JP2004041102A - 農作物切揃え装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】農作物の不要部を切除する作業が正確且つ確実に行えると共に、新鮮な状態を長期間保つことができる農作物切揃え装置を提供する。
【解決手段】照光ランプ12a,12bから投光される検出光Bを、搬送コンベア2により搬送されるネギAの根部Aa及び茎部Abに照射し、撮像カメラ13で撮像した根部Aaのシルエット及び透過光Cの画像情報に基づいて、根部Aaの切断位置を制御装置18で判定する。制御装置18による判定に基づいて、切断装置20の吐出ノズル21を根部Aa上の切断位置まで移動させ、吐出ノズル21から吐出される水Wの吐出力により、ネギAの根部Aaを所定量切除する。
【選択図】 図1
【解決手段】照光ランプ12a,12bから投光される検出光Bを、搬送コンベア2により搬送されるネギAの根部Aa及び茎部Abに照射し、撮像カメラ13で撮像した根部Aaのシルエット及び透過光Cの画像情報に基づいて、根部Aaの切断位置を制御装置18で判定する。制御装置18による判定に基づいて、切断装置20の吐出ノズル21を根部Aa上の切断位置まで移動させ、吐出ノズル21から吐出される水Wの吐出力により、ネギAの根部Aaを所定量切除する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばネギやアスパラガス、胡瓜、茄子、人参、芋、ミカン、リンゴ、柿等の農作物(果菜物を含む)を切揃える作業に用いられる農作物切揃え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例のネギを市場に出荷する場合、商品価値を高めるためにネギの茎部外面を覆っている不必要又は食用に供し得ない表皮を機械的に分離するが、表皮を根部まで引き剥がしたとき、表皮と根部との繋がり部分が多いと、表皮が根部に残ってしまうことがあるため、ネギの根部を、表皮を分離するのに適した状態に切除する必要がある。その根部を切除する装置としては、例えばコンベアにより搬送されるネギの根部を、定位置に配設又は定位置に移動する回転刃により切除する装置(特許第3118417号公報、特開平10−108657号公報)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のネギは、生育状況によって茎部や根部の曲り具合が異なるため、ネギの根部を回転刃により切除するとき、根部の切除量にばらつきが生じやすい。且つ、回転刃を、ネギの根部周面に当接したとき、柔軟性を有するネギの根部が、回転刃の当接方向と相反する方向に対して湾曲するため、根部の切断位置が変位しやすく、略真っ直ぐに切除することが困難である。且つ、根部の表皮が剥れるか、切断面が荒くなる等の不都合が生じるため、綺麗に切除することが難しいという問題点を有している。
【0004】
また、根部の茎盤切除量が多いと、根部の切断面から内液が滲み出しやすくなるため、変色や腐敗の進行速度が速くなり、ネギの鮮度が短期間で失われる。また、根部の茎盤切除量が少ないと、複数の毛根が根部に残ってしまうため、見栄えが悪く、商品価値が損なわれる。且つ、不要な表皮を根部まで引き剥がしたとき、根部に接続された表皮の残り部分が多いと、表皮の剥ぎ取りミスが起きるか、表皮の一部が根部に残ることがあるため、不要な表皮を剥ぎ取るときに不都合が生じるという問題点を有している。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み流体吐出手段から吐出される略線条の流体を、農作物の不要部に設定された切断位置に吹付けて切除することにより、農作物の不要部を切除する作業が正確且つ確実に行え、新鮮な状態を長期間保つことができる農作物切揃え装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、農作物の不要部を切除するのに適した略線条の流体を、該不要部の切断位置に向けて吐出する流体吐出手段を備えた農作物切揃え装置であることを特徴とする。
【0007】
上述の農作物は、例えばネギやアスパラガス、胡瓜、茄子、人参、芋、ミカン、リンゴ、柿等の農作物(果菜物を含む)で構成することができる。その農作物の不要部は、例えばネギの根部及び茎盤で構成される。また、流体吐出手段は、例えばウォータジェットカッターやアブレシブジェットカッター等の切断装置及び例えば吐出ノズルと、供給路と、バルブと、供給ポンプと、水供給源等で構成することができる。また、流体は、例えばジェットカッター用の水や水道水、天然水、留水、薬液等の液体、或は、大気(エアー)や不活性ガス、不燃性ガス等の気体で構成することができる。且つ、その流体に、例えば金属やセラミックス、ガラス等の単一又は複合した材質からなる略粒状の研磨材を所定量混入することもできる。
【0008】
つまり、流体吐出手段から吐出される略線条の流体(例えばジェットカッター用の水)を、農作物(例えばネギ)の不要部に設定された切断位置(例えば根部の茎盤が所定量残る位置)に吹付け、その流体の吐出力により、農作物の不要部(例えば根部の茎盤)を所定量切除する。且つ、農作物の不要部に付着する異物(例えば農作物の葉や表皮、根、土、砂、泥、ゴミ等)も一緒に除去する。
【0009】
実施の形態として、上記農作物の不要部切断位置を検出する切断位置検出手段(例えばモノクロ及びカラーの撮像カメラやディジタルカメラ、ビデオカメラ、画像素子等の光学的検出手段)と、上記切断位置検出手段から出力される検出情報に基づいて、上記農作物の切断位置を決定する切断位置決定手段(例えばパーソナルコンピューターやCPU、ROM、RAMを備えた制御装置)と、上記切断位置決定手段による判定に基づいて、上記農作物の切断位置に対して流体吐出手段が対峙される位置に、該農作物及び流体吐出手段を相対移動する相対移動手段(例えば可動台や支持台、モータ、ロッドレスシリンダ、エアーシリンダ、ソレノイド、チェーン送り機構、ネジ送り機構、カム送り機構等)とを備えることができる。
【0010】
