JP2004038951A - バスケットオプションの価格設定に関する予想変動率曲面をシミュレートする方法およびシステム - Google Patents

バスケットオプションの価格設定に関する予想変動率曲面をシミュレートする方法およびシステム Download PDF

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Abstract

【課題】原金融商品に対する特定のオプションの価格のボラティリティの変化をシミュレートする方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】少なくとも1つの曲面パラメータを有する変動率曲面モデルを、原金融商品に対する複数のオプションのボラティリティの組と共に提供する。ボラティリティの組を分析して、各曲面パラメータの初期値を判定し、この初期値が曲面モデルで使用される時に、この初期値によってボラティリティの組を近似する曲面が定義される。曲面パラメータの値は、適当な変化関数を使用して変更される。特定のオプションのボラティリティ値を、変更される曲面パラメータ値によって定義される変動率曲面から抽出する。抽出されたボラティリティ値を、オプション価格設定モデルで使用して、特定のオプションの価格を提供する。
【選択図】 図4

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、市場リスクおよび信用リスクを測定する方法およびシステムに関し、具体的には、バスケットオプション(basketoption)の実行をシミュレートする際に使用される、バスケットオプションおよび他の複数構成要素からなるオプションの変動率曲面(volatilitysurface)についての変化をシミュレートする改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関(および個人投資家)が直面しなければならない重要な考慮事項が、ポートフォリオなどの所与の金融ポジションに固有の将来の損失の潜在的なリスクである。様々な情況で使用され、潜在的な将来のリスクを測定する種々の方法がある。リスクの一般的に受け入れられている測定値の1つが、特定の金融ポートフォリオのリスク値(VAR:valueatrisk)である。ポートフォリオのVARは、所与の百分位数でポートフォリオの市場リスクを示す。言い換えると、VARは、機関が、将来のある期間中に所与の確率でポートフォリオを期待することができる、考えられる最大の損失である。例えば、リスクの99番目の百分位数での損失と等しいVARは、損失が当該時間フレームにVARより大きくなる可能性が1%だけであることを示す。
【0003】
一般に、金融機関は、VARのある百分率を万一の予備として保持し、所定の近い将来の期間においてポートフォリオの考えられる損失をカバーする。VARの推定値が正確であることが重要である。VARの推定値が少なすぎる場合には、最悪のシナリオで損失をカバーするのに十分な資金がなくなる可能性がある。VARを過大に推定することも、VARをカバーするためにとっておかれる資金が他の用途に使用できなくなるので、望ましくない。
【0004】
ポートフォリオのVARを判定するために、さまざまなリスク要因を組み込まれた1または複数のモデルを使用して、ポートフォリオの各証券の価格を、適当なモデルを使用して何度もシミュレートする。このモデルは、1または複数のリスク要因に基づいて証券の価格を特徴つけ、このリスク要因は、広義に、売買可能な証券から派生する市場要因であり、所与の証券の価格の変化を予測しまたはシミュレートするのに使用することができる市場要因と考えることができる。所与のモデルで使用されるリスク要因は、問題の金融商品の種類およびモデルの複雑さに依存する。通常のリスク要因には、予想変動率、原株式の価格、公定歩合、貸出金利、および外国為替相場が含まれる。シミュレーションには、モデルのリスク要因の値を変化させることと、そのモデルを使用して、選択されたリスク要因の値に従って証券価格を計算することが含まれる。結果の価格分布を集計して、ポートフォリオの分布を作る。ポートフォリオのVARは、この分布を分析することによって決定される。
【0005】
シミュレートされる証券の特定のクラスが、オプションである。単純な有価証券と異なって、オプションおよび他の派生商品の価格は、原資産価格、原資産価格の変化のボラティリティ、および満期の時間などのさまざまな他のオプションパラメータの変化に依存する。オプションは、その権利行使価格および満期の期日に従って特徴つけられ、オプション価格のボラティリティは、これらの要因の両方に関連する。これらの効果に対するオプションボラティリティの感度を、一般に、歪み(skew)および期間と称する。オプションのセットに関するボラティリティの測定値を組み合わせて、変動率曲面を作ることができる。例えば、図1は、行使(strike)レベルと1995年9月27日の満了までの期間の関数として、S&P500インデックスオプションの予想変動率曲面のグラフである。
【0006】
変動率曲面を使用して、シミュレーション中に所与のオプションのボラティリティ値を抽出することができる。抽出されたボラティリティ値を、シミュレートされたオプション価格を提供するオプション価格設定モデルに適用する。これらの価格を分析して、オプションを含むポートフォリオのVARなどのリスクに関する予測を行うことができる。変動率曲面は、静的ではなく、1日ごとに変化する。従って、リスク管理決定を行うためおよび他の目的のために、変動率曲面の変化もシミュレートする必要がある。
【0007】
さまざまな技法を使用して、変動率曲面を経時的にシミュレートすることができる。一般的な金融シミュレーションでは、伝統的に2つのシミュレーション技法が使用されてきた。パラメトリックシミュレーションとヒストリカルシミュレーションおよびこれらの技法のバリエーションを適用して、ボラティリティをシミュレートすることができる。
【0008】
