JP2004036047A - 機能性複合繊維不織布およびそれを用いた複合組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メルトブロー法で作られた繊維表面の過半がASTM−D2240法によるショアーA硬度(A)が50以上の熱可塑性エラストマーで構成された複合繊維を、少なくとも数%の隣り合う繊維同士を噴出中に部分的に接触させて、部分的、局所的に偏在させ凝集し絡み合い融着接着させた塊を積極的に発生させることで、伸縮性不織布用途には、部分的な強接着部分を生じせしめ、滑り止め性不織布用途には、複合繊維を集積している集積平面を凹凸化させる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メルトブロー複合繊維不織布及びこれを用いた複合組成物に関する。一般的にステープル複合繊維を製造する溶融粘度の熱可塑性樹脂を用いて、繊維の腰など繊維物性がステープル複合繊維と同等で、かつ、より微細な複合繊維またはより太い複合繊維を製造し、ステープル複合繊維を用いて不織布化するに制限を生じるローラーカードなどを使用せず、少なくとも直接開繊した繊維ウエッブなどの繊維集合体または融着接着して一体化した不織布とする、複合繊維が作れるメルトブロー法の設備を用いて繊維化と不織布化を同時に行なった、従来はローラーカードなどの開繊手法が不可能もしくは、極めて困難であった複合繊維不織布とこれらを応用した複合組成物に関するものである。
【0002】
本発明は、特に、従来からステープル繊維を作る上で、紡糸時に紡出繊維間で融着接着することが問題であった、低融点や粘着性および表面硬度が軟質の樹脂、また、低応力で伸びるため引取に耐えなかった樹脂を用いた複合繊維を自由に直接不織布化でき、そして、曳糸性が劣つて単独では繊維化できない樹脂を用いた複合繊維の不織布を容易に作ることができ、出来たこれらの複合繊維不織布とこれらを応用した複合不織布、複合組成物に関するものである。
【0003】
これらは、伸縮性に富み、伸縮性が必要な救急ばんそうこう等の衛生材、あるものは、滑り止め効果を有するので、日用雑貨や家具などのノンスリップ材として、そして、ノンスリップ性の要求のあるものに直接接着してノンスリップ化を達成するノンスリップ機能材に関するものである。
【0004】
【従来の技術】
従来、メルトブロー法の繊維は、その一本の繊維は一つの種類の熱可塑性樹脂でなり、繊維径が一般的に5μm以下の繊維を求めるため、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分)が300以上である樹脂を一般的に使用している。
【0005】
近年、複数の熱可塑性樹脂を用いたメルトブロー手法の繊維集合物の特許が公開されており、その1つは、幅方向に整然と並んだノズルより、2つの樹脂が交互に吐出され、2種類の繊維が混綿された不織布であり、もう1つは、詳細の例示はないが、鞘芯型複合繊維や背腹型複合繊維などの複合繊維の記載があり、その内、背腹型複合繊維には特公平6−53987号や特許第3134959号公報で詳細例示があるが、実用的な鞘芯型複合繊維もしくは繊維表面の大半が1つの成分によって覆われている複合繊維をメルトブロー法で作った不織布などの繊維集合物の開示はなかった。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
現状のメルトブロー不織布は、その構成繊維が単一成分でなるため、ほとんどの該不織布が自己融着接着していないもので、リントフリー性に問題があり、かつ、嵩が低くてペーパーライクで薄くてペラペラな不織布でしかなかった。前記した様に、メルトブロー手法によって作った繊維で構成した本発明の不織布およびその応用品は、複合繊維であるため、融着接着や溶融接着が可能であり、繊維集積時または熱加工で少なくとも該複合繊維の繊維表面の過半を占めている熱可塑性樹脂成分で接着、一体化し、リントフリー性はもとより、不織布全体で接着しているため、不織布強力もかなり向上したものになっている。
【0007】
市販のメルトブロー不織布を調査したが、本出願人による特開2001−98453号エレクトレット不織布と同様に、メルトブローの噴出気流に添って各構成繊維がかなり整然と揃って集積されていることが判った。すなわち、不織布を構成する繊維を細くすればするほど、繊維の配列方向が揃った不織布となるのは自明で、この方法では縦横方向に自在に伸縮させることが困難であり、ある程度の繊維方向のランダム性が必要となる。ノンスリップ不織布も同様である。
【0008】
本発明者は、複合ステープル繊維へ熱可塑性ゴム、熱可塑性軟質樹脂や熱可塑性エラストマーを組み込む開発を行なっており、いずれも、不織布化するための繊維開繊工程で多大な努力と工夫を要して発明に至っていた。特開昭59−157362号公報に見られるポリウレタン樹脂をメルトブロー手法で不織布化がこれら柔軟性や軟質樹脂の繊維化と不織布化には最適であるが、当時本発明者には開発手段がなく、複合ステープル繊維での該柔軟性や軟質樹脂の繊維化と不織布化を試みた。いずれも繊維開繊手段であるローラーカードを通すため、芯成分に比較的しっかりした熱可塑性樹脂を用い、機能を発揮するための鞘成分に当該樹脂を用いたのである。特許2587706号では、熱可塑性ゴムであるシンジオタクチックー1・2ーポリブタジェンを用い、ノンスリップ繊維と不織布には、特許2662466号、特許3159653号および特許2571155号では低融点の軟質樹脂や熱可塑性エラストマーを用い、伸縮性繊維と不織布には、エラストマー繊維はカードを通すことができないので、極めて微細な捲縮(2次捲縮)を熱加工によって生じさせ、その微細な捲縮をコイルの伸縮の様にして伸び縮みさせることで伸縮性を持たせる、特許2759331号や特許2772532号の捲縮弾性繊維と不織布で提案したのである。これらの繊維は、複合繊維に起因して、前記した特開昭59−157362号公報に見られるポリウレタン繊維の不織布より、日用雑貨ではゴムやエラストマーの欠点である粘着感やベチャ着き感が著しく低いものであった。
