JP2004033051A - C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の、血圧レベルに影響を与える遺伝的多型 - Google Patents
C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の、血圧レベルに影響を与える遺伝的多型 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域において新たに見出した多型と血圧または体液の調節不良に伴う疾患である高血圧疾患との関連を検討した。その結果、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域における多型が高血圧の素因であるとの結論を得た。このことから、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域における多型を解析することで、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査することが可能となった。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
遺伝因子と環境因子との相互作用は高血圧の発症に重要な役割を果たすと考えられている。単一遺伝子の全体またはゲノム全体に多数の一塩基多型を有する大規模疫学コホートにおいて相関解析を用いることは、高血圧の要因となる遺伝子を同定するための新たな戦略である(Kruglyak AJ. Prospects for whole−genome linkage disequilibrium mapping of common disease genes. Nat. Genet. 1999;23:139−144.、Takagi S, Baba S, Iwai N, et al. The aldehyde dehydrogenase 2 gene is a risk factor for hypertension in Japanese but not alter the sensitivity to pressor effects of alcohol: The Suita Study. Hypertens. Res. 2001;24:365−370.、Fukuda M, Ohkubo T, Katsuya T, et al. Association of a mast cell chymase gene variant with HDL cholesterol, but not with blood pressure in the Ohasama Study. Hypertens. Res. 2002;25:179−184.)。
【0003】
ナトリウム利尿ホルモンは心血管系のホメオスタシスに重要な役割を果たしている。A−タイプおよびB−タイプのナトリウム利尿ホルモン(ANPおよびBNP)は主として心臓組織で産生され、血圧および体液ホメオスタシスに直接に影響を及ぼすことが知られている(Ogawa Y, Itoh H, Nakao K. Molecular biology and biochemistry of natriuretic peptide family. Clin. Exp. Pharmacol. Physiol.
1995;22:49−53.)。
【0004】
C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン (CNP) は、中枢神経系より同定された利尿作用および血管弛緩作用を持つペプチドホルモンである。CNPは内皮細胞で産生されるが、その末梢循環レベルは極めて低く、血圧の状態とは相関しないように思われる(Cheung BM, Brown MJ. Plasma brain natriuretic peptide and C−type natriuretic peptide in essential hypertension. J. Hypertens. 1994;12:449−454.)。一方、中枢神経系におけるCNPの発現レベルは高いことが報告されている(Komatsu Y, Nakao K, Suga S, et al. C−type natriuretic peptide (CNP) in rats and humans. Endocrinology. 1991;129:1104−1106.)。また、CNPは血圧を降下させることが判明しており、中枢神経系を介して血圧または体液調節に関与すると考えられている(Charles CJ, Richards AM, Espiner EA. Central C−type natriuretic peptide but not atrial natriuretic factor lowersblood pressure and adrenocortical secretion in normal conscious sheep. Endocrinology. 1992;131:1721−1726.)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、CNP遺伝子領域の多型と血圧または体液の調節不良に伴う疾患との関連を明らかにし、得られた知見に基づいて、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための方法を提供することである。また、該検査のための試薬を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
日本人集団におけるCNPの遺伝子バリアントと高血圧との間の相関解析(association study)を行った。4種類の遺伝子バリアントが見付かり、このうち2つはプロモーター領域にあり、1つはミスセンス変異であり、1つは3’非翻訳領域にあった。この4つのバリアントのすべての遺伝子型判定を、吹田スタディに登録した2006例の被験者を対象に行った。バリアントの1つである3’非翻訳領域内のG2628Aは血圧との相関が認められた。多重ロジスティック分析により、G2628A多型の遺伝子型(GG=1、AG+AA=2)(p=0.0034)、性別(p=0.0288)、アルコール消費(p=0.0002)、年齢(p<0.0001)および体容積指数(p<0.0001)が高血圧の予測因子であることが示された。高血圧に関するAG+AA遺伝子型のGG遺伝子型に対するオッズ比は1.40であった(p=0.0034、95%CI 1.12〜1.75)。66歳未満の年齢の若いサブポピュレーションにおける多重ロジスティック分析では、AG+AA遺伝子型のGG遺伝子型に対するオッズ比は1.58であった(p=0.0024、95%CI 1.18〜2.12)。すなわち、CNP G2628A多型の寄与の程度は年齢の若いサブポピュレーションの方がさらに大きかった。
【0007】
以上の結果から、CNP遺伝子領域における多型を解析することで、高血圧疾患などの血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査することができると考えられる。
【0008】
即ち、本発明は、
〔1〕血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための方法であって、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型を検出する工程を含み、多型が検出される場合に該疾患に発症しやすい遺伝性素因を有すると判定され、多型が検出されない場合に該疾患に発症しにくい遺伝性素因を有すると判定される方法、
〔2〕多型が一塩基多型である、〔1〕に記載の方法、
〔3〕C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型が、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子の3’末端非翻訳領域の多型である、〔1〕に記載の方法、
〔4〕C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型が、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基部位を1番目としたときに、82番目の塩基部位における多型である、〔1〕に記載の方法、
〔5〕82番目の塩基部位における多型が、グアニンからアデニンへの変異である、〔4〕に記載の方法、
〔6〕疾患が、高血圧疾患、腎疾患または心不全である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法、
〔7〕以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを単離する工程
