JP2004038426A - 位置決め装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】位置決め対象物を搭載するスライダを、固定体に対して浮揚した状態で位置決めする位置決め装置であって、前記スライダをX軸方向に移動させる少なくとも2個のX軸モータと、スライダをY軸方向に移動させる少なくとも2個のY軸モータと、スライダのX軸方向及びY軸方向の位置を検出する位置センサと、各モータにそれぞれ設けられたインバータと、前記位置センサの位置情報に基づいてスライダの姿勢を制御する信号を生成し生成した信号を前記インバータに送出する姿勢制御部とを有することを特徴とする位置決め装置である。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、位置決め装置に関し、詳しくは平面サーボモータの位置決め精度向上を図った位置決め装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術における、平面サーボモータシステムを構築する位置決め装置は、図11に示すように、可動部であるスライダ101、土台となるプラテン102及び位置センサである3軸レーザ干渉計用の2本の平面ミラーであるX平面ミラー103及びY平面ミラー104から構成されるモータ部105と、上位コントローラ106から与えられる位置司令信号に従ってスライダ101を移動させるための電流を駆動し制御するXYサーボドライバ部107とから構成されている。
【0003】
スライダ101は、平面モータ108と3軸レーザ干渉計109から構成されている。この平面モータ108にはX1モータコア110及びX2モータコア111、2個のYモータコア112、113が点対称となるよう配置されている。X1モータコアとX2モータコアは別個の電流駆動用インバータに接続されており、X1モータコア110とX2モータコア111に逆方向の電流を流すことで回転トルクを発生させることができる。
【0004】
スライダ101に搭載された3軸レーザ干渉計109は、Y平面ミラー104にY軸レーザ光線の反射光を受信してY方向の位置を制御し、X平面ミラー103にX1軸レーザ光線及びX2軸レーザ光線の反射光を受信してX軸方向の位置制御を行う。このように3軸レーザ干渉計109は、X1、X2、Y軸の位置検出を行う。検出した各軸の信号はXYサーボドライバ部107に伝えられ、そこでX、Y、θ軸位置に変換される。θ軸角度はX1軸位置とX2軸位置の差から算出している。
【0005】
XYサーボドライバ部107は、3軸レーザ干渉計の検出信号を用いて、位置決めフィードバック制御を行うものであり、上位コントローラ106からのX軸及びY軸位置指令信号を受信するX軸及びY軸位置・速度制御部114、115と、X軸及びY軸位置・速度制御部114、115からの信号に基づいてX1及びX2電流、Y電流を生成するX1及びX2、Y電流駆動インバータ116、117、118と、モータ部105の3軸レーザ干渉計109からのX1及びX2、Y軸位置信号を受信する座標変換部119と、この座標変換部119からの信号はX軸及びY軸位置・速度制御部114、115にフィードバック制御すると共に、及びθ位置指令信号により0に制御する信号をθ軸位置・速度制御部120に送出する。このθ軸位置・速度制御部120からの信号はX1及びX2電流駆動インバータ116、117にフィードバックされ回転制御される。
【0006】
このような構成からなるXYサーボドライバ部107において、その内部で位置と速度制御はX、Y、θ軸に対して独立に行ない、Xl、X2、Y軸電流駆動インバータ116、117、118ヘの指令に変換する箇所でX軸とθ軸の非干渉化を行っている。これにより、X、Y、θの制御ゲインは独立に設定することが可能となっている。
【0007】
X軸とY軸に関しては、上位コントローラ106からの位置指令信号に従ってスライダ101を移動させ位置決めを行うが、θ軸ではθ軸方向の角度振れを0におさえるべく制御する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来技術で説明した位置決め装置である平面モータは、コキング力により、モータ位置でピッチング、ローリングが変化する。このとき、図12に示すように、3軸レーザ干渉計による位置決めフィードバック制御を行っているため、3軸レーザ千渉計高さZLでのX、Y、θ位置誤差は無い。しかし、図13に示すように、スライダの上に取り付けられたワーク(搬送物)の上端面(Z=Zw)では、ピッチング、ローリングに応じたX、Y誤差((Zw−ZL)φ)が生じる。例えば、(Zw−ZL)=200mmでは、ピッチング角が1角度秒(l/36000度)ずれると1μmの誤差となる。
