JP2004035334A - 光ファイバーの線引装置及び線引方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】非円断面形状の光ファイバー母材を線引中に矯正して、真円度の高い光ファイバーを形成できること。
【解決手段】光ファイバ母材10を送り機構の把持部が把持し、線引炉13が加熱溶融し、線引して光ファイバを形成する光ファイバの線引装置12において、上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバ母材の周囲を均一に加熱溶融する環状ヒータ17と、この環状ヒータの直上に配置されて、光ファイバ母材の周囲における長径対応部分を加熱溶融する対向ヒータ18と、を有して構成されたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバ母材10を送り機構の把持部が把持し、線引炉13が加熱溶融し、線引して光ファイバを形成する光ファイバの線引装置12において、上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバ母材の周囲を均一に加熱溶融する環状ヒータ17と、この環状ヒータの直上に配置されて、光ファイバ母材の周囲における長径対応部分を加熱溶融する対向ヒータ18と、を有して構成されたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ母材を線引炉で加熱溶融し、線引して光ファイバを形成する光ファイバの線引装置および線引方向に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボン抵抗ヒータを用いた従来における光ファイバの線引炉の構造を図4に示す。この線引炉100は、直径φ80mmの光ファイバ母材用であり、内径φ95mm、外径φ103mmの炉心管102が炉体101の中心部に位置し、さらに炉心管102を囲むようにして環状ヒータ103が配置されている。この環状ヒータ103は、内径がφ120mm、発熱部の高さが150mmである。線引炉100は、炉心管102によって炉心とその外側に区画して分離される。
【0003】
炉心管102及び環状ヒータ103の材質として、高純度カーボンが使用される。また、石英ガラスをベースとした光ファイバ母材を約2000℃まで加熱する必要があることから、炉心管102及び環状ヒータ103の酸化消耗を防止するために、炉心内及びその外側にはHe、Ar、N2等の不活性ガスがパージされている。
【0004】
環状ヒータ103は、光ファイバ母材の先端を円周方向に均一に加熱することを目的とし、その発熱部は線引炉103の中心軸に関して同心円状に設置されている。更に、環状ヒータ103が光ファイバ母材を炉心管102の中心で溶融することによって、真円断面形状の光ファイバ母材はその真円度を保持したまま紡糸され、線引される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示した従来の線引炉100では、真円度が良好な光ファイバ母材を線引するにあたっては、何ら問題は生じない。しかしながら、光ファイバ母材の製造工程で何らかの原因によって、光ファイバ母材の外径の真円度が不十分、すなわち光ファイバ母材の断面形状が非円形化することがある。このような光ファイバ母材を線引した場合、次の問題が生ずる。
【0006】
つまり、線引後の光ファイバの断面形状の非円率は光ファイバ母材の断面形状の非円率とほぼ等しくなり、光ファイバ母材の非円断面形状を矯正することができない。また、非円率の大きい光ファイバは、その断面形状の非対称性から、偏波モード分散(PMD)が劣化してしまう。
【0007】
図5は、非円断面形状の光ファイバ母材を従来の線引炉100において1200m/minで線引した場合の、線引前の光ファイバ母材の非円率と線引後の光ファイバの非円率とを示す。光ファイバ母材はMCVD方式で製造し、カラプス工程(内面にガラス膜を堆積した管を溶融して充実一体化する光ファイバ母材の製造最終工程)後の外径は約80mmである。この光ファイバ母材は非円率が約1%であり、その同一断面で長径と短径の差が約0.8mmとなっている。非円化の原因はさまざまであるが、堆積前のガラス管肉厚の不均一、カラプス工程での加熱条件の不均一、ガラス旋盤の精度不足などがあげられる。
【0008】
図5の結果から、線引後の光ファイバの非円率は光ファイバ母材の非円率に比べてやや小さくなるが、著しく是正されるわけではなく、ほぼ光ファイバ母材の断面形状どおりに線引されていることがわかる。また、この光ファイバの偏波モード分散は0.21ps/km1/2と、正常な光ファイバの0.1ps/km1/2未満に対して大きくなっている。
