JP2004222503A - ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子プロモーター領域の血圧レベルに影響を与える遺伝的変異 - Google Patents

ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子プロモーター領域の血圧レベルに影響を与える遺伝的変異 Download PDF

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直温 岩井
Wataru Ono
亘 尾野
Toshibumi Mannami
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Japan National Cardiovascular Center
Iyakuhin Fukusayou Higai Kyuusai Kenkyu Shinko Chosa Kiko
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Abstract

【課題】ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子(HMOX−1遺伝子)のプロモーター領域における変異と女性における本態性高血圧症との関連を明らかにし、得られた知見に基づいて、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法を提供することを課題とする。また、該検査のための試薬を提供することを課題とする。
【解決手段】HMOX−1遺伝子のプロモーター領域における多型部位における変異と女性における本態性高血圧症との関連を検討した。その結果、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位における遺伝子型を解析することで、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査ができることが明らかとなった。さらに、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位に変異が生じている場合、HMOX−1遺伝子のプロモーター活性が、変異が生じていない場合と比較して有意に高いことが明らかとなった。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
1968年にヘムオキシゲナーゼ(HO)酵素が生化学的に単離されて以来、HOに関する研究は、ヘム代謝にHOが果たす役割に焦点があてられてきた。しかし最近では、さまざまな生物学的過程にHOが果たす役割が明らかになってきたことで、HOが細胞のホメオスタシスの維持に果たす役割に関心が多く寄せられている。
【0003】
ヘムの分解に不可欠なHOは、胆汁色素、フェリチン、一酸化炭素(CO)を産生する(非特許文献1)。HOおよびCOは、血圧の調節を含む心血管機能のホメオスタシス調節に関与する(非特許文献2)。
【0004】
ヘム・オキシゲナーゼ1(HO−1)をメタロポルフィリンで阻害すると、バルーン傷害後に血圧が上昇し、動脈の新内膜の形成が増加することが知られている(非特許文献3、4)。HO−1系をHO誘導物質で増強すると血圧が低下し、新内膜の形成が抑制される(非特許文献3、5)。一方、長期にわたってHO−1を、血管平滑筋細胞で部位特異的に過剰発現するトランスジェニックマウス系列では、動脈圧の有意な上昇と血管拡張反応の低下が認められている(非特許文献6)。したがって、HO−1の長期および全身性の活性化が、血管緊張および血圧に影響を及ぼしうるか否かは未だ不明である。
【0005】
HOの産物の一つであるCOは、生理学的に重要な血管作動性物質と考えられている。過去に行われたin vitro実験では、一酸化窒素(NO)とCOが、可溶性グアニル酸シクラーゼを異なる機構で活性化すること、また、その強度はCOの方がNOよりはるかに小さいことが明らかにされている(非特許文献7)。したがってCOは、NOと競合することによってNOに対する血管拡張反応を抑え、そのため、CO濃度が過剰でない場合は動脈圧の上昇を招く可能性がある。
【0006】
COは、血圧の調節を含む心血管機能の調節に関与する。COは、可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)を活性化することで血管平滑筋細胞(VSMC)の弛緩を誘導することが報告されている(非特許文献8)。sGCが活性化されるとGTPがcGMPに変換され、細胞内のcGMPが、cGMP依存性タンパク質キナーゼを活性化することで生物学的機能を調節する(非特許文献9)。したがって、HO−CO−sGC−cGMP系の活性の同期は、血圧の調節における重要な代謝経路を構成している可能性がある。
【0007】
過去に行われたin vitroにおける実験では、NOおよびCOが、別の機構によって同シクラーゼを活性化することと、COの作用がNOよりはるかに弱いことが報告されている(非特許文献7)。2種の気体にはシクラーゼを活性化する特性に差があるため、VSMCから内因的に生じるCOが、内皮細胞から放出されるNOと競合することでシクラーゼ活性を調節している可能性がある(非特許文献6)。
【0008】
血圧は女性より男性の方が高いので、女性における高血圧症の発症予防に女性ホルモンが重要な役割を果たしている可能性がある。エストロゲンはNO産生を促進することが報告されている(非特許文献10、11)。エストロゲンによって促進されたNO産生は、血圧調節に大きく影響する。なぜなら、エストロゲンβ受容体をもたないマウスでは、NOの減少に起因すると思われる高血圧症が認められるからである(非特許文献12)。エストロゲンは、エストロゲンβ受容体を介して誘導型NO合成酵素の発現を上昇させることで血管収縮を弱めるので、HO/CO系が血圧値に及ぼす作用は、男女の被検者間で異なる可能性がある(非特許文献12)。
【0009】
一方、HMOX−1遺伝子(別名HO−1遺伝子)の欠損症例の報告は一例のみあり(exon 2の完全欠失、exon3の欠失)、発育遅滞、溶血性貧血、内皮細胞障害を特徴とする(非特許文献13)。(GT)反復配列の多型部位における遺伝子型と肺気腫の関連(非特許文献14)、(GT)反復配列の多型部位における遺伝子型と血管形成術後の再狭窄の頻度の関連(非特許文献15)などの報告があるが、HMOX−1遺伝子の変異と血圧レベルとの関連を示す報告例は皆無である。
【0010】
尚、本出願の発明に関連する先行技術文献情報を以下に示す。
【非特許文献1】Halliwell B, Gutteridge JM. Role of free radicals and catalytic metal ions in human disease: an overview. Methods Enzymol. 1990;186:1−85.
【非特許文献2】Christova T, Diankova Z, Setchenska M. Heme oxygenase−−carbon monoxide signalling pathway as a physiological regulator of vascular smooth muscle cells. Acta Physiol Pharmacol Bulg. 2000;25:9−17.
【非特許文献3】Togane Y, Morita T, Suematsu M, Ishimura Y, Yamazaki JI,Katayama S. Protective roles of endogenous carbon monoxide in neointimal development elicited by arterial injury. Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2000;278:H623−32.
【非特許文献4】Johnson RA, Lavesa M, Askari B, Abraham NG, Nasjletti A.A heme oxygenase product, presumably carbon monoxide, mediates a vasodepressor function in rats. Hypertension. 1995;25:166−9.
【非特許文献5】Christou H, Morita T, Hsieh CM, Koike H, Arkonac B, Perrella MA, Kourembanas S. Prevention of hypoxia−induced pulmonary hypertension by enhancement of endogenous heme oxygenase−1 in the rat. Circ Res.
2000;86:1224−9.
【非特許文献6】Imai T, Morita T, Shindo T, Nagai R, Yazaki Y, Kurihara H, Suematsu M, Katayama S. Vascular smooth muscle cell−directed overexpression of heme oxygenase−1 elevates blood pressure through attenuation of nitric oxide−induced vasodilation in mice. Circ Res. 2001;89:55−62.