【0009】
従って、スライダ上に取り付けられたワーク(搬送物)の上端面において、ピッチング、ローリングに応じたX、Y誤差が生じないように駆動制御することに解決しなければならない課題を有する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る位置決め装置は、次に示す構成にすることである。
【0011】
(1)位置決め対象物を搭載するスライダを、固定体に対して浮揚した状態で位置決めする位置決め装置であって、
前記スライダをX軸方向に移動させる少なくとも2個のX軸モータと、
スライダをY軸方向に移動させる少なくとも2個のY軸モータと、
スライダのX軸方向及びY軸方向の位置を検出する位置センサと、
各モータにそれぞれ設けられたインバータと、
前記位置センサの位置情報に基づいてスライダの姿勢を制御する信号を生成し生成した信号を前記インバータに送出する姿勢制御部と、
を有することを特徴とする位置決め装置。
(2)前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、スライダのピッチング角度及びローリング角度が0になるように前記インバータに信号を送出することを特徴とする(1)に記載の位置決め装置。
(3)前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、スライダのピッチング角度及びローリング角度を算出し、ピッチング角度及びローリング角度が0になるように前記インバータに信号を送出することを特徴とする(1)に記載の位置決め装置。
【0012】
(4)位置決め対象物を搭載するスライダを固定体に対して浮揚した状態で移動させて、前記位置決め対象物を所定の位置に位置決めする位置決め装置であって、
前記スライダをX軸方向に移動させる第1及び第2X軸モータと、
スライダをY軸方向に移動させる第1及び第2Y軸モータと、
スライダのX軸方向及びY軸方向の位置を検出する位置センサと、
X軸制御手段による電流指令値信号により前記第1X軸モータ及び第2X軸モータの電流をそれぞれ制御する第1X軸及び第2X軸インバータと、
Y軸制御手段による電流指令値信号により前記第1Y軸モータ及び第2Y軸モータの電流をそれぞれ制御する第1Y軸及び第2Y軸インバータと、
前記X軸制御手段並びにY軸制御手段と、第1及び第2X軸インバータ並びに第1及び第2Y軸インバータとの間設けられ、前記スライダのピッチング及びローリングを補正する姿勢制御部とを備え、
前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、前記スライダの位置におけるピッチング角度及びローリング角度が0になるように電流指令値と転流角信号を生成して、前記第1及び第2X軸インバータ並びに前記第1及び第2Y軸インバータに送出することを特徴とする位置決め装置。
(5)位置決め対象物を搭載するスライダを固定体に対して浮揚した状態で移動させて、前記位置決め対象物を所定の位置に位置決めする位置決め装置であって、
前記スライダをX軸方向に移動させる第1及び第2X軸モータと、
スライダをY軸方向に移動させる第1及び第2Y軸モータと、
スライダのX軸方向及びY軸方向の位置を検出する位置センサと、
X軸制御手段による電流指令値信号により前記第1X軸モータ及び第2X軸モータの電流をそれぞれ制御する第1X軸及び第2X軸インバータと、
Y軸制御手段による電流指令値信号により前記第1Y軸モータ及び第2Y軸モータの電流をそれぞれ制御する第1Y軸及び第2Y軸インバータと、
前記X軸制御手段並びにY軸制御手段と、第1及び第2X軸インバータ並びに第1及び第2Y軸インバータとの間設けられ、前記スライダのピッチング及びローリングを補正する姿勢制御部とを備え、
前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、スライダの位置におけるピッチング角度及びローリング角度を算出し、ピッチング角度及びローリング角度が0になるように電流指令値と転流角信号を生成して、前記第1及び第2X軸インバータ並びに前記第1及び第2Y軸インバータに送出することを特徴とする位置決め装置。
【0013】
