JP2004040444A - Adsl用フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】ADSLの通信回線を用いるLANシステムのパソコン間の通信速度が低下することのないADSL用フィルタを提供する。また、最適な磁性体を磁心にしたインダクタと、コンデンサを最適値に設定し、さらに組み立て工数を低減する。
【解決手段】配線基板9の両端に2端子のプラグコネクタ7と3端子のインレットコネクタ8とを備え、該コネクタ間に静電容量値が0.5〜2μFのクロスラインコンデンサ、1,2、3〜30mHの超微粒子非晶質軟磁性体閉磁路コアのコモンモードインダクタ5,6、静電容量値を10000PF〜50000PFの接地コンデンサ3,4が接続された基板9を、両端にコネクタ嵌合部12,13を備えるケースに収容し、保持させたADSL用フィルタを構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】配線基板9の両端に2端子のプラグコネクタ7と3端子のインレットコネクタ8とを備え、該コネクタ間に静電容量値が0.5〜2μFのクロスラインコンデンサ、1,2、3〜30mHの超微粒子非晶質軟磁性体閉磁路コアのコモンモードインダクタ5,6、静電容量値を10000PF〜50000PFの接地コンデンサ3,4が接続された基板9を、両端にコネクタ嵌合部12,13を備えるケースに収容し、保持させたADSL用フィルタを構成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ADSL(Asymmetric Digital Subscribe Line)の通信回線に用いるADSLモデム(変復調器)の電源部に接続して電源ノイズを遮断し、通信速度を上げるためのADSL用フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ADSLの通信回線に用いるADSLモデム(変復調器)の電源部からのノイズの影響を受けてLAN(Local Area Network)システムのパソコン間の通信速度が低下していた。ADSLの通信回線に用いられる信号周波数は、100KHz〜1MHzの帯域にあり、この周波数帯域に電源からのノイズが侵入すると、通信信号と混同されるため通信速度を低下させていた。
【0003】
対策として電源ノイズを遮断するするために、ADSLモデムの電源部にラインフィルタを接続していたが、従来のラインフィルタでは前記周波数帯域のノイズ減衰量が不充分であり、通信速度の向上は得られなかった。また、従来のラインフィルタのインダクタは、珪素鋼板の積層コアやフェライトコアを磁心に用いていたため、 珪素鋼板の積層コアでは高周波帯域での減数量が得られず、また、フェライトコアでは、低周波帯域での減衰量が得られなかった。
【0004】
このため、減衰周波数帯域を広帯域化するために、珪素鋼板の積層コアとフェライトコアを抱き合わせた複合磁心や、図4の回路図に示すようにコモンモードインダクタL1,L2に珪素鋼板の積層コアを用い、ノーマルモードインダクタL3、L4にフェライト磁心を用いて直列接続したフィルタなどが構成されていたが、形状が大きくなりコストアップの要因となっていた。また従来は、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定にネジを用いていたため、ケースへのネジ止め固定は煩雑な作業であり、またケース側面にネジ頭が露出するので外観上も好ましくなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部からのノイズの影響を受けてLANシステムのパソコン間の通信速度が低下することのないADSL用フィルタを提供することである。また、最適な磁性体を磁心にしたインダクタを採用して、小型化と減衰周波数帯域の広帯域化を実現し、さらに、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定作業の簡素化を図り、製品の外観を良くしコスト低減することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部に接続して電源ノイズを遮断するADSL用フィルタであって、配線基板の一端にプラグコネクタを他端にインレットコネクタを備え、該コネクタ間に入力側コンデンサ、コモンモードインダクタ、および出力側コンデンサよりなるノイズフィルタが接続され、絶縁ケースに収容されてなるADSL用フィルタを構成する。
【0007】
前記配線基板の両端のコネクタは、2端子のプラグコネクタと2端子のインレットコネクタを用い、フィルタに接地端子がある場合は、ケースの外部に接地端子を導出したADSL用フィルタを構成する。
【0008】
