JP2004039913A - 紫外線受光素子および火炎センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紫外線受光素子が、ZrB2基板上に、窒化物緩衝層と、n型窒化物半導体層と、単数または複数の窒化物半導体層とが順次堆積して形成され、一対の電極に挟まれる前記n型窒化物半導体層および前記単数または複数の窒化物半導体層の内の単数または複数の半導体層が受光領域として作用する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は窒化物半導体を用いて作製される紫外線受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的には、検出対象とする波長範囲の光に対して感度を有する材料であれば受光素子として利用することができる。例えば、炭化水素が燃焼した場合に紫外域に現れる発光を選択的に検出することが要求される紫外線受光素子(火炎センサ)の場合には、紫外域に感度を有する材料として、AlGaNなどの窒化物半導体が用いられる。ここで、受光領域のデバイス構造としては、PN接合型やPIN接合型のフォトダイオード構造、ショットキーダイオード構造、フォトトランジスタ構造などがある。
【0003】
上述したように、検出対象とする光に感度を有する材料であれば受光素子に使用できるのだが、受光素子としての性能を考慮した場合には幾つかの要求を満たさなければならない。例えば、受光素子に照射される光が微弱である場合には、発生するキャリアの数と、膜中の欠陥準位にトラップされるキャリアの数とが競合するような関係になり、光照射に対する応答速度が非常に遅くなる場合がある。また、トラップされた準位からのキャリアの放出が温度に対して非常に敏感であるため、温度上昇に伴って急激にキャリアの放出が行われて暗電流が増加する場合があることを考慮すると、紫外域の微弱な光を高温条件下で測定する必要がある火炎センサ(紫外線受光素子)にとっては、結晶品質が良好であり、キャリアをトラップする欠陥準位が少ない半導体層を得ることが特に重要な要件となってくる。
【0004】
更に、受光素子を、例えば紫外域に現われる微弱な火炎の光を感度良く検出する必要がある紫外線受光素子(火炎センサ)として使用する場合、欠陥密度が低く、結晶品質の良好なAlGaN層を受光領域として作用させ、紫外線受光素子に発生する暗電流を非常に低いレベルにまで低減することが求められる。これは、暗電流が大きいと、火炎の光を吸収して発生した光電流が暗電流に埋もれてしまう恐れがあるからである。また、印加されるバイアス電圧が大きくなるとともに、暗電流も大きくなるため、結果的に小さいバイアス電圧しか印加することが出来ないという問題にも至る。
【0005】
同じく火炎の光を感度良く検出する必要があるという課題に関連して、光キャリアを発生させる受光領域には、できるだけ大きい強度の光を入射させることが求められる。従って、受光領域よりも光入射面側には、光吸収や光散乱などによる光損失が極めて小さい半導体層、つまりバンドギャップエネルギが大きく、且つ欠陥密度が低く、結晶品質の良好な半導体層を設けることが必要になる。例を挙げると、受光領域のバンドギャップエネルギが4.1eVである紫外線受光素子を作製する場合、その受光領域よりも光入射面側に存在する半導体層のバンドギャップエネルギを4.1eVよりも大きく設計し、受光領域に入射する光にとっての透過窓層として作用させ、より大きい強度の光が受光領域に入射するように構成することが必要になる。
【0006】
従来、受光領域の形成に係る半導体層中の欠陥密度をできるだけ低いレベルにまで低減させるために、サファイアなどの平坦性の高い基板上に、数十nmの厚さで低温堆積された緩衝層(約1050℃以下の基板表面温度で成長)を設け、その上に上述のようなデバイス構造の受光領域が設けられた受光素子が作製されている。ここで、低温堆積された緩衝層を設ける理由は、サファイア基板の結晶成長面の格子間隔(約2.75Å)と、受光領域の形成に係るAlGaNの格子間隔(約3.1Å〜約3.2Å)との間の格子不整合を緩和し、格子不整合により発生し得る受光領域中の欠陥を少なくさせることにある。
【0007】
また、基板とデバイス構造との間に単層の緩衝層を設けるのではなく、複数の緩衝層を設ける方法もある。例えば、サファイア基板上に、AlNからなる低温堆積緩衝層と、GaNからなる結晶改善層と、AlNからなる低温堆積中間層という多層の下地構造を設け、その上にデバイス構造を設けることで、単層の緩衝層を設けた場合以上に、基板と受光領域との間の格子不整合を緩和することが可能となっている但し、何れの場合もp型AlGaNはピットが発生しがちで、p型AlGaNのドーパントとして使用されるMgのメモリー効果(成膜中、Mg供給ラインを切断しても、配管中の残留Mgが供給されてしまうこと)によって、p型AlGaNの上層にn型AlGaNを成長させるとn型AlGaNの品質が低下しがちである。他方で、n型AlGaNを先に成長させた場合は、Mgによる上述の問題が存在しないため、全体として良好な多層膜を構成できる。更に、実用的な電気特性を有するp型AlGaNはAlN組成20%周辺以下が限界であり、AlN組成20%以上に対応するカットオフ波長を有する短波長の紫外線受光素子や火炎センサを構成する場合、受光領域(I層や空忙層)のAlN組成よりも、p型AlGaNのAlN組成は小さくなりがちである。このため、微弱光を検出する受光素子や火炎センサでは、受光面積を大きく確保し、且つp層をクラックフリーにすることが求められるが、このためにはP層に圧縮応力をかけることが必要となり、短波長の紫外線受光素子(I層がAlNモル分率20%以上)の場合には、I層やN層のAlNモル分率をP層よりも高くせざるを得ない。このため、まずn型AlGaNを堆積させ、その上方にp型AlGaNを堆積させるという積層構造が採られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した多層の下地構造を採用し、基板と受光領域との間の格子不整合を緩和した場合であっても、受光領域の形成に係る半導体層中の欠陥密度を十分には低減させることができない。また、受光領域よりも長波長側に吸収端を有するGaNを含む厚い下地構造が受光領域の下方、つまり基板側に存在するため、それを避けて光入射面を受光素子の上面に設定することが必要である。しかし、上述のように、受光領域の上方にはp−AlxGa1−xN(0≦x≦0.2)層が存在するため、受光領域に到達すべき光(例えば、火炎の光などの紫外光)がそのp型層によって吸収されるという問題があるため、p型半導体側から入射させると受光素子の高感度化に限界が生じるという問題がある。また、p−AlGaNやp−GaNを用いた場合には,p型半導体のバンド端から目的感度のカットオフ波長までの帯域に不必要な感度が観測される。この波長はGaNの場合は360nm付近まで達する。また、AlGaN自体もp型にした場合のアクセプタ不純物が長波長側の感度を発現する原因になっており、約325nmよりも短波長側に選択的に感度を有するような紫外線受光素子を作成したとしても、AlGaNの組成ずれの影響も加わって、波長325nm〜360nmの範囲に強い感度がでてしまうという問題がある。
【0009】
他方で、上述した単層の下地構造を採用した場合には、光損失の原因となる厚い下地構造は受光領域の下方に存在しないものの、基板の結晶成長面の格子間隔と受光領域の形成に係る窒化物半導体の格子間隔との間の格子不整合の緩和が不十分であることから、受光領域の形成に係る窒化物半導体中の欠陥密度が高く、上述した暗電流の問題や、光キャリアのトラップの問題が解決されない。
【0010】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、受光素子の下面から光を入射させることができ、且つ基板の結晶成長面の格子間隔と受光領域の形成に係る窒化物半導体の格子間隔との間の格子不整合の問題が解決された紫外線受光素子を提供する点にある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項1に記載の如く、ZrB2基板上に、窒化物緩衝層と、n型窒化物半導体層と、単数または複数の窒化物半導体層とが順次堆積して形成され、一対の電極に挟まれる前記n型窒化物半導体層および前記単数または複数の窒化物半導体層の内の単数または複数の半導体層が受光領域として作用する点にある。