このように、スライダがX方向又はY方向に動くときに発生するピッチング角度或いはローリング角度が発生しないように電流指令値と転流角信号を生成してモータへの駆動電流を制御するようにしたことにより、スライダの始動時における傾きを抑制することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る位置決め装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
先ず、本願発明の位置決め装置の原理について、図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
スライダは、図1に示すように、X1モータコアとX2モータコアが点対称に配置され、Y1モータコアとY2モータコアが同じく点対称に配置された構成となっており、図1においてX1及びX2モータコアの駆動でX方向に動き、Y1及びY2モータコアの駆動でY方向に動く。
そして、スライダはプラテンに対してエアベアリングで空気浮上しているが、スライダ内のモータコアに流れる電流を増すと、プラテンに対する吸引力が増して、わずかではあるが、浮上量が小さくなる。従って、図1に示す4つのモータコアである、X1、X2、Y1、Y2モータコアにそれぞれ別個のインバータを接続して、電流と転流角をそれぞれ制御すれば、ピッチング、ローリング方向の角度を微小ではあるが制御できる。
ここで、図2に示すように、プラテンがY方向に動いたときの進行方向への傾きをピッチングという。図3に示すように、スライダがX方向に動いたときの進行方向への傾きをローリングという。
【0017】
そこで、任意のモータ位置におけるピッチング角度、ローリング角度がわかれば、その角度を0になるようにX1、X2、Y1、Y2モータコアに流す電流値を補正することで、ピッチング、ローリング角変化によるワーク上端面でのX、Y位置誤差を0にすることができる。
例えば、図2において、Yl、X2モータコアの電流を増すと、Yl、X2モータコア側浮上量は、Xl、Y2モータコア側浮上量に比べて小さくなり、ピッチング角度は+方向に変化する。
このとき、Yl、X2モータコアの転流角がそのままだと、Y1、X2モータコアが発生する推力も増してモータが動いてしまうので、電流を増す前と同じ推力値となるよう、転流角を補正する。
【0018】
モータ推力
=(推力定数)×(モータ電流)×sin(転流角−機械角)…式(1)
【0019】
ここで、機械角とは、プラテンの歯とモータコアの歯の位相差であり、モータ位置により一意的に決まる。通常は、転流角−機械角=π/2となるよう、転流角を制御する。本願発明においては、モータ推力を変えないでモータ電流を増すため、転流角は上記式(1)より逆算して求めればよい。
【0020】
次に、上記説明した原理に基づく、本願発明の位置決め装置の実施例について、図面を参照して説明する。
【0021】
本願発明に係る位置決め装置は、図4に示すように、図示しない位置決め対象物を搭載するスライダ11を格子プラテン12に対して浮揚した状態で移動させて、この位置決め対象物を所定の位置(2次元位置)に位置決めする装置である。この位置決め装置は、例えば、プローバ、ハンドラ、ステッパ等の半導体製造装置に用いられる。
その構成は、可動部であるスライダ11と、土台となる平盤の格子プラテン12及び位置センサである3軸レーザ干渉計用の2個の平面ミラーであるX平面ミラー13及びY平面ミラー14から構成されるモータ部15と、上位コントローラ16から与えられる位置司令信号に従ってスライダ11を移動させるための電流を駆動し制御すると共に上記原理を実現する姿勢制御部を備えたXYサーボドライバ部17とから構成されている。
【0022】
スライダ11は、位置決めの対象物を搭載してX軸方向及びY軸方向に移動する移動体である。このスライダ11は、格子プラテン12と対向する面にノズルを備えており、図示しない浮揚手段がこのノズルから圧縮空気を噴出させることによって浮上力を得て、格子プラテン12上を浮揚する。
格子プラテン12は、磁性体で構成された固定体であり、X軸方向及びY軸方向に沿って一定ピッチの歯が形成されている。
【0023】
この固定体の格子プラテン12上を駆動するX軸モータ及びY軸モータを構成するスライダ11は、図4及び主として図5に示すように、4ブロックに分割した中心位置を中心にして点対称位置にX1及びX2軸モータコア18、19からなるX1及びX2軸モータ20、21、Y1及びY2軸モータコア22、23からなるY1及びY2軸モータ24、25を配列した構成になっている。
