JP2004031163A - プラズマ表示装置およびプラズマ表示装置の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の寿命を改善することが可能なプラズマ表示装置およびプラズマ表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】画素領域あたり3本の維持電極12X,12Y,12Zが設けられている。維持電極12X,12Y,12Zは、隔壁13の側面に互いに対称な放電対向面を形成する放電部と、放電部への給電配線である配線部とからなる。維持放電は、維持電極12X,12Y,12Zに順次サスティンパルスを印加して行われる。3つの放電対向面間では均等に放電が生じ、維持放電が3箇所に均等に分配されて生起する。
【選択図】 図1
【解決手段】画素領域あたり3本の維持電極12X,12Y,12Zが設けられている。維持電極12X,12Y,12Zは、隔壁13の側面に互いに対称な放電対向面を形成する放電部と、放電部への給電配線である配線部とからなる。維持放電は、維持電極12X,12Y,12Zに順次サスティンパルスを印加して行われる。3つの放電対向面間では均等に放電が生じ、維持放電が3箇所に均等に分配されて生起する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流プラズマ放電を利用して表示を行うプラズマ表示装置、および、プラズマ表示装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel) は、テレビジョン受像機やコンピュータ用ディスプレイにおいて、従来広く用いられてきた陰極線管(CRT:Cathode−Ray Tube)では実現が難しいとされる薄型・大画面化に対応し得るディスプレイとして注目されており、既に40インチ以上の大型ディスプレイが製品化されている。
【0003】
図15は、従来のAC型プラズマ表示装置の構成を表している。このプラズマ表示装置は、前面ガラス基板101と背面ガラス基板102とが対向配置された構造を有し、前面ガラス基板101上には、一対の維持電極107(107X,107Y)が放電ギャップを介して複数並列するように設けられている。また、その上には、維持電極107を覆うように誘電体層109,保護層110が順に形成されている。一方、背面ガラス基板102の上には、複数のアドレス電極103が維持電極107と直交する方向に配列するように形成されている。アドレス電極103の上には誘電体層104が形成され、更にその上に、アドレス電極103毎に空間を仕切るための隔壁105が形成されている。隔壁105の間には、赤(R;Red),緑(G;Green)および青(B;Blue )の3原色の蛍光体層106が周期的に塗布形成されている。前面ガラス基板101と背面ガラス基板102に挟まれた放電空間は、周縁部において気密封止され、放電ガスで満たされている。
【0004】
こうしたプラズマ表示装置では、維持電極107X,107Yに電圧を印加し、その間で放電させることで発光表示が行われる。すなわち、この放電により放電ガスを励起させ、真空紫外線を発生させると、背面ガラス基板102上の蛍光体106が真空紫外線の照射を受けて各色に発光する。この可視光は、前面ガラス基板101を透過して表示発光色となる。なお、アドレス電極103は、データ信号入力により、表示画素にデータ書き込みを行う際に利用される。
【0005】
このように、維持電極107X,107Yが同じ基板に形成され、放電が生じる対向面が一平面上に配置されている構造は、面放電型と呼ばれ、これまでの装置の主流となってきた。その最大の理由は、面放電型では主放電が前面ガラス基板101の側で起きるために、背面ガラス基板102側に設けた蛍光体106にプラズマ中のイオンが直接衝撃を与えずに済み、劣化が大幅に改善されることにあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、維持電極107X,107Yの対間における放電では、維持電極107上の保護層110、さらには誘電体層109が放電中にプラズマに晒されることによって劣化するという問題があった。維持電極107の間の放電は、表示動作において最も回数が多く、従来では、これら保護層110等の劣化が原因で装置の寿命が制限されていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、装置の寿命を改善することが可能なプラズマ表示装置およびプラズマ表示装置の駆動方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ表示装置は、画素領域の各々を3本以上で構成し、少なくとも互いの放電対向面を有するもの同士では互いの放電対向面が対称に形成されている維持電極を備えたものである。
【0009】
本発明のプラズマ表示装置の駆動方法は、各画素が3本以上の維持電極を含んで構成され、維持電極にサスティンパルスを入力することにより発光表示を行うようにしたプラズマ表示装置の駆動方法であって、維持電極の各々にサスティンパルスを分配供給するものである。
【0010】
本発明のプラズマ表示装置では、維持電極は各画素領域内に3本以上設けられ、しかも、そのうち互いの間で放電が生ずるもの同士では、その放電対向面は対称に形成されている。対称に配置された放電対向面の間では、放電距離が均等に保たれ、均一な放電が生じる。
【0011】
本発明のプラズマ表示装置の駆動方法では、各画素内の3本以上の維持電極にサスティンパルスが配分され、これらの維持電極間に放電が分散して生じる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部を示す構成図であり、図2は、その電極構成を示した平面図である。なお、図1は、背面ガラス基板11側の構造を示している。このプラズマ表示装置では、対向配置される背面ガラス基板11,前面ガラス基板21(以下では単に基板と記す)の間の放電空間が、隔壁13により三角形状の画素領域に区画されている。各画素領域には、発光表示のための放電を行う3本の維持電極12(12X,12Y,12Z)が設けられている。
【0014】
維持電極12(12X,12Y,12Z)は、放電対向面を有する放電部D(Dx,Dy,Dz)と、この放電部Dに給電するための配線部W(Wx,Wy,wz)とから構成されている。これら相異なる3本の維持電極12X,12Y,12Zの放電部Dx,Dy,Dzは、画素領域の3辺を構成する隔壁13の側面それぞれに設けられている。すなわち、維持電極12は、放電部Dによって形成された互いの放電対向面において、基板11,基板21の基板面に平行な方向に放電を生ずるように設けられている。
【0015】
また、後述するように、これら放電部Dx,Dy,Dzは、隣接するもの同士の間で放電するために、互いに対称に形成されている。すなわち、相互間で均一に放電が起きるように、放電部Dx,Dy,Dzは同じ形状とされ、相互間の放電距離が均等となるように配置されている。放電部Dは、できるだけ広いほうが好ましいが、必ずしも隔壁13の側面全体に設けられずともよく、蛍光体16の形成位置などを考慮して所定部分に適宜に設けられていてよい。
【0016】
配線部Wは、その配線経路上に配置されている放電部Dと接合して電気的接続がなされるように設けられる。ここでは、各配線部Wは、隔壁13の形成領域に延在するように設けられている。ここでいう隔壁13の形成領域とは、隔壁13が形成されている領域のみならず、基板11.21とその間の領域において画素領域を区画するように隔壁13が投影される隔壁13の上下面側を含む領域を指している。
【0017】
配線部Wx、Wyは、放電部Dx,Dyが設けられている隔壁13の側縁に沿って蛇行するように隔壁13の内部に設けられ、配線部Wzは、放電部Dzが設けられている隔壁13の側縁に沿うようにその上面に設けられている。配線部Wがこうした配置をとることで、維持電極12の対向面は平坦となる。なお、そのような構成とするには、配線部Wを放電部D以外の領域に配し、かつ、両者が接合されるように設けねばならないが、そのためには隔壁13の内部のほか、例えば、配線部Wを基板11もしくは基板21の面上に設けることによっても実現できる。なお、配線部Wは、その側面にて放電部Dと接合されるため、側面の面積は大きいほうがよい。したがって、ある程度の厚みでもって形成するものとし、流れる電流に応じて断面積を決めるようにすればよい。また、このように配線部Wを設けることで、維持電極12Zは、維持電極12X,12Yに交差するように配される。
【0018】
このような維持電極12を、誘電体層14,保護層15が覆っている。また、蛍光体16は、基板11上、つまり各画素領域の底部に設けられている。ここでは、蛍光体16を隔壁13の側面まで形成して維持電極12に部分的に重なるようにしたが、放電による劣化を防ぐために、蛍光体16を維持電極12の放電領域に重ならないように配置することも可能である。例えば、蛍光体16を表示面側の基板21上に設けるようにするとよい。なお、基板11,基板21の間の放電空間には、He,Ne,Ar,Xe,Krの希ガスのうち1種類以上からなる放電ガスが封入され、基板11,基板21は周縁部にて気密封止されている。