【0012】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項2に記載の如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記単数または複数の窒化物半導体層が、前記n型窒化物半導体層と共にPN接合型ダイオードを構成するp型窒化物半導体層を有する点にある。
【0013】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項3に記載の如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記単数または複数の窒化物半導体層が、前記n型窒化物半導体層と共にPIN接合型ダイオードを構成するi型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とを有する点にある。
【0014】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項4に記載の如く、上記第一の特徴構成に加えて、前記単数または複数の窒化物半導体層が、前記n型窒化物半導体層上に堆積され、前記電極の一方と共にショットキーダイオードを構成するi型窒化物半導体層またはn−型窒化物半導体層を有する点にある。
【0015】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項5に記載の如く、上記第二または第三の特徴構成に加えて、前記n型窒化物半導体層がn−AlxGa1−xN(0.3≦x≦1)を含み、前記p型窒化物半導体層がp−AlyGa1−yN(0.2≦y≦1)を含む点にある。
【0016】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項6に記載の如く、上記第五の特徴構成に加えて、前記p型窒化物半導体層が超格子構造である点にある。
【0017】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第七の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項7に記載の如く、上記第三または第四の特徴構成に加えて、前記i型窒化物半導体層がi−AlzGa1−zN(0.2≦z≦1)である点にある。
【0018】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第八の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項8に記載の如く、上記第四の特徴構成に加えて、前記n−型窒化物半導体層がn−−AlzGa1−zN(0.2≦z≦1)である点にある。
【0019】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第九の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項9に記載の如く、上記第二、第三、第五、第六の何れかの特徴構成に加えて、前記電極の一方が、前記p型窒化物半導体層上にコンタクト層を介して形成された金属電極を用いて構成される点にある。
【0020】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項10に記載の如く、上記第一から第九の何れかの特徴構成に加えて、前記受光領域の形成に係る前記単数または複数の半導体層が、原料を所定の結晶成長面の近傍に搬送するキャリアガスとして水素を用いる気相成長法を用いて堆積される点にある。
【0021】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十一の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項11に記載の如く、上記第一から第十の何れかの特徴構成に加えて、前記ZrB2基板が少なくとも一部分除去されて露出された表面から検出対象光が前記受光領域に入射される点にある。
【0022】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十二の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項12に記載の如く、上記第十一の特徴構成に加えて、前記n型窒化物半導体層がn−AlxGa1−xN(0.3≦x≦1)を含み、前記窒化物緩衝層がAlwGa1−wN(x<w≦1)を含む点にある。
【0023】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十三の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項13に記載の如く、上記第一から第十の何れかの特徴構成に加えて、前記ZrB2基板と前記窒化物緩衝層とが少なくとも一部分除去されて露出された表面から検出対象光が前記受光領域に入射される点にある。
【0024】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十四の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項14に記載の如く、上記第十三の特徴構成に加えて、前記n型窒化物半導体層がn−AlxGa1−xN(0.3≦x≦1)を含み、前記窒化物緩衝層がAlwGa1−wN(0≦w<x)を含む点にある。
【0025】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十五の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項15に記載の如く、上記第十三または第十四の特徴構成に加えて、前記窒化物緩衝層が導電性であり、前記導電性の窒化物緩衝層と前記n型窒化物半導体層との間にエッチングストップ層が更に設けられ、前記導電性の窒化物緩衝層がウェットエッチングにより除去される点にある。
【0026】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十六の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項16に記載の如く、上記第十三または第十四の特徴構成に加えて、前記窒化物緩衝層が非導電性であり、前記非導電性の窒化物緩衝層がドライエッチングにより除去される点にある。
【0027】
上記課題を解決するための本発明に係る紫外線受光素子の第十七の特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項17に記載の如く、上記第一から第十六の何れかの特徴構成に加えて、前記電極の一方が、前記n型窒化物半導体層上に形成されたZrB2を用いて構成される点にある。
【0028】
上記課題を解決するための本発明に係る火炎センサの特徴構成は、特許請求の範囲の欄の請求項18に記載の如く、請求項1から請求項17の何れか1項に記載の紫外線受光素子を用いて構成される点にある。
【0029】
以下に作用並びに効果を説明する。
本発明に係る紫外線受光素子の第一の特徴構成によれば、例えばAlGaNなどの窒化物半導体層と同等の格子定数を有するZrB2を基板材料に採用したことで両者の格子間隔を近づけることができ、更に、ZrB2基板と上記窒化物半導体との間に窒化物緩衝層を設けたことで、欠陥密度が低く結晶品質の良好な窒化物半導体層をZrB2基板の上方に堆積させることができる。その結果、暗電流のレベルが低く、光を吸収して発生した光キャリアがトラップされる確率が低いことで、微弱な光を感度良く検出可能な紫外線受光素子を提供することができる。
【0030】
具体的には、窒化物緩衝層の上に堆積されるn型窒化物半導体層は、受光領域を形成することもあれば、受光領域へ入射される光の通り道となる場合もある。従って、そのn型窒化物半導体層のバンドギャップは様々な値に変更されるのであるが、同時にn型窒化物半導体層の格子間隔も変化するため、上記窒化物緩衝層を設けていない場合には、格子間隔に大きな差がないものの、ZrB2基板との間で微妙な格子不整合が生じ、結晶品質の良好なn型窒化物半導体層が得られない可能性が高くなる。上述したように暗電流のレベルが極めて低く、微弱な光を感度良く検出することが要求されるような紫外線受光素子においては、結晶品質の僅かな差が素子性能に大きな影響を及ぼすため、ZrB2基板とn型窒化物半導体層との間に上記窒化物緩衝層を設けたことによる効果は大きいといえる。
