JP3918627B2 - サーボ制御装置、サーボ制御方法、並びにディスク記録及び/又は再生装置 - Google Patents

サーボ制御装置、サーボ制御方法、並びにディスク記録及び/又は再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ウォブリングされたグルーブ及びランドを記録面に交互に配置し、前記グルーブ及び/又はランドからなるウォブルトラックにデータが記録される光ディスクに対するサーボ制御を行うためのサーボ制御装置及びサーボ制御方法、並びに前記サーボ制御装置を備えた光ディスク記録及び/再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、直径を略64mmとなし、例えば楽音信号で74分以上の記録を可能となす記憶容量を備えている、小径の光ディスクが広く知られるようになった。この小径の光ディスクは、ミニディスクMD(登録商標)と呼ばれ、ピットによりデータが記録されている再生専用型と、光磁気記録(MO)方式によりデータが記録されており再生も可能な記録再生型の2種類がある。以下の説明は、記録再生型の小径光ディスク(以下、光ディスクという)に関する。前記光ディスクは記録容量を上げるため、トラックピッチや、記録レーザ光の記録波長或いは対物レンズのNA等が改善されてきている。
【0003】
トラックピッチ1.6μmでグルーブ記録、また変調方式がEFMである、初期の光ディスクを以下には第1世代MDと記す。この第1世代MDの物理フォーマットは、以下のように定められている。トラックピッチは、前述したように、1.6μm、ビット長は、0.59μm/bitとなる。また、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45としている。記録方式としては、グルーブ(ディスク盤面上の溝)をトラックとして記録再生に用いるグルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式は、ディスク盤面上にシングルスパイラルのグルーブを形成し、このグルーブの両側に対してアドレス情報としてのウォブル(Wobble)を形成したウォブルドグルーブを利用する方式を採っている。なお、本明細書では、ウォブリングにより記録される絶対アドレスをADIP(Address in Pregroove)ともいう。
【0004】
前記第1世代MDのような従来のミニディスクは、記録データの変調方式として、EFM(8−14変換)変調方式を採用している。また、誤り訂正方式としては、ACIRC(Advanced Cross Interleave Reed-Solomon Code)を用いている。また、データインターリーブには、畳み込み型を採用している。これにより、データの冗長度は、46.3%となっている。
【0005】
また、第1世代MDにおけるデータの検出方式は、ビットバイビット方式であって、ディスク駆動方式としては、CLV(Constant Linear Verocity)が採用されている。CLVの線速度は、1.2m/sである。
【0006】
記録再生時の標準のデータレートは、133kB/s、記録容量は、164MB(MD−DATAでは、140MB)である。また、データの最小書換単位(クラスタ)は、32個のメインセクタと4個のリンクセクタによる36セクタで構成されている。
【0007】
さらに、近年では、第1世代MDよりもさらに記録容量を上げた次世代MDが開発されつつある。この場合、従来の媒体(ディスクやカートリッジ)はそのままに、変調方式や、論理構造などを変更してユーザエリア等を倍密度にし、記録容量を例えば300MBに増加したMD(以下、次世代MD1という)が考えられる。記録媒体の物理的仕様は、同一であり、トラックピッチは、1.6μm、レーザ波長λは、λ=780nmであり、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45である。記録方式としては、グルーブ記録方式を採用している。また、アドレス方式は、ADIPを利用する。このように、ディスクドライブ装置における光学系の構成やADIPアドレス読出方式、サーボ処理は、従来のミニディスク(第1世代MD)と同様である。
【0008】
また、さらに、前記次世代MD1に比してさらに記録容量を増加したMD(次世代MD2)が、外形、光学系は互換性を保ちながらも、トラックピッチを1.25μmに狭め、かつ例えば前記グルーブから磁壁移動検出(Domain Wall Displacement Detection:DWDD)によって記録マークを検出する技術等を取り入れて開発されようとしている。
【0009】
ところで、前記DWDDを利用して記録容量を増加した次世代MD2を前記第1世代MDや、次世代MD1と同じように線速度一定(Constant Linear Velocity:CLV)で回転駆動して再生しようとすると、マークに比して再生スポットが大きいので、トラッキングオフセットによる影響が大きくでてしまう。トラッキングオフセットが少しでも生ずると、トラックピッチが狭いため隣接トラックからのマークも拾ってしまい読み出しの特性が非常に悪くなってしまう虞があるためである。
【0010】
すなわち、次世代MD2のようなトラックピッチをより狭くし、DWDDにより超解像再生をするような光ディスクにおいては、トラッキングオフセット、デトラックに対して非常に厳密に対応しなければならない。
【0011】
しかし、図33に次世代MD2(500)のグルーブ501のウォブルの位相を示すように、隣接のグルーブ間でウォブルを揃えないと、CLV制御である場合、トラック1周毎に図34(a)、(b)に示すようにトラックのキャリア周波数が小さくずれていき、ADIPの位相もずれていくことになる。次世代MD2は、他のMDと同様に1スポットにて検出されるプッシュプル信号PPを検出してトラッキングエラー信号としているが、図35に示すように、プッシュプル信号には数ヘルツの低周波成分がビート成分として現れてしまう。このビート成分は、ウォブルプッシュプル信号WPPにも乗ってしまう(図36)。このWPP信号は、光ディスクの記録面に記録/再生用に照射された光が記録面上で形成したスポットをウォブルトラックにトラッキングさせたときに、トラックがウォブルしていることにより発生するオフセット分をキャンセルするために用いられる補正信号であり、フォトディテクタ上のスポットの移動量から検出できる。この補正信号であるウォブルプッシュプル信号を用いてウォブルトラックに対するスポットのトラッキングを制御するサーボがサーボ手段によって行われる。スポットの視野サーボ、あるいはWPPサーボと呼ばれるものである。
【0012】
したがって、図36に示す程の大きなビート成分が乗っているWPP信号を用いると、次世代MD2はデトラックが避けられない状態となってしまう。
【0013】
そこで、本件出願人は、特願2002−098044にて、前記次世代MD2のように、トラックピッチをより狭くし、DWDDにより超解像再生をするような光ディスクにおいては、前記プッシュプル信号に低周波成分を乗せることのないようにするために、光ディスクの信号記録面を同芯円状にゾーン化し、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数を同数とする技術を開示した。このゾーン化により、ADIPのキャリアの波数が同じになるので、WPP信号は前記図36に示す程には大きくならなくなった。また、同じゾーン内では、CAV再生になるが、記録/再生装置にあっては、ADIPのキャリアを一定にしようとしてスピンドルモータを回転駆動しているだけなので、スピンドルモータをCLV制御しているのと同じことになる。以下、このようなディスク駆動方式をZ(ゾーン)CAV方式と称し、この方式が適用される光ディスクをZCAV適用光ディスクと称する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記ZCAV適用光ディスクのようにゾーニングされた光ディスクを使う場合、ゾーンとゾーンの境界が必ず存在し、その境界ではウォブルの持つキャリア周波数が変化するので、前記WPPを用いたトラッキング時の、スポットの移動量を補正するための視野サーボ(WPPサーボ)やCLVサーボが安定しないという問題が存在する。前記ZCAV適用光ディスク等のゾーニングされた光ディスクにおいて視野サーボやCLVサーボが安定せず、正常にかけることができないと、スムーズな再生、記録、消去ができなくなる。
【0015】
そこで、本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、ゾーニングされた光ディスクに対しても視野サーボやCLVサーボを正常にかけることができ、ゾーンの境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去を可能にすることができるサーボ制御装置及びサーボ制御方法の提供を目的とする。
【0016】
また、本発明は、ゾーニングされた光ディスクに対しても視野サーボやCLVサーボを正常にかけることができ、ゾーンの境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去を可能にする記録及び/再生装置の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るサーボ制御装置は、前記課題を解決するために、ウォブリングされたグルーブ及びランドを記録面に交互に配置し、前記グルーブ及び/又はランドからなるウォブルトラックにデータが記録される光ディスクであり、かつ前記記録面が同芯円状にゾーン化され、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数を同数としている光ディスクに対するサーボ制御を行うためのサーボ制御装置であって、前記記録面に記録/再生用に照射された光が前記記録面上で形成したスポットの戻り光より得られた光量の検出信号から、前記ウォブルトラックに前記スポットをトラッキングさせるときのウォブルによるオフセット分をスポットの移動量により補正するための補正信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段が生成した前記補正信号を用いて前記ウォブルトラックに対する前記スポットのトラッキングを制御するサーボ手段と、前記スポットが前記記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記信号生成手段による前記補正信号の生成をホールドさせ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記信号生成手段による前記補正信号の生成を再開させる制御手段とを備える。
【0018】
スポットが記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過したことを制御手段が検出すると、制御手段は信号生成手段による補正信号の生成をホールドさせ、スポットが次のゾーンに入ったことを検出すると、信号生成手段による補正信号の生成を再開させる。サーボ手段は信号生成手段が生成した補正信号を用いてウォブルトラックに対するスポットのトラッキングを制御する。よって、制御手段が補正信号の生成をホールドしたとき、サーボ手段は補正信号を用いたトラッキングをホールドし、補正信号を用いないトラッキングを行うことになる。
【0019】
本発明に係るサーボ制御方法は、前記課題を解決するために、ウォブリングされたグルーブ及びランドを記録面に交互に配置し、前記グルーブ及び/又はランドからなるウォブルトラックにデータが記録される光ディスクであり、かつ前記記録面が同芯円状にゾーン化され、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数を同数としている光ディスクに対するサーボ制御を行うためのサーボ制御方法であって、前記記録面に記録/再生用に照射された光が前記記録面上で形成したスポットの戻り光より得られた光量の検出信号から、前記ウォブルトラックに前記スポットをトラッキングさせるときのウォブルによるオフセット分をスポットの移動量により補正するための補正信号を生成する信号生成工程と、前記信号生成工程が生成した前記補正信号を用いて前記ウォブルトラックに対する前記スポットのトラッキングを制御するサーボ工程と、前記スポットが前記記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記信号生成工程による前記補正信号の生成をホールドさせ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記信号生成工程による前記補正信号の生成を再開させる制御工程とを備える。
【0020】
スポットが記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過したことを制御工程が検出すると、制御工程は信号生成工程による補正信号の生成をホールドさせ、スポットが次のゾーンに入ったことを検出すると、信号生成工程による補正信号の生成を再開させる。サーボ工程は信号生成工程が生成した補正信号を用いてウォブルトラックに対するスポットのトラッキングを制御する。よって、制御工程が補正信号の生成をホールドしたとき、サーボ工程は補正信号を用いたトラッキングをホールドし、補正信号を用いないトラッキングを行うことになる。
【0021】
本発明に係るディスク記録及び/又は再生装置は、前記課題を解決するために、ウォブリングされたグルーブ及びランドを記録面に交互に配置し、前記グルーブ及び/又はランドからなるウォブルトラックにデータが記録される光ディスクであり、かつ前記記録面が同芯円状にゾーン化され、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数を同数としている光ディスクに対してデータを記録及び/又は記録するディスク記録及び/又は再生装置であって、前記ディスクの記録面に記録/再生用の光を出射し、当該光を前記ウォブルトラックに集束し、前記記録面上で形成されたスポットの戻り光より得られた光量を検出する光学ヘッド手段と、前記光学ヘッド手段の前記光量の検出信号から、前記ウォブルトラックに前記スポットをトラッキングさせるときのウォブルによるオフセット分をスポットの移動量により補正するための補正信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段が生成した前記補正信号を用いて前記ウォブルトラックに対する前記スポットのトラッキングを制御するサーボ手段と、前記スポットが前記記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記信号生成手段による前記補正信号の生成をホールドさせ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記信号生成手段による前記補正信号の生成を再開させる制御手段とを有するサーボ制御手段とを備える。
