JP2004036602A - シリンダー吸入空気量算出方法及びシステム並びにこれを利用したエンジン燃料制御方法及びシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】スロットルバルブの動作速度に関係なくシリンダーにリアルタイムで吸入される空気量に応じて適切な燃料を噴射してエンジンを安定的に制御できるように、実際にシリンダーに吸入される空気量を燃料噴射時点で予め算出する方法及びシステムを提供するとともに、これを利用してエンジンの燃料量を制御する方法及びシステムを提供する。
【解決手段】燃料噴射時点から設定された目標時点まで時間遅延がある場合に、その遅延時間経過後のスロットルバルブ開度量予測値、吸気マニホールド吸入空気量、そして吸気マニホールド圧力を予測することにより遅延時間経過後のシリンダー吸入空気量を予測することができ、したがって、このように予測されたシリンダー吸入空気量に応じて燃料を噴射することによってエンジンをより安定的に制御する。
【選択図】 図10
【解決手段】燃料噴射時点から設定された目標時点まで時間遅延がある場合に、その遅延時間経過後のスロットルバルブ開度量予測値、吸気マニホールド吸入空気量、そして吸気マニホールド圧力を予測することにより遅延時間経過後のシリンダー吸入空気量を予測することができ、したがって、このように予測されたシリンダー吸入空気量に応じて燃料を噴射することによってエンジンをより安定的に制御する。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシリンダー内に吸入する空気の量をスロットル開度量を利用して予測する方法及びシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンエンジンは空気を吸入し、吸入する空気の量に適切な燃料を噴射して燃焼室で燃焼させることによって動力を発生する装置である。このようなガソリンエンジンは、吸入する空気の量をスロットルバルブ(Throttle valve)を通じて調節することによって出力を調節し、噴射する燃料の量は、吸入する空気の量によって算出される量である。したがって、適切な量の燃料を噴射するためにはエンジンで吸入する空気の量を検出しなければならない。
【0003】
吸入する空気の量を検出するために、例えばマップ(Manifold Absolute Pressure ; MAP)センサーを使用している。MAPセンサーを利用した方式では吸気マニホールド(Intake Manifold)の圧力と空気の温度とを測定して、これを空気量に換算して使用する。
【0004】
図1は、運転者がスロットルバルブを急激に操作した場合、例えば、スロットルバルブを急激に開放した場合にMAPセンサーの出力値(吸気マニホールド内の圧力)の変化を示すグラフである。
【0005】
図1に示すようにスロットルバルブが急激に操作された場合には吸気マニホールド内の圧力も急激に変化し、結果的に、吸気マニホールドを通じて空気の供給を受ける燃焼室への空気供給量もまた急変する。このような場合は燃料噴射時ごとに精密な燃料の量を算定するのが難しくなり、したがって燃料の量が正確でない場合には排出ガス過剰発生の原因となる。
【0006】
このような点を改善するために、従来は、(1)スロットル開度量及びマニホールド圧力各々の変化率を計算して、(2)スロットル開度量変化率が第1設定値を超える場合にこれに伴う第1燃料補正量を計算し、(3)マニホールド圧力変化率が第2設定値を超える場合にこれに伴う第2燃料補正量を計算し、(4)このように計算された各燃料補正量を、吸気温度、エンジン回転数、スロットル開度量などに基づいて通常の方法によって計算される燃料量に合算することによって、スロットルバルブ開度量が急変する場合に対処している。
【0007】
しかし、このような方式によって、急激なスロットル開度変化時にも安定したエンジンを具現するためには、第一、スロットル開度変化率及びマニホールド圧力変化率に伴う燃料補正量を各々設定しなければならず、また新しく設定されるスロットル開度変化率及びマニホールド圧力変化率に伴う燃料補正量によって、既存のスロットル開度量、エンジン回転数、吸気温度各々による燃料量算定方法を補正しなければならない。
【0008】
しかし、このためには先に膨大な実験が必要であるため、特定のエンジンの制御方法を開発するための費用と時間が非常に大きい。このような膨大な先行実験と結果的に増加する開発費用及び時間はエンジンごとに考慮されるべきであるため、その弊害はさらに深刻である。また、このような従来の技術ではエンジンの老化などエンジンの動作状態が変化する場合にも適切に対処できなくなる。
【0009】
このように燃料量を補正するための変数間に複雑な関係が発生する主な原因は次の通りである。即ち、加減速区間では吸入空気量(及びこれに基づいて算出される燃料量)を算出するために現在マニホールドで生成された圧力を検出する時点と、このように算出されて噴射された燃料が実際に混合ガスとして燃焼室に吸入される時点とに不一致が発生するからである。
【0010】
図2は、燃料噴射時期と混合ガス形成時期との関係を示すグラフである。
【0011】
図2から分かるように吸入空気量の計算を通じて燃料量を計算し、このように計算された燃料を噴射する時点(A点)と吸気バルブが開放されて燃焼室に実際に混合ガスが生成される時点(P点)との間には、噴射方式が同期式であるか非同期式であるかによって変わることがあるが、少なくともクランク軸1回転以上の時間差が発生する。
【0012】
したがって、急激なマニホールドの圧力変動を伴う急加速/急減速状況では、この二つの時点の間に空気量が大きく変化するので混合ガスが空燃比を維持しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献1】特開2001−159340
【特許文献2】特開2002−227694
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、スロットルバルブの動作速度に関係なくシリンダーにリアルタイムで吸入される空気量に応じて適切な燃料を噴射してエンジンを安定的に制御できるように、実際にシリンダーに吸入される空気量を燃料噴射時点で予め算出する方法及びシステムを提供するとともに、これを利用してエンジンの燃料量を制御する方法及びシステムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明によるシリンダー吸入空気量算出システムは、スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器;エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器;吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器;吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器;前記各検出器から受信される信号に基づいてシリンダー内にの吸入空気量を算出する電子制御ユニット;を含み、前記電子制御ユニットは後述する吸入空気量算出方法を遂行することを特徴とする。
【0015】
本発明によるシリンダー吸入空気量算出方法は、スロットルバルブ開度量(TPS)を検出する段階;エンジン回転数(RPM)を検出する段階;現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)を検出する段階;燃料噴射時点から設定された目標時点までの遅延時間Δtを算出する段階;前記遅延時間Δt経過後のスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出する段階;前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)に基づいて、前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する段階;前記吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)に基づいて、前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)を算出する段階;及び前記吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)に基づいて前記遅延時間(Δt)経過後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する段階;を含むことを特徴とする。
【0016】
前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)算出段階は、設定差数項までのニュートン差分法に基づいて算出されるのが好ましい。
【0017】
前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)算出段階は、スロットルバルブ開度1次変化量(DTPS)を算出する段階;スロットルバルブ開度2次変化量(ΔDTPS)を算出する段階;及び(数3) に基づいてスロットルバルブ開度量予測値を算出する段階;
【数3】
を含んだ過程によって算出されることができる。(但し、ここでδtは現在及び以前のスロットルバルブ開度量(TPS、TPSprec)検出時期間の時間間隔をいう。)
【0018】
前記吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)算出段階は、スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)及びエンジン回転数(RPM)に基づいてスロットルバルブを通過する基本流量(Mbase,Δt)を算出する段階;吸気マニホールドに吸入される空気の吸気温度(Tin)を検出する段階;前記吸気温度による補正係数(CT)を算出する段階;遅延時間(Δt)経過後のスロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階;前記算出された補正係数(CT,Cp)に基づいて前記基本流量を補正することによって吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する段階;を含む。
【0019】
前記吸気温度による補正係数(CT)算出段階は、設定温度(T0)及び吸気温度(Tin)に基づいて、(数2)の値で補正係数(CT)を算出することができる。
【0020】
前記スロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階は、遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)を線状補間法(extrapolation)によって算出する段階;前記臨時推定値(E_Mtemp)に基づいてスロットルバルブ電圧力予測値(E_PTH、Δt)を算出する段階;遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力臨時推定値(E_Ptemp)を線状補間法によって算出する段階;を含む。
【0021】
