JP2004038106A - レーザビーム走査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ビーム走査手段の応答を高速化することにより作業の高速化を図ると共に品質の高精度化を図ることができるようにする。
【解決手段】レーザビームを走査させる第1の走査手段と、レーザビームを第1の走査手段と同一の方向に走査させる第2の走査手段と、第2の走査手段に接続され第2の走査手段の応答遅れを補償する補償手段とを設け、第1の走査手段を、目標値rと第1の走査手段のビームスポット変位y1との偏差に基づいて動作させると共に、第2の走査手段を、第1の走査手段の偏差と第2の走査手段のビームスポット変位y2との偏差に基づいて動作させる。この場合、第2の走査手段を、第1の走査手段に対してストロークは短いが応答性が高いものとすると良い。
【選択図】 図1
【解決手段】レーザビームを走査させる第1の走査手段と、レーザビームを第1の走査手段と同一の方向に走査させる第2の走査手段と、第2の走査手段に接続され第2の走査手段の応答遅れを補償する補償手段とを設け、第1の走査手段を、目標値rと第1の走査手段のビームスポット変位y1との偏差に基づいて動作させると共に、第2の走査手段を、第1の走査手段の偏差と第2の走査手段のビームスポット変位y2との偏差に基づいて動作させる。この場合、第2の走査手段を、第1の走査手段に対してストロークは短いが応答性が高いものとすると良い。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザビームの進路を操作してレーザビームを加工対象の所定の位置に照射させるレーザビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザビーム走査装置は、レーザビームと加工対象とを相対的に移動させながら加工対象を加工をする装置である。
【0003】
例えば、レーザビーム走査装置の一つである従来のプリント基板穴明け用レーザ加工機は、プリント基板を搭載して水平なXY方向にプリント基板を移動させるXYテーブルサーボ機構と、レーザビーム(以下、「ビーム」という。)をプリント基板上のXY方向に走査させる一対のガルバノミラーサーボ機構とを備えている。XYテーブルサーボ機構は、XYテーブルを移動方向を互いに90度にして重ねた2つの案内装置に支持させ、この案内装置をリニアモータまたはボールねじを介したモータにより駆動し、テーブルの位置またはモータの回転角度を検出してフィードバックするサーボ機構を構成したものである。また、ガルバノミラーサーボ機構は、揺動型の電磁アクチュエータの回転軸にミラーを取り付け、回転軸の回転角度を検出してフィードバックするサーボ機構を構成したものである。
【0004】
XYテーブルはプリント基板を移動できる領域が広いが、質量が大きいためにサーボ機構の応答周波数は低い。一方、ガルバノミラーサーボ機構は質量が小さいためサーボ機構の応答周波数は高いが、ビームを走査できる領域がプリント基板のサイズに比べて小さい。
【0005】
そこで、プリント基板に穴を加工する際には、XYテーブルを駆動して加工しようとする対象領域をガルバノミラーの走査可能領域に一致させてから、加工を開始する。レーザ源からパルス状に照射されるビームは、いくつかのミラーにより光路を導かれて一対のガルバノミラーに達し、ミラー角度に応じて、プリント基板上のX方向及びY方向に対応する直交2方向に進行方向を変えられた後、Fθレンズを経てプリント基板上の穴加工位置に至り、プリント基板にビームの直径(ビームスポット径)に応じた穴を加工する。ガルバノミラーの位置決めとビームの照射を繰り返し、ガルバノミラーの走査可能領域の加工が終了すると、XYテーブルを移動させて次の加工対象領域をガルバノミラーの走査可能領域に一致させる。以下、上記の動作を繰り返してプリント基板全面の加工を行う。
【0006】
近年、電子機器の小型高機能化の進展に伴い、プリント基板の多層化、パターンの微細化が進む一方で、常に生産効率の向上が求められており、レーザ加工機においても作業の高速化と品質の高精度化が求められている。
【0007】
そこで、米国特許第5751585号公報では、目標値を高い周波数の成分と低い周波数の成分に分解し、低い周波数の成分をXYテーブルサーボ機構の指令値とすると共に、高い周波数の成分とXYテーブルサーボ機構の偏差をガルバノスキャナ機構の指令値として、XYテーブルとガルバノスキャナを同時に駆動しながら加工を行っている。このようにすると、全加工時間のうち、XYテーブルにより加工対象領域間を移動に要する時間を短縮することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来技術の場合、ガルバノスキャナの動作時間を短縮することはできない。また、目標値を高い周波数成分と低い周波数成分に分解する手段が必要になる。さらに、目標値の高い周波数成分がガルバノスキャナサーボ機構の駆動系の可動範囲を越えることによりガルバノスキャナが応答しきれない場合、発生した誤差をXYテーブルによってカバーすることはできない。
【0009】
本発明の目的は、ビーム走査手段の応答を高速化することにより作業の高速化を図ると共に品質の高精度化を図ることができるレーザビーム走査装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、2つの位置決め手段、好ましくは低速大ストロークの位置決め手段(以下、「低速位置決め系」という。)と、高速小ストロークの位置決め手段(以下、「高速位置決め系」という。)とを設け、両者を同時に協調駆動することにより、小ストローク領域での応答の高速性と所要ストロークの確保とを両立させ、レーザ源から照射されるビームを対象物の所定の位置に相対的に走査(移動)させるものである。以下、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は本発明に基づく協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。同図(a)において、実線で示す部分は2段サーボ機構(協調駆動制御系)を構成しており、Gc1(s)とGp1(s)はそれぞれ高速位置決め系の制御系伝達関数と駆動系伝達関数、Gc2(s)とGp2(s)はそれぞれ低速位置決め系の制御系伝達関数と駆動系伝達関数である。そして、低速位置決め系は目標値rと低速位置決め系のビームスポットy2との偏差に基づいて、また、高速位置決め系は低速位置決め系の偏差(応答誤差)と高速位置決め系のビームスポット変位y1との偏差に基づいて、それぞれビームを走査させるように構成されている。このように構成された2段サーボ機構に指令される目標値rとビームスポット変位yとの間の信号伝達特性Y(s)は、下記の式1で表される。
【0012】
【数1】
【0013】
なお、式1における右辺第1項のR(s)の係数は低速位置決め系の閉ループ伝達関数であり、第2項のR(s)の係数のうち、第1の因数は低速位置決め系の追従誤差関数、第2の因数は高速位置決め系の閉ループ伝達関数である。そして、2段サーボ機構の目標値rに対するビームスポット変位yは、低速位置決め系のビームスポット変位y1と高速位置決め系のビームスポット変位y2との和になる。
【0014】
ところで、低速位置決め系の応答誤差を高速位置決め系の目標値とする場合、高速位置決め系は、低速位置決め系の応答誤差を抑圧するように動作する。しかし、高速位置決め系のフィードバック制御の応答遅れにより、ビームスポット変位yを目標値rに誤差なく追従させることはできない。
【0015】
そこで、図中破線で示すように、高速位置決め系の駆動系伝達関数の逆伝達関数である伝達関数1/Gp1(s)を、高速位置決め系に付加する。伝達関数1/Gp1(s)を含めた2段サーボ機構の目標値rとビームスポット変位yとの間の信号伝達特性Y(s)は式2で表される。
【0016】
Y(s)=R(s)・・・・(式2)
式2から明らかなように、目標値rとビームスポット変位yが等しくなる結果、ビームスポット変位yが目標値rに対して誤差なく追従する。
【0017】
なお、同図(a)は、信号が等価な同図(b)、(c)の構成にすることもできる。
【0018】
