JP2004031983A - 電解コンデンサー - Google Patents

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Abstract

【課題】 低インピーダンスで、寿命特性が良好な電解コンデンサーに関する。
【解決手段】 本発明は、電解液及びその電解液中で可溶のバインダーで固着した繊維を含むセパレータ、を含む電解コンデンサーであって、電解液が電解質、及び水と有機溶媒を含む電解質溶媒を含み、その電解質溶媒中の水濃度が80重量%を超える電解コンデンサーである。特に、常温で使用するのに適した電解コンデンサーである。電解液の30℃における比抵抗が40Ω・cm以下とすることが好ましい。さらにセパレータの密度(セパレータの成形時点で測定)が0.5g/cm3 以下であることがより好ましい。
【選択図】   なし

Description

 本発明は、低インピーダンスで、寿命特性が良好な電解コンデンサーに関する。
 一般に電解コンデンサーは、高純度アルミニウム箔をエッチングして表面積を増大し、その表面を陽極酸化して誘電体化せしめた陽極箔と、この陽極箔と対向するエッチングされた陰極箔との間にセパレータ(電解紙、隔離紙など)を介在させて巻き取った構造の素子に電解液を含浸させ、ケースに封入したものである。
 これら従来のアルミ電解コンデンサーは電解紙中に電解液を含浸させているため、コンデンサーのインピーダンス特性が高くなる傾向にある。そのインピーダンス特性の改善を図るため電解液自体の抵抗を下げたり、電解紙を薄く、あるいは密度を低くする手段などが検討されてきた。
 しかしながら、電解液の抵抗値を下げると、アルミ箔と電解液との反応性が増大し寿命特性が劣化する原因となり、一方、セパレータ(電解紙)を単に薄くしたり密度を低くすると引張強度が低下し、形状保持性が低下して、コンデンサー巻取り時など製造過程での破損、生産性の低下などの不具合を生ずる。またその結果、ショート不良率が増大するなどの問題を生じる。
 また、木材クラフトパルプ、針葉樹木材パルプ, マニラ麻パルプなどのセルロース繊維を利用して、繊維同士の水素結合や繊維フィブリルの絡み合いを利用して、引っ張り強度を改善し、形状保持性を改善し、結果として、セパレータ(電解紙)の薄膜化を図ることも試みられているが、その場合でも、インピーダンス特性に対してより厳しくなる要求性能を満たすよう更に改善するために、セパレータの密度を低くし、厚さをより薄くすると先と同様の問題が生じるので限界がある。
 原料中に、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の熱可塑性繊維を混ぜて抄紙した後、熱可塑性繊維を融着させ引張強度を増大させる手段が知られており、更に、天然植物繊維の他にビスコースレーヨン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維等の人造あるいは合成繊維、ガラス繊維、アルミナシリカ繊維等の無機繊維など強度のある繊維を配合して、強度を確保しながら、低密度で、薄く、かつ、空隙率の高いセパレータ(電解紙)を得ることが試みられているが、例えば、熱可塑性繊維を用いた場合には、高温度条件下でフィルム状となり、空隙を埋めてしまうことも起こり、また、例えば合成繊維の反応・製造過程で生じた塩素は、合成繊維に混ざって残存し、特に電極にAlを用いる場合、腐食を促進させ新たな問題を生じ、また、加工工程上複雑さをもたらせるなどの欠点が有る。更に、均質で安定なセパレータ(電解紙)を得ることができず、上記公知の手段によってもイオンの動きを活性化するのに十分な空隙の増大を得ることが困難であるなどの技術的問題があり、更に原料コストが高いなどの欠点もある。
 また、紙の一般的な引張強度の増大手段である製造工程中の原料懸濁液に澱粉、植物性ガム、半合成高分子及び合成高分子等を添加し、繊維表層に定着させ繊維相互の結合強度を増大させる公知の手段によっても、より厳しい低ESR(等価直列抵抗)、即ち低インピーダンスへの要求を満たすことはできない。
 また、上記のごときセパレータ(電解紙)自体の改善の一方、このような電解コンデンサーにおいては、電解液の特性が電解コンデンサーの性能を決定する大きな要因をなす。