【0009】
本発明は、これら粘着感やベチャ着き感があるエラストマーなどを用い、これらゴムやエラストマーの特徴であるゴム弾性の伸縮性やノンスリップ性の特徴はそのままに、日用雑貨ではより好ましい、粘着感やベチャ着き感が低減または解消された不織布などを提案するものであり、前記したステープル複合繊維やその不織布より、より機能性の向上と、工程簡略による生産性や生産の容易性などの経済性のより向上をめざしたものである。
【0010】
また、前記した様に、フィルムと異なり不織布は厚みと通気性があるのが特徴であり、不織布はその厚みによるクッション性も期待されているから、前記したステープル複合繊維の不織布の様にするため、現状より少しでも嵩高とする必要る必要がある。
【0011】
さらに、伸縮性の不織布においては、伸び縮みする部分としっかり接着している部分に分ける方が、より伸度の高いゴム弾性不織布としうるので、不織布の全体的な接着と部分的な強接着が必要である。本発明は、上記したような問題点を解決し機能性を付与することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記特開2001−98453号のエレクトレット不織布では、従来のメルトブロー不織布と同様に、各単繊維を簾状に整然と噴出させ、繊維を集積させる時に融着接着させることを基本としていたが、無論整然と噴出させるのではあるが、少なくとも数%の隣り合う繊維同士を噴出中に部分的に接触させて、部分的、局所的に偏在させた凝集し絡み合い融着接着させた塊をむしろ積極的に発生させることで、伸縮性(ゴム弾性)不織布用途には、部分的な強接着部分を生じせしめ、滑り止め性(ノンスリップ)不織布用途には、複合繊維を集積している集積平面を凹凸化させ、その上からさらに複合繊維を集積することで、厚み方向に立体的な集積条件を作つて、繊維密度を下げる繊維集積を積極的に行い、結果として、不織布の嵩高化を達成し、共に繊維間間隙と繊維交差間隙を広げて通気性の向上をも達成したのである。また、局所的に偏在させた凝集し絡み合い融着接着させた塊を作る時に、繊維の配向方向のランダム化も達成したのである。
【0013】
本発明は、ステープル繊維を作る上で、紡糸時に紡出繊維間で融着接着することが問題である低融点や粘着性および表面硬度が軟質の樹脂や、粘着感やベチャ着き感があり、低応力で伸びるため引取に耐えなかったエラストマーを用いた複合繊維であって、その粘着感やベチャ着き感を大幅に改善した繊維からなるものである。すなわち、本発明は、メルトブロー法で作られた繊維表面の過半がASTM−D2240法によるショアーA硬度(A)が50以上の熱可塑性エラストマーで構成された複合繊維からなる機能性複合繊維不織布であって、伸縮性能又は滑り止め性能といった機能性に優れた不織布である。
【0014】
本発明の一つの機能は、伸縮性に富んだ機能性複合繊維メルトブロー不織布で、繊維径(d:μm)が100>d>3の実質的に連続した熱可塑性エラストマーからなる、鞘芯型、偏芯した鞘芯型、猫目型あるいは3層型複合繊維などの、繊維表面の大半が1つの成分によって覆われている複合繊維であって、ショアーA硬度(A)が70以上で、流動開始温度または融点が芯成分より低い温度の成分で繊維表面の過半が覆われており、構成する複数の各成分が、流動開始温度または融点(Tm:℃)を60<Tm<210、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は230℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200、ショアーA硬度が50以上である熱可塑性エラストマー樹脂であり、紡糸口金より熱風で吹き飛ばして繊維化するメルトブロウン手法で作って、該複合繊維が部分的に凝集し絡み合い融着接着した塊が存在する平面状の繊維集積物とされ、繊維表面の過半を覆つている成分で少なくとも融着接着および/または溶融接着されて接着一体化した伸縮性能を有する機能性複合繊維不織布であり、熱可塑性エラストマーのうち、繊維表面の過半を覆つている成分が、エチレンおよびαオレフィンから選ばれた複数種のモノマーの共重合体、特に好ましくは、オクテン−1を少なくとも20質量%含む低融点で軟質なエチレン共重合体、であるポリオレフィンエラストマーを少なくとも過半含むエラストマーからなるものが好ましい。
【0015】