以上の説明に基づき、上記した課題を解決するため、本発明の第1の手段は、フィードバック制御によりレーザビームを目標値に位置決めするレーザビーム走査装置において、前記レーザビームを走査させる第1の走査手段およびこの第1の走査手段による第1の応答を検出する第1の検出手段と、前記レーザビームを前記第1の走査手段と同一の方向に走査させる第2の走査手段およびこの第2の走査手段による第2の応答を検出する第2の検出手段と、前記第2の走査手段に接続され、前記目標値と前記第1の応答との偏差に基づいて前記第2の走査手段の応答遅れを補償する補償手段と、を設け、前記第1の走査手段を、前記目標値と前記第1の応答との第1の偏差に基づいて動作させると共に、前記第2の走査手段を、前記第1の偏差と前記第2の応答との第2の偏差に基づいて動作させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第2の手段は、前記第1の走査手段に対してストロークは長いが応答性が低い第3の走査手段およびこの第3の走査手段による第3の応答を検出する第3の検出手段と、を設け、前記第3の走査手段を、前記目標値と前記第3の応答との第3の偏差に基づいて動作させると共に、前記第1の走査手段を、前記第3の偏差と前記第1の応答との第4の偏差に基づいて動作させ、前記第2の走査手段を、前記第4の偏差と前記第2の応答との偏差に基づいて動作させることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0021】
図2は、本発明に係るプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図であり、発明の本質に関わらない部分は図示を省略してある。
【0022】
同図において、レーザ発振器11から出力されたビーム10は、ミラー12、13を介して、コリメータやアパーチャ等で構成される光学的ビーム処理系14に入射して外形を整形された後、ミラー15、16を介して第1の微動ミラー21に入射する。微動ミラー21はミラーマウント214の表面側に支持され(図3参照)、図中の奥側から入射するビーム10を反射して図中の下向へと導く。後述するように、微動ミラー21が傾きを変更できる範囲(すなわち偏向角を選択できる範囲)は狭いが、傾き角度を高速に偏向することができる。そして、微動ミラー21の角度を変えることにより、XYテーブル上におけるビーム10の位置(スポットの位置)を、図中の左右方向(Y軸方向)に走査(移動)させることができる。
【0023】
ミラーマウント214の背面側に配置された反射ミラー215を挾むようにして、第1の補助レーザ源23と、補助レーザ源23から照射され反射ミラー215によって反射されたビーム218を受光するセンサ25とが配置されている。センサ25は微小な光検出素子を直線的に配列した構成であり、微動ミラー21が傾きを変更しても補助レーザ源23が出力する補助ビームを確実に受光することができる。このように、微動ミラー21の背面側のミラーマウント部に反射ミラー215を配置することにより、微動ミラー21の振動の影響を小さく抑えることができる。
【0024】
微動走査手段21で反射されたビーム10は、第2の微動ミラー22に入射する。微動ミラー22は、ミラーマウント214の表面側に支持され、図中の上方から入射するビーム10を反射して図中左方へと導く。微動ミラー22は、微動ミラー21と同じ構成であり、傾きを変更できる範囲は狭いが、傾き角度を高速に変更することができる。そして、微動ミラー22の角度を変えることにより、XYテーブル上におけるビームの位置を、図中の前後方向(X軸方向)に移動させることができる。
【0025】
ミラーマウント214の背面側に配置された反射ミラー215を挾むようにして、第2の補助レーザ源24と、補助レーザ源24から照射され反射ミラー215によって反射されたビーム218を受光するセンサ26とが配置されている。センサ26は微小な光検出素子を直線的に配列した構成であり、微動ミラー22が傾きを変更しても補助レーザ源24が出力する補助ビームを確実に受光することができる。このように、微動ミラー22の背面側のミラーマウント部に反射ミラーを配置することにより、微動ミラー22の振動の影響を小さく抑えることができる。
【0026】
微動ミラー22で反射されたビーム10は、ミラー31aに入射する。ミラー31aは駆動モータおよび角度検出機を備える第1のガルバノスキャナ31により駆動される。そして、ミラー31aの角度を変えることにより、テーブル上のビームの位置を、微動ミラー21と同様に、図中の左右方向(Y軸方向)に移動させることができる。
【0027】
ミラー31aで反射されたビーム10は、ミラー32aに入射する。ミラー32aは駆動モータおよび角度検出機を備える第2のガルバノスキャナ32により駆動される。そして、ミラー32aの角度を変えることにより、テーブル上のビームの位置を、微動ミラー22と同様に、図中の前後方向(X軸方向)に移動させることができる。
【0028】
ミラー32aで反射されたビーム10は、Fθレンズ17を介して、XYテーブル42上に載置されたプリント基板50に照射される。XYテーブル42は、Y軸駆動機構44によりY軸方向に駆動され、Y軸駆動機構44はベッド41上に固定されたX軸駆動機構43によりX軸方向に駆動される。
【0029】
次に、微動ミラー21の駆動手段について説明する。なお、微動ミラー22は微動ミラー21と同一の構造である。
【0030】
図3は、本発明に係る微動ミラー駆動手段の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【0031】
ベース210に固定された圧電素子211は、数十μmの伸縮ストロークを持ち、第1リンク212を図の左右方向に移動させる。第1リンク212には、弾性ヒンジ部219aを介して第2リンク213が結合されている。ミラーマウント214は、第2リンク213の先に配置された弾性ヒンジ部219bおよびベース210に結合された弾性ヒンジ部219cにより支持されている。
【0032】
以上の構成であるから、圧電素子211が伸びると、第1リンク212と第2リンク213を介してミラーマウント214が図において反時計方向に傾く。この結果、ミラーマウント214に固定されたミラー21とミラー215が傾き、それぞれレーザビーム10と偏向角度計測用の補助レーザビーム218の反射方向を偏向する。
【0033】
なお、ミラーマウント214を傾けるアクチュエータとして圧電素子を採用したが、超磁歪素子を用いても良い。また、電磁式ガルバノでミラーを揺動駆動してもよいし、音響光学素子によりビームを偏向するようにしてもよい。
【0034】
図4は、本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。加工機制御装置61は、数値制御装置60から与えられる移動指令に応じて、ミラー31a、32a、微動ミラー21、22(以下、これらをまとめて「スキャナ系」という。)、XYテーブル42、レーザ発振器11等を動作させる。
【0035】
加工機制御装置61のスキャナ制御装置62は、スキャナ系に対する移動指令に応じて、駆動回路311、321、251、261を介してスキャナ系を動作させる。また、スキャナ31、32に内蔵された位置検出器により検出されたミラー31a、32aの回転角度およびセンサ25、26により検出された微動ミラー21、22の回転角度は、位置検出回路312、322、252、262により電圧信号等に変換されてスキャナ制御装置62にフィードバックされる。
【0036】
次に、ビーム10をY軸方向に走査させる場合、すなわち低速位置決め系のガルバノスキャナ31aと高速位置決め系の微動スキャナ21を協調動作させてビームを走査させる場合について説明する。
【0037】
図5は、本発明に基づく2段サーボ系(協調駆動制御系)の信号処理構成を示すブロック線図であり、基本構成は、上記図1のブロック線図に基づいている。
【0038】
同図において、軌道生成部410は目標値rと、これに対応する目標速度r’および目標加速度r’’に基づいて目標軌道を生成する。
【0039】
