JP2004039461A - 自発光型平面表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来、カーボンナノチューブに付着しているアモルファスカーボン等の不純物を除くために、熱処理による酸化が一般的に用いられていたが、熱処理によりカーボンナノチューブの耐熱性が低下することが一般に見られた。
【解決手段】表面に付着した金属微粒子が全重量の5%以下のナノチューブ、または金属除去処理により作製時の触媒金属微粒子を除去したナノチューブを電子源として用いた。
【効果】カーボンナノチューブの耐熱性を大幅に向上させることができた。結果として、自発光型平面表示装置の作製における熱処理プロセスによるカーボンナノチューブ電子源に対するダメージを低減することができた。
【選択図】 図1
【解決手段】表面に付着した金属微粒子が全重量の5%以下のナノチューブ、または金属除去処理により作製時の触媒金属微粒子を除去したナノチューブを電子源として用いた。
【効果】カーボンナノチューブの耐熱性を大幅に向上させることができた。結果として、自発光型平面表示装置の作製における熱処理プロセスによるカーボンナノチューブ電子源に対するダメージを低減することができた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノチューブを電子源として用いた自発光型平面表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーボンナノチューブ電子放出素子、およびそれを電子源として用いた自発光型平面表示装置が数多く報告されている。たとえば、4.5インチの自発光型平面表示装置を作製した例が、SID 99 Digestのpp.1134−1137に記載されている。従来の方法では、カーボンナノチューブに付着しているアモルファスカーボン等の不純物を除くために、熱処理による酸化が一般的に用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、熱処理による酸化では、アモルファスカーボン等の不純物をある程度取り除くことができるが、酸化作用が強力なためにカーボンナノチューブにも損傷を与える。また、カーボンナノチューブの耐熱性を低下させる金属微粒子を除去することもできない。結果として、熱処理によりカーボンナノチューブの耐熱性が低下することが一般に見られる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、カーボンナノチューブをマイルドな酸化方法で酸化してアモルファスカーボン成分を取り除くとともに、金属除去処理により作製時の触媒金属微粒子を除去した。この処理方法により、カーボンナノチューブの耐熱性を大幅に向上させることができた。結果として、自発光型平面表示装置の作製における熱処理プロセスによるカーボンナノチューブ電子源に対するダメージを低減することができた。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のポイントであるカーボンナノチューブの耐熱性向上について、図1および図2を用いて説明する。
触媒金属を用いた気相成長法で作製したシングルウォールカーボンナノチューブを例に、触媒金属除去処理の前後でカーボンナノチューブの耐熱性がどのように向上するかを図1を用いて説明する。図1(a)は金属除去処理前の、また図1(b)は金属除去処理後の加熱重量分析および示差熱分析の測定結果である。それぞれのグラフの横軸は試料温度を、縦軸左は重量を、縦軸右は熱フローを示している。金属除去処理前の図1(a)では約100℃から重量が増え始める。これは、熱フローのデータから発熱反応であり、従って触媒金属の酸化反応であると考えられる。さらに温度を上げると、約300℃でカーボンナノチューブの燃焼が始まり、約430℃で完全に燃焼が終了することがわかる。完全燃焼後に重量で約30%の残査が残る。これは触媒金属の酸化物である。
これに対して、触媒金属除去後の図1(b)では、約400℃でカーボンナノチューブの燃焼が始まり、約580℃で燃焼が完了する。このように、金属除去処理をカーボンナノチューブに施すことにより、完全燃焼温度で約150℃の向上を確認することができた。このことから、カーボンナノチューブに含まれている金属微粒子は、燃焼を加速する作用があり、これを取り除くことによりカーボンナノチューブの耐熱性が大幅に向上すると考えることができる。