【0031】
本発明に係る紫外線受光素子の第二の特徴構成によれば、n型窒化物半導体層上にp型窒化物半導体層が堆積されることで形成されるPN接合型ダイオードによってフォトダイオードを構成することができる。
【0032】
本発明に係る紫外線受光素子の第三の特徴構成によれば、n型窒化物半導体層上にi型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とが堆積されることで形成されるPIN接合型ダイオードによってフォトダイオードを構成することができる。
【0033】
本発明に係る紫外線受光素子の第四の特徴構成によれば、n型窒化物半導体層上に堆積されたi型窒化物半導体層またはn―型窒化物半導体層が、上記電極の一方と共にショットキーダイオードを構成し、それをフォトダイオードとして用いることができる。
【0034】
本発明に係る紫外線受光素子の第五の特徴構成によれば、n−AlxGa1−xN(0.3≦x≦1)と、p−AlyGa1−yN(0.2≦y≦1)を含むことで、n−AlGaN層ではカットオフ波長を約290nm〜約200nmの間に調整することができ、p−AlGaN層ではカットオフ波長を約311nm〜約200nmの間に調整することができる。その結果、例えば、p−AlGaN層のカットオフ波長よりもn−AlGaN層のカットオフ波長の方を短波長側に設定した場合には、n−AlGaN層を、p−AlGaN層に入射する光の窓層として利用することができる。
【0035】
本発明に係る紫外線受光素子の第六の特徴構成によれば、超格子構造を採用することで、p−AlyGa1−yN(0.2≦y≦1)においてアルミニウム組成比yを大きくした場合であっても、結晶品質の良好な膜を得ることができる。
【0036】
本発明に係る紫外線受光素子の第七の特徴構成によれば、i−AlzGa1−zN(0.2≦z≦1)を含むことで、そのカットオフ波長を約311nm〜約200nmの間に調整することができる。その結果、例えば、約311nm以上の光を透過させ、それ以下の光を吸収するi型窒化物半導体層を得ることができる。
【0037】
本発明に係る紫外線受光素子の第八の特徴構成によれば、n−−AlzGa1−zN(0.2≦z≦1)を含むことで、そのカットオフ波長を約311nm〜約200nmの間に調整することができる。その結果、例えば、約311nm以上の光を透過させ、それ以下の光を吸収するn−型窒化物半導体層を得ることができる。
【0038】
本発明に係る紫外線受光素子の第九の特徴構成によれば、上記p型窒化物半導体層上にコンタクト層を設け、その上に電極が形成されるので、p型窒化物半導体層と電極との間の電気的な特性をオーミックなものとすることができる。
【0039】
本発明に係る紫外線受光素子の第十の特徴構成によれば、上記受光領域の形成に係る半導体層が、その原料を結晶成長面の近傍に搬送するキャリアガスとして水素を用いる気相成長法を用いて堆積されるので、得られた膜中に残存し、不純物として作用する酸素の量を低いレベルにまで低減させることができる。
【0040】
本発明に係る紫外線受光素子の第十一の特徴構成によれば、受光領域に対してZrB2基板側から光が入射される際、基板が除去されているので受光領域に入射する光の強度を大きく確保することができる。
【0041】
本発明に係る紫外線受光素子の第十二の特徴構成によれば、窒化物緩衝層のバンドギャップエネルギが上記n型窒化物半導体層のバンドギャップエネルギよりも大きいので、窒化物緩衝層の除去を行わなくても、受光領域に入射される検出対象光の光強度を確保することができる。
【0042】
本発明に係る紫外線受光素子の第十三の特徴構成によれば、受光領域に対してZrB2基板側から光が入射される際、基板と窒化物緩衝層とが除去されているので受光領域に入射する光の強度を大きく確保することができる。
【0043】
本発明に係る紫外線受光素子の第十四の特徴構成によれば、窒化物緩衝層のバンドギャップエネルギが上記n型窒化物半導体層のバンドギャップエネルギよりも小さいが、窒化物緩衝層の除去を行うことで、受光領域に入射される検出対象光の光強度を確保することができる。
【0044】
本発明に係る紫外線受光素子の第十五の特徴構成によれば、前記窒化物緩衝層が導電性であるので、エッチングにより除去したい部位に電流を流しながら上記導電性の窒化物緩衝層を除去するウェットエッチング手法を実施することができる。
【0045】
本発明に係る紫外線受光素子の第十六の特徴構成によれば、エッチングの実施時間を調整して、そのエッチング深さを調整することができるドライエッチング手法を採用することで、窒化物緩衝層部分を高い精度で除去することができる。
【0046】
本発明に係る紫外線受光素子の第十七の特徴構成によれば、上記n型窒化物半導体層上に形成される電極がZrB2を用いて構成されるので、n型窒化物半導体と電極との間の電気的な特性をオーミックなものとすることができる。
【0047】
本発明に係る火炎センサの特徴構成によれば、上記紫外線受光素子の第一から第十七の特徴構成によるのと同様に、暗電流のレベルが小さく、微弱な火炎の光の照射を受けた場合であっても、その光の存在を感度良く検出することができる火炎センサを得ることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】
図1に例示するのは有機金属気相成長法を用いた半導体成長装置の模式図である。
この半導体成長工程においては、原料タンク4に収容された液体の有機化合物がバブラによって気化されて、チャンバ5内部へ搬送される。ここで、原料を搬送するキャリアガスは、キャリアガスタンク1からバルブV1、V2でその流量が調整されて供給される。更に、キャリアガス中に含まれる酸素や水分などの不純物を除去するために、ガス管2の途中にガス純化手段3を設け、チャンバ5内部に酸素や水分が供給されないような対策が施されている。また、原料が気体である場合には、原料タンク8からバルブV5で供給量を調整しつつ、チャンバ5に直接供給することもできる。
【0049】
尚、図1には原料タンク4および原料タンク8を1つずつしか図示していないが、原料またはドーパントが複数必要な場合には、原料タンク4および原料タンク8を複数個接続すればよい。また、チャンバ5へ供給される原料の量を調整する場合には、バルブV3の開度を調整すればよい。更に、バルブV3を経由してチャンバ5へ供給される原料を希釈する場合には、バルブV4の開度を調整すればよい。キャリアガスは原料に対して不活性なガスが使用され、代表的なキャリアガスとしては水素ガスや窒素ガスがある。また、複数のガスを混合してキャリアガスを構成しても構わない。
【0050】
また、ガス純化手段3の具体的な例としては、パラジウム膜を備えて構成された水素透過膜などがあり、これは金属パラジウム膜に水素ガス(キャリアガス)を流した際に、分子の大きさの小さい水素ガスだけが選択的にパラジウム膜を通過できるという特性を利用したものである。金属パラジウム膜などの水素透過膜を備えたガス純化手段3に、水素ガスからなるキャリアガスを通過させることで、水素ガス中に含まれる酸素や水などの他の原子および分子が除去され、ガス純化手段3以後のガス管2における不純物濃度を、非常に低いレベルにまで低減させることができる。その結果、不純物含有量が少ない膜を堆積することができる。特に、受光領域の形成に係る半導体層を堆積させる際には、キャリアガスとして水素を用いる気相成長法を実施することで、堆積される膜中に混入する不純物の量を低減し、感度の良い素子を作製することができる。
【0051】
チャンバ5に供給された原料は、チャンバ5に設けられた原料活性化手段(図示せず)によって活性化された後、基板ホルダ6上に設置された基板7の表面(結晶成長面)に堆積する。原料活性化手段の例としては加熱手段、プラズマ発生手段、光照射手段など、原料にエネルギを与える様々な手段が使用される。また、上述の原料活性化手段とは別に、基板ホルダ6に基板温度調整手段(図示せず)が設けられており、基板7の温度を調整することができるように構成されている。
【0052】
以上のような半導体成長装置を使用して、以下に説明するような素子構造の紫外線受光素子が作製される。