パラメトリックシミュレーションでは、所与の要因の値の変化が、ノイズ構成要素に応答する確率関数またはランダム関数に従ってモデル化され、εがノイズ構成要素である。シミュレーション中に、適切な変動率曲面を使用して、シミュレートされるオプションの開始ボラティリティ値を抽出することができ、この値が、シミュレーションの過程で、ノイズのランダムに選択された値に従って変更される。
【考案の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
パラメトリックシミュレーションは、柔軟であり、リスク中立になるようにモデルパラメータを調整することができるが、伝統的な技法では、ランダムノイズ変動に正規分布を使用し、実際に発生する確率分布「ファットテイル(fat―tail)」を明示的にモデル化し、正規分布に欠けているこの特徴を補償しなければならない。さらに、さまざまな要因の間の相互相関を、分散−共分散行列で明示的に表さなければならない。要因の間の相関は、情況に依存して変化する可能性があり、これらの変動の検出および補償は、困難であり、モデル化のプロセスが非常に複雑になる可能性がある。さらに、相互相関を決定することの計算的コストは、要因の数の二乗で増加し、多数の要因を有するモデルを処理することが困難になる。
【0010】
パラメトリックシミュレーションに対する代替案が、ヒストリカルシミュレーションである。ヒストリカルシミュレーションでは、データのヒストリカルレコードを分析して、実際の要因値を判定し、これらの値を、シミュレーション中にランダムに選択する。この手法は、極度に単純であり、相互相関、ボラティリティ、およびファットテイルイベント分布を正確に取り込むことができる。しかし、この方法は、値の統計的分布が、発生した特定のヒストリカルシーケンスに制限されるので、限定されている。さらに、ヒストリカルデータは、特に新たに開発される証券またはリスク要因に関して、欠けているか存在しない場合があり、ヒストリカルシミュレーションは、一般にリスク中立ではない。
【0011】
従って、オプション価格設定シミュレーション中にボラティリティ値を判定するための変動率曲面をシミュレートする改良された方法を提供する必要がある。
【0012】
そのような方法が、相互相関およびファットテイルを特にモデル化することを必要とせずに、パラメトリックモデリング技法の長所を保ちながら、相互相関およびファットテイルを取り込むならば有利である。
【0013】
また、そのような方法を、オプション価格設定モデルで使用される他の多変量要因に拡張できるならば有利である。
【0014】
単一の証券に基づくオプションの実行をシミュレートすることに加えて、バスケットオプション、さまざまなインデックスに基づくオプション、および複数の原証券の実行に基づく他のオプションの実行をシミュレートすることも有用である。伝統的な慣行は、回帰分析を使用して、シミュレーション中に使用されるバスケットオプションのボラティリティを判定することである。しかし、これは、計算的に非常に高価である。
【0015】
従って、シミュレーションおよび他のアプリケーションで使用するためのバスケットオプションおよび他の複数証券オプションのボラティリティを判定する改良された方法を提供することが、さらに有利である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、このような目的を達成するために、パラメータ化された変動率曲面を定義し、シミュレーション中にヒストリカルデータに従って曲面パラメータを変化させることにより、オプションボラティリティをシミュレートする。具体的には、変動率曲面モデルを、一連の曲面パラメータβによって定義する。曲面パラメータの初期値は、満期時間軸対デルタ軸または他の適当な軸に関して初期オプションボラティリティデータの組を回帰分析することによって判定される。このモデルを較正して、初期曲面モデルによって提供される値から開始オプションボラティリティのオフセットを判定する。
【0017】
シミュレーションの各「ティック(tick)」で、変動率曲面を定義するベータパラメータ値を、現在のベータ値およびベータボラティリティのノイズ変化する測定値に基づいて、次のベータ値を提供する関数に従って調整する。ベータボラティリティを、ヒストリカルデータから導出するか他の手段を介して推定される変動率曲面からのベータ値の時系列を分析することによって判定することができる。新しいベータパラメータ値を、曲面モデルに適用して、シミュレートされる変動率曲面を定義し、これを使用して、シミュレーション中にオプションのボラティリティ値を抽出する。抽出された値は、較正データに従って調整され、較正されシミュレートされたボラティリティ値が、価格設定モデルに適用される。
【0018】
さまざまな技法を使用して、ベータパラメータのノイズ変化するボラティリティをシミュレートすることができる。好ましくは、本発明のさらなる態様に従って、ベータボラティリティのノイズ変動を、ヒストリカルデータにあてはめられた変動率曲面からのベータ値の時間変化するシーケンスの分析を介して生成されたリスク中立のブートストラップされた残差値の組から選択する。
【0019】
本発明のもう1つの態様によれば、個々の証券から派生するベータ曲面パラメータ値を組み合わせて、バスケットを含む証券のボラティリティモデル曲面パラメータから直接にバスケットの変動率曲面モデルの曲面パラメータを判定することができる。その結果、個々の証券の曲面パラメータを生成したならば、これらの証券の任意の組に基づくバスケットオプションの曲面パラメータを、簡単にすばやく生成することができる。為替相場ボラティリティも考慮に入れて、バスケット通貨以外の通貨で価格設定される証券に基づくオプションバスケットの単純化されたシミュレーションを可能にすることもできる。
【0020】
本発明の上述および他の特徴は、本発明の例示的実施形態の以下の詳細な説明および図面から簡単に明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、複数の変数に依存するリスク要因値の時間的変化をシミュレートする改良された技法を対象とする。本発明を、複数の要因に依存するリスク要因、特にオプションの変動率曲面を用いる派生商品の実行をシミュレートすることに関して説明する。オプション価格は、原有価証券の価格とオプション満了前の残り時間の両方に依存するボラティリティを有する。所与の有価証券から派生するさまざまなオプションのボラティリティを、変動率曲面として表すことができ、本発明の方法によって、例えば、リスク分析シミュレーションで使用される、変動率曲面の変化をシミュレートする改良された技法がもたらされる。この方法論を、他の種類の派生商品に適用することができ、より一般的に、体積などの「多次元曲面」またはより高次元の構造としてモデル化することができる複数の要因に依存するリスク要因を有するシミュレーションモデルに適用することができる。