 特に近年の電解コンデンサーの小型化に伴い、陽極箔あるいは陰極箔は、エッチング倍率の高いものが使用されるようになり、コンデンサー本体の抵抗率が大きくなっていることから、これに用いる電解液としては、抵抗率(比抵抗)の小さな高電導度のものが常に要求される。
 ところで従来の電解液には、エチレングリコールを主溶媒として、これに水(1重量%〜30重量%)を加え、さらに電解質としてアジピン酸、安息香酸等のカルボン酸のアンモニウム塩を溶解したものがある。
 この電解質としてカルボン酸アンモニウムを用いたものは、従来のホウ酸を電解質として用いるものに比べれば比抵抗が300〜400Ωcmと格段に低いものとなる。
 しかしながらこのカルボン酸アンモニウムを用いるものにあって、様々な工夫をしても、その比抵抗は80Ωcm程度まで低下させるのが限度であった。
 すなわち、電解液の比抵抗は、溶質を多くし、かつエチレングリコール等の他の溶媒に対して水の添加量を増すことで低下させることは可能であるが、水の濃度が30重量%以上になると高温下で電解液が電極箔と反応してガスを発生させ、電解コンデンサーの内圧を上昇させるため、水の濃度を30重量%以上にすることは実現できなかった。
 以上のとおり、従来においては、水を最大限30重量%程度添加することで比抵抗を80Ωcm程度にまでは低下できたが、それ以上の比抵抗の低下は望むべくもなく、しかも105℃から−40℃までの広範な温度範囲での使用は困難であった。
 本件に係る発明に関する先行技術として下記のものが挙げられるが、いずれも、本件発明の基本的技術思想が記載も示唆もされていない。以下、特許文献1〜4について概説する(特許文献番号は後記参照)。
 特許文献1には、「難溶解性のポリビニルアルコール系繊維を主体繊維とし、易溶解性のポリビニルアルコール系繊維をバインダーとして結着させた紙あるいは不織布からなる電解コンデンサー用セパレータであって、該主体繊維はその単繊維繊度が1デニール以下であって、該主体繊維の少なくとも10重量%が、繊維横断面での形状が3〜6個の凸部を有する断面異形の難溶解性ポリビニルアルコール系繊維であり、該セパレータの密度が0.25g/cm3以下であることを特徴とする電解コンデンサー用セパレータ」が記載されている。
 また、上記構成及びその機能について、「本発明のポイントは、セパレータを構成する主体繊維として、代表的には横断面形状がY形形状といった、断面異形のPVA系繊維を用い、かつバインダーもPVA系繊維を用いたことであり、これによって、その目付量を大幅に減らしていっても、異形断面繊維による繊維同志のからみ効果と、同質バインダーによる接着効果とが両者相増って効いているのか、詳細は不明であるが、実用紙力を維持した上で、極めて低密度のセパレータを得たこと、すなわち、これまでにないインピーダンス低減化効果の優れた電解コンデンサー用セパレータを実現させたものである」と記載され、さらに、「本明細書において難溶解性とは、該紙の製造工程中並びにコンデンサー中で電解液を含浸した状態で溶解せず、紙としての形態を維持できればよい、といった意味での難溶度を意味する」こと、「また易溶解性のバインダー繊維は、上記製造工程でアセタール化処理を行なわずに得られるもので、要は、紙の製造工程中適度の昇温状態で水に溶解状態となり、主体繊維を接着できるものであればよく、この様な物性は前記延伸、熱処理工程での処理条件を調整することによって得られる。具体的には、水中溶解温度が50〜90℃の繊維とすればよい」ことが記載され、実施例1として、主体繊維A80重量部と、バインダー繊維C20重量部とを、水中によく分散せしめ、円網式抄紙機で湿式抄紙し、この湿紙を次に加熱ドラムに導き、バインダー繊維Cを溶解して主体繊維A間を接着し、本発明のセパレータを構成させたことが記載されている。
 即ち、特許文献1に記載されたセパレータは、基本的には難溶性異形断面繊維を含む主体繊維及び易溶解性のバインダー繊維(PVA繊維)とからなり、その易溶解性のバインダー繊維は抄造過程で50〜90℃の昇温状態の水に溶解状態となり、主体繊維を接着させる機能を果たすものである。しかしながら、上記説明のとおり、PVA繊維は製造過程の延伸、熱処理等の様々な条件によって得られる水に対する溶解性等の特性が様々変化するものであり、そこで易溶性とされるPVA繊維は、抄造過程の加熱ドラム上で昇温された状態の水に溶解される特性を有するものであって、電解液(有機溶媒、あるいはそれを主体とするものである。)に溶解するものではない。特許文献1には、そのセパレータと組み合わせて使用する電解液についての具体的記載はない。唯、インピーダンス測定用電解液について記載されているが、その電解液は、溶媒がエチレングリコールであり、溶質がアジピン酸アンモニウムであって([0036])、上記バインダーとして機能する昇温(50〜90℃)された水に対して易溶性のPVAを溶解するものではない。
