JP2004039026A - 光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディスクの偏心を補正して、スレッドアクチュエータを使用したトラックジャンプを安定且つ高精度で行うことができる光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法を提供する。
【解決手段】光ディスク装置100は、光ピックアップ光学部203から照射される光ビームが追従しているトラックから、目標のトラックへ光ビームを移動するトラックジャンプをシステムマイコン211により制御さるトラキングアクチュエータ205又はスレッドアクチュエータ206により行う。システムマイコン211は、光ディスク201を回転するスピンドルモータ202の回転角と光ディスク201の偏心量との関係を求めるディスク偏心量算出手段と、この偏心量を記憶する記憶手段と、光ディスク201上の現在のアドレスと目標のアドレスとの間の移動距離を偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出手段とを有し、これに基づきスレッドアクチュエータ206の移動を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ディスク装置100は、光ピックアップ光学部203から照射される光ビームが追従しているトラックから、目標のトラックへ光ビームを移動するトラックジャンプをシステムマイコン211により制御さるトラキングアクチュエータ205又はスレッドアクチュエータ206により行う。システムマイコン211は、光ディスク201を回転するスピンドルモータ202の回転角と光ディスク201の偏心量との関係を求めるディスク偏心量算出手段と、この偏心量を記憶する記憶手段と、光ディスク201上の現在のアドレスと目標のアドレスとの間の移動距離を偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出手段とを有し、これに基づきスレッドアクチュエータ206の移動を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法に関し、特に、スレッドアクチュエータを使用してトラックジャンプをする際の光ディスクの偏心を考慮した光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置においては、光学的情報記録媒体であるディスク上の同心円状あるいは渦巻状に配列された記録トラックに対し、光ピックアップから照射される光ビームが、常に目標のトラックを追従するように、光ピックアップの対物レンズをトラックに対して垂直方向に移動するトラッキングアクチュエータが用いられている。なお、本明細書においては、光ディスク装置は光磁気ディスク装置を含むものとする。
【0003】
そして、追従しているトラックから目的トラックへの光ビームの移動、すなわちトラックジャンプは、上記トラッキングアクチュエータを駆動する場合と、光ピックアップ全体をディスク半径方向に駆動するスレッドアクチュエータによって行われる場合とがある。
【0004】
具体的なトラックジャンプシーケンスは、まず現在アドレス及び目標アドレスからディスク半径位置をマイクロコンピュータにより計算し、その差を移動距離として算出する。更に、それをトラックジャンプ数に換算する。トラックジャンプ数の換算後に、このジャンプ数に応じてトラッキングアクチュエータ又はスレッドアクチュエータのいずれを駆動するかが決定される。即ち、移動距離が小さくジャンプ数が少ない場合はトラッキングアクチュエータを駆動し、移動距離が大きくジャンプ数が多い場合は、スレッドアクチュエータを駆動する。
【0005】
トラッキングアクチュエータを駆動する場合には、トラックを横切ることで発生するトラバース信号をモニタし、その横切った回数と目標トラックジャンプ数とが一致すると、トラックジャンプが完了する。
【0006】
スレッドアクチュエータを駆動する場合には、トラッキングアクチュエータと同様に、トラバース信号をモニタしてトラックを横切った回数と目標トラックジャンプ数とが一致するまでトラバース信号をカウントしてトラックジャンプを完了する場合と、別に設定された位置センサ等を利用して移動距離をモニタし、目標移動距離に達するとトラックジャンプが完了する場合とがある。
【0007】
しかしながら、トラックジャンプ時には、ディスクをドライブ装置に固定するときに発生する機械的ずれ及びディスクそのものが有する中心ずれによって発生するディスクの偏心成分が、正確な動作に影響を与えることがある。
【0008】
特にスレッドアクチュエータを使った場合では、従来はディスク上の移動距離及びトラックジャンプ数のみを算出し、偏心成分を考慮せずにトラックジャンプを行っていたため、到達位置(目標位置)に対する誤差が大きくなり、トラックジャンプの精度が悪化するという問題点があった。
【0009】
そこで、従来、偏心、面ぶれがある状態において、オフトラックやデフォーカスを起こすことなく、トラックジャンプ及びフォーカスジャンプができる光ディスク装置が特開2000−20967号公報に開示されている(以下、従来例という。)。
【0010】
従来例に記載の光ディスク装置は、光ディスクにデータを記録又は光ディスクに記録されたデータを読み取る光学的検出手段と、この光学的検出手段と光ディスクとの位置関係を検出する位置検出手段と、位置検出手段によって得られるディスクの回転に依存した位置情報を記憶する記憶手段(ディスク回転周波数成分記憶回路)と、光学的検出手段を移動するジャンプ信号を作るジャンプ信号発生手段と、記憶手段の記憶情報とジャンプ信号とから駆動信号を算出する演算手段と、駆動信号に応じて光学検出手段を移動する移動手段(アクチュエータ)とから構成されている。
【0011】
光学的検出手段は、レーザ光を発生する光源と、レーザ光を反射してディスクに照射するハーフミラーと、その反射光を受けて位置検出手段に送る対物レンズとを有し、位置検出手段は、反射光の情報から光ディスクと対物レンズとの位置関係を示す情報を取り出し、エラー信号として制御回路に出力する。通常動作時には、制御回路は、エラー信号からアクチュエータのドライバを制御する信号を生成し、これを受け取ったドライバはこれを駆動信号としてアクチュエータへ供給する。この駆動信号に従って対物レンズが移動する。
【0012】
また、ディスク回転周波数成分記憶回路により、光ディスクの回転角と偏心、面ぶれ成分とを対応させて記憶し、ジャンプ時には、光ディスクの回転角に従ってディスク回転周波数成分記憶回路から記憶情報を取り出し、この情報をジャンプ信号に加算し、この信号により、アクチュエータを駆動する。このように、ディスクの回転に依存する偏心、面ぶれ成分を記憶することにより、偏心、面ぶれ成分を考慮したジャップを行うことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の光ディスク装置は、トラックジャンプ及びフォーカスジャンプを駆動するアクチュエータへ入力する制御信号を補正するものであり、この制御信号の大きさにより、アクチュエータの加速又は減速を制御するが、このように、アクチュエータの制御信号を制御する方法では、トラックジャンプの間、常に記憶情報を読み出し、ジャンプ信号と加算する演算処理が必要となり、処理が複雑であるという問題点がある。
【0014】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ディスクの偏心を補正して、スレッドアクチュエータを使用したトラックジャンプを安定且つ高精度で行うことができる光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る光ディスク装置は、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置において、上記ディスクを回転する回転手段と、光ビームを使用して、上記ディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光検出手段と、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出手段と、上記ディスク偏心量算出手段により算出された上記偏心量を記憶する記憶手段と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出手段と、上記トラックジャンプの際に上記光検出手段を移動する移動手段と、上記補正移動距離に基づき上記移動手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、ディスクをドライブ装置に固定するときに発生する機械的ずれやディスクそのものが有する中心ずれによって発生するディスクの偏心量を求め、このディスク偏心量からトラックジャンプする移動距離を補正するため、ディスクに偏心があっても極めて正確にトラックジャンプすることができる。
【0017】
また、上記回転手段は、上記ディスクの回転角に対応するパルスを発生するパルス発生手段を有し、上記ディスク偏心量算出手段は、上記パルスが供給され上記ディスクの回転角に対応する上記偏心量を算出することができ、これにより、ディスクの回転角に対応して正確な偏心量を求めることができる。
【0018】
更に、上記制御手段は、上記ディスクの上記補正移動距離を上記パルス発生手段にて発生する上記パルスの数に換算し、換算されたパルス数のパルスが発生する間上記光検出手段を移動するよう上記移動手段を制御することができ、これにより、補正移動距離を回転に応じて発生するパルスの数に換算して移動するため、ディスクの回転速度に因らず正確に目的の位置にトラックジャンプすることができる。
【0019】
更にまた、上記補正移動距離算出手段は、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量を使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出するか、上記第1の偏心量と、上記移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量とを使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出するか、又は、上記第1の偏心量を使用して上記移動距離から第1の補正移動距離を算出し、該第1の移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量を使用して上記1の補正移動距離から第2の補正移動距離を算出することができる。
【0020】
本発明に係る光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法は、光ビームを使用してディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光学検出手段により、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法において、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出工程と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出工程と、上記トラックジャンプの際に上記補正移動距離に基づき上記光検出手段を移動する移動工程とを有することを特徴とする。
【0021】
本発明においては、光ディスク装置において、トラックジャンプする際に、予め偏心量を算出し、この偏心量からトラックジャンプの移動距離を補正して光検出手段を移動するよう制御するため、トラックジャンプの精度を向上することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、スレッドアクチュエータを使ったトラックジャンプ動作を行う場合、ディスク回転用モータの回転角に応じたディスクの偏心量で移動距離を補正した後、トラックジャンプを行う光ディスク装置に適用したものである。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置を示すブロック図である。図1に示すように、光ディスク装置200においては、光ディスク201の下面には光ディスク201を回転させるための回転手段であるスピンドルモータ(ディスク回転用モータ)202が取り付けられている。スピンドルモータ202は、光ディスク201に駆動力を与えるときのモータの動作に従ってFG(Frequency Generator)パルスを発生させる。FGパルスは、例えばスピンドルモータ202が3相モータからなる場合、相の切換のためのタイミング信号により生成される。このFGパルス信号はシステムマイコン211に供給される。そして、このFGパルス信号入力を外部トリガとする割り込み処理をシステムマイコン211に用意する。すなわちシステムマイコン211では、FGパルスが発生するタイミングで割り込み処理を行う。以下、この処理をFG割り込み処理という。
【0024】
この割り込み処理により、光ディスク201が1回転する間のFGパルス信号のパルス数を計測して、FGパルス数と光ディスク201の回転角との関係を求めることができる。また、システムマイコン211は、後述するトラッキングエラー信号からディスク偏心量を算出したりする偏心量算出手段(図示せず)を有し、FGパルス信号が入力する度に、ディスク偏心量と光ディスク201の回転角との関係を求める等することができる。
【0025】
更に、システムマイコン211は、これらの処理により求められたデータを記憶するメモリ(記憶手段)211aを有する。また、システムマイコン211は、後述するトラッキングジャンプの際の移動距離を、メモリ211aに記憶された偏心量を使用して補正する補正移動距離算出手段(図示せず)を有する。
【0026】
また、光ディスク201の下面側には、光ディスク201に対してレーザを照射する光ピックアップ光学部203が配置され、この光ピックアップ光学部203の後段には、光ディスク201からの反射光を検出し光電変換を行う光検出手段である光検出部204が配置されている。この光検出部204で検出された信号は、更に後段に配置されたトラッキングエラーアンプ207に供給され、トラッキングエラーアンプ207は、トラックカウント回路208に接続されている。トラッキングエラーアンプ207は、トラックカウント回路208にトラッキングエラー(TE)信号を供給し、トラックカウント回路208は、供給されたトラッキングエラー信号から光ビームのスポットが光ディスク201上のトラックを横断する数を計数する。トラックカウント回路208は、システムマイコン211に接続され、トラッキングエラー信号から計数したトラック数カウント値をシステムマイコン211に供給する。
【0027】
システムマイコン211は、アクチュエータドライバ(アクチュエータ駆動回路)209及びスレッドドライバ210に接続されており、更に、アクチュエータドライバ209及びスレッドドライバ210は、夫々トラキングアクチュエータ205及びスレッドアクチュエータ(スレッドモータ)206に接続されている。これら移動手段であるアクチュエータにより、光ピックアップ光学部203から照射される光ビームが追従しているトラックから、目的のトラックへ光ビームを移動するトラックジャンプが行われる。トラッキングアクチュエータ205がアクチュエータドライバ209により駆動された場合は、光ピックアップの対物レンズ203aをトラックに対して垂直方向に移動する。また、スレッドアクチュエータ206がスレッドドライバ210により駆動された場合は、光ピックアップ光学部203全体をディスクの半径方向に移動する。
【0028】
このトラックジャンプ動作において、システムマイコン211は、現在アドレス、及びトラックジャンプ先の目標アドレスから、現在のディスク半径位置及び目標のディスク半径位置を計算し、その差を移動距離として算出する。更に、この移動距離をトラックジャンプ数に換算し、このトラックジャンプ数に応じてトラッキングアクチュエータ205、又はスレッドアクチュエータ206のどちらを駆動するかを決定する。トラックジャンプ数が所定の数より大きい場合は、スレッドアクチュエータ206を駆動し、小さい場合は、トラッキングアクチュエータ205を駆動する。システムマイコン211は、トラッキングアクチュエータ205を駆動する場合は、アクチュエータドライバ209に対し駆動信号を出力し、スレッドアクチュエータ206を駆動する場合は、スレッドドライバ210に対して駆動信号を出力する。
【0029】
この光ピックアップ光学部203のディスク半径方向の移動手段であるスレッドアクチュエータ206としては、例えば、スレッドアクチュエータ206が3相モータからなる場合、送りねじを用いたモータ回転運動を直動運動に変換する機構とすることができる。また、上記スピンドルモータ202の説明でも述べたように3相モータは回転に応じてFGパルスを発生し、その発生回数はモータの回転回数に比例する。従って、スレッドアクチュエータ206のFGパルス信号をシステムマイコン211に入力し、その発生回数をカウントすることでモータが何回転したかを換算し、その結果と送りねじ機構の回転/直動との変換比から光ピックアップ光学部203が半径方向にどれだけ移動したか計測することができる。
【0030】
言い換えれば、目標移動距離から目標FGルス発生回数を換算し、駆動信号を出力しながら上記方法、即ちシステムマイコン211へ入力するFGパルスをカウントし、目標FGパルス回数に到達したらスレッドアクチュエータ206の移動を停止するという方法でスレッドアクチュエータ206の位置制御を行うことができる。
【0031】
次に、以上のように構成された本実施の形態の光ディスク装置における偏心補正を行うトラックジャンプ動作について説明する。
【0032】
偏心補正を行うトラックジャンプ動作では、スピンドルモータ202により光ディスク201を回転し、光ディスク201に対してフォーカスサーボがかかっている状態であることが必要である。ディスク回転制御及びフォーカスサーボ制御の説明は、本発明とは無関係であるため割愛し、光ディスク201の回転が起動し、フォーカスサーボがかかっている状態から説明を行う。
【0033】
最初にスピンドルモータ202の回転角と偏心量との関係を計測(偏心量サンプリング処理)する。以下、この計測、即ち偏心量サンプリング処理によって求められる偏心量を偏心量サンプルともいう。偏心量サンプルの計測は光ディスク201が回転起動する度に行う必要はなく、スピンドルモータ202の回転角と偏心量との関係が所望の精度で計測できるよう必要な回数だけ行えば良い。
【0034】
図2は、偏心量サンプリング処理を開始する方法を示すフローチャートである。図2に示すように、先ず、スピンドルモータ202を起動し(ステップS101)、次に、フォーカスサーボを起動する(ステップS102)。このように、光ディスク201に対してフォーカスサーボが作用している状態で、偏心量サンプリング処理を開始する偏心量サンプリング開始処理フラグをたてる(ステップS103)。
【0035】
フォーカスサーボがかかっている状態で光ディスク201が回転すると、トラッキングエラー信号がトラバース信号として検出されるが、これはトラッキングサーボがまだ作用していない状態である。従って、フォーカスサーボが作用している状態で、偏心量サンプリング処理を開始することにより、光ディスク201の偏心によりレーザビームがトラックを横切る状態をそのまま検出することができる。
【0036】
つまり、この時のトラバース量をカウント、すなわち横切っているトラック数をトラックカウント回路208により検出し、さらにそのトラック数に光ディスク201のトラックピッチ量を乗ずることにより、ディスク偏心量が計算できる。
【0037】
また、光ディスク201が1回転する間にスピンドルモータ202により発生されるFGパルスの発生回数は、ディスク回転数によらず必ず一定であるため、光ディスク201の回転中のFGパルスをシステムマイコン211のFG割り込み処理にてカウントすることで、そのパルスカウント値と光ディスク201の回転角と対応させることができる。
【0038】
図3は、スピンドルモータ202からのFGパルスにより行われる割り込み処理の方法を示すフローチャートである。図3に示すように、偏心量サンプリング処理開始フラグが立っているか否かが検出され(ステップS111)、偏心量サンプリング処理開始フラグが立っていれば、スピンドルモータ202が1回転したか否かが判定される(ステップS112)。スピンドルモータ202が1回転していない場合は、トラックカウント数から偏心量を算出し(ステップS113)、このときのモータ(ディスク)回転角と偏心量とをデータテーブルに保存し(ステップS114)、再びステップS112に戻り、処理を繰り返す。一方、ステップS112でスピンドルモータ202が既に1回転したと判定した場合は、偏心量サンプリング開始フラグをオフにして処理を終了する。
【0039】
こうして、FG割り込み処理において、上記ディスク偏心量を計算することで上記パルスカウント値、すなわち光ディスク201の回転角と偏心量との関係が算出でき、算出した関係はデータテーブルとしてシステムマイコン211のメモリ211aに保持される。本実施の形態においては、スピンドルモータ202からのFGパルスが供給される毎に光ディスク201の回転角及び偏心量を算出し、これらを対応付けて記憶するものとしたが、例えば、光ディスク201が1回転した場合の偏心量を求め、回転角と偏心量との関係を近似して示すような適当な関数に当てはめることにより、任意の回転角に対応する偏心量を求めてもよい。
【0040】
次に偏心補正を行うトラックジャンプ動作について説明する。現在追従しているトラックから目的トラックへのトラックジャンプを行う場合、距離に応じてトラッキングアクチュエータ205を駆動する場合と、スレッドアクチュエータ206を駆動する場合とがあるが、以下、本発明のスレッドアクチュエータ206の制御方法について詳細に説明する。図4は、トラックジャンプ処理の方法を示すフローチャートである。
【0041】
図4に示すように、先ず、現在アドレス、及び目標アドレスからディスク半径位置をシステムマイコン211により計算し、その差を移動距離Lとして算出する(ステップS121)。そして、この移動距離Lが、スレッドアクチュエータ206を使用してトラックジャンプをする最小の距離であるSLED_MOVE判別閾値以上であるか否かを判定する(ステップS122)。ここで、SLED_MOVE判別閾値未満である場合、スレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプではなく、トラッキングアクチュエータ205によるトラックジャンプ処理が行われる(ステップS129)。移動距離LがSLED_MOVE判別閾値以上である場合は、FG割り込み処理にて現在のパルスカウント値を参照し、現在の回転角での偏心量σ1を上記データテーブルを参照して算出する(ステップS123)。そしてこの偏心量σ1を上記移動距離に加算、あるいは減算した偏心補正後の移動距離L1を算出する(ステップS124)。この値が目標移動距離L1となる。
【0042】
次に、スレッドアクチュエータ206の移動速度から、偏心補正後の移動距離(第1の補正移動距離)L1だけジャンプ(移動)する際に要する移動時間T1を算出する(ステップS125)。そして、移動時間T1後のスピンドルモータ202の回転角での偏心量σ2を上記データテーブルを参照して算出する(ステップS126)。そして、偏心量σ1で補正した移動距離L1を偏心量σ2で再び補正し(ステップS127)、補正移動距離(第2の補正移動距離)L2を算出する。即ち、現在のアドレスに対応する回転角での偏心量σ1と、トラックジャンプする目標のアドレスに対応する回転角での偏心量σ2とを使用して、移動距離Lから補正移動量L2を算出する。この偏心量σ2で補正した補正移動距離L2だけ、スレッドアクチュエータ206を使用してトラックジャンプする(ステップS128)。なお、本実施の形態においては、現在のアドレスに対応する回転角での偏心量σ1から補正移動距離L1を算出し、これにより、目標のアドレスに対応する回転角を予測し、偏心量σ1を求めるものとしたが、ステップS21にて算出した移動距離Lから目標のアドレスに対応する回転角を予測し、この回転角での偏心量と、偏心量σ1とを使用して補正移動距離L2を算出してもよい。
