JP2004034666A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】インク吸引系流路内に残留した高粘度で照射線硬化性のインクが、外部からの光の照射や温度変化によって硬化又は著しく高粘度化してインク吸引系流路を詰まらせることを防止する。
【解決手段】加熱手段として面ヒータ91bが吸引キャップ91に付設され、面ヒータ206が吸引ポンプ94に付設され、吸引ポンプ94によってノズルからインクを吸引し吸引キャップ91が記録ヘッド51から離脱するキャップ離脱動作の後に、吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までのインク吸引系流路内のインクを排出する。その排出動作としては、吸引ポンプ94の再駆動(図3(a))や、インクの自重落下によりインクが排出されるように吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させる動作(図3(b))を行う。
【選択図】 図3
【解決手段】加熱手段として面ヒータ91bが吸引キャップ91に付設され、面ヒータ206が吸引ポンプ94に付設され、吸引ポンプ94によってノズルからインクを吸引し吸引キャップ91が記録ヘッド51から離脱するキャップ離脱動作の後に、吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までのインク吸引系流路内のインクを排出する。その排出動作としては、吸引ポンプ94の再駆動(図3(a))や、インクの自重落下によりインクが排出されるように吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させる動作(図3(b))を行う。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのノズル内の高粘度インクを吸引する吸引ポンプの制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、簡便且つ安価に画像を印刷できる画像印刷方法として、インクジェット方式を用いた画像印刷方法が数多く用いられている。インクジェット方式を用いた印刷装置(以下、「インクジェットプリンタ」と言う。)は、例えばピエゾ素子やヒータ等を用いて、記録ヘッドのノズルからインクを微小な液滴として紙等の記録媒体に向けて吐出し、該記録媒体にインクを浸透若しくは定着させながら、記録ヘッドを記録媒体上で移動させることにより、該記録媒体に画像を印刷する。
【0003】
記録媒体として樹脂フィルム等のインク吸収性のないものを使用する場合、高粘度のインクを用いることにより着弾したインクが記録媒体上で安定するように(流れたりしないように)し、さらに高粘度に加え、紫外線硬化性等の照射線硬化性のインクを用い、インク着弾直後に紫外線等の光を記録媒体上のインクに照射して硬化させ完全に定着させることが行われる。
インクジェットプリンタにおいては、インクを紙などの記録媒体に吐出(射出)する吐出口が記録ヘッドの一面(ノズル面)に備えられているが、吐出口にはインクの固着による目詰まりや吐出口に連通するインク供給路内に発生した気泡やごみ等による目詰まり等の不具合が発生する場合があるため、所定のタイミングで記録ヘッドのクリーニング(メンテナンス)作業が行われる。メンテナンス作業を行わないと、ピエゾ素子等の働きによりノズルが吐出動作しても、インク滴が吐出されない不具合(これをノズル欠と呼ぶ。)や、正しい方向にインク滴が吐出されない不具合(これを吐出曲がりと呼ぶ。)等の画像記録上の不具合が生じる。特に高粘度インクを用いる場合はメンテナンス作業の頻度を高める必要がある。メンテナンス作業により記録ヘッドを良好な状態に回復させる。
クリーニング作業としては、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で密閉するように覆い、このキャップ部材を介して吸引ポンプで吸引することにより、吐出口内に残留している気泡やノズル面に付着したごみ等をインクとともに吸引除去する作業や、ノズル面に残留したインクを弾性を有するブレードを用いて拭き取る作業や、インクを予備吐出する作業等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高粘度で照射線硬化性のインクを用いる場合、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留し、外部からの光の照射や温度変化によってインク吸引系流路内のインクが硬化又は著しく高粘度化してインク吸引系流路を詰まらせてしまうおそれがある。インク吸引系流路を詰まらせてしまうと次期のインク吸引が不可能となり、記録ヘッドを良好な状態に回復させることができない。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、高粘度インク用のインクジェットプリンタにおいて、インク吸引系流路の目詰まりを防止することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、例えば図1に示すように、
インクを吐出するノズルを有する記録ヘッド51と、
インク吸引作業時に前記ノズルの吐出口を覆うように前記記録ヘッド51に装着される吸引キャップ91と、
前記吸引キャップ91を介して前記ノズルからインクを吸引する吸引ポンプ94とを備え、
前記インクを高粘度インクとするインクジェットプリンタ1において、
加熱手段が前記吸引キャップ91及び前記吸引ポンプ94に付設され、
前記吸引ポンプ94によって前記ノズルからインクを吸引し前記吸引キャップ91が前記記録ヘッド51から離脱するキャップ離脱動作の後に、前記吸引キャップ91から前記吸引ポンプ94の排出口までの流路(「インク吸引系流路」という。)内のインクを排出する排出動作を起動することを特徴とするインクジェットプリンタである。
【0007】
したがって請求項1記載の発明によれば、加熱手段が吸引キャップ及び吸引ポンプに付設されるので、吸引キャップから吸引ポンプの排出口までの流路、すなわち、インク吸引系流路内に存するインクが加熱されて低粘度化して流れやすくなり、それと共に、キャップ離脱動作の後にインク吸引系配管内のインクを排出する排出動作を起動するので、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、長期の使用においても良好なヘッドクリーニングが確実に行われノズル欠や吐出曲がり等の不具合を生じさせることなく質の高い画像印字を持続することができる。
この排出動作はキャップ離脱動作とは別の動作であり、キャップ離脱動作の後に起動される。排出動作としては、吸引ポンプを停止し吸引キャップを離脱した後の吸引ポンプの再駆動や、インクの自重落下によりインクが排出されるようにインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる動作が該当する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記排出動作を、吸引ポンプを停止状態から再駆動する動作とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタである。
【0009】
吸引ポンプを作動させたまま、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させると、圧力が吸引に起因して負圧となっているノズルが急に大気圧に晒されて空気を引き込んでしまう。この空気の引き込みはノズル欠の原因となるため好ましくない。吸引キャップの吸着力に抵抗して吸引キャップを離脱させることが難しい。そのため、吸引ポンプを停止してから吸引キャップを記録ヘッドから離脱させ、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後に吸引ポンプを停止状態から再駆動する。
したがって請求項2記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後に吸引ポンプを停止状態から再駆動することにより、強制的にインク吸引系流路内のインクを排出することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記排出動作を、インクの自重落下によりインクがインク吸引系流路から排出されるようにインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる連通動作とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタである。
【0011】
かかる連通動作としては、インク吸引系流路のいずれかの箇所に設けられる各種の弁を開放することや、インクの自重落下を妨げる狭小部を拡大することが該当する。
また、かかる連通動作を吸引キャップの離脱後とすることにより、インク吸引系流路からノズルへのインクの逆流を防ぐ。
したがって請求項3記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後にインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる連通動作を起動することにより、インクの自重落下によりインクをインク吸引系流路から排出することができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、例えば図2に示すように、
前記吸引ポンプ94は、チューブ30の一部を弾性回復可能に潰し、そのチューブ30の潰される位置を移動させて吸引力を発揮するチューブ式ポンプであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0013】
したがって請求項4記載の発明によれば、吸引ポンプとしてチューブ式ポンプを採用するため、吸引ポンプの小型化、高性能化に有利である。