また、上記相対移動手段を、上記流体吐出手段を農作物の不要部に設定された切断位置と対向する位置に移動する位置変更手段で構成することができる。また、上記相対移動手段を、上記流体吐出手段を農作物の不要部に設定された切断位置と対向する角度に変位する角度変更手段で構成することができる。
【0011】
【作用及び効果】
この発明によれば、農作物の不要部を、流体吐出手段から吐出される略線条の流体により所定量切除するので、従来例のような回転刃で切除するよりも農作物の不要部に付与される接触抵抗が小さく、柔軟性を有する農作物の不要部が湾曲及び変位するのを防止することができ、農作物の不要部を所定量切除する作業が正確且つ確実に行える。且つ、流体の吹付け面積が小さいので、表皮が剥離及び切断面が粗雑になる等の型崩れを起こすことがなく、略真っ直ぐ及び見栄えの良い状態に切除することができると共に、切断部分の表面積を可能な限り小さくして、内液の滲み出す量を少なくするので、新鮮な状態を長期間保つことができる。
【0012】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0013】
図面は、農作物の一例であるネギを切揃える作業に用いられる農作物切揃え装置を示し、図1に於いて、この農作物切揃え装置1は、ネギAの不要な表皮を分離する皮剥ぎ工程前段に配設され、搬送コンベア2の載置台3…に載置されたネギAを搬送路上の切揃え区間に搬送すると共に、載置台3…に載置されたネギAの根部Aaを、切揃え区間に配設した切揃え装置10で皮剥ぎ処理に適した状態に切揃える装置である。
【0014】
上述の搬送コンベア2は、長尺のネギAが搬送方向に対して略直交する姿勢に載置される凹状の載置台3を、搬送路下部に張架した周回チェーン4…全長に対して所定間隔に隔てて取り付け、周回チェーン4…を減速機付きモータ(図示省略)の駆動力により搬送方向に回転して、ネギAが載置された載置台3…を搬送方向に対して連続的又は間欠的に周回移動する。
【0015】
且つ、載置台3は、根部Aa側を搬送路左側部に所定長さ突出した状態に支持する受け台3aと、茎部Abを略水平に支持する受け部3bと、葉部Acを略水平に支持する受け部3cとで構成される。また、搬送コンベア2の代わりに、例えばバケットコンベアやベルトコンベア、ローラコンベア、チェーンコンベア、ネギAが載置されるフリーのトレイ等を用いてもよい。
【0016】
前述の切揃え装置10は、図2にも示すように、照光ランプ12a,12b(例えばハロゲンランプ)から投光される検出光B以外の外光を遮光する遮光室11を搬送路上の検出区間に配設し、遮光室11内部に、根部Aaのシルエットが明確となる色(例えばブルー)及び透光性を有する略円筒状(例えばドラム型)の対比部材14を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面と対向して搬送路左側下部に配設している。
【0017】
且つ、対比部材14に内蔵した照光ランプ12aは、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面に向けて対比部材14を透過する高輝度の検出光Bを投光し、その対比部材14外周面に対接した払拭体15は、対比部材14をモータ(図示省略)で回転するとき、対比部材14周面に付着する異物(例えばネギの表皮や内液、水滴、ゴミ等)を払拭除去する。
【0018】
且つ、搬送路中央上部に配設した照光ランプ12bは、載置台3に載置されたネギAの根部Aa先端から所定距離(例えば略5cm〜略8cmの範囲に含まれる距離)だけ隔てられ茎部Ab上面と対向して配設され、ネギA内部を透過する高輝度の検出光B(例えば近赤外線)をネギAの茎部Ab上面に向けて投光する。好ましくは、根部Aa先端から略5cm又は略8cm程度離れた位置が最適であるが、例えば略5cm以上又は略8cm以下離れた位置に配設してもよい。
【0019】
且つ、撮像カメラ13(例えば白黒(モノクロ)のCCDカメラ)を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa上面と対向して配設している。また、茎盤Adの切除量を検出するための撮像カメラ(図示省略)を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa先端と対向して配設してもよい。
【0020】
且つ、遮光ベルト16を、照光ランプ12a,12bから投光される検出光Bが照射される茎部Ac上面と根部Aa上面との間に張架すると共に、その遮光ベルト16を、上述の搬送コンベア2の搬送速度と略同期して搬送方向に回転させ、ネギAの根部Aaを載置台3の受け台3aに押し付けながら、照光ランプ12bから撮像カメラ13に向けて直接投光される検出光Bを遮光する。また、遮光ベルト16の代わりに、例えば板状や暖簾状等の柔軟性を有する遮光幕体を用いてもよい。
【0021】
上述の撮像カメラ13に接続された画像処理装置17は、撮像カメラ13から出力されるシルエット画像及び透過画像を、根部Aaの切断位置を検出するのに適した情報形態(例えば2値化処理、透過率処理)して、上述の遮光ベルト16を除いた根部Aaの画像情報を制御装置18に出力する。
【0022】
且つ、画像処理装置17に接続された制御装置18(例えばパーソナルコンピューター)は、画像処理装置17から出力されるシルエット画像及び透過画像の画像情報に基づいて、根部Aaの切断位置(例えば茎盤Adが略2/3程度残される切断位置)を決定する。同時に、上述のネギA毎に決定される切断位置情報と、後述する番地読取り装置19aにより読取られる載置台3の番地情報とを対応させて記憶する。また、根部Aaの切断量を、例えば茎盤Adが略2/3程度以上残される位置又は以下残される位置に変更することもできる。
【0023】
且つ、載置台3毎に設定される番地情報又は載置台3と略対応して移動する番地情報を読取るための番地読取り装置19a,19bを搬送路下部に配設し、撮像カメラ13の撮像区間に配設した番地読取り装置19aと、後述する切断装置20の切断区間に配設した番地読取り装置19bとで読取った番地情報を制御装置18に出力する。