【0043】
次に、スレッドアクチュエータ206による補正移動距離L2をトラックジャンプする方法について説明する。図5に示すように、補正移動距離L2からスレッドアクチュエータ206の目標FGパルス発生回数を換算する(ステップS131)。そして、スレッドドライバ210に対して駆動信号(SLED_MOVE開始フラグ)を出力し(ステップS132)、スレッドアクチュエータ206を駆動する。その時、スレッドアクチュエータ206のFGパルス信号をシステムマイコン211に入力し、その回数をカウントする。カウント値が目標FGパルス発生回数に達したら、駆動を停止してスレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプ動作が完了する。即ち、図6に示すように、スレッドアクチュエータ206を駆動するSLED_MOVE開始フラグが立つと(S141)、システムマイコン211によりスレッドアクチュエータ206から入力するFGパルスがカウントされ、目標FGパルス数に到達したか否かを検出する(ステップS142)。そして、目標FGパルス数に到達した場合、SLED_MOVE開始フラグをオフにし(ステップS143)、処理を終了する。
【0044】
以上のように、移動距離を偏心量に基づいて補正した上でスレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプを実行することにより、トラックジャンプの精度を向上させることができる。なお、補正移動距離の算出過程において、移動前の偏心量σ1のみを考慮して補正を行ってもよい。
【0045】
また、本実施の形態においては、スレッドアクチュエータ206からのFGパルス数をカウントして移動距離を制御するものとしたが、光ディスク201における位置を検出する位置センサを設け、この位置センサ等を利用して移動距離をモニタし、目標移動距離に達した場合にトラックジャンプを完了するようにしてもよい。
【0046】
本実施の形態においては、スレッドアクチュエータ206を使用してトラックジャンプする際、予め光ディスク201を回転するスピンドルモータ202からのFGパルスを使用して、光ディスク201の回転角に対応する偏心量を求めておき、この偏心量からトラックジャンプする移動距離を補正するため、極めて正確に目標となる位置へトラックジャンプすることができる。更に、スレッドアクチュエータ206の移動速度から目標位置までの移動時間T1を計算し、この移動時間T1の間のスピンドルモータ202の回転回数を求め、目標位置に到達したときのスピンドルモータ202(光ディスク201)の回転角から移動後の偏心量σ2を算出することにより、移動前後の偏心量σ1,σ2を使用して、即ち、移動前後の回転角における偏心量を使用して移動距離Lを補正移動距離に補正できるので、スレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプの精度が極めて高いものとなる。
【0047】
また、本実施の形態においては、本発明を光ディスク装置に適用したものとして説明したが、光磁気ディスクの記録再生を行う光磁気ディスク装置においても、同様の方法で偏心量を算出し、トラックジャンプする移動距離を補正することができる。
【0048】
例えば、本発明を適用した光磁気ディスク装置による記録・再生を行うことができる光磁気ディスクの具体例として、いわゆるミニディスクMD(登録商標)がある。以下、このミニディスク及びそのディスクドライブ装置について詳細に説明する。ここでは、特に、通常用いられる記録形式とは異なる形式を適用することによって、既存の光磁気ディスクと同じ記録媒体を用いて、その記録容量を増加することを実現したディスクを「次世代MD1」とし、高密度記録可能な新規記録媒体に対して新規記録形式を適用することにより、記録容量の増加を実現したディスクを「次世代MD2」と称して、従来のミニディスクと、次世代MD1及び次世代MD2とを比較して説明する。
【0049】
ここで、MDのより具体的な説明に先立ち、これらの各フォーマットの光磁気ディスク、すなわち、既存のMD、次世代MD1、及び次世代MD2について説明する。
【0050】
1.ディスク仕様及びエリア構造
まず、既存のミニディスクMD(登録商標)の仕様について図7を用いて説明する。ミニディスク(オーディオMD及びMD−DATA)の物理フォーマットは、以下のように定められている。トラックピッチは、1.6μm、ビット長は、0.59μm/bitとなる。また、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45としている。記録方式としては、グルーブ(ディスク盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるグルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式は、ディスク盤面上にシングルスパイラルのグルーブを形成し、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブル(Wobble)を形成したウォブルドグルーブを利用する方式を採っている。なお、本明細書では、ウォブルとして記録される絶対アドレスをADIP(Address in Pregroove)ともいう。
【0051】
従来のミニディスクでは、記録データの変調方式としてEFM(8−14変換)変調方式が採用されている。また、誤り訂正方式としては、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed−Solomon Code)を用いている。また、データインターリーブには、畳み込み型を採用している。これにより、データの冗長度は、46.3%となっている。
【0052】
また、従来のミニディスクにおけるデータの検出方式は、ビットバイビット方式であって、ディスク駆動方式としては、CLV(Constant Linear Verocity)が採用されている。CLVの線速度は、1.2m/sである。
【0053】
記録再生時の標準のデータレートは、133kB/s、記録容量は、164MB(MD−DATAでは、140MB)である。また、データの最小書換単位(クラスタ)は、32個のメインセクタと4個のリンクセクタによる36セクタで構成されている。
【0054】
続いて、本具体例として示す次世代MD1に関して説明する。次世代MD1は、上述した従来のミニディスクと記録媒体の物理的仕様は、同一である。そのため、トラックピッチは、1.6μm、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45である。記録方式としては、グルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式は、ADIPを利用する。このように、ディスクドライブ装置における光学系の構成やADIPアドレス読出方式、サーボ処理は、従来のミニディスクと同様であるため、従来ディスクとの互換性が達成されている。
【0055】
次世代MD1は、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。
【0056】
具体的には、ホストアプリケーション等から供給されるユーザデータの2048バイトに4バイトのEDC(Error Detection Code)を付加した2052バイトを1セクタ(データセクタ、後述するディスク上の物理セクタとは異なる)とし、図8に示すように、Sector0〜Sector31の32セクタを304列×216行のブロックにまとめる。ここで、各セクタの2052バイトに対しては、所定の疑似乱数との排他的論理和(Ex−OR)をとるようなスクランブル処理が施される。このスクランブル処理されたブロックの各列に対して32バイトのパリティを付加して、304列×248行のLDC(Long Distance Code)ブロックを構成する。このLDCブロックにインターリーブ処理を施して、152列×496行のブロック(Interleaved LDC Block)とし、これを図9に示すように38列ずつ1列の上記BISを介して配列することで155列×496行の構造とし、さらに先頭位置に2.5バイト分のフレーム同期コード(Frame Sync)を付加して、1行を1フレームに対応させ、157.5バイト×496フレームの構造とする。この図9の各行が、後述する図15に示す1レコーディングブロック(クラスタ)内のデータ領域のFrame10〜Frame505の496フレームに相当する。
【0057】
以上のデータ構造において、データインターリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。また、データの検出方式として、PR(1,2,1)MLによるビタビ復号方式を用いる。
【0058】
ディスク駆動方式には、CLV方式を用い、その線速度は、2.4m/sとする。記録再生時の標準データレートは、4.4MB/sである。この方式を採用することにより、総記録容量を300MBにすることができる。変調方式をEFMからRLL(1−7)PP変調方式とすることによって、ウインドウマージンが0.5から0.666となるため、1.33倍の高密度化が実現できる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成される。このように記録変調方式をCIRC方式からBIS付きのRS−LDC方式及びセクタ構造の差異とビタビ復号を用いる方式にすることで、データ効率が53.7%から79.5%となるため、1.48倍の高密度化が実現できる。
【0059】
これらを総合すると、次世代MD1は、記録容量を従来ミニディスクの約2倍である300MBにすることができる。
【0060】
一方、次世代MD2は、例えば、磁壁移動検出方式(DWDD:Domain Wall Displacement Detection)等の高密度化記録技術を適用した記録媒体であって、上述した従来ミニディスク及び次世代MD1とは、物理フォーマットが異なっている。次世代MD2は、トラックピッチが1.25μm、ビット長が0.16μm/bitであり、線方向に高密度化されている。
【0061】
また、従来ミニディスク及び次世代MD1との互換を採るため、光学系、読出方式、サーボ処理等は、従来の規格に準じて、レーザ波長λは、λ=780nm、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45とする。記録方式は、グルーブ記録方式、アドレス方式は、ADIPを利用した方式とする。また、筐体外形も従来ミニディスク及び次世代MD1と同一規格とする。
【0062】
但し、従来ミニディスク及び次世代MD1と同等の光学系を用いて、上述のように従来より狭いトラックピッチ及び線密度(ビット長)を読み取る際には、デトラックマージン、ランド及びグルーブからのクロストーク、ウォブルのクロストーク、フォーカス漏れ、CT信号等における制約条件を解消する必要がある。そのため、次世代MD2では、グルーブの溝深さ、傾斜、幅等を変更した点が特徴的である。具体的には、グルーブの溝深さを160nm〜180nm、傾斜を60°〜70°、幅を600nm〜800nmの範囲と定める。
【0063】
また、次世代MD2は、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。
【0064】
データインターリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。またデータの検出方式は、PR(1,−1)MLによるビタビ復号方式を用いる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成されている。
【0065】
ディスク駆動方式には、ZCAV方式を用い、その線速度は、2.0m/sとする。記録再生時の標準データレートは、9.8MB/sである。したがって、次世代MD2では、DWDD方式及びこの駆動方式を採用することにより、総記録容量を1GBにできる。
【0066】
本具体例に示す次世代MD1の盤面上のエリア構造例を図10に模式的に示す。次世代MD1は、従来ミニディスクと同じ媒体であって、ディスクの最内周側は、プリマスタードエリアとして、PTOC(Premasterd Table Of Contents)が設けられている。ここには、ディスク管理情報が物理的な構造変形によるエンボスピットとして記録されている。
【0067】
プリマスタードエリアより外周は、光磁気記録可能なレコーダブルエリアとされ、記録トラックの案内溝としてのグルーブが形成された記録再生可能領域である。このレコーダブルエリアの最内周側は、UTOC(User Table Of Contents)領域であって、このUTOC領域には、UTOC情報が記述されるとともに、プリマスタードエリアとの緩衝エリアや、レーザ光の出力パワー調整等のために用いられるパワーキャリブレーションエリアが設けられている。
【0068】
次世代MD2は、図11に示すように、高密度化を図るためにプリピットを用いないが、次世代MD2のPTOC相当情報は、グルーブのウォブルにより書き込むことが考慮されている。例えば、次世代MD2には、レコーダブルエリアのさらに内周領域に、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報、他の非公開情報等を記録するユニークIDエリア(Unique ID;UID)が設けられている。このUIDエリアは、次世代MD2に適用されるDWDD方式とは異なる記録方式で記録されている。
【0069】
なお、ここでは、次世代MD1及び次世代MD2に音楽データ用のオーディオトラックとデータトラックとをディスク上に混在記録することもできる。この場合、例えば、図12に示すように、データエリアに少なくとも1つのオーディオトラックが記録されたオーディオ記録領域AAと、少なくとも1つのデータトラックが記録されたPC用データ記録領域DAとがそれぞれ任意の位置に形成されることになる。
【0070】
一連のオーディオトラックやデータトラックは、ディスク上で必ずしも物理的に連続して記録される必要はなく、図12に示すように複数のパーツに分割して記録されていてもよい。パーツとは、物理的に連続して記録される区間を示す。すなわち、図12のように物理的に離れた2つのPCデータ記録領域が存在する場合でも、データトラックの数としては、1つの場合もあり、複数の場合もある。但し、図12は、次世代MD1の物理的仕様に関して示したものであるが、次世代MD2に関しても同様に、オーディオ記録領域AAとPC用データ記録領域DAとを混在して記録することができる。
【0071】
上述した物理的仕様を有する次世代MD1と次世代MD2との互換性を有した記録再生装置の具体例に関しては、後段で詳細に説明する。
【0072】
2.ディスクの管理構造
図13及び図14に基づいて、本具体例のディスクの管理構造を説明する。図13は、次世代MD1のデータ管理構造を示したものであり、図14は、次世代MD2のデータ管理構造を示したものである。
【0073】
次世代MD1では、上述したように、従来のミニディスクと同一の媒体であるため、次世代MD1では、従来ミニディスクで採用されているように書換不可能なエンボスピットによりPTOCが記録されている。このPTOCには、ディスクの総容量、UTOC領域におけるUTOC位置、パワーキャリブレーションエリアの位置、データエリアの開始位置、データエリアの終了位置(リードアウト位置)等が管理情報として記録されている。
【0074】
次世代MD1では、ADIPアドレス0000〜0002には、レーザの書込出力を調整するためのパワーキャリブレーションエリア(Rec Power Calibration Area)が設けられている。続く0003〜0005には、UTOCが記録される。UTOCには、トラック(オーディオトラック/データトラック)の記録・消去等に応じて書き換えられる管理情報が含まれ、各トラック及びトラックを構成するパーツの開始位置、終了位置等を管理している。また、データエリアにおいて未だトラックが記録されていないフリーエリア、すなわち書込可能領域のパーツも管理している。UTOC上では、PC用データ全体をMDオーディオデータによらない1つのトラックとして管理している。そのため、仮にオーディオトラックとデータトラックとを混在記録したとしても、複数のパーツに分割されたPC用データの記録位置を管理できる。
【0075】
また、UTOCデータは、このUTOC領域における特定のADIPクラスタに記録され、UTOCデータは、このADIPクラスタ内のセクタ毎に、その内容が定義されている。具体的には、UTOCセクタ0(このADIPクラスタ内の先頭のADIPセクタ)は、トラックやフリーエリアにあたるパーツを管理しており、UTOCセクタ1及びセクタ4は、トラックに対応した文字情報を管理している。また、UTOCセクタ2には、トラックに対応した記録日時を管理する情報が書き込まれる。
【0076】
UTOCセクタ0は、記録されたデータや記録可能な未記録領域、さらにデータの管理情報等が記録されているデータ領域である。例えば、ディスクにデータを記録する際、ディスクドライブ装置は、UTOCセクタ0からディスク上の未記録領域を探し出し、ここにデータを記録する。また、再生時には、再生すべきデータトラックが記録されているエリアをUTOCセクタ0から判別し、そのエリアにアクセスして再生動作を行う。
【0077】
なお、次世代MD1では、PTOC及びUTOCは、従来のミニディスクシステムに準拠する方式、ここではEFM変調方式により変調されたデータとして記録されている。したがって、次世代MD1は、EFM変調方式により変調されたデータとして記録された領域と、RS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データとして記録された領域とを有することになる。
【0078】
また、ADIPアドレス0032に記述されるアラートトラックには、従来ミニディスクのディスクドライバ装置に次世代MD1を挿入したとしても、この媒体が従来ミニディスクのディスクドライバ装置に対応していないことを知らせるための情報が格納されている。この情報は、「このディスクは、この再生装置に対応していないフォーマットです。」等の音声データ、或いは警告音データとしてもよい。また、表示部を備えるディスクドライバ装置であれば、この旨を表示するためのデータであってもよい。このアラートトラックは、従来ミニディスクに対応したディスクドライバ装置でも読取可能なように、EFM変調方式によって記録されている。
【0079】
ADIPアドレス0034には、次世代MD1のディスク情報を表したディスクディスクリプションテーブル(Disc Discription Table;DDT)が記録される。DDTには、フォーマット形式、ディスク内論理クラスタの総数、媒体固有のID、このDDTの更新情報、不良クラスタ情報等が記述される。
【0080】
DDT領域からは、RS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データとして記録されるため、アラートトラックとDDTとの間には、ガードバンド領域が設けられている。
【0081】
また、RLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データが記録される最も若いADIPアドレス、すなわち、DDTの先頭アドレスには、ここを0000とする論理クラスタ番号(Logical Cluster Number;LCN)が付される。1論理クラスタは、65,536バイトであり、この論理クラスタが読み書き最小単位となる。なお、ADIPアドレス0006〜0031は、リザーブされている。
【0082】
続くADIPアドレス0036〜0038には、認証によって公開可能となるセキュアエリア(Secure Area)が設けられている。このセキュアエリアによって、データを構成する各クラスタの公開可・不可等の属性を管理している。特に、このセキュアエリアでは、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報等を記録する。また、このほかの各種の非公開情報を記録することができる。この公開不可領域は、特別に許可された特定外部機器のみが限定的にアクセスできるようになっており、このアクセス可能な外部機器を認証する情報も含まれる。
【0083】
ADIPアドレス0038からは、書込及び読取自由なユーザエリア(User Area)(任意データ長)とスペアエリア(Spare Area)(データ長8)とが記述される。ユーザエリアに記録されたデータは、LCNの昇順に並べたとき、先頭から2,048バイトを1単位としたユーザセクタ(User Sector)に区切られており、PC等の外部機器からは、先頭のユーザセクタを0000とするユーザセクタ番号(User Sector Number;USN)を付してFATファイルシステムにより管理されている。
【0084】
続いて、次世代MD2のデータ管理構造について図14を用いて説明する。次世代MD2は、PTOCエリアを持たない。そのため、ディスクの総容量、パワーキャリブレーションエリアの位置、データエリアの開始位置、データエリアの終了位置(リードアウト位置)等のディスク管理情報は、PDPT(PreFormat Disc Parameter Table)として全てADIP情報に含まれて記録されている。データは、BIS付きのRS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調され、DWDD方式で記録されている。
【0085】
また、リードインエリア及びリードアウトエリアには、レーザパワーキャリブレーションエリア(Power Cariburation Area;PCA)が設けられる。次世代MD2では、PCAに続くADIPアドレスを0000としてLCNを付ける。
【0086】
また、次世代MD2では、次世代MD1におけるUTOC領域に相当するコントロール領域が用意されている。図14には、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報、他の非公開情報等を記録するユニークIDエリア(Unique ID;UID)が示されているが、実際には、このUIDエリアは、リードイン領域のさらに内周位置に、通常のDWDD方式とは異なる記録方式で記録されている。
【0087】
次世代MD1及び次世代MD2のファイルは、ともにFATファイルシステムに基づいて管理される。例えば、各データトラックは、それぞれ独自にFATファイルシステムを持つ。或いは、複数のデータトラックにわたって1つのFATファイルシステムを記録するようにもできる。
【0088】
3.ADIPセクタ/クラスタ構造とデータブロック
続いて、本発明の具体例として示す次世代MD1及び次世代MD2のADIPセクタ構造とデータブロックとの関係について図15を用いて説明する。従来のミニディスク(MD)システムでは、ADIPとして記録された物理アドレスに対応したクラスタ/セクタ構造が用いられている。本具体例では、説明の便宜上、ADIPアドレスに基づいたクラスタを「ADIPクラスタ」と記す。また、次世代MD1及び次世代MD2におけるアドレスに基づくクラスタを「レコーディングブロック(Recording Block)」あるいは「次世代MDクラスタ」と記す。
【0089】
次世代MD1及び次世代MD2では、データトラックは、図15に示すようにアドレスの最小単位であるクラスタの連続によって記録されたデータストリームとして扱われ、1レコーディングブロック(1次世代MDクラスタ)は、図15に示すように16セクタあるいは1/2ADIPクラスタにより構成されている。
【0090】
図15に示す1レコーディングブロック(1次世代MDクラスタ)のデータ構造としては、10フレームのプリアンブルと、6フレームのポストアンブルと、496フレームのデータ部とからなる512フレームから構成されている。さらにこのレコーディングブロック内の1フレームは、同期信号領域と、データ、BIS、DSVとからなる。
【0091】