もう一つの機能は滑り止め効果に優れた、いわゆるノンスリップ性能を有する機能性複合繊維メルトブロー不織布で、流動開始温度または融点(Tm:℃)を60<Tm<210、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は230℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200、ショアーA硬度が50以上である熱可塑性エラストマー樹脂で繊維表面の過半が覆われ、繊維中心部を占める樹脂が、該エラストマーより融点を少なくとも20℃高く、もしくは流動開始温度より高く、その融点(TM:℃)を90<TM<270とし、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は、TM≦200℃の時230℃、TM≧200℃の時290℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200である融熱可塑性樹脂であり、鞘芯型、偏芯した鞘芯型、あるいは猫目型複合繊維などであり、繊維径(d:μm)が100>d>3で、実質的に連続した、紡糸口金より熱風で吹き飛ばして繊維化するメルトブロー手法で作って、該複合繊維が部分的に凝集し絡み合い融着接着した塊が存在する平面状の繊維集積物とされ、繊維表面の過半を覆つている成分で少なくとも融着接着および/または溶融接着されて接着一体化し、滑り止め効果の高い機能性複合繊維不織布である。
【0016】
また、作為的に、隣り合う繊維同士を噴出中に部分的に接触させて、部分的、局所的に偏在させた凝集し絡み合い融着接着させた塊を発生させるにおいて、設備的な対応も極めて効果があった。前記特開2001−98453号のエレクトレット不織布で提案した当所のノズルは、吐出孔の間隔を3mmとしており、隣り合う繊維同士を作為的に、接触させるに無理があった。その後、当該の問題解決と生産性の向上およびよりメルトブロー繊維を細くするため、吐出孔の間隔を縮め、吐出孔数の多いノズルを考案し、現在は吐出孔間隔を1mm未満とすることで、作為的に、凝集し絡み合い融着接着させた塊を発生させることに成功した。すなわち、凝集し絡み合い融着接着させた塊が多いの不織布を作る時は、吐出量を多くし、わずかな熱風流速の低下とすると良く、凝集し絡み合い融着接着させた塊が少ない不織布を作る時は、吐出量を絞り、熱風流速を上げることで達成できる。これは樹脂のバラス効果を利用している。
【0017】
本発明では、ハイフロー(低粘度)の熱可塑性樹脂よりも、高粘度の樹脂を使用するのが都合が良く、使用する樹脂のMFRを200g/10分未満とするのが都合良い。5g/10分未満ではこの点では良い方向だが、本発明の繊維径5μm以下の繊維が作りにくいから除外したのである。使用する熱可塑性樹脂の内、繊維表面の過半を覆っている樹脂の流動開始温度または融点(Tm:℃)は、60<Tm<210の範囲が都合が良い。融点が60℃未満では融着接着しすぎて接着の制御が困難なため請求範囲から除外した。210℃以上では、融着接着しにくいため請求範囲から除外したのであり、融着接着の都合上、繊維の中心部を占める樹脂(芯成分)の流動開始温度または融点は、前記繊維表面の樹脂より少なくとも20℃高いことが好ましく、本発明のノンスリップ不織布を構成する繊維では、その融点を90〜270℃とするのが好ましい。該芯成分熱可塑性樹脂は、使用したメルトブロー設備の温度的制約を受け、実施例を得ることができなかったので、使用樹脂の融点の請求範囲を270℃未満とし、270℃以上を除外したのであって、270℃以上でも不都合はないと考える。なお、前記した繊維表面の過半を覆っている樹脂(その融点をTms:℃)と芯成分樹脂の融点の(Tmc)関係については、Tms+20≦Tmcが好ましいが、繊維間融着接着しやすい繊維表面の過半を覆っている樹脂を使用する場合は、これら両成分またはその組合せ物が、繊維の成形性を有しているなら、Tms>Tmcであって不都合がなく、後で熱風接着処理を予定している繊維のTms+20≦Tmcの用件が必要なのであるため、請求項からこの条件は除外した。ショアーA硬度は、熱可塑性エラストマーの硬度の指標であり、繊維化する上で、30以上で問題はないが、ゴムやエラストマーの粘着感やベチャ着き感を押さえるため、繊維表面を構成している樹脂にのみ該硬度の制限を行なっており、一般にショアーA硬度は50以上で良いが、伸縮性能を有したゴム弾性不織布では、不織布全体が柔らかいので、さらに厳しく70以上が好ましい。
【0018】
本発明に用いる熱可塑性エラストマーは、スチレンーブタジェンースチレン、スチレンー水添ブタジェンースチレン、スチレンーイソプレンースチレン、スチレンー水添ブタジェンに代表されるスチレン系熱可塑性エラストマー、エチレンープロピレン共重合体のプロピレン系ゴムやエチレン・オクテン共重合体などの軟質ポリオレフィンエラストマー、商品名ライトフレックスに代表されるPBT系エラストマー、ポリアミド−エーテルなどのポリアミド系エラストマー、ポリウレタン熱可塑性エラストマー、トランス−1・4ポリイソプレンやシンジオタクチックー1・2ーポリブタジェンに代表される熱可塑性ゴム、そして、エチレンーアクリル酸エステル共重合体や、メタロセン触媒によるエチレンやプロピレンの共重合体や低密度ポリエチレンなどの軟質樹脂などが好ましく、これらの混合物も都合良い。
【0019】
また、ノンスリップ不織布用の繊維の芯成分に用いる、熱可塑性エラストマー以外の樹脂は、融点が前記の範囲の、繊維成形性が良好で繊維の素材として、通常使用されている熱可塑性樹脂が都合良く、たとえば、ポリプロピレンやプロピレンの共重合体およびポリエチレンテレフタレートが価格的な経済面で特に好ましい。