 以上の記載のとおり、特許文献1には、本件発明の基本的技術思想である、「電解液で可溶のバインダーで固着した繊維でセパレータを構成し、そのセパレータを電解液に組み入れたときに、その電解液でバインダーを溶解すること」は記載も示唆もされていない。
 特許文献2には、「陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在させて構成した電解コンデンサーに係り、特には低密度であると共に大幅に向上した引張強度を有し、しかも繊維間空隙が遮蔽されることがない新規な電解紙を用いることによって、インピーダンス特性に悪影響を与えることなくショート不良率を改善するとともに、生産性を向上させる」ことを目的とした、「陽極箔と陰極箔との間に電解紙を介在してなる電解コンデンサーにおいて、抄紙後の電解紙に紙力増強剤の精製溶液を含浸塗布したことを特徴とする電解コンデンサー」が記載され、その「紙力増強剤は澱粉,植物性ガム,半合成高分子又は合成高分子から選択された1種又は複数のもの」であること、具体的には、グァーガム等の植物性ガム類,コーンスターチ等の澱粉類,ジアルデヒドデンプン等の半合成高分子,ポリアクリルアミド樹脂等の合成高分子が使用ことが記載されている。更に、この紙増強剤の作用について「この含浸塗布された紙力増強剤の精製溶液によって、紙層中の繊維相互の接触点に紙力増強剤が効果的に定着し、繊維間の結合強度が増大すると共に、繊維内部まで浸透するため、単繊維自体の強度をも増大させることができる。従って、電解紙は繊維間空隙を維持した状態で繊維の結合強度が高まる。しかも、従来のように過度に叩解してミクロフィブリルを発生したり、熱融着繊維等の造膜による繊維間隙の遮蔽がなく、低密度で薄く、しかも大きな引張強度を有することができる」と記載されている。電解液については、単に「所定の電解液」を用いることが記載されているに過ぎない。
 以上のとおり、特許文献2には、紙増強剤として、本件発明のバインダーとして挙げられている「ポリアクリルアミド」が例示されてはいるが、そもそも電解液の組成については何ら記載されておらず、紙増強剤の電解液に対する溶解性について示唆するものはなく、先に示した本件発明の基本的技術思想は記載も示唆もされていない。
 特許文献3には、低密度紙で低インピーダンスである、主体繊維がポリビニールアルコール系のバインダーで結合されているセパレータが記載され、そのポリビニールアルコール(PVA)が親水性のポリマーであることが記載されている。しかしながら、引用文献3に記載されたPVAは、先に挙げた特許文献1に記載されたものと同様な目的で使用するものであり、セパレータを形成するためにセパレータ用繊維を抄紙する際に、高温(60〜98℃)の水に溶解するPVAを使用することが開示されているに過ぎない。特許文献1には、本件発明の基本的技術思想である、「電解液で可溶のバインダーで固着した繊維でセパレータを構成し、そのセパレータを電解液に組み入れたときに、その電解液でバインダーを溶解すること」は記載も示唆もされていない。
 特許文献4には、「溶媒、溶質および有機物で表面修飾した無機酸化物コロイド粒子から成る電解コンデンサー用電解液」が記載され、「溶媒がエチレングリコールまたはγ−ブチロラクトンを主体とする有機溶媒である」ことが記載されており、その際、「化成性の向上などの目的で電解液に水を含有させることができる。この水の含有量は、好ましくは0.01〜30重量%の範囲で」あることが記載されている。
 しかしながら、引用文献4には、本件発明の基本的技術思想である、「電解液で可溶のバインダーで固着した繊維でセパレータを構成し、そのセパレータを電解液に組み入れたときに、その電解液でバインダーを溶解すること」は記載も示唆もされていない。
特開平6−29155号公報 特開平8−273984号公報 特開平6−163324号公報 特開平10−241999号公報
 本願発明の課題は、低インピーダンスで、寿命特性が良好で、またショート不良率を改善するとともに、生産性を向上させた電解コンデンサーを提供することを目的とするものである。