【0022】
サーボ制御手段では、スポットが記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過したことを制御手段が検出すると、制御手段は信号生成手段による補正信号の生成をホールドさせ、スポットが次のゾーンに入ったことを検出すると、信号生成手段による補正信号の生成を再開させる。サーボ手段は信号生成手段が生成した補正信号を用いてウォブルトラックに対するスポットのトラッキングを制御する。よって、制御手段が補正信号の生成をホールドしたとき、サーボ手段は補正信号を用いたトラッキングをホールドし、補正信号を用いないトラッキングを行うことになる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
この実施の形態は、ZCAV適用光ディスクのようなゾーニングされた次世代MD2に対して情報信号を記録/再生する光ディスク記録再生装置である。なお、この実施の形態は一例であって、次世代MD2に情報信号を記録するだけの光ディスク記録装置や、次世代MD2から情報信号を再生するだけの光ディスク再生装置にも、本発明を適用可能であるのはいうまでもない。
【0030】
次世代MD2は、トラックピッチが例えば1.25μmとされ、DWDDにより超解像再生が成される光磁気ディスクである。この光磁気ディスクは、ディスクの信号記録面が同芯円状にゾーン化され、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数が同数とされている。このゾーン化により、ADIPのキャリアの波数が同じになるので、ウォブルプッシュプルWPP信号には低周波成分が乗らない。このウォブルプッシュプル信号WPPは、光ディスクの記録面に記録/再生用に照射された光が記録面上で形成したスポットをウォブルトラックにトラッキングさせたときに、トラックがウォブルしていることにより発生するオフセット分をキャンセルするために用いられる補正信号であり、後述するようにフォトディテクタ上のスポットの移動量から検出できる。
【0031】
また、ゾーン化された光磁気ディスクにおいては、同じゾーン内で、CAV再生になるが、記録再生装置にあっては、ADIPのキャリアを一定にしようとしてスピンドルモータを回転駆動しているだけなので、スピンドルモータをCLV制御しているのと同じことになる。
【0032】
そして、光ディスク記録再生装置は、次世代MD2に対してデータを記録/再生するときには、ゾーンを跨いでも視野サーボ(WPPサーボ)やCLVサーボを正常にかけるために、本発明のサーボ制御装置及び方法の具体例となるサーボ制御装置を備える。このサーボ制御装置については後述する。
【0033】
先ず、光ディスク記録再生装置は、図1に示すように、装着された次世代MD2(200)をスピンドルモータ401によってZCAV方式にて回転駆動する。記録再生時には、この次世代MD2(200)に対して、光学ヘッド402からレーザ光が照射される。
【0034】
光学ヘッド402は、記録時に記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド402は、レーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系及び反射光を検出するためのディテクタを搭載している。光学ヘッド402に備えられる対物レンズは、例えば2軸機構によってディスク半径方向及びディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。
【0035】
次世代MD2を挟んで光学ヘッド402と対向する位置には、磁気ヘッド403が配置されている。磁気ヘッド403は、記録データによって変調された磁界を次世代MD2に印加する。また、図示しないが光学ヘッド402全体及び磁気ヘッド403をディスク半径方向に移動させためのスレッドモータ及びスレッド機構がメカデッキとして備えられている。
【0036】
この光ディスク記録再生装置では、光学ヘッド402、磁気ヘッド403による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ401によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。記録処理系としては、次世代MD2に対する記録時にRLL(1−7)PP変調、RS−LDCエンコードを行う部位が設けられる。
【0037】
また、再生処理系としては、次世代MD2の再生時にRLL(1−7)PP変調に対応する復調(PR(1,−1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調)、RS−LDCデコードを行う部位とが設けられる。
【0038】
光学ヘッド402の次世代MD2に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ404に供給される。RFアンプ404では、入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(次世代MD2にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
【0039】
次世代MD2の再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、A/D変換回路405、イコライザ406、PLL回路407、PRML回路408を介して、RLL(1−7)PP復調部409及びRS−LDCデコーダ410で信号処理される。再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部409において、PR(1,−1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得て、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。さらに、RS−LDCデコーダ410にて誤り訂正及びデインターリーブ処理される。そして、復調されたデータが次世代MD2からの再生データとしてデータバッファ415に出力される。
【0040】
RFアンプ404から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE等は、サーボ回路411に供給され、グルーブ情報は、ADIPデコータ413に供給される。
【0041】
ADIPデコータ413は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIPアドレスを抽出する。抽出された、ディスク上の絶対アドレス情報であるADIPアドレスは、次世代MD2アドレスとされてシステムコントローラ414に供給される。
【0042】
システムコントローラ414では、ADIPアドレスに基づいて、所定の制御処理を実行する。また、システムコントローラ414は、光学ヘッド402より前記ディスクの記録面に照射されたレーザ光が形成するスポットが、ゾーンを跨ぐときに、WPPサーボの状態を、前記スポットの位置に応じて変化させる。また、システムコントローラ414は、グルーブ情報に基づいてスピンドルサーボを制御する。
【0043】
サーボ回路411は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、ZCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。このスピンドルエラー信号によるZCAV制御については後述する。
【0044】
またサーボ回路411は、スピンドルエラー信号や、上記のようにRFアンプ404から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、或いはシステムコントローラ414からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ412に対して出力する。すなわち、上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
【0045】
モータドライバ412では、サーボ回路411から供給されたサーボ制御信号に基づいて所定のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、2軸機構を駆動する2軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ401を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、次世代MD2に対するフォーカス制御、トラッキング制御、及びスピンドルモータ401に対するZCAV制御が行われる。
【0046】
次世代MD2に対して記録動作が実行される際には、図示しないメモリ転送コントローラから高密度データ、或いはオーディオ処理部からの通常のATRAC圧縮データが供給される。
【0047】
次世代MD2に対する記録時には、RS−LCDエンコーダ416及びRLL(1−7)PP変調部417が機能する。この場合、高密度データは、RS−LCDエンコーダ416でインターリーブ及びRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部417にてRLL(1−7)変調される。
【0048】
RLL(1−7)符号列に変調された記録データは、磁気ヘッドドライバ418に供給され、磁気ヘッド403が次世代MD2に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータが記録される。
【0049】
レーザドライバ/APC419は、上記のような再生時及び記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。具体的には、図示しないが、光学ヘッド402内には、レーザパワーモニタ用のディテクタが設けられており、このモニタ信号がレーザドライバ/APC419にフィードバックされるようになっている。レーザドライバ/APC419は、モニタ信号として得られた現在のレーザパワーを予め設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることによって、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが設定値で安定化されるように制御している。ここで、レーザパワーは、システムコントローラ414によって、再生レーザパワー及び記録レーザパワーとしての値がレーザドライバ/APC419内部のレジスタにセットされる。
【0050】
システムコントローラ414は、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように各構成を制御する。
【0051】
以上に説明した各部のうち、RFアンプ404と、ADIP復調+復号部413と、サーボ回路411と、モータドライバ412と、システムコントローラ414によって、本発明のサーボ制御装置の具体例が構成される。このサーボ制御装置の具体例についての詳細は後述する。
【0052】
次に、次世代MD2のような光ディスク200のゾーンzone化フォーマットについて説明しておく。図2に示す光ディスク200にあっては、光ディスクをゾーンZからゾーンZ27までの28ゾーンに分けている。そして、ゾーン内における複数のグルーブ201(ランド202と相互にディスク基盤203上に形成されている)において、図3に示すように、ウォブルの波の山と谷が同一方向に向くように形成している。これによりグルーブ間ではウォブルの波数が図4の(a)、(b)に示すように同じになる。すなわち、ADIPのキャリアの波数を同じにする。これにより平均的にインフェーズ(inphase)とアウトフェーズ(Outphase)を合わせることができ、WPP信号は図8に示すように前記図36に比して、ビート成分の乗らない安定した信号となる。
【0053】
また、この光ディスク200は、同じゾーン内では、CAV再生になるが、記録/再生装置にあっては、スピンドルモータを従来通りに制御してCLVによりディスクを回転駆動するのと同じように見える。
【0054】
ここで、次世代MD2について説明しておく。次世代MD2は、例えば、磁壁移動検出方式(DWDD:Domain Wall Displacement Detection)等の高密度化記録技術を適用した記録媒体であって、上述した従来ミニディスク及び次世代MD1とは、物理フォーマットが異なっている。次世代MD2は、トラックピッチが1.25μm、ビット長が0.16μm/bitであり、線方向に高密度化されている。
【0055】
また、従来ミニディスク及び次世代MD1との互換を採るため、光学系、読出方式、サーボ処理等は、従来の規格に準じて、レーザ波長λは、λ=780nm、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45とする。記録方式は、グルーブ記録方式、アドレス方式は、ADIPを利用した方式とする。また、筐体外形も従来ミニディスク及び次世代MD1と同一規格とする。
【0056】
但し、従来ミニディスク及び次世代MD1と同等の光学系を用いて、上述のように従来より狭いトラックピッチ及び線密度(ビット長)を読み取る際には、デトラックマージン、ランド及びグルーブからのクロストーク、ウォブルのクロストーク、フォーカス漏れ、CT信号等における制約条件を解消する必要がある。そのため、次世代MD2では、グルーブの溝深さ、傾斜、幅等を変更した点が特徴的である。具体的には、グルーブの溝深さを160nm〜180nm、傾斜を60°〜70°、幅を600nm〜800nmの範囲と定める。
【0057】
また、次世代MD2は、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。データインターリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。またデータの検出方式は、PR(1,−1)MLによるビタビ復号方式を用いる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成されている。
【0058】
ディスク駆動方式には、ZCAV方式を用い、その線速度は、2.0m/sとする。記録再生時の標準データレートは、9.8MB/sである。したがって、次世代MD2では、DWDD方式及びこの駆動方式を採用することにより、総記録容量を1GBにできる。
【0059】