次に、触媒金属微粒子の除去プロセスを導入したカーボンナノチューブによる電子源作製方法の概要について、図2を用いて説明する。カーボンナノチューブに含まれている金属微粒子は、主にカーボンナノチューブの表面に付着している。これらの金属微粒子は、表面にカーボン層を形成していることが多く、一般的な酸処理では除去することができない。そこで、まずカーボンナノチューブを10%過酸化水素水中に加え、70℃で3時間還流する。この酸化処理により、金属微粒子表面のカーボン層を除去するとともに、カーボンナノチューブ表面に付着したアモルファスカーボン等のカーボン系不純物を除去することができる。次に、カーボンナノチューブを濾過して乾燥させた後、2mol/lの塩酸溶液にカーボンナノチューブに加え、2時間撹拌した後、濾過して水で洗浄した後、さらに濾過して乾燥する。このように、過酸化水素によるマイルドな酸化処理の後、酸で処理することにより、大部分の金属微粒子を除去することができる。
このようにして、金属微粒子を除去したカーボンナノチューブに有機溶剤および金属の粒子を混ぜ合わせ、ペーストを作成し、印刷したのち焼成することにより、電子源を形成することができる。
あるいは、金属微粒子を除去したカーボンナノチューブに有機溶剤等を加えてインクを作成し、スピン塗布あるいはインクジェット塗布した後、熱処理することにより、電子源を形成することができる。
(第一の実施例)
次に、本発明の第1の実施例を図3、図4、図5、図6および図7を用いて説明する。
まず、図3を用いて、本発明の自発光平面表示装置の全体構成を説明する。本自発光平面表示装置は、電子源アレイを作製した電子源板301、電子源の位置に合わせて蛍光体ストライプあるいはドットを作製した蛍光表示板303、電子源板301と蛍光表示板303を一定間隔に保って固定するための枠ガラス302より構成される。また、図中には示さなかったが、画面サイズが大きくなると、枠ガラス内部にも電子源板301と蛍光表示板303を一定間隔に保つためのスペーサが必要となる。次に図4を用いて、電子源板の構造を説明する。横方向に複数本のカソード電極ストライプ401を、垂直方向に複数本のゲート電極ストライプ402を形成する。カソード電極ストライプ401とゲート電極ストライプ402は、絶縁膜を挿んで交差し、それぞれの交差点に電子源403を形成する。この電子源はゲート電極ストライプ403とその下の絶縁膜を貫いた穴の底部のカソード電極ストライプ401の表面に形成する。
【0006】
次に図5を用いて、蛍光表示板の構造を説明する。電子源の位置に合わせて、赤、緑、青の蛍光体ストライプを形成した構造になっている。まず、電子源の横方向のピッチに合わせて、電子源間の中央の位置にブラックマトリックスのストライプをリフトオフ法により作製する。次にスラリー法により赤501、緑502、青503の蛍光体ストライプによる繰り返しストライプパターンを形成する。各々の蛍光体ストライプが、両側のブラックストライプの中央に配置する。また、図には示さなかったが、蛍光体ストライプを作製した後、全面にアルミニウムを50nm蒸着し、アノード電極を形成した。
以上のようにして作製した、電子源板と蛍光表示板を枠ガラスを用いて一定間隔で対峙するように配置し、電子源と蛍光体ストライプの位置を合わせた後、内部を真空にして封止することにより、表示装置が完成する。封止の際に、電子源板と蛍光表示板を枠ガラスの接着にはフリットガラスを用いた。接着面にフリットガラスを印刷し、450℃に加熱することにより接着し、別途装置に取り付けた排気管から装置内部を排気して、排気間を封止キルことにより、封止を行った。
そして、アノード電極ストライプに走査信号を、ゲート電極ストライプに画像信号を印加し、さらに蛍光表示板のアノード電極に、カソード電極に対してプラスの加速電圧を印加することにより、均一に発光する画像を表示させることができた。
次に、電子源板上の詳細構造を、図6を用いて説明する。
図6(a)が、上面図であり、図6(b)がA−A’断面図、図6(c)がB−B’断面図である。まず、ガラス基板表面に、厚さが0.2−10umで、幅が300um、間隔が60umのカソード電極ストライプ601を600本形成する。次に、絶縁層605を形成する。絶縁層605の厚みは1−50umであり、カソード電極ストライプ601とゲート電極ストライプ602の交差部分に直径1−50umの電子源穴603があいた構造になっている。この絶縁層605を焼成後、その上に厚さが0.2−10umで、幅が90um、間隔が30umのゲート電極ストライプ602を2400本形成する。なお、ゲート電極ストライプ602も、カソード電極ストライプ601とゲート電極ストライプ602の交差部分に絶縁層605と同じ電子源穴603があいた構造になっている。