【0019】
以上に説明した各構成要素は、ほぼ従来と同様の材料を用いて形成される。基板11,21には、高歪点ガラスやソーダライムガラス等が用いられる。維持電極12としては、例えば金属のなかでも良導体であるAgが好適に用いられるほか、Al,Ni,Cu,MoまたはCrなども用いることができる。
【0020】
また、隔壁13には、低融点ガラスを主成分とするガラスペーストが用いられる。これは、低融点ガラス粉末に、フィラー,バインダー樹脂および溶媒を加えたもので、低融点ガラス粉末としては、軟化点が300〜600℃,粒径が20μm以下のもの、例えばPbO−B2O3−SiO2系ガラスなどを用いることができる。フィラーとしては、酸化クロム(Cr2O3)やチタニア(TiO2),アルミナ(Al2O3),酸化銅(CuO)を用いることができる。バインダー樹脂としては、主としてエチルセルロースやアクリル系の樹脂等を用いることができる。誘電体層14には、二酸化珪素(SiO2)、あるいは上記と同様の低融点ガラスを主成分とするガラスペーストが用いられ、保護層15には、酸化マグネシウム(MgO)が用いられる。蛍光体16には、公知の材料を3原色の各色に応じて用いることができる。
【0021】
このプラズマ表示装置は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0022】
まず、図3((A)は平面図、(B)はそのI−I断面図)に示したように、基板11を用意し、その上に配線部Wx,Wyを形成する。配線部Wは、例えば、Ag等の電極材料をペースト剤として塗布する方法や、真空蒸着法などによって成膜し、隔壁13の形成領域の外縁に展延するようにパターニングすることで形成される。次いで、配線部Wの上から基板11の全面にガラスペーストを塗布し、リブペースト層31を形成する。
【0023】
次に、図4(A),(B)に示したように、リブペースト層31をサンドブラストあるいはエッチングなどの方法により各画素領域が三角形状となるようにパターニングし、焼成して、隔壁13を形成する。
【0024】
次に、図5(A),(B)に示したように、隔壁13の上から基板11の全面に電極層32を形成する。電極層32は、めっきあるいは表面反応によるCVD(Chemical Vapor Deposition)などによりAg等を下地様に成膜することで形成される。
【0025】
次に、図6(A),(B)に示したように、隔壁13の上面のうち、配線部Wx,Wyと交差方向の領域のみをフォトレジスト層33で覆い、例えばリアクティブイオンエッチング(RIE)あるいはイオンミリングなどの異方性の高い方法で電極層32にエッチングを施す。これにより、電極層32は、隔壁13の側壁面、およびフォトレジスト層33で覆われた隔壁13の上面にのみ選択的に残される。このうち、隔壁13の上部に延在するように形成されているのが、配線部Wzとなる。
【0026】
次に、図7(A),(B)に示したように、さらにフォトレジスト層34により隔壁13の側面を覆い、プラズマエッチングなどの等方性エッチングを行う。ここで、フォトレジスト層34は、各画素領域の3辺にあたる隔壁13に対し、同一の大きさで互いに均等な距離をとって付設するものとする。
【0027】
これにより、図8(A),(B)に示したように、隔壁13の側面には、フォトレジスト層34で覆われていた電極層32が残され、放電部D(Dx,Dy,Dz)となる。放電部Dは、配線部Wに接するように形成され、3本の維持電極12の全体が出来上がる。
【0028】
その後、例えば、基板11の全面にLPCVDによりSiO2からなる誘電体層14を形成し、この誘電体層14の表面に、電子ビーム蒸着によりMgOからなる保護層15を形成する。さらに、隔壁13の間、各画素領域の底部に蛍光体スラリーを印刷することにより、蛍光体16を形成する。
【0029】
次に、基板21を用意し、これを基板11に貼り合わせる。例えば、スクリーン印刷により基板11の周縁部に低融点ガラスからなるシール層を形成しておき、これに基板21を合わせ、焼成してシール層を硬化させる。その際、各構成要素がすべて基板11上に形成されているので、基板11と基板21の位置合わせは簡単に行うことができる。
【0030】
最後に、基板11,21の間に設けられ、隔壁13によって区切られた放電空間に対し、排気と放電ガスの封入を行う。こうして、図9に断面図で示した構成のプラズマ表示装置が出来上がる。
【0031】
次に、このプラズマ表示装置の駆動方法について説明する。
【0032】
図10は、本実施の形態に係るプラズマ表示装置の駆動方法を示す電圧波形図である。ここでは通常のサブフィールド駆動法を用いており、図10は、1サブフィールド期間の駆動シーケンスを示している。サブフィールド駆動法は、1フィールドの表示画面をいくつかのサブフィールドに分割し、サブフィールドのON/OFFの組み合わせによって発光期間の時間変調を行い、階調を表現する方式である。これは、以下の実施の形態における電圧波形図でも同様である。また、図10では、駆動方法の説明上、便宜的に維持電極12X,12Yを各n本(X1,…,Xn,Y1,…,Yn)、維持電極12Zをm本(Z1,…,Zm)とし、画素数がm×nであるものとしている。
【0033】
ここでは、リセット期間RS,アドレス期間ASについては維持電極12Yを走査電極、維持電極12Zをアドレス電極とみなして通常の3電極駆動法と同様に動作させる。データ消去方式の場合で説明すると、まず、リセット期間RSにおいて、全ての維持電極12X、12Yに電圧を印加し、互いの放電部Dx,Dy間で予備放電を行い、全ての画素領域の保護層15上に電荷(壁電荷)を一様に形成する。次いで、アドレス期間ASにおいて、互いに交差する維持電極12Yと維持電極12Zによってデータ書き込みを行う。すなわち、維持電極12Yに対し順に走査パルスを印加してゆくと共に、この走査タイミングに合わせ、走査パルスが入力された画素領域のうち発光させない画素に対応する維持電極12Zにデータパルスを印加することにより、非発光の画素領域でのみアドレス放電を行う。これにより、非発光の画素領域から選択的に壁電荷が消去され、結果的に、発光させる画素領域にのみ壁電荷が残ることで表示画素の選択が行われる。
【0034】
次のサスティン期間SSでは、維持電極12X,12Y,12ZにサスティンパルスSX,SY,SZを順次、サスティン期間SSの間繰り返して印加する。壁電荷が残っている画素領域では、放電開始電圧に達し、放電部Dx,Dy,Dzにおいて水平方向、つまり基板11,21の基板面に平行方向に放電が始まり、維持される(維持放電)。このときの放電は、放電部Dx,Dy,Dzが互いに対称な位置関係にあり、その放電距離が均等であるので、放電部Dの相互間で均一に生じる。なお、維持電極12の各々に印加するサスティンパルス数は、従来に2本の維持電極各々に印加していたパルス数のおよそ3分の2倍である。すなわち、従来では2本の維持電極間で行っていた放電を、ここでは、隣接する放電部Dの間の3箇所に分散して行っている。
【0035】
維持放電では、放電ガスが放つ紫外線が蛍光体16に照射されると、蛍光体16が発光し、この画素領域が点灯する。よって、所定の期間だけこの放電状態を持続させて、発光表示を行う。この場合の放電は隣接する放電部Dの間に分散されているので、放電時に各放電部Dの表面の誘電体層14,保護層15が受けるイオン衝撃は従来に比べて軽減される。
【0036】
このように本実施の形態によれば、3本の維持電極12の各放電部Dx,Dy,Dzを互いに対称であるように形成し、これら維持電極12X,12Y,12Zに維持放電のための交流パルスを順次印加するようにしたので、維持放電は、放電部Dx,Dy,Dzの放電対向面の間に均一に分散されて生起する。このため、主放電である維持放電において、各放電部Dの表面が受けるイオン衝撃は、維持電極12の数に反比例して均等に低減される。よって、保護層15さらには誘電体層14が、放電時のイオン衝撃によって劣化することが緩和され、このプラズマ表示装置では、従来の装置に対して約1.5倍に寿命を長くすることができる。
【0037】
また、ここでは、各画素領域が隔壁13により三角形状に構成され、画素領域の3辺それぞれに対応させて維持電極12を設けるようにしたので、3本の維持電極12を互いに対称性をもたせつつも、比較的簡易な構成で各画素領域に設けることができる。さらに、維持電極12を、隔壁13の側面に配される放電部Dと、放電部Dに給電する配線部Wとから構成するようにし、放電部Dを隔壁13の側面に設けて基板11,21の基板面に平行な方向に放電させるようにしたので、従来よりも本数が多い維持電極12を対称に配置することが容易にできると共に、各維持電極12の放電面を大きく採ることで放電効率の維持向上を図ることができる。
【0038】
