み込む。
ステップS36では、再構成領域上の画素のy座標Y=0,1,2,…,Eの各々についてステップS38を繰り返す。
【0065】
ステップS38では、再構成領域上の画素のx座標X=0,1,2,…,Eの各々についてステップS39〜S42を繰り返す。
ステップS39では、BP係数ルックアップテーブル31’からBP係数R2(X,Y)を読み込む。
【0066】
ステップS40では、ビュー角度Vにおける座標(X,Y)の画素に対応するデータD(V,X,Y)を求める。すなわち、図24に示すように、座標(X,Y)の画素に対応するX線検出器24上の位置に最も近い2つの投影データD(V,ch),D(V,ch+1)の補間によって、データD(V,X,Y)を求める。同様にして、図25に示すように、ビュー角度−Vにおける座標(E−X,Y)の画素に対応するデータD(−V,E−X,Y)を求める。同様にして、図26に示すように、ビュー角度V+90゜における座標(Y,E−X)の画素に対応するデータD(V+90゜,Y,E−X)を求める。同様にして、図27に示すように、ビュー角度−V+90゜における座標(Y,X)の画素に対応するデータD(−V+90゜,Y,X)を求める。同様にして、ビュー角度V+180゜における座標(E−X,E−Y)の画素に対応するデータD(V+180゜,E−X,E−Y)を求める。同様にして、ビュー角度−V+180゜における座標(X,E−Y)の画素に対応するデータD(−V+180゜,X,E−Y)を求める。同様にして、ビュー角度V+270゜における座標(E−Y,X)の画素に対応するデータD(V+270゜,E−Y,X)を求める。さらに、同様にして、ビュー角度−V+270゜における座標(E−Y,E−X)の画素に対応するデータD(−V+270゜,E−Y,E−X)を求める。
【0067】
図28に示すように、求めたデータD(V,X,Y),D(−V,E−X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(−V+90゜,Y,X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(−V+180゜,X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) ,D(−V+270゜,E−Y,E−X)は、メモリーの連続したアドレスに記憶する。これは、SIMD命令を用いてステップS21の乗算処理を実行可能にするためである。
【0068】
さて、図24〜図27に示すように、再構成領域をxy面とし、ビュー角度V=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とする。
このとき、図24に示すビュー角度VにおけるX線管21と再構成領域P上の座標(X,Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図25に示すビュー角度−VにおけるX線管21と再構成領域上の座標(E−X,Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリとは、回転中心ICを通るy軸に対称となる。よって、同一のBP係数R2(X,Y)を共通に使用できることが判る。
また、図24に示すビュー角度VにおけるX線管21と再構成領域P上の座標(X,Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図26に示すビュー角度V+90゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(Y,E−X)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(X,Y)を共通に使用できることが判る。
さらに、図25に示すビュー角度−VにおけるX線管21と再構成領域P上の座標(E−X,Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図27に示すビュー角度−V+90゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(Y,X)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(X,Y)を共通に使用できることが判る。
【0069】
同様に、図24に示すビュー角度VにおけるX線管21と再構成領域P上の座標(X,Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度V+180゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(E−X,E−Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度V+270゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(E−Y,X)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。また、図25に示すビュー角度−VにおけるX線管21と再構成領域P上の座標(E−X,Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度−V+180゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(X,E−Y)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度−V+270゜におけるX線管21と再構成領域上の座標(E−Y,E−X)の画素とX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(X,Y)を共通に使用できることが判る。
【0070】