目標値rとミラー31aのビームスポット変位y2とから演算された偏差e2は、ガルバノスキャナサーボ系の補償要素421により操作量(電圧信号)に変換されて制御対象422に入力される。制御対象422は増幅器とミラー31aの動特性を含んでおり、出力はビームスポット変位y2とミラー31aを駆動するモータのコイルを流れる電流i2である。そして、ビームスポット変位y2はミラー31aが備えている検出器により検出され、電流i2の値は直列抵抗を用いた検出回路あるいは電流検出器により検出される。
【0040】
偏差e2と微動ミラー21のビームスポット変位y1とから演算された偏差e1は、微動ミラーサーボ系の補償要素431により操作量に変換されて制御対象432に入力される。圧電素子211とアンプとを合わせた制御対象432の特性はほぼ2次遅れ特性となり、制御対象432の出力が微動走査手段によるビームスポット変位y1となる。そして、ビームスポット変位y1とビームスポット変位y2の和が、2段サーボ系全体のビームスポット変位yとなる。
【0041】
次に、オーバーシュートを抑制するための補償系について説明する。
【0042】
状態推定手段441は、入力されたビームスポット変位y2と電流i2とから、速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を出力する。逆伝達関数補償信号生成部451は速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を目標速度r’及び目標加速度r’’とそれぞれ比較し、速度偏差e2’及び加速度偏差e2’’を算出する。これらは偏差e2と共に、それぞれ図中に示すゲインを乗じられて加算され、フィードフォワード信号vとして補償要素431の内部で出力に加算される。このフィードフォワード信号vをラプラス変換された形で示すと、式3に示すものとなる。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、偏差e2の係数は、制御対象432と、補償要素431のうちの比例要素433とを合わせた系の逆伝達関数である。
【0045】
したがって、目標値rが微動ミラー21の動作範囲内である場合、この信号を入力された微動ミラー21のビームスポット変位y1は偏差e2に等しくなるので、偏差e1は0になる。一方、ビームスポット変位yはビームスポット変位y2と偏差e2の和になるので、ビームは目標値(目標軌道)rに偏差なく追従する。
【0046】
ところで、目標値rが微動ミラー21の動作範囲を超える場合、微動ミラー21は目標軌道に追従することができない。
【0047】
そこで、この実施形態では、積分リセット論理461を設けている。そして、偏差e2をモニターし、偏差e2が0に復帰した瞬間に補償要素431の積分器434をリセットする。積分器434がリセットされると、微動ミラー21のビームスポット変位y1は偏差e2に等しく、また偏差e1は0になるので、ビームが目標値rに偏差なく追従する状態へと復帰する。
【0048】
なお、以上説明した制御系は、アナログ回路とロジック回路を用いて、あるいはディジタルプロセッサを用いて構成することができる。
【0049】
図6は制御系の構成に応じた応答波形の変化の様子を示す時間応答図である。(1)目標値rが微動ミラーの動作範囲内である場合
同図(a)は、図1〜図3において破線で示した補償系が無い場合(図5における逆伝達関数補償信号生成部451と積分リセット論理461が無い場合)の2段スキャナ系の時間応答波形であり、(b)は、図1〜図3において破線で示した補償系がある場合(図5における逆伝達関数補償信号生成部451がある場合)の各応答を、それぞれ示している。
【0050】
同図(a)の場合、目標軌道に対し、ミラー31aの応答の遅れを打ち消すように微動ミラー21が応答しているが、ミラー31aの応答の偏差に対して遅れがある。このため、トータルのビームスポット変位yはオーバーシュートしてから目標軌道に収束し、ミラー31a単体の応答よりもむしろ位置決め時間が長くなる。
【0051】
これに対して同図(b)の場合、ミラー31aの応答の遅れに対して微動ミラー21が遅滞無く応答しており、トータルのビームスポット変位yは目標軌道に一致している。
【0052】
このように、目標値rが微動ミラーの動作範囲内である場合、ビームスポット変位yを目標軌道に一致させることができる。しかし、ストロークが長くなると、微動ミラー21の走査範囲が頭打ちになるため、目標軌道に追従できなくなる。
【0053】
(2)目標値rが微動ミラーの動作範囲を超えている場合
同図(c)は、積分リセット論理461が無い場合を、(d)は積分リセット論理461を設けた場合を、それぞれ示している。
【0054】
同図(c)の場合、微動ミラー21が可動範囲端に達して停止した後はミラー31aだけが動作する。このため、目標値rに対するビームスポット変位yが徐々に大きくなり、目標軌道が減速して目標値rに達する付近でビームスポット変位yが目標値rに追いつく。しかし、微動ミラー21の再起動が遅れるため、オーバーシュートが生じて、位置決め時間が延びる。
【0055】
これに対し、同図(d)の場合、ビームスポット変位yが目標値rに追いついた時点でビームスポット変位yの積分値に強制的に値を設定するので、微動ミラー21が遅滞無く再起動される。この結果、オーバーシュートが抑止される、位置決め時間が短縮される。
【0056】
次に、低速位置決め系がXYテーブル42、高速位置決め系がミラー31aの場合について説明する。
【0057】
図7は、低速位置決め系をXYテーブル、高速位置決め系をミラーaとする本発明に係る他のプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図であり、図2と同じものまたは同一機能のものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
同図において、光学的ビーム処理系14により外形を整形されたビーム10はミラー15、16、18および19を介してミラー31aに入射し、ミラー31aで反射されてミラー32aに入射する。
【0059】
図8は、本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。加工機制御装置61は、数値制御装置60から与えられる移動指令に応じて、ミラー31a、32a、XYテーブル42、レーザ発振器11等を動作させる。
【0060】
加工機制御装置61のスキャナ制御装置62は、スキャナ系に対する移動指令に応じて駆動回路311、321を介してミラー31a、32aを動作させる。そして、スキャナ31、32に内蔵された位置検出器により検出されたミラー31a、32aの回転角度は、位置検出回路312、322により電圧信号等に変換されてスキャナ制御装置62にフィードバックされる。
【0061】
また、XYテーブル制御装置63は、駆動回路401、402を介してX軸駆動機構43、Y軸駆動機構44を動作させる。そして、図示を省略するセンサにより検出されたX軸、Y軸各々の変位量は、検出回路403、404により変位信号に変換されてXYテーブル制御装置63にフィードバックされる。
【0062】
図9は、本発明に基づく2段サーボ系(協調駆動制御系)の他の信号処理構成を示すブロック線図であり、基本構成は、上記図1のブロック線図に基づいている。
【0063】
同図において、軌道生成部410は目標値rと、これに対応する目標速度r’および目標加速度r’’に基づいて目標軌道を生成する。
【0064】
目標値rとXYテーブル42のY軸サーボ系のビームスポット変位y2とから演算された偏差e2は、テーブルY軸サーボ系の補償要素471により操作量に変換されて制御対象472に入力される。制御対象472はモータドライバとY軸テーブル駆動系の動特性を含んでおり、出力はビームスポット変位y2とY軸を駆動するモータのコイルを流れる電流i2である。そして、ビームスポット変位y2はY軸テーブル駆動系が備えている検出器により検出され、電流i2の値は直列抵抗を用いた検出回路あるいは電流検出器により検出される。
【0065】