(c)単離したDNAの塩基配列を決定する工程
(d)工程(c)により決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する工程
〔8〕以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)調製したDNA試料を制限酵素により切断する工程
(c)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
〔9〕以下の(a)〜(e)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを制限酵素により切断する工程
(d)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(e)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
〔10〕以下の(a)〜(e)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程
(d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程
(e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
〔11〕以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程
(d)分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
〔12〕以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)(i)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNA、および
(ii)該DNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された基板、を提供する工程
(b)工程(a)(i)のDNAと工程(a)(ii)の基板を接触させる工程
(c)該DNAと該基板に固定されたヌクレオチドプローブとのハイブリダイズの強度を検出する工程
(d)検出したハイブリダイズの強度を対照と比較する工程
〔13〕以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する工程
(c)工程(a)で調製したDNAを鋳型とし、工程(b)で調製したプライマーを用いて、プライマ―伸長反応を行う工程
(d)工程(c)で得られたプライマ―伸長反応産物を質量分析機にかけ、質量測定を行う工程
(e)質量測定の結果から遺伝子型を決定する工程
(f)工程(e)で決定した遺伝子型を対照と比較する工程
〔14〕以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズする、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを調製する工程
(c)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
(d)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(e)レポーター蛍光の発光を検出する工程
(f)工程(e)で検出したレポーター蛍光の発光を対照と比較する工程
〔15〕以下の(a)〜(h)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
(c)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
(d)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)および工程(c)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
(e)工程(d)でハイブリダイズしたDNAを一本鎖DNA切断酵素で切断し、フラップを遊離させる工程
(f)フラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブをフラップにハイブリダイズさせる工程
(g)工程(f)により発生する蛍光の強度を測定する工程
(h)工程(g)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程
〔16〕以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを一本鎖に解離させる工程
(d)解離させた一本鎖DNAのうち、片鎖のみを分離する工程
(e)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の近傍より1塩基ずつ伸長反応を行い、その際に生成されるピロリン酸を酵素的に発光させ、発光の強度を測定する工程
(f)工程(e)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程
〔17〕以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する工程
(d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて一塩基伸長反応を行う工程
(e)蛍光の偏光度を測定する工程
(f)工程(e)で測定した蛍光の偏光度を対照と比較する工程
〔18〕以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法、
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する工程
(d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行う工程
(e)工程(d)で反応に使われた塩基種を判定する工程
(f)工程(e)で判定された塩基種を対照と比較する工程
〔19〕C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基部位を1番目としたときに、82番目の塩基部位における塩基(アデニン)を含む、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチド、
〔20〕C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための試薬、
〔21〕C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅するように設計されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含む、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための試薬、
〔22〕疾患が、高血圧疾患、腎疾患または心不全である、〔20〕または〔21〕に記載の試薬、
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン(CNP)遺伝子領域の多型を明らかにした。具体的には、配列番号:1に記載の塩基配列の733番目の塩基GがAに変異している多型、該塩基配列の1612番目の塩基GがCに変異している多型、該塩基配列の2347番目の塩基GがTに変異している多型、および、該塩基配列の2628番目の塩基GがAに変異している多型を新たに見出した。さらに、該塩基配列の2628番目の塩基GがAに変異している多型を検出することにより、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査することができることを明らかにした。
【0010】
本発明においては、正常な(より高頻度な、あるいは、野生型の)CNP遺伝子領域の塩基配列を配列番号:1、および、配列番号:1に記載の塩基配列の2628番目の塩基GがAに置換された変異体の塩基配列を配列番号:2に記載する。
【0011】
本発明は、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための方法であって、CNP遺伝子領域の多型を検出する工程を含み、多型が検出される場合に該疾患に発症しやすい遺伝性素因を有すると判定され、多型が検出されない場合に該疾患に発症しにくい遺伝性素因を有すると判定される方法を提供する。
【0012】