【0020】
本発明では繊維が部分的に凝集し絡み合って融着接着することで、不織布に嵩高さを持たせるため、そして本発明の伸縮性に富んだ不織布にゴム弾性をさらに発揮させ併せて強力も向上させるため、また、本発明のノンスリップ不織布に、クッション性を持たせるために繊維を融着接着させ、さらに塊とさせている。
【0021】
また、不織布がフィルムと異なる点、すなわち、通気性と嵩高性を本発明の不織布に持たせるため、特に本発明のノンスリップ不織布では、嵩をつけてクッション性を付与させてノンスリップ性を助長させるため、本発明の不織布では、本不織布のみの商品では中層部に、他の繊維組成物との張り合わせではその接着面に、少なくとも繊維径が50〜10μmの太繊維を用いることで、融着接着させて塊を多く発生させて繊維密度を下げ、凹凸状の見かけ嵩を出すのが好ましく、特に前記の張り合わせの場合、熱接着成分として本発明の不織布の一部を用いる場合には、その部分の繊維径は前記した50〜10μmの範囲が最も都合が良く、その部分の目付けは5〜15g/m2が都合が良い。この範囲の繊維径では、目付けが5g/m2未満では、基布との接着性が弱く、15g/m2を超えると相手の繊維組成物の繊維素材にもよるが、特にポリプロピレン繊維では、溶融またはフィルム化する問題が発生しやすい。また、該太繊維の繊維径も50μmを超えると相手の素材にもよるが相手繊維の部分溶融を生じやすく、10μm未満であると相手表面への繊維集積効果が大きくて、相手への浸入または食い込みが少なくて物理的交絡効果が減じられて接着強力が低下しあまり好ましくない。なお、前記した50μmを超える太繊維ても相手を選べば十分適応でき、概ね200μmφ程度でも都合の良い場合があるので請求項には制限を加えなかった。さらに太い繊維でも可能と考える。
【0022】
本発明は、概ね繊維径が200〜1μmφ、より好ましくは100〜3μmφの、少なくとも熱可塑性エラストマーが繊維表面の過半を覆つている複合繊維がメルトブロー手法で、実質的に連続した状態で吹き飛ばされて集積された不織布であり、ノズルからの吐出以降で繊維間が融着接着して繊維配向方向のランダム性と凹凸状の嵩高化を達成しており、中層の繊維径の規定はするが、繊維径は、特にノンスリップ不織布では、用途により著しく異なるので、その他の部分の繊維径は制限を設けないが、伸縮性の不織布については繊維径と設備の関係が深いので制限したのである。
【0023】
なお本来、太繊維ほど凹凸状の嵩高化に良いのであって、必要に応じて、繊維径は決定すべきである。本発明でいう繊維径は、数平均の繊維径をいい、本発明の不織布は、熱接着性複合繊維を使用している、そして、恣意的に部分的に融着接着させているため、繊維径のばらつきや分布が広く、顕微鏡観察によって繊維径を割り出したため、数平均で記載した。融着接着した塊や繊維束は1本として計測した。
【0024】
本発明のノンスリップ不織布を接着する繊維組成物は、直接メルトブロー工程で熱接着させる場合は、熱風の抜けを考えると目の粗いものが都合がよく、本発明のメルトブロー不織布がポリオレフィン系樹脂でなる場合は、その接着性を考慮し、ポリオレフィン樹脂でなる組成物が好ましく、ポリエステルエラストマーを表面とする場合は、ポリエステル系の組成物が好ましいのは言うまでもない。
【0025】
該繊維組成物についてはそれを構成している繊維の種類、すなわち、繊維の融点を考慮して本発明に用いる樹脂を選べば良く、融点のないもしくは分解温度が高いアクリル繊維や羊毛、ビニロン繊維も極めて使用するに都合良い。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の繊維に用いる熱可塑性樹脂が、従来の様なメルトブロー法で用いられるハイフローの専用樹脂でなく、ステープル繊維と同じ溶融粘度の樹脂である特徴を持った複合繊維のメルトブロー不織布に関し、本発明の不織布の繊維が、繊維表面の大半をエラストマーなどの軟質樹脂成分によって覆われている複合繊維であり、該繊維が部分的に凝集し絡み合って融着接着することで機能的特徴を発現している複合不織布である。
【0027】
本発明の実施の形態について実施例の図示に基づいて以下に説明する。図1は繊維が部分的に凝集し絡み合って融着接着した状態が散見される伸縮性能に優れた本発明の複合繊維不織布の平面拡大写真の例であり、図2は繊維が部分的に凝集し絡み合って融着接着した塊により、不織布表面が凹凸状態にあり、見かけの厚みが増えている滑り止め性能に優れた本発明の複合繊維の平面拡大写真の例である。
【0028】
本発明に使用される複合繊維の繊維断面は、図3のA〜Cにに例示される通りで、Aの繊維が猫目と称している繊維断面の1例である。
【0029】