【非特許文献7】Kharitonov VG, Sharma VS, Pilz RB, Magde D, Koesling D. Basis of guanylate cyclase activation by carbon monoxide. Proc Natl Acad
Sci U S A. 1995;92:2568−71.
【非特許文献8】Wang R, Wang Z, Wu L. Carbon monoxide−induced vasorelaxation and the underlying mechanisms. Br J Pharmacol. 1997;121:927−34.
【非特許文献9】Fukao M, Mason HS, Britton FC, Kenyon JL, Horowitz B, Keef KD. Cyclic GMP−dependent protein kinase activates cloned BKCa channels expressed in mammalian cells by direct phosphorylation at serine 1072.
J Biol Chem. 1999;274:10927−35.
【非特許文献10】Weiner CP, Lizasoain I, Baylis SA, Knowles RG, CharlesIG, Moncada S. Induction of calcium−dependent nitric oxide synthases bysex hormones. Proc Natl Acad Sci U S A. 1994;91:5212−6.
【非特許文献11】Goetz RM, Morano I, Calovini T, Studer R, Holtz J. Increased expression of endothelial constitutive nitric oxide synthase in rat aorta during pregnancy. Biochem Biophys Res Commun. 1994;205:905−10.
【非特許文献12】Zhu Y, Bian Z, Lu P, Karas RH, Bao L, Cox D, Hodgin J,Shaul PW, Thoren P, Smithies O, Gustafsson JA, Mendelsohn ME. Abnormal vascular function and hypertension in mice deficient in estrogen receptor beta. Science. 2002;295:505−8.
【非特許文献13】Yachie A, Niida Y, Wada T, Igarashi N, Kaneda H, Toma T, Ohta K, Kasahara Y, Koizumi S. Oxidative stress causes enhanced endothelial cell injury in human heme oxygenase−1 deficiency. J Clin Invest 1999; 103: 129−135.
【非特許文献14】Yamada N, Yamaya M, Okinaga S, Nakayama K, Sekizawa K,Shibahara S, Sasaki H. Microsatellite polymorphism in the heme oxygenase−1 gene promoter is associated with susceptibility to emphysema. Am J Hum Genet 2000; 66: 187−195.
【非特許文献15】Exner M, Schillinger M, Minar E, Mlekusch W, Schlerka G, Haumer M, Mannhalter C, Wagner O. Heme oxygenase−1 gene promoter microsatellite polymorphism is associated with restenosis after percutaneoustransluminal angioplasty.J Endovasc Ther 2001; 8: 433−440.
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の変異と女性における本態性高血圧症との関連を明らかにし、得られた知見に基づいて、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法を提供することである。また、該検査のための試薬を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域における変異のスクリーニングを行い、高血圧症における多型の有意性の評価を行った。まず、本発明者らは、HMOX−1のプロモーター領域における多型の同定を試みた。その結果、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域には、G(−1135)A多型およびT(−413)A多型が認められ、(GT)反復配列の多型の存在が確認された。次いで、これら3種類の多型部位における遺伝子型と本態性高血圧症の関連を検討した。心血管系合併症の既往のない1998人の被検者を吹田試験から選択した。被検者は、収縮期血圧が140 mmHgを上回る場合、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合に高血圧群に分類した。降圧薬を使用していた被検者も高血圧群に分類した。
【0013】
検討の結果、女性において、T(−413)A多型部位における遺伝子型がAA型であるときに、高血圧被検者の頻度、および降圧薬の使用率が有意に高かった(AA/AT/TT;45.5/34.2/35.0%、p=0.0099、および23.4/17.5/15.0%、p=0.0383)。さらに、年齢と体容積指数(Body mass index;BMI)を考慮した多重ロジスティック回帰の結果、AA型の方が他の遺伝子型(AT+TT型)に比して、オッズ比1.59(p=0.0058、95%信頼区間:1.14〜2.20)で高血圧を持つと結論された。
【0014】
さらに、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域のT(−413)A多型部位に変異が生じている場合、HMOX−1遺伝子のプロモーター活性が、変異が生じていない場合と比較して有意に高いことが明らかとなった。
【0015】
即ち、本発明は、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法に関し、以下の〔1〕〜〔22〕を提供するものである。
〔1〕 ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域における変異を検出する工程を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法。
〔2〕 変異が、ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター活性の上昇を導く変異である、〔1〕に記載の方法。
〔3〕 変異が、多型部位における変異である、〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕 多型部位における変異が、TからAへの置換変異である、〔3〕に記載の方法。
〔5〕 多型部位が、配列番号:1に記載の塩基配列の968番目に相当する部位である、〔3〕または〔4〕に記載の方法。
〔6〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを単離する工程
(c)単離したDNAの塩基配列を決定する工程
(d)工程(c)により決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する工程
〔7〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)調製したDNA試料を制限酵素により切断する工程
(c)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
〔8〕 以下の(a)〜(e)の工程を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを制限酵素により切断する工程
(d)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
(e)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
〔9〕 以下の(a)〜(e)の工程を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程
(d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程
(e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
〔10〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程
(d)分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
〔11〕 以下の(a)〜(d)の工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)(i)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNA、および
(ii)該DNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された基板、を提供する工程
(b)工程(a)(i)のDNAと工程(a)(ii)の基板を接触させる工程
(c)該DNAと該基板に固定されたヌクレオチドプローブとのハイブリダイズの強度を検出する工程、
(d)検出したハイブリダイズの強度を対照と比較する工程
〔12〕 以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する工程
(c)工程(a)で調製したDNAを鋳型とし、工程(b)で調製したプライマーを用いて、プライマー伸長反応を行う工程