図2(a)に示す紫外線受光素子は、ZrB2基板10上に、窒化物緩衝層11と、n型窒化物半導体層13と、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14と、p型窒化物半導体層15と、コンタクト層16とが順次堆積され、コンタクト層16とp型窒化物半導体層15とi型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層13とを部分的にドライエッチングにより除去することにより露出されたn型窒化物半導体層13の表面に電極17を形成し、コンタクト層16の表面に電極18を形成することで得られる。尚、ここではPIN接合フォトダイオードの紫外線受光素子について例示するが、後述するようなPN接合型やショットキーダイオード型のフォトダイオードにも適用可能である。
【0053】
具体的には、窒化物緩衝層11は低温堆積成長により得られるAlNであり、n型窒化物半導体層13は単結晶のn−AlxGa1−xN(0≦x≦1)(厚さ1μm)であり、i型窒化物半導体層14はアンドープの単結晶AlzGa1−zN(0≦z≦1)(厚さ0.1〜0.2μm)であり、p型窒化物半導体層15は単結晶のp−AlyGa1−yN(0≦y≦1)(厚さ80nm)であり、コンタクト層16はp−GaN(厚さ20nm)である。また、電極17にはn型窒化物半導体層13との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてZrB2を用い、電極18にはコンタクト層16との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてAl、Au、Ni等の金属電極を用いる。電極17としてAl、Au、Ni等の金属電極を用いてもよい。尚、窒化物緩衝層11の材料としてはAlwGa1−wN(0≦w≦1)を使用することができ、その際には、n型窒化物半導体層13よりもバンドギャップエネルギを大きく設計するために、w>xとなるようなアルミニウム組成比が採用されている。
【0054】
また、本実施形態では、p型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性をオーミックなものとするためにコンタクト層16を介在させたのであり、p型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性がオーミックなものとなるのであればコンタクト層16を設けなくても構わない。或いは、必ずしもp型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性をオーミックな状態とする必要はない。例えば、電極18とコンタクト層16との間の空乏層と、受光領域(空乏領域)とが互いに干渉しないのであれば、電極18とコンタクト層16との間にショットキー接合が形成されていたとしても紫外線受光素子としての性能を発揮させることができる。更に、電極17として用いるZrB2の上部にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0055】
以上のように、各窒化物半導体層(AlxGa1−xN)の格子間隔(約3.1Å〜約3.2Å)と同等な格子定数を有するZrB2(c軸に垂直方向の格子定数が3.167Å)を基板として採用し、更に、それらの間には両者の格子不整合を緩和することのできる窒化物緩衝層11を設けたことで、欠陥密度が低く結晶品質の良好な窒化物半導体層を得ることができる。従って、暗電流のレベルが低く、光を吸収して発生した光キャリアがトラップされる確率が低い紫外線受光素子を提供することができる。
【0056】
次に、上述の各窒化物半導体層の成長方法について説明する。
上述の窒化物緩衝層11、n型窒化物半導体層13、i型窒化物半導体層14、p型窒化物半導体層15、およびコンタクト層16は、アルミニウム原料としてトリメチルアルミニウム(TMAl)やトリエチルアルミニウム(TEAl)を使用し、ガリウム原料としてトリメチルガリウム(TMGa)やトリエチルガリウム(TEGa)を使用し、窒素原料としてはアンモニア(NH3)を使用し、それらの原料をチャンバ5に供給して基板上に堆積される。その際、良好な膜が得られるようにチャンバ5内の温度や基板上の温度なども調整される。ドーパントとしてはシランガスなどが使用される。また、堆積される化合物の組成を調整する場合には、チャンバに供給される原料の量を調整すればよい。
【0057】
図2(a)に例示した構造の素子を作製した後、受光領域(i型窒化物半導体層14)への光の通り道を確保するためにZrB2基板10を除去する工程が行われる。図2(b)に示すのは、ZrB2基板10を全面にわたって除去することで、露出された窒化物緩衝層(AlN)11の表面を受光面とし、その受光面に照射された光が窒化物緩衝層11およびn型窒化物半導体層13を透過して受光領域(i型窒化物半導体層14)に入射し、そこで吸収される形態の紫外線受光素子である。また、図2(c)に示すのは、窒化物緩衝層11が導電性である場合に採り得る構造であり、ZrB2基板10の一部分を除去することで部分的に露出されたn型窒化物半導体層13の表面を受光面とする形態の紫外線受光素子である。図2(b)および図2(c)に示した構造の紫外線受光素子を作製する際のZrB2基板10のエッチング方法には、HF/HNO3混合溶液を用いたウェットエッチングと、ガスを用いたドライエッチングとがある。
【0058】
図2(c)に例示したように、ZrB2基板10を部分的に除去する場合には、まず、ZrB2基板10上にマスクを形成し、マスクされていない部分のZrB2基板を上述のウェットエッチングまたはドライエッチングにより除去し、その後、ZrB2基板10上のマスクを取り外し、Al、Ni、Auなどの金属からなる電極19を残されたZrB2基板10上に形成することで、導電性のZrB2基板10を介して、n型窒化物半導体層13と電極19との間の電気的な特性をオーミックな状態とすることができる。つまり、ZrB2基板10を電極の一部とする構成を採用している。ここでも、ZrB2基板10上にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。図2(c)に示すように、電極19を基板10側に設けることで、図2(b)とは異なり、コンタクト層16とp型窒化物半導体層15とi型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層13とを部分的にドライエッチングにより除去することが不要となる。尚、上述の実施形態で説明した他の酸でも同様の効果が得られる場合は、それを使用することができる。
【0059】
次に、紫外線受光素子の特性について説明する。
図4に示すのはAlxGa1−xN(0≦x≦1)においてアルミニウム組成比xとバンドギャップエネルギ:Eg(eV)との一般的な関係を示すグラフである。図示するように、堆積されるAlxGa1−xNのアルミニウム組成比xを調整することで、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14のバンドギャップエネルギを調整可能であり、その結果、図2に例示したようなPIN接合型の紫外線受光素子において、所定の波長にカットオフ波長を設定することができる。
【0060】
図3に示すのは、メタンを燃焼させた際に発生する火炎の発光スペクトルと、太陽光のスペクトルと、照明機器などによる室内光のスペクトルである。火炎の発光スペクトルにはOHラジカルの発光に起因する310nm付近のピークが最も大きく見られ、そのピークのすそが波長約340nm付近にまで広がっている。また、短波長側には波長約270nm付近の小さなピークと、波長約280nm〜波長約300nmに見られるピークとが存在する。従って、火炎の発光のみを感度良く検出するためには、紫外線受光素子において吸収される光に含まれる火炎の光強度をできるだけ大きくし、逆に吸収される光に含まれる太陽光および室内光の光強度をできるだけ小さくすればよい。例えば、吸収される光に含まれる火炎の光強度の割合を大きくするために、上述したピーク波長付近に受光層のバンドギャップエネルギを設定すること、或いは、紫外線受光素子の光入射側に光フィルタを装着して太陽光や室内光を遮断することなどが行われる。尚、ここに記載した火炎の発光スペクトルは燃焼されるガスの成分などによって変化することもある。
【0061】
以下に、火炎の光を検出対象光とした場合の紫外線受光素子(火炎センサ)において、各窒化物半導体層のバンドギャップエネルギについて説明する。
