JP2004031827A - 分布帰還型半導体レーザ - Google Patents

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Abstract

【課題】出力光強度を上昇し、かつ出力波長精度を向上する。
【解決手段】半導体基板11と、この半導体基板の上方に備えられ、光23の出射方向に互いに離間して配設された第1、第2の回折格子層12a、12bと、この第1、第2の回折格子層及び結合層の上方に配置された活性層18と、この活性層の上方に配置されたクラッド層19とを備えた分布帰還型半導体レーザにおいて、
第1の回折格子層を構成する第1の回折格子16aと第2の回折格子層を構成する第2の回折格子16bとは同一格子間隔dを有し、第1の回折格子と第2の回折格子との間で空間的に格子配列の位相がシフトΔdしている。
【選択図】  図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信や光計測に用いる光を出力する半導体レーザに係わり、特に、単一波長の光を出力する分布帰還型半導体レーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信や光計測に用いる光を出力する半導体レーザにおいては、例えば、図13(a)に示すように、半導体基板1上に活性層2及びクラッド層3が積層されており、半導体基板1の下面とクラッド層3の上面との間に電圧を印加すると、活性層2の端面から光4が出力される。しかし、この光4は、詳細に検証すると、図13(b)に示すように、それぞれ波長λが微妙に異なる複数の光の集合とみなせる。
【0003】
そこで、単一波長λの光4を出力させるために、図13(c)に示すように、活性層2の隣接位置に光4の出射方向に回折格子5を形成した分布帰還型(Distributed Feedback :DFB)半導体レーザが提唱されている。このように回折格子5が組込まれた分布帰還型半導体レーザにおいては、光導波路の等価屈折率をn、格子間隔をdとすると、この活性層2で発生した多数の波長λを有する光のうち、波長λが、λ=2ndの条件を満たす単一波長λ(=2nd)の光4aが出力される筈である。
【0004】
しかし、分布帰還型半導体レーザは、図13(c)に示すように内部に形成される回折格子5が光の出射方向に沿って一様な位相連続型の場合には、原理的に単一波長λのみで発振する「単一モード発振」は実現せず、図13(d)に示すように、λ=2ndの条件を満たす波長λは出力されずに、この波長λの左右に別の波長λ+1、λ−1の光が出力される。
【0005】
このような不都合を解消するためには、λ/4シフト構造と呼ばれる光の位相をλ/4だけ移相させる位相シフト構造を回折格子5の途中に形成することで「単一モード発振」を実現している。
【0006】
しかし、途中に位相シフト構造を有する回折格子5は、単純で量産性に優れたレーザ干渉露光法による一括露光作業工程では製造できず、一般的には電子ビーム描画装置を用いて長時間かけて描画する製造方法を採用しているのが実状である。これに対し、レーザ干渉露光法で製造した回折格子でもλ/4シフト構造と同等な効果を得るための技術が特許第1781186号(特公平4―67356号公報)に提案されている。
【0007】
すなわち、この提案された分布帰還型半導体レーザにおいては、図14に示すように、活性層2の下側に、第1、第2の回折格子導波路6a、6bと、第1、第2の回折格子導波路6a、6bを結合する平坦な結合導波路7とを同一面に一体構造で形成している。そして、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの各回折格子は、レーザ干渉露光法を用いて仮想的な単一の回折格子の一部を構成するようにそれぞれの位相を整合させて形成している。
【0008】
そして、結合導波路7は、この結合導波路7が第1、第2の回折格子導波路6a、6bと同一構造を有していた場合に対して、伝送する光の位相をπの整数倍からずらす伝送特性を有する。
【0009】
なお、この提案では、「第1の回折格子導波路6aから第2の回折格子導波路6bへ伝送する光の位相をπの整数倍からずらす」としているが、製造された分布帰還型半導体レーザにおいて、単一波長の光が発生する確率が高い構造としては、「第1の回折格子導波路6aから第2の回折格子導波路6bへ伝送する光の位相がπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)になる」構造であることは明らかである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図14に示した構造の分布帰還型半導体レーザにおいても、まだ解消すべき次のような課題があった。
【0011】
先ず、第1の回折格子導波路6aから第2の回折格子導波路6bへ伝送する光の位相をπの整数倍からずらす機能を有する結合導波路7の長さLについて詳細に検討する。
【0012】
一般に、結合導波路7において、この結合導波路7を伝送する光の位相がそこに回折格子がある場合と比較してずれるのは、回折格子の有無という光導波路の構造の違いによって、光の伝搬速度に対応する伝搬定数がわずかに異なるためである。光の伝搬定数は伝送する光が感じる等価屈折率nによって決まる。
【0013】
図15を用いて説明すると、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの光の伝搬定数と結合導波路7の伝搬定数との差は、結合導波路7の等価屈折率nと、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの平均的な等価屈折率nとの差(n―n)に依存する。さらに、この等価屈折率の差(n―n)は、結合導波路7の厚みhと、第1、第2の回折格子導波路6a、6bの各格子相互間に存在する溝の深さを考慮した平均厚みhとの差(h―h)に依存する。
