JP2004034348A - 積層構造体の分離回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】効率良く且つ確実に硬質板から発泡系樹脂断熱材層を分離回収可能であり、しかも回収された硬質板及び発泡系樹脂断熱材層のリサイクルが非常に容易な積層構造体の分離回収方法を提供すること。
【解決手段】硬質板10に発泡系樹脂断熱材層20を積層させてなる積層構造体1を密閉容器32内に設置し、樹脂製の有機系ビーズを発泡系樹脂断熱材層20に0.5〜6.0kg/cm2の吐出圧力で吹き付け、その後、硬質板10から分離された前記発泡系樹脂断熱材の粉砕物と、有機系ビーズとを共に回収する。回収した粉砕物と有機系ビーズとは、分離器36によりそれぞれ分離され、粉砕物は所定の加工を経て再利用され、有機系ビーズは再度吹付に使用される。
【選択図】 図1
【解決手段】硬質板10に発泡系樹脂断熱材層20を積層させてなる積層構造体1を密閉容器32内に設置し、樹脂製の有機系ビーズを発泡系樹脂断熱材層20に0.5〜6.0kg/cm2の吐出圧力で吹き付け、その後、硬質板10から分離された前記発泡系樹脂断熱材の粉砕物と、有機系ビーズとを共に回収する。回収した粉砕物と有機系ビーズとは、分離器36によりそれぞれ分離され、粉砕物は所定の加工を経て再利用され、有機系ビーズは再度吹付に使用される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質板に発泡系樹脂断熱材層を積層させてなる積層構造体の分離回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築分野では、発泡系樹脂断熱材が自己接着性に優れていること及び張り合わせ加工が容易であることから、硬質板と発泡系樹脂断熱材とを積層してなる積層構造体が広く使用されている。
【0003】
一方、近年は、包装容器リサイクル法、家電リサイクル法、建設リサイクル法等の法律により様々な製品等のリサイクルが義務付けられるようになってきており、上記の積層構造体を分離回収してリサイクルする必要性が高まってきている。
【0004】
そのため、従来はこのような積層構造体を分離回収する場合、作業者が発泡系樹脂断熱材層を物理的に硬質板から剥がして分離回収していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の積層構造体の分離回収方法では、作業者が発泡系樹脂断熱材層を物理的に硬質板から剥がす作業には多大な労力を要し、また、硬質板から発泡系樹脂断熱材層を完全に剥がすことは困難であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、効率良く且つ確実に硬質板から発泡系樹脂断熱材層を分離回収可能であり、しかも回収された硬質板及び発泡系樹脂断熱材層のリサイクルが非常に容易な積層構造体の分離回収方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る積層構造体の分離回収方法は、硬質板に発泡系樹脂断熱材層を積層させてなる積層構造体の分離回収方法であって、樹脂製の有機系ビーズを0.5〜6.0kg/cm2の吐出圧力で発泡系樹脂断熱材層に吹き付ける工程と、硬質板から分離された発泡系樹脂断熱材の粉砕物を有機系ビーズと共に回収する工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0008】
本発明の積層構造体の分離回収方法によれば、発泡系樹脂断熱材層に0.5〜6.0kg/cm2の吐出圧力で樹脂製の有機系ビーズを吹き付けているので、有機系ビーズにより硬質板を損傷させることなく発泡系樹脂断熱材層のみが粉砕され、容易且つ確実に硬質板から発泡系樹脂断熱材層が分離されることとなる。また、回収された発泡系樹脂断熱材の粉砕物中に有機系ビーズが多少混入してしまっても、発泡系樹脂断熱材の粉砕物及び有機系ビーズがいずれも樹脂であるため、発泡系樹脂断熱材を支障なくリサイクルすることができる。更に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物の平均粒径が1000μm以下となり、リサイクルがより容易となる。
【0009】
ここで、吐出圧力が0.5kg/cm2未満になると、有機系ビーズの粉砕力が弱いため粉砕効率が低下して硬質板から発泡系樹脂断熱材層を確実に分離することが困難となる。他方、吐出圧力が6.0kg/cm2を超えると、有機系ビーズの粉砕力が強くなり過ぎて硬質板が損傷してしまう可能性が高くなると共に、有機系ビーズが多く破損して発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対する有機系ビーズの混入量が高くなり発泡系樹脂断熱材をリサイクルすることが困難となる。また、有機系以外のガラス微粒子、シリカ微粒子、砂及び金属微粒子を吹き付けると、これらが樹脂でないことから、これらの粉砕物等が発泡系樹脂断熱材の粉砕物中に混入してリサイクルすることが困難となる。
【0010】
また、本発明の積層構造体の分離回収方法において、発泡系樹脂断熱材層の表面に対して20°〜45°の角度を為すように、有機系ビーズを吹き付けることが好ましい。この場合、表面に対する角度が20°未満であると、発泡系樹脂断熱材層が局部的に粉砕され、発泡系樹脂断熱材層の全面を均一且つ確実に粉砕することが困難となり粉砕効率が低下する傾向がある。他方、表面に対する角度が45°を超えると、発泡系樹脂断熱材層に衝突するビーズの範囲が広くなり、粉砕効率が低下する傾向がある。
【0011】
また、本発明の積層構造体の分離回収方法において、吐出ノズルの内径が3〜10mmである吹付ガンを用いて、有機系ビーズを吹き付けることが好ましい。この場合、吐出ノズルの内径が3mm未満であると、有機系ビーズが詰まりやすくなる傾向がある。他方、吐出ノズルの内径が10mmを超えると、吐出される有機系ビーズの量が多くなって、硬質板が損傷する可能性が高くなってしまう傾向がある。
【0012】
また、本発明の積層構造体の分離回収方法において、有機系ビーズのモース硬度が1〜5であり、粒径が200〜900μmであり、比重が1.2〜1.5であることが好ましい。この場合、有機系ビーズのモース硬度が1未満であると、有機系ビーズが発泡系樹脂断熱材層に対して充分な硬さを有しておらず、粉砕効率が低下してしまう傾向がある。他方、有機系ビーズのモース硬度が5を超えると、有機系ビーズが発泡系樹脂断熱材層に対して硬すぎてしまい、硬質板が損傷する可能性が高くなってしまう傾向がある。
【0013】
また、有機系ビーズの粒径が200μm未満であると、微粉砕できるが粉砕効率が低下する傾向がある。他方、有機系ビーズの粒径が900μmを超えると、硬質板と発泡系樹脂断熱材が完全には分離できなくなる傾向がある。また、有機系ビーズの比重が1.2未満であると、粉砕効率が悪くなったり、粉砕物に有機系ビーズが多量に回収されるためビーズの再利用率が悪くなる傾向がある。他方、有機系ビーズの比重が1.5を超えると、粉砕効率は良くなるが、ビーズの衝突強度が増して硬質板を傷付ける傾向がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
先ず、本発明の積層構造体の分離回収方法に好適に用いられる積層構造体及び分離回収装置(図1に示す)について説明する。積層構造体1は、硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20とを積層してなるものであって、好適には建築材として用いられるものである。硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20とは、接着剤等により互いに固定されている。