まず、i型窒化物半導体層14(AlzGa1−zN:0≦z≦1)のバンドギャップエネルギを所望の値に設定するために、そのアルミニウム組成比zを調整することが行われる。例えば、波長約344nm以下の波長域に広がる検出対象波長域にある火炎の光を選択的に受光することのできる火炎センサを作製したい場合には、受光領域(i型窒化物半導体層14)のバンドギャップエネルギが3.6eV以上となることで、3.6eV以上のエネルギを有する光が選択的に吸収されるように、アルミニウム組成比z=0.05、或いはそれ以上となるように成膜される。或いは、約300nm以上の波長域に含まれる、各種照明機器からの光(室内光)を受光せずに、検出対象波長域にある火炎の光を受光するような火炎センサを作製したい場合には、受光領域(i型窒化物半導体層14)のバンドギャップエネルギが4.1eV以上となることで、4.1eV以上のエネルギを有する光が選択的に吸収されるように、アルミニウム組成比z=0.25、或いはそれ以上となるように成膜される。また或いは、約280nm以上の波長域に含まれる、太陽光からの光を受光せずに、検出対象波長域にある火炎の光のみを受光するような火炎センサを作製したい場合には、受光領域(i型窒化物半導体層14)のバンドギャップエネルギが4.4eV以上となることで、4.4eV以上のエネルギを有する光が選択的に吸収されるように、アルミニウム組成比z=0.37、或いはそれ以上となるように成膜される。
【0062】
或いは、弱い光強度であれば太陽光などの外乱光が受光領域において吸収されても構わない場合には、受光領域(i型半窒化物導体層14)のバンドギャップエネルギが4.3eV以上(波長約290nm以下)となることで、4.3eV以上のエネルギを有する光が選択的に吸収されるように、アルミニウム組成比z=0.31、或いはそれ以上となるように成膜される。波長約290nm以下では図3に示すようにそれらの外乱光の光強度が非常に小さくなり、他方で火炎の光は大きいので、結果として火炎の光が存在することを検知することができる。
【0063】
更に、火炎センサとして使用される紫外線受光素子が給湯器内部やエンジン内部などの閉鎖空間に設置され、そこでの火炎の発光を検出したい場合には、上述した室内光や太陽光が存在しないため、それらの存在を考慮する必要はない。そのため、検出対象波長域にある火炎の光の中でも特に炭化水素を含む化合物(都市ガスに含まれるメタンや、エンジンで燃焼される燃料)を燃焼させた場合に観測されるOHラジカルの発光に起因する発光ピーク(波長約310nm(310nm±10nm):4.0eV)の光を選択的に受光することのできる紫外線受光素子を作製する場合には、受光領域のバンドギャップエネルギを4.0eV付近に設定し、約4.0eV以下のエネルギを有する光が選択的に吸収されるように、アルミニウム組成比x=0.23となるように成膜すればよい。
【0064】
従って、図2に示した紫外線受光素子を火炎センサに使用する場合を想定すると、受光領域の形成に係るi型窒化物半導体層(i−AlzGa1−zN)14のアルミニウム組成比は0.2≦z≦1であることが好ましく、受光領域にとっての透過窓層として作用させるn型窒化物半導体層(n−AlxGa1−xN)13のアルミニウム組成比は0.3≦x≦1であることが好ましく、そして、p型窒化物半導体層(p−AlyGa1−yN)15のアルミニウム組成比は0.2≦y≦1であることが好ましい。
【0065】
また、受光領域のバンドギャップエネルギを調整するだけでなく、受光領域の光入射面側(本実施形態では基板側)に配置される半導体層のバンドギャップエネルギが、受光領域のバンドギャップエネルギ以上であるように構成し、光損失の少ない窓層として作用させることも行われる。言い換えると、n型窒化物半導体層(n−AlxGa1−xN)13のバンドギャップエネルギを、受光領域として作用するi型窒化物半導体層(AlzGa1−zN)14のバンドギャップエネルギ以上に設定したヘテロ構造を採用することで、i型窒化物半導体層14で吸収されるべき波長範囲の光が、n型窒化物半導体層13で光吸収や光散乱などによる光損失を被らないように設計することができる。この場合、アルミニウム組成比x、zの関係は、x>zである。
【0066】
例えば、n型窒化物半導体層(n−AlxGa1−xN)13のアルミニウム組成比x=0.3とした場合には、波長約290nm以上の光をi型窒化物半導体層14側に良好に透過させることができる。更に、n型窒化物半導体層13においては、波長約290nmよりも短い波長の光を吸収するため、i型窒化物半導体層(AlzGa1−zN)14のアルミニウム組成比をz=0.2とした場合には、i型窒化物半導体層14において波長約290nm〜約310nmの光を選択的に吸収する紫外線受光素子が得られる。
【0067】
上述のように、受光領域の形成に係る半導体層のバンドギャップエネルギと、それよりも光入射面側に配置される半導体層のバンドギャップエネルギとを調整することで、所定の波長範囲の光を選択的に吸収し、光キャリアを発生させる紫外線受光素子を作製することができる。このような紫外線受光素子の応用例としては、UV−A(波長315nm〜波長400nm)、UV−B(波長280nm〜波長315nm)、UV−C(波長280nm〜波長100nm)といった波長範囲に存在する紫外線の強度を測定するための素子が挙げられる。
【0068】
例えば、UV−Bの光を選択的に検出する紫外線受光素子を作製する場合には、n型窒化物半導体層13のバンドギャップエネルギをUV−Bの短波長端である約4.4eV(波長280nm)に設定し、受光領域の形成に係るi型窒化物半導体層14のバンドギャップエネルギをUV−Bの長波長端である約3.9eV(波長315nm)に設定すればよい。上述の条件は、n−AlxGa1−xNのアルミニウム組成比xを約0.35とし、i−AlzGa1−zNのアルミニウム組成比zを約0.19とすることで満たされる。つまり、UV−Bの波長範囲である35nmの範囲の光を選択的に検出するためには、x=z+0.16となるように各アルミニウム組成比x、zを調整すればよい。
【0069】
次に、図2に例示した紫外線受光素子の改変例について説明する。
図5に示すのは、上述の実施形態に説明したp型窒化物半導体層15が超格子構造で作製された場合の素子構造例であり、図2に例示した紫外線受光素子の作製工程と同様に、ZrB2基板10上に、窒化物緩衝層11と、n型窒化物半導体層13と、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14と、超格子構造のp型窒化物半導体層20と、コンタクト層16とが順次堆積され、コンタクト層16とp型窒化物半導体層20とi型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層13とを部分的にドライエッチングにより除去することで露出されたn型窒化物半導体層13の表面に電極17を形成し、コンタクト層16の表面に電極18を形成し、更に、ZrB2基板10をエッチングにより除去することで得られる。そして、窒化物緩衝層11表面を光入射面とし、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14に光を導入する。
【0070】
具体的には、窒化物緩衝層11はAlN(またはAlwGa1−wN(x<w≦1))であり、n型窒化物半導体層13は単結晶のn−AlxGa1−xN(0≦x≦1)(厚さ1μm)であり、i型窒化物半導体層14はアンドープの単結晶AlzGa1−zN(0≦z≦1)(厚さ0.1〜0.2μm)であり、超格子構造のp型窒化物半導体層20はp−GaN層20a(厚さ3nm)とAlN層20b(厚さ2nm)とが交互に複数層堆積された層であり、コンタクト層16はp−GaN(厚さ20nm)である。また、電極17にはn型窒化物半導体層13との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてZrB2を用い、電極18にはコンタクト層16との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてAl、Au、Ni等の金属電極を用いる。
【0071】