【0024】
なお、根部Aaのシルエット画像と、根部Aaを透過した透過光Cの透過画像とを、別々の撮像カメラ(図示省略)で撮像してもよい。また、上述の番地情報の代わりに、例えば載置台3自体に付設又は載置台3と略対応して移動する記録媒体(例えばバーコード、IDカード、磁気カード等)の固有情報を読取るか、切断位置情報やその他の計測情報を記録する等してもよい。或いは、切断装置20にネギAが到達するまでのタイムラグを計時してもよい。
【0025】
前述の検出区間後段に配設した切断装置20は、図3、図4にも示すように、略線条の水Wを吐出する吐出ノズル21を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa上面と対向して搬送路左側上部に設けると共に、ネギAの根部Aa上面に向けて略垂直又は略斜め下向きに水Wが吐出される角度に設定している。
【0026】
上述の吐出ノズル21は、供給路22と、バルブ23と、供給ポンプ24とを介して、水供給源25(例えば濾過機能を備えたタンクユニットや上水道の蛇口等)に接続され、バルブ23を開閉操作して、ネギAの根部Aaを切除するのに適した吐出圧及び吐出量に可変調節する。
【0027】
且つ、吐出ノズル21を、搬送路左側部に配設した可動台26に取り付けると共に、その可動台26に固定したモータ27(例えばロータリーサーボモータ)により搬送方向と略直交する方向に回動して、正面から見て上下方向に変形するネギAの根部Aaの曲り具合に応じて、その根部Aaを切除するのに適した吐出角度に変更及び調節する。
【0028】
且つ、可動台26を、搬送方向と略直交して搬送路左側部に配設した支持台28に取り付けると共に、その支持台28に固定したモータ29により、吐出ノズル21を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa上の切断位置と略対向する位置に移動して、その根部Aaを切除するのに適した位置に変更及び調節する。また、切断装置20の側部及び上部、略全体を、水Wの飛散を防止するためのカバー(図示省略)で囲繞してもよい。また、根部Aaの切断位置と略対向する位置に水平移動又はその切断位置と略対向する角度に上下回動してもよい。
【0029】
また、図5に示すように、吐出ノズル21を、搬送方向と略平行する方向に回動して、ネギAの根部Aaを切除するのに適した吐出角度に変更及び調節することもできる。
【0030】
且つ、吐出ノズル21から吐出する高圧の水Wと、茎部Abから分離された根部Aaと、根部Aa外面から分離された異物(例えば土や砂等)とを回収する回収槽30を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面と対向して搬送路左側下部に配設している。且つ、回収槽30の側壁を、ネギAの根部Aa先端よりも上位となる高さに立設して、吐出ノズル21から吐出される水Wが周囲に飛散するのを防止する。
【0031】
且つ、水W及び小さな異物のみの通過が許容されるネット状のフィルター30aを、回収槽30底部に形成した貯留槽30b上位に架設し、そのフィルター30a上に集積される根部Aaの残渣や大きな異物を、例えば作業者の手で定期的に回収して廃棄する。なお、上述の残渣や異物を、貯留槽30b上位に架設したコンベア(図示省略)により回収工程に搬送してもよい。また、ネット状のフィルター30aの代わりに、例えば複数の孔部が穿設されたパンチング板等を用いてもよい。
【0032】
一方、貯留槽30b底部を、一側底部に設けた排出口30cに向けて水Wが流下される角度に傾斜し、フィルター30aを通過し、貯留槽30bに滴下される水W及び小さな異物を排出口30cから排出する。なお、回収槽30から排出される汚液は、例えば濾過装置により清浄濾過して水供給源25に返還するか、汚水浄化装置や汚水処理施設等の排水手段を介して下水道及び河川に排水する。また、回収槽30の代わりに、例えば例えば筒状やスリット状、槽状等の受け部により吐出ノズル21から吐出する水Wを受けることもできる。
【0033】
実施例では、吐出ノズル21から吐出される1条の水Wを、載置台3に載置されたネギAの根部Aa上面に吹付けるが、例えば1台又は2台以上の載置台3に載置されたネギAの根部Aa上面に、複数の吐出ノズル21から吐出される水Wを吹付けてもよい。また、水Wの線径及び線幅を、ネギAの柔軟性や寸法等に応じて変更してもよい。
【0034】
図6は、農作物切揃え装置1の制御回路ブロック図を示し、制御装置18(例えばパーソナルコンピューター)にはCPU、ROM、RAMが内蔵され、CPUは、ROM(又はPROM)に格納されたプログラムに沿って、搬送コンベア2と、切揃え装置10及び撮像カメラ13と、遮光ベルト16と、画像処理装置17と、番地読取り装置19a,19bと、切断装置20との駆動及び停止を制御する。
【0035】
RAMには、撮像カメラ13及び画像処理装置17から出力される画像情報と、ネギA毎に決定される切断位置情報と、番地読取り装置19a,19bにより読取られる載置台3の番地情報と、切断装置20から出力される吐出ノズル21の移動量情報とを対応させて記憶する。
【0036】
上述の制御装置18は、モータ29から出力されるパルス信号に基づいて、載置台3左側部に突出する根部Aa先端を切断基準位置として、根部Aaの茎盤Adが所定量切除(例えば略2/3程度残る状態)される位置に到達するまでの吐出ノズル21の移動距離を演算及び算出する。
【0037】
且つ、撮像カメラ13の撮像区間に移動される載置台3の番地情報を番地読取り装置19aで読取り、その番地情報を制御装置18に出力すると共に、上述の移動量情報と、番地読取り装置19で読取った載置台3の番地情報とを対応させて制御装置18に記憶する。
【0038】
且つ、切断装置20の切断区間に移動される載置台3の番地情報を番地読取り装置19bで読取り、その番地情報を制御装置18に出力する。制御装置18は、番地読取り装置19bから出力される載置台3の番地情報と、RAMに記憶された番地情報とを比較して、同一の番地情報であるか否かを判定する。