本発明において、CNP遺伝子領域とは、CNP遺伝子を含むゲノムDNA上の一定領域を意味する。該領域には、CNP遺伝子の発現制御領域(例えば、プロモーター領域)やCNP遺伝子の3’末端非翻訳領域などが含まれる。本発明において、CNP遺伝子の3’末端非翻訳領域とは、CNP遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側領域を意味する。このような領域としては、例えば、CNP遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側に1786塩基までの領域やその部分領域(例えば、配列番号:1に記載の塩基配列の2547番目の塩基から4332番目の塩基までの配列やその部分配列)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0013】
多型とは、遺伝学的には、母集団中1%以上の頻度で存在している塩基変化と一般的に定義される。しかしながら、本発明における「多型」は、この定義に制限されず、1%未満の塩基の変化も「多型」に含む。本発明における多型の種類としては、例えば、一塩基多型、一から数十塩基(時には数千塩基)が欠失、置換あるいは挿入している多型等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、多型部位の数についても特に制限はなく、1個以上の多型を有していてもよい。
【0014】
本発明における多型としては、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症頻度を上昇させる多型であれば特に制限はないが、好ましくは、CNP遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基部位を1番目としたときに、82番目(例えば、配列番号:1に記載の塩基配列において、2628番目の部位)の塩基部位における多型が挙げられる。また、上記82番目の多型としては、好ましくは、GからAへの置換変異である。
【0015】
本発明において、血圧または体液の調節不良に伴う「疾患」としては、特に制限はなく、高血圧疾患、腎疾患または心不全が例示できる。
【0016】
本発明においては、多型が検出される場合に、血圧または体液の調節不良に伴う疾患に発症しやすい遺伝性素因を有すると判定され、多型が検出されない場合に該疾患に発症しにくい遺伝性素因を有すると判定される。さらに、血圧または体液の調節不良に伴う疾患に罹患している被検者は、その原因が、CNP遺伝子領域の多型にあると判定される。
【0017】
以下、本発明の検査方法の好ましい態様を記載するが、本発明の方法はそれらの方法に限定されるものではない。
【0018】
本発明の検査方法の好ましい態様においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。DNA試料は、例えば被検者の血液、皮膚、口腔粘膜、毛髪、手術により採取あるいは切除した組織または細胞から抽出した染色体DNA、あるいはRNAを基に調製することができる。
【0019】
本方法においては、次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを単離する。該DNAの単離は、例えば、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズするプライマーを用いて、染色体DNA、あるいはRNAを鋳型としたPCR等によって行うことができる。本発明において、「多型部位」とは、多型が存在しうる部位を意味する。具体的には、多型を有する被検者では多型が存在する部位であり、多型を有しない被検者では多型が存在する部位に対応する部位である。よって、本発明において、「多型部位を含むDNA」には、変異型の多型部位を含むDNAだけでなく、正常型の多型部位を含むDNAも含まれる。
【0020】
本方法においては、次いで、単離したDNAの塩基配列を決定する。単離したDNAの塩基配列の決定は、当業者に公知の方法で行うことができる。
【0021】
本方法においては、次いで、決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する。本発明において、対照とは、正常なCNP遺伝子領域を含むDNAを言う。一般に健常人のCNP遺伝子領域を含むDNAの配列は正常であるものと考えられることから、上記「対照と比較する」とは、通常、健常人のCNP遺伝子領域を含むDNAの配列と比較することを意味するが、GenBank等の各種遺伝子データベースもしくは文献等に野生型として記載されているCNP遺伝子領域を含むDNAの配列または配列番号:1に記載の塩基配列と比較してもよい。
【0022】
本発明の検査方法は、上記の如く被検者由来のDNAの塩基配列を直接決定する方法以外に、多型の検出が可能な種々の方法によって行うことができる。
【0023】
例えば、本発明における多型の検出は、以下のような方法によっても行うことができる。まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、調製したDNA試料を制限酵素により切断する。次いで、DNA断片をその大きさに応じて分離する。次いで、検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する。また、他の一つの態様においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを制限酵素により切断する。次いで、DNA断片をその大きさに応じて分離する。次いで、検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する。
【0024】
このような方法としては、例えば、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism/RFLP)を利用した方法やPCR−RFLP法等が挙げられる。具体的には、制限酵素の認識部位に変異が存在する場合、あるいは制限酵素処理によって生じるDNA断片内に塩基挿入または欠失がある場合、制限酵素処理後に生じる断片の大きさが対照と比較して変化する。この変異を含む部分をPCR法によって増幅し、それぞれの制限酵素で処理することによって、これらの変異を電気泳動後のバンドの移動度の差として検出することができる。あるいは、染色体DNAをこれらの制限酵素によって処理し、電気泳動した後、本発明のプローブDNAを用いてサザンブロッティングを行うことにより、変異の有無を検出することができる。用いられる制限酵素は、それぞれの変異に応じて適宜選択することができる。この方法では、ゲノムDNA以外にも被検者から調製したRNAを逆転写酵素でcDNAにし、これをそのまま制限酵素で切断した後、サザンブロッティングを行うことも可能である。また、このcDNAを鋳型としてPCRでCNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅し、それを制限酵素で切断した後、移動度の差を調べることも可能である。
【0025】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する。分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する。
【0026】
該方法としては、例えばPCR−SSCP(single−strand conformation polymorphism、一本鎖高次構造多型)法(Cloning and polymerase chain reaction−single−strand conformation polymorphism analysis of anonymous Alu repeats on chromosome 11. Genomics. 1992 Jan 1; 12(1): 139−146.、Detection of p53 gene mutations in human brain tumors by single−strand conformation polymorphism analysis of polymerase chain reaction products. Oncogene. 1991 Aug 1; 6(8): 1313−1318.、Multiple fluorescence−based PCR−SSCP analysis with postlabeling. 、PCR Methods Appl. 1995 Apr 1; 4(5): 275−282.)が挙げられる。この方法は操作が比較的簡便であり、また被検試料の量も少なくて済む等の利点を有するため、特に多数のDNA試料をスクリーニングするのに好適である。その原理は次の通りである。二本鎖DNA断片を一本鎖に解離すると、各鎖はその塩基配列に依存した独自の高次構造を形成する。この解離したDNA鎖を、変性剤を含まないポリアクリルアミドゲル中で電気泳動すると、それぞれの高次構造の差に応じて、相補的な同じ鎖長の一本鎖DNAが異なる位置に移動する。一塩基の置換によってもこの一本鎖DNAの高次構造は変化し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動において異なる移動度を示す。従って、この移動度の変化を検出することによりDNA断片に点突然変異や欠失、あるいは挿入等による変異の存在を検出することができる。