【0014】
すなわち、この結合導波路7を伝送する光の位相のずれ量を正確にπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2…)に近づけるためには、上述した差(h―h)を正確に制御する必要がある。
【0015】
しかしながら、図14に示す従来の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1、第2の回折格子導波路6a、6bと結合導波路7との断面形状の差は固定されているので、差(n―n)は一定値である。
【0016】
その結果、位相ずれ量が、光の波長λを2πとした場合において、複数のπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)のうちの一つのπの半奇数倍に最も近くなるように、結合導波路長Lを設定する必要があり、この結合導波路長Lを任意に選択できなかった。
【0017】
光の出射方向に互いに離間した第1、第2の回折格子導波路6a、6bを有する分布帰還型半導体レーザにおいて、結合導波路長Lが任意に選択できないと、次のような課題が生じる。
【0018】
図16に示すように、結合導波路長Lが短いと、この分布帰還型半導体レーザ内における発生する光の強度分布はほぼ山形波形となる。その結果、この分布帰還型半導体レーザの両端面から出射される光4の出力光強度Pが低下する。その結果、空間的ホールバーニングによる出力低下や線幅劣化が生じやすい。
【0019】
逆に、結合導波路長Lが長いと、分布帰還型半導体レーザ全体の寸法形状が大きくなるのみならず、1枚のウエハで製造できる素子の数が減少し、素子の製造単価が上昇する。
【0020】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、結合層長を任意長に設定可能にでき、その結果、簡単に出力される光の光強度を上昇でき、かつ出力される光のスペクトル線幅を狭くでき、さらに出力される光の単一モード性を向上できる分布帰還型半導体レーザを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、半導体基板と、この半導体基板の上方に備えられ、光の出射方向に互いに離間して配設された第1、第2の回折格子層と、この第1、第2の回折格子層及び結合層の上方に配置された活性層と、この活性層の上方に配置されたクラッド層とを備えた分布帰還型半導体レーザに適用される。
【0022】
そして、上記課題を解消するために、本発明の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1の回折格子層を構成する第1の回折格子と第2の回折格子層を構成する第2の回折格子とは同一格子間隔を有し、第1の回折格子と第2の回折格子との間で空間的に格子配列の位相がシフトしている。
【0023】
このように構成された分布帰還型半導体レーザにおいては、光の出射方向に互いに離間して配設された第1の回折格子と第2の回折格子とは仮想的に同一格子間隔(ピッチ)を有するが、位相が連続せずにシフトしている。すなわち、たとえ、第1の回折格子層と第2の回折格子層とが離間せずに連続していたとしても、この空間的な位相シフトの存在にて、第1の回折格子層と第2の回折格子層とを伝搬する光の位相がこの設定された位相シフト量だけずれる。
【0024】
前述したように、第1の回折格子層と第2の回折格子層とを回折格子が形成されていない結合層を介して離間配置することによって、第1の回折格子層と第2の回折格子層とを伝搬する光の位相をずらせることができる。この光の位相のずれ量は、第1、第2の回折格子層と結合層(結合導波路)との間の断面形状の差と結合層の長さLによって定まる。
【0025】
前述したように、第1の回折格子層と第2の回折格子層とを伝搬する光の位相のずれ量がπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2…)に近くなればよい。よって、第1の回折格子と第2の回折格子との空間的な位相シフト量と、第1、第2の回折格子層と結合層との間の断面形状の差とを調整して、伝搬する光の位相のずれ量Φを、正確にπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)になる結合層の長さLを複数に亘って設定可能である。すなわち、この分布帰還型半導体レーザの結合層の長さLをほぼ任意に設定可能である。
【0026】
したがって、例えば、結合層の長さLを長く設定することにより、空間的ホールバーニングを抑制し、高電流注入時に高い効率で光を発生させることができるため、この分布帰還型半導体レーザの高効率化を図ることができる。
【0027】
ここで言う位相シフトとは、回折格子領域と平坦な結合層との伝搬定数差に起因する光の位相シフト量が、理想とするπ/2からずれてしまうような構造を余儀なくされる場合に、それを補完するために導入するものである。したがってπ/2やその近傍の量に限定されるものではない。素子の高出力化や狭スペクトル線幅化を優先する場合には、平坦な結合層の長さはできるだけ長くすることが望ましく、伝搬定数差に起因する光の位相シフト量はπ/2より大きくせざるを得なくなるが、この場合は回折格子に負の位相シフトを導入することで相殺することができる。
【0028】