【0039】
且つ、番地読取り装置19bで読取った番地情報と対応する切断位置情報をRAMから読み出し、そのRAMに記憶された切断位置情報に基づいて、モータ29を所定量回転させ、吐出ノズル21を、根部Aaの茎盤Adが所定量切除される位置に移動する。また、RAMに記憶された切断情報は、終端側から始端側に回帰するときに消去又は上書きする。
【0040】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、農作物切揃え装置の作用動作を説明する。
【0041】
先ず、図1、図2に示すように、ネギA…を、搬送方向に対して略直交する姿勢に揃えて搬送コンベア2の載置台3…に載置すると共に、根部Aa先端を、例えばベルトや板等の揃え部(図示省略)に押し当てる等して、搬送方向に対して載置台3左側部に所定長さ突出(例えば略3cm)する状態に揃えながら切揃え区間に搬送する。
【0042】
次に、切揃え区間において、ネギAの根部Aa側を、切揃え装置10の遮光ベルト16で載置台3に押し付けながら搬送し、照光ランプ12aから投光される検出光Bを、対比部材14を透過させて、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面に対して下方から照射し、根部Aaのシルエットを撮像カメラ13で撮像して、その画像情報を画像処理装置17に出力する。
【0043】
且つ、照光ランプ12bから投光される検出光Bを、載置台3に載置されたネギAの茎部Ab上面に対して上方から照射し、茎部Abから根部Aaに向けて透過し、ネギAの根部Aa上面に透過する透過光Cを撮像カメラ13で撮像して、その画像情報を画像処理装置17に出力する。
【0044】
且つ、制御装置18は、撮像カメラ13から出力されるシルエット画像及び透過情報に基づいて、根部Aaの切断位置を算出及び決定すると共に、上述の切断位置情報と、番地読取り装置19aで読取った載置台3の番地情報とを対応させて制御装置18に記憶する。
【0045】
次に、ネギAが載置された載置台3を切断装置20の切断区間に移動したとき、番地読取り装置19bで読取った載置台3の番地情報と対応する切断位置情報を読出し、その切断位置情報に基づいて、切断装置20を駆動する。
【0046】
つまり、図3、図4に示すように、切断装置20の吐出ノズル21を、ネギA毎に決定された根部Aaの切断位置まで移動させ、吐出ノズル21から吐出される略線条を有する高圧の水Wを、根部Aaの切断位置に向けて略垂直又は略斜め下向きに吹付けると共に、その水Wの吐出力により、ネギAの根部Aaを、茎盤Adが所定量残る程度に切除する。この後、茎盤切除済みのネギAを、次工程(例えば皮剥ぎ工程や選別工程等)に搬送する。
【0047】
また、吐出ノズル21を、ネギA毎に決定された切断位置まで段階的に移動して、ネギAの根部Aaを、茎盤Adが所定量残る程度に仕上げ切除することもできる。つまり、根部Aaの茎盤Adを、不要な表皮を剥ぎ取るのに適した状態に切除するので、表皮を根部Aaまで引き剥がしたとき、根部Aaに接続された表皮の残り部分が少なく、表皮を剥ぎ取る処理が容易に行える。以下、上述と同様にして、ネギAの切揃え作業を継続して行う。
【0048】
以上のように、ネギAの根部Aaを、吐出ノズル21から吐出される略線条の水Wにより所定量切除するので、従来例のような回転刃で切除するよりもネギAの根部Aaに付与される接触抵抗が小さく、柔軟性を有するネギAの根部Aaが湾曲及び変位するのを防止することができ、ネギAの根部Aaを所定量切除する作業が正確且つ確実に行える。
【0049】
且つ、水Wの吹付け面積が小さいので、茎部Abの表皮が剥離及び切断面が粗雑になる等の型崩れを起こすことがなく、略真っ直ぐ及び見栄えの良い状態に切除することができると共に、根部Aaの切断部分の表面積を可能な限り小さくして、茎部Ab内部の内液の滲み出す量を少なくするので、新鮮な状態を長期間保つことができる。且つ、ネギAの根部Aaに付着する異物も水Wにより洗浄及び除去するので、根部Aaの切断位置を判定するのに必要な画像情報が得られる。
【0050】
なお、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0051】
上述の切断装置20を構成する吐出ノズル21を、例えば図7に示すように、搬送方向と略平行及び略直交する2軸方向(X軸方向及びY軸方向)に対して移動自在に設けてもよく、平面から見て前後方向に対して変形するネギAの根部Aaを、その根部Aaの曲り具合に応じて斜め方向に切断するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0052】
また、吐出ノズル21を、例えばロッドレスシリンダやエアーシリンダ、モータ等の昇降手段により、載置台3に載置されたネギAの根部Aa周面と対向して略鉛直方向に上下動及び略径方向に進退移動する等してもよく、根部Aaを切除するのに適した対向間隔に可変調節することができる。
【0053】
また、切揃え区間前段において、ネギAの根部Aa上面を覆っている異物をエアー及び水で洗浄及び除去したり、上述の切断装置20で根部Aa先端に突出する複数の長い毛根を予め荒切り処理する等してもよく、根部Aaの切断位置を判定するのに必要な画像情報が得られる。
【0054】
また、上述の農作物切揃え装置1を、搬送コンベア2の搬送路上に設定した複数の切揃え区間にそれぞれ配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】農作物切揃え装置によるネギの切揃え動作を示す斜視図。
【図2】シルエット及び透過光による根部の切断位置検出方法を示す正面図。
【図3】切断装置によるネギの切除動作を示す正面図。
【図4】根部の切除方法を示す拡大正面図。
【図5】根部の他の切除方法を示す拡大側面図。
【図6】農作物切揃え装置の制御回路ブロック図。
【図7】前後方向に変形する根部の切除方法を示す平面図。
【符号の説明】
A…ネギ