ちなみに、従来の面放電型の場合、維持電極の放電対向面の大きさには画素ピッチによる制限があるが、これに対し、本実施の形態では、放電部Dは隔壁13の側面に設けられることから、放電対向面の面積は大きくなる。この放電部Dの面積は、画素ピッチには関係なく、隔壁13の高さに応じて拡大される。また、このような維持電極12では、放電部Dが隔壁13の側面、配線部Wが隔壁13の内部に設けられているため、表示面側(基板21側)から見て画素領域に占めるのは、せいぜい放電部Dの厚み分位しかない。そのため、この装置では、表示面側に発光を遮るものがなく、光を効率よく外へ取り出すことができる。さらに、この維持電極12は、放電部D,配線部Wが共に表示面側から見えない位置に配されているので、全体を金属で形成することが可能となる。よって、維持電極12は、従来のようにバス電極を付設する必要がなくなり、それに付随する製造上の問題を考慮することもなくなる。なお、このプラズマ表示装置は、各画素が三角形状となっているために、水平方向の画素ピッチが、従来の水平方向の画素ピッチもしくは自身の斜方向の画素ピッチに対して狭くなり、従来の場合と同じ画素数であっても、見かけ上の水平解像度が向上するという効果も有している。
【0039】
[変形例]
図11は、第1の実施の形態の変形例に係るプラズマ表示装置の構成を示す平面図であり、図12(A)、(B)は、その維持電極ごとの断面図である。第1の実施の形態では、維持電極12X〜12Zの放電対向面を隔壁13の側面に設け、基板11,21の基板面に平行方向に対向放電を生じるようにしていたが、本変形例は、この放電対向面を、基板11の上の一平面上に設けることで面放電を生じるようにしたものである。よって、ここでは、第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0040】
本変形例のプラズマ表示装置では、維持電極12X〜12Zに対応して維持電極12PX〜12PZが設けられている。これら維持電極12PX〜12PZの放電部DPx〜DPzは、画素領域の3辺を構成する隔壁13の側面それぞれに接するようにして、基板11の上に設けられている。このうち放電部DPx,DPyに対する配線部としては、配線部Wx,Wyが第1の実施の形態と同様に設けられている。また、放電部DPzの配線部は、配線部WPzとなっている。この配線部WPzは、第1の実施の形態における配線部Wzと放電部Dzとに対応しており、元の配線部Wzと放電部DPzとを、元の放電部Dzが接続するような構成になっている。
【0041】
これらの放電部DPx〜DPzは、互いに対称となるように形成されている。また、放電の生じやすさを考えると、放電部DPx〜DPzは、できるだけ面積が大きく、できるだけ互いに近接している方が好ましく、ここでは図11に示したように画素面積を3等分して形成されている。
【0042】
このプラズマ表示装置は、例えば、まず基板11の上に放電部DPx〜DPzを形成し、その後、第1の実施の形態と同様の工程を経て配線部Wx,Wzおよび隔壁13、配線部WPzを形成することにより製造することが可能である。この場合に、蛍光体16を放電部DPx〜DPzの上に形成すると、蛍光体16は直上で生じる放電により損傷する可能性がある。そこで、蛍光体16は基板21の面上に形成するようにしてもよい。また、このプラズマ表示装置は、上記第1の実施の形態と同様の方法で駆動することができる。
【0043】
さらなる変形例として、維持電極12PX〜12PZの放電部DPx〜DPzを基板21の上に形成するようにしてもよい。この場合の放電部DPx〜DPzは、表示面側へ射出される光を遮る位置にあることから、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極材料で形成されることが望ましい。
【0044】
〔第2の実施の形態〕
図13は、第2の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す平面図である。なお、同図は表示面側からみた基板11側の構造を示している。このプラズマ表示装置では、対向配置される基板11と、ここでは図示しない前面ガラス基板との間の放電空間が、格子状の隔壁23によって区画され、画素領域が四角形状に構成されている。各画素領域には、その4辺に対応して相異なる4本の維持電極22(22H,22I,22J,22K)が設けられている。これら維持電極22は、放電部D(Dh,Di,Dj,Dk)と、放電部Dに給電するための配線部W(Wh,Wi,Wj,Wk)とからなる。放電部Dはそれぞれ、画素領域の4辺を構成する隔壁23の側面に設けられ、放電対向面を形成している。また、後述するように、維持電極22H〜22Kは、互いに隣接するもの同士の間で放電するように駆動されるために、放電部Dh〜Dkは互いに対称に形成されている。
【0045】
また、配線部Wはそれぞれ、隔壁23の側縁に沿って延在するように隔壁23の形成領域内に設けられている。なお、4本の配線部Wが接触しないよう、互いに平行な配線部Wh、Wjは隔壁23の上面に、配線部Wi,Wkは隔壁23の内部に設けられている。
【0046】
こうした維持電極22の表面を、図示しない誘電体層,保護層が覆っている。また、各画素領域の底部、つまり基板11の上には、図示しない蛍光体が設けられている。以上に説明したプラズマ表示装置の各構成要素は、第1の実施の形態における対応する構成要素と同様の材料で、また、同様の手順で形成することができる。
【0047】
次に、このプラズマ表示装置の駆動方法について説明する。
【0048】
図12は、本実施の形態に係るプラズマ表示装置の駆動方法を示す電圧波形図である。図12では、駆動方法の説明上、便宜的に維持電極22H,22Jを各m本(H1,…,Hm,J1,…,Jm)、維持電極22I,22Kを各n本(I1,…,In,K1,…,Kn)とし、画素数がm×nであるものとしている。データ消去方式の場合で説明すると、まず、リセット期間RSにおいて、例えば維持電極22H,22Iに電圧を印加して互いの放電部Dh,Di間で予備放電を行い、全ての画素領域の保護層上に電荷(壁電荷)を一様に形成する。なお、予備放電は、維持電極22H〜22Kのうちどの電極を組み合わせて用いて行ってもよく、用いる維持電極22は2本に限らない。
【0049】
次いで、アドレス期間ASにおいて、例えば、互いに交差する維持電極22Hと維持電極22Iによってデータ書き込みを行う。維持電極22Hを走査電極、維持電極22Iをアドレス電極とみなして通常の3電極駆動法と同様に動作させる。すなわち、維持電極22Hに対し順に走査パルスを印加してゆくと共に、この走査タイミングに合わせ、走査パルスが入力された画素領域のうち発光させない画素に対応する維持電極22Iにデータパルスを印加することにより、非発光の画素領域でのみアドレス放電を行う。これにより、非発光の画素領域から選択的に壁電荷が消去され、結果的に、発光させる画素領域にのみ壁電荷が残ることで表示画素の選択が行われる。
【0050】
なお、データ書き込みに用いる維持電極22も、互いに交差するものを含めるようにすれば、どの電極を組み合わせて用いて行ってもよい。また、用いる維持電極22もしくは電圧を印加する維持電極22は2本に限らない。
【0051】
次のサスティン期間SSでは、維持電極22H〜22Kそれぞれに対しサスティンパルスSH,SI,SJ,SKを順次、サスティン期間SSの間繰り返して印加する。壁電荷が残っている画素領域では、放電開始電圧に達し、放電部Dh〜Dkにおいて水平方向、つまり基板11,21の基板面に平行方向に放電が始まり、維持される(維持放電)。このときの放電は、放電部Dh〜Dkが互いに対称な位置関係にあり、その放電距離が均等であるので、これら放電部Dの相互間で均一に生じる。なお、維持電極22は、従来の維持電極数の2倍であるので、1本あたりに印加するサスティンパルス数は、従来のおよそ2分の1である。すなわち、従来では2本の維持電極間で行っていた放電を、ここでは、隣接する放電部Dの間の4箇所に分散して行っている。これにより、維持放電時に各放電部Dの表面の誘電体層,保護層が受けるイオン衝撃は従来に比べて軽減される。
【0052】
このように本実施の形態によれば、4本の維持電極22の各放電部Dh〜Dkを互いに対称であるように形成し、これら維持電極22H〜22Kに維持放電のための交流パルスを順次印加するようにしたので、維持放電は、放電部Dh〜Dkの放電対向面の間に均一に分散されて生起する。このため、主放電である維持放電において、各放電部Dの表面が受けるイオン衝撃は、維持電極22の数に反比例して均等に低減される。よって、維持放電時のイオン衝撃による保護層さらには誘電体層の劣化が緩和され、このプラズマ表示装置では、従来の装置に対して約2倍に寿命を長くすることができる。
【0053】