【0009】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、非円断面形状の光ファイバー母材を線引中に矯正して、真円度の高い光ファイバーを形成できる光ファイバーの線引装置及び線引方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光ファイバー母材を送り機構の把持部が把持し、線引炉が加熱溶融し、線引して光ファイバーを形成する光ファイバーの線引装置において、上記線引炉は、非円断面形状の上記光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱するよう構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を均一に加熱溶融する環状ヒータと、この環状ヒータの近傍に配置されて、上記光ファイバー母材の周囲における長径対応部分を加熱溶融する部分ヒータと、を有して構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、上記線引炉は、部分ヒータが環状ヒータの直上に配置されたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、上記送り機構の把持部は、非円断面形状の光ファイバー母材の長径対応部分が部分ヒータの発熱部に対向して位置付けられるように、当該光ファイバー母材を水平面内で回転させ得るよう構成されたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、光ファイバー母材を線引炉で加熱溶融して線引する光ファイバーの線引方法において、上記線引炉が非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱することを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分をまず加熱溶融し、次にその全周囲を均一に加熱溶融して線引することを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の発明において、非円断面形状の光ファイバー母材の長径対応部分を当該光ファイバ母材の全長に亘って測定し、その測定結果に基づき上記光ファイバー母材を水平面内で回転させて、その長径対応部分を加熱溶融し、その後、当該光ファイバー母材の周囲を均一に加熱溶融することを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る光ファイバの線引装置における一実施の形態の線引炉を示す斜視図である。図2は、図1の線引炉を有する光ファイバの線引装置を示す断面図である。
【0019】
光ファイバ母材10を線引して光ファイバ11を形成する光ファイバの線引装置12は、光ファイバ母材10を加熱溶融する線引炉13と、光ファイバ母材10を把持部15が把持して線引炉13へ搬送する送り機構14と、を有して構成される。
【0020】
上記線引炉13は、特に非円断面形状の光ファイバ母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱するよう構成されたものであり、炉心管16、環状ヒータ17、及び部分ヒータとしての対向ヒータ18を有して構成される。
【0021】
炉心管16は、炉体19の中心部に位置付けられ、高純度カーボンにて構成される。この炉心管16は、例えば線引炉13が直径φ80mmの光ファイバ母材用の場合、内径φ95mm、外径φ103mmに設計される。この炉心管16によって、線引炉13は、炉心管16の内側(炉心)と外側に区画されて分離される。
【0022】
この炉心及び炉心管16の外側に、He、Ar、N2などの不活性ガスがパージされている。これは、石英ガラスをベースとした光ファイバ母材10を約2000℃まで加熱する必要があることから、炉心管16、環状ヒータ17及び対向ヒータ18の酸化消耗を防止するためである。
【0023】
上記環状ヒータ17は、発熱部が炉心管16を囲むように配置され、高純度カーボンにて構成されている。更に、この環状ヒータ17の発熱部は、線引炉13の中心軸に関して同心円状に設置されて、真円または非円断面形状の光ファイバ母材10の先端周囲を均一に加熱し溶融する。この環状ヒータ17により、光ファイバ母材10が炉心管16の中心で溶融されて、真円断面形状の光ファイバ母材10は、その真円度を保持したまま紡糸されて線引される。この環状ヒータ17は、例えば線引炉13が直径φ80mmの光ファイバ母材10用の場合、内径がφ120mm、発熱部の高さは150mmに設計される。
【0024】