【0007】
このようにして作製した配線構造を用いて、カソード電極ストライプ601に走査信号を、ゲート電極ストライプ構造602に画像信号をインプットし、さらにカソード電極ストライプ601と図5の蛍光表示板に設けたアノード電極の間に、加速電圧を印加することにより、均一に発光する画像を表示させることができた。
次に、電子源作製プロセスの詳細を図7を用いて説明する。ガラス基板709上に、図7(1)に示すように、幅が300umで間隔が60umのカソード電極ストライプ701を600本形成する。カソード電極ストライプ701は、図2に示した方法で作製したペーストをスクリーン印刷することにより形成した。その厚みは1umである。次に、感光性誘電体ペーストを全面にスクリーン印刷した後、通常のフォトリソグラフィープロセスにより、電子源穴703を形成する。これを大気中で550℃で30分間の焼成を行うことにより、絶縁層705を形成する。図7(2)に示すように、絶縁層705の厚みは10umである。次に図7(3)に示すように、感光性銀ペースト702を全面にスクリーン印刷する。そして、通常のフォトリソグラフィー法により、図7(4)に示すようにゲート電極ストライプ702を形成し、大気中500℃で30分間の焼成を行った。ゲート電極ストライプ702は、幅が90um、間隔が30umであり、これを2400本形成した。またゲート電極ストライプの厚みは5umであり、絶縁層705と同じ部分に同じ大きさあるいは、やや大きめの穴構造を形成した。
なお、本実施例では、カソード電極ストライプ701およびゲート電極ストライプ702を特定の金属で形成したが、必要な電気伝導性を有するいかなる金属を用いることも可能である。また、合金や金属多層膜を用いることも可能である。
今回、電子源として用いたカーボンナノチューブに含まれる金属微粒子を除去して耐熱性が向上したため、電子源作製プロセスおよびパネル封止プロセスの熱処理に対して、カーボンナノチューブは損傷を受けることなく、装置作製後、カーボンナノチューブから、安定に電子放出を得ることができた。
(第二の実施例)
次に、本発明の第3の実施例を図8および図9を用いて説明する。本実施例では、電子源板上の構造が第2の実施例と異なる。まず、電子源板の構造を図8を用いて説明する。図8(a)が、上面図であり、図8(b)がA−A’断面図、図8(c)がB−B’断面図である。まず、ガラス基板表面に、厚さが0.2−10umで、幅が300um、間隔が60umのカソード電極ストライプ801を600本形成する。次に、絶縁層805を形成する。絶縁層805の厚みは1−50umであり、カソード電極ストライプ801とゲート電極ストライプ802の交差部分に直径1−50umの電子源穴803があいた構造になっている。この絶縁層805を焼成後、その上に厚さが0.2−10umで、幅が90um、間隔が30umのゲート電極ストライプ802を2400本形成する。なお、ゲート電極ストライプ802も、カソード電極ストライプ801とゲート電極ストライプ802の交差部分に絶縁層805と同じ電子源穴803があいた構造になっている。最後に、電子源層806を電子源穴803の底部に形成する。
【0008】
このようにして作製した配線構造を用いて、カソード電極ストライプ801に走査信号を、ゲート電極ストライプ構造802に画像信号をインプットし、さらにカソード電極ストライプ801と図5の蛍光表示板に設けたアノード電極の間に、加速電圧を印加することにより、均一に発光する画像を表示させることができた。
次に、電子源作製プロセスの詳細を図9を用いて説明する。ガラス基板909上に、図9(1)に示すように、幅が300umで間隔が60umのカソード電極ストライプ901を600本形成する。カソード電極ストライプ901の材質はAgで、その厚みは1umである。次に図9(3)に示すように、感光性銀ペースト902を全面にスクリーン印刷する。そして、通常のフォトリソグラフィー法により、図9(4)に示すようにゲート電極ストライプ902を形成し、大気中500℃で30分間の焼成を行った。ゲート電極ストライプ902は、幅が90um、間隔が30umであり、これを2400本形成した。またゲート電極ストライプの厚みは5umであり、絶縁層905と同じ部分に同じ大きさあるいは、やや大きめの穴構造を形成した。最後に、第一の実施例で示したナノチューブペーストをインクジェット法により、電子源穴903の底部に電子源層906を形成する。