本発明の1つ形態は、繊維径(d:μm)が100>d>3の実質的に連続した熱可塑性エラストマーからなる、鞘芯型、偏芯した鞘芯型、猫目型あるいは3層型複合繊維などの、繊維表面の過半が1つの成分によって覆われている部分(鞘部2)とそれ以外の中心部分(芯部1)とから構成される複合繊維であって、ショアーA硬度(A)が70以上で、流動開始温度または融点が芯成分より低い温度の成分で繊維表面の過半が覆われており、構成する複数の各成分が、流動開始温度または融点(Tm:℃)を60<Tm<210、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は230℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200、ショアーA硬度が50以上である熱可塑性エラストマー樹脂であり、紡糸口金より熱風で吹き飛ばして繊維化するメルトブロー法で作って、該複合繊維が部分的に凝集し絡み合い融着接着した塊が存在する平面状の繊維集積物とされ、繊維表面の過半を覆つている成分で少なくとも融着接着および/または溶融接着されて接着一体化した、伸縮性に富んだ機能性複合繊維不織布である。
【0030】
さらに、繊維表面の過半を覆っている成分である熱可塑性エラストマーが、オクテン−1を少なくとも20質量%含むエチレン共重合体であり、繊維の中心部を占める熱可塑性エラストマーが、スチレンーブタジェンースチレン、スチレンー水添ブタジェンースチレンおよびスチレンー水添ブタジェンに代表されるスチレン系熱可塑性エラストマーである、伸縮性に富んだ複合繊維不織布であることが好ましい。
【0031】
なお、前記両成分は必ずしも100%の樹脂である必要はなく、少なくとも過半含めば良い。希釈熱可塑性樹脂は軟質のエチレンープロピレン共重合体やエチレンープロピレンーブテン−1共重合体などの軟質樹脂が都合良い。
【0032】
また、前記したスチレン系熱可塑性エラストマーだけでなく、ハードセグメントをポリエステル、ソフトセグメントをポリエーテルとする共重合ポリエステルエラストマーなども都合良いのは言うまでもない。
【0033】
また、不織布強力をさらに向上させるため、メルトブロー不織布製造設備の吸引ネットの網目がその一面に付形され、その網目の凸部が少なくとも圧迫されて強く接着されている伸縮性に富んだ複合繊維不織布であってもよい。なお、この代わりにポイントボンド熱接着などで部分的に強接着されていても当然都合が良いが、生産性を考慮すると前者の方がもっと都合が良いのである。
【0034】
さらに、実用上、粘着剤加工や不織布の部分張り合わせ加工などの複合化の後加工をする場合が多く、これらの用途には、離型機能が期待されている不織布の上に本発明の伸縮性に富んだ不織布を配し、少なくとも他素材との複合化加工時に、伸び縮みなく加工できる様に積層不織布とすることが好ましい。
【0035】
本発明のもう1つの形態は、流動開始温度または融点(Tm:℃)を60<Tm<210、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は230℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200、ショアーA硬度が50以上である熱可塑性エラストマー樹脂で繊維表面の大半が覆われ、繊維中心部を占める樹脂が、該エラストマーより融点を少なくとも20℃高く、もしくは流動開始温度より高く、その融点(TM:℃)を90<TM<270とし、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は、TM≦200℃の時230℃、TM≧200℃の時290℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200である融熱可塑性樹脂であり、鞘芯型、偏芯した鞘芯型、あるいは猫目型複合繊維などであり、繊維径(d:μm)が100>d>3で、実質的に連続した、紡糸口金より熱風で吹き飛ばして繊維化するメルトブロー法で作って、該複合繊維が部分的に凝集し絡み合い融着接着した塊が存在する平面状の繊維集積物とされ、繊維表面の過半を覆つている成分で少なくとも融着接着および/または溶融接着されて接着一体化し滑り止め効果の高い複合繊維不織布である。
【0036】
なお、前記した不織布を他の繊維組成物に直接熱接着することも容易であり、この場合は、当該繊維組成物に本発明中で比較的太い繊維をまず接着を目的として噴出して積層させ、その後、所望の繊維径の本発明の繊維を積層させるのが極めて都合良い。
【0037】
本発明のメルトブロー法で作られた不織布を構成する複合繊維は、鞘芯型、偏芯した鞘芯型、図3−Aに例示する様な芯成分が楕円または猫目型などの芯が異型の芯異型型、多芯型、および図3−Cに例示する様な3層型や1成分が少なくとも複数に区分され他の成分で区分けされた繊維断面が蜜柑型や風車型などの分割繊維型である繊維であり、繊維形状は円や楕円などの円型を基本とするが、角の取れた異型である場合も有り得る。また本発明の繊維の特徴は多数の繊維が、その繊維表面の過半を占めている成分によって部分的に融着接着して、束状の状態で偏在して、ある場合は塊となって存在している不織布であり、この融着接着している部分は、少なくとも他の部分を構成している繊維より繊維径が太く結果としてなっており、より融着接着現象を増幅している場合も多い。
【0038】
