JP2004034655A - インクジェット式記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】キャッピング手段からインクを排出する排出管において、インクの滞留を防ぐことができるインクジェット式記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット式記録装置は、インクジェット式記録ヘッド8を封止するキャッピング手段30と、キャッピング手段30に排出管40を介して接続された廃インクタンク45と、を備えている。排出管40は、第1接続式チューブ(第1の管)41と第2接続式チューブ(第2の管)42との間に連結体43が配設されて構成されている。連結体43の両端部は凸型内側R形状を有しており、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42が連結体43に接続されている。
【選択図】 図6
【解決手段】インクジェット式記録装置は、インクジェット式記録ヘッド8を封止するキャッピング手段30と、キャッピング手段30に排出管40を介して接続された廃インクタンク45と、を備えている。排出管40は、第1接続式チューブ(第1の管)41と第2接続式チューブ(第2の管)42との間に連結体43が配設されて構成されている。連結体43の両端部は凸型内側R形状を有しており、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42が連結体43に接続されている。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録装置に関し、特に、非印刷時にインクジェット式記録ヘッドを封止するキャッピング手段と、キャッピング手段からインクを排出する排出管と、を備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成することができるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に使用されている。
【0003】
このようなインクジェット式記録装置は、インクカートリッジからのインクの供給を受けるインクジェット式記録ヘッドと、記録用紙をインクジェット式記録ヘッドに対して相対的に移動させることができる紙送り手段と、を備えている。そして、インクジェット式記録ヘッドをキャリッジ上で記録用紙の幅方向に移動させながら記録用紙に対してインク滴を吐出させることで、記録用紙に所望の画像(文字等)が印刷されるようになっている。
【0004】
インクジェット式記録ヘッドは、圧力室で加圧したインクをノズルからインク滴として記録用紙に吐出させて印刷を行うようになっている。従って、インク溶媒の蒸発に起因するノズル開口におけるインクの粘度上昇および固化、塵埃の付着、気泡の混入、等によって、印刷不良を招くことがある。
【0005】
このため、インクジェット式記録装置は、非印刷時(休止時)にインクジェット式記録ヘッドを封止(キャッピング)するキャッピング手段と、キャッピング手段に排出管を介して接続された廃インクタンクと、キャッピング手段から廃インクタンクへインクを搬送することができるポンプユニットと、を備えている。
【0006】
キャッピング手段は、非印刷時にインクジェット式記録ヘッドを封止して、ノズル形成面との間に密閉空間を形成することができるようになっている。このように、インクジェット式記録ヘッドをキャッピング手段によって封止することにより、ノズル開口部分が大気に露出されることを防ぎ、ノズル開口におけるインクの増粘や固化を防止することができるようになっている。また、大気中の塵埃をシャットアウトして、塵埃の付着を防止することができるようになっている。
【0007】
更に、ノズル開口におけるインクが増粘、固化した場合には、ポンプユニットによって、キャッピング手段とノズル形成面との間に形成された密閉空間に負圧を与えることにより、ノズル内の増粘、固化したインクをノズル開口から吸引除去すること(クリーニング)ができるようになっている。そして、ノズル開口から吸引されたインクは、ポンプユニットにより、キャッピング手段から排出管を介して廃インクタンクへ搬送されるようになっている。
【0008】
このように、ノズル開口におけるインクが増粘、固化してしまい、ノズルからインクを適切に吐出させることができない場合であっても、上述のクリーニング動作により、ノズルのインク吐出能力を適切に回復させることができるようになっている。
【0009】
ところで、インクジェット式記録装置の小型化が進み構成が複雑化している昨今において、上述のキャッピング手段、ポンプユニット、および廃インクタンクは、限られた設置スペースに配置されることが要求されており、これらの各装置は、複雑な構成で配置される場合がある。これに伴って、これらの各装置間に配設される排出管も複雑な配置が要求される。また、各装置に接続可能な管径や管材質が、各装置毎に異なる場合には、単一の管によって、上述のキャッピング手段、ポンプユニット、および廃インクタンクを連結することは難しい。
【0010】
そこで、図11に示すように、複数の接続式チューブ45を連結体46によって連結して排出管40を構成することにより、設置スペースの有効利用が図られているとともに、各装置の管接続態様に適切に対応している。すなわち、連結体46によって接続式チューブ45の接続方向を調節したり、チューブの長さを変えたりすることにより、排出管40の配置態様の自由度は向上する。また、接続式チューブ45と連結体46との接続部分を適宜調整することにより、管径や管材質の異なる管同士を適切に連結することが可能となる。
【0011】
【発明を解決しようとする課題】
上述のように、キャッピング手段、ポンプユニット、および廃インクタンクの相互間に介在する排出管40を、複数の接続式チューブ45と連結体46とを組み合わせて構成することが、従来から行われている。
【0012】
しかしながら、このような排出管40において、接続式チューブ45と連結体46との接続部位では、接続式チューブ45あるいは連結体46の端面によりインクの流動が阻害され、インクが滞留し易い。そして、インクが滞留した状態で時間が経過すると、滞留したインク中からインク溶媒(例えば水等)が蒸発し、滞留しているインクの増粘、固化が進行して、排出管40では目詰まりが生じることがある。とりわけ、連結体46が水平方向に配置された場合には、接続式チューブ45と連結体46との接続部位におけるインクの滞留や排出管40の目詰まりといった現象が助長される。
【0013】
このように、接続式チューブ45と連結体46との接続部位にインクが滞留して排出管40に目詰まりが生じると、排出管40におけるインクの搬送は阻害され、キャッピング手段から廃インクタンクへインクをスムーズに搬送することが難しくなる。
【0014】
特に、キャッピング手段から排出管40へ排出されるインクは、いわゆるフラッシング動作やクリーニング動作によりノズル開口から吐出された、通常よりも増粘したインクであることが多い。このため、キャッピング手段から排出管40へ排出されるインクは、接続式チューブ45と連結体46との接続部位において滞留し、増粘・固化しやすい。
【0015】
更に、排出管40が、様々な方向に延びており、鉛直方向および水平方向が複雑に入り組んで構成されている場合には、排出管40内にインクが滞留しやすい。特に、水平方向に延びる部分では、重力の作用によりインクの流動が助長される、ということはないので、インクが滞留しやすい。
【0016】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、キャッピング手段からインクを排出する排出管において、インクの滞留を防ぐことができるインクジェット式記録装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ノズル形成面を有するインクジェット式記録ヘッドと、インク排出部を有し、前記インクジェット式記録ヘッドを封止して前記インク吐出ノズル形成面との間に密閉空間を形成するキャッピング手段と、前記キャッピング手段のインク排出部に接続され、前記インク排出部から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路が形成された第1の管と、前記第1搬送流路からのインクを搬送するための第2インク搬送流路が形成された第2の管と、前記第1の管と前記第2の管との間に配設され、前記第1インク搬送流路からのインクを前記第2インク搬送流路へ送るための連結流路が両端部間を貫通する連結体であって、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、前記第1の管および前記第2の管が接続されている連結体と、前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させる負圧発生手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0018】
負圧発生手段は、前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させることにより、前記ノズルからキャッピング手段にインクを吸引吐出させることができるとともに、キャッピング手段に吐出されたインクを、インク排出部を介して前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路へ送ることができるようになっている。
【0019】
本発明は、ノズル形成面を有するインクジェット式記録ヘッドと、インク排出部を有し、前記インクジェット式記録ヘッドを封止して前記インク吐出ノズル形成面との間に密閉空間を形成するキャッピング手段と、前記キャッピング手段のインク排出部に接続され、前記インク排出部から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路が形成された第1の管と、前記第1搬送流路からのインクを搬送するための第2インク搬送流路が形成された第2の管と、前記第1の管と前記第2の管との間に配設され、前記第1インク搬送流路からのインクを前記第2インク搬送流路へ送るための連結流路が両端部間を貫通する連結体と、前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させる負圧発生手段と、を備えたインクジェット式記録装置であって、前記キャッピング手段と前記第1の管と前記連結体と前記第2の管と前記負圧発生手段とは、少なくとも前記連結流路が略鉛直方向へ延びるように、配設されていることを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0020】
前記第1の管および前記第2の管は、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、前記連結体に接続されていることが好ましい。
【0021】
前記第1の管および前記第2の管は、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略滑らかに接続した状態で、前記連結体に接続されていることが好ましい。
【0022】
前記連結体の両端部のうち少なくともいずれか一方の端部は、内側R形状を有することが好ましい。
【0023】
前記連結体の両端部のうち少なくともいずれか一方の端部は、内側テーパー形状を有することが好ましい。
【0024】
前記第1インク搬送流路の径は、前記第2インク搬送流路の径よりも小さいことが好ましい。
【0025】
前記連結流路は、前記第2インク搬送流路の径よりも小さい径によって形成された狭小流路を有することが好ましい。
【0026】
前記第1の管は、前記インク排出部を形成する前記キャッピング手段の内壁面と前記第1の管の内壁面とが略連続的に接続した状態で、前記インク排出部に接続されていることが好ましい。
【0027】
前記第1の管は、前記インク排出部を形成する前記キャッピング手段の内壁面と前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面とが略滑らかに接続した状態で、前記インク排出部に連接されていることが好ましい。
【0028】
前記インク排出部の端部のうち第1の管が接続される側の端部は、内側R形状を有することが好ましい。
【0029】
前記インク排出部の端部のうち第1の管が接続される側の端部は、内側テーパ形状を有することが好ましい。
【0030】
前記インク排出部から排出されるインクは、顔料インクであることが好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
第1の実施の形態
図1乃至図6は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。図1は、インクジェット式記録装置の構成を説明する概略ブロック図である。図2は、インクジェット式記録装置の概略構成図である。図3は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成図である。図4は、キャッピング機構によってインクジェット式記録ヘッドをキャッピングした状態を示す概略図である。図5は、キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。図6は、排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【0033】
本実施の形態のインクジェット式記録装置は、インクジェット式プリンタであって、図1に示すように、プリンタコントローラ1と、プリントエンジン2と、を備えている。
【0034】
プリンタコントローラ1は、図1に示すように、外部インターフェース3(外部I/F)と、各種データを一時的に記憶するRAM4と、制御プログラム等を記憶したROM5と、CPU等を含んで構成された制御部(制御手段)6と、クロック信号を発生する発振回路7と、インクジェット式記録ヘッド8に供給する駆動信号を発生する駆動信号発生部9と、駆動信号や、印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等をプリントエンジン2に送信する内部インターフェース10(内部I/F)と、を備えている。