上記対向ヒータ18は環状ヒータ17の近傍、本実施の形態では環状ヒータ17に対し例えば10mm直上に配置される。この対向ヒータ18の発熱部18Aは、高純度カーボン製であり、180度対向して一対設置される。更に、この対向ヒータ18の発熱部18Aは、例えば線引炉13が直径φ80mmの光ファイバ母材10用の場合、幅60mm、高さ80mmに設計される。
【0025】
非円断面形状の光ファイバ母材10は、環状ヒータ17の直上の上記対向ヒータ18によって、その長径両端対応部分が偏加熱されて溶融変形が始まり、この光ファイバ母材10の非円断面形状がほぼ真円断面形状に矯正される。その後、この光ファイバ母材16は、環状ヒータ17により光ファイバ母材10の周囲が均一に加熱溶融され、線引されて、環状ヒータ17の下端より数10mm下の位置で固化して、直径φ125μmの真円断面形状の光ファイバ11となる。
【0026】
これらの環状ヒータ17と対向ヒータ18へ供給される電力は別系統であり、それぞれ調整可能に設けられる。このうち、対向ヒータ18へ供給される電力は、光ファイバ母材10の非円率に応じて調整され、非円率の高い光ファイバ母材10の場合ほど対向ヒータ18へより多くの電力が供給される。本実施の形態では、非円率が3%以下の非円断面形状の光ファイバ母材10を、真円断面形状の光ファイバ11とすることが可能となる。
【0027】
前記送り機構14の把持部15は、光ファイバ母材10の基端部(図2の上端部)を把持すると共に、この光ファイバ母材10を水平面内(光ファイバ母材10の軸に直交する面内)で回転可能とする。光ファイバ母材10が把持部15により水平面内で回転されることによって、非円断面形状の長径対応部分が対向ヒータ18の発熱部18Aに対向して位置づけられる。
【0028】
次に、線引装置12の作用を説明する。
【0029】
送り機構14の把持部15に真円断面形状の光ファイバ母材10を把持させた場合には、把持部15により光ファイバ母材10を水平面内で回転させず、且つ対向ヒータ18へ電力を供給せず、環状ヒータ17へのみ電力を供給する。この状態で、送り機構14により光ファイバ母材10を環状ヒータ17方向へ搬送し、この環状ヒータ17により光ファイバ母材10の先端(下端)周囲を加熱溶融して線引し、真円断面形状の光ファイバ11を形成する。
【0030】
送り機構14の把持部15に非円断面形状の光ファイバ母材10を把持させた場合には、この把持部15により光ファイバ母材10を水平面内で回転させて、光ファイバ母材10の長径対応部分を対向ヒータ18の発熱部18Aの方向に位置づける。次に、環状ヒータ17及び対向ヒータ18へ電力を供給し、送り機構14により光ファイバ母材10を、これらの環状ヒータ17及び対向ヒータ18方向へ搬送する。
【0031】
これにより、光ファイバ母材10は、まず、その長径対応部分が対向ヒータ18の発熱部18Aに対向され、加熱されて溶融され、ほぼ真円断面形状に矯正される。この対向ヒータ18を通過した光ファイバ母材10は、次に環状ヒータ17にてその先端周囲が均一に加熱されて溶融され、線引されて、断面真円形状の光ファイバ11となる。
【0032】
MCVD法によって製造された非円率約1%の光ファイバ母材10を上記線引装置12により、線引速度1200m/minで線引したときの、線引前の光ファイバ母材10の非円率と、線引後の光ファイバ11の非円率を図3に示す。この図3に示すように、光ファイバ11の非円率は、光ファイバ母材10に対して著しく小さくなり、光ファイバ11の全長にわたり約0.4%未満に矯正される。これにより、この線引装置12にて製造された光ファイバ11の偏波モード分散は、0.05ps/km1/2となり、良好な特性が得られた。
【0033】
このように、上記実施の形態によれば、非円断面形状の光ファイバ母材10の周囲における長径対応部分を、対向ヒータ18によりまず偏加熱し、その後、この光ファイバ母材10の周囲を環状ヒータ17によって均一に加熱溶融し、線引することから、非円率の高い光ファイバ母材10であっても、線引装置12による線引工程においてその非円断面形状を矯正でき、真円度の高い光ファイバ11を得ることができる。
【0034】
また、上述のように真円度の高い光ファイバ11を得ることができるので、この光ファイバ11の偏波モード分散特性を良好にできる。
【0035】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
即ち、上記実施の形態では、光ファイバ母材10の長径方向が光ファイバ母材10の長手方向に沿って一定の場合を述べたが、この光ファイバ母材10の長径方向は、光ファイバ母材10の長手方向において捩れている場合がある。この場合には、光ファイバ母材10の長径方向を当該光ファイバ母材10の長手方向全長にわたって予め測定し、この測定結果に基づいて、光ファイバ母材10の長径対応部分が常に対向ヒータ18の発熱部18Aに対向して位置するように、送り機構14による光ファイバ母材10の搬送過程で、この送り機構14の把持部15により光ファイバ母材10を水平面内で回転させる。これにより、光ファイバ母材10の長径対応部分を対向ヒータ18の発熱部18Aにより確実に偏加熱した後、この光ファイバ母材10の周囲を加熱溶融できるので、上記実施の形態と同様な効果を奏する。