(d)工程(c)で得られたプライマー伸長反応産物を質量分析機にかけ、質量測定を行う工程
(e)質量測定の結果から遺伝子型を決定する工程
(f)工程(e)で決定した遺伝子型を対照と比較する工程
〔13〕 以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズする、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを調製する工程
(c)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
(d)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(e)レポーター蛍光の発光を検出する工程
(f)工程(e)で検出したレポーター蛍光の発光を対照と比較する工程
〔14〕 以下の(a)〜(h)の工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
(c)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
(d)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)および工程(c)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
(e)工程(d)でハイブリダイズしたDNAを一本鎖DNA切断酵素で切断し、フラップを遊離させる工程
(f)フラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブをフラップにハイブリダイズさせる工程
(g)工程(f)により発生する蛍光の強度を測定する工程
(h)工程(g)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程
〔15〕 以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)増幅したDNAを一本鎖に解離させる工程
(d)解離させた一本鎖DNAのうち、片鎖のみを分離する工程
(e)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の近傍より1塩基ずつ伸長反応を行い、その際に生成されるピロリン酸を酵素的に発光させ、発光の強度を測定する工程
(f)工程(e)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程
〔16〕 以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する工程
(d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて一塩基伸長反応を行う工程
(e)蛍光の偏光度を測定する工程
(f)工程(e)で測定した蛍光の偏光度を対照と比較する工程
〔17〕 以下の(a)〜(f)の工程を含む、〔3〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
(a)被検女性からDNA試料を調製する工程
(b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
(c)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する工程
(d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行う工程
(e)工程(d)で反応に使われた塩基種を判定する工程
(f)工程(e)で判定された塩基種を対照と比較する工程
〔18〕 ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子の発現量を測定する工程を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法。
〔19〕 ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための試薬。
〔20〕 ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅するように設計されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための試薬。
〔21〕 プロモーター領域を含むDNAが、プロモーター領域の多型部位を含むDNAである、〔19〕または〔20〕に記載の試薬。
〔22〕 ヘム・オキシゲナーゼ1に結合する抗体を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための試薬。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子(HMOX−1遺伝子)のプロモーター領域(GenBankアクセッション番号Z82244)の変異と女性における本態性高血圧症の発症しやすさが関連することを見出した。具体的には、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位(配列番号:1に記載の塩基配列において968番目の部位、または、図1に記載の塩基配列において−413番目の部位に相当)における遺伝子型がAA型の場合に該疾患に発症しやすいと判定でき、AT型またはTT型の場合に該疾患に発症しにくいと判定できることがわかった。さらに、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位に変異が生じている場合、HMOX−1遺伝子のプロモーター活性が、変異が生じていない場合と比較して有意に高いことが明らかとなった。本発明は、この知見に基づくものである。なお、正常な(より高頻度な、または、野生型の)HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の塩基配列を配列番号:1、および、配列番号:1に記載の塩基配列の968番目の塩基TがAに置換された変異体の塩基配列を配列番号:2に例示する。
【0017】
本発明は、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域における変異を検出する工程を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法を提供する。
【0018】
本発明における本態性高血圧症は、収縮期血圧140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上の症状を意味する。
【0019】
本発明において、ヘム・オキシゲナーゼ1タンパク質(HO−1)とは、ヘムを一酸化炭素とビリベルジンに分解する律速酵素のうち1型を意味する。1型は2型と異なり種々の刺激で誘導される性質を持つ。HO−1の活性としてはヘムの分解活性が挙げられる。該活性は以下の方法で評価することができる。NADPH(0.8mM)、グルコース6リン酸 (2mM)、 グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ(0.2units)、ビリベルジンレダクターゼ源としての105,000×gで得られる上清フラクションから調整したラット肝臓サイトゾル(3mg)、リン酸カリウム緩衝液(PBS, 100mM, pH7.4)、MgCl (0.2mM)、および、ヘミン(20μM)を含む反応液に、細胞由来のミクロソームを添加する。反応は、1時間暗条件において37℃で行ない、1ml のクロロホルムを添加することで停止させる。抽出したビリルビンを吸光度464と530nm(ε=40mM−1cm−1)の違いによって測定する。HO−1活性は、ビリルビン/細胞内タンパク質mg/時間のピコモル数として示される。よって、本発明における「HMOX−1遺伝子のプロモーター領域」とは、上記HO−1の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子のプロモーター領域を意味する。
【0020】
本発明における変異は、女性特異的な本態性高血圧症のマーカーとなる変異(多型部位における変異を含む)であれば特に制限はないが、好ましくは女性特異的に高血圧発症素因となる変異である。
【0021】
また、本発明における変異としては、好ましくはHMOX−1遺伝子のプロモーター活性の上昇を導く変異、より好ましくは多型部位における変異であってHMOX−1遺伝子のプロモーター活性の上昇を導く変異が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、該多型部位における変異としては、例えば、TからAへの置換変異が挙げられる。また、該多型部位としては、例えば、配列番号:1に記載の塩基配列の968番目に相当する部位が挙げられる。
【0022】
本発明において、「配列番号:1に記載の塩基配列の968番目に相当する部位」とは、配列番号:1に記載の塩基配列の968番目の塩基部位だけではなく、配列番号:1に記載の塩基配列において1もしくは複数の塩基が変異した(置換、欠失、付加、および/または挿入された)塩基配列における塩基部位であって、配列番号:1に記載の塩基配列の968番目に相当する部位をも含む概念である。このような1もしくは複数の塩基が変異した塩基配列としては、例えば、実施例に記載のG(−1135)A多型部位および(GT)反復配列の多型部位における塩基が変異した塩基配列が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
多型とは、遺伝学的には、母集団中1%以上の頻度で存在している塩基変化と一般的に定義される。しかしながら、本発明における「多型」は、この定義に制限されず、1%未満の塩基の変化も「多型」に含む。本発明における多型の種類としては、例えば、一塩基多型、一から数十塩基(時には数千塩基)が欠失、置換あるいは挿入している多型等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、本発明における「多型部位」とは、このような多型が存在する部位を意味する。本発明における多型部位の数としては、特に制限はなく、1個以上の多型部位を有していてもよい。また、後述の「多型部位を含むDNA」には、多型部位において変異を有するDNAだけでなく、多型部位において変異を有しないDNAも含まれる。