またこのように、維持放電に用いる電極数を多くするほど、電極あたりの放電回数は減少し、電極表面における保護層等に対する劣化抑制の効果は高まる。ただし、そのようなプラズマ表示装置では、電極構造が複雑になるおそれがあり、また十分な放電面が確保するのが難しくなってくる。本発明のプラズマ表示装置は、まさにこの点を解決するために、維持電極を放電部と配線部とで構成し、放電部のそれぞれを、電極数と合致した数の辺を持つ多角形状の隔壁の側面に配置するようにしている。これによれば、放電部を互いに対称に設けることは容易であり、放電部が隔壁に設けられることから、十分広い放電面が確保される。配線部は、所定の放電部と接合される以外はどこに引き回されていてもよく、従来の電極配線と比べて比較的自由度が高い。上記実施の形態で説明したように、例えば、隔壁の内部、隔壁の下面・上面などに設けることができ、互いに接触しないように引き回すことが可能である。なお、こうして維持電極を積極的に隔壁の形成領域内に設けることにより、画素の表示領域から電極を隠すことができるので、開口率の向上が期待できる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、第2の実施の形態では、4本の維持電極22H〜22Kに順次パルスを印加して放電に用いる電極を変えてゆくようにしたが、維持電極22を2本ずつ組み合わせて対にして(例えば維持電極22H,22Iの対と維持電極22J,22Kの対)、これら2つの電極対それぞれにて放電させることもできる。その際、サスティンパルスは、これら2つの電極対に対し、同時に、または交互に印加してよい。
【0055】
また、そのような駆動方法が適用されるプラズマ表示装置は、4本の維持電極を2本ずつ対となし、対となる維持電極同士の放電対向面が対称に形成されるように画素領域が画定されていればよいので、必ずしも、第2の実施の形態のように、維持電極22H〜22Kの全てにおいて放電が均等に生じるように正四角形状の画素領域に4本の維持電極22全てが互いに対称に配置されているものとは限らない。すなわち、画素領域の形状は、2つの維持電極対がそれぞれ隣接するもの同士である場合には、ひし形である。こうした構成のプラズマ表示装置は、「各画素領域内の維持電極が2本以上のグループに分けられ、各グループ内では、すべての維持電極の放電対向面が対称に配置されているプラズマ表示装置」として普遍化することができ、維持電極を一画素領域あたり5本以上とした場合にも適用することが可能である。
【0056】
このように、本発明では、各画素領域において全維持電極を1グループとみなしてこれらの維持電極全てに順次パルス印加を行う場合と、維持電極を2本以上含んだグループに分け、グループ内の維持電極に順次パルス印加を行う場合とがある。どちらの場合でも、維持放電を3本以上の維持電極に分散させて行うことができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態では、一画素領域内における全ての維持電極にサスティンパルスを順次印加することで、維持放電を均一に分散するようにしたが、本発明では、維持放電が分散されるだけでも、維持電極表面の劣化を緩和して装置の寿命を改善するという目的を十分に達することができる。ただし、上記実施の形態のように、各維持電極に対し放電を均等に分散するようにする場合には、電極表面の劣化は均等に緩和されるので、装置寿命を最も効果的に改善することができる。なお、放電を均等に分散させるには、用いる維持電極に順次サスティンパルスを印加するという以前に、まず、所定の発光期間(例えば1サスティン期間)に印加すべきパルスの総数を、所定期間内に維持電極に均等に分配して印加することで足りる。
【0058】
さらに、上記実施の形態では、本発明のプラズマ表示装置およびその駆動方法について説明してきたが、本発明の駆動方法は、従来の構成のプラズマ表示装置(図15参照)に対しても適用可能である。その場合、各放電が均等となるためには、対をなす維持電極およびアドレス電極の3電極の相互間距離が等しくなるように配置されていることが望ましい。
【0059】
また、本発明のプラズマ表示装置は、主放電を行う維持電極が、各画素領域内に3本以上、かつ、少なくとも互いの放電対向面を有するもの同士では互いの放電対向面が対称となるように形成されていればよいので、それ以外の構成要素、例えば誘電体層,保護層または蛍光体などの位置や形成領域などは特に限定されない。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項13のいずれか一に記載のプラズマ表示装置によれば、画素領域の各々を3本以上で構成し、少なくとも互いの放電対向面を有するもの同士では互いの放電対向面が対称に形成されている維持電極を備えるようにしたので、維持放電が、これらの維持電極間で均一に分散して発生する。したがって、放電による維持電極表面の劣化が均等に緩和され、装置の寿命を効果的に改善することが可能となる。
【0061】
また、請求項14ないし請求項17のいずれか一に記載のプラズマ表示装置の駆動方法によれば、各画素が3本以上の維持電極を含んで構成されたプラズマ表示装置に対し、維持電極の各々にサスティンパルスを分配供給するようにしたので、維持放電を、これら維持電極間に分散して生じせしめることができ、放電による維持電極表面の劣化を緩和し、装置の寿命を改善することが可能である。
【0062】
特に、請求項15または請求項16に記載のプラズマ表示装置の駆動方法によれば、維持電極の各々に均等にサスティンパルスを供給するようにしたので、維持放電は、これら維持電極間に均等に分配され、各維持電極表面の劣化が均等に緩和される。よって、装置の寿命を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したプラズマ表示装置の電極配置を表す平面図である。
【図3】図1に示したプラズマ表示装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】図3に続く製造工程を示す工程図である。
【図5】図4に続く製造工程を示す工程図である。
【図6】図5に続く製造工程を示す工程図である。
【図7】図6に続く製造工程を示す工程図である。
【図8】図7に続く製造工程を示す工程図である。
【図9】図8に続く製造工程を示す工程図である。
【図10】図1に示したプラズマ表示装置の駆動シーケンスを示す電圧波形図である。
【図11】図1に示したプラズマ表示装置の変形例に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す平面図である。
【図12】図11に示したプラズマ表示装置の部分断面図であり、(A)は維持電極12PZの断面を、(B)は維持電極12PX,12PYの断面を示す。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す平面図である。
【図14】図13に示したプラズマ表示装置の駆動シーケンスを示す電圧波形図である。
【図15】従来の面放電型プラズマ表示装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
11…前面ガラス基板、12X〜12Z,12PX〜12PZ,22H〜22K…維持電極、Dx〜Dz,DPx〜DPz,Dh〜Dk…放電部、Wx〜Wz,WPz,Wh〜Wk…配線部、13…隔壁、14…誘電体層、15…保護層、16…蛍光体、21…背面ガラス基板。
【発明の属する技術分野】
本発明は、交流プラズマ放電を利用して表示を行うプラズマ表示装置、および、プラズマ表示装置の駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel) は、テレビジョン受像機やコンピュータ用ディスプレイにおいて、従来広く用いられてきた陰極線管(CRT:Cathode−Ray Tube)では実現が難しいとされる薄型・大画面化に対応し得るディスプレイとして注目されており、既に40インチ以上の大型ディスプレイが製品化されている。
【0003】
図15は、従来のAC型プラズマ表示装置の構成を表している。このプラズマ表示装置は、前面ガラス基板101と背面ガラス基板102とが対向配置された構造を有し、前面ガラス基板101上には、一対の維持電極107(107X,107Y)が放電ギャップを介して複数並列するように設けられている。また、その上には、維持電極107を覆うように誘電体層109,保護層110が順に形成されている。一方、背面ガラス基板102の上には、複数のアドレス電極103が維持電極107と直交する方向に配列するように形成されている。アドレス電極103の上には誘電体層104が形成され、更にその上に、アドレス電極103毎に空間を仕切るための隔壁105が形成されている。隔壁105の間には、赤(R;Red),緑(G;Green)および青(B;Blue )の3原色の蛍光体層106が周期的に塗布形成されている。前面ガラス基板101と背面ガラス基板102に挟まれた放電空間は、周縁部において気密封止され、放電ガスで満たされている。
【0004】
こうしたプラズマ表示装置では、維持電極107X,107Yに電圧を印加し、その間で放電させることで発光表示が行われる。すなわち、この放電により放電ガスを励起させ、真空紫外線を発生させると、背面ガラス基板102上の蛍光体106が真空紫外線の照射を受けて各色に発光する。この可視光は、前面ガラス基板101を透過して表示発光色となる。なお、アドレス電極103は、データ信号入力により、表示画素にデータ書き込みを行う際に利用される。