次に、光学ヘッド402について図5を参照しながら説明する。この光学ヘッド402は、対物レンズ1と、対物レンズ1を駆動するレンズ駆動部と、対物レンズ1を除く光学系を一体的に形成したレーザカプラー2とから構成される。
【0060】
レーザカプラー2は、集積素子の具体例であり、光源としてのレーザダイオード3と、光を分離させるプリズム4と、光の強さを検出するPD(フォトディテクタ:受光器)群により構成される。
【0061】
レーザダイオード3は、入力される電気信号に応じてレーザ光を出射する。レーザダイオード3から出射されたレーザ光は、プリズム4の斜面で反射され、対物レンズ1を通過する。対物レンズ1を通過したレーザ光は、収束光となり、光ディスク200の信号記録面で合焦する。
【0062】
光ディスク200の表面を照射した光は、光ディスク200の反射面において反射され、対物レンズ1により収束光に変換され、プリズム4の斜面を透過して、フォトディテクタ群上に集光される。プリズム4は、異方性を持つ結晶でできており、偏光方向により屈折率が異なって見えるため、入射した光をMO信号に使われるI,J信号に分離することができる。
【0063】
フォトディテクタ群の前側PD5、後ろ側PD6及び7は、入射した光を電気信号に変換する。前側PD5には、A,B,C,Dの4つの受光部が設けられており、それぞれに入射された光を電気信号に変換する。後ろ側PD6には、Ix,Iy,Ixの3つの受光部が設けられており、それぞれに入射された光を電気信号に変換する。 後ろ側PD7には、Jx,Jy,Jxの3つの受光部が設けられており、それぞれに入射された光を電気信号に変換する。
【0064】
これらのフォトディテクタ群からの電気信号を用いて、RFアンプ404は、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、RF信号を以下のような式に基づいて生成する。
FE=((A+D)−(B+C))−((Ix+Jx)−(Iy+Jy))
TE=(A+B)−(C+D)
RF=(Ix+Ix)−(Jy+Jy))
また、RFアンプ404は、ウォブルプッシュプル信号WPPを、図6に示す回路で生成する。すなわち、前側PD5の両サイドのA、D受光部からの電気信号A、DをそれぞれBPF8A、8Dにて帯域制限してから、ピークホールド回路9A、9Bにてピークホールドし、ウォブルの振幅信号Aw、Dwを検出する。そして、ウォブルの振幅信号Aw、Dwを演算器10に入れ、Aw−DwをWPP信号として出力する。すなわち、WPPは、
WPP=Aw−Dw
となる。
【0065】
グルーブによりトラックを有するディスクにおいて、PD上の光スポットにおけるウォブルによる変調成分の大きさは、デトラック量に関係なく常に左右バランスしており、またレンズシフトにより光スポットがPD上を移動することを利用して、AとDのPD上でのウォブル変調成分のレベル差からWPP信号が求められるわけである。
【0066】
ところで、このWPP信号を、前述したように、ゾーニングされた光ディスクから生成すると、ゾーンとゾーンの境界ではウォブルの持つキャリア周波数が変化するので、トラッキング時の視野サーボ(WPPサーボ)が安定しない可能性がある。また、ゾーンとゾーンの境界でウォブルの持つキャリア周波数が変化することにより、CLVサーボが安定しないという問題も存在する。ゾーニングされた光ディスクにおいて視野サーボやCLVサーボが安定しないと、スムーズな再生、記録、消去ができなくなる。
【0067】
そこで、本発明の実施の形態の光ディスク記録再生装置は、前述したように、RFアンプ404と、ADIP復調+復号部413と、サーボ回路411と、モータドライバ412と、システムコントローラ414とからなる、本発明のサーボ制御装置の具体例により、スピンドルモータのサーボを制御する。
【0068】
このサーボ制御装置の具体例のRFアンプ404は、次世代MD2のような光ディスクの記録面に記録/再生用に照射された光が記録面上で形成したスポットの戻り光より得られた光量の検出信号から、ウォブルトラックにスポットをトラッキングさせたときに、トラックがウォブルしていることにより発生するオフセット分をキャンセルするために用いられるウォブルプッシュプル信号WPPを生成する。また、RFアンプ404は、前記ウォブルトラックのウォブル周波数に基づいたアドレス信号を生成する。
【0069】
サーボ回路411は、RFアンプ404が生成した前記ウォブルプッシュプル信号WPPを用いて前記ウォブルトラックに対する前記スポットのトラッキングを制御する。また、サーボ回路411は、前記ウォブルトラックのウォブル周波数に基づいたアドレス信号に基づいて光ディスクを回転駆動するモータードライバ412のサーボを制御する。
【0070】
システムコントローラ414は、前記スポットがディスクの記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過した後にはRFアンプ404によるウォブルプッシュプスポット信号WPPの生成をホールドさせ、前記スポットが次のゾーンに入ったときにはRFアンプ404によるウォブルプッシュプル信号WPPの生成を再開させる。
【0071】
さらに、システムコントローラ414は、ゾーン間の速度偏差が後述するように例えば3%以下でないときには、前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後に、サーボ回路411によるモータードライバー412の回転速度の制御を変化させ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記モータードライバー412の回転速度の制御を戻す。
【0072】
図7には、サーボ制御装置によって行われるCLVサーボの構成例を示す。このCLVサーボの構成例は、システムコントローラ414の一部とサーボ回路411の一部を構成する、位相比較器421とLPF422とVCO423とにより、モータードライバー412のスピンドルモータ部の制御を行うものである。
【0073】
具体的には、システム側で持っている水晶発振器からのクロックを基準クロックClkとして位相比較器412に供給される。位相比較器412にはADIPのクロックClkも供給される。このADIPクロックClkは、光学ヘッド402のPDから検出した信号をもとにRFアンプ404がADIP信号を生成し、このADIP信号からADIP復調+復号部413が生成する。
【0074】
位相比較器421は、ADIPクロックClkと基準クロックClkの位相を比較をして差分をLPFに通し、VCO423により周波数foのモータドライバ駆動制御信号を生成し、モータドライバー412に供給することによって、スピンドルモータの制御を行う。
【0075】
このCLVサーボの構成例により、前記光ディスク記録再生装置は、ゾーニングされている光ディスクのゾーン内では、CLVサーボを安定に実現し、かつ前記WPP信号を用いた視野サーボを行うことができる。
【0076】
図9には、ゾーニングされた光ディスクのゾーン境界の一例を示す。ゾーンZの最終トラック(Z0ET)とゾーンZの先頭トラック(Z1ST)との間にはダミートラックを2本挿入している。ゾーンZのトラックと同等のキャリア周波数のダミートラック(Z0DT)と、ゾーンZのトラックと同等のキャリア周波数のダミートラック(Z1DT)との合計2本である。この二つのダミートラック(Z0DT)、(Z1DT)の境界Aがゾーンの境界(ZB)であり、この境界(ZB)を境にウォブルの持つ周波数が変化する。また、つなぎ目は、矢印Bで示す位置にて同一放射状に並ぶようになっている。
【0077】
次に、図9に示したゾーンとゾーンの境界A付近における、前記サーボ制御装置の処理の流れの第1の具体例を図10のフローチャートを用いて説明する。前記サーボ制御装置にあってシステムコントローラ414(図1)が主体となって行う処理である。この第1の具体例では、前記図7に示すようなCLVサーボの構成例によりゾーン内では既にCLV制御によりスピンドルモータを回転させているとする。
【0078】
先ず、ステップS41にてゾーンZiの最終トラックを光学ヘッド(OP)402が通過したか否かをチェックする。サーボ制御装置は、システムコントローラ414内に、事前にゾーニングされている光ディスクのゾーンとゾーンの切り替わりADIPアドレスをテーブルとして保持しておく。よって、システムコントローラ414は、ADIP復調+復号部413がデコードしたADIPアドレスと前記テーブルを照らし合わせることにより、光学ヘッド402が、ゾーンZiの最終トラックを通過したか否かをチェックできる。ここで、光学ヘッド402がゾーンZiの最終トラックを通過したと判定する(YES)と、ステップS42に進む。
【0079】
ステップS42にてサーボ制御装置は、前記WPPサーボをホールドする。詳細には、前記最終トラックを通過したと同時にRFアンプ404によるWPP信号の生成を停止してホールドする。ゾーンとゾーンの境界ではウォブルの持つキャリア周波数が変化するので、トラッキング時の視野サーボ(WPPサーボ)が安定しない可能性があるためである。
【0080】
次に、サーボ制御装置は、ステップS43−1にて、CLV制御をCAV制御に切り替える。ゾーンとゾーンの境界でウォブルの持つキャリア周波数が変化することにより、CLVサーボが安定しないためである。CAV制御は、ADIPの持つキャリア周波数に無関係であり、ウォブリングの影響を受けない。このとき、次のゾーンZi+1の回転数の目標値に回転数を設定してCAV制御する。
【0081】
なお、このステップS43−1は、後述するように、ゾーン間の速度偏差が3%以下というような場合には、スムーズにスピンドルモータの回転数の制御がなされるので、省略されることもある。ゾーン間の速度偏差が3%を超えるときはもちろん、厳密な回転数制御を行うときには必要となる。
【0082】
次に、サーボ制御装置は、ステップS44にて、FG割り込みによる回転数の検出を行う。スピンドルモータからのFGパルスをカウントすることにより回転数の検出が可能となる。そして、ステップS45にて次のゾーンZi+1に入るための回転数分だけ回転したか否かをチェックし、前記回転数分だけ回転したと判定する(YES)と、ステップS46−1に進む。
【0083】
ステップS46−1にて、サーボ制御装置は、次のゾーンZi+1に入ったのであるから、前記CAV制御をCLV制御に戻す。CLV制御に戻した後、サーボ制御装置はステップS47にてRFアンプ404に、WPP信号の生成を再開させ、WPPサーボを再開する。
【0084】
そして、ステップS48にて光学ヘッド402が次のゾーンの先頭トラックに入ると、iをインクリメント(i+1)しステップS49に進む。
【0085】
ステップS49にて、サーボ制御装置は、データ記録が続けられる判定すると、ステップS41からの処理を繰り返し、データ記録が終了であると判定するとこのフローを終了する。
【0086】
したがって、サーボ制御装置は、CLV制御によりスピンドルモータを回転しているときには、図10に示したフローチャートに示した第1の具体例を処理するので、ゾーニングした前記次世代MD2のような光ディスクに対してもWPPサーボ(視野サーボ)やCLVサーボを正常にかけることができ、ゾーン境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去ができる。
【0087】
次に、前記サーボ制御装置の処理の流れの第2の具体例を図11のフローチャートを用いて説明する。この第2の具体例でも、既にCLV制御によりスピンドルモータを回転させている。前記第1の具体例ではステップS43−1でCLV制御をCAV制御に切り替えたのに対し、この第2の具体例ではステップS43−2にてCLV制御のゲインを下げている。CLVのゲインを極端に下げることにより、ウォブリングによるキャリア周波数にスピンドルモータの回転を追従させないようにする。そして、ステップS46−2ではゲインを戻したCLV制御をすることになる。ここでも、ゾーン間の速度偏差が3%以下である場合にはステップS43−2の処理を省略することができる。
【0088】
他の各ステップについては、前記第1の具体例と同様である。すなわち、光学スポット402がゾーンZiの最終トラックを通過したならば(ステップS41)、ステップS42にてWPPをホールドし、ステップS43−2にてCLVのゲインを下げる。そして、ステップS44、ステップS45にて次のゾーンに入ったことを判定したならば、ステップS46−2にてゲインを戻したCLV制御を行い、ステップS47にてWPPの生成を再開する。
【0089】
したがって、サーボ制御装置は、CLV制御によりスピンドルモータを回転しているときには、図11に示したフローチャートに示した第2の具体例を処理するので、ゾーニングした前記次世代MD2のような光ディスクに対してもWPPサーボ(視野サーボ)やCLVサーボを正常にかけることができ、ゾーン境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去ができる。
【0090】
次に、前記サーボ制御装置の処理の流れの第3の具体例を図12のフローチャートを用いて説明する。この第3の具体例では、既にCAV制御によりスピンドルモータを回転させている。ハードウェアとして回転数を設定し、その回転数でスピンドルモータを回転駆動するという設定に入っている。このCAV制御は、スピンドルモータの回転の目標値をADIPの周波数から計算して出すという制御である。
【0091】
この第3の具体例では、既にCAV制御によりスピンドルモータを回転しているために、ステップS43−3、ステップS46−3の処理が、前記二つの具体例の処理(ステップS43−1及びステップS43−2、ステップS46−1及びステップS46−2)と異なる。他の処理は同様である。
【0092】
CAV制御でスピンドルモータを回転させているときは、ウォブルによる影響がない。よって、ステップS43−3では、次のゾーンの回転数に目標値を設定する。そして、ステップS44、ステップS45を通じて次のゾーンに入ったと判定すると、ステップS46−3にて固定目標値のままCAV制御を行い、ステップS47にてWPPの生成を再開する。
【0093】
したがって、サーボ制御装置は、CAV制御によりスピンドルモータを回転しているときには、図12に示したフローチャートに示した第3の具体例を処理するので、ゾーニングした前記次世代MD2のような光ディスクに対してもWPPサーボ(視野サーボ)やCAVサーボを正常にかけることができ、ゾーン境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去ができる。
【0094】
なお、前記第1の具体例、第2の具体例、第3の具体例は、既にドライブが起動しており、光学ヘッド402がゾーンの境界を通過するときの処理例であったが、ドライブ起動時にはゾーンの境界上に光学ヘッド402が位置している可能性もある。
【0095】