また、チューブ式ポンプとすると、前記連通動作を簡便に実現することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記インクを、30℃における粘度が10mPa・s以上である高粘度インクとすることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0015】
本発明が解決しようとする問題性は30℃における粘度が10mPa・s以上である高粘度インクにおいて顕著であるため、本発明を適用する実効性は30℃における粘度が10mPa・s以上である高粘度インクにおいて高まる。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記インクを、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクとし、
前記インクを30℃以上150℃以下に加熱した状態で前記ノズルから吐出し、前記ノズルから吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射し該インクを硬化させるUV硬化方式であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0017】
したがって請求項6記載の発明によれば、高粘度インクを使用しUV硬化するので、インク吸収性のない記録媒体上にもインクを定着させることができるとともに、30℃以上150℃以下への加熱、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの吐出を良好にして画像形成を実行することができる。
本発明におけるインクは、30℃での粘度が10〜500mPa・sの液体である。但し、40〜500mPa・sが好ましい。10mPa・s未満では滲みが劣化、また500mPa・sを超えると、画質の平滑性が失われる。また、このインクは60℃で3〜30mPa・sの液体であることが好ましく、より好ましくは、3〜20mPa・sである。3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化する。
インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属である。
【0018】
本発明のインクジェットプリンタによる記録方法では、上記インクを30〜150℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。さらに好ましくは40〜100℃である。30℃以下及び150℃以上では、射出が困難になる。照射線硬化型インクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、その場合、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てを対象とすることが好ましい。
温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0019】
請求項7記載の発明は、前記ノズルからの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0020】
したがって請求項7記載の発明によれば、ノズルからの吐出量(射出量)が1ドット当たり2pl以上20pl以下と、小液滴で高精細な画質を形成できるとともに、小液滴仕様のプリンタであっても、加熱手段、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの射出を良好にして画像形成を実行することができる。1ドットあたりの射出量は2pl(ピコリットル)〜20plとした。より好ましくは4pl〜10plである。1ドットあたり20plを超えると高精細印字が難しく、また、1ドットあたり2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0022】
まず図1を参照して、本発明一実施形態のインクジェットプリンタの全体構成について説明する。図1は本発明一実施形態のインクジェットプリンタの全体構成図である。
図1に示すように本実施形態のインクジェットプリンタ1は、画像記録系の主要部として、記録ヘッド51と、キャリッジ52と、キャリッジレール53とを備える。
記録ヘッド51には、インクタンク(図示せず)から供給路(図示せず)を介して紫外線硬化性の高粘度インクが供給される。記録ヘッド51には、インクを吐出するノズルが多数設けられており、インクタンクから供給されるインクがノズル内に充填される。インクは記録ヘッド51その他に設けられた加熱手段により30℃以上150℃以下に加熱される。各ノズルにはピエゾ素子が設けられており、ピエゾ素子が駆動されてノズルからインク滴が吐出される。使用するインクは30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクとする。
記録ヘッド51は各色に対応して複数設けられ、すべてキャリッジ52に搭載され、キャリッジレール53に沿って主走査方向Aに移動する。
【0023】
記録媒体6としては樹脂フィルムを用いる。記録媒体6は、記録媒体搬送機構(図示せず)により主走査方向Aに直交する副走査方向に搬送される。
【0024】
画像記録時には、画像信号に基づいてピエゾ素子、キャリッジ52、記録媒体搬送機構を駆動して、記録媒体6上にインク滴を着弾させインクドットを形成する。このとき、ノズルからのインク吐出量は1ドット当たり2pl以上20pl以下とする。吐出されるインクは事前に記録ヘッド51その他に設けられた加熱手段により30℃以上150℃以下に加熱されている。
次に記録媒体6上のインクドットに対し、紫外線を照射することによりインクドットを硬化させる。このように、紫外線硬化性で高粘度のインクを用いることにより、記録媒体6として樹脂フィルム等のインク吸収性のないものを用いても、インクを定着させることができる。
【0025】
図1に示すように、記録領域Cに隣接したホームポジション領域Bには保湿ユニット8が設置されている。画像記録やヘッドメンテナンスを行わない時には、キャリッジ52はホームポジション領域Bに移動し記録ヘッド51を待機させる。保湿ユニット8には記録ヘッド51と同数の保湿キャップ81が設けられている。記録ヘッド51の待機中には、保湿キャップ81は記録ヘッド51のノズル吐出口が設けられた面(以下、「ノズル面」という。)を覆って密閉保湿する。
【0026】
図1に示すように、記録領域Cを介してホームポジション領域Bの反対側のメンテナンス領域Dには、メンテナンスユニット9が設置されている。
メンテナンス領域Dではメンテナンスユニット9により、記録ヘッド51を良好なインク吐出を行える状態に回復させる。
メンテナンスユニット9は、吸引キャップ91と、吸引ポンプ94と、廃インクタンク95と、インク受け部92と、ブレード93とを備える。メンテナンスユニット9によってインク吸引作業と、ブレード93による拭き取り作業と、予備吐出作業を行う。
【0027】
まず、インク吸引作業時には、キャリッジ52が移動し記録ヘッド51を吸引キャップ91上に配置する。記録ヘッド51が吸引キャップ91上に配置されると、吸引キャップ91を上昇させて、記録ヘッド51のノズル面を覆うように装着する。吸引キャップ91が記録ヘッド51に装着されると、吸引ポンプ94を作動させてノズル内のインクを吸引する。吸引した廃インクは廃インクタンク95に貯められる。吸引終了後、吸引キャップ91を下降させて記録ヘッド51と吸引キャップ91とを乖離させる。なお、インク吸引作業時にもインクを記録ヘッド51その他に設けられた加熱手段により30℃以上150℃以下に加熱しておく。インクの低粘度化によってインクの流路抵抗を下げ、インク供給系からノズルへのインク充填を速めるためである。
【0028】
その後ブレード93による拭き取り作業を次のように行う。キャリッジ52が移動し記録ヘッド51をブレード93付近まで移動させるとともに、ブレード93をノズル面に当たる位置まで上昇させる。さらにキャリッジ52を移動させて記録ヘッド51のノズル面をブレード93により拭き取らせる。ブレード93は記録ヘッド51のノズル面に残留するインクやゴミを拭き取る。
その後予備吐出作業を次のように行う。キャリッジ52が移動し記録ヘッド51をインク受け部92上に配置する。すべてのピエゾ素子を駆動して記録ヘッド51のすべてのノズルに予備吐出動作をさせる。予備吐出動作では、実際にインクが吐出されなくても良い。予備吐出動作によりノズル内のインクを良好な状態に回復させる。
【0029】
次に図2を参照して吸引ポンプ94の一例について説明する。図2は本発明一実施形態に用いられるチューブ式ポンプの一構成例の模式図である。
本実施形態では吸引ポンプ94として図2に示すチューブ式ポンプを用いる。図2に示すように吸引ポンプ94は、チューブ30と、加圧ローラ32と、2つの加圧コロ33,34と、チューブホルダー31とを備える。
チューブ30の上端の吸入側開口部は吸引キャップ91に接続される。チューブ30の下端の排出側開口部は廃インクタンク95に挿入されている。本実施形態においてはチューブ30の下端の排出側開口が吸引ポンプ94の排出口となり、吸引キャップ91とチュ−ブ30とによりインク吸引系流路が構成される。
チューブ30の中間部はチューブホルダー31と加圧ローラ32とにより挟み込まれるようにして加圧ローラ32の外周に沿った円弧形状に曲げられた形に矯正されて保持される。
【0030】
2つの加圧コロ33,34は、加圧ローラ32の外周に付設される。2つの加圧コロ33,34は加圧ローラ32の外周面から加圧ローラ32の半径方向に突出して回転自在に取り付けられている。2つの加圧コロ33,34は互いに加圧ローラ32の中心軸回りに180度を成す位置に取り付けられる。一方、チューブホルダー31は、加圧ローラ32の中心軸回りに180度より大きな角度、例えば210度程度の角度範囲に亘ってチューブ30を矯正するように形成される。以上の角度は一例であって、2つの加圧コロ33,34により同時にチューブ30を潰す期間を設けることが吸引力を発揮するために有効である。また、加圧コロを3以上設けても良い。加圧コロを3以上設ける場合には、そのうち2つの加圧コロで加圧ローラ32の回転中常に同時にチューブを潰しているように構成することが吸引力を発揮するために有効である。