【0037】
【発明の効果】
請求項1乃至4に示す光ファイバの線引装置によれば、非円断面形状の光ファイバー母材を線引中に矯正して、真円度の高い光ファイバーを形成できる。
【0038】
請求項5乃至7に記載の発明に係る光ファイバの線引方向によれば、非円断面形状の光ファイバー母材を線引中に矯正して、真円度の高い光ファイバーを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る光ファイバの線引装置における一実施の形態の線引炉を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の線引炉を有する光ファイバの線引装置を示す断面図である。
【図3】図1の線引装置によって線引する前の光ファイバ母材と、線引した後の光ファイバとの非円率を測定した結果を示すグラフである。
【図4】従来の光ファイバの線引炉を示す斜視図である。
【図5】図4の線引炉によって線引する前の光ファイバ母材と、線引した後の光ファイバとの非円率を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 光ファイバ母材
11 光ファイバ
12 線引装置
13 線引炉
14 送り機構
15 把持部
16 炉心管
17 環状ヒータ
18 対向ヒータ(部分ヒータ)
18A 発熱部
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ母材を線引炉で加熱溶融し、線引して光ファイバを形成する光ファイバの線引装置および線引方向に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボン抵抗ヒータを用いた従来における光ファイバの線引炉の構造を図4に示す。この線引炉100は、直径φ80mmの光ファイバ母材用であり、内径φ95mm、外径φ103mmの炉心管102が炉体101の中心部に位置し、さらに炉心管102を囲むようにして環状ヒータ103が配置されている。この環状ヒータ103は、内径がφ120mm、発熱部の高さが150mmである。線引炉100は、炉心管102によって炉心とその外側に区画して分離される。
【0003】
炉心管102及び環状ヒータ103の材質として、高純度カーボンが使用される。また、石英ガラスをベースとした光ファイバ母材を約2000℃まで加熱する必要があることから、炉心管102及び環状ヒータ103の酸化消耗を防止するために、炉心内及びその外側にはHe、Ar、N2等の不活性ガスがパージされている。
【0004】
環状ヒータ103は、光ファイバ母材の先端を円周方向に均一に加熱することを目的とし、その発熱部は線引炉103の中心軸に関して同心円状に設置されている。更に、環状ヒータ103が光ファイバ母材を炉心管102の中心で溶融することによって、真円断面形状の光ファイバ母材はその真円度を保持したまま紡糸され、線引される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図3に示した従来の線引炉100では、真円度が良好な光ファイバ母材を線引するにあたっては、何ら問題は生じない。しかしながら、光ファイバ母材の製造工程で何らかの原因によって、光ファイバ母材の外径の真円度が不十分、すなわち光ファイバ母材の断面形状が非円形化することがある。このような光ファイバ母材を線引した場合、次の問題が生ずる。
【0006】
つまり、線引後の光ファイバの断面形状の非円率は光ファイバ母材の断面形状の非円率とほぼ等しくなり、光ファイバ母材の非円断面形状を矯正することができない。また、非円率の大きい光ファイバは、その断面形状の非対称性から、偏波モード分散(PMD)が劣化してしまう。
【0007】
図5は、非円断面形状の光ファイバ母材を従来の線引炉100において1200m/minで線引した場合の、線引前の光ファイバ母材の非円率と線引後の光ファイバの非円率とを示す。光ファイバ母材はMCVD方式で製造し、カラプス工程(内面にガラス膜を堆積した管を溶融して充実一体化する光ファイバ母材の製造最終工程)後の外径は約80mmである。この光ファイバ母材は非円率が約1%であり、その同一断面で長径と短径の差が約0.8mmとなっている。非円化の原因はさまざまであるが、堆積前のガラス管肉厚の不均一、カラプス工程での加熱条件の不均一、ガラス旋盤の精度不足などがあげられる。
【0008】