また、1レコーディングブロックの512フレームのうち、有意のデータが記録される496フレームを16等分した各31フレームをアドレスユニット(Address Unit)とよぶ。また、このアドレスユニットの番号をアドレスユニットナンバ(Address Unit Number;AUN)とよぶ。このAUNは、全てのアドレスユニットに付される番号であって、記録信号のアドレス管理に使用される。
【0092】
次世代MD1のように、ADIPに記述された物理的なクラスタ/セクタ構造を有する従来ミニディスクに対して、1−7PP変調方式で変調された高密度データを記録する場合、ディスクに元々記録されたADIPアドレスと、実際に記録するデータブロックのアドレスとが一致しなくなるという問題が生じる。ランダムアクセスは、ADIPアドレスを基準として行われるが、ランダムアクセスでは、データを読み出す際、所望のデータが記録された位置近傍にアクセスしても、記録されたデータを読み出せるが、データを書き込む際には、既に記録されているデータを上書き消去しないように正確な位置にアクセスする必要がある。そのため、ADIPアドレスに対応付けした次世代MDクラスタ/次世代MDセクタからアクセス位置を正確に把握することが重要となる。
【0093】
そこで、次世代MD1の場合、媒体表面上にウォブルとして記録されたADIPアドレスを所定規則で変換して得られるデータ単位によって高密度データクラスタを把握する。この場合、ADIPセクタの整数倍が高密度データクラスタになるようにする。この考え方に基づいて、従来ミニディスクに記録された1ADIPクラスタに対して次世代MDクラスタを記述する際には、各次世代MDクラスタを1/2ADIPクラスタ区間に対応させる。
【0094】
したがって、次世代MD1では、従来のMDクラスタの1/2クラスタが最小記録単位(レコーディングブロック(Recording Block))として対応付けされている。
【0095】
一方、次世代MD2では、1クラスタが1レコーディングブロックとして扱われるようになっている。
【0096】
なお、本具体例では、前述したように、ホストアプリケーションから供給される2048バイト単位のデータブロックを1論理データセクタ(Logical Data Sector;LDS)とし、このとき同一レコーディングブロック中に記録される32個の論理データセクタの集合を論理データクラスタ(Logical Data Cluster;LDC)としている。
【0097】
以上説明したようなデータ構造とすることにより、次世代MDデータを任意位置へ記録する際、媒体に対してタイミングよく記録できる。また、ADIPアドレス単位であるADIPクラスタ内に整数個の次世代MDクラスタが含まれるようにすることによって、ADIPクラスタアドレスから次世代MDデータクラスタアドレスへのアドレス変換規則が単純化され、換算のための回路又はソフトウェア構成が簡略化できる。
【0098】
なお、図15では、1つのADIPクラスタに2つの次世代MDクラスタを対応付ける例を示したが、1つのADIPクラスタに3以上の次世代MDクラスタを配することもできる。このとき、1つの次世代MDクラスタは、16ADIPセクタから構成される点に限定されず、EFM変調方式とRLL(1−7)PP変調方式におけるデータ記録密度の差や次世代MDクラスタを構成するセクタ数、また1セクタのサイズ等に応じて設定することができる。
【0099】
続いて、ADIPのデータ構造に関して説明する。図16の(a)には、次世代MD2のADIPのデータ構造が示され、図16の(b)には、次世代MD1のADIPのデータ構造が示されている。
【0100】
次世代MD1では、同期信号と、ディスクにおけるクラスタ番号等を示すクラスタH(Cluster H)情報及びクラスタL(Cluster L)情報と、クラスタ内におけるセクタ番号等を含むセクタ情報(Secter)とが記述されている。同期信号は、4ビットで記述され、クラスタHは、アドレス情報の上位8ビットで記述され、クラスタLは、アドレス情報の下位8ビットで記述され、セクタ情報は、4ビットで記述される。また、後半の14ビットには、CRCが付加されている。以上、42ビットのADIP信号が各ADIPセクタに記録されている。
【0101】
また、次世代MD2では、4ビットの同期信号データと、4ビットのクラスタH(Cluster H)情報、8ビットのクラスタM(Cluster M)情報及び4びっとのクラスタL(Cluster L)情報と、4ビットのセクタ情報とが記述される。後半の18ビットには、BCHのパリティが付加される。次世代MD2でも同様に42ビットのADIP信号が各ADIPセクタに記録されている。
【0102】
ADIPのデータ構造では、上述したクラスタH(Cluster H)情報、クラスタM(Cluster M)及びクラスタL(Cluster L)情報の構成は、任意に決定できる。また、ここに他の付加情報を記述することもできる。例えば、図17に示すように、次世代MD2のADIP信号において、クラスタ情報を上位8ビットのクラスタH(Cluster H)と下位8ビットのクラスタL(Cluster L)とで表すようにし、下位8ビットで表されるクラスタLに替えて、ディスクコントロール情報を記述することもできる。ディスクコントロール情報としては、サーボ信号補正値、再生レーザパワー上限値、再生レーザパワー線速補正係数、記録レーザパワー上限値、記録レーザパワー線速補正係数、記録磁気感度、磁気−レーザパルス位相差、パリティ等があげられる。
【0103】
4.ディスクドライブ装置
図18及び図19を用いて、次世代MD1及び次世代MD2の記録再生に対応したディスクドライブ装置10の具体例について説明する。ここでは、ディスクドライブ装置10は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記す。)100と接続でき、次世代MD1及び次世代MD2をオーディオデータのほか、PC等の外部ストレージとして使用できる。
【0104】
ディスクドライブ装置10は、メディアドライブ部11と、メモリ転送コントローラ12と、クラスタバッファメモリ13と、補助メモリ14と、USBインターフェイス15,16と、USBハブ17と、システムコントローラ18と、オーディオ処理部19とを備える。
【0105】
メディアドライブ部11は、装填された従来ミニディスク、次世代MD1、及び次世代MD2等の個々のディスク90に対する記録/再生を行う。メディアドライブ部11の内部構成は、図19で後述する。
【0106】
メモリ転送コントローラ12は、メディアドライブ部11からの再生データやメディアドライブ部11に供給する記録データの送受制御を行う。クラスタバッファメモリ13は、メディアドライブ部11によってディスク90のデータトラックから高密度データクラスタ単位で読み出されたデータをメモリ転送コントローラ12の制御に基づいてバッファリングする。補助メモリ14は、メディアドライブ部11によってディスク90から読み出されたUTOCデータ、CATデータ、ユニークID、ハッシュ値等の各種管理情報や特殊情報をメモリ転送コントローラ12の制御に基づいて記憶する。
【0107】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16、USBハブ17を介して接続されたPC(パーソナルコンピュータ)70との間で通信可能とされ、このPC70との間の通信制御を行って、書込要求、読出要求等のコマンドの受信やステイタス情報、その他の必要情報の送信等を行うとともに、ディスクドライブ装置10全体を統括制御している。
【0108】
システムコントローラ18は、例えば、ディスク90がメディアドライブ部11に装填された際に、ディスク90からの管理情報等の読出をメディアドライブ部11に指示し、メモリ転送コントローラ12によって読み出されたPTOC、UTOC等の管理情報等を補助メモリ14に格納させる。
【0109】
システムコントローラ18は、これらの管理情報を読み込むことによって、ディスク90のトラック記録状態を把握できる。また、CATを読み込ませることにより、データトラック内の高密度データクラスタ構造を把握でき、PC70からのデータトラックに対するアクセス要求に対応できる状態となる。
【0110】
また、ユニークIDやハッシュ値により、ディスク認証処理及びその他の処理を実行したり、これらの値をPC70に送信し、PC70上でディスク認証処理及びその他の処理を実行させる。
【0111】
システムコントローラ18は、PC70から、あるFATセクタの読出要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行する旨の信号を与える。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
【0112】
このとき、システムコントローラ18は、クラスタバッファメモリ13に書き込まれている高密度データクラスタのデータから、要求されたFATセクタのデータを読み出す信号を与え、USBインターフェイス15,USBハブ17を介して、PC70に送信するための制御を行う。
【0113】
また、システムコントローラ18は、PC70から、あるFATセクタの書込要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行させる。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にこのFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合は、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
【0114】
また、システムコントローラ18は、PC70から送信されたFATセクタのデータ(記録データ)をUSBインターフェイス15を介してメモリ転送コントローラ12に供給し、クラスタバッファメモリ13上で該当するFATセクタのデータの書き換えを実行させる。
【0115】
また、システムコントローラ18は、メモリ転送コントローラ12に指示して、必要なFATセクタが書き換えられた状態でクラスタバッファメモリ13に記憶されている高密度データクラスタのデータを記録データとしてメディアドライブ部11に転送させる。このとき、メディアドライブ部11は、装着されている媒体が従来ミニディスクであればEFM変調方式で、次世代MD1又は次世代MD2であればRLL(1−7)PP変調方式で高密度データクラスタの記録データを変調して書き込む。
【0116】
なお、本具体例として示すディスクドライブ装置10において、上述した記録再生制御は、データトラックを記録再生する際の制御であり、MDオーディオデータ(オーディオトラック)を記録再生する際のデータ転送は、オーディオ処理部19を介して行われる。
【0117】
オーディオ処理部19は、入力系として、例えば、ライン入力回路/マイクロフォン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器、及びデジタルオーディオデータ入力部を備える。また、オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮エンコーダ/デコーダ、圧縮データのバッファメモリを備える。さらに、オーディオ処理部19は、出力系として、デジタルオーディオデータ出力部、D/A変換器及びライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備えている。
【0118】
ディスク90に対してオーディオトラックが記録されるのは、オーディオ処理部19にデジタルオーディオデータ(又は、アナログ音声信号)が入力される場合である。入力されたリニアPCMデジタルオーディオデータ、或いはアナログ音声信号で入力された後、A/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、ATRAC圧縮エンコードされ、バッファメモリに蓄積される。その後、所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でバッファメモリから読み出され、メディアドライブ部11に転送される。
【0119】
メディアドライブ部11では、転送された圧縮データをEFM変調方式又はRLL(1−7)PP変調方式で変調してディスク90にオーディオトラックとして書き込む。
【0120】
メディアドライブ部11は、ディスク90からオーディオトラックを再生する場合、再生データをATRAC圧縮データ状態に復調してオーディオ処理部19に転送する。オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、デジタルオーディオデータ出力部から出力する。或いは、D/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
【0121】
なお、この図18に示す構成は、一例であって、例えば、ディスクドライブ装置10をPC70に接続してデータトラックのみ記録再生する外部ストレージ機器として使用する場合は、オーディオ処理部19は、不要である。一方、オーディオ信号を記録再生することを主たる目的とする場合、オーディオ処理部19を備え、さらにユーザインターフェイスとして操作部や表示部を備えることが好適である。また、PC70との接続は、USBに限らず、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.:アメリカ電気・電子技術者協会)の定める規格に準拠した、いわゆるIEEE1394インターフェイスのほか、汎用の接続インターフェイスが適用できる。
【0122】
続いて、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するためのメディアドライブ部11の構成を図19を用いて、さらに詳細に説明する。
【0123】
メディアドライブ部11は、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するために、特に、記録処理系として、従来ミニディスクの記録のためのEFM変調・ACIRCエンコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の記録のためのRLL(1−7)PP変調・RS−LDCエンコードを実行する構成とを備える点が特徴的である。また、再生処理系として、従来ミニディスクの再生のためのEFM復調・ACIRCデコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の再生にPR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調・RS−LDCデコードを実行する構成を備えている点が特徴的である。
【0124】
メディアドライブ部11は、装填されたディスク90をスピンドルモータ21によってCLV方式又はZCAV方式にて回転駆動する。記録再生時には、このディスク90に対して、光学ヘッド22からレーザ光が照射される。
【0125】
光学ヘッド22は、記録時に記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には、磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド22は、レーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系及び反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド22に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向及びディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
【0126】
また、本具体例では、媒体表面の物理的仕様が異なる従来ミニディスク及び次世代MD1と、次世代MD2とに対して最大限の再生特性を得るために、両ディスクに対してデータ読取り時のビットエラーレートを最適化できる位相補償板を、光学ヘッド22の読取光光路中に設ける。
【0127】
ディスク90を挟んで光学ヘッド22と対向する位置には、磁気ヘッド23が配置されている。磁気ヘッド23は、記録データによって変調された磁界をディスク90に印加する。また、図示しないが光学ヘッド22全体及び磁気ヘッド23をディスク半径方向に移動させためのスレッドモータ及びスレッド機構が備えられている。
【0128】
このメディアドライブ部11では、光学ヘッド22、磁気ヘッド23による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ21によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。記録処理系としては、従来ミニディスクに対する記録時にEFM変調、ACIRCエンコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2に対する記録時にRLL(1−7)PP変調、RS−LDCエンコードを行う部位とが設けられる。
【0129】
また、再生処理系としては、従来ミニディスクの再生時にEFM変調に対応する復調及びACIRCデコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2の再生時にRLL(1−7)PP変調に対応する復調(PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調)、RS−LDCデコードを行う部位とが設けられる。
【0130】
光学ヘッド22のディスク90に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ24に供給される。RFアンプ24では、入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク90にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
【0131】
従来ミニディスクの再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、コンパレータ25、PLL回路26を介して、EFM復調部27及びACIRCデコーダ28で処理される。再生RF信号は、EFM復調部27で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、さらにACIRCデコーダ28で誤り訂正及びデインターリーブ処理される。オーディオデータであれば、この時点でATRAC圧縮データの状態となる。このとき、セレクタ29は、従来ミニディスク信号側が選択されており、復調されたATRAC圧縮データがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。この場合、図18のオーディオ処理部19に圧縮データが供給される。
【0132】
一方、次世代MD1又は次世代MD2の再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、A/D変換回路31、イコライザ32、PLL回路33、PRML回路34を介して、RLL(1−7)PP復調部35及びRS−LDCデコーダ36で信号処理される。再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部35において、PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得て、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。さらに、RS−LDCデコーダ36にて誤り訂正及びデインターリーブ処理される。
【0133】
この場合、セレクタ29は、次世代MD1・次世代MD2側が選択され、復調されたデータがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。このとき、図18のメモリ転送コントローラ12に対して復調データが供給される。
【0134】
RFアンプ24から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEは、サーボ回路37に供給され、グルーブ情報は、ADIPデコータ38に供給される。
【0135】
ADIPデコータ38は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIPアドレスを抽出する。抽出された、ディスク上の絶対アドレス情報であるADIPアドレスは、従来ミニディスク及び次世代MD1の場合であれば、MDアドレスデコーダ39を介し、次世代MD2の場合であれば、次世代MD2アドレスデコーダ40を介してシステムコントローラ41に供給される。
【0136】
システムコントローラ41では、各ADIPアドレスに基づいて、所定の制御処理を実行する。またグルーブ情報は、スピンドルサーボ制御のためにサーボ回路37に戻される。
【0137】
サーボ回路37は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVサーボ制御及びZCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
【0138】
またサーボ回路37は、スピンドルエラー信号や、上記のようにRFアンプ24から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、或いはシステムコントローラ41からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ42に対して出力する。すなわち、上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
【0139】
モータドライバ42では、サーボ回路37から供給されたサーボ制御信号に基づいて所定のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、2軸機構を駆動する2軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ21を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、ディスク90に対するフォーカス制御、トラッキング制御、及びスピンドルモータ21に対するCLV制御又はZCAV制御が行われる。
【0140】
ディスク90に対して記録動作が実行される際には、図18に示したメモリ転送コントローラ12から高密度データ、或いはオーディオ処理部19からの通常のATRAC圧縮データが供給される。
【0141】
従来ミニディスクに対する記録時には、セレクタ43が従来ミニディスク側に接続され、ACIRCエンコーダ44及びEFM変調部45が機能する。この場合、オーディオ信号であれば、オーディオ処理部19からの圧縮データは、ACIRCエンコーダ44でインターリーブ及びエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部45においてEFM変調される。EFM変調データがセレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことで変調されたデータが記録される。
【0142】
次世代MD1及び次世代MD1に対する記録時には、セレクタ43が次世代MD1・次世代MD2側に接続され、RS−LCDエンコーダ47及びRLL(1−7)PP変調部48が機能する。この場合、メモリ転送コントローラ12から送られた高密度データは、RS−LCDエンコーダ47でインターリーブ及びRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部48にてRLL(1−7)変調される。
【0143】
RLL(1−7)符号列に変調された記録データは、セレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータが記録される。
【0144】