前記スロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階は、設定された臨界圧力比以上で単調減少して設定された圧力比で0に収斂する関数によって補正係数(Cp)を算出することができる。
【0022】
前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain、Δt)を算出する段階は、現在の吸気マニホールド圧力(Pmani)を検出する段階;(E_Mmani,Δt−Mmani)×R×Tin/Vsの値で吸気マニホールド圧力変化量(ΔPmani)を演算する段階;前記検出された現在吸気マニホールド圧力に前記演算された圧力変化量(ΔPmani)を足すことによって吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain、Δt)を計算する段階;を含む。
【0023】
前記吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain、Δt)に基づいて前記遅延時間(Δt)経過後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)を算出する段階は、(E_Mcyl,Δt=K(RPM)×E_Pmani,Δt+Prig(RPM))の式によってシリンダー吸入空気量予測値を算出するのが好ましい。(但し、Prig(RPM)及びK(RPM)は、エンジン回転数を変数に予め設定された関数である。)
【0024】
本発明によるエンジン燃料制御システムは、スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器;エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器;吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器;吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器;燃料をエンジン内部に噴射するインジェクター;及び前記各検出器から受信される信号に基づいて燃料量を計算し、前記インジェクターを駆動する電子制御ユニット;を含み、前記電子制御ユニットは、後述する本発明のエンジン燃料制御方法を遂行することを特徴とする。
【0025】
本発明によるエンジン燃料制御方法は、シリンダー吸入空気量予測値算出条件を満たすか判断する予測値算出判断段階;シリンダー吸入空気量予測値算出条件が満たされた場合に、請求項1乃至9のうちのいずれか一つの方法によってシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)を算出する予測値算出段階;前記算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)に基づいて燃料量を計算する燃料量計算段階;及び前記計算された燃料量に基づいてインジェクターを駆動するインジェクター駆動段階;を含む。
【0026】
前記シリンダー吸入空気量予測値算出条件は、(1)エンジンが始動した後設定時間経過すること、(2)スロットルバルブ開度量検出器、エンジン回転数検出器、吸気マニホールド圧力検出器及び吸気温度検出器の検出信号に異常がないこと、(3)スロットルバルブ開度量変化率が第1設定変化率以上であること、(4)吸気マニホールド圧力変化率が第2設定変化率以上であることが好ましい。
【0027】
本発明によるエンジン燃料制御方法において、前記算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)と現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)との差が設定値以上であるか判断する段階をさらに含み、前記燃料量計算段階は、前記差が前記設定値以上である場合に遂行されるのが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図3は、本発明の実施例による吸入空気量算出システム及びこれを利用した燃料制御システムの構成図である。
【0030】
図3に示されているように本発明の実施例のシステム300は、スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器310;エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器320;吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器330;吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器340;燃料をエンジン内部に噴射するインジェクター360;及び前記各検出器から受信される信号に基づいてシリンダー内への吸入空気量を算出する電子制御ユニット350;を含む。
【0031】
電子制御ユニット350は後述する本発明の実施例の吸入空気量算出方法を遂行することによって吸入空気量を算出し、これに基づいて燃料量を計算し、前記計算された燃料量に基づいてインジェクター360を駆動する。
【0032】
各検出器310〜330及びインジェクター360に対する具体的な事項は当業者にとって自明なことであるので、さらに詳細な記載を省略する。
【0033】
電子制御ユニット350は設定されたプログラムによって動作するマイクロプロセッサーにすることができ、設定されたプログラムは、後述する本発明の実施例の吸入空気量算出方法及び本発明の実施例の燃料制御方法を遂行するための一連の命令にすることができ、一連の命令を遂行する過程で必要な参照テーブル及び変数を保存するためのメモリを備える。
【0034】
図4は、本発明の実施例による吸入空気量算出方法を説明するために必要な変数を定義するためのグラフである。
【0035】
図4では、時間の経過に伴ってスロットル開度量(TPS)が急増する変化を示しており、現在時点(t)でスロットル開度量がA点に存在する場合に、P点でのシリンダー(つまり、燃焼室)吸入空気量(Mcyl,p)を予測しようとするものである。
【0036】
このために毎時間間隔(δt)ごとに必要なデータの検出が反復されており、シリンダーに吸入される吸入空気量の予測が必要な時点(tp)と現在時点(t)の時間間隔(以下、“遅延時間”と称する)をΔtと定義する。
【0037】
シリンダーへの吸入空気量予測が必要な時点(tp)の設定は当業者によって任意の基準によって設定することができるが、混合ガスが生成される時点を基準にするのが好ましい。
【0038】
図5は、本発明の実施例による吸入空気量算出方法を示したフローチャートである。
【0039】
以下で変数の前に付いた表示“E_”は、その変数の予測値を意味する。
【0040】
本発明の実施例による吸入空気量算出方法は図5に示すように、まず、スロットルバルブ開度量(TPS)を検出し(S505)、エンジン回転数(RPM)を検出する(S506)。
【0041】
そして、現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)を検出する(S510)。吸気マニホールド吸入空気量検出段階(S510)は、各検出器310、320、330、340の信号に基づいて当業者が自明に換算することができる。
【0042】
そして、検出されたエンジン回転数に基づいて遅延時間(Δt)を算出する(S515)。遅延時間(Δt)は、現在時点(つまり、燃料噴射時点)を時刻tとすれば、現在時点とシリンダー内に空気が吸入される時点(t+Δt)との時間ギャップを意味する。以下では、説明の便宜のために現在時点を“0”にして説明する。
【0043】
遅延時間(Δt)は、エンジン回転数(RPM)に依存する量であって、両者の関係は当業者にとって自明なことであるのでさらに詳細な記載を省略する。
【0044】
エンジン回転数(RPM)に基づいて遅延時間(Δt)を算出(S515)する場合に、ECU350内に予め設定され保存された参照テーブル(lookup table)から抽出することができる。
【0045】
遅延時間(Δt)を算出した後には、燃料噴射時点から遅延時間(Δt)後までのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を、現在時点を基準にしたテイラー展開(Taylor Expansion)に基づいて算出する(S520)。
【0046】
段階(S520)については図6を参照してさらに詳細に説明する。
【0047】
燃料噴射時点から遅延時間(Δt)後までのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出(S520)するために、まず、現在検出されたスロットルバルブ開度量(TPS)と以前に検出されたスロットルバルブ開度量(TPSprec)との差を計算し、これをスロットル開度1次変化量(first order difference in throttle valve angle)変数に保存する(S610)。
【0048】
スロットル開度1次変化量(DTPS)は、“DTPS=TPS−TPSprec”の式によって計算される。
【0049】
そして、このように計算されたスロットル開度1次変化量(DTPS)と以前に計算されたスロットル開度1次変化量(DTPSprec)との差を計算し、これをスロットル開度2次変化量(ΔDTPS)変数に保存する(S620)。
【0050】
スロットル開度の2次変化量(ΔDTPS)は、“ΔDTPS=DTPS−DTPSprec”の式によって計算される。
【0051】
このように(S610、S620)、スロットルバルブ開度の1次及び2次変化量を計算した後には、遅延時間(Δt)後でのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を下記の(数1)を参照して算出する(S630)。
【0052】
(数1)
(但し、ここでδtは現在及び以前のスロットルバルブ開度量(TPS)検出時期の間の時間間隔をいう。)
【0053】
(数1)は関数のテイラー展開(Taylor Expansion)に関する2次微分項(2d order derivative term)−あるいはニュートーン差分法による2次差分項(2nd order difference term)−までを表示したものであり、このような展開に関する事項は当業者にとって自明なことであるのでさらに詳細な記載を省略する。
【0054】
本発明の実施例ではスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を計算する場合、2次微分項(あるいは2差分項)までを使用したが、その以上の差数の項まで計算して予測値(E_TPSΔt)を算出できるということは自明であり、したがってこれに関するより詳細な説明は省略する。
【0055】
遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出(S630)した後には、次のスロットル開度検出時にデータを計算するために、以前のスロットルバルブ開度量変数(TPSprec)に現在検出されたスロットルバルブ開度量(TPS)値を、そして以前のスロットル開度1次変化量変数(DTPSprec)に現在スロットル開度1次変化量(DTPS)値を保存する(S640)。