X1及びX2軸モータ20、21は、X軸方向にスライダ11を駆動するモータであり、格子プラテン12の歯と対向する位置にX軸方向に一定ピッチで歯が形成されたモータコアを備えており、歯と歯の間に磁気吸引力を生じさせてスライダ11をX軸方向に移動させる。
Y1及びY2軸モータ24、25は、Y軸方向にスライダ11を駆動させるモータであり、格子プラテン12の歯と対向する位置に、Y軸方向に一定ピッチで歯が形成されたモータコアを備えており、歯と歯との間に磁気吸引力を生じさせてスライダ11をY軸方向に移動させる。
【0024】
X1及びX2軸モータコア18、19、Y1及びY2軸モータコア22、23は、それぞれが直交する方向に配列され、且つスライダ11の中心Oに対して点対称位置に配置されている。
【0025】
このX1及びX2軸モータコア18、19、Y1及びY2軸モータコア22、23の構造は、いずれも同一構造になっており、以下、図6に示すX1軸モータコア18について説明すると、X1軸モータコア18は、先端部が櫛歯形状に形成された3個の歯を設けた突極26A、26B、26Cを一単位とし、この一単位を単位として整列状態に複数個形成した第1のモータコア27と、この第1のモータコア27と同一形状に形成した第2のモータコア28を平行に対峙させ、その対峙させた間に永久磁石29を挟み込むようにして配列した構造になっている。この永久磁石29は第1及び第2のモータコア27、28の配列方向に沿って着磁されている。
【0026】
そして、第1及び第2のモータコア27、28には、突極26A、26B、26Cの配列順に沿ってA相コイル30A、B相コイル30B、C相コイル30Cが巻回されている。このA相コイル30A、B相コイル30B、C相コイル30Cは、2つの第1及び第2のモータコア27、28の突極26A、26B、26Cに跨って巻回されている。各突極26A、26B、26Cの先端にはピッチPで上記の櫛歯形状の歯31が形成されている。
【0027】
このA相コイル30A、B相コイル30B、C相コイル30Cには位相が120度づつずれた正弦波電流が流される。第1のモータコア27は第2のモータコア28に対して、突極26A、26B、26Cの歯31の位相をP/2だけずらして配置されている。A相コイル30A、B相コイル30B、C相コイル30Cは3相の正弦波電流を流すことによって、第1及び第2のモータコア27、28はA方向又は、A’方向に移動する。
【0028】
図4に戻って、X平面ミラー13は、格子プラテン12に装着されており。Y軸方向に沿って鏡面が形成されている。Y平面ミラー14は、格子プラテン12に装着されており、X軸方向に沿って鏡面が形成されている。
【0029】
3軸レーザ干渉計32は、図7に示すように、スライダ11のX軸方向及びY軸方向の位置を検出すると共に、スライダ11のθ軸回りの回転角(回転ずれ角)を検出する。この3軸レーザ干渉計32は、X1軸センサ33を備えるX1軸干渉ユニット34と、X2軸センサ35を備えるX2軸干渉ユニット36と、Y軸センサ37を備えるY軸干渉ユニット38と、X1及びX2軸センサ33、35及びY軸センサ37に共通の光源となるレーザ光源部39とを備えた構成になっている。
【0030】
X1及びX2軸センサ33、35のX1及びX2コーナーキューブ40、41は、図7に示すように、スライダ11のX軸方向の中心軸Xに対して対称位置に配置され、Y軸センサ37のYコーナーキューブ42は、スライダ11のX軸方向の中心軸Xに配置されている。
このため、スライダ11に熱膨張が生じたときに、各X1及びX2、Yコーナーキューブ40、41、42の位置ずれ量が略等しくなる。これによって、熱膨張によりX1及びX2軸センサ33、35及びY軸センサ37が受ける影響を低減できるのである。
【0031】
X1及びX2軸センサ33、35は、スライダ11のX軸方向の位置を検出するレーザ干渉計であり、Y軸センサ37はスライダ11のY軸方向の位置を検出するレーザ干渉計である。図4に示すように、X1及びX2軸センサ33、35は、X軸方向にレーザ光を照射して、格子プラテン12に装着されたX平面ミラー13で反射された反射光を受け、光の干渉を利用してスライダ11の位置を検出する。
Y軸センサ37は、Y軸方向にレーザ光を照射して、格子プラテン12に装着されたY平面ミラー14で反射された反射光を受け、光の干渉を利用してスライダ11の位置を検出する。X1及びX2軸センサ33、35及びY軸センサ37は、いずれも同一構造であり、以下ではX1軸センサ33の構造を説明する。
【0032】