【0005】
このように、維持電極107X,107Yが同じ基板に形成され、放電が生じる対向面が一平面上に配置されている構造は、面放電型と呼ばれ、これまでの装置の主流となってきた。その最大の理由は、面放電型では主放電が前面ガラス基板101の側で起きるために、背面ガラス基板102側に設けた蛍光体106にプラズマ中のイオンが直接衝撃を与えずに済み、劣化が大幅に改善されることにあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、維持電極107X,107Yの対間における放電では、維持電極107上の保護層110、さらには誘電体層109が放電中にプラズマに晒されることによって劣化するという問題があった。維持電極107の間の放電は、表示動作において最も回数が多く、従来では、これら保護層110等の劣化が原因で装置の寿命が制限されていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、装置の寿命を改善することが可能なプラズマ表示装置およびプラズマ表示装置の駆動方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のプラズマ表示装置は、画素領域の各々を3本以上で構成し、少なくとも互いの放電対向面を有するもの同士では互いの放電対向面が対称に形成されている維持電極を備えたものである。
【0009】
本発明のプラズマ表示装置の駆動方法は、各画素が3本以上の維持電極を含んで構成され、維持電極にサスティンパルスを入力することにより発光表示を行うようにしたプラズマ表示装置の駆動方法であって、維持電極の各々にサスティンパルスを分配供給するものである。
【0010】
本発明のプラズマ表示装置では、維持電極は各画素領域内に3本以上設けられ、しかも、そのうち互いの間で放電が生ずるもの同士では、その放電対向面は対称に形成されている。対称に配置された放電対向面の間では、放電距離が均等に保たれ、均一な放電が生じる。
【0011】
本発明のプラズマ表示装置の駆動方法では、各画素内の3本以上の維持電極にサスティンパルスが配分され、これらの維持電極間に放電が分散して生じる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部を示す構成図であり、図2は、その電極構成を示した平面図である。なお、図1は、背面ガラス基板11側の構造を示している。このプラズマ表示装置では、対向配置される背面ガラス基板11,前面ガラス基板21(以下では単に基板と記す)の間の放電空間が、隔壁13により三角形状の画素領域に区画されている。各画素領域には、発光表示のための放電を行う3本の維持電極12(12X,12Y,12Z)が設けられている。
【0014】
維持電極12(12X,12Y,12Z)は、放電対向面を有する放電部D(Dx,Dy,Dz)と、この放電部Dに給電するための配線部W(Wx,Wy,wz)とから構成されている。これら相異なる3本の維持電極12X,12Y,12Zの放電部Dx,Dy,Dzは、画素領域の3辺を構成する隔壁13の側面それぞれに設けられている。すなわち、維持電極12は、放電部Dによって形成された互いの放電対向面において、基板11,基板21の基板面に平行な方向に放電を生ずるように設けられている。
【0015】
また、後述するように、これら放電部Dx,Dy,Dzは、隣接するもの同士の間で放電するために、互いに対称に形成されている。すなわち、相互間で均一に放電が起きるように、放電部Dx,Dy,Dzは同じ形状とされ、相互間の放電距離が均等となるように配置されている。放電部Dは、できるだけ広いほうが好ましいが、必ずしも隔壁13の側面全体に設けられずともよく、蛍光体16の形成位置などを考慮して所定部分に適宜に設けられていてよい。
【0016】
配線部Wは、その配線経路上に配置されている放電部Dと接合して電気的接続がなされるように設けられる。ここでは、各配線部Wは、隔壁13の形成領域に延在するように設けられている。ここでいう隔壁13の形成領域とは、隔壁13が形成されている領域のみならず、基板11.21とその間の領域において画素領域を区画するように隔壁13が投影される隔壁13の上下面側を含む領域を指している。
【0017】
配線部Wx、Wyは、放電部Dx,Dyが設けられている隔壁13の側縁に沿って蛇行するように隔壁13の内部に設けられ、配線部Wzは、放電部Dzが設けられている隔壁13の側縁に沿うようにその上面に設けられている。配線部Wがこうした配置をとることで、維持電極12の対向面は平坦となる。なお、そのような構成とするには、配線部Wを放電部D以外の領域に配し、かつ、両者が接合されるように設けねばならないが、そのためには隔壁13の内部のほか、例えば、配線部Wを基板11もしくは基板21の面上に設けることによっても実現できる。なお、配線部Wは、その側面にて放電部Dと接合されるため、側面の面積は大きいほうがよい。したがって、ある程度の厚みでもって形成するものとし、流れる電流に応じて断面積を決めるようにすればよい。また、このように配線部Wを設けることで、維持電極12Zは、維持電極12X,12Yに交差するように配される。
【0018】
このような維持電極12を、誘電体層14,保護層15が覆っている。また、蛍光体16は、基板11上、つまり各画素領域の底部に設けられている。ここでは、蛍光体16を隔壁13の側面まで形成して維持電極12に部分的に重なるようにしたが、放電による劣化を防ぐために、蛍光体16を維持電極12の放電領域に重ならないように配置することも可能である。例えば、蛍光体16を表示面側の基板21上に設けるようにするとよい。なお、基板11,基板21の間の放電空間には、He,Ne,Ar,Xe,Krの希ガスのうち1種類以上からなる放電ガスが封入され、基板11,基板21は周縁部にて気密封止されている。
【0019】
以上に説明した各構成要素は、ほぼ従来と同様の材料を用いて形成される。基板11,21には、高歪点ガラスやソーダライムガラス等が用いられる。維持電極12としては、例えば金属のなかでも良導体であるAgが好適に用いられるほか、Al,Ni,Cu,MoまたはCrなども用いることができる。
【0020】
また、隔壁13には、低融点ガラスを主成分とするガラスペーストが用いられる。これは、低融点ガラス粉末に、フィラー,バインダー樹脂および溶媒を加えたもので、低融点ガラス粉末としては、軟化点が300〜600℃,粒径が20μm以下のもの、例えばPbO−B2O3−SiO2系ガラスなどを用いることができる。フィラーとしては、酸化クロム(Cr2O3)やチタニア(TiO2),アルミナ(Al2O3),酸化銅(CuO)を用いることができる。バインダー樹脂としては、主としてエチルセルロースやアクリル系の樹脂等を用いることができる。誘電体層14には、二酸化珪素(SiO2)、あるいは上記と同様の低融点ガラスを主成分とするガラスペーストが用いられ、保護層15には、酸化マグネシウム(MgO)が用いられる。蛍光体16には、公知の材料を3原色の各色に応じて用いることができる。
【0021】
このプラズマ表示装置は、例えば以下のようにして製造することができる。
【0022】
まず、図3((A)は平面図、(B)はそのI−I断面図)に示したように、基板11を用意し、その上に配線部Wx,Wyを形成する。配線部Wは、例えば、Ag等の電極材料をペースト剤として塗布する方法や、真空蒸着法などによって成膜し、隔壁13の形成領域の外縁に展延するようにパターニングすることで形成される。次いで、配線部Wの上から基板11の全面にガラスペーストを塗布し、リブペースト層31を形成する。
【0023】
次に、図4(A),(B)に示したように、リブペースト層31をサンドブラストあるいはエッチングなどの方法により各画素領域が三角形状となるようにパターニングし、焼成して、隔壁13を形成する。
【0024】
次に、図5(A),(B)に示したように、隔壁13の上から基板11の全面に電極層32を形成する。電極層32は、めっきあるいは表面反応によるCVD(Chemical Vapor Deposition)などによりAg等を下地様に成膜することで形成される。
【0025】
次に、図6(A),(B)に示したように、隔壁13の上面のうち、配線部Wx,Wyと交差方向の領域のみをフォトレジスト層33で覆い、例えばリアクティブイオンエッチング(RIE)あるいはイオンミリングなどの異方性の高い方法で電極層32にエッチングを施す。これにより、電極層32は、隔壁13の側壁面、およびフォトレジスト層33で覆われた隔壁13の上面にのみ選択的に残される。このうち、隔壁13の上部に延在するように形成されているのが、配線部Wzとなる。
【0026】
次に、図7(A),(B)に示したように、さらにフォトレジスト層34により隔壁13の側面を覆い、プラズマエッチングなどの等方性エッチングを行う。ここで、フォトレジスト層34は、各画素領域の3辺にあたる隔壁13に対し、同一の大きさで互いに均等な距離をとって付設するものとする。