図23に戻り、ステップS41では、データD(V,X,Y),D(−V,E−X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(−V+90゜,Y,X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(−V+180゜,X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) ,D(−V+270゜,E−Y,E−X) にBP係数R1,R2(X,Y)を乗算する。ここで、図28に示すように、データD(V,X,Y),D(−V,E−X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(−V+90゜,Y,X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(−V+180゜,X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) ,D(−V+270゜,E−Y,E−X)は連続したアドレスに格納されているから、SIMD命令を用いて1命令で乗算処理を実行できる。
図29に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(−V,E−X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(−V+90゜,Y,X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(−V+180゜,X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X) ,R1・R2・D(−V+270゜,E−Y,E−X)は、連続したアドレスに格納される。
【0071】
図23に戻り、ステップS42では、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(−V,E−X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(−V+90゜,Y,X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(−V+180゜,X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X) ,R1・R2・D(−V+270゜,E−Y,E−X)を、それぞれ逆投影データD3(X,Y),D3(E−X,Y),D3(Y,E−X),D3(Y,X),D3(E−X,E−Y),D3(X,E−Y),D3(E−Y,X),D3(E−Y,E−X)に加算する。ここで、図29に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(−V,E−X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(−V+90゜,Y,X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(−V+180゜,X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X),R1・R2・D(−V+270゜,E−Y,E−X)を連続したアドレスに格納し、また、図30に示すように、逆投影データD3(V,X,Y),D3(−V,E−X,Y),D3(V+90゜,Y,E−X),D3(−V+90゜,Y,X),D3(V+180゜,E−X,E−Y),D3(−V+180゜,X,E−Y),D3(V+270゜,E−Y,X),D3(−V+270゜,E−Y,E−X) を連続したアドレスに格納しておけば、SIMD命令を用いて加算処理を1命令で実行できる。そして、加算処理後、さらに画素(X,Y)の全ビューviewについての逆投影データD3(view,X,Y)を加算すれば、図12に示す投影データD3(X,Y)を求めることが出来る。
【0072】
第3の実施形態にかかるX線CT装置によれば、8つのデータに関する乗算処理および加算処理を実質的に同時に実行するので、処理の簡単化および高速化が可能となる。
【0073】
−第4の実施形態−
第4の実施形態では、X線検出器24上のデータD(V,ch)をx方向の直線またはy方向の直線上のデータに一旦投影し、その直線上のデータを再構成領域上の画素に投影して逆投影画素データを求める逆投影方法(特願2002−45494号)に対して、ジオメトリが同一および対称なビュー角度でのBP係数の乗算処理および投影データへの加算処理を実質的に同時に行う。
【0074】
図31は、第4の実施形態にかかるX線CT装置の記憶装置7に記憶しているBP係数ルックアップテーブル32’,33’を示す概念図である。
BP係数ルックアップテーブル32’には、−45゜≦V≦0゜のビュー角度範囲内の各ビュー角度V毎に、X線検出器24上のデータD(V,ch)をx方向の直線上に投影するためのBP係数R2(ch)が予め算出されて設定されている。
R2(ch)は、例えば、図34に示すように、回転中心ICを通り且つx方向に平行な直線La上にX線検出器24上のデータD(V,ch)をX線透過方向に投影した位置までのX線管21からの距離をr3とし、X線管21からX線検出器24までの距離をr0とするとき、例えばR2(ch)=(r3/r0)2である。
【0075】
BP係数ルックアップテーブル33’には、−45゜≦V≦0゜のビュー角度範囲内の各ビュー角度V毎に、再構成領域上の画素の位置に関係しないBP係数R1と、再構成領域上の画素のy座標Yに依存するBP係数R2(Y)とが予め算出されて設定されている。
R2(Y)は、例えば、図38に示すように、X線焦点から再構成領域上の座標(X,Y)の画素までの距離をr1とするとき、R2(Y)=(r1/r3)2=(h1/h3)2である。つまり、y=Y上のすべて画素のBP係数R2(Y)は、R2(Y)=(h1/h3)2で同一になる。
【0076】
図32,図33は、第4の実施形態にかかるX線CT装置の逆投影処理を示すフロー図である。なお、このフロー図は、PADで表現している。
ステップS11では、ビュー角度V=−45゜,0゜の各々についてステップS12,S15,S16を繰り返す。