【0035】
更に、プリンタコントローラ1は、着脱可能に保持された記録媒体の一種であるメモリカード11と、記録媒体保持部として機能するカードスロット12と、メモリカード11に記録された情報を制御部6に送信するカードインターフェース13(カードI/F)と、を備えている。上記のメモリカード11には、駆動信号の波形に関するデータが記録されている。なお、メモリカード11以外の記録媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスク等も使用することができる。
【0036】
外部I/F3は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、図示しないホストコンピュータ等から受信するようになっている。また、ビシー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部I/F3を通じて、ホストコンピュータ等に対し出力されるようになっている。
【0037】
RAM4は、受信バッファ4A、中間バッファ4B、出力バッファ4C、及びワークメモリ(図示せず)を有している。受信バッファ4Aは、外部I/F3を介して受信し印刷データを一時的に記憶し、中間バッファ4Bは、制御部6により変換された中間コードデータを記憶し、出力バッファ4Cは、ドットパターンデータを記憶するようになっている。ここで、ドットパターンデータとは、中間コードデータ(例えば、階調データ)をデコード(翻訳)することにより得られる印字データである。
【0038】
ROM5には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等が記憶されている。
【0039】
制御部6は、ROM5に記憶された制御プログラムに従って各種の制御を行うようになっている。例えば、受信バッファ4A内の印刷データを読み出すと共にこの印刷データを変換して中間コードデータとし、当該中間コードデータを中間バッファ4Bに記憶させるようになっている。また、制御部6は、中間バッファ4Bから読み出した中間コードデータを解析し、ROM5に記憶されているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、ドットパターンデータに展開(デコード)するようになっている。そして、制御部6は、必要な装飾処理を施した後に、このドットパターンデータを出力バッファ4Cに記憶させるようになっている。
【0040】
更に、制御部6は、後述のキャッピング動作やクリーニング動作を制御することもできるようになっている。
【0041】
インクジェット式記録ヘッド8の1回の主走査により記録可能な1行分のドットパターンデータが得られた場合、当該1行分のドットパターンデータが、出力バッファ4Cから内部I/F10を通じて順次インクジェット式記録ヘッド8に出力されるようになっている。出力バッファ4Cから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータが中間バッファ4Bから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われるようになっている。
【0042】
駆動信号発生部9は、印刷時やフラッシング時にノズル開口65からインクを吐出させるための吐出用の駆動信号(吐出駆動信号)と、メニスカス近傍のインクを微振動させてノズル開口65付近のインクを撹拌するための微振動用の駆動信号(微振動駆動信号)と、を発生させることができるようになっている。そして、駆動信号発生部9は、吐出駆動信号および微振動駆動信号のうち選択された所定の駆動信号を、内部I/Fに出力することができるようになっている。
【0043】
一方、プリントエンジン2は、キャリッジ機構16と、紙送り機構17と、インクジェット式記録ヘッド8と、を含んで構成されている。
【0044】
キャリッジ機構16は、図2に示すように、ガイド部材20に対して移動自在に取り付けられるとともにインクジェット式記録ヘッド8及びインクカートリッジ19を搭載可能なキャリッジ21と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に架け渡されると共にキャリッジ21に接続されたタイミングベルト24と、駆動プーリ22を回転させるパルスモータ25と、を備えている。
【0045】
このようなキャリッジ機構16によれば、パルスモータ25の作動により、記録紙18の幅方向(主走査方向)に沿ってキャリッジ21が往復移動し、これに伴って、キャリッジ21に搭載されたインクジェット式記録ヘッド8も、主走査方向に沿って移動するようになっている。なお、このキャリッジ21の移動は、ホームポジション側の基準位置を起点にして行われるようになっている。
【0046】
ここでホームポジションとは、電源が投入されていない場合等のように印刷が行われていない状態が長時間に亘る場合等に、キャリッジ21を待機させる位置である。本実施の形態では、図2における右端部にホームポジションが設けられている。なお、このホームポジションには、インクジェット式記録ヘッド8を封止することができるキャッピング機構(キャッピング手段)30が設けられている。一方、基準位置は、ホームポジションから少し左側の位置に設定されており、具体的には、記録紙18の右側縁とキャッピング機構30との間に設定されている。
【0047】
ホームポジションに設けられたキャッピング機構30は、キャリッジ21に搭載されたインクジェット式記録ヘッド8がホームポジションに移動した時に、インクジェット式記録ヘッド8のノズル形成面66aを封止して、ノズル形成面66aとの間に密閉空間を形成するように構成されている。
【0048】
キャッピング機構30の下方には排出管40を介して廃インクタンク45が接続され、また、キャッピング機構30と廃インクタンク45との間にはポンプユニット(負圧発生手段)44が設置されている。ポンプユニット44は、排出管40を介して、ノズル形成面66aとキャッピング機構30とにより形成された密閉空間に負圧を与えて、ノズル内のインクをキャッピング機構30内に吸引吐出させることができるようになっている。また、ポンプユニット44は、キャッピング機構30内に吐出されたインクを、インク排出部31から排出管40内の流路を介して廃インクタンク45へ搬送することができるように構成されている。
【0049】
なお、キャッピング機構30、排出管40、ポンプユニット44、および廃インクタンク45の詳細な構成については後述する。
【0050】
紙送り機構17は、紙送りモータと紙送りローラ等を含んで構成されており、インクジェット式記録ヘッド8の記録動作に連動させて、記録紙18を順次送り出すことができるようになっている。即ち、この紙送り機構17は、記録紙18を副走査方向である記録紙18の送り方向へ移動させることができるようになっている。
【0051】
インクジェット式記録ヘッド8は、図3に示すように、縦振動モードの圧電振動子61を具備する構造を有している。
【0052】
すなわち、インクジェット式記録ヘッド8は、合成樹脂製の基台63と、この基台63の前面(図の左側に相当する)に貼着された流路ユニット64と、を備えている。
【0053】
基台63は、前面と背面に開放された収容空間69が設けられたブロック状部材である。この収容空間69には、固定基板70に固定された縦振動モードの圧電振動子61が収容されている。縦振動モードの圧電振動子61は、充電されると電界と直交する方向に収縮し、放電すると電界と直交する方向に伸長する特性を有している。
【0054】
流路ユニット64は、流路形成板68と、流路形成板68の前面側に配設されたノズルプレート66と、流路形成板の背面側に配設された振動板67とが、接着等により一体化されて、形成されている。
【0055】
ノズルプレート66は、多数のノズル開口65が穿設された薄い板状部材であり、各ノズルは、ドット形成密度に対応した所定ピッチで設けられている。
【0056】
振動板67は、圧電振動子61が当接する厚肉部としてのアイランド部71と、このアイランド部71の周囲を囲うように設けられ、弾性を有する薄肉部72と、を備えた板状部材である。アイランド部71は、一つのノズル開口65に一つのアイランド部71が対応するように、所定ピッチで多数設けられている。そして、流路ユニット64には、ノズル開口65の背面側に位置するとともに振動板67のアイランド部の前面側に位置する圧力室73と、共通インク室74と、圧力室73と共通インク室74とを連通するインク供給路75と、が形成されている。
【0057】
圧電振動子61の先端は、アイランド部71に背面側から当接され、この当接状態で圧電振動子61が基台63に固定されている。また、この圧電振動子61には、フレキシブルケーブルを介して駆動電圧が供給されるようになっており、圧電振動子61は、供給された駆動電圧に応じて充電或いは放電が行われるようになっている。
【0058】
このような構成を有するインクジェット式記録ヘッド8において、圧電振動子61は充電されることにより収縮し、この収縮に伴ってアイランド部71が後方へ引き戻される。これにより、収縮していた圧力室73が膨張し、室内の圧力が変動するようになっている。この室内の圧力変動に伴って、共通インク室74のインクが、インク供給路75を通って圧力室73内に流入するようになっている。一方、圧電振動子61は放電されることにより伸長し、振動板67のアイランド部71が前方へ押される。これにより、圧力室73が収縮し、この収縮に伴って、圧力室73の室内の圧力は高くなって、ノズル開口65からインク滴が吐出されるようになっている。
【0059】
このようなインクジェット式記録ヘッド8は、図1に示すような電気的構成を有しており、シフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58及び圧電振動子61が、電気的に順次接続されている。
【0060】
そして、シフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58は、駆動電圧供給手段として機能する。すなわち、これらの各装置は、制御部6により制御されて、駆動信号発生部9における所定の駆動信号から駆動電圧を生成し、この駆動電圧を圧電振動子61に供給するようになっている。そして、圧電振動子61は、供給された駆動電圧に応じて伸長あるいは収縮するようになっている。
【0061】
次に、キャッピング機構30、排出管40、ポンプユニット44、および廃インクタンク45の詳細な構成について、図4乃至図6を用いて説明する。
【0062】
上述したように、キャッピング機構30と廃インクタンク45とは、排出管40により連結されており、また、キャッピング機構30と廃インクタンク45との間には、ポンプユニット44が配設されている(図4参照)。
【0063】
キャッピング機構30は、図4に示すように、上面が開放された方形状のキャップケース30aと、キャップケース30a内に収納されたゴム材料などの可撓性物質よりなるキャップ部材30bと、を具備している。
【0064】
キャップ部材30bは、その上側縁がキャップケース30aよりも若干突出した状態で形成されており、キャップ部材30bの内底部には、多孔質材料により形成されたインク吸収材30cが収納されている。そして、このインク吸収材30cは、キャップ部材30bと一体的に形成された保持体30dにより保持されている。
【0065】
キャップケース30aの下底部には、キャップケース30aおよびキャップ部材30bをそれぞれ貫通するようにして、インク排出部31と大気開放部32とが形成されている。
【0066】
インク排出部31には、排出管40を介して廃インクタンク45が接続されている。この排出管40は、後述するように、第1接続式チューブ(第1の管)41と第2接続式チューブ(第2の管)42とが連結体43を介して連結されて構成されている。
【0067】
インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部は、図5に示すような凸型内側R形状を有している。そして、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、が略連続的に接続した状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41が接続されている。
【0068】
一方、大気開放部32には、通気管を介して大気開放バルブ32aが接続されている。
【0069】
このような構成を有するキャッピング機構30は、非印刷時にインクジェット式記録ヘッド8がキャッピング機構30の上部に移動した際に、このインクジェット式記録ヘッド8のノズルプレート67aに対してキャップ部材30bを密着させて、インクジェット式記録ヘッド8を封止することができるようになっている。
【0070】
一方、キャッピング機構30と廃インクタンク45との間に介在する排出管40は、図4に示すような構造を有している。
【0071】
すなわち、排出管40は、第1接続式チューブ(第1の管)41と第2接続式チューブ(第2の管)42との間に連結体43が配設された構成を有しており、第1接続式チューブ41の一端が連結体43の一端部に接続され、第2接続式チューブ42の一端が連結体43の他端部に接続されている。
【0072】
第1接続式チューブ41には、インク排出部31から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路51が形成され、第2接続式チューブ42には、第1インク搬送流路51からのインクを搬送するための第2インク搬送流路52が形成されている。そして、第1インク搬送流路51の径は、第2インク搬送流路52の径よりも小さくなっている。
【0073】
一方、連結体43には、両端部間を貫通するように設けられた連結流路53が形成されており、第1インク搬送流路51からのインクが、この連結流路53を介して、第2インク搬送流路52へと送られるようになっている。
【0074】