【0027】
これにより、図8(A),(B)に示したように、隔壁13の側面には、フォトレジスト層34で覆われていた電極層32が残され、放電部D(Dx,Dy,Dz)となる。放電部Dは、配線部Wに接するように形成され、3本の維持電極12の全体が出来上がる。
【0028】
その後、例えば、基板11の全面にLPCVDによりSiO2からなる誘電体層14を形成し、この誘電体層14の表面に、電子ビーム蒸着によりMgOからなる保護層15を形成する。さらに、隔壁13の間、各画素領域の底部に蛍光体スラリーを印刷することにより、蛍光体16を形成する。
【0029】
次に、基板21を用意し、これを基板11に貼り合わせる。例えば、スクリーン印刷により基板11の周縁部に低融点ガラスからなるシール層を形成しておき、これに基板21を合わせ、焼成してシール層を硬化させる。その際、各構成要素がすべて基板11上に形成されているので、基板11と基板21の位置合わせは簡単に行うことができる。
【0030】
最後に、基板11,21の間に設けられ、隔壁13によって区切られた放電空間に対し、排気と放電ガスの封入を行う。こうして、図9に断面図で示した構成のプラズマ表示装置が出来上がる。
【0031】
次に、このプラズマ表示装置の駆動方法について説明する。
【0032】
図10は、本実施の形態に係るプラズマ表示装置の駆動方法を示す電圧波形図である。ここでは通常のサブフィールド駆動法を用いており、図10は、1サブフィールド期間の駆動シーケンスを示している。サブフィールド駆動法は、1フィールドの表示画面をいくつかのサブフィールドに分割し、サブフィールドのON/OFFの組み合わせによって発光期間の時間変調を行い、階調を表現する方式である。これは、以下の実施の形態における電圧波形図でも同様である。また、図10では、駆動方法の説明上、便宜的に維持電極12X,12Yを各n本(X1,…,Xn,Y1,…,Yn)、維持電極12Zをm本(Z1,…,Zm)とし、画素数がm×nであるものとしている。
【0033】
ここでは、リセット期間RS,アドレス期間ASについては維持電極12Yを走査電極、維持電極12Zをアドレス電極とみなして通常の3電極駆動法と同様に動作させる。データ消去方式の場合で説明すると、まず、リセット期間RSにおいて、全ての維持電極12X、12Yに電圧を印加し、互いの放電部Dx,Dy間で予備放電を行い、全ての画素領域の保護層15上に電荷(壁電荷)を一様に形成する。次いで、アドレス期間ASにおいて、互いに交差する維持電極12Yと維持電極12Zによってデータ書き込みを行う。すなわち、維持電極12Yに対し順に走査パルスを印加してゆくと共に、この走査タイミングに合わせ、走査パルスが入力された画素領域のうち発光させない画素に対応する維持電極12Zにデータパルスを印加することにより、非発光の画素領域でのみアドレス放電を行う。これにより、非発光の画素領域から選択的に壁電荷が消去され、結果的に、発光させる画素領域にのみ壁電荷が残ることで表示画素の選択が行われる。
【0034】
次のサスティン期間SSでは、維持電極12X,12Y,12ZにサスティンパルスSX,SY,SZを順次、サスティン期間SSの間繰り返して印加する。壁電荷が残っている画素領域では、放電開始電圧に達し、放電部Dx,Dy,Dzにおいて水平方向、つまり基板11,21の基板面に平行方向に放電が始まり、維持される(維持放電)。このときの放電は、放電部Dx,Dy,Dzが互いに対称な位置関係にあり、その放電距離が均等であるので、放電部Dの相互間で均一に生じる。なお、維持電極12の各々に印加するサスティンパルス数は、従来に2本の維持電極各々に印加していたパルス数のおよそ3分の2倍である。すなわち、従来では2本の維持電極間で行っていた放電を、ここでは、隣接する放電部Dの間の3箇所に分散して行っている。
【0035】
維持放電では、放電ガスが放つ紫外線が蛍光体16に照射されると、蛍光体16が発光し、この画素領域が点灯する。よって、所定の期間だけこの放電状態を持続させて、発光表示を行う。この場合の放電は隣接する放電部Dの間に分散されているので、放電時に各放電部Dの表面の誘電体層14,保護層15が受けるイオン衝撃は従来に比べて軽減される。
【0036】
このように本実施の形態によれば、3本の維持電極12の各放電部Dx,Dy,Dzを互いに対称であるように形成し、これら維持電極12X,12Y,12Zに維持放電のための交流パルスを順次印加するようにしたので、維持放電は、放電部Dx,Dy,Dzの放電対向面の間に均一に分散されて生起する。このため、主放電である維持放電において、各放電部Dの表面が受けるイオン衝撃は、維持電極12の数に反比例して均等に低減される。よって、保護層15さらには誘電体層14が、放電時のイオン衝撃によって劣化することが緩和され、このプラズマ表示装置では、従来の装置に対して約1.5倍に寿命を長くすることができる。
【0037】
また、ここでは、各画素領域が隔壁13により三角形状に構成され、画素領域の3辺それぞれに対応させて維持電極12を設けるようにしたので、3本の維持電極12を互いに対称性をもたせつつも、比較的簡易な構成で各画素領域に設けることができる。さらに、維持電極12を、隔壁13の側面に配される放電部Dと、放電部Dに給電する配線部Wとから構成するようにし、放電部Dを隔壁13の側面に設けて基板11,21の基板面に平行な方向に放電させるようにしたので、従来よりも本数が多い維持電極12を対称に配置することが容易にできると共に、各維持電極12の放電面を大きく採ることで放電効率の維持向上を図ることができる。
【0038】
ちなみに、従来の面放電型の場合、維持電極の放電対向面の大きさには画素ピッチによる制限があるが、これに対し、本実施の形態では、放電部Dは隔壁13の側面に設けられることから、放電対向面の面積は大きくなる。この放電部Dの面積は、画素ピッチには関係なく、隔壁13の高さに応じて拡大される。また、このような維持電極12では、放電部Dが隔壁13の側面、配線部Wが隔壁13の内部に設けられているため、表示面側(基板21側)から見て画素領域に占めるのは、せいぜい放電部Dの厚み分位しかない。そのため、この装置では、表示面側に発光を遮るものがなく、光を効率よく外へ取り出すことができる。さらに、この維持電極12は、放電部D,配線部Wが共に表示面側から見えない位置に配されているので、全体を金属で形成することが可能となる。よって、維持電極12は、従来のようにバス電極を付設する必要がなくなり、それに付随する製造上の問題を考慮することもなくなる。なお、このプラズマ表示装置は、各画素が三角形状となっているために、水平方向の画素ピッチが、従来の水平方向の画素ピッチもしくは自身の斜方向の画素ピッチに対して狭くなり、従来の場合と同じ画素数であっても、見かけ上の水平解像度が向上するという効果も有している。
【0039】
[変形例]
図11は、第1の実施の形態の変形例に係るプラズマ表示装置の構成を示す平面図であり、図12(A)、(B)は、その維持電極ごとの断面図である。第1の実施の形態では、維持電極12X〜12Zの放電対向面を隔壁13の側面に設け、基板11,21の基板面に平行方向に対向放電を生じるようにしていたが、本変形例は、この放電対向面を、基板11の上の一平面上に設けることで面放電を生じるようにしたものである。よって、ここでは、第1の実施の形態と同様の構成要素については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0040】
本変形例のプラズマ表示装置では、維持電極12X〜12Zに対応して維持電極12PX〜12PZが設けられている。これら維持電極12PX〜12PZの放電部DPx〜DPzは、画素領域の3辺を構成する隔壁13の側面それぞれに接するようにして、基板11の上に設けられている。このうち放電部DPx,DPyに対する配線部としては、配線部Wx,Wyが第1の実施の形態と同様に設けられている。また、放電部DPzの配線部は、配線部WPzとなっている。この配線部WPzは、第1の実施の形態における配線部Wzと放電部Dzとに対応しており、元の配線部Wzと放電部DPzとを、元の放電部Dzが接続するような構成になっている。
【0041】
これらの放電部DPx〜DPzは、互いに対称となるように形成されている。また、放電の生じやすさを考えると、放電部DPx〜DPzは、できるだけ面積が大きく、できるだけ互いに近接している方が好ましく、ここでは図11に示したように画素面積を3等分して形成されている。
【0042】
このプラズマ表示装置は、例えば、まず基板11の上に放電部DPx〜DPzを形成し、その後、第1の実施の形態と同様の工程を経て配線部Wx,Wzおよび隔壁13、配線部WPzを形成することにより製造することが可能である。この場合に、蛍光体16を放電部DPx〜DPzの上に形成すると、蛍光体16は直上で生じる放電により損傷する可能性がある。そこで、蛍光体16は基板21の面上に形成するようにしてもよい。また、このプラズマ表示装置は、上記第1の実施の形態と同様の方法で駆動することができる。