図5の結果から、線引後の光ファイバの非円率は光ファイバ母材の非円率に比べてやや小さくなるが、著しく是正されるわけではなく、ほぼ光ファイバ母材の断面形状どおりに線引されていることがわかる。また、この光ファイバの偏波モード分散は0.21ps/km1/2と、正常な光ファイバの0.1ps/km1/2未満に対して大きくなっている。
【0009】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、非円断面形状の光ファイバー母材を線引中に矯正して、真円度の高い光ファイバーを形成できる光ファイバーの線引装置及び線引方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光ファイバー母材を送り機構の把持部が把持し、線引炉が加熱溶融し、線引して光ファイバーを形成する光ファイバーの線引装置において、上記線引炉は、非円断面形状の上記光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱するよう構成されたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を均一に加熱溶融する環状ヒータと、この環状ヒータの近傍に配置されて、上記光ファイバー母材の周囲における長径対応部分を加熱溶融する部分ヒータと、を有して構成されたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、上記線引炉は、部分ヒータが環状ヒータの直上に配置されたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、上記送り機構の把持部は、非円断面形状の光ファイバー母材の長径対応部分が部分ヒータの発熱部に対向して位置付けられるように、当該光ファイバー母材を水平面内で回転させ得るよう構成されたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項5に記載の発明は、光ファイバー母材を線引炉で加熱溶融して線引する光ファイバーの線引方法において、上記線引炉が非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱することを特徴とするものである。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分をまず加熱溶融し、次にその全周囲を均一に加熱溶融して線引することを特徴とするものである。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の発明において、非円断面形状の光ファイバー母材の長径対応部分を当該光ファイバ母材の全長に亘って測定し、その測定結果に基づき上記光ファイバー母材を水平面内で回転させて、その長径対応部分を加熱溶融し、その後、当該光ファイバー母材の周囲を均一に加熱溶融することを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る光ファイバの線引装置における一実施の形態の線引炉を示す斜視図である。図2は、図1の線引炉を有する光ファイバの線引装置を示す断面図である。
【0019】
光ファイバ母材10を線引して光ファイバ11を形成する光ファイバの線引装置12は、光ファイバ母材10を加熱溶融する線引炉13と、光ファイバ母材10を把持部15が把持して線引炉13へ搬送する送り機構14と、を有して構成される。
【0020】
上記線引炉13は、特に非円断面形状の光ファイバ母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱するよう構成されたものであり、炉心管16、環状ヒータ17、及び部分ヒータとしての対向ヒータ18を有して構成される。
【0021】
炉心管16は、炉体19の中心部に位置付けられ、高純度カーボンにて構成される。この炉心管16は、例えば線引炉13が直径φ80mmの光ファイバ母材用の場合、内径φ95mm、外径φ103mmに設計される。この炉心管16によって、線引炉13は、炉心管16の内側(炉心)と外側に区画されて分離される。
【0022】
この炉心及び炉心管16の外側に、He、Ar、N2などの不活性ガスがパージされている。これは、石英ガラスをベースとした光ファイバ母材10を約2000℃まで加熱する必要があることから、炉心管16、環状ヒータ17及び対向ヒータ18の酸化消耗を防止するためである。
【0023】
上記環状ヒータ17は、発熱部が炉心管16を囲むように配置され、高純度カーボンにて構成されている。更に、この環状ヒータ17の発熱部は、線引炉13の中心軸に関して同心円状に設置されて、真円または非円断面形状の光ファイバ母材10の先端周囲を均一に加熱し溶融する。この環状ヒータ17により、光ファイバ母材10が炉心管16の中心で溶融されて、真円断面形状の光ファイバ母材10は、その真円度を保持したまま紡糸されて線引される。この環状ヒータ17は、例えば線引炉13が直径φ80mmの光ファイバ母材10用の場合、内径がφ120mm、発熱部の高さは150mmに設計される。