また本発明は、前記インダクタに超微粒子非晶質軟磁性体を用いた閉磁路コアに、導線が捲回されてなるコモンモードインダクタであり、インダクタンス値が3〜30mHの範囲にあるADSL用フィルタを構成する。 図3に示す回路のように、電源ノイズのノーマルモードノイズは、クロスラインコンデンサC1、C2により減衰させ、コモンモードノイズ成分はコモンモードインダクタL1、L2、および接地コンデンサ(Yコン)C3,C4で減衰させる。ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)のノーマルモードノイズを減衰させるノーマルモードインダクタのインダクタンス値は、少なくとも3〜30mHの範囲で形成することが必要である。
【0009】
また本発明は、前記入力、あるいは出力側コンデンサに、静電容量値が0.5〜2μFの範囲のクロスラインコンデンサ、あるいは静電容量値が10000〜50000PFの範囲にある2個の接地コンデンサと、静電容量値が0.5〜2μFの範囲のクロスラインコンデンサとを接続したADSL用フィルタを構成する。
【0010】
すなわち、部品端子の挿入穴と配線電極が形成された配線基板に、図3の回路図に示すように2端子のプラグコネクタ、クロスラインコンデンサC1、インダクタL1、L2、クロスラインコンデンサC2、接地コンデンサC3、C4、および接地端子を備える3端子のインレットコネクタの順に搭載し、はんだ接続してケースに収容する。
【0011】
ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)のノーマルモードノイズを減衰させるクロスラインコンデンサC1、C2の静電容量値は、少なくとも0.5〜2μFの範囲にあることが必要である。また、前記周波数帯域のノーマルモード、および主にコモンモードノイズを減衰させる接地コンデンサ(Yコン)C3、C4の静電容量値は、少なくとも10000〜50000PFの範囲にあることが必要である。
【0012】
また本発明は、前記配線基板の両端のコネクタに、2端子のプラグコネクタ、および接地端子を備える3端子のインレットコネクタを用いたADSL用フィルタを構成する。フィルタに接地端子が有る場合に、一方のコネクタに接地端子を備える3端子のインレットコネクタを用いて接地端子間を接続し、他方に2端子のプラグコネクタ用いる。接地端子を備える3端子のインレットコネクタには、電源コンセントが3端子の場合は3端子ケーブルで接続する。電源コンセントが2端子の場合は、3端子と2端子の変換コネクタで接続する。
【0013】
さらに本発明は、両端にコネクタ嵌合部を備えるケースに、前記配線基板の両端に搭載したコネクタをそれぞれの嵌合部に保持させ、配線基板をケースにネジ止め固定することなくADSL用フィルタを構成する。従来のように、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定にネジを用いないので、煩雑なケースへのネジ止め固定作業は省略され、ケース外面にネジ頭が露出することなく外観上も好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部に接続して電源ノイズを遮断するADSL用フィルタにおいて、部品端子の挿入穴と配線電極が形成された配線基板に、図3の回路図に示すようにクロスラインコンデンサC1、C2、インダクタL1、L2、および接地コンデンサC3、C4を搭載してノイズフィルタを形成し、配線基板の両端部に2端子のプラグコネクタと接地端子を備える3端子のインレットコネクタとを導線で接続し、ケースに収容したADSL用フィルタを構成する。
【0015】
また、前記インダクタL1、L2を、超微粒子非晶質軟磁性体よりなる閉磁路コアを絶縁樹脂ケースに収容し、導線を捲回してコモンモードインダクタL1、L2を形成し、電源に重畳したコモンモードノイズを減衰させるADSL用フィルタを構成する。
【0016】
また、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)を減衰させるように、クロスラインコンデンサC1、C2の静電容量値を0.5〜2μFの範囲で、接地コンデンサ(Yコン)C3、C4の静電容量値を10000〜50000PFの範囲で設定したADSL用フィルタを構成する。クロスラインコンデンサC1、C2の静電容量値と接地コンデンサ(Yコン)C3、C4の静電容量値の組み合わせは、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)を全域に亘って、少なくとも30dB以上減衰させる静電容量の組み合わせを選択する。
設置場所のコンセントの電源ノイズの周波数特性に応じて、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)内の低域、中域、および高域の減衰量を、電源ノイズの周波数成分に対応させることが望ましい。
【0017】