【0077】
ステップS12では、X線検出器24の各チャネルch=0,1,…,Iの各々についてステップS13,S14を繰り返す。
ステップS13では、BP係数ルックアップテーブル32からBP係数R2(ch)を読み込む。
ステップS14では、データD(V,ch),D(V+90゜,ch),D(V+180゜,ch),D(V+270゜,ch) をメモリーの連続したアドレスに記憶し、BP係数R2(ch)の乗算処理をSIMD命令を用いて実行する。
【0078】
乗算結果のデータR2(ch)・D(V,ch),R2(ch)・D(V+90゜,ch),R2(ch)・D(V+180゜,ch),R2(ch)・D(V+270゜,ch) は、第2の実施形態で説明したように、データD(V,ch),D(V+90゜,ch),D(V+180゜,ch),D(V+270゜,ch) をそれぞれX線透過方向に直線La(図15),Lb(図16),Lc(図17),Ld(図18)上に投影したデータになっている。
【0079】
ここで、データD(V,ch),D(V+90゜,ch),D(V+180゜,ch),D(V+270゜,ch)に対して同じBP係数R2(ch)を使うことが出来るのは、第2の実施形態で説明したように、ビュー角度V=−45゜,45゜,135゜,225゜では、ジオメトリが同一になるからである。また、ビュー角度V=0゜,90゜,180゜,270゜では、ジオメトリが同一になるからである。
【0080】
ステップS15では、BP係数ルックアップテーブル33’からBP係数R1(V)を読み込む。
ステップS16では、再構成領域上の画素のy座標Y=0,1,2,…,Eの各々についてステップS17,S18を繰り返す。
【0081】
ステップS17では、BP係数ルックアップテーブル33’からBP係数R2(Y)を読み込む。
ステップS18では、再構成領域上の画素のx座標X=0,1,2,…,Eの各々についてステップS20’,S21’,S22を繰り返す。
【0082】
ステップS20’では、ビュー角度Vにおける座標(X,Y)の画素に対応するデータD(V,X,Y)を求める。すなわち、第2の実施形態で説明したように、座標(X,Y)の画素に対応する直線La上の位置に最も近い2つのデータの補間によってデータD(V,X,Y)を求める。同様にして、ビュー角度V+90゜における座標(Y,E−X)の画素に対応するデータD(V+90゜,Y,E−X)、ビュー角度V+180゜における座標(E−X,E−Y)の画素に対応するデータD(V+180゜,E−X,E−Y)、および、ビュー角度V+270゜における座標(E−Y,X)の画素に対応するデータD(V+270゜,E−Y,X)を求める。
【0083】
図9に示すように、求めたデータD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は、メモリーの連続したアドレスに記憶する。これは、SIMD命令を用いてステップS21’の乗算処理を実行可能にするためである。
【0084】
図32に戻り、ステップS21’では、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) にBP係数R1,R2(Y)を乗算する。ここで、図9に示すように、データD(V,X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X) は連続したアドレスに格納されているから、SIMD命令を用いて1命令で乗算処理を実行できる。
図10に示すように、乗算結果R1・R2(Y)・D(V,X,Y),R1・R2(Y)・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2(Y)・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2(Y)・D(V+270゜,E−Y,X)は、連続したアドレスに格納される。
【0085】
図32に戻り、ステップS22では、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を、それぞれ逆投影データD3(X,Y),D3(Y,E−X),D3(E−X,E−Y),D3(E−Y,X)に加算する。ここで、図10に示すように、乗算結果R1・R2・D(V,X,Y),R1・R2・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2・D(V+270゜,E−Y,X)を連続したアドレスに格納し、また、図11に示すように、逆投影データD3(V,X,Y),D3(V+90゜,Y,E−X),D3(V+180゜,E−X,E−Y),D3(V+270゜,E−Y,X) を連続したアドレスに格納しておけば、SIMD命令を用いて加算処理を1命令で実行できる。そして、加算処理後、D3(X,Y)=D3(V,X,Y)+D3(V+90゜,X,Y)+D3(V+180゜,X,Y)+D3(V+270゜,X,Y)として、図12に示すような投影データD3(X,Y)を求める。
【0086】
ビュー角度V=−45゜と0゜についてステップS12〜S22を実行すると、図33のステップS31へ進む。
【0087】
図33のステップS31では、ビュー角度V=−45゜+Δv,−45゜+2Δv,…,0゜−2Δv,0゜−Δv の各々についてステップS32,S35,S36を繰り返す。
【0088】
ステップS32では、X線検出器24の各チャネルch=0,1,…,Iの各々についてステップS33,S34を繰り返す。
ステップS33では、BP係数ルックアップテーブル32からBP係数R2(ch)を読み込む。
ステップS34では、データD(V,ch),D(−V,I−ch),D(V+90゜,ch),D(−V+90゜,I−ch),D(V+180゜,ch),D(−V+180゜,I−ch),D(V+270゜,ch),D(−V+270゜,I−ch) をメモリーの連続したアドレスに記憶し、BP係数R2(ch)の乗算処理をSIMD命令を用いて実行する。
【0089】
