JP2004041141A - 細胞増殖剤の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】血小板および白血球を含有する被処理液から血小板由来増殖因子および血管内皮増殖因子を含有する細胞増殖剤を得る、細胞増殖剤の製造方法の提供。
【解決手段】血小板および白血球を含有する被処理液を、血小板および白血球を捕捉しうるろ材に通して、被処理液中の血小板および白血球をろ材に捕捉させる捕捉工程と、ろ材に捕捉された血小板の活性化処理を行い、血小板由来因子を分泌させる血小板活性化処理工程と、血小板活性化処理工程の後または前に行われる、ろ材に捕捉された白血球のインキュベートを行い、白血球由来因子を分泌させる白血球インキュベート工程と、血小板由来因子および白血球由来因子を回収して細胞増殖剤を得る回収工程とを具備する、細胞増殖剤の製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、全血に代表される、血小板および白血球を含有する被処理液から血小板および白血球を分離し、血小板および白血球から分泌させた血小板由来増殖因子および血管内皮増殖因子を含有する細胞増殖剤を得る、細胞増殖剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血小板は、血小板由来増殖因子(Platelet Derived Growth Factor:PDGF)、トランスフォーミング増殖因子(Transforming Growth Factor−β:TGF−β)、血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor:VEGF)、インシュリン様増殖因子(Insulin like Growth Factor:IGF)等の有用な物質を含有していることが知られている。
また、白血球(主に、単球(マクロファージ)、好中球)は、VEGF、αインターフェロン(α−Interferon:αIFN)、TGF−β、塩基性繊維芽細胞増殖因子(basic Fibroblast Growth Factor:bFGF)等の有用な物質を分泌、または含有していることが知られている。
【0003】
創傷治癒過程においては、まず、受傷直後に血管破壊による出血を止めるために、血小板の粘着・凝集および因子放出反応が起こり、それにより、血液凝固反応が進行する。血小板の因子放出反応により放出された各種増殖因子は、走化因子として繊維芽細胞、白血球(特に、マクロファージ、好中球)等を創傷部位に浸潤させる。これとともに、主に血小板から分泌される血小板由来増殖因子が繊維芽細胞の増殖および繊維芽細胞によるマトリックス産生を刺激し、肉芽の形成が促進される。また、主に浸潤した白血球から分泌される血管内皮増殖因子は、血管内皮細胞の増殖を刺激し、その結果、血管新生が促進される。そして、この肉芽の形成と血管新生が機転になり、創傷の治癒へと転じる。
【0004】
しかしながら、難治性潰瘍においては、創部の血流が少ないため、血小板および白血球の集積が非常に少なく、その結果、肉芽の形成および血管新生が認められず、治癒が遅延すると考えられている。それゆえに、治癒過程で働く血小板および白血球由来の因子を同時に補うことにより、難治性潰瘍においても、創傷治癒が促進されると推測される。
【0005】
血小板由来因子の調製に関しては、特表平7−507558号公報に、血小板浮遊液をフィルターに通して、フィルター上に保持した血小板をトロンビン等で活性化させることにより、血小板由来因子を回収する方法が記載されているが、この方法により白血球由来因子を効率よく回収することは難しく、創傷の治癒に十分効果的なものを得ることはできない。
【0006】
【発明の解決する課題】
本発明の目的は、例えば、全血血液のような、血小板および白血球を含有する被処理液から白血球および血小板をろ材に捕捉させた後、血小板および白血球から分泌させた血小板由来増殖因子および血管内皮増殖因子を含有する創傷の治癒等に有効に働く細胞増殖剤を得る、細胞増殖剤の製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下に示す本発明(1)〜(5)により達成される。
【0008】
(1)血小板および白血球を含有する被処理液を、ろ材に通して、前記被処理液中の前記血小板および前記白血球を前記ろ材に捕捉させる捕捉工程と、
前記ろ材に捕捉された前記血小板の活性化処理を行い、血小板由来因子を分泌させる血小板活性化処理工程と、
前記血小板活性化処理工程の後または前に行われる、前記ろ材に捕捉された前記白血球のインキュベートを行い、白血球由来因子を分泌させる白血球インキュベート工程と、
前記血小板由来因子および前記白血球由来因子を回収して細胞増殖剤を得る回収工程と
を具備する、細胞増殖剤の製造方法。
【0009】
(2)前記血小板由来因子が、少なくとも血小板由来増殖因子および血管内皮増殖因子を含み、前記白血球由来因子が、少なくとも血管内皮増殖因子を含む上記(1)に記載の細胞増殖剤の製造方法。
