JP2004039733A - プラズマ密度情報測定用プローブおよびそれを用いたプラズマ密度情報測定方法並びにその装置、プラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法およびその装置 - Google Patents
プラズマ密度情報測定用プローブおよびそれを用いたプラズマ密度情報測定方法並びにその装置、プラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法およびその装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】配設方向による依存が低いプラズマ密度情報測定用プローブおよびそれを用いたプラズマ密度情報測定方法並びにその装置、プラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【解決手段】測定プローブ7は、同軸ケーブル10の先端部を加工成形することによって構成されており、この同軸ケーブル10は誘電体製のチューブ19に被覆されている。先端部において同軸ケーブル10の中心導体10dはアンテナの機能を果たし、アンテナ付近ではチューブ19は、球形状に構成されているとともに、アンテナである先端部における中心導体10dも、球形状に構成されている。このように構成することで、配設方向による依存が低い測定プローブ7を実現することができる。
【選択図】 図2
【解決手段】測定プローブ7は、同軸ケーブル10の先端部を加工成形することによって構成されており、この同軸ケーブル10は誘電体製のチューブ19に被覆されている。先端部において同軸ケーブル10の中心導体10dはアンテナの機能を果たし、アンテナ付近ではチューブ19は、球形状に構成されているとともに、アンテナである先端部における中心導体10dも、球形状に構成されている。このように構成することで、配設方向による依存が低い測定プローブ7を実現することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や薄膜素子の製造工程や、粒子ビーム源あるいは分析装置等に用いられるプラズマ密度情報測定用プローブおよびそれを用いたプラズマ密度情報測定方法並びにその装置、プラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマを応用した技術として、プラズマCVD(化学気相成長)やプラズマエッチング等が知られている。このようなプラズマ応用技術では、プラズマ処理を行うためのプラズマ処理室(例えばチャンバ)内のプラズマが経時的に変化するので、生成プラズマの特性を良く示すプラズマ密度に関する情報、すなわちプラズマ密度情報を十分に把握することが、適切な処理を行う上で非常に重要となる。プラズマ密度情報に関する有用な物理量として電子密度に関係する量、すなわち吸収周波数や、プラズマ表面波共鳴周波数等がある。これらの周波数等を測定することによってプラズマ密度情報を十分に把握してプラズマ処理を行うことができる。
【0003】
プラズマ密度情報を測定する手法として、本発明者は、特開2000−100598号の発明を先に提案している。この発明では、図18に示すように、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用プローブ101(以下、適宜『測定プローブ101』と略記する)をプラズマ処理室であるチャンバ102内に挿入して、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源103(以下、適宜『測定用電源103』と略記する)からプラズマ密度情報測定用電力(以下、適宜『測定用電力』と略記する)をチャンバ102内のプラズマPMに供給することによって測定が行われる。測定プローブ101は電力を放射するアンテナ104と、測定用電力を伝送する同軸ケーブル105と、先端が閉じられた誘電体製のチューブ106とから構成されており、この誘電体製のチューブ106内にアンテナ104と同軸ケーブル105とが接続されて挿設されている。
【0004】
測定用電源103から測定用電力は同軸ケーブル105を介してアンテナ104に放射されて、チャンバ102内のプラズマPMに供給される。チャンバ102内のプラズマPMに供給された測定用電力は、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて同軸ケーブル105を介して戻ってくる。つまり、プラズマPMに供給された測定用電力によって、測定プローブ101の誘電体製のチューブ106の表面にプラズマによる表面波が励起して、それによってプラズマ負荷の吸収または反射が起こる。その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報が測定される。
【0005】
詳述すると、測定用電源103は周波数掃引式であって、ある周波数帯域(例えば100kHzから2.5GHzまで)の周波数で測定用電力を自動掃引しながら出力する。測定用電力が吸収または反射されると、チャンバ102内のプラズマPMに供給した方向とは逆方向に電力の反射分が伝送されて、測定プローブ101と測定用電源103との間に配設されている方向性結合器107で検出されてモニタなどに出力する出力装置108に送り込まれる。出力装置108には測定用電源6から出力される測定用電力の周波数も逐次送り込まれる。
【0006】
出力装置108は、測定用電力の周波数と、測定用電力の検出反射量とに基づいて、測定用電力の反射率の対周波数変化を求める。つまり、同じ周波数において〔測定用電力の検出反射量〕÷〔測定用電力の全出力量〕なる演算を行い測定用電力の反射率を求め、掃引される周波数と測定用電力の反射率とを対応付けてプロットする。そして、得られた結果に基づいて、電子密度に起因して測定用電力の強い吸収が起こる吸収周波数を求める。上述の吸収周波数は電子密度などのようなプラズマ密度情報と一定の相関関係があるので、吸収周波数が求まることによって、プラズマ密度情報が容易に求められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する測定プローブを用いてプラズマ密度情報を測定すると、次のような問題がある。
例えばマイクロ波と磁場とを印加して電子の共鳴的加速を起こす電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance)(以下、『ECR』とする)による放電を利用したECRプラズマ等、磁化されたプラズマ中ではプラズマ密度情報を正確に測定することができない、あるいはチャンバの壁や被処理物(例えば半導体素子や薄膜素子の製造工程に用いられる基板)の近傍におけるプラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うべくバイアス電圧を印加することによるビーム要素の強いプラズマ中ではプラズマ密度情報を正確に測定することができないという問題がある。以下に、詳しく説明する。
【0008】
磁化されたプラズマ、すなわち有磁場のプラズマ中では磁場の影響により、無磁場のプラズマ中で観測された吸収周波数における吸収ポイントからシフトしてしまう。従って、無磁場のときに用いた方法で、有磁場のプラズマ中で観測された吸収周波数から電子密度等のプラズマ密度情報を導出しても、プラズマ密度情報を正確に測定することができない。さらに、磁場の大きさが同じであっても磁場の方向が異なれば、磁場中で測定されたプラズマ密度情報の結果も異なってくる。
【0009】
また、チャンバの壁や被処理物の近傍ではプラズマ分布が大きく、チャンバの壁または被処理物に沿って測定プローブを配設する場合と、チャンバの壁または被処理物に対して垂直方向に測定プローブを配設する場合とでは、プラズマ密度情報の結果も異なってくる。
【0010】
また、プラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うためにバイアス電圧を印加すると、プラズマ中のイオンなどが印加された電極に向かって一斉に移動するので、イオンなどが移動する方向に沿って測定プローブを配設する場合と、イオンなどが移動する方向に対して垂直方向に測定プローブを配設する場合とでは、プラズマ密度情報の結果も異なってくる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、配設方向による依存が低いプラズマ密度情報測定用プローブおよびそれを用いたプラズマ密度情報測定方法並びにその装置、プラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
マックスウェルの方程式を時間,空間で差分化し、出力点の時間応答を得るFDTD法 (Finite Difference Time Domain Method)を用いてシミュレーションを行った。図19は、測定プローブの長手方向(すなわちプローブの同軸方向)に対して垂直に磁場をかけたときの、後述するfMESにおけるプローブ周辺の電界強度の2乗分布を模式的に表した図である。このとき、電磁波は測定プローブ表面の誘電体とプラズマとの界面において表面波を励起させ、同軸方向である長手方向に伝搬する。伝搬した表面波は、同軸の両端で反射し、強い定在波を励起させ、プローブの先端で領域の長さで節,腹,節を形成し、共鳴吸収している様子が図19からわかる。
【0013】
また、このとき、表面波が励起する面はプローブの同軸に対して回転対称であるので、磁場がプローブの長手方向(同軸方向)に対して垂直である限り、同じfMESで共鳴吸収を示す。なお、fMESは、後述する『基本吸収周波数(または0次の吸収周波数)』と呼ばれる周波数であって、有用なプラズマ密度情報の1つである。
【0014】
また、これと同じことが、磁場がプローブの長手方向に対して平行に印加されているときもおこる。しかし、垂直時のfMESとは違う周波数の値になる。これはプラズマの等価誘電率が磁場と電界との方向によって異方性を示すからである(A. W. Trivelpiece and R. W. Gould: J.ApplPhys. 30 (1959) 1784.)。従って、このような測定プローブの場合、磁場の方向と測定プローブの配設方向とを把握するか、または方向を一定にしないと、上述したようにプラズマ密度情報の結果も異なってくる。言い換えると、測定プローブの形状によっては、プラズマ密度情報に関して同じ結果を得られる可能性も考えられる。
【0015】
そこで、本発明者は、磁場の方向はもちろんのこと、ビーム要素の強いプラズマの方向による依存が低い測定プローブ(プラズマ密度情報測定用プローブ)を構成することに想到した。このような知見に基づく本発明は、次のような構成をとる。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明は、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマに供給されるプラズマ密度情報測定用電力のプラズマ負荷による反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測定用プローブであって、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
〔作用・効果〕請求項1に記載の発明によれば、プラズマ密度情報測定用電源(以下、適宜『測定用電源』と略記する)から供給されたプラズマ密度情報測定用電力(以下、適宜『測定用電力』と略記する)はプラズマ密度情報測定用プローブのケーブルを介してアンテナまで伝送されて、アンテナから放出されてプラズマ負荷に吸収されるか、反射されてケーブルを介して戻ってくる。つまり、プラズマ密度情報測定用プローブの表面である誘電体性領域にプラズマ表面波が励起されて、測定用電源から供給された測定用電力はその誘電体性領域を介してプラズマと結合して、それによってプラズマ負荷による吸収または反射が起こる。
【0018】
ここで、例えば有磁場またはビーム要素の強いプラズマ中において、プラズマ密度情報測定用プローブの配設方向を、少しずつズラしながら測定して、配設方向の角度を横軸にとり、測定されたプラズマ密度情報の値を縦軸にとると正弦波を描く。つまり、ある配設方向の角度を0°としたとき、一番誤差が大きいのはその角度が90°(または270°)になったときで、他の角度のときには90°(または270°)ほどには誤差が大きくならない。
【0019】
そこで、プラズマに結合する誘電体性領域について、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、その第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも誘電体性領域を構成すると、第1平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとがほぼ等しくなるので、配設方向による依存が低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0020】
また、誘電体性領域のみならず、アンテナについても同じように構成してよい。すなわち、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、アンテナを構成(請求項2に記載の発明)してもよい。このように構成することで、アンテナについても配設方向による依存が低くなるので、配設方向による依存がより低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0021】
なお、配設方向の角度0°に対して、一番誤差が大きいのはその角度が90°(または270°)になったときで、他の角度のときには90°(または270°)ほどには誤差が大きくならないことから、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさが、第1平面または第2平面において累積された表面積の大きさに必ずしも一致する必要はないが、配設方向による依存がより一層低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現するためには、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさについても、第1/第2平面において累積された表面積の大きさにほぼ等しくなるように誘電体性領域を構成するのが好ましい。
【0022】
例えば、少なくとも誘電体性領域を球形状に構成(請求項3に記載の発明)してもよい。この場合、ある面において累積された表面積の大きさと、他の面において累積された表面積の大きさとが、すべての面について等しいので、配設方向による依存がより一層低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0023】
また、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとが必ずしも完全に等しくなる必要はなく、『ほぼ』等しくなっていればよいので、例えば、少なくとも誘電体性領域を、正多面体(請求項4に記載の発明)、あるいは円状の軌跡の一部分に沿って湾曲された円筒形状(請求項5に記載の発明)に構成してもよい。なお、多面体については面の数が大きいほど球に近づくので、面の数が大きいほど配設方向による依存が低くなる。
【0024】
また、アンテナは誘電体性領域に直接に被覆(請求項6に記載の発明)されていてもよいし、アンテナと誘電体性領域との間には空隙が介在(請求項7に記載の発明)されていてもよい。
【0025】
かかるプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項8に記載の発明であるプラズマ密度情報測定方法に用いてもよい。すなわち、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ密度情報測定方法であって、(a)前記プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給する過程と、(b)前記プラズマ密度情報測定用プローブを用いて、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する過程とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
〔作用・効果〕請求項8に記載の発明によれば、(a)の過程においてプラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)からプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)をプラズマに供給すると、測定用電源から入射された測定用電力は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。(b)の過程では、その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0027】
また、請求項8に記載のプラズマ密度情報測定方法において、(a)の過程は、磁化されたプラズマに供給する過程であって、(b)の過程は、磁場の影響を受けたプラズマ密度情報を測定する過程(請求項9に記載の発明)、すなわち有磁場中でプラズマ密度情報を測定してもよい。有磁場の場合には、プラズマを磁化する磁場の方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定する(請求項10に記載の発明)のが好ましい。このように測定することで、磁場の方向が第1平面に垂直の方向の場合でも、また磁場の方向が第2平面に垂直の方向の場合でも、それらの方向によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0028】
磁場に限らず、例えばプラズマ処理室の壁もしくはプラズマ処理に関する被処理物の長手方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定(請求項11に記載の発明)してもよいし、プラズマ処理を行うための印加電極の面が、第1平面または第2平面に平行になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定(請求項12に記載の発明)してもよい。請求項11に記載の発明の場合には、例えばチャンバの壁や基板の近傍のようなプラズマ分布が大きいときにおいても有用であるし、請求項12に記載の発明の場合には、例えばプラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うためにバイアス電圧を印加するときのようなビーム要素の強いプラズマ中においても有用である。