【0031】
さて、2つの加圧コロ33,34は、加圧ローラ32の回転に伴って公転運動する。2つの加圧コロ33,34は、チューブ30の円弧状に矯正されている部分を通過するときには、チューブ30を潰しながら移動する。チューブ30は加圧コロ33,34が通過した後はその弾性により元の形状に回復する。
加圧ローラ32は図示しないモータにより駆動され、その中心軸回りに回転する。すなわち、加圧ローラ32は自転運動し、回転中チューブホルダー31との距離は一定である。
吸引力を発揮させるためには、加圧ローラ32を矢印E方向に回転させる。加圧ローラ32を矢印E方向に回転させると、同じく矢印E方向に加圧コロ33,34が公転して加圧コロ33,34がチューブ30を潰す位置が移動する。加圧ローラ32の回転・停止により吸引ポンプ94を作動・停止することができ、加圧ローラ32の回転数を調節することにより吸引ポンプ94の出力を制御できる。
【0032】
次に、図3を参照して本実施形態における吸引作業の2つの動作形態について説明する。図3は、本発明一実施形態における吸引作業の2つの動作形態を示すタイムチャートである。なお、本インクジェットプリンタ1に備えられる図示しない制御部が各部を制御し以下の動作を行わせるように構成する。
<動作形態1>
1つ目の動作形態(動作形態1)は、吸引後、吸引キャップ91を記録ヘッド51から離脱させた後に吸引ポンプ94を停止状態から再駆動することにより、強制的にインク吸引系流路内のインクを排出するものである。参照図面は図3(a)である。
【0033】
図3(a)に示すようにまず、吸引キャップ91が記録ヘッド51に装着される(ステップS1)。次に、加圧ローラ32を回転させて吸引を開始する(ステップS2)。
ステップS2から一定期間経過した後、加圧ローラ32の回転を停止して吸引を終了する(ステップS3)。ステップS2の吸引ポンプ作動開始時からステップS3の吸引ポンプ作動終了時まで、ノズルからインクの吸引する。
吸引ポンプ作動終了時から一定期間経過した後、吸引キャップ91を記録ヘッド51から離脱させる(ステップS4)。
次に、加圧ローラ32を再び回転させて吸引ポンプ94を再駆動する(ステップS5)。
ステップS5から一定期間経過した後、加圧ローラ32の回転を止めて吸引ポンプ94を停止する(ステップS6)。ステップS5の吸引ポンプ94の再駆動時からステップS6の吸引ポンプ停止時まで、キャップ91及びチュ−プ30内、すなわち、インク吸引系流路内に残留するインクを強制排出する。
以上により、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、吸引作業を良好な状態で繰返し行うことができる。
【0034】
<動作形態2>
2つ目の動作形態(動作形態2)は、吸引後、吸引キャップ91を記録ヘッド51から離脱させた後にインク吸引系流路内を開放して吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させる連通動作を起動することにより、インクの自重落下によりインクをインク吸引系流路から排出するものである。参照図面は図3(b)である。
【0035】
図3(b)に示すようにステップS1からステップS4までは、動作形態1と同じである。
ステップS4の後、加圧コロ33,34によるチューブ30の潰しを解除する。これによりインク吸引系流路内を開放して吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させる。インクはその自重により落下しチュ−プ30の下端開口から排出される。なお、インクがその自重により落下しやすくするためには、チュ−プ30を図2に示されるように上端から下端まですべて下りとなるように設置することが好ましい。
【0036】
かかる動作形態2を実現可能な吸引ポンプ94の一構成例とその連通動作を図4を参照して説明する。図4は本発明一実施形態に用いられる加圧ローラの構成例の模式図である。
【0037】
図4(a)に示すように加圧ローラ32を、円筒状の支柱32cと、2つの円盤部32a,32bとにより構成する。支柱32cの両端に各円盤部32a,32bの中央が接合する。円盤部32a,32bの直径は支柱32cの直径より大きく、支柱32cの周囲に円盤部32a,32bが向き合う空間が設けられ、ここに加圧コロ33,34が配置される。
円盤部32aにはカム溝32dが設けられる。円盤部32bにも同様のカム溝(図示せず)が設けられる。加圧コロ33の軸33aがこれらのカム溝に挿入されて回転自在に保持される。
また円盤部32aには他のカム溝32eが設けられる。円盤部32bにも同様のカム溝(図示せず)が設けられる。加圧コロ34の軸34aがこれらのカム溝に挿入されて回転自在に保持される。
【0038】
図4(b)に示すように、加圧ローラ32の正転時においては、加圧コロ33,34の軸33a,34aはそれぞれカム溝32d,32eの外端に付勢される。このとき、加圧コロ33,34は円盤部32a,32bの外周より外側に突出した状態で保持される。これにより図2に示したようにチューブ30を潰すことができる。なお、正転方向は図2における矢印Eと同じである。
一方、図4(b)の状態から加圧ローラ32を逆転させると、図4(c)に示すように、加圧コロ33,34の軸33a,34aはそれぞれカム溝32d,32eの内端に移動する。このとき、加圧コロ33,34は円盤部32a,32bの外周より内側に格納される。これにより加圧コロ33,34によってチューブ30を潰すことがない。すなわち、加圧コロ33,34によるチューブ30の潰しが解除され、インク吸引系流路内を開放して吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させることができる。
【0039】
次に、図5を参照して吸引キャップへのヒータの取り付け構造につき説明する。図5は吸引キャップ及びこれに付設される部品の分解斜視図である。
図5に示すように、吸引キャップ91の下端に吸引キャップステー91aが接続する。吸引キャップステー91aの下端に面ヒータ91bが設置され、面ヒータカバー91dによって覆われて吸引キャップステー91aに接触するように保持される。電源コード91cを介して電源を供給し面ヒータ91bを発熱させる。吸引キャップステー91aはアルミでできており、面ヒータ91bから発生する熱を吸引キャップ91に伝導する。吸引キャップ91は樹脂により一体成形されたものを用いる。
吸引キャップステー91aの下端にはパイプ91eが突設されており、パイプ91eの内部空間は吸引キャップ91の内部空間と繋がっている。パイプ91eは、面ヒータ91bに穿設された孔91f及び面ヒータカバー91dに穿設された孔91gを介して面ヒータカバー91dの外に突出しチューブ30と接続する。
以上のように吸引キャップ91には、面ヒータ91bが付設されており、これを加熱手段として吸引キャップ91を暖めておき、吸引作業を行う。インクを高粘度化させずに、吸引キャップ91内でインクが流れやすくするためである。これにより吸引作業後の吸引キャップ91内でのインクの残留をより減らすことができる。
【0040】
次に、図6を参照して吸引ポンプへのヒータの取り付け構造につき説明する。図6は吸引ポンプの分解図である。
図6(b)に示すようなチューブホルダー201を用いる。図6(b)に示すようにチューブホルダー201の表面側にはチューブ30を保持するための溝202が形成されている。
図6(a)に示すように、溝202の内周面に沿うようにチューブ30が設置され、チューブ30の内側に加圧ローラ32(加圧コロ33,34を含む)が設置される。
図6(c)に示すように、チューブホルダー201の裏面側に設けられた溝204に面ヒータ206が内装される。
電源コード207を解して電源を供給し面ヒータ206を発熱させる。チューブホルダー201はアルミでできており、面ヒータ206から発生する熱をチューブ30に伝導する。
チューブホルダー201及び面ヒータ206の中央にはそれぞれ孔203,205が設けられており、軸208がこれらの孔203,205に挿入され、加圧ローラ32の中央の孔209に嵌合する。軸208はモータからの動力を加圧ローラ32へ伝導するものである。
以上のようにして吸引ポンプに面ヒータ206を付設し、これを加熱手段としてチューブ30を暖めておき、吸引作業を行う。インクを高粘度化させずに、チューブ30内でインクが流れやすくするためである。これにより吸引作業後のチューブ30内でのインクの残留をより減らすことができる。
【0041】
以上により、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、長期の使用においても良好なヘッドクリーニングが確実に行われノズル欠や吐出曲がり等の不具合を生じさせることなく質の高い画像印字を持続することができる。
【0042】
次に、本発明の実施形態として採用可能な技術事項につき項を分けて説明する。
<射出量>
1ドットあたりの射出量は2pl(ピコリットル)〜20plである。好ましくは4pl〜10plである。1ドットあたり20plを超えると高精細印字が難しく、また、1ドットあたり2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。
【0043】
<ドット径>
記録媒体上に形成されるドット径は50μm〜200μmである。好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。50μm未満では形成される画像の濃度が低くなってしまい、また、200μmよりも大きければ高精細印字が難しい。
【0044】
<水及び有機溶媒を含有しない>