【0010】
(3)前記活性化処理が、液体を前記血小板と接触させることにより刺激を与えることにより行われる上記(1)または(2)に記載の細胞増殖剤の製造方法。
【0011】
(4)前記捕捉工程後に、洗浄液を前記ろ材に通して、前記ろ材に捕捉された前記血小板および白血球を洗浄する洗浄工程を具備する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の細胞増殖剤の製造方法。
【0012】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の細胞増殖剤の製造方法により得られる細胞増殖剤。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
<捕捉工程>
捕捉工程は、血小板および白血球を含有する被処理液を捕捉しうるろ材に通す工程である。これにより、被処理液中の血小板および白血球がろ材に捕捉される。
【0014】
本発明に用いられる被処理液は、ヒトまたは動物由来の血小板および白血球を含有する液であれば特に限定されないが、本発明により得られる細胞増殖剤を使用する者の自己の血小板および白血球を含有する液であるのが好ましい。自己の血小板および白血球を含有する液である場合には、微生物等による新たな感染の危険を低減することができ、安全に治癒を促進させることができる。
血小板および白血球を含有する被処理液としては、例えば、ACD溶液、CPD溶液、ヘパリン等の抗凝固剤を加えた血液;遠心分離法で調製したバフィーコート等の血小板および白血球の懸濁液;培養された血小板および白血球の懸濁液が挙げられる。
【0015】
血小板および白血球を捕捉しうるろ材は、赤血球等の血球が通過できる連続した孔を有している。ろ材としては、多孔質膜、中空糸等を使用したものや、ハウジング内にビーズ、粉体等を充填したものを用いることができる。
ここで、多孔質膜とは、内部および表面に、外部に通じる連続した多数の小さい孔を有する膜のことである。多孔質膜としては、例えば、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエーテルポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂からなる、不織布、発泡体(連通孔を有するスポンジ状多孔質体)、織布、メッシュ等が挙げられる。中でも、不織布および発泡体が好ましい。多孔質膜として、前記合成樹脂からなる不織布または発泡体は、孔径の調整が容易であり、生産性に優れているという利点を有する。
【0016】
ろ材は、血小板を活性化させずに捕捉しうるのが好ましい。血小板を活性化させないためには、ろ材は、表面のゼータ電位が15〜30mV程度であるのがより好ましく、18〜28mV程度であるのが更に好ましい。ろ材の表面のゼータ電位が上記範囲にあると、捕捉工程および洗浄工程において、血小板の活性化によるα顆粒中因子の放出を誘導することなく、ろ材に捕捉することが可能となる。なお、ろ材の表面のゼータ電位が低すぎると、ろ材の平均孔径等によっては、血小板の捕捉率を十分高くすることができない場合がある。一方、ろ材の表面のゼータ電位が高すぎると、ろ材の平均孔径等によっては、捕捉された血小板が活性化してしまうことがある。
【0017】
ろ材の表面のゼータ電位の調整方法としては、例えば、以下の(1)〜(3)の方法が挙げられる。
(1)ろ材を構成した後、その表面をゼータ電位を調整可能な物質(例えば、アミノ基等のカチオン性官能基を有する物質)で後処理(例えば、被覆)する方法。
(2)ろ材の構成材料として、それ自体が上記範囲内のゼータ電位を有するものを使用する方法。具体的には、例えば、ナイロン等の陽性電荷を有する繊維を基材として用いて不織布ろ材を作製する方法が挙げられる。
(3)ろ材の構成材料中に、あらかじめゼータ電位を調整可能な物質を含有させまたは結合させておき、かかる材料を用いてろ材を形成する方法。具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレートをアミノ基等のカチオン性官能基を有する物質により共有結合等を用いて修飾して得られる繊維を基材として用いて不織布ろ材を作製する方法が挙げられる。
【0018】
中でも、ろ材の表面のゼータ電位の調整方法としては、ろ材の表面を、ゼータ電位を調製可能な物質で被覆する方法が好ましい。この方法によれば、ろ材の構成材料の選択の幅を広げることができるとともに、ろ材の表面のゼータ電位を容易にかつ確実に調整することができる。
【0019】
ゼータ電位を調整可能な物質としては、ろ材の表面のゼータ電位を上記範囲内に調整することができる物質であれば特に限定されず、例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと、カチオン性官能基を有する物質であるアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとを構成単位として含有する共重合体を用いるのが好ましい。この共重合体を用いると、付着量、モノマーの組成比等を適宜設定することにより、ろ材の表面のゼータ電位を容易に調整することができる。