連結体43の両端部は、図6に示すような凸型内側R形状を有している。そして、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第1接続式チューブ41が接続されている。同様に、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第2接続式チューブ42が接続されている。
【0075】
また、連結流路53は、中央部分において、第2インク搬送流路52の径よりも小さい径であって、第1インク搬送流路51の径よりも小さい径によって形成された狭小流路53aを有している。
【0076】
なお、狭小流路53aを含む連結流路53の径は、ポンプユニット44の稼働時に、排出管40内を流れるインクの流量、流速、等を考慮して決定される。
【0077】
そして、図4に示すように、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部とが略鉛直方向へ延びるように、キャッピング機構30と、第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42からなる排出管40と、ポンプユニット44と、廃インクタンク45と、は、配設されている。
【0078】
なお、連結体43は、キャッピング機構30とポンプユニット44との間に配設されており、ポンプユニット44は、第2接続式チューブ42の中間部分に配設されている。
【0079】
第1接続式チューブ41は、ガス透過性が比較的低いEPDMチューブあるいはエラストマーチューブであることが好ましく、第2接続式チューブ42はシリコーンチューブであることが好ましい。また、連結体43はPOM(ポリオキシメチレン)樹脂で形成されていることが好ましい。
【0080】
次に、このような構成を有する本実施の形態のインクジェット式記録装置の作用について説明する。
【0081】
上述のような構成を有するインクジェット式記録装置において、印刷の休止時等のような非印刷時には、各ノズルにおけるインクの増粘等を防止するために、キャッピング動作が行われる。
【0082】
キャッピング動作は、インクジェット式記録ヘッド8をホームポジションに移動させて、このインクジェット式記録ヘッド8をキャッピング機構30によって封止することにより行われ、キャッピング機構30とノズル形成面66aとの間には密閉空間が形成される。
【0083】
このようなキャッピング動作は、具体的には図4に示すようにして行われる。すなわち、キャッピング機構30のキャップ部材30bの上側縁を、インクジェット式記録ヘッド8のノズルプレート66に押し当てて、ノズルプレート66の有するノズル形成面66aとキャッピング機構30との間に密閉空間を形成する。このようにして、インクジェット式記録ヘッド8はキャッピング機構30によって封止され、各ノズル開口65が大気に露出されることを防いでいる。
【0084】
また、印刷が長時間行われていない場合には、各ノズル開口65からインク溶媒が蒸発し、各ノズルのインクが乾燥して増粘してしまい、各ノズルからインクを適切に吐出させることができなくなってしまう。このため、このような場合には、新たな印刷動作が行われる前に各ノズルのクリーニングが行われ、各ノズルのインク吐出能力の回復が図られている。
【0085】
クリーニング動作は、ポンプユニット44を稼動させることにより行われる。ポンプユニット44は、排出管40およびインク排出部31を介して、ノズル形成面66aとキャッピング機構30とにより形成された密閉空間に負圧を与える。これにより、各ノズルのインクは、吸引されて、ノズル開口65からキャッピング機構30のインク吸収材30cへ吐出される。
【0086】
クリーニング動作により各ノズルからインク吸収材30cに吐出されたインクは、ポンプユニット44によって更に吸引され、インク吸収材30cからインク排出部31を介して第1接続式チューブ41の第1インク搬送流路51に排出され、その後、第1インク搬送流路51、連結流路53、および第2インク搬送流路52を経て、廃インクタンク45へと搬送される。
【0087】
この時、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へ、スムーズに排出される。
【0088】
すなわち、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、は、略連続的に接続した状態となっている。このため、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面に沿って流動するインクは、インク排出部31あるいは第1接続式チューブ41の端面に阻害されることなく、第1インク搬送流路51へスムーズに流入する。従って、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へスムーズに排出され、キャッピング機構30のインク排出部31と第1接続式チューブ41との接続部分において滞留することはほとんどない。
【0089】
また、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へ、スムーズに排出される。
【0090】
すなわち、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっている。このため、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面に沿って流動するインクは、連結体43あるいは第1接続式チューブ41の端面に阻害されることなく、連結流路53へスムーズに流入する。従って、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へスムーズに排出され、第1接続式チューブ41と連結体43との接続部分において滞留することはほとんどない。
【0091】
更に、インクは、連結流路53から第2インク搬送流路52へ、スムーズに排出される。
【0092】
すなわち、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっている。このため、連結流路53を形成する連結体43の内壁面に沿って流動するインクは、連結体43あるいは第2接続式チューブ42の端面に阻害されることなく、第2インク搬送流路52へスムーズに流入する。従って、インクは、連結流路53から第2インク搬送流路52へスムーズに排出され、連結体43と第2接続式チューブ42との接続部分において滞留することはほとんどない。
【0093】
また、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部とは、略鉛直方向へ延びて形成されているので、この第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部を流れるインクは、重力の作用を受けて流動する。このため、これらの流路を流れるインクは後方へ流れやすくなっており、これらの流路内におけるインクの滞留が効果的に防がれている。
【0094】
一方、増粘したインクが吐出された各ノズルには、インクカートリッジから新たなインクが供給される。そして、各ノズル開口65には適切なメニスカスが形成され、各ノズルのインク吐出能力の回復が図られている。
【0095】
以上説明したように本実施の形態によれば、キャッピング機構30から廃インクタンク45へインクを搬送する排出管40のうち、(a)インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面(b)第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、および(c)連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、のそれぞれは、略連続的に接続した状態となっており、これらの流路内における第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42の各端面の存在を無くしている。このため、これらの各接続部分において、インクの流れが阻害されることはなく、インクが滞留することはほとんどない。
【0096】
また、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部とは略鉛直方向へ延びているので、これらの流路を流れるインクは重力の作用を受けて流動する。これにより、第1インク搬送流路51、連結流路53、および第2インク搬送流路52の一部を流れるインクは後方へ流れ易くなっており、これらの流路におけるインクの滞留が効果的に防がれている。
【0097】
特に、比較的大型のインクジェット式記録装置では、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の全体とが略鉛直方向へ延びるように、キャッピング機構30と、第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42から構成される排出管40と、ポンプユニット44と、廃インクタンク45と、を、略鉛直方向に配設することが可能である。このように、排出管40の流路全体が略鉛直方向へ延びるように各機器類が配設される場合には、重力の作用を更に効果的に利用することができ、排出管40におけるインクの滞留を防止することができる。
【0098】
このようにして、排出管40におけるインクの滞留を防止することにより、滞留したインクの増粘、固化を防ぎ、排出管40の目詰まりを防止している。これにより、キャッピング機構30から排出管40へのスムーズなインクの流動が確保されるとともに、ポンプユニット44によるインクの吸引および搬送を効率良く行うことができる。
【0099】
ところで、連結流路53の中央部分における狭小流路53aは、第2インク搬送流路52の径よりも小さい径によって形成されているので、狭小流路53aの断面積は、第2インク搬送流路52の断面積よりも小さい。このため、狭小流路53aが形成された連結体43は、密閉空間のインク吸収材30cに残存するインクのインク溶媒が連結流路53を介して第2インク搬送流路52側へ蒸発してしまうことを、効果的に防いでいる。このように、狭小流路53aを形成する連結体43は、インク吸収材30cおよび第1インク搬送流路51におけるインクの乾燥および増粘を防いで、インク排出部31や第1インク搬送流路51の目詰まりを防止している。これにより、インクのスムーズな流動が確保されるとともに、ポンプユニット44によるインクの吸引および搬送を効率良く行うことができる。
【0100】
また、第1インク搬送流路51の径は、第2インク搬送流路52の径より小さくなっているので、第1インク搬送流路51の断面積は、第2インク搬送流路52の断面積よりも小さい。このため、第1インク搬送流路51を有する第1接続式チューブ41は、密閉空間のインク吸収材30cに残存するインクのインク溶媒が第1インク搬送流路51を介して第2インク搬送流路52側へ蒸発してしまうことを、効果的に防いでいる。また、第1接続式チューブ41の内壁表面積を小さくすることができるので、第1接続式チューブ41の管壁に対するインク溶媒の透過面積を小さくすることができ、更に効果的にインク溶媒の蒸発を防止している。また、第2接続式チューブ42の径を比較的太くすることができるので、インクによる第2インク搬送流路52の目詰まりを防止するとともに、排出管40の耐摩耗性や弾力性を向上させる構成とすることができる。
【0101】
なお、上述のキャッピング動作やクリーニング動作は、プリンタコントローラ1の制御部6によって制御されている。このため、制御部6は、例えば、非印刷時間や、各動作が行われている時間、等を計測するためタイマー装置(図示せず)を具備しており、タイマー装置によって計測された各種時間に基づいて、キャッピング動作やクリーニング動作の各過程が行われるようになっている。
【0102】
また、上述のキャッピング動作やクリーニング動作は、インクジェット式記録装置に別途設けられた外部スイッチ(図示せず)をON状態に切り換えることによっても実行可能となっている。
【0103】
次に、本実施の形態の第1の変形例について説明する。
【0104】
インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部は、図7に示すような凹形内側R形状を有していてもよい。
【0105】
このような場合であっても、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、が略連続的に接続した状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41が接続されていれば、インク排出部31あるいは第1接続式チューブ41の端面によってインクの流動が阻害されることはない。このため、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へスムーズに流動し、当該接続部分において滞留することはほとんどない。
【0106】
特に、インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部を凹形内側R形状とすることにより、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面とを、略滑らかに接続させた状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41を接続させることが容易となり、よりスムーズなインクの流動を確保することができる。
【0107】
次に、本実施の形態の第2の変形例について説明する。
【0108】
連結体43の両端部は、図8に示すような凹型内側R形状を有していてもよい。
【0109】
このような場合であっても、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第1接続式チューブ41が接続されていれば、第1接続式チューブ41あるいは連結体43の端面によってインクの流動が阻害されることはない。このため、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へスムーズに流動し、当該接続部分において滞留することはほとんどない。