レーザドライバ/APC49は、上記のような再生時及び記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。具体的には、図示しないが、光学ヘッド22内には、レーザパワーモニタ用のディテクタが設けられており、このモニタ信号がレーザドライバ/APC49にフィードバックされるようになっている。レーザドライバ/APC49は、モニタ信号として得られた現在のレーザパワーを予め設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることによって、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが設定値で安定化されるように制御している。ここで、レーザパワーは、システムコントローラ41によって、再生レーザパワー及び記録レーザパワーとしての値がレーザドライバ/APC49内部のレジスタにセットされる。
【0145】
システムコントローラ41は、システムコントローラ18からの指示に基づいて、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように各構成を制御する。なお、図19において一点鎖線で囲った各部は、1チップの回路として構成することもできる。
【0146】
ところで、ディスク90が図12のように、予めデータトラック記録領域とオーディオトラック記録領域とが分割して領域設定されている場合、システムコントローラ18は、記録再生するデータがオーディオトラックかデータトラックかに応じて、設定された記録領域に基づいたアクセスをメディアドライブ部11のシステムコントローラ41に指示することになる。
【0147】
また、装着されたディスク90に対して、PC用のデータ又はオーディオデータの何れか一方のみを記録許可し、これ以外のデータの記録を禁止する制御を行うようにもできる。すなわち、PC用のデータとオーディオデータとを混在しないように制御することもできる。
【0148】
したがって、本具体例として示すディスクドライブ装置10は、上述した構成を備えることにより、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2の間の互換性を実現できると共に、上述の実施の形態の如く、システムコントローラ41にて、ディスク90の偏心量を算出して記憶し、更に、ADIPデコータ38により抽出される現在アドレスでの偏心量及びトラックジャンプする予測される目標アドレスでの偏心量から、トラックジャンプ距離を補正した補正移動距離を算出し、サーボ回路37及びモータドライバ42により、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号をスレッドーモータの移動距離が補正移動距離となるように制御することにより、極めて精度が高いトラックジャンプを行うことができる。
【0149】
5.データトラックのセクタ再生処理
以下、上述したディスクドライブ装置10によって、次世代MD1及び次世代MD2に対する再生処理、記録処理について説明する。データ領域に対するアクセスでは、例えば、外部のPC70からディスクドライブ装置10のシステムコントローラ18に対して、USBインターフェイス16を経由して「論理セクタ(以下、FATセクタと記す。)」単位で記録又は再生する指示が与えられる。データクラスタは、図13に示したように、PC70からみれば、2048バイト単位に区切られてUSNの昇順にFATファイルシステムに基づいて管理されている。一方、ディスク90におけるデータトラックの最小書換単位は、それぞれ65,536バイトの大きさを有した次世代MDクラスタであり、この次世代MDクラスにタは、LCNが与えられている。
【0150】
FATにより参照されるデータセクタのサイズは、次世代MDクラスタよりも小さい。そのため、ディスクドライブ装置10では、FATにより参照されるユーザセクタを物理的なADIPアドレスに変換するとともに、FATにより参照されるデータセクタ単位での読み書きをクラスタバッファメモリ13を用いて、次世代MDクラスタ単位での読み書きに変換する必要がある。
【0151】
図20に、PC70からあるFATセクタの読出要求があった場合のディスクドライブ装置10におけるシステムコントローラ18における処理を示す。
【0152】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16を経由してPC70からのFATセクタ#nの読出命令を受信すると、指定されたFATセクタ番号#nのFATセクタが含まれる次世代MDクラスタ番号を求める処理を行う。
【0153】
まず、仮の次世代MDクラスタ番号u0を決定する。次世代MDクラスタの大きさは、65536バイトであり、FATセクタの大きさは、2048バイトであるため、1次世代MDクラスタのなかには、FATセクタは、32個存在する。したがって、FATセクタ番号(n)を32で整数除算(余りは、切り捨て)したもの(u0)が仮の次世代MDクラスタ番号となる。
【0154】
続いて、ディスク90から補助メモリ14に読み込んであるディスク情報を参照して、データ記録用以外の次世代MDクラスタ数uxを求める。すなわち、セキュアエリアの次世代MDクラスタ数である。
【0155】
上述したように、データトラック内の次世代MDクラスタのなかには、データ記録再生可能なエリアとして公開しないクラスタもある。そのため、予め補助メモリ14に読み込んでおいたディスク情報に基づいて、非公開のクラスタ数uxを求める。その後、非公開のクラスタ数uxを次世代MDクラスタ番号u0に加え、その加算結果uを実際の次世代MDクラスタ番号#uとする。
【0156】
FATセクタ番号#nを含む次世代MDクラスタ番号#uが求められると、システムコントローラ18は、クラスタ番号#uの次世代MDクラスタが既にディスク90から読み出されてクラスタバッファメモリ13に格納されているか否かを判別する。もし格納されていなければ、ディスク90からこれを読み出す。
【0157】
システムコントローラ18は、読み出した次世代MDクラスタ番号#uからADIPアドレス#aを求めることでディスク90から次世代MDクラスタを読み出している。
【0158】
次世代MDクラスタは、ディスク90上で複数のパーツに分かれて記録されることもある。したがって、実際に記録されるADIPアドレスを求めるためには、これらのパーツを順次検索する必要がある。そこでまず、補助メモリ14に読み出してあるディスク情報からデータトラックの先頭パーツに記録されている次世代MDクラスタ数pと先頭の次世代MDクラスタ番号pxとを求める。
【0159】
各パーツには、ADIPアドレスによってスタートアドレス/エンドアドレスが記録されているため、ADIPクラスタアドレス及びパーツ長から、次世代MDクラスタ数pと先頭の次世代MDクラスタ番号pxとを求めることができる。続いて、このパーツに、目的となっているクラスタ番号#uの次世代MDクラスタが含まれているか否かを判別する。含まれていなければ、次のパーツに移る。すなわち、注目していたパーツのリンク情報によって示されるパーツである。以上により、ディスク情報に記述されたパーツを順に検索していき、目的の次世代MDクラスタが含まれているパーツを判別する。
【0160】
目標の次世代MDクラスタ(#u)が記録されたパーツが発見されたら、このパーツの先頭に記録される次世代MDクラスタ番号pxと、目標の次世代MDクラスタ番号#uの差を求めることで、そのパーツ先頭から目標の次世代MDクラスタ(#u)までのオフセットを得る。
【0161】
この場合、1ADIPクラスタには、2つの次世代MDクラスタが書き込まれるため、このオフセットを2で割ることによって、オフセットをADIPアドレスオフセットfに変換することができる(f=(u−px)/2)。
【0162】
但し、0.5の端数が出た場合は、クラスタfの中央部から書き込むこととする。最後に、このパーツの先頭ADIPアドレス、すなわちパーツのスタートアドレスにおけるクラスタアドレス部分にオフセットfを加えることで、次世代MDクラスタ(#u)を実際に書き込む記録先のADIPアドレス#aを求めることができる。
【0163】
以上が、図20のステップS1において再生開始アドレス及びクラスタ長を設定する処理にあたる。なお、ここでは、従来ミニディスクか、次世代MD1か次世代MD2かの媒体の判別は、別の手法により、既に完了しているものとする。
【0164】
ADIPアドレス#aが求められると、システムコントローラ18は、メディアドライブ部11にADIPアドレス#aへのアクセスを命じる。これによりメディアドライブ部11では、システムコントローラ41の制御によってADIPアドレス#aへのアクセスが実行される。
【0165】
システムコントローラ18は、図20のステップS2において、アクセス完了を待機し、アクセスが完了したら、ステップS3において、光学ヘッド19が目標とする再生開始アドレスに到達するまで待機し、ステップS4において、再生開始アドレスに到達したことを確認すると、ステップS5において、メディアドライブ部11に次世代MDクラスタの1クラスタ分のデータ読取開始を指示する。
【0166】
メディアドライブ部11では、これに応じて、システムコントローラ41の制御により、ディスク90からのデータ読出を開始する。光学ヘッド19、RFアンプ24、RLL(1−7)PP復調部35、RS−LDCデコーダ36の再生系で読み出したデータを出力し、メモリ転送コントローラ12に供給する。
【0167】
このとき、システムコントローラ18は、ステップS6において、ディスク90との同期がとれているか否かを判別する。ディスク90との同期が外れている場合、ステップS7において、データ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。ステップS8において、再度読取りを実行すると判別された場合は、ステップS2からの工程を繰り返す。
【0168】
1クラスタ分のデータを取得すると、システムコントローラ18は、ステップS10において、取得したデータのエラー訂正を開始する。ステップS11において、取得したデータに誤りあれば、ステップS7に戻ってデータ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。また、取得したデータに誤りがなければ、ステップS12において、所定のクラスタを取得したか否かを判別する。所定のクラスタを取得していれば、一連の処理を終了し、システムコントローラ18は、このメディアドライブ部11による読出動作を待機し、読み出されてメモリ転送コントローラ12に供給されたデータをクラスタバッファメモリ13に格納させる。取得していない場合、ステップS6からの工程を繰り返す。
【0169】
クラスタバッファメモリ13に読み込まれた次世代MDクラスタの1クラスタ分のデータは、複数個のFATセクタを含んでいる。そのため、この中から要求されたFATセクタのデータ格納位置を求め、1FATセクタ(2048バイト)分のデータをUSBインターフェイス15から外部のPC70へと送出する。具体的には、システムコントローラ18は、要求されたFATセクタ番号#nから、このセクタが含まれる次世代MDクラスタ内でのバイトオフセット#bを求める。そして、クラスタバッファメモリ13内のバイトオフセット#bの位置から1FATセクタ(2048バイト)分のデータを読み出させ、USBインターフェイス15を介してPC70に転送する。
【0170】
以上の処理により、PC70からの1FATセクタの読出要求に応じた次世代MDセクタの読み出し・転送が実現できる。
【0171】
6.データトラックのセクタ書込処理
次に、PC70からあるFATセクタの書込要求があった場合のディスクドライブ装置10におけるシステムコントローラ18の処理を図21に基づいて説明する。
【0172】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16を経由してPC70からのFATセクタ#nの書込命令を受信すると、上述したように指定されたFATセクタ番号#nのFATセクタが含まれる次世代MDクラスタ番号を求める。
【0173】
FATセクタ番号#nを含む次世代MDクラスタ番号#uが求められると、続いて、システムコントローラ18は、求められたクラスタ番号#uの次世代MDクラスタが既にディスク90から読み出されてクラスタバッファメモリ13に格納されているか否かを判別する。格納されていなければ、ディスク90からクラスタ番号uの次世代MDクラスタを読み出す処理を行う。すなわち、メディアドライブ部11にクラスタ番号#uの次世代MDクラスタの読出を指示し、読み出された次世代MDクラスタをクラスタバッファメモリ13に格納させる。
【0174】
また、上述のようにして、システムコントローラ18は、書込要求にかかるFATセクタ番号#nから、このセクタが含まれる次世代MDクラスタ内でのバイトオフセット#bを求める。続いて、PC70から転送されてくる当該FATセクタ(#n)への書込データとなる2048バイトのデータをUSBインターフェイス15を介して受信し、クラスタバッファメモリ13内のバイトオフセット#bの位置から、1FATセクタ(2048バイト)分のデータを書き込む。
【0175】
これにより、クラスタバッファメモリ13に格納されている当該次世代MDクラスタ(#u)のデータは、PC70が指定したFATセクタ(#n)のみが書き換えられた状態となる。そこでシステムコントローラ18は、クラスタバッファメモリ13に格納されている次世代MDクラスタ(#u)をディスク90に書き込む処理を行う。
【0176】
以上が、図21のステップS21における記録データ準備工程である。この場合も同様に、媒体の判別は、別の手法により既に完了しているものとする。
【0177】
続いて、システムコントローラ18は、図21のステップS22において、書込を行う次世代MDクラスタ番号#uから、記録開始位置のADIPアドレス#aを設定する。ADIPアドレス#aが求められたら、システムコントローラ18は、メディアドライブ部11にADIPアドレス#aへのアクセスを命じる。これによりメディアドライブ部11では、システムコントローラ41の制御によってADIPアドレス#aへのアクセスが実行される。
【0178】
ステップS23において、アクセスが完了したことを確認すると、ステップS24において、システムコントローラ18は、光学ヘッド19が目標とする再生開始アドレスに到達するまで待機し、ステップS25において、データのエンコードアドレスに到達したことを確認すると、ステップS26において、システムコントローラ18は、メモリ転送コントローラ12に指示して、クラスタバッファメモリ13に格納されている次世代MDクラスタ(#u)のデータのメディアドライブ部11への転送を開始する。
【0179】
続いて、システムコントローラ18は、ステップS27において、記録開始アドレスに到達したことを確認すると、メディアドライブ部11に対しては、ステップS28において、この次世代MDクラスタのデータのディスク90への書込開始を指示する。このとき、メディアドライブ部11では、これに応じてシステムコントローラ41の制御により、ディスク90へのデータ書込を開始する。すなわち、メモリ転送コントローラ12から転送されてくるデータについて、RS−LDCエンコーダ47、RLL(1−7)PP変調部48、磁気ヘッドドライバ46、磁気ヘッド23及び光学ヘッド19の記録系でデータ記録を行う。
【0180】
このとき、システムコントローラ18は、ステップS29において、ディスク90との同期がとれているか否かを判別する。ディスク90との同期が外れている場合、ステップS30において、データ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。ステップS31において、再度読取りを実行すると判別された場合は、ステップS2からの工程を繰り返す。
【0181】
1クラスタ分のデータを取得すると、システムコントローラ18は、ステップS32において、所定のクラスタを取得したか否かを判別する。所定のクラスタを取得していれば、一連の処理を終了する。
【0182】
以上の処理により、PC70からの1FATセクタの書込要求に応じた、ディスク90へのFATセクタデータの書込が実現される。つまり、FATセクタ単位の書込は、ディスク90に対しては、次世代MDクラスタ単位の書換として実行される。
【0183】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る光ディスク装置は、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置において、上記ディスクを回転する回転手段と、光ビームを使用して、上記ディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光検出手段と、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出手段と、上記ディスク偏心量算出手段により算出された上記偏心量を記憶する記憶手段と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出手段と、上記トラックジャンプの際に上記光検出手段を移動する移動手段と、上記補正移動距離に基づき上記移動手段を制御する制御手段とを有するので、ディスクの回転角に応じて、ディスクをドライブ装置に固定するときに発生する機械的ずれやディスクそのものが有する中心ずれによって発生するディスクの偏心量を求め、このディスク偏心量から、スレッドアクチュエータを使用してトラックジャンプする移動距離を補正するため、ディスクに偏心があっても極めて正確にトラックジャンプすることができる。
【0184】
本発明に係る光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法は、光ビームを使用してディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光学検出手段により、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法において、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出工程と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出工程と、上記トラックジャンプの際に上記補正移動距離に基づき上記光検出手段を移動する移動工程とを有するので、光ディスク装置においてスレッドアクチュエータを用いたトラックジャンプ動作を行う場合、ディスク回転用モータの回転角に応じたディスクの偏心量で移動距離を補正した後、この補正移動距離に基づきトラックジャンプを行うよう制御するため、トラックジャンプの精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における光ディスク装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における偏心量サンプル開始処理の方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態におけるスピンドルモータFG割り込み処理の方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態におけるトラックジャンプ処理の方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるスレッドアクチュエータによるトラックジャンプ処理の方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態におけるスレッドアクチュエータFG割り込み処理の方法を示すフローチャートである。
【図7】第1世代(既存)MD、次世代MD1、次世代MD2の仕様を示す図である。
【図8】次世代MD1及び次世代MD2のBISを含むデータブロック構成を示す図である。
【図9】次世代MD1及び次世代MD2のデータブロックに対するECCフォーマットを示す図である。
【図10】次世代MD1の盤面上のエリア構造例を模式的に示した図である。
【図11】次世代MD2の盤面上のエリア構造例を模式的に示した図である。
【図12】次世代MD1及び次世代MD2に音楽データ用のオーディオトラックとデータトラックとを混在記録可能とするエリア構造例を示した図である。
【図13】次世代MD1のデータ管理構造を示した図である。
【図14】次世代MD2のデータ管理構造を示した図である。
【図15】次世代MD1及び次世代MD2のADIPセクタ構造とデータブロックとの関係を示す図である。
【図16】ADIPのデータ構造を示す図である。
【図17】次世代MD2のADIP信号にディスクコントロール信号を埋め込む処理を説明するための図である。
【図18】ディスクドライブ装置の構成を示すブロック図である。
【図19】メディアドライブ部の内部構成を示すブロック図である。
【図20】PCからあるFATセクタの読出要求があった場合のディスクドライブ装置におけるシステムコントローラにおける処理を示すフローチャートである。
【図21】PCからあるFATセクタの書込要求があった場合のディスクドライブ装置におけるシステムコントローラの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
201 ディスク、202 スピンドルモータ、203 光ピックアップ光学部、203a 対物レンズ、204 光検出部、205 トラキングアクチュエータ、206 スレッドアクチュエータ、207 トラッキングエラーアンプ、208 トラックカウント回路、209 アクチュエータドライバ、210 スレッドドライバ、211 システムマイコン、211a メモリ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法に関し、特に、スレッドアクチュエータを使用してトラックジャンプをする際の光ディスクの偏心を考慮した光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置においては、光学的情報記録媒体であるディスク上の同心円状あるいは渦巻状に配列された記録トラックに対し、光ピックアップから照射される光ビームが、常に目標のトラックを追従するように、光ピックアップの対物レンズをトラックに対して垂直方向に移動するトラッキングアクチュエータが用いられている。なお、本明細書においては、光ディスク装置は光磁気ディスク装置を含むものとする。
【0003】
そして、追従しているトラックから目的トラックへの光ビームの移動、すなわちトラックジャンプは、上記トラッキングアクチュエータを駆動する場合と、光ピックアップ全体をディスク半径方向に駆動するスレッドアクチュエータによって行われる場合とがある。
【0004】
具体的なトラックジャンプシーケンスは、まず現在アドレス及び目標アドレスからディスク半径位置をマイクロコンピュータにより計算し、その差を移動距離として算出する。更に、それをトラックジャンプ数に換算する。トラックジャンプ数の換算後に、このジャンプ数に応じてトラッキングアクチュエータ又はスレッドアクチュエータのいずれを駆動するかが決定される。即ち、移動距離が小さくジャンプ数が少ない場合はトラッキングアクチュエータを駆動し、移動距離が大きくジャンプ数が多い場合は、スレッドアクチュエータを駆動する。
【0005】
トラッキングアクチュエータを駆動する場合には、トラックを横切ることで発生するトラバース信号をモニタし、その横切った回数と目標トラックジャンプ数とが一致すると、トラックジャンプが完了する。
【0006】
スレッドアクチュエータを駆動する場合には、トラッキングアクチュエータと同様に、トラバース信号をモニタしてトラックを横切った回数と目標トラックジャンプ数とが一致するまでトラバース信号をカウントしてトラックジャンプを完了する場合と、別に設定された位置センサ等を利用して移動距離をモニタし、目標移動距離に達するとトラックジャンプが完了する場合とがある。
【0007】
しかしながら、トラックジャンプ時には、ディスクをドライブ装置に固定するときに発生する機械的ずれ及びディスクそのものが有する中心ずれによって発生するディスクの偏心成分が、正確な動作に影響を与えることがある。
【0008】