【0024】
上記対向ヒータ18は環状ヒータ17の近傍、本実施の形態では環状ヒータ17に対し例えば10mm直上に配置される。この対向ヒータ18の発熱部18Aは、高純度カーボン製であり、180度対向して一対設置される。更に、この対向ヒータ18の発熱部18Aは、例えば線引炉13が直径φ80mmの光ファイバ母材10用の場合、幅60mm、高さ80mmに設計される。
【0025】
非円断面形状の光ファイバ母材10は、環状ヒータ17の直上の上記対向ヒータ18によって、その長径両端対応部分が偏加熱されて溶融変形が始まり、この光ファイバ母材10の非円断面形状がほぼ真円断面形状に矯正される。その後、この光ファイバ母材16は、環状ヒータ17により光ファイバ母材10の周囲が均一に加熱溶融され、線引されて、環状ヒータ17の下端より数10mm下の位置で固化して、直径φ125μmの真円断面形状の光ファイバ11となる。
【0026】
これらの環状ヒータ17と対向ヒータ18へ供給される電力は別系統であり、それぞれ調整可能に設けられる。このうち、対向ヒータ18へ供給される電力は、光ファイバ母材10の非円率に応じて調整され、非円率の高い光ファイバ母材10の場合ほど対向ヒータ18へより多くの電力が供給される。本実施の形態では、非円率が3%以下の非円断面形状の光ファイバ母材10を、真円断面形状の光ファイバ11とすることが可能となる。
【0027】
前記送り機構14の把持部15は、光ファイバ母材10の基端部(図2の上端部)を把持すると共に、この光ファイバ母材10を水平面内(光ファイバ母材10の軸に直交する面内)で回転可能とする。光ファイバ母材10が把持部15により水平面内で回転されることによって、非円断面形状の長径対応部分が対向ヒータ18の発熱部18Aに対向して位置づけられる。
【0028】
次に、線引装置12の作用を説明する。
【0029】
送り機構14の把持部15に真円断面形状の光ファイバ母材10を把持させた場合には、把持部15により光ファイバ母材10を水平面内で回転させず、且つ対向ヒータ18へ電力を供給せず、環状ヒータ17へのみ電力を供給する。この状態で、送り機構14により光ファイバ母材10を環状ヒータ17方向へ搬送し、この環状ヒータ17により光ファイバ母材10の先端(下端)周囲を加熱溶融して線引し、真円断面形状の光ファイバ11を形成する。
【0030】
送り機構14の把持部15に非円断面形状の光ファイバ母材10を把持させた場合には、この把持部15により光ファイバ母材10を水平面内で回転させて、光ファイバ母材10の長径対応部分を対向ヒータ18の発熱部18Aの方向に位置づける。次に、環状ヒータ17及び対向ヒータ18へ電力を供給し、送り機構14により光ファイバ母材10を、これらの環状ヒータ17及び対向ヒータ18方向へ搬送する。
【0031】
これにより、光ファイバ母材10は、まず、その長径対応部分が対向ヒータ18の発熱部18Aに対向され、加熱されて溶融され、ほぼ真円断面形状に矯正される。この対向ヒータ18を通過した光ファイバ母材10は、次に環状ヒータ17にてその先端周囲が均一に加熱されて溶融され、線引されて、断面真円形状の光ファイバ11となる。
【0032】
MCVD法によって製造された非円率約1%の光ファイバ母材10を上記線引装置12により、線引速度1200m/minで線引したときの、線引前の光ファイバ母材10の非円率と、線引後の光ファイバ11の非円率を図3に示す。この図3に示すように、光ファイバ11の非円率は、光ファイバ母材10に対して著しく小さくなり、光ファイバ11の全長にわたり約0.4%未満に矯正される。これにより、この線引装置12にて製造された光ファイバ11の偏波モード分散は、0.05ps/km1/2となり、良好な特性が得られた。
【0033】
このように、上記実施の形態によれば、非円断面形状の光ファイバ母材10の周囲における長径対応部分を、対向ヒータ18によりまず偏加熱し、その後、この光ファイバ母材10の周囲を環状ヒータ17によって均一に加熱溶融し、線引することから、非円率の高い光ファイバ母材10であっても、線引装置12による線引工程においてその非円断面形状を矯正でき、真円度の高い光ファイバ11を得ることができる。
【0034】
また、上述のように真円度の高い光ファイバ11を得ることができるので、この光ファイバ11の偏波モード分散特性を良好にできる。
【0035】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