【0020】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−メトキシエチルアクリレート(MEA)、2−メトキシエチルメタクリレート(MEMA)、が挙げられる。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)が挙げられる。
アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート(DMAEA)、2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリレート(DMAPA)、2−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート(DMAPMA)が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
また、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートおよび/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートとの組成比は、特に限定されないが、例えば、85/15〜50/50程度であるのが好ましく、80/20〜60/40程度であるのがより好ましい。各モノマーの組成比を上記範囲内とすると、血小板の捕捉率と、血小板の捕捉時における血小板の活性化の抑制効果とのいずれにも優れるろ材が得られる。
【0022】
なお、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの含有割合が小さすぎると、ろ材の血小板の捕捉率を十分に高くすることができない場合がある。一方、アルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートの含有割合が大きすぎると、ろ材の血小板の捕捉時における血小板の活性化の抑制効果を十分に高くすることができない場合がある。
【0023】
ろ材の平均孔径は、特に限定されないが、例えば、3〜20μm程度であるのが好ましい。ろ材の平均孔径が小さすぎる場合、目詰まりにより所定量の被処理液を処理できないことがある。一方、ろ材の平均孔径が大きすぎる場合、白血球および血小板の捕捉率が低下することがある。
【0024】
ろ材は、流入側から流出側に向かって、孔径が小さくなるのが好ましい。即ち、ろ材の孔径に傾斜をつけるのが好ましい。特に、ろ材として、孔径が異なる2種以上のろ材を組み合わせて用い、流入側から流出側にいくに従って、孔径が小さくなるように配置するのが好ましい。例えば、孔径が大きいろ材を流入側に、孔径が小さいろ材を流出側に配置する。孔径が大きいろ材の平均孔径は、10〜20μm程度であるのが好ましく、10〜15μm程度であるのがより好ましい。孔径が小さいろ材の平均孔径は、3〜15μm程度であるのが好ましく、3〜10μm程度であるのがより好ましい。
【0025】
ろ材の平均孔径を上記範囲内にするとともに、ろ材の孔径に傾斜を持たせることにより、白血球および血小板の流入口側での非特異的な捕捉による目詰まりを防ぎつつ、白血球および血小板の捕捉率を高くすることができる。
【0026】
ろ材の平均厚さは、その構成材料、形態等により適宜設定され、特に限定されないが、多孔質膜の場合、例えば、0.05〜5mm程度であるのが好ましく、0.1〜3mm程度であるのがより好ましい。ろ材の多孔質膜の設置数は、平均厚さにより適宜設定され、特に限定されないが、例えば、2〜100枚程度であるのが好ましく、3〜80枚程度であるのがより好ましい。
【0027】
ろ材として孔径が大きいろ材と孔径が小さいろ材との2種を用いる場合においては、孔径が小さいろ材の見かけ体積がろ材全体の見かけ体積の50%以下であるのが好ましく、30%以下であるのがより好ましい。
【0028】
捕捉工程においては、上述した被処理液を、上述したろ材に通す。これにより、被処理液中の血小板および白血球がろ材に捕捉される。また、ろ材に捕捉されない被処理液中の他の成分は、ろ材に捕捉されずに血小板および白血球と分離される。
【0029】
具体的な実施形態の一例を図1を用いて説明する。
本発明に用いられるろ材を組み込んだ血小板・白血球捕捉フィルターの一例の構成を示す分解斜視図を図1に示す。図1においては、一部が断面で示されている。
図1に示されるように、血小板・白血球捕捉フィルター10は、液体の流入口21および流出口22を有するハウジング20と、それぞれハウジング20内に設けられた、プレフィルター部材31と、上述したろ材であるメインフィルター部材32とを具備する。
【0030】