一方、低価格で大量に製造することを優先する場合には、1枚のウエハから取り出せるチップ数(収率)を大きくすることが望ましい。そのためにはチップ長は短くなくてはならない。結合層の長さがチップ長を越えることはできないから、伝搬定数差に起因する光の位相シフト量がπ/2に満たない場合には回折格子に正の位相シフトを導入することでこれを補うことができる。こうして様々な要求に応えられる素子設計の自由度が生み出されるのである。
【0029】
また、別の発明は、半導体基板と、この半導体基板の上方に配置された活性層と、この活性層の上方に備えられ、光の出射方向に互いに離間して配設された第1、第2の回折格子層と、この第1、第2の回折格子層及び結合層の上方に配置されたクラッド層とを備えた分布帰還型半導体レーザに適用される。
【0030】
そして、上記課題を解消するために、第1の回折格子層を構成する第1の回折格子と第2の回折格子層を構成する第2の回折格子とは同一格子間隔を有し、第1の回折格子と第2の回折格子との間で空間的に格子配列の位相がシフトしている。
【0031】
先の発明の分布帰還型半導体レーザにおいては、活性層の下方に第1、第2の回折格子層を配設したのに対して、この発明が適用される分布帰還型半導体レーザにおいては、活性層の上方に第1、第2の回折格子層を配設している。その他の構成は、先の発明の分布帰還型半導体レーザに類似している。
【0032】
したがって、先の発明の分布帰還型半導体レーザとほぼ同じ作用効果を奏することが可能である。
【0033】
なお、活性層の下方に回折格子層を配設する場合においては、n型半導体基板を用いた際に、p側で再成長界面を作る必要がなく、Siのパイルアップによる特性の劣化を防止できる。
【0034】
また、活性層の上方に回折格子層を配設する場合においては、先に活性層を成長した上で回折格子の格子間隔(ピッチ)を設定できる。さらに、成長回数を1回減らすことができる。
【0035】
また、別の発明においては、上述した各発明の分布帰還型半導体レーザにおいて、第1の回折格子の結合効率κと、第2の回折格子の結合効率κとが互いに異なる値に設定されている。
【0036】
回折格子における結合効率κとは、回折格子を伝搬する光の前進波と後進波との結合の度合いを示す指標であり、結合効率κが高いことは光が回折格子上を進む間に前進波から後進波へ変換される度合いが強いことを示し、結合効率κが低いことは光が回折格子上を進む間に前進波から後進波へ変換される度合いが弱いことを示す。
【0037】
例えば、導波路中の回折格子における格子の体積と隙間を含む格子以外の部分が占める体積との比が大きいほど結合効率κが低くなる傾向を示し、回折格子における格子の屈折率と隙間を含む格子以外の部分の屈折率との差が小さいほど結合効率κが低くなる傾向を示す。
【0038】
第1の回折格子層の回折格子における結合効率κと第2の回折格子層の回折格子における結合効率κとが異なることは、第1の回折格子層における光の反射率と、第2の回折格子層における光の反射率とが異なることを示す。その結果、第1の回折格子層側の端面から出力される光の量と、第2の回折格子層側の端面から出力される光の量とを異ならせることが可能である。よって、故意に、分布帰還型半導体レーザの一方の端面から出力される光の強度を他方の端面から出力される光の強度に比較して上昇できる。
【0039】
さらに、別の発明の分布帰還型半導体レーザにおいては、半導体基板はInPで形成され、第1、第2の回折格子層はInGaAsPで形成され、活性層はInGaAsPを含む材質で形成され、クラッド層はInPで形成されている。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図面を用いて説明する。
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図である。
【0041】
n型InPからなる半導体基板11の上面に、n型InGaAsPからなる第1の回折格子層12aと、結合層13と、n型InGaAsPからなる第2の回折格子層12bとが形成されている。第1の回折格子層12aは複数の格子14と格子相互間に存在する複数の隙間15とからなる第1の回折格子16aで構成されている。一方、第2の回折格子層12bは複数の格子14と格子相互間に存在する複数の隙間15とからなる第2の回折格子16bで構成されている。そして、第1、第2の回折格子層12a、12bの間の領域を充填する結合層13は半導体基板11と同一材質で形成されている。
【0042】
図2に示すように、第1、第2の回折格子16a、16bの各格子14と各隙間15は同一形状を有しており、格子間隔dは等しく設定されている。しかし、第1、第2の回折格子16a、16bとの間で空間的に格子配列の位相がΔdの距離だけシフトしている。具体的には、結合層13が存在しなくて、第1の回折格子16aが、図2の点線で示すように、第2の回折格子16bまで延長したと仮定した場合に、第2の回折格子16bの格子配列の位相が第1の回折格子16aの格子配列の位相に比較してΔdだけシフトしている。この位相シフト量Δdは、結合層13の長さLとは独立して、この分布帰還型半導体レーザの製造過程で任意に設定可能である。
【0043】
また、第1、第2の回折格子層12a、12bを構成する各格子14の屈折率は半導体基板11の屈折率より高く設定されている。
【0044】
第1、第2の回折格子層12a、12b及び結合層13の上面には、半導体基板11と同一材料物質からなる緩衝層17が形成されている。なお、結合層13と緩衝層17とは一体形成されている。この緩衝層17の上面に、それぞれ適当な組成のInGaAsPからなる、下側SCH層、MQW層、上側SCH層を含む活性層18が形成されている。この活性層18の上面には、p型InPからなるクラッド層19が形成されている。