図中では例示目的のため、p−GaN層20aとAlN層20bとを2層ずつしか描いていないが、p型窒化物半導体層20をp−GaN層20a(厚さ3nm)とAlN層20b(厚さ2nm)とを16層ずつ交互に堆積させた場合には、得られる超格子構造のp型窒化物半導体層20を厚さが80nmのp−Al0.4Ga0.6N層と見なすことができる。従って、i型窒化物半導体層14に隣接するp型窒化物半導体層20のバンドギャップエネルギを約4.5eVに設定することができるので、i型窒化物半導体層14を含む空乏領域がp型窒化物半導体層20側にまで広がっていたとしても、p型窒化物半導体層20による感度が、i型半導体層14による感度を低下させることもない。上述のp−GaN層とAlN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層の代わりに、p−AlGaN層とAlN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層20や、p−AlGaN層とAlN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層や、p−AlGaN層とAlGaN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層などを用いても同様である。
【0072】
尚、本実施形態でも同様に、p型窒化物半導体層20と電極18との間の電気的な特性をオーミックなものとするためにコンタクト層16を介在させたのであり、p型窒化物半導体層20と電極18との間の電気的な特性がオーミックなものとなるのであればコンタクト層16を設けなくても構わない。或いは、必ずしもp型窒化物半導体層20と電極18との間の電気的な特性をオーミックな状態とする必要はない。例えば、電極18とコンタクト層16との間の空乏層と、受光領域(空乏領域)とが互いに干渉しないのであれば、電極18とコンタクト層16との間にショットキー接合が形成されていたとしても紫外線受光素子としての性能を発揮させることができる。更に、電極17として用いるZrB2の上部にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0073】
受光領域の形成に係る半導体層および窓層のバンドギャップエネルギの調整については、図2を参照して説明したのと同様に、検出対象とする光の波長に応じてn型窒化物半導体層(n−AlxGa1−xN)13およびi型窒化物半導体層(i−AlzGa1−zN)14のアルミニウム組成比x、zを調整して行うことができる。各半導体層の成長方法は上述したのと同様である。また、図2(c)と同様の構造の紫外線受光素子を作製することもできる。
【0074】
図6に示すのはフォトトランジスタ型の紫外線受光素子の断面図であり、図2に例示した紫外線受光素子の作製工程と同様に、ZrB2基板10上に、窒化物緩衝層11と、n型窒化物半導体層13(エミッタ)と、超格子構造のp型窒化物半導体層21と、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14と、n型窒化物半導体層22(コレクタ)とが順次堆積され、n型窒化物半導体層22とi型窒化物半導体層14とp型窒化物半導体層21とn型窒化物半導体層13とを部分的にドライエッチングにより除去することで露出されたn型窒化物半導体層13の表面に電極17を形成し、n型窒化物半導体層22の表面に電極18を形成し、更に、ZrB2基板10をエッチングにより除去することで得られる。そして、露出された窒化物緩衝層11の表面を光入射面とし、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14に光を導入する。
【0075】
具体的には、窒化物緩衝層11はAlN(またはAlwGa1−wN(x<w≦1))であり、n型窒化物半導体層13は単結晶のn−AlxGa1−xN(0≦x≦1)(厚さ1μm)であり、超格子構造のp型窒化物半導体層21はp−GaN層21a(厚さ3nm)とAlN層21b(厚さ2nm)とが交互に複数層堆積された層であり、i型窒化物半導体層14はアンドープの単結晶AlzGa1−zN(0≦z≦1)(厚さ0.1〜0.2μm)であり、n型窒化物半導体層22は単結晶のn−AlxGa1−xN(0≦x≦1)(厚さ1μm)である。また、電極17にはn型窒化物半導体層13との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてZrB2を用い、電極18にはn型窒化物半導体層22との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてAl、Au、Ni等の金属電極を用いる。
【0076】
図中では例示目的のため、p−GaN層21aとAlN層21bとを2層ずつしか描いていないが、p型窒化物半導体層21をp−GaN層21a(厚さ3nm)とAlN層21b(厚さ2nm)とを16層ずつ交互に堆積させた場合には、得られる超格子構造のp型窒化物半導体層21を厚さが80nmのp−Al0.4Ga0.6N層と見なすことができる。従って、i型窒化物半導体層14に隣接するp型窒化物半導体層21のバンドギャップエネルギを約4.5eVに設定することができるので、i型窒化物半導体層14を含む空乏領域がp型窒化物半導体層21側にまで広がっていたとしても、p型窒化物半導体層21による感度が、i型半導体層14による感度を低下させることもない。上述のp−GaN層とAlN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層の代わりに、p−AlGaN層とAlN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層21や、p−AlGaN層とAlN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層や、p−AlGaN層とAlGaN層とが交互に堆積された超格子構造のp型窒化物半導体層などを用いても同様である。
【0077】
受光領域の形成に係る半導体層および窓層のバンドギャップエネルギについては、図2を参照して説明したのと同様に、検出対象とする光の波長に応じて調整することができる。各半導体層の成長方法は上述したのと同様である。更に、図6中では超格子構造のp型窒化物半導体層21を用いたが、単層のp型窒化物半導体層いてフォトトランジスタを形成することもできる。また、図2(c)と同様の構造の紫外線受光素子を作製することもできる。
【0078】
上述の実施形態では、窒化物緩衝層11が、受光領域で吸収されるべき検出対象とする光を透過させる特性を有するような材料、つまり受光領域およびn型窒化物半導体層13のバンドギャップエネルギよりも大きなバンドギャップエネルギを有する材料(AlN)を用いていたが、以下の実施形態では窒化物緩衝層11が、受光領域で吸収されるべき検出対象とする光を透過させることができない場合の例について説明する。
【0079】
図7(a)に示す紫外線受光素子は、ZrB2基板10上に、窒化物緩衝層11と、エッチングストップ層12と、n型窒化物半導体層13と、i型窒化物半導体層14と、p型窒化物半導体層15と、コンタクト層16とが順次堆積され、コンタクト層16とp型窒化物半導体層15とi型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層13とを部分的にドライエッチングにより除去することにより露出されたn型窒化物半導体層13の表面に電極17を形成し、コンタクト層16の表面に電極18を形成することで得られる。
【0080】
具体的には、検出対象とする光を透過させることができない特性を有する窒化物緩衝層11は、不純物が混入されたGaNやAlwGa1−wN(0<w<x)であり、エッチングストップ層12はアンドープの単結晶AlGaN(厚さ200nm)であり、n型窒化物半導体層13は単結晶のn−AlxGa1−xN(0≦x≦1)(厚さ1μm)であり、i型窒化物半導体層14はアンドープの単結晶AlzGa1−zN(0≦z≦1)(厚さ0.1〜0.2μm)であり、p型窒化物半導体層15は単結晶のp−AlyGa1−yN(0≦y≦1)(厚さ80nm)であり、コンタクト層16はp−GaN(厚さ20nm)である。また、電極17にはn型窒化物半導体層13との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてZrB2を用い、電極18にはコンタクト層16との間の特性をオーミックなものとすることのできる材料としてAl、Au、Ni等の金属電極を用いる。ここで、エッチングストップ層12は受光領域で吸収されるべき検出対象光に対して透明である。
【0081】