プレフィルター部材31は、本発明において、必須の構成要件ではないが、血球の流路となるメインフィルター部材32の孔に、主に白血球による目詰まりが生じるのを防止(抑制)する機能を有するので、図1に示すように、ハウジング内で、メインフィルター部材32よりも流入口21側に配置されるのが好ましい。
プレフィルター部材31は、赤血球等の血球が通過できる連続した孔を有しており、メインフィルター部材32と同様に構成することができる。中でも、多孔質膜を用いるのが好ましく、複数の多孔質膜を積層したものを用いるのがより好ましい。
【0031】
プレフィルター部材31の表面ゼータ電位は、メインフィルター部材32と同様に、15〜30mVであるのがより好ましく、18〜28mVであるのが更に好ましい。
【0032】
プレフィルター部材31の平均孔径は、メインフィルター部材32の平均孔径より大きく設定されるのが好ましい。具体的には、30〜100μm程度であるのが好ましく、50〜80μm程度であるのがより好ましい。
プレフィルター部材31の平均厚さは、その構成材料、形態等により適宜設定され、特に限定されないが、多孔質膜の場合、例えば、0.05〜5mm程度であるのが好ましく、0.1〜3mm程度であるのがより好ましい。プレフィルター部材31の多孔質膜の設置数としては、平均厚さにより適宜設定され、特に限定されないが、例えば、1〜30枚程度であるのが好ましく、2〜10枚程度であるのがより好ましい。
【0033】
血小板・白血球捕捉フィルター10においては、その全体に対するメインフィルター部材32の占める体積率が、50%以上程度であるのが好ましく、70%以上程度であるのがより好ましい。メインフィルター部材32の占める体積率が、上記範囲内であると、メインフィルター部材32とプレフィルター部材31とが、それぞれの機能を十分に発揮することができる。
【0034】
ハウジング20は、流入口21および流出口22を有し、内部にメインフィルター部材32を儲けることができ、後述する被処理液を流入口21から導入し、メインフィルター部材32を通して、流出口22から排出させることができるものであればよく、従来公知のハウジングを用いることができる。流入口21および流出口22の形状等も従来公知の構成とすることができる。
【0035】
捕捉工程は、上述した被処理液を、血小板・白血球捕捉フィルター10の流入口21から導入してメインフィルター部材32に通すことにより行われる。これにより、被処理液中の血小板および白血球がメインフィルター部材32に捕捉される。また、メインフィルター部材32に捕捉されない被処理液中の他の成分は、血小板および白血球と分離され、流出口22から排出される。
【0036】
<洗浄工程>
上記捕捉工程後には、洗浄液をろ材に通して、ろ材に捕捉された血小板および白血球を洗浄する洗浄工程を行うのが好ましい。この洗浄工程により、被処理液中の他の成分(例えば、血液の場合、赤血球および血漿)を洗い流すことができ、得られる細胞増殖剤の純度が高くなる。
洗浄工程に用いられる洗浄液は、血小板および白血球を活性化させないものであれば特に限定されない。例えば、生理食塩水、HEPES緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液が挙げられる。
洗浄工程は、図1に示される血小板・白血球捕捉フィルター10を用いる場合、例えば、流入口21から洗浄液を導入し、メインフィルター部材32に通して、流出口22から排出させることにより行われる。
【0037】
<血小板活性化処理工程>
上述したように、捕捉工程後、好ましくは更に洗浄工程を行った後、血小板活性化処理工程と、白血球インキュベート工程とを行う。血小板活性化処理工程と白血球インキュベート工程とは、いずれを先に行ってもよいが、通常、血小板活性化処理工程を先に行う。
【0038】
血小板活性化処理工程は、ろ材に捕捉された血小板の活性化処理を行う工程である。これにより、血小板から血小板由来因子が分泌される。
活性化処理は、血小板由来因子を分泌させる処理であれば特に限定されず、例えば、物理的刺激を与える処理;刺激剤の添加、界面活性剤の添加等の化学的刺激を与える処理が挙げられる。
【0039】
具体的には、物理的刺激を与える処理としては、例えば、血小板を捕捉したろ材に液体、気体、ゲル等を通過させてシアストレスを与える処理;血小板を捕捉したろ材に接触させる水溶液の組成変化による浸透圧変化等による刺激を与える処理;血小板を捕捉したろ材を圧縮させ、または変形させる処理;ろ材の周囲(例えば、図1に示される血小板・白血球捕捉フィルター10を用いる場合、ハウジング20内部)を密閉下で陰圧または陽圧にすることによる圧力変化による刺激を与える処理;血小板を捕捉したろ材を摩擦し、せん断応力を与え、または穿孔する処理;血小板を捕捉したろ材にソニケーション等の振動による刺激を与える処理;血小板を捕捉したろ材に電磁波、衝撃波、電圧等を加える処理が挙げられる。
【0040】
特に、液体を血小板と接触させることにより刺激を与える処理が、簡便であり、かつ、血小板活性化効率が高い点で、好ましい。