【0027】
具体的には、まず、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAをPCR法等によって増幅する。増幅される範囲としては、通常200〜400bp程度の長さが好ましい。PCRは、当業者においては反応条件等を適宜選択して行うことができる。PCRの際に、32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識したプライマーを用いることにより、増幅DNA産物を標識することができる。あるいはPCR反応液に32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を加えてPCRを行うことにより、増幅DNA産物を標識することも可能である。さらに、PCR反応後にクレノウ酵素等を用いて、32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を、増幅DNA断片に付加することによっても標識を行うことができる。こうして得られた標識DNA断片を、熱を加えること等により変性させ、尿素などの変性剤を含まないポリアクリルアミドゲルによって電気泳動を行う。この際、ポリアクリルアミドゲルに適量(5から10%程度)のグリセロールを添加することにより、DNA断片の分離の条件を改善することができる。また、泳動条件は各DNA断片の性質により変動するが、通常、室温(20から25℃)で行い、好ましい分離が得られないときには4から30℃までの温度で最適の移動度を与える温度の検討を行う。電気泳動後、DNA断片の移動度を、X線フィルムを用いたオートラジオグラフィーや、蛍光を検出するスキャナー等で検出し、解析を行う。移動度に差があるバンドが検出された場合、このバンドを直接ゲルから切り出し、PCRによって再度増幅し、それを直接シークエンシングすることにより、変異の存在を確認することができる。また、標識したDNAを使わない場合においても、電気泳動後のゲルをエチジウムブロマイドや銀染色法などによって染色することによって、バンドを検出することができる。
【0028】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する。次いで、分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する。
【0029】
このような方法としては、例えば、変性剤濃度勾配ゲル(denaturant gradient gel electrophoresis: DGGE法)等を例示することができる。DGGE法は、変性剤の濃度勾配のあるポリアクリルアミドゲル中で、DNA断片の混合物を泳動し、それぞれの不安定性の違いによってDNA断片を分離する方法である。ミスマッチのある不安定なDNA断片が、ゲル中のある変性剤濃度の部分まで移動すると、ミスマッチ周辺のDNA配列はその不安定さのために、部分的に1本鎖へと解離する。この部分的に解離したDNA断片の移動度は、非常に遅くなり、解離部分のない完全な二本鎖DNAの移動度と差がつくことから、両者を分離することができる。具体的には、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを本発明のプライマー等を用いたPCR法等によって増幅し、これを尿素などの変性剤の濃度が移動するに従って徐々に高くなっているポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、対照と比較する。変異が存在するDNA断片の場合、より低い変性剤濃度位置でDNA断片が一本鎖になり、極端に移動速度が遅くなるため、この移動度の差を検出することにより変異の有無を検出することができる。
【0030】
さらに別の方法においては、まず、被検者から調製したCNP遺伝子領域の多型部位を含むDNA、および、該DNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された基板、を提供する。
【0031】
本発明において「基板」とは、ヌクレオチドプローブを固定することが可能な板状の材料を意味する。本発明においてヌクレオチドには、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドが含まれる。本発明の基板は、ヌクレオチドプローブを固定することができれば特に制限はないが、一般にDNAアレイ技術で使用される基板を好適に用いることができる。一般にDNAアレイは、高密度に基板にプリントされた何千ものヌクレオチドで構成されている。通常これらのDNAは非透過性(non− porous)の基板の表層にプリントされる。基板の表層は、一般的にはガラスであるが、透過性(porous)の膜、例えばニトロセルロースメンブレムを使用することができる。
【0032】
本発明において、ヌクレオチドの固定(アレイ)方法として、Affymetrix社開発によるオリゴヌクレオチドを基本としたアレイが例示できる。オリゴヌクレオチドのアレイにおいて、オリゴヌクレオチドは通常インサイチュ(in situ)で合成される。例えば、photolithographicの技術(Affymetrix社)、および化学物質を固定させるためのインクジェット(Rosetta Inpharmatics社)技術等によるオリゴヌクレオチドのインサイチュ合成法が既に知られており、いずれの技術も本発明の基板の作製に利用することができる。
【0033】
基板に固定するヌクレオチドプローブは、CNP遺伝子領域の多型を検出することができるものであれば、特に制限されない。即ち該プローブは、例えば、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズするようなプローブである。特異的なハイブリダイズが可能であれば、ヌクレオチドプローブは、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAに対し、完全に相補的である必要はない。本発明において基板に結合させるヌクレオチドプローブの長さは、オリゴヌクレオチドを固定する場合は、通常10〜100ベースであり、好ましくは10〜50ベースであり、さらに好ましくは15〜25ベースである。
【0034】
本方法においては、次いで、該DNAと該基板を接触させる。この過程により、上記ヌクレオチドプローブに対し、DNAをハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの反応液および反応条件は、基板に固定するヌクレオチドプローブの長さ等の諸要因により変動しうるが、一般的に当業者に周知の方法により行うことができる。
【0035】
本方法においては、次いで、該DNAと該基板に固定されたヌクレオチドプローブとのハイブリダイズの強度を検出する。この検出は、例えば、蛍光シグナルをスキャナー等によって読み取ることによって行うことができる。尚、DNAアレイにおいては、一般的にスライドガラスに固定したDNAをプローブといい、一方溶液中のラベルしたDNAをターゲットという。従って、基板に固定された上記ヌクレオチドを、本明細書においてヌクレオチドプローブと記載する。本方法においては、さらに、検出したハイブリダイズの強度を対照と比較する。
【0036】
このような方法としては、例えば、DNAアレイ法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p128−135、Nature Genetics(1999)22:164−167)等が挙げられる。
【0037】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。また、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する。次いで、該DNAを鋳型とし、該プライマーを用いて、プライマ―伸長反応を行う。次いで、プライマ―伸長反応産物を質量分析機にかけ、質量測定を行う。次いで、質量測定の結果から遺伝子型を決定する。次いで、決定した遺伝子型を対照と比較する。
【0038】