尚、本実施形態では、p型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性をオーミックなものとするためにコンタクト層16を介在させたのであり、p型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性がオーミックなものとなるのであればコンタクト層16を設けなくても構わない。或いは、必ずしもp型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性をオーミックな状態とする必要はない。例えば、電極18とコンタクト層16との間の空乏層と、受光領域(空乏領域)とが互いに干渉しないのであれば、電極18とコンタクト層16との間にショットキー接合が形成されていたとしても紫外線受光素子としての性能を発揮させることができる。更に、電極17として用いるZrB2の上部にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0082】
更に、図7(b)に示すようにZrB2基板10および窒化物緩衝層11を除去することで、露出されたエッチングストップ層12の表面を受光面とし、その受光面に照射された光が受光領域(i型窒化物半導体層14)に入射して吸収される形態の紫外線受光素子が提供される。また、図7(c)に示すように、ZrB2基板10および窒化物緩衝層11の一部分を除去することで受光面を形成することもできる。ここで、ZrB2基板10と共に窒化物緩衝層11をエッチングにより除去するのは、ここで使用されているGaN(窒化物緩衝層11)による光吸収が発生し、受光領域に到達する光の強度が減少することで、結果的に、紫外線受光素子の感度が低下してしまうことを防止するためである。
【0083】
ここで図7(b)に示した構造の紫外線受光素子を作製する際には、まず、ZrB2基板10は、HF/HNO3混合溶液を用いたウェットエッチングにより除去することができる。次に説明するように、窒化物緩衝層11が導電性である場合と、非導電性である場合とで、その窒化物緩衝層11のエッチング方法が異なる。
【0084】
まず、窒化物緩衝層11が導電性である場合には、KOH溶液中で紫外線(例えば、水銀ランプ)照射を行いながら電流を流すというウェットエッチングを実施して窒化物緩衝層11を除去することができる。その際、ここで用いられるウェットエッチングに対する特性が同様である窒化物を用いた窒化物緩衝層11とn型窒化物緩衝層13との間には窒化物緩衝層11よりもエッチング速度が遅いエッチングストップ層12が設けられていることから、エッチング実施時間を調整することで、エッチングがn型窒化物半導体層13に大きく及ぶことが防止される。他方で、窒化物緩衝層11が非導電性である場合には、例えばClとArの混合ガスなどを用いてドライエッチングを実施して窒化物緩衝層11を除去することができる。従って、ドライエッチングを実施する場合には、エッチングストップ層12が必須であるわけではない。
【0085】
また、窒化物緩衝層11が導電性である場合には、図7(c)に例示するような構造の紫外線受光素子を作製することもできる。詳細には、図7(c)に例示したように、ZrB2基板10と窒化物緩衝層11とを部分的に除去する場合には、まず、ZrB2基板10上にマスクを形成し、マスクされていない部分のZrB2基板および窒化物緩衝層11が除去される。その後、ZrB2基板10上のマスクを取り外し、Al、Ni、Auなどの金属からなる電極19がZrB2基板10上に形成される。つまり、窒化物緩衝層11が導電性であることを利用して、ZrB2基板10を電極の一部とする構成を採用している。ここでも、ZrB2基板10上にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0086】
次に、図8(a)に示すのはPN接合フォトダイオード型の紫外線受光素子の断面図であり、図7に例示した紫外線受光素子の作製工程と同様に、ZrB2基板10上に、窒化物緩衝層11と、エッチングストップ層12と、n型窒化物半導体層13と、p型窒化物半導体層15と、コンタクト層16とが順次堆積され、コンタクト層16とp型窒化物半導体層15とn型窒化物半導体層13とを部分的にドライエッチングにより除去することで露出されたn型窒化物半導体層13の表面に電極17を形成し、コンタクト層16の表面に電極18を形成し、更に、ZrB2基板10と窒化物緩衝層11とをエッチングにより除去し、露出された表面が受光面とされる。図7(b)に例示した紫外線受光素子との違いは、PN接合の界面に形成される空乏層が受光領域として作用することである。
【0087】
具体的には、窒化物緩衝層11はGaNであり、エッチングストップ層12はi−AlGaN(厚さ200nm)であり、n型窒化物半導体層13は単結晶のn−AlxGa1−xN(0≦x≦1)(厚さ1μm)であり、p型窒化物半導体層15は単結晶のp−AlyGa1−yN(0≦y≦1)(厚さ80nm)であり、コンタクト層16はp−GaN(厚さ20nm)である。また、電極17にはn型窒化物半導体層13との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてZrB2を用い、電極18にはコンタクト層16との間でオーミックな接触を形成することのできる材料としてAl、Au、Ni等の金属電極を用いる。尚、本実施形態でも同様に、p型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性をオーミックなものとするためにコンタクト層16を介在させたのであり、p型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性がオーミックなものとなるのであればコンタクト層16を設けなくても構わない。或いは、必ずしもp型窒化物半導体層15と電極18との間の電気的な特性をオーミックな状態とする必要はない。例えば、電極18とコンタクト層16との間の空乏層と、受光領域(空乏領域)とが互いに干渉しないのであれば、電極18とコンタクト層16との間にショットキー接合が形成されていたとしても紫外線受光素子としての性能を発揮させることができる。更に、電極17として用いるZrB2の上部にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0088】
図8(b)に示すのも図8(a)に例示したのと同様のPN接合フォトダイオード型の紫外線受光素子の断面図であり、図2に例示した紫外線受光素子の作製工程と同様に、ZrB2基板10上に、導電性の窒化物緩衝層11と、エッチングストップ層12と、n型窒化物半導体層13と、p型窒化物半導体層15と、コンタクト層16とが順次堆積され、コンタクト層16の表面に電極18を形成し、更に、ZrB2基板10と窒化物緩衝層11とをエッチングにより部分的に除去することで露出した表面を受光面とし、残されたZrB2基板10上にAl、Ni、Auなどの金属からなる電極19を形成することで得られる。つまり、窒化物緩衝層11が導電性であることを利用して、ZrB2基板10を電極の一部とする構成を採用している。ここでも、ZrB2基板10上にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0089】
受光領域の形成に係る半導体層のバンドギャップエネルギの調整については、図2を参照して説明したのと同様に、検出対象とする光の波長に応じてn型窒化物半導体層(n−AlxGa1−xN)13およびp型窒化物半導体層(p−AlyGa1−yN)15のアルミニウム組成比x、yを調整して行うことができる。各半導体層の成長方法は上述したのと同様である。
【0090】
図9(a)に示すのはショットキーダイオード型の紫外線受光素子の断面図であり、図7に例示した紫外線受光素子の作製工程と同様に、ZrB2基板10上に、窒化物緩衝層11と、エッチングストップ層12と、n型窒化物半導体層13と、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14とが順次堆積され、i型窒化物半導体層14とn型窒化物半導体層13とを部分的にドライエッチングにより除去することで露出されたn型窒化物半導体層13の表面に電極17を形成し、i型窒化物半導体層14の表面に電極18を形成することで得られる。ここで、高抵抗のi型窒化物半導体層14と電極18との間にはショットキー接合が形成されている。
【0091】