通常、サーボ制御装置は、ADIPのアドレスを読んで光学ヘッド402の現在の位置を確認してから目標のアドレスに光学ヘッド402をスレッド機構などにより移動させる。しかし、ゾーンの境界上に光学ヘッド402が位置していると、ADIPアドレスが読めない場合があるという問題が起こる。そこで、ドライブ起動時の処理が必要になる。
【0096】
以下に、図13を参照しながらドライブ起動時の処理例について説明する。CLV制御にてスピンドルモータを回転させるときの具体例である。
【0097】
先ず、ステップS61にて適当な速度にてスピンドルモータを回転させる。もちろん、適当な速度とは、ADIPアドレスが読めるくらいの速度である。次に、現在位置のADIPアドレスをRFアンプ404から読みとりにいく。ADIPアドレスが読み取れればゾーンの境界にいないことが分かるし、読み取れなければゾーンの境界にいることが分かる(ステップS63)。AIDPアドレスが読み取れてゾーンの境界にいない(ステップS63にてYES)と判定すればステップS64に進んで、CLVサーボと視野サーボをかけてから、再生、記録を開始する。ステップS63にてADIPアドレスが読み取れずにゾーンの境界にいると判定しても、ステップS61における回転を続けていれば境界からやがて抜け出せるはずである。
【0098】
CAV制御にてスピンドルモータを回転させるときにも同様のフローになり、前記ステップS64にてCAVサーボをかけ視野サーボをかけることだけが異なる処理となる。
【0099】
したがって、前記サーボ制御装置は、ドライブ起動時においても、ゾーニングされた光ディスクに対して視野サーボや、CLVサーボを正常にかけることができ、スムーズに再生、記録、消去ができる。
【0100】
次に、ゾーニングされた光ディスクの具体例である次世代MD2における、ゾーンの割り振りの具体例について説明する。ここでは、次世代MD2はZCAV適用光ディスクの具体例であり、ゾーン内密度比一定方式として説明を続ける。この方式は各ゾーンの内側と外側の比が全部同一になるようにしている。すなわち、図14に示すように、各ゾーン内の密度比がほぼ均等になるように分割している。このゾーン内密度比一定方式は、RF特性を優先するものである。
【0101】
次世代MD2のトラックピッチを1.25μm、最大線密度を0.16μm/bitとするとき、例えばゾーン数を27とすると、トラック数/ゾーンは268〜576となり、クラスター数/ゾーンは297〜975となる。また、線密度は0.1602〜0.1667μm/bitとなり、これらの結果、記録容量は、1.025G(10)となる。なお、ゾーン数27にあってゾーン間速度偏差は2.54%である。また、クラスター数/ゾーンは、4クラスタ切れ目、4クラスタ交替を除いた数字である。また、記録容量は、交替レコーディングユニットを除いた値である。
【0102】
図15には、ゾーン数と容量、密度比或いはゾーン間速度偏差との関係を示す。ゾーン数23〜28位が適する範囲であることが分かる。
【0103】
このゾーン内密度比一定方式にあっては、ゾーンとゾーンの間を跨ぐときにゾーン間速度偏差が3%以下という小さい値なので、スムーズにスピンドルの回転数が変わる。すなわち、ゾーンの中ではスピンドルが一定回転しているような状態であり、回転駆動制御部側からみれば、ゾーン内にあってはCAVでディスクを回転駆動しているという意識はなく、単にADIPのキャリアを一定にしようとして回転駆動している。
【0104】
図16には、前記ZCAVによって回転駆動される次世代MD2を製造する工程にて用いられるフォーマッター300の構成を示す。通常、ディスクを作るときには、CAVでディスクを回し、周波数を変えながらウォブルを作っていく。このため、フォーマッター300は、ゾーン用PLLを2回路、つまりPLL303、PLL304持ち、切り替えることで切れ目なくゾーンカッティング用のクロックを変化させている。
【0105】
PLL301は、ディスクを900rpmでCAVカッティングする場合に、マスタークロック(33.8688MHz)から、スピンドルのFGを同期させるための15.75kHzを生成してスピンドルドライバー302に供給している。スピンドルドライバー302は、カッティングマシーンにその15.75kHzを送る。
【0106】
PLL303及びPLL304は、マスタークロック(33.8688MHz)からADIPウォブル周波数を作るために用いられる。
【0107】
クラスターカウンターゾーン切り替えM/Nテーブル306は、M/N=35/35〜67/35を格納している。ゾーン間で切れ目無くADIPウォブル周波数を作り出すだめに、PLL304にM2/Nを、PLL303にM1/Nを供給する。
【0108】
切り替えスイッチ305は、PLL303又はPLL304からのクロックをクラスターカウンターゾーン切り替えM/Nテーブル306の制御にしたがって切り替える。
【0109】
アドレスカウンター307は内側のゾーンのアドレスをカウントアップしていく。BCHエンコーダ308はカウント出力にECCを付加する。バイフェーズエンコーダ309はECC付加出力をバイフェーズエンコードする。FM変換器310は、バイフェーズ出力をFM変調してサイン波にした信号をドライバー311に送る。ドライバー311は、前記サイン波の信号をウォブルカッティングマシーンに送る。
【0110】
ウォブルカッティングマシーンの光学ヘッドは、供給されたFM信号に応じて、レーザ光をウォブリングしながら、フォトレジスタが表面に塗布された原盤に照射する。このとき、前記原盤は、スピンドルモータによりゾーン毎にCAVで回転駆動され、ゾーンを跨ぐときにはゾーン間速度偏差が3%以下という小さい値で前記PLL303及びPLL304により切り替えられていく。そして、原盤の表面は、アドレス情報に対応するウォブルグルーブの形状に感光された後、現像される。現像された原盤にはウォブリンググループが形成され、グルーブとグルーブの間にはランドが形成される。そして、この原盤からスタンパが作成され、さらにそのスタンパを使用して、多数のレプリカディスクとして次世代MD2のような光ディスクが作成される。これが本発明の光ディスクの製造装置及び方法の具体例である。
【0111】
なお、図17には、PLL301、PLL303及びPLL304における周波数の算出の構成を示す。1周に1回クロックの同期が取れる構成にしている。つまり、ゾーン切り替えをこの位置と同じになるようなフォーマットにすれば、位相ずれの無い切り替えが可能となる。このため、PLL301を33.8688MHzを25/105し、さらに分解能3=分解能1×分解能2(いずれも後述)により1/512して15.75kHzを生成してカッティングマシーンに供給する。
【0112】
また、PLL303は、33.8688MHzをM1/Nにしていく。このときのドライバの条件は、ゾーンZ0のM/Nは1にし、位相比較周波数は1MHz以上にし、マスタークロックは50MHz以下に抑えることである。ゾーンZ0のM/Nを1にするのは、N=Mであることを表し、CLVモードで使うときにPLLを持たなくて済むからである。また、位相比較周波数を1MHz以上にするのは、チャネルクロックから決められるのでマスタークロックとは別でいいためである。
【0113】
また、PLL304は、33.8688MHzをM2/Nにしていく。ただし、ADIPUで表現するPTOC部分だけは、16/15とすることでちょうど1周に1クラスター入るようにする。
【0114】
切り替えスイッチ305における分解能1は切り替えたクロックを1/16にし、2.1168MHz〜4.05216MHzのシステムクロックを生成する。さらに、これをキャリア数で除算し、分解能2により1/32することで1回転周波数の15Hzを生成する。この1回転周波数は、15.75kHzを1/1050することによっても生成できる。分解能2は、ウォブル生成のための分解能である。1/64の場合は前段の1/16分周を1/8に変更する。その際のシステムクロックは2倍になる。
【0115】
ところで、前記PLLによる構成は、将来的にドライブがCAVで使われるときに備えられるようになっている。第1世代MD、次世代MD1に対して互換性を考慮したため、次世代MD2はCLVでも使えるようにしてあるが、元々CAVで回転駆動制御されるような装置に対して使いやすいような構成としている。
【0116】
また、図17に示した構成の条件を満たすためには、各ゾーン後に以下の条件を満たす必要がある。
条件1.M/N×(1/(1トラックあたりのキャリア数))=1/1050
1周毎にクロック同期が取れることと、M/N倍できるPLLを持つことでクロックが作れる。これはフォーマッターとしてだけではなく、ドライブでCAV回転させ、クロックを切り替える方式を採用する場合にも簡単な構成で対応できる。右辺1/1050の部分にB/AのPLLを入れることでさらに選択肢が拡がる。
【0117】
条件2.(1トラックあたりのキャリア数×1ゾーンあたりのトラック数)/(1レコーディングユニットあたりのキャリア数)=整数
つまり1ゾーン分のキャリア総数が記録再生の単位であるレコーディングユニットで割り切れることで、次のゾーンへ連続して切り替えることができる。この具体例のフォーマットでは1レコーディングユニットあたりのキャリア数は4704となっている。
【0118】
図18及び図19には、ゾーン内密度比一定方式によって形成されたゾーンレイアウト例の第1具体例を示す。また、図20及び図21には、第2具体例を示す。ゾーンZ−1のキャリア数は4704としている。1周毎のキャリア数をちょうど1周で1クラスタに割り切れるようにしている。これは、固定のパターンがゾーンZ−1にかいてあるということで外乱などによりディスクがスキューしてもこのゾーンZ−1に戻ることでいつでも正確なキャリア数に修正することを可能とするためである。
【0119】
なお、ゾーンを跨いだときの密度比を3%以下としているのは、PLLの引き込み範囲が±4%であり、それより小さければ連続的にPLLを切り替えながら動かせるからである。
【0120】
また、図22には、図20及び図21に示したゾーンレイアウトにしたがったディスク上のデータフォーマットを示す。内周から半径15.7mmまでにはユニークIDがMO記録され、そこから16.0mmまでの間にリードイン/PTOP(ゾーンZ−1)が記録される。BRUはバッファレコーディングユニット(Buffer Recording Unit)である。LPCAはレーザーパワーキャリブレーションエリア(Laser Power Calibration Area)である。DDT(Disc description track)&SecureAreaにはディスクの種類や仕様情報、セキュリティ管理に必要な情報が記述される。その後から、ゾーンZ、ゾーンZ・・・ゾーンZ26がスペアレコーディングユニット(Spare Recording Unit:SRU)と前記BRUを伴って続き、最後のゾーンZ27とリードアウトとの間にはSRUとLPCAが入る。
【0121】
次に、図23には、従来ミニディスク(第1世代MD)、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するための光ディスク記録再生装置11の構成を示す。この光ディスク記録再生装置11は、次世代MD1と次世代MD2の種類を判別する。また、第1世代MDと、次世代MD2を判別する場合もある。
【0122】
光ディスク記録再生装置11は、従来ミニディスク、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するために、特に、記録処理系として、従来ミニディスクの記録のためのEFM変調・ACIRCエンコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の記録のためのRLL(1−7)PP変調・RS−LDCエンコードを実行する構成とを備える点が特徴的である。また、再生処理系として、従来ミニディスクの再生のためのEFM復調・ACIRCデコードを実行する構成と、次世代MD1及び次世代MD2の再生にPR(1,2,1)ML、PR(1,−1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調・RS−LDCデコードを実行する構成を備えている点が特徴的である。
【0123】
光ディスク記録再生装置11は、装填されたディスク90をスピンドルモータ21によってCLV方式又はZCAV方式にて回転駆動する。記録再生時には、このディスク90に対して、光学ヘッド22からレーザ光が照射される。
【0124】
光学ヘッド22は、記録時に記録トラックをキュリー温度まで加熱するための高レベルのレーザ出力を行い、また再生時には、磁気カー効果により反射光からデータを検出するための比較的低レベルのレーザ出力を行う。このため、光学ヘッド22は、レーザ出力手段としてのレーザダイオード、偏光ビームスプリッタや対物レンズ等からなる光学系及び反射光を検出するためのディテクタが搭載されている。光学ヘッド22に備えられる対物レンズとしては、例えば2軸機構によってディスク半径方向及びディスクに接離する方向に変位可能に保持されている。この光学ヘッド22には、内蔵の光ディスク判別装置に受光信号A、受光信号Bを供給するフォトディテクタPDが備えられている。また、対物レンズ、或いは光学ヘッド22全体は、光ディスク判別時には、進行方向を決める必要があるのである一定の速度で、内周から外周へ移動させられる。偏芯による移動量に打ち勝つ速度で前記受光信号A,Bを検出することができる。
【0125】
また、本具体例では、媒体表面の物理的仕様が異なる従来ミニディスク及び次世代MD1と、次世代MD2とに対して最大限の再生特性を得るために、光学ヘッド22の読取光光路中に位相補償板を設ける。この位相補償板により、読取り時におけるビットエラーレートを最適化できる。
【0126】
ディスク90を挟んで光学ヘッド22と対向する位置には、磁気ヘッド23が配置されている。磁気ヘッド23は、記録データによって変調された磁界をディスク90に印加する。また、図示しないが光学ヘッド22全体及び磁気ヘッド23をディスク半径方向に移動させためのスレッドモータ及びスレッド機構が備えられている。このスレッドモータ及びスレッド機構は、内蔵の光ディスク判別装置が光ディスクを判別する時に、前記光学ヘッド22を内周から外周に移動する。
【0127】
この光ディスク記録再生装置11では、光学ヘッド22、磁気ヘッド23による記録再生ヘッド系、スピンドルモータ21によるディスク回転駆動系のほかに、記録処理系、再生処理系、サーボ系等が設けられる。記録処理系としては、従来ミニディスクに対する記録時にEFM変調、ACIRCエンコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2に対する記録時にRLL(1−7)PP変調、RS−LDCエンコードを行う部位とが設けられる。
【0128】