偏差e2とミラー31aのビームスポット変位y1とから演算された偏差e1は、I−PD動作を行う補償要素421により処理されて制御対象422に入力される。ミラー31aとアンプを合わせた制御対象422の特性はほぼ2次遅れ特性となり、制御対象422の出力がミラー31aによるビームスポット変位y1となる。状態推定手段441は、制御対象であるミラー31aのビームスポット変位y1と電流信号i1とから推定速度信号y1’を出力する。そして、ビームスポット変位y1とビームスポット変位y2との和が、2段サーボ系全体のビームスポット変位yとなる。
【0066】
次に、オーバーシュートを抑制するための補償系について説明する。
【0067】
状態推定手段442は、入力されたビームスポット変位y2とモータ電流i2とから、速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を出力する。逆伝達関数補償信号生成部451は速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を目標速度r’及び目標加速度r’’とそれぞれ比較し、速度偏差e2’及び加速度偏差e2’’を算出する。これらは偏差e2と共に、それぞれ図中に示すゲインを乗じられて加算され、フィードフォワード信号vとして補償要素421の内部で出力に加算される。このフィードフォワード信号vをラプラス変換された形で示すと、式4に示すものとなる。
【0068】
【数3】
【0069】
ここで、偏差e2の係数は、制御対象422と、補償要素421のうちの比例要素423及び微分要素425とを合わせた系の逆伝達関数である。したがって、目標値rがミラー31aの動作範囲内である場合、この信号を入力されたミラー31aのビームスポット変位y1は偏差e2に等しくなるので、偏差e1は0になる。一方、ビームスポット変位yはビームスポット変位y2と偏差e2の和になるので、ビームは目標値(目標軌道)rに偏差なく追従する。
【0070】
ところで、目標値rがミラー31aの動作範囲を超える場合、ミラー31aは目標軌道に追従することができない。
【0071】
そこで、この実施形態では、積分リセット論理461を設けている。そして、偏差e2をモニターし、偏差e2が0に復帰した瞬間に補償要素421の積分器424をリセットする。積分器424がリセットされると、ミラー31aのビームスポット変位y1は偏差e2に等しく、また偏差e1は0になるので、ビームが目標値rに偏差なく追従する状態へと復帰する。
【0072】
なお、以上説明した制御系は、アナログ回路とロジック回路を用いて、あるいはディジタルプロセッサを用いて構成することができる。
【0073】
次に、XYテーブル、ガルバノスキャナおよび微動ミラーの3つの駆動手段を協調駆動する場合について説明する。
【0074】
図10は本発明に基づく3段協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。同図(a)において、実線で示す部分は3段サーボ機構を構成している。図中、Gc1(s)、Gp1(s)は高速位置決め系の制御系伝達関数、駆動系伝達関数、また、Gc2(s)、Gp2(s)は中速位置決め系の制御系伝達関数、駆動系伝達関数、さらに、Gc3(s)、Gp3(s)は低速位置決め系の制御系伝達関数、駆動系伝達関数である。そして、低速位置決め系は目標値と低速位置決め系の応答との偏差に基づいて、中速位置決め系は低速位置決め系の偏差(応答誤差)と中速位置決め系の応答との偏差に基づいて、また、高速位置決め系は中速位置決め系の偏差(応答誤差)と高速位置決め系の応答との偏差に基づいて、それぞれビームを走査させるように構成されており、高速位置決め系によるビームスポット変位y1と中速位置決め系によるビームスポット変位y2と低速位置決め系によるビームスポット変位y3との和が、制御量であるトータルのビームスポット変位yになる。
【0075】
このように構成すると、高速位置決め系は、中速位置決め系の応答誤差を抑圧するように動作し、中速位置決め系は、低速位置決め系の応答誤差を抑圧するように動作する。しかし、高速位置決め系のフィードバック制御の応答遅れによりビームスポット変位yを目標値rに誤差なく追従させることはできない。
【0076】
しかし、図中破線で示すように、高速位置決め系の駆動系伝達関数の逆伝達関数である伝達関数1/Gp1(s)を高速位置決め系に付加すると、ビームスポット変位yを目標値rに誤差なく追従させることができる。
【0077】
なお、同図(a)は、信号伝達特性が等価な同図(b)、(c)の構成にすることもできる。
【0078】
図11は、本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。加工機制御装置61は、数値制御装置60から与えられる移動指令に応じて、スキャナ系(ミラー31a、32a、微動ミラー21、22)、XYテーブル42、レーザ発振器11等を動作させる。加工機制御装置61のスキャナ制御装置62は、スキャナ系に対する移動指令に応じて、駆動回路311、321、251、261を介してスキャナ系を動作させる。また、スキャナ31、32に内蔵された位置検出器により検出されたミラー31a、32aの回転角度およびセンサ25、26により検出された微動ミラー21、22の回転角度は、位置検出回路312、322、252、262により電圧信号等に変換されてスキャナ制御装置62にフィードバックされる。また、XYテーブル制御装置63は、駆動回路401、402を介してX軸駆動機構43、Y軸駆動機構44を動作させる。そして、図示を省略するセンサにより検出されたX軸、Y軸各々の変位量は、検出回路403、404により変位信号に変換されてXYテーブル制御装置63にフィードバックされる。
【0079】
なお、ワークとビームの相対的な走査手段をXYテーブル、ガルバノスキャナおよび微動ミラーによる3段の協調駆動制御系の信号処理は、上記図7および図11に示した構成から容易に実現することができるので、説明は省略する。
【0080】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、走査距離が短い場合のビーム走査手段の応答周波数を高めることが可能なので、加工個所の間隔が短い場合の加工時間を大幅に短縮することができる。また、走査距離が長い場合であってもビーム移動における整定時間を短くすることが可能なので、加工時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。
【図2】本発明に係るプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図である。
【図3】本発明に係る微動ミラー駆動手段の構成を示す図である。
【図4】本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に基づく2段サーボ系の信号処理構成を示すブロック線図である。
【図6】制御系の構成に応じた応答波形の変化の様子を示す時間応答図である。
【図7】本発明に係る他のプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図である。
【図8】本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に基づく2段サーボ系の他の信号処理構成を示すブロック線図である。
【図10】本発明に基づく3段協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。
【図11】本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
r 目標値
1/Gp1(s) 補償手段
y1 第1の走査手段によるビームスポット変位
y2 第2の走査手段によるビームスポット変位
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザビームの進路を操作してレーザビームを加工対象の所定の位置に照射させるレーザビーム走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザビーム走査装置は、レーザビームと加工対象とを相対的に移動させながら加工対象を加工をする装置である。
【0003】