特にスレッドアクチュエータを使った場合では、従来はディスク上の移動距離及びトラックジャンプ数のみを算出し、偏心成分を考慮せずにトラックジャンプを行っていたため、到達位置(目標位置)に対する誤差が大きくなり、トラックジャンプの精度が悪化するという問題点があった。
【0009】
そこで、従来、偏心、面ぶれがある状態において、オフトラックやデフォーカスを起こすことなく、トラックジャンプ及びフォーカスジャンプができる光ディスク装置が特開2000−20967号公報に開示されている(以下、従来例という。)。
【0010】
従来例に記載の光ディスク装置は、光ディスクにデータを記録又は光ディスクに記録されたデータを読み取る光学的検出手段と、この光学的検出手段と光ディスクとの位置関係を検出する位置検出手段と、位置検出手段によって得られるディスクの回転に依存した位置情報を記憶する記憶手段(ディスク回転周波数成分記憶回路)と、光学的検出手段を移動するジャンプ信号を作るジャンプ信号発生手段と、記憶手段の記憶情報とジャンプ信号とから駆動信号を算出する演算手段と、駆動信号に応じて光学検出手段を移動する移動手段(アクチュエータ)とから構成されている。
【0011】
光学的検出手段は、レーザ光を発生する光源と、レーザ光を反射してディスクに照射するハーフミラーと、その反射光を受けて位置検出手段に送る対物レンズとを有し、位置検出手段は、反射光の情報から光ディスクと対物レンズとの位置関係を示す情報を取り出し、エラー信号として制御回路に出力する。通常動作時には、制御回路は、エラー信号からアクチュエータのドライバを制御する信号を生成し、これを受け取ったドライバはこれを駆動信号としてアクチュエータへ供給する。この駆動信号に従って対物レンズが移動する。
【0012】
また、ディスク回転周波数成分記憶回路により、光ディスクの回転角と偏心、面ぶれ成分とを対応させて記憶し、ジャンプ時には、光ディスクの回転角に従ってディスク回転周波数成分記憶回路から記憶情報を取り出し、この情報をジャンプ信号に加算し、この信号により、アクチュエータを駆動する。このように、ディスクの回転に依存する偏心、面ぶれ成分を記憶することにより、偏心、面ぶれ成分を考慮したジャップを行うことができる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の従来の光ディスク装置は、トラックジャンプ及びフォーカスジャンプを駆動するアクチュエータへ入力する制御信号を補正するものであり、この制御信号の大きさにより、アクチュエータの加速又は減速を制御するが、このように、アクチュエータの制御信号を制御する方法では、トラックジャンプの間、常に記憶情報を読み出し、ジャンプ信号と加算する演算処理が必要となり、処理が複雑であるという問題点がある。
【0014】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ディスクの偏心を補正して、スレッドアクチュエータを使用したトラックジャンプを安定且つ高精度で行うことができる光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る光ディスク装置は、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置において、上記ディスクを回転する回転手段と、光ビームを使用して、上記ディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光検出手段と、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出手段と、上記ディスク偏心量算出手段により算出された上記偏心量を記憶する記憶手段と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出手段と、上記トラックジャンプの際に上記光検出手段を移動する移動手段と、上記補正移動距離に基づき上記移動手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明においては、ディスクをドライブ装置に固定するときに発生する機械的ずれやディスクそのものが有する中心ずれによって発生するディスクの偏心量を求め、このディスク偏心量からトラックジャンプする移動距離を補正するため、ディスクに偏心があっても極めて正確にトラックジャンプすることができる。
【0017】
また、上記回転手段は、上記ディスクの回転角に対応するパルスを発生するパルス発生手段を有し、上記ディスク偏心量算出手段は、上記パルスが供給され上記ディスクの回転角に対応する上記偏心量を算出することができ、これにより、ディスクの回転角に対応して正確な偏心量を求めることができる。
【0018】
更に、上記制御手段は、上記ディスクの上記補正移動距離を上記パルス発生手段にて発生する上記パルスの数に換算し、換算されたパルス数のパルスが発生する間上記光検出手段を移動するよう上記移動手段を制御することができ、これにより、補正移動距離を回転に応じて発生するパルスの数に換算して移動するため、ディスクの回転速度に因らず正確に目的の位置にトラックジャンプすることができる。
【0019】
更にまた、上記補正移動距離算出手段は、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量を使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出するか、上記第1の偏心量と、上記移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量とを使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出するか、又は、上記第1の偏心量を使用して上記移動距離から第1の補正移動距離を算出し、該第1の移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量を使用して上記1の補正移動距離から第2の補正移動距離を算出することができる。
【0020】
本発明に係る光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法は、光ビームを使用してディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光学検出手段により、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法において、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出工程と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出工程と、上記トラックジャンプの際に上記補正移動距離に基づき上記光検出手段を移動する移動工程とを有することを特徴とする。
【0021】
本発明においては、光ディスク装置において、トラックジャンプする際に、予め偏心量を算出し、この偏心量からトラックジャンプの移動距離を補正して光検出手段を移動するよう制御するため、トラックジャンプの精度を向上することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。この実施の形態は、本発明を、スレッドアクチュエータを使ったトラックジャンプ動作を行う場合、ディスク回転用モータの回転角に応じたディスクの偏心量で移動距離を補正した後、トラックジャンプを行う光ディスク装置に適用したものである。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る光ディスク装置を示すブロック図である。図1に示すように、光ディスク装置200においては、光ディスク201の下面には光ディスク201を回転させるための回転手段であるスピンドルモータ(ディスク回転用モータ)202が取り付けられている。スピンドルモータ202は、光ディスク201に駆動力を与えるときのモータの動作に従ってFG(Frequency Generator)パルスを発生させる。FGパルスは、例えばスピンドルモータ202が3相モータからなる場合、相の切換のためのタイミング信号により生成される。このFGパルス信号はシステムマイコン211に供給される。そして、このFGパルス信号入力を外部トリガとする割り込み処理をシステムマイコン211に用意する。すなわちシステムマイコン211では、FGパルスが発生するタイミングで割り込み処理を行う。以下、この処理をFG割り込み処理という。
【0024】
この割り込み処理により、光ディスク201が1回転する間のFGパルス信号のパルス数を計測して、FGパルス数と光ディスク201の回転角との関係を求めることができる。また、システムマイコン211は、後述するトラッキングエラー信号からディスク偏心量を算出したりする偏心量算出手段(図示せず)を有し、FGパルス信号が入力する度に、ディスク偏心量と光ディスク201の回転角との関係を求める等することができる。
【0025】
更に、システムマイコン211は、これらの処理により求められたデータを記憶するメモリ(記憶手段)211aを有する。また、システムマイコン211は、後述するトラッキングジャンプの際の移動距離を、メモリ211aに記憶された偏心量を使用して補正する補正移動距離算出手段(図示せず)を有する。
【0026】
また、光ディスク201の下面側には、光ディスク201に対してレーザを照射する光ピックアップ光学部203が配置され、この光ピックアップ光学部203の後段には、光ディスク201からの反射光を検出し光電変換を行う光検出手段である光検出部204が配置されている。この光検出部204で検出された信号は、更に後段に配置されたトラッキングエラーアンプ207に供給され、トラッキングエラーアンプ207は、トラックカウント回路208に接続されている。トラッキングエラーアンプ207は、トラックカウント回路208にトラッキングエラー(TE)信号を供給し、トラックカウント回路208は、供給されたトラッキングエラー信号から光ビームのスポットが光ディスク201上のトラックを横断する数を計数する。トラックカウント回路208は、システムマイコン211に接続され、トラッキングエラー信号から計数したトラック数カウント値をシステムマイコン211に供給する。
【0027】
システムマイコン211は、アクチュエータドライバ(アクチュエータ駆動回路)209及びスレッドドライバ210に接続されており、更に、アクチュエータドライバ209及びスレッドドライバ210は、夫々トラキングアクチュエータ205及びスレッドアクチュエータ(スレッドモータ)206に接続されている。これら移動手段であるアクチュエータにより、光ピックアップ光学部203から照射される光ビームが追従しているトラックから、目的のトラックへ光ビームを移動するトラックジャンプが行われる。トラッキングアクチュエータ205がアクチュエータドライバ209により駆動された場合は、光ピックアップの対物レンズ203aをトラックに対して垂直方向に移動する。また、スレッドアクチュエータ206がスレッドドライバ210により駆動された場合は、光ピックアップ光学部203全体をディスクの半径方向に移動する。
【0028】
このトラックジャンプ動作において、システムマイコン211は、現在アドレス、及びトラックジャンプ先の目標アドレスから、現在のディスク半径位置及び目標のディスク半径位置を計算し、その差を移動距離として算出する。更に、この移動距離をトラックジャンプ数に換算し、このトラックジャンプ数に応じてトラッキングアクチュエータ205、又はスレッドアクチュエータ206のどちらを駆動するかを決定する。トラックジャンプ数が所定の数より大きい場合は、スレッドアクチュエータ206を駆動し、小さい場合は、トラッキングアクチュエータ205を駆動する。システムマイコン211は、トラッキングアクチュエータ205を駆動する場合は、アクチュエータドライバ209に対し駆動信号を出力し、スレッドアクチュエータ206を駆動する場合は、スレッドドライバ210に対して駆動信号を出力する。
【0029】
この光ピックアップ光学部203のディスク半径方向の移動手段であるスレッドアクチュエータ206としては、例えば、スレッドアクチュエータ206が3相モータからなる場合、送りねじを用いたモータ回転運動を直動運動に変換する機構とすることができる。また、上記スピンドルモータ202の説明でも述べたように3相モータは回転に応じてFGパルスを発生し、その発生回数はモータの回転回数に比例する。従って、スレッドアクチュエータ206のFGパルス信号をシステムマイコン211に入力し、その発生回数をカウントすることでモータが何回転したかを換算し、その結果と送りねじ機構の回転/直動との変換比から光ピックアップ光学部203が半径方向にどれだけ移動したか計測することができる。
【0030】
言い換えれば、目標移動距離から目標FGルス発生回数を換算し、駆動信号を出力しながら上記方法、即ちシステムマイコン211へ入力するFGパルスをカウントし、目標FGパルス回数に到達したらスレッドアクチュエータ206の移動を停止するという方法でスレッドアクチュエータ206の位置制御を行うことができる。
【0031】
次に、以上のように構成された本実施の形態の光ディスク装置における偏心補正を行うトラックジャンプ動作について説明する。
【0032】
偏心補正を行うトラックジャンプ動作では、スピンドルモータ202により光ディスク201を回転し、光ディスク201に対してフォーカスサーボがかかっている状態であることが必要である。ディスク回転制御及びフォーカスサーボ制御の説明は、本発明とは無関係であるため割愛し、光ディスク201の回転が起動し、フォーカスサーボがかかっている状態から説明を行う。
【0033】
最初にスピンドルモータ202の回転角と偏心量との関係を計測(偏心量サンプリング処理)する。以下、この計測、即ち偏心量サンプリング処理によって求められる偏心量を偏心量サンプルともいう。偏心量サンプルの計測は光ディスク201が回転起動する度に行う必要はなく、スピンドルモータ202の回転角と偏心量との関係が所望の精度で計測できるよう必要な回数だけ行えば良い。
【0034】
図2は、偏心量サンプリング処理を開始する方法を示すフローチャートである。図2に示すように、先ず、スピンドルモータ202を起動し(ステップS101)、次に、フォーカスサーボを起動する(ステップS102)。このように、光ディスク201に対してフォーカスサーボが作用している状態で、偏心量サンプリング処理を開始する偏心量サンプリング開始処理フラグをたてる(ステップS103)。
【0035】
フォーカスサーボがかかっている状態で光ディスク201が回転すると、トラッキングエラー信号がトラバース信号として検出されるが、これはトラッキングサーボがまだ作用していない状態である。従って、フォーカスサーボが作用している状態で、偏心量サンプリング処理を開始することにより、光ディスク201の偏心によりレーザビームがトラックを横切る状態をそのまま検出することができる。
【0036】
つまり、この時のトラバース量をカウント、すなわち横切っているトラック数をトラックカウント回路208により検出し、さらにそのトラック数に光ディスク201のトラックピッチ量を乗ずることにより、ディスク偏心量が計算できる。
【0037】
また、光ディスク201が1回転する間にスピンドルモータ202により発生されるFGパルスの発生回数は、ディスク回転数によらず必ず一定であるため、光ディスク201の回転中のFGパルスをシステムマイコン211のFG割り込み処理にてカウントすることで、そのパルスカウント値と光ディスク201の回転角と対応させることができる。
【0038】
図3は、スピンドルモータ202からのFGパルスにより行われる割り込み処理の方法を示すフローチャートである。図3に示すように、偏心量サンプリング処理開始フラグが立っているか否かが検出され(ステップS111)、偏心量サンプリング処理開始フラグが立っていれば、スピンドルモータ202が1回転したか否かが判定される(ステップS112)。スピンドルモータ202が1回転していない場合は、トラックカウント数から偏心量を算出し(ステップS113)、このときのモータ(ディスク)回転角と偏心量とをデータテーブルに保存し(ステップS114)、再びステップS112に戻り、処理を繰り返す。一方、ステップS112でスピンドルモータ202が既に1回転したと判定した場合は、偏心量サンプリング開始フラグをオフにして処理を終了する。
【0039】
こうして、FG割り込み処理において、上記ディスク偏心量を計算することで上記パルスカウント値、すなわち光ディスク201の回転角と偏心量との関係が算出でき、算出した関係はデータテーブルとしてシステムマイコン211のメモリ211aに保持される。本実施の形態においては、スピンドルモータ202からのFGパルスが供給される毎に光ディスク201の回転角及び偏心量を算出し、これらを対応付けて記憶するものとしたが、例えば、光ディスク201が1回転した場合の偏心量を求め、回転角と偏心量との関係を近似して示すような適当な関数に当てはめることにより、任意の回転角に対応する偏心量を求めてもよい。
【0040】
次に偏心補正を行うトラックジャンプ動作について説明する。現在追従しているトラックから目的トラックへのトラックジャンプを行う場合、距離に応じてトラッキングアクチュエータ205を駆動する場合と、スレッドアクチュエータ206を駆動する場合とがあるが、以下、本発明のスレッドアクチュエータ206の制御方法について詳細に説明する。図4は、トラックジャンプ処理の方法を示すフローチャートである。
【0041】
図4に示すように、先ず、現在アドレス、及び目標アドレスからディスク半径位置をシステムマイコン211により計算し、その差を移動距離Lとして算出する(ステップS121)。そして、この移動距離Lが、スレッドアクチュエータ206を使用してトラックジャンプをする最小の距離であるSLED_MOVE判別閾値以上であるか否かを判定する(ステップS122)。ここで、SLED_MOVE判別閾値未満である場合、スレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプではなく、トラッキングアクチュエータ205によるトラックジャンプ処理が行われる(ステップS129)。移動距離LがSLED_MOVE判別閾値以上である場合は、FG割り込み処理にて現在のパルスカウント値を参照し、現在の回転角での偏心量σ1を上記データテーブルを参照して算出する(ステップS123)。そしてこの偏心量σ1を上記移動距離に加算、あるいは減算した偏心補正後の移動距離L1を算出する(ステップS124)。この値が目標移動距離L1となる。
【0042】
次に、スレッドアクチュエータ206の移動速度から、偏心補正後の移動距離(第1の補正移動距離)L1だけジャンプ(移動)する際に要する移動時間T1を算出する(ステップS125)。そして、移動時間T1後のスピンドルモータ202の回転角での偏心量σ2を上記データテーブルを参照して算出する(ステップS126)。そして、偏心量σ1で補正した移動距離L1を偏心量σ2で再び補正し(ステップS127)、補正移動距離(第2の補正移動距離)L2を算出する。即ち、現在のアドレスに対応する回転角での偏心量σ1と、トラックジャンプする目標のアドレスに対応する回転角での偏心量σ2とを使用して、移動距離Lから補正移動量L2を算出する。この偏心量σ2で補正した補正移動距離L2だけ、スレッドアクチュエータ206を使用してトラックジャンプする(ステップS128)。なお、本実施の形態においては、現在のアドレスに対応する回転角での偏心量σ1から補正移動距離L1を算出し、これにより、目標のアドレスに対応する回転角を予測し、偏心量σ1を求めるものとしたが、ステップS21にて算出した移動距離Lから目標のアドレスに対応する回転角を予測し、この回転角での偏心量と、偏心量σ1とを使用して補正移動距離L2を算出してもよい。
【0043】
次に、スレッドアクチュエータ206による補正移動距離L2をトラックジャンプする方法について説明する。図5に示すように、補正移動距離L2からスレッドアクチュエータ206の目標FGパルス発生回数を換算する(ステップS131)。そして、スレッドドライバ210に対して駆動信号(SLED_MOVE開始フラグ)を出力し(ステップS132)、スレッドアクチュエータ206を駆動する。その時、スレッドアクチュエータ206のFGパルス信号をシステムマイコン211に入力し、その回数をカウントする。カウント値が目標FGパルス発生回数に達したら、駆動を停止してスレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプ動作が完了する。即ち、図6に示すように、スレッドアクチュエータ206を駆動するSLED_MOVE開始フラグが立つと(S141)、システムマイコン211によりスレッドアクチュエータ206から入力するFGパルスがカウントされ、目標FGパルス数に到達したか否かを検出する(ステップS142)。そして、目標FGパルス数に到達した場合、SLED_MOVE開始フラグをオフにし(ステップS143)、処理を終了する。
【0044】
以上のように、移動距離を偏心量に基づいて補正した上でスレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプを実行することにより、トラックジャンプの精度を向上させることができる。なお、補正移動距離の算出過程において、移動前の偏心量σ1のみを考慮して補正を行ってもよい。
【0045】
また、本実施の形態においては、スレッドアクチュエータ206からのFGパルス数をカウントして移動距離を制御するものとしたが、光ディスク201における位置を検出する位置センサを設け、この位置センサ等を利用して移動距離をモニタし、目標移動距離に達した場合にトラックジャンプを完了するようにしてもよい。
【0046】
本実施の形態においては、スレッドアクチュエータ206を使用してトラックジャンプする際、予め光ディスク201を回転するスピンドルモータ202からのFGパルスを使用して、光ディスク201の回転角に対応する偏心量を求めておき、この偏心量からトラックジャンプする移動距離を補正するため、極めて正確に目標となる位置へトラックジャンプすることができる。更に、スレッドアクチュエータ206の移動速度から目標位置までの移動時間T1を計算し、この移動時間T1の間のスピンドルモータ202の回転回数を求め、目標位置に到達したときのスピンドルモータ202(光ディスク201)の回転角から移動後の偏心量σ2を算出することにより、移動前後の偏心量σ1,σ2を使用して、即ち、移動前後の回転角における偏心量を使用して移動距離Lを補正移動距離に補正できるので、スレッドアクチュエータ206によるトラックジャンプの精度が極めて高いものとなる。
【0047】
また、本実施の形態においては、本発明を光ディスク装置に適用したものとして説明したが、光磁気ディスクの記録再生を行う光磁気ディスク装置においても、同様の方法で偏心量を算出し、トラックジャンプする移動距離を補正することができる。
【0048】
例えば、本発明を適用した光磁気ディスク装置による記録・再生を行うことができる光磁気ディスクの具体例として、いわゆるミニディスクMD(登録商標)がある。以下、このミニディスク及びそのディスクドライブ装置について詳細に説明する。ここでは、特に、通常用いられる記録形式とは異なる形式を適用することによって、既存の光磁気ディスクと同じ記録媒体を用いて、その記録容量を増加することを実現したディスクを「次世代MD1」とし、高密度記録可能な新規記録媒体に対して新規記録形式を適用することにより、記録容量の増加を実現したディスクを「次世代MD2」と称して、従来のミニディスクと、次世代MD1及び次世代MD2とを比較して説明する。
【0049】
ここで、MDのより具体的な説明に先立ち、これらの各フォーマットの光磁気ディスク、すなわち、既存のMD、次世代MD1、及び次世代MD2について説明する。
【0050】
1.ディスク仕様及びエリア構造