【0029】
また、本発明のプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項13の発明であるプラズマ密度情報測定装置に用いてもよい。すなわち、請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ密度情報測定装置において、プラズマ密度情報を測定するためにプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給するプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力に反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する前記プラズマ密度情報測定用プローブとを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0030】
〔作用・効果〕請求項13に記載の発明によれば、プラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)から入射されたプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0031】
また、本発明のプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項14の発明であるプラズマ処理方法に用いてもよい。すなわち、請求項14に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法であって、(a)前記プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給する過程と、(b)前記プラズマ密度情報測定用プローブを用いて、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する過程と、(c)測定された前記プラズマ密度情報に基づいてプラズマ処理を制御する過程とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0032】
〔作用・効果〕請求項14に記載の発明によれば、(a)の過程においてプラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)からプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)をプラズマに供給すると、測定用電源から入射された測定用電力は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。(b)の過程では、その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。プラズマ密度情報はプラズマの特性を示すので、プラズマ密度情報を測定することにより、(c)の過程においてプラズマ処理が制御される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【0033】
また、請求項14に記載のプラズマ密度情報測定方法において、(a)の過程は、磁化されたプラズマに供給する過程であって、(b)の過程は、磁場の影響を受けたプラズマ密度情報を測定する過程であって、(c)の過程は、磁化されたプラズマ中でのプラズマ処理を制御する過程(請求項15に記載の発明)、すなわち有磁場中でプラズマ処理を制御してもよい。有磁場の場合には、プラズマを磁化する磁場の方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御する(請求項16に記載の発明)のが好ましい。このようにプラズマ処理を制御することで、磁場の方向が第1平面に垂直の方向の場合でも、また磁場の方向が第2平面に垂直の方向の場合でも、それらの方向によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【0034】
磁場に限らず、例えばプラズマ処理室の壁もしくはプラズマ処理に関する被処理物の長手方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御(請求項17に記載の発明)してもよいし、プラズマ処理を行うための印加電極の面が、第1平面または第2平面に平行になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御(請求項18に記載の発明)してもよい。請求項17に記載の発明の場合には、例えばチャンバの壁や基板の近傍のようなプラズマ分布が大きいときにおいても有用であるし、請求項18に記載の発明の場合には、例えばプラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うためにバイアス電圧を印加するときのようなビーム要素の強いプラズマ中においても有用である。
【0035】
また、本発明のプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項19の発明であるプラズマ処理装置に用いてもよい。すなわち、請求項19に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理装置であって、プラズマ密度情報を測定するためにプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給するプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力に反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する前記プラズマ密度情報測定用プローブと、測定された前記プラズマ密度情報に基づいてプラズマ処理を制御する制御手段とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0036】
〔作用・効果〕請求項19に記載の発明によれば、プラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)から入射されたプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。プラズマ密度情報はプラズマの特性を示すので、プラズマ密度情報を測定することにより、制御手段によってプラズマ処理が制御される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、本発明に係るプラズマ密度情報測定用プローブに用いられるプラズマ処理装置の一実施例の概略構成を示したブロック図である。なお、本実施例では電子サイクロトロン共鳴による放電を利用したECRプラズマであって、エッチング処理を例に採って説明する。
【0038】
本実施例に係るエッチング処理装置は、図1に示すように、プラズマPMが生成されるチャンバ1を備えており、このチャンバ1内には処理用の電圧に接続されている電極2が配設されており、この電極2上に被処理物である基板Wが載置されている。この電極2に処理用の電圧を印加することによってプラズマによる基板Wのエッチング処理が行われる。チャンバ1の上部には導波管3が接続されており、この導波管3を介して、プラズマPMを生成するための生成用電力がチャンバ1内に供給される。本実施例では、この生成用電力は1kW程度で周波数が2.45GHz程度のマイクロ波である。
【0039】
また、チャンバ1の上部の周辺部にはコイル4が配設されており、このコイル4によって図1中の矢印の方向に磁場(磁束密度)Bが発生する。一方、導波管3を介してチャンバ1内に供給された生成用電力は、コイル4によって発生した磁場Bのローレンツ力(Lorentz Force)を受けて電子として回転運動、つまりサイクロトロン運動を行う。この回転運動を行う周波数は、いわゆる電子サイクロトロン周波数と呼ばれるものであって、この電子サイクロトロン周波数と、供給された生成用電力の周波数(本実施例では2.45GHz)とが一致するとき、電子の共鳴的加速が起こる。この電子の共鳴的加速の発生により、低圧力でも高密度のプラズマPMが生成される。ここで、電子サイクロトロン周波数をfCで表す。
【0040】
なお、本実施例に係るチャンバ1は、上述したようにECRプラズマに用いられるチャンバであるが、電子サイクロトロン周波数よりも低い周波数の高周波電流をアンテナに流してプラズマを生成するヘリコン波プラズマに用いられるチャンバであってもよい。また、2つの電極を互いに対向させて、両電極間にプラズマを生成する、いわゆるCCP(Capacitively Coupled Plasma) 型、すなわち容量結合プラズマや、コイルを備えたアンテナに電流を流すことでアンテナに磁場を発生させて、アンテナからの磁場による誘導電場の発生によってプラズマを生成する、いわゆるICP(Inductively Coupled Plasma)型、すなわち誘導結合プラズマといった無磁場のプラズマであって、チャンバの周辺部に配設されたコイル等によってプラズマを磁化させたチャンバを用いてもよい。
【0041】
プラズマPMを生成するための生成用電源5は、生成用電力制御部6を介して、導波管3に接続されており、この生成用電力制御部6によって生成用電源5からチャンバ1に供給される生成用電力が操作される。この生成用電力制御部6は、本発明における制御手段に相当する。
【0042】
また、チャンバ1内には、上述した基板Wや電極2の他に、チャンバ1内のプラズマ密度情報を測定する測定プローブ7が挿入されており、この測定プローブ7の近傍に、磁場Bを測定するためのガウスメータ8が配設されている。本実施例では、測定プローブ7は、図1中の磁場Bと垂直する方向にチャンバ1内に挿入されて配設されている。この測定プローブ7は、本発明におけるプラズマ密度情報測定用プローブに相当する。
【0043】
測定プローブ7と、プラズマ密度情報を測定するための測定用電源9とは、同軸ケーブル10とプローブ制御部11とを介して接続されている。なお、本実施例では、プラズマ密度情報として電子密度を測定しているが、その他のプラズマ密度情報として例えばプラズマ密度やイオン密度や後述する吸収周波数やプラズマ表面波共鳴周波数等がある。測定用電源9は、本発明におけるプラズマ密度情報測定用電源に相当する。
【0044】
ガウスメータ8によって測定された磁場の結果に基づいて電子サイクロトロン周波数fCが導出されるように、ガウスメータ8は、電子サイクロトロン周波数fCを導出する電子サイクロトロン周波数導出部12に接続されている。この電子サイクロトロン周波数導出部12は、プローブ制御部11内にあって後述する吸収周波数校正部25に接続されている。
【0045】
上述の基板W、電極2、測定プローブ7の他に、チャンバ1と、プラズマPMを生成するためのガスを供給するガス供給源(タンク)13とは、ガス調整用バルブ14を介して連通接続されている。
【0046】
次に、生成用電力制御部6の具体的構成について説明する。生成用電力制御部6は、エッチングレート変換部15と、エッチング時間変換部16と、エッチング時間設定部17と、インピーダンス整合器18とから構成されている。エッチングレート変換部15は、測定プローブ7とプローブ制御部11とによって測定された電子密度を電子密度に応じたエッチングレートに変換するように構成されており、エッチング時間変換部16は、変換されたエッチングレートを電子密度に応じたエッチング時間に変換するように構成されている。また、エッチング時間設定部17は、エッチング時間を設定するように構成されており、インピーダンス整合器18は、チャンバ1への生成用電力の供給を調節したり、設定されたエッチング時間が経過するとチャンバ1への生成用電力の供給を終了するように構成されている。なお、本明細書中において用いられるエッチングレートとは単位時間当たりにエッチングされる膜の厚みのことをいう。
【0047】
エッチングレート変換部15とエッチング時間変換部16とは、CPU(中央演算処理部)等の演算部の機能を備えており、エッチングレートと電子密度とが比例関係にあることを利用して、測定された電子密度を演算部によって係数倍したものがエッチングレートとして変換されるとともに、エッチングすべき膜厚の厚みをエッチングレートで割った値がエッチング時間として変換される。本実施例では、エッチングレート変換部15とエッチング時間変換部16とをCPU(中央演算処理部)等の演算部で構成したが、図示を省略する記憶部をも備えるとともに、その記憶部に電子密度とエッチングレートとの相関関係を示す検量線等を予め記憶させて、測定された電子密度に応じてその記憶部から随時読み出しを行ってエッチングレートやエッチング時間等を導出するように構成してもよい。
【0048】
エッチング時間設定部17は、タイマやクロックの機能を備えており、電子密度が測定されるのとほぼ同時にタイマがリセットされてタイマのカウントを開始する。設定されたエッチング時間に相当する分だけタイマがカウントされると、エッチング時間設定部17はインピーダンス整合器18に対して、生成用の電力の供給を終了するようにインピーダンス整合器18内の整合回路を操作する。なお、本実施例では、エッチング時間設定部17はインピーダンス整合器18を操作することによって、プラズマPMへの生成用の電力の供給を終了させたが、生成用電源5に対して直接的に操作して電圧の印加等を直接的に終了するようにエッチング時間設定部17を構成してもよいし、電極2に印加している処理用の電圧等を直接的に操作するように構成してもよい。また、基板Wを連続的に処理する場合には、エッチング時間設定部17によって設定されたエッチング時間に相当する分だけタイマがカウントされると、処理中の基板Wをチャンバ1内から取り出して、次に処理されるべき基板Wをチャンバ1内に投入するように構成してもよい。
【0049】
インピーダンス整合器18は、生成用電源5の周波数がMHzオーダの周波数の場合、インダクタンスとキャパシタンスとを組み合わせた整合回路が用いられる。また上述の周波数が1GHz以上の周波数の場合、EHチューナやスタブチューナが用いられる。
【0050】
次に、測定プローブ7について、図2を参照して説明する。測定プローブ7は、同軸ケーブル10の先端部を加工成形することによって構成されており、図2に示すように、先端部において同軸ケーブル10の外部絶縁体10aと外部導体10bとを除去してから先端部が閉じられている誘電体製のチューブ19を被せることによって構成されている。また、外部絶縁体10aと外部導体10bと、さらに中心絶縁体10cを除去したことによって同軸ケーブル10の先端部において中心導体10dのみとなって、中心導体10dは、同軸ケーブル10を介して伝送された電力を放射するアンテナの機能を果たすことになる。従って、先端部における中心導体10dは、本発明におけるアンテナに相当し、同軸ケーブル10は、本発明におけるケーブルに相当し、チューブ19は、本発明における誘電体性領域に相当する。
【0051】
測定プローブ7をプラズマPM中に挿入させる。次に、測定用電源9から測定用電力を伝送させる。すると、測定プローブ7の吸収周波数において、先端ではチューブ19や同軸ケーブル10等を境界条件に持ちながら共鳴吸収が起きる。この結果、測定用電源9から供給されて伝送された電磁波が吸収されるので、測定プローブ7の吸収周波数において反射電力が小さくなる。また、測定用電力がプラズマPMによって吸収されると吸収されなかった残りの測定用電力は、測定用電源9側からプラズマPM側に伝送した方向とは逆方向に、測定用電源9側に向かって伝送される。また、測定用電力がプラズマPMによって反射されると、反射された測定用電力は、同様に測定用電源9側に向かって伝送される。この測定用電力は、本発明におけるプラズマ密度情報測定用電力に相当する。
【0052】
チューブ19は、本実施例では比誘電率が約4である石英(SiO2 )で形成されている。チューブ19を形成する物質については、例えば比誘電率が2であるフッ素樹脂や、比誘電率が10であるアルミナ(Al2 O3 )や、比誘電率が35であるジルコニア(zirconia)(ZrO2 )や、異方性誘電体や、純度によって比誘電率が変化するが比誘電率が約20前後である炭化ケイ素(silicon carbide )(SiC)等のように、特に限定されないが、固体の誘電体の場合ではチューブ19を形成し易い点から鑑みると、比誘電率が2から50までの物質でチュ−ブ19は形成されている方が好ましい。
【0053】
また、アンテナ付近ではチューブ19は、球形状に構成されているとともに、アンテナである先端部における中心導体10dも、球形状に構成されている。また、図2に示すように、チューブ19の外径をR1として、内径をr1とする。さらに、球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径をR2として、内径をr2とし、球形状に構成されたアンテナの直径をr3とする。本実施例では、チューブ19の外径R1を2mm,内径r1を1mmとするとともに、球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径R2を10mm,内径r2を8mmとし、さらに球形状に構成されたアンテナの直径r3を1mmとする。
【0054】
続いて、本実施例に係る測定プローブ7と従来の測定プローブとの構成上の差異を、図3を参照して説明するとともに、その構成上の差異を参照しながら本実施例の特徴部分を説明する。図1,図3(a)中の磁場Bの方向に垂直な面を、『第1平面』と定義づけるとともに、図3(a)中の符号F1をその第1平面に付する。球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の表面を、図3(a)に示すように微小面積dsで分割する。第1平面F1と、微小面積dsにおける平面とのなす角度をθ1とし、第1平面F1と、その微小面積dsに隣接する微小面積における平面とのなす角度を(θ1+dθ1)とすると、第1平面F1において累積された表面積の大きさの一部は、ds・sinθ1・dθ1を−π/2から3π/2まで積分した値となる。なお、図2,図3では断面図で表しているが、実際の累積される表面積はチューブ19の径に対する垂直方向にもおよぶ。従って、チューブ19の径に対する垂直方向の角度をφとすると、同様にds・sinφ・dφを−π/2から3π/2まで積分することになる。つまり、第1平面において累積された表面積の大きさは球の表面積全体となる。