例えば、レーザビーム走査装置の一つである従来のプリント基板穴明け用レーザ加工機は、プリント基板を搭載して水平なXY方向にプリント基板を移動させるXYテーブルサーボ機構と、レーザビーム(以下、「ビーム」という。)をプリント基板上のXY方向に走査させる一対のガルバノミラーサーボ機構とを備えている。XYテーブルサーボ機構は、XYテーブルを移動方向を互いに90度にして重ねた2つの案内装置に支持させ、この案内装置をリニアモータまたはボールねじを介したモータにより駆動し、テーブルの位置またはモータの回転角度を検出してフィードバックするサーボ機構を構成したものである。また、ガルバノミラーサーボ機構は、揺動型の電磁アクチュエータの回転軸にミラーを取り付け、回転軸の回転角度を検出してフィードバックするサーボ機構を構成したものである。
【0004】
XYテーブルはプリント基板を移動できる領域が広いが、質量が大きいためにサーボ機構の応答周波数は低い。一方、ガルバノミラーサーボ機構は質量が小さいためサーボ機構の応答周波数は高いが、ビームを走査できる領域がプリント基板のサイズに比べて小さい。
【0005】
そこで、プリント基板に穴を加工する際には、XYテーブルを駆動して加工しようとする対象領域をガルバノミラーの走査可能領域に一致させてから、加工を開始する。レーザ源からパルス状に照射されるビームは、いくつかのミラーにより光路を導かれて一対のガルバノミラーに達し、ミラー角度に応じて、プリント基板上のX方向及びY方向に対応する直交2方向に進行方向を変えられた後、Fθレンズを経てプリント基板上の穴加工位置に至り、プリント基板にビームの直径(ビームスポット径)に応じた穴を加工する。ガルバノミラーの位置決めとビームの照射を繰り返し、ガルバノミラーの走査可能領域の加工が終了すると、XYテーブルを移動させて次の加工対象領域をガルバノミラーの走査可能領域に一致させる。以下、上記の動作を繰り返してプリント基板全面の加工を行う。
【0006】
近年、電子機器の小型高機能化の進展に伴い、プリント基板の多層化、パターンの微細化が進む一方で、常に生産効率の向上が求められており、レーザ加工機においても作業の高速化と品質の高精度化が求められている。
【0007】
そこで、米国特許第5751585号公報では、目標値を高い周波数の成分と低い周波数の成分に分解し、低い周波数の成分をXYテーブルサーボ機構の指令値とすると共に、高い周波数の成分とXYテーブルサーボ機構の偏差をガルバノスキャナ機構の指令値として、XYテーブルとガルバノスキャナを同時に駆動しながら加工を行っている。このようにすると、全加工時間のうち、XYテーブルにより加工対象領域間を移動に要する時間を短縮することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来技術の場合、ガルバノスキャナの動作時間を短縮することはできない。また、目標値を高い周波数成分と低い周波数成分に分解する手段が必要になる。さらに、目標値の高い周波数成分がガルバノスキャナサーボ機構の駆動系の可動範囲を越えることによりガルバノスキャナが応答しきれない場合、発生した誤差をXYテーブルによってカバーすることはできない。
【0009】
本発明の目的は、ビーム走査手段の応答を高速化することにより作業の高速化を図ると共に品質の高精度化を図ることができるレーザビーム走査装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、2つの位置決め手段、好ましくは低速大ストロークの位置決め手段(以下、「低速位置決め系」という。)と、高速小ストロークの位置決め手段(以下、「高速位置決め系」という。)とを設け、両者を同時に協調駆動することにより、小ストローク領域での応答の高速性と所要ストロークの確保とを両立させ、レーザ源から照射されるビームを対象物の所定の位置に相対的に走査(移動)させるものである。以下、図面を用いて説明する。
【0011】
図1は本発明に基づく協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。同図(a)において、実線で示す部分は2段サーボ機構(協調駆動制御系)を構成しており、Gc1(s)とGp1(s)はそれぞれ高速位置決め系の制御系伝達関数と駆動系伝達関数、Gc2(s)とGp2(s)はそれぞれ低速位置決め系の制御系伝達関数と駆動系伝達関数である。そして、低速位置決め系は目標値rと低速位置決め系のビームスポットy2との偏差に基づいて、また、高速位置決め系は低速位置決め系の偏差(応答誤差)と高速位置決め系のビームスポット変位y1との偏差に基づいて、それぞれビームを走査させるように構成されている。このように構成された2段サーボ機構に指令される目標値rとビームスポット変位yとの間の信号伝達特性Y(s)は、下記の式1で表される。
【0012】
【数1】
【0013】
なお、式1における右辺第1項のR(s)の係数は低速位置決め系の閉ループ伝達関数であり、第2項のR(s)の係数のうち、第1の因数は低速位置決め系の追従誤差関数、第2の因数は高速位置決め系の閉ループ伝達関数である。そして、2段サーボ機構の目標値rに対するビームスポット変位yは、低速位置決め系のビームスポット変位y1と高速位置決め系のビームスポット変位y2との和になる。
【0014】
ところで、低速位置決め系の応答誤差を高速位置決め系の目標値とする場合、高速位置決め系は、低速位置決め系の応答誤差を抑圧するように動作する。しかし、高速位置決め系のフィードバック制御の応答遅れにより、ビームスポット変位yを目標値rに誤差なく追従させることはできない。
【0015】
そこで、図中破線で示すように、高速位置決め系の駆動系伝達関数の逆伝達関数である伝達関数1/Gp1(s)を、高速位置決め系に付加する。伝達関数1/Gp1(s)を含めた2段サーボ機構の目標値rとビームスポット変位yとの間の信号伝達特性Y(s)は式2で表される。
【0016】
Y(s)=R(s)・・・・(式2)
式2から明らかなように、目標値rとビームスポット変位yが等しくなる結果、ビームスポット変位yが目標値rに対して誤差なく追従する。
【0017】
なお、同図(a)は、信号が等価な同図(b)、(c)の構成にすることもできる。
【0018】
以上の説明に基づき、上記した課題を解決するため、本発明の第1の手段は、フィードバック制御によりレーザビームを目標値に位置決めするレーザビーム走査装置において、前記レーザビームを走査させる第1の走査手段およびこの第1の走査手段による第1の応答を検出する第1の検出手段と、前記レーザビームを前記第1の走査手段と同一の方向に走査させる第2の走査手段およびこの第2の走査手段による第2の応答を検出する第2の検出手段と、前記第2の走査手段に接続され、前記目標値と前記第1の応答との偏差に基づいて前記第2の走査手段の応答遅れを補償する補償手段と、を設け、前記第1の走査手段を、前記目標値と前記第1の応答との第1の偏差に基づいて動作させると共に、前記第2の走査手段を、前記第1の偏差と前記第2の応答との第2の偏差に基づいて動作させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第2の手段は、前記第1の走査手段に対してストロークは長いが応答性が低い第3の走査手段およびこの第3の走査手段による第3の応答を検出する第3の検出手段と、を設け、前記第3の走査手段を、前記目標値と前記第3の応答との第3の偏差に基づいて動作させると共に、前記第1の走査手段を、前記第3の偏差と前記第1の応答との第4の偏差に基づいて動作させ、前記第2の走査手段を、前記第4の偏差と前記第2の応答との偏差に基づいて動作させることを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0021】
図2は、本発明に係るプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図であり、発明の本質に関わらない部分は図示を省略してある。
【0022】
同図において、レーザ発振器11から出力されたビーム10は、ミラー12、13を介して、コリメータやアパーチャ等で構成される光学的ビーム処理系14に入射して外形を整形された後、ミラー15、16を介して第1の微動ミラー21に入射する。微動ミラー21はミラーマウント214の表面側に支持され(図3参照)、図中の奥側から入射するビーム10を反射して図中の下向へと導く。後述するように、微動ミラー21が傾きを変更できる範囲(すなわち偏向角を選択できる範囲)は狭いが、傾き角度を高速に偏向することができる。そして、微動ミラー21の角度を変えることにより、XYテーブル上におけるビーム10の位置(スポットの位置)を、図中の左右方向(Y軸方向)に走査(移動)させることができる。