【0016】
硬質板10は、発泡系樹脂断熱材層を保持するための基材であり、特に制限されないが、建築用に使用されている硬質板10は、主に木質系硬質板、無機系硬質板及び金属板の3種類に分類されている。木質系硬質板としては、合板、MDF(Medium density Fiberboard(中繊維板))、OSB(Oriented strand Board(配向性木質ボード))、パーティクルボード、インシュレーションボード等が挙げられる。また、無機系硬質板としては、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、木毛セメント板、押出成形セメント板、レンガ、タイル等が挙げられる。また、金属板としては、一般カラー鋼板、ガルバニュム鋼板、銅板、アルミ板、ステンレス鋼板等が挙げられる。硬質板10の厚さは、特に制限されないが、一般的に0.27〜0.8mm程度が好ましい。
【0017】
発泡系樹脂断熱材層20は、積層構造体が建築材として用いられる場合、その断熱性により屋内外間等における熱の伝導を防止するための断熱材として機能するものであり、例えば、熱硬化性樹脂である硬質ウレタンフォーム、ウレタン変成イソシアヌレートフォーム、カルボジイミドフォーム、イミドフォーム、フェノールフォーム、尿素フォーム、エポキシフォーム等からなるものが挙げられる。発泡系樹脂断熱材層20の厚さも、特に制限されないが、一般的に10〜100mm程度が好ましい。
【0018】
図1は、本発明の好適な分離回収装置の一例を示す概略構成図である。分離回収装置30は、ブラスト法により発泡系樹脂断熱材層20を粉砕して硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20とを分離するものであって、吹付ガン31、密閉容器32、通路34及び分離器36を有している。
【0019】
吹付ガン31は、圧縮空気等と共に樹脂製の有機系ビーズを吐出するものであり、吐出ノズル31aから吐出される樹脂製の有機系ビーズを発泡系樹脂断熱材層20に吹き付けて、発泡系樹脂断熱材層20を粉砕するものである。また、本発明においては吹付ガン31の吐出圧力を0.5〜6.0kg/cm2とする必要がある。吐出圧力が0.5kg/cm2未満になると、有機系ビーズの粉砕力が弱くなって粉砕効率が低下して硬質板10から発泡系樹脂断熱材層20を効率良く且つ確実に分離することが困難となり、他方、吐出圧力が6.0kg/cm2を超えると、有機系ビーズの粉砕力が強くなり過ぎて硬質板10が損傷してしまう可能性が高くなると共に、有機系ビーズが多く破損して発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対する有機系ビーズの混入量が高くなり発泡系樹脂断熱材をリサイクルすることが困難となるからである。
【0020】
また、吹付ガン31の吐出ノズル31aは、発泡系樹脂断熱材層20の表面に対する角度θ1が20°〜45°となるように設置されている。これは、表面に対する角度が20°未満であると、発泡系樹脂断熱材層が局部的に粉砕され、発泡系樹脂断熱材層の全面を均一且つ確実に粉砕することが困難となり粉砕効率が低下する傾向がある。他方、表面に対する角度が45°を超えると、発泡系樹脂断熱材層に衝突するビーズの範囲が広くなり、粉砕効率が低下する傾向がある。
【0021】
また、吐出ノズル31aの内径は3〜10mmとされている。これは、吐出ノズル31aの内径が3mm未満であると、有機系ビーズが詰まりやすくなる傾向があり、他方、吐出ノズル31aの内径が10mmを超えると、吐出される有機系ビーズの量が多くなって、硬質板10が損傷する可能性が高くなってしまう傾向があるからである。
【0022】
更に、吹付ガン31の吐出ノズル31aは、発泡系樹脂断熱材層20の表面の縁側から発泡系樹脂断熱材層20の表面中央側に向けて、発泡系樹脂断熱材層20の表面の縁近傍に有機系ビーズを吐出するように設けられている。このため、発泡系樹脂断熱材層20は、縁から中央にかけて効率良く粉砕される。
【0023】
このような構成を有する吹付ガン31は密閉容器32内に複数設けられている。なお、図1中では、吹付ガン31が2つ図示されているが、分離回収装置30の吹付ガン31の数は2つに限定されるものではない。
【0024】
ここで、分離回収装置30に用いられる有機系ビーズは、好適には、モース硬度が1〜5であり、粒径が200〜900μmであり、比重が1.2〜1.5であるものが用いられ、より好適には角を有するもの、例えば鏃型のものが用いられる。有機系ビーズの材料としては、例えば、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0025】
密閉容器32は、内部を密閉空間とするものであり、搬送装置(図示せず)と連結され搬送装置から運ばれてきた積層構造体1を内部に収納するものである。搬送装置は、例えば、搬送ベルトを有し、搬送ベルト上に載せられた積層構造体1を輸送するものである。密閉容器32内には、保持具(図示せず)が設けられている。保持具は、搬送されてきた積層構造体1を固定するためのものである。また、密閉容器32内には、積層構造体1を水平方向に移動させることが可能な保持具移動手段(図示せず)が設けられていてもよい。保持具移動手段によって積層構造体1を移動させることにより、発泡系樹脂断熱材層20の全面を効率良く粉砕することができる。このような密閉容器32は、通路34を介して分離器36に接続されている。
【0026】
分離器36は、発泡系樹脂断熱材の粉砕物と有機系ビーズとを分離するものであり、例えば、比重差により分離を行うサイクロン構造を有するものである。この分離器36には、減圧手段(図示せず)が設けられている。減圧手段は、吸引等により発泡系樹脂断熱材の粉砕物と有機系ビーズとを密閉容器32内から分離器36内に流入させるものでもある。また、分離器36には、有機系ビーズを排出するための第1通路38と、発泡系樹脂断熱材の粉砕物を排出するための第2通路40とが接続されている。
【0027】
第1通路38及び第2通路40は保管室(図示せず)に接続されており、有機系ビーズと発泡系樹脂断熱材の粉砕物とは、第1通路38及び第2通路40を通じて別々に保管室に排出される。このように分別して排出することより、有機系ビーズは再度吹付ガン31内に投入されて再利用され、粉砕物は所定の加工が施されて、例えばバインダーが混合された後に熱成形されて、新たな建築材等として再利用される。ここで、有機系ビーズの保管室は吹付ガン31に接続されていることが好ましい。すなわち、有機系ビーズの保管室と吹付ガン31とを接続する供給管(図示せず)を更に備えることが好ましい。このように構成すると、吹付ガン31から吐出された有機系ビーズを、通路34、分離器36、第1通路38、保管室及び接続管を介して再び吹付ガン31に流入させることができ、有機系ビーズの再利用を自動化することが可能となる。
【0028】
次に、図1を参照して本実施形態に係る積層構造体の好適な分離回収方法について説明する。先ず、使用後回収された積層構造体1を搬送装置の搬送ベルト上に載せて密閉容器32内に輸送する。密閉容器32内に輸送後、積層構造体1を保持具によって固定する。このとき、減圧手段及び分離器36を駆動しておく。
【0029】