【0055】
また、磁場Bと平行に測定プローブ7が配設されている場合を、図3(b)を参照して説明する。なお、図3(b)では、測定プローブ7の配設方向を、図3(a)での配設方向と同じ方向にして説明する。従って、図3(b)の磁場Bの方向が図3(a)中の磁場Bの方向に対して垂直に向くことになる。第1平面F1に対する垂直な平面の1つであって、図3(b)の磁場Bの方向に垂直な面を、『第2平面』と定義づけるとともに、図3(a)中の符号F2をその第2平面に付する。図3(a)と同じく微小面積dsで分割し、第2平面F2と、微小面積dsにおける平面とのなす角度をθ2とすると、第2平面F2において累積された表面積の大きさは、ds・sinθ2・dθ2を−π/2から3π/2まで積分し、さらにds・sinφ・dφを−π/2から3π/2まで積分することになる。つまり、第2平面F2において累積された表面積の大きさも球の表面積全体となる。従って、第1平面F1において累積された表面積の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさとが等しくなる。
【0056】
これに対して、従来の測定プローブの場合には、アンテナ付近におけるチューブは球形状でなく、半球形状と円筒形状とを組み合わせた形状となっている。従って、第1平面F1において累積された表面積の大きさは、図3(c)に示すように、半球形状の表面積の大きさと、円筒形状の表面積の大きさとを足した値となるのに対して、第2平面において累積された表面積の大きさは、図3(d)に示すように、半球形状の表面積の大きさのみとなる。従って、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとは等しくない。
【0057】
このことから、本実施例に係る測定プローブ7の場合、第1平面F1において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとが等しくなるので、磁場Bの方向が第1平面F1に垂直の方向の場合でも、また磁場Bの方向が第2平面F2に垂直の方向の場合でもこれらの表面波の大きさは互いに等しい。つまり、測定プローブ7の配設方向によらずにこれらの表面波の大きさは互いに等しいことになる。
【0058】
なお正確には、本実施例に係る測定プローブ7の場合、第1平面F1において累積された表面積の大きさは、図3(a)に示すように、球の表面積全体のみならず、アンテナより後端にある円筒形状のチューブ19の表面積にわずかにおよび、第2平面F2において累積された表面積の大きさは、図3(b)に示すように、球の表面積全体のみとなる。従って、第1平面F1において累積された表面積の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさとは完全には等しくならず、ほぼ等しい状態となる。
【0059】
続いて、プローブ制御部11の具体的構成について説明する。プローブ制御部11は、図1に示すように、方向性結合器21と、減衰器22と、フィルタ23と、吸収周波数導出部24と、吸収周波数校正部25と、電子密度変換部26とから構成されている。測定プローブ7には、同軸ケーブル10を介して測定用電源9側から順に、方向性結合器21、減衰器22、およびフィルタ23が接続されている。
【0060】
測定用電源9は周波数掃引式であって、ある周波数帯域(例えば100kHzから2.5GHzまで)の周波数で測定用電力を自動掃引しながら出力する。測定用電源9から出力された測定用電力は、同軸ケーブル10中を伝送しながら方向性結合器21、減衰器22、およびフィルタ23の順に経由して、測定プローブ7へ伝送される。一方、測定用電力が吸収または反射されると、上述したように逆方向に電力の反射分が伝送されて、方向性結合器21で検出されて、吸収周波数導出部24へ送り込まれる。吸収周波数導出部24には測定用電源9から出力される測定用電力の周波数も逐次送り込まれる。
【0061】
フィルタ23は、プローブ制御部11に混入してくる電力やノイズを除去する機能を果たす。また、減衰器22は、測定プローブ7へ送り込む測定用電力の量を調整する機能を果たす。
【0062】
吸収周波数導出部24は、測定用電力の周波数と、測定用電力の検出反射量とに基づいて、測定用電力の反射率の対周波数変化を求める。そして、得られた結果に基づいて、電子密度に起因して測定用電力の強い吸収が起こる吸収周波数を求める。なお、吸収周波数の具体的な導出については、後述するフローチャートで説明する。
【0063】
プラズマPMは磁化されているので、吸収周波数導出部24によって導出された吸収周波数はプラズマ中での磁場の影響を受けている。従って、正確な吸収周波数を求めるべく、上述の吸収周波数は、吸収周波数校正部25によって校正される。なお、吸収周波数の具体的な校正についても、後述するフローチャートで説明する。
【0064】
電子密度変換部26は、吸収周波数校正部25によって校正された吸収周波数に基づいて電子密度に変換するように構成されている。上述の吸収周波数は電子密度と一定の相関関係があるので、吸収周波数が求まることによって、電子密度が容易に求められる。
【0065】
続いて、上述した構成を有するエッチング処理装置において、エッチング処理の流れを、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、ステップS1の時点ではプラズマ生成用の生成用電源5のスイッチは既にON状態であって、ガス供給源(タンク)13からチャンバ1内にガスが既に供給されて、プラズマPMも既に生成されており、コイル4によってプラズマPMが磁化されているものとする。
【0066】
〔ステップS1〕測定プローブ7を、図1中の磁場Bと垂直する方向にチャンバ1内に挿設するとともに、測定プローブ7の近傍にガウスメータ8を挿設する。
【0067】
このような条件の下で、測定用電源9のスイッチをONにしてガウスメータ8によって磁場Bを測定する。測定された磁場Bの結果は、電子サイクロトロン周波数導出部12に送り込まれる。送り込まれた磁場Bの測定結果に基づいて、電子サイクロトロン周波数fCが導出される。詳述すると、そのときの角周波数(角振動数,角速度)をωC,磁場をB,電子素量をe,電子質量をmとそれぞれすると、これらは次式(1)のような関係で表される。
ωC =2πfC=eB/m … (1)
【0068】
磁場Bと電子素量eと電子質量mとを上記(1)式に代入することにより、電子サイクロトロン周波数fCを導出する。また、電子サイクロトロン周波数導出部12によって導出されたこの電子サイクロトロン周波数fCは、吸収周波数校正部25に送り込まれる。
【0069】
〔ステップS2〕測定用電源9から100kHzから2.5GHzまでの周波数で測定用電力を自動掃引しながら出力する。また、自動掃引しながら吸収周波数導出部24に上述の周波数が逐次送り込まれる。出力された測定用電力は、同軸ケーブル10を介して測定プローブ7に供給される。このステップS2は、本発明における(a)の過程に相当する。
【0070】
〔ステップS3〕供給された測定用電力は、表面波によって吸収または反射が起こって、供給時とは逆方向に同軸ケーブル10を介して測定用電力の反射分だけ測定用電源9側に伝送される。測定用電力の反射量は、フィルタ23、減衰器22、および方向性結合器21の順に経由して、方向性結合器21で検出される。そして、吸収周波数導出部24へ送り込まれる。
【0071】
吸収周波数導出部24では、同じ周波数において〔測定用電力の検出反射量〕÷〔測定用電力の全出力量〕なる演算が行われて測定用電力の反射率が求められる。掃引される周波数と、この測定用電力の反射率とを対応付けてプロットすることによって、図5に示すような測定用電力の反射率の対周波数変化が求められる。図5に示すように、反射率が大きく下がるところは、電子密度に起因して測定電力の強い吸収が起こる吸収ポイントであって、その吸収ポイントの周波数が吸収周波数ということになる。
【0072】
図5中では吸収ポイントPa,Pbの2つが現れている。通常、吸収ポイントは複数個現れて、それに伴って吸収周波数も吸収ポイントと同数個だけ存在する。これらの吸収周波数は、いずれにおいても電子密度等のプラズマ密度情報と一定の相関関係があるが、特に、吸収周波数のうち、電子密度に対して2乗に比例する吸収周波数は、プラズマ表面波共鳴周波数と呼ばれている。電子密度等のプラズマ密度情報を導出する際においてこのプラズマ表面波共鳴周波数は有用な物理量の1つである。なお、電子密度等のプラズマ密度情報は局所的に変化するので、測定プローブ7は基板Wの表面の近傍で測定を行うのが好ましい。このステップS3は、本発明における(b)の過程に相当する。
【0073】
なお、本明細書中では、Q値(quality factor)がもっとも大きい吸収ポイントにおける吸収周波数を『0次の吸収周波数』または『基本吸収周波数』と呼ぶ。そして、吸収の大きい順に1次,2次,…と吸収周波数を定義づける。一番高次の吸収周波数、すなわち吸収のもっとも小さい吸収ポイントにおける吸収周波数は、電子密度に対して2乗に比例する、上述したプラズマ表面波共鳴周波数となる。
【0074】
従って、実際に、プラズマ密度情報を測定するには、Q値が大きい吸収は、吸収(反射による損失)が大きく、かつ半値幅が狭い吸収であるので、Q値がもっとも大きい吸収周波数、すなわち0次の吸収周波数(基本吸収周波数)を測定するのが通常である。本実施例では、0次の吸収周波数、すなわちQ値がもっとも大きい吸収ポイントにおける基本吸収周波数(0次の吸収周波数)を測定する。
【0075】
〔ステップS4〕吸収周波数導出部24によって導出されたこの吸収周波数は、上述したように測定プローブ7によって直接的に測定された基本吸収周波数であって、磁場Bの影響を受けている吸収周波数である。そこで、この基本吸収周波数を、吸収周波数校正部25によってプラズマ表面波共鳴周波数として校正する。ここで、基本吸収周波数をfMESとし、校正後のプラズマ表面波共鳴周波数をfPとする。
【0076】
続いて、具体的な校正方法について説明する。吸収周波数校正部25は、図示を省略する記憶部に予め記憶されているfMES/fPの対fC/fMESの変化をプロットしたデータと、実際に測定されたfCおよびfMESとに基づいて、実際に測定されるfMESが校正されてfPが求まるように構成されている。fMES/fPの対fC/fMESの変化をプロットしたデータは、例えば図6のグラフで表される。
【0077】
このグラフは、上述したFDTD法のシミュレーションによって予めプロットされたものである。また、図6は、本実施例の測定プローブ7を用いてプロットしたグラフであって、図7は、その比較のために従来の測定プローブを用いてプロットしたグラフである。なお、従来の測定プローブではチューブの外径が6mm,内径が4mmを用いている。図6,図7のグラフ中において、2点鎖線と三角のプロットとは磁場Bと垂直する方向に測定プローブ7が配設されたときのデータであって、実線と黒丸のプロットとは磁場Bと平行に測定プローブ7が配設ときのデータである。
【0078】
ステップS1で求められた電子サイクロトロン周波数fCと、ステップS3で測定された基本吸収周波数fMESと、図6のグラフとに基づいて、プラズマ表面波共鳴周波数fPとして校正する。このようにして求められたプラズマ表面波共鳴周波数fPは、電子密度変換部26に送り込まれる。
【0079】
〔ステップS5〕吸収周波数が吸収周波数校正部25によってプラズマ表面波共鳴周波数として校正されて求まると、電子密度変換部26によって電子密度に変換されて、導出される。
【0080】
〔ステップS6〕電子密度が求まってから、基板Wをチャンバ1内に投入して、電極2上に載置する。この電極2に処理用の電圧を印加することによって、プラズマPM中のイオンや電子が基板Wの表面に到達して、基板Wのエッチング処理が行われる。従って、処理用の電圧を印加するのとほぼ同時に、またはエッチング処理が開始されるのとほぼ同時に、エッチング時間設定部17において、タイマがリセットされてタイマのカウントを開始する。エッチング処理をより精密に行うという点において、チャンバ1内への基板Wの投入とステップS5での電子密度の測定とはほぼ同時に行われる方が好ましい。
【0081】
〔ステップS7〕一方、測定された電子密度は、生成用電力制御部6内のエッチングレート変換部15に送り込まれて、電子密度に基づいてエッチングレートに変換される。上述したように、エッチングレートと電子密度とは比例関係にあるので、測定された電子密度を係数倍するだけでエッチングレートが求まる。
【0082】
〔ステップS8〕エッチングレートが求まると、エッチング時間変換部16によってエッチング時間が求まる。例えば、エッチングしたい膜厚の厚みが10μmであって、エッチングレートが1μm/minのとき、エッチング時間は、上記膜厚の厚みの10μmから上記エッチングレートの1μm/minで割った10minとなって求められる。
【0083】
〔ステップS9〕エッチング時間が求まると、エッチング時間設定部17に送り込まれる。ステップS6において開始されたタイマがエッチング時間に相当する分だけカウントされると、すなわちエッチング時間が経過すると、エッチング時間設定部17はインピーダンス整合器18に対して、生成用電力の供給を終了するようにインピーダンス整合器18内の整合回路を操作する。この操作によって生成用電源5から供給される生成用電力は0となって、エッチング処理が終了する。このステップS6〜S9は、本発明における(c)の過程に相当する。
【0084】
以上のステップS1〜S9から、ステップS2において測定用電源9から測定用電力をプラズマPMに供給すると、測定用電源9から入射された測定用電力は、測定プローブ7を介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。ステップS3では、その測定用電力の反射または吸収に基づいて、測定プローブ7を用いてプラズマ密度情報である吸収周波数が測定される。
【0085】
また、本実施例に係る測定プローブ7は、アンテナ付近では球形状に構成されたチューブ19を有している。この球形状のチューブ19において、磁場Bの方向に垂直な面である第1平面F1において累積された表面積の大きさと、その第1平面F1に対する垂直な平面の1つである第2平面F2において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなり、第1平面F1において累積された表面積の大きさで結合するプラズマPMによる表面波の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさで結合するプラズマPMによる表面波の大きさとがほぼ等しくなる。その結果、配設方向による依存が低い測定プローブ7を実現することができる。
【0086】
なお、本実施例に係る測定プローブ7についても、FDTD法のシミュレーションによる電界強度の2乗分布を求め、確認を行った。図8は、シミュレーションの結果による電界強度の2乗分布を模式的に表した図であって、図8(a)は本実施例に係る測定プローブ7の長手方向に対して平行に磁場をかけたときの模式図、図8(b)は本実施例に係る測定プローブ7の長手方向に対して垂直に磁場をかけたときの模式図である。図8からも分かるように、磁場の方向が異なれば電界強度の2乗分布も異なるが、第1平面F1において累積された表面積の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさとがほぼ等しいので、第1平面F1において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとがほぼ等しくなる。
【0087】
このことは、図6のグラフからも確認することができる。つまり、図6に示すように、磁場と垂直する方向に測定プローブ7が配設されたデータと、磁場と平行に測定プローブ7が配設されたデータとはほとんど一致する。それに対し、従来の測定プローブを用いた図7のグラフからは、磁場の方向、さらにはプローブの配設方向に依存することがわかる。
【0088】
このように本実施例に係る測定プローブ7は配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずに吸収周波数(例えば基本吸収周波数やプラズマ表面波共鳴周波数)や電子密度などのプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0089】
その測定結果である電子密度などのプラズマ密度情報が配設方向による依存によらないので、ステップS6〜S9においてプラズマエッチング処理を精度良く制御することができる。
【0090】
なお、本実施例の場合には、測定プローブ7が磁場に垂直するように配設、すなわち磁場の方向が測定プローブ7の第1平面に垂直の方向になるように配設されているのみならず、図1に示すように、チャンバ1の壁や、エッチング処理を行う被処理物である基板Wの長手方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように測定プローブ7が配設されているので、チャンバ1の壁や基板Wの近傍のようなプラズマ分布が大きいときにおいても、本実施例に係る測定プローブ7によってプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。さらには、プラズマエッチング処理を行うための処理用の電圧(バイアス電圧)を印加する電極2の面が、測定プローブ7の第1平面に平行になるように測定プローブ7が配設されているので、ビーム要素の強いプラズマPM中においても、本実施例に係る測定プローブ7によってプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0091】
また、本実施例では、アンテナである先端部における中心導体10dも、球形状に構成されているので、アンテナについても配設方向による依存が低くなり、配設方向による依存がより低い測定プローブ7を実現することができる。
【0092】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0093】
(1)上述した本実施例でのステップS1〜S9では、1枚の基板Wのエッチング処理が終了すると生成用電源5から供給する生成用電力を0にする手順であったが、基板Wを連続的に処理する場合にはエッチング時間に達すると、処理中の基板Wをチャンバから1枚取り出して、次に処理されるべき基板Wをチャンバ1内に投入するような手順であってもよい。