【0022】
オプションを、その権利行使価格および満了の日付に従って特徴つけることができ、オプション価格のボラティリティは、これらの要因の両方に関係する。オプション価格Pと有価証券価格Sの変化の比を、伝統的に下記の「デルタ」として表す。
【0023】
【数式1】
Figure 2004038951
【0024】
変動率曲面を指定する方法の1つは、デルタと、オプションの残りの期間Tに関するもの、例えばσ(T,Δ)である。デルタを使用することによって、無次元の値がもたらされ、これによって、異なるオプションの間の比較が簡単になる。しかし、曲面σ(x,y)の他の変数を、その代わりに使用することができる。
【0025】
最初に、所与の有価証券のオプションのヒストリカルデータを分析して、例えば、最も最近の終値から開始するなど、シミュレーションの開始点での関連するオプションのそれぞれの予想変動率σimpを判定(または他の形で選択)する。さまざまなオプションのボラティリティ点σimp(T,Δ)によって、対応するT軸およびデルタ軸に対してプロットされる値の組を定義する。サンプルプロットを、図2に示す。
【0026】
本発明の一態様によれば、時間インデックスiでの所与のデルタおよびTに関する予想変動率σの測定値を与えるパラメータ化された変動率曲面は、1または複数の曲面パラメータβ0,i...βn,i、デルタ、およびTの関数Fとして定義される。
σ(Δ,T)=F(β0,i,...,βn,i,Δ,T)+e(Δ,T)  (式2)
理解されるように、さまざまなスケーリング関数を、σの値に適用することができる。誤差項またはノイズ項eは、技術的には変動率曲面モデル自体の構成要素ではなく、モデル化される曲面がボラティリティ値の近似にすぎない可能性があることを示すために示される。
【0027】
シミュレーションの前に、パラメータβ...βの値を判定して、所与の時間インデックスからヒストリカルボラティリティを近似する変動率曲面モデルを介して、変動率曲面を定義する。適切な値を、近似回帰分析を使用して判定することができる。残差要因e(Δ,T)は、モデル化される変動率曲面上の対応する点からの元のボラティリティ点のオフセットとして、曲面パラメータ値を判定するのに使用されるオプション点の少なくとも一部について定義することができる。図3に、式5(以下で説明する)に従って、図2のボラティリティデータの組の回帰分析から判定された予想変動率曲面を示す。残差オフセット値を使用して、モデル化される変動率曲面から抽出されたボラティリティ値を較正または調整することができる。
【0028】
曲面パラメータ化関数の形式および異なるβパラメータの数は、実施形態の詳細に応じて変更することができる。曲面パラメータの数を増やすことによって、サンプル点によりよく一致する曲面をもたらすことができるが、モデルの複雑さも高まる。好ましくは、予想変動率曲面は、予想変動率値の対数に関して定義され、少なくとも1つの定数項またはプレーナ項と、デルタの1または複数の線形関数または区分線形パラメータ関数と、Tの1または複数の線形関数または区分線形パラメータ関数とを有する線形関数または区分線形関数である。ボラティリティ値が対数関数に従ってスケーリングされる、最も好ましい形の曲面パラメータ化関数は、次式である。
lnσ(Δ,T)=β0,i+β1,i(Δ―x)+β2,i(T―x+β3,i(T―x+e(Δ,T) (式3)
ここで、(x)は、x>0の場合にxと等しく、それ以外の場合に0と等しい区分線形関数であり、e(Δ,T)は、残差ノイズ要因であり、x、xおよびxは、ユーザプリファレンスおよび他の判断基準により、ヒストリカルデータに適合する許容できる曲面を提供するのに適当であると選択された値を有する定数項である。
【0029】
、xおよびxの適切な値は、x、xおよびxの異なる値を使用して本明細書で開示されるシミュレーション技法を適用し、最も正確な結果をもたらす値を選択することによって、実験的に判定することができる。類似する技法を使用して、複数の変数によって特性つけられる他のリスク要因のシミュレーションについて適当な曲面パラメータ化関数を選択することができる。特定の一実施形態では、Tの値を月単位で指定するものとして、下記の値が非常に適する結果をもたらすことがわかった。
lnσ(Δ,T)=β0,i+β1,i(Δ―.5)+β2,i(T―4)+β3,i(T―24)+e(Δ,T) (式4)
使用される特定の値および式の形の変更は、有価証券の種類および問題のリスク要因ならびに当業者によって諒解されるさまざまな他の考慮事項に従って行うことができる。
【0030】
問題のデリバティブ値の種類および使用可能なデータに応じて、曲面を定義する回帰分析でそのデータを使用する前に、デリバティブ特性の変換または翻訳が必要になる場合がある。さらに、回帰分析中にどのデータ値を使用するかに関して、いくつかの判断を行う必要がある場合がある。好ましくは、事前に定義されたガイドラインの組を使用して、曲面パラメータの導出のために回帰分析される予想変動率の値を選択する方法を判定し、回帰分析から除外されなければならない外部のデータ点、または不完全なデータ点を識別する。
【0031】
ガイドラインの特定の組に従って、原資産ごとに、分析に使用される予想変動率を、下記の規則を使用して選択することができる。
−原資産に対して交換取引されるヨーロピアンオプションの各々について、対応するデルタおよび期間と共に最終の付け値と言い値の予想変動率とを識別する。
−プットの予想変動率のデルタは、プット・コールパリティを使用してコールのデルタに変換する。
−付け値または言い値がない予想変動率、またはデルタ<0.15またはデルタ>0.85のボラティリティを除外する。