液体を血小板と接触させる方法としては、図1に示される血小板・白血球捕捉フィルター10を用いる場合、例えば、流入口21または流出口22から一定量の生理食塩水等の液体を導入した後、流入口21および流出口22のそれぞれにシリンジを結合させ、シリンジにより液体をメインフィルター部材32をはさんで往復させる方法が挙げられる。
【0041】
化学的処理に用いられる刺激剤としては、例えば、トロンビン、コラーゲン、アデノシン二リン酸が挙げられる。
化学的処理に用いられる界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、Triton X−100、Tween20が挙げられる。
【0042】
活性化処理は、生理食塩水;HEPES緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液等の液体中に、ろ材を存在させて行うのが好ましい。
【0043】
このような活性化処理により、血小板から、血小板由来因子が分泌される。血小板由来因子としては、例えば、PDGF、TGF−β、VEGF、IGFが挙げられるが、本発明においては、血小板由来因子として、少なくともPDGFおよびVEGFを含むのが好ましい。
【0044】
<白血球インキュベート工程>
白血球インキュベート工程は、ろ材に捕捉された白血球のインキュベートを行う工程である。これにより、白血球から白血球由来因子が分泌される。
インキュベートを行う際に用いられる液としては、白血球の機能を生理的に保つものであれば特に限定されない。具体的には、等張液で極端なpHを持たず、白血球の機能が停止してサイトカインの分泌機構が損なわるようなことがない液を用いるのが好ましい。例えば、生理食塩水;HEPES緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液;白血球の培養を行うためのRPMI1640等の培地が挙げられる。
また、インキュベートを行う際に、白血球の刺激を目的として、上記液中に、コンカナバリン、インゲンマメレクチン等のレクチン類;インターフェロンγ等のサイトカイン類;GM−CSF等の増殖因子類;ロイコトリエンB4等のエイコサノイド類;リポポリサッカライド等を添加することもできる。
【0045】
インキュベートを行う温度は、0〜40℃程度であるのが好ましく、20〜40℃程度であるのがより好ましい。
インキュベートを行う時間は、10min〜24hr程度であるのが好ましく、30min〜12hr程度であるのがより好ましい。
【0046】
このようなインキュベートにより、白血球から、白血球由来因子が分泌される。白血球由来因子としては、例えば、VEGF、αIFN、TGF−β、bFGFが挙げられるが、本発明においては、白血球由来因子として、少なくともVEGFを含むのが好ましい。
【0047】
この白血球インキュベート工程の後には、必要に応じて、白血球由来の増殖因子をより多く回収する目的で、界面活性化処理を行うことができる。
界面活性化処理は、例えば、界面活性剤を含有する液体を、白血球を捕捉したろ材に接触させることにより行われる。界面活性剤は、白血球の細胞膜を溶解させることができるものであればよく、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、Triton X−100、Tween20が挙げられる。
【0048】
<回収工程>
血小板活性化処理工程と白血球インキュベート工程とを行った後、血小板由来因子および白血球由来因子を回収する回収工程を行う。具体的には、血小板由来因子および白血球由来因子を含有する液体を回収する。
ここで、血小板由来因子および白血球由来因子を含有する液体としては、例えば、ろ材を通った被処理液、洗浄工程を行った場合における洗浄液、血小板活性化処理工程に液体を用いた場合における該液体、白血球インキュベート工程に液体を用いた場合における該液体が挙げられる。図1に示される血小板・白血球捕捉フィルター10を用いる場合は、回収工程を行う直前において、ハウジング20内部に存在する液体である。
このようにして回収された液体は、細胞増殖剤として用いることができる。
【0049】
回収工程は、具体的には、図1に示される血小板・白血球捕捉フィルター10を用いる場合、流入口21または流出口22から液体を排出させることにより行うことができる。
【0050】
<細胞増殖剤>
上述したように、回収工程で回収された液体は、血小板由来因子および白血球由来因子を含有する細胞増殖剤として用いることができる。
本発明の細胞増殖剤は、回収された液体をそのまま用いてもよく、精製した後に用いてもよい。
【0051】
本発明の細胞増殖剤は、虚血性創傷、褥創等の難治性の創傷、火傷等、種々の疾患の治療に用いることができるが、特に限定されず、通常の治癒の過程で、外科的または内科的に血小板および白血球の集積が観察される創部または組織の再形成部位に適用することができる。