【0094】
(2)上述した本実施例ではエッチング処理についてのプラズマ処理であったが、例えばCVD(化学気相成長)処理や、アッシング処理や、チャンバのクリーニング処理等、プラズマ中の被処理物に行うプラズマ処理であれば、特に限定されない。また、プラズマ処理のみならず、プラズマ密度情報を単に測定するプラズマ密度情報測定装置にも本発明を適用することができる。
【0095】
(3)本実施例ではプラズマを生成するための生成用電力を操作してプラズマ処理を制御したが、例えば生成用電力以外にもプラズマを生成するガス圧や、ガスの混合比等を操作してプラズマ処理を制御してもよく、通常のプラズマ制御において用いられる方法ならば、特に限定されない。
【0096】
また、本実施例では電子密度に応じてエッチング時間等の処理時間を設定して、生成用電力を操作したが、処理時間を固定にしておいて、インピーダンス整合器18などを操作することによって生成用電力を調節して、処理時間に応じて電子密度を制御してもよい、同様の手法で、図1中のガス調整用バルブ15によってガス圧や、ガスの混合比等を調節して、処理時間に応じて電子密度を制御してもよい。また、上述したこれらの方法を適宜互いに組み合わせることもできる。
【0097】
(4)上述した本実施例ではプラズマ密度情報は吸収周波数や電子密度であったが、イオン密度もプラズマの特性を示すので、これらの物理量を校正して測定することで、プラズマ発生に係る物理量(例えば生成用電力や、ガス圧や、ガスの混合比など)を操作してもよい。例えば、図1中の吸収周波数校正部25によって吸収周波数を求めた後、吸収波数とエッチング処理との相関関係によって生成用電力を操作してもよい。
【0098】
(5)測定プローブを磁場に垂直になる方向に配設、すなわち磁場の方向が測定プローブの第1平面に垂直の方向になるように配設したが、測定プローブが磁場に平行になるように配設、すなわち磁場の方向が測定プローブの第2平面に垂直の方向になるように配設してもよい。また、磁場がチャンバに対して斜め方向にかかっている場合には、測定プローブを磁場に垂直あるいは平行の方向になるように測定プローブを配設、つまり測定プローブもチャンバに対しては斜め方向に挿設してもよい。
【0099】
また、チャンバの壁や基板の近傍のようなプラズマ分布が大きい位置で測定プローブを配設しないのであれば、チャンバの壁や基板の長手方向が第1平面または第2平面に垂直の方向になるように測定プローブを配設する必要はない。つまり、測定プローブをチャンバや基板に対して斜め方向に挿設してもよい。また、本実施例の場合にはビーム要素の強いプラズマであったが、バイアス電圧を印加しないのであれば、バイアス電圧を印加する電極の面が、測定プローブ7の第1平面あるいは第2平面に平行になるように測定プローブを配設する必要はない。
【0100】
(6)上述した本実施例において測定プローブについては、図2に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19は球形状に構成されているとともに、アンテナである先端部における中心導体10dも球形状に構成されていたが、図9に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19のみ球形状に構成するとともに、アンテナである先端部における中心導体10dを直線状に構成してもよいし、図10に示すように、チューブ19の外径R1,内径r1,球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径R2,内径r2を本実施例よりも大きく構成してもよい。
【0101】
図2に示す本実施例の測定プローブを『Aタイプ』,図9に示す測定プローブを『Bタイプ』,図10に示す測定プローブを『Cタイプ』(外径R1を6mm,内径r1を4mm,外径R2を12mm,内径r2を10mm)とそれぞれし、磁場に対して測定プローブを平行/垂直に配設した場合での、電子サイクロトロン周波数fCが0.8GHzでプラズマ表面波共鳴周波数fPが2.4GHzのときの基本吸収周波数fMESを、それぞれ測定した。その測定結果は、図11に示すとおりである。
【0102】
Aタイプ、すなわち本実施例に係る測定プローブでは平行/垂直間では誤差が0%であったのに対し、Bタイプ,Cタイプに従って誤差が大きくなることがわかる。これは、Bタイプについてはアンテナを直線状にしたことで配設方向による依存性がAタイプと比較して大きくなったことに起因することがわかるし、Cタイプについてはチューブ19の外径R1(もしくは内径r1)と球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径R2(もしくは内径r2)との比がAタイプの比と比較して1に近くなって従来の測定プローブの形に近くなったことに起因することがわかる。
【0103】
また、これらのA〜Cタイプでは、アンテナ(中心導体10d)と誘電体性領域であるチューブ19との間には空隙が介在されていたが、アンテナがチューブ19に直接に被覆されていてもよい。
【0104】
(7)上述した本実施例において測定プローブについては、図2に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19は球形状に構成されていたが、必ずしも球形状に限定されるものではない。第1平面において累積された表面積の大きさと、その第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるような形状のものであれば、アンテナの先端付近におけるチューブ19の形状については限定されない。
【0105】
例えば、図12(a)の一部縦断面図および図12(b)の平面図に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19を、円状の軌跡に沿って湾曲された円筒形状、いわゆる『ドーナツ』形状に構成するとともに、アンテナである先端部における中心導体10dをも『ドーナツ』形状に構成してもよい。また、中心部に被処理物、例えば基板Wを設置してもよい。
【0106】
また、プローブのある配設方向の角度を0°としたとき、その配設方向の角度0°に対して一番誤差の大きいのはその角度が90°(または270°)になったときで、他の角度のときには90°(または270°)ほどには大きくならないことから、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさが、第1平面または第2平面において累積された表面積の大きさに必ずしも一致する必要はない。
【0107】
従って、図13に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19を直角状に屈曲してもよい。この場合、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとが等しくなるように屈曲するチューブ19の長さを決定すればよい。つまり、後端部分においてプラズマが結合する部分が屈曲部分から面積Sにおよぶ場合には、屈曲部分より先端についても面積Sになるように屈曲するチューブ19の長さを決定すればよい。図13の構成を有する測定プローブの場合には、上述したように第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさが、第1平面または第2平面において累積された表面積の大きさに一致しないが、配設方向による依存がより一層低い測定プローブを実現するためには、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさについても、第1/第2平面において累積された表面積の大きさにほぼ等しくなるように誘電体性領域を構成するのが好ましい。
【0108】
このことから、図13に示す測定プローブのように直角状に屈曲して構成するのでなく、図14〜図16に示すように、円状の軌跡の一部分に沿って湾曲された円筒形状に構成してもよい。図14の場合には、アンテナの先端付近におけるチューブ19を、いわゆる『J字』形状に湾曲しており、図15の場合には、チューブ19を、いわゆる『U字』形状に湾曲しており、図16の場合には、チューブ19を、円状の軌跡の一部分をつなぎあわせて『螺旋』形状に湾曲している。図14〜図16のいずれの場合においても、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように湾曲状に構成する。
【0109】
なお、図15に示す『U字』形状に構成した測定プローブにおいて、磁場をz軸,x軸,y軸にそれぞれ印加した場合での、電子サイクロトロン周波数fCが1.2GHzでプラズマ表面波共鳴周波数fPが2.4GHzのときの基本吸収周波数fMESを、それぞれ測定した。その測定結果は、図17に示すとおりである。なお、U字形状に湾曲した曲がり半径をR3とし、外径R1を2mm,内径r1を1mm,曲がり半径R3を4mmとして測定プローブを構成した。また、x軸,y軸,z軸は、図16に示す方向であって、x軸は、第1平面に垂直な軸(測定プローブの長手方向に垂直な軸)、z軸は、第2平面に垂直な軸(測定プローブの長手方向に平行な軸)、y軸は、紙面に対して垂直な軸、すなわちU字の曲がり回転軸である。また、磁場をz軸にかけたときの基本吸収周波数をfMESZとし、磁場をx軸にかけたときの基本吸収周波数をfMESXとし、磁場をy軸にかけたときの基本吸収周波数をfMESYとする。
【0110】
磁場をz軸にかけたときに対するx軸の誤差、すなわちfMESZとfMESXとの誤差が4.1%に対し、磁場をz軸にかけたときに対するy軸の誤差、すなわちfMESZとfMESYとの誤差が6.4%と、磁場をy軸にかけたときの誤差が大きくなることがわかる。これは、y軸に磁場をかけたときの方向に垂直な面を、『第3平面』と定義づけると、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとの等しさほど、第3平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとが等しくないことに起因することがわかる。
【0111】
また、図12〜図16に示すような測定プローブの他に、正四面体や正六面体などの正多面体状に、アンテナの先端付近におけるチューブ19を構成してもよい。なお、多面体については面の数が大きいほど球に近づくので、面の数が大きいほど配設方向による依存が低くなる。
【0112】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、その第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも誘電体性領域を構成することで、第1平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとがほぼ等しくなるので、配設方向による依存が低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0113】
また、かかるプラズマ密度情報測定用プローブを、プラズマ密度情報測定方法およびその装置に用いる(請求項8,請求項13に記載の発明)ことで、配設方向による依存によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができ、かかるプラズマ密度情報測定用プローブを、プラズマ処理方法およびその装置に用いる(請求項14,請求項19に記載の発明)ことで、配設方向による依存によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る測定プローブの構成を示す一部縦断面図である。
【図3】本実施例と従来とにおける測定プローブの構成上の差異についての説明に供する側面図であって、(a)は本実施例に係る測定プローブを磁場の方向に対して垂直に配設したとき、(b)は本実施例に係る測定プローブを磁場の方向に対して平行に配設したとき、(c)は従来の測定プローブを磁場の方向に対して垂直に配設したとき、(d)は従来の測定プローブを磁場の方向に対して平行に配設したときの各断面図である。
【図4】本実施例に係るエッチング処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】吸収周波数を求める説明に供するグラフである。
【図6】本実施例の測定プローブを用いた場合における、fMES/fPの対fC/fMESの変化のシミュレーション結果を示す図である。
【図7】従来の測定プローブを用いた場合における、fMES/fPの対fC/fMESの変化のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】本実施例の測定プローブを用いた場合における、シミュレーションの結果による電界強度の2乗分布を模式的に表した図であって、(a)は測定プローブの長手方向に対して平行に磁場をかけたとき、(b)は測定プローブの長手方向に対して垂直に磁場をかけたときのそれぞれの模式図である。
【図9】変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図10】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図11】図2,図9,図10に示す測定プローブを磁場に対して平行/垂直に配設した場合での基本吸収周波数の測定結果である。
【図12】(a)は、さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す一部縦断面図、(b)は、(a)の平面図である。
【図13】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図14】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図15】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図16】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図17】図15に示す測定プローブにおいて磁場をz軸,x軸,y軸にそれぞれ印加した場合での基本吸収周波数の測定結果である。
【図18】プラズマ密度情報を測定するための従来の手法の説明に供する図である。
【図19】従来の測定プローブを用いた場合における、シミュレーションの結果による電界強度の2乗分布を模式的に表した図であって、測定プローブの長手方向に対して垂直に磁場をかけたときの模式図である。
【符号の説明】
6 … 生成用電力制御部
7 … 測定プローブ
9 … 測定用電源
10 … 同軸ケーブル
10d … 中心導体
19 … チューブ
PM … プラズマ
W … 基板
F1 … 第1平面
F2 … 第2平面
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子や薄膜素子の製造工程や、粒子ビーム源あるいは分析装置等に用いられるプラズマ密度情報測定用プローブおよびそれを用いたプラズマ密度情報測定方法並びにその装置、プラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマを応用した技術として、プラズマCVD(化学気相成長)やプラズマエッチング等が知られている。このようなプラズマ応用技術では、プラズマ処理を行うためのプラズマ処理室(例えばチャンバ)内のプラズマが経時的に変化するので、生成プラズマの特性を良く示すプラズマ密度に関する情報、すなわちプラズマ密度情報を十分に把握することが、適切な処理を行う上で非常に重要となる。プラズマ密度情報に関する有用な物理量として電子密度に関係する量、すなわち吸収周波数や、プラズマ表面波共鳴周波数等がある。これらの周波数等を測定することによってプラズマ密度情報を十分に把握してプラズマ処理を行うことができる。
【0003】
プラズマ密度情報を測定する手法として、本発明者は、特開2000−100598号の発明を先に提案している。この発明では、図18に示すように、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用プローブ101(以下、適宜『測定プローブ101』と略記する)をプラズマ処理室であるチャンバ102内に挿入して、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源103(以下、適宜『測定用電源103』と略記する)からプラズマ密度情報測定用電力(以下、適宜『測定用電力』と略記する)をチャンバ102内のプラズマPMに供給することによって測定が行われる。測定プローブ101は電力を放射するアンテナ104と、測定用電力を伝送する同軸ケーブル105と、先端が閉じられた誘電体製のチューブ106とから構成されており、この誘電体製のチューブ106内にアンテナ104と同軸ケーブル105とが接続されて挿設されている。
【0004】
測定用電源103から測定用電力は同軸ケーブル105を介してアンテナ104に放射されて、チャンバ102内のプラズマPMに供給される。チャンバ102内のプラズマPMに供給された測定用電力は、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて同軸ケーブル105を介して戻ってくる。つまり、プラズマPMに供給された測定用電力によって、測定プローブ101の誘電体製のチューブ106の表面にプラズマによる表面波が励起して、それによってプラズマ負荷の吸収または反射が起こる。その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報が測定される。
【0005】
詳述すると、測定用電源103は周波数掃引式であって、ある周波数帯域(例えば100kHzから2.5GHzまで)の周波数で測定用電力を自動掃引しながら出力する。測定用電力が吸収または反射されると、チャンバ102内のプラズマPMに供給した方向とは逆方向に電力の反射分が伝送されて、測定プローブ101と測定用電源103との間に配設されている方向性結合器107で検出されてモニタなどに出力する出力装置108に送り込まれる。出力装置108には測定用電源6から出力される測定用電力の周波数も逐次送り込まれる。
【0006】