まず、既存のミニディスクMD(登録商標)の仕様について図7を用いて説明する。ミニディスク(オーディオMD及びMD−DATA)の物理フォーマットは、以下のように定められている。トラックピッチは、1.6μm、ビット長は、0.59μm/bitとなる。また、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45としている。記録方式としては、グルーブ(ディスク盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるグルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式は、ディスク盤面上にシングルスパイラルのグルーブを形成し、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブル(Wobble)を形成したウォブルドグルーブを利用する方式を採っている。なお、本明細書では、ウォブルとして記録される絶対アドレスをADIP(Address in Pregroove)ともいう。
【0051】
従来のミニディスクでは、記録データの変調方式としてEFM(8−14変換)変調方式が採用されている。また、誤り訂正方式としては、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed−Solomon Code)を用いている。また、データインターリーブには、畳み込み型を採用している。これにより、データの冗長度は、46.3%となっている。
【0052】
また、従来のミニディスクにおけるデータの検出方式は、ビットバイビット方式であって、ディスク駆動方式としては、CLV(Constant Linear Verocity)が採用されている。CLVの線速度は、1.2m/sである。
【0053】
記録再生時の標準のデータレートは、133kB/s、記録容量は、164MB(MD−DATAでは、140MB)である。また、データの最小書換単位(クラスタ)は、32個のメインセクタと4個のリンクセクタによる36セクタで構成されている。
【0054】
続いて、本具体例として示す次世代MD1に関して説明する。次世代MD1は、上述した従来のミニディスクと記録媒体の物理的仕様は、同一である。そのため、トラックピッチは、1.6μm、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45である。記録方式としては、グルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式は、ADIPを利用する。このように、ディスクドライブ装置における光学系の構成やADIPアドレス読出方式、サーボ処理は、従来のミニディスクと同様であるため、従来ディスクとの互換性が達成されている。
【0055】
次世代MD1は、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。
【0056】
具体的には、ホストアプリケーション等から供給されるユーザデータの2048バイトに4バイトのEDC(Error Detection Code)を付加した2052バイトを1セクタ(データセクタ、後述するディスク上の物理セクタとは異なる)とし、図8に示すように、Sector0〜Sector31の32セクタを304列×216行のブロックにまとめる。ここで、各セクタの2052バイトに対しては、所定の疑似乱数との排他的論理和(Ex−OR)をとるようなスクランブル処理が施される。このスクランブル処理されたブロックの各列に対して32バイトのパリティを付加して、304列×248行のLDC(Long Distance Code)ブロックを構成する。このLDCブロックにインターリーブ処理を施して、152列×496行のブロック(Interleaved LDC Block)とし、これを図9に示すように38列ずつ1列の上記BISを介して配列することで155列×496行の構造とし、さらに先頭位置に2.5バイト分のフレーム同期コード(Frame Sync)を付加して、1行を1フレームに対応させ、157.5バイト×496フレームの構造とする。この図9の各行が、後述する図15に示す1レコーディングブロック(クラスタ)内のデータ領域のFrame10〜Frame505の496フレームに相当する。
【0057】
以上のデータ構造において、データインターリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。また、データの検出方式として、PR(1,2,1)MLによるビタビ復号方式を用いる。
【0058】
ディスク駆動方式には、CLV方式を用い、その線速度は、2.4m/sとする。記録再生時の標準データレートは、4.4MB/sである。この方式を採用することにより、総記録容量を300MBにすることができる。変調方式をEFMからRLL(1−7)PP変調方式とすることによって、ウインドウマージンが0.5から0.666となるため、1.33倍の高密度化が実現できる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成される。このように記録変調方式をCIRC方式からBIS付きのRS−LDC方式及びセクタ構造の差異とビタビ復号を用いる方式にすることで、データ効率が53.7%から79.5%となるため、1.48倍の高密度化が実現できる。
【0059】
これらを総合すると、次世代MD1は、記録容量を従来ミニディスクの約2倍である300MBにすることができる。
【0060】
一方、次世代MD2は、例えば、磁壁移動検出方式(DWDD:Domain Wall Displacement Detection)等の高密度化記録技術を適用した記録媒体であって、上述した従来ミニディスク及び次世代MD1とは、物理フォーマットが異なっている。次世代MD2は、トラックピッチが1.25μm、ビット長が0.16μm/bitであり、線方向に高密度化されている。
【0061】
また、従来ミニディスク及び次世代MD1との互換を採るため、光学系、読出方式、サーボ処理等は、従来の規格に準じて、レーザ波長λは、λ=780nm、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45とする。記録方式は、グルーブ記録方式、アドレス方式は、ADIPを利用した方式とする。また、筐体外形も従来ミニディスク及び次世代MD1と同一規格とする。
【0062】
但し、従来ミニディスク及び次世代MD1と同等の光学系を用いて、上述のように従来より狭いトラックピッチ及び線密度(ビット長)を読み取る際には、デトラックマージン、ランド及びグルーブからのクロストーク、ウォブルのクロストーク、フォーカス漏れ、CT信号等における制約条件を解消する必要がある。そのため、次世代MD2では、グルーブの溝深さ、傾斜、幅等を変更した点が特徴的である。具体的には、グルーブの溝深さを160nm〜180nm、傾斜を60°〜70°、幅を600nm〜800nmの範囲と定める。
【0063】
また、次世代MD2は、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。
【0064】
データインターリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。またデータの検出方式は、PR(1,−1)MLによるビタビ復号方式を用いる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成されている。
【0065】
ディスク駆動方式には、ZCAV方式を用い、その線速度は、2.0m/sとする。記録再生時の標準データレートは、9.8MB/sである。したがって、次世代MD2では、DWDD方式及びこの駆動方式を採用することにより、総記録容量を1GBにできる。
【0066】
本具体例に示す次世代MD1の盤面上のエリア構造例を図10に模式的に示す。次世代MD1は、従来ミニディスクと同じ媒体であって、ディスクの最内周側は、プリマスタードエリアとして、PTOC(Premasterd Table Of Contents)が設けられている。ここには、ディスク管理情報が物理的な構造変形によるエンボスピットとして記録されている。
【0067】
プリマスタードエリアより外周は、光磁気記録可能なレコーダブルエリアとされ、記録トラックの案内溝としてのグルーブが形成された記録再生可能領域である。このレコーダブルエリアの最内周側は、UTOC(User Table Of Contents)領域であって、このUTOC領域には、UTOC情報が記述されるとともに、プリマスタードエリアとの緩衝エリアや、レーザ光の出力パワー調整等のために用いられるパワーキャリブレーションエリアが設けられている。
【0068】
次世代MD2は、図11に示すように、高密度化を図るためにプリピットを用いないが、次世代MD2のPTOC相当情報は、グルーブのウォブルにより書き込むことが考慮されている。例えば、次世代MD2には、レコーダブルエリアのさらに内周領域に、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報、他の非公開情報等を記録するユニークIDエリア(Unique ID;UID)が設けられている。このUIDエリアは、次世代MD2に適用されるDWDD方式とは異なる記録方式で記録されている。
【0069】
なお、ここでは、次世代MD1及び次世代MD2に音楽データ用のオーディオトラックとデータトラックとをディスク上に混在記録することもできる。この場合、例えば、図12に示すように、データエリアに少なくとも1つのオーディオトラックが記録されたオーディオ記録領域AAと、少なくとも1つのデータトラックが記録されたPC用データ記録領域DAとがそれぞれ任意の位置に形成されることになる。
【0070】
一連のオーディオトラックやデータトラックは、ディスク上で必ずしも物理的に連続して記録される必要はなく、図12に示すように複数のパーツに分割して記録されていてもよい。パーツとは、物理的に連続して記録される区間を示す。すなわち、図12のように物理的に離れた2つのPCデータ記録領域が存在する場合でも、データトラックの数としては、1つの場合もあり、複数の場合もある。但し、図12は、次世代MD1の物理的仕様に関して示したものであるが、次世代MD2に関しても同様に、オーディオ記録領域AAとPC用データ記録領域DAとを混在して記録することができる。
【0071】
上述した物理的仕様を有する次世代MD1と次世代MD2との互換性を有した記録再生装置の具体例に関しては、後段で詳細に説明する。
【0072】
2.ディスクの管理構造
図13及び図14に基づいて、本具体例のディスクの管理構造を説明する。図13は、次世代MD1のデータ管理構造を示したものであり、図14は、次世代MD2のデータ管理構造を示したものである。
【0073】
次世代MD1では、上述したように、従来のミニディスクと同一の媒体であるため、次世代MD1では、従来ミニディスクで採用されているように書換不可能なエンボスピットによりPTOCが記録されている。このPTOCには、ディスクの総容量、UTOC領域におけるUTOC位置、パワーキャリブレーションエリアの位置、データエリアの開始位置、データエリアの終了位置(リードアウト位置)等が管理情報として記録されている。
【0074】
次世代MD1では、ADIPアドレス0000〜0002には、レーザの書込出力を調整するためのパワーキャリブレーションエリア(Rec Power Calibration Area)が設けられている。続く0003〜0005には、UTOCが記録される。UTOCには、トラック(オーディオトラック/データトラック)の記録・消去等に応じて書き換えられる管理情報が含まれ、各トラック及びトラックを構成するパーツの開始位置、終了位置等を管理している。また、データエリアにおいて未だトラックが記録されていないフリーエリア、すなわち書込可能領域のパーツも管理している。UTOC上では、PC用データ全体をMDオーディオデータによらない1つのトラックとして管理している。そのため、仮にオーディオトラックとデータトラックとを混在記録したとしても、複数のパーツに分割されたPC用データの記録位置を管理できる。
【0075】
また、UTOCデータは、このUTOC領域における特定のADIPクラスタに記録され、UTOCデータは、このADIPクラスタ内のセクタ毎に、その内容が定義されている。具体的には、UTOCセクタ0(このADIPクラスタ内の先頭のADIPセクタ)は、トラックやフリーエリアにあたるパーツを管理しており、UTOCセクタ1及びセクタ4は、トラックに対応した文字情報を管理している。また、UTOCセクタ2には、トラックに対応した記録日時を管理する情報が書き込まれる。
【0076】
UTOCセクタ0は、記録されたデータや記録可能な未記録領域、さらにデータの管理情報等が記録されているデータ領域である。例えば、ディスクにデータを記録する際、ディスクドライブ装置は、UTOCセクタ0からディスク上の未記録領域を探し出し、ここにデータを記録する。また、再生時には、再生すべきデータトラックが記録されているエリアをUTOCセクタ0から判別し、そのエリアにアクセスして再生動作を行う。
【0077】
なお、次世代MD1では、PTOC及びUTOCは、従来のミニディスクシステムに準拠する方式、ここではEFM変調方式により変調されたデータとして記録されている。したがって、次世代MD1は、EFM変調方式により変調されたデータとして記録された領域と、RS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データとして記録された領域とを有することになる。
【0078】
また、ADIPアドレス0032に記述されるアラートトラックには、従来ミニディスクのディスクドライバ装置に次世代MD1を挿入したとしても、この媒体が従来ミニディスクのディスクドライバ装置に対応していないことを知らせるための情報が格納されている。この情報は、「このディスクは、この再生装置に対応していないフォーマットです。」等の音声データ、或いは警告音データとしてもよい。また、表示部を備えるディスクドライバ装置であれば、この旨を表示するためのデータであってもよい。このアラートトラックは、従来ミニディスクに対応したディスクドライバ装置でも読取可能なように、EFM変調方式によって記録されている。
【0079】
ADIPアドレス0034には、次世代MD1のディスク情報を表したディスクディスクリプションテーブル(Disc Discription Table;DDT)が記録される。DDTには、フォーマット形式、ディスク内論理クラスタの総数、媒体固有のID、このDDTの更新情報、不良クラスタ情報等が記述される。
【0080】
DDT領域からは、RS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データとして記録されるため、アラートトラックとDDTとの間には、ガードバンド領域が設けられている。
【0081】
また、RLL(1−7)PP変調方式で変調された高密度データが記録される最も若いADIPアドレス、すなわち、DDTの先頭アドレスには、ここを0000とする論理クラスタ番号(Logical Cluster Number;LCN)が付される。1論理クラスタは、65,536バイトであり、この論理クラスタが読み書き最小単位となる。なお、ADIPアドレス0006〜0031は、リザーブされている。
【0082】
続くADIPアドレス0036〜0038には、認証によって公開可能となるセキュアエリア(Secure Area)が設けられている。このセキュアエリアによって、データを構成する各クラスタの公開可・不可等の属性を管理している。特に、このセキュアエリアでは、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報等を記録する。また、このほかの各種の非公開情報を記録することができる。この公開不可領域は、特別に許可された特定外部機器のみが限定的にアクセスできるようになっており、このアクセス可能な外部機器を認証する情報も含まれる。
【0083】
ADIPアドレス0038からは、書込及び読取自由なユーザエリア(User Area)(任意データ長)とスペアエリア(Spare Area)(データ長8)とが記述される。ユーザエリアに記録されたデータは、LCNの昇順に並べたとき、先頭から2,048バイトを1単位としたユーザセクタ(User Sector)に区切られており、PC等の外部機器からは、先頭のユーザセクタを0000とするユーザセクタ番号(User Sector Number;USN)を付してFATファイルシステムにより管理されている。
【0084】
続いて、次世代MD2のデータ管理構造について図14を用いて説明する。次世代MD2は、PTOCエリアを持たない。そのため、ディスクの総容量、パワーキャリブレーションエリアの位置、データエリアの開始位置、データエリアの終了位置(リードアウト位置)等のディスク管理情報は、PDPT(PreFormat Disc Parameter Table)として全てADIP情報に含まれて記録されている。データは、BIS付きのRS−LDC及びRLL(1−7)PP変調方式で変調され、DWDD方式で記録されている。
【0085】
また、リードインエリア及びリードアウトエリアには、レーザパワーキャリブレーションエリア(Power Cariburation Area;PCA)が設けられる。次世代MD2では、PCAに続くADIPアドレスを0000としてLCNを付ける。
【0086】
また、次世代MD2では、次世代MD1におけるUTOC領域に相当するコントロール領域が用意されている。図14には、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報、他の非公開情報等を記録するユニークIDエリア(Unique ID;UID)が示されているが、実際には、このUIDエリアは、リードイン領域のさらに内周位置に、通常のDWDD方式とは異なる記録方式で記録されている。
【0087】
次世代MD1及び次世代MD2のファイルは、ともにFATファイルシステムに基づいて管理される。例えば、各データトラックは、それぞれ独自にFATファイルシステムを持つ。或いは、複数のデータトラックにわたって1つのFATファイルシステムを記録するようにもできる。
【0088】
3.ADIPセクタ/クラスタ構造とデータブロック
続いて、本発明の具体例として示す次世代MD1及び次世代MD2のADIPセクタ構造とデータブロックとの関係について図15を用いて説明する。従来のミニディスク(MD)システムでは、ADIPとして記録された物理アドレスに対応したクラスタ/セクタ構造が用いられている。本具体例では、説明の便宜上、ADIPアドレスに基づいたクラスタを「ADIPクラスタ」と記す。また、次世代MD1及び次世代MD2におけるアドレスに基づくクラスタを「レコーディングブロック(Recording Block)」あるいは「次世代MDクラスタ」と記す。
【0089】
次世代MD1及び次世代MD2では、データトラックは、図15に示すようにアドレスの最小単位であるクラスタの連続によって記録されたデータストリームとして扱われ、1レコーディングブロック(1次世代MDクラスタ)は、図15に示すように16セクタあるいは1/2ADIPクラスタにより構成されている。
【0090】
図15に示す1レコーディングブロック(1次世代MDクラスタ)のデータ構造としては、10フレームのプリアンブルと、6フレームのポストアンブルと、496フレームのデータ部とからなる512フレームから構成されている。さらにこのレコーディングブロック内の1フレームは、同期信号領域と、データ、BIS、DSVとからなる。
【0091】
また、1レコーディングブロックの512フレームのうち、有意のデータが記録される496フレームを16等分した各31フレームをアドレスユニット(Address Unit)とよぶ。また、このアドレスユニットの番号をアドレスユニットナンバ(Address Unit Number;AUN)とよぶ。このAUNは、全てのアドレスユニットに付される番号であって、記録信号のアドレス管理に使用される。
【0092】
次世代MD1のように、ADIPに記述された物理的なクラスタ/セクタ構造を有する従来ミニディスクに対して、1−7PP変調方式で変調された高密度データを記録する場合、ディスクに元々記録されたADIPアドレスと、実際に記録するデータブロックのアドレスとが一致しなくなるという問題が生じる。ランダムアクセスは、ADIPアドレスを基準として行われるが、ランダムアクセスでは、データを読み出す際、所望のデータが記録された位置近傍にアクセスしても、記録されたデータを読み出せるが、データを書き込む際には、既に記録されているデータを上書き消去しないように正確な位置にアクセスする必要がある。そのため、ADIPアドレスに対応付けした次世代MDクラスタ/次世代MDセクタからアクセス位置を正確に把握することが重要となる。
【0093】
そこで、次世代MD1の場合、媒体表面上にウォブルとして記録されたADIPアドレスを所定規則で変換して得られるデータ単位によって高密度データクラスタを把握する。この場合、ADIPセクタの整数倍が高密度データクラスタになるようにする。この考え方に基づいて、従来ミニディスクに記録された1ADIPクラスタに対して次世代MDクラスタを記述する際には、各次世代MDクラスタを1/2ADIPクラスタ区間に対応させる。
【0094】
したがって、次世代MD1では、従来のMDクラスタの1/2クラスタが最小記録単位(レコーディングブロック(Recording Block))として対応付けされている。
【0095】
一方、次世代MD2では、1クラスタが1レコーディングブロックとして扱われるようになっている。
【0096】
なお、本具体例では、前述したように、ホストアプリケーションから供給される2048バイト単位のデータブロックを1論理データセクタ(Logical Data Sector;LDS)とし、このとき同一レコーディングブロック中に記録される32個の論理データセクタの集合を論理データクラスタ(Logical Data Cluster;LDC)としている。
【0097】
以上説明したようなデータ構造とすることにより、次世代MDデータを任意位置へ記録する際、媒体に対してタイミングよく記録できる。また、ADIPアドレス単位であるADIPクラスタ内に整数個の次世代MDクラスタが含まれるようにすることによって、ADIPクラスタアドレスから次世代MDデータクラスタアドレスへのアドレス変換規則が単純化され、換算のための回路又はソフトウェア構成が簡略化できる。
【0098】
なお、図15では、1つのADIPクラスタに2つの次世代MDクラスタを対応付ける例を示したが、1つのADIPクラスタに3以上の次世代MDクラスタを配することもできる。このとき、1つの次世代MDクラスタは、16ADIPセクタから構成される点に限定されず、EFM変調方式とRLL(1−7)PP変調方式におけるデータ記録密度の差や次世代MDクラスタを構成するセクタ数、また1セクタのサイズ等に応じて設定することができる。
【0099】
続いて、ADIPのデータ構造に関して説明する。図16の(a)には、次世代MD2のADIPのデータ構造が示され、図16の(b)には、次世代MD1のADIPのデータ構造が示されている。
【0100】
次世代MD1では、同期信号と、ディスクにおけるクラスタ番号等を示すクラスタH(Cluster H)情報及びクラスタL(Cluster L)情報と、クラスタ内におけるセクタ番号等を含むセクタ情報(Secter)とが記述されている。同期信号は、4ビットで記述され、クラスタHは、アドレス情報の上位8ビットで記述され、クラスタLは、アドレス情報の下位8ビットで記述され、セクタ情報は、4ビットで記述される。また、後半の14ビットには、CRCが付加されている。以上、42ビットのADIP信号が各ADIPセクタに記録されている。
【0101】
また、次世代MD2では、4ビットの同期信号データと、4ビットのクラスタH(Cluster H)情報、8ビットのクラスタM(Cluster M)情報及び4びっとのクラスタL(Cluster L)情報と、4ビットのセクタ情報とが記述される。後半の18ビットには、BCHのパリティが付加される。次世代MD2でも同様に42ビットのADIP信号が各ADIPセクタに記録されている。
【0102】