乗算結果のデータR2(ch)・D(V,ch),R2(ch)・D(−V,I−ch) は、図34,図35に示すように、データD(V,ch),D(−V,I−ch) をそれぞれX線透過方向に直線La上に投影したデータになっている。
また、乗算結果のデータR2(ch)・D(V+90゜,ch),R2(ch)・D(−V+90゜,I−ch) は、図36,図37に示すように、データD(V+90゜,ch),D(−V+90゜,I−ch) をそれぞれX線透過方向に直線Lb上に投影したデータになっている。
同様に、乗算結果のデータR2(ch)・D(V+180゜,ch),R2(ch)・D(−V+180゜,I−ch),R2(ch)・D(V+270゜,ch),R2(ch)・D(−V+270゜,I−ch) は、データD(V+180゜,ch),D(−V+180゜,I−ch),D(V+270゜,ch),D(−V+270゜,I−ch) をそれぞれX線透過方向に直線Lc(図17),Ld(図18)上に投影したデータになっている。
【0090】
ここで、データD(V,ch),D(−V,I−ch),D(V+90゜,ch),D(−V+90゜,I−ch),D(V+180゜,ch),D(−V+180゜,I−ch),D(V+270゜,ch),D(−V+270゜,I−ch) に対して同じBP係数R2(ch)を使うことが出来るのは、ジオメトリが同一になるからである。
すなわち、図34に示すビュー角度VにおけるX線管21と直線LaとX線検出器24の相互のジオメトリと、図35に示すビュー角度−VにおけるX線管21と直線LaとX線検出器24の相互のジオメトリとは、対称となる。よって、同一のBP係数R2(ch)を共通に使用できることが判る。また、図34に示すビュー角度VにおけるX線管21と直線LaとX線検出器24の相互のジオメトリと、図36に示すビュー角度V+90゜におけるX線管21と直線LbとX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(ch)を共通に使用できることが判る。さらに、図35に示すビュー角度−VにおけるX線管21と直線LaとX線検出器24の相互のジオメトリと、図37に示すビュー角度−V+90゜におけるX線管21と直線LbとX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(ch)を共通に使用できることが判る。同様に、図34に示すビュー角度VにおけるX線管21と直線LaとX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度V+180゜におけるX線管21と直線Lc(図17)とX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度V+270゜におけるX線管21と直線Ld(図18)とX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。また、図35に示すビュー角度−VにおけるX線管21と直線LaとX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度−V+180゜におけるX線管21と直線Lc(図17)とX線検出器24の相互のジオメトリと、図示せぬビュー角度−V+270゜におけるX線管21と直線Ld(図18)とX線検出器24の相互のジオメトリとは、同一となる。よって、同一のBP係数R2(X,Y)を共通に使用できることが判る。
【0091】
図33のステップS35では、BP係数ルックアップテーブル33’からBP係数R1(V)を読み込む。
ステップS36では、再構成領域上の画素のy座標Y=0,1,2,…,Eの各々についてステップS37,S38を繰り返す。
【0092】
ステップS37では、BP係数ルックアップテーブル33’からBP係数R2(Y)を読み込む。
ステップS38では、再構成領域上の画素のx座標X=0,1,2,…,Eの各々についてステップS40’,S41’,S42を繰り返す。
【0093】
ステップS40’では、第2の実施態様で説明したのと同様にして、図38に示すビュー角度Vにおける座標(X,Y)の画素に対応するデータD(V,X,Y)を求める。すなわち、座標(X,Y)の画素に対応する直線La上の位置に最も近い2つのデータの補間によってデータD(V,X,Y)を求める。また、同様にして、図39に示すように、ビュー角度−Vにおける座標(E−X,Y)の画素に対応する直線La上のデータD(−V,E−X,Y)を求める。また、同様にして、図40に示すように、ビュー角度V+90゜における座標(Y,E−X)の画素に対応するデータD(V+90゜,Y,E−X)を求める。また、同様にして、図41に示すように、ビュー角度−V+90゜における座標(Y,X)の画素に対応するデータD(−V+90゜,Y,X)を求める。さらに、同様にして、ビュー角度V+180゜における座標(E−X,E−Y)の画素に対応するデータD(V+180゜,E−X,E−Y)、ビュー角度−V+180゜における座標(X,E−Y)の画素に対応するデータD(−V+180゜,X,E−Y)、ビュー角度V+270゜における座標(E−Y,X)の画素に対応するデータD(V+270゜,E−Y,X)、および、ビュー角度−V+270゜における座標(E−Y,E−X)の画素に対応するデータD(−V+270゜,E−Y,E−X)を求める。
【0094】
図28に示すように、求めたデータD(V,X,Y),D(−V,E−X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(−V+90゜,Y,X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(−V+180゜,X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X),D(−V+270゜,E−Y,E−X) は、メモリーの連続したアドレスに記憶する。これは、SIMD命令を用いてステップS41’の乗算処理を実行可能にするためである。
【0095】