出力装置108は、測定用電力の周波数と、測定用電力の検出反射量とに基づいて、測定用電力の反射率の対周波数変化を求める。つまり、同じ周波数において〔測定用電力の検出反射量〕÷〔測定用電力の全出力量〕なる演算を行い測定用電力の反射率を求め、掃引される周波数と測定用電力の反射率とを対応付けてプロットする。そして、得られた結果に基づいて、電子密度に起因して測定用電力の強い吸収が起こる吸収周波数を求める。上述の吸収周波数は電子密度などのようなプラズマ密度情報と一定の相関関係があるので、吸収周波数が求まることによって、プラズマ密度情報が容易に求められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する測定プローブを用いてプラズマ密度情報を測定すると、次のような問題がある。
例えばマイクロ波と磁場とを印加して電子の共鳴的加速を起こす電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance)(以下、『ECR』とする)による放電を利用したECRプラズマ等、磁化されたプラズマ中ではプラズマ密度情報を正確に測定することができない、あるいはチャンバの壁や被処理物(例えば半導体素子や薄膜素子の製造工程に用いられる基板)の近傍におけるプラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うべくバイアス電圧を印加することによるビーム要素の強いプラズマ中ではプラズマ密度情報を正確に測定することができないという問題がある。以下に、詳しく説明する。
【0008】
磁化されたプラズマ、すなわち有磁場のプラズマ中では磁場の影響により、無磁場のプラズマ中で観測された吸収周波数における吸収ポイントからシフトしてしまう。従って、無磁場のときに用いた方法で、有磁場のプラズマ中で観測された吸収周波数から電子密度等のプラズマ密度情報を導出しても、プラズマ密度情報を正確に測定することができない。さらに、磁場の大きさが同じであっても磁場の方向が異なれば、磁場中で測定されたプラズマ密度情報の結果も異なってくる。
【0009】
また、チャンバの壁や被処理物の近傍ではプラズマ分布が大きく、チャンバの壁または被処理物に沿って測定プローブを配設する場合と、チャンバの壁または被処理物に対して垂直方向に測定プローブを配設する場合とでは、プラズマ密度情報の結果も異なってくる。
【0010】
また、プラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うためにバイアス電圧を印加すると、プラズマ中のイオンなどが印加された電極に向かって一斉に移動するので、イオンなどが移動する方向に沿って測定プローブを配設する場合と、イオンなどが移動する方向に対して垂直方向に測定プローブを配設する場合とでは、プラズマ密度情報の結果も異なってくる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、配設方向による依存が低いプラズマ密度情報測定用プローブおよびそれを用いたプラズマ密度情報測定方法並びにその装置、プラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法およびその装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
マックスウェルの方程式を時間,空間で差分化し、出力点の時間応答を得るFDTD法 (Finite Difference Time Domain Method)を用いてシミュレーションを行った。図19は、測定プローブの長手方向(すなわちプローブの同軸方向)に対して垂直に磁場をかけたときの、後述するfMESにおけるプローブ周辺の電界強度の2乗分布を模式的に表した図である。このとき、電磁波は測定プローブ表面の誘電体とプラズマとの界面において表面波を励起させ、同軸方向である長手方向に伝搬する。伝搬した表面波は、同軸の両端で反射し、強い定在波を励起させ、プローブの先端で領域の長さで節,腹,節を形成し、共鳴吸収している様子が図19からわかる。
【0013】
また、このとき、表面波が励起する面はプローブの同軸に対して回転対称であるので、磁場がプローブの長手方向(同軸方向)に対して垂直である限り、同じfMESで共鳴吸収を示す。なお、fMESは、後述する『基本吸収周波数(または0次の吸収周波数)』と呼ばれる周波数であって、有用なプラズマ密度情報の1つである。
【0014】
また、これと同じことが、磁場がプローブの長手方向に対して平行に印加されているときもおこる。しかし、垂直時のfMESとは違う周波数の値になる。これはプラズマの等価誘電率が磁場と電界との方向によって異方性を示すからである(A. W. Trivelpiece and R. W. Gould: J.ApplPhys. 30 (1959) 1784.)。従って、このような測定プローブの場合、磁場の方向と測定プローブの配設方向とを把握するか、または方向を一定にしないと、上述したようにプラズマ密度情報の結果も異なってくる。言い換えると、測定プローブの形状によっては、プラズマ密度情報に関して同じ結果を得られる可能性も考えられる。
【0015】
そこで、本発明者は、磁場の方向はもちろんのこと、ビーム要素の強いプラズマの方向による依存が低い測定プローブ(プラズマ密度情報測定用プローブ)を構成することに想到した。このような知見に基づく本発明は、次のような構成をとる。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明は、プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマに供給されるプラズマ密度情報測定用電力のプラズマ負荷による反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測定用プローブであって、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0017】
〔作用・効果〕請求項1に記載の発明によれば、プラズマ密度情報測定用電源(以下、適宜『測定用電源』と略記する)から供給されたプラズマ密度情報測定用電力(以下、適宜『測定用電力』と略記する)はプラズマ密度情報測定用プローブのケーブルを介してアンテナまで伝送されて、アンテナから放出されてプラズマ負荷に吸収されるか、反射されてケーブルを介して戻ってくる。つまり、プラズマ密度情報測定用プローブの表面である誘電体性領域にプラズマ表面波が励起されて、測定用電源から供給された測定用電力はその誘電体性領域を介してプラズマと結合して、それによってプラズマ負荷による吸収または反射が起こる。
【0018】
ここで、例えば有磁場またはビーム要素の強いプラズマ中において、プラズマ密度情報測定用プローブの配設方向を、少しずつズラしながら測定して、配設方向の角度を横軸にとり、測定されたプラズマ密度情報の値を縦軸にとると正弦波を描く。つまり、ある配設方向の角度を0°としたとき、一番誤差が大きいのはその角度が90°(または270°)になったときで、他の角度のときには90°(または270°)ほどには誤差が大きくならない。
【0019】
そこで、プラズマに結合する誘電体性領域について、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、その第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも誘電体性領域を構成すると、第1平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとがほぼ等しくなるので、配設方向による依存が低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0020】
また、誘電体性領域のみならず、アンテナについても同じように構成してよい。すなわち、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、アンテナを構成(請求項2に記載の発明)してもよい。このように構成することで、アンテナについても配設方向による依存が低くなるので、配設方向による依存がより低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0021】
なお、配設方向の角度0°に対して、一番誤差が大きいのはその角度が90°(または270°)になったときで、他の角度のときには90°(または270°)ほどには誤差が大きくならないことから、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさが、第1平面または第2平面において累積された表面積の大きさに必ずしも一致する必要はないが、配設方向による依存がより一層低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現するためには、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさについても、第1/第2平面において累積された表面積の大きさにほぼ等しくなるように誘電体性領域を構成するのが好ましい。
【0022】
例えば、少なくとも誘電体性領域を球形状に構成(請求項3に記載の発明)してもよい。この場合、ある面において累積された表面積の大きさと、他の面において累積された表面積の大きさとが、すべての面について等しいので、配設方向による依存がより一層低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0023】
また、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとが必ずしも完全に等しくなる必要はなく、『ほぼ』等しくなっていればよいので、例えば、少なくとも誘電体性領域を、正多面体(請求項4に記載の発明)、あるいは円状の軌跡の一部分に沿って湾曲された円筒形状(請求項5に記載の発明)に構成してもよい。なお、多面体については面の数が大きいほど球に近づくので、面の数が大きいほど配設方向による依存が低くなる。
【0024】
また、アンテナは誘電体性領域に直接に被覆(請求項6に記載の発明)されていてもよいし、アンテナと誘電体性領域との間には空隙が介在(請求項7に記載の発明)されていてもよい。
【0025】
かかるプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項8に記載の発明であるプラズマ密度情報測定方法に用いてもよい。すなわち、請求項8に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ密度情報測定方法であって、(a)前記プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給する過程と、(b)前記プラズマ密度情報測定用プローブを用いて、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する過程とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0026】
〔作用・効果〕請求項8に記載の発明によれば、(a)の過程においてプラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)からプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)をプラズマに供給すると、測定用電源から入射された測定用電力は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。(b)の過程では、その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0027】
また、請求項8に記載のプラズマ密度情報測定方法において、(a)の過程は、磁化されたプラズマに供給する過程であって、(b)の過程は、磁場の影響を受けたプラズマ密度情報を測定する過程(請求項9に記載の発明)、すなわち有磁場中でプラズマ密度情報を測定してもよい。有磁場の場合には、プラズマを磁化する磁場の方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定する(請求項10に記載の発明)のが好ましい。このように測定することで、磁場の方向が第1平面に垂直の方向の場合でも、また磁場の方向が第2平面に垂直の方向の場合でも、それらの方向によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0028】
磁場に限らず、例えばプラズマ処理室の壁もしくはプラズマ処理に関する被処理物の長手方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定(請求項11に記載の発明)してもよいし、プラズマ処理を行うための印加電極の面が、第1平面または第2平面に平行になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定(請求項12に記載の発明)してもよい。請求項11に記載の発明の場合には、例えばチャンバの壁や基板の近傍のようなプラズマ分布が大きいときにおいても有用であるし、請求項12に記載の発明の場合には、例えばプラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うためにバイアス電圧を印加するときのようなビーム要素の強いプラズマ中においても有用である。
【0029】
また、本発明のプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項13の発明であるプラズマ密度情報測定装置に用いてもよい。すなわち、請求項13に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ密度情報測定装置において、プラズマ密度情報を測定するためにプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給するプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力に反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する前記プラズマ密度情報測定用プローブとを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0030】
〔作用・効果〕請求項13に記載の発明によれば、プラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)から入射されたプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0031】
また、本発明のプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項14の発明であるプラズマ処理方法に用いてもよい。すなわち、請求項14に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法であって、(a)前記プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給する過程と、(b)前記プラズマ密度情報測定用プローブを用いて、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する過程と、(c)測定された前記プラズマ密度情報に基づいてプラズマ処理を制御する過程とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0032】
〔作用・効果〕請求項14に記載の発明によれば、(a)の過程においてプラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)からプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)をプラズマに供給すると、測定用電源から入射された測定用電力は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。(b)の過程では、その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。プラズマ密度情報はプラズマの特性を示すので、プラズマ密度情報を測定することにより、(c)の過程においてプラズマ処理が制御される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【0033】
また、請求項14に記載のプラズマ密度情報測定方法において、(a)の過程は、磁化されたプラズマに供給する過程であって、(b)の過程は、磁場の影響を受けたプラズマ密度情報を測定する過程であって、(c)の過程は、磁化されたプラズマ中でのプラズマ処理を制御する過程(請求項15に記載の発明)、すなわち有磁場中でプラズマ処理を制御してもよい。有磁場の場合には、プラズマを磁化する磁場の方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御する(請求項16に記載の発明)のが好ましい。このようにプラズマ処理を制御することで、磁場の方向が第1平面に垂直の方向の場合でも、また磁場の方向が第2平面に垂直の方向の場合でも、それらの方向によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【0034】
磁場に限らず、例えばプラズマ処理室の壁もしくはプラズマ処理に関する被処理物の長手方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御(請求項17に記載の発明)してもよいし、プラズマ処理を行うための印加電極の面が、第1平面または第2平面に平行になるように、プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御(請求項18に記載の発明)してもよい。請求項17に記載の発明の場合には、例えばチャンバの壁や基板の近傍のようなプラズマ分布が大きいときにおいても有用であるし、請求項18に記載の発明の場合には、例えばプラズマ中またはCVDやエッチング処理を行うためにバイアス電圧を印加するときのようなビーム要素の強いプラズマ中においても有用である。
【0035】