このような方法としては、例えば、MALDI−TOF/MS法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p106−117、Trends Biotechnol (2000):18:77−84)等が挙げられる。具体的には、まず、被検者からDNA試料を調製する。この際、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAをPCRなどを使用して増幅することで調製することが好ましい。次いで、PCR産物を鋳型として、ジェノタイピングプライマ―(CNP遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―)のddNTPプライマ―伸長反応を行う。この反応に用いるPCR産物は、PCRプライマ―を除去するための精製が行われていることが好ましい。ジェノタイピングプライマ―は、通常、15bp以上の長さを有する。プライマ―伸長反応においては、通常、PCR産物に対して10倍以上の過剰のジェノタイピングプライマ―を加えるが、これに制限されるものではない。サーマルサイクルの条件は適宜選択しうるが、ジェノタイピングプライマ―のうち30〜60%程度が伸長する条件が好ましい。例えば、94℃と37℃の2温度間で25回程度行うことで適当な伸長効率を得ることができる。次いで、プライマ―伸長反応産物のMALDIプレートへのスポットを行い、次いで、質量測定を行う(マススペクトログラムを作成する)。次いで、マススペクトログラム解析から遺伝子型を決定し、対照と比較する。
【0039】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズする、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを調製する。次いで、該DNAに、該ヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、レポーター蛍光の発光を検出する。次いで、検出したレポーター蛍光の発光を対照と比較する。
【0040】
上記方法としては、TaqMan PCR法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p94−105、Genet Anal. (1999)14:143−149)等を挙げることができる。具体的には、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブの5’末端にレポーター蛍光を標識する。本発明において、レポーター蛍光としては、FAMやVICなどが例示できるが、これらに限定されない。さらに、上記プローブの3’末端にクエンチャー蛍光を標識する。本発明において、クエンチャー蛍光としては、レポーター蛍光を消光できる物質であれば特に制限されない。次いで、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを、被検者から調製したDNAにハイブリダイズさせる。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを、5’ヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いて増幅する。その結果、レポーター蛍光とクエンチャー蛍光を標識したヌクレオチドプローブのレポーター蛍光標識部分が切断され、レポーター蛍光が遊離する。本発明において、5’ヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼとしては、好適にはTaqDNAポリメラーゼが例示できるが、これに限定されるものではない。本方法においては、次いで、遊離したレポーター蛍光を検出し、さらに、該レポーター蛍光の発光を対照と比較する。なお、本方法においては、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基が正常型である場合と変異型である場合で異なるレポーター蛍光を標識した2種類のヌクレオチドプローブを用いることで、1回の反応でタイピングすることが可能である。
【0041】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブを調製する。また、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブを調製する。次いで、調製したDNAに、上記2種類のヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる。次いで、ハイブリダイズしたDNAを一本鎖DNA切断酵素で切断し、フラップを遊離させる。本発明において、一本鎖DNA切断酵素としては、特に制限はなく、例えば下記のcleavaseが例示できる。本方法においては、次いで、フラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブをフラップにハイブリダイズさせる。次いで、発生する蛍光の強度を測定する。次いで、測定した蛍光の強度を対照と比較する。
【0042】
上記方法としては、例えば、Invader法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p94−105、Genome Research (2000)10:330−343)等が挙げられる。具体的には、まず、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブ(プローブA)を合成する。また、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブ(プローブB)を合成する。次いで、これらプローブを調製した鋳型DNAにハイブリダイズさせる。この際、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基に対応するプローブBの塩基(任意の塩基)が鋳型DNAとプローブAとの間に侵入する。この侵入部位を認識して、該部位に対応するプローブAの塩基と該塩基の1塩基3’側の塩基の間を切断するエンドヌクレアーゼ(cleavase)を用いてハイブリダイズしたDNAを切断する。これにより、フラップ部分が遊離する。次いで、遊離したフラップ部分と、フラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブ(検出用プローブ)をハイブリダイズさせる。該検出用プローブは、一般的にfluorescence resonance energy transfer(FRET)プローブとよばれる。該プローブにおいて、5’側は自身で相補的に結合できる。また、3’側はフラップと相補的な配列を有している。また、自身で相補的に結合できる5’側において、5’末端にはレポーター蛍光が標識され、該5’末端の3’側にはクエンチャー蛍光が標識されている。遊離したフラップの3’末端の塩基が、FRETプローブにハイブリダイズする結果、該プローブのレポーター蛍光が標識された相補結合部位に侵入することで、cleavaseが認識する構造が生成される。本方法においては、cleavaseによるレポーター蛍光標識部分の切断によって遊離したレポーター蛍光を検出し、さらに、測定した蛍光の強度を対照と比較する。
【0043】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、増幅したDNAを一本鎖に解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAのうち、片鎖のみを分離する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基の近傍より1塩基ずつ伸長反応を行い、その際に生成されるピロリン酸を酵素的に発光させ、発光の強度を測定する。次いで、測定した蛍光の強度を対照と比較する。このような方法としては、例えば、Pyrosequencing法(Anal. Biochem. (2000)10:103−110)等が挙げられる。
【0044】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する。次いで、蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、増幅したDNAを鋳型とし、調製したプライマーを用いて一塩基伸長反応を行う。次いで、蛍光の偏光度を測定する。次いで、測定した蛍光の偏光度を対照と比較する。このような方法としては、例えば、AcycloPrime法(Genome Research (1999)9:492−498)等が挙げられる。
【0045】