また、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)のコモンモードノイズを減衰させるように、前記コモンモードインダクタL1、L2のインダクタンス値を3〜30mHの範囲に形成し、搭載したADSL用フィルタを構成する。
【0018】
さらに、ADSL用フィルタのケーシングは、両端にコネクタ嵌合部を備えたケースに前記の配線基板を収容し、前記コネクタをそれぞれの前記嵌合部に保持させて上下ケースをネジ止め、または嵌め込み係止、あるいは接着材などで固定してADSL用フィルタを構成する。
【0019】
【実施例1】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図3の回路図に示すフィルタ回路に基づいて、図1のADSL用フィルタ内部構成の斜視図に示すように、配線基板9に2端子のプラグコネクタ7、接地端子を備える3端子インレットコネクタ8の内部端子のそれぞれに、被覆撚り線をはんだ付け接続し、配線基板9の両端部に接続した。内側端子へのはんだ付け個所の例として、接地端子への接続はんだ10を示す。
【0020】
つぎに、超微粒子非晶質軟磁性体としてファインメット(川崎製鉄株式会社製)の閉磁路コアを絶縁樹脂ケースに収容し、Φ:0.5mmの銅線を25ターン捲回して、4mHのコモンモードインダクタ5,6を形成し、配線基板9に搭載した。同様に、クロスラインコンデンサ1,2として静電容量値が1μFのフィルムコンデンサと、接地コンデンサ(Yコン)3,4として静電容量値が22000PFのセラミックコンデンサを配線基板に搭載し、溶融はんだ槽に浸漬して配線基板裏面の配線電極に接続した。
【0021】
ついで、図2に示す下ケースの端部に設けられた2端子のプラグコネクタの嵌合部12と、接地端子を備える3端子のインレットコネクタの嵌合部13のそれぞれに、配線基板端部の対応するコネクタを挿入嵌合させて配線基板を収容し、下ケースと対称構造の上ケース(図示せず)を被せてネジ止めして、電圧AC100V、電流1A定格のADSL用フィルタを構成した。
【0022】
特性比較のために、前記コモンモードインダクタ5,6の巻数を23ターン、21ターン、19ターンと変え、さらに接地コンデンサ(Yコン)3,4の静電容量値を、10000PF、4700PFと変えたサンプルを製作し、通常の電源環境と思われる場所で通信速度の比較測定を行った結果を表1に示す。なお、電源コンセントに接地端子が有るものと無いものとがあるのでアース有り無しと、ノイズの多いコンセントを用いた場合との比較測定を行った。
【0023】
【表1】
【0024】
表1から解るように、実施例1の試料では、157パーセントの通信速度が、ノイズの大きい電源では200パーセントの通信速度が得られ、ADSL用フィルタの効果は明白である。また、インダクタンス値とYコンの静電容量値が大きいと、効果が大きくなることが理解できる。測定した電源環境は、コモンモードノイズが多いことが推測され、より高速化するにはインダクタンス値と静電容量を大きくする必要があり、大型で高価なADSL用フィルタとなるが、人とパソコンとの対話であるので、150〜200パーセント程度の通信速度の向上が得られれば実用上は充分とみなされる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のADSL用フィルタを用いることにより、ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部から侵入する電源ノイズの影響を受けて、LANシステムのパソコン間の通信速度が低下するのを抑制することができる。
【0026】
また、最適な磁性体を磁心にしたインダクタを採用して、小型化と減衰周波数帯域の広帯域化を実現し、さらに、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定作業の簡素化ができ、製品の外観を損うことなく、さらにコスト低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ADSL用フィルタの内部構成の斜視図を示す。
【図2】ADSL用フィルタの下ケースの斜視図を示す。
【図3】ADSL用フィルタの回路図を示す。
【図4】従来のノイズフィルタ回路図の例を示す。
【図5】ADSL用フィルタの試験概要図を示す。
【符号の説明】
1 クロスラインコンデンサC1
2 クロスラインコンデンサC2
3 接地コンデンサ(Yコン)C3
4 接地コンデンサ(Yコン)C4
5 コンモードインダクタL2
6 コンモードインダクタL1
7 2端子のプラグコネクタ
8 接地端子を備える3端子のインレットコネクタ
9 配線基板
10 はんだ付け部
11 下ケース
12 2端子のプラグコネクタの嵌合部
13 接地端子を備える3端子インレットコネクタの嵌合部
【発明の属する技術分野】