また、本発明のプラズマ密度情報測定用プローブを、下記の請求項19の発明であるプラズマ処理装置に用いてもよい。すなわち、請求項19に記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理装置であって、プラズマ密度情報を測定するためにプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給するプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力に反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する前記プラズマ密度情報測定用プローブと、測定された前記プラズマ密度情報に基づいてプラズマ処理を制御する制御手段とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするものである。
【0036】
〔作用・効果〕請求項19に記載の発明によれば、プラズマ密度情報測定用電源(測定用電源)から入射されたプラズマ密度情報測定用電力(測定用電力)は、プラズマ密度情報測定用プローブを介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。その測定用電力の反射または吸収に基づいて、プラズマ密度情報測定用プローブを用いてプラズマ密度情報が測定される。プラズマ密度情報はプラズマの特性を示すので、プラズマ密度情報を測定することにより、制御手段によってプラズマ処理が制御される。また、プラズマ密度情報測定用プローブは配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、本発明に係るプラズマ密度情報測定用プローブに用いられるプラズマ処理装置の一実施例の概略構成を示したブロック図である。なお、本実施例では電子サイクロトロン共鳴による放電を利用したECRプラズマであって、エッチング処理を例に採って説明する。
【0038】
本実施例に係るエッチング処理装置は、図1に示すように、プラズマPMが生成されるチャンバ1を備えており、このチャンバ1内には処理用の電圧に接続されている電極2が配設されており、この電極2上に被処理物である基板Wが載置されている。この電極2に処理用の電圧を印加することによってプラズマによる基板Wのエッチング処理が行われる。チャンバ1の上部には導波管3が接続されており、この導波管3を介して、プラズマPMを生成するための生成用電力がチャンバ1内に供給される。本実施例では、この生成用電力は1kW程度で周波数が2.45GHz程度のマイクロ波である。
【0039】
また、チャンバ1の上部の周辺部にはコイル4が配設されており、このコイル4によって図1中の矢印の方向に磁場(磁束密度)Bが発生する。一方、導波管3を介してチャンバ1内に供給された生成用電力は、コイル4によって発生した磁場Bのローレンツ力(Lorentz Force)を受けて電子として回転運動、つまりサイクロトロン運動を行う。この回転運動を行う周波数は、いわゆる電子サイクロトロン周波数と呼ばれるものであって、この電子サイクロトロン周波数と、供給された生成用電力の周波数(本実施例では2.45GHz)とが一致するとき、電子の共鳴的加速が起こる。この電子の共鳴的加速の発生により、低圧力でも高密度のプラズマPMが生成される。ここで、電子サイクロトロン周波数をfCで表す。
【0040】
なお、本実施例に係るチャンバ1は、上述したようにECRプラズマに用いられるチャンバであるが、電子サイクロトロン周波数よりも低い周波数の高周波電流をアンテナに流してプラズマを生成するヘリコン波プラズマに用いられるチャンバであってもよい。また、2つの電極を互いに対向させて、両電極間にプラズマを生成する、いわゆるCCP(Capacitively Coupled Plasma) 型、すなわち容量結合プラズマや、コイルを備えたアンテナに電流を流すことでアンテナに磁場を発生させて、アンテナからの磁場による誘導電場の発生によってプラズマを生成する、いわゆるICP(Inductively Coupled Plasma)型、すなわち誘導結合プラズマといった無磁場のプラズマであって、チャンバの周辺部に配設されたコイル等によってプラズマを磁化させたチャンバを用いてもよい。
【0041】
プラズマPMを生成するための生成用電源5は、生成用電力制御部6を介して、導波管3に接続されており、この生成用電力制御部6によって生成用電源5からチャンバ1に供給される生成用電力が操作される。この生成用電力制御部6は、本発明における制御手段に相当する。
【0042】
また、チャンバ1内には、上述した基板Wや電極2の他に、チャンバ1内のプラズマ密度情報を測定する測定プローブ7が挿入されており、この測定プローブ7の近傍に、磁場Bを測定するためのガウスメータ8が配設されている。本実施例では、測定プローブ7は、図1中の磁場Bと垂直する方向にチャンバ1内に挿入されて配設されている。この測定プローブ7は、本発明におけるプラズマ密度情報測定用プローブに相当する。
【0043】
測定プローブ7と、プラズマ密度情報を測定するための測定用電源9とは、同軸ケーブル10とプローブ制御部11とを介して接続されている。なお、本実施例では、プラズマ密度情報として電子密度を測定しているが、その他のプラズマ密度情報として例えばプラズマ密度やイオン密度や後述する吸収周波数やプラズマ表面波共鳴周波数等がある。測定用電源9は、本発明におけるプラズマ密度情報測定用電源に相当する。
【0044】
ガウスメータ8によって測定された磁場の結果に基づいて電子サイクロトロン周波数fCが導出されるように、ガウスメータ8は、電子サイクロトロン周波数fCを導出する電子サイクロトロン周波数導出部12に接続されている。この電子サイクロトロン周波数導出部12は、プローブ制御部11内にあって後述する吸収周波数校正部25に接続されている。
【0045】
上述の基板W、電極2、測定プローブ7の他に、チャンバ1と、プラズマPMを生成するためのガスを供給するガス供給源(タンク)13とは、ガス調整用バルブ14を介して連通接続されている。
【0046】
次に、生成用電力制御部6の具体的構成について説明する。生成用電力制御部6は、エッチングレート変換部15と、エッチング時間変換部16と、エッチング時間設定部17と、インピーダンス整合器18とから構成されている。エッチングレート変換部15は、測定プローブ7とプローブ制御部11とによって測定された電子密度を電子密度に応じたエッチングレートに変換するように構成されており、エッチング時間変換部16は、変換されたエッチングレートを電子密度に応じたエッチング時間に変換するように構成されている。また、エッチング時間設定部17は、エッチング時間を設定するように構成されており、インピーダンス整合器18は、チャンバ1への生成用電力の供給を調節したり、設定されたエッチング時間が経過するとチャンバ1への生成用電力の供給を終了するように構成されている。なお、本明細書中において用いられるエッチングレートとは単位時間当たりにエッチングされる膜の厚みのことをいう。
【0047】
エッチングレート変換部15とエッチング時間変換部16とは、CPU(中央演算処理部)等の演算部の機能を備えており、エッチングレートと電子密度とが比例関係にあることを利用して、測定された電子密度を演算部によって係数倍したものがエッチングレートとして変換されるとともに、エッチングすべき膜厚の厚みをエッチングレートで割った値がエッチング時間として変換される。本実施例では、エッチングレート変換部15とエッチング時間変換部16とをCPU(中央演算処理部)等の演算部で構成したが、図示を省略する記憶部をも備えるとともに、その記憶部に電子密度とエッチングレートとの相関関係を示す検量線等を予め記憶させて、測定された電子密度に応じてその記憶部から随時読み出しを行ってエッチングレートやエッチング時間等を導出するように構成してもよい。
【0048】
エッチング時間設定部17は、タイマやクロックの機能を備えており、電子密度が測定されるのとほぼ同時にタイマがリセットされてタイマのカウントを開始する。設定されたエッチング時間に相当する分だけタイマがカウントされると、エッチング時間設定部17はインピーダンス整合器18に対して、生成用の電力の供給を終了するようにインピーダンス整合器18内の整合回路を操作する。なお、本実施例では、エッチング時間設定部17はインピーダンス整合器18を操作することによって、プラズマPMへの生成用の電力の供給を終了させたが、生成用電源5に対して直接的に操作して電圧の印加等を直接的に終了するようにエッチング時間設定部17を構成してもよいし、電極2に印加している処理用の電圧等を直接的に操作するように構成してもよい。また、基板Wを連続的に処理する場合には、エッチング時間設定部17によって設定されたエッチング時間に相当する分だけタイマがカウントされると、処理中の基板Wをチャンバ1内から取り出して、次に処理されるべき基板Wをチャンバ1内に投入するように構成してもよい。
【0049】
インピーダンス整合器18は、生成用電源5の周波数がMHzオーダの周波数の場合、インダクタンスとキャパシタンスとを組み合わせた整合回路が用いられる。また上述の周波数が1GHz以上の周波数の場合、EHチューナやスタブチューナが用いられる。
【0050】
次に、測定プローブ7について、図2を参照して説明する。測定プローブ7は、同軸ケーブル10の先端部を加工成形することによって構成されており、図2に示すように、先端部において同軸ケーブル10の外部絶縁体10aと外部導体10bとを除去してから先端部が閉じられている誘電体製のチューブ19を被せることによって構成されている。また、外部絶縁体10aと外部導体10bと、さらに中心絶縁体10cを除去したことによって同軸ケーブル10の先端部において中心導体10dのみとなって、中心導体10dは、同軸ケーブル10を介して伝送された電力を放射するアンテナの機能を果たすことになる。従って、先端部における中心導体10dは、本発明におけるアンテナに相当し、同軸ケーブル10は、本発明におけるケーブルに相当し、チューブ19は、本発明における誘電体性領域に相当する。
【0051】
測定プローブ7をプラズマPM中に挿入させる。次に、測定用電源9から測定用電力を伝送させる。すると、測定プローブ7の吸収周波数において、先端ではチューブ19や同軸ケーブル10等を境界条件に持ちながら共鳴吸収が起きる。この結果、測定用電源9から供給されて伝送された電磁波が吸収されるので、測定プローブ7の吸収周波数において反射電力が小さくなる。また、測定用電力がプラズマPMによって吸収されると吸収されなかった残りの測定用電力は、測定用電源9側からプラズマPM側に伝送した方向とは逆方向に、測定用電源9側に向かって伝送される。また、測定用電力がプラズマPMによって反射されると、反射された測定用電力は、同様に測定用電源9側に向かって伝送される。この測定用電力は、本発明におけるプラズマ密度情報測定用電力に相当する。
【0052】
チューブ19は、本実施例では比誘電率が約4である石英(SiO2 )で形成されている。チューブ19を形成する物質については、例えば比誘電率が2であるフッ素樹脂や、比誘電率が10であるアルミナ(Al2 O3 )や、比誘電率が35であるジルコニア(zirconia)(ZrO2 )や、異方性誘電体や、純度によって比誘電率が変化するが比誘電率が約20前後である炭化ケイ素(silicon carbide )(SiC)等のように、特に限定されないが、固体の誘電体の場合ではチューブ19を形成し易い点から鑑みると、比誘電率が2から50までの物質でチュ−ブ19は形成されている方が好ましい。
【0053】
また、アンテナ付近ではチューブ19は、球形状に構成されているとともに、アンテナである先端部における中心導体10dも、球形状に構成されている。また、図2に示すように、チューブ19の外径をR1として、内径をr1とする。さらに、球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径をR2として、内径をr2とし、球形状に構成されたアンテナの直径をr3とする。本実施例では、チューブ19の外径R1を2mm,内径r1を1mmとするとともに、球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径R2を10mm,内径r2を8mmとし、さらに球形状に構成されたアンテナの直径r3を1mmとする。
【0054】
続いて、本実施例に係る測定プローブ7と従来の測定プローブとの構成上の差異を、図3を参照して説明するとともに、その構成上の差異を参照しながら本実施例の特徴部分を説明する。図1,図3(a)中の磁場Bの方向に垂直な面を、『第1平面』と定義づけるとともに、図3(a)中の符号F1をその第1平面に付する。球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の表面を、図3(a)に示すように微小面積dsで分割する。第1平面F1と、微小面積dsにおける平面とのなす角度をθ1とし、第1平面F1と、その微小面積dsに隣接する微小面積における平面とのなす角度を(θ1+dθ1)とすると、第1平面F1において累積された表面積の大きさの一部は、ds・sinθ1・dθ1を−π/2から3π/2まで積分した値となる。なお、図2,図3では断面図で表しているが、実際の累積される表面積はチューブ19の径に対する垂直方向にもおよぶ。従って、チューブ19の径に対する垂直方向の角度をφとすると、同様にds・sinφ・dφを−π/2から3π/2まで積分することになる。つまり、第1平面において累積された表面積の大きさは球の表面積全体となる。
【0055】
また、磁場Bと平行に測定プローブ7が配設されている場合を、図3(b)を参照して説明する。なお、図3(b)では、測定プローブ7の配設方向を、図3(a)での配設方向と同じ方向にして説明する。従って、図3(b)の磁場Bの方向が図3(a)中の磁場Bの方向に対して垂直に向くことになる。第1平面F1に対する垂直な平面の1つであって、図3(b)の磁場Bの方向に垂直な面を、『第2平面』と定義づけるとともに、図3(a)中の符号F2をその第2平面に付する。図3(a)と同じく微小面積dsで分割し、第2平面F2と、微小面積dsにおける平面とのなす角度をθ2とすると、第2平面F2において累積された表面積の大きさは、ds・sinθ2・dθ2を−π/2から3π/2まで積分し、さらにds・sinφ・dφを−π/2から3π/2まで積分することになる。つまり、第2平面F2において累積された表面積の大きさも球の表面積全体となる。従って、第1平面F1において累積された表面積の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさとが等しくなる。
【0056】
これに対して、従来の測定プローブの場合には、アンテナ付近におけるチューブは球形状でなく、半球形状と円筒形状とを組み合わせた形状となっている。従って、第1平面F1において累積された表面積の大きさは、図3(c)に示すように、半球形状の表面積の大きさと、円筒形状の表面積の大きさとを足した値となるのに対して、第2平面において累積された表面積の大きさは、図3(d)に示すように、半球形状の表面積の大きさのみとなる。従って、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとは等しくない。
【0057】
このことから、本実施例に係る測定プローブ7の場合、第1平面F1において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとが等しくなるので、磁場Bの方向が第1平面F1に垂直の方向の場合でも、また磁場Bの方向が第2平面F2に垂直の方向の場合でもこれらの表面波の大きさは互いに等しい。つまり、測定プローブ7の配設方向によらずにこれらの表面波の大きさは互いに等しいことになる。
【0058】
なお正確には、本実施例に係る測定プローブ7の場合、第1平面F1において累積された表面積の大きさは、図3(a)に示すように、球の表面積全体のみならず、アンテナより後端にある円筒形状のチューブ19の表面積にわずかにおよび、第2平面F2において累積された表面積の大きさは、図3(b)に示すように、球の表面積全体のみとなる。従って、第1平面F1において累積された表面積の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさとは完全には等しくならず、ほぼ等しい状態となる。
【0059】
続いて、プローブ制御部11の具体的構成について説明する。プローブ制御部11は、図1に示すように、方向性結合器21と、減衰器22と、フィルタ23と、吸収周波数導出部24と、吸収周波数校正部25と、電子密度変換部26とから構成されている。測定プローブ7には、同軸ケーブル10を介して測定用電源9側から順に、方向性結合器21、減衰器22、およびフィルタ23が接続されている。
【0060】
測定用電源9は周波数掃引式であって、ある周波数帯域(例えば100kHzから2.5GHzまで)の周波数で測定用電力を自動掃引しながら出力する。測定用電源9から出力された測定用電力は、同軸ケーブル10中を伝送しながら方向性結合器21、減衰器22、およびフィルタ23の順に経由して、測定プローブ7へ伝送される。一方、測定用電力が吸収または反射されると、上述したように逆方向に電力の反射分が伝送されて、方向性結合器21で検出されて、吸収周波数導出部24へ送り込まれる。吸収周波数導出部24には測定用電源9から出力される測定用電力の周波数も逐次送り込まれる。
【0061】
フィルタ23は、プローブ制御部11に混入してくる電力やノイズを除去する機能を果たす。また、減衰器22は、測定プローブ7へ送り込む測定用電力の量を調整する機能を果たす。
【0062】
吸収周波数導出部24は、測定用電力の周波数と、測定用電力の検出反射量とに基づいて、測定用電力の反射率の対周波数変化を求める。そして、得られた結果に基づいて、電子密度に起因して測定用電力の強い吸収が起こる吸収周波数を求める。なお、吸収周波数の具体的な導出については、後述するフローチャートで説明する。
【0063】
プラズマPMは磁化されているので、吸収周波数導出部24によって導出された吸収周波数はプラズマ中での磁場の影響を受けている。従って、正確な吸収周波数を求めるべく、上述の吸収周波数は、吸収周波数校正部25によって校正される。なお、吸収周波数の具体的な校正についても、後述するフローチャートで説明する。
【0064】
電子密度変換部26は、吸収周波数校正部25によって校正された吸収周波数に基づいて電子密度に変換するように構成されている。上述の吸収周波数は電子密度と一定の相関関係があるので、吸収周波数が求まることによって、電子密度が容易に求められる。
【0065】