さらに別の方法においては、まず、被検者からDNA試料を調製する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、CNP遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する。次いで、蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、増幅したDNAを鋳型とし、調製したプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行う。次いで、一塩基伸長反応に使われた塩基種を判定する。次いで、判定された塩基種を対照と比較する。このような方法として、例えば、SNuPE法(Rapid Vommun Mass Spectrom. (2000)14:950−959)等が挙げられる。
【0046】
上記の方法以外にも、特定位置の変異のみを検出する目的にはアレル特異的オリゴヌクレオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイブリダイゼーション法が利用できる。変異が存在すると考えられる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを作製し、これとDNAでハイブリダイゼーションを行わせると、変異が存在する場合、ハイブリッド形成の効率が低下する。それをサザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイブリッドのギャップにインターカレーションすることにより消光する性質を利用した方法等により検出することができる。
【0047】
本発明は、本発明の検査方法などに利用することができる、CNP遺伝子領域のオリゴヌクレオチドであって、CNP遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基部位を1番目としたときに、82番目の塩基部位における塩基A(例えば、配列番号:2に記載の塩基配列における2628番目の塩基A)を含む、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを提供する。本発明において、オリゴヌクレオチドには、ポリヌクレオチドが含まれる。
【0048】
さらに、本発明は、本発明の検査方法に使用するための試薬を提供する。その一つの態様としては、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む検査試薬が挙げられる。
【0049】
該オリゴヌクレオチドは、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAに特異的にハイブリダイズするものである。ここで「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、サムブルックら,Molecular Cloning,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA,第2版1989に記載の条件)において、他のタンパク質をコードするDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。特異的なハイブリダイズが可能であれば、該オリゴヌクレオチドは、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAに対し、完全に相補的である必要はない。
【0050】
CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドは、上記本発明の検査方法におけるプローブ(該プローブが固定された基板を含む)やプライマーとして用いることができる。該オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、その長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、多型部分を含むCNP遺伝子のプロモータ―領域の少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。
【0051】
また、上記オリゴヌクレオチドをプローブとして使用する場合、該プローブは、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAに特異的にハイブリダイズするものであれば、特に制限されない。該プローブは、合成オリゴヌクレオチドであってもよく、通常少なくとも15bp以上の鎖長を有する。
【0052】
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成機により作製することができる。プローブは、制限酵素処理等によって取得される二本鎖DNA断片として作製することもできる。
【0053】
本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、適宜標識して用いることが好ましい。標識する方法としては、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、オリゴヌクレオチドの5’端を32Pでリン酸化することにより標識する方法、およびクレノウ酵素等のDNAポリメラーゼを用い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチド等をプライマーとして32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を取り込ませる方法(ランダムプライム法等)を例示することができる。
【0054】
また、本発明における検査試薬の別の態様は、CNP遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅するように設計されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含む検査試薬である。プライマーの長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、多型部分を含むCNP遺伝子のプロモータ―領域の少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。
【0055】
上記の検査薬においては、有効成分であるオリゴヌクレオチド以外に、例えば、滅菌水、生理食塩水、植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤、緩衝剤、保存剤等が必要に応じて混合されていてもよい。
【0056】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
(1)被検者
一般人口を代表するように抽出された疫学調査、吹田スタディの選択基準とデザインは以前に報告されている(Takagi S, Baba S, Iwai N, et al. The aldehyde dehydrogenase 2 gene is a risk factor for hypertension in Japanese but not alter the sensitivity to pressor effects of alcohol: The Suita Study. Hypertens. Res. 2001;24:365−370.)。具体的には、吹田市住民30万人より、30歳代男1440人、30歳代女性1440人、40歳代男性1440人、40歳代女性1440人、50歳代男性1440人、50歳代女性1440人、60歳代男性1440人、60歳代女性1440人、70歳代男性1440人、70歳代女性1440人、計14400人を、無作為に選び出し、手紙を書いて、検診を呼びかけた。一年に2000から2500人の受診がある。1997年に受診された方で、遺伝子検査に同意された方を対象として調べた。本実施例では被検者に関する情報は匿名とした。被検者約3700例から遺伝子解析に関するインフォームドコンセントを得た上で、被検者2006例においてCNPの遺伝子型を判定した。収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上の場合に被検者を高血圧と分類した。降圧薬を服用していた被検者も高血圧と分類した。
【0057】
(2)DNA解析
被検者24例から得たゲノムDNAを配列解析用のテンプレートとして用いた。プロモーター領域(最大−1kb)とコード領域(エクソン1および2)の配列を決定した。プロモーターおよびエクソン1の領域は以下のプライマーによって増幅した;5’−ggaagttgaccacctgtcacggct−3’(GenBank登録番号E03598の570〜594)(配列番号:3)および5’−cttccctctctcctgggtcctgc−3’(1904〜1882)(配列番号:4)。エクソン1、イントロン1およびエクソン2の領域は以下のプライマーによって増幅した;5’−ctgcaaatggagttcccctgtg−3’(1339〜1360)(配列番号:5)および5’−gaagccaggtgggttcaaccag−3’(2792〜2770)(配列番号:6)。多型はTaqManシステムによって決定した。プライマーとプローブの概要を下記の表1に示す。