X1軸センサ33の構成は、図8に示すように、レーザ光源55の出射光の光路に、レーザ光源55からの光線と所定の角度の位置関係で配置した第1及び第2のミラー43、44、ハーフミラー45、偏向ビームスプリッタ(PBSとする)46、λ/4板47、X1コーナーキューブ40、X平面ミラ一13が配置され、光線を検出するフォトダイオードアレイ(PDA)48、第1及び第2の減算器49、50、第1及び第2のコンパレータ51、52、方向判別回路53、アップダウンコンパレータ54から構成されている。
【0033】
ここで、レーザ光源55から出た光は、ハーフミラー45、第1のミラー43、第2のミラー44、ハーフミラー45の経路で進み、図のB方向に進む光がある。この光を▲1▼の光とする。また、レーザ光源55から出た光には、ハーフミラー45、PBS46、λ/4板47、X平面ミラー13、λ/4板47、PBS46、X1コーナーキユーブ40、λ/4板47、X平面ミラー13、λ/4板47、PBS46、ハーフミラー45の経路で進み、図のB方向に進む光がある。この光を▲2▼の光とする。
【0034】
第1のミラー43は、レーザ光源52の光軸と45度の角度をなして配置されている。これに対して、第2のミラー44はレーザ光源52の光軸と(45度+θa)の角度をなして配置されている。第2のミラー44の配置角度がθaだけずれていることにより、▲1▼の光の波面が▲2▼の光の波面に対してθaだけずれる。これによって、▲1▼の光と▲2▼の光が干渉して干渉縞Sを作る。フォトダイオードアレイ(PDAとする)48は、この干渉縞Sを検出する。PDA48は4個の第1、第2、第3、第4のPDA48A、48B、48C、48Dからなる。4個のフォトダイオードである第1〜第4のPDA48A〜48Dは干渉縞Sの1ピッチ内に配置されている。各第1〜第4のPDA48A〜48Dはp/4(pは干渉縞のピッチ)づつずらして配置されている。干渉縞Sのピッチp=λ/θa(λはレーザ光の波長)となる。
【0035】
第1の減算器49は、(第1のPDA48Aの検出信号)−(第3のPDA48Cの検出信号)なる演算を行う。第2の減算器50は、(第2のPDA48Bの検出信号)−(第4のPDA48Dの検出信号)なる演算を行う。
【0036】
スライダ11が移動すると、これに伴ってX1軸センサ33が移動し、干渉縞Sが図8のD方向或いはD’方向に動く。干渉縞Sが動くと第1〜第4のPDA48A〜48Dにあたる干渉縞Sの明暗部分が動き、第1〜第4のPDA48A〜48Dの検出値が変化する。これをもとにスライダ11の位置を検出する。
【0037】
干渉縞SがD方向に移動したときは、第1〜第4のPDA48A〜48Dの出力VA〜VDは次のとおりになる。
VA=K〔1+msin{xe・2π/(λ/4)}〕+Kn
VB=K[l+mcos{xe・2π/(λ/4)}]+Kn
VC=K[l−msin{xe・2π/(λ/4)}]+Kn
VD=K[l−mcos{xe・2π/(λ/4)}]+Kn
xe:検出対象の距離、K,m:係数、Kn:ノイズ成分
【0038】
そして第1及び第2の減算器49、50の減算信号は次の通りになる。
VA−VC=2mKsin{xe・2π/(λ/4)}
VB−VD=2mKcos{xe・2π/(λ/4)}
減算の結果、外乱光により発生した直流のノイズ成分Knがキャンセルされる。信号(VA−VC)と(VB−VD)が前述したA相パルスとB相パルスに変換される。干渉縞がD’方向に動いたときは、信号(VA−VC)と(VB−VD)の位相関係は逆転する。
【0039】
第1及び第2のコンパレータ51a、51bは、第1及び第2の減算器49、50の減算信号からA相パルスとB相パルスを生成する。方向判別回路53は、A相パルスとB相パルスの位相関係からスライダ11の移動方向を判別し、判別結果に応じてアップパルス信号またはダウンパルス信号を発生する。
【0040】
アップダウンカウンタ54は、アップパルス信号又はダウンパルス信号に応じてアップカウント又はダウンカウントを行う。アップダウンカウンタのカウントがスライダ11の検出位置になる。初期状態ではX1軸モータ20のA相コイル、B相コイル、C相コイルに既知電流を流したときにモータのロータとステータの歯の位相がどれだけずれるかが予め分っている。この時のアップダウンカウンタ54の値を基準値、例えば0に設定する。スライダ11の移動に伴ってアップダウンカウンタ54は基準値からアップカウントまたはダウンカウントを行って位置を検出する。このようにしてインクリメンタル方式に位置検出をする。
【0041】