【0023】
ミラーマウント214の背面側に配置された反射ミラー215を挾むようにして、第1の補助レーザ源23と、補助レーザ源23から照射され反射ミラー215によって反射されたビーム218を受光するセンサ25とが配置されている。センサ25は微小な光検出素子を直線的に配列した構成であり、微動ミラー21が傾きを変更しても補助レーザ源23が出力する補助ビームを確実に受光することができる。このように、微動ミラー21の背面側のミラーマウント部に反射ミラー215を配置することにより、微動ミラー21の振動の影響を小さく抑えることができる。
【0024】
微動走査手段21で反射されたビーム10は、第2の微動ミラー22に入射する。微動ミラー22は、ミラーマウント214の表面側に支持され、図中の上方から入射するビーム10を反射して図中左方へと導く。微動ミラー22は、微動ミラー21と同じ構成であり、傾きを変更できる範囲は狭いが、傾き角度を高速に変更することができる。そして、微動ミラー22の角度を変えることにより、XYテーブル上におけるビームの位置を、図中の前後方向(X軸方向)に移動させることができる。
【0025】
ミラーマウント214の背面側に配置された反射ミラー215を挾むようにして、第2の補助レーザ源24と、補助レーザ源24から照射され反射ミラー215によって反射されたビーム218を受光するセンサ26とが配置されている。センサ26は微小な光検出素子を直線的に配列した構成であり、微動ミラー22が傾きを変更しても補助レーザ源24が出力する補助ビームを確実に受光することができる。このように、微動ミラー22の背面側のミラーマウント部に反射ミラーを配置することにより、微動ミラー22の振動の影響を小さく抑えることができる。
【0026】
微動ミラー22で反射されたビーム10は、ミラー31aに入射する。ミラー31aは駆動モータおよび角度検出機を備える第1のガルバノスキャナ31により駆動される。そして、ミラー31aの角度を変えることにより、テーブル上のビームの位置を、微動ミラー21と同様に、図中の左右方向(Y軸方向)に移動させることができる。
【0027】
ミラー31aで反射されたビーム10は、ミラー32aに入射する。ミラー32aは駆動モータおよび角度検出機を備える第2のガルバノスキャナ32により駆動される。そして、ミラー32aの角度を変えることにより、テーブル上のビームの位置を、微動ミラー22と同様に、図中の前後方向(X軸方向)に移動させることができる。
【0028】
ミラー32aで反射されたビーム10は、Fθレンズ17を介して、XYテーブル42上に載置されたプリント基板50に照射される。XYテーブル42は、Y軸駆動機構44によりY軸方向に駆動され、Y軸駆動機構44はベッド41上に固定されたX軸駆動機構43によりX軸方向に駆動される。
【0029】
次に、微動ミラー21の駆動手段について説明する。なお、微動ミラー22は微動ミラー21と同一の構造である。
【0030】
図3は、本発明に係る微動ミラー駆動手段の構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
【0031】
ベース210に固定された圧電素子211は、数十μmの伸縮ストロークを持ち、第1リンク212を図の左右方向に移動させる。第1リンク212には、弾性ヒンジ部219aを介して第2リンク213が結合されている。ミラーマウント214は、第2リンク213の先に配置された弾性ヒンジ部219bおよびベース210に結合された弾性ヒンジ部219cにより支持されている。
【0032】
以上の構成であるから、圧電素子211が伸びると、第1リンク212と第2リンク213を介してミラーマウント214が図において反時計方向に傾く。この結果、ミラーマウント214に固定されたミラー21とミラー215が傾き、それぞれレーザビーム10と偏向角度計測用の補助レーザビーム218の反射方向を偏向する。
【0033】
なお、ミラーマウント214を傾けるアクチュエータとして圧電素子を採用したが、超磁歪素子を用いても良い。また、電磁式ガルバノでミラーを揺動駆動してもよいし、音響光学素子によりビームを偏向するようにしてもよい。
【0034】
図4は、本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。加工機制御装置61は、数値制御装置60から与えられる移動指令に応じて、ミラー31a、32a、微動ミラー21、22(以下、これらをまとめて「スキャナ系」という。)、XYテーブル42、レーザ発振器11等を動作させる。
【0035】
加工機制御装置61のスキャナ制御装置62は、スキャナ系に対する移動指令に応じて、駆動回路311、321、251、261を介してスキャナ系を動作させる。また、スキャナ31、32に内蔵された位置検出器により検出されたミラー31a、32aの回転角度およびセンサ25、26により検出された微動ミラー21、22の回転角度は、位置検出回路312、322、252、262により電圧信号等に変換されてスキャナ制御装置62にフィードバックされる。
【0036】
次に、ビーム10をY軸方向に走査させる場合、すなわち低速位置決め系のガルバノスキャナ31aと高速位置決め系の微動スキャナ21を協調動作させてビームを走査させる場合について説明する。
【0037】
図5は、本発明に基づく2段サーボ系(協調駆動制御系)の信号処理構成を示すブロック線図であり、基本構成は、上記図1のブロック線図に基づいている。
【0038】
同図において、軌道生成部410は目標値rと、これに対応する目標速度r’および目標加速度r’’に基づいて目標軌道を生成する。
【0039】
目標値rとミラー31aのビームスポット変位y2とから演算された偏差e2は、ガルバノスキャナサーボ系の補償要素421により操作量(電圧信号)に変換されて制御対象422に入力される。制御対象422は増幅器とミラー31aの動特性を含んでおり、出力はビームスポット変位y2とミラー31aを駆動するモータのコイルを流れる電流i2である。そして、ビームスポット変位y2はミラー31aが備えている検出器により検出され、電流i2の値は直列抵抗を用いた検出回路あるいは電流検出器により検出される。
【0040】
偏差e2と微動ミラー21のビームスポット変位y1とから演算された偏差e1は、微動ミラーサーボ系の補償要素431により操作量に変換されて制御対象432に入力される。圧電素子211とアンプとを合わせた制御対象432の特性はほぼ2次遅れ特性となり、制御対象432の出力が微動走査手段によるビームスポット変位y1となる。そして、ビームスポット変位y1とビームスポット変位y2の和が、2段サーボ系全体のビームスポット変位yとなる。
【0041】
次に、オーバーシュートを抑制するための補償系について説明する。
【0042】
状態推定手段441は、入力されたビームスポット変位y2と電流i2とから、速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を出力する。逆伝達関数補償信号生成部451は速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を目標速度r’及び目標加速度r’’とそれぞれ比較し、速度偏差e2’及び加速度偏差e2’’を算出する。これらは偏差e2と共に、それぞれ図中に示すゲインを乗じられて加算され、フィードフォワード信号vとして補償要素431の内部で出力に加算される。このフィードフォワード信号vをラプラス変換された形で示すと、式3に示すものとなる。
【0043】
【数2】
【0044】
ここで、偏差e2の係数は、制御対象432と、補償要素431のうちの比例要素433とを合わせた系の逆伝達関数である。
【0045】
したがって、目標値rが微動ミラー21の動作範囲内である場合、この信号を入力された微動ミラー21のビームスポット変位y1は偏差e2に等しくなるので、偏差e1は0になる。一方、ビームスポット変位yはビームスポット変位y2と偏差e2の和になるので、ビームは目標値(目標軌道)rに偏差なく追従する。