ADIPのデータ構造では、上述したクラスタH(Cluster H)情報、クラスタM(Cluster M)及びクラスタL(Cluster L)情報の構成は、任意に決定できる。また、ここに他の付加情報を記述することもできる。例えば、図17に示すように、次世代MD2のADIP信号において、クラスタ情報を上位8ビットのクラスタH(Cluster H)と下位8ビットのクラスタL(Cluster L)とで表すようにし、下位8ビットで表されるクラスタLに替えて、ディスクコントロール情報を記述することもできる。ディスクコントロール情報としては、サーボ信号補正値、再生レーザパワー上限値、再生レーザパワー線速補正係数、記録レーザパワー上限値、記録レーザパワー線速補正係数、記録磁気感度、磁気−レーザパルス位相差、パリティ等があげられる。
【0103】
4.ディスクドライブ装置
図18及び図19を用いて、次世代MD1及び次世代MD2の記録再生に対応したディスクドライブ装置10の具体例について説明する。ここでは、ディスクドライブ装置10は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記す。)100と接続でき、次世代MD1及び次世代MD2をオーディオデータのほか、PC等の外部ストレージとして使用できる。
【0104】
ディスクドライブ装置10は、メディアドライブ部11と、メモリ転送コントローラ12と、クラスタバッファメモリ13と、補助メモリ14と、USBインターフェイス15,16と、USBハブ17と、システムコントローラ18と、オーディオ処理部19とを備える。
【0105】
メディアドライブ部11は、装填された従来ミニディスク、次世代MD1、及び次世代MD2等の個々のディスク90に対する記録/再生を行う。メディアドライブ部11の内部構成は、図19で後述する。
【0106】
メモリ転送コントローラ12は、メディアドライブ部11からの再生データやメディアドライブ部11に供給する記録データの送受制御を行う。クラスタバッファメモリ13は、メディアドライブ部11によってディスク90のデータトラックから高密度データクラスタ単位で読み出されたデータをメモリ転送コントローラ12の制御に基づいてバッファリングする。補助メモリ14は、メディアドライブ部11によってディスク90から読み出されたUTOCデータ、CATデータ、ユニークID、ハッシュ値等の各種管理情報や特殊情報をメモリ転送コントローラ12の制御に基づいて記憶する。
【0107】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16、USBハブ17を介して接続されたPC(パーソナルコンピュータ)70との間で通信可能とされ、このPC70との間の通信制御を行って、書込要求、読出要求等のコマンドの受信やステイタス情報、その他の必要情報の送信等を行うとともに、ディスクドライブ装置10全体を統括制御している。
【0108】
システムコントローラ18は、例えば、ディスク90がメディアドライブ部11に装填された際に、ディスク90からの管理情報等の読出をメディアドライブ部11に指示し、メモリ転送コントローラ12によって読み出されたPTOC、UTOC等の管理情報等を補助メモリ14に格納させる。
【0109】
システムコントローラ18は、これらの管理情報を読み込むことによって、ディスク90のトラック記録状態を把握できる。また、CATを読み込ませることにより、データトラック内の高密度データクラスタ構造を把握でき、PC70からのデータトラックに対するアクセス要求に対応できる状態となる。
【0110】
また、ユニークIDやハッシュ値により、ディスク認証処理及びその他の処理を実行したり、これらの値をPC70に送信し、PC70上でディスク認証処理及びその他の処理を実行させる。
【0111】
システムコントローラ18は、PC70から、あるFATセクタの読出要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行する旨の信号を与える。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
【0112】
このとき、システムコントローラ18は、クラスタバッファメモリ13に書き込まれている高密度データクラスタのデータから、要求されたFATセクタのデータを読み出す信号を与え、USBインターフェイス15,USBハブ17を介して、PC70に送信するための制御を行う。
【0113】
また、システムコントローラ18は、PC70から、あるFATセクタの書込要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行させる。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にこのFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合は、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
【0114】
また、システムコントローラ18は、PC70から送信されたFATセクタのデータ(記録データ)をUSBインターフェイス15を介してメモリ転送コントローラ12に供給し、クラスタバッファメモリ13上で該当するFATセクタのデータの書き換えを実行させる。
【0115】
また、システムコントローラ18は、メモリ転送コントローラ12に指示して、必要なFATセクタが書き換えられた状態でクラスタバッファメモリ13に記憶されている高密度データクラスタのデータを記録データとしてメディアドライブ部11に転送させる。このとき、メディアドライブ部11は、装着されている媒体が従来ミニディスクであればEFM変調方式で、次世代MD1又は次世代MD2であればRLL(1−7)PP変調方式で高密度データクラスタの記録データを変調して書き込む。
【0116】
なお、本具体例として示すディスクドライブ装置10において、上述した記録再生制御は、データトラックを記録再生する際の制御であり、MDオーディオデータ(オーディオトラック)を記録再生する際のデータ転送は、オーディオ処理部19を介して行われる。
【0117】
オーディオ処理部19は、入力系として、例えば、ライン入力回路/マイクロフォン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器、及びデジタルオーディオデータ入力部を備える。また、オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮エンコーダ/デコーダ、圧縮データのバッファメモリを備える。さらに、オーディオ処理部19は、出力系として、デジタルオーディオデータ出力部、D/A変換器及びライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備えている。
【0118】
ディスク90に対してオーディオトラックが記録されるのは、オーディオ処理部19にデジタルオーディオデータ(又は、アナログ音声信号)が入力される場合である。入力されたリニアPCMデジタルオーディオデータ、或いはアナログ音声信号で入力された後、A/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、ATRAC圧縮エンコードされ、バッファメモリに蓄積される。その後、所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でバッファメモリから読み出され、メディアドライブ部11に転送される。
【0119】
メディアドライブ部11では、転送された圧縮データをEFM変調方式又はRLL(1−7)PP変調方式で変調してディスク90にオーディオトラックとして書き込む。
【0120】
メディアドライブ部11は、ディスク90からオーディオトラックを再生する場合、再生データをATRAC圧縮データ状態に復調してオーディオ処理部19に転送する。オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、デジタルオーディオデータ出力部から出力する。或いは、D/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
【0121】
なお、この図18に示す構成は、一例であって、例えば、ディスクドライブ装置10をPC70に接続してデータトラックのみ記録再生する外部ストレージ機器として使用する場合は、オーディオ処理部19は、不要である。一方、オーディオ信号を記録再生することを主たる目的とする場合、オーディオ処理部19を備え、さらにユーザインターフェイスとして操作部や表示部を備えることが好適である。また、PC70との接続は、USBに限らず、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.:アメリカ電気・電子技術者協会)の定める規格に準拠した、いわゆるIEEE1394インターフェイスのほか、汎用の接続インターフェイスが適用できる。
【0122】
続いて、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するためのメディアドライブ部11の構成を図19を用いて、さらに詳細に説明する。
【0123】
メディアドライブ部11は、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するために、特に、記録処理系として、従来ミニディスクの記録のためのEFM変調・ACIRCエンコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の記録のためのRLL(1−7)PP変調・RS−LDCエンコードを実行する構成とを備える点が特徴的である。また、再生処理系として、従来ミニディスクの再生のためのEFM復調・ACIRCデコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の再生にPR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調・RS−LDCデコードを実行する構成を備えている点が特徴的である。
【0124】
メディアドライブ部11は、装填されたディスク90をスピンドルモータ21によってCLV方式又はZCAV方式にて回転駆動する。記録再生時には、このディスク90に対して、光学ヘッド22からレーザ光が照射される。
【0125】
光学ヘッド22は、記録時に記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には、磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド22は、レーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系及び反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド22に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向及びディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
【0126】
また、本具体例では、媒体表面の物理的仕様が異なる従来ミニディスク及び次世代MD1と、次世代MD2とに対して最大限の再生特性を得るために、両ディスクに対してデータ読取り時のビットエラーレートを最適化できる位相補償板を、光学ヘッド22の読取光光路中に設ける。
【0127】
ディスク90を挟んで光学ヘッド22と対向する位置には、磁気ヘッド23が配置されている。磁気ヘッド23は、記録データによって変調された磁界をディスク90に印加する。また、図示しないが光学ヘッド22全体及び磁気ヘッド23をディスク半径方向に移動させためのスレッドモータ及びスレッド機構が備えられている。
【0128】
このメディアドライブ部11では、光学ヘッド22、磁気ヘッド23による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ21によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。記録処理系としては、従来ミニディスクに対する記録時にEFM変調、ACIRCエンコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2に対する記録時にRLL(1−7)PP変調、RS−LDCエンコードを行う部位とが設けられる。
【0129】
また、再生処理系としては、従来ミニディスクの再生時にEFM変調に対応する復調及びACIRCデコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2の再生時にRLL(1−7)PP変調に対応する復調(PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調)、RS−LDCデコードを行う部位とが設けられる。
【0130】
光学ヘッド22のディスク90に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ24に供給される。RFアンプ24では、入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク90にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
【0131】
従来ミニディスクの再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、コンパレータ25、PLL回路26を介して、EFM復調部27及びACIRCデコーダ28で処理される。再生RF信号は、EFM復調部27で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、さらにACIRCデコーダ28で誤り訂正及びデインターリーブ処理される。オーディオデータであれば、この時点でATRAC圧縮データの状態となる。このとき、セレクタ29は、従来ミニディスク信号側が選択されており、復調されたATRAC圧縮データがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。この場合、図18のオーディオ処理部19に圧縮データが供給される。
【0132】
一方、次世代MD1又は次世代MD2の再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、A/D変換回路31、イコライザ32、PLL回路33、PRML回路34を介して、RLL(1−7)PP復調部35及びRS−LDCデコーダ36で信号処理される。再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部35において、PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得て、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。さらに、RS−LDCデコーダ36にて誤り訂正及びデインターリーブ処理される。
【0133】
この場合、セレクタ29は、次世代MD1・次世代MD2側が選択され、復調されたデータがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。このとき、図18のメモリ転送コントローラ12に対して復調データが供給される。
【0134】
RFアンプ24から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEは、サーボ回路37に供給され、グルーブ情報は、ADIPデコータ38に供給される。
【0135】
ADIPデコータ38は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIPアドレスを抽出する。抽出された、ディスク上の絶対アドレス情報であるADIPアドレスは、従来ミニディスク及び次世代MD1の場合であれば、MDアドレスデコーダ39を介し、次世代MD2の場合であれば、次世代MD2アドレスデコーダ40を介してシステムコントローラ41に供給される。
【0136】
システムコントローラ41では、各ADIPアドレスに基づいて、所定の制御処理を実行する。またグルーブ情報は、スピンドルサーボ制御のためにサーボ回路37に戻される。
【0137】
サーボ回路37は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVサーボ制御及びZCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
【0138】
またサーボ回路37は、スピンドルエラー信号や、上記のようにRFアンプ24から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、或いはシステムコントローラ41からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ42に対して出力する。すなわち、上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
【0139】
モータドライバ42では、サーボ回路37から供給されたサーボ制御信号に基づいて所定のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、2軸機構を駆動する2軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ21を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、ディスク90に対するフォーカス制御、トラッキング制御、及びスピンドルモータ21に対するCLV制御又はZCAV制御が行われる。
【0140】
ディスク90に対して記録動作が実行される際には、図18に示したメモリ転送コントローラ12から高密度データ、或いはオーディオ処理部19からの通常のATRAC圧縮データが供給される。
【0141】
従来ミニディスクに対する記録時には、セレクタ43が従来ミニディスク側に接続され、ACIRCエンコーダ44及びEFM変調部45が機能する。この場合、オーディオ信号であれば、オーディオ処理部19からの圧縮データは、ACIRCエンコーダ44でインターリーブ及びエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部45においてEFM変調される。EFM変調データがセレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことで変調されたデータが記録される。
【0142】
次世代MD1及び次世代MD1に対する記録時には、セレクタ43が次世代MD1・次世代MD2側に接続され、RS−LCDエンコーダ47及びRLL(1−7)PP変調部48が機能する。この場合、メモリ転送コントローラ12から送られた高密度データは、RS−LCDエンコーダ47でインターリーブ及びRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部48にてRLL(1−7)変調される。
【0143】
RLL(1−7)符号列に変調された記録データは、セレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータが記録される。
【0144】
レーザドライバ/APC49は、上記のような再生時及び記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。具体的には、図示しないが、光学ヘッド22内には、レーザパワーモニタ用のディテクタが設けられており、このモニタ信号がレーザドライバ/APC49にフィードバックされるようになっている。レーザドライバ/APC49は、モニタ信号として得られた現在のレーザパワーを予め設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることによって、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが設定値で安定化されるように制御している。ここで、レーザパワーは、システムコントローラ41によって、再生レーザパワー及び記録レーザパワーとしての値がレーザドライバ/APC49内部のレジスタにセットされる。
【0145】
システムコントローラ41は、システムコントローラ18からの指示に基づいて、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように各構成を制御する。なお、図19において一点鎖線で囲った各部は、1チップの回路として構成することもできる。
【0146】
ところで、ディスク90が図12のように、予めデータトラック記録領域とオーディオトラック記録領域とが分割して領域設定されている場合、システムコントローラ18は、記録再生するデータがオーディオトラックかデータトラックかに応じて、設定された記録領域に基づいたアクセスをメディアドライブ部11のシステムコントローラ41に指示することになる。
【0147】
また、装着されたディスク90に対して、PC用のデータ又はオーディオデータの何れか一方のみを記録許可し、これ以外のデータの記録を禁止する制御を行うようにもできる。すなわち、PC用のデータとオーディオデータとを混在しないように制御することもできる。
【0148】
したがって、本具体例として示すディスクドライブ装置10は、上述した構成を備えることにより、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2の間の互換性を実現できると共に、上述の実施の形態の如く、システムコントローラ41にて、ディスク90の偏心量を算出して記憶し、更に、ADIPデコータ38により抽出される現在アドレスでの偏心量及びトラックジャンプする予測される目標アドレスでの偏心量から、トラックジャンプ距離を補正した補正移動距離を算出し、サーボ回路37及びモータドライバ42により、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号をスレッドーモータの移動距離が補正移動距離となるように制御することにより、極めて精度が高いトラックジャンプを行うことができる。
【0149】
5.データトラックのセクタ再生処理
以下、上述したディスクドライブ装置10によって、次世代MD1及び次世代MD2に対する再生処理、記録処理について説明する。データ領域に対するアクセスでは、例えば、外部のPC70からディスクドライブ装置10のシステムコントローラ18に対して、USBインターフェイス16を経由して「論理セクタ(以下、FATセクタと記す。)」単位で記録又は再生する指示が与えられる。データクラスタは、図13に示したように、PC70からみれば、2048バイト単位に区切られてUSNの昇順にFATファイルシステムに基づいて管理されている。一方、ディスク90におけるデータトラックの最小書換単位は、それぞれ65,536バイトの大きさを有した次世代MDクラスタであり、この次世代MDクラスにタは、LCNが与えられている。
【0150】
FATにより参照されるデータセクタのサイズは、次世代MDクラスタよりも小さい。そのため、ディスクドライブ装置10では、FATにより参照されるユーザセクタを物理的なADIPアドレスに変換するとともに、FATにより参照されるデータセクタ単位での読み書きをクラスタバッファメモリ13を用いて、次世代MDクラスタ単位での読み書きに変換する必要がある。
【0151】
図20に、PC70からあるFATセクタの読出要求があった場合のディスクドライブ装置10におけるシステムコントローラ18における処理を示す。
【0152】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16を経由してPC70からのFATセクタ#nの読出命令を受信すると、指定されたFATセクタ番号#nのFATセクタが含まれる次世代MDクラスタ番号を求める処理を行う。
【0153】
まず、仮の次世代MDクラスタ番号u0を決定する。次世代MDクラスタの大きさは、65536バイトであり、FATセクタの大きさは、2048バイトであるため、1次世代MDクラスタのなかには、FATセクタは、32個存在する。したがって、FATセクタ番号(n)を32で整数除算(余りは、切り捨て)したもの(u0)が仮の次世代MDクラスタ番号となる。