 本発明は、上記の目的を達成するための、電解液及びその電解液中で可溶のバインダーで固着した繊維を含むセパレータ、を含む電解コンデンサーであって、電解液が電解質、及び水と有機溶媒を含む電解質溶媒を含み、その電解質溶媒中の水濃度が80重量%を超える電解コンデンサーである。
 又、本発明は、電解液及びその電解液中で可溶のバインダーで固着した繊維を含むセパレータ、を含む電解コンデンサーであって、電解液が電解質、及び水と有機溶媒を含む電解質溶媒を含み、その電解質溶媒中の水濃度が80重量%を超える常温用電解コンデンサーである。
 さらに、本発明は、上記各発明において、電解液の30℃における比抵抗が40Ω・cm以下である、電解コンデンサーである。
 さらに、本発明は、上記各発明において、セパレータの密度(セパレータの成形時点で測定)が0.5g/cm3 以下であるの電解コンデンサーである。
 電極を構成するアルミニウムなどの金属箔間に配置するセパレータを上記のごとく構成することにより、製造過程においては、バインダーが繊維間を固着し、十分な強度を保持することができるので、素子巻取り工程での断紙の発生を防止し、巻取りの生産性を向上させることができる。また、そのことを通じて、素子となった形態においても繊維の局在化、偏在化を阻止できるので、薄膜化を促進して低インピーダンス化を実現しつつ、ショート不良率を少なくすることができる。
 また、その機能に関して考察を試みると、電極間へのセパレータの巻き取り・成形・素子の電解液含浸、ケースへのパッケージングの過程で、強度維持などに有効に機能したバインダーは、パッケージング後に、温度、時間、電解液成分とバインダーの組合せを調製することにより定め得る時間後に、電解液の溶媒の作用により、分子間が押し広げられ状態となる。 その状態のバインダーポリマーは、セルロース繊維同士の結合を弱め、空隙を増大させるものと考えられる。
 本発明は、電解液中で可溶のバインダーで固着した繊維を含む、電解コンデンサー用セパレータを含み、水濃度が80重量%を超す水と有機溶媒を含む電解液を含む電解コンデンサーであるから、その電解液の優れた特性である比抵抗の低下を活用できると共に、前記のセパレータの有する作用効果を合わせて奏することができる。
 また、本発明は、上記各発明において、セパレータの密度(セパレータの成形時点で測定)が0.5g/cm3 以下とするものである。即ち、セパレータ密度が0.5g/cm3 以下であると、セルロース繊維の密度は、1.5g/cm3 であるので、セパレータの空隙率{[1−(セパレータ密度/セルロース密度)]×100%}は、67%以上となり、その増大された空隙に電解液が十分含まれることになる。従って、前記構成により、成形時に必要とする強度(1.1kg/15mm以上)を維持しつつ、電解コンデンサー中におけるセパレータ密度を極力小さくして、インピーダンスを低くするができる。
 更に、本発明は、前記各発明において、バインダーとして各種のイオン性及び非イオン性のバインダーを用いることができるが、その内特に、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸などの水溶性ポリマーを用いるものが優れたコンデンサー特性を有する。
 更に、本発明は、有機溶媒中の水濃度を全溶媒の80重量%超とし、前記有機溶媒は、プロトン系及び非プロトン系溶媒の溶媒の中から選択される1種以上を含むものとすることができる。
 更に、本発明は、前記有機溶媒は、プロトン系及び非プロトン系溶媒の溶媒の中から選択される1種以上を含み、電解液の電解質として、カルボン酸またはその塩及び無機酸またはその塩から選択される少なくとも1種以上を含むことができる。
 本発明のセパレータは、繊維材料として、木材クラフトパルプ、針葉樹木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻などのセルロース繊維を利用することが好ましい。
 強度、低密度化などを考慮して、他の繊維材料、ビニロンバインダー繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維等の熱可塑性繊維を混ぜて抄紙した後、熱可塑性繊維を融着させ引張強度を増大させる手段が知られており、また、天然植物繊維の他にビスコースレーヨン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリイミド繊維、アラミド繊維等の合成繊維、ガラス繊維、アルミナシリカ繊維等の無機繊維も配合して、低密度、かつ、空隙率の高い紙を得ることが試みられているが、先に従来技術の項で説明したとおり、合成繊維を混抄する場合各種の問題が生ずるので、多量用いることは得策ではない。