図33に戻り、ステップS41’では、データD(V,X,Y),D(−V,E−X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(−V+90゜,Y,X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(−V+180゜,X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X),D(−V+270゜,E−Y,E−X) にBP係数R1,R2(Y)を乗算する。ここで、図28に示すように、データD(V,X,Y),D(−V,E−X,Y),D(V+90゜,Y,E−X),D(−V+90゜,Y,X),D(V+180゜,E−X,E−Y),D(−V+180゜,X,E−Y),D(V+270゜,E−Y,X),D(−V+270゜,E−Y,E−X) は連続したアドレスに格納されているから、SIMD命令を用いて1命令で乗算処理を実行できる。
図29に示すように、乗算結果R1・R2(Y)・D(V,X,Y),R1・R2(Y)・D(−V,E−X,Y),R1・R2(Y)・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2(Y)・D(−V+90゜,Y,X),R1・R2(Y)・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2(Y)・D(−V+180゜,X,E−Y),R1・R2(Y)・D(V+270゜,E−Y,X),R1・R2(Y)・D(−V+270゜,E−Y,E−X)は、連続したアドレスに格納される。
【0096】
図33に戻り、ステップS42では、乗算結果R1・R2(Y)・D(V,X,Y),R1・R2(Y)・D(−V,E−X,Y),R1・R2(Y)・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2(Y)・D(−V+90゜,Y,X),R1・R2(Y)・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2(Y)・D(−V+180゜,X,E−Y),R1・R2(Y)・D(V+270゜,E−Y,X),R1・R2(Y)・D(−V+270゜,E−Y,E−X)を、それぞれ逆投影データD3(X,Y),D3(E−X,Y),D3(Y,E−X),D3(Y,X),D3(E−X,E−Y),D3(X,E−Y),D3(E−Y,X),D3(E−Y,E−X)に加算する。ここで、図29に示すように、乗算結果R1・R2(Y)・D(V,X,Y),R1・R2(Y)・D(−V,E−X,Y),R1・R2(Y)・D(V+90゜,Y,E−X),R1・R2(Y)・D(−V+90゜,Y,X),R1・R2(Y)・D(V+180゜,E−X,E−Y),R1・R2(Y)・D(−V+180゜,X,E−Y),R1・R2(Y)・D(V+270゜,E−Y,X),R1・R2(Y)・D(−V+270゜,E−Y,E−X)を連続したアドレスに格納し、また、図30に示すように、逆投影データD3(V,X,Y),D3(−V,E−X,Y),D3(V+90゜,Y,E−X),D3(−V+90゜,Y,X),D3(V+180゜,E−X,E−Y),D3(−V+180゜,X,E−Y),D3(V+270゜,E−Y,X),D3(−V+270゜,E−Y,E−X) を連続したアドレスに格納しておけば、SIMD命令を用いて加算処理を1命令で実行できる。そして、加算処理後、さらに画素(X,Y)の全ビューviewについての逆投影データD3(view,X,Y)を加算すれば、図12に示す投影データD3(X,Y)を求めることが出来る。
【0097】
第4の実施形態にかかるX線CT装置によれば、8つのデータに関する乗算処理および加算処理を実質的に同時に実行するので、処理の簡単化および高速化が可能となる。
【0098】
−他の実施形態−
(1)本発明は、ヘリカルスキャンにも適用できる。
(2)本発明は、他のファン逆投影方法、パラレル逆投影方法、コーン逆投影方法にも適用できる。
(3)オフセット・センター・イメージを得たい場合は、オフセット・センターしないで本発明によりX線CT画像を作成し、そこからオフセット・センター・イメージを切り出せばよい。
【0099】
【発明の効果】
本発明のX線CT画像再構成計算方法およびX線CT装置によれば、BP係数が同一になる複数のビュー角度の各データに対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うから、処理を簡単化および高速化することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係るX線CT装置を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係るBP係数ルックアップテーブルの例示図である。
【図3】第1の実施形態に係るX線CT装置の動作の概略フロー図である。
【図4】第1の実施形態に係る逆投影処理のフロー図である。
【図5】第1のビュー角度群を示す説明図である。
【図6】第2のビュー角度群を示す説明図である。
【図7】第3のビュー角度群を示す説明図である。
【図8】第4のビュー角度群を示す説明図である。
【図9】乗算処理をSIMD命令で実行するためのデータ配置を示す説明図である。
【図10】加算処理をSIMD命令で実行するためのデータ配置を示す説明図である。
【図11】加算処理をSIMD命令で実行するためのデータ配置を示す説明図である。
【図12】逆投影データの配置を示す説明図である。
【図13】第2の実施形態に係るBP係数ルックアップテーブルの例示図である。
【図14】第2の実施形態に係る逆投影処理のフロー図である。
【図15】第1のビュー角度群を示す説明図である。
【図16】第2のビュー角度群を示す説明図である。
【図17】第3のビュー角度群を示す説明図である。
【図18】第4のビュー角度群を示す説明図である。
【図19】第2の実施形態に係るBP係数R2(ch)の説明図である。
【図20】直線上に投影されたデータから逆投影データを算出する処理の説明図である。
【図21】第3の実施形態に係るBP係数ルックアップテーブルの例示図である。