即ち、上記実施の形態では、光ファイバ母材10の長径方向が光ファイバ母材10の長手方向に沿って一定の場合を述べたが、この光ファイバ母材10の長径方向は、光ファイバ母材10の長手方向において捩れている場合がある。この場合には、光ファイバ母材10の長径方向を当該光ファイバ母材10の長手方向全長にわたって予め測定し、この測定結果に基づいて、光ファイバ母材10の長径対応部分が常に対向ヒータ18の発熱部18Aに対向して位置するように、送り機構14による光ファイバ母材10の搬送過程で、この送り機構14の把持部15により光ファイバ母材10を水平面内で回転させる。これにより、光ファイバ母材10の長径対応部分を対向ヒータ18の発熱部18Aにより確実に偏加熱した後、この光ファイバ母材10の周囲を加熱溶融できるので、上記実施の形態と同様な効果を奏する。
【0037】
【発明の効果】
請求項1乃至4に示す光ファイバの線引装置によれば、非円断面形状の光ファイバー母材を線引中に矯正して、真円度の高い光ファイバーを形成できる。
【0038】
請求項5乃至7に記載の発明に係る光ファイバの線引方向によれば、非円断面形状の光ファイバー母材を線引中に矯正して、真円度の高い光ファイバーを形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係る光ファイバの線引装置における一実施の形態の線引炉を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の線引炉を有する光ファイバの線引装置を示す断面図である。
【図3】図1の線引装置によって線引する前の光ファイバ母材と、線引した後の光ファイバとの非円率を測定した結果を示すグラフである。
【図4】従来の光ファイバの線引炉を示す斜視図である。
【図5】図4の線引炉によって線引する前の光ファイバ母材と、線引した後の光ファイバとの非円率を測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
10 光ファイバ母材
11 光ファイバ
12 線引装置
13 線引炉
14 送り機構
15 把持部
16 炉心管
17 環状ヒータ
18 対向ヒータ(部分ヒータ)
18A 発熱部
Claims (7)
- 光ファイバー母材を送り機構の把持部が把持し、線引炉が加熱溶融し、線引して光ファイバーを形成する光ファイバーの線引装置において、上記線引炉は、非円断面形状の上記光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱するよう構成されたことを特徴とする光ファイバーの線引装置。
- 上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を均一に加熱溶融する環状ヒータと、この環状ヒータの近傍に配置されて、上記光ファイバー母材の周囲における長径対応部分を加熱溶融する部分ヒータと、を有して構成されたことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーの線引装置。
- 上記線引炉は、部分ヒータが環状ヒータの直上に配置されたことを特徴とする請求項2に記載の光ファイバーの線引装置。
- 上記送り機構の把持部は、非円断面形状の光ファイバー母材の長径対応部分が部分ヒータの発熱部に対向して位置付けられるように、当該光ファイバー母材を水平面内で回転させ得るよう構成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の光ファイバーの線引装置。
- 光ファイバー母材を線引炉で加熱溶融して線引する光ファイバーの線引方法において、
上記線引炉が非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分を他の部分に比べて偏加熱することを特徴とする光ファイバーの線引方法。 - 上記線引炉は、非円断面形状の光ファイバー母材の周囲を、その長径対応部分をまず加熱溶融し、次にその全周囲を均一に加熱溶融して線引することを特徴とする請求項5に記載の光ファイバーの線引方法。
- 非円断面形状の光ファイバー母材の長径対応部分を当該光ファイバ母材の全長に亘って測定し、その測定結果に基づき上記光ファイバー母材を水平面内で回転させて、その長径対応部分を加熱溶融し、その後、当該光ファイバー母材の周囲を均一に加熱溶融することを特徴とする請求項5または6に記載の光ファイバーの線引方法。
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- 2002-07-04 JP JP2002195399A patent/JP2004035334A/ja active Pending
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