【0045】
クラッド層19の上面にp電極20が取付けられ、半導体基板11の下面にはn電極21が取付られている。さらに、光23が出射される活性層18、第1、第2の回折格子層12a、12bの端面には、反射防止膜22a、22bが形成されている。
【0046】
なお、クラッド層19とp電極20との間に、p型InGaAsPあるいはp型InGaAsからなるコンタクト層を介在させることも可能である。
【0047】
このように構成された第1実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいて、p電極20とn電極21との間に電圧を印加すると、活性層18は多波長を有する光を発光するが、この多くの波長を有する光のうち、第1、第2の各回折格子16a、16bの格子間隔dと第1、第2の回折格子層12a、12bの等価屈折率nとで定まる単一波長λを有した光23が選択されてレーザ発振される。
【0048】
この場合、長さLの結合層13の存在、及び第1、第2の回折格子16a、16b相互間の位相シフト量Δdの存在によって、光23の前進波と後退波との位相がπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)だけずれるので、単一波長λを有した光23が出力される。
【0049】
次に、このように構成された第1実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける結合層13の長さLを設定する方法を図2を用いて説明する。
【0050】
長さLの結合層13を伝搬する光23の距離で表した位相のずれ量Φは、結合層13の長さLに光の伝搬定数の差Bを乗算した値に第1、第2の回折格子16a、16b相互間の位相シフト量Δdに相当する光の位相のずれ量ΔΦを加算した値である。伝搬定数の差Bは、前述したように、第1、第2の回折格子層12a、12bの等価屈折率nと結合層13の等価屈折率nとの差(n―n)の関数f(n―n)で表現できる。よって、位相のずれ量Φは下式となる。
【0051】
Φ=L・B+ΔΦ=L・[f(n―n)]+ΔΦ
この式から、結合層13の長さLは下式となる。
【0052】
L=(Φ―ΔΦ)/f(n―n
位相ずれ量Φは光の波長λを2πとした場合においてπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)であるので、複数のπの半奇数倍のうちの任意のπの半奇数倍の選択と、位相シフト量Δdと、等価屈折率の差(n―n)を適宜設定することによって、この分布帰還型半導体レーザの結合層13の長さLをほぼ任意に設定可能である。
【0053】
したがって、図3に示すように、結合層13の長さLを長く設定することにより、分布帰還型半導体レーザ内で発生する光23の強度分布特性24における中央部分を広い範囲に亘ってほぼ平坦にでき、光の強度分布特性24全体をなだらかにでき、空間的ホールバーニングを抑制できる。これにより、高電流注入時の出力飽和を抑制できる。
【0054】
その結果として、図4に示すように、分布帰還型半導体レーザの両端面から出射される光23の出力光強度Pを図14に示した従来の分布帰還型半導体レーザの光4の出力光強度Pに比較して大幅に向上でき、印加電流に対する光の出力特性25における直線応答性を、従来の分布帰還型半導体レーザにおける出力特性25aに比較して改善できる。
【0055】
さらに、第1、第2の回折格子層12a、12b相互間に存在する結合層13は、緩衝層17と同一物質で構成され、さらに、第1、第2の回折格子層12a、12bを構成する第1、第2の回折格子16a、16bは、光の出射方向に直交する上面から下面へ貫通する複数の隙間15を有している。一般に、回折格子は、複数の格子と格子相互間に存在する複数の溝とで構成さているが、この実施形態においては、各格子14間の溝が上面から下面へ貫通する隙間15で形成されている。
【0056】
このように、各格子14間の溝を隙間15で構成することによって、この回折格子をエッチングで製造する場合の形状及び寸法の精度が向上する。すなわち、第1、第2の回折格子層12a、12bの等価屈折率nの素子相互間のバラツキが抑制され一定値に安定する。その結果、位相ずれ量Φの精度が向上し、出力される光23の波長安定性がより一層向上する。
【0057】
なお、この第1実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、活性層18の下方に第1、第2の回折格子層12a、12bを配設しているので、n型半導体基板を用いた際に、p側で再成長界面を作る必要がなく、Siのパイルアップによる特性の劣化を防止できる。
【0058】
(第2実施形態)
図5は本発明の第2実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図である。図1に示す第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0059】
この第2実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1、第2の回折格子層12a、12bの間に存在する結合層13は第1、第2の回折格子層12a、12bと同一物質で形成されている。さらに、第1実施形態と同様に、第1の回折格子16aと第2の回折格子16bとは空間的に位相シフト量Δdを有する。
【0060】