Aa…根部
Ad…茎盤
W…水
1…農作物切揃え装置
2…搬送コンベア
3…載置台
10…切揃え装置
12a,12b…照光ランプ
13…撮像カメラ
18…制御装置
20…切断装置
21…吐出ノズル
24…供給ポンプ
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばネギやアスパラガス、胡瓜、茄子、人参、芋、ミカン、リンゴ、柿等の農作物(果菜物を含む)を切揃える作業に用いられる農作物切揃え装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例のネギを市場に出荷する場合、商品価値を高めるためにネギの茎部外面を覆っている不必要又は食用に供し得ない表皮を機械的に分離するが、表皮を根部まで引き剥がしたとき、表皮と根部との繋がり部分が多いと、表皮が根部に残ってしまうことがあるため、ネギの根部を、表皮を分離するのに適した状態に切除する必要がある。その根部を切除する装置としては、例えばコンベアにより搬送されるネギの根部を、定位置に配設又は定位置に移動する回転刃により切除する装置(特許第3118417号公報、特開平10−108657号公報)がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のネギは、生育状況によって茎部や根部の曲り具合が異なるため、ネギの根部を回転刃により切除するとき、根部の切除量にばらつきが生じやすい。且つ、回転刃を、ネギの根部周面に当接したとき、柔軟性を有するネギの根部が、回転刃の当接方向と相反する方向に対して湾曲するため、根部の切断位置が変位しやすく、略真っ直ぐに切除することが困難である。且つ、根部の表皮が剥れるか、切断面が荒くなる等の不都合が生じるため、綺麗に切除することが難しいという問題点を有している。
【0004】
また、根部の茎盤切除量が多いと、根部の切断面から内液が滲み出しやすくなるため、変色や腐敗の進行速度が速くなり、ネギの鮮度が短期間で失われる。また、根部の茎盤切除量が少ないと、複数の毛根が根部に残ってしまうため、見栄えが悪く、商品価値が損なわれる。且つ、不要な表皮を根部まで引き剥がしたとき、根部に接続された表皮の残り部分が多いと、表皮の剥ぎ取りミスが起きるか、表皮の一部が根部に残ることがあるため、不要な表皮を剥ぎ取るときに不都合が生じるという問題点を有している。
【0005】
この発明は上記問題に鑑み流体吐出手段から吐出される略線条の流体を、農作物の不要部に設定された切断位置に吹付けて切除することにより、農作物の不要部を切除する作業が正確且つ確実に行え、新鮮な状態を長期間保つことができる農作物切揃え装置の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は、農作物の不要部を切除するのに適した略線条の流体を、該不要部の切断位置に向けて吐出する流体吐出手段を備えた農作物切揃え装置であることを特徴とする。
【0007】
上述の農作物は、例えばネギやアスパラガス、胡瓜、茄子、人参、芋、ミカン、リンゴ、柿等の農作物(果菜物を含む)で構成することができる。その農作物の不要部は、例えばネギの根部及び茎盤で構成される。また、流体吐出手段は、例えばウォータジェットカッターやアブレシブジェットカッター等の切断装置及び例えば吐出ノズルと、供給路と、バルブと、供給ポンプと、水供給源等で構成することができる。また、流体は、例えばジェットカッター用の水や水道水、天然水、留水、薬液等の液体、或は、大気(エアー)や不活性ガス、不燃性ガス等の気体で構成することができる。且つ、その流体に、例えば金属やセラミックス、ガラス等の単一又は複合した材質からなる略粒状の研磨材を所定量混入することもできる。
【0008】
つまり、流体吐出手段から吐出される略線条の流体(例えばジェットカッター用の水)を、農作物(例えばネギ)の不要部に設定された切断位置(例えば根部の茎盤が所定量残る位置)に吹付け、その流体の吐出力により、農作物の不要部(例えば根部の茎盤)を所定量切除する。且つ、農作物の不要部に付着する異物(例えば農作物の葉や表皮、根、土、砂、泥、ゴミ等)も一緒に除去する。
【0009】
実施の形態として、上記農作物の不要部切断位置を検出する切断位置検出手段(例えばモノクロ及びカラーの撮像カメラやディジタルカメラ、ビデオカメラ、画像素子等の光学的検出手段)と、上記切断位置検出手段から出力される検出情報に基づいて、上記農作物の切断位置を決定する切断位置決定手段(例えばパーソナルコンピューターやCPU、ROM、RAMを備えた制御装置)と、上記切断位置決定手段による判定に基づいて、上記農作物の切断位置に対して流体吐出手段が対峙される位置に、該農作物及び流体吐出手段を相対移動する相対移動手段(例えば可動台や支持台、モータ、ロッドレスシリンダ、エアーシリンダ、ソレノイド、チェーン送り機構、ネジ送り機構、カム送り機構等)とを備えることができる。
【0010】
また、上記相対移動手段を、上記流体吐出手段を農作物の不要部に設定された切断位置と対向する位置に移動する位置変更手段で構成することができる。また、上記相対移動手段を、上記流体吐出手段を農作物の不要部に設定された切断位置と対向する角度に変位する角度変更手段で構成することができる。
【0011】
【作用及び効果】
この発明によれば、農作物の不要部を、流体吐出手段から吐出される略線条の流体により所定量切除するので、従来例のような回転刃で切除するよりも農作物の不要部に付与される接触抵抗が小さく、柔軟性を有する農作物の不要部が湾曲及び変位するのを防止することができ、農作物の不要部を所定量切除する作業が正確且つ確実に行える。且つ、流体の吹付け面積が小さいので、表皮が剥離及び切断面が粗雑になる等の型崩れを起こすことがなく、略真っ直ぐ及び見栄えの良い状態に切除することができると共に、切断部分の表面積を可能な限り小さくして、内液の滲み出す量を少なくするので、新鮮な状態を長期間保つことができる。
【0012】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
【0013】