本発明は、ADSL(Asymmetric Digital Subscribe Line)の通信回線に用いるADSLモデム(変復調器)の電源部に接続して電源ノイズを遮断し、通信速度を上げるためのADSL用フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ADSLの通信回線に用いるADSLモデム(変復調器)の電源部からのノイズの影響を受けてLAN(Local Area Network)システムのパソコン間の通信速度が低下していた。ADSLの通信回線に用いられる信号周波数は、100KHz〜1MHzの帯域にあり、この周波数帯域に電源からのノイズが侵入すると、通信信号と混同されるため通信速度を低下させていた。
【0003】
対策として電源ノイズを遮断するするために、ADSLモデムの電源部にラインフィルタを接続していたが、従来のラインフィルタでは前記周波数帯域のノイズ減衰量が不充分であり、通信速度の向上は得られなかった。また、従来のラインフィルタのインダクタは、珪素鋼板の積層コアやフェライトコアを磁心に用いていたため、 珪素鋼板の積層コアでは高周波帯域での減数量が得られず、また、フェライトコアでは、低周波帯域での減衰量が得られなかった。
【0004】
このため、減衰周波数帯域を広帯域化するために、珪素鋼板の積層コアとフェライトコアを抱き合わせた複合磁心や、図4の回路図に示すようにコモンモードインダクタL1,L2に珪素鋼板の積層コアを用い、ノーマルモードインダクタL3、L4にフェライト磁心を用いて直列接続したフィルタなどが構成されていたが、形状が大きくなりコストアップの要因となっていた。また従来は、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定にネジを用いていたため、ケースへのネジ止め固定は煩雑な作業であり、またケース側面にネジ頭が露出するので外観上も好ましくなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部からのノイズの影響を受けてLANシステムのパソコン間の通信速度が低下することのないADSL用フィルタを提供することである。また、最適な磁性体を磁心にしたインダクタを採用して、小型化と減衰周波数帯域の広帯域化を実現し、さらに、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定作業の簡素化を図り、製品の外観を良くしコスト低減することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部に接続して電源ノイズを遮断するADSL用フィルタであって、配線基板の一端にプラグコネクタを他端にインレットコネクタを備え、該コネクタ間に入力側コンデンサ、コモンモードインダクタ、および出力側コンデンサよりなるノイズフィルタが接続され、絶縁ケースに収容されてなるADSL用フィルタを構成する。
【0007】
前記配線基板の両端のコネクタは、2端子のプラグコネクタと2端子のインレットコネクタを用い、フィルタに接地端子がある場合は、ケースの外部に接地端子を導出したADSL用フィルタを構成する。
【0008】
また本発明は、前記インダクタに超微粒子非晶質軟磁性体を用いた閉磁路コアに、導線が捲回されてなるコモンモードインダクタであり、インダクタンス値が3〜30mHの範囲にあるADSL用フィルタを構成する。 図3に示す回路のように、電源ノイズのノーマルモードノイズは、クロスラインコンデンサC1、C2により減衰させ、コモンモードノイズ成分はコモンモードインダクタL1、L2、および接地コンデンサ(Yコン)C3,C4で減衰させる。ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)のノーマルモードノイズを減衰させるノーマルモードインダクタのインダクタンス値は、少なくとも3〜30mHの範囲で形成することが必要である。
【0009】
また本発明は、前記入力、あるいは出力側コンデンサに、静電容量値が0.5〜2μFの範囲のクロスラインコンデンサ、あるいは静電容量値が10000〜50000PFの範囲にある2個の接地コンデンサと、静電容量値が0.5〜2μFの範囲のクロスラインコンデンサとを接続したADSL用フィルタを構成する。
【0010】
すなわち、部品端子の挿入穴と配線電極が形成された配線基板に、図3の回路図に示すように2端子のプラグコネクタ、クロスラインコンデンサC1、インダクタL1、L2、クロスラインコンデンサC2、接地コンデンサC3、C4、および接地端子を備える3端子のインレットコネクタの順に搭載し、はんだ接続してケースに収容する。
【0011】
ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)のノーマルモードノイズを減衰させるクロスラインコンデンサC1、C2の静電容量値は、少なくとも0.5〜2μFの範囲にあることが必要である。また、前記周波数帯域のノーマルモード、および主にコモンモードノイズを減衰させる接地コンデンサ(Yコン)C3、C4の静電容量値は、少なくとも10000〜50000PFの範囲にあることが必要である。