本発明のもう1つの特徴は、前記した様に、用いる熱可塑性樹脂の溶融粘度がステープル繊維を製造している樹脂の粘度に一致している点にある。これは、本発明が、ローラーカードなどの不織布化工程での各種制限を回避して、より細い繊維、より太い繊維、滑りが悪くてカードに掛からない繊維や融着し易い繊維を不織布化することを主要な目的としていることにある。特にステープル繊維やマルチフィラメントなどでは繊維の融着が致命的であるが、この欠点を長所に用いて、特に繊維製造で融着接着し易い樹脂を鞘成分とする複合繊維を直接不織布化することをも主要な目的としている。したがって、従来のメルトブロー不織布の様に、低粘度の樹脂を用いてひたすら細繊度化を狙うのではなく、ステープル繊維の腰や繊維断面構造である特徴を持った繊維からなる不織布を作ることにあるため、本発明に用いる樹脂は、従来のステープルと同様の溶融粘度となっているのであり、使用する樹脂の融点だけは、現状の単一繊維のメルトブロー不織布製造設備の部品転用であるためと、経済的な理由で、使用する熱風の温度を無闇に上げることは好ましくなく、270℃という限定を設けたのであるが、理論的には350℃でも可能である。
【0039】
本発明に用いる樹脂の溶融流動性は、メルトフローレートで表現すると、5〜200g/10分の範囲にあり、その測定温度は、230℃で十分溶けているか否かで区分けしたのであり、実際の溶融紡糸時の溶融温度での溶融流動性とは一致していない場合もある。樹脂によって、溶融紡糸に好ましい溶融流動性は異なり、ポリエチレンテレフタレートやポリメチルペンテンの最も好ましい溶融流動状態は、100g/10分前後であり、ポリプロピレンは、これより低い。以上の理由で、本発明に用いる熱可塑性樹脂は、従来のステープル繊維に用いられている樹脂を工夫すれば概ね都合良く用いることができるので、詳細は個々には言及しない。また前記したエラストマーなどの軟質樹脂以外の、特に、請求項9以降の項で記載するノンスリップ不織布の芯成分に都合の良い樹脂の一例を示すと、融点が90〜270℃の、ポリオレフィン樹脂、低融点エステル共重合体や脂肪属ポリエステルを含むポリエステル樹脂、ポリアミドやポリイミドなどのポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂が便利に使用でき、これらの混合物、ポリマーアロイやグラフト重合や低温プラズマ処理などによる改質樹脂が例示できる。
【0040】
本発明の複合繊維の繊維径は、融着部分と非融着部分で繊維径が変化しており、太い部分は概ね200μm未満であり、実質的に連続したとは、なんらかの個別の理由で繊維が千切れない限り、製造条件としては千切れを意図していないことを言う。
【0041】
なお、本発明での複合メルトブロー繊維は、特に凝集し融着接着した塊を散在させる方が凹凸方式による嵩高化には有利であり、太繊維を使用する場合は、複数回に分けて繊維集積するのも好ましく、細繊維層にあっても、目付けむらを回避するため、前記と同様に複数回に分けて繊維集積するのも好ましい。
【0042】
また、これらの繊維集積において、メルトブロー法では繊維が一定方向へ揃い易いので、各層毎にできるだけ交差する様に積層するのが好ましく、本発明では、設備にこの点が配慮してある。
【0043】
上記した様に個々の層の必要目付けを考慮した上で、本発明の不織布の目付けは用途によるが、30〜400g/m2が好ましく、400g/m2を超えると熱風の貫通状況が悪くて、30g/m2未満では、目付けむら解消が確保できないので都合が良くない。
【0044】
本発明の請求項10以降に記載している繊維組成物は、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンレース不織布、熱接着不織布、ニードルパンチ不織布、樹脂含浸接着不織布などの不織布が都合良く、これらとの複合されたものを複合組成物という。
【0045】
また、本発明の複合繊維不織布を難燃化するには、例えば樹脂に、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の難燃効果剤フレムスタブCGL−116を少なくとも0.5重量%添加して不織布とすればよい。このような難燃化処理を行うことにより、難燃評価法JIS.L1091、A−1法で難燃3級を得ることができる様になる。前記した難燃効果剤CGL−116は、通常の耐候安定剤であるハルス系安定剤の誘導体であり、該ハルス系安定剤や他の安定剤との併用でも、環境ホルモンや有害物質を含まないので大変環境に優しい。また本発明の複合繊維不織布の少なくとも片面に、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社の難燃効果剤フレムスタブCGL−116を少なくとも0.5重量%添加されたスパンボンド不織布を張り合わせ一体化し、本発明の難燃化した複合組成物としてもよい。
【0046】
次に本発明の効果を実施例と比較例で具体的に説明する。なお、本発明の実施の1形態である鞘成分をオクテン−1を少なくとも20質量%含むエチレン共重合体であるポリオレフィン系エラストマーとし、芯成分をスチレンー水添ブタジェンースチレンであるスチレン系熱可塑性エラストマーとする複合繊維の伸縮性に富んだメルトブロー不織布と、エチレンーアクリル酸メチルエステル共重合体およびPBTエラストマーをそれぞれ鞘成分とし、芯成分をポリプロピレンとするノンスリップ不織布で主に説明するが、他の形態の複合繊維不織布および複合不織布も実施例を参考にすれば、同様に容易に作ることができることは、言うまでもない。
【0047】
【実施例】
本発明のメルトブロー法によって繊維化された複合繊維は、2台の押出機より個々の熱可塑性樹脂を押出し、ギャーポンプによって定量供給して、複合繊維を形成できる70cm弱の幅の850ホールの複合ノズルを用いて、オリフィスの列から高速加熱気流中に吐出すると同時に、該気流で細長化して基本的に連続している繊維とし、吸引設備が具備されたネットコンベアー上に集積して本発明の複合繊維不織布を得た。