【0024】
本発明の好ましい態様としては、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域において、両方のアレル共に上記本発明における変異が検出される場合に本態性高血圧症に発症しやすいと判定され、片方のアレルのみに該変異が検出される場合または両方のアレル共に該変異が検出されない場合に該疾患に発症しにくいと判定される。
【0025】
以下、本発明の検査方法の好ましい態様を記載するが、本発明の方法はそれらの方法に限定されるものではない。
【0026】
本発明の検査方法の好ましい態様においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。DNA試料は、例えば被検女性の血液、皮膚、口腔粘膜、毛髪、手術により採取あるいは切除した組織または細胞から抽出した染色体DNA、あるいはRNAを基に調製することができる。
【0027】
本方法においては、次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを単離する。該DNAの単離は、例えば、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAにハイブリダイズするプライマーを用いて、染色体DNA、あるいはRNAを鋳型としたPCR等によって行うことができる。
【0028】
本発明において、「HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNA」としては、好ましくはHMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAであり、より好ましくは配列番号:1に記載の塩基配列の968番目に相当する部位を含むDNAが挙げられる。
【0029】
本方法においては、次いで、単離したDNAの塩基配列を決定する。単離したDNAの塩基配列の決定は、当業者に公知の方法で行うことができる。
【0030】
本方法においては、次いで、決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する。本方法における対照とは、正常なHMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAの配列を言う。一般に健常人のHMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAの配列は正常であるものと考えられることから、上記「対照と比較する」とは、通常、健常人のHMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAの配列と比較することを意味するが、GenBank等の各種遺伝子データベースまたは文献等に野生型として記載されているHMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAの配列と比較してもよい。
【0031】
本発明の検査方法は、上記の如く被検女性由来のDNAの塩基配列を直接決定する方法以外に、変異の検出が可能な種々の方法によって行うことができる。
【0032】
例えば、本発明における変異の検出は、以下のような方法によっても行うことができる。まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、調製したDNA試料を制限酵素により切断する。次いで、DNA断片をその大きさに応じて分離する。次いで、検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する。また、他の一つの態様においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを制限酵素により切断する。次いで、DNA断片をその大きさに応じて分離する。次いで、検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する。
【0033】
このような方法としては、例えば、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism/RFLP)を利用した方法やPCR−RFLP法等が挙げられる。具体的には、制限酵素の認識部位に変異が存在する場合、あるいは制限酵素処理によって生じるDNA断片内に塩基挿入または欠失がある場合、制限酵素処理後に生じる断片の大きさが対照と比較して変化する。この変異を含む部分をPCR法によって増幅し、それぞれの制限酵素で処理することによって、これらの変異を電気泳動後のバンドの移動度の差として検出することができる。あるいは、染色体DNAをこれらの制限酵素によって処理し、電気泳動した後、本発明のプローブDNAを用いてサザンブロッティングを行うことにより、変異の有無を検出することができる。用いられる制限酵素は、それぞれの変異に応じて適宜選択することができる。この方法では、ゲノムDNA以外にも被検女性から調製したRNAを逆転写酵素でcDNAにし、これをそのまま制限酵素で切断した後、サザンブロッティングを行うことも可能である。また、このcDNAを鋳型としてPCRでHMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅し、それを制限酵素で切断した後、移動度の差を調べることも可能である。
【0034】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する。分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する。
【0035】
該方法としては、例えばPCR−SSCP(single−strand conformation polymorphism、一本鎖高次構造多型)法(Cloning and polymerase chain reaction−single−strand conformation polymorphism analysis of anonymous Alu repeats on chromosome 11. Genomics. 1992 Jan 1; 12(1): 139−146.、Detection of p53 gene mutations in human brain tumors by single−strand conformation polymorphism analysis of polymerase chain reaction products. Oncogene. 1991 Aug 1; 6(8): 1313−1318.、Multiple fluorescence−based PCR−SSCP analysis with postlabeling. 、PCR Methods Appl. 1995 Apr 1; 4(5): 275−282.)が挙げられる。この方法は操作が比較的簡便であり、また被検試料の量も少なくて済む等の利点を有するため、特に多数のDNA試料をスクリーニングするのに好適である。その原理は次の通りである。二本鎖DNA断片を一本鎖に解離すると、各鎖はその塩基配列に依存した独自の高次構造を形成する。この解離したDNA鎖を、変性剤を含まないポリアクリルアミドゲル中で電気泳動すると、それぞれの高次構造の差に応じて、相補的な同じ鎖長の一本鎖DNAが異なる位置に移動する。一塩基の置換によってもこの一本鎖DNAの高次構造は変化し、ポリアクリルアミドゲル電気泳動において異なる移動度を示す。従って、この移動度の変化を検出することによりDNA断片に点突然変異や欠失、あるいは挿入等による変異の存在を検出することができる。
【0036】
具体的には、まず、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAをPCR法等によって増幅する。増幅される範囲としては、通常200〜400bp程度の長さが好ましい。PCRは、当業者においては反応条件等を適宜選択して行うことができる。PCRの際に、32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識したプライマーを用いることにより、増幅DNA産物を標識することができる。あるいはPCR反応液に32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を加えてPCRを行うことにより、増幅DNA産物を標識することも可能である。さらに、PCR反応後にクレノウ酵素等を用いて、32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を、増幅DNA断片に付加することによっても標識を行うことができる。こうして得られた標識DNA断片を、熱を加えること等により変性させ、尿素などの変性剤を含まないポリアクリルアミドゲルによって電気泳動を行う。この際、ポリアクリルアミドゲルに適量(5から10%程度)のグリセロールを添加することにより、DNA断片の分離の条件を改善することができる。また、泳動条件は各DNA断片の性質により変動するが、通常、室温(20から25℃)で行い、好ましい分離が得られないときには4から30℃までの温度で最適の移動度を与える温度の検討を行う。電気泳動後、DNA断片の移動度を、X線フィルムを用いたオートラジオグラフィーや、蛍光を検出するスキャナー等で検出し、解析を行う。移動度に差があるバンドが検出された場合、このバンドを直接ゲルから切り出し、PCRによって再度増幅し、それを直接シークエンシングすることにより、変異の存在を確認することができる。また、標識したDNAを使わない場合においても、電気泳動後のゲルをエチジウムブロマイドや銀染色法などによって染色することによって、バンドを検出することができる。
【0037】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する。さらに、増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する。次いで、分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する。
【0038】