また、再生処理系としては、従来ミニディスクの再生時にEFM変調に対応する復調及びACIRCデコードを行う部位と、次世代MD1及び次世代MD2の再生時にRLL(1−7)PP変調に対応する復調(PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出に基づくRLL(1−7)復調)、RS−LDCデコードを行う部位とが設けられる。
【0129】
光学ヘッド22のディスク90に対するレーザ照射によりその反射光として検出された情報(フォトディテクタによりレーザ反射光を検出して得られる光電流)は、RFアンプ24に供給される。RFアンプ24では、入力された検出情報に対して電流−電圧変換、増幅、マトリクス演算等を行い、再生情報としての再生RF信号、トラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FE、グルーブ情報(ディスク90にトラックのウォブリングにより記録されているADIP情報)等を抽出する。
【0130】
このRFアンプ24には、光ディスク判別装置22を構成するトラッキングエラー信号演算器221と、プルイン信号演算器225と、コンパレータ222と、コンパレータ226とが内蔵されている。
【0131】
従来ミニディスクの再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、コンパレータ25、PLL回路26を介して、EFM復調部27及びACIRCデコーダ28で処理される。再生RF信号は、EFM復調部27で2値化されてEFM信号列とされた後、EFM復調され、さらにACIRCデコーダ28で誤り訂正及びデインターリーブ処理される。オーディオデータであれば、この時点でATRAC圧縮データの状態となる。このとき、セレクタ29は、従来ミニディスク信号側が選択されており、復調されたATRAC圧縮データがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。この場合、図示しないオーディオ処理部に圧縮データが供給される。
【0132】
一方、次世代MD1又は次世代MD2の再生時には、RFアンプで得られた再生RF信号は、A/D変換回路31、イコライザ32、PLL回路33、PRML回路34を介して、RLL(1−7)PP復調部35及びRS−LDCデコーダ36で信号処理される。再生RF信号は、RLL(1−7)PP復調部35において、PR(1,2,1)ML及びビタビ復号を用いたデータ検出によりRLL(1−7)符号列としての再生データを得て、このRLL(1−7)符号列に対してRLL(1−7)復調処理が行われる。さらに、RS−LDCデコーダ36にて誤り訂正及びデインターリーブ処理される。
【0133】
この場合、セレクタ29は、次世代MD1・次世代MD2側が選択され、復調されたデータがディスク90からの再生データとしてデータバッファ30に出力される。このとき、図示しないメモリ転送コントローラに対して復調データが供給される。
【0134】
RFアンプ24から出力されるトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEは、サーボ回路37に供給され、グルーブ情報は、ADIPデコータ38に供給される。
【0135】
ADIPデコータ38は、グルーブ情報に対してバンドパスフィルタにより帯域制限してウォブル成分を抽出した後、FM復調、バイフェーズ復調を行ってADIPアドレスを抽出する。抽出された、ディスク上の絶対アドレス情報であるADIPアドレスは、従来ミニディスク及び次世代MD1の場合であれば、MDアドレスデコーダ39を介し、次世代MD2の場合であれば、次世代MD2アドレスデコーダ40を介してドライブコントローラ41に供給される。
【0136】
ドライブコントローラ41では、各ADIPアドレスに基づいて、所定の制御処理を実行する。またグルーブ情報は、スピンドルサーボ制御のためにサーボ回路37に戻される。
【0137】
また、ドライブコントローラ41には、光ディスク判別装置を構成するDフリップフロップ判別回路の機能が備えられている。そして、ドライブコントローラ41は、このDフリップフロップ判別回路の判別結果に基づいて前記MDの種類を判別する。
【0138】
サーボ回路37は、例えばグルーブ情報に対して再生クロック(デコード時のPLL系クロック)との位相誤差を積分して得られる誤差信号に基づき、CLVサーボ制御及び前述したZCAVサーボ制御のためのスピンドルエラー信号を生成する。
【0139】
またサーボ回路37は、スピンドルエラー信号や、上記のようにRFアンプ24から供給されたトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号、或いはドライブコントローラ41からのトラックジャンプ指令、アクセス指令等に基づいて各種サーボ制御信号(トラッキング制御信号、フォーカス制御信号、スレッド制御信号、スピンドル制御信号等)を生成し、モータドライバ42に対して出力する。すなわち、上記サーボエラー信号や指令に対して位相補償処理、ゲイン処理、目標値設定処理等の必要処理を行って各種サーボ制御信号を生成する。
【0140】
モータドライバ42では、サーボ回路37から供給されたサーボ制御信号に基づいて所定のサーボドライブ信号を生成する。ここでのサーボドライブ信号としては、2軸機構を駆動する2軸ドライブ信号(フォーカス方向、トラッキング方向の2種)、スレッド機構を駆動するスレッドモータ駆動信号、スピンドルモータ21を駆動するスピンドルモータ駆動信号となる。このようなサーボドライブ信号により、ディスク90に対するフォーカス制御、トラッキング制御、及びスピンドルモータ21に対するCLV制御又はZCAV制御が行われる。
【0141】
光ディスク判別装置は、光ディスクを判別する際に、サーボ回路37、モータドライバ42をドライブコントローラ41で制御し、光学ヘッド22の対物レンズによるレーザ光のフォーカスをオンさせる。また、トラッキングサーボはかけていない状態にする。また、スレッドサーボについては、光学ヘッド22を内周から外周にある速度にて移動させる。
【0142】
ディスク90に対して記録動作が実行される際には、図示しないメモリ転送コントローラから高密度データ、或いはオーディオ処理部からの通常のATRAC圧縮データが供給される。
【0143】
従来ミニディスクに対する記録時には、セレクタ43が従来ミニディスク側に接続され、ACIRCエンコーダ44及びEFM変調部45が機能する。この場合、オーディオ信号であれば、オーディオ処理部19からの圧縮データは、ACIRCエンコーダ44でインターリーブ及びエラー訂正コード付加が行われた後、EFM変調部45においてEFM変調される。EFM変調データがセレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対してEFM変調データに基づいた磁界印加を行うことで変調されたデータが記録される。
【0144】
次世代MD1及び次世代MD2に対する記録時には、セレクタ43が次世代MD1・次世代MD2側に接続され、RS−LCDエンコーダ47及びRLL(1−7)PP変調部48が機能する。この場合、メモリ転送コントローラ12から送られた高密度データは、RS−LCDエンコーダ47でインターリーブ及びRS−LDC方式のエラー訂正コード付加が行われた後、RLL(1−7)PP変調部48にてRLL(1−7)変調される。
【0145】
RLL(1−7)符号列に変調された記録データは、セレクタ43を介して磁気ヘッドドライバ46に供給され、磁気ヘッド23がディスク90に対して変調データに基づいた磁界印加を行うことでデータが記録される。
【0146】
レーザドライバ/APC49は、上記のような再生時及び記録時においてレーザダイオードにレーザ発光動作を実行させるが、いわゆるAPC(Automatic Lazer Power Control)動作も行う。具体的には、図示しないが、光学ヘッド22内には、レーザパワーモニタ用のディテクタが設けられており、このモニタ信号がレーザドライバ/APC49にフィードバックされるようになっている。レーザドライバ/APC49は、モニタ信号として得られた現在のレーザパワーを予め設定されているレーザパワーと比較して、その誤差分をレーザ駆動信号に反映させることによって、レーザダイオードから出力されるレーザパワーが設定値で安定化されるように制御している。ここで、レーザパワーは、ドライブコントローラ41によって、再生レーザパワー及び記録レーザパワーとしての値がレーザドライバ/APC49内部のレジスタにセットされる。
【0147】
ドライブコントローラ41は、システムコントローラ18からの指示に基づいて、以上の各動作(アクセス、各種サーボ、データ書込、データ読出の各動作)が実行されるように各構成を制御する。なお、図23において一点鎖線で囲った各部は、1チップの回路として構成することもできる。
【0148】
したがって、光ディスク記録再生装置11は、次世代MD2をZCAV方式により回転駆動することができるが、このとき第1世代MDや次世代MD1にて用いたCLV方式を特に変更することなく、単にPDIPのキャリア周波数に追従するという制御のみで前記ZCAV方式を実現することができる。すなわち、ゾーンの中ではスピンドルが一定回転しているような状態であり、回転駆動制御部側からみれば、ゾーン内にあってはCAVでディスクを回転駆動しているという意識はなく、単にADIPのキャリアを一定にしようとして回転駆動しているためである。
【0149】
また、ゾーン間を跨ぐときには、ゾーン間速度偏差が3%以下という小さい値なので、スムーズにスピンドルの回転数を変えることができる。
【0150】
なお、ゾーンの割り振りについては、前述したゾーン内密度比一定方式の他に、レコーディングユニット均等割り方式を採用することもできる。これは、記録再生の単位であるレコーディングユニットの数でゾーン数を決める方式である。例えば、例えばゾーン数を23とすると、トラック数/ゾーンは284〜527となり、クラスター数(レコーディングユニット数)/ゾーンは504となる。また、線密度は0.16〜0.1691μm/bitとなり、これらの結果、記録容量は、1.025G(10)となる。なお、クラスター数/ゾーンは、4クラスタ切れ目、4クラスタ交替を除いた数字である。また、線密度において密度比は1.52〜5.65%となる。また、記録容量は、交替レコーディングユニットを除いた値である。1ゾーン辺りの容量が決まっているのと、また何レコーディングユニットいったら隣のゾーンとなることが分かるので、アプリケーション的には使いやすい方式である。
【0151】
また、トラック均等割り方式を採用することもできる。これは、トラックの数でゾーン数を決める方式である。例えば、ゾーン数を23とすると、トラック数/ゾーンは504となり、クラスター数(レコーディングユニット数)/ゾーンは352〜658となる。また、線密度は0.16〜0.1663μm/bitとなり、これらの結果、記録容量は、1.023G(10)となる。なお、クラスター数/ゾーンは、4クラスタ切れ目、4クラスタ交替を除いた数字である。また、線密度において密度比は2.05〜3.94%となる。また、記録容量は、交替レコーディングユニットを除いた値である。何トラック行けばどのゾーンに行けるというのが算出できるので、アクセスがしやすいという特徴がある。
【0152】
なお、比較のため、前記ゾーン内密度比一定方式によるゾーン数23の場合の例も示しておく。ゾーン数を23とすると、トラック数/ゾーンは364〜660となり、クラスター数(レコーディングユニット数)/ゾーンは338〜1158となる。また、線密度は0.16〜0.1646μm/bitとなり、これらの結果、記録容量は、1.023G(10)となる。ここで、ゾーン間速度偏差(密度比)は2.72%である。また、クラスター数/ゾーンは、4クラスタ切れ目、4クラスタ交替を除いた数字である。また、記録容量は、交替レコーディングユニットを除いた値である。この方式は、前述したとおり、各ゾーンの内側と外側の比が全部一緒になるようにすればよいので、RF特性を優先したいときに適する。
【0153】
なお、以下には、次世代MD2の論理フォーマット、物理フォーマットについて説明しておく。
【0154】
次世代MD2は、次世代MD1と同様に、記録データの変調方式として、高密度記録に適合したRLL(1−7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))を採用している。また、誤り訂正方式としては、より訂正能力の高いBIS(Burst Indicator Subcode)付きのRS−LDC(Reed Solomon−Long Distance Code)方式を用いている。
【0155】
具体的には、ホストアプリケーション等から供給されるユーザデータの2048バイトに4バイトのEDC(Error Detection Code)を付加した2052バイトを1セクタ(データセクタ、後述するディスク上の物理セクタとは異なる)とし、図25に示すように、Sector0〜Sector31の32セクタを304列×216行のブロックにまとめる。ここで、各セクタの2052バイトに対しては、所定の疑似乱数との排他的論理和(Ex-OR)をとるようなスクランブル処理が施される。このスクランブル処理されたブロックの各列に対して32バイトのパリティを付加して、304列×248行のLDC(Long Distance Code)ブロックを構成する。このLDCブロックにインターリーブ処理を施して、152列×496行のブロック(Interleaved LDC Block)とし、これを図24に示すように38列ずつ1列の上記BISを介して配列することで155列×496行の構造とし、さらに先頭位置に2.5バイト分のフレーム同期コード(Frame Sync)を付加して、1行を1フレームに対応させ、157.5バイト×496フレームの構造とする。この図24の各行が、後述する図27に示す1レコーディングブロック(クラスタ)内のデータ領域のFrame10〜Frame505の496フレームに相当する。
【0156】
以上のデータ構造において、データインターリーブは、ブロック完結型とする。これによりデータの冗長度は、20.50%になる。また、データの検出方式として、PR(1,2,1)MLによるビタビ復号方式を用いる。
【0157】
ディスク駆動方式には、CLV方式を用い、その線速度は、2.4m/sとする。記録再生時の標準データレートは、4.4MB/sである。この方式を採用することにより、総記録容量を300MBにすることができる。変調方式をEFMからRLL(1−7)PP変調方式とすることによって、ウインドウマージンが0.5から0.666となるため、1.33倍の高密度化が実現できる。また、データの最小書換単位であるクラスタは、16セクタ、64kBで構成される。このように記録変調方式をCIRC方式からBIS付きのRS−LDC方式及びセクタ構造の差異とビタビ復号を用いる方式にすることで、データ効率が53.7%から79.5%となるため、1.48倍の高密度化が実現できる。