その後、有機系ビーズを吹付ガン31の吐出ノズル31aから吐出させて発泡系樹脂断熱材層20を粉砕する。なお、減圧手段が駆動しているので、有機系ビーズと発泡系樹脂断熱材の粉砕物とは順次分離器36内に流入することとなる。また、分離器36も駆動されているため、流入した有機系ビーズと発泡系樹脂断熱材の粉砕物とは分離器36において分離されることとなる。そして、分離された有機系ビーズは第1通路38から排出されて有機系ビーズの保管室に流入し、粉砕物は第2通路40から排出され粉砕物の保管室に流入する。
【0030】
粉砕終了後、密閉容器32内に残っている硬質板10を密閉容器32内から取り出す。この取り出された硬質板10は発泡系樹脂断熱材層20が確実に取り除かれ且つ損傷がない状態になっており、容易に再利用することができる。また、排出された有機系ビーズを再度吹付ガン31に流入させれば、後の吹付に再利用することができる。更に、排出された粉砕物に例えばバインダーを混合し、その後に熱成形すれば、新たな建築材等として再利用することができる。
【0031】
なお、吹付により粉砕してしまった有機系ビーズは、分離器36により分別されずに発泡系樹脂断熱材の粉砕物に混入して第2通路40から排出されてしまう可能性がある。しかし、本発明では、樹脂製の有機系ビーズを用いているため、回収された発泡系樹脂断熱材の粉砕物中に有機系ビーズが15重量%程度混入してしまっても、発泡系樹脂断熱材を支障なくリサイクルすることができる。なお、有機系以外のガラス微粒子、シリカ微粒子、砂、金属微粒子及び硬質板10の粉砕物が微量(3重量%程度)であっても混入した場合、発泡系樹脂断熱材をリサイクルすることが困難となる。
【0032】
更に、吹付ガン31の吐出圧力を0.5〜6.0kg/cm2としているため、硬質板10が損傷することなく且つ発泡系樹脂断熱材が残存せずに硬質板10から発泡系樹脂断熱材層20を取り除くことが可能となると共に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物の平均粒径を1000μm以下とすることができる。
【0033】
以上、本発明の好適な一実施形態について具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては密閉容器32内に設けられた保持具移動手段により積層構造体1を移動させて有機系ビーズを吹き付けるようにしているが、これに限らず、積層構造体1を保持具により固定したまま吹付ガン31を移動させて有機系ビーズを吹き付けるようにしてもよい。また、上記実施形態においては積層構造体1として硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20との2層構造のものを用いて説明したが、これに限らず、硬質板10の両面に発泡系樹脂断熱材層20が積層された3層構造の積層構造体であってもよいし、逆に、発泡系樹脂断熱材層20の両面に硬質板10が積層された3層構造の積層構造体であってもよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例1
合板(厚さ12mm)と硬質ウレタンフォーム(厚さ30mm)とを一体化してパネル(42mm厚×910mm幅×1500mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルの硬質ウレタンフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を6kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を30°とした。
【0036】
このようにして合板から硬質ウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について以下の評価を行った。
【0037】
(分離状況の評価)
吹付終了後の硬質板の損傷度合い及び硬質板の単位面積辺りに残存する発泡系樹脂断熱材の残存量に基づいて評価を行った。なお、分離状況の評価基準は以下の通りとした。得られた結果を表1に示す。
良好:硬質板を損傷させること無く硬質板から発泡系樹脂断熱材層を分離でき且つ硬質板の単位面積辺りに残存する発泡系樹脂断熱材の残存量が5g/m2以下である場合、
不可:硬質板を損傷させてしまう場合又は硬質板の単位面積辺りに残存する発泡系樹脂断熱材の残存量が20g/m2を超える場合。
【0038】
(発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量の評価)
吹付終了後に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に混入するビーズ等の割合に基づいて評価を行った。なお、混入量の評価基準は以下の通りとした。得られた結果を表1に示す。
良好:発泡系樹脂断熱材の粉砕物に混入するビーズの量がリサイクルに支障を来たさない程度(樹脂製の有機系ビーズの場合15重量%以下、その他のビーズの場合2重量%以下)である場合、
不可:混入するビーズ等の量がリサイクルに支障を来たしてしまう場合(樹脂製の有機系ビーズの場合15重量%を超え、その他のビーズの場合3重量%を超える場合)。
【0039】
なお、後述する粉砕物の平均粒径の評価において平均粒径が1000μmを超えたものについてはこの評価を行わなかった。
【0040】
(粉砕物の平均粒径の評価)
吹付終了後に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物の平均粒径を測定し評価した。得られた結果を表1に示す。なお、粉砕物の平均粒径が1000μm以下であるとリサイクルに好適である。なお、粉砕物に対するビーズの混入量の評価において「不可」となったものについては、この評価を行わなかった。
【0041】
実施例2
カラー鋼板(厚さ0.27mm)、ウレタン変成イソシアヌネートフォーム(厚さ15mm)、及びアルミ蒸着クラフト紙を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(16mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、吐出圧力を4kg/cm2と変更した以外は実施例1と同様にして上記パネルにビーズを吹き付けた。
【0042】
このようにしてカラー鋼板からウレタン変成イソシアヌネートフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0043】
実施例3
フェノールフォーム(厚さ30mm)の両面にステンレス鋼板(厚さ0.5mm)を積層して一体化したサンドイッチパネル(30mm厚×600mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルの両面にフェノールフォームに表1に示すビーズを5分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を3kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を45°とした。なお、フェノールフォームの両面にはステンレス鋼板が設けられているため、フェノールフォームが露出しているパネルの端面にビーズを吹き付けた。また、このときの吐出圧力は3kg/cm2であった。
【0044】
このようにしてステンレス鋼板に挟まれるフェノールフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