【0058】
(3)統計分析
値は平均±平均値標準誤差(SEM)として表した。統計分析はすべてJMP統計分析パッケージ(SAS Institute Inc.)を用いて行った。多重回帰分析と多重ロジスティック分析は他の共変量を用いて行った。血圧値の残差は性別、年齢および体容積指数(BMI)を調整することによって算出した。数値データの群間差は一元配置ANOVAと独立t検定によって算出した。頻度の差と連鎖不平衡の程度は分割表分析によって検定した。
【0059】
[実施例1] CNP多型の同定
本発明者らは、24人の被検者を対象にCNP遺伝子領域のシークエンスを行い、4種類の遺伝的変異を見いだした(表1、図1および2)。
【0060】
【表1】
【0061】
CNP遺伝子変異のTaqMan法による検出方法を示す。多型のヌクレオチド番号はGenBankデータベース中の配列に従って付けた(登録番号E03598)。G733A(CNP1)とG1612C(CNP2)はプロモーター領域にあり、G2347T(CNP3)はエクソン2にあってアミノ酸変化Gly61Valを生じ、G2628A(CNP4)はCNP mRNAの3’非翻訳領域にある。多型の対別にみた連鎖不平衡を表2にまとめた。また、遺伝子型の頻度を表3に示す。
【0062】
【表2】
各遺伝的多型間の連鎖不平衡の程度を示す。LDの程度は分割表分析(Pearson)によって評価した。χ二乗値を示している。* p=0.06、** p<0.0001である。
【0063】
【表3】
対象患者の特徴を示す。値は平均(SEM)として表した。BMI;体容積指数(kg/m2)、アルコール;日本酒の量(カップ/日)に換算したアルコール消費量、TChol;総コレステロール(mg/dl)、TG;トリグリセリド(mg/dl)、HDL;HDLコレステロール mg/dl、MI;心筋梗塞、CVA;脳血管発作を示す。** p<0.01、* p<0.05である。
【0064】
[実施例2] 相関解析
さらに、本発明者らは、吹田スタデーを用いて、これら4種類の変異と血圧レベルの相関を調べた。表3は試験集団の特性を示している。G2347T多型のGT遺伝子型は高血圧例での頻度が高かった。G2628A多型ではAG遺伝子型とAA遺伝子型の頻度が高血圧例で高かった。
【0065】
また、性別、年齢、BMI、アルコール消費およびCNP遺伝子型を含めた多重ロジスティック分析により、性別(p=0.0288)、年齢(p<0.0001)、体容積指数(p<0.0001)、アルコール消費(p=0.0002)およびA2628G遺伝子型(GG=1、AG+AA=2)(p=0.0034)が高血圧状態の予測因子であることが示された。G2628A多型のAG遺伝子型+AA遺伝子型の高血圧に関するオッズ比は、GG遺伝子型との比較で1.40(95%CI 1.12〜1.75)であった。
【0066】
【表4】
G2628A遺伝型に基づく66歳未満対象者の総括を示す。SBP;収縮期血圧(mmHg)、DBP;拡張期血圧(mmHg)、HTN;高血圧あり、HTN薬物療法;高血圧に対する薬物療法を示す。他の略号は表3と同じである。
【0067】
表4は、66歳未満の試験集団の特性をG2628A多型の種類別に示したものである。年齢の若いこのサブポピュレーションにおける多重ロジスティック分析からは、年齢(p<0.0001)、体容積指数(p<0.0001)、アルコール消費(p=0.0029)およびA2628G遺伝子型(GG=1、AG+AA=2)(p=0.0024)が高血圧状態の予測因子であることが示された。G2628A多型のAG遺伝子型+AA遺伝子型の高血圧に関するオッズ比は、GG遺伝子型との比較で1.58(95%CI 1.18〜2.12)であった。すなわち、CNP G2628A多型の寄与の程度は年齢の若いサブポピュレーションの方がさらに大きかった。
【0068】
CNPは脳全体で多量に発現され、最も濃度が高いのは下垂体前葉である(Komatsu Y, Nakao K, Suga S, et al. C−type natriuretic peptide (CNP) in rats and humans. Endocrinology. 1991;129:1104−1106.)。グアニル酸シクラーゼ活性を有するCNP受容体(ナトリウム利尿ペプチド受容体B;NPRB)は神経由来の組織に多く、末梢血管系には少ないため、CNPの直接的な末梢降圧作用はANPおよびBNPよりも弱い(Koller KJ, Lowe DG, Bennet GL, et al. Selective activation the B natriuretic peptide receptor by C−type natriuretic peptide (CNP). Science. 1991;252:120−123.、Suga S, Nakao K, Hosoda K, et al. Receptorselectivity of natriuretic peptide family, atrial natriuretic peptide, brain natriuretic peptide and C−type natriuretic peptide. Endocrinology.1992;130:229−239.)。しかし、CNPの脳室内注入によって血圧およびアルドステロン分泌が低下することが示されている(Charles CJ, Richards AM, EspinerEA. Central C−type natriuretic peptide but not atrial natriuretic factor lowers blood pressure and adrenocortical secretion in normal conscioussheep. Endocrinology. 1992;131:1721−1726.)。このため、CNPの遺伝的差異が中枢神経系に対する作用を介して血圧に影響を及ぼすことも考えられる。
【0069】
本発明者らはCNPの4つの多型を解析し、このうち2つはプロモーター領域にあり、1つはコード領域にあってアミノ酸変化を伴い、残る1つは3’非翻訳領域にあった。このミスセンス変異は生物活性に極めて重要なループ構造の外にあり(Ogawa Y, Itoh H, Nakao K. Molecular biology and biochemistry of natriuretic peptide family. Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 1995;22:49−53.)、生物学的に大きな意味はないと思われる。血圧との相関が認められたのは3’非翻訳領域内のG2628A遺伝子型のみであった。本発明者らはこの3’非翻訳領域の多型がCNP mRNAの安定性に影響するのではないかと推測した(Misquitta CM, Iyer VR, Werstiuk ES, Grover AK. The role of 3’−untranslated region (3’−UTR)−mediated mRNA stability in cardiovascular pathophysiology. Mol. Cell. Biochem. 2001;224:53−67.)。しかしながら、本発明者らの予備的な実験からこの仮説は否定された。よって、この多型の生物学的な意義は現在のところ不明である。この3’非翻訳領域における多型との連鎖不平衡の差異の方が重要な可能性があり、それには生物学的な意義があるという可能性がある。
【0070】
【発明の効果】
本発明によって、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための方法および該検査のための試薬が提供された。該検査方法および該検査試薬を使用することで、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査できるようになった。また、該検査方法および該検査試薬を使用することで、血圧または体液の調節不良に伴う疾患に罹患している被検者は、その原因が、血圧または体液の調節不良に伴う疾患に発症しやすい遺伝性素因にあることを認識することができるようになった。このような検査によって、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症予防または適切な治療を、個人個人に適した方法でより効果的に行うことができるものと大いに期待される。具体的には、血圧または体液の調節不良に伴う疾患に発症しやすい遺伝性素因者は、食塩感受性が高い可能性があり、生活習慣の上で、減塩が強く推奨される。また、該遺伝性素因者の血圧が既に高い場合、利尿剤が効果を持つ可能性が高い。