また、細胞増殖剤が有する血管新生能を利用して、閉塞性動脈硬化症等の動脈不全による虚血部位の血流改善、心筋梗塞部位の血流改善等の種々の疾患の治療に用いることもできる。即ち、虚血に起因する疾患であれば適用することができる。
【0052】
本発明の細胞増殖剤を創傷治癒剤として適用する際には、適用の形態は特に限定されず、例えば、本発明の細胞増殖剤を溶液、懸濁剤、乳剤、ペースト剤として、創部に塗布する方法が挙げられる。
本発明の細胞増殖剤を血管新生剤として適用する際には、適用の形態は特に限定されず、例えば、虚血部位および周辺組織中に注射用針等を用い注入する方法、コラーゲン、ポリ乳酸等の生分解性のマトリックスに含有させて虚血部位に埋め込む方法が挙げられる。
【0053】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0054】
まず、健常人ボランティアより血液バッグ(ACD(クエン酸ナトリウム2.2w/v%、クエン酸0.8w/v%、ブドウ糖2.2w/v%)56mL入り)に血液400mLを採取して抗凝固血液を調製し以下に示す実施例1〜3および比較例1〜5に用いた。
【0055】
(実施例1)
まず、以下のようにして、ろ材の表面のゼータ電位を調整するための物質(MEA/DMAEMA共重合体)を合成した。
2−メトキシエチルアクリレート(MEA)40gと、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート(DMAEMA)12gとを、ジメチルホルムアミド(DMF)240gに溶解させた。この溶解液に、アゾイソブチロニトリル(AIBN)52mgを加え、窒素雰囲気下、75℃で6時間反応させた。反応終了後、反応液を濃縮した。得られた濃縮物をアセトン約200mLに溶解させ、これを約3Lのヘキサン中に滴下し、精製した。この精製の操作を3回繰り返した。その後、析出物を約150mLのメタノールに溶解させ、濃縮した後、真空乾燥を行い、MEA/DMAEMA共重合体を得た。
得られたMEA/DMAEMA共重合体の組成比をNMRで確認したところ、MEA/DMAEMA=75/25であった。
【0056】
つぎに、以下の3種のポリエステル不織布を用意した。
(1)孔径大:目付30g/m2 、厚さ0.25mm、平均孔径57.4μm
(2)孔径中:目付20g/m2 、厚さ0.15mm、平均孔径10.7μm
(3)孔径小:目付20g/m2 、厚さ0.15mm、平均孔径6.0μm
なお、ポリエステル不織布の平均孔径は、パームポロメータ(PMI社製)により測定した。
【0057】
これらのポリエステル不織布を、MEA/DMAEMA共重合体濃度0.5%のメタノール溶液に浸せきさせ、70℃で乾燥させた。
乾燥後、80℃に保持した熱RO水(加熱した逆浸透水)中で洗浄を行い、70℃で再度乾燥させ、MEA/DMAEMA共重合体でコーティングしたポリエステル不織布(コーティング済みポリエステル不織布)を得た。
コーティング済みポリエステル不織布の表面ゼータ電位を、濃度0.001mol/LのKCl水溶液を媒液とし、流動電位測定装置(ZP20H、島津製作所社製)により測定したところ、いずれも25mVであった。
【0058】
これらのコーティング済みポリエステル不織布を直径19mmにカットした。図1に示される流入口21および流出口22を有するハウジング20内に、3種のコーティング済みポリエステル不織布をプレフィルター部材31およびメインフィルター部材32として、流入口21側から、孔径大4枚、孔径中30枚、孔径小10枚の順で配置し、血小板・白血球捕捉フィルターを得た(有効膜面積2.0cm2 、体積14.1cm3 )。
【0059】
初めに、被処理液として上記抗凝固血液50mLを流入口21から導入し、ハウジング20内に設置したコーティング済みポリエステル不織布に通して、流出口22から排出させた。
【0060】
つぎに、同様にして、ハウジング20に洗浄液として10mLの生理食塩水を導入し、ハウジング20内の赤血球および血漿成分の洗浄を行い、回収した。
その後、流出口22側に空のシリンジを装着し、流入口21側に生理食塩水4mLが入ったシリンジを装着した。流入口21側のシリンジ内の溶液を1mL/秒の流速でハウジング20内を通過させ、流出口22側のシリンジ内に溶液を回収し、ついで、流出口22側のシリンジ内の溶液を同様にハウジング20内を通過させ流入口21のシリンジに回収した。この操作を交互に計10回(10往復)行った。
【0061】
ついで、37℃のインキュベータ中で、インキュベートを1.5hr行った。その後、内容液を流出口22側のシリンジよりすべて回収し、回収液とした。
【0062】
(実施例2)
流入口21側のシリンジとして、4mLの生理食塩水の代わりに4mLの細胞培養用培地RPMI1640が入ったものを用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0063】
(実施例3)