石膏ボード(厚さ9.5mm)と押出スチレンフォーム(厚さ25mm)とを一体化してパネル(35mm厚×600mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルの押出スチレンフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を0.5kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を6mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を20°とした。
【0046】
このようにして石膏ボードから押出スチレンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0047】
比較例1
実施例1と同様にしてパネルを得た。その後、吐出圧力を7kg/cm2に変更した以外は、実施例1と同様にして硬質ウレタンフォーム側にビーズを吹き付けた。
【0048】
このようにして合板から硬質ウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
ガルバ鋼板(厚さ0.27mm)、ウレタン変成イソシアヌネートフォーム(厚さ20mm)、及びアルミ蒸着クラフト紙を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(20mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルのウレタン変成イソシアヌネートフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を6kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を20°とした。
【0050】
このようにしてガルバ鋼板からウレタン変成イソシアヌネートフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0051】
比較例3
カラー鋼板(厚さ0.27mm)、フェノールフォーム(厚さ30mm)、及びガラス不繊布を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(30mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルのフェノールフォーム側に表1に示すビーズを2分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を3kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を6mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を30°とした。
【0052】
このようにしてカラー鋼板からフェノールフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0053】
比較例4
カラー鋼板(厚さ0.27mm)、ウレタンフォーム(厚さ25mm)、及びアルミ蒸着クラフト紙を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(25mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルのフェノールフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を0.4kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を30°とした。
【0054】
このようにしてカラー鋼板からウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0055】
比較例5
比較例4と同様のパネルを得た。その後、吐出圧力を7kg/cm2に変更した以外は、比較例4と同様にしてウレタンフォーム側にビーズを吹き付けた。
【0056】
このようにしてカラー鋼板からウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
以上、表1に示した結果から以下の事項が認識された。すなわち、有機系ビーズが用いられ、吐出圧力が0.5〜6.0kg/cm2である実施例1〜4にあっては、硬質板が損傷することなく発泡系樹脂断熱材の残存量が5g/m2以下となり、効率良く且つ確実に分離できることが確認された。また、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量が15重量%以下となり、リサイクルへの適用が好適なものであった。更には、粉砕物の平均粒径が1000μm以下となり、リサイクルへの適用が好適なものであった。
【0059】
一方、吐出圧力を7kg/cm2とした比較例1にあっては、石膏ボードが3〜4mm程度粉砕され、石膏ボードに損傷が確認された。更に、無機系の石膏ボードの粉砕物が硬質ウレタンフォームの粉砕物に混入してしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0060】
また、吐出圧力を7kg/cm2とした比較例5にあっては、カラー鋼板に損傷が確認された。更に、メラミンビーズが多く破損し、ビーズの粉砕物がウレタンフォームの粉砕物に混入し、その混入量が15重量%を超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0061】
また、有機系ビーズの代わりに砂を用いた比較例2にあっては、ガルバ鋼板に凹凸が形成されるまでの損傷が確認された。更に、無機系の砂がウレタン変成イソシアネートの粉砕物に混入し、その混入量が3重量%を超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0062】
また、有機系ビーズの代わりにシリカ微粒子を用いた比較例3にあっては、カラー鋼板に凹凸が形成されるまでの損傷が確認された。更に、無機系のシリカ微粒子がフェノールフォームの粉砕物に混入し、その混入量が3重量%を超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0063】
また、吐出圧力を0.4kg/cm2とした比較例4にあっては、発泡系樹脂断熱材の残存量が20g/m2を超えてしまい、効率良く且つ確実にカラー鋼板からウレタンフォームを分離することができなかった。更に、ウレタンフォームの粉砕物の平均粒径が1000μmを超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0064】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明の積層構造体の分離回収方法によれば、効率良く且つ確実に硬質板から発泡系樹脂断熱材層を分離回収可能であり、しかも回収された硬質板及び発泡系樹脂断熱材層のリサイクルが非常に容易である。従って、本発明の積層構造体の分離回収方法は、積層構造体のリサイクル技術として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な分離回収装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…積層構造体、10…硬質板、20…発泡系樹脂断熱材層、30…分離回収装置、31…吹付ガン、31a…吐出ノズル、36…分離器。
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬質板に発泡系樹脂断熱材層を積層させてなる積層構造体の分離回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建築分野では、発泡系樹脂断熱材が自己接着性に優れていること及び張り合わせ加工が容易であることから、硬質板と発泡系樹脂断熱材とを積層してなる積層構造体が広く使用されている。