【0158】
これらを総合すると、次世代MD1は、記録容量を従来ミニディスクの約2倍である300MBにすることができる。
【0159】
一方、次世代MD2は、例えば、磁壁移動検出方式(DWDD:Domain Wall Displacement Detection)等の高密度化記録技術を適用した記録媒体であって、上述した従来ミニディスク及び次世代MD1とは、物理フォーマットが異なっている。次世代MD2は、トラックピッチが1.25μm、ビット長が0.16μm/bitであり、線方向に高密度化されている。
【0160】
また、従来ミニディスク及び次世代MD1との互換を採るため、光学系、読出方式、サーボ処理等は、従来の規格に準じて、レーザ波長λは、λ=780nm、光学ヘッドの開口率は、NA=0.45とする。記録方式は、グルーブ記録方式、アドレス方式は、ADIPを利用した方式とする。また、筐体外形も従来ミニディスク及び次世代MD1と同一規格とする。
【0161】
次世代MD2は、図26に示すように、高密度化を図るためにプリピットを用いない。したがって、次世代MD2には、プリピットによるPTOC領域がない。また、次世代MD2には、レコーダブルエリアのさらに内周領域に、著作権保護のための情報、データ改竄チェックのための情報、あるいは他の非公開情報の基になるユニークID(Unique ID;UID)を記録するUIDエリアが設けられている。このUIDエリアは、次世代MD2に適用されるDWDD方式とは異なる記録方式で記録されている。
【0162】
続いて、次世代MD1及び次世代MD2のADIPセクタ構造とデータブロックとの関係について図27を用いて説明する。従来のミニディスク(MD)システムでは、ADIPとして記録された物理アドレスに対応したクラスタ/セクタ構造が用いられている。本具体例では、説明の便宜上、ADIPアドレスに基づいたクラスタを「ADIPクラスタ」と記す。また、次世代MD1及び次世代MD2におけるアドレスに基づくクラスタを「レコーディングブロック(Recording Block)」あるいは「次世代MDクラスタ」と記す。
【0163】
次世代MD1及び次世代MD2では、データトラックは、図27に示すようにアドレスの最小単位であるクラスタの連続によって記録されたデータストリームとして扱われ、1レコーディングブロック(1次世代MDクラスタ)は、図27に示すように16セクタあるいは1/2ADIPクラスタにより構成されている。
【0164】
図27に示す1レコーディングブロック(1次世代MDクラスタ)のデータ構造としては、10フレームのプリアンブルと、6フレームのポストアンブルと、496フレームのデータ部とからなる512フレームから構成されている。さらにこのレコーディングブロック内の1フレームは、同期信号領域と、データ、BIS、DSVとからなる。
【0165】
また、1レコーディングブロックの512フレームのうち、有意のデータが記録される496フレームを16等分した各31フレームをアドレスユニット(Address Unit)とよぶ。また、このアドレスユニットの番号をアドレスユニットナンバ(Address Unit Number;AUN)とよぶ。このAUNは、全てのアドレスユニットに付される番号であって、記録信号のアドレス管理に使用される。
【0166】
次世代MD1のように、ADIPに記述された物理的なクラスタ/セクタ構造を有する従来ミニディスクに対して、1−7PP変調方式で変調された高密度データを記録する場合、ディスクに元々記録されたADIPアドレスと、実際に記録するデータブロックのアドレスとが一致しなくなるという問題が生じる。ランダムアクセスは、ADIPアドレスを基準として行われるが、ランダムアクセスでは、データを読み出す際、所望のデータが記録された位置近傍にアクセスしても、記録されたデータを読み出せるが、データを書き込む際には、既に記録されているデータを上書き消去しないように正確な位置にアクセスする必要がある。そのため、ADIPアドレスに対応付けした次世代MDクラスタ/次世代MDセクタからアクセス位置を正確に把握することが重要となる。
【0167】
そこで、次世代MD1の場合、媒体表面上にウォブルとして記録されたADIPアドレスを所定規則で変換して得られるデータ単位によって高密度データクラスタを把握する。この場合、ADIPセクタの整数倍が高密度データクラスタになるようにする。この考え方に基づいて、従来ミニディスクに記録された1ADIPクラスタに対して次世代MDクラスタを記述する際には、各次世代MDクラスタを1/2ADIPクラスタ区間に形成する。
【0168】
したがって、次世代MD1では、上述した次世代MDクラスタの2クラスタが最小記録単位(レコーディングブロック(Recording Block))として1ADIPクラスタに対応付けされている。
【0169】
一方、次世代MD2では、1クラスタが1レコーディングブロックとして扱われるようになっている。
【0170】
なお、本具体例では、ホストアプリケーションから供給される2048バイト単位のデータブロックを1論理データセクタ(Logical Data Sector;LDS)とし、このとき同一レコーディングブロック中に記録される32個の論理データセクタの集合を論理データセクタ(Logical Data Cluster;LDC)としている。
【0171】
以上説明したようなデータ構造とすることにより、UMDデータを任意位置へ記録する際、媒体に対してタイミングよく記録できる。また、ADIPアドレス単位であるADIPクラスタ内に整数個の次世代MDクラスタが含まれるようにすることによって、ADIPクラスタアドレスからUMDデータクラスタアドレスへのアドレス変換規則が単純化され、換算のための回路又はソフトウェア構成が簡略化できる。
【0172】
なお、図27では、1つのADIPクラスタに2つの次世代MDクラスタを対応付ける例を示したが、1つのADIPクラスタに3以上の次世代MDクラスタを配することもできる。このとき、1つの次世代MDクラスタは、16ADIPセクタから構成される点に限定されず、EFM変調方式とRLL(1−7)PP変調方式におけるデータ記録密度の差や次世代MDクラスタを構成するセクタ数、また1セクタのサイズ等に応じて設定することができる。
【0173】
続いて、ADIPのデータ構造に関して説明する。図28(a)には、次世代MD2のADIPのデータ構造が示され、図28(b)には、比較のために、次世代MD1のADIPのデータ構造が示されている。
【0174】
次世代MD1では、同期信号と、ディスクにおけるクラスタ番号等を示すクラスタH(Cluster H)情報及びクラスタL(Cluster L)情報と、クラスタ内におけるセクタ番号等を含むセクタ情報(Secter)とが記述されている。同期信号は、4ビットで記述され、クラスタHは、アドレス情報の上位8ビットで記述され、クラスタLは、アドレス情報の下位8ビットで記述され、セクタ情報は、4ビットで記述される。また、後半の14ビットには、CRCが付加されている。以上、42ビットのADIP信号が各ADIPセクタのヘッダ部に記録されている。
【0175】
また、次世代MD2では、4ビットの同期信号データと、4ビットのクラスタH(Cluster H)情報、8ビットのクラスタM(Cluster M)情報及び4びっとのクラスタL(Cluster L)情報と、4ビットのセクタ情報とが記述される。後半の18ビットには、BCHのパリティが付加される。次世代MD2でも同様に42ビットのADIP信号が各ADIPセクタのヘッダ部に記録されている。
【0176】
ADIPのデータ構造では、上述したクラスタH(Cluster H)情報、クラスタM(Cluster M)及びクラスタL(Cluster L)情報の構成は、任意に決定できる。また、ここに他の付加情報を記述することもできる。例えば、図29に示すように、次世代MD2のADIP信号において、クラスタ情報を上位8ビットのクラスタH(Cluster H)と下位8ビットのクラスタL(Cluster L)とで表すようにし、下位8ビットで表されるクラスタLに替えて、ディスクコントロール情報を記述することもできる。ディスクコントロール情報としては、サーボ信号補正値、再生レーザパワー上限値、再生レーザパワー線速補正係数、記録レーザパワー上限値、記録レーザパワー線速補正係数、記録磁気感度、磁気−レーザパルス位相差、パリティ等があげられる。
【0177】
次に、光ディスク判別装置において判別された次世代MD1又は次世代MD2に対するディスクドライブ装置による、再生処理、記録処理について詳細に説明する。
【0178】
図30には前記光ディスク記録再生装置11をメディアドライブ部11として備えるディスクドライブ装置101の構成を示す。ディスクドライブ装置101は、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記す。)100と接続でき、次世代MD1及び次世代MD2をオーディオデータのほか、PC等の外部ストレージとして使用できる。
【0179】
ディスクドライブ装置101は、図30に示すように、光ディスク判別装置を内蔵しているメディアドライブ部11と、メモリ転送コントローラ12と、クラスタバッファメモリ13と、補助メモリ14と、USBインターフェイス15,16と、USBハブ17と、システムコントローラ18と、オーディオ処理部19とを備える。
【0180】
メディアドライブ部11は、装填された従来ミニディスク、次世代MD1、及び次世代MD2等の個々のディスク90に対する記録/再生を行う。メディアドライブ部(光ディスク記録再生装置)11の内部構成は、図23を用いて説明している。
【0181】
メモリ転送コントローラ12は、メディアドライブ部11からの再生データやメディアドライブ部11に供給する記録データの送受制御を行う。クラスタバッファメモリ13は、メディアドライブ部11によってディスク90のデータトラックから高密度データクラスタ単位で読み出されたデータをメモリ転送コントローラ12の制御に基づいてバッファリングする。補助メモリ14は、メディアドライブ部11によってディスク90から読み出されたUTOCデータ、CATデータ、ユニークID、ハッシュ値等の各種管理情報や特殊情報をメモリ転送コントローラ12の制御に基づいて記憶する。
【0182】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16、USBハブ17を介して接続されたPC100との間で通信可能とされ、このPC100との間の通信制御を行って、書込要求、読出要求等のコマンドの受信やステイタス情報、その他の必要情報の送信等を行うとともに、ディスクドライブ装置101全体を統括制御している。
【0183】
システムコントローラ18は、例えば、ディスク90がメディアドライブ部11に装填された際に、ディスク90からの管理情報等の読出をメディアドライブ部11に指示し、メモリ転送コントローラ12によって読み出されたPTOC、UTOC等の管理情報等を補助メモリ14に格納させる。
【0184】
システムコントローラ18は、これらの管理情報を読み込むことによって、ディスク90のトラック記録状態を把握できる。また、CATを読み込ませることにより、データトラック内の高密度データクラスタ構造を把握でき、PC100からのデータトラックに対するアクセス要求に対応できる状態となる。
【0185】
また、ユニークIDやハッシュ値により、ディスク認証処理及びその他の処理を実行したり、これらの値をPC100に送信し、PC100上でディスク認証処理及びその他の処理を実行させる。
【0186】
システムコントローラ18は、PC100から、あるFATセクタの読出要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行する旨の信号を与える。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
【0187】
このとき、システムコントローラ18は、クラスタバッファメモリ13に書き込まれている高密度データクラスタのデータから、要求されたFATセクタのデータを読み出す信号を与え、USBインターフェイス15,USBハブ17を介して、PC100に送信するための制御を行う。
【0188】
また、システムコントローラ18は、PC100から、あるFATセクタの書込要求があった場合、メディアドライブ部11に対して、このFATセクタを含む高密度データクラスタの読出を実行させる。読み出された高密度データクラスタは、メモリ転送コントローラ12によってクラスタバッファメモリ13に書き込まれる。但し、既にこのFATセクタのデータがクラスタバッファメモリ13に格納されていた場合は、メディアドライブ部11による読出は必要ない。
【0189】
また、システムコントローラ18は、PC100から送信されたFATセクタのデータ(記録データ)をUSBインターフェイス15を介してメモリ転送コントローラ12に供給し、クラスタバッファメモリ13上で該当するFATセクタのデータの書換を実行させる。
【0190】
また、システムコントローラ18は、メモリ転送コントローラ12に指示して、必要なFATセクタが書き換えられた状態でクラスタバッファメモリ13に記憶されている高密度データクラスタのデータを記録データとしてメディアドライブ部11に転送させる。このとき、メディアドライブ部11は、装着されている媒体が従来ミニディスクであればEFM変調方式で、次世代MD1又は次世代MD2であればRLL(1−7)PP変調方式で高密度データクラスタの記録データを変調して書き込む。
【0191】
なお、ディスクドライブ装置101において、上述した記録再生制御は、データトラックを記録再生する際の制御であり、MDオーディオデータ(オーディオトラック)を記録再生する際のデータ転送は、オーディオ処理部19を介して行われる。
【0192】
オーディオ処理部19は、入力系として、例えば、ライン入力回路/マイクロフォン入力回路等のアナログ音声信号入力部、A/D変換器、及びデジタルオーディオデータ入力部を備える。また、オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮エンコーダ/デコーダ、圧縮データのバッファメモリを備える。さらに、オーディオ処理部19は、出力系として、デジタルオーディオデータ出力部、D/A変換器及びライン出力回路/ヘッドホン出力回路等のアナログ音声信号出力部を備えている。
【0193】