したがって、この位相シフト量Δdを調整することにより、結合層13の長さLを自由に設定することができる。よって、図1に示す第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同様に、分布帰還型半導体レーザ内で発生する光23の強度分布特性24における中央部分を任意の範囲に亘ってほぼ平坦にでき、光の強度分布特性24全体をなだらかにでき、空間的ホールバーニングを抑制できる。
【0061】
(第3実施形態)
図6は本発明の第3実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図である。図1に示す第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明を省略する。
【0062】
この第3実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1、第2の回折格子層12a、12bの間に存在する結合層13を下部層13aと上部層13bとの2層で構成している。上部層13bは、上側の緩衝層17と同一物質で形成されている。また、下部層13aは第1、第2の回折格子層12a、12bと同一物質で形成されている。
【0063】
このように、第1の回折格子層12a、第2の回折格子層12bとの間に存在する結合層13の下部層13aが、第1、第2の回折格子層12a、12bと同一の物質で形成されているので、第1、第2の回折格子層12a、12bと結合層13との間の境界面において等価屈折率が大きく変化することはなく、この境界面での光の反射を抑制でき、この分布帰還型半導体レーザで発生する光23の単一モード性をより一層向上できる。
【0064】
さらに、第1実施形態と同様に、第1の回折格子16aと第2の回折格子16bとは空間的に位相シフト量Δdを有する。したがって、前述した各実施形態と同様に、結合層13の長さLをほぼ任意に設定可能である。
【0065】
(第4実施形態)
図7は本発明の第4実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図である。図1に示す第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0066】
n型InPからなる半導体基板11の上面に、それぞれ適当な組成のInGaAsPからなる、下側SCH層、MQW層、上側SCH層を含む活性層18が形成されている。この活性層18の上面には、クラッド層19と同一材料物質からなる緩衝層17が形成されている。この緩衝層17の上面に、p型InGaAsPからなる第1の回折格子層12aと、結合層13と、p型InGaAsPからなる第2の回折格子層12bとが形成されている。
【0067】
第1、第2の回折格子層12a、12bを構成する第1、第2の回折格子16a、16bは、それぞれ複数の格子14と格子相互間に存在する複数の隙間15とで構成されており、第1実施形態と同様に、第1の回折格子16aと第2の回折格子16bとは空間的に位相シフト量Δdを有する。第1、第2の回折格子層12a、12bを構成する各格子14の屈折率は半導体基板11の屈折率より高く設定されている。
【0068】
そして、第1、第2の回折格子層12a、12b及び結合層13の上面には、p型InPからなるクラッド層19が形成されている。なお、結合層13bとクラッド層19とは一体形成されている。
【0069】
クラッド層19の上面にp電極20が取付けられ、半導体基板11の下面にはn電極21が取付られている。さらに、単一モードの光23が出射される活性層18、第1、第2の回折格子層12a、12bの端面には、反射防止膜22a、22bが形成されている。
【0070】
なお、クラッド層19とp電極20との間に、p型InGaAsPあるいはp型InGaAsからなるコンタクト層を介在させることも可能である。
【0071】
このように構成された第4実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいて、p電極20とn電極21との間に電圧を印加すると、活性層18は多波長を有する光を発振するが、この波長を有する光のうち、回折格子16の格子間隔dと第1、第2の回折格子層12a、12bの等価屈折率nとで定まる単一波長λからなる光23が選択されてレーザ発振される。
【0072】
この場合、長さLの結合層13、及び第1、第2の回折格子16a、16bの間の空間的な位相シフト量Δdの存在によって、光23の位相がπの半奇数倍(π/2、3π/2、5π/2、…)だけずれるので、確実に単一波長λを有した光23が出力される。第1、第2の回折格子層12a、12bに挟まれた結合層13の光23の伝搬方向の長さLは、前述した第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同様に、第1、第2の回折格子16a、16bの間の空間的な位相シフト量Δdと、第1、第2の回折格子層12a、12bと結合層13との断面形状差とで定まる。
【0073】
したがって、前述した第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同様に、結合層13の光23の伝搬方向の長さLを、ほぼ任意の値に設定できるので、図1に示した第1実施形態の分布帰還型半導体レーザとほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0074】
なお、この第4実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、活性層18の上方に第1、第2の回折格子層12a、12bを配設しているので、活性層18から第1、第2の回折格子層12a、12bまでを1回の成長で形成できるので、成長回数を1回減らすことができる。また、先に活性層18を成長した上で第1、第2の回折格子層12a、12bにおける回折格子の格子間隔(ピッチ)を設定できる。