ハウジング20内に、2種のコーティング済みポリエステル不織布を、流入口21側から、孔径大4枚、孔径中40枚の順で配置したプレフィルター部材およびメインフィルター部材(有効膜面積2.0cm2 、体積14.1cm3 )を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0064】
(比較例1)
インキュベートを行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0065】
(比較例2)
以下のプレフィルター部材およびメインフィルター部材を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
市販の赤血球製剤用白血球除去フィルター(旭メディカル社製「セパセルRZ」)に用いられている以下の1種のプレフィルターおよび2種のメインフィルターを用意した。
【0066】
(4)プレフィルター:目付300g/m2 、厚さ1.12mm、平均孔径41.5μm
(5)メインフィルター孔径大:目付30g/m2 、厚さ0.17mm、平均孔径27.7μm
(6)メインフィルター孔径小:目付41g/m2 、厚さ0.20mm、平均孔径3.0μm
各フィルターの表面のゼータ電位を、実施例1と同様にして測定したところ、いずれも45mVであった。
【0067】
これらをそれぞれ直径19mmにカットして、ハウジング20内に、プレフィルター部材およびメインフィルター部材として、流入口側からプレフィルター10枚、メインフィルター孔径大6枚、メインフィルター孔径小24枚の順で配置した(有効膜面積:2.0cm2 、体積13.8cm3 )。
【0068】
(比較例3)
市販の血小板製剤用白血球除去フィルター(テルモ株式会社製「イムガードIII PL」)に用いられている以下の1種のプレフィルターおよび1種のメインフィルターを用意した。
【0069】
(7)プレフィルター:目付130g/m2 、厚さ0.60mm、平均孔径8.0μm、ポリウレタン発泡体製
(8)メインフィルター:目付130g/m2 、厚さ0.60mm、平均孔径4.0μm、ポリウレタン発泡体製
各フィルターの表面のゼータ電位を、実施例1と同様にして測定したところ、いずれも5mVであった。
【0070】
これらをそれぞれ直径30mmにカットして、ハウジング20内に、プレフィルター部材およびメインフィルター部材として、流入口側からプレフィルター1枚、メインフィルター孔14枚の順で配置した(有効膜面積:7.1cm2 、体積13.8cm3 )。
【0071】
初めに、上記抗凝固血液50mLを流入口21から導入し、ハウジング20内に設置したプレフィルター部材およびメインフィルター部材に通して、流出口22から排出させて回収した。なお、このろ液は、後述する比較例4に用いた。
つぎに、同様にして、ハウジング20に10mLの生理食塩水を導入し、ハウジング20内の赤血球および血漿成分の洗浄を行い、回収した。
ついで、37℃のインキュベータ中で、インキュベートを1.5hr行った。その後、内容液を流出口22側のシリンジよりすべて回収した。
【0072】
(比較例4)
被処理液として抗凝固血液50mLの代わりに比較例3で回収したろ液約50mLを用い、かつ、インキュベートを行わなかった以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0073】
(比較例5)
上記抗凝固血液50mLを遠沈管に取り22℃、4500×gの条件で遠心分離を10分間行い、血漿画分、バフィーコート画分および赤血球画分に分離させて、中間層であるバフィーコート画分を得た。このバフィーコート画分をシリンジに取り、更にこのシリンジに別のシリンジを直接装着して、これらのシリンジ間でバフィーコート画分を10往復させた後、37℃のインキュベータ中で、インキュベートを1.5hr行った。インキュベート後、遠心分離を行い、上清をすべて回収した。
【0074】
実施例1〜3および比較例1〜5における血小板捕捉率および白血球捕捉率を算出した。また、血小板由来因子の指標として、被処理液、洗浄液および回収液のPDGF−AB濃度、および、白血球由来因子の指標としてVEGF濃度を測定した。
結果を第1表に示す。また、回収液については、液量ならびにPDGF−ABおよびVEGFの絶対量も併せて第1表に示す。第1表中、「比較例3+4」は、比較例3と比較例4との合計を示す。
なお、血小板捕捉率および白血球捕捉率は、それぞれ被処理液およびろ液をサンプリングし、サンプル中の血小板数および白血球数を、多項目自動血球分析装置(Sysmex社製「Sysmex SE−9000」)により測定し、その測定結果に基づいて算出した。
また、PDGF−ABおよびVEGFの濃度は、それぞれELISA法(R&D Systems社製「Quantikine human PDGF−ABkit」および「Quantikine human VEGF kit」)により測定した。
【0075】
【表1】
Figure 2004041141
【0076】