具体的には、窒化物緩衝層11はGaNであり、エッチングストップ層12はi−AlGaN(厚さ200nm)であり、n型窒化物半導体層13は単結晶のn−AlxGa1−xN(0≦x≦1)(厚さ1μm)であり、i型窒化物半導体層14はアンドープの単結晶AlzGa1−zN(0≦z≦1)(厚さ0.1〜0.2μm)である。また、電極17にはn型窒化物半導体層13との間の電気的な特性をオーミックなものすることのできる材料としてZrB2を用いる。更に、電極17として用いるZrB2の上部にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0092】
図9(b)に示すのも同じくショットキーダイオード型の紫外線受光素子の断面図であり、図7に例示した紫外線受光素子の作製工程と同様に、ZrB2基板10上に、導電性の窒化物緩衝層11と、エッチングストップ層12と、n型窒化物半導体層13と、受光領域として作用するi型窒化物半導体層14とが順次堆積され、i型窒化物半導体層14の表面に電極18(ショットキー電極)を形成し、更に、ZrB2基板10と窒化物緩衝層11とをエッチングにより部分的に除去することで露出した表面を受光面とし、残されたZrB2基板10上にAl、Ni、Auなどの金属からなる電極19を形成することで得られる。つまり、窒化物緩衝層11が導電性であることを利用して、ZrB2基板10を電極の一部とする構成を採用している。ここでも、ZrB2基板10上にAl、Au、Ni等からなる単層または複数層の金属を堆積させて、ZrB2を保護するように構成することもできる。
【0093】
受光領域の形成に係る半導体層および窓層として作用するn型窒化物半導体層13のバンドギャップエネルギの調整については、図2を参照して説明したのと同様に、検出対象とする光の波長に応じてn型窒化物半導体層(n−AlxGa1−xN)13およびi型窒化物半導体層(i−AlzGa1−zN)14のアルミニウム組成比x、zを調整して行うことができる。各半導体層の成長方法は上述したのと同様である。更に、i型窒化物半導体層14の代わりに、n型窒化物半導体層13よりも高抵抗なn−型窒化物半導体層(例えば、n―−AlzGa1−zN(0≦z≦1))を用い、そのn−型窒化物半導体層を受光領域として作用させることもできる。n−型窒化物半導体層のバンドギャップエネルギの調整については、i型窒化物半導体層14の場合と同様である。
【0094】
上述の実施形態ではAlGaNなどの具体的な化合物名を挙げて紫外線受光素子の特性の説明を行ったが、その特性が確保されているならば各窒化物半導体層には他の元素が含まれていても構わない。例えば、AlGaNにInが含まれたInAlGaNを用いて窒化物半導体層を構成してもよい。その他、PやAsなどが含まれている場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体成長装置の模式図である。
【図2】紫外線受光素子の断面図である。
【図3】太陽光、室内光、および火炎の光のスペクトルを示すグラフである。
【図4】AlGaNのバンドギャップエネルギとアルミニウム組成比との関係を示すグラフである。
【図5】紫外線受光素子の断面図である。
【図6】紫外線受光素子の断面図である。
【図7】紫外線受光素子の断面図である。
【図8】紫外線受光素子の断面図である。
【図9】紫外線受光素子の断面図である。
【符号の説明】
1 キャリアガスタンク
2 ガス管
3 ガス純化手段
4 原料タンク
5 チャンバ
6 基板ホルダ
7 基板
8 原料タンク
10 基板
11 窒化物緩衝層
12 エッチングストップ層
13 n型窒化物半導体層
14 i型窒化物半導体層
15 p型窒化物半導体層
16 コンタクト層
17 電極
18 電極
19 電極
20 p型窒化物半導体層
21 p型窒化物半導体層
22 n型窒化物半導体層
Claims (18)
- ZrB2基板上に、窒化物緩衝層と、n型窒化物半導体層と、単数または複数の窒化物半導体層とが順次堆積して形成され、
一対の電極に挟まれる前記n型窒化物半導体層および前記単数または複数の窒化物半導体層の内の単数または複数の半導体層が受光領域として作用する紫外線受光素子。 - 前記単数または複数の窒化物半導体層が、前記n型窒化物半導体層と共にPN接合型ダイオードを構成するp型窒化物半導体層を有する請求項1に記載の紫外線受光素子。
- 前記単数または複数の窒化物半導体層が、前記n型窒化物半導体層と共にPIN接合型ダイオードを構成するi型窒化物半導体層とp型窒化物半導体層とを有する請求項1に記載の紫外線受光素子。
- 前記単数または複数の窒化物半導体層が、前記n型窒化物半導体層上に堆積され、前記電極の一方と共にショットキーダイオードを構成するi型窒化物半導体層またはn−型窒化物半導体層を有する請求項1に記載の紫外線受光素子。
- 前記n型窒化物半導体層がn−AlxGa1−xN(0.3≦x≦1)を含み、前記p型窒化物半導体層がp−AlyGa1−yN(0.2≦y≦1)を含む請求項2または請求項3に記載の紫外線受光素子。
- 前記p型窒化物半導体層が超格子構造である請求項5に記載の紫外線受光素子。
- 前記i型窒化物半導体層がi−AlzGa1−zN(0.2≦z≦1)である請求項3または請求項4に記載の紫外線受光素子。
- 前記n−型窒化物半導体層がn−−AlzGa1−zN(0.2≦z≦1)である請求項4に記載の紫外線受光素子。
- 前記電極の一方が、前記p型窒化物半導体層上にコンタクト層を介して形成された金属電極を用いて構成される請求項2、3、5、6の何れか1項に記載の紫外線受光素子。
- 前記受光領域の形成に係る前記単数または複数の半導体層が、原料を所定の結晶成長面の近傍に搬送するキャリアガスとして水素を用いる気相成長法を用いて堆積される請求項1から請求項9の何れか1項に記載の紫外線受光素子。
- 前記ZrB2基板が少なくとも一部分除去されて露出された表面から検出対象光が前記受光領域に入射される請求項1から請求項10の何れか1項に記載の紫外線受光素子。
- 前記n型窒化物半導体層がn−AlxGa1−xN(0.3≦x≦1)を含み、前記窒化物緩衝層がAlwGa1−wN(x<w≦1)を含む請求項11に記載の紫外線受光素子。
- 前記ZrB2基板と前記窒化物緩衝層とが少なくとも一部分除去されて露出された表面から検出対象光が前記受光領域に入射される請求項1から請求項10の何れか1項に記載の紫外線受光素子。
- 前記n型窒化物半導体層がn−AlxGa1−xN(0.3≦x≦1)を含み、前記窒化物緩衝層がAlwGa1−wN(0≦w<x)を含む請求項13に記載の紫外線受光素子。
- 前記窒化物緩衝層が導電性であり、前記導電性の窒化物緩衝層と前記n型窒化物半導体層との間にエッチングストップ層が更に設けられ、前記導電性の窒化物緩衝層がウェットエッチングにより除去される請求項13または請求項14に記載の紫外線受光素子。
- 前記窒化物緩衝層が非導電性であり、前記非導電性の窒化物緩衝層がドライエッチングにより除去される請求項13または請求項14に記載の紫外線受光素子。
- 前記電極の一方が、前記n型窒化物半導体層上に形成されたZrB2を用いて構成される請求項1から請求項16の何れか1項に記載の紫外線受光素子。
- 請求項1から請求項17の何れか1項に記載の紫外線受光素子を用いた火炎センサ。
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JP2002195959A JP2004039913A (ja) | 2002-07-04 | 2002-07-04 | 紫外線受光素子および火炎センサ |
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---|---|---|---|---|
JP2006339384A (ja) * | 2005-06-01 | 2006-12-14 | Kyocera Corp | 発光素子およびその製造方法ならびにその発光素子を用いた照明装置 |
KR20170010578A (ko) * | 2015-07-20 | 2017-02-01 | 서울바이오시스 주식회사 | 광 검출 소자 |
JP2021077913A (ja) * | 2015-08-31 | 2021-05-20 | 株式会社半導体エネルギー研究所 | 半導体装置 |
WO2021149623A1 (ja) * | 2020-01-20 | 2021-07-29 | Dowaホールディングス株式会社 | 紫外線受光素子 |
-
2002
- 2002-07-04 JP JP2002195959A patent/JP2004039913A/ja active Pending
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