【0075】
(第5実施形態)
図8は本発明の第5実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図である。図7に示す第4実施形態の分布帰還型半導体レーザと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0076】
この第5実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザにおいては、第1、第2の回折格子層12a、12bの間に存在する結合層13を下部層13aと上部層13bとの2層で構成している。上部層13bは上側のクラッド層19と同一物質で形成されている。また、下部層13aは第1、第2の回折格子層12a、12bと同一物質で形成されている。さらに、第1、第2の回折格子層12a、12bで形成される第1、第2の回折格子16a、16bの格子14相互間を、上下に貫通する隙間15でなく、貫通しない溝15aとしている。
【0077】
したがって、この第5実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、半導体素子内において、光23の出射方向に存在する第1の回折格子層12a、結合層13、第2の回折格子層12bの全領域に亘って、同一の物質で接続されることになる。よって、図6に示す第3実施形態の分布帰還型半導体レーザとほぼ同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
(第6実施形態)
図9は本発明の第6実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図である。図8に示す第5実施形態の分布帰還型半導体レーザと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0079】
この第6実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、第5実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける第1、第2の回折格子16a、16bの格子14相互間を、上下に貫通する隙間15で形成している。第5実施形態と同様に、第1の回折格子16aと第2の回折格子16bとは空間的に位相シフト量Δdを有する。
【0080】
このように、第1、第2の回折格子16a、16bの格子14相互間を、上下に貫通する隙間15で構成することにより、この回折格子16a、16bをエッチングで製造する場合の形状及び寸法の精度が向上する。
【0081】
また、位相シフト量Δdを調整することにより、結合層13の長さLを長く設定することができるので、布帰還型半導体レーザ内における光の強度分布特性24全体をなだらかにでき、空間的ホールバーニングを抑制できる。
【0082】
(第7実施形態)
図10は本発明の第7実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図である。図1に示す第1実施形態の分布帰還型半導体レーザと同一部分には同一符号を付して重複する部分の詳細説明は省略する。
【0083】
この第7実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1の回折格子層12aの第1の回折格子16aにおける結合効率κと、第2の回折格子層12bの第2の回折格子16bにおける結合効率κとが互いに異なる値に設定されている。
【0084】
この第7実施形態の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1の回折格子層12aの回折格子16aの一つの格子間隔d内における格子14の体積と隙間15を含む格子14以外の部分が占める体積との割合を示す体積比vと、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける体積比vとが互いに異なる値に設定されている。
【0085】
第1、第2の回折格子層12a、12bの各回折格子16a、16bの格子15どうしと、隙間15どうしとが互いに同一材料で形成されているので、屈折率の寄与を考えないと、この各体積比v、vが第1、第2の回折格子16a、16bの各結合効率κ、κに対応する。
【0086】
具体的には、結合層13を挟んで互いに離間して配設された第1、第2の回折格子層12a、12bとは、同一格子間隔(ピッチ)dを有するが、第1、第2の回折格子層12a、12bでそれぞれ形成される第1、第2の回折格子16a、16bの形状が互いに異なる。各回折格子16a、16bは、それぞれ一つの格子間隔dにおいては、1個の格子14と1個の隙間15(又は溝)とで構成されるが、この一つの格子間隔d内における格子14の体積と隙間15を含む格子14以外の部分が占める体積との割合を前述したように体積比vとする。この体積比vは、光23の進行方向と一致する方向の格子14の幅、格子14の高さ、及び光23の進行方向と直交する方向の格子14の幅等によって定まる。
【0087】
図10の第7の実施形態においては、第1の回折格子層12aの回折格子16aにおける格子14の光23の進行方向と一致する方向の高さに対して、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける格子14の光23の進行方向と一致する方向の高さを小さな値に設定することによって、第1の回折格子層12aの回折格子16aの体積比vと、第2の回折格子層12bの回折格子16bの体積比vとを異ならせている(v>v)。よって、第1の回折格子16aの結合効率κと第2の回折格子16bの結合効率κとが異なる(κ>κ)。