【0046】
ところで、目標値rが微動ミラー21の動作範囲を超える場合、微動ミラー21は目標軌道に追従することができない。
【0047】
そこで、この実施形態では、積分リセット論理461を設けている。そして、偏差e2をモニターし、偏差e2が0に復帰した瞬間に補償要素431の積分器434をリセットする。積分器434がリセットされると、微動ミラー21のビームスポット変位y1は偏差e2に等しく、また偏差e1は0になるので、ビームが目標値rに偏差なく追従する状態へと復帰する。
【0048】
なお、以上説明した制御系は、アナログ回路とロジック回路を用いて、あるいはディジタルプロセッサを用いて構成することができる。
【0049】
図6は制御系の構成に応じた応答波形の変化の様子を示す時間応答図である。(1)目標値rが微動ミラーの動作範囲内である場合
同図(a)は、図1〜図3において破線で示した補償系が無い場合(図5における逆伝達関数補償信号生成部451と積分リセット論理461が無い場合)の2段スキャナ系の時間応答波形であり、(b)は、図1〜図3において破線で示した補償系がある場合(図5における逆伝達関数補償信号生成部451がある場合)の各応答を、それぞれ示している。
【0050】
同図(a)の場合、目標軌道に対し、ミラー31aの応答の遅れを打ち消すように微動ミラー21が応答しているが、ミラー31aの応答の偏差に対して遅れがある。このため、トータルのビームスポット変位yはオーバーシュートしてから目標軌道に収束し、ミラー31a単体の応答よりもむしろ位置決め時間が長くなる。
【0051】
これに対して同図(b)の場合、ミラー31aの応答の遅れに対して微動ミラー21が遅滞無く応答しており、トータルのビームスポット変位yは目標軌道に一致している。
【0052】
このように、目標値rが微動ミラーの動作範囲内である場合、ビームスポット変位yを目標軌道に一致させることができる。しかし、ストロークが長くなると、微動ミラー21の走査範囲が頭打ちになるため、目標軌道に追従できなくなる。
【0053】
(2)目標値rが微動ミラーの動作範囲を超えている場合
同図(c)は、積分リセット論理461が無い場合を、(d)は積分リセット論理461を設けた場合を、それぞれ示している。
【0054】
同図(c)の場合、微動ミラー21が可動範囲端に達して停止した後はミラー31aだけが動作する。このため、目標値rに対するビームスポット変位yが徐々に大きくなり、目標軌道が減速して目標値rに達する付近でビームスポット変位yが目標値rに追いつく。しかし、微動ミラー21の再起動が遅れるため、オーバーシュートが生じて、位置決め時間が延びる。
【0055】
これに対し、同図(d)の場合、ビームスポット変位yが目標値rに追いついた時点でビームスポット変位yの積分値に強制的に値を設定するので、微動ミラー21が遅滞無く再起動される。この結果、オーバーシュートが抑止される、位置決め時間が短縮される。
【0056】
次に、低速位置決め系がXYテーブル42、高速位置決め系がミラー31aの場合について説明する。
【0057】
図7は、低速位置決め系をXYテーブル、高速位置決め系をミラーaとする本発明に係る他のプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図であり、図2と同じものまたは同一機能のものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
同図において、光学的ビーム処理系14により外形を整形されたビーム10はミラー15、16、18および19を介してミラー31aに入射し、ミラー31aで反射されてミラー32aに入射する。
【0059】
図8は、本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。加工機制御装置61は、数値制御装置60から与えられる移動指令に応じて、ミラー31a、32a、XYテーブル42、レーザ発振器11等を動作させる。
【0060】
加工機制御装置61のスキャナ制御装置62は、スキャナ系に対する移動指令に応じて駆動回路311、321を介してミラー31a、32aを動作させる。そして、スキャナ31、32に内蔵された位置検出器により検出されたミラー31a、32aの回転角度は、位置検出回路312、322により電圧信号等に変換されてスキャナ制御装置62にフィードバックされる。
【0061】
また、XYテーブル制御装置63は、駆動回路401、402を介してX軸駆動機構43、Y軸駆動機構44を動作させる。そして、図示を省略するセンサにより検出されたX軸、Y軸各々の変位量は、検出回路403、404により変位信号に変換されてXYテーブル制御装置63にフィードバックされる。
【0062】
図9は、本発明に基づく2段サーボ系(協調駆動制御系)の他の信号処理構成を示すブロック線図であり、基本構成は、上記図1のブロック線図に基づいている。
【0063】
同図において、軌道生成部410は目標値rと、これに対応する目標速度r’および目標加速度r’’に基づいて目標軌道を生成する。
【0064】
目標値rとXYテーブル42のY軸サーボ系のビームスポット変位y2とから演算された偏差e2は、テーブルY軸サーボ系の補償要素471により操作量に変換されて制御対象472に入力される。制御対象472はモータドライバとY軸テーブル駆動系の動特性を含んでおり、出力はビームスポット変位y2とY軸を駆動するモータのコイルを流れる電流i2である。そして、ビームスポット変位y2はY軸テーブル駆動系が備えている検出器により検出され、電流i2の値は直列抵抗を用いた検出回路あるいは電流検出器により検出される。
【0065】
偏差e2とミラー31aのビームスポット変位y1とから演算された偏差e1は、I−PD動作を行う補償要素421により処理されて制御対象422に入力される。ミラー31aとアンプを合わせた制御対象422の特性はほぼ2次遅れ特性となり、制御対象422の出力がミラー31aによるビームスポット変位y1となる。状態推定手段441は、制御対象であるミラー31aのビームスポット変位y1と電流信号i1とから推定速度信号y1’を出力する。そして、ビームスポット変位y1とビームスポット変位y2との和が、2段サーボ系全体のビームスポット変位yとなる。
【0066】
次に、オーバーシュートを抑制するための補償系について説明する。
【0067】
状態推定手段442は、入力されたビームスポット変位y2とモータ電流i2とから、速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を出力する。逆伝達関数補償信号生成部451は速度推定信号y2’と加速度推定信号y2’’を目標速度r’及び目標加速度r’’とそれぞれ比較し、速度偏差e2’及び加速度偏差e2’’を算出する。これらは偏差e2と共に、それぞれ図中に示すゲインを乗じられて加算され、フィードフォワード信号vとして補償要素421の内部で出力に加算される。このフィードフォワード信号vをラプラス変換された形で示すと、式4に示すものとなる。
【0068】
【数3】
【0069】
ここで、偏差e2の係数は、制御対象422と、補償要素421のうちの比例要素423及び微分要素425とを合わせた系の逆伝達関数である。したがって、目標値rがミラー31aの動作範囲内である場合、この信号を入力されたミラー31aのビームスポット変位y1は偏差e2に等しくなるので、偏差e1は0になる。一方、ビームスポット変位yはビームスポット変位y2と偏差e2の和になるので、ビームは目標値(目標軌道)rに偏差なく追従する。
【0070】
ところで、目標値rがミラー31aの動作範囲を超える場合、ミラー31aは目標軌道に追従することができない。
【0071】
そこで、この実施形態では、積分リセット論理461を設けている。そして、偏差e2をモニターし、偏差e2が0に復帰した瞬間に補償要素421の積分器424をリセットする。積分器424がリセットされると、ミラー31aのビームスポット変位y1は偏差e2に等しく、また偏差e1は0になるので、ビームが目標値rに偏差なく追従する状態へと復帰する。
【0072】
なお、以上説明した制御系は、アナログ回路とロジック回路を用いて、あるいはディジタルプロセッサを用いて構成することができる。