第1表から明らかなように、本発明の細胞増殖剤の製造方法(実施例1〜3)によれば、血小板由来因子の指標である繊維芽細胞増殖能を有する血小板由来増殖因子(PDGF)を、被処理液(抗凝固血液)の約10倍と極めて濃い濃度で回収することができた。また、本発明の細胞増殖剤の製造方法(実施例1〜3)によれば、白血球由来因子の指標である血管新生能を有する血管内皮増殖因子(VEGF)を被処理液(抗凝固血液)の約13,000〜20,000倍と、極めて濃い濃度で回収することができた。
特に、ろ材の孔径に傾斜を持たせた場合(実施例1および2)は、血小板および白血球の回収率が極めて高く、その結果として、回収液のPDGF濃度およびVEGF濃度が極めて高かった。即ち、ろ材の孔径に傾斜を持たせることの有用性が確認された。
【0077】
これに対して、白血球インキュベート工程を行わない場合(比較例1)は、VEGF濃度が実施例に比べて極めて低く、白血球を捕捉した後にインキュベートすることの有用性が確認された。
【0078】
また、既存の白血球除去フィルター(血小板捕捉タイプ)を用いた場合(比較例2)は、実施例と同程度のVEGF濃度が得られるが、PDGF濃度が実施例に比べて極めて低かった。即ち、既存の白血球除去フィルター(血小板捕捉タイプ)では、血小板捕捉率は高いが、血小板由来因子を効率よく回収することができないことが確認された。これは、捕捉された血小板が、被処理液および洗浄液を流した段階で既に活性化されており、血小板由来因子が被処理液および洗浄液とともに排出されているためであると考えられる。洗浄液中のPDGF濃度が実施例に比較して高いことが、これを裏付けている。
【0079】
更に、白血球の捕捉と血小板の捕捉を異なるろ材で実施した場合(比較例3および4)は、回収されたPDGFおよびVEGFの絶対量としては実施例と同等レベルにあるものの、濃度が低かった。したがって、同一のろ材で血小板および白血球を捕捉し、捕捉された血小板および白血球から因子を回収することができる本発明の細胞増殖剤の製造方法は、その性能および操作性の観点から有用であることが分かる。
【0080】
更に、全血から調製した白血球血小板懸濁液を実施例1と同様な処理を行った場合(比較例5)は、実施例と比べてPDGF濃度およびVEGF濃度が低かった。
【0081】
以上の結果より、実施例1〜3では、比較例1〜5に比較して血小板由来因子および白血球由来因子を同時に高濃度で回収することができたことが分かる。
【0082】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明の細胞増殖剤の製造方法によれば、血小板および白血球を含有する液を血小板および白血球を捕捉しうるろ材に通した後、ろ材に捕捉された血小板の活性化処理と白血球のインキュベートとを行うことにより、血小板および白血球由来の主に血小板由来因子および血管内皮増殖因子からなる創傷治癒能を有する細胞増殖剤をクローズドの系(閉鎖系)で簡便に得ることができる。
また、本発明の細胞増殖剤は、上記因子を高濃度で含有するため、治療に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられるろ材を組み込んだ血小板・白血球捕捉フィルターの一例の構成を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10 血小板・白血球捕捉フィルター
20 ハウジング
21 流入口
22 流出口
31 プレフィルター部材
32 メインフィルター部材

Claims (5)

  1. 血小板および白血球を含有する被処理液を、ろ材に通して、前記被処理液中の前記血小板および前記白血球を前記ろ材に捕捉させる捕捉工程と、
    前記ろ材に捕捉された前記血小板の活性化処理を行い、血小板由来因子を分泌させる血小板活性化処理工程と、
    前記血小板活性化処理工程の後または前に行われる、前記ろ材に捕捉された前記白血球のインキュベートを行い、白血球由来因子を分泌させる白血球インキュベート工程と、
    前記血小板由来因子および前記白血球由来因子を回収して細胞増殖剤を得る回収工程と
    を具備する、細胞増殖剤の製造方法。
  2. 前記血小板由来因子が、少なくとも血小板由来増殖因子および血管内皮増殖因子を含み、前記白血球由来因子が、少なくとも血管内皮増殖因子を含む請求項1に記載の細胞増殖剤の製造方法。
  3. 前記活性化処理が、液体を前記血小板と接触させることにより刺激を与えることにより行われる請求項1または2に記載の細胞増殖剤の製造方法。
  4. 前記捕捉工程後に、洗浄液を前記ろ材に通して、前記ろ材に捕捉された前記血小板および白血球を洗浄する洗浄工程を具備する請求項1〜3のいずれかに記載の細胞増殖剤の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の細胞増殖剤の製造方法により得られる細胞増殖剤。
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