【0088】
その結果、第1の回折格子層12aの回折格子16aにおける光の反射率と、第2の回折格子層12bの回折格子16bにおける光の反射率とが異なる。第1の回折格子層12a側の端面から出力される光23aの量と、第2の回折格子層12b側の端面から出力される光23bの量とを異ならせることが可能である。
【0089】
よって、故意に、分布帰還型半導体レーザの一方の端面から出力される光の強度を他方の端面から出力される光の強度に比較して上昇できる。この図10の第7実施形態においては、第2の回折格子層12b側の端面から出力される光23bの強度を、第1の回折格子層12a側の端面から出力される光23aの強度より高く設定される。
【0090】
なお、図10の第7実施形態においては、第2の回折格子層12b側の端面に形成された反射防止膜22bの反射率を、第1の回折格子層12a側の端面に形成された反射防止膜22aの反射率より小さく設定することによって、第2の回折格子層12b側の端面から出力される光23bの強度をより高くしている。この場合、第1の回折格子層12a側の端面に形成された反射防止膜22aは、高反射膜であってもよく、へき開面のままであってもよい。
【0091】
なお、図6、図7、図8、図9の各実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける第1の回折格子層12aの回折格子16aの結合効率κと、第2の回折格子層12bの回折格子16bの結合効率κとを異ならせることも可能である。
【0092】
図11は、第1の回折格子層12aの回折格子16aの体積比v(結合効率κ)と、第2の回折格子層12bの回折格子16bの体積比v(結合効率κ)とを異ならせた(v<v)分布帰還型半導体レーザの製造方法における各回折格子16a、16b形成までを示す図である。
【0093】
なお、図11においては、図10の第7実施形態の分布帰還型半導体レーザに示すように、活性層18の下側に第1、第2の回折格子層12a、12bが存在する場合について述べる。
【0094】
先ず、図11(a)に示すように、n型InPからなる半導体基板11上に、第1、第2の回折格子層12a、12bとして、組成波長1.08μmのn型InGaAsPを厚さ0.1μm成長してから、その上に電子ビームレジスト(例えば日本ゼオン社製ZEP―520等)を0.2μm厚に塗布する。
【0095】
加熱処理後に電子ビーム描画装置で回折格子パターン描画を行う。図11(b)に、この実施形態における、回折格子16a、16bの格子間隔(ピッチ)dを240nmとした描画パターン及び描画条件を示す。回折格子部分の描画条件は、チップ加工後に出力側となる第1の回折格子層12a(図では左側)ではドーズ量を多く(例えば0.45nC/cm程度)、反対側の第2の回折格子層12bではドーズ量を少なく(0.3nC/cm程度)設定して照射する。周辺部は電子ビームあるいは紫外線照射などにより露光してもよい。
【0096】
そして、描画された回折格子パターンを現像する。図11(c)に示すように、この実施形態においては、現像後のレジストパターンは回折格子16a、16bの格子14相互間の間隙15がドーズ量を多くした部分では140nm程度、少なくした部分では70nm程度となる。
【0097】
この状態で飽和臭素水と燐酸の水溶液を用いて20秒程度エッチングを行う。すると、図11(d)に示すような断面形状となり、この後の結晶成長工程における加熱によって格子14の幅の違いは格子14の高さの違いに転写される。
【0098】
こうして光出射側の回折格子16aの体積比vが小さく、反対側の回折格子16bの体積比vが大きい(v<v)構造の分布帰還型半導体レーサが作製される。
【0099】
一方、ドーズ量変調以外の方法としては、エッチング時のエッチングレートがウエハ面露出面積に依存して変化すること利用することもできる。すなわち、ウエハ表面のうちレジストや誘電体膜などのエッチング阻害物質に覆われている面積が大きく、エッチングされる部分が小さい場合にはエッチングレートが速く、逆に、広い面積をエッチングする場合はエッチングレートが遅くなる現象が、上記の飽和臭素水と燐酸の水溶液などで知られている。この特徴を利用すれば、図12(a)(b)(c)に示すようなレジストパターンを作製することで体積比vの異なる回折格子を部分的に作製することが可能となる。
【0100】
図12(a)に示すように、周辺部のレジストを除去してからエッチングするとエッチングレートは遅くなる。
【0101】
図12(b)に示すように、光の導波方向に直交する方向への格子パターンの広がりを変えて(例えば20μmと100μm)エッチングレートを制御することも可能である。
【0102】
以上の説明はポジレジストを使用した場合について述べたが、ネガレジストを使用しても同様である。またいずれの場合も、n型InGaAsPに直接レジストを塗布するのでなく、例えば30nm厚程度のn型InP層を介在させ、エッチングを2段階に分けて選択性エッチャントを使用することも可能である。
【0103】
この場合は、レジストをエッチングマスクとして飽和臭素水を含むエッチャントで5秒程度エッチングしてInPを部分的に除去し、露出したn型InGaAsPを、今度は、n型InPをエッチングマスクとして硫酸と過酸化水素を含む水溶液によってエッチングする方法なども可能である。
【0104】
この方法であれば、硫酸と過酸化水素を含む水溶液がInGaAsPのみを選択的にエッチングすることから、特に活性層の上側に回折格子を形成する場合に、エッチングが緩衝層のInPとの界面で停止することから、誤って活性層までエッチングが到達するような事故を防ぐことが可能となる。