【0056】
したがって、遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出(S520)した後には、再び図5を参照して、現在から遅延時間(Δt)後にスロットルバルブを通過して吸気マニホールドに吸入される空気量の予測値(E_Mmani、Δt)を算出する(S530)。
【0057】
以下、吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)算出過程(S530)を図7を参照してさらに詳細に説明する。
【0058】
まず、遅延時間(Δt)後のスロットル通過基本流量(Mbase,Δt)を算出する(S710〜S725)。
【0059】
基本流量(Mbase,Δt)を算出する場合、まず、スロットルバルブの空回転速度調節器(Idle Speed Actuator;以下、“ISA”という)を通過する空気量(MISA)を算出し(S710)、スロットルバルブが閉鎖された場合にバルブの隙間に漏れる漏洩空気量(MLeak)を算出する(S715)。ISA通過空気量(MISA)はISA開度量に応じて予め設定された値に、漏れ空気量(MLeak)は予め設定された値にすることができ、このような予め設定された値はISAの諸元あるいは実験によって容易に得られるのでさらに詳細な記載を省略する。
【0060】
そして、スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)及びエンジン回転数(RPM)に基づいて、スロットルバルブを通過する変動空気量(Mvar(E_TPSΔt、RPM))を算出する(S720)。
【0061】
RPMは時刻t+Δtでのエンジン回転数であるが、エンジン回転数は遅延時間(Δt)の間でも大きく変わらないので、現在時刻tでのエンジン回転数値を用いても差し支えない。
【0062】
変動空気量(Mvar(E_TPSΔt、RPM))は、ISA通過空気量(MISA)及び漏れ空気量(MLeak)を除いてスロットルバルブを通過する量であって、予め計算されたマップ値で抽出することができる。予め計算されたマップ値は特定のエンジンに対して実験を通じて当業者が自明に設定することができるので、さらに詳細な記載を省略する。
【0063】
このように算出されるISA通過空気量(MISA)、漏れ空気量(MLeak)及び変動空気量(Mvar(E_TPSΔt、RPM))を足すことによって基本流量(Mbase,Δt)を算出する(S725)。
【0064】
基本流量(Mbase,Δt)を算出(S725)した後には、吸気温度に基づいた補正係数(CT)を計算し(S730、S735)、スロットルバルブ前後の圧力比を基礎とした補正係数(CP)を計算して(S740〜S755)、これら補正係数(CT、CP)に基づいて基本流量(Mbase,Δt)を補正する(S760)。
【0065】
このために、まず吸気マニホールドの吸気温度(Tin)を検出し(S730)、吸気温度(Tin)に対する補正係数(CT)を(数4)の式から算出する(S735)。
【数4】
但し、ここでT0は温度の基準となる基準温度であって、好ましくは摂氏0度の絶対温度(つまり、273。K)とすることができる。
【0066】
スロットルバルブ前後の圧力比を基礎として基本流量(Mbase,Δt)を補正する理由は、図8を参照して説明する。
【0067】
図8は、特定のスロットルバルブ開度量に対し、スロットルバルブ前後の圧力比に対するスロットルバルブ通過油量比を示したものである。横軸はスロットルバルブ前後の圧力比を示し、縦軸はスロットル通過流量(数5)の最大通過流量(数6)に対する比(数7)を示す。
【数5】
【数6】
【数7】
【0068】
特定のスロットルバルブ開度量での最大通過流量(数6)は、計算された基本流量(Mbase,Δt)に対応する値である。
【0069】
図8から分かるように、特定のスロットル開度量でスロットルバルブ前後の圧力比が特定の値(臨界圧力比、0.5283)以下である場合(つまり、圧力差が大きい場合)には空気流量が一定であり、その以上では図8のように次第に減って、圧力比が1である場合(つまり、スロットルバルブ前後圧力が同一な場合)にはスロットルバルブに空気が通過しない。
【0070】
図8に関する誘導過程及び関連計算式などより具体的な事項は、Internal “Combustion Engine Fundamentals(McGrawHill, John.B.Heywood)”のAppendix
Cを参照すればよい。
【0071】
したがって計算された基本流量(Mbase,Δt)を、図8、特に臨界圧力比以上の圧力比である部分に基づいて補正することが必要である。
【0072】
したがって、スロットルバルブ前後の圧力比を基礎に基本流量(Mbase,Δt)を補正するために、まず、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド吸入空気量の臨時推定値(E_Mtemp)を算出する(S740)。
【0073】
吸気マニホールド吸入空気量の臨時推定値(E_Mtemp)の算出(S740)は、現在吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)及び以前の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani,prec)に基づいて補間法(extrapolation)によって推定することができ、したがって、段階(S740)での吸気マニホールド吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)は下記の式によって計算することができる。
【数8】
【0074】
そして、遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ前の圧力予測値(E_PTH,Δt)を吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)から演算する(S745)。
【0075】
遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ前の圧力(PTH,Δt)はスロットルバルブを通過する空気量、つまり、マニホールドに吸入される空気量(Mmani、Δt)によって圧力が降下し、したがって、遅延時間(Δt)後のシリンダー吸入空気量(Mmani、Δt)による関数として与えられる。
この関数は当業者に自明なものであるのでさらに詳細な記載を省略し、関数値は、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルに基づいて抽出することができる。
【0076】
本発明の実施例では、遅延時間(Δt)後のシリンダー吸入空気量(Mmani、Δt)に該当する値として吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)を使用している。
【0077】
また、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力臨時推定値(E_Ptemp)を、現在吸気マニホールド圧力(Pmani)及び以前の吸気マニホールド圧力(Pmani、prec)に基づいて補間法(extrapolation)によって下記の通り算出する(S750)。
【数9】
【0078】
遅延時間(Δt)後の時点に対してスロットルバルブ前の圧力予測値(E_PTH,Δt)及び吸気マニホールド圧力臨時推定値(E_Mtemp)を算出(S745、S750)した後には、圧力比による補正係数(CP)を算出する(S755)。
【0079】
圧力比による補正係数(CP)の算出(S760)は、より具体的に、圧力比による関数として(数10)の式によって算出される。
【数10】
但し、ここでCP関数は図8のようなグラフとなるように形成された任意の関数であって、その関数値は、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルから抽出することができる。
【0080】
Cp関数は、例えば(数11)のように定義することができる。
【数11】
但し、ここでκは比熱比(specific heat ratio;定積比熱に対する定圧比熱の比)であって、空気サイクルでは約1.4、燃料−空気サイクルでは約1.26〜1.27程度の値に用いることができる。(空気サイクルの比熱比は1.4であり、燃料−空気サイクルの比熱比は理論空燃比である場合約1.26〜1.27程度となると知られている。)
【0081】
基本流量(Mbase、Δt)、吸気温度(Tin)による補正係数(CT)及び圧力比による補正係数(CP)を算出した後には、これらを全てかけることによって遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する(S760)。
【0082】
このように遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出(S530)した後には、再び図5を参照して、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani,Δt)を算出する(S540)。
【0083】
さらに詳細に説明すれば、まずECU350は、吸気マニホールド圧力検出器330から現在の吸気マニホールド圧力(Pmani)を検出する(S542)。また、吸気マニホールド圧力変化量(ΔPmani)を“(E_Mmani,Δt−Mmani)×R×Tin/Vs”の値を計算する(S544)。ここでRは気体常数を、V_sは吸気マニホールドの有効体積を意味する。吸気マニホールド圧力変化量計算式は、理想気体状態方程式を利用して吸気マニホールド内空気質量変化を圧力変化に換算したものである。そして、このように計算された圧力変化量(ΔPmani)を現在の吸気マニホールド圧力(Pmani)に足すことによって、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)を算出する(S546)。
【0084】
遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)を算出(S540)した後には、遅延時間(Δt)後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する(S550)。
【0085】
より具体的に、シリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)は下記の(数12)によって算出される。
【数12】
【0086】
Prig(RPM)値は、シリンダー内部の残留気体による圧力を意味する値としてエンジン回転数に基づいて予め設定された関数によって計算され、好ましくは、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルから抽出することができる。
【0087】
K(RPM)値は、シリンダー吸入空気量(Mcyl、Δt)が吸気マニホールド圧力に比例する比例常数であってエンジン回転数に基づいて予め設定された関数によって計算され、好ましくは、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルから抽出することができる。