【0003】
一方、近年は、包装容器リサイクル法、家電リサイクル法、建設リサイクル法等の法律により様々な製品等のリサイクルが義務付けられるようになってきており、上記の積層構造体を分離回収してリサイクルする必要性が高まってきている。
【0004】
そのため、従来はこのような積層構造体を分離回収する場合、作業者が発泡系樹脂断熱材層を物理的に硬質板から剥がして分離回収していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の積層構造体の分離回収方法では、作業者が発泡系樹脂断熱材層を物理的に硬質板から剥がす作業には多大な労力を要し、また、硬質板から発泡系樹脂断熱材層を完全に剥がすことは困難であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、効率良く且つ確実に硬質板から発泡系樹脂断熱材層を分離回収可能であり、しかも回収された硬質板及び発泡系樹脂断熱材層のリサイクルが非常に容易な積層構造体の分離回収方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る積層構造体の分離回収方法は、硬質板に発泡系樹脂断熱材層を積層させてなる積層構造体の分離回収方法であって、樹脂製の有機系ビーズを0.5〜6.0kg/cm2の吐出圧力で発泡系樹脂断熱材層に吹き付ける工程と、硬質板から分離された発泡系樹脂断熱材の粉砕物を有機系ビーズと共に回収する工程と、を含むことを特徴とする方法である。
【0008】
本発明の積層構造体の分離回収方法によれば、発泡系樹脂断熱材層に0.5〜6.0kg/cm2の吐出圧力で樹脂製の有機系ビーズを吹き付けているので、有機系ビーズにより硬質板を損傷させることなく発泡系樹脂断熱材層のみが粉砕され、容易且つ確実に硬質板から発泡系樹脂断熱材層が分離されることとなる。また、回収された発泡系樹脂断熱材の粉砕物中に有機系ビーズが多少混入してしまっても、発泡系樹脂断熱材の粉砕物及び有機系ビーズがいずれも樹脂であるため、発泡系樹脂断熱材を支障なくリサイクルすることができる。更に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物の平均粒径が1000μm以下となり、リサイクルがより容易となる。
【0009】
ここで、吐出圧力が0.5kg/cm2未満になると、有機系ビーズの粉砕力が弱いため粉砕効率が低下して硬質板から発泡系樹脂断熱材層を確実に分離することが困難となる。他方、吐出圧力が6.0kg/cm2を超えると、有機系ビーズの粉砕力が強くなり過ぎて硬質板が損傷してしまう可能性が高くなると共に、有機系ビーズが多く破損して発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対する有機系ビーズの混入量が高くなり発泡系樹脂断熱材をリサイクルすることが困難となる。また、有機系以外のガラス微粒子、シリカ微粒子、砂及び金属微粒子を吹き付けると、これらが樹脂でないことから、これらの粉砕物等が発泡系樹脂断熱材の粉砕物中に混入してリサイクルすることが困難となる。
【0010】
また、本発明の積層構造体の分離回収方法において、発泡系樹脂断熱材層の表面に対して20°〜45°の角度を為すように、有機系ビーズを吹き付けることが好ましい。この場合、表面に対する角度が20°未満であると、発泡系樹脂断熱材層が局部的に粉砕され、発泡系樹脂断熱材層の全面を均一且つ確実に粉砕することが困難となり粉砕効率が低下する傾向がある。他方、表面に対する角度が45°を超えると、発泡系樹脂断熱材層に衝突するビーズの範囲が広くなり、粉砕効率が低下する傾向がある。
【0011】
また、本発明の積層構造体の分離回収方法において、吐出ノズルの内径が3〜10mmである吹付ガンを用いて、有機系ビーズを吹き付けることが好ましい。この場合、吐出ノズルの内径が3mm未満であると、有機系ビーズが詰まりやすくなる傾向がある。他方、吐出ノズルの内径が10mmを超えると、吐出される有機系ビーズの量が多くなって、硬質板が損傷する可能性が高くなってしまう傾向がある。
【0012】
また、本発明の積層構造体の分離回収方法において、有機系ビーズのモース硬度が1〜5であり、粒径が200〜900μmであり、比重が1.2〜1.5であることが好ましい。この場合、有機系ビーズのモース硬度が1未満であると、有機系ビーズが発泡系樹脂断熱材層に対して充分な硬さを有しておらず、粉砕効率が低下してしまう傾向がある。他方、有機系ビーズのモース硬度が5を超えると、有機系ビーズが発泡系樹脂断熱材層に対して硬すぎてしまい、硬質板が損傷する可能性が高くなってしまう傾向がある。
【0013】
また、有機系ビーズの粒径が200μm未満であると、微粉砕できるが粉砕効率が低下する傾向がある。他方、有機系ビーズの粒径が900μmを超えると、硬質板と発泡系樹脂断熱材が完全には分離できなくなる傾向がある。また、有機系ビーズの比重が1.2未満であると、粉砕効率が悪くなったり、粉砕物に有機系ビーズが多量に回収されるためビーズの再利用率が悪くなる傾向がある。他方、有機系ビーズの比重が1.5を超えると、粉砕効率は良くなるが、ビーズの衝突強度が増して硬質板を傷付ける傾向がある。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
先ず、本発明の積層構造体の分離回収方法に好適に用いられる積層構造体及び分離回収装置(図1に示す)について説明する。積層構造体1は、硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20とを積層してなるものであって、好適には建築材として用いられるものである。硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20とは、接着剤等により互いに固定されている。
【0016】
硬質板10は、発泡系樹脂断熱材層を保持するための基材であり、特に制限されないが、建築用に使用されている硬質板10は、主に木質系硬質板、無機系硬質板及び金属板の3種類に分類されている。木質系硬質板としては、合板、MDF(Medium density Fiberboard(中繊維板))、OSB(Oriented strand Board(配向性木質ボード))、パーティクルボード、インシュレーションボード等が挙げられる。また、無機系硬質板としては、石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、木毛セメント板、押出成形セメント板、レンガ、タイル等が挙げられる。また、金属板としては、一般カラー鋼板、ガルバニュム鋼板、銅板、アルミ板、ステンレス鋼板等が挙げられる。硬質板10の厚さは、特に制限されないが、一般的に0.27〜0.8mm程度が好ましい。
【0017】
発泡系樹脂断熱材層20は、積層構造体が建築材として用いられる場合、その断熱性により屋内外間等における熱の伝導を防止するための断熱材として機能するものであり、例えば、熱硬化性樹脂である硬質ウレタンフォーム、ウレタン変成イソシアヌレートフォーム、カルボジイミドフォーム、イミドフォーム、フェノールフォーム、尿素フォーム、エポキシフォーム等からなるものが挙げられる。発泡系樹脂断熱材層20の厚さも、特に制限されないが、一般的に10〜100mm程度が好ましい。
【0018】