このような方法としては、例えば、変性剤濃度勾配ゲル(denaturant gradient gel electrophoresis: DGGE法)等を例示することができる。DGGE法は、変性剤の濃度勾配のあるポリアクリルアミドゲル中で、DNA断片の混合物を泳動し、それぞれの不安定性の違いによってDNA断片を分離する方法である。ミスマッチのある不安定なDNA断片が、ゲル中のある変性剤濃度の部分まで移動すると、ミスマッチ周辺のDNA配列はその不安定さのために、部分的に1本鎖へと解離する。この部分的に解離したDNA断片の移動度は、非常に遅くなり、解離部分のない完全な二本鎖DNAの移動度と差がつくことから、両者を分離することができる。具体的には、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを本発明のプライマー等を用いたPCR法等によって増幅し、これを尿素などの変性剤の濃度が移動するに従って徐々に高くなっているポリアクリルアミドゲル中で電気泳動し、対照と比較する。変異が存在するDNA断片の場合、より低い変性剤濃度位置でDNA断片が一本鎖になり、極端に移動速度が遅くなるため、この移動度の差を検出することにより変異の有無を検出することができる。
【0039】
さらに別の方法においては、まず、被検女性から調製したHMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNA、および該DNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された基板、を提供する。
【0040】
本発明において、「HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNA」としては、好ましくは配列番号:1に記載の塩基配列の968番目に相当する部位を含むDNAが挙げられる。
【0041】
また、本発明において「基板」とは、ヌクレオチドプローブを固定することが可能な板状の材料を意味する。本発明においてヌクレオチドには、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドが含まれる。
【0042】
本発明の基板は、ヌクレオチドプローブを固定することができれば特に制限はないが、一般にDNAアレイ技術で使用される基板を好適に用いることができる。一般にDNAアレイは、高密度に基板にプリントされた何千ものヌクレオチドで構成されている。通常これらのDNAは非透過性(non− porous)の基板の表層にプリントされる。基板の表層は、一般的にはガラスであるが、透過性(porous)の膜、例えばニトロセルロースメンブレムを使用することができる。
【0043】
本発明において、ヌクレオチドの固定(アレイ)方法として、Affymetrix社開発によるオリゴヌクレオチドを基本としたアレイが例示できる。オリゴヌクレオチドのアレイにおいて、オリゴヌクレオチドは通常インサイチュ(in situ)で合成される。例えば、photolithographicの技術(Affymetrix社)、および化学物質を固定させるためのインクジェット(Rosetta Inpharmatics社)技術等によるオリゴヌクレオチドのインサイチュ合成法が既に知られており、いずれの技術も本発明の基板の作製に利用することができる。
【0044】
基板に固定するヌクレオチドプローブは、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位における変異を検出することができるものであれば、特に制限されない。即ち該プローブは、例えば、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズするようなプローブである。特異的なハイブリダイズが可能であれば、ヌクレオチドプローブは、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAに対し、完全に相補的である必要はない。本発明において基板に結合させるヌクレオチドプローブの長さは、オリゴヌクレオチドを固定する場合は、通常10〜100ベースであり、好ましくは10〜50ベースであり、さらに好ましくは15〜25ベースである。
【0045】
本方法においては、次いで、該DNAと該基板を接触させる。この過程により、上記ヌクレオチドプローブに対し、DNAをハイブリダイズさせる。ハイブリダイゼーションの反応液および反応条件は、基板に固定するヌクレオチドプローブの長さ等の諸要因により変動しうるが、一般的に当業者に周知の方法により行うことができる。
【0046】
本方法においては、次いで、該DNAと該基板に固定されたヌクレオチドプローブとのハイブリダイズの強度を検出する。この検出は、例えば、蛍光シグナルをスキャナー等によって読み取ることによって行うことができる。尚、DNAアレイにおいては、一般的にスライドガラスに固定したDNAをプローブといい、一方溶液中のラベルしたDNAをターゲットという。従って、基板に固定された上記ヌクレオチドを、本明細書においてヌクレオチドプローブと記載する。本方法においては、さらに、検出したハイブリダイズの強度を対照と比較する。
【0047】
このような方法としては、例えば、DNAアレイ法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p128−135、Nature Genetics(1999)22:164−167)等が挙げられる。
【0048】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。また、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する。次いで、該DNAを鋳型とし、該プライマーを用いて、プライマー伸長反応を行う。次いで、プライマー伸長反応産物を質量分析機にかけ、質量測定を行う。次いで、質量測定の結果から遺伝子型を決定する。次いで、決定した遺伝子型を対照と比較する。
【0049】
このような方法としては、例えば、MALDI−TOF/MS法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p106−117、Trends Biotechnol (2000):18:77−84)等が挙げられる。具体的には、まず、被検女性からDNA試料を調製する。この際、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基を含むDNAをPCRなどを使用して増幅することで調製することが好ましい。次いで、PCR産物を鋳型として、ジェノタイピングプライマー(HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマー)のddNTPプライマー伸長反応を行う。この反応に用いるPCR産物は、PCRプライマーを除去するための精製が行われていることが好ましい。ジェノタイピングプライマーは、通常、15bp以上の長さを有する。プライマー伸長反応においては、通常、PCR産物に対して10倍以上の過剰のジェノタイピングプライマーを加えるが、これに制限されるものではない。サーマルサイクルの条件は適宜選択しうるが、ジェノタイピングプライマーのうち30〜60%程度が伸長する条件が好ましい。例えば、94℃と37℃の2温度間で25回程度行うことで適当な伸長効率を得ることができる。次いで、プライマー伸長反応産物のMALDIプレートへのスポットを行い、次いで、質量測定を行う(マススペクトログラムを作成する)。次いで、マススペクトログラム解析から遺伝子型を決定し、対照と比較する。
【0050】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズする、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを調製する。次いで、該DNAに、該ヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、レポーター蛍光の発光を検出する。次いで、検出したレポーター蛍光の発光を対照と比較する。
【0051】
上記方法としては、TaqMan PCR法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p94−105、Genet Anal. (1999)14:143−149)等を挙げることができる。具体的には、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブの5’末端にレポーター蛍光を標識する。本発明において、レポーター蛍光としては、FAMやVICなどが例示できるが、これらに限定されない。さらに、上記プローブの3’末端にクエンチャー蛍光を標識する。本発明において、クエンチャー蛍光としては、レポーター蛍光を消光できる物質であれば特に制限されない。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズする、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを、被検女性から調製したDNAにハイブリダイズさせる。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを、5’ヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いて増幅する。その結果、レポーター蛍光とクエンチャー蛍光を標識したヌクレオチドプローブのレポーター蛍光標識部分が切断され、レポーター蛍光が遊離する。本発明において、5’ヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼとしては、好適にはTaqDNAポリメラーゼが例示できるが、これに限定されるものではない。本方法においては、次いで、遊離したレポーター蛍光を検出し、さらに、該レポーター蛍光の発光を対照と比較する。なお、本方法においては、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基が正常型である場合と変異型である場合で異なるレポーター蛍光を標識した2種類のヌクレオチドプローブを用いることで、1回の反応でタイピングすることが可能である。