【0088】
(数12)による吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)とシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)の関係は、図9に示したような比例関係である。
【0089】
Prig(RPM)及びK(RPM)関数はエンジンの諸元によって変わることがあり、このような関数値は何回かの実験を通じて当業者が自明に得ることができるのでさらに具体的な値に対する記載を省略する。
【0090】
以上のように本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法を説明したが、以下ではこれを利用した本発明の実施例の燃料制御方法について詳細に説明する。
【0091】
図10は、本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法を利用した燃料制御方法を示したフローチャートである。
【0092】
図10に示すように本発明の実施例の燃料制御方法は、シリンダー吸入空気量予測値算出条件を満たすか判断し(S1050)、満たす場合にはシリンダー吸入空気量予測値を算出して(S1060)、算出されたシリンダー吸入空気量予測値を燃料量計算に利用するか否か判断し(S1070)、利用すると判断された場合には、算出されたシリンダー吸入空気量予測値に基づいて燃料量を計算した(S1080)後、計算された燃料量に基づいてインジェクター360を制御する(S1090)。
【0093】
シリンダー吸入空気量予測値算出条件は、(1)エンジンが始動した後設定時間経過すること(S1010)、(2)スロットルバルブ開度量検出器、エンジン回転数検出器、吸気マニホールド圧力検出器及び吸気温度検出器の検出信号に異常がないこと(S1015)、(3)スロットルバルブ開度量変化率が第1設定変化率以上であること(S1020)、(4)吸気マニホールド圧力変化率が第2設定変化率以上であること(S1025)を含む。
【0094】
シリンダー吸入空気量予測値算出条件が満たされた場合には、図4を参照して、前述した本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法にしたがってシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する(S1060)。
【0095】
シリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出した(S1060)後には、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を燃料量計算に利用するか否か判断する(S1070)。
【0096】
判断(S1070)は、シリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)と現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)との差が設定値以上である場合に、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を使用することとすることができる。設定値は、特定のエンジンでの適用妥当性を検討して当業者が好ましいと判断される任意の値に設定することができる。
【0097】
算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を燃料量計算に利用すると判断(S1070)された場合には、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)に基づいて燃料量を計算し(S1080)、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を燃料量計算に利用しないと判断(S1070)された場合には、従来の技術による方法で燃料量を計算する(S1085)。
【0098】
燃料量計算段階(S1080)は吸入空気量に基づいてこれに適切な燃料量を計算することであり、その具体的 な計算方式は当業者にとって自明なことであるので詳細な記載を省略する。
【0099】
燃料量を計算(S1080)した後には、計算された燃料量に基づいてインジェクター360を駆動する(S1090)する。
【0100】
以上でシリンダー吸入空気量算出方法及びシステム並びにこれを利用した燃料制御方法及びシステムに関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるわけではなく、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野にて通常の知識を有する者によって容易に変更され、均等であると認められる範囲の全ての変更を含む。
【0101】
【発明の効果】
本発明の実施例によれば、シリンダー内に吸入される時点での空気の実際の吸入量を推算してこれに適した燃料を噴射することができるので、スロットルバルブの急操作などエンジンの運転状態が急激に変化する状況でも適切な燃料量を算出することができ、したがって、エンジンの空燃比を常に理想的な状態に維持することができる。
【0102】
また、エンジンを開発する際それぞれの状況に応じたマップテーブルを作成するための先行実験の量を減らすことにより、エンジンの開発に投入される時間と費用を減らすことができる。
【0103】
また本発明の実施例によれば、実測されたデータに基づいて短い遅延時間後の吸入空気量を予測することができるので、エンジンの老化などエンジン状態が変化する場合でもこれに適切な燃料量を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】運転者がスロットルバルブを急激に操作した場合、例えばスロットルバルブを急激に開放した場合のMAPセンサー出力値(吸気マニホールド内の圧力)の変化を示すグラフである。
【図2】燃料噴射時期と混合ガス形成時期の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例による吸入空気量算出システム及びこれを利用したエンジン燃料制御システムの構成図である。
【図4】本発明の実施例による吸入空気量算出方法を説明するために必要な変数を定義するためのグラフである。
【図5】本発明の実施例による吸入空気量算出方法を示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法において、燃料噴射時点から遅延時間(Δt)後までのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出する過程(S520)に関する詳細フローチャートである。
【図7】本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法において、吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)算出過程(S530)に関する詳細フローチャートである。
【図8】スロットルバルブ前後の圧力比に基づいて基本流量(Mbase、Δt)を補正する理由を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例で吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)とシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)との関係を示したグラフである。
【図10】本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法を利用した燃料制御方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
300 燃料制御システム
310 スロットル開度検出器
320 エンジン回転数検出器
330 吸気マニホールド圧力検出器
340 吸気温度検出器
360 インジェクター
【発明の属する技術分野】
本発明はシリンダー内に吸入する空気の量をスロットル開度量を利用して予測する方法及びシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンエンジンは空気を吸入し、吸入する空気の量に適切な燃料を噴射して燃焼室で燃焼させることによって動力を発生する装置である。このようなガソリンエンジンは、吸入する空気の量をスロットルバルブ(Throttle valve)を通じて調節することによって出力を調節し、噴射する燃料の量は、吸入する空気の量によって算出される量である。したがって、適切な量の燃料を噴射するためにはエンジンで吸入する空気の量を検出しなければならない。
【0003】
吸入する空気の量を検出するために、例えばマップ(Manifold Absolute Pressure ; MAP)センサーを使用している。MAPセンサーを利用した方式では吸気マニホールド(Intake Manifold)の圧力と空気の温度とを測定して、これを空気量に換算して使用する。
【0004】
図1は、運転者がスロットルバルブを急激に操作した場合、例えば、スロットルバルブを急激に開放した場合にMAPセンサーの出力値(吸気マニホールド内の圧力)の変化を示すグラフである。
【0005】
図1に示すようにスロットルバルブが急激に操作された場合には吸気マニホールド内の圧力も急激に変化し、結果的に、吸気マニホールドを通じて空気の供給を受ける燃焼室への空気供給量もまた急変する。このような場合は燃料噴射時ごとに精密な燃料の量を算定するのが難しくなり、したがって燃料の量が正確でない場合には排出ガス過剰発生の原因となる。
【0006】
このような点を改善するために、従来は、(1)スロットル開度量及びマニホールド圧力各々の変化率を計算して、(2)スロットル開度量変化率が第1設定値を超える場合にこれに伴う第1燃料補正量を計算し、(3)マニホールド圧力変化率が第2設定値を超える場合にこれに伴う第2燃料補正量を計算し、(4)このように計算された各燃料補正量を、吸気温度、エンジン回転数、スロットル開度量などに基づいて通常の方法によって計算される燃料量に合算することによって、スロットルバルブ開度量が急変する場合に対処している。
【0007】
しかし、このような方式によって、急激なスロットル開度変化時にも安定したエンジンを具現するためには、第一、スロットル開度変化率及びマニホールド圧力変化率に伴う燃料補正量を各々設定しなければならず、また新しく設定されるスロットル開度変化率及びマニホールド圧力変化率に伴う燃料補正量によって、既存のスロットル開度量、エンジン回転数、吸気温度各々による燃料量算定方法を補正しなければならない。
【0008】
しかし、このためには先に膨大な実験が必要であるため、特定のエンジンの制御方法を開発するための費用と時間が非常に大きい。このような膨大な先行実験と結果的に増加する開発費用及び時間はエンジンごとに考慮されるべきであるため、その弊害はさらに深刻である。また、このような従来の技術ではエンジンの老化などエンジンの動作状態が変化する場合にも適切に対処できなくなる。
【0009】