ディスク90に対してオーディオトラックが記録されるのは、オーディオ処理部19にデジタルオーディオデータ(又は、アナログ音声信号)が入力される場合である。入力されたリニアPCMデジタルオーディオデータ、或いはアナログ音声信号で入力された後、A/D変換器で変換されて得られたリニアPCMオーディオデータは、ATRAC圧縮エンコードされ、バッファメモリに蓄積される。その後、所定タイミング(ADIPクラスタ相当のデータ単位)でバッファメモリから読み出され、メディアドライブ部11に転送される。
【0194】
メディアドライブ部11では、転送された圧縮データを第1の変調方式EFM変調方式又はRLL(1−7)PP変調方式で変調してディスク90にオーディオトラックとして書き込む。
【0195】
メディアドライブ部11は、ディスク90からオーディオトラックを再生する場合、再生データをATRAC圧縮データ状態に復調してオーディオ処理部19に転送する。オーディオ処理部19は、ATRAC圧縮デコードを行ってリニアPCMオーディオデータとし、デジタルオーディオデータ出力部から出力する。或いは、D/A変換器によりアナログ音声信号としてライン出力/ヘッドホン出力を行う。
【0196】
なお、この図30に示す構成は、一例であって、例えば、ディスクドライブ装置1をPC100に接続してデータトラックのみ記録再生する外部ストレージ機器として使用する場合は、オーディオ処理部19は、不要である。一方、オーディオ信号を記録再生することを主たる目的とする場合、オーディオ処理部19を備え、さらにユーザインターフェイスとして操作部や表示部を備えることが好適である。また、PC100との接続は、USBに限らず、例えば、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers,Inc.:アメリカ電気・電子技術者協会)の定める規格に準拠した、いわゆるIEEE1394インターフェイスのほか、汎用の接続インターフェイスが適用できる。
【0197】
データ領域に対するアクセスでは、例えば、外部のPC100からディスクドライブ装置10のシステムコントローラ18に対して、USBインターフェイス16を経由して「論理セクタ(以下、FATセクタと記す。)」単位で記録又は再生する指示が与えられる。データクラスタは、PC100からみれば、2048バイト単位に区切られてUSNの昇順にFATファイルシステムに基づいて管理されている。一方、ディスク90におけるデータトラックの最小書換単位は、それぞれ65,536バイトの大きさを有した次世代MDクラスタであり、この次世代MDクラスにタは、LCNが与えられている。
【0198】
FATにより参照されるデータセクタのサイズは、次世代MDクラスタよりも小さい。そのため、ディスクドライブ装置10では、FATにより参照されるユーザセクタを物理的なADIPアドレスに変換するとともに、FATにより参照されるデータセクタ単位での読み書きをクラスタバッファメモリ13を用いて、次世代MDクラスタ単位での読み書きに変換する必要がある。
【0199】
図31に、PC100からあるFATセクタの読出要求があった場合のディスクドライブ装置10におけるシステムコントローラ18における処理を示す。
【0200】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16を経由してPC100からのFATセクタ#nの読出命令を受信すると、指定されたFATセクタ番号#nのFATセクタが含まれる次世代MDクラスタ番号を求める処理を行う。
【0201】
まず、仮の次世代MDクラスタ番号u0を決定する。次世代MDクラスタの大きさは、65536バイトであり、FATセクタの大きさは、2048バイトであるため、1次世代MDクラスタのなかには、FATセクタは、32個存在する。したがって、FATセクタ番号(n)を32で整数除算(余りは、切り捨て)したもの(u0)が仮の次世代MDクラスタ番号となる。
【0202】
続いて、ディスク90から補助メモリ14に読み込んであるディスク情報を参照して、データ記録用以外の次世代MDクラスタ数uxを求める。すなわち、セキュアエリアの次世代MDクラスタ数である。
【0203】
上述したように、データトラック内の次世代MDクラスタのなかには、データ記録再生可能なエリアとして公開しないクラスタもある。そのため、予め補助メモリ14に読み込んでおいたディスク情報に基づいて、非公開のクラスタ数uxを求める。その後、非公開のクラスタ数uxを次世代MDクラスタ番号u0に加え、その加算結果uを実際の次世代MDクラスタ番号#uとする。
【0204】
FATセクタ番号#nを含む次世代MDクラスタ番号#uが求められると、システムコントローラ18は、クラスタ番号#uの次世代MDクラスタが既にディスク90から読み出されてクラスタバッファメモリ13に格納されているか否かを判別する。もし格納されていなければ、ディスク90からこれを読み出す。
【0205】
システムコントローラ18は、読み出した次世代MDクラスタ番号#uからADIPアドレス#aを求めることでディスク90から次世代MDクラスタを読み出している。
【0206】
次世代MDクラスタは、ディスク90上で複数のパーツに分かれて記録されることもある。したがって、実際に記録されるADIPアドレスを求めるためには、これらのパーツを順次検索する必要がある。そこでまず、補助メモリ14に読み出してあるディスク情報からデータトラックの先頭パーツに記録されている次世代MDクラスタ数pと先頭の次世代MDクラスタ番号pxとを求める。
【0207】
各パーツには、ADIPアドレスによってスタートアドレス/エンドアドレスが記録されているため、ADIPクラスタアドレス及びパーツ長から、次世代MDクラスタ数pと先頭の次世代MDクラスタ番号pxとを求めることができる。続いて、このパーツに、目的となっているクラスタ番号#uの次世代MDクラスタが含まれているか否かを判別する。含まれていなければ、次のパーツに移る。すなわち、注目していたパーツのリンク情報によって示されるパーツである。以上により、ディスク情報に記述されたパーツを順に検索していき、目的の次世代MDクラスタが含まれているパーツを判別する。
【0208】
目標の次世代MDクラスタ(#u)が記録されたパーツが発見されたら、このパーツの先頭に記録される次世代MDクラスタ番号pxと、目標の次世代MDクラスタ番号#uの差を求めることで、そのパーツ先頭から目標の次世代MDクラスタ(#u)までのオフセットを得る。
【0209】
この場合、1ADIPクラスタには、2つの次世代MDクラスタが書き込まれるため、このオフセットを2で割ることによって、オフセットをADIPアドレスオフセットfに変換することができる(f=(u−px)/2)。
【0210】
但し、0.5の端数が出た場合は、クラスタfの中央部から書き込むこととする。最後に、このパーツの先頭ADIPアドレス、すなわちパーツのスタートアドレスにおけるクラスタアドレス部分にオフセットfを加えることで、次世代MDクラスタ(#u)を実際に書き込む記録先のADIPアドレス#aを求めることができる。以上がステップS1において再生開始アドレス及びクラスタ長を設定する処理にあたる。なお、ここでは、従来ミニディスクか、次世代MD1か次世代MD2かの媒体の判別は、別の手法により、既に完了しているものとする。
【0211】
ADIPアドレス#aが求められると、システムコントローラ18は、メディアドライブ部11にADIPアドレス#aへのアクセスを命じる。これによりメディアドライブ部11では、ドライブコントローラ41の制御によってADIPアドレス#aへのアクセスが実行される。
【0212】
システムコントローラ18は、ステップS2において、アクセス完了を待機し、アクセスが完了したら、ステップS3において、光学ヘッド22が目標とする再生開始アドレスに到達するまで待機し、ステップS4において、再生開始アドレスに到達したことを確認すると、ステップS5において、メディアドライブ部11に次世代MDクラスタの1クラスタ分のデータ読取開始を指示する。
【0213】
メディアドライブ部11では、これに応じて、ドライブコントローラ41の制御により、ディスク90からのデータ読出を開始する。光学ヘッド22、RFアンプ24、RLL(1−7)PP復調部35、RS−LDCデコーダ36の再生系で読み出したデータを出力し、メモリ転送コントローラ12に供給する。
【0214】
このとき、システムコントローラ18は、ステップS6において、ディスク90との同期がとれているか否かを判別する。ディスク90との同期が外れている場合、ステップS7において、データ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。ステップS8において、再度読取りを実行すると判別された場合は、ステップS2からの工程を繰り返す。
【0215】
1クラスタ分のデータを取得すると、システムコントローラ18は、ステップS10において、取得したデータのエラー訂正を開始する。ステップS11において、取得したデータに誤りあれば、ステップS7に戻ってデータ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。また、取得したデータに誤りがなければ、ステップS12において、所定のクラスタを取得したか否かを判別する。所定のクラスタを取得していれば、一連の処理を終了し、システムコントローラ18は、このメディアドライブ部11による読出動作を待機し、読み出されてメモリ転送コントローラ12に供給されたデータをクラスタバッファメモリ13に格納させる。取得していない場合、ステップS6からの工程を繰り返す。
【0216】
クラスタバッファメモリ13に読み込まれた次世代MDクラスタの1クラスタ分のデータは、複数個のFATセクタを含んでいる。そのため、この中から要求されたFATセクタのデータ格納位置を求め、1FATセクタ(2048バイト)分のデータをUSBインターフェイス15から外部のPC100へと送出する。具体的には、システムコントローラ18は、要求されたFATセクタ番号#nから、このセクタが含まれる次世代MDクラスタ内でのバイトオフセット#bを求める。そして、クラスタバッファメモリ13内のバイトオフセット#bの位置から1FATセクタ(2048バイト)分のデータを読み出させ、USBインターフェイス15を介してPC100に転送する。
【0217】
以上の処理により、PC100からの1FATセクタの読出要求に応じた次世代MDセクタの読み出し・転送が実現できる。
【0218】
次に、PC100からあるFATセクタの書込要求があった場合のディスクドライブ装置10におけるシステムコントローラ18の処理を図32に基づいて説明する。
【0219】
システムコントローラ18は、USBインターフェイス16を経由してPC100からのFATセクタ#nの書込命令を受信すると、上述したように指定されたFATセクタ番号#nのFATセクタが含まれる次世代MDクラスタ番号を求める。
【0220】
FATセクタ番号#nを含む次世代MDクラスタ番号#uが求められると、続いて、システムコントローラ18は、求められたクラスタ番号#uの次世代MDクラスタが既にディスク90から読み出されてクラスタバッファメモリ13に格納されているか否かを判別する。格納されていなければ、ディスク90からクラスタ番号uの次世代MDクラスタを読み出す処理を行う。すなわち、メディアドライブ部11にクラスタ番号#uの次世代MDクラスタの読出を指示し、読み出された次世代MDクラスタをクラスタバッファメモリ13に格納させる。
【0221】
また、上述のようにして、システムコントローラ18は、書込要求にかかるFATセクタ番号#nから、このセクタが含まれる次世代MDクラスタ内でのバイトオフセット#bを求める。続いて、PC100から転送されてくる当該FATセクタ(#n)への書込データとなる2048バイトのデータをUSBインターフェイス15を介して受信し、クラスタバッファメモリ13内のバイトオフセット#bの位置から、1FATセクタ(2048バイト)分のデータを書き込む。
【0222】
これにより、クラスタバッファメモリ13に格納されている当該次世代MDクラスタ(#u)のデータは、PC100が指定したFATセクタ(#n)のみが書き換えられた状態となる。そこでシステムコントローラ18は、クラスタバッファメモリ13に格納されている次世代MDクラスタ(#u)をディスク90に書き込む処理を行う。以上がステップS21における記録データ準備工程である。この場合も同様に、媒体の判別は、別の手法により既に完了しているものとする。
【0223】
続いて、システムコントローラ18は、ステップS22において、書込を行う次世代MDクラスタ番号#uから、記録開始位置のADIPアドレス#aを設定する。ADIPアドレス#aが求められたら、システムコントローラ18は、メディアドライブ部11にADIPアドレス#aへのアクセスを命じる。これによりメディアドライブ部11では、ドライブコントローラ41の制御によってADIPアドレス#aへのアクセスが実行される。
【0224】
ステップS23において、アクセスが完了したことを確認すると、ステップS24において、システムコントローラ18は、光学ヘッド22が目標とする再生開始アドレスに到達するまで待機し、ステップS25において、データのエンコードアドレスに到達したことを確認すると、ステップS26において、システムコントローラ18は、メモリ転送コントローラ12に指示して、クラスタバッファメモリ13に格納されている次世代MDクラスタ(#u)のデータのメディアドライブ部11への転送を開始する。
【0225】
続いて、システムコントローラ18は、ステップS27において、記録開始アドレスに到達したことを確認すると、メディアドライブ部11に対しては、ステップS28において、この次世代MDクラスタのデータのディスク90への書込開始を指示する。このとき、メディアドライブ部11では、これに応じてドライブコントローラ41の制御により、ディスク90へのデータ書込を開始する。すなわち、メモリ転送コントローラ12から転送されてくるデータについて、RS−LDCエンコーダ47、RLL(1−7)PP変調部48、磁気ヘッドドライバ46、磁気ヘッド23及び光学ヘッド22の記録系でデータ記録を行う。
【0226】
このとき、システムコントローラ18は、ステップS29において、ディスク90との同期がとれているか否かを判別する。ディスク90との同期が外れている場合、ステップS30において、データ読取りエラー発生の旨の信号を生成する。ステップS31において、再度読取りを実行すると判別された場合は、ステップS2からの工程を繰り返す。
【0227】
1クラスタ分のデータを取得すると、システムコントローラ18は、ステップS32において、所定のクラスタを取得したか否かを判別する。所定のクラスタを取得していれば、一連の処理を終了する。
【0228】
以上の処理により、PC100からの1FATセクタの書込要求に応じた、ディスク90へのFATセクタデータの書込が実現される。つまり、FATセクタ単位の書込は、ディスク90に対しては、次世代MDクラスタ単位の書換として実行される。
【0229】
【発明の効果】
