JP2004035511A - 新規な気管支喘息治療剤 - Google Patents

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Takafusa Yuda
油田 尚総
Cesar Gabazza Esteban
エステバン セサル ガバサ
Osamu Hataji
畑地 治
Hajime Fujimoto
藤本 源
Osamu Taguchi
田口 修
Yukihiko Adachi
足立 幸彦
Masahiko Izumizaki
泉崎 雅彦
Michiko Iwase
岩瀬 みち子
Ikuo Honma
本間 生夫
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Abstract

【目的】新規な気管支喘息治療剤を提供する。
【構成】血漿由来または遺伝子組換え技術を駆使して調製される活性化プロテインCを主たる有効成分とする気管支喘息治療剤。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本願発明は血漿蛋白質の新たな用途に関する。詳細には、血漿蛋白質を本態とする気管支での炎症反応に対する医薬品に関する。さらに詳細には、活性化プロテインC(以下APCと称することがある)を本態とする新規な気管支喘息治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】
近年、気管支喘息は世界的にみて増加の傾向にあると言われており、本邦でも1960年代に小児の喘息有症率が0.5〜1.2%であったのに対し、1990年代では3.9〜8.2%と言われている。最近の統計では、成人喘息の累積有症率は、成人全体で約3.0%と報告されており、とりわけ15歳から30歳では約6.0%とも言われており、喘息患者は国内において約380万人程度と推定されている。
【0003】
気管支喘息の病態は、気道の狭窄に伴う呼吸困難にあるが、気道の狭窄は炎症に起因するとされている。その気道炎症の機序は以下のように考えられている。すなわち、アレルゲンにより肥満細胞から放出された種々のメディエーター、サイトカインやケモカインの相互作用により気道に好酸球、リンパ球、肥満細胞、好塩基球等の炎症細胞浸潤が起こる。さらに、これらの細胞からも種々のメディエーター、サイトカインやケモカインが放出され、それらの相互作用により平滑筋の収縮、粘膜及び粘膜下の浮腫、粘液分泌亢進、気道上皮の剥離、上皮下繊維の増生、平滑筋肥大等が起こり、気道の炎症がさらに増悪する悪循環を生じると考えられている。また、激しい気道上皮の剥離が慢性的に起こると上皮の修復が間に合わず、知覚神経が露出され外因性の刺激に対し容易に反応してしまうようになる。
【0004】
気道上皮は、平滑筋弛緩因子、ヒスタミン分解酵素、ニューロペプチド分解酵素等を産生しており、これらが働かなくなることからも気道はより過敏となる。すなわち、気道過敏症がより亢進するようになると考えられている。さらに、慢性の気道炎症により気道壁のリモデリングを起こす。つまり、気道粘膜下に繊維沈着、平滑筋の増生肥厚が起こり永続的な気道壁の肥厚が生じることになる。この結果、不可逆的な気流制限が起こる。気道壁が肥厚すると、気道平滑筋が収縮する際の気道抵抗の増加率がさらに上昇するため、気道の反応性がさらに亢進する。このようになってしまうと、もはや気道の炎症の有無に関わらず気道過敏症は亢進していくことになる。
【0005】
このように、喘息が気道の炎症性疾患として捉えられるようになり、治療の基本も、発作時の気管支拡張を主体とした治療から、喘息の気道炎症を抑制する治療へと転換してきている。1998年に「喘息予防・管理ガイドライン」が成人と小児の患者に対する薬物療法の基準として公表されたが、このガイドラインによれば、アドレナリン作動神経β2刺激薬と吸入ステロイド薬を主要薬剤としている。病院における発作時の初期治療において、吸入アドレナリン作動神経β2刺激薬が第一選択となるが、まれにアナフィラキシーや急性重症発作が起こることがある。また、効果に乏しい場合があり、その際はエピネフィリンの皮下注射が行われる。