このように燃料量を補正するための変数間に複雑な関係が発生する主な原因は次の通りである。即ち、加減速区間では吸入空気量(及びこれに基づいて算出される燃料量)を算出するために現在マニホールドで生成された圧力を検出する時点と、このように算出されて噴射された燃料が実際に混合ガスとして燃焼室に吸入される時点とに不一致が発生するからである。
【0010】
図2は、燃料噴射時期と混合ガス形成時期との関係を示すグラフである。
【0011】
図2から分かるように吸入空気量の計算を通じて燃料量を計算し、このように計算された燃料を噴射する時点(A点)と吸気バルブが開放されて燃焼室に実際に混合ガスが生成される時点(P点)との間には、噴射方式が同期式であるか非同期式であるかによって変わることがあるが、少なくともクランク軸1回転以上の時間差が発生する。
【0012】
したがって、急激なマニホールドの圧力変動を伴う急加速/急減速状況では、この二つの時点の間に空気量が大きく変化するので混合ガスが空燃比を維持しにくくなる。
【先行技術文献】
【特許文献1】特開2001−159340
【特許文献2】特開2002−227694
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、スロットルバルブの動作速度に関係なくシリンダーにリアルタイムで吸入される空気量に応じて適切な燃料を噴射してエンジンを安定的に制御できるように、実際にシリンダーに吸入される空気量を燃料噴射時点で予め算出する方法及びシステムを提供するとともに、これを利用してエンジンの燃料量を制御する方法及びシステムを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明によるシリンダー吸入空気量算出システムは、スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器;エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器;吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器;吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器;前記各検出器から受信される信号に基づいてシリンダー内にの吸入空気量を算出する電子制御ユニット;を含み、前記電子制御ユニットは後述する吸入空気量算出方法を遂行することを特徴とする。
【0015】
本発明によるシリンダー吸入空気量算出方法は、スロットルバルブ開度量(TPS)を検出する段階;エンジン回転数(RPM)を検出する段階;現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)を検出する段階;燃料噴射時点から設定された目標時点までの遅延時間Δtを算出する段階;前記遅延時間Δt経過後のスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出する段階;前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)に基づいて、前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する段階;前記吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)に基づいて、前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)を算出する段階;及び前記吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)に基づいて前記遅延時間(Δt)経過後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する段階;を含むことを特徴とする。
【0016】
前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)算出段階は、設定差数項までのニュートン差分法に基づいて算出されるのが好ましい。
【0017】
前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)算出段階は、スロットルバルブ開度1次変化量(DTPS)を算出する段階;スロットルバルブ開度2次変化量(ΔDTPS)を算出する段階;及び(数3) に基づいてスロットルバルブ開度量予測値を算出する段階;
【数3】
を含んだ過程によって算出されることができる。(但し、ここでδtは現在及び以前のスロットルバルブ開度量(TPS、TPSprec)検出時期間の時間間隔をいう。)
【0018】
前記吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)算出段階は、スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)及びエンジン回転数(RPM)に基づいてスロットルバルブを通過する基本流量(Mbase,Δt)を算出する段階;吸気マニホールドに吸入される空気の吸気温度(Tin)を検出する段階;前記吸気温度による補正係数(CT)を算出する段階;遅延時間(Δt)経過後のスロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階;前記算出された補正係数(CT,Cp)に基づいて前記基本流量を補正することによって吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する段階;を含む。
【0019】
前記吸気温度による補正係数(CT)算出段階は、設定温度(T0)及び吸気温度(Tin)に基づいて、(数2)の値で補正係数(CT)を算出することができる。
【0020】
前記スロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階は、遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)を線状補間法(extrapolation)によって算出する段階;前記臨時推定値(E_Mtemp)に基づいてスロットルバルブ電圧力予測値(E_PTH、Δt)を算出する段階;遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力臨時推定値(E_Ptemp)を線状補間法によって算出する段階;を含む。
【0021】
前記スロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階は、設定された臨界圧力比以上で単調減少して設定された圧力比で0に収斂する関数によって補正係数(Cp)を算出することができる。
【0022】
前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain、Δt)を算出する段階は、現在の吸気マニホールド圧力(Pmani)を検出する段階;(E_Mmani,Δt−Mmani)×R×Tin/Vsの値で吸気マニホールド圧力変化量(ΔPmani)を演算する段階;前記検出された現在吸気マニホールド圧力に前記演算された圧力変化量(ΔPmani)を足すことによって吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain、Δt)を計算する段階;を含む。
【0023】
前記吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain、Δt)に基づいて前記遅延時間(Δt)経過後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)を算出する段階は、(E_Mcyl,Δt=K(RPM)×E_Pmani,Δt+Prig(RPM))の式によってシリンダー吸入空気量予測値を算出するのが好ましい。(但し、Prig(RPM)及びK(RPM)は、エンジン回転数を変数に予め設定された関数である。)
【0024】
本発明によるエンジン燃料制御システムは、スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器;エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器;吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器;吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器;燃料をエンジン内部に噴射するインジェクター;及び前記各検出器から受信される信号に基づいて燃料量を計算し、前記インジェクターを駆動する電子制御ユニット;を含み、前記電子制御ユニットは、後述する本発明のエンジン燃料制御方法を遂行することを特徴とする。
【0025】
本発明によるエンジン燃料制御方法は、シリンダー吸入空気量予測値算出条件を満たすか判断する予測値算出判断段階;シリンダー吸入空気量予測値算出条件が満たされた場合に、請求項1乃至9のうちのいずれか一つの方法によってシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)を算出する予測値算出段階;前記算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)に基づいて燃料量を計算する燃料量計算段階;及び前記計算された燃料量に基づいてインジェクターを駆動するインジェクター駆動段階;を含む。
【0026】
前記シリンダー吸入空気量予測値算出条件は、(1)エンジンが始動した後設定時間経過すること、(2)スロットルバルブ開度量検出器、エンジン回転数検出器、吸気マニホールド圧力検出器及び吸気温度検出器の検出信号に異常がないこと、(3)スロットルバルブ開度量変化率が第1設定変化率以上であること、(4)吸気マニホールド圧力変化率が第2設定変化率以上であることが好ましい。
【0027】
本発明によるエンジン燃料制御方法において、前記算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl,Δt)と現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)との差が設定値以上であるか判断する段階をさらに含み、前記燃料量計算段階は、前記差が前記設定値以上である場合に遂行されるのが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を添付した図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
図3は、本発明の実施例による吸入空気量算出システム及びこれを利用した燃料制御システムの構成図である。
【0030】
図3に示されているように本発明の実施例のシステム300は、スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器310;エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器320;吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器330;吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器340;燃料をエンジン内部に噴射するインジェクター360;及び前記各検出器から受信される信号に基づいてシリンダー内への吸入空気量を算出する電子制御ユニット350;を含む。