用いられるインクは、実質的に水及び有機溶媒を含有しないことが望ましい。実質的に含有しないとは、水及び有機溶媒の含有量が1重量%未満であることをいう。
【0045】
<インクジェット方式>
インクジェットプリンタのインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速射出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。それは具体的には、例えば特公平4−48622号に記載されるように、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、さらに絶縁膜で覆われているインク流路とするインクジェットヘッド方式である。
【0046】
<照射線源>
紫外線、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な線源を用いることが可能であるが、硬化性、線源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する線源が好ましい。紫外線線源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、紫外線レーザー・LEDなどを用いることができる。
基本的な照射方法は、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO9954415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の実施形態として、これらの照射方法を用いることが可能である。具体的には、帯状のメタルハライドランプ管、紫外線ランプ管が好ましい。線源は、実質的にインクジェットプリンタに固定化し、稼働部をなくすことで、安価な構成とすることが可能である。
照射は、各色の画像形成毎に行われることが好ましく、つまり、いずれの露光方式でも線源は2種用意し、第2の線源によって、硬化を完了させることが好ましい形態の1つである。これは、2色目の着弾インクの濡れ性、インク間の接着性を得ることと、線源を安価に組むことに寄与する。
なお第1の線源と、第2の線源とは露光波長または露光照度を変えることが好ましい。第1の線源の照射エネルギーを第2の線源の照射エネルギーより小さく、すなわち第1の線源の照射エネルギーを照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1〜5%とする。照度を変えた照射を行うことで、硬化後の分子量分布が好ましいものとなる。つまり一度に高照度の照射を行ってしまうと、重合率は高められるものの、重合したポリマーの分子量は小さく、強度が得られない。
また、第1の線源の照射は、第2の線源の照射よりも長波長とすることで、第1の照射では、インクの表層を硬化させてインクの滲みを抑えられ、第2の照射では、照射線が届きにくい記録媒体近傍のインクを硬化させ、密着性を改善することができる。インク内部の硬化促進のためにも、第2の照射線波長は長波長であることが好ましい。
【0047】
<照射タイミング>
上記インクを用い、一定温度にインクを加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01〜0.5秒、好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒後に放射線を照射することすることができる。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、高粘度のインクを用いることで大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加及び臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、一色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
また、複数色のヘッドからなるユニットでは、各色間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材でヘッド間を構成するか、部材を配置させない構成である。このような簡単な構成とすることで、各色毎に、着弾直後、速やかに照射することが可能であり、特に二次色の滲み防止、双方向描画における、行きと帰りのドット滲み差を防止(行きと帰りの色が異なるのを防ぐ)できるため、好ましい。
【0048】
<インク加熱、ヘッド温調>
上記インクを30〜150℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。さらに好ましくは40〜100℃である。30℃以下及び150℃以上では、射出が困難になる。照射線硬化型インクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0049】
<インク吸収性のない記録媒体>
本発明の実施形態として、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)を用いることができる。インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属である。
【0050】
<粘度>
本発明の実施形態におけるインクは、30℃での粘度が10〜500mPa・sの液体である。好ましくは、40〜500mPa・sが好ましい。10mPa・s未満では滲みが劣化、また500mPa・sを超えると、画質の平滑性が失われる。また、このインクは60℃で3〜30mPa・sの液体であることが好ましく、より好ましくは、3〜20mPa・sである。3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化する。
【0051】
【発明の効果】
上述したように請求項1記載の発明によれば、加熱手段が吸引キャップ及び吸引ポンプに付設されるので、吸引キャップから吸引ポンプの排出口までの流路、すなわち、インク吸引系流路内に存するインクが低粘度化して流れやすくなり、それと共に、キャップ離脱動作の後にインク吸引系配管内のインクを排出する排出動作を起動するので、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、長期の使用においても良好なヘッドクリーニングが確実に行われノズル欠や吐出曲がり等の不具合を生じさせることなく質の高い画像印字を持続することができるという効果がある。
【0052】
上述したように請求項2記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後に吸引ポンプを停止状態から再駆動することにより、強制的にインク吸引系流路内のインクを排出することができるという効果がある。
【0053】
上述したように請求項3記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後にインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる連通動作を起動することにより、インクの自重落下によりインクをインク吸引系流路から排出することができるという効果がある。
【0054】
上述したように請求項4記載の発明によれば、吸引ポンプとしてチューブ式ポンプを採用するため、吸引ポンプの小型化、高性能化に有利であるという効果がある。また、チューブ式ポンプとすると、前記連通動作を簡便に実現することができるという効果がある。
【0055】
上述したように請求項6記載の発明によれば、高粘度インクを使用しUV硬化するので、インク吸収性のない記録媒体上にもインクを定着させることができるとともに、30℃以上150℃以下への加熱、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの吐出を良好にして画像形成を実行することができるという効果がある。
【0056】
上述したように請求項7記載の発明によれば、ノズルからの吐出量(射出量)が1ドット当たり2pl以上20pl以下と、小液滴で高精細な画質を形成できるとともに、小液滴仕様のプリンタであっても、加熱手段、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの射出を良好にして画像形成を実行することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施形態のインクジェットプリンタの全体構成図である。
【図2】本発明一実施形態に用いられるチューブ式ポンプの一構成例の模式図である。
【図3】本発明一実施形態における吸引作業の2つの動作形態を示すタイムチャートである。
【図4】本発明一実施形態に用いられる加圧ローラの構成例の模式図である。
【図5】本発明一実施形態に用いられる吸引キャップ及びこれに付設される部品の分解斜視図である。
【図6】本発明一実施形態に用いられる吸引ポンプの分解図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ 6…記録媒体 8…保湿ユニット 9…メンテナンスユニット 30…チューブ 31…チューブホルダー 32…加圧ローラ
33,34…加圧コロ 51…記録ヘッド 52…キャリッジ 53…キャリッジレール 81…保湿キャップ 91…吸引キャップ 91b…面ヒータ(加熱手段) 92…インク受け部 93…ブレード 94…吸引ポンプ 95…廃インクタンク 206…面ヒータ(加熱手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェットプリンタのノズル内の高粘度インクを吸引する吸引ポンプの制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、簡便且つ安価に画像を印刷できる画像印刷方法として、インクジェット方式を用いた画像印刷方法が数多く用いられている。インクジェット方式を用いた印刷装置(以下、「インクジェットプリンタ」と言う。)は、例えばピエゾ素子やヒータ等を用いて、記録ヘッドのノズルからインクを微小な液滴として紙等の記録媒体に向けて吐出し、該記録媒体にインクを浸透若しくは定着させながら、記録ヘッドを記録媒体上で移動させることにより、該記録媒体に画像を印刷する。