【0043】
さらなる変形例として、維持電極12PX〜12PZの放電部DPx〜DPzを基板21の上に形成するようにしてもよい。この場合の放電部DPx〜DPzは、表示面側へ射出される光を遮る位置にあることから、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明電極材料で形成されることが望ましい。
【0044】
〔第2の実施の形態〕
図13は、第2の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す平面図である。なお、同図は表示面側からみた基板11側の構造を示している。このプラズマ表示装置では、対向配置される基板11と、ここでは図示しない前面ガラス基板との間の放電空間が、格子状の隔壁23によって区画され、画素領域が四角形状に構成されている。各画素領域には、その4辺に対応して相異なる4本の維持電極22(22H,22I,22J,22K)が設けられている。これら維持電極22は、放電部D(Dh,Di,Dj,Dk)と、放電部Dに給電するための配線部W(Wh,Wi,Wj,Wk)とからなる。放電部Dはそれぞれ、画素領域の4辺を構成する隔壁23の側面に設けられ、放電対向面を形成している。また、後述するように、維持電極22H〜22Kは、互いに隣接するもの同士の間で放電するように駆動されるために、放電部Dh〜Dkは互いに対称に形成されている。
【0045】
また、配線部Wはそれぞれ、隔壁23の側縁に沿って延在するように隔壁23の形成領域内に設けられている。なお、4本の配線部Wが接触しないよう、互いに平行な配線部Wh、Wjは隔壁23の上面に、配線部Wi,Wkは隔壁23の内部に設けられている。
【0046】
こうした維持電極22の表面を、図示しない誘電体層,保護層が覆っている。また、各画素領域の底部、つまり基板11の上には、図示しない蛍光体が設けられている。以上に説明したプラズマ表示装置の各構成要素は、第1の実施の形態における対応する構成要素と同様の材料で、また、同様の手順で形成することができる。
【0047】
次に、このプラズマ表示装置の駆動方法について説明する。
【0048】
図12は、本実施の形態に係るプラズマ表示装置の駆動方法を示す電圧波形図である。図12では、駆動方法の説明上、便宜的に維持電極22H,22Jを各m本(H1,…,Hm,J1,…,Jm)、維持電極22I,22Kを各n本(I1,…,In,K1,…,Kn)とし、画素数がm×nであるものとしている。データ消去方式の場合で説明すると、まず、リセット期間RSにおいて、例えば維持電極22H,22Iに電圧を印加して互いの放電部Dh,Di間で予備放電を行い、全ての画素領域の保護層上に電荷(壁電荷)を一様に形成する。なお、予備放電は、維持電極22H〜22Kのうちどの電極を組み合わせて用いて行ってもよく、用いる維持電極22は2本に限らない。
【0049】
次いで、アドレス期間ASにおいて、例えば、互いに交差する維持電極22Hと維持電極22Iによってデータ書き込みを行う。維持電極22Hを走査電極、維持電極22Iをアドレス電極とみなして通常の3電極駆動法と同様に動作させる。すなわち、維持電極22Hに対し順に走査パルスを印加してゆくと共に、この走査タイミングに合わせ、走査パルスが入力された画素領域のうち発光させない画素に対応する維持電極22Iにデータパルスを印加することにより、非発光の画素領域でのみアドレス放電を行う。これにより、非発光の画素領域から選択的に壁電荷が消去され、結果的に、発光させる画素領域にのみ壁電荷が残ることで表示画素の選択が行われる。
【0050】
なお、データ書き込みに用いる維持電極22も、互いに交差するものを含めるようにすれば、どの電極を組み合わせて用いて行ってもよい。また、用いる維持電極22もしくは電圧を印加する維持電極22は2本に限らない。
【0051】
次のサスティン期間SSでは、維持電極22H〜22Kそれぞれに対しサスティンパルスSH,SI,SJ,SKを順次、サスティン期間SSの間繰り返して印加する。壁電荷が残っている画素領域では、放電開始電圧に達し、放電部Dh〜Dkにおいて水平方向、つまり基板11,21の基板面に平行方向に放電が始まり、維持される(維持放電)。このときの放電は、放電部Dh〜Dkが互いに対称な位置関係にあり、その放電距離が均等であるので、これら放電部Dの相互間で均一に生じる。なお、維持電極22は、従来の維持電極数の2倍であるので、1本あたりに印加するサスティンパルス数は、従来のおよそ2分の1である。すなわち、従来では2本の維持電極間で行っていた放電を、ここでは、隣接する放電部Dの間の4箇所に分散して行っている。これにより、維持放電時に各放電部Dの表面の誘電体層,保護層が受けるイオン衝撃は従来に比べて軽減される。
【0052】
このように本実施の形態によれば、4本の維持電極22の各放電部Dh〜Dkを互いに対称であるように形成し、これら維持電極22H〜22Kに維持放電のための交流パルスを順次印加するようにしたので、維持放電は、放電部Dh〜Dkの放電対向面の間に均一に分散されて生起する。このため、主放電である維持放電において、各放電部Dの表面が受けるイオン衝撃は、維持電極22の数に反比例して均等に低減される。よって、維持放電時のイオン衝撃による保護層さらには誘電体層の劣化が緩和され、このプラズマ表示装置では、従来の装置に対して約2倍に寿命を長くすることができる。
【0053】
またこのように、維持放電に用いる電極数を多くするほど、電極あたりの放電回数は減少し、電極表面における保護層等に対する劣化抑制の効果は高まる。ただし、そのようなプラズマ表示装置では、電極構造が複雑になるおそれがあり、また十分な放電面が確保するのが難しくなってくる。本発明のプラズマ表示装置は、まさにこの点を解決するために、維持電極を放電部と配線部とで構成し、放電部のそれぞれを、電極数と合致した数の辺を持つ多角形状の隔壁の側面に配置するようにしている。これによれば、放電部を互いに対称に設けることは容易であり、放電部が隔壁に設けられることから、十分広い放電面が確保される。配線部は、所定の放電部と接合される以外はどこに引き回されていてもよく、従来の電極配線と比べて比較的自由度が高い。上記実施の形態で説明したように、例えば、隔壁の内部、隔壁の下面・上面などに設けることができ、互いに接触しないように引き回すことが可能である。なお、こうして維持電極を積極的に隔壁の形成領域内に設けることにより、画素の表示領域から電極を隠すことができるので、開口率の向上が期待できる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず種々の変形実施が可能である。例えば、第2の実施の形態では、4本の維持電極22H〜22Kに順次パルスを印加して放電に用いる電極を変えてゆくようにしたが、維持電極22を2本ずつ組み合わせて対にして(例えば維持電極22H,22Iの対と維持電極22J,22Kの対)、これら2つの電極対それぞれにて放電させることもできる。その際、サスティンパルスは、これら2つの電極対に対し、同時に、または交互に印加してよい。
【0055】
また、そのような駆動方法が適用されるプラズマ表示装置は、4本の維持電極を2本ずつ対となし、対となる維持電極同士の放電対向面が対称に形成されるように画素領域が画定されていればよいので、必ずしも、第2の実施の形態のように、維持電極22H〜22Kの全てにおいて放電が均等に生じるように正四角形状の画素領域に4本の維持電極22全てが互いに対称に配置されているものとは限らない。すなわち、画素領域の形状は、2つの維持電極対がそれぞれ隣接するもの同士である場合には、ひし形である。こうした構成のプラズマ表示装置は、「各画素領域内の維持電極が2本以上のグループに分けられ、各グループ内では、すべての維持電極の放電対向面が対称に配置されているプラズマ表示装置」として普遍化することができ、維持電極を一画素領域あたり5本以上とした場合にも適用することが可能である。
【0056】
このように、本発明では、各画素領域において全維持電極を1グループとみなしてこれらの維持電極全てに順次パルス印加を行う場合と、維持電極を2本以上含んだグループに分け、グループ内の維持電極に順次パルス印加を行う場合とがある。どちらの場合でも、維持放電を3本以上の維持電極に分散させて行うことができる。
【0057】
なお、上記の実施の形態では、一画素領域内における全ての維持電極にサスティンパルスを順次印加することで、維持放電を均一に分散するようにしたが、本発明では、維持放電が分散されるだけでも、維持電極表面の劣化を緩和して装置の寿命を改善するという目的を十分に達することができる。ただし、上記実施の形態のように、各維持電極に対し放電を均等に分散するようにする場合には、電極表面の劣化は均等に緩和されるので、装置寿命を最も効果的に改善することができる。なお、放電を均等に分散させるには、用いる維持電極に順次サスティンパルスを印加するという以前に、まず、所定の発光期間(例えば1サスティン期間)に印加すべきパルスの総数を、所定期間内に維持電極に均等に分配して印加することで足りる。