【0031】
電子制御ユニット350は後述する本発明の実施例の吸入空気量算出方法を遂行することによって吸入空気量を算出し、これに基づいて燃料量を計算し、前記計算された燃料量に基づいてインジェクター360を駆動する。
【0032】
各検出器310〜330及びインジェクター360に対する具体的な事項は当業者にとって自明なことであるので、さらに詳細な記載を省略する。
【0033】
電子制御ユニット350は設定されたプログラムによって動作するマイクロプロセッサーにすることができ、設定されたプログラムは、後述する本発明の実施例の吸入空気量算出方法及び本発明の実施例の燃料制御方法を遂行するための一連の命令にすることができ、一連の命令を遂行する過程で必要な参照テーブル及び変数を保存するためのメモリを備える。
【0034】
図4は、本発明の実施例による吸入空気量算出方法を説明するために必要な変数を定義するためのグラフである。
【0035】
図4では、時間の経過に伴ってスロットル開度量(TPS)が急増する変化を示しており、現在時点(t)でスロットル開度量がA点に存在する場合に、P点でのシリンダー(つまり、燃焼室)吸入空気量(Mcyl,p)を予測しようとするものである。
【0036】
このために毎時間間隔(δt)ごとに必要なデータの検出が反復されており、シリンダーに吸入される吸入空気量の予測が必要な時点(tp)と現在時点(t)の時間間隔(以下、“遅延時間”と称する)をΔtと定義する。
【0037】
シリンダーへの吸入空気量予測が必要な時点(tp)の設定は当業者によって任意の基準によって設定することができるが、混合ガスが生成される時点を基準にするのが好ましい。
【0038】
図5は、本発明の実施例による吸入空気量算出方法を示したフローチャートである。
【0039】
以下で変数の前に付いた表示“E_”は、その変数の予測値を意味する。
【0040】
本発明の実施例による吸入空気量算出方法は図5に示すように、まず、スロットルバルブ開度量(TPS)を検出し(S505)、エンジン回転数(RPM)を検出する(S506)。
【0041】
そして、現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)を検出する(S510)。吸気マニホールド吸入空気量検出段階(S510)は、各検出器310、320、330、340の信号に基づいて当業者が自明に換算することができる。
【0042】
そして、検出されたエンジン回転数に基づいて遅延時間(Δt)を算出する(S515)。遅延時間(Δt)は、現在時点(つまり、燃料噴射時点)を時刻tとすれば、現在時点とシリンダー内に空気が吸入される時点(t+Δt)との時間ギャップを意味する。以下では、説明の便宜のために現在時点を“0”にして説明する。
【0043】
遅延時間(Δt)は、エンジン回転数(RPM)に依存する量であって、両者の関係は当業者にとって自明なことであるのでさらに詳細な記載を省略する。
【0044】
エンジン回転数(RPM)に基づいて遅延時間(Δt)を算出(S515)する場合に、ECU350内に予め設定され保存された参照テーブル(lookup table)から抽出することができる。
【0045】
遅延時間(Δt)を算出した後には、燃料噴射時点から遅延時間(Δt)後までのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を、現在時点を基準にしたテイラー展開(Taylor Expansion)に基づいて算出する(S520)。
【0046】
段階(S520)については図6を参照してさらに詳細に説明する。
【0047】
燃料噴射時点から遅延時間(Δt)後までのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出(S520)するために、まず、現在検出されたスロットルバルブ開度量(TPS)と以前に検出されたスロットルバルブ開度量(TPSprec)との差を計算し、これをスロットル開度1次変化量(first order difference in throttle valve angle)変数に保存する(S610)。
【0048】
スロットル開度1次変化量(DTPS)は、“DTPS=TPS−TPSprec”の式によって計算される。
【0049】
そして、このように計算されたスロットル開度1次変化量(DTPS)と以前に計算されたスロットル開度1次変化量(DTPSprec)との差を計算し、これをスロットル開度2次変化量(ΔDTPS)変数に保存する(S620)。
【0050】
スロットル開度の2次変化量(ΔDTPS)は、“ΔDTPS=DTPS−DTPSprec”の式によって計算される。
【0051】
このように(S610、S620)、スロットルバルブ開度の1次及び2次変化量を計算した後には、遅延時間(Δt)後でのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を下記の(数1)を参照して算出する(S630)。
【0052】
(数1)
(但し、ここでδtは現在及び以前のスロットルバルブ開度量(TPS)検出時期の間の時間間隔をいう。)
【0053】
(数1)は関数のテイラー展開(Taylor Expansion)に関する2次微分項(2d order derivative term)−あるいはニュートーン差分法による2次差分項(2nd order difference term)−までを表示したものであり、このような展開に関する事項は当業者にとって自明なことであるのでさらに詳細な記載を省略する。
【0054】
本発明の実施例ではスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を計算する場合、2次微分項(あるいは2差分項)までを使用したが、その以上の差数の項まで計算して予測値(E_TPSΔt)を算出できるということは自明であり、したがってこれに関するより詳細な説明は省略する。
【0055】
遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出(S630)した後には、次のスロットル開度検出時にデータを計算するために、以前のスロットルバルブ開度量変数(TPSprec)に現在検出されたスロットルバルブ開度量(TPS)値を、そして以前のスロットル開度1次変化量変数(DTPSprec)に現在スロットル開度1次変化量(DTPS)値を保存する(S640)。
【0056】
したがって、遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出(S520)した後には、再び図5を参照して、現在から遅延時間(Δt)後にスロットルバルブを通過して吸気マニホールドに吸入される空気量の予測値(E_Mmani、Δt)を算出する(S530)。
【0057】
以下、吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)算出過程(S530)を図7を参照してさらに詳細に説明する。
【0058】
まず、遅延時間(Δt)後のスロットル通過基本流量(Mbase,Δt)を算出する(S710〜S725)。
【0059】
基本流量(Mbase,Δt)を算出する場合、まず、スロットルバルブの空回転速度調節器(Idle Speed Actuator;以下、“ISA”という)を通過する空気量(MISA)を算出し(S710)、スロットルバルブが閉鎖された場合にバルブの隙間に漏れる漏洩空気量(MLeak)を算出する(S715)。ISA通過空気量(MISA)はISA開度量に応じて予め設定された値に、漏れ空気量(MLeak)は予め設定された値にすることができ、このような予め設定された値はISAの諸元あるいは実験によって容易に得られるのでさらに詳細な記載を省略する。
【0060】
そして、スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)及びエンジン回転数(RPM)に基づいて、スロットルバルブを通過する変動空気量(Mvar(E_TPSΔt、RPM))を算出する(S720)。
【0061】
RPMは時刻t+Δtでのエンジン回転数であるが、エンジン回転数は遅延時間(Δt)の間でも大きく変わらないので、現在時刻tでのエンジン回転数値を用いても差し支えない。
【0062】
変動空気量(Mvar(E_TPSΔt、RPM))は、ISA通過空気量(MISA)及び漏れ空気量(MLeak)を除いてスロットルバルブを通過する量であって、予め計算されたマップ値で抽出することができる。予め計算されたマップ値は特定のエンジンに対して実験を通じて当業者が自明に設定することができるので、さらに詳細な記載を省略する。
【0063】
このように算出されるISA通過空気量(MISA)、漏れ空気量(MLeak)及び変動空気量(Mvar(E_TPSΔt、RPM))を足すことによって基本流量(Mbase,Δt)を算出する(S725)。
【0064】
基本流量(Mbase,Δt)を算出(S725)した後には、吸気温度に基づいた補正係数(CT)を計算し(S730、S735)、スロットルバルブ前後の圧力比を基礎とした補正係数(CP)を計算して(S740〜S755)、これら補正係数(CT、CP)に基づいて基本流量(Mbase,Δt)を補正する(S760)。
【0065】
このために、まず吸気マニホールドの吸気温度(Tin)を検出し(S730)、吸気温度(Tin)に対する補正係数(CT)を(数4)の式から算出する(S735)。
【数4】
但し、ここでT0は温度の基準となる基準温度であって、好ましくは摂氏0度の絶対温度(つまり、273。K)とすることができる。
【0066】
スロットルバルブ前後の圧力比を基礎として基本流量(Mbase,Δt)を補正する理由は、図8を参照して説明する。
【0067】
図8は、特定のスロットルバルブ開度量に対し、スロットルバルブ前後の圧力比に対するスロットルバルブ通過油量比を示したものである。横軸はスロットルバルブ前後の圧力比を示し、縦軸はスロットル通過流量(数5)の最大通過流量(数6)に対する比(数7)を示す。
【数5】
【数6】
【数7】
【0068】
特定のスロットルバルブ開度量での最大通過流量(数6)は、計算された基本流量(Mbase,Δt)に対応する値である。
【0069】
図8から分かるように、特定のスロットル開度量でスロットルバルブ前後の圧力比が特定の値(臨界圧力比、0.5283)以下である場合(つまり、圧力差が大きい場合)には空気流量が一定であり、その以上では図8のように次第に減って、圧力比が1である場合(つまり、スロットルバルブ前後圧力が同一な場合)にはスロットルバルブに空気が通過しない。
【0070】
図8に関する誘導過程及び関連計算式などより具体的な事項は、Internal “Combustion Engine Fundamentals(McGrawHill, John.B.Heywood)”のAppendix
Cを参照すればよい。
【0071】
したがって計算された基本流量(Mbase,Δt)を、図8、特に臨界圧力比以上の圧力比である部分に基づいて補正することが必要である。