【0003】
記録媒体として樹脂フィルム等のインク吸収性のないものを使用する場合、高粘度のインクを用いることにより着弾したインクが記録媒体上で安定するように(流れたりしないように)し、さらに高粘度に加え、紫外線硬化性等の照射線硬化性のインクを用い、インク着弾直後に紫外線等の光を記録媒体上のインクに照射して硬化させ完全に定着させることが行われる。
インクジェットプリンタにおいては、インクを紙などの記録媒体に吐出(射出)する吐出口が記録ヘッドの一面(ノズル面)に備えられているが、吐出口にはインクの固着による目詰まりや吐出口に連通するインク供給路内に発生した気泡やごみ等による目詰まり等の不具合が発生する場合があるため、所定のタイミングで記録ヘッドのクリーニング(メンテナンス)作業が行われる。メンテナンス作業を行わないと、ピエゾ素子等の働きによりノズルが吐出動作しても、インク滴が吐出されない不具合(これをノズル欠と呼ぶ。)や、正しい方向にインク滴が吐出されない不具合(これを吐出曲がりと呼ぶ。)等の画像記録上の不具合が生じる。特に高粘度インクを用いる場合はメンテナンス作業の頻度を高める必要がある。メンテナンス作業により記録ヘッドを良好な状態に回復させる。
クリーニング作業としては、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材で密閉するように覆い、このキャップ部材を介して吸引ポンプで吸引することにより、吐出口内に残留している気泡やノズル面に付着したごみ等をインクとともに吸引除去する作業や、ノズル面に残留したインクを弾性を有するブレードを用いて拭き取る作業や、インクを予備吐出する作業等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高粘度で照射線硬化性のインクを用いる場合、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留し、外部からの光の照射や温度変化によってインク吸引系流路内のインクが硬化又は著しく高粘度化してインク吸引系流路を詰まらせてしまうおそれがある。インク吸引系流路を詰まらせてしまうと次期のインク吸引が不可能となり、記録ヘッドを良好な状態に回復させることができない。
【0005】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、高粘度インク用のインクジェットプリンタにおいて、インク吸引系流路の目詰まりを防止することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、例えば図1に示すように、
インクを吐出するノズルを有する記録ヘッド51と、
インク吸引作業時に前記ノズルの吐出口を覆うように前記記録ヘッド51に装着される吸引キャップ91と、
前記吸引キャップ91を介して前記ノズルからインクを吸引する吸引ポンプ94とを備え、
前記インクを高粘度インクとするインクジェットプリンタ1において、
加熱手段が前記吸引キャップ91及び前記吸引ポンプ94に付設され、
前記吸引ポンプ94によって前記ノズルからインクを吸引し前記吸引キャップ91が前記記録ヘッド51から離脱するキャップ離脱動作の後に、前記吸引キャップ91から前記吸引ポンプ94の排出口までの流路(「インク吸引系流路」という。)内のインクを排出する排出動作を起動することを特徴とするインクジェットプリンタである。
【0007】
したがって請求項1記載の発明によれば、加熱手段が吸引キャップ及び吸引ポンプに付設されるので、吸引キャップから吸引ポンプの排出口までの流路、すなわち、インク吸引系流路内に存するインクが加熱されて低粘度化して流れやすくなり、それと共に、キャップ離脱動作の後にインク吸引系配管内のインクを排出する排出動作を起動するので、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、長期の使用においても良好なヘッドクリーニングが確実に行われノズル欠や吐出曲がり等の不具合を生じさせることなく質の高い画像印字を持続することができる。
この排出動作はキャップ離脱動作とは別の動作であり、キャップ離脱動作の後に起動される。排出動作としては、吸引ポンプを停止し吸引キャップを離脱した後の吸引ポンプの再駆動や、インクの自重落下によりインクが排出されるようにインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる動作が該当する。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記排出動作を、吸引ポンプを停止状態から再駆動する動作とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタである。
【0009】
吸引ポンプを作動させたまま、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させると、圧力が吸引に起因して負圧となっているノズルが急に大気圧に晒されて空気を引き込んでしまう。この空気の引き込みはノズル欠の原因となるため好ましくない。吸引キャップの吸着力に抵抗して吸引キャップを離脱させることが難しい。そのため、吸引ポンプを停止してから吸引キャップを記録ヘッドから離脱させ、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後に吸引ポンプを停止状態から再駆動する。
したがって請求項2記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後に吸引ポンプを停止状態から再駆動することにより、強制的にインク吸引系流路内のインクを排出することができる。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記排出動作を、インクの自重落下によりインクがインク吸引系流路から排出されるようにインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる連通動作とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタである。
【0011】
かかる連通動作としては、インク吸引系流路のいずれかの箇所に設けられる各種の弁を開放することや、インクの自重落下を妨げる狭小部を拡大することが該当する。
また、かかる連通動作を吸引キャップの離脱後とすることにより、インク吸引系流路からノズルへのインクの逆流を防ぐ。
したがって請求項3記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後にインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる連通動作を起動することにより、インクの自重落下によりインクをインク吸引系流路から排出することができる。
【0012】
請求項4記載の発明は、例えば図2に示すように、
前記吸引ポンプ94は、チューブ30の一部を弾性回復可能に潰し、そのチューブ30の潰される位置を移動させて吸引力を発揮するチューブ式ポンプであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0013】
したがって請求項4記載の発明によれば、吸引ポンプとしてチューブ式ポンプを採用するため、吸引ポンプの小型化、高性能化に有利である。
また、チューブ式ポンプとすると、前記連通動作を簡便に実現することができる。
【0014】
請求項5記載の発明は、前記インクを、30℃における粘度が10mPa・s以上である高粘度インクとすることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0015】
本発明が解決しようとする問題性は30℃における粘度が10mPa・s以上である高粘度インクにおいて顕著であるため、本発明を適用する実効性は30℃における粘度が10mPa・s以上である高粘度インクにおいて高まる。
【0016】
請求項6記載の発明は、前記インクを、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクとし、
前記インクを30℃以上150℃以下に加熱した状態で前記ノズルから吐出し、前記ノズルから吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射し該インクを硬化させるUV硬化方式であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0017】
したがって請求項6記載の発明によれば、高粘度インクを使用しUV硬化するので、インク吸収性のない記録媒体上にもインクを定着させることができるとともに、30℃以上150℃以下への加熱、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの吐出を良好にして画像形成を実行することができる。
本発明におけるインクは、30℃での粘度が10〜500mPa・sの液体である。但し、40〜500mPa・sが好ましい。10mPa・s未満では滲みが劣化、また500mPa・sを超えると、画質の平滑性が失われる。また、このインクは60℃で3〜30mPa・sの液体であることが好ましく、より好ましくは、3〜20mPa・sである。3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化する。
インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属である。
【0018】