次に、XYサーボドライバ部17について、図面を参照して説明する。
XYサーボドライバ部17は、図4に示すように、上位コントローラ16からのX軸及びY軸位置指令信号xi、yiを受信するX軸及びY軸位置・速度制御部55、56と、任意のモータ位置におけるピッチング角度、ローリング角度を0になるようにX1、X2、Y1、Y2モータコア18、19、22、23に流す電流値を補正する姿勢制御部57と、X軸及びY軸位置・速度制御部55、56からの信号に基づいてX1、X2及びY1、Y2電流を生成するX1、X2及びY1、Y2電流駆動インバータ58、59、60、61と、モータ部15の3軸レーザ干渉計32からのX1及びX2、Y軸位置信号を受信する座標変換部62と、この座標変換部62からの信号はX軸及びY軸位置・速度制御55、56にフィードバック制御すると共に、θ位置指令信号により0に制御する信号をθ軸位置・速度制御部63に送出する。このθ軸位置・速度制御部63からの信号はX1、X2及びY1、Y2電流駆動インバータ58、59、60、61にフィードバックされ回転制御される。このθ軸位置指令信号は、スライダ11がθ軸回りに回転しないようにθ軸位置(θi=0)を指令する。
【0042】
X軸位置・速度制御部55は、スライダ11がX軸方向に移動するように、X1及びX2軸モ一夕20、21を制御する制御部であり、上位コントローラ16が出力するX軸位置指令値(位置Xの信号)xiを帰還信号としてスライダ11のX軸方向の位置と速度をフィードバック制御するものであり、スライダ11をX軸方向に移動させるX1推力指定値及びX2推力指令値を制御信号として出力する。
【0043】
Y軸位置・速度制御部56は、スライダ11がY軸方向に移動するように、Y1及びY2軸モ一夕24、25を制御する制御部であり、上位コントローラ16が出力するY軸位置指令値(位置Yの信号)yiを帰還信号としてスライダ11のY軸方向の位置と速度をフィードバック制御するものであり、スライダ11をY軸方向に移動させるY1推力指令値及びY2推力指令値を制御信号として出力する。
【0044】
θ軸位置・速度制御部63は、スライダ11がθ軸回りに回転するように、X1及びX2軸モータ20、21及びY1及びY2軸モータ24、25を制御する制御部であり、ヨーイング角θの信号を帰還信号としてスライダ11のθ方向の位置と速度をフィードバック制御するために、θ方向の推力指令値Irθを制御信号として出力する。
【0045】
姿勢制御部57は、図9に示すように、X、Y、θ位置・速度制御部55、56、63からのX1、X2、Y1、Y2推力指定値を入力すると共に、スライダ11のX位置及びY位置の信号を入力してX軸或いはY軸方向のコギングによるローリング或いはピッチングの傾きの姿勢制御をする。姿勢制御部57は、X軸方向のコギングにより発生するローリングによる傾きを、モータの歯で1ピッチ分(転流角で0〜2π)を予め測定しておいた値が格納されているローリング補正テーブル64と、このローリング補正テーブル64からのデータを利用してローリング補正の演算をするローリング補正演算部65と、Y軸方向のコギングによるピッチングによる傾きを、モータの歯で1ピッチ分(転流角で0〜2π)を予め測定しておいた値が格納してあるピッチング補正テーブル66と、このピッチング補正テーブル66を利用してピッチング補正の演算をするピッチング補正演算部67と、ローリング補正演算部65及びピッチング補正演算部67により演算されたデータとX、Y、θ位置・速度制御部55、56、63からの推力指令値とに基づいて転流角を演算する転流角演算部68とからなる。
【0046】
ローリング補正演算部65では、ローリング補正テーブル64から得た補正量より、4つのX1、X2、Y1、Y2モータコア18、19、22、23に供給する駆動電流への増分を算出する。増分は0または正の値とする。
【0047】
ピッチング補正演算部67では、ピッチング補正テーブル66から得た補正量より、4つのX1、X2、Y1、Y2モータコア18、19、22、23に供給する駆動電流への増分を算出する。増分は0または正の値とする。
【0048】
そして、このピッチング補正演算部67で算出された駆動電流の増分と、ローリング補正演算部65で算出された駆動電流の増分を加え合わせた値が電流補正値になり、転流角演算部68に入力される。尚、電流増加分とピッチング、ローリング角変化の関係は、実験により求まっており、既知のものとする。
【0049】