本発明に係るサーボ制御装置は、スポットが記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過したことを制御手段が検出すると、制御手段は信号生成手段による補正信号の生成をホールドさせ、スポットが次のゾーンに入ったことを検出すると、信号生成手段による補正信号の生成を再開させるので、ゾーニングした光ディスクに対しても視野(WPP)サーボを正常にかけることができ、ゾーンの境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去ができる。
【0230】
本発明に係るサーボ制御方法は、スポットが記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過したことを制御工程が検出すると、制御手段は信号生成工程による補正信号の生成をホールドさせ、スポットが次のゾーンに入ったことを検出すると、信号生成工程による補正信号の生成を再開させるので、ゾーニングした光ディスクに対しても視野(WPP)サーボを正常にかけることができ、ゾーンの境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去ができる。
【0231】
本発明に係るディスク記録及び/又は再生装置は、サーボ制御手段において、スポットが記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過したことを制御手段が検出すると、制御手段は信号生成手段による補正信号の生成をホールドさせ、スポットが次のゾーンに入ったことを検出すると、信号生成手段による補正信号の生成を再開させるので、ゾーニングした光ディスクに対しても視野(WPP)サーボを正常にかけることができ、ゾーンの境界が存在してもスムーズに再生、記録、消去ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光ディスク記録再生装置のブロック図である。
【図2】次世代MD2のような光ディスクのゾーンzone化フォーマットを示す図である。
【図3】前記次世代MD2のような光ディスクのウォブル形態を示す模式図である。
【図4】ウォブルの波数を示す図である。
【図5】光学ヘッドの構成を示す図である。
【図6】RFアンプ内における、ウォブルプッシュプル信号WPPの生成回路を示す図である。
【図7】CLVサーボの構成例を示す図である。
【図8】WPP信号の波形図である。
【図9】ゾーニングされた光ディスクのゾーン境界の一例を示す図である。
【図10】サーボ制御装置の処理の流れの第1の具体例を示すフローチャートである。
【図11】サーボ制御装置の処理の流れの第2の具体例を示すフローチャートである。
【図12】サーボ制御装置の処理の流れの第3の具体例を示すフローチャートである。
【図13】サーボ制御装置のドライブ起動時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】ゾーニングされた光ディスクの各ゾーン内の密度比がほぼ均等になることを示す図である。
【図15】ゾーン数と容量、密度比或いはゾーン間速度偏差との関係を示す図である。
【図16】ZCAVによって回転駆動される次世代MD2を製造する工程にて用いられるフォーマッターのブロック図である。
【図17】前記フォーマッターのPLLにおける周波数算出構成を示す図である。
【図18】ゾーン内密度比一定方式によって形成されたゾーンレイアウトの第1具体例の前半を示す図である。
【図19】ゾーン内密度比一定方式によって形成されたゾーンレイアウトの第1具体例の後半を示す図である。
【図20】ゾーン内密度比一定方式によって形成されたゾーンレイアウトの第2具体例の前半を示す図である。
【図21】ゾーン内密度比一定方式によって形成されたゾーンレイアウトの第2具体例の後半を示す図である。
【図22】図20及び図21に示したゾーンレイアウトにしたがったディスク上のデータフォーマットを示す図である。
【図23】ミニディスク(第1世代MD)、次世代MD1及び次世代MD2を記録再生するための光ディスク記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図24】次世代MD1及び2のBISを含むデータブロック構成を示す図である。
【図25】次世代MD1及び2のデータブロックに対するECCフォーマットを示す図である。
【図26】次世代MD2の盤面上のエリア構造例を模式的に示した図である。
【図27】次世代MD1及び次世代MD2のADIPセクタ構造とデータブロックとの関係を示す図である。
【図28】ADIPのデータ構造を示す図である。
【図29】次世代MD2のADIP信号にディスクコントロール信号を埋め込む処理を説明するための図である。
【図30】ディスクドライブ装置の構成を示すブロック図である。
【図31】PCからあるFATセクタの読出要求があった場合のディスクドライブ装置におけるシステムコントローラにおける処理を示すフローチャートである。
【図32】PCからあるFATセクタの書込要求があった場合のディスクドライブ装置におけるシステムコントローラの処理を示すフローチャートである。
【図33】隣接するウォブル間で波数を合わせていない光ディスクの例を示す図である。
【図34】トラックのキャリア周波数がずれていく様子を示す図である。
【図35】プッシュプル信号に乗る数ヘルツの低周波成分(ビート成分)を示す図である。
【図36】WPP信号の波形図である。
【符号の説明】
200 光ディスク(次世代MD2)、401 スピンドルモータ、402 光学ヘッド、404 RFアンプ、411 サーボ回路、412 モータドライバー、413 ADIP復調+復号部

Claims (15)

  1. ウォブリングされたグルーブ及びランドを記録面に交互に配置し、前記グルーブ及び/又はランドからなるウォブルトラックにデータが記録される光ディスクであり、かつ前記記録面が同芯円状にゾーン化され、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数を同数としている光ディスクに対するサーボ制御を行うためのサーボ制御装置であって、
    前記記録面に記録/再生用に照射された光が前記記録面上で形成したスポットの戻り光より得られた光量の検出信号から、前記ウォブルトラックに前記スポットをトラッキングさせるときのウォブルによるオフセット分をスポットの移動量により補正するための補正信号を生成する信号生成手段と、
    前記信号生成手段が生成した前記補正信号を用いて前記ウォブルトラックに対する前記スポットのトラッキングを制御するサーボ手段と、
    前記スポットが前記記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記信号生成手段による前記補正信号の生成をホールドさせ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記信号生成手段による前記補正信号の生成を再開させる制御手段と
    を備えることを特徴とするサーボ制御装置。
  2. 前記信号生成手段はさらに前記ウォブルトラックのウォブル周波数に基づいたアドレス信号を生成し、また前記サーボ手段はさらに前記ウォブルトラックのウォブル周波数に基づいたアドレス信号に基づいて前記光ディスクを回転駆動する回転駆動手段のサーボを制御するものであり、前記制御手段は前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ手段による前記回転駆動手段の回転速度の制御を変化させ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記回転駆動手段の回転速度の制御を戻すことを特徴とする請求項1記載のサーボ制御装置。
  3. 前記サーボ手段は、前記光ディスクをゾーン内では線速度一定で回転するように前記回転駆動手段を制御することを特徴とする請求項2記載のサーボ制御装置。
  4. 前記制御手段は、前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ手段による前記回転駆動手段の回転速度の制御を線速度一定から角速度一定に変化させ、前記スポットが前記次のゾーンに入ったときには前記サーボ手段による前記回転駆動手段の回転速度の制御を角速度一定から線速度一定に戻すことを特徴とする請求項3記載のサーボ制御装置。
  5. 前記制御手段は、前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ手段による前記回転駆動手段の回転速度の制御を線速度一定のゲインを下げて行い、前記スポットが前記次のゾーンに入ったときには前記サーボ手段による前記回転駆動手段の回転速度の制御を線速度一定のゲインを元に戻して行うことを特徴とする請求項3記載のサーボ制御装置。
  6. 前記サーボ手段は前記光ディスクを回転駆動する回転駆動手段のサーボを制御するものであり、前記制御手段は前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ手段による前記回転駆動手段の回転数を次のゾーンの目標回転数に設定し、前記スポットが前記次のゾーンに入ったときには前記回転駆動手段の回転数をそのままの前記目標回転数にすることを特徴とする請求項1記載のサーボ制御装置。
  7. 前記サーボ手段は、前記光ディスクをゾーン内では角速度一定で回転するように前記回転駆動手段を制御することを特徴とする請求項6記載のサーボ制御装置。
  8. ウォブリングされたグルーブ及びランドを記録面に交互に配置し、前記グルーブ及び/又はランドからなるウォブルトラックにデータが記録される光ディスクであり、かつ前記記録面が同芯円状にゾーン化され、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数を同数としている光ディスクに対するサーボ制御を行うためのサーボ制御方法であって、
    前記記録面に記録/再生用に照射された光が前記記録面上で形成したスポットの戻り光より得られた光量の検出信号から、前記ウォブルトラックに前記スポットをトラッキングさせるときのウォブルによるオフセット分をスポットの移動量により補正するための補正信号を生成する信号生成工程と、
    前記信号生成工程が生成した前記補正信号を用いて前記ウォブルトラックに対する前記スポットのトラッキングを制御するサーボ工程と、
    前記スポットが前記記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記信号生成工程による前記補正信号の生成をホールドさせ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記信号生成工程による前記補正信号の生成を再開させる制御工程と
    を備えることを特徴とするサーボ制御方法。
  9. 前記信号生成工程はさらに前記ウォブルトラックのウォブル周波数に基づいたアドレス信号を生成し、また前記サーボ工程はさらに前記ウォブルトラックのウォブル周波数に基づいたアドレス信号に基づいて前記光ディスクを回転駆動する回転駆動手段のサーボを制御するものであり、前記制御工程は前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ工程による前記回転駆動手段の回転速度の制御を変化させ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記回転駆動手段の回転速度の制御を戻すことを特徴とする請求項8記載のサーボ制御方法。
  10. 前記サーボ工程は、前記光ディスクをゾーン内では線速度一定で回転するように前記回転駆動手段を制御することを特徴とする請求項9記載のサーボ制御方法。
  11. 前記制御工程は、前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ工程による前記回転駆動手段の回転速度の制御を線速度一定から角速度一定に変化させ、前記スポットが前記次のゾーンに入ったときには前記サーボ工程による前記回転駆動手段の回転速度の制御を角速度一定から線速度一定に戻すことを特徴とする請求項10記載のサーボ制御方法。
  12. 前記制御工程は、前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ手段による前記回転駆動手段の回転速度の制御を線速度一定のゲインを下げて行い、前記スポットが前記次のゾーンに入ったときには前記サーボ工程による前記回転駆動手段の回転速度の制御を線速度一定のゲインを元に戻して行うことを特徴とする請求項10記載のサーボ制御方法。
  13. 前記サーボ工程は前記光ディスクを回転駆動する回転駆動手段のサーボを制御するものであり、前記制御工程は前記スポットが前記現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記サーボ工程による前記回転駆動手段の回転数を次のゾーンの目標回転数に設定し、前記スポットが前記次のゾーンに入ったときには前記回転駆動手段の回転数をそのままの前記目標回転数にすることを特徴とする請求項8記載のサーボ制御方法。
  14. 前記サーボ工程は、前記光ディスクをゾーン内では角速度一定で回転するように前記回転駆動手段を制御することを特徴とする請求項13記載のサーボ制御方法。
  15. ウォブリングされたグルーブ及びランドを記録面に交互に配置し、前記グルーブ及び/又はランドからなるウォブルトラックにデータが記録される光ディスクであり、かつ前記記録面が同芯円状にゾーン化され、ゾーン内の隣接するウォブルトラック間でウォブルの波数を同数としている光ディスクに対してデータを記録及び/又は記録するディスク記録及び/又は再生装置であって、
    前記ディスクの記録面に記録/再生用の光を出射し、当該光を前記ウォブルトラックに集束し、前記記録面上で形成されたスポットの戻り光より得られた光量を検出する光学ヘッド手段と、前記光学ヘッド手段の前記光量の検出信号から、前記ウォブルトラックに前記スポットをトラッキングさせるときのウォブルによるオフセット分をスポットの移動量により補正するための補正信号を生成する信号生成手段と、前記信号生成手段が生成した前記補正信号を用いて前記ウォブルトラックに対する前記スポットのトラッキングを制御するサーボ手段と、前記スポットが前記記録面に形成された複数のゾーンの内の現在いるゾーンの最終トラックを通過した後には前記信号生成手段による前記補正信号の生成をホールドさせ、前記スポットが次のゾーンに入ったときには前記信号生成手段による前記補正信号の生成を再開させる制御手段とを有するサーボ制御手段とを備えることを特徴とするディスク記録及び/又は再生装置。
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