なお、本実施例では、カソード電極ストライプ901およびゲート電極ストライプ902を特定の金属で形成したが、必要な電気伝導性を有するいかなる金属を用いることも可能である。また、合金や金属多層膜を用いることも可能である。
また、カーボンナノチューブをインクジェット法により、所望の位置に塗布する方法を用いたが、他のいかなる方法でカーボンナノチューブを電子源穴903の底部に配置することも可能である。
【0009】
今回、電子源として用いたカーボンナノチューブに含まれる金属微粒子を除去して耐熱性が向上したため、電子源作製プロセスおよびパネル封止プロセスの熱処理に対して、カーボンナノチューブは損傷を受けることなく、装置作製後、カーボンナノチューブから、安定に電子放出を得ることができた。
【0010】
【発明の効果】
本発明により、カーボンナノチューブの耐熱性を大幅に向上させることができた。結果として、自発光型平面表示装置の作製における熱処理プロセスによるカーボンナノチューブ電子源に対するダメージを低減することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボンナノチューブの耐熱性向上を示す加熱重量分析および示差熱分析の結果を示す図。
【図2】カーボンナノチューブ電子源の作製プロセスを示す図。
【図3】本発明の第1の実施例の説明図。
【図4】本発明の第1の実施例の説明図。
【図5】本発明の第1の実施例の説明図。
【図6】本発明の第1の実施例の説明図。
【図7】本発明の第1の実施例の説明図。
【図8】本発明の第2の実施例の説明図。
【図9】本発明の第2の実施例の説明図。
【符号の説明】
301…電子源板、302…枠ガラス、303…蛍光表示板、401…カソード電極ストライプ、402…ゲート電極ストライプ、403…電子源。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノチューブを電子源として用いた自発光型平面表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーボンナノチューブ電子放出素子、およびそれを電子源として用いた自発光型平面表示装置が数多く報告されている。たとえば、4.5インチの自発光型平面表示装置を作製した例が、SID 99 Digestのpp.1134−1137に記載されている。従来の方法では、カーボンナノチューブに付着しているアモルファスカーボン等の不純物を除くために、熱処理による酸化が一般的に用いられていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、熱処理による酸化では、アモルファスカーボン等の不純物をある程度取り除くことができるが、酸化作用が強力なためにカーボンナノチューブにも損傷を与える。また、カーボンナノチューブの耐熱性を低下させる金属微粒子を除去することもできない。結果として、熱処理によりカーボンナノチューブの耐熱性が低下することが一般に見られる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明では、カーボンナノチューブをマイルドな酸化方法で酸化してアモルファスカーボン成分を取り除くとともに、金属除去処理により作製時の触媒金属微粒子を除去した。この処理方法により、カーボンナノチューブの耐熱性を大幅に向上させることができた。結果として、自発光型平面表示装置の作製における熱処理プロセスによるカーボンナノチューブ電子源に対するダメージを低減することができた。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のポイントであるカーボンナノチューブの耐熱性向上について、図1および図2を用いて説明する。
触媒金属を用いた気相成長法で作製したシングルウォールカーボンナノチューブを例に、触媒金属除去処理の前後でカーボンナノチューブの耐熱性がどのように向上するかを図1を用いて説明する。図1(a)は金属除去処理前の、また図1(b)は金属除去処理後の加熱重量分析および示差熱分析の測定結果である。それぞれのグラフの横軸は試料温度を、縦軸左は重量を、縦軸右は熱フローを示している。金属除去処理前の図1(a)では約100℃から重量が増え始める。これは、熱フローのデータから発熱反応であり、従って触媒金属の酸化反応であると考えられる。さらに温度を上げると、約300℃でカーボンナノチューブの燃焼が始まり、約430℃で完全に燃焼が終了することがわかる。完全燃焼後に重量で約30%の残査が残る。これは触媒金属の酸化物である。