【0073】
次に、XYテーブル、ガルバノスキャナおよび微動ミラーの3つの駆動手段を協調駆動する場合について説明する。
【0074】
図10は本発明に基づく3段協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。同図(a)において、実線で示す部分は3段サーボ機構を構成している。図中、Gc1(s)、Gp1(s)は高速位置決め系の制御系伝達関数、駆動系伝達関数、また、Gc2(s)、Gp2(s)は中速位置決め系の制御系伝達関数、駆動系伝達関数、さらに、Gc3(s)、Gp3(s)は低速位置決め系の制御系伝達関数、駆動系伝達関数である。そして、低速位置決め系は目標値と低速位置決め系の応答との偏差に基づいて、中速位置決め系は低速位置決め系の偏差(応答誤差)と中速位置決め系の応答との偏差に基づいて、また、高速位置決め系は中速位置決め系の偏差(応答誤差)と高速位置決め系の応答との偏差に基づいて、それぞれビームを走査させるように構成されており、高速位置決め系によるビームスポット変位y1と中速位置決め系によるビームスポット変位y2と低速位置決め系によるビームスポット変位y3との和が、制御量であるトータルのビームスポット変位yになる。
【0075】
このように構成すると、高速位置決め系は、中速位置決め系の応答誤差を抑圧するように動作し、中速位置決め系は、低速位置決め系の応答誤差を抑圧するように動作する。しかし、高速位置決め系のフィードバック制御の応答遅れによりビームスポット変位yを目標値rに誤差なく追従させることはできない。
【0076】
しかし、図中破線で示すように、高速位置決め系の駆動系伝達関数の逆伝達関数である伝達関数1/Gp1(s)を高速位置決め系に付加すると、ビームスポット変位yを目標値rに誤差なく追従させることができる。
【0077】
なお、同図(a)は、信号伝達特性が等価な同図(b)、(c)の構成にすることもできる。
【0078】
図11は、本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。加工機制御装置61は、数値制御装置60から与えられる移動指令に応じて、スキャナ系(ミラー31a、32a、微動ミラー21、22)、XYテーブル42、レーザ発振器11等を動作させる。加工機制御装置61のスキャナ制御装置62は、スキャナ系に対する移動指令に応じて、駆動回路311、321、251、261を介してスキャナ系を動作させる。また、スキャナ31、32に内蔵された位置検出器により検出されたミラー31a、32aの回転角度およびセンサ25、26により検出された微動ミラー21、22の回転角度は、位置検出回路312、322、252、262により電圧信号等に変換されてスキャナ制御装置62にフィードバックされる。また、XYテーブル制御装置63は、駆動回路401、402を介してX軸駆動機構43、Y軸駆動機構44を動作させる。そして、図示を省略するセンサにより検出されたX軸、Y軸各々の変位量は、検出回路403、404により変位信号に変換されてXYテーブル制御装置63にフィードバックされる。
【0079】
なお、ワークとビームの相対的な走査手段をXYテーブル、ガルバノスキャナおよび微動ミラーによる3段の協調駆動制御系の信号処理は、上記図7および図11に示した構成から容易に実現することができるので、説明は省略する。
【0080】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、走査距離が短い場合のビーム走査手段の応答周波数を高めることが可能なので、加工個所の間隔が短い場合の加工時間を大幅に短縮することができる。また、走査距離が長い場合であってもビーム移動における整定時間を短くすることが可能なので、加工時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。
【図2】本発明に係るプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図である。
【図3】本発明に係る微動ミラー駆動手段の構成を示す図である。
【図4】本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明に基づく2段サーボ系の信号処理構成を示すブロック線図である。
【図6】制御系の構成に応じた応答波形の変化の様子を示す時間応答図である。
【図7】本発明に係る他のプリント基板穴明け用レーザ加工機の構成図である。
【図8】本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明に基づく2段サーボ系の他の信号処理構成を示すブロック線図である。
【図10】本発明に基づく3段協調駆動制御系の動作原理を示すブロック線図である。
【図11】本発明を適用したレーザ加工機のビーム走査制御系の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
r 目標値
1/Gp1(s) 補償手段
y1 第1の走査手段によるビームスポット変位
y2 第2の走査手段によるビームスポット変位
Claims (4)
- フィードバック制御によりレーザビームを目標値に位置決めするレーザビーム走査装置において、
前記レーザビームを走査させる第1の走査手段およびこの第1の走査手段による第1の応答を検出する第1の検出手段と、
前記レーザビームを前記第1の走査手段と同一の方向に走査させる第2の走査手段およびこの第2の走査手段による第2の応答を検出する第2の検出手段と、前記第2の走査手段に接続され、前記目標値と前記第1の応答との偏差に基づいて前記第2の走査手段の応答遅れを補償する補償手段と、を設け、
前記第1の走査手段を、前記目標値と前記第1の応答との第1の偏差に基づいて動作させると共に、前記第2の走査手段を、前記第1の偏差と前記第2の応答との第2の偏差に基づいて動作させることを特徴とするレーザビーム走査装置。 - 前記第2の走査手段は、前記第1の走査手段に対してストロークは短いが応答性が高いものであることを特徴とする請求項1に記載のレーザビーム走査装置。
- 前記補償手段は、前記第2の走査手段の駆動部の信号伝達特性の逆特性を持つ伝達関数であることを特徴とする請求項1または2に記載のレーザビーム走査装置。
- 前記第1の走査手段に対してストロークは長いが応答性が低い第3の走査手段およびこの第3の走査手段による第3の応答を検出する第3の検出手段と、を設け、
前記第3の走査手段を、前記目標値と前記第3の応答との第3の偏差に基づいて動作させると共に、前記第1の走査手段を、前記第3の偏差と前記第1の応答との第4の偏差に基づいて動作させ、前記第2の走査手段を、前記第4の偏差と前記第2の応答との偏差に基づいて動作させることを特徴とするレーザビーム走査装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002198828A JP2004038106A (ja) | 2002-07-08 | 2002-07-08 | レーザビーム走査装置 |
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JP2010523336A (ja) * | 2007-04-05 | 2010-07-15 | プレシテク オプトロニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング | 加工装置および材料加工方法 |
JP2011085952A (ja) * | 2004-06-07 | 2011-04-28 | Electro Scientific Industries Inc | レーザシステム性能を改善するためのaom変調技術 |
JP2012200745A (ja) * | 2011-03-24 | 2012-10-22 | Hitachi Via Mechanics Ltd | レーザ加工方法及び加工装置 |
-
2002
- 2002-07-08 JP JP2002198828A patent/JP2004038106A/ja not_active Withdrawn
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