図1は、本発明の好適な分離回収装置の一例を示す概略構成図である。分離回収装置30は、ブラスト法により発泡系樹脂断熱材層20を粉砕して硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20とを分離するものであって、吹付ガン31、密閉容器32、通路34及び分離器36を有している。
【0019】
吹付ガン31は、圧縮空気等と共に樹脂製の有機系ビーズを吐出するものであり、吐出ノズル31aから吐出される樹脂製の有機系ビーズを発泡系樹脂断熱材層20に吹き付けて、発泡系樹脂断熱材層20を粉砕するものである。また、本発明においては吹付ガン31の吐出圧力を0.5〜6.0kg/cm2とする必要がある。吐出圧力が0.5kg/cm2未満になると、有機系ビーズの粉砕力が弱くなって粉砕効率が低下して硬質板10から発泡系樹脂断熱材層20を効率良く且つ確実に分離することが困難となり、他方、吐出圧力が6.0kg/cm2を超えると、有機系ビーズの粉砕力が強くなり過ぎて硬質板10が損傷してしまう可能性が高くなると共に、有機系ビーズが多く破損して発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対する有機系ビーズの混入量が高くなり発泡系樹脂断熱材をリサイクルすることが困難となるからである。
【0020】
また、吹付ガン31の吐出ノズル31aは、発泡系樹脂断熱材層20の表面に対する角度θ1が20°〜45°となるように設置されている。これは、表面に対する角度が20°未満であると、発泡系樹脂断熱材層が局部的に粉砕され、発泡系樹脂断熱材層の全面を均一且つ確実に粉砕することが困難となり粉砕効率が低下する傾向がある。他方、表面に対する角度が45°を超えると、発泡系樹脂断熱材層に衝突するビーズの範囲が広くなり、粉砕効率が低下する傾向がある。
【0021】
また、吐出ノズル31aの内径は3〜10mmとされている。これは、吐出ノズル31aの内径が3mm未満であると、有機系ビーズが詰まりやすくなる傾向があり、他方、吐出ノズル31aの内径が10mmを超えると、吐出される有機系ビーズの量が多くなって、硬質板10が損傷する可能性が高くなってしまう傾向があるからである。
【0022】
更に、吹付ガン31の吐出ノズル31aは、発泡系樹脂断熱材層20の表面の縁側から発泡系樹脂断熱材層20の表面中央側に向けて、発泡系樹脂断熱材層20の表面の縁近傍に有機系ビーズを吐出するように設けられている。このため、発泡系樹脂断熱材層20は、縁から中央にかけて効率良く粉砕される。
【0023】
このような構成を有する吹付ガン31は密閉容器32内に複数設けられている。なお、図1中では、吹付ガン31が2つ図示されているが、分離回収装置30の吹付ガン31の数は2つに限定されるものではない。
【0024】
ここで、分離回収装置30に用いられる有機系ビーズは、好適には、モース硬度が1〜5であり、粒径が200〜900μmであり、比重が1.2〜1.5であるものが用いられ、より好適には角を有するもの、例えば鏃型のものが用いられる。有機系ビーズの材料としては、例えば、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ナイロン樹脂、スチレン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0025】
密閉容器32は、内部を密閉空間とするものであり、搬送装置(図示せず)と連結され搬送装置から運ばれてきた積層構造体1を内部に収納するものである。搬送装置は、例えば、搬送ベルトを有し、搬送ベルト上に載せられた積層構造体1を輸送するものである。密閉容器32内には、保持具(図示せず)が設けられている。保持具は、搬送されてきた積層構造体1を固定するためのものである。また、密閉容器32内には、積層構造体1を水平方向に移動させることが可能な保持具移動手段(図示せず)が設けられていてもよい。保持具移動手段によって積層構造体1を移動させることにより、発泡系樹脂断熱材層20の全面を効率良く粉砕することができる。このような密閉容器32は、通路34を介して分離器36に接続されている。
【0026】
分離器36は、発泡系樹脂断熱材の粉砕物と有機系ビーズとを分離するものであり、例えば、比重差により分離を行うサイクロン構造を有するものである。この分離器36には、減圧手段(図示せず)が設けられている。減圧手段は、吸引等により発泡系樹脂断熱材の粉砕物と有機系ビーズとを密閉容器32内から分離器36内に流入させるものでもある。また、分離器36には、有機系ビーズを排出するための第1通路38と、発泡系樹脂断熱材の粉砕物を排出するための第2通路40とが接続されている。
【0027】
第1通路38及び第2通路40は保管室(図示せず)に接続されており、有機系ビーズと発泡系樹脂断熱材の粉砕物とは、第1通路38及び第2通路40を通じて別々に保管室に排出される。このように分別して排出することより、有機系ビーズは再度吹付ガン31内に投入されて再利用され、粉砕物は所定の加工が施されて、例えばバインダーが混合された後に熱成形されて、新たな建築材等として再利用される。ここで、有機系ビーズの保管室は吹付ガン31に接続されていることが好ましい。すなわち、有機系ビーズの保管室と吹付ガン31とを接続する供給管(図示せず)を更に備えることが好ましい。このように構成すると、吹付ガン31から吐出された有機系ビーズを、通路34、分離器36、第1通路38、保管室及び接続管を介して再び吹付ガン31に流入させることができ、有機系ビーズの再利用を自動化することが可能となる。
【0028】
次に、図1を参照して本実施形態に係る積層構造体の好適な分離回収方法について説明する。先ず、使用後回収された積層構造体1を搬送装置の搬送ベルト上に載せて密閉容器32内に輸送する。密閉容器32内に輸送後、積層構造体1を保持具によって固定する。このとき、減圧手段及び分離器36を駆動しておく。
【0029】
その後、有機系ビーズを吹付ガン31の吐出ノズル31aから吐出させて発泡系樹脂断熱材層20を粉砕する。なお、減圧手段が駆動しているので、有機系ビーズと発泡系樹脂断熱材の粉砕物とは順次分離器36内に流入することとなる。また、分離器36も駆動されているため、流入した有機系ビーズと発泡系樹脂断熱材の粉砕物とは分離器36において分離されることとなる。そして、分離された有機系ビーズは第1通路38から排出されて有機系ビーズの保管室に流入し、粉砕物は第2通路40から排出され粉砕物の保管室に流入する。
【0030】
粉砕終了後、密閉容器32内に残っている硬質板10を密閉容器32内から取り出す。この取り出された硬質板10は発泡系樹脂断熱材層20が確実に取り除かれ且つ損傷がない状態になっており、容易に再利用することができる。また、排出された有機系ビーズを再度吹付ガン31に流入させれば、後の吹付に再利用することができる。更に、排出された粉砕物に例えばバインダーを混合し、その後に熱成形すれば、新たな建築材等として再利用することができる。
【0031】
なお、吹付により粉砕してしまった有機系ビーズは、分離器36により分別されずに発泡系樹脂断熱材の粉砕物に混入して第2通路40から排出されてしまう可能性がある。しかし、本発明では、樹脂製の有機系ビーズを用いているため、回収された発泡系樹脂断熱材の粉砕物中に有機系ビーズが15重量%程度混入してしまっても、発泡系樹脂断熱材を支障なくリサイクルすることができる。なお、有機系以外のガラス微粒子、シリカ微粒子、砂、金属微粒子及び硬質板10の粉砕物が微量(3重量%程度)であっても混入した場合、発泡系樹脂断熱材をリサイクルすることが困難となる。
【0032】