【0110】
同様に、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第2接続式チューブ42が接続されていれば、連結体43あるいは第2接続式チューブ42の端面によってインクの流動が阻害されることはない。このため、インクは連結流路53から第2インク搬送流路52へスムーズに流動し、当該接続部分において滞留することはほとんどない。
【0111】
そして、連結体43の両端部を凹型内側R形状とすることにより、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、および、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、のそれぞれを略滑らかに接続させた状態で、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42を連結体43に接続させることが容易となり、よりスムーズなインクの流動を確保することができる。
【0112】
第2の実施の形態
図9および図10は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。図9は、キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。図10は、排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【0113】
第2の実施の形態のインクジェット式記録装置において、インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部は、図9に示すような内側テーパー形状を有している。そして、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41が接続されている。
【0114】
また、連結体43の両端部は、図10に示すような内側テーパー形状を有している。そして、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第1接続式チューブ41が接続されている。また、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第2接続式チューブ42が接続されている。
【0115】
他の構成は図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0116】
図9および図10において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0117】
本実施の形態のインクジェット式記録装置においても、印刷の休止時等のような非印刷時には、キャッピング動作が行われる。すなわち、インクジェット式記録ヘッド8は、ホームポジションに移動させられて、キャッピング機構30により封止され、キャッピング機構30とノズル形成面66aとの間には密閉空間が形成される。
【0118】
そして、印刷が長時間行われていない場合には、新たな印刷動作が行われる前に、各ノズルのクリーニングが行われ、各ノズルのインク吐出能力の回復が図られている。
【0119】
この時、本実施の形態においても、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、は、略連続的に接続した状態となっているので、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へスムーズに流入する。このため、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面に沿って流動するインクは、インク排出部31あるいは第1接続式チューブ41の端面に阻害されることなく、第1インク搬送流路51へスムーズに流入し、キャッピング機構30のインク排出部31と第1接続式チューブ41との接続部分でインクが滞留することはほとんどない。
【0120】
また、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっているので、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へスムーズに流入する。このため、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面に沿って流動するインクは、第1接続式チューブ41あるいは連結体43の端面に阻害されることなく、連結流路53へスムーズに流入し、第1接続式チューブ41と連結体43との接続部分でインクが滞留することはほとんどない。
【0121】
更に、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっているので、インクは、連結流路53から第2インク搬送流路52へスムーズに流入する。このため、連結流路53を形成する連結体43の内壁面に沿って流動するインクは、連結体43あるいは第2接続式チューブ42の端面に阻害されることなく、第2インク搬送流路52へスムーズに流入し、連結体43と第2接続式チューブ42との接続部分でインクが滞留することはほとんどない。
【0122】
以上説明したように本実施の形態においても、キャッピング機構30から廃インクタンク45へインクを搬送する排出管40のうち、(a)インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面(b)第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、および(c)連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、のそれぞれは、略連続的に接続した状態となっており、これらの流路内における第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42の各端面の存在を無くしている。このため、これらの各接続部分において、インクの流れが阻害されることはなく、インクが滞留することはほとんどない。
【0123】
このようにして、排出管40におけるインクの滞留を防止することにより、滞留したインクの増粘、固化を防ぐとともに、排出管40の目詰まりを防止している。そして、これにより、キャッピング機構30から排出管40へのスムーズなインクの流動が確保されるとともに、ポンプユニット44によるインクの吸引および搬送を効率良く行うことが可能となる。
【0124】
なお、上記の各実施の形態およびその変形例において、(a)インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面、(b)第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、(c)連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、がそれぞれ略滑らかに接続した状態で、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42が連結体43に接続されていることが好ましい。この場合、第1インク搬送流路51と連結流路53との接続部分、および連結流路53と第2インク搬送流路52との接続部分において、これらの流路を形成する内壁に沿って流動するインクは、更にスムーズに後方へ流動する。このため、これらの各接続部分におけるインクの滞留を更に効果的に防ぐことができ、排出管40内における、よりスムーズなインクの流動が確保される。
【0125】
また、上記の本実施の形態及びその変形例では、縦振動モードの圧電振動子61を圧力発生素子として使用したインクジェット式記録ヘッド8を例示したが、他の圧力発生素子を用いることも可能であり、例えば、たわみ振動モードの圧電振動子を用いることもできる。
【0126】
たわみ振動モードの圧電振動子とは、圧力室73の外壁に取り付けられた圧電振動子のたわみを利用して圧力室73内の圧力を変動させる圧電振動子であって、例えば特開2001−260369において開示されているようなタイプのたわみ振動モードの圧電振動子が考えられる。そして、このたわみ振動モードのインクジェット式記録ヘッドを用いた場合でも、上記の本実施の形態およびその変形例における場合と同様の効果を得ることができる。
【0127】
また、連結体43の両端部の各々を異なる形状とすることもできる。例えば、連結体43の一方の端部を凸型内側R形状とし、他方の端部を、凹形内側R形状や内側テーパー形状等とすることもできる。
【0128】
更に、上述のようなインクジェット式記録装置では、各種のカラーインクの他に、顔料インクや染料インク等といった様々なタイプのインクを用いることができる。例えば顔料インクが、インク排出部31から排出管40内に排出されて、この排出管40内で長時間滞留した場合には、増粘、固化して固体状で付着することがある。しかしながら、上述したインクジェット式記録装置を用いることにより、排出管40内における顔料インク等の各種インクの滞留を効果的に防止して、排出管40の目詰まりを防ぐことができる。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1接続式チューブの内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体は、前記第1接続式チューブおよび前記第2の管に連接されている。
【0130】
このため、排出管のうち、連結体に対して略連続的に接続された第1接続式チューブあるいは第2の管と、連結体と、の接続部分であっても、インクはスムーズに流動することができ、排出管のうち、このような部分におけるインクの滞留を効果的に防ぐことができる。
【0131】
また、本発明によれば、前記キャッピング手段と前記第1接続式チューブと前記連結体と前記第2の管と前記負圧発生手段とは、少なくとも前記連結流路が略鉛直方向へ延びるように、配設されている。
【0132】
このため、少なくとも前記連結流路を流れるインクは、重力の作用により流動が助長され、後方へ流れ易くなっており、インクの滞留が効果的に防がれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式記録装置の構成を説明する概略ブロック図である。
【図2】インクジェット式記録装置の概略構成図である。
【図3】インクジェット式記録ヘッドの概略構成図である。
【図4】キャッピング機構によってインクジェット式記録ヘッドを封止した状態を示す概略図である。
【図5】キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。
【図6】排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【図7】第1の実施の形態の変形例における、キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態の変形例における、排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるキャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【図11】連結体を有する従来の排出管の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 プリンタコントローラ
2 プリントエンジン
6 制御部
8 インクジェット式記録ヘッド
18 記録紙
30 キャッピング機構
30a キャップケース
30b キャップ部材
30c インク吸収材
30d 保持体
31 インク排出部
32 大気開放部
32a 大気開放バルブ
40 排出管
41 第1接続式チューブ
42 第2接続式チューブ
43 連結体
44 ポンプユニット
45 廃インクタンク
51 第1インク搬送流路
52 第2インク搬送流路
53 連結流路
53a 狭小流路
61 圧電振動子
65 ノズル開口
66 ノズルプレート
66a ノズル形成面
67 振動板
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット式記録装置に関し、特に、非印刷時にインクジェット式記録ヘッドを封止するキャッピング手段と、キャッピング手段からインクを排出する排出管と、を備えたインクジェット式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット式記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、しかも小さなドットを高い密度で形成することができるため、昨今においてはカラー印刷を含めた多くの印刷に使用されている。
【0003】
このようなインクジェット式記録装置は、インクカートリッジからのインクの供給を受けるインクジェット式記録ヘッドと、記録用紙をインクジェット式記録ヘッドに対して相対的に移動させることができる紙送り手段と、を備えている。そして、インクジェット式記録ヘッドをキャリッジ上で記録用紙の幅方向に移動させながら記録用紙に対してインク滴を吐出させることで、記録用紙に所望の画像(文字等)が印刷されるようになっている。
【0004】
インクジェット式記録ヘッドは、圧力室で加圧したインクをノズルからインク滴として記録用紙に吐出させて印刷を行うようになっている。従って、インク溶媒の蒸発に起因するノズル開口におけるインクの粘度上昇および固化、塵埃の付着、気泡の混入、等によって、印刷不良を招くことがある。
【0005】
このため、インクジェット式記録装置は、非印刷時(休止時)にインクジェット式記録ヘッドを封止(キャッピング)するキャッピング手段と、キャッピング手段に排出管を介して接続された廃インクタンクと、キャッピング手段から廃インクタンクへインクを搬送することができるポンプユニットと、を備えている。
【0006】