【0052】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブを調製する。また、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブを調製する。次いで、調製したDNAに、上記2種類のヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる。次いで、ハイブリダイズしたDNAを一本鎖DNA切断酵素で切断し、フラップを遊離させる。本発明において、一本鎖DNA切断酵素としては、特に制限はなく、例えば下記のcleavaseが例示できる。本方法においては、次いで、フラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブをフラップにハイブリダイズさせる。次いで、発生する蛍光の強度を測定する。次いで、測定した蛍光の強度を対照と比較する。
【0053】
上記方法としては、例えば、Invader法(SNP遺伝子多型の戦略、松原謙一・榊佳之、中山書店、p94−105、Genome Research (2000)10:330−343)等が挙げられる。具体的には、まず、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブ(プローブA)を合成する。また、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブ(プローブB)を合成する。次いで、これらプローブを調製した鋳型DNAにハイブリダイズさせる。この際、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基に対応するプローブBの塩基(任意の塩基)が鋳型DNAとプローブAとの間に侵入する。この侵入部位を認識して、該部位に対応するプローブAの塩基と該塩基の1塩基3’側の塩基の間を切断するエンドヌクレアーゼ(cleavase)を用いてハイブリダイズしたDNAを切断する。これにより、フラップ部分が遊離する。次いで、遊離したフラップ部分とフラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブ(検出用プローブ)をハイブリダイズさせる。該検出用プローブは、一般的にfluorescence resonance energy transfer(FRET)プローブとよばれる。該プローブにおいて、5’側は自身で相補的に結合できる。また、3’側はフラップと相補的な配列を有している。また、自身で相補的に結合できる5’側において、5’末端にはレポーター蛍光が標識され、該5’末端の3’側にはクエンチャー蛍光が標識されている。遊離したフラップの3’末端の塩基が、FRETプローブにハイブリダイズする結果、該プローブのレポーター蛍光が標識された相補結合部位に侵入することで、cleavaseが認識する構造が生成される。本方法においては、cleavaseによるレポーター蛍光標識部分の切断によって遊離したレポーター蛍光を検出し、さらに、測定した蛍光の強度を対照と比較する。
【0054】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、増幅したDNAを一本鎖に解離させる。次いで、解離させた一本鎖DNAのうち、片鎖のみを分離する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の近傍より1塩基ずつ伸長反応を行い、その際に生成されるピロリン酸を酵素的に発光させ、発光の強度を測定する。次いで、測定した蛍光の強度を対照と比較する。このような方法としては、例えば、Pyrosequencing法(Anal. Biochem. (2000)10:103−110)等が挙げられる。
【0055】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する。次いで、蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、増幅したDNAを鋳型とし、調製したプライマーを用いて一塩基伸長反応を行う。次いで、蛍光の偏光度を測定する。次いで、測定した蛍光の偏光度を対照と比較する。このような方法としては、例えば、AcycloPrime法(Genome Research (1999)9:492−498)等が挙げられる。
【0056】
さらに別の方法においては、まず、被検女性からDNA試料を調製する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する。次いで、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する。次いで、蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、増幅したDNAを鋳型とし、調製したプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行う。次いで、一塩基伸長反応に使われた塩基種を判定する。次いで、判定された塩基種を対照と比較する。このような方法として、例えば、SNuPE法(Rapid Vommun Mass Spectrom. (2000)14:950−959)等が挙げられる。
【0057】
上記の方法以外にも、特定位置の変異のみを検出する目的にはアレル特異的オリゴヌクレオチド(Allele Specific Oligonucleotide/ASO)ハイブリダイゼーション法が利用できる。変異が存在すると考えられる塩基配列を含むオリゴヌクレオチドを作製し、これとDNAでハイブリダイゼーションを行わせると、変異が存在する場合、ハイブリッド形成の効率が低下する。それをサザンブロット法や、特殊な蛍光試薬がハイブリッドのギャップにインターカレーションすることにより消光する性質を利用した方法等により検出することができる。
【0058】
また、本発明は、HMOX−1遺伝子の発現量を測定する工程を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法を提供する。
【0059】
本発明において、「遺伝子の発現量」は、mRNAの発現量だけでなく、タンパク質の発現量(またはタンパク質の活性の上昇)で評価することも可能である。
【0060】
上記検査方法においては、まず、被検者のRNA試料を調製する。次いで、該RNA試料に含まれるHO−1をコードするRNAの量を測定する。次いで、測定されたHO−1をコードするRNAの量を対照と比較する。このような方法としては、ノーザンブロッティング法、または、RT−PCR法等を例示することができる。また、HMOX−1遺伝子の発現量は、DNAアレイ法によっても測定することができる。
【0061】
また、上記検査方法は、HO−1の発現量を測定することにより、下記の如く実施することができる。まず、被検者からタンパク質試料を調製する。次いで、該タンパク質試料に含まれるHO−1の量を測定する。次いで、測定されたHO−1の量を対照と比較する。このような方法としては、SDSポリアクリルアミド電気泳動法、並びにHO−1に結合する抗体を用いた、ウェスタンブロッティング法などを例示することができる。
【0062】
HO−1の検出に用いる抗体としては、検出可能な抗体であれば、特に制限はないが、例えばモノクローナル抗体、またはポリクローナル抗体の両方を利用することができる。該抗体は、当業者に公知の方法により調製することが可能である。ポリクローナル抗体であれば、例えば、次のようにして取得することができる。HO−1、あるいはGSTとの融合タンパク質として大腸菌等の微生物において発現させたリコンビナントタンパク質、またはその部分ペプチドをウサギ等の小動物に免疫し血清を得る。これを、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、HO−1や合成ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラム等により精製することにより調製する。また、モノクローナル抗体であれば、例えば、HO−1またはその部分ペプチドをマウス等の小動物に免疫を行い、同マウスより脾臓を摘出し、これをすりつぶして細胞を分離し、該細胞とマウスミエローマ細胞とをポリエチレングリコール等の試薬を用いて融合させ、これによりできた融合細胞(ハイブリドーマ)の中から、HO−1に結合する抗体を産生するクローンを選択する。次いで、得られたハイブリドーマをマウス腹腔内に移植し、同マウスより腹水を回収し、得られたモノクローナル抗体を、例えば、硫安沈殿、プロテインA、プロテインGカラム、DEAEイオン交換クロマトグラフィー、HO−1や合成ペプチドをカップリングしたアフィニティーカラム等により精製することで、調製することが可能である。
【0063】
さらに、本発明は、本発明の検査方法に使用するための試薬を提供する。その一つの態様としては、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む検査試薬が挙げられる。
【0064】
該オリゴヌクレオチドは、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAに特異的にハイブリダイズするものである。ここで「特異的にハイブリダイズする」とは、通常のハイブリダイゼーション条件下、好ましくはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下(例えば、サムブルックら,Molecular Cloning,Cold Spring Harbour Laboratory Press,New York,USA,第2版1989に記載の条件)において、他のタンパク質をコードするDNAとクロスハイブリダイゼーションを有意に生じないことを意味する。特異的なハイブリダイズが可能であれば、該オリゴヌクレオチドは、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAに対し、完全に相補的である必要はない。
【0065】
HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドは、上記本発明の検査方法におけるプローブ(該プローブが固定された基板を含む)やプライマーとして用いることができる。該オリゴヌクレオチドをプライマーとして用いる場合、その長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域の少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。
【0066】