【0048】
また該コンベアー上に140℃で予め熱処理させたポリプロピレンスパンボンド不織布を位置させ、該不織布上に、平均繊度が6〜10dTex(23〜38μmφ)の太複合繊維を15g/m2の目付けで集積し、集積角度を振りながら所望の目付けの太繊維または細繊維を積層しても、本発明の複合繊維不織布を試作した。なお、各層は少なくとも30゜の角度で交差させて集積したものである。
【0049】
本発明に用いた樹脂は、以下の通りで、PPはポリプロピレン、EOはオクテン−1を20質量%含むダウ社のEG8200エチレンーオクテン−1共重合体、SEはスチレンー水添ブタジェンースチレンのクレイトンポリマー社のG1657スチレン系エラストマー、PBはセラニーズ社のPBTエラストマー・ライトフレックス640、PTはポリエチレンテレフタレート(常法の限界粘度IV値が0.64の樹脂を使用)、EPはプロピレン過多のエチレン・プロピレン共重合体およびDYはJSR社のダイナロン1320Pを使用した。ただしEPとDYは45/55の比で混合したものを使用した。また鞘と芯成分の複合比は1:1で、溶融流動性のMFRは、測定温度がPTは290℃で他は230℃での値で、単位はg/10分である。表1で商品名を記載していない樹脂を中心に記載する。エラストマーにおいては融点を流動開始温度と読み替える。
【0050】
【表1】
【0051】
(実施例1〜7、比較例1〜2) 本発明の伸縮性複合繊維メルトブロー不織布は、表1の樹脂を用い、前記の工程で表2の条件で不織布化した。なお紡糸温度とはノズル温度のことであり、同温度の高圧熱風を用いて噴出させ、これを噴出熱風量の5倍以上の吸引量で吸引して、コンベアー上に集積し、実施例と比較例の複合繊維不織布を得た。実施例1および2で得られた複合繊維不織布の引張試験結果(S−S曲線)を図4〜7に示す。
(尚、このS−S曲線はオリエンテック社製のテンシロンUCT−1Tを使用し、ロードセル定格:10kgf、試験速度:300mm/min、チャック間距離:10cmの条件による。)
【0052】
また、実施例1の伸張繰り返し試験の結果を表2に例示する。表中の繊度は、数平均の繊維径μmで、融着繊維は除外しており、各繊維層は少なくとも2回の集積回数のもので、その総目付けg/m2で表示し、厚みは通常の不織布厚み計で常法通り測定し、単位は百μmである。但し、PBはハードポリマーのためD硬度で表示した。D硬度はA硬度同様にASTM−D2240法による。
【0053】
【表2】
【0054】
比較例1は、実施例1のEOエラストマーの代わりに、ショアーA硬度が39のDY樹脂を用いたもので、繊維間の融着が酷く不織布とは言えず、フィルム状のものになった。また、比較例2は、後記する実施例8であるが、伸縮性はなかった。
【0055】
実施例7は実施例1の繊維を、コンベアー上に15g目付けで約7dTexのPPスパンボンド不織布を配し、その上からメルトブローして積層した不織布で、積層した不織布としては、スパンボンド不織布の抗張力でスパンボンド不織布の強伸度を示し、これらは簡単に剥離できた。
【0056】
(実施例8〜10、比較例3)本発明のノンスリップ性メルトブロー不織布は、表1の樹脂と、軟質のメチルアクリレートが21質量%で融点が90℃のエチレンーアクリル酸エステル共重合体EMを用い、実施例1と同様にして、前記の工程で表2の条件で不織布化し実施例と比較例の複合繊維不織布を得た。いずれもノンスリップ性(滑り止め性)の高い不織布で、当然のことながら伸縮性はなかった。
【0057】
(実施例11)実施例8の不織布を、ポリエチレンテレフタレートの3dTex繊維のアクリル樹脂含浸した、目付け60g/m2のケミカルボンド不織布の上に直接メルトブローして接着した複合不織布を作成した。該不織布は実施例8の不織布を床面に接する様にして置いて、ケミカルボンド不織布を蹴る様にして歩いても、床面からずれたり滑ったりはしなかった。
【0058】
【発明の効果】
本発明は、従来からステープル繊維で使用されてきた熱可塑性樹脂を用いた複合繊維をメルトブロー繊維化手法を用いて、直接不織布化した点にあり、ステープル繊維やマルチフィラメント繊維などの従来の繊維化手法では、極めて深刻な問題となっていた、融着し易い熱可塑性樹脂を積極的に利用できる点にあり、特に好ましいのは前記した融着し易い樹脂を繊維表面に用いた複合繊維であるが、この融着現象を積極的に利用して、繊維の噴出中に繊維の部分融着を起こさせ、凝集して絡み合い融着接着した、エラストマー成分が繊維表面の過半を占めさせたことを特徴とするメルトブロー複合繊維不織布である。
本発明は上記のような構成を採用することにより、伸縮性に富んだ、またはノンスリップ性に富んだ、メルトブロー機能性複合繊維不織布およびこれを複合化した複合組成物が得られ、多用途な商品展開が可能な不織布材となり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】伸縮性能に優れた本発明の機能性複合繊維不織布の平面拡大写真である。
【図2】滑り止め性能に優れた本発明の機能性複合繊維不織布の平面拡大写真である。
【図3】A:猫目型複合繊維の繊維断面図である。