転流角演算部68では、X1、X2、Y1、Y2モータコア18、19、22、23の推力が、(推力定数)×(推力指令値)と等しくなるように、転流角を算出する。即ち、上記の式(1)である[モータ推力=(推力定数)×(モータ電流)×sin(転流角−機械角)]、を基に転流角を逆算すればよい。
【0050】
X1軸電流駆動インバータは、X1電流指令値とX1転流角信号を入力してX1軸モータの電流を制御し、X2軸電流駆動インバータはX2電流指令値とX2転流角信号を入力してX2軸モータの電流を制御し、Y1軸電流駆動インバータはY1電流指令値とY1転流角信号を入力してY1軸モータの電流を制御し、Y2軸電流駆動インバータはY2電流指令値とY2転流角信号を入力してY2軸モータの電流を制御する。
【0051】
このようにして、スライダのコギングによって発生するローリング或いはピッチングの傾きが発生することを前提として、サーボ停止時にその傾きを補正することで、位置決め完了状態でのピッチング、ローリングによるワーク上端面のX、Y位置誤差をキャンセルすることができるのである。
【0052】
次に、姿勢制御部に関する他の具体例について、図を参照して説明する。
全体の構成は、図4に示すブロック図と同様であるので、その説明は省略し、異なる姿勢制御部に関して、図10を参照して説明する。
この姿勢制御部は、図示しない、オンラインでピッチング、ローリングを測定するセンサを付加したもので、必要なときに、このセンサからのローリング及びピッチングのデータを入力して電流指令値と転流角信号を生成するというものである。
その構成は、X軸方向のコギング力により変動するローリング角検出値を入力してローリング補正の演算をするローリング補正演算部65と、Y軸方向のコギング力により変動するピッチング角検出値を入力してピッチング補正の演算をするピッチング補正演算部67と、スライダのX位置及びY位置を入力し、ローリング補正演算部65及びピッチング補正演算部67により演算された電流補正値とX、Y、θ位置・速度制御部55、56、63からの推力指令値とに基づいて転流角を演算する転流角演算部68とからなる。ローリング補正演算部65及びピッチング補正演算部67の出力する補正量は正または0の値である。
【0053】
転流角演算部68では、X1、X2、Y1、Y2モータコア18、19、22、23の推力が、(推力定数)×(推力指令値)と等しくなるように、転流角を算出する。
即ち、推力指令値が0以上では、
(電流指令値)=(推力定数)×(推力指令値+電流補正値)
とし、推力指令値が0より小さいときは、
(電流指令値)=(推力定数)×(推力指令値−電流補正値)
として、
(推力定数)×(推力指令値)=(電流指令値)×sin(転流角−機械角)
となるように転流角を逆算すればよい。
【0054】
このように、ピッチング、ローリングを検出するセンサを利用すると、別途補正テーブル等を容易する必要がない。又、このローリング、ピッチングを測定するセンサを付加すれば、ピッチング、ローリングの変化のみならず、プラテンの撓み、外力によるピッチング、ローリング変動も補正することができる。
なお、実施例ではX軸モータとY軸モータをそれぞれ2個設けた場合に付いて説明したが、X軸モータとY軸モータはそれぞれ3個以上設けてもよい。
また、実施例では電流駆動インバータを設けた場合について説明したが、これ以外のインバータ例えば電圧駆動インバータであってもよい。
【0055】
【発明の効果】
上記説明したように、本発明に係る位置決め装置においては、スライダのコギングによって発生するピッチング、ローリング角変動を、サーボ停止時に補正することで、位置決め完了状態での、ピッチング、ローリングによるワーク上端面のX、Y位置誤差をキャンセルすることができ、高精度な位置決めを実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる位置決め装置の原理説明図である。
【図2】本発明にかかる位置決め装置の原理説明図である。
【図3】本発明にかかる位置決め装置の原理説明図である。
【図4】本発明にかかる位置決め装置の一実施例の構成図である。
【図5】図4の装置に用いるスライダの構成図である。
【図6】図4の装置に用いるモータのコア部分の構成図である。
【図7】図4の装置に用いるレーザ干渉計の構成図である。
【図8】図4の装置に用いるX軸センサの構成図である。
【図9】図4の装置に用いる姿勢制御部の構成図である。
【図10】図4の装置に用いる姿勢制御部の他の構成例を示した図である。
【図11】従来における位置決め装置の構成例を示した図である。
【図12】図11の従来装置の動作説明図である。