【0071】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトのCNP遺伝子領域の配列を示す図である。アミノ酸をコードする部分は網がけしてある。
【図2】図1の続きを示す図である。アミノ酸をコードする部分は網がけしてある。
Claims (22)
- 血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための方法であって、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型を検出する工程を含み、多型が検出される場合に該疾患に発症しやすい遺伝性素因を有すると判定され、多型が検出されない場合に該疾患に発症しにくい遺伝性素因を有すると判定される方法。
- 多型が一塩基多型である、請求項1に記載の方法。
- C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型が、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子の3’末端非翻訳領域の多型である、請求項1に記載の方法。
- C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型が、C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基部位を1番目としたときに、82番目の塩基部位における多型である、請求項1に記載の方法。
- 82番目の塩基部位における多型が、グアニンからアデニンへの変異である、請求項4に記載の方法。
- 疾患が、高血圧疾患、腎疾患または心不全である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを単離する工程
(c)単離したDNAの塩基配列を決定する工程
(d)工程(c)により決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)調製したDNA試料を制限酵素により切断する工程
(c)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(e)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを制限酵素により切断する工程
(d)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(e)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(e)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程
(d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程
(e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程
(d)分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)(i)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNA、および
(ii)該DNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された基板、を提供する工程
(b)工程(a)(i)のDNAと工程(a)(ii)の基板を接触させる工程
(c)該DNAと該基板に固定されたヌクレオチドプローブとのハイブリダイズの強度を検出する工程
(d)検出したハイブリダイズの強度を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する工程
(c)工程(a)で調製したDNAを鋳型とし、工程(b)で調製したプライマーを用いて、プライマ―伸長反応を行う工程
(d)工程(c)で得られたプライマ―伸長反応産物を質量分析機にかけ、質量測定を行う工程
(e)質量測定の結果から遺伝子型を決定する工程
(f)工程(e)で決定した遺伝子型を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズする、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを調製する工程
(c)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
(d)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(e)レポーター蛍光の発光を検出する工程
(f)工程(e)で検出したレポーター蛍光の発光を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(h)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
(c)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
(d)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)および工程(c)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
(e)工程(d)でハイブリダイズしたDNAを一本鎖DNA切断酵素で切断し、フラップを遊離させる工程
(f)フラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブをフラップにハイブリダイズさせる工程
(g)工程(f)により発生する蛍光の強度を測定する工程
(h)工程(g)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを一本鎖に解離させる工程
(d)解離させた一本鎖DNAのうち、片鎖のみを分離する工程
(e)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の近傍より1塩基ずつ伸長反応を行い、その際に生成されるピロリン酸を酵素的に発光させ、発光の強度を測定する工程
(f)工程(e)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する工程
(d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて一塩基伸長反応を行う工程
(e)蛍光の偏光度を測定する工程
(f)工程(e)で測定した蛍光の偏光度を対照と比較する工程 - 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
(a)被検者からDNA試料を調製する工程
(b)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマ―を調製する工程
(d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行う工程
(e)工程(d)で反応に使われた塩基種を判定する工程
(f)工程(e)で判定された塩基種を対照と比較する工程 - C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子のエクソン2の最後の塩基の1塩基3’側の塩基部位を1番目としたときに、82番目の塩基部位における塩基(アデニン)を含む、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチド。
- C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための試薬。
- C−タイプ・ナトリウム利尿ホルモン遺伝子領域の多型部位を含むDNAを増幅するように設計されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含む、血圧または体液の調節不良に伴う疾患の発症しやすさに影響する遺伝性素因を有するか否かを検査するための試薬。
- 疾患が、高血圧疾患、腎疾患または心不全である、請求項20または21に記載の試薬。
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2002
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WO2009104730A1 (ja) | 2008-02-21 | 2009-08-27 | 国立大学法人愛媛大学 | 高血圧感受性遺伝子群の同定 |
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