−売値と買値の差額の平均を、データ点として使用する。
−交換取引するオプションがない原資産について、トレーダによってマークされたOTCオプションの予想変動率を使用する。
当業者が理解するように、代わりに、ガイドラインの他の組を、情況、問題の証券、曲面を定義するためにボラティリティ値がそれに対してプロットされる変数に応じて、使用することができる。
【0032】
曲面ボラティリティモデルの初期曲面パラメータβを判定した後に、そのモデルを使用して、シミュレーション中にベータ曲面パラメータの値を変化させ、シミュレートされたβ値を曲面パラメータ化関数に適用して、対応するシミュレートされた変動率曲面を定義することによって、オプション価格ボラティリティの変化をシミュレートすることができる。シミュレーション中のオプションの予想変動率は、シミュレーションの時点でのそのオプションのTおよびデルタの値に従って、シミュレートされた変動率曲面を参照することによって判定することができる。
【0033】
通常の回帰分析では、図3に示されているように、元のデータ点にかなりよく一致する曲面を作ることができるが、曲面パラメータの判定に使用される実際の予想変動率の多くは、パラメータ化された曲面に含まれるのではなく、ある残差量だけオフセットしている。従って、変動率曲面をベータパラメータ化し、シミュレートした後に、元のボラティリティ点の少なくとも一部について、パラメータ化された曲面からの残差オフセットe(Δ,T)を判定することによって、実際の予想変動率に対して再較正する。
【0034】
シミュレーション中に個々のオプションの予想変動率を抽出するために、原有価証券のシミュレートされた価格およびオプションが満了する前の時間を使用して、シミュレートされた変動率曲面(シミュレートされた曲面パラメータ値を使用して生成される)上の点を判定する。その点の残差オフセットを、例えば、最も近い近傍較正点から補間することによって、較正されたデータに関して計算する。補間された残差オフセットによって調整された変動率曲面点の値を、シミュレーションオプション価格設定モデルに適用することができる。シミュレーション処理中に較正残差の変化を分析し、調整することができるが、好ましくは、較正残差を、すべての生成されるシナリオについて時間的に一定であると仮定する。
【0035】
さまざまな技法を使用して、シミュレーション中にβパラメータの変化する値を計算することができる。一般に、ベータの変化関数は、1または複数のパラメータa...a、ベータの前の値、および対応するノイズ構成要素εの関数gである。
βm,I=g(a,...,a,βm,i―1,εm,i)  (式5)
好ましくは、ベータ変化関数gは、個々のベータパラメータのシミュレートされた時系列を与える線形の平均反転処理である。ベータ値の変化をもたらす反転の好ましい形は、次の通りである。
Δβm,j=α(θ―βm,i―1)+νεm,i  (式6)
ここで、αは平均反転速度、θはβの平均値、νはβのボラティリティの値、εは乱数、擬似乱数または他のノイズ項である。
【0036】
α、θ、およびνの値を、経験的に、推定によって、または他の手段を介して決定することができる。好ましい方法は、ヒストリカル分析に基づいてこれらの値を決定することである。具体的に言うと、さまざまな前の日i(または他の時間増分)のヒストリカルデータを分析して、各々の曲面パラメータ値βm,jを有する対応するヒストリカル変動率曲面を生成する。この分析によって、曲面パラメータβごとの値の時系列が作られる。次に、βの時間変化する系列を分析して、対応するヒストリック平均θ、平均反転速度α、および平均反転ボラティリティνを決定する。これらの値を、式6で使用して、各々のβの将来の値をシミュレートすることができる。
【0037】
いくつかの場合に、各曲面パラメータの設定するおよび決定する適当な値を完全に回帰分析するのに十分な数の予想変動率点がない場合がある。点の最小個数を指定するさまざまな条件およびより少数の点の状況に対して補償技法を使用することができる。これらの条件は、曲面パラメータ化関数および問題のベータパラメータの数の特徴に依存する。
【0038】
上述の式3に示された形式の曲面パラメータ化と共に使用することができる条件の特定の組に従って、少なくとも8つの予想変動率点が、4つのベータパラメータを決定する回帰分析を実行するために存在しなければならない。これらの8つのボラティリティは、少なくとも2つの異なるデルタおよび少なくとも10カ月を超える一期間を有しなければならない。これらの要件が満たされない場合には、曲面パラメータ化関数を、回帰分析について単純化し、ベータの数を減らすことができる。例えば、1つの予想変動率点だけがある時には、βだけを計算し、残りのベータの値に、前の日の値をセットすることができる。ベータ変化関数のパラメータを決定する時に使用される他の条件を指定することができる。例えば、式6の平均反転式を使用するヒストリカル分析で、平均反転速度αに、計算された速度が負の場合に2年をセットすることができる。
【0039】
本発明による、リスク要因曲面をシミュレートする方法を、図4の流れ図に要約した。最初に、複数のパラメータβ...βに従ってリスク要因曲面を定義するパラメトリックモデルを選択する(ステップ40)。所与の有価証券から派生する証券の組の、所与の日のリスク要因の値を、このリスク要因曲面モデルに対して回帰分析して、曲面パラメータβ...βの開始値を決定する(ステップ41)。元の点の値とモデル化される曲面によって示される値との間の差を表す開始曲面パラメータを定義するのに使用される点の少なくともいくつかについて、較正残差を判定する(ステップ42)。
【0040】