続いて、上述した構成を有するエッチング処理装置において、エッチング処理の流れを、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、ステップS1の時点ではプラズマ生成用の生成用電源5のスイッチは既にON状態であって、ガス供給源(タンク)13からチャンバ1内にガスが既に供給されて、プラズマPMも既に生成されており、コイル4によってプラズマPMが磁化されているものとする。
【0066】
〔ステップS1〕測定プローブ7を、図1中の磁場Bと垂直する方向にチャンバ1内に挿設するとともに、測定プローブ7の近傍にガウスメータ8を挿設する。
【0067】
このような条件の下で、測定用電源9のスイッチをONにしてガウスメータ8によって磁場Bを測定する。測定された磁場Bの結果は、電子サイクロトロン周波数導出部12に送り込まれる。送り込まれた磁場Bの測定結果に基づいて、電子サイクロトロン周波数fCが導出される。詳述すると、そのときの角周波数(角振動数,角速度)をωC,磁場をB,電子素量をe,電子質量をmとそれぞれすると、これらは次式(1)のような関係で表される。
ωC =2πfC=eB/m … (1)
【0068】
磁場Bと電子素量eと電子質量mとを上記(1)式に代入することにより、電子サイクロトロン周波数fCを導出する。また、電子サイクロトロン周波数導出部12によって導出されたこの電子サイクロトロン周波数fCは、吸収周波数校正部25に送り込まれる。
【0069】
〔ステップS2〕測定用電源9から100kHzから2.5GHzまでの周波数で測定用電力を自動掃引しながら出力する。また、自動掃引しながら吸収周波数導出部24に上述の周波数が逐次送り込まれる。出力された測定用電力は、同軸ケーブル10を介して測定プローブ7に供給される。このステップS2は、本発明における(a)の過程に相当する。
【0070】
〔ステップS3〕供給された測定用電力は、表面波によって吸収または反射が起こって、供給時とは逆方向に同軸ケーブル10を介して測定用電力の反射分だけ測定用電源9側に伝送される。測定用電力の反射量は、フィルタ23、減衰器22、および方向性結合器21の順に経由して、方向性結合器21で検出される。そして、吸収周波数導出部24へ送り込まれる。
【0071】
吸収周波数導出部24では、同じ周波数において〔測定用電力の検出反射量〕÷〔測定用電力の全出力量〕なる演算が行われて測定用電力の反射率が求められる。掃引される周波数と、この測定用電力の反射率とを対応付けてプロットすることによって、図5に示すような測定用電力の反射率の対周波数変化が求められる。図5に示すように、反射率が大きく下がるところは、電子密度に起因して測定電力の強い吸収が起こる吸収ポイントであって、その吸収ポイントの周波数が吸収周波数ということになる。
【0072】
図5中では吸収ポイントPa,Pbの2つが現れている。通常、吸収ポイントは複数個現れて、それに伴って吸収周波数も吸収ポイントと同数個だけ存在する。これらの吸収周波数は、いずれにおいても電子密度等のプラズマ密度情報と一定の相関関係があるが、特に、吸収周波数のうち、電子密度に対して2乗に比例する吸収周波数は、プラズマ表面波共鳴周波数と呼ばれている。電子密度等のプラズマ密度情報を導出する際においてこのプラズマ表面波共鳴周波数は有用な物理量の1つである。なお、電子密度等のプラズマ密度情報は局所的に変化するので、測定プローブ7は基板Wの表面の近傍で測定を行うのが好ましい。このステップS3は、本発明における(b)の過程に相当する。
【0073】
なお、本明細書中では、Q値(quality factor)がもっとも大きい吸収ポイントにおける吸収周波数を『0次の吸収周波数』または『基本吸収周波数』と呼ぶ。そして、吸収の大きい順に1次,2次,…と吸収周波数を定義づける。一番高次の吸収周波数、すなわち吸収のもっとも小さい吸収ポイントにおける吸収周波数は、電子密度に対して2乗に比例する、上述したプラズマ表面波共鳴周波数となる。
【0074】
従って、実際に、プラズマ密度情報を測定するには、Q値が大きい吸収は、吸収(反射による損失)が大きく、かつ半値幅が狭い吸収であるので、Q値がもっとも大きい吸収周波数、すなわち0次の吸収周波数(基本吸収周波数)を測定するのが通常である。本実施例では、0次の吸収周波数、すなわちQ値がもっとも大きい吸収ポイントにおける基本吸収周波数(0次の吸収周波数)を測定する。
【0075】
〔ステップS4〕吸収周波数導出部24によって導出されたこの吸収周波数は、上述したように測定プローブ7によって直接的に測定された基本吸収周波数であって、磁場Bの影響を受けている吸収周波数である。そこで、この基本吸収周波数を、吸収周波数校正部25によってプラズマ表面波共鳴周波数として校正する。ここで、基本吸収周波数をfMESとし、校正後のプラズマ表面波共鳴周波数をfPとする。
【0076】
続いて、具体的な校正方法について説明する。吸収周波数校正部25は、図示を省略する記憶部に予め記憶されているfMES/fPの対fC/fMESの変化をプロットしたデータと、実際に測定されたfCおよびfMESとに基づいて、実際に測定されるfMESが校正されてfPが求まるように構成されている。fMES/fPの対fC/fMESの変化をプロットしたデータは、例えば図6のグラフで表される。
【0077】
このグラフは、上述したFDTD法のシミュレーションによって予めプロットされたものである。また、図6は、本実施例の測定プローブ7を用いてプロットしたグラフであって、図7は、その比較のために従来の測定プローブを用いてプロットしたグラフである。なお、従来の測定プローブではチューブの外径が6mm,内径が4mmを用いている。図6,図7のグラフ中において、2点鎖線と三角のプロットとは磁場Bと垂直する方向に測定プローブ7が配設されたときのデータであって、実線と黒丸のプロットとは磁場Bと平行に測定プローブ7が配設ときのデータである。
【0078】
ステップS1で求められた電子サイクロトロン周波数fCと、ステップS3で測定された基本吸収周波数fMESと、図6のグラフとに基づいて、プラズマ表面波共鳴周波数fPとして校正する。このようにして求められたプラズマ表面波共鳴周波数fPは、電子密度変換部26に送り込まれる。
【0079】
〔ステップS5〕吸収周波数が吸収周波数校正部25によってプラズマ表面波共鳴周波数として校正されて求まると、電子密度変換部26によって電子密度に変換されて、導出される。
【0080】
〔ステップS6〕電子密度が求まってから、基板Wをチャンバ1内に投入して、電極2上に載置する。この電極2に処理用の電圧を印加することによって、プラズマPM中のイオンや電子が基板Wの表面に到達して、基板Wのエッチング処理が行われる。従って、処理用の電圧を印加するのとほぼ同時に、またはエッチング処理が開始されるのとほぼ同時に、エッチング時間設定部17において、タイマがリセットされてタイマのカウントを開始する。エッチング処理をより精密に行うという点において、チャンバ1内への基板Wの投入とステップS5での電子密度の測定とはほぼ同時に行われる方が好ましい。
【0081】
〔ステップS7〕一方、測定された電子密度は、生成用電力制御部6内のエッチングレート変換部15に送り込まれて、電子密度に基づいてエッチングレートに変換される。上述したように、エッチングレートと電子密度とは比例関係にあるので、測定された電子密度を係数倍するだけでエッチングレートが求まる。
【0082】
〔ステップS8〕エッチングレートが求まると、エッチング時間変換部16によってエッチング時間が求まる。例えば、エッチングしたい膜厚の厚みが10μmであって、エッチングレートが1μm/minのとき、エッチング時間は、上記膜厚の厚みの10μmから上記エッチングレートの1μm/minで割った10minとなって求められる。
【0083】
〔ステップS9〕エッチング時間が求まると、エッチング時間設定部17に送り込まれる。ステップS6において開始されたタイマがエッチング時間に相当する分だけカウントされると、すなわちエッチング時間が経過すると、エッチング時間設定部17はインピーダンス整合器18に対して、生成用電力の供給を終了するようにインピーダンス整合器18内の整合回路を操作する。この操作によって生成用電源5から供給される生成用電力は0となって、エッチング処理が終了する。このステップS6〜S9は、本発明における(c)の過程に相当する。
【0084】
以上のステップS1〜S9から、ステップS2において測定用電源9から測定用電力をプラズマPMに供給すると、測定用電源9から入射された測定用電力は、測定プローブ7を介して、プラズマ密度に起因してプラズマ負荷に吸収されるか、反射されて戻ってくる。ステップS3では、その測定用電力の反射または吸収に基づいて、測定プローブ7を用いてプラズマ密度情報である吸収周波数が測定される。
【0085】
また、本実施例に係る測定プローブ7は、アンテナ付近では球形状に構成されたチューブ19を有している。この球形状のチューブ19において、磁場Bの方向に垂直な面である第1平面F1において累積された表面積の大きさと、その第1平面F1に対する垂直な平面の1つである第2平面F2において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなり、第1平面F1において累積された表面積の大きさで結合するプラズマPMによる表面波の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさで結合するプラズマPMによる表面波の大きさとがほぼ等しくなる。その結果、配設方向による依存が低い測定プローブ7を実現することができる。
【0086】
なお、本実施例に係る測定プローブ7についても、FDTD法のシミュレーションによる電界強度の2乗分布を求め、確認を行った。図8は、シミュレーションの結果による電界強度の2乗分布を模式的に表した図であって、図8(a)は本実施例に係る測定プローブ7の長手方向に対して平行に磁場をかけたときの模式図、図8(b)は本実施例に係る測定プローブ7の長手方向に対して垂直に磁場をかけたときの模式図である。図8からも分かるように、磁場の方向が異なれば電界強度の2乗分布も異なるが、第1平面F1において累積された表面積の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさとがほぼ等しいので、第1平面F1において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面F2において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとがほぼ等しくなる。
【0087】
このことは、図6のグラフからも確認することができる。つまり、図6に示すように、磁場と垂直する方向に測定プローブ7が配設されたデータと、磁場と平行に測定プローブ7が配設されたデータとはほとんど一致する。それに対し、従来の測定プローブを用いた図7のグラフからは、磁場の方向、さらにはプローブの配設方向に依存することがわかる。
【0088】
このように本実施例に係る測定プローブ7は配設方向による依存が低いので、配設方向による依存によらずに吸収周波数(例えば基本吸収周波数やプラズマ表面波共鳴周波数)や電子密度などのプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0089】
その測定結果である電子密度などのプラズマ密度情報が配設方向による依存によらないので、ステップS6〜S9においてプラズマエッチング処理を精度良く制御することができる。
【0090】
なお、本実施例の場合には、測定プローブ7が磁場に垂直するように配設、すなわち磁場の方向が測定プローブ7の第1平面に垂直の方向になるように配設されているのみならず、図1に示すように、チャンバ1の壁や、エッチング処理を行う被処理物である基板Wの長手方向が、第1平面または第2平面に垂直の方向になるように測定プローブ7が配設されているので、チャンバ1の壁や基板Wの近傍のようなプラズマ分布が大きいときにおいても、本実施例に係る測定プローブ7によってプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。さらには、プラズマエッチング処理を行うための処理用の電圧(バイアス電圧)を印加する電極2の面が、測定プローブ7の第1平面に平行になるように測定プローブ7が配設されているので、ビーム要素の強いプラズマPM中においても、本実施例に係る測定プローブ7によってプラズマ密度情報を精度良く測定することができる。
【0091】
また、本実施例では、アンテナである先端部における中心導体10dも、球形状に構成されているので、アンテナについても配設方向による依存が低くなり、配設方向による依存がより低い測定プローブ7を実現することができる。
【0092】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0093】
(1)上述した本実施例でのステップS1〜S9では、1枚の基板Wのエッチング処理が終了すると生成用電源5から供給する生成用電力を0にする手順であったが、基板Wを連続的に処理する場合にはエッチング時間に達すると、処理中の基板Wをチャンバから1枚取り出して、次に処理されるべき基板Wをチャンバ1内に投入するような手順であってもよい。
【0094】
(2)上述した本実施例ではエッチング処理についてのプラズマ処理であったが、例えばCVD(化学気相成長)処理や、アッシング処理や、チャンバのクリーニング処理等、プラズマ中の被処理物に行うプラズマ処理であれば、特に限定されない。また、プラズマ処理のみならず、プラズマ密度情報を単に測定するプラズマ密度情報測定装置にも本発明を適用することができる。
【0095】
(3)本実施例ではプラズマを生成するための生成用電力を操作してプラズマ処理を制御したが、例えば生成用電力以外にもプラズマを生成するガス圧や、ガスの混合比等を操作してプラズマ処理を制御してもよく、通常のプラズマ制御において用いられる方法ならば、特に限定されない。
【0096】
また、本実施例では電子密度に応じてエッチング時間等の処理時間を設定して、生成用電力を操作したが、処理時間を固定にしておいて、インピーダンス整合器18などを操作することによって生成用電力を調節して、処理時間に応じて電子密度を制御してもよい、同様の手法で、図1中のガス調整用バルブ15によってガス圧や、ガスの混合比等を調節して、処理時間に応じて電子密度を制御してもよい。また、上述したこれらの方法を適宜互いに組み合わせることもできる。
【0097】
(4)上述した本実施例ではプラズマ密度情報は吸収周波数や電子密度であったが、イオン密度もプラズマの特性を示すので、これらの物理量を校正して測定することで、プラズマ発生に係る物理量(例えば生成用電力や、ガス圧や、ガスの混合比など)を操作してもよい。例えば、図1中の吸収周波数校正部25によって吸収周波数を求めた後、吸収波数とエッチング処理との相関関係によって生成用電力を操作してもよい。
【0098】
(5)測定プローブを磁場に垂直になる方向に配設、すなわち磁場の方向が測定プローブの第1平面に垂直の方向になるように配設したが、測定プローブが磁場に平行になるように配設、すなわち磁場の方向が測定プローブの第2平面に垂直の方向になるように配設してもよい。また、磁場がチャンバに対して斜め方向にかかっている場合には、測定プローブを磁場に垂直あるいは平行の方向になるように測定プローブを配設、つまり測定プローブもチャンバに対しては斜め方向に挿設してもよい。
【0099】
また、チャンバの壁や基板の近傍のようなプラズマ分布が大きい位置で測定プローブを配設しないのであれば、チャンバの壁や基板の長手方向が第1平面または第2平面に垂直の方向になるように測定プローブを配設する必要はない。つまり、測定プローブをチャンバや基板に対して斜め方向に挿設してもよい。また、本実施例の場合にはビーム要素の強いプラズマであったが、バイアス電圧を印加しないのであれば、バイアス電圧を印加する電極の面が、測定プローブ7の第1平面あるいは第2平面に平行になるように測定プローブを配設する必要はない。
【0100】
(6)上述した本実施例において測定プローブについては、図2に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19は球形状に構成されているとともに、アンテナである先端部における中心導体10dも球形状に構成されていたが、図9に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19のみ球形状に構成するとともに、アンテナである先端部における中心導体10dを直線状に構成してもよいし、図10に示すように、チューブ19の外径R1,内径r1,球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径R2,内径r2を本実施例よりも大きく構成してもよい。
【0101】
図2に示す本実施例の測定プローブを『Aタイプ』,図9に示す測定プローブを『Bタイプ』,図10に示す測定プローブを『Cタイプ』(外径R1を6mm,内径r1を4mm,外径R2を12mm,内径r2を10mm)とそれぞれし、磁場に対して測定プローブを平行/垂直に配設した場合での、電子サイクロトロン周波数fCが0.8GHzでプラズマ表面波共鳴周波数fPが2.4GHzのときの基本吸収周波数fMESを、それぞれ測定した。その測定結果は、図11に示すとおりである。
【0102】
Aタイプ、すなわち本実施例に係る測定プローブでは平行/垂直間では誤差が0%であったのに対し、Bタイプ,Cタイプに従って誤差が大きくなることがわかる。これは、Bタイプについてはアンテナを直線状にしたことで配設方向による依存性がAタイプと比較して大きくなったことに起因することがわかるし、Cタイプについてはチューブ19の外径R1(もしくは内径r1)と球形状に構成されたアンテナ付近におけるチューブ19の外径R2(もしくは内径r2)との比がAタイプの比と比較して1に近くなって従来の測定プローブの形に近くなったことに起因することがわかる。
【0103】
また、これらのA〜Cタイプでは、アンテナ(中心導体10d)と誘電体性領域であるチューブ19との間には空隙が介在されていたが、アンテナがチューブ19に直接に被覆されていてもよい。
【0104】
(7)上述した本実施例において測定プローブについては、図2に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19は球形状に構成されていたが、必ずしも球形状に限定されるものではない。第1平面において累積された表面積の大きさと、その第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるような形状のものであれば、アンテナの先端付近におけるチューブ19の形状については限定されない。