【0012】
また本発明は、前記配線基板の両端のコネクタに、2端子のプラグコネクタ、および接地端子を備える3端子のインレットコネクタを用いたADSL用フィルタを構成する。フィルタに接地端子が有る場合に、一方のコネクタに接地端子を備える3端子のインレットコネクタを用いて接地端子間を接続し、他方に2端子のプラグコネクタ用いる。接地端子を備える3端子のインレットコネクタには、電源コンセントが3端子の場合は3端子ケーブルで接続する。電源コンセントが2端子の場合は、3端子と2端子の変換コネクタで接続する。
【0013】
さらに本発明は、両端にコネクタ嵌合部を備えるケースに、前記配線基板の両端に搭載したコネクタをそれぞれの嵌合部に保持させ、配線基板をケースにネジ止め固定することなくADSL用フィルタを構成する。従来のように、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定にネジを用いないので、煩雑なケースへのネジ止め固定作業は省略され、ケース外面にネジ頭が露出することなく外観上も好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部に接続して電源ノイズを遮断するADSL用フィルタにおいて、部品端子の挿入穴と配線電極が形成された配線基板に、図3の回路図に示すようにクロスラインコンデンサC1、C2、インダクタL1、L2、および接地コンデンサC3、C4を搭載してノイズフィルタを形成し、配線基板の両端部に2端子のプラグコネクタと接地端子を備える3端子のインレットコネクタとを導線で接続し、ケースに収容したADSL用フィルタを構成する。
【0015】
また、前記インダクタL1、L2を、超微粒子非晶質軟磁性体よりなる閉磁路コアを絶縁樹脂ケースに収容し、導線を捲回してコモンモードインダクタL1、L2を形成し、電源に重畳したコモンモードノイズを減衰させるADSL用フィルタを構成する。
【0016】
また、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)を減衰させるように、クロスラインコンデンサC1、C2の静電容量値を0.5〜2μFの範囲で、接地コンデンサ(Yコン)C3、C4の静電容量値を10000〜50000PFの範囲で設定したADSL用フィルタを構成する。クロスラインコンデンサC1、C2の静電容量値と接地コンデンサ(Yコン)C3、C4の静電容量値の組み合わせは、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)を全域に亘って、少なくとも30dB以上減衰させる静電容量の組み合わせを選択する。
設置場所のコンセントの電源ノイズの周波数特性に応じて、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)内の低域、中域、および高域の減衰量を、電源ノイズの周波数成分に対応させることが望ましい。
【0017】
また、ADSLの信号周波数帯域(100KHz〜1MHz)のコモンモードノイズを減衰させるように、前記コモンモードインダクタL1、L2のインダクタンス値を3〜30mHの範囲に形成し、搭載したADSL用フィルタを構成する。
【0018】
さらに、ADSL用フィルタのケーシングは、両端にコネクタ嵌合部を備えたケースに前記の配線基板を収容し、前記コネクタをそれぞれの前記嵌合部に保持させて上下ケースをネジ止め、または嵌め込み係止、あるいは接着材などで固定してADSL用フィルタを構成する。
【0019】
【実施例1】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。図3の回路図に示すフィルタ回路に基づいて、図1のADSL用フィルタ内部構成の斜視図に示すように、配線基板9に2端子のプラグコネクタ7、接地端子を備える3端子インレットコネクタ8の内部端子のそれぞれに、被覆撚り線をはんだ付け接続し、配線基板9の両端部に接続した。内側端子へのはんだ付け個所の例として、接地端子への接続はんだ10を示す。
【0020】
つぎに、超微粒子非晶質軟磁性体としてファインメット(川崎製鉄株式会社製)の閉磁路コアを絶縁樹脂ケースに収容し、Φ:0.5mmの銅線を25ターン捲回して、4mHのコモンモードインダクタ5,6を形成し、配線基板9に搭載した。同様に、クロスラインコンデンサ1,2として静電容量値が1μFのフィルムコンデンサと、接地コンデンサ(Yコン)3,4として静電容量値が22000PFのセラミックコンデンサを配線基板に搭載し、溶融はんだ槽に浸漬して配線基板裏面の配線電極に接続した。
【0021】
ついで、図2に示す下ケースの端部に設けられた2端子のプラグコネクタの嵌合部12と、接地端子を備える3端子のインレットコネクタの嵌合部13のそれぞれに、配線基板端部の対応するコネクタを挿入嵌合させて配線基板を収容し、下ケースと対称構造の上ケース(図示せず)を被せてネジ止めして、電圧AC100V、電流1A定格のADSL用フィルタを構成した。