一方、吸入ステロイド薬は、最も強力な抗炎症作用を有することからこれを治療薬の中心に置き、重症度に応じた段階的な薬物療法が示されている。しかしながら、吸入ステロイド薬療法には、副作用の問題がある。すなわち、高用量ステロイドの長期投与化に伴い副腎機能への影響が出始め、小児では発育遅延の懸念、高齢者では潜在化する骨粗しょう症の進行の増強、糖代謝への影響、エストロゲン値の変化、白内障のリスク増加も指摘されている。また、1600μg〜2000μg/日を超えて投与量を増加させても、用量依存的に臨床症状の改善や経口ステロイド薬の減量効果が認められる訳ではなく、治療効果に限界が存在することや、ウイルス感染などによる臨床症状悪化時には効果が認められないことも問題であり、より安全で効果の高いステロイドに代替する抗炎症剤の開発が望まれている。
【0006】
【問題を解決するための手段、発明の構成】
そこで、本願発明者らは気管支喘息治療のための薬剤を開発すべく鋭意研究した結果、驚くべきことに、従来試みられることのなかったAPCに気管支喘息の治療効果があることを見出し、この知見に基づいて本願発明を完成するに至った。
本願発明の気管支喘息治療剤はAPCを本態とする。そして、APCは生理的物質であることから、安全性の高い新規な気管支喘息治療剤として期待される。
【0007】
APCは、血中ではその前駆体のPCとして循環しているが、一旦凝固系が作動しトロンビンが形成されると活性化されセリンプロテアーゼ活性を有するAPCに変換される。APCは、細胞膜リン脂質上で、血液凝固系の活性化第V因子や第VIII因子を選択的に限定分解し失活化させ、強力な抗凝固作用を発揮する(J.Biol.Chem., vol.269, p.31869−31880, 1994; Blood, vol.59, p1067−1072, 1982)。また、APCは線溶系阻害因子の組織プラスミノーゲン・アクチベーター・インヒビター(PAI−1)と複合体を形成しこれを不活化することで線溶促進作用を示す(Proc.Natl.Acad.Sci.USA, vol.82, p.1121−1125, 1985; J.Biol.Chem., vol.258, p.15567−15570, 2001)。さらに、APCは抗炎症作用を有することが動物実験から示唆されていたが(J.Clin.Invest., vol.79, p.918−925,1987;Am.J.Physiol.,p.L197−L202, 1997)、重症敗血症を対象にした臨床試験においてもその作用が証明された。すなわち、APC投与により重症敗血症における死亡率が有意に低下すること、炎症性サイトカインのIL−6を減少させることが示された(New Engl J Med, vol344, p699−709, 2001)。
【0008】
本願発明で用いられるAPCは、ヒトその他の哺乳動物の血液から得られる血液由来のAPC及び遺伝子組換え技術を用いて製造されるヒト等の哺乳動物由来のAPCを含む。これらAPCの中でもヒト血漿由来のAPC、遺伝子組換え技術によって製造されるヒトAPCが好ましい。また、本願発明の目的とする気管支喘息治療剤としての効果が得られる限り、血液由来のAPCまたは遺伝子組換え技術によって製造されるAPCと生理学的に同等の活性を有するAPCの全アミノ酸配列の一部が欠損、置換、挿入、追加された誘導体も本願発明のAPCの概念に包含されるものである。
【0009】
本願発明に使用されるAPCを製造する方法は特に限定されるものではないが、例えばヒト血液より分離した、あるいは遺伝子組換え技術により得られたPCを活性化する方法、ヒト血液よりAPCを分離する方法、あるいは遺伝子組換え技術により直接APCを調製する方法などによって製造することができる。PCからAPCへの活性化の方法には特に制約はなく、例えばヒトやウシなどの血液より分離したトロンビンにより活性化する方法、あるいは合成ペプチドにより活性化する方法などにより実施できる。
【0010】
血液由来のAPCの製法としては、以下の方法が挙げられる。例えば、ヒト血漿から抗PC抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製されたPCを、ヒトトロンビンで活性化した後、陽イオンクロマトグラフィーを用いて精製する方法 (Blood, vol.63, p.115−121, 1984)。あるいはKisielによる、ヒト血漿からクエン酸Ba吸着・溶出、硫安分画、DEAE−セファデックスカラムクロマトグラフィー、デキストラン硫酸アガロースクロマトグラフィー及びポリアクリルアミドゲル電気泳動の工程により精製して得られたPCを活性化してAPCとする方法(J.Clin.Invest.,vol.64,p.761−769,1979)。市販のPCを含有する血液凝固製剤を出発材料にして抗PC抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーにより精製されたPCを活性化してAPCとする方法(J Clin Invest, vol.79, p918−925, 1987)、あるいは特開平7−115972号等に記載された方法などがある。