【0105】
例えば、図12(a)の一部縦断面図および図12(b)の平面図に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19を、円状の軌跡に沿って湾曲された円筒形状、いわゆる『ドーナツ』形状に構成するとともに、アンテナである先端部における中心導体10dをも『ドーナツ』形状に構成してもよい。また、中心部に被処理物、例えば基板Wを設置してもよい。
【0106】
また、プローブのある配設方向の角度を0°としたとき、その配設方向の角度0°に対して一番誤差の大きいのはその角度が90°(または270°)になったときで、他の角度のときには90°(または270°)ほどには大きくならないことから、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさが、第1平面または第2平面において累積された表面積の大きさに必ずしも一致する必要はない。
【0107】
従って、図13に示すように、アンテナの先端付近におけるチューブ19を直角状に屈曲してもよい。この場合、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとが等しくなるように屈曲するチューブ19の長さを決定すればよい。つまり、後端部分においてプラズマが結合する部分が屈曲部分から面積Sにおよぶ場合には、屈曲部分より先端についても面積Sになるように屈曲するチューブ19の長さを決定すればよい。図13の構成を有する測定プローブの場合には、上述したように第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさが、第1平面または第2平面において累積された表面積の大きさに一致しないが、配設方向による依存がより一層低い測定プローブを実現するためには、第1平面または第2平面に対して垂直にならない面において累積された表面積の大きさについても、第1/第2平面において累積された表面積の大きさにほぼ等しくなるように誘電体性領域を構成するのが好ましい。
【0108】
このことから、図13に示す測定プローブのように直角状に屈曲して構成するのでなく、図14〜図16に示すように、円状の軌跡の一部分に沿って湾曲された円筒形状に構成してもよい。図14の場合には、アンテナの先端付近におけるチューブ19を、いわゆる『J字』形状に湾曲しており、図15の場合には、チューブ19を、いわゆる『U字』形状に湾曲しており、図16の場合には、チューブ19を、円状の軌跡の一部分をつなぎあわせて『螺旋』形状に湾曲している。図14〜図16のいずれの場合においても、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように湾曲状に構成する。
【0109】
なお、図15に示す『U字』形状に構成した測定プローブにおいて、磁場をz軸,x軸,y軸にそれぞれ印加した場合での、電子サイクロトロン周波数fCが1.2GHzでプラズマ表面波共鳴周波数fPが2.4GHzのときの基本吸収周波数fMESを、それぞれ測定した。その測定結果は、図17に示すとおりである。なお、U字形状に湾曲した曲がり半径をR3とし、外径R1を2mm,内径r1を1mm,曲がり半径R3を4mmとして測定プローブを構成した。また、x軸,y軸,z軸は、図16に示す方向であって、x軸は、第1平面に垂直な軸(測定プローブの長手方向に垂直な軸)、z軸は、第2平面に垂直な軸(測定プローブの長手方向に平行な軸)、y軸は、紙面に対して垂直な軸、すなわちU字の曲がり回転軸である。また、磁場をz軸にかけたときの基本吸収周波数をfMESZとし、磁場をx軸にかけたときの基本吸収周波数をfMESXとし、磁場をy軸にかけたときの基本吸収周波数をfMESYとする。
【0110】
磁場をz軸にかけたときに対するx軸の誤差、すなわちfMESZとfMESXとの誤差が4.1%に対し、磁場をz軸にかけたときに対するy軸の誤差、すなわちfMESZとfMESYとの誤差が6.4%と、磁場をy軸にかけたときの誤差が大きくなることがわかる。これは、y軸に磁場をかけたときの方向に垂直な面を、『第3平面』と定義づけると、第1平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとの等しさほど、第3平面において累積された表面積の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさとが等しくないことに起因することがわかる。
【0111】
また、図12〜図16に示すような測定プローブの他に、正四面体や正六面体などの正多面体状に、アンテナの先端付近におけるチューブ19を構成してもよい。なお、多面体については面の数が大きいほど球に近づくので、面の数が大きいほど配設方向による依存が低くなる。
【0112】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、その第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも誘電体性領域を構成することで、第1平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさと、第2平面において累積された表面積の大きさで結合するプラズマによる表面波の大きさとがほぼ等しくなるので、配設方向による依存が低いプラズマ密度情報測定用プローブを実現することができる。
【0113】
また、かかるプラズマ密度情報測定用プローブを、プラズマ密度情報測定方法およびその装置に用いる(請求項8,請求項13に記載の発明)ことで、配設方向による依存によらずにプラズマ密度情報を精度良く測定することができ、かかるプラズマ密度情報測定用プローブを、プラズマ処理方法およびその装置に用いる(請求項14,請求項19に記載の発明)ことで、配設方向による依存によらずにプラズマ処理を精度良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る測定プローブの構成を示す一部縦断面図である。
【図3】本実施例と従来とにおける測定プローブの構成上の差異についての説明に供する側面図であって、(a)は本実施例に係る測定プローブを磁場の方向に対して垂直に配設したとき、(b)は本実施例に係る測定プローブを磁場の方向に対して平行に配設したとき、(c)は従来の測定プローブを磁場の方向に対して垂直に配設したとき、(d)は従来の測定プローブを磁場の方向に対して平行に配設したときの各断面図である。
【図4】本実施例に係るエッチング処理の流れを示すフローチャート図である。
【図5】吸収周波数を求める説明に供するグラフである。
【図6】本実施例の測定プローブを用いた場合における、fMES/fPの対fC/fMESの変化のシミュレーション結果を示す図である。
【図7】従来の測定プローブを用いた場合における、fMES/fPの対fC/fMESの変化のシミュレーション結果を示す図である。
【図8】本実施例の測定プローブを用いた場合における、シミュレーションの結果による電界強度の2乗分布を模式的に表した図であって、(a)は測定プローブの長手方向に対して平行に磁場をかけたとき、(b)は測定プローブの長手方向に対して垂直に磁場をかけたときのそれぞれの模式図である。
【図9】変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図10】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図11】図2,図9,図10に示す測定プローブを磁場に対して平行/垂直に配設した場合での基本吸収周波数の測定結果である。
【図12】(a)は、さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す一部縦断面図、(b)は、(a)の平面図である。
【図13】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図14】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図15】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図16】さらなる変形例に係る測定プローブの構成を示す側面図である。
【図17】図15に示す測定プローブにおいて磁場をz軸,x軸,y軸にそれぞれ印加した場合での基本吸収周波数の測定結果である。
【図18】プラズマ密度情報を測定するための従来の手法の説明に供する図である。
【図19】従来の測定プローブを用いた場合における、シミュレーションの結果による電界強度の2乗分布を模式的に表した図であって、測定プローブの長手方向に対して垂直に磁場をかけたときの模式図である。
【符号の説明】
6 … 生成用電力制御部
7 … 測定プローブ
9 … 測定用電源
10 … 同軸ケーブル
10d … 中心導体
19 … チューブ
PM … プラズマ
W … 基板
F1 … 第1平面
F2 … 第2平面
Claims (19)
- プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマに供給されるプラズマ密度情報測定用電力のプラズマ負荷による反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定するプラズマ密度情報測定用プローブであって、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プローブ。
- 請求項1に記載のプラズマ密度情報測定用プローブにおいて、前記第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、前記アンテナが構成されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プローブ。
- 請求項1または請求項2に記載のプラズマ密度情報測定用プローブにおいて、少なくとも前記誘電体性領域は球形状に構成されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プローブ。
- 請求項1または請求項2に記載のプラズマ密度情報測定用プローブにおいて、少なくとも前記誘電体性領域は正多面体で構成されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プローブ。
- 請求項1または請求項2に記載のプラズマ密度情報測定用プローブにおいて、少なくとも前記誘電体性領域は、円状の軌跡の一部分に沿って湾曲された円筒形状に構成されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プローブ。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブにおいて、前記アンテナは、前記誘電体性領域に直接に被覆されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プローブ。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブにおいて、前記アンテナと誘電体性領域との間には空隙が介在されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定用プローブ。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ密度情報測定方法であって、(a)前記プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給する過程と、(b)前記プラズマ密度情報測定用プローブを用いて、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する過程とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定方法。
- 請求項8に記載のプラズマ密度情報測定方法において、前記(a)の過程は、磁化されたプラズマに供給する過程であって、前記(b)の過程は、磁場の影響を受けたプラズマ密度情報を測定する過程であることを特徴とするプラズマ密度情報測定方法。
- 請求項9に記載のプラズマ密度情報測定方法において、プラズマを磁化する磁場の方向が、前記第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、前記プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定することを特徴とするプラズマ密度情報測定方法。
- 請求項8から請求項10のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定方法において、プラズマ処理室の壁もしくはプラズマ処理に関する被処理物の長手方向が、前記第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、前記プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定することを特徴とするプラズマ密度情報測定方法。
- 請求項8から請求項11のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定方法において、プラズマ処理を行うための印加電極の面が、前記第1平面または第2平面に平行になるように、前記プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ密度情報を測定することを特徴とするプラズマ密度情報測定方法。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ密度情報測定装置において、プラズマ密度情報を測定するためにプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給するプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力に反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する前記プラズマ密度情報測定用プローブとを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするプラズマ密度情報測定装置。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理方法であって、(a)前記プラズマ密度情報を測定するためのプラズマ密度情報測定用電源からプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給する過程と、(b)前記プラズマ密度情報測定用プローブを用いて、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力の反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する過程と、(c)測定された前記プラズマ密度情報に基づいてプラズマ処理を制御する過程とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項14に記載のプラズマ処理方法において、前記(a)の過程は、磁化されたプラズマに供給する過程であって、前記(b)の過程は、磁場の影響を受けたプラズマ密度情報を測定する過程であって、前記(c)の過程は、磁化されたプラズマ中でのプラズマ処理を制御する過程であることを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項15に記載のプラズマ処理方法において、プラズマを磁化する磁場の方向が、前記第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、前記プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御することを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項14から請求項16のいずれかに記載のプラズマ処理方法において、プラズマ処理室の壁もしくはプラズマ処理に関する被処理物の長手方向が、前記第1平面または第2平面に垂直の方向になるように、前記プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御することを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項14から請求項17のいずれかに記載のプラズマ処理方法において、プラズマ処理を行うための印加電極の面が、前記第1平面または第2平面に平行になるように、前記プラズマ密度情報測定用プローブをプラズマ中に配設して、プラズマ処理を制御することを特徴とするプラズマ処理方法。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載のプラズマ密度情報測定用プローブを用いたプラズマ処理装置であって、プラズマ密度情報を測定するためにプラズマ密度情報測定用電力をプラズマに供給するプラズマ密度情報測定用電源と、プラズマ負荷による前記プラズマ密度情報測定用電力に反射または吸収に基づいてプラズマ密度情報を測定する前記プラズマ密度情報測定用プローブと、測定された前記プラズマ密度情報に基づいてプラズマ処理を制御する制御手段とを備えるとともに、前記プラズマ密度情報測定用プローブは、電力を放射するアンテナと、前記プラズマ密度情報測定用電力を伝送するケーブルと、プラズマに結合する誘電体性領域とを備え、所定の平面である第1平面において累積された表面積の大きさと、前記第1平面に対する垂直な平面の1つである第2平面において累積された表面積の大きさとがほぼ等しくなるように、少なくとも前記誘電体性領域は構成されていることを特徴とするプラズマ処理装置。
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JP2007258706A (ja) * | 2006-02-10 | 2007-10-04 | R3T Gmbh Rapid Reactive Radicals Technology | 励起された、および/またはイオン化された粒子をプラズマ内で発生するための装置および方法 |
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