次に、パラメータβ...βの各々の変化を、ベータ漸進的変化関数を使用してシミュレートする。この関数は、好ましくは、ベータのヒストリカル平均、ベータボラティリティ、および平均反転速度などのヒストリカルに決定された値に基づく線形平均反転処理である(ステップ43)。シミュレートされたβ...β値のシーケンスによって、各シミュレーションランの時間インデックスごとのシミュレートされたリスク要因曲面が定義される。原有価証券の値などのシミュレーションからの適当な基準点およびオプションのデルタおよびベータ値を、曲面パラメータ化モデルに適用して、対応するリスク要因値を判定する(ステップ44)。残差オフセットを、較正データを適用することによってその点について判定し、例えば、較正処理中に使用される最も近い「実際の」点の較正残差値から外挿ことを介して(ステップ45)、このオフセットを、リスク要因値に適用して、これを較正する(ステップ46)。較正されたリスク要因値を、他のデータと共にデリバティブ価格設定モデルで使用して、派生商品のシミュレートされた値を判定する(ステップ47)。
【0041】
曲面パラメータ値およびさまざまなリスク要因のシミュレーションを、シミュレーション中にオンザフライで行うことができる。しかし、好ましくは、シミュレーションを、2つの主要なステップすなわち、リスク要因事前シミュレーションおよびモデル適用で実行する。この実施形態を、図5に示す。
【0042】
最初に、各シミュレーションシナリオの各シミュレーション「ティック」のシミュレートされるベータ要因値のすべてを、生成し、各々のパラメータ値行列に格納する。オプション価格設定モデルで使用される他のリスク要因のシミュレートされた変化する値も、「事前にシミュレート」され、対応するリスク要因行列に格納される。このようなリスク要因には、例えば、シミュレートされる金利値および貸出金利値を含めることができる。さらに、オプション価格が、原株式の価格に依存するので、原株式の価格も、シミュレートされた株式価格行列を提供するために、適当な株式モデルを使用してシミュレートされる。
【0043】
曲面パラメータ、リスク要因、および株式価格、ならびに必要である可能性がある他の値を事前に計算した後に、事前に計算された値を、さまざまな行列にまたがって同期式に抽出し、オプション価格をシミュレートするのに使用する。具体的に言うと、特定のシミュレーションランの所与の時間インデックスについて、対応するベータ曲面パラメータを、曲面パラメータ行列から得る。これらの値が変動率曲面モデルに適用される時に、これらの値によって、シミュレートされる変動率曲面が定義される。
【0044】
シミュレートされる株式価格と、ΔおよびTなどの関連するオプションパラメータは、例えば、シミュレートされる株式価格、そのオプションについて以前にシミュレートされた値、およびおそらくは他のデータに関して、シミュレートされるオプションについて決定される。ΔおよびTの値(または、変動率曲面が定義される方法に依存する他の適当な値)を、シミュレートされる変動率曲面に適用し、ボラティリティ値を得る。この値を、変動率曲面較正データに従って調整して、シミュレーションの特定の点でのシミュレートされるオプションボラティリティの値を提供する。
【0045】
最後に、シミュレートされるオプションボラティリティを、適当なリスク要因値(対応するシミュレートされるリスク要因行列から抽出される)と共に、オプション価格設定モデルに適用して、問題の特定のオプションのシミュレートされるオプション価格を作る。この処理を、各シミュレーションランのステップごとに繰り返し、その結果を、シミュレートされるオプション価格行列に格納する。複数のオプションをシミュレートするとき、この処理を、オプションごとに繰り返して、対応するシミュレートされるオプション価格設定行列を生成する。
【0046】
本発明のさらなる態様は、変化するベータ値を判定する方法に対処する。パラメトリック平均反転関数または他のベータ変化関数を使用して、経時的な曲面パラメータ値の変化をシミュレートするのに使用する時には、対応するノイズ項εの適当な値を選択しなければならない。好ましくは、εの値は、「ヒストリカル」残差値の事前定義の組から選択される。この組は、ヒストリックボラティリティデータから生成されるベータ値のシーケンスについてベータ変化関数を解いて、「ヒストリカル」ベータシーケンスを再作成するノイズ値のシーケンスを判定することによって導出することができる。このヒストリカルブートストラッピング技法は、米国特許出願第09/896,660号、2001年6月29日出願、“MethodandSystemforSimulatingRiskFactorsinParametricModelsUsingRiskNeutralHistoricalBootstrapping”に詳細に対処されている。この出願のヒストリカルブートストラッピング技法は、ベータ値をリスク要因として扱い、ベータ変化式を対応するパラメトリックシミュレーションモデルとして扱うことによって、変動率曲面モデリングに適用することができる。この出願の内容全体が、参照によって本明細書に特に組み込まれる。
【0047】
式6のベータ変化関数について、βm,iのヒストリカルシーケンスならびに、平均、平均反転速度およびベータボラティリティの導出された値を、平均反転ベータ変化関数に適用して、次式によるヒストリカル残差値のシーケンスを作る。
【0048】
【数式2】
Figure 2004038951
【0049】
判定されたヒストリカル残差εm,iの値を、シミュレーション中にランダムノイズ構成要素の代わりにパラメトリックベータ変化モデルで使用することができる。シミュレーションの前に、ヒストリカル残差の値の範囲を、モデルでの対応する乱数構成要素に適する範囲に標準化しなければならず、典型的には、経験的平均値E[ε]=0かつ分散var[ε]=1になるようにする。ヒストリカルサンプルからの残差の異なる組の間に存在する可能性がある相関を保つために、線形標準化処理を各残差値系列に適用して、次式の対応する標準化された系列を提供することができる。
【0050】
【数式3】
Figure 2004038951
【0051】
ここで、kおよびkの値は、問題のεm,iの所与の系列について、E[ε ]=0かつvar[ε ]=1をもたらすように選択される(異なる系列について異なるものとすることができる)。ベータの変化する値のシミュレーション中に、εm,iの値を、好ましくは無作為に選択して、ベータ変化関数で使用する。ベータ値の間の相互相関を保つために、単一の乱数インデックス値を生成し、これを使用して、各ベータパラメータに対応する残差の組からヒストリカル残差値を選択する。
【0052】