更に、吹付ガン31の吐出圧力を0.5〜6.0kg/cm2としているため、硬質板10が損傷することなく且つ発泡系樹脂断熱材が残存せずに硬質板10から発泡系樹脂断熱材層20を取り除くことが可能となると共に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物の平均粒径を1000μm以下とすることができる。
【0033】
以上、本発明の好適な一実施形態について具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては密閉容器32内に設けられた保持具移動手段により積層構造体1を移動させて有機系ビーズを吹き付けるようにしているが、これに限らず、積層構造体1を保持具により固定したまま吹付ガン31を移動させて有機系ビーズを吹き付けるようにしてもよい。また、上記実施形態においては積層構造体1として硬質板10と発泡系樹脂断熱材層20との2層構造のものを用いて説明したが、これに限らず、硬質板10の両面に発泡系樹脂断熱材層20が積層された3層構造の積層構造体であってもよいし、逆に、発泡系樹脂断熱材層20の両面に硬質板10が積層された3層構造の積層構造体であってもよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
実施例1
合板(厚さ12mm)と硬質ウレタンフォーム(厚さ30mm)とを一体化してパネル(42mm厚×910mm幅×1500mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルの硬質ウレタンフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を6kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を30°とした。
【0036】
このようにして合板から硬質ウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について以下の評価を行った。
【0037】
(分離状況の評価)
吹付終了後の硬質板の損傷度合い及び硬質板の単位面積辺りに残存する発泡系樹脂断熱材の残存量に基づいて評価を行った。なお、分離状況の評価基準は以下の通りとした。得られた結果を表1に示す。
良好:硬質板を損傷させること無く硬質板から発泡系樹脂断熱材層を分離でき且つ硬質板の単位面積辺りに残存する発泡系樹脂断熱材の残存量が5g/m2以下である場合、
不可:硬質板を損傷させてしまう場合又は硬質板の単位面積辺りに残存する発泡系樹脂断熱材の残存量が20g/m2を超える場合。
【0038】
(発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量の評価)
吹付終了後に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に混入するビーズ等の割合に基づいて評価を行った。なお、混入量の評価基準は以下の通りとした。得られた結果を表1に示す。
良好:発泡系樹脂断熱材の粉砕物に混入するビーズの量がリサイクルに支障を来たさない程度(樹脂製の有機系ビーズの場合15重量%以下、その他のビーズの場合2重量%以下)である場合、
不可:混入するビーズ等の量がリサイクルに支障を来たしてしまう場合(樹脂製の有機系ビーズの場合15重量%を超え、その他のビーズの場合3重量%を超える場合)。
【0039】
なお、後述する粉砕物の平均粒径の評価において平均粒径が1000μmを超えたものについてはこの評価を行わなかった。
【0040】
(粉砕物の平均粒径の評価)
吹付終了後に、発泡系樹脂断熱材の粉砕物の平均粒径を測定し評価した。得られた結果を表1に示す。なお、粉砕物の平均粒径が1000μm以下であるとリサイクルに好適である。なお、粉砕物に対するビーズの混入量の評価において「不可」となったものについては、この評価を行わなかった。
【0041】
実施例2
カラー鋼板(厚さ0.27mm)、ウレタン変成イソシアヌネートフォーム(厚さ15mm)、及びアルミ蒸着クラフト紙を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(16mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、吐出圧力を4kg/cm2と変更した以外は実施例1と同様にして上記パネルにビーズを吹き付けた。
【0042】
このようにしてカラー鋼板からウレタン変成イソシアヌネートフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0043】
実施例3
フェノールフォーム(厚さ30mm)の両面にステンレス鋼板(厚さ0.5mm)を積層して一体化したサンドイッチパネル(30mm厚×600mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルの両面にフェノールフォームに表1に示すビーズを5分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を3kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を45°とした。なお、フェノールフォームの両面にはステンレス鋼板が設けられているため、フェノールフォームが露出しているパネルの端面にビーズを吹き付けた。また、このときの吐出圧力は3kg/cm2であった。
【0044】
このようにしてステンレス鋼板に挟まれるフェノールフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0045】
実施例4
石膏ボード(厚さ9.5mm)と押出スチレンフォーム(厚さ25mm)とを一体化してパネル(35mm厚×600mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルの押出スチレンフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を0.5kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を6mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を20°とした。
【0046】
このようにして石膏ボードから押出スチレンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0047】
比較例1
実施例1と同様にしてパネルを得た。その後、吐出圧力を7kg/cm2に変更した以外は、実施例1と同様にして硬質ウレタンフォーム側にビーズを吹き付けた。
【0048】
このようにして合板から硬質ウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
ガルバ鋼板(厚さ0.27mm)、ウレタン変成イソシアヌネートフォーム(厚さ20mm)、及びアルミ蒸着クラフト紙を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(20mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルのウレタン変成イソシアヌネートフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を6kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を20°とした。
【0050】