これに対して、触媒金属除去後の図1(b)では、約400℃でカーボンナノチューブの燃焼が始まり、約580℃で燃焼が完了する。このように、金属除去処理をカーボンナノチューブに施すことにより、完全燃焼温度で約150℃の向上を確認することができた。このことから、カーボンナノチューブに含まれている金属微粒子は、燃焼を加速する作用があり、これを取り除くことによりカーボンナノチューブの耐熱性が大幅に向上すると考えることができる。
次に、触媒金属微粒子の除去プロセスを導入したカーボンナノチューブによる電子源作製方法の概要について、図2を用いて説明する。カーボンナノチューブに含まれている金属微粒子は、主にカーボンナノチューブの表面に付着している。これらの金属微粒子は、表面にカーボン層を形成していることが多く、一般的な酸処理では除去することができない。そこで、まずカーボンナノチューブを10%過酸化水素水中に加え、70℃で3時間還流する。この酸化処理により、金属微粒子表面のカーボン層を除去するとともに、カーボンナノチューブ表面に付着したアモルファスカーボン等のカーボン系不純物を除去することができる。次に、カーボンナノチューブを濾過して乾燥させた後、2mol/lの塩酸溶液にカーボンナノチューブに加え、2時間撹拌した後、濾過して水で洗浄した後、さらに濾過して乾燥する。このように、過酸化水素によるマイルドな酸化処理の後、酸で処理することにより、大部分の金属微粒子を除去することができる。
このようにして、金属微粒子を除去したカーボンナノチューブに有機溶剤および金属の粒子を混ぜ合わせ、ペーストを作成し、印刷したのち焼成することにより、電子源を形成することができる。
あるいは、金属微粒子を除去したカーボンナノチューブに有機溶剤等を加えてインクを作成し、スピン塗布あるいはインクジェット塗布した後、熱処理することにより、電子源を形成することができる。
(第一の実施例)
次に、本発明の第1の実施例を図3、図4、図5、図6および図7を用いて説明する。
まず、図3を用いて、本発明の自発光平面表示装置の全体構成を説明する。本自発光平面表示装置は、電子源アレイを作製した電子源板301、電子源の位置に合わせて蛍光体ストライプあるいはドットを作製した蛍光表示板303、電子源板301と蛍光表示板303を一定間隔に保って固定するための枠ガラス302より構成される。また、図中には示さなかったが、画面サイズが大きくなると、枠ガラス内部にも電子源板301と蛍光表示板303を一定間隔に保つためのスペーサが必要となる。次に図4を用いて、電子源板の構造を説明する。横方向に複数本のカソード電極ストライプ401を、垂直方向に複数本のゲート電極ストライプ402を形成する。カソード電極ストライプ401とゲート電極ストライプ402は、絶縁膜を挿んで交差し、それぞれの交差点に電子源403を形成する。この電子源はゲート電極ストライプ403とその下の絶縁膜を貫いた穴の底部のカソード電極ストライプ401の表面に形成する。
【0006】
次に図5を用いて、蛍光表示板の構造を説明する。電子源の位置に合わせて、赤、緑、青の蛍光体ストライプを形成した構造になっている。まず、電子源の横方向のピッチに合わせて、電子源間の中央の位置にブラックマトリックスのストライプをリフトオフ法により作製する。次にスラリー法により赤501、緑502、青503の蛍光体ストライプによる繰り返しストライプパターンを形成する。各々の蛍光体ストライプが、両側のブラックストライプの中央に配置する。また、図には示さなかったが、蛍光体ストライプを作製した後、全面にアルミニウムを50nm蒸着し、アノード電極を形成した。
以上のようにして作製した、電子源板と蛍光表示板を枠ガラスを用いて一定間隔で対峙するように配置し、電子源と蛍光体ストライプの位置を合わせた後、内部を真空にして封止することにより、表示装置が完成する。封止の際に、電子源板と蛍光表示板を枠ガラスの接着にはフリットガラスを用いた。接着面にフリットガラスを印刷し、450℃に加熱することにより接着し、別途装置に取り付けた排気管から装置内部を排気して、排気間を封止キルことにより、封止を行った。
そして、アノード電極ストライプに走査信号を、ゲート電極ストライプに画像信号を印加し、さらに蛍光表示板のアノード電極に、カソード電極に対してプラスの加速電圧を印加することにより、均一に発光する画像を表示させることができた。
次に、電子源板上の詳細構造を、図6を用いて説明する。