【0058】
さらに、上記実施の形態では、本発明のプラズマ表示装置およびその駆動方法について説明してきたが、本発明の駆動方法は、従来の構成のプラズマ表示装置(図15参照)に対しても適用可能である。その場合、各放電が均等となるためには、対をなす維持電極およびアドレス電極の3電極の相互間距離が等しくなるように配置されていることが望ましい。
【0059】
また、本発明のプラズマ表示装置は、主放電を行う維持電極が、各画素領域内に3本以上、かつ、少なくとも互いの放電対向面を有するもの同士では互いの放電対向面が対称となるように形成されていればよいので、それ以外の構成要素、例えば誘電体層,保護層または蛍光体などの位置や形成領域などは特に限定されない。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし請求項13のいずれか一に記載のプラズマ表示装置によれば、画素領域の各々を3本以上で構成し、少なくとも互いの放電対向面を有するもの同士では互いの放電対向面が対称に形成されている維持電極を備えるようにしたので、維持放電が、これらの維持電極間で均一に分散して発生する。したがって、放電による維持電極表面の劣化が均等に緩和され、装置の寿命を効果的に改善することが可能となる。
【0061】
また、請求項14ないし請求項17のいずれか一に記載のプラズマ表示装置の駆動方法によれば、各画素が3本以上の維持電極を含んで構成されたプラズマ表示装置に対し、維持電極の各々にサスティンパルスを分配供給するようにしたので、維持放電を、これら維持電極間に分散して生じせしめることができ、放電による維持電極表面の劣化を緩和し、装置の寿命を改善することが可能である。
【0062】
特に、請求項15または請求項16に記載のプラズマ表示装置の駆動方法によれば、維持電極の各々に均等にサスティンパルスを供給するようにしたので、維持放電は、これら維持電極間に均等に分配され、各維持電極表面の劣化が均等に緩和される。よって、装置の寿命を効果的に改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示したプラズマ表示装置の電極配置を表す平面図である。
【図3】図1に示したプラズマ表示装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】図3に続く製造工程を示す工程図である。
【図5】図4に続く製造工程を示す工程図である。
【図6】図5に続く製造工程を示す工程図である。
【図7】図6に続く製造工程を示す工程図である。
【図8】図7に続く製造工程を示す工程図である。
【図9】図8に続く製造工程を示す工程図である。
【図10】図1に示したプラズマ表示装置の駆動シーケンスを示す電圧波形図である。
【図11】図1に示したプラズマ表示装置の変形例に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す平面図である。
【図12】図11に示したプラズマ表示装置の部分断面図であり、(A)は維持電極12PZの断面を、(B)は維持電極12PX,12PYの断面を示す。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係るプラズマ表示装置の要部構成を示す平面図である。
【図14】図13に示したプラズマ表示装置の駆動シーケンスを示す電圧波形図である。
【図15】従来の面放電型プラズマ表示装置の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
11…前面ガラス基板、12X〜12Z,12PX〜12PZ,22H〜22K…維持電極、Dx〜Dz,DPx〜DPz,Dh〜Dk…放電部、Wx〜Wz,WPz,Wh〜Wk…配線部、13…隔壁、14…誘電体層、15…保護層、16…蛍光体、21…背面ガラス基板。
Claims (17)
- 放電空間を挟んで対向配置された一対の基板と、
前記放電空間を複数の画素領域に区画する隔壁と、
前記画素領域の各々を3本以上で構成し、少なくとも互いの放電対向面を有するもの同士では互いの放電対向面が対称に形成されている維持電極と
を備えたことを特徴とするプラズマ表示装置。 - 前記維持電極の放電対向面は、前記一対の基板の基板面に平行な方向に放電を生ずる向きに形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマ表示装置。 - 前記維持電極の放電対向面は、前記隔壁の側面に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のプラズマ表示装置。 - 前記維持電極の放電対向面は、前記隔壁の内部に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のプラズマ表示装置。 - 前記維持電極の放電対向面は、前記一対の基板の基板面に平行となるように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマ表示装置。 - 前記維持電極は、放電対向面を有する放電部と、前記放電部に給電するための配線部とから構成されている
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマ表示装置。 - 前記配線部は、前記隔壁の形成領域に延在するように設けられている
ことを特徴とする請求項6記載のプラズマ表示装置。 - 前記隔壁は前記画素領域を多角形状に構成し、
前記画素領域の各辺に対応して相異なる維持電極が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のプラズマ表示装置。 - 前記画素領域の各辺を構成する前記隔壁それぞれの側面または内部に、相異なる前記維持電極それぞれの放電対向面が形成されている
ことを特徴とする請求項8記載のプラズマ表示装置。 - 前記隔壁は前記画素領域を三角形状に構成し、
前記画素領域の3辺に対応して相異なる3本の維持電極が設けられている
ことを特徴とする請求項8記載のプラズマ表示装置。 - 前記画素領域の3辺を構成する前記隔壁それぞれの側面または内部に、相異なる3本の維持電極それぞれの放電対向面が形成されている
ことを特徴とする請求項10記載のプラズマ表示装置。 - 前記隔壁は前記画素領域を四角形状に構成し、
前記画素領域の4辺に対応して相異なる4本の維持電極が設けられている
ことを特徴とする請求項8記載のプラズマ表示装置。 - 前記画素領域の4辺を構成する前記隔壁それぞれの側面または内部に、相異なる4本の維持電極それぞれの放電対向面が形成されている
ことを特徴とする請求項12記載のプラズマ表示装置。 - 各画素が3本以上の維持電極を含んで構成され、前記維持電極にサスティンパルスを入力することにより発光表示を行うようにしたプラズマ表示装置の駆動方法であって、
前記維持電極の各々にサスティンパルスを分配供給する
ことを特徴とするプラズマ表示装置の駆動方法。 - 前記維持電極の各々に均等にサスティンパルスを供給する
ことを特徴とする請求項14記載のプラズマ表示装置の駆動方法。 - 前記維持電極の各々に順次サスティンパルスを供給する
ことを特徴とする請求項15記載のプラズマ表示装置の駆動方法。 - 前記維持電極をそれぞれが2本以上からなる組に分け、各組内の維持電極に対しては均等にサスティンパルスを供給する
ことを特徴とする請求項14記載のプラズマ表示装置の駆動方法。
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JP2002186657A JP2004031163A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | プラズマ表示装置およびプラズマ表示装置の駆動方法 |
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US7564188B2 (en) | 2004-05-13 | 2009-07-21 | Samsung Sdi Co., Ltd. | Plasma display panel comprising a dielectric layer with a convex portion |
US8197560B2 (en) | 2005-06-17 | 2012-06-12 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Fuel for fuel cell, fuel cartridge for fuel cell and fuel cell |
-
2002
- 2002-06-26 JP JP2002186657A patent/JP2004031163A/ja active Pending
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