キャッピング手段は、非印刷時にインクジェット式記録ヘッドを封止して、ノズル形成面との間に密閉空間を形成することができるようになっている。このように、インクジェット式記録ヘッドをキャッピング手段によって封止することにより、ノズル開口部分が大気に露出されることを防ぎ、ノズル開口におけるインクの増粘や固化を防止することができるようになっている。また、大気中の塵埃をシャットアウトして、塵埃の付着を防止することができるようになっている。
【0007】
更に、ノズル開口におけるインクが増粘、固化した場合には、ポンプユニットによって、キャッピング手段とノズル形成面との間に形成された密閉空間に負圧を与えることにより、ノズル内の増粘、固化したインクをノズル開口から吸引除去すること(クリーニング)ができるようになっている。そして、ノズル開口から吸引されたインクは、ポンプユニットにより、キャッピング手段から排出管を介して廃インクタンクへ搬送されるようになっている。
【0008】
このように、ノズル開口におけるインクが増粘、固化してしまい、ノズルからインクを適切に吐出させることができない場合であっても、上述のクリーニング動作により、ノズルのインク吐出能力を適切に回復させることができるようになっている。
【0009】
ところで、インクジェット式記録装置の小型化が進み構成が複雑化している昨今において、上述のキャッピング手段、ポンプユニット、および廃インクタンクは、限られた設置スペースに配置されることが要求されており、これらの各装置は、複雑な構成で配置される場合がある。これに伴って、これらの各装置間に配設される排出管も複雑な配置が要求される。また、各装置に接続可能な管径や管材質が、各装置毎に異なる場合には、単一の管によって、上述のキャッピング手段、ポンプユニット、および廃インクタンクを連結することは難しい。
【0010】
そこで、図11に示すように、複数の接続式チューブ45を連結体46によって連結して排出管40を構成することにより、設置スペースの有効利用が図られているとともに、各装置の管接続態様に適切に対応している。すなわち、連結体46によって接続式チューブ45の接続方向を調節したり、チューブの長さを変えたりすることにより、排出管40の配置態様の自由度は向上する。また、接続式チューブ45と連結体46との接続部分を適宜調整することにより、管径や管材質の異なる管同士を適切に連結することが可能となる。
【0011】
【発明を解決しようとする課題】
上述のように、キャッピング手段、ポンプユニット、および廃インクタンクの相互間に介在する排出管40を、複数の接続式チューブ45と連結体46とを組み合わせて構成することが、従来から行われている。
【0012】
しかしながら、このような排出管40において、接続式チューブ45と連結体46との接続部位では、接続式チューブ45あるいは連結体46の端面によりインクの流動が阻害され、インクが滞留し易い。そして、インクが滞留した状態で時間が経過すると、滞留したインク中からインク溶媒(例えば水等)が蒸発し、滞留しているインクの増粘、固化が進行して、排出管40では目詰まりが生じることがある。とりわけ、連結体46が水平方向に配置された場合には、接続式チューブ45と連結体46との接続部位におけるインクの滞留や排出管40の目詰まりといった現象が助長される。
【0013】
このように、接続式チューブ45と連結体46との接続部位にインクが滞留して排出管40に目詰まりが生じると、排出管40におけるインクの搬送は阻害され、キャッピング手段から廃インクタンクへインクをスムーズに搬送することが難しくなる。
【0014】
特に、キャッピング手段から排出管40へ排出されるインクは、いわゆるフラッシング動作やクリーニング動作によりノズル開口から吐出された、通常よりも増粘したインクであることが多い。このため、キャッピング手段から排出管40へ排出されるインクは、接続式チューブ45と連結体46との接続部位において滞留し、増粘・固化しやすい。
【0015】
更に、排出管40が、様々な方向に延びており、鉛直方向および水平方向が複雑に入り組んで構成されている場合には、排出管40内にインクが滞留しやすい。特に、水平方向に延びる部分では、重力の作用によりインクの流動が助長される、ということはないので、インクが滞留しやすい。
【0016】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたものであり、キャッピング手段からインクを排出する排出管において、インクの滞留を防ぐことができるインクジェット式記録装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ノズル形成面を有するインクジェット式記録ヘッドと、インク排出部を有し、前記インクジェット式記録ヘッドを封止して前記インク吐出ノズル形成面との間に密閉空間を形成するキャッピング手段と、前記キャッピング手段のインク排出部に接続され、前記インク排出部から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路が形成された第1の管と、前記第1搬送流路からのインクを搬送するための第2インク搬送流路が形成された第2の管と、前記第1の管と前記第2の管との間に配設され、前記第1インク搬送流路からのインクを前記第2インク搬送流路へ送るための連結流路が両端部間を貫通する連結体であって、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、前記第1の管および前記第2の管が接続されている連結体と、前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させる負圧発生手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0018】
負圧発生手段は、前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させることにより、前記ノズルからキャッピング手段にインクを吸引吐出させることができるとともに、キャッピング手段に吐出されたインクを、インク排出部を介して前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路へ送ることができるようになっている。
【0019】
本発明は、ノズル形成面を有するインクジェット式記録ヘッドと、インク排出部を有し、前記インクジェット式記録ヘッドを封止して前記インク吐出ノズル形成面との間に密閉空間を形成するキャッピング手段と、前記キャッピング手段のインク排出部に接続され、前記インク排出部から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路が形成された第1の管と、前記第1搬送流路からのインクを搬送するための第2インク搬送流路が形成された第2の管と、前記第1の管と前記第2の管との間に配設され、前記第1インク搬送流路からのインクを前記第2インク搬送流路へ送るための連結流路が両端部間を貫通する連結体と、前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させる負圧発生手段と、を備えたインクジェット式記録装置であって、前記キャッピング手段と前記第1の管と前記連結体と前記第2の管と前記負圧発生手段とは、少なくとも前記連結流路が略鉛直方向へ延びるように、配設されていることを特徴とするインクジェット式記録装置である。
【0020】
前記第1の管および前記第2の管は、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、前記連結体に接続されていることが好ましい。
【0021】
前記第1の管および前記第2の管は、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略滑らかに接続した状態で、前記連結体に接続されていることが好ましい。
【0022】
前記連結体の両端部のうち少なくともいずれか一方の端部は、内側R形状を有することが好ましい。
【0023】
前記連結体の両端部のうち少なくともいずれか一方の端部は、内側テーパー形状を有することが好ましい。
【0024】
前記第1インク搬送流路の径は、前記第2インク搬送流路の径よりも小さいことが好ましい。
【0025】
前記連結流路は、前記第2インク搬送流路の径よりも小さい径によって形成された狭小流路を有することが好ましい。
【0026】
前記第1の管は、前記インク排出部を形成する前記キャッピング手段の内壁面と前記第1の管の内壁面とが略連続的に接続した状態で、前記インク排出部に接続されていることが好ましい。
【0027】
前記第1の管は、前記インク排出部を形成する前記キャッピング手段の内壁面と前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面とが略滑らかに接続した状態で、前記インク排出部に連接されていることが好ましい。
【0028】
前記インク排出部の端部のうち第1の管が接続される側の端部は、内側R形状を有することが好ましい。
【0029】
前記インク排出部の端部のうち第1の管が接続される側の端部は、内側テーパ形状を有することが好ましい。
【0030】
前記インク排出部から排出されるインクは、顔料インクであることが好ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
第1の実施の形態
図1乃至図6は、本発明の第1の実施の形態を示す図である。図1は、インクジェット式記録装置の構成を説明する概略ブロック図である。図2は、インクジェット式記録装置の概略構成図である。図3は、インクジェット式記録ヘッドの概略構成図である。図4は、キャッピング機構によってインクジェット式記録ヘッドをキャッピングした状態を示す概略図である。図5は、キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。図6は、排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【0033】
本実施の形態のインクジェット式記録装置は、インクジェット式プリンタであって、図1に示すように、プリンタコントローラ1と、プリントエンジン2と、を備えている。
【0034】
プリンタコントローラ1は、図1に示すように、外部インターフェース3(外部I/F)と、各種データを一時的に記憶するRAM4と、制御プログラム等を記憶したROM5と、CPU等を含んで構成された制御部(制御手段)6と、クロック信号を発生する発振回路7と、インクジェット式記録ヘッド8に供給する駆動信号を発生する駆動信号発生部9と、駆動信号や、印刷データに基づいて展開されたドットパターンデータ(ビットマップデータ)等をプリントエンジン2に送信する内部インターフェース10(内部I/F)と、を備えている。
【0035】
更に、プリンタコントローラ1は、着脱可能に保持された記録媒体の一種であるメモリカード11と、記録媒体保持部として機能するカードスロット12と、メモリカード11に記録された情報を制御部6に送信するカードインターフェース13(カードI/F)と、を備えている。上記のメモリカード11には、駆動信号の波形に関するデータが記録されている。なお、メモリカード11以外の記録媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光磁気ディスク等も使用することができる。
【0036】
外部I/F3は、例えば、キャラクタコード、グラフィック関数、イメージデータ等によって構成される印刷データを、図示しないホストコンピュータ等から受信するようになっている。また、ビシー信号(BUSY)やアクノレッジ信号(ACK)が、外部I/F3を通じて、ホストコンピュータ等に対し出力されるようになっている。
【0037】
RAM4は、受信バッファ4A、中間バッファ4B、出力バッファ4C、及びワークメモリ(図示せず)を有している。受信バッファ4Aは、外部I/F3を介して受信し印刷データを一時的に記憶し、中間バッファ4Bは、制御部6により変換された中間コードデータを記憶し、出力バッファ4Cは、ドットパターンデータを記憶するようになっている。ここで、ドットパターンデータとは、中間コードデータ(例えば、階調データ)をデコード(翻訳)することにより得られる印字データである。
【0038】
ROM5には、各種データ処理を行わせるための制御プログラム(制御ルーチン)の他に、フォントデータ、グラフィック関数等が記憶されている。
【0039】
制御部6は、ROM5に記憶された制御プログラムに従って各種の制御を行うようになっている。例えば、受信バッファ4A内の印刷データを読み出すと共にこの印刷データを変換して中間コードデータとし、当該中間コードデータを中間バッファ4Bに記憶させるようになっている。また、制御部6は、中間バッファ4Bから読み出した中間コードデータを解析し、ROM5に記憶されているフォントデータ及びグラフィック関数等を参照して、ドットパターンデータに展開(デコード)するようになっている。そして、制御部6は、必要な装飾処理を施した後に、このドットパターンデータを出力バッファ4Cに記憶させるようになっている。
【0040】
更に、制御部6は、後述のキャッピング動作やクリーニング動作を制御することもできるようになっている。
【0041】
インクジェット式記録ヘッド8の1回の主走査により記録可能な1行分のドットパターンデータが得られた場合、当該1行分のドットパターンデータが、出力バッファ4Cから内部I/F10を通じて順次インクジェット式記録ヘッド8に出力されるようになっている。出力バッファ4Cから1行分のドットパターンデータが出力されると、展開済みの中間コードデータが中間バッファ4Bから消去され、次の中間コードデータについての展開処理が行われるようになっている。
【0042】
駆動信号発生部9は、印刷時やフラッシング時にノズル開口65からインクを吐出させるための吐出用の駆動信号(吐出駆動信号)と、メニスカス近傍のインクを微振動させてノズル開口65付近のインクを撹拌するための微振動用の駆動信号(微振動駆動信号)と、を発生させることができるようになっている。そして、駆動信号発生部9は、吐出駆動信号および微振動駆動信号のうち選択された所定の駆動信号を、内部I/Fに出力することができるようになっている。