このようにしてガルバ鋼板からウレタン変成イソシアヌネートフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0051】
比較例3
カラー鋼板(厚さ0.27mm)、フェノールフォーム(厚さ30mm)、及びガラス不繊布を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(30mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルのフェノールフォーム側に表1に示すビーズを2分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を3kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を6mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を30°とした。
【0052】
このようにしてカラー鋼板からフェノールフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0053】
比較例4
カラー鋼板(厚さ0.27mm)、ウレタンフォーム(厚さ25mm)、及びアルミ蒸着クラフト紙を順次積層して一体化した金属サイディングパネル(25mm厚×380mm幅×1000mm長)を得た。その後、図1に示す分離回収装置を用いて、このパネルのフェノールフォーム側に表1に示すビーズを3分間吹き付けた。なお、このときの吐出圧力を0.4kg/cm2とし、吐出ノズルの内径を10mmとし、発泡系樹脂断熱材層に対する吹付ガンの設置角度を30°とした。
【0054】
このようにしてカラー鋼板からウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0055】
比較例5
比較例4と同様のパネルを得た。その後、吐出圧力を7kg/cm2に変更した以外は、比較例4と同様にしてウレタンフォーム側にビーズを吹き付けた。
【0056】
このようにしてカラー鋼板からウレタンフォームを分離回収する際の分離状況、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量、及び粉砕物の平均粒径について実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
以上、表1に示した結果から以下の事項が認識された。すなわち、有機系ビーズが用いられ、吐出圧力が0.5〜6.0kg/cm2である実施例1〜4にあっては、硬質板が損傷することなく発泡系樹脂断熱材の残存量が5g/m2以下となり、効率良く且つ確実に分離できることが確認された。また、発泡系樹脂断熱材の粉砕物に対するビーズの混入量が15重量%以下となり、リサイクルへの適用が好適なものであった。更には、粉砕物の平均粒径が1000μm以下となり、リサイクルへの適用が好適なものであった。
【0059】
一方、吐出圧力を7kg/cm2とした比較例1にあっては、石膏ボードが3〜4mm程度粉砕され、石膏ボードに損傷が確認された。更に、無機系の石膏ボードの粉砕物が硬質ウレタンフォームの粉砕物に混入してしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0060】
また、吐出圧力を7kg/cm2とした比較例5にあっては、カラー鋼板に損傷が確認された。更に、メラミンビーズが多く破損し、ビーズの粉砕物がウレタンフォームの粉砕物に混入し、その混入量が15重量%を超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0061】
また、有機系ビーズの代わりに砂を用いた比較例2にあっては、ガルバ鋼板に凹凸が形成されるまでの損傷が確認された。更に、無機系の砂がウレタン変成イソシアネートの粉砕物に混入し、その混入量が3重量%を超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0062】
また、有機系ビーズの代わりにシリカ微粒子を用いた比較例3にあっては、カラー鋼板に凹凸が形成されるまでの損傷が確認された。更に、無機系のシリカ微粒子がフェノールフォームの粉砕物に混入し、その混入量が3重量%を超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0063】
また、吐出圧力を0.4kg/cm2とした比較例4にあっては、発泡系樹脂断熱材の残存量が20g/m2を超えてしまい、効率良く且つ確実にカラー鋼板からウレタンフォームを分離することができなかった。更に、ウレタンフォームの粉砕物の平均粒径が1000μmを超えてしまい、リサイクルへの適用が困難なものであった。
【0064】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明の積層構造体の分離回収方法によれば、効率良く且つ確実に硬質板から発泡系樹脂断熱材層を分離回収可能であり、しかも回収された硬質板及び発泡系樹脂断熱材層のリサイクルが非常に容易である。従って、本発明の積層構造体の分離回収方法は、積層構造体のリサイクル技術として非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な分離回収装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…積層構造体、10…硬質板、20…発泡系樹脂断熱材層、30…分離回収装置、31…吹付ガン、31a…吐出ノズル、36…分離器。
Claims (4)
- 硬質板に発泡系樹脂断熱材層を積層させてなる積層構造体の分離回収方法であって、
樹脂製の有機系ビーズを0.5〜6.0kg/cm2の吐出圧力で前記発泡系樹脂断熱材層に吹き付ける工程と、
前記硬質板から分離された前記発泡系樹脂断熱材の粉砕物を前記有機系ビーズと共に回収する工程と、
を含むことを特徴とする積層構造体の分離回収方法。 - 前記発泡系樹脂断熱材層の表面に対して20°〜45°の角度を為すように、前記有機系ビーズを吹き付けることを特徴とする請求項1に記載の積層構造体の分離回収方法。
- 吐出ノズルの内径が3〜10mmである吹付ガンを用いて前記有機系ビーズを吹き付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層構造体の分離回収方法。
- 前記有機系ビーズのモース硬度が1〜5であり、粒径が200〜900μmであり、比重が1.2〜1.5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層構造体の分離回収方法。
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---|---|---|---|
JP2002191001A JP2004034348A (ja) | 2002-06-28 | 2002-06-28 | 積層構造体の分離回収方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014101224A (ja) * | 2012-11-22 | 2014-06-05 | Kanie Puropan Kk | 積層シート剥離装置及び積層シート剥離方法 |
-
2002
- 2002-06-28 JP JP2002191001A patent/JP2004034348A/ja active Pending
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