図面は、農作物の一例であるネギを切揃える作業に用いられる農作物切揃え装置を示し、図1に於いて、この農作物切揃え装置1は、ネギAの不要な表皮を分離する皮剥ぎ工程前段に配設され、搬送コンベア2の載置台3…に載置されたネギAを搬送路上の切揃え区間に搬送すると共に、載置台3…に載置されたネギAの根部Aaを、切揃え区間に配設した切揃え装置10で皮剥ぎ処理に適した状態に切揃える装置である。
【0014】
上述の搬送コンベア2は、長尺のネギAが搬送方向に対して略直交する姿勢に載置される凹状の載置台3を、搬送路下部に張架した周回チェーン4…全長に対して所定間隔に隔てて取り付け、周回チェーン4…を減速機付きモータ(図示省略)の駆動力により搬送方向に回転して、ネギAが載置された載置台3…を搬送方向に対して連続的又は間欠的に周回移動する。
【0015】
且つ、載置台3は、根部Aa側を搬送路左側部に所定長さ突出した状態に支持する受け台3aと、茎部Abを略水平に支持する受け部3bと、葉部Acを略水平に支持する受け部3cとで構成される。また、搬送コンベア2の代わりに、例えばバケットコンベアやベルトコンベア、ローラコンベア、チェーンコンベア、ネギAが載置されるフリーのトレイ等を用いてもよい。
【0016】
前述の切揃え装置10は、図2にも示すように、照光ランプ12a,12b(例えばハロゲンランプ)から投光される検出光B以外の外光を遮光する遮光室11を搬送路上の検出区間に配設し、遮光室11内部に、根部Aaのシルエットが明確となる色(例えばブルー)及び透光性を有する略円筒状(例えばドラム型)の対比部材14を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面と対向して搬送路左側下部に配設している。
【0017】
且つ、対比部材14に内蔵した照光ランプ12aは、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面に向けて対比部材14を透過する高輝度の検出光Bを投光し、その対比部材14外周面に対接した払拭体15は、対比部材14をモータ(図示省略)で回転するとき、対比部材14周面に付着する異物(例えばネギの表皮や内液、水滴、ゴミ等)を払拭除去する。
【0018】
且つ、搬送路中央上部に配設した照光ランプ12bは、載置台3に載置されたネギAの根部Aa先端から所定距離(例えば略5cm〜略8cmの範囲に含まれる距離)だけ隔てられ茎部Ab上面と対向して配設され、ネギA内部を透過する高輝度の検出光B(例えば近赤外線)をネギAの茎部Ab上面に向けて投光する。好ましくは、根部Aa先端から略5cm又は略8cm程度離れた位置が最適であるが、例えば略5cm以上又は略8cm以下離れた位置に配設してもよい。
【0019】
且つ、撮像カメラ13(例えば白黒(モノクロ)のCCDカメラ)を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa上面と対向して配設している。また、茎盤Adの切除量を検出するための撮像カメラ(図示省略)を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa先端と対向して配設してもよい。
【0020】
且つ、遮光ベルト16を、照光ランプ12a,12bから投光される検出光Bが照射される茎部Ac上面と根部Aa上面との間に張架すると共に、その遮光ベルト16を、上述の搬送コンベア2の搬送速度と略同期して搬送方向に回転させ、ネギAの根部Aaを載置台3の受け台3aに押し付けながら、照光ランプ12bから撮像カメラ13に向けて直接投光される検出光Bを遮光する。また、遮光ベルト16の代わりに、例えば板状や暖簾状等の柔軟性を有する遮光幕体を用いてもよい。
【0021】
上述の撮像カメラ13に接続された画像処理装置17は、撮像カメラ13から出力されるシルエット画像及び透過画像を、根部Aaの切断位置を検出するのに適した情報形態(例えば2値化処理、透過率処理)して、上述の遮光ベルト16を除いた根部Aaの画像情報を制御装置18に出力する。
【0022】
且つ、画像処理装置17に接続された制御装置18(例えばパーソナルコンピューター)は、画像処理装置17から出力されるシルエット画像及び透過画像の画像情報に基づいて、根部Aaの切断位置(例えば茎盤Adが略2/3程度残される切断位置)を決定する。同時に、上述のネギA毎に決定される切断位置情報と、後述する番地読取り装置19aにより読取られる載置台3の番地情報とを対応させて記憶する。また、根部Aaの切断量を、例えば茎盤Adが略2/3程度以上残される位置又は以下残される位置に変更することもできる。
【0023】
且つ、載置台3毎に設定される番地情報又は載置台3と略対応して移動する番地情報を読取るための番地読取り装置19a,19bを搬送路下部に配設し、撮像カメラ13の撮像区間に配設した番地読取り装置19aと、後述する切断装置20の切断区間に配設した番地読取り装置19bとで読取った番地情報を制御装置18に出力する。
【0024】
なお、根部Aaのシルエット画像と、根部Aaを透過した透過光Cの透過画像とを、別々の撮像カメラ(図示省略)で撮像してもよい。また、上述の番地情報の代わりに、例えば載置台3自体に付設又は載置台3と略対応して移動する記録媒体(例えばバーコード、IDカード、磁気カード等)の固有情報を読取るか、切断位置情報やその他の計測情報を記録する等してもよい。或いは、切断装置20にネギAが到達するまでのタイムラグを計時してもよい。
【0025】
前述の検出区間後段に配設した切断装置20は、図3、図4にも示すように、略線条の水Wを吐出する吐出ノズル21を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa上面と対向して搬送路左側上部に設けると共に、ネギAの根部Aa上面に向けて略垂直又は略斜め下向きに水Wが吐出される角度に設定している。
【0026】
上述の吐出ノズル21は、供給路22と、バルブ23と、供給ポンプ24とを介して、水供給源25(例えば濾過機能を備えたタンクユニットや上水道の蛇口等)に接続され、バルブ23を開閉操作して、ネギAの根部Aaを切除するのに適した吐出圧及び吐出量に可変調節する。