【0043】
一方、プリントエンジン2は、キャリッジ機構16と、紙送り機構17と、インクジェット式記録ヘッド8と、を含んで構成されている。
【0044】
キャリッジ機構16は、図2に示すように、ガイド部材20に対して移動自在に取り付けられるとともにインクジェット式記録ヘッド8及びインクカートリッジ19を搭載可能なキャリッジ21と、駆動プーリ22と従動プーリ23との間に架け渡されると共にキャリッジ21に接続されたタイミングベルト24と、駆動プーリ22を回転させるパルスモータ25と、を備えている。
【0045】
このようなキャリッジ機構16によれば、パルスモータ25の作動により、記録紙18の幅方向(主走査方向)に沿ってキャリッジ21が往復移動し、これに伴って、キャリッジ21に搭載されたインクジェット式記録ヘッド8も、主走査方向に沿って移動するようになっている。なお、このキャリッジ21の移動は、ホームポジション側の基準位置を起点にして行われるようになっている。
【0046】
ここでホームポジションとは、電源が投入されていない場合等のように印刷が行われていない状態が長時間に亘る場合等に、キャリッジ21を待機させる位置である。本実施の形態では、図2における右端部にホームポジションが設けられている。なお、このホームポジションには、インクジェット式記録ヘッド8を封止することができるキャッピング機構(キャッピング手段)30が設けられている。一方、基準位置は、ホームポジションから少し左側の位置に設定されており、具体的には、記録紙18の右側縁とキャッピング機構30との間に設定されている。
【0047】
ホームポジションに設けられたキャッピング機構30は、キャリッジ21に搭載されたインクジェット式記録ヘッド8がホームポジションに移動した時に、インクジェット式記録ヘッド8のノズル形成面66aを封止して、ノズル形成面66aとの間に密閉空間を形成するように構成されている。
【0048】
キャッピング機構30の下方には排出管40を介して廃インクタンク45が接続され、また、キャッピング機構30と廃インクタンク45との間にはポンプユニット(負圧発生手段)44が設置されている。ポンプユニット44は、排出管40を介して、ノズル形成面66aとキャッピング機構30とにより形成された密閉空間に負圧を与えて、ノズル内のインクをキャッピング機構30内に吸引吐出させることができるようになっている。また、ポンプユニット44は、キャッピング機構30内に吐出されたインクを、インク排出部31から排出管40内の流路を介して廃インクタンク45へ搬送することができるように構成されている。
【0049】
なお、キャッピング機構30、排出管40、ポンプユニット44、および廃インクタンク45の詳細な構成については後述する。
【0050】
紙送り機構17は、紙送りモータと紙送りローラ等を含んで構成されており、インクジェット式記録ヘッド8の記録動作に連動させて、記録紙18を順次送り出すことができるようになっている。即ち、この紙送り機構17は、記録紙18を副走査方向である記録紙18の送り方向へ移動させることができるようになっている。
【0051】
インクジェット式記録ヘッド8は、図3に示すように、縦振動モードの圧電振動子61を具備する構造を有している。
【0052】
すなわち、インクジェット式記録ヘッド8は、合成樹脂製の基台63と、この基台63の前面(図の左側に相当する)に貼着された流路ユニット64と、を備えている。
【0053】
基台63は、前面と背面に開放された収容空間69が設けられたブロック状部材である。この収容空間69には、固定基板70に固定された縦振動モードの圧電振動子61が収容されている。縦振動モードの圧電振動子61は、充電されると電界と直交する方向に収縮し、放電すると電界と直交する方向に伸長する特性を有している。
【0054】
流路ユニット64は、流路形成板68と、流路形成板68の前面側に配設されたノズルプレート66と、流路形成板の背面側に配設された振動板67とが、接着等により一体化されて、形成されている。
【0055】
ノズルプレート66は、多数のノズル開口65が穿設された薄い板状部材であり、各ノズルは、ドット形成密度に対応した所定ピッチで設けられている。
【0056】
振動板67は、圧電振動子61が当接する厚肉部としてのアイランド部71と、このアイランド部71の周囲を囲うように設けられ、弾性を有する薄肉部72と、を備えた板状部材である。アイランド部71は、一つのノズル開口65に一つのアイランド部71が対応するように、所定ピッチで多数設けられている。そして、流路ユニット64には、ノズル開口65の背面側に位置するとともに振動板67のアイランド部の前面側に位置する圧力室73と、共通インク室74と、圧力室73と共通インク室74とを連通するインク供給路75と、が形成されている。
【0057】
圧電振動子61の先端は、アイランド部71に背面側から当接され、この当接状態で圧電振動子61が基台63に固定されている。また、この圧電振動子61には、フレキシブルケーブルを介して駆動電圧が供給されるようになっており、圧電振動子61は、供給された駆動電圧に応じて充電或いは放電が行われるようになっている。
【0058】
このような構成を有するインクジェット式記録ヘッド8において、圧電振動子61は充電されることにより収縮し、この収縮に伴ってアイランド部71が後方へ引き戻される。これにより、収縮していた圧力室73が膨張し、室内の圧力が変動するようになっている。この室内の圧力変動に伴って、共通インク室74のインクが、インク供給路75を通って圧力室73内に流入するようになっている。一方、圧電振動子61は放電されることにより伸長し、振動板67のアイランド部71が前方へ押される。これにより、圧力室73が収縮し、この収縮に伴って、圧力室73の室内の圧力は高くなって、ノズル開口65からインク滴が吐出されるようになっている。
【0059】
このようなインクジェット式記録ヘッド8は、図1に示すような電気的構成を有しており、シフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58及び圧電振動子61が、電気的に順次接続されている。
【0060】
そして、シフトレジスタ55、ラッチ回路56、レベルシフタ57、スイッチ58は、駆動電圧供給手段として機能する。すなわち、これらの各装置は、制御部6により制御されて、駆動信号発生部9における所定の駆動信号から駆動電圧を生成し、この駆動電圧を圧電振動子61に供給するようになっている。そして、圧電振動子61は、供給された駆動電圧に応じて伸長あるいは収縮するようになっている。
【0061】
次に、キャッピング機構30、排出管40、ポンプユニット44、および廃インクタンク45の詳細な構成について、図4乃至図6を用いて説明する。
【0062】
上述したように、キャッピング機構30と廃インクタンク45とは、排出管40により連結されており、また、キャッピング機構30と廃インクタンク45との間には、ポンプユニット44が配設されている(図4参照)。
【0063】
キャッピング機構30は、図4に示すように、上面が開放された方形状のキャップケース30aと、キャップケース30a内に収納されたゴム材料などの可撓性物質よりなるキャップ部材30bと、を具備している。
【0064】
キャップ部材30bは、その上側縁がキャップケース30aよりも若干突出した状態で形成されており、キャップ部材30bの内底部には、多孔質材料により形成されたインク吸収材30cが収納されている。そして、このインク吸収材30cは、キャップ部材30bと一体的に形成された保持体30dにより保持されている。
【0065】
キャップケース30aの下底部には、キャップケース30aおよびキャップ部材30bをそれぞれ貫通するようにして、インク排出部31と大気開放部32とが形成されている。
【0066】
インク排出部31には、排出管40を介して廃インクタンク45が接続されている。この排出管40は、後述するように、第1接続式チューブ(第1の管)41と第2接続式チューブ(第2の管)42とが連結体43を介して連結されて構成されている。
【0067】
インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部は、図5に示すような凸型内側R形状を有している。そして、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、が略連続的に接続した状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41が接続されている。
【0068】
一方、大気開放部32には、通気管を介して大気開放バルブ32aが接続されている。
【0069】
このような構成を有するキャッピング機構30は、非印刷時にインクジェット式記録ヘッド8がキャッピング機構30の上部に移動した際に、このインクジェット式記録ヘッド8のノズルプレート67aに対してキャップ部材30bを密着させて、インクジェット式記録ヘッド8を封止することができるようになっている。
【0070】
一方、キャッピング機構30と廃インクタンク45との間に介在する排出管40は、図4に示すような構造を有している。
【0071】
すなわち、排出管40は、第1接続式チューブ(第1の管)41と第2接続式チューブ(第2の管)42との間に連結体43が配設された構成を有しており、第1接続式チューブ41の一端が連結体43の一端部に接続され、第2接続式チューブ42の一端が連結体43の他端部に接続されている。
【0072】
第1接続式チューブ41には、インク排出部31から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路51が形成され、第2接続式チューブ42には、第1インク搬送流路51からのインクを搬送するための第2インク搬送流路52が形成されている。そして、第1インク搬送流路51の径は、第2インク搬送流路52の径よりも小さくなっている。
【0073】
一方、連結体43には、両端部間を貫通するように設けられた連結流路53が形成されており、第1インク搬送流路51からのインクが、この連結流路53を介して、第2インク搬送流路52へと送られるようになっている。
【0074】
連結体43の両端部は、図6に示すような凸型内側R形状を有している。そして、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第1接続式チューブ41が接続されている。同様に、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第2接続式チューブ42が接続されている。
【0075】
また、連結流路53は、中央部分において、第2インク搬送流路52の径よりも小さい径であって、第1インク搬送流路51の径よりも小さい径によって形成された狭小流路53aを有している。
【0076】
なお、狭小流路53aを含む連結流路53の径は、ポンプユニット44の稼働時に、排出管40内を流れるインクの流量、流速、等を考慮して決定される。
【0077】
そして、図4に示すように、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部とが略鉛直方向へ延びるように、キャッピング機構30と、第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42からなる排出管40と、ポンプユニット44と、廃インクタンク45と、は、配設されている。
【0078】
なお、連結体43は、キャッピング機構30とポンプユニット44との間に配設されており、ポンプユニット44は、第2接続式チューブ42の中間部分に配設されている。
【0079】
第1接続式チューブ41は、ガス透過性が比較的低いEPDMチューブあるいはエラストマーチューブであることが好ましく、第2接続式チューブ42はシリコーンチューブであることが好ましい。また、連結体43はPOM(ポリオキシメチレン)樹脂で形成されていることが好ましい。
【0080】
次に、このような構成を有する本実施の形態のインクジェット式記録装置の作用について説明する。
【0081】
上述のような構成を有するインクジェット式記録装置において、印刷の休止時等のような非印刷時には、各ノズルにおけるインクの増粘等を防止するために、キャッピング動作が行われる。
【0082】
キャッピング動作は、インクジェット式記録ヘッド8をホームポジションに移動させて、このインクジェット式記録ヘッド8をキャッピング機構30によって封止することにより行われ、キャッピング機構30とノズル形成面66aとの間には密閉空間が形成される。
【0083】
このようなキャッピング動作は、具体的には図4に示すようにして行われる。すなわち、キャッピング機構30のキャップ部材30bの上側縁を、インクジェット式記録ヘッド8のノズルプレート66に押し当てて、ノズルプレート66の有するノズル形成面66aとキャッピング機構30との間に密閉空間を形成する。このようにして、インクジェット式記録ヘッド8はキャッピング機構30によって封止され、各ノズル開口65が大気に露出されることを防いでいる。
【0084】
また、印刷が長時間行われていない場合には、各ノズル開口65からインク溶媒が蒸発し、各ノズルのインクが乾燥して増粘してしまい、各ノズルからインクを適切に吐出させることができなくなってしまう。このため、このような場合には、新たな印刷動作が行われる前に各ノズルのクリーニングが行われ、各ノズルのインク吐出能力の回復が図られている。
【0085】
クリーニング動作は、ポンプユニット44を稼動させることにより行われる。ポンプユニット44は、排出管40およびインク排出部31を介して、ノズル形成面66aとキャッピング機構30とにより形成された密閉空間に負圧を与える。これにより、各ノズルのインクは、吸引されて、ノズル開口65からキャッピング機構30のインク吸収材30cへ吐出される。
【0086】
クリーニング動作により各ノズルからインク吸収材30cに吐出されたインクは、ポンプユニット44によって更に吸引され、インク吸収材30cからインク排出部31を介して第1接続式チューブ41の第1インク搬送流路51に排出され、その後、第1インク搬送流路51、連結流路53、および第2インク搬送流路52を経て、廃インクタンク45へと搬送される。