ベータ値のヒストリカル残差の組を生成した後に、1または複数のブートストラッピング技法を適用して、シミュレーションの前に、元のデータ内のある不足を考慮に入れるか、統計的分布を調整するか、使用可能なサンプルの数を増やすか、これらまたは他の要因を組み合わせることによって、ヒストリカル残差の組をさらに処理することができる。ベータパラメータの各々の(標準化された)ヒストリカル残差のシーケンスの間に存在する可能性がある相関を保つために、同一のブートストラッピング処理を、各ヒストリカル残差シーケンスに適用しなければならない。
【0053】
例えば、多数のシナリオのシミュレーション中に、使用されるヒストリカル残差の数は、典型的には、ヒストリカルに導出されたベータ値から計算されたサンプルの実際の数を大幅に上回る。使用可能なヒストリカル残差の総数を増やすために、複数日のブートストラップ手順を使用することができる。好ましいブートストラッピング技法は、d個のランダムに選択されたサンプルの組の合計をとり、dの平方根で割って、新しい残差値を作ることである。
【0054】
【数式4】
Figure 2004038951
【0055】
これによって、サンプルの総数が、dのべき乗だけ増える(大きい値のdについて、統計分布の第4モーメントである尖度の低下と引き換えに)。2日のブートストラッピングを使用することが好ましい。250日のヒストリについて、この処理では、250×250=62500個までの利用されるサンプルのシーケンスが作られる。さらに、n=2の小さい値では、分布に存在する可能性があるファットテイルが大きく低下しない。
【0056】
他の事前シミュレーションのブートストラッピング手順を実行することができる。例えば、元のデータが主として1方向だけに偏っているベータを提供する場合には、ベータ値変化の増加および減少の両方を可能にする残差の分布の対称化などである。対称化された組は、2つの残差値iおよびjをランダムに選択し、次式に従って組み合わせることによって生成することができる。
【0057】
【数式5】
Figure 2004038951
【0058】
当業者に既知のさまざまな他のブートストラッピング技法も使用することができ、ヒストリカル残差の最初に導出された組に対する複数の修正を、シミュレーションの前に実行することができる。
【0059】
上述した方法論を用いると、オプションおよび/または原有価証券のヒストリカル実行に関連するベータ曲面パラメータの系列を判定することによって、有価証券に対するオプションについて変動率曲面を定義できるようになる。この方法論を使用して、バスケットオプション、セクタインデックスに対するオプション、および複数の原有価証券に基づく他のオプション(本明細書では、このすべてを、一般に、単純にするために「バスケットオプション」と称する)に関する変動率曲面モデルを開発することができる。
【0060】
一実施形態では、バスケットオプションの曲面パラメータが、単一の有価証券に基づくオプションに似た形で、ヒストリカルデータを使用して判定される。しかし、OTCバスケットまたはセクタインデックスに基づく予想変動率のヒストリカル時系列を得ることは、しばしば、困難になる可能性がある。
【0061】
本発明のさらなる態様では、バスケットが基づく個々の構成要素の有価証券の曲面パラメータから、直接にバスケットオプションの変動率曲面モデルの曲面パラメータを判定する方法が提供される。上述の式2と同様に、バスケットオプションの変動率曲面は、一般に、次式によって表すことができる。
σ(Δ,T)=F(βB,0,...,βB,n,Δ,T)+e(Δ,T)  (式11)
ここで、σは、バスケットBのボラティリティであり、βB,0,...,βB,nは、各々の変動率曲面モデルのパラメータであり、Δ、Tおよびeは、先に定義されたものである(しかし、バスケットに関する)。本発明のこの態様によれば、βB,0,...,βB,nの値が、例えば次式のように、バスケットのN個の構成要素の有価証券に対するオプションの曲面パラメータから直接に導出される。
【0062】
【数式6】
Figure 2004038951
【0063】
バスケットの構成要素の曲面パラメータは、典型的には、バスケット値が必要になる前に計算され、構成要素パラメータを曲面モデルパラメータに関連させるのに必要である可能性がある追加の値も、判定が簡単なので、シミュレーションでのこの方法論の実施は、最小限の追加のオーバーヘッドで行うことができる。バスケットオプション曲面パラメータと個々の構成要素の曲面パラメータとの間の特定の最も好ましい関係を、以下で説明する。しかし、他の関係も導出することができ、本発明のこの態様を、本明細書で開示される関係だけに制限されると解釈してはならない。
【0064】
最初に、構成要素iごとに固定された数の株券を有するバスケットの、時刻tでの価格を、次式のように定義することができる。
【0065】
【数式7】
Figure 2004038951
【0066】
ここで、Bはバスケット価格であり、nは、バスケットオプションの構成要素iの株券の数であり、Sは、本国通貨での構成要素iの価格であり、Cは、構成要素iの通貨と、バスケットオプションが価格設定される通貨との間の為替相場である。
【0067】
時刻tでの価格に関する時刻tでのバスケットの価格を、次式のように書くことができる。
【0068】
【数式8】
Figure 2004038951
【0069】
ここで、
【0070】
【数式9】
Figure 2004038951
【0071】
は、時刻tでの構成要素iの実効スポット相場である。スポット相場のさまざまな定義を使用することができるが、
【0072】
【数式10】
Figure 2004038951
【0073】
と定義されることが好ましい。幾何学的ブラウン運動プロセスに従って変化する値について、
【0074】
【数式11】
Figure 2004038951
【0075】
であるならば、次式は、有効な近似である。
【0076】
【数式12】
Figure 2004038951
【0077】
本発明において、バスケットオプションに関する変動率曲面の変化は、幾何学的ブラウン運動プロセスの対象であるとみなされる。従って、式16の近似を使用し、
【0078】