また、上記オリゴヌクレオチドをプローブとして使用する場合、該プローブは、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAに特異的にハイブリダイズするものであれば、特に制限されない。該プローブは、合成オリゴヌクレオチドであってもよく、通常少なくとも15bp以上の鎖長を有する。
【0067】
本発明のオリゴヌクレオチドは、例えば市販のオリゴヌクレオチド合成機により作製することができる。プローブは、制限酵素処理等によって取得される二本鎖DNA断片として作製することもできる。
【0068】
本発明のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いる場合は、適宜標識して用いることが好ましい。標識する方法としては、T4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて、オリゴヌクレオチドの5’端を32Pでリン酸化することにより標識する方法、およびクレノウ酵素等のDNAポリメラーゼを用い、ランダムヘキサマーオリゴヌクレオチド等をプライマーとして32P等のアイソトープ、蛍光色素、またはビオチン等によって標識された基質塩基を取り込ませる方法(ランダムプライム法等)を例示することができる。
【0069】
また、本発明における検査試薬の別の態様は、HMOX−1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅するように設計されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含む検査試薬である。プライマーの長さは、通常15bp〜100bpであり、好ましくは17bp〜30bpである。プライマーは、多型部分を含むHMOX−1遺伝子のプロモーター領域の少なくとも一部を増幅しうるものであれば、特に制限されない。
【0070】
本発明の検査薬の別の態様としては、HO−1に結合する抗体を含む試薬である。上記抗体は、検査に用いることが可能な抗体であれば、特に制限はない。抗体は必要に応じて標識される。
【0071】
上記の検査薬においては、有効成分であるオリゴヌクレオチドや抗体以外に、例えば、滅菌水、生理食塩水、植物油、界面活性剤、脂質、溶解補助剤、緩衝剤、タンパク質安定剤(BSAやゼラチンなど)、保存剤等が必要に応じて混合されていてもよい。
【0072】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
(1)被検者
心血管系合併症の既往のない1998人の被検者を吹田試験から選択した。吹田試験の選択の基準および計画は文献に記載されている(Iwai N, Katsuya T, et al., Circulation. 2002;105:41−7.)。また、本発明は、国立循環器病センターの倫理委員会、ならびに循環器病センターの遺伝解析および遺伝子治療に関する委員会の承認を受けた。遺伝解析に関する同意を約3700人の被検者から得て、被検者1998人のHMOX−1遺伝子の遺伝子型を決定した。被検者は、収縮期血圧が140 mmHgを上回る場合、または拡張期血圧が90 mmHg以上の場合に高血圧群に分類した。降圧薬を使用していた被検者も高血圧群に分類した。
【0073】
(2)DNA試験
96人の被検者のゲノムDNAをテンプレートとして配列分析を行った。プロモーター領域(〜1.4 kb)の配列を決定した。1ヌクレオチド多型を、TaqManシステム(PE Applied Biosystems)(表1)を用いて決定し、(GT)反復配列長の多型を、蛍光標識したセンスプライマー「P1−S」(5’−AGAGCCTGCAGCTTCTCAGA−3’(配列番号:3))およびアンチセンスプライマー「P1−AS」(5’−ACAAAGTCTGGCCATAGGAC−3’(配列番号:4))を用いたPCR法による増幅後にGeneScanソフトウェアを用いてABI 3700配列決定システムで決定した(図1)。
【0074】
【表1】
Figure 2004222503
【0075】
(3)発現実験
プロモーター領域におけるT(−413)A多型の調節作用を調べるために、HMOX−1プロモーター/ルシフェラーゼ融合遺伝子を作製した。−517〜+76間のプロモーター領域をセンスプライマー「P2−S」(5’−GTGAGGAGGCAAGCAGTCAGCAGAGGATTC−3’(配列番号:13))およびアンチセンスプライマー「P2−AS」(5’−GTGCTGGGCTCGTTCGTGCTGGCTCC−3’(配列番号:14))(図1)を用いたPCR法で増幅し、他のプロモーター配列を含まないpGL2−Enhancer DNA(Promega)にサブクローン化した。トランスフェクションは、ウシ大動脈内皮細胞(BAEC)を対象に、内部標準としてPRL−CMVベクター(Promega)を用いて行った。ホタル(Photinus)およびウミシイタケ(Renilla)のルシフェラーゼの活性は、デュアルルシフェラーゼキット(PG−DUAL−SP、東洋インキ)で測定した。
【0076】
(4)統計解析
数値は平均値±平均値の標準誤差(SE)で表す。すべての統計解析は、JNP統計ソフトウェアパッケージ(SAS Institute Inc.、米国)を用いて行った。多重ロジスティック回帰を他の共変量について行った。群間の数値データの差は、一元/二元配置ANOVA、および対応のないt検定で解析した。群間の頻度の差、ならびに連鎖不平衡の程度の差は、分割表分析で検定した。
【0077】
[実施例1] HMOX−1プロモーターの多型
ヒトHMOX−1遺伝子の5’隣接領域および第1エキソンのヌクレオチド配列を図1に示す。HMOX−1遺伝子のプロモーター領域には、G(−1135)A多型およびT(−413)A多型が認められ、(GT)反復配列の多型の存在が確認された。HMOX−1遺伝子内の(GT)反復配列の長さは15〜43個であった。また、頻度が1%を上回る(GT)反復配列の多型は22の遺伝子型で認められた(表2)。
【0078】
【表2】
Figure 2004222503
【0079】
表2から推定されたハプロタイプ頻度を表3に示す。A(−413)−(GT)30およびT(−413)−(GT)23が2つの主要対立遺伝子であった。
【0080】
【表3】
Figure 2004222503
【0081】
[実施例2] 関連解析
試験集団の特性を表4、表5に示す。
【0082】
【表4】
Figure 2004222503
【0083】
【表5】
Figure 2004222503
【0084】
高血圧被検者の頻度、および降圧薬の使用率は、女性ではAA遺伝子型の方が他の遺伝子型より有意に高かった(AA/AT/TT;45.5/34.2/35.0%、p=0.0099、および23.4/17.5/15.0%、p=0.0383)。多重ロジスティック回帰の結果、T(−413)A(AA/AT+TT)多型(p=0.0058)、年齢(p<0.0001)、およびBMI(p<0.0001)が、女性の高血圧症発生率に影響することがわかった。女性の高血圧症に対するAA対立遺伝子のオッズ比は1.59であった(p=0.0058、95%信頼区間:1.14〜2.20)。女性では3群間に血圧の差は認められなかったが、これは降圧薬の使用によるものと考えられる。以上の関連は男性では認められなかった。G(−1135)A遺伝子型は、正常血圧被検者と高血圧被検者間で、その頻度に有意差は認められなかった。
【0085】
血圧は女性より男性の方が高いので、女性における高血圧症の発症予防に女性ホルモンが重要な役割を果たしている可能性がある。エストロゲンによって促進されたNO産生は、血圧調節に大きく影響する。女性の血管緊張は、男性の血管緊張と比べてエストロゲンを介したNOに大きく依存すると考えられるので、HMOX−1遺伝子に由来するCOがGC(グアニレース・サイクレース)に及ぼす阻害作用が女性で顕在化するのかもしれない。
【0086】
今回、HMOX−1遺伝子型が血圧に及ぼす作用については若齢群と高齢群の間で差は認められなかった(データは提示していない)。しかし、不可逆的な変化が閉経前に生じていた可能性はある。
【0087】
本実施例では、T(−413)A多型のAA遺伝子型が、おそらくHO−1の高発現により、女性の高血圧症と関連することがわかった。HMOX−1遺伝子のこのような多型は、硝酸薬耐性者を予測する際に有用でもあると考えられる。
【0088】
[実施例3] T(−413)A多型の機能上の重要性
次にBAECを用いて、in vitroにおけるT(−413)A多型の機能上の重要性について調べた。図2に示すように、A(−413)−(GT)30対立遺伝子のプロモーター活性は、T(−413)−(GT)23対立遺伝子のプロモーター活性と比べて有意に高かった(p<0.01)。このプロモーター領域の基礎活性は低かったので(Tyrrell RM, Applegate LA, Tromvoukis Y. Carcinogenesis. 1993;14:761−5)、SV40のエンハンサー配列を含むベクターを用いた。
【0089】
今回行ったプロモーターアッセイの結果、A(−413)−(GT)30対立遺伝子のプロモーター活性が、T(−413)−(GT)23対立遺伝子のプロモーター活性より有意に高いことが明らかになったので、HMOX−1遺伝子に何らかの機能上の変化があるか否かを見極めるためには、T(−413)A遺伝子型の存在を確認するだけで十分であるといえる。
【0090】
【発明の効果】
本発明の検査方法および検査試薬を使用することで、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査できるようになった。このような検査によって、女性における本態性高血圧症の効果的な発症予防または適切な治療(例えば、オーダーメード医療)を行うことができるものと大いに期待される。
【0091】
【配列表】
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503
Figure 2004222503

【図面の簡単な説明】
【図1】ヒトHMOX−1遺伝子の5’隣接領域および第1エキソンのヌクレオチド配列(Tyrrell et al. 1993; GenBank S58267)を示す図である。変異型配列(T(−413)A多型部位における塩基がAである配列)を示している。P1−SとP1−ASにはさまれた断片をPCR法で増幅し、(GT)反復配列の長さを決定した。またP2−SとP2−ASを用いて、HMOX−1プロモーター/ルシフェラーゼ遺伝子を作製した。尚、図中のA(−413)Tの部位は、配列番号:1に記載の塩基配列においては、968番目の塩基に相当する。