図6(a)が、上面図であり、図6(b)がA−A’断面図、図6(c)がB−B’断面図である。まず、ガラス基板表面に、厚さが0.2−10umで、幅が300um、間隔が60umのカソード電極ストライプ601を600本形成する。次に、絶縁層605を形成する。絶縁層605の厚みは1−50umであり、カソード電極ストライプ601とゲート電極ストライプ602の交差部分に直径1−50umの電子源穴603があいた構造になっている。この絶縁層605を焼成後、その上に厚さが0.2−10umで、幅が90um、間隔が30umのゲート電極ストライプ602を2400本形成する。なお、ゲート電極ストライプ602も、カソード電極ストライプ601とゲート電極ストライプ602の交差部分に絶縁層605と同じ電子源穴603があいた構造になっている。
【0007】
このようにして作製した配線構造を用いて、カソード電極ストライプ601に走査信号を、ゲート電極ストライプ構造602に画像信号をインプットし、さらにカソード電極ストライプ601と図5の蛍光表示板に設けたアノード電極の間に、加速電圧を印加することにより、均一に発光する画像を表示させることができた。
次に、電子源作製プロセスの詳細を図7を用いて説明する。ガラス基板709上に、図7(1)に示すように、幅が300umで間隔が60umのカソード電極ストライプ701を600本形成する。カソード電極ストライプ701は、図2に示した方法で作製したペーストをスクリーン印刷することにより形成した。その厚みは1umである。次に、感光性誘電体ペーストを全面にスクリーン印刷した後、通常のフォトリソグラフィープロセスにより、電子源穴703を形成する。これを大気中で550℃で30分間の焼成を行うことにより、絶縁層705を形成する。図7(2)に示すように、絶縁層705の厚みは10umである。次に図7(3)に示すように、感光性銀ペースト702を全面にスクリーン印刷する。そして、通常のフォトリソグラフィー法により、図7(4)に示すようにゲート電極ストライプ702を形成し、大気中500℃で30分間の焼成を行った。ゲート電極ストライプ702は、幅が90um、間隔が30umであり、これを2400本形成した。またゲート電極ストライプの厚みは5umであり、絶縁層705と同じ部分に同じ大きさあるいは、やや大きめの穴構造を形成した。
なお、本実施例では、カソード電極ストライプ701およびゲート電極ストライプ702を特定の金属で形成したが、必要な電気伝導性を有するいかなる金属を用いることも可能である。また、合金や金属多層膜を用いることも可能である。
今回、電子源として用いたカーボンナノチューブに含まれる金属微粒子を除去して耐熱性が向上したため、電子源作製プロセスおよびパネル封止プロセスの熱処理に対して、カーボンナノチューブは損傷を受けることなく、装置作製後、カーボンナノチューブから、安定に電子放出を得ることができた。
(第二の実施例)
次に、本発明の第3の実施例を図8および図9を用いて説明する。本実施例では、電子源板上の構造が第2の実施例と異なる。まず、電子源板の構造を図8を用いて説明する。図8(a)が、上面図であり、図8(b)がA−A’断面図、図8(c)がB−B’断面図である。まず、ガラス基板表面に、厚さが0.2−10umで、幅が300um、間隔が60umのカソード電極ストライプ801を600本形成する。次に、絶縁層805を形成する。絶縁層805の厚みは1−50umであり、カソード電極ストライプ801とゲート電極ストライプ802の交差部分に直径1−50umの電子源穴803があいた構造になっている。この絶縁層805を焼成後、その上に厚さが0.2−10umで、幅が90um、間隔が30umのゲート電極ストライプ802を2400本形成する。なお、ゲート電極ストライプ802も、カソード電極ストライプ801とゲート電極ストライプ802の交差部分に絶縁層805と同じ電子源穴803があいた構造になっている。最後に、電子源層806を電子源穴803の底部に形成する。
【0008】
このようにして作製した配線構造を用いて、カソード電極ストライプ801に走査信号を、ゲート電極ストライプ構造802に画像信号をインプットし、さらにカソード電極ストライプ801と図5の蛍光表示板に設けたアノード電極の間に、加速電圧を印加することにより、均一に発光する画像を表示させることができた。