B:鞘芯型複合繊維の繊維断面図である。
C:3層型複合繊維の繊維断面図である。
【図4】実施例1の伸縮性不織布の縦方向S−S曲線である。
【図5】実施例1の伸縮性不織布の横方向S−S曲線である。
【図6】実施例2の伸縮性不織布の縦方向S−S曲線である。
【図7】実施例2の伸縮性不織布の横方向S−S曲線である。
【符号の説明】
1 芯成分
2 鞘成分
3 複合繊維が部分的に凝集し絡み合い溶融接着した塊部分
Claims (12)
- メルトブロー法で作られた繊維表面の過半がASTM−D2240法によるショアーA硬度(A)が50以上のエラストマーで構成された複合繊維からなる機能性複合繊維不織布。
- 繊維径(d:μm)が100>d>3の実質的に連続した熱可塑性エラストマーからなる繊維表面の過半が1つの成分によって覆われている複合繊維であって、ショアーA硬度(A)が70以上で、流動開始温度または融点が前記繊維表面の過半を覆っている成分以外の芯成分より低い温度の成分で繊維表面の過半が覆われており、構成する複数の各成分が、流動開始温度または融点(Tm:℃)を60<Tm<210、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は230℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200、ショアーA硬度が50以上である熱可塑性エラストマー樹脂であり、紡糸口金より熱風で吹き飛ばして繊維化するメルトブロー法で作られ、該複合繊維が部分的に凝集し絡み合い融着接着した塊が存在する平面状の繊維集積物であり、繊維表面の過半を覆っている成分で少なくとも融着接着および/または溶融接着されて接着一体化した、伸縮性能を有したことを特徴とする請求項1記載の機能性複合繊維不織布。
- 熱可塑性エラストマーのうち、繊維表面の過半を覆っている成分が、エチレンまたはαオレフィンから選ばれた複数種のモノマーの共重合体であるポリオレフィンエラストマーを少なくとも過半含むエラストマーである請求項2記載の機能性複合繊維不織布。
- 繊維表面の過半を覆っている成分である熱可塑性エラストマーが、オクテン−1を少なくとも20質量%含むエチレン共重合体である請求項2または3記載の機能性複合繊維不織布。
- 熱可塑性エラストマーのうち、繊維表面の過半を覆っている成分以外の芯成分が、スチレンーブタジェンースチレン、スチレンー水添ブタジェンースチレン、スチレンー水添ブタジェンに代表されるスチレン系熱可塑性エラストマーを少なくとも過半含むエラストマーである請求項2〜4のいずれかに記載の機能性複合繊維不織布。
- 熱可塑性エラストマーのうち、繊維表面の過半を覆っている成分以外の芯成分が、ハードセグメントをポリエステル、ソフトセグメントをポリエーテルとする共重合ポリエステルエラストマーを少なくとも過半含むエラストマーである請求項2〜4のいずれかに記載の機能性複合繊維不織布。
- メルトブロー不織布製造設備の吸引ネットの網目がその一面に付形され、その網目の凸部が少なくとも圧迫されて、他より強く融着接着している請求項1〜6のいずれかに記載の機能性複合繊維不織布。
- 離型機能が期待されている不織布の上に請求項1〜7のいずれかに記載の機能性複合繊維不織布が配され、少なくとも他素材との複合化加工時、伸び縮みなく加工できることを特徴とする機能性複合繊維不織布層を有する複合組成物。
- 流動開始温度または融点(Tm:℃)を60<Tm<210、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は230℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200、ショアーA硬度が50以上である熱可塑性エラストマー樹脂で繊維表面の過半が覆われ、繊維中心部を占める樹脂が、該エラストマーより融点を少なくとも20℃高く、もしくは流動開始温度より高く、その融点(TM:℃)を90<TM<270とし、その溶融流動性メルトフローレート(MFR:g/10分;測定温度は、TM≦200℃の時230℃、TM≧200℃の時290℃、加重は2.169Kg、JIS−K−6760に準ず)が、5<MFR<200である融熱可塑性樹脂であり、鞘芯型、偏芯した鞘芯型、あるいは猫目型複合繊維から選択され得る複合繊維であり、繊維径(d:μm)が100>d>3で、実質的に連続した、紡糸口金より熱風で吹き飛ばして繊維化するメルトブロー法で作られ、該複合繊維が部分的に凝集し絡み合い融着接着した塊が存在する平面状の繊維集積物であり、繊維表面の過半を覆つている成分で少なくとも融着接着および/または溶融接着されて接着一体化し、滑り止め性能を有することを特徴とする請求項1記載の機能性複合繊維不織布。
- 請求項9記載の複合繊維不織布の少なくとも片面に、繊維組成物が張り合わせてなる、滑り止め性能を有する複合組成物。
- 請求項9記載の複合繊維不織布と繊維組成物の張り合せが、請求項9記載の複合繊維不織布を構成する繊維表面の過半を覆つている成分で少なくとも融着接着および/または溶融接着されて接着一体化している請求項10記載の滑り止め性能を有する複合組成物。
- 請求項1〜11記載の複合繊維不織布が難燃化している機能性複合繊維不織布。
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