【0027】
且つ、吐出ノズル21を、搬送路左側部に配設した可動台26に取り付けると共に、その可動台26に固定したモータ27(例えばロータリーサーボモータ)により搬送方向と略直交する方向に回動して、正面から見て上下方向に変形するネギAの根部Aaの曲り具合に応じて、その根部Aaを切除するのに適した吐出角度に変更及び調節する。
【0028】
且つ、可動台26を、搬送方向と略直交して搬送路左側部に配設した支持台28に取り付けると共に、その支持台28に固定したモータ29により、吐出ノズル21を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa上の切断位置と略対向する位置に移動して、その根部Aaを切除するのに適した位置に変更及び調節する。また、切断装置20の側部及び上部、略全体を、水Wの飛散を防止するためのカバー(図示省略)で囲繞してもよい。また、根部Aaの切断位置と略対向する位置に水平移動又はその切断位置と略対向する角度に上下回動してもよい。
【0029】
また、図5に示すように、吐出ノズル21を、搬送方向と略平行する方向に回動して、ネギAの根部Aaを切除するのに適した吐出角度に変更及び調節することもできる。
【0030】
且つ、吐出ノズル21から吐出する高圧の水Wと、茎部Abから分離された根部Aaと、根部Aa外面から分離された異物(例えば土や砂等)とを回収する回収槽30を、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面と対向して搬送路左側下部に配設している。且つ、回収槽30の側壁を、ネギAの根部Aa先端よりも上位となる高さに立設して、吐出ノズル21から吐出される水Wが周囲に飛散するのを防止する。
【0031】
且つ、水W及び小さな異物のみの通過が許容されるネット状のフィルター30aを、回収槽30底部に形成した貯留槽30b上位に架設し、そのフィルター30a上に集積される根部Aaの残渣や大きな異物を、例えば作業者の手で定期的に回収して廃棄する。なお、上述の残渣や異物を、貯留槽30b上位に架設したコンベア(図示省略)により回収工程に搬送してもよい。また、ネット状のフィルター30aの代わりに、例えば複数の孔部が穿設されたパンチング板等を用いてもよい。
【0032】
一方、貯留槽30b底部を、一側底部に設けた排出口30cに向けて水Wが流下される角度に傾斜し、フィルター30aを通過し、貯留槽30bに滴下される水W及び小さな異物を排出口30cから排出する。なお、回収槽30から排出される汚液は、例えば濾過装置により清浄濾過して水供給源25に返還するか、汚水浄化装置や汚水処理施設等の排水手段を介して下水道及び河川に排水する。また、回収槽30の代わりに、例えば例えば筒状やスリット状、槽状等の受け部により吐出ノズル21から吐出する水Wを受けることもできる。
【0033】
実施例では、吐出ノズル21から吐出される1条の水Wを、載置台3に載置されたネギAの根部Aa上面に吹付けるが、例えば1台又は2台以上の載置台3に載置されたネギAの根部Aa上面に、複数の吐出ノズル21から吐出される水Wを吹付けてもよい。また、水Wの線径及び線幅を、ネギAの柔軟性や寸法等に応じて変更してもよい。
【0034】
図6は、農作物切揃え装置1の制御回路ブロック図を示し、制御装置18(例えばパーソナルコンピューター)にはCPU、ROM、RAMが内蔵され、CPUは、ROM(又はPROM)に格納されたプログラムに沿って、搬送コンベア2と、切揃え装置10及び撮像カメラ13と、遮光ベルト16と、画像処理装置17と、番地読取り装置19a,19bと、切断装置20との駆動及び停止を制御する。
【0035】
RAMには、撮像カメラ13及び画像処理装置17から出力される画像情報と、ネギA毎に決定される切断位置情報と、番地読取り装置19a,19bにより読取られる載置台3の番地情報と、切断装置20から出力される吐出ノズル21の移動量情報とを対応させて記憶する。
【0036】
上述の制御装置18は、モータ29から出力されるパルス信号に基づいて、載置台3左側部に突出する根部Aa先端を切断基準位置として、根部Aaの茎盤Adが所定量切除(例えば略2/3程度残る状態)される位置に到達するまでの吐出ノズル21の移動距離を演算及び算出する。
【0037】
且つ、撮像カメラ13の撮像区間に移動される載置台3の番地情報を番地読取り装置19aで読取り、その番地情報を制御装置18に出力すると共に、上述の移動量情報と、番地読取り装置19で読取った載置台3の番地情報とを対応させて制御装置18に記憶する。
【0038】
且つ、切断装置20の切断区間に移動される載置台3の番地情報を番地読取り装置19bで読取り、その番地情報を制御装置18に出力する。制御装置18は、番地読取り装置19bから出力される載置台3の番地情報と、RAMに記憶された番地情報とを比較して、同一の番地情報であるか否かを判定する。
【0039】
且つ、番地読取り装置19bで読取った番地情報と対応する切断位置情報をRAMから読み出し、そのRAMに記憶された切断位置情報に基づいて、モータ29を所定量回転させ、吐出ノズル21を、根部Aaの茎盤Adが所定量切除される位置に移動する。また、RAMに記憶された切断情報は、終端側から始端側に回帰するときに消去又は上書きする。
【0040】
図示実施例は上記の如く構成するものにして、以下、農作物切揃え装置の作用動作を説明する。
【0041】
先ず、図1、図2に示すように、ネギA…を、搬送方向に対して略直交する姿勢に揃えて搬送コンベア2の載置台3…に載置すると共に、根部Aa先端を、例えばベルトや板等の揃え部(図示省略)に押し当てる等して、搬送方向に対して載置台3左側部に所定長さ突出(例えば略3cm)する状態に揃えながら切揃え区間に搬送する。
【0042】