【0022】
特性比較のために、前記コモンモードインダクタ5,6の巻数を23ターン、21ターン、19ターンと変え、さらに接地コンデンサ(Yコン)3,4の静電容量値を、10000PF、4700PFと変えたサンプルを製作し、通常の電源環境と思われる場所で通信速度の比較測定を行った結果を表1に示す。なお、電源コンセントに接地端子が有るものと無いものとがあるのでアース有り無しと、ノイズの多いコンセントを用いた場合との比較測定を行った。
【0023】
【表1】
【0024】
表1から解るように、実施例1の試料では、157パーセントの通信速度が、ノイズの大きい電源では200パーセントの通信速度が得られ、ADSL用フィルタの効果は明白である。また、インダクタンス値とYコンの静電容量値が大きいと、効果が大きくなることが理解できる。測定した電源環境は、コモンモードノイズが多いことが推測され、より高速化するにはインダクタンス値と静電容量を大きくする必要があり、大型で高価なADSL用フィルタとなるが、人とパソコンとの対話であるので、150〜200パーセント程度の通信速度の向上が得られれば実用上は充分とみなされる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のADSL用フィルタを用いることにより、ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部から侵入する電源ノイズの影響を受けて、LANシステムのパソコン間の通信速度が低下するのを抑制することができる。
【0026】
また、最適な磁性体を磁心にしたインダクタを採用して、小型化と減衰周波数帯域の広帯域化を実現し、さらに、フィルタ配線基板およびコネクタのケースへの固定作業の簡素化ができ、製品の外観を損うことなく、さらにコスト低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ADSL用フィルタの内部構成の斜視図を示す。
【図2】ADSL用フィルタの下ケースの斜視図を示す。
【図3】ADSL用フィルタの回路図を示す。
【図4】従来のノイズフィルタ回路図の例を示す。
【図5】ADSL用フィルタの試験概要図を示す。
【符号の説明】
1 クロスラインコンデンサC1
2 クロスラインコンデンサC2
3 接地コンデンサ(Yコン)C3
4 接地コンデンサ(Yコン)C4
5 コンモードインダクタL2
6 コンモードインダクタL1
7 2端子のプラグコネクタ
8 接地端子を備える3端子のインレットコネクタ
9 配線基板
10 はんだ付け部
11 下ケース
12 2端子のプラグコネクタの嵌合部
13 接地端子を備える3端子インレットコネクタの嵌合部
Claims (5)
- ADSLの通信回線に用いるADSLモデムの電源部に接続して電源ノイズを遮断するADSL用フィルタであって、配線基板の一端にプラグコネクタを他端にインレットコネクタを備え、該コネクタ間に入力側コンデンサ、インダクタ、および出力側コンデンサよりなるノイズフィルタが接続され、絶縁ケースに収容されてなることを特徴とするADSL用フィルタ。
- 前記インダクタが、超微粒子非晶質軟磁性体を用いた閉磁路コアに、導線が捲回されてなるコモンモードインダクタであり、インダクタンス値が3〜30mHの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のADSL用フィルタ。
- 前記入力、あるいは出力側コンデンサが、静電容量値が0.5〜2μFの範囲のクロスラインコンデンサ、あるいは静電容量値が0.5〜2μFの範囲のクロスラインコンデンサと、静電容量値が10000〜50000PFの範囲にある2個の接地コンデンサであることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載のADSL用フィルタ。
- 前記配線基板の両端のコネクタは、2端子のプラグコネクタ、および接地端子を備える3端子のインレットコネクタであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のADSL用フィルタ。
- 前記の配線基板を、両端にコネクタ嵌合部を備えるケースに収容し、前記コネクタをそれぞれの前記嵌合部に保持させてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のADSL用フィルタ。
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2002
- 2002-07-03 JP JP2002194270A patent/JP2004040444A/ja active Pending
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