本発明のインクジェットプリンタによる記録方法では、上記インクを30〜150℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。さらに好ましくは40〜100℃である。30℃以下及び150℃以上では、射出が困難になる。照射線硬化型インクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、その場合、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てを対象とすることが好ましい。
温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0019】
請求項7記載の発明は、前記ノズルからの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタである。
【0020】
したがって請求項7記載の発明によれば、ノズルからの吐出量(射出量)が1ドット当たり2pl以上20pl以下と、小液滴で高精細な画質を形成できるとともに、小液滴仕様のプリンタであっても、加熱手段、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの射出を良好にして画像形成を実行することができる。1ドットあたりの射出量は2pl(ピコリットル)〜20plとした。より好ましくは4pl〜10plである。1ドットあたり20plを超えると高精細印字が難しく、また、1ドットあたり2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0022】
まず図1を参照して、本発明一実施形態のインクジェットプリンタの全体構成について説明する。図1は本発明一実施形態のインクジェットプリンタの全体構成図である。
図1に示すように本実施形態のインクジェットプリンタ1は、画像記録系の主要部として、記録ヘッド51と、キャリッジ52と、キャリッジレール53とを備える。
記録ヘッド51には、インクタンク(図示せず)から供給路(図示せず)を介して紫外線硬化性の高粘度インクが供給される。記録ヘッド51には、インクを吐出するノズルが多数設けられており、インクタンクから供給されるインクがノズル内に充填される。インクは記録ヘッド51その他に設けられた加熱手段により30℃以上150℃以下に加熱される。各ノズルにはピエゾ素子が設けられており、ピエゾ素子が駆動されてノズルからインク滴が吐出される。使用するインクは30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクとする。
記録ヘッド51は各色に対応して複数設けられ、すべてキャリッジ52に搭載され、キャリッジレール53に沿って主走査方向Aに移動する。
【0023】
記録媒体6としては樹脂フィルムを用いる。記録媒体6は、記録媒体搬送機構(図示せず)により主走査方向Aに直交する副走査方向に搬送される。
【0024】
画像記録時には、画像信号に基づいてピエゾ素子、キャリッジ52、記録媒体搬送機構を駆動して、記録媒体6上にインク滴を着弾させインクドットを形成する。このとき、ノズルからのインク吐出量は1ドット当たり2pl以上20pl以下とする。吐出されるインクは事前に記録ヘッド51その他に設けられた加熱手段により30℃以上150℃以下に加熱されている。
次に記録媒体6上のインクドットに対し、紫外線を照射することによりインクドットを硬化させる。このように、紫外線硬化性で高粘度のインクを用いることにより、記録媒体6として樹脂フィルム等のインク吸収性のないものを用いても、インクを定着させることができる。
【0025】
図1に示すように、記録領域Cに隣接したホームポジション領域Bには保湿ユニット8が設置されている。画像記録やヘッドメンテナンスを行わない時には、キャリッジ52はホームポジション領域Bに移動し記録ヘッド51を待機させる。保湿ユニット8には記録ヘッド51と同数の保湿キャップ81が設けられている。記録ヘッド51の待機中には、保湿キャップ81は記録ヘッド51のノズル吐出口が設けられた面(以下、「ノズル面」という。)を覆って密閉保湿する。
【0026】
図1に示すように、記録領域Cを介してホームポジション領域Bの反対側のメンテナンス領域Dには、メンテナンスユニット9が設置されている。
メンテナンス領域Dではメンテナンスユニット9により、記録ヘッド51を良好なインク吐出を行える状態に回復させる。
メンテナンスユニット9は、吸引キャップ91と、吸引ポンプ94と、廃インクタンク95と、インク受け部92と、ブレード93とを備える。メンテナンスユニット9によってインク吸引作業と、ブレード93による拭き取り作業と、予備吐出作業を行う。
【0027】
まず、インク吸引作業時には、キャリッジ52が移動し記録ヘッド51を吸引キャップ91上に配置する。記録ヘッド51が吸引キャップ91上に配置されると、吸引キャップ91を上昇させて、記録ヘッド51のノズル面を覆うように装着する。吸引キャップ91が記録ヘッド51に装着されると、吸引ポンプ94を作動させてノズル内のインクを吸引する。吸引した廃インクは廃インクタンク95に貯められる。吸引終了後、吸引キャップ91を下降させて記録ヘッド51と吸引キャップ91とを乖離させる。なお、インク吸引作業時にもインクを記録ヘッド51その他に設けられた加熱手段により30℃以上150℃以下に加熱しておく。インクの低粘度化によってインクの流路抵抗を下げ、インク供給系からノズルへのインク充填を速めるためである。
【0028】
その後ブレード93による拭き取り作業を次のように行う。キャリッジ52が移動し記録ヘッド51をブレード93付近まで移動させるとともに、ブレード93をノズル面に当たる位置まで上昇させる。さらにキャリッジ52を移動させて記録ヘッド51のノズル面をブレード93により拭き取らせる。ブレード93は記録ヘッド51のノズル面に残留するインクやゴミを拭き取る。
その後予備吐出作業を次のように行う。キャリッジ52が移動し記録ヘッド51をインク受け部92上に配置する。すべてのピエゾ素子を駆動して記録ヘッド51のすべてのノズルに予備吐出動作をさせる。予備吐出動作では、実際にインクが吐出されなくても良い。予備吐出動作によりノズル内のインクを良好な状態に回復させる。
【0029】
次に図2を参照して吸引ポンプ94の一例について説明する。図2は本発明一実施形態に用いられるチューブ式ポンプの一構成例の模式図である。
本実施形態では吸引ポンプ94として図2に示すチューブ式ポンプを用いる。図2に示すように吸引ポンプ94は、チューブ30と、加圧ローラ32と、2つの加圧コロ33,34と、チューブホルダー31とを備える。
チューブ30の上端の吸入側開口部は吸引キャップ91に接続される。チューブ30の下端の排出側開口部は廃インクタンク95に挿入されている。本実施形態においてはチューブ30の下端の排出側開口が吸引ポンプ94の排出口となり、吸引キャップ91とチュ−ブ30とによりインク吸引系流路が構成される。
チューブ30の中間部はチューブホルダー31と加圧ローラ32とにより挟み込まれるようにして加圧ローラ32の外周に沿った円弧形状に曲げられた形に矯正されて保持される。
【0030】
2つの加圧コロ33,34は、加圧ローラ32の外周に付設される。2つの加圧コロ33,34は加圧ローラ32の外周面から加圧ローラ32の半径方向に突出して回転自在に取り付けられている。2つの加圧コロ33,34は互いに加圧ローラ32の中心軸回りに180度を成す位置に取り付けられる。一方、チューブホルダー31は、加圧ローラ32の中心軸回りに180度より大きな角度、例えば210度程度の角度範囲に亘ってチューブ30を矯正するように形成される。以上の角度は一例であって、2つの加圧コロ33,34により同時にチューブ30を潰す期間を設けることが吸引力を発揮するために有効である。また、加圧コロを3以上設けても良い。加圧コロを3以上設ける場合には、そのうち2つの加圧コロで加圧ローラ32の回転中常に同時にチューブを潰しているように構成することが吸引力を発揮するために有効である。
【0031】
さて、2つの加圧コロ33,34は、加圧ローラ32の回転に伴って公転運動する。2つの加圧コロ33,34は、チューブ30の円弧状に矯正されている部分を通過するときには、チューブ30を潰しながら移動する。チューブ30は加圧コロ33,34が通過した後はその弾性により元の形状に回復する。
加圧ローラ32は図示しないモータにより駆動され、その中心軸回りに回転する。すなわち、加圧ローラ32は自転運動し、回転中チューブホルダー31との距離は一定である。
吸引力を発揮させるためには、加圧ローラ32を矢印E方向に回転させる。加圧ローラ32を矢印E方向に回転させると、同じく矢印E方向に加圧コロ33,34が公転して加圧コロ33,34がチューブ30を潰す位置が移動する。加圧ローラ32の回転・停止により吸引ポンプ94を作動・停止することができ、加圧ローラ32の回転数を調節することにより吸引ポンプ94の出力を制御できる。
【0032】
次に、図3を参照して本実施形態における吸引作業の2つの動作形態について説明する。図3は、本発明一実施形態における吸引作業の2つの動作形態を示すタイムチャートである。なお、本インクジェットプリンタ1に備えられる図示しない制御部が各部を制御し以下の動作を行わせるように構成する。
<動作形態1>
1つ目の動作形態(動作形態1)は、吸引後、吸引キャップ91を記録ヘッド51から離脱させた後に吸引ポンプ94を停止状態から再駆動することにより、強制的にインク吸引系流路内のインクを排出するものである。参照図面は図3(a)である。
【0033】
図3(a)に示すようにまず、吸引キャップ91が記録ヘッド51に装着される(ステップS1)。次に、加圧ローラ32を回転させて吸引を開始する(ステップS2)。
ステップS2から一定期間経過した後、加圧ローラ32の回転を停止して吸引を終了する(ステップS3)。ステップS2の吸引ポンプ作動開始時からステップS3の吸引ポンプ作動終了時まで、ノズルからインクの吸引する。
吸引ポンプ作動終了時から一定期間経過した後、吸引キャップ91を記録ヘッド51から離脱させる(ステップS4)。