【0105】
一方、結合層13の部分は全面的に露出するため、エッチングレートが低くなり、第1、第2の回折格子16a、16bにおける隙間15部分がInPに達するまでエッチングされたとしても結合層13にはn型InGaAsP層(13a)が薄く残りやすい。この層(13a)を完全に除去したい場合には、図12(c)のように周辺部をレジスト等で覆って露出面積を狭め、エッチングレートを上げればよい。
【0106】
いずれにしても、この後の工程でレーザに加工される際、光23の出射方向に沿って幅2〜3μm程度のメサ形状にエッチングされてしまうため、その外側の領域はどのような状態であってもよい。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の分布帰還型半導体レーザにおいては、第1、第2の回折格子層における第1、第2の回折格子との間で空間的に格子配列を位相シフトさせている。したがって、結合層の長さを任意長に設定可能となり、簡単に出力される光の光強度を上昇でき、かつ出力される光の波長を高い精度で目的波長に設定でき、さらに出力される光の波長安定性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図2】同実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける結合層の長さの設定方法を説明するための図
【図3】同実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける結合層の長さと光の強度分布特性との関係を示す図
【図4】同実施形態の分布帰還型半導体レーザにおける光の出力特性を示す図
【図5】本発明の第2実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図6】本発明の第3実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図7】本発明の第4実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図8】本発明の第5実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図9】本発明の第6実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図10】本発明の第7実施形態に係わる分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図11】分布帰還型半導体レーザの製造方法を示す図
【図12】分布帰還型半導体レーザの各回折格子を示す図
【図13】分布帰還型半導体レーザの動作原理を説明するための図
【図14】従来の分布帰還型半導体レーザの概略構成を示す断面模式図
【図15】従来の分布帰還型半導体レーザにおける結合導波路長の設定方法を説明するための図
【図16】同従来の分布帰還型半導体レーザの問題点を説明するための図
【符号の説明】
11…半導体基板
12a…第1の回折格子層
12b…第2の回折格子層
13…結合層
13a…下部層
13b…上部層
14…格子
15…隙間
15a…溝
16a…第1の回折格子
16b…第2の回折格子
17…緩衝層
18…活性層
19…クラッド層
20…p電極
21…n電極
22a、22b…反射防止膜
23、23a、23b…光
24…光の強度分布特性
25、25a…光の出力特性

Claims (4)

  1. 半導体基板(11)と、この半導体基板の上方に備えられ、光(23)の出射方向に互いに離間して配設された第1、第2の回折格子層(12a、12b)と、この第1、第2の回折格子層及び結合層の上方に配置された活性層(18)と、この活性層の上方に配置されたクラッド層(19)とを備えた分布帰還型半導体レーザにおいて、
    前記第1の回折格子層を構成する第1の回折格子(16a)と前記第2の回折格子層を構成する第2の回折格子(16b)とは同一格子間隔(d)を有し、第1の回折格子と第2の回折格子との間で空間的に格子配列の位相がシフトしていることを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
  2. 半導体基板(11)と、この半導体基板の上方に配置された活性層(18)と、この活性層の上方に備えられ、光(23)の出射方向に互いに離間して配設された第1、第2の回折格子層(12a、12b)と、この第1、第2の回折格子層及び結合層の上方に配置されたクラッド層(19)とを備えた分布帰還型半導体レーザにおいて、
    前記第1の回折格子層を構成する第1の回折格子(16a)と前記第2の回折格子層を構成する第2の回折格子(16b)とは同一格子間隔(d)を有し、第1の回折格子と第2の回折格子との間で空間的に格子配列の位相がシフトしていることを特徴とする分布帰還型半導体レーザ。
  3. 前記第1の回折格子(16a)の結合効率(κ)と、前記第2の回折格子(16b)の結合効率(κ)とが互いに異なる値に設定されたことを特徴とする請求項1又は2記載の分布帰還型半導体レーザ。
  4. 前記半導体基板はInPで形成され、前記第1、第2の回折格子層はInGaAsPで形成され、前記活性層はInGaAsPを含む材質で形成され、前記クラッド層はInPで形成されたことを特徴とする請求項1又は2記載の分布帰還型半導体レーザ。
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