 上記のごとき問題が少なく、電解液の溶媒成分である水と相性の良い天然植物繊維を一種以上用いるのが最も好ましい。
 電解紙は、従来の抄紙法により製造することができ、例えば、上記繊維材料を1つあるいは2つ以上の円網バット部を有する円網抄紙機等の従来使用されている抄紙機により抄造する。
 バインダーは、抄造の際予め繊維材料と共に混ぜることもできるが、材料を余分に必要とし、乾燥工程など工程を複雑にする点で好ましいとはいえない。好ましくは、抄造後の電解紙を乾燥した後、バインダーを含浸し、繊維を固着する。
 含浸量は、製造時の強度、製造後の電解コンデンサーの必要特性に応じて定めれば良いが、乾燥した電解紙に対して、0.05重量%〜5.0重量%程度である。電解紙の引っ張り強度が、1.1kg/15mm以上となるのを一つの目安とする。電解紙の厚さは適宜選択できるが、通常40〜60μm程度である。
 電解紙の密度は、0.5g/cm3 以下のものが望ましいが、0.20〜0.35g/cm3 、更に0.20g/cm3 未満とすることも可能であり、低インピーダンス化にとって望ましい。
 バインダーは、電解液の溶媒成分に可溶のものであれば使用できるが、特に、電解液の溶媒成分として、水を80重量%超含有するので、各種でんぷん、カルボキシメチルセルローズ、各種ガムなどを用いることもできるが、強度、保持安定性、形状保持性、取り扱いやすさ、また電解液中での繊維形態の維持性、低インピーダンス特性の確保からみて、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸等の水溶性ポリマーが優れている。
 バインダーの使用量は、その種類によって異なるがセパレータ100重量に対して、0.1〜10重量部、好適には、0.5〜5重量部程度とする。
 バインダーで固着された電解紙(隔離紙)は、従来の方法により、高純度アルミニウム箔をエッチングし、その表面を陽極酸化した陽極箔と、これに対向するエッチングされたアルミニウム陰極箔との間に介在させて巻き取った後、その素子に電解液を含浸し、この素子をアルミニウムケースに収容して弾性封口体で密封して、電解コンデンサーとする。
 含浸させる電解液は、本件発明における他の特徴でもある。
 従来の電解液は、エチレングリコールを主溶媒として、これに水(1重量%〜30重量%)を加え、さらに電解質としてアジピン酸、安息香酸等のカルボン酸アンモニウムを溶解したものが多い。
 発明の実施の態様で既述したとおり、この電解質としてカルボン酸アンモニウムを用いたものであってもその比抵抗は80Ωcm程度まで低下させるのが限度であった。
 有機溶媒としては、プロトン系溶媒と非プロトン系溶媒を使用することができる。代表的なプロトン系溶媒の例としては、アルコール化合物を挙げることができる。
 アルコール化合物の具体的な例として、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等の一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等の二価アルコール(グリコール)、グリセリン等の三価アルコールを挙げることができる。
 非プロトン系溶媒の例には、γ−ブチロラクトンに代表されるラクトン化合物の如き分子内分極化合物が含まれる。有機溶媒は、プロトン系溶媒と非プロトン系溶媒の中から選択される1種以上を使用することができる。複数種のプロトン系溶媒を使用してもよく、複数種の非プロトン系溶媒を使用してもよく、プロトン系溶媒と非プロトン系溶媒の混合系を使用してもよい。
 このように、本発明の電解液における溶媒は有機溶媒と水との混合物である。このような混合溶媒を使用することで、溶媒の凝固点を低下させ、それにより低温での電解液のインピーダンス特性を改善して、低温と常温でのインピーダンス比が小さいことで示される良好な低温特性を実現することができる。電解液中の水の含有量は、低温特性を確保するためには20〜80重量%が好適である(残部が有機溶媒)。水の含有量が20重量%より少ない場合にも、80重量%を超える場合にも、電解液の凝固点降下の度合いは不十分となり、電解コンデンサーの良好な低温特性を得るのが困難になる。