次に、加圧ローラ32を再び回転させて吸引ポンプ94を再駆動する(ステップS5)。
ステップS5から一定期間経過した後、加圧ローラ32の回転を止めて吸引ポンプ94を停止する(ステップS6)。ステップS5の吸引ポンプ94の再駆動時からステップS6の吸引ポンプ停止時まで、キャップ91及びチュ−プ30内、すなわち、インク吸引系流路内に残留するインクを強制排出する。
以上により、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、吸引作業を良好な状態で繰返し行うことができる。
【0034】
<動作形態2>
2つ目の動作形態(動作形態2)は、吸引後、吸引キャップ91を記録ヘッド51から離脱させた後にインク吸引系流路内を開放して吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させる連通動作を起動することにより、インクの自重落下によりインクをインク吸引系流路から排出するものである。参照図面は図3(b)である。
【0035】
図3(b)に示すようにステップS1からステップS4までは、動作形態1と同じである。
ステップS4の後、加圧コロ33,34によるチューブ30の潰しを解除する。これによりインク吸引系流路内を開放して吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させる。インクはその自重により落下しチュ−プ30の下端開口から排出される。なお、インクがその自重により落下しやすくするためには、チュ−プ30を図2に示されるように上端から下端まですべて下りとなるように設置することが好ましい。
【0036】
かかる動作形態2を実現可能な吸引ポンプ94の一構成例とその連通動作を図4を参照して説明する。図4は本発明一実施形態に用いられる加圧ローラの構成例の模式図である。
【0037】
図4(a)に示すように加圧ローラ32を、円筒状の支柱32cと、2つの円盤部32a,32bとにより構成する。支柱32cの両端に各円盤部32a,32bの中央が接合する。円盤部32a,32bの直径は支柱32cの直径より大きく、支柱32cの周囲に円盤部32a,32bが向き合う空間が設けられ、ここに加圧コロ33,34が配置される。
円盤部32aにはカム溝32dが設けられる。円盤部32bにも同様のカム溝(図示せず)が設けられる。加圧コロ33の軸33aがこれらのカム溝に挿入されて回転自在に保持される。
また円盤部32aには他のカム溝32eが設けられる。円盤部32bにも同様のカム溝(図示せず)が設けられる。加圧コロ34の軸34aがこれらのカム溝に挿入されて回転自在に保持される。
【0038】
図4(b)に示すように、加圧ローラ32の正転時においては、加圧コロ33,34の軸33a,34aはそれぞれカム溝32d,32eの外端に付勢される。このとき、加圧コロ33,34は円盤部32a,32bの外周より外側に突出した状態で保持される。これにより図2に示したようにチューブ30を潰すことができる。なお、正転方向は図2における矢印Eと同じである。
一方、図4(b)の状態から加圧ローラ32を逆転させると、図4(c)に示すように、加圧コロ33,34の軸33a,34aはそれぞれカム溝32d,32eの内端に移動する。このとき、加圧コロ33,34は円盤部32a,32bの外周より内側に格納される。これにより加圧コロ33,34によってチューブ30を潰すことがない。すなわち、加圧コロ33,34によるチューブ30の潰しが解除され、インク吸引系流路内を開放して吸引キャップ91から吸引ポンプ94の排出口までを連通させることができる。
【0039】
次に、図5を参照して吸引キャップへのヒータの取り付け構造につき説明する。図5は吸引キャップ及びこれに付設される部品の分解斜視図である。
図5に示すように、吸引キャップ91の下端に吸引キャップステー91aが接続する。吸引キャップステー91aの下端に面ヒータ91bが設置され、面ヒータカバー91dによって覆われて吸引キャップステー91aに接触するように保持される。電源コード91cを介して電源を供給し面ヒータ91bを発熱させる。吸引キャップステー91aはアルミでできており、面ヒータ91bから発生する熱を吸引キャップ91に伝導する。吸引キャップ91は樹脂により一体成形されたものを用いる。
吸引キャップステー91aの下端にはパイプ91eが突設されており、パイプ91eの内部空間は吸引キャップ91の内部空間と繋がっている。パイプ91eは、面ヒータ91bに穿設された孔91f及び面ヒータカバー91dに穿設された孔91gを介して面ヒータカバー91dの外に突出しチューブ30と接続する。
以上のように吸引キャップ91には、面ヒータ91bが付設されており、これを加熱手段として吸引キャップ91を暖めておき、吸引作業を行う。インクを高粘度化させずに、吸引キャップ91内でインクが流れやすくするためである。これにより吸引作業後の吸引キャップ91内でのインクの残留をより減らすことができる。
【0040】
次に、図6を参照して吸引ポンプへのヒータの取り付け構造につき説明する。図6は吸引ポンプの分解図である。
図6(b)に示すようなチューブホルダー201を用いる。図6(b)に示すようにチューブホルダー201の表面側にはチューブ30を保持するための溝202が形成されている。
図6(a)に示すように、溝202の内周面に沿うようにチューブ30が設置され、チューブ30の内側に加圧ローラ32(加圧コロ33,34を含む)が設置される。
図6(c)に示すように、チューブホルダー201の裏面側に設けられた溝204に面ヒータ206が内装される。
電源コード207を解して電源を供給し面ヒータ206を発熱させる。チューブホルダー201はアルミでできており、面ヒータ206から発生する熱をチューブ30に伝導する。
チューブホルダー201及び面ヒータ206の中央にはそれぞれ孔203,205が設けられており、軸208がこれらの孔203,205に挿入され、加圧ローラ32の中央の孔209に嵌合する。軸208はモータからの動力を加圧ローラ32へ伝導するものである。
以上のようにして吸引ポンプに面ヒータ206を付設し、これを加熱手段としてチューブ30を暖めておき、吸引作業を行う。インクを高粘度化させずに、チューブ30内でインクが流れやすくするためである。これにより吸引作業後のチューブ30内でのインクの残留をより減らすことができる。
【0041】
以上により、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、長期の使用においても良好なヘッドクリーニングが確実に行われノズル欠や吐出曲がり等の不具合を生じさせることなく質の高い画像印字を持続することができる。
【0042】
次に、本発明の実施形態として採用可能な技術事項につき項を分けて説明する。
<射出量>
1ドットあたりの射出量は2pl(ピコリットル)〜20plである。好ましくは4pl〜10plである。1ドットあたり20plを超えると高精細印字が難しく、また、1ドットあたり2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。
【0043】
<ドット径>
記録媒体上に形成されるドット径は50μm〜200μmである。好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。50μm未満では形成される画像の濃度が低くなってしまい、また、200μmよりも大きければ高精細印字が難しい。
【0044】
<水及び有機溶媒を含有しない>
用いられるインクは、実質的に水及び有機溶媒を含有しないことが望ましい。実質的に含有しないとは、水及び有機溶媒の含有量が1重量%未満であることをいう。
【0045】
<インクジェット方式>
インクジェットプリンタのインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速射出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。それは具体的には、例えば特公平4−48622号に記載されるように、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、さらに絶縁膜で覆われているインク流路とするインクジェットヘッド方式である。
【0046】
<照射線源>
紫外線、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な線源を用いることが可能であるが、硬化性、線源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する線源が好ましい。紫外線線源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーランプ、紫外線レーザー・LEDなどを用いることができる。
基本的な照射方法は、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射はインク着弾後、一定時間をおいて行われることになる。さらに、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。WO9954415号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明の実施形態として、これらの照射方法を用いることが可能である。具体的には、帯状のメタルハライドランプ管、紫外線ランプ管が好ましい。線源は、実質的にインクジェットプリンタに固定化し、稼働部をなくすことで、安価な構成とすることが可能である。
照射は、各色の画像形成毎に行われることが好ましく、つまり、いずれの露光方式でも線源は2種用意し、第2の線源によって、硬化を完了させることが好ましい形態の1つである。これは、2色目の着弾インクの濡れ性、インク間の接着性を得ることと、線源を安価に組むことに寄与する。