【数式13】
Figure 2004038951
【0079】
を認めるならば、式13を、テイラー級数展開を使用して、次式のように書き直すことができる。
【0080】
【数式14】
Figure 2004038951
【0081】
多くのシミュレーションシナリオに適する、さらなる単純化の仮定は、バスケットの予想変動率が、同一のデルタおよびTを有するバスケット構成要素の予想変動率だけに依存することである。この条件では、バスケットボラティリティを、次式のように定義することができる。
【0082】
【数式15】
Figure 2004038951
【0083】
ここで、σSi(Δ,T)は、本国通貨で相場を付けられた構成要素iの予想変動率であり、σCi(Δ,T)は、構成要素iの本国通貨に関する為替相場の予想変動率であり、ρSiSjは、バスケット構成要素iとjとの間の対応する相関である。
【0084】
バスケットボラティリティの値を、式2〜4などのパラメータ化された曲面モデルに置換することによって、バスケットの曲面パラメータを、バスケット構成要素の曲面パラメータから直接に判定できるようになる。例えば、式17のボラティリティ近似を式4のモデルに適用し、σSi(Δ,T)を、構成要素iの曲面モデルおよび曲面パラメータで置換することによって、
【0085】
【数式16】
Figure 2004038951
【0086】
が得られる。バスケットのボラティリティモデル曲面パラメータを、バスケットの構成要素のボラティリティモデル曲面パラメータから直接に判定するために、式18を、問題の曲面パラメータについて解くことができる。理解されるように、数学的な解は、多少複雑になる可能性がある。穏当な推定値を使用して、バスケット曲面パラメータについて解くために、式18などの曲面パラメータ関係式を単純にすることができる。
【0087】
例えば、βB,0は、Δ=0.5およびT=24に置換し、式4で表されるものなど、曲面モデルの最も好ましい形式の区分線形項を除去することによって推定することができる。そのような置換の結果として、次式が得られる。
【0088】
【数式17】
Figure 2004038951
【0089】
同様に、βB,1...3の推定値は、それぞれ(Δ,T)について(0,24)、(0.5,23)、および(0.5,3)に置換することによって、式18から得ることができる。
【0090】
バスケット変動率曲面の曲面パラメータと構成要素の曲面の曲面との間の関係を、バスケット構成要素のすべてが同一の通貨で表される情況についてさらに単純にすることができる(すなわち、σCi=0)。この条件の下で、バスケットボラティリティモデル曲面パラメータの値の指定を、次の形でコンパクトに書くことができる。
【0091】
【数式18】
Figure 2004038951
【0092】
上述の説明が、バスケット構成要素のパラメータ値からバスケットオプションの変動率曲面をモデル化する際に使用される曲面パラメータ値を判定する最も好ましい形を示すことを諒解されたい。この形は、すべての情況の下で適切ではない可能性があるさまざまな仮定から得られた。しかし、バスケット曲面パラメータ値と構成要素の曲面パラメータの間の関係式を生成するために本明細書で提示された一般的な方法論は、異なる情況の下で使用することができ、適切な変更および派生技法は、当業者に明白である。
【0093】
本発明を、さまざまな技法を使用して実施することができる。実施の好ましい方法では、高性能コンピューティングプラットフォームでさまざまな方法ステップを実行するように構成された適切なソフトウェアルーチンの組が使用される。入力データ、生成される中間値、シミュレートされるリスク要因、価格設定される証券、およびポートフォリオの行列を、適当なデータストレージエリアに格納することができ、このデータストレージエリアには、短期間メモリと、後続の使用のための長期間ストレージの両方を含めることができる。適当なプログラミング技法は、当業者に既知であり、使用される特定の技法は、問題の特定のコンピューティングシステムおよびオペレーティングシステムと、予想される処理の量など、実施形態の詳細に依存する。特定の実施形態で、Sun OSコンピューティングシステムが使用される。シミュレーション方法のさまざまなステップが、C++のクラスとして実装され、中間データおよびさまざまな行列が、普通のファイルおよびデータベースのストレージ技法を使用して格納される。
【0094】
本発明の好ましい実施形態に関して本発明を具体的に図示し、説明してきたが、当業者は、形態および詳細におけるさまざまな変更を、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに行うことができることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】変動率曲面の例のグラフである。
【図2】対応するT軸およびΔ軸に対してプロットされたさまざまなオプション値のボラティリティ点の組のグラフである。
【図3】図2のボラティリティデータ点の組について本発明に従って判定される予想変動率曲面を示す図である。
【図4】本発明にかかる変動率曲面をシミュレートする方法の流れ図である。
【図5】本発明にかかるオプション価格システムをシミュレートする処理の流れ図である。

Claims (14)

  1. N個の原構成要素証券(N>1)の実行に基づく値を有するバスケットオプションのボラティリティをシミュレートする方法であって、
    (a)複数の曲面パラメータβ...β(n≧0)を使用して変動率曲面を定義する変動率曲面モデルを提供するステップと、
    (b)特定の構成要素証券kの各々について、その構成要素証券に対するオプションの前記曲面モデルを介して各々の変動率曲面を定義する曲面パラメータβ0,k...βn,k(1≦k≦N)の値を提供するステップと、
    (c)各構成要素証券に関連する前記曲面パラメータβ0,k...βn,kを使用して前記バスケットオプションの変動率曲面を定義する曲面パラメータβB,0...βB,nの値を判定するステップと、
    (d)曲面パラメータβB,0...βB,nによって定義される前記変動率曲面から抽出されたボラティリティ値を使用して、前記バスケットオプションの前記実行をシミュレートするステップと