【0154】
続いて、ディスク90から補助メモリ14に読み込んであるディスク情報を参照して、データ記録用以外の次世代MDクラスタ数uxを求める。すなわち、セキュアエリアの次世代MDクラスタ数である。
【0155】
上述したように、データトラック内の次世代MDクラスタのなかには、データ記録再生可能なエリアとして公開しないクラスタもある。そのため、予め補助メモリ14に読み込んでおいたディスク情報に基づいて、非公開のクラスタ数uxを求める。その後、非公開のクラスタ数uxを次世代MDクラスタ番号u0に加え、その加算結果uを実際の次世代MDクラスタ番号#uとする。
【0156】
FATセクタ番号#nを含む次世代MDクラスタ番号#uが求められると、システムコントローラ18は、クラスタ番号#uの次世代MDクラスタが既にディスク90から読み出されてクラスタバッファメモリ13に格納されているか否かを判別する。もし格納されていなければ、ディスク90からこれを読み出す。
【0157】
システムコントローラ18は、読み出した次世代MDクラスタ番号#uからADIPアドレス#aを求めることでディスク90から次世代MDクラスタを読み出している。
【0158】
次世代MDクラスタは、ディスク90上で複数のパーツに分かれて記録されることもある。したがって、実際に記録されるADIPアドレスを求めるためには、これらのパーツを順次検索する必要がある。そこでまず、補助メモリ14に読み出してあるディスク情報からデータトラックの先頭パーツに記録されている次世代MDクラスタ数pと先頭の次世代MDクラスタ番号pxとを求める。
【0159】
各パーツには、ADIPアドレスによってスタートアドレス/エンドアドレスが記録されているため、ADIPクラスタアドレス及びパーツ長から、次世代MDクラスタ数pと先頭の次世代MDクラスタ番号pxとを求めることができる。続いて、このパーツに、目的となっているクラスタ番号#uの次世代MDクラスタが含まれているか否かを判別する。含まれていなければ、次のパーツに移る。すなわち、注目していたパーツのリンク情報によって示されるパーツである。以上により、ディスク情報に記述されたパーツを順に検索していき、目的の次世代MDクラスタが含まれているパーツを判別する。
【0160】
目標の次世代MDクラスタ(#u)が記録されたパーツが発見されたら、このパーツの先頭に記録される次世代MDクラスタ番号pxと、目標の次世代MDクラスタ番号#uの差を求めることで、そのパーツ先頭から目標の次世代MDクラスタ(#u)までのオフセットを得る。
【0161】
この場合、1ADIPクラスタには、2つの次世代MDクラスタが書き込まれるため、このオフセットを2で割ることによって、オフセットをADIPアドレスオフセットfに変換することができる(f=(u−px)/2)。
【0162】
但し、0.5の端数が出た場合は、クラスタfの中央部から書き込むこととする。最後に、このパーツの先頭ADIPアドレス、すなわちパーツのスタートアドレスにおけるクラスタアドレス部分にオフセットfを加えることで、次世代MDクラスタ(#u)を実際に書き込む記録先のADIPアドレス#aを求めることができる。
【0163】
以上が、図20のステップS1において再生開始アドレス及びクラスタ長を設定する処理にあたる。なお、ここでは、従来ミニディスクか、次世代MD1か次世代MD2かの媒体の判別は、別の手法により、既に完了しているものとする。
【0164】
ADIPアドレス#aが求められると、システムコントローラ18は、メディアドライブ部11にADIPアドレス#aへのアクセスを命じる。これによりメディアドライブ部11では、システムコントローラ41の制御によってADIPアドレス#aへのアクセスが実行される。
【0165】
システムコントローラ18は、図20のステップS2において、アクセス完了を待機し、アクセスが完了したら、ステップS3において、光学ヘッド19が目標とする再生開始アドレスに到達するまで待機し、ステップS4において、再生開始アドレスに到達したことを確認すると、ステップS5において、メディアドライブ部11に次世代MDクラスタの1クラスタ分のデータ読取開始を指示する。
【0166】
メディアドライブ部11では、これに応じて、システムコントローラ41の制御により、ディスク90からのデータ読出を開始する。光学ヘッド19、RFアンプ24、RLL(1−7)PP復調部35、RS−LDCデコーダ36の再生系で読み出したデータを出力し、メモリ転送コントローラ12に供給する。
【0167】
このとき、システムコントローラ18は、ステップS6において、ディスク90との同期がとれているか否かを判別する。ディスク90との同期が外れている場合、ステップS7において、データ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。ステップS8において、再度読取りを実行すると判別された場合は、ステップS2からの工程を繰り返す。
【0168】
1クラスタ分のデータを取得すると、システムコントローラ18は、ステップS10において、取得したデータのエラー訂正を開始する。ステップS11において、取得したデータに誤りあれば、ステップS7に戻ってデータ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。また、取得したデータに誤りがなければ、ステップS12において、所定のクラスタを取得したか否かを判別する。所定のクラスタを取得していれば、一連の処理を終了し、システムコントローラ18は、このメディアドライブ部11による読出動作を待機し、読み出されてメモリ転送コントローラ12に供給されたデータをクラスタバッファメモリ13に格納させる。取得していない場合、ステップS6からの工程を繰り返す。
【0169】
クラスタバッファメモリ13に読み込まれた次世代MDクラスタの1クラスタ分のデータは、複数個のFATセクタを含んでいる。そのため、この中から要求されたFATセクタのデータ格納位置を求め、1FATセクタ(2048バイト)分のデータをUSBインターフェイス15から外部のPC70へと送出する。具体的には、システムコントローラ18は、要求されたFATセクタ番号#nから、このセクタが含まれる次世代MDクラスタ内でのバイトオフセット#bを求める。そして、クラスタバッファメモリ13内のバイトオフセット#bの位置から1FATセクタ(2048バイト)分のデータを読み出させ、USBインターフェイス15を介してPC70に転送する。
【0170】
以上の処理により、PC70からの1FATセクタの読出要求に応じた次世代MDセクタの読み出し・転送が実現できる。
【0171】
6.データトラックのセクタ書込処理
次に、PC70からあるFATセクタの書込要求があった場合のディスクドライブ装置10におけるシステムコントローラ18の処理を図21に基づいて説明する。
【0172】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16を経由してPC70からのFATセクタ#nの書込命令を受信すると、上述したように指定されたFATセクタ番号#nのFATセクタが含まれる次世代MDクラスタ番号を求める。
【0173】
FATセクタ番号#nを含む次世代MDクラスタ番号#uが求められると、続いて、システムコントローラ18は、求められたクラスタ番号#uの次世代MDクラスタが既にディスク90から読み出されてクラスタバッファメモリ13に格納されているか否かを判別する。格納されていなければ、ディスク90からクラスタ番号uの次世代MDクラスタを読み出す処理を行う。すなわち、メディアドライブ部11にクラスタ番号#uの次世代MDクラスタの読出を指示し、読み出された次世代MDクラスタをクラスタバッファメモリ13に格納させる。
【0174】
また、上述のようにして、システムコントローラ18は、書込要求にかかるFATセクタ番号#nから、このセクタが含まれる次世代MDクラスタ内でのバイトオフセット#bを求める。続いて、PC70から転送されてくる当該FATセクタ(#n)への書込データとなる2048バイトのデータをUSBインターフェイス15を介して受信し、クラスタバッファメモリ13内のバイトオフセット#bの位置から、1FATセクタ(2048バイト)分のデータを書き込む。
【0175】
これにより、クラスタバッファメモリ13に格納されている当該次世代MDクラスタ(#u)のデータは、PC70が指定したFATセクタ(#n)のみが書き換えられた状態となる。そこでシステムコントローラ18は、クラスタバッファメモリ13に格納されている次世代MDクラスタ(#u)をディスク90に書き込む処理を行う。
【0176】
以上が、図21のステップS21における記録データ準備工程である。この場合も同様に、媒体の判別は、別の手法により既に完了しているものとする。
【0177】
続いて、システムコントローラ18は、図21のステップS22において、書込を行う次世代MDクラスタ番号#uから、記録開始位置のADIPアドレス#aを設定する。ADIPアドレス#aが求められたら、システムコントローラ18は、メディアドライブ部11にADIPアドレス#aへのアクセスを命じる。これによりメディアドライブ部11では、システムコントローラ41の制御によってADIPアドレス#aへのアクセスが実行される。
【0178】
ステップS23において、アクセスが完了したことを確認すると、ステップS24において、システムコントローラ18は、光学ヘッド19が目標とする再生開始アドレスに到達するまで待機し、ステップS25において、データのエンコードアドレスに到達したことを確認すると、ステップS26において、システムコントローラ18は、メモリ転送コントローラ12に指示して、クラスタバッファメモリ13に格納されている次世代MDクラスタ(#u)のデータのメディアドライブ部11への転送を開始する。
【0179】
続いて、システムコントローラ18は、ステップS27において、記録開始アドレスに到達したことを確認すると、メディアドライブ部11に対しては、ステップS28において、この次世代MDクラスタのデータのディスク90への書込開始を指示する。このとき、メディアドライブ部11では、これに応じてシステムコントローラ41の制御により、ディスク90へのデータ書込を開始する。すなわち、メモリ転送コントローラ12から転送されてくるデータについて、RS−LDCエンコーダ47、RLL(1−7)PP変調部48、磁気ヘッドドライバ46、磁気ヘッド23及び光学ヘッド19の記録系でデータ記録を行う。
【0180】
このとき、システムコントローラ18は、ステップS29において、ディスク90との同期がとれているか否かを判別する。ディスク90との同期が外れている場合、ステップS30において、データ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。ステップS31において、再度読取りを実行すると判別された場合は、ステップS2からの工程を繰り返す。
【0181】
1クラスタ分のデータを取得すると、システムコントローラ18は、ステップS32において、所定のクラスタを取得したか否かを判別する。所定のクラスタを取得していれば、一連の処理を終了する。
【0182】
以上の処理により、PC70からの1FATセクタの書込要求に応じた、ディスク90へのFATセクタデータの書込が実現される。つまり、FATセクタ単位の書込は、ディスク90に対しては、次世代MDクラスタ単位の書換として実行される。
【0183】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明に係る光ディスク装置は、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置において、上記ディスクを回転する回転手段と、光ビームを使用して、上記ディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光検出手段と、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出手段と、上記ディスク偏心量算出手段により算出された上記偏心量を記憶する記憶手段と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出手段と、上記トラックジャンプの際に上記光検出手段を移動する移動手段と、上記補正移動距離に基づき上記移動手段を制御する制御手段とを有するので、ディスクの回転角に応じて、ディスクをドライブ装置に固定するときに発生する機械的ずれやディスクそのものが有する中心ずれによって発生するディスクの偏心量を求め、このディスク偏心量から、スレッドアクチュエータを使用してトラックジャンプする移動距離を補正するため、ディスクに偏心があっても極めて正確にトラックジャンプすることができる。
【0184】
本発明に係る光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法は、光ビームを使用してディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光学検出手段により、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法において、上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出工程と、上記光ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出工程と、上記トラックジャンプの際に上記補正移動距離に基づき上記光検出手段を移動する移動工程とを有するので、光ディスク装置においてスレッドアクチュエータを用いたトラックジャンプ動作を行う場合、ディスク回転用モータの回転角に応じたディスクの偏心量で移動距離を補正した後、この補正移動距離に基づきトラックジャンプを行うよう制御するため、トラックジャンプの精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における光ディスク装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における偏心量サンプル開始処理の方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態におけるスピンドルモータFG割り込み処理の方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態におけるトラックジャンプ処理の方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるスレッドアクチュエータによるトラックジャンプ処理の方法を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態におけるスレッドアクチュエータFG割り込み処理の方法を示すフローチャートである。
【図7】第1世代(既存)MD、次世代MD1、次世代MD2の仕様を示す図である。
【図8】次世代MD1及び次世代MD2のBISを含むデータブロック構成を示す図である。
【図9】次世代MD1及び次世代MD2のデータブロックに対するECCフォーマットを示す図である。
【図10】次世代MD1の盤面上のエリア構造例を模式的に示した図である。
【図11】次世代MD2の盤面上のエリア構造例を模式的に示した図である。
【図12】次世代MD1及び次世代MD2に音楽データ用のオーディオトラックとデータトラックとを混在記録可能とするエリア構造例を示した図である。
【図13】次世代MD1のデータ管理構造を示した図である。
【図14】次世代MD2のデータ管理構造を示した図である。
【図15】次世代MD1及び次世代MD2のADIPセクタ構造とデータブロックとの関係を示す図である。
【図16】ADIPのデータ構造を示す図である。
【図17】次世代MD2のADIP信号にディスクコントロール信号を埋め込む処理を説明するための図である。
【図18】ディスクドライブ装置の構成を示すブロック図である。
【図19】メディアドライブ部の内部構成を示すブロック図である。
【図20】PCからあるFATセクタの読出要求があった場合のディスクドライブ装置におけるシステムコントローラにおける処理を示すフローチャートである。
【図21】PCからあるFATセクタの書込要求があった場合のディスクドライブ装置におけるシステムコントローラの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
201 ディスク、202 スピンドルモータ、203 光ピックアップ光学部、203a 対物レンズ、204 光検出部、205 トラキングアクチュエータ、206 スレッドアクチュエータ、207 トラッキングエラーアンプ、208 トラックカウント回路、209 アクチュエータドライバ、210 スレッドドライバ、211 システムマイコン、211a メモリ
Claims (12)
- 光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置において、
上記ディスクを回転する回転手段と、
光ビームを使用して、上記ディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光検出手段と、
上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出手段と、
上記ディスク偏心量算出手段により算出された上記偏心量を記憶する記憶手段と、
上記ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出手段と、
上記トラックジャンプの際に上記光検出手段を移動する移動手段と、
上記補正移動距離に基づき上記移動手段を制御する制御手段と
を有することを特徴とする光ディスク装置。 - 上記回転手段は、上記ディスクの回転角に対応するパルスを発生するパルス発生手段を有し、
上記ディスク偏心量算出手段は、上記パルスが供給され上記ディスクの回転角に対応する上記偏心量を算出する
ことを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。 - 上記制御手段は、上記ディスクの上記補正移動距離を上記パルス発生手段にて発生する上記パルスの数に換算し、換算されたパルス数のパルスが発生する間上記光検出手段を移動するよう上記移動手段を制御する
ことを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。 - 上記補正移動距離算出手段は、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量を使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。 - 上記補正移動距離算出手段は、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量と、上記移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量とを使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。 - 上記補正移動距離算出手段は、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量を使用して上記移動距離から第1の補正移動距離を算出し、該第1の補正移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量を使用して上記第1の補正移動距離から第2の補正移動距離を算出する
ことを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。 - 光ビームを使用してディスクにデータを記録し、上記ディスクに記録されたデータを読み取る光学検出手段により、光学的にディスクの再生又は記録再生を行う光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法において、
上記ディスクの偏心量を求めるディスク偏心量算出工程と、
上記ディスク上の現在のアドレスとトラックジャンプする目標のアドレスとの間の移動距離を上記偏心量に基づき補正した補正移動距離を算出する補正移動距離算出工程と、
上記トラックジャンプの際に上記補正移動距離に基づき上記光検出手段を移動する移動工程と
を有することを特徴とする光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法。 - 上記ディスク偏心量算出工程では、上記ディスクを回転する回転手段から該ディスクの回転角に対応するパルスが供給され上記ディスクの回転角に対応する上記偏心量を算出する
ことを特徴とする請求項7記載の光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法。 - 上記移動工程では、上記ディスクの上記補正移動距離を上記パルスの数に換算し、換算されたパルス数のパルスが発生する間上記光検出手段を移動する
ことを特徴とする請求項8記載の光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法。 - 上記補正移動距離算出工程では、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量を使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出する
ことを特徴とする請求項8記載の光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法。 - 上記補正移動距離算出工程では、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量と、上記移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量とを使用して上記移動距離から上記補正移動距離を算出する
ことを特徴とする請求項8記載の光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法。 - 上記補正移動距離算出工程では、上記現在のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第1の偏心量を使用して上記移動距離から第1の補正移動距離を算出し、該第1の補正移動距離から予測される上記目標のアドレスに対応する上記ディスクの回転角での第2の偏心量を使用して上記第1の補正移動距離から第2の補正移動距離を算出する
ことを特徴とする請求項8記載の光ディスク装置のトラックジャンプ制御方法。
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JP2002190905A JP2004039026A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 光ディスク装置及びそのトラックジャンプ制御方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN103310810A (zh) * | 2012-03-15 | 2013-09-18 | 莱福科技(中国)有限公司 | 轨迹读取系统及轨迹解码方法 |
CN108602237A (zh) * | 2016-02-15 | 2018-09-28 | 富士胶片株式会社 | 聚酯薄膜及其制造方法、硬涂膜及其制造方法、图像显示装置以及触摸面板 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002190905A patent/JP2004039026A/ja not_active Withdrawn
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CN108602237A (zh) * | 2016-02-15 | 2018-09-28 | 富士胶片株式会社 | 聚酯薄膜及其制造方法、硬涂膜及其制造方法、图像显示装置以及触摸面板 |
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