【図13】図11の従来装置の動作説明図である。
【符号の説明】
11 スライダ
12 格子プラテン
15 モータ部
20 X1軸モータ
21 X2軸モータ
24 Y1軸モータ
25 Y2軸モータ
33 X1軸センサ
35 X2軸センサ
37 Y軸センサ
55 X軸位置・速度制御部
56 Y軸位置・速度制御部
57 姿勢制御部
58 X1電流駆動インバータ
59 X2電流駆動インバータ
60 Y1電流駆動インバータ
61 Y2電流駆動インバータ
63 θ軸位置・速度制御部
Claims (5)
- 位置決め対象物を搭載するスライダを、固定体に対して浮揚した状態で位置決めする位置決め装置であって、
前記スライダをX軸方向に移動させる少なくとも2個のX軸モータと、
スライダをY軸方向に移動させる少なくとも2個のY軸モータと、
スライダのX軸方向及びY軸方向の位置を検出する位置センサと、
各モータにそれぞれ設けられたインバータと、
前記位置センサの位置情報に基づいてスライダの姿勢を制御する信号を生成し生成した信号を前記インバータに送出する姿勢制御部と、
を有することを特徴とする位置決め装置。 - 前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、スライダのピッチング角度及びローリング角度が0になるように前記インバータに信号を送出することを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
- 前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、スライダのピッチング角度及びローリング角度を算出し、ピッチング角度及びローリング角度が0になるように前記インバータに信号を送出することを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置。
- 位置決め対象物を搭載するスライダを固定体に対して浮揚した状態で移動させて、前記位置決め対象物を所定の位置に位置決めする位置決め装置であって、
前記スライダをX軸方向に移動させる第1及び第2X軸モータと、
スライダをY軸方向に移動させる第1及び第2Y軸モータと、
スライダのX軸方向及びY軸方向の位置を検出する位置センサと、
X軸制御手段による電流指令値信号により前記第1X軸モータ及び第2X軸モータの電流をそれぞれ制御する第1X軸及び第2X軸インバータと、
Y軸制御手段による電流指令値信号により前記第1Y軸モータ及び第2Y軸モータの電流をそれぞれ制御する第1Y軸及び第2Y軸インバータと、
前記X軸制御手段並びにY軸制御手段と、第1及び第2X軸インバータ並びに第1及び第2Y軸インバータとの間設けられ、前記スライダのピッチング及びローリングを補正する姿勢制御部とを備え、
前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、前記スライダの位置におけるピッチング角度及びローリング角度が0になるように電流指令値と転流角信号を生成して、前記第1及び第2X軸インバータ並びに前記第1及び第2Y軸インバータに送出することを特徴とする位置決め装置。 - 位置決め対象物を搭載するスライダを固定体に対して浮揚した状態で移動させて、前記位置決め対象物を所定の位置に位置決めする位置決め装置であって、
前記スライダをX軸方向に移動させる第1及び第2X軸モータと、
スライダをY軸方向に移動させる第1及び第2Y軸モータと、
スライダのX軸方向及びY軸方向の位置を検出する位置センサと、
X軸制御手段による電流指令値信号により前記第1X軸モータ及び第2X軸モータの電流をそれぞれ制御する第1X軸及び第2X軸インバータと、
Y軸制御手段による電流指令値信号により前記第1Y軸モータ及び第2Y軸モータの電流をそれぞれ制御する第1Y軸及び第2Y軸インバータと、
前記X軸制御手段並びにY軸制御手段と、第1及び第2X軸インバータ並びに第1及び第2Y軸インバータとの間設けられ、前記スライダのピッチング及びローリングを補正する姿勢制御部とを備え、
前記姿勢制御部は、前記位置センサの位置情報に基づいて、スライダの位置におけるピッチング角度及びローリング角度を算出し、ピッチング角度及びローリング角度が0になるように電流指令値と転流角信号を生成して、前記第1及び第2X軸インバータ並びに前記第1及び第2Y軸インバータに送出することを特徴とする位置決め装置。
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