【0072】
したがって、スロットルバルブ前後の圧力比を基礎に基本流量(Mbase,Δt)を補正するために、まず、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド吸入空気量の臨時推定値(E_Mtemp)を算出する(S740)。
【0073】
吸気マニホールド吸入空気量の臨時推定値(E_Mtemp)の算出(S740)は、現在吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)及び以前の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani,prec)に基づいて補間法(extrapolation)によって推定することができ、したがって、段階(S740)での吸気マニホールド吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)は下記の式によって計算することができる。
【数8】
【0074】
そして、遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ前の圧力予測値(E_PTH,Δt)を吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)から演算する(S745)。
【0075】
遅延時間(Δt)後のスロットルバルブ前の圧力(PTH,Δt)はスロットルバルブを通過する空気量、つまり、マニホールドに吸入される空気量(Mmani、Δt)によって圧力が降下し、したがって、遅延時間(Δt)後のシリンダー吸入空気量(Mmani、Δt)による関数として与えられる。
この関数は当業者に自明なものであるのでさらに詳細な記載を省略し、関数値は、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルに基づいて抽出することができる。
【0076】
本発明の実施例では、遅延時間(Δt)後のシリンダー吸入空気量(Mmani、Δt)に該当する値として吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)を使用している。
【0077】
また、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力臨時推定値(E_Ptemp)を、現在吸気マニホールド圧力(Pmani)及び以前の吸気マニホールド圧力(Pmani、prec)に基づいて補間法(extrapolation)によって下記の通り算出する(S750)。
【数9】
【0078】
遅延時間(Δt)後の時点に対してスロットルバルブ前の圧力予測値(E_PTH,Δt)及び吸気マニホールド圧力臨時推定値(E_Mtemp)を算出(S745、S750)した後には、圧力比による補正係数(CP)を算出する(S755)。
【0079】
圧力比による補正係数(CP)の算出(S760)は、より具体的に、圧力比による関数として(数10)の式によって算出される。
【数10】
但し、ここでCP関数は図8のようなグラフとなるように形成された任意の関数であって、その関数値は、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルから抽出することができる。
【0080】
Cp関数は、例えば(数11)のように定義することができる。
【数11】
但し、ここでκは比熱比(specific heat ratio;定積比熱に対する定圧比熱の比)であって、空気サイクルでは約1.4、燃料−空気サイクルでは約1.26〜1.27程度の値に用いることができる。(空気サイクルの比熱比は1.4であり、燃料−空気サイクルの比熱比は理論空燃比である場合約1.26〜1.27程度となると知られている。)
【0081】
基本流量(Mbase、Δt)、吸気温度(Tin)による補正係数(CT)及び圧力比による補正係数(CP)を算出した後には、これらを全てかけることによって遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する(S760)。
【0082】
このように遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出(S530)した後には、再び図5を参照して、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani,Δt)を算出する(S540)。
【0083】
さらに詳細に説明すれば、まずECU350は、吸気マニホールド圧力検出器330から現在の吸気マニホールド圧力(Pmani)を検出する(S542)。また、吸気マニホールド圧力変化量(ΔPmani)を“(E_Mmani,Δt−Mmani)×R×Tin/Vs”の値を計算する(S544)。ここでRは気体常数を、V_sは吸気マニホールドの有効体積を意味する。吸気マニホールド圧力変化量計算式は、理想気体状態方程式を利用して吸気マニホールド内空気質量変化を圧力変化に換算したものである。そして、このように計算された圧力変化量(ΔPmani)を現在の吸気マニホールド圧力(Pmani)に足すことによって、遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)を算出する(S546)。
【0084】
遅延時間(Δt)後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)を算出(S540)した後には、遅延時間(Δt)後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する(S550)。
【0085】
より具体的に、シリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)は下記の(数12)によって算出される。
【数12】
【0086】
Prig(RPM)値は、シリンダー内部の残留気体による圧力を意味する値としてエンジン回転数に基づいて予め設定された関数によって計算され、好ましくは、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルから抽出することができる。
【0087】
K(RPM)値は、シリンダー吸入空気量(Mcyl、Δt)が吸気マニホールド圧力に比例する比例常数であってエンジン回転数に基づいて予め設定された関数によって計算され、好ましくは、予め計算されてECU350内に保存された参照テーブルから抽出することができる。
【0088】
(数12)による吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)とシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)の関係は、図9に示したような比例関係である。
【0089】
Prig(RPM)及びK(RPM)関数はエンジンの諸元によって変わることがあり、このような関数値は何回かの実験を通じて当業者が自明に得ることができるのでさらに具体的な値に対する記載を省略する。
【0090】
以上のように本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法を説明したが、以下ではこれを利用した本発明の実施例の燃料制御方法について詳細に説明する。
【0091】
図10は、本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法を利用した燃料制御方法を示したフローチャートである。
【0092】
図10に示すように本発明の実施例の燃料制御方法は、シリンダー吸入空気量予測値算出条件を満たすか判断し(S1050)、満たす場合にはシリンダー吸入空気量予測値を算出して(S1060)、算出されたシリンダー吸入空気量予測値を燃料量計算に利用するか否か判断し(S1070)、利用すると判断された場合には、算出されたシリンダー吸入空気量予測値に基づいて燃料量を計算した(S1080)後、計算された燃料量に基づいてインジェクター360を制御する(S1090)。
【0093】
シリンダー吸入空気量予測値算出条件は、(1)エンジンが始動した後設定時間経過すること(S1010)、(2)スロットルバルブ開度量検出器、エンジン回転数検出器、吸気マニホールド圧力検出器及び吸気温度検出器の検出信号に異常がないこと(S1015)、(3)スロットルバルブ開度量変化率が第1設定変化率以上であること(S1020)、(4)吸気マニホールド圧力変化率が第2設定変化率以上であること(S1025)を含む。
【0094】
シリンダー吸入空気量予測値算出条件が満たされた場合には、図4を参照して、前述した本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法にしたがってシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する(S1060)。
【0095】
シリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出した(S1060)後には、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を燃料量計算に利用するか否か判断する(S1070)。
【0096】
判断(S1070)は、シリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)と現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)との差が設定値以上である場合に、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を使用することとすることができる。設定値は、特定のエンジンでの適用妥当性を検討して当業者が好ましいと判断される任意の値に設定することができる。
【0097】
算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を燃料量計算に利用すると判断(S1070)された場合には、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)に基づいて燃料量を計算し(S1080)、算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を燃料量計算に利用しないと判断(S1070)された場合には、従来の技術による方法で燃料量を計算する(S1085)。
【0098】
燃料量計算段階(S1080)は吸入空気量に基づいてこれに適切な燃料量を計算することであり、その具体的 な計算方式は当業者にとって自明なことであるので詳細な記載を省略する。
【0099】
燃料量を計算(S1080)した後には、計算された燃料量に基づいてインジェクター360を駆動する(S1090)する。
【0100】
以上でシリンダー吸入空気量算出方法及びシステム並びにこれを利用した燃料制御方法及びシステムに関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されるわけではなく、本発明の実施例から当該発明が属する技術分野にて通常の知識を有する者によって容易に変更され、均等であると認められる範囲の全ての変更を含む。