 しかしながら、低温特性を求めない条件下、特に常温下で使用する電解コンデンサーとして、水含有量が80重量%を超える場合において電解コンデンサーとしての優れたインピーダンス特性を達成できる。
 電解液における電解質としては、カルボン酸、カルボン酸の塩、無機酸及び無機酸の塩のうちから選択される1種以上を使用することができる。カルボン酸として使用できるものには、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、p−ニトロ安息香酸、サリチル酸及び安息香酸に代表されるモノカルボン酸や、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸及びアゼライン酸に代表されるジカルボン酸が含まれ、例えばクエン酸、オキシ酪酸のようにOH基等の官能基を持ったカルボン酸なども使用可能である。
 無機酸として使用できるものには、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホウ酸、スルファミン酸等が含まれる。カルボン酸又は無機酸の塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩の他に、アミン塩、アルキルアンモニウム塩等を使用することができ、これらのうちアンモニウム塩を用いるのがより好ましい。また、電解質として無機酸又はその塩を使用すると、電解液の凝固点降下が期待でき、そのため電解液の低温特性の更なる向上に寄与するものと考えられる。
 本発明の電解液において使用する電解質の量は、電解液に要求される特性、使用する溶媒の種類、使用する電解質の種類等の条件に応じて、適宜決定すればよい。
 また添加剤として、グルコン酸、グルコン酸のラクトン、キレート化剤、2−ヒドロキシベンジルアルコール、L-グルタミン酸二酢酸またはその塩、ニトロ化合物、糖類などから一種または二種以上選択して使用することができる。これらの添加剤の添加量は、各添加剤の組み合わせ、電解液組成に応じて、最適の添加量とする。この時の添加量は添加物質の特性によって決定されるので、電解液の数重量%程度以下の場合や、また1重量%以下の場合がある。これらの添加剤を組合せることにより、高温下での電極との反応回避、低温化での比抵抗の低下、コンデンサー寿命の改善などを図ることができる。
 例えば、グルコン酸又はグルコン酸のラクトンを加えると、電解溶液中の溶媒における水の使用量が溶媒中30重量%以上としても、高温下での電解液と電極との反応に基づくガスの発生を回避でき、比抵抗の低下も図ることができる。また、キレート化合物の添加により、電極箔の水和反応の抑制による長寿命化を図ることができる。 その他、2−ヒドロキシベンジルアルコール、L-グルタミン酸二酢酸またはその塩、ニトロ化合物、糖類を加えることで、同種の効果を奏することができる。これらの複数の成分を組合せて添加することにより、電解コンデンサーの特性改善における相乗効果も達成できる。
 前記ニトロ化合物として、ニトロフェノール、ニトロ安息香酸、ニトロアセトフェノン及びニトロアニソールからなる群から選択される少なくとも1種のニトロ化合物などが例示できる。
 前記キレート化合物として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸一水和物(CyDTA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)(EDTPO)、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N”,N”−五酢酸(DTPA)、ジアミノプロパノール四酢酸(DPTA−OH)、エチレンジアミン二酢酸(EDDA)、エチレンジアミン−N,N’−ビス(メチレンホスホン酸)1/2水和物(EDDPO)、グリコールエーテルジアミン四酢酸(GEDTA)等が例示できる。
 前記糖類として、グルコース、フルクトース、キシロース、ガラクトース等が例示できる。
 また、これらの添加剤のほかにも、アルミニウム電解コンデンサーあるいはその他の電解コンデンサーの分野で常用の添加剤をさらに添加してもよい。
(参考例1〜4及び参考比較例1、2)
 以下に本発明を理解する上で参考となる例について説明する。