また、遺伝子組換え技術を用いてAPCを調製する方法としては、例えば特開昭61−205487号、特開平1−2338号あるいは特開平1−85084号などに記載された方法などがある。
【0011】
上述の方法で調製されたAPCの活性を最大限に維持するために、本願発明のAPCは新鮮であるか、4℃で保存する場合には保存後約5日以内のものが好ましい。あるいは本願発明のAPCは好適な安定化剤と共に凍結乾燥して保存することができるし、さらには、APC溶液を凍結し保存することも可能である。本願発明では、有効成分としてのAPCと公知の適当な賦形剤を組み合わせ、公知の方法で本願発明の気管支喘息治療剤とすることができる。
薬剤の形態には特別の制約はなく、例えば、静脈内投与用あるいは気管支への直接噴霧化を対象とする剤型等を構成することができる。このうち、好適なネブライザーとともにエアゾール化した噴霧化投与の態様は、対象疾患の特殊性を考慮すればとりわけ好ましいものである。
【0012】
今回の実施例に使用した血液由来のAPCは、マウスでの単回静脈内投与試験、反復静脈内投与試験、一般薬理試験(ビーグル犬を用いた呼吸循環系に及ぼす影響)、ウイルス不活化試験などによりその安全性が確認されている。更に汎発性血管内血液凝固症候群(DIC)を適応症とした臨床試験も実施されておりヒトでの安全性も確認されている。
【0013】
【発明の効果】
本願発明の、APCを主たる有効成分として含有する治療剤は、気道の過敏性を抑制し、さらに気道局所への好酸球浸潤を抑制する作用を有する。すなわち、気管支喘息治療剤としての有用性を強く期待させるものである。
以下、実施例に沿って本願発明を更に詳細に説明する。しかし、これら実施例は本願発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0014】
【実施例】
実施例1(気道感作に対するAPCの治療効果)
オブアルブミン(OVA)溶液(400mgのOVAを20mlの生理食塩水で溶解し調製した)をネブライザーでエアゾール化して、毎日80分間マウスに噴霧し感作した。感作成立後、マウス1匹あたり200μgのエアゾール化したAPCを20分間噴霧し、その後直ぐにエアゾール化したOVAでチャレンジした。治療効果の陽性対照として、OVAでチャレンジする前にデキサメタゾン(3mg/kgマウス)をマウス腹腔内に投与した。治療効果の評価は、種々の濃度のメタコリンを投与し気道収縮を起こさせ、気道抵抗を測定することによって気道の反応性を評価した。
結果を図1に示す。チャレンジ前にAPCを投与することで、無治療群に比較して有意に気道過敏症の亢進を抑制し、その程度は対照の薬剤として使用したデキサメタゾンの効果と同程度であった。
【0015】
実施例2(細胞浸潤に関するAPCの治療効果)
実施例1と同様のモデルにおいて、5日間OVAでチャレンジしたときの各種免疫系細胞(好酸球、リンパ球、肺胞マクロファージ)の浸潤の程度を、APC治療群、デキサメタゾン治療群及び無治療群で比較した。APCを投与することにより好酸球の浸潤を抑制し、デキサメタゾン投与により好酸球とリンパ球の浸潤を抑制した。殊に、OVAに加えさらにAPCを吸入することにより、気管支肺胞洗浄液中の好酸球数は有意に減少した(図2)。
【図面の簡単な説明】
【図1】気道感作に対するAPCの治療効果を示す図である。
【図2】細胞浸潤に関するAPCの治療効果を示す図である。

Claims (3)

  1. 活性化プロテインC(以下APCと称することがある)を本態とする新規な気管支喘息治療剤。
  2. 噴霧化投与を主態様とする薬剤形態を有する請求項1記載の気管支喘息治療剤。
  3. 静脈内投与を主態様とする薬剤形態を有する請求項1記載の気管支喘息治療剤。
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