【図2】プロモーター活性の評価を示す図である。HMOX−1プロモーター/ルシフェラーゼ融合遺伝子をBAECに一時的に導入した。HMOX−1遺伝子のプロモーター活性の存在を示すホタル(Photinus)ルシフェラーゼ活性値を、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ活性値で割り、相対ルシフェラーゼ単位で表した。A(−413)−(GT)30対立遺伝子のプロモーター活性は、T(−413)−(GT)23対立遺伝子のプロモーター活性より有意に高かった。各実験の対象数:N=4。

Claims (22)

  1. ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域における変異を検出する工程を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法。
  2. 変異が、ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター活性の上昇を導く変異である、請求項1に記載の方法。
  3. 変異が、多型部位における変異である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 多型部位における変異が、TからAへの置換変異である、請求項3に記載の方法。
  5. 多型部位が、配列番号:1に記載の塩基配列の968番目に相当する部位である、請求項3または4に記載の方法。
  6. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを単離する工程
    (c)単離したDNAの塩基配列を決定する工程
    (d)工程(c)により決定したDNAの塩基配列を、対照と比較する工程
  7. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)調製したDNA試料を制限酵素により切断する工程
    (c)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
    (d)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
  8. 以下の(a)〜(e)の工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを制限酵素により切断する工程
    (d)DNA断片をその大きさに応じて分離する工程
    (e)検出されたDNA断片の大きさを、対照と比較する工程
  9. 以下の(a)〜(e)の工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを一本鎖DNAに解離させる工程
    (d)解離させた一本鎖DNAを非変性ゲル上で分離する工程
    (e)分離した一本鎖DNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
  10. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを、DNA変性剤の濃度が次第に高まるゲル上で分離する工程
    (d)分離したDNAのゲル上での移動度を対照と比較する工程
  11. 以下の(a)〜(d)の工程を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)(i)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNA、および
    (ii)該DNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブが固定された基板、を提供する工程
    (b)工程(a)(i)のDNAと工程(a)(ii)の基板を接触させる工程
    (c)該DNAと該基板に固定されたヌクレオチドプローブとのハイブリダイズの強度を検出する工程、
    (d)検出したハイブリダイズの強度を対照と比較する工程
  12. 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する工程
    (c)工程(a)で調製したDNAを鋳型とし、工程(b)で調製したプライマーを用いて、プライマー伸長反応を行う工程
    (d)工程(c)で得られたプライマー伸長反応産物を質量分析機にかけ、質量測定を行う工程
    (e)質量測定の結果から遺伝子型を決定する工程
    (f)工程(e)で決定した遺伝子型を対照と比較する工程
  13. 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAにハイブリダイズする、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブを調製する工程
    (c)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
    (d)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
    (e)レポーター蛍光の発光を検出する工程
    (f)工程(e)で検出したレポーター蛍光の発光を対照と比較する工程
  14. 以下の(a)〜(h)の工程を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基から5’側の塩基配列と相補的な配列および該塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列とハイブリダイズしない配列(フラップ)を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
    (c)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基に対応する塩基(任意の塩基)が3’末端であり、該多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列と相補的な配列を有するヌクレオチドプローブを調製する工程
    (d)工程(a)で調製したDNAに、工程(b)および工程(c)で調製したヌクレオチドプローブをハイブリダイズさせる工程
    (e)工程(d)でハイブリダイズしたDNAを一本鎖DNA切断酵素で切断し、フラップを遊離させる工程
    (f)フラップと相補的な配列を有するヌクレオチドプローブであって、レポーター蛍光およびクエンチャー蛍光が標識されたヌクレオチドプローブをフラップにハイブリダイズさせる工程
    (g)工程(f)により発生する蛍光の強度を測定する工程
    (h)工程(g)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程
  15. 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
    (c)増幅したDNAを一本鎖に解離させる工程
    (d)解離させた一本鎖DNAのうち、片鎖のみを分離する工程
    (e)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の近傍より1塩基ずつ伸長反応を行い、その際に生成されるピロリン酸を酵素的に発光させ、発光の強度を測定する工程
    (f)工程(e)で測定した蛍光の強度を対照と比較する工程
  16. 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
    (c)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する工程
    (d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて一塩基伸長反応を行う工程
    (e)蛍光の偏光度を測定する工程
    (f)工程(e)で測定した蛍光の偏光度を対照と比較する工程
  17. 以下の(a)〜(f)の工程を含む、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
    (a)被検女性からDNA試料を調製する工程
    (b)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位を含むDNAを増幅する工程
    (c)ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域の多型部位の塩基の1塩基3’側の塩基から3’側の塩基配列に相補的な配列を有するプライマーを調製する工程
    (d)蛍光ラベルしたヌクレオチド存在下で、工程(b)で増幅したDNAを鋳型とし、工程(c)で調製したプライマーを用いて、一塩基伸長反応を行う工程
    (e)工程(d)で反応に使われた塩基種を判定する工程
    (f)工程(e)で判定された塩基種を対照と比較する工程
  18. ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子の発現量を測定する工程を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための方法。
  19. ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAにハイブリダイズし、少なくとも15ヌクレオチドの鎖長を有するオリゴヌクレオチドを含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための試薬。
  20. ヘム・オキシゲナーゼ1遺伝子のプロモーター領域を含むDNAを増幅するように設計されたフォワードプライマーおよびリバースプライマーを含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための試薬。
  21. プロモーター領域を含むDNAが、プロモーター領域の多型部位を含むDNAである、請求項19または20に記載の試薬。
  22. ヘム・オキシゲナーゼ1に結合する抗体を含む、被検女性が本態性高血圧症を発症しやすいか否かを検査するための試薬。
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