 エチレングリコール45重量%、水40重量%、アジピン酸アンモニウム14.4重量%、エチレンジアミン四酢酸0.5重量%、D−グルコン酸−δ−ラクトン0.1重量%を電解液とする点、及びセパレータ(電解紙)をセルロース系繊維で構成する点は、実施例及び比較例とも共通として、一方、電解液の溶媒で溶解するバインダーを用いない従来のセルロース系セパレータ(従来例1と2では、単に密度のみを変えた。)と、表に示したバインダー(バインダ使用量は、各実施例とも、セパレータ100重量部に対して2重量部)を用いた本願発明のセルロース系セパレータ(実施例1及び2と、実施例3及び4では密度を変えた。 )を用いて、コンデンサーの初期特性を対比した。また、製作した電解コンデンサーについての低温(−40℃)でのインピーダンスと常温(20℃)でのインピーダンスとの比として表されるインピーダンス比(|Z|比)を、120Hzと100kHzで測定した。インピーダンス及びE.S.R、(等価直列抵抗)は、測定温度25℃の値である。測定結果は表1に示す。
Figure 2004031983
 表1の参考比較例1と参考例1、2の間、および参考比較例2と参考例3、4の間においては、セパレータ密度に差は認められず、また、初期のコンデンサー容量において殆ど差が認められない。
 しかしながら、tanδに関して、同じ密度のもので対比すると、参考例のものが参考比較例のものに比べて小さく、インピーダンス特性において優れている。参考例1、2のセパレータは、参考比較例2のセパレータより密度が大きいにも拘らず、初期のtanδ、インピーダンス、及びE.S.R.の値が小さい。製作過程での強度維持が十分できる上、実装後の特性においても優れたものを得ること、即ち寿命特性が良いものを得ることができることを示しているといえる。
 この中でも、参考例3及び4のバインダーとして、ポリビニルアルコール及びポリアクリルアミドを用いたものが、セパレータ密度が小さく、初期インピーダンス及びE.S.R.の値が極めて小さいく、コンデンサーの初期特性に優れていることを示している。初期の漏れ電流に各参考比較例及び参考例に実質的な差はない。
 本発明に係るセパレータと組合せて使用できる電解液組成を理解する上で参考となる組成例を表2に、従来例と共に示す。
Figure 2004031983
Figure 2004031983
 本発明の電解液を理解する参考組成例として、有機溶媒と多量の水を組み合わせた溶媒、並びに、カルボン酸又はその塩及び無機酸及びその塩からなる群から選択される少なくとも一種以上の電解質を電解液基本成分として、それに優れた添加添加効果を得られる添加剤成分を種々組み合わせた事例を挙げた。参考組成例1及び2は、添加剤としてグルコノラクトンとキレート化合物を組み合わせた例(この組合せの場合、通常は電解液中0.01〜3重量%が好ましい。)、参考組成例3及び4は、グルコノラクトンと糖類を組合せた例(この組合せの場合、通常は電解液中0.01〜5重量%が好ましい。)、参考組成例5及び6は、それぞれグルコノラクトンとグルタミン酸2酢酸とを組合せた例及びグルコノラクトンとヒドロキシベンジルアルコールとを組合せた例(これらの組合せの場合、通常は電解液中0.01〜5重量%が好ましい。)、参考組成例7及び8は、グルコノラクトンとニトロ化合物を組合せた例(この組合せの場合、通常は電解液中0.01〜3重量%が好ましい。)である。

Claims (4)

  1.  電解液及びその電解液中で可溶のバインダーで固着した繊維を含むセパレータ、を含む電解コンデンサーであって、電解液が電解質、及び水と有機溶媒を含む電解質溶媒を含み、その電解質溶媒中の水濃度が80重量%を超える電解コンデンサー。
  2.  電解液及びその電解液中で可溶のバインダーで固着した繊維を含むセパレータ、を含む電解コンデンサーであって、電解液が電解質、及び水と有機溶媒を含む電解質溶媒を含み、その電解質溶媒中の水濃度が80重量%を超える常温用電解コンデンサー。
  3.  電解液の30℃における比抵抗が40Ω・cm以下である、請求項1または2に記載の電解コンデンサー。
  4.  セパレータの密度(セパレータの成形時点で測定)が0.5g/cm3 以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電解コンデンサー。
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