次に、切揃え区間において、ネギAの根部Aa側を、切揃え装置10の遮光ベルト16で載置台3に押し付けながら搬送し、照光ランプ12aから投光される検出光Bを、対比部材14を透過させて、載置台3左側部に突出するネギAの根部Aa下面に対して下方から照射し、根部Aaのシルエットを撮像カメラ13で撮像して、その画像情報を画像処理装置17に出力する。
【0043】
且つ、照光ランプ12bから投光される検出光Bを、載置台3に載置されたネギAの茎部Ab上面に対して上方から照射し、茎部Abから根部Aaに向けて透過し、ネギAの根部Aa上面に透過する透過光Cを撮像カメラ13で撮像して、その画像情報を画像処理装置17に出力する。
【0044】
且つ、制御装置18は、撮像カメラ13から出力されるシルエット画像及び透過情報に基づいて、根部Aaの切断位置を算出及び決定すると共に、上述の切断位置情報と、番地読取り装置19aで読取った載置台3の番地情報とを対応させて制御装置18に記憶する。
【0045】
次に、ネギAが載置された載置台3を切断装置20の切断区間に移動したとき、番地読取り装置19bで読取った載置台3の番地情報と対応する切断位置情報を読出し、その切断位置情報に基づいて、切断装置20を駆動する。
【0046】
つまり、図3、図4に示すように、切断装置20の吐出ノズル21を、ネギA毎に決定された根部Aaの切断位置まで移動させ、吐出ノズル21から吐出される略線条を有する高圧の水Wを、根部Aaの切断位置に向けて略垂直又は略斜め下向きに吹付けると共に、その水Wの吐出力により、ネギAの根部Aaを、茎盤Adが所定量残る程度に切除する。この後、茎盤切除済みのネギAを、次工程(例えば皮剥ぎ工程や選別工程等)に搬送する。
【0047】
また、吐出ノズル21を、ネギA毎に決定された切断位置まで段階的に移動して、ネギAの根部Aaを、茎盤Adが所定量残る程度に仕上げ切除することもできる。つまり、根部Aaの茎盤Adを、不要な表皮を剥ぎ取るのに適した状態に切除するので、表皮を根部Aaまで引き剥がしたとき、根部Aaに接続された表皮の残り部分が少なく、表皮を剥ぎ取る処理が容易に行える。以下、上述と同様にして、ネギAの切揃え作業を継続して行う。
【0048】
以上のように、ネギAの根部Aaを、吐出ノズル21から吐出される略線条の水Wにより所定量切除するので、従来例のような回転刃で切除するよりもネギAの根部Aaに付与される接触抵抗が小さく、柔軟性を有するネギAの根部Aaが湾曲及び変位するのを防止することができ、ネギAの根部Aaを所定量切除する作業が正確且つ確実に行える。
【0049】
且つ、水Wの吹付け面積が小さいので、茎部Abの表皮が剥離及び切断面が粗雑になる等の型崩れを起こすことがなく、略真っ直ぐ及び見栄えの良い状態に切除することができると共に、根部Aaの切断部分の表面積を可能な限り小さくして、茎部Ab内部の内液の滲み出す量を少なくするので、新鮮な状態を長期間保つことができる。且つ、ネギAの根部Aaに付着する異物も水Wにより洗浄及び除去するので、根部Aaの切断位置を判定するのに必要な画像情報が得られる。
【0050】
なお、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0051】
上述の切断装置20を構成する吐出ノズル21を、例えば図7に示すように、搬送方向と略平行及び略直交する2軸方向(X軸方向及びY軸方向)に対して移動自在に設けてもよく、平面から見て前後方向に対して変形するネギAの根部Aaを、その根部Aaの曲り具合に応じて斜め方向に切断するので、前述の実施例と略同等の作用及び効果を奏することができる。
【0052】
また、吐出ノズル21を、例えばロッドレスシリンダやエアーシリンダ、モータ等の昇降手段により、載置台3に載置されたネギAの根部Aa周面と対向して略鉛直方向に上下動及び略径方向に進退移動する等してもよく、根部Aaを切除するのに適した対向間隔に可変調節することができる。
【0053】
また、切揃え区間前段において、ネギAの根部Aa上面を覆っている異物をエアー及び水で洗浄及び除去したり、上述の切断装置20で根部Aa先端に突出する複数の長い毛根を予め荒切り処理する等してもよく、根部Aaの切断位置を判定するのに必要な画像情報が得られる。
【0054】
また、上述の農作物切揃え装置1を、搬送コンベア2の搬送路上に設定した複数の切揃え区間にそれぞれ配設してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】農作物切揃え装置によるネギの切揃え動作を示す斜視図。
【図2】シルエット及び透過光による根部の切断位置検出方法を示す正面図。
【図3】切断装置によるネギの切除動作を示す正面図。
【図4】根部の切除方法を示す拡大正面図。
【図5】根部の他の切除方法を示す拡大側面図。
【図6】農作物切揃え装置の制御回路ブロック図。
【図7】前後方向に変形する根部の切除方法を示す平面図。
【符号の説明】
A…ネギ
Aa…根部
Ad…茎盤
W…水
1…農作物切揃え装置
2…搬送コンベア
3…載置台
10…切揃え装置
12a,12b…照光ランプ
13…撮像カメラ
18…制御装置
20…切断装置
21…吐出ノズル
24…供給ポンプ
Claims (4)
- 農作物の不要部を切除するのに適した略線条の流体を、該不要部の切断位置に向けて吐出する流体吐出手段を備えた
農作物切揃え装置。 - 上記農作物の不要部切断位置を検出する切断位置検出手段と、
上記切断位置検出手段から出力される検出情報に基づいて、上記農作物の切断位置を決定する切断位置決定手段と、
上記切断位置決定手段による判定に基づいて、上記農作物の切断位置に対して流体吐出手段が対峙される位置に、該農作物及び流体吐出手段を相対移動する相対移動手段とを備えた
請求項1記載の農作物切揃え装置。 - 上記相対移動手段を、上記流体吐出手段を農作物の不要部に設定された切断位置と対向する位置に移動する位置変更手段で構成した
請求項2記載の農作物切揃え装置。 - 上記相対移動手段を、上記流体吐出手段を農作物の不要部に設定された切断位置と対向する角度に変位する角度変更手段で構成した
請求項2又は3記載の農作物切揃え装置。
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