【図22】第3の実施形態に係る逆投影処理のフロー図である。
【図23】図22の続きのフロー図である。
【図24】−45゜≦V≦0゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図25】0゜≦V≦45゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図26】45゜≦V≦90゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図27】90゜≦V≦135゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図28】乗算処理をSIMD命令で実行するためのデータ配置を示す説明図である。
【図29】加算処理をSIMD命令で実行するためのデータ配置を示す説明図である。
【図30】加算処理をSIMD命令で実行するためのデータ配置を示す説明図である。
【図31】第4の実施形態に係るBP係数ルックアップテーブルの例示図である。
【図32】第4の実施形態に係る逆投影処理のフロー図である。
【図33】図32の続きのフロー図である。
【図34】−45゜≦V≦0゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図35】0゜≦V≦45゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図36】45゜≦V≦90゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図37】90゜≦V≦135゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図38】−45゜≦V≦0゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図39】0゜≦V≦45゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図40】45゜≦V≦90゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【図41】90゜≦V≦135゜におけるジオメトリを示す説明図である。
【符号の説明】
1 操作コンソール
3 中央処理装置
20 走査ガントリ
21 X線管
24 X線検出器
31,32,33 BP係数ルックアップテーブル
31’,32’,33’ BP係数ルックアップテーブル
La,Lb,Lc,Ld データを投影する直線
P 再構成領域
Claims (18)
- BP係数が同一になる複数のビュー角度に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 360゜分のビュー角度範囲を4等分して90゜分ずつのビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分けるか、又は、オーバーラップを許容して90゜分より大きいビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分け、第1〜第4のビュー角度群に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 請求項2に記載のX線CT画像再構成計算方法において、X線管またはX線検出器の回転面をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、−45゜≦view<45゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第1のビュー角度群とし、45゜≦view<135゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第2のビュー角度群とし、135゜≦view<225゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第3のビュー角度群とし、225゜≦view<315゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第4のビュー角度群とすることを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 請求項2または請求項3に記載のX線CT画像再構成計算方法において、第1のビュー角度群で用いるBP係数をテーブル化しておき、第2〜第4のビュー角度群でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 画像再構成領域をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、view=−45゜,45゜,135゜,225゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うと共にview=0゜,90゜,180゜,270゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行い、さらに−45゜<view<0゜,0゜<view<45゜,45゜<view<90゜,90゜<view<135゜,135゜<view<180゜,180゜<view<225゜,225゜<view<270゜,270゜<view<315゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 請求項5に記載のX線CT画像再構成計算方法において、−45゜≦view≦0゜で用いるBP係数をテーブル化しておき、0゜<view<315゜でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 請求項1から請求項6のいずれかに記載のX線CT画像再構成計算方法において、前記BP係数の乗算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載のX線CT画像再構成計算方法において、BP係数の乗算処理を実質的に同時に行った複数のビュー角度のデータを逆投影画素データにそれぞれ加算する加算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- 請求項8に記載のX線CT画像再構成計算方法において、前記加算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT画像再構成計算方法。