なお第1の線源と、第2の線源とは露光波長または露光照度を変えることが好ましい。第1の線源の照射エネルギーを第2の線源の照射エネルギーより小さく、すなわち第1の線源の照射エネルギーを照射エネルギー総量の1〜20%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは1〜5%とする。照度を変えた照射を行うことで、硬化後の分子量分布が好ましいものとなる。つまり一度に高照度の照射を行ってしまうと、重合率は高められるものの、重合したポリマーの分子量は小さく、強度が得られない。
また、第1の線源の照射は、第2の線源の照射よりも長波長とすることで、第1の照射では、インクの表層を硬化させてインクの滲みを抑えられ、第2の照射では、照射線が届きにくい記録媒体近傍のインクを硬化させ、密着性を改善することができる。インク内部の硬化促進のためにも、第2の照射線波長は長波長であることが好ましい。
【0047】
<照射タイミング>
上記インクを用い、一定温度にインクを加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01〜0.5秒、好ましくは0.01〜0.3秒、さらに好ましくは0.01〜0.15秒後に放射線を照射することすることができる。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前に露光することができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、高粘度のインクを用いることで大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加及び臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。また、照射は、全色を射出してまとめて露光することが可能だが、一色毎に露光するほうが、硬化促進の観点で好ましい。
また、複数色のヘッドからなるユニットでは、各色間を実質的に照射線透過性とすることが好ましい。具体的には、照射線透過性の部材でヘッド間を構成するか、部材を配置させない構成である。このような簡単な構成とすることで、各色毎に、着弾直後、速やかに照射することが可能であり、特に二次色の滲み防止、双方向描画における、行きと帰りのドット滲み差を防止(行きと帰りの色が異なるのを防ぐ)できるため、好ましい。
【0048】
<インク加熱、ヘッド温調>
上記インクを30〜150℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。さらに好ましくは40〜100℃である。30℃以下及び150℃以上では、射出が困難になる。照射線硬化型インクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0049】
<インク吸収性のない記録媒体>
本発明の実施形態として、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)を用いることができる。インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属である。
【0050】
<粘度>
本発明の実施形態におけるインクは、30℃での粘度が10〜500mPa・sの液体である。好ましくは、40〜500mPa・sが好ましい。10mPa・s未満では滲みが劣化、また500mPa・sを超えると、画質の平滑性が失われる。また、このインクは60℃で3〜30mPa・sの液体であることが好ましく、より好ましくは、3〜20mPa・sである。3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化する。
【0051】
【発明の効果】
上述したように請求項1記載の発明によれば、加熱手段が吸引キャップ及び吸引ポンプに付設されるので、吸引キャップから吸引ポンプの排出口までの流路、すなわち、インク吸引系流路内に存するインクが低粘度化して流れやすくなり、それと共に、キャップ離脱動作の後にインク吸引系配管内のインクを排出する排出動作を起動するので、吸引後、吸引したインクがそのままインク吸引系流路内に残留することを防ぎ、インク吸引系配管の目詰まりを防止することができる。その結果、長期の使用においても良好なヘッドクリーニングが確実に行われノズル欠や吐出曲がり等の不具合を生じさせることなく質の高い画像印字を持続することができるという効果がある。
【0052】
上述したように請求項2記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後に吸引ポンプを停止状態から再駆動することにより、強制的にインク吸引系流路内のインクを排出することができるという効果がある。
【0053】
上述したように請求項3記載の発明によれば、吸引キャップを記録ヘッドから離脱させた後にインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる連通動作を起動することにより、インクの自重落下によりインクをインク吸引系流路から排出することができるという効果がある。
【0054】
上述したように請求項4記載の発明によれば、吸引ポンプとしてチューブ式ポンプを採用するため、吸引ポンプの小型化、高性能化に有利であるという効果がある。また、チューブ式ポンプとすると、前記連通動作を簡便に実現することができるという効果がある。
【0055】
上述したように請求項6記載の発明によれば、高粘度インクを使用しUV硬化するので、インク吸収性のない記録媒体上にもインクを定着させることができるとともに、30℃以上150℃以下への加熱、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの吐出を良好にして画像形成を実行することができるという効果がある。
【0056】
上述したように請求項7記載の発明によれば、ノズルからの吐出量(射出量)が1ドット当たり2pl以上20pl以下と、小液滴で高精細な画質を形成できるとともに、小液滴仕様のプリンタであっても、加熱手段、吸引ポンプ等の働きにより、ノズルからのインクの射出を良好にして画像形成を実行することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明一実施形態のインクジェットプリンタの全体構成図である。
【図2】本発明一実施形態に用いられるチューブ式ポンプの一構成例の模式図である。
【図3】本発明一実施形態における吸引作業の2つの動作形態を示すタイムチャートである。
【図4】本発明一実施形態に用いられる加圧ローラの構成例の模式図である。
【図5】本発明一実施形態に用いられる吸引キャップ及びこれに付設される部品の分解斜視図である。
【図6】本発明一実施形態に用いられる吸引ポンプの分解図である。
【符号の説明】
1…インクジェットプリンタ 6…記録媒体 8…保湿ユニット 9…メンテナンスユニット 30…チューブ 31…チューブホルダー 32…加圧ローラ
33,34…加圧コロ 51…記録ヘッド 52…キャリッジ 53…キャリッジレール 81…保湿キャップ 91…吸引キャップ 91b…面ヒータ(加熱手段) 92…インク受け部 93…ブレード 94…吸引ポンプ 95…廃インクタンク 206…面ヒータ(加熱手段)
Claims (7)
- インクを吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
インク吸引作業時に前記ノズルの吐出口を覆うように前記記録ヘッドに装着される吸引キャップと、
前記吸引キャップを介して前記ノズルからインクを吸引する吸引ポンプとを備え、
前記インクを高粘度インクとするインクジェットプリンタにおいて、
加熱手段が前記吸引キャップ及び前記吸引ポンプに付設され、
前記吸引ポンプによって前記ノズルからインクを吸引し前記吸引キャップが前記記録ヘッドから離脱するキャップ離脱動作の後に、前記吸引キャップから前記吸引ポンプの排出口までの流路(以下「インク吸引系流路」という。)内のインクを排出する排出動作を起動することを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記排出動作を、吸引ポンプを停止状態から再駆動する動作とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
- 前記排出動作を、インクの自重落下によりインクがインク吸引系流路から排出されるようにインク吸引系流路内を開放して吸引キャップから吸引ポンプの排出口までを連通させる連通動作とすることを特徴とする請求項1記載のインクジェットプリンタ。
- 前記吸引ポンプは、チューブの一部を弾性回復可能に潰し、そのチューブの潰される位置を移動させて吸引力を発揮するチューブ式ポンプであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記インクを、30℃における粘度が10mPa・s以上である高粘度インクとすることを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記インクを、30℃における粘度が10mPa・s以上500mPa・s以下である高粘度インクとし、
前記インクを30℃以上150℃以下に加熱した状態で前記ノズルから吐出し、前記ノズルから吐出されインク吸収性のない記録媒体上に着弾したインクに紫外線を照射し該インクを硬化させるUV硬化方式であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記ノズルからの吐出量が1ドット当たり2pl以上20pl以下であることを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一に記載のインクジェットプリンタ。
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- 2002-07-08 JP JP2002198851A patent/JP2004034666A/ja active Pending
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