【0087】
この時、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へ、スムーズに排出される。
【0088】
すなわち、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、は、略連続的に接続した状態となっている。このため、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面に沿って流動するインクは、インク排出部31あるいは第1接続式チューブ41の端面に阻害されることなく、第1インク搬送流路51へスムーズに流入する。従って、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へスムーズに排出され、キャッピング機構30のインク排出部31と第1接続式チューブ41との接続部分において滞留することはほとんどない。
【0089】
また、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へ、スムーズに排出される。
【0090】
すなわち、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっている。このため、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面に沿って流動するインクは、連結体43あるいは第1接続式チューブ41の端面に阻害されることなく、連結流路53へスムーズに流入する。従って、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へスムーズに排出され、第1接続式チューブ41と連結体43との接続部分において滞留することはほとんどない。
【0091】
更に、インクは、連結流路53から第2インク搬送流路52へ、スムーズに排出される。
【0092】
すなわち、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっている。このため、連結流路53を形成する連結体43の内壁面に沿って流動するインクは、連結体43あるいは第2接続式チューブ42の端面に阻害されることなく、第2インク搬送流路52へスムーズに流入する。従って、インクは、連結流路53から第2インク搬送流路52へスムーズに排出され、連結体43と第2接続式チューブ42との接続部分において滞留することはほとんどない。
【0093】
また、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部とは、略鉛直方向へ延びて形成されているので、この第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部を流れるインクは、重力の作用を受けて流動する。このため、これらの流路を流れるインクは後方へ流れやすくなっており、これらの流路内におけるインクの滞留が効果的に防がれている。
【0094】
一方、増粘したインクが吐出された各ノズルには、インクカートリッジから新たなインクが供給される。そして、各ノズル開口65には適切なメニスカスが形成され、各ノズルのインク吐出能力の回復が図られている。
【0095】
以上説明したように本実施の形態によれば、キャッピング機構30から廃インクタンク45へインクを搬送する排出管40のうち、(a)インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面(b)第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、および(c)連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、のそれぞれは、略連続的に接続した状態となっており、これらの流路内における第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42の各端面の存在を無くしている。このため、これらの各接続部分において、インクの流れが阻害されることはなく、インクが滞留することはほとんどない。
【0096】
また、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の一部とは略鉛直方向へ延びているので、これらの流路を流れるインクは重力の作用を受けて流動する。これにより、第1インク搬送流路51、連結流路53、および第2インク搬送流路52の一部を流れるインクは後方へ流れ易くなっており、これらの流路におけるインクの滞留が効果的に防がれている。
【0097】
特に、比較的大型のインクジェット式記録装置では、第1インク搬送流路51と連結流路53と第2インク搬送流路52の全体とが略鉛直方向へ延びるように、キャッピング機構30と、第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42から構成される排出管40と、ポンプユニット44と、廃インクタンク45と、を、略鉛直方向に配設することが可能である。このように、排出管40の流路全体が略鉛直方向へ延びるように各機器類が配設される場合には、重力の作用を更に効果的に利用することができ、排出管40におけるインクの滞留を防止することができる。
【0098】
このようにして、排出管40におけるインクの滞留を防止することにより、滞留したインクの増粘、固化を防ぎ、排出管40の目詰まりを防止している。これにより、キャッピング機構30から排出管40へのスムーズなインクの流動が確保されるとともに、ポンプユニット44によるインクの吸引および搬送を効率良く行うことができる。
【0099】
ところで、連結流路53の中央部分における狭小流路53aは、第2インク搬送流路52の径よりも小さい径によって形成されているので、狭小流路53aの断面積は、第2インク搬送流路52の断面積よりも小さい。このため、狭小流路53aが形成された連結体43は、密閉空間のインク吸収材30cに残存するインクのインク溶媒が連結流路53を介して第2インク搬送流路52側へ蒸発してしまうことを、効果的に防いでいる。このように、狭小流路53aを形成する連結体43は、インク吸収材30cおよび第1インク搬送流路51におけるインクの乾燥および増粘を防いで、インク排出部31や第1インク搬送流路51の目詰まりを防止している。これにより、インクのスムーズな流動が確保されるとともに、ポンプユニット44によるインクの吸引および搬送を効率良く行うことができる。
【0100】
また、第1インク搬送流路51の径は、第2インク搬送流路52の径より小さくなっているので、第1インク搬送流路51の断面積は、第2インク搬送流路52の断面積よりも小さい。このため、第1インク搬送流路51を有する第1接続式チューブ41は、密閉空間のインク吸収材30cに残存するインクのインク溶媒が第1インク搬送流路51を介して第2インク搬送流路52側へ蒸発してしまうことを、効果的に防いでいる。また、第1接続式チューブ41の内壁表面積を小さくすることができるので、第1接続式チューブ41の管壁に対するインク溶媒の透過面積を小さくすることができ、更に効果的にインク溶媒の蒸発を防止している。また、第2接続式チューブ42の径を比較的太くすることができるので、インクによる第2インク搬送流路52の目詰まりを防止するとともに、排出管40の耐摩耗性や弾力性を向上させる構成とすることができる。
【0101】
なお、上述のキャッピング動作やクリーニング動作は、プリンタコントローラ1の制御部6によって制御されている。このため、制御部6は、例えば、非印刷時間や、各動作が行われている時間、等を計測するためタイマー装置(図示せず)を具備しており、タイマー装置によって計測された各種時間に基づいて、キャッピング動作やクリーニング動作の各過程が行われるようになっている。
【0102】
また、上述のキャッピング動作やクリーニング動作は、インクジェット式記録装置に別途設けられた外部スイッチ(図示せず)をON状態に切り換えることによっても実行可能となっている。
【0103】
次に、本実施の形態の第1の変形例について説明する。
【0104】
インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部は、図7に示すような凹形内側R形状を有していてもよい。
【0105】
このような場合であっても、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、が略連続的に接続した状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41が接続されていれば、インク排出部31あるいは第1接続式チューブ41の端面によってインクの流動が阻害されることはない。このため、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へスムーズに流動し、当該接続部分において滞留することはほとんどない。
【0106】
特に、インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部を凹形内側R形状とすることにより、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面とを、略滑らかに接続させた状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41を接続させることが容易となり、よりスムーズなインクの流動を確保することができる。
【0107】
次に、本実施の形態の第2の変形例について説明する。
【0108】
連結体43の両端部は、図8に示すような凹型内側R形状を有していてもよい。
【0109】
このような場合であっても、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第1接続式チューブ41が接続されていれば、第1接続式チューブ41あるいは連結体43の端面によってインクの流動が阻害されることはない。このため、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へスムーズに流動し、当該接続部分において滞留することはほとんどない。
【0110】
同様に、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第2接続式チューブ42が接続されていれば、連結体43あるいは第2接続式チューブ42の端面によってインクの流動が阻害されることはない。このため、インクは連結流路53から第2インク搬送流路52へスムーズに流動し、当該接続部分において滞留することはほとんどない。
【0111】
そして、連結体43の両端部を凹型内側R形状とすることにより、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、および、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、のそれぞれを略滑らかに接続させた状態で、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42を連結体43に接続させることが容易となり、よりスムーズなインクの流動を確保することができる。
【0112】
第2の実施の形態
図9および図10は、本発明の第2の実施の形態を示す図である。図9は、キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。図10は、排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【0113】
第2の実施の形態のインクジェット式記録装置において、インク排出部31の端部のうち第1接続式チューブ41が接続される側の端部は、図9に示すような内側テーパー形状を有している。そして、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、インク排出部31に第1接続式チューブ41が接続されている。
【0114】
また、連結体43の両端部は、図10に示すような内側テーパー形状を有している。そして、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第1接続式チューブ41が接続されている。また、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体43に第2接続式チューブ42が接続されている。
【0115】
他の構成は図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0116】
図9および図10において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0117】
本実施の形態のインクジェット式記録装置においても、印刷の休止時等のような非印刷時には、キャッピング動作が行われる。すなわち、インクジェット式記録ヘッド8は、ホームポジションに移動させられて、キャッピング機構30により封止され、キャッピング機構30とノズル形成面66aとの間には密閉空間が形成される。
【0118】
そして、印刷が長時間行われていない場合には、新たな印刷動作が行われる前に、各ノズルのクリーニングが行われ、各ノズルのインク吐出能力の回復が図られている。
【0119】
この時、本実施の形態においても、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と、第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面と、は、略連続的に接続した状態となっているので、インクは、インク排出部31から第1インク搬送流路51へスムーズに流入する。このため、インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面に沿って流動するインクは、インク排出部31あるいは第1接続式チューブ41の端面に阻害されることなく、第1インク搬送流路51へスムーズに流入し、キャッピング機構30のインク排出部31と第1接続式チューブ41との接続部分でインクが滞留することはほとんどない。