- X線管と、X線検出器と、X線管またはX線検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながらデータを収集するスキャン手段と、データにフィルタ処理を施すと共にBP係数を乗算して再構成領域上の各画素の逆投影画素データを求める逆投影画素データ取得手段と、画像再構成に用いる全ビューの逆投影画素データを画素対応に加算して逆投影データを求める逆投影データ算出手段とを有するX線CT装置であって、前記逆投影画素データ取得手段は、BP係数が同一になる複数のビュー角度に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置。
- X線管と、X線検出器と、X線管またはX線検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながらデータを収集するスキャン手段と、データにフィルタ処理を施すと共にBP係数を乗算して再構成領域上の各画素の逆投影画素データを求める逆投影画素データ取得手段と、画像再構成に用いる全ビューの逆投影画素データを画素対応に加算して逆投影データを求める逆投影データ算出手段とを有するX線CT装置であって、360゜分のビュー角度範囲を4等分して90゜分ずつのビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分けるか、又は、オーバーラップを許容して90゜分より大きいビュー角度範囲を持ち且つ順に90゜ずつのビュー角度差を持つ第1〜第4のビュー角度群に分けたときに、前記逆投影画素データ取得手段は、第1〜第4のビュー角度群に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置。
- 請求項11に記載のX線CT装置において、X線管またはX線検出器の回転面をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、−45゜≦view<45゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第1のビュー角度群とし、45゜≦view<135゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第2のビュー角度群とし、135゜≦view<225゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第3のビュー角度群とし、225゜≦view<315゜もしくはそれを主体とし周辺をも含むビュー角度群を第4のビュー角度群とすることを特徴とするX線CT装置。
- 請求項11または請求項12に記載のX線CT装置において、第1のビュー角度群で用いるBP係数を保持するBP係数テーブルを具備し、前記逆投影画素データ取得手段は、第2〜第4のビュー角度群でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT装置。
- X線管と、X線検出器と、X線管またはX線検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転しながらデータを収集するスキャン手段と、データにフィルタ処理を施すと共にBP係数を乗算して再構成領域上の各画素の逆投影画素データを求める逆投影画素データ取得手段と、画像再構成に用いる全ビューの逆投影画素データを画素対応に加算して逆投影データを求める逆投影データ算出手段とを有するX線CT装置であって、前記逆投影画素データ取得手段は、画像再構成領域をxy面とし、ビュー角度view=0゜のときのX線ビームの中心軸方向をy方向とするとき、view=−45゜,45゜,135゜,225゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うと共にview=0゜,90゜,180゜,270゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行い、さらに−45゜<view<0゜,0゜<view<45゜,45゜<view<90゜,90゜<view<135゜,135゜<view<180゜,180゜<view<225゜,225゜<view<270゜,270゜<view<315゜に対するBP係数の乗算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置。
- 請求項14に記載のX線CT装置において、−45゜≦view≦0゜で用いるBP係数を保持するBP係数テーブルを具備し、前記逆投影画素データ取得手段は、0゜<view<315゜でも前記BP係数テーブルを利用することを特徴とするX線CT装置。
- 請求項10から請求項15のいずれかに記載のX線CT装置において、前記逆投影画素データ取得手段は、前記乗算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT装置。
- 請求項10から請求項16のいずれかに記載のX線CT装置において、前記逆投影データ算出手段は、BP係数の乗算処理を実質的に同時に行った複数のビュー角度のデータを逆投影画素データにそれぞれ加算する加算処理を実質的に同時に行うことを特徴とするX線CT装置。
- 請求項17に記載のX線CT装置において、前記逆投影データ算出手段は、前記加算処理をSIMD命令を用いて行うことを特徴とするX線CT装置。
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