次に、電子源作製プロセスの詳細を図9を用いて説明する。ガラス基板909上に、図9(1)に示すように、幅が300umで間隔が60umのカソード電極ストライプ901を600本形成する。カソード電極ストライプ901の材質はAgで、その厚みは1umである。次に図9(3)に示すように、感光性銀ペースト902を全面にスクリーン印刷する。そして、通常のフォトリソグラフィー法により、図9(4)に示すようにゲート電極ストライプ902を形成し、大気中500℃で30分間の焼成を行った。ゲート電極ストライプ902は、幅が90um、間隔が30umであり、これを2400本形成した。またゲート電極ストライプの厚みは5umであり、絶縁層905と同じ部分に同じ大きさあるいは、やや大きめの穴構造を形成した。最後に、第一の実施例で示したナノチューブペーストをインクジェット法により、電子源穴903の底部に電子源層906を形成する。
なお、本実施例では、カソード電極ストライプ901およびゲート電極ストライプ902を特定の金属で形成したが、必要な電気伝導性を有するいかなる金属を用いることも可能である。また、合金や金属多層膜を用いることも可能である。
また、カーボンナノチューブをインクジェット法により、所望の位置に塗布する方法を用いたが、他のいかなる方法でカーボンナノチューブを電子源穴903の底部に配置することも可能である。
【0009】
今回、電子源として用いたカーボンナノチューブに含まれる金属微粒子を除去して耐熱性が向上したため、電子源作製プロセスおよびパネル封止プロセスの熱処理に対して、カーボンナノチューブは損傷を受けることなく、装置作製後、カーボンナノチューブから、安定に電子放出を得ることができた。
【0010】
【発明の効果】
本発明により、カーボンナノチューブの耐熱性を大幅に向上させることができた。結果として、自発光型平面表示装置の作製における熱処理プロセスによるカーボンナノチューブ電子源に対するダメージを低減することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】カーボンナノチューブの耐熱性向上を示す加熱重量分析および示差熱分析の結果を示す図。
【図2】カーボンナノチューブ電子源の作製プロセスを示す図。
【図3】本発明の第1の実施例の説明図。
【図4】本発明の第1の実施例の説明図。
【図5】本発明の第1の実施例の説明図。
【図6】本発明の第1の実施例の説明図。
【図7】本発明の第1の実施例の説明図。
【図8】本発明の第2の実施例の説明図。
【図9】本発明の第2の実施例の説明図。
【符号の説明】
301…電子源板、302…枠ガラス、303…蛍光表示板、401…カソード電極ストライプ、402…ゲート電極ストライプ、403…電子源。
Claims (4)
- 表面に付着した金属微粒子が全重量の5%以下のナノチューブを電子源として用いたことを特徴とする自発光型平面表示装置。
- 前記ナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載の自発光型平面表示装置。
- 金属除去処理により作製時の触媒金属微粒子を除去したナノチューブを電子源として用いたことを特徴とする自発光型平面表示装置。
- 前記ナノチューブが、シングルウォールカーボンナノチューブであることを特徴とする請求項3記載の自発光型平面表示装置。
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---|---|---|---|
JP2002195360A JP2004039461A (ja) | 2002-07-04 | 2002-07-04 | 自発光型平面表示装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005314226A (ja) * | 2004-04-29 | 2005-11-10 | Samsung Sdi Co Ltd | カーボンナノチューブ、これを含んだ電子放出源及びこれを備えた電子放出素子 |
JP2006143574A (ja) * | 2004-11-15 | 2006-06-08 | Samsung Sdi Co Ltd | カーボンナノチューブ,カーボンナノチューブを含む電子放出源,電子放出源を備える電子放出素子,および電子放出素子の製造方法。 |
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2002
- 2002-07-04 JP JP2002195360A patent/JP2004039461A/ja active Pending
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