【0101】
【発明の効果】
本発明の実施例によれば、シリンダー内に吸入される時点での空気の実際の吸入量を推算してこれに適した燃料を噴射することができるので、スロットルバルブの急操作などエンジンの運転状態が急激に変化する状況でも適切な燃料量を算出することができ、したがって、エンジンの空燃比を常に理想的な状態に維持することができる。
【0102】
また、エンジンを開発する際それぞれの状況に応じたマップテーブルを作成するための先行実験の量を減らすことにより、エンジンの開発に投入される時間と費用を減らすことができる。
【0103】
また本発明の実施例によれば、実測されたデータに基づいて短い遅延時間後の吸入空気量を予測することができるので、エンジンの老化などエンジン状態が変化する場合でもこれに適切な燃料量を算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】運転者がスロットルバルブを急激に操作した場合、例えばスロットルバルブを急激に開放した場合のMAPセンサー出力値(吸気マニホールド内の圧力)の変化を示すグラフである。
【図2】燃料噴射時期と混合ガス形成時期の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例による吸入空気量算出システム及びこれを利用したエンジン燃料制御システムの構成図である。
【図4】本発明の実施例による吸入空気量算出方法を説明するために必要な変数を定義するためのグラフである。
【図5】本発明の実施例による吸入空気量算出方法を示したフローチャートである。
【図6】本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法において、燃料噴射時点から遅延時間(Δt)後までのスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出する過程(S520)に関する詳細フローチャートである。
【図7】本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法において、吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)算出過程(S530)に関する詳細フローチャートである。
【図8】スロットルバルブ前後の圧力比に基づいて基本流量(Mbase、Δt)を補正する理由を説明するための図である。
【図9】本発明の実施例で吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)とシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)との関係を示したグラフである。
【図10】本発明の実施例のシリンダー吸入空気量算出方法を利用した燃料制御方法を示したフローチャートである。
【符号の説明】
300 燃料制御システム
310 スロットル開度検出器
320 エンジン回転数検出器
330 吸気マニホールド圧力検出器
340 吸気温度検出器
360 インジェクター
Claims (14)
- スロットルバルブ開度量(TPS)を検出する段階;
エンジン回転数(RPM)を検出する段階;
現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)を検出する段階;
燃料噴射時点から設定された目標時点までの遅延時間(Δt)を算出する段階;
前記遅延時間(Δt)経過後のスロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)を算出する段階;
前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)に基づいて、前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する段階;
前記吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)に基づいて、前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)を算出する段階;及び
前記吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmani、Δt)に基づいて前記遅延時間(Δt)経過後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する段階;
を含むことを特徴とするシリンダー吸入空気量算出方法。 - 前記スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)算出段階は、
設定差数項までのニュートン差分法に基づいて算出されることを特徴とする、請求項1に記載のシリンダー吸入空気量算出方法。 - 前記吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)算出段階は、
スロットルバルブ開度量予測値(E_TPSΔt)及びエンジン回転数(RPM)に基づいてスロットルバルブを通過する基本流量(Mbase、Δt)を算出する段階;
吸気マニホールドに吸入される空気の吸気温度(Tin)を検出する段階;
前記吸気温度による補正係数(CT)を算出する段階;
遅延時間(Δt)経過後のスロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階;
前記算出された補正係数(CT、CP)に基づいて前記基本流量を補正することによって吸気マニホールド吸入空気量予測値(E_Mmani、Δt)を算出する段階;
を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリンダー吸入空気量算出方法。 - 前記スロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階は、
遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド吸入空気量臨時推定値(E_Mtemp)を線状補間法(extrapolation)によって算出する段階;前記臨時推定値(E_Mtemp)に基づいてスロットルバルブ電圧力予測値(E_PTH,Δt)を算出する段階;
遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力臨時推定値(E_Mtemp)を線状補間法によって算出する段階;
を含むことを特徴とする請求項4に記載のシリンダー吸入空気量算出方法。 - 前記スロットルバルブ前後圧力比による補正係数(Cp)を算出する段階は、
設定された臨界圧力比以上で単調減少して設定された圧力比で0に収斂する関数によって補正係数(Cp)を算出することを特徴とする請求項4に記載のシリンダー吸入空気量算出方法。 - 前記遅延時間(Δt)経過後の吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain,Δt)を算出する段階は、
現在の吸気マニホールド圧力(Pmani)を検出する段階;
(E_Mmani,Δt−Mmani)×R×Tin/Vsの値で吸気マニホールド圧力変化量(ΔPmani)を演算する段階;
前記検出された現在吸気マニホールド圧力に前記演算された圧力変化量(ΔPmani)を足すことによって吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain,Δt)を計算する段階;
を含むことを特徴とする請求項1に記載のシリンダー吸入空気量算出方法。 - 前記吸気マニホールド圧力予測値(E_Pmain,Δt)に基づいて前記遅延時間(Δt)経過後のシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する段階は、
E_Mcyl、Δt=K(RPM)×E_Pmain,Δt+Prig(RPM)の式によってシリンダー吸入空気量予測値を算出することを特徴とする請求項1に記載のシリンダー吸入空気量算出方法。
(但し、Prig(RPM)及びK(RPM)は、エンジン回転数を変数に予め設定された関数である。) - スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器;
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器;
吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器;
吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器;
前記各検出器から受信される信号に基づいてシリンダー内にの吸入空気量を算出する電子制御ユニット;
を含み、前記電子制御ユニットは、請求項1乃至9のうちのいずれか一つの吸入空気量算出方法を遂行することを特徴とするシリンダー吸入空気量算出システム。 - シリンダー吸入空気量予測値算出条件を満たすか判断する予測値算出判断段階;
シリンダー吸入空気量予測値算出条件が満たされた場合に、請求項1乃至9のうちのいずれか一つの方法によってシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)を算出する予測値算出段階;
前記算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)に基づいて燃料量を計算する燃料量計算段階;及び
前記計算された燃料量に基づいてインジェクターを駆動するインジェクター駆動段階;
を含むことを特徴とするエンジン燃料制御方法。 - 前記シリンダー吸入空気量予測値算出条件は、
(1)エンジンが始動した後設定時間経過すること、(2)スロットルバルブ開度量検出器、エンジン回転数検出器、吸気マニホールド圧力検出器及び吸気温度検出器の検出信号に異常がないこと、(3)スロットルバルブ開度量変化率が第1設定変化率以上であること、(4)吸気マニホールド圧力変化率が第2設定変化率以上であること、
を特徴とする請求項11に記載のエンジン燃料制御方法。 - 前記算出されたシリンダー吸入空気量予測値(E_Mcyl、Δt)と現在の吸気マニホールド吸入空気量(Mmani)との差が設定値以上であるか判断する段階をさらに含み、
前記燃料量計算段階は、前記差が前記設定値以上である場合に遂行されることを特徴とする、請求項11に記載のエンジン燃料制御方法。 - スロットルバルブ開度量を検出するスロットルバルブ開度検出器;
エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出器;
吸気マニホールドの圧力を検出する吸気マニホールド圧力検出器;
吸気マニホールドに吸入される空気の温度を検出する吸気温度検出器;
燃料をエンジン内部に噴射するインジェクター;及び
前記各検出器から受信される信号に基づいて燃料量を計算し、前記インジェクターを駆動する電子制御ユニット;
を含み、前記電子制御ユニットは、請求項11の燃料制御方法を遂行することを特徴とする燃料制御システム。
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