    を備えたことを特徴とする方法。
  2. 前記曲面モデルは、
    σ(Δ,T)=F(β,...,β,Δ,T)
    の形式を有し、(i)σは、所与のΔおよびTに関するオプションの前記ボラティリティの測定値であり、(ii)Fは、Δ、Tおよび前記曲面パラメータβ...βの関数であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記曲面モデルは、
    lnσ(Δ,T)=β+β(Δ―x)+β(T―x+β(T―x
    の形式であり、x、xおよびxは、定数項であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 、xおよびxは、実質的にそれぞれ0.5、4.0および24と等しいことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【数式1】
    Figure 2004038951
    であり、
    【数式2】
    Figure 2004038951
    は、時刻tでの構成要素iの実効スポット相場であることを特徴とする請求項4に記載の方法。
  6. 【数式3】
    Figure 2004038951
    であり、nは、前記バスケットオプションの前記構成要素iの株券の数、Sは、本国通貨での構成要素iの価格、Cは、構成要素iの前記本国通貨と前記バスケットオプションが相場を付けられる通貨との間の為替相場であり、B(t)は、時刻tでのバスケット価格であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. (i)前記バスケットオプションの前記変動率曲面を定義する前記曲面パラメータβB,0...βB,nと、(ii)前記バスケットオプションの前記構成要素のオプションの変動率曲面を定義する前記曲面パラメータβ0,k...βn,kとの間の関係を、
    【数式4】
    Figure 2004038951
    と表すことができ、ここで、
    【数式5】
    Figure 2004038951
    は、構成要素iの前記本国通貨と前記バスケット価格設定通貨との間の前記為替相場の予想変動率であり、ρY,Zは、一般に、Yの値の間の相関であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. N個の原構成要素証券(N>1)の実行に基づく値を有するバスケットオプションのボラティリティをシミュレートするシステムであって、
    プロセッサおよび少なくとも1つのデータストアを有するコンピュータを備え、
    前記データストアは、少なくとも、
    複数の曲面パラメータβ...β(n≧0)を使用して変動率曲面を定義する変動率曲面モデルと、
    曲面パラメータβ0,k...βn,k(1≦k≦N)の値であって、前記曲面モデルを介して各構成要素kに対するオプションの各々の変動率曲面を定義する値とを含み、
    前記プロセッサは、コンピュータソフトウェアを介して、
    各構成要素証券に関連する前記曲面パラメータβ0,k...βn,kを使用して前記バスケットオプションの変動率曲面を定義する曲面パラメータβB,0...βB,nの値を判定し、
    曲面パラメータβB,0...βB,nによって定義される前記変動率曲面から抽出されたボラティリティ値を使用して、前記バスケットオプションの前記実行をシミュレートするように構成された
    ことを特徴とするシステム。
  9. 前記曲面モデルは、
    σ(Δ,T)=F(β,...,β,Δ,T)
    の形式を有し、(i)σは、所与のΔおよびTに関するオプションの前記ボラティリティの測定値であり、(ii)Fは、Δ、Tおよび前記曲面パラメータβ...βの関数であることを特徴とする請求項8に記載のシステム。
  10. 前記曲面モデルは、
    lnσ(Δ,T)=β+β(Δ―x)+β(T―x+β(T―x
    の形式であり、x、xおよびxは、定数項であることを特徴とする請求項9に記載のシステム。
  11. 、xおよびxは、実質的にそれぞれ0.5、4.0および24と等しいことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
  12. 前記プロセッサが、
    【数式6】
    Figure 2004038951
    に従って前記バスケットオプション曲面パラメータを判定するように構成され、ここで、
    【数式7】
    Figure 2004038951
    は、時刻tでの構成要素iの実効スポット相場であることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
  13. 【数式8】
    Figure 2004038951
    であり、nは、前記バスケットオプションの前記構成要素iの株券の数、Sは、本国通貨での構成要素iの価格、Cは、構成要素iの前記本国通貨と前記バスケットオプションが相場を付けられる通貨との間の為替相場であり、B(t)は、時刻tでのバスケット価格であることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
  14. (i)前記バスケットオプションの前記変動率曲面を定義する前記曲面パラメータβB,0...βB,nと、(ii)前記バスケットオプションの前記構成要素のオプションの変動率曲面を定義する前記曲面パラメータβ0,k...βn,kとの間の関係を、
    【数式9】
    Figure 2004038951
    と表すことができ、ここで、
    【数式10】
    Figure 2004038951
    は、構成要素iの前記本国通貨と前記バスケット価格設定通貨との間の前記為替相場の予想変動率であり、ρY,Zは、一般に、Yの値の間の相関であることを特徴とする請求項13に記載のシステム。
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