【0120】
また、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっているので、インクは、第1インク搬送流路51から連結流路53へスムーズに流入する。このため、第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面に沿って流動するインクは、第1接続式チューブ41あるいは連結体43の端面に阻害されることなく、連結流路53へスムーズに流入し、第1接続式チューブ41と連結体43との接続部分でインクが滞留することはほとんどない。
【0121】
更に、連結流路53を形成する連結体43の内壁面と、第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面と、は略連続的に接続した状態となっているので、インクは、連結流路53から第2インク搬送流路52へスムーズに流入する。このため、連結流路53を形成する連結体43の内壁面に沿って流動するインクは、連結体43あるいは第2接続式チューブ42の端面に阻害されることなく、第2インク搬送流路52へスムーズに流入し、連結体43と第2接続式チューブ42との接続部分でインクが滞留することはほとんどない。
【0122】
以上説明したように本実施の形態においても、キャッピング機構30から廃インクタンク45へインクを搬送する排出管40のうち、(a)インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1接続式チューブ41の一方の端部における内壁面(b)第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、および(c)連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、のそれぞれは、略連続的に接続した状態となっており、これらの流路内における第1接続式チューブ41、連結体43、および第2接続式チューブ42の各端面の存在を無くしている。このため、これらの各接続部分において、インクの流れが阻害されることはなく、インクが滞留することはほとんどない。
【0123】
このようにして、排出管40におけるインクの滞留を防止することにより、滞留したインクの増粘、固化を防ぐとともに、排出管40の目詰まりを防止している。そして、これにより、キャッピング機構30から排出管40へのスムーズなインクの流動が確保されるとともに、ポンプユニット44によるインクの吸引および搬送を効率良く行うことが可能となる。
【0124】
なお、上記の各実施の形態およびその変形例において、(a)インク排出部31を形成するキャッピング機構30の内壁面と第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面、(b)第1インク搬送流路51を形成する第1接続式チューブ41の内壁面と連結流路53を形成する連結体43の内壁面、(c)連結流路53を形成する連結体43の内壁面と第2インク搬送流路52を形成する第2接続式チューブ42の内壁面、がそれぞれ略滑らかに接続した状態で、第1接続式チューブ41および第2接続式チューブ42が連結体43に接続されていることが好ましい。この場合、第1インク搬送流路51と連結流路53との接続部分、および連結流路53と第2インク搬送流路52との接続部分において、これらの流路を形成する内壁に沿って流動するインクは、更にスムーズに後方へ流動する。このため、これらの各接続部分におけるインクの滞留を更に効果的に防ぐことができ、排出管40内における、よりスムーズなインクの流動が確保される。
【0125】
また、上記の本実施の形態及びその変形例では、縦振動モードの圧電振動子61を圧力発生素子として使用したインクジェット式記録ヘッド8を例示したが、他の圧力発生素子を用いることも可能であり、例えば、たわみ振動モードの圧電振動子を用いることもできる。
【0126】
たわみ振動モードの圧電振動子とは、圧力室73の外壁に取り付けられた圧電振動子のたわみを利用して圧力室73内の圧力を変動させる圧電振動子であって、例えば特開2001−260369において開示されているようなタイプのたわみ振動モードの圧電振動子が考えられる。そして、このたわみ振動モードのインクジェット式記録ヘッドを用いた場合でも、上記の本実施の形態およびその変形例における場合と同様の効果を得ることができる。
【0127】
また、連結体43の両端部の各々を異なる形状とすることもできる。例えば、連結体43の一方の端部を凸型内側R形状とし、他方の端部を、凹形内側R形状や内側テーパー形状等とすることもできる。
【0128】
更に、上述のようなインクジェット式記録装置では、各種のカラーインクの他に、顔料インクや染料インク等といった様々なタイプのインクを用いることができる。例えば顔料インクが、インク排出部31から排出管40内に排出されて、この排出管40内で長時間滞留した場合には、増粘、固化して固体状で付着することがある。しかしながら、上述したインクジェット式記録装置を用いることにより、排出管40内における顔料インク等の各種インクの滞留を効果的に防止して、排出管40の目詰まりを防ぐことができる。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1接続式チューブの内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、連結体は、前記第1接続式チューブおよび前記第2の管に連接されている。
【0130】
このため、排出管のうち、連結体に対して略連続的に接続された第1接続式チューブあるいは第2の管と、連結体と、の接続部分であっても、インクはスムーズに流動することができ、排出管のうち、このような部分におけるインクの滞留を効果的に防ぐことができる。
【0131】
また、本発明によれば、前記キャッピング手段と前記第1接続式チューブと前記連結体と前記第2の管と前記負圧発生手段とは、少なくとも前記連結流路が略鉛直方向へ延びるように、配設されている。
【0132】
このため、少なくとも前記連結流路を流れるインクは、重力の作用により流動が助長され、後方へ流れ易くなっており、インクの滞留が効果的に防がれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式記録装置の構成を説明する概略ブロック図である。
【図2】インクジェット式記録装置の概略構成図である。
【図3】インクジェット式記録ヘッドの概略構成図である。
【図4】キャッピング機構によってインクジェット式記録ヘッドを封止した状態を示す概略図である。
【図5】キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。
【図6】排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【図7】第1の実施の形態の変形例における、キャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。
【図8】第1の実施の形態の変形例における、排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるキャッピング機構のインク排出部と第1接続式チューブとの構成関係を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における排出管の詳細な構成関係を示す断面図である。
【図11】連結体を有する従来の排出管の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 プリンタコントローラ
2 プリントエンジン
6 制御部
8 インクジェット式記録ヘッド
18 記録紙
30 キャッピング機構
30a キャップケース
30b キャップ部材
30c インク吸収材
30d 保持体
31 インク排出部
32 大気開放部
32a 大気開放バルブ
40 排出管
41 第1接続式チューブ
42 第2接続式チューブ
43 連結体
44 ポンプユニット
45 廃インクタンク
51 第1インク搬送流路
52 第2インク搬送流路
53 連結流路
53a 狭小流路
61 圧電振動子
65 ノズル開口
66 ノズルプレート
66a ノズル形成面
67 振動板
Claims (13)
- ノズル形成面を有するインクジェット式記録ヘッドと、
インク排出部を有し、前記インクジェット式記録ヘッドを封止して前記インク吐出ノズル形成面との間に密閉空間を形成するキャッピング手段と、
前記キャッピング手段のインク排出部に接続され、前記インク排出部から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路が形成された第1の管と、
前記第1搬送流路からのインクを搬送するための第2インク搬送流路が形成された第2の管と、
前記第1の管と前記第2の管との間に配設され、前記第1インク搬送流路からのインクを前記第2インク搬送流路へ送るための連結流路が両端部間を貫通する連結体であって、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、前記第1の管および前記第2の管が接続されている連結体と、
前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させる負圧発生手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - ノズル形成面を有するインクジェット式記録ヘッドと、
インク排出部を有し、前記インクジェット式記録ヘッドを封止して前記インク吐出ノズル形成面との間に密閉空間を形成するキャッピング手段と、
前記キャッピング手段のインク排出部に接続され、前記インク排出部から排出されるインクを搬送するための第1インク搬送流路が形成された第1の管と、
前記第1搬送流路からのインクを搬送するための第2インク搬送流路が形成された第2の管と、
前記第1の管と前記第2の管との間に配設され、前記第1インク搬送流路からのインクを前記第2インク搬送流路へ送るための連結流路が両端部間を貫通する連結体と、
前記第1インク搬送流路、前記連結流路、および前記第2インク搬送流路を介して前記密閉空間に負圧を発生させる負圧発生手段と、を備えたインクジェット式記録装置であって、
前記キャッピング手段と前記第1の管と前記連結体と前記第2の管と前記負圧発生手段とは、少なくとも前記連結流路が略鉛直方向へ延びるように、配設されている
ことを特徴とするインクジェット式記録装置。 - 前記第1の管および前記第2の管は、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略連続的に接続した状態で、前記連結体に接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット式記録装置。 - 前記第1の管および前記第2の管は、前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面および前記第2インク搬送流路を形成する前記第2の管の内壁面のうち少なくともいずれか一方と、前記連結流路を形成する前記連結体の内壁面と、が略滑らかに接続した状態で、前記連結体に接続されている
ことを特徴とする請求項1又は3のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。 - 前記連結体の両端部のうち少なくともいずれか一方の端部は、内側R形状を有することを特徴とする請求項1、3、及び4のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記連結体の両端部のうち少なくともいずれか一方の端部は、内側テーパー形状を有することを特徴とする請求項1、3、及び4のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記第1インク搬送流路の径は、前記第2インク搬送流路の径よりも小さいことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記連結流路は、前記第2インク搬送流路の径よりも小さい径によって形成された狭小流路を有することを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記第1の管は、前記インク排出部を形成する前記キャッピング手段の内壁面と前記第1の管の内壁面とが略連続的に接続した状態で、前記インク排出部に接続されていることを特徴とする請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記第1の管は、前記インク排出部を形成する前記キャッピング手段の内壁面と前記第1インク搬送流路を形成する前記第1の管の内壁面とが略滑らかに接続した状態で、前記インク排出部に接続されていることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記インク排出部の端部のうち第1の管が接続される側の端部は、内側R形状を有することを特徴とする請求項9又は10のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記インク排出部の端部のうち第1の管が接続される側の端部は、内側テーパ形状を有することを特徴とする請求項9又は10のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
- 前記インク排出部から排出されるインクは、顔料インクであることを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載のインクジェット式記録装置。
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-
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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