JP2006338951A - プラズマディスプレイパネルおよびこれの駆動方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルおよびこれの駆動方法 Download PDF

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Yusuke Fukui
裕介 福井
Mikihiko Nishitani
幹彦 西谷
Masaharu Terauchi
正治 寺内
Teru Nishitani
輝 西谷
Jun Hashimoto
潤 橋本
Soichiro Hiraoka
聡一郎 平岡
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Abstract

【課題】 面方向対向放電と同等の放電制御容易性や放電開始電圧の低電圧性能を維持しながら、この面方向対向放電に比べても、充分な放電領域の拡大化を可能にして、高階調表示性能を発揮するPDPおよびこれの駆動方法を提供する。
【解決手段】 プラズマディスプレイパネル100は、第1基板10と、第1基板10に対向配置された第2基板11と、両基板10、11の間に設けられた、発光最小領域に対応する複数の放電セル23と、を備え、第2基板11に形成された表示電極と放電セル23に形成された表示電極との間に形成された放電路が、第2基板11に対して傾斜してなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネルおよびこれの駆動方法に係り、更に詳しくは、高精細型プラズマディスプレイパネルに好適なプラズマディスプレイパネルの放電技術に関する。
ガス放電によるプラズマ発光を利用した薄型テレビの表示パネルとして、プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という。)が商品化されている。
PDPには、その放電形成手法の相違から直流(DC)型と交流(AC)型がある。
AC型PDPは、輝度、発光効率および寿命の点でDC型PDPより優れていることから、大画面薄型テレビの表示パネルとして、AC型PDPが普及している。
従来のAC型PDPは、前面板に配置され、互いに平行する走査電極および維持電極からなる平行電極の対(表示電極の対)を有して構成されている。
そして、このようなAC型PDPでは、平行電極の対が、R、GおよびBのうちの何れかの発光最小領域に対応する放電セルの各々に設けられ、PDPは、平行電極の対の間に適宜の交流電圧を印加することにより、両電極間で前面板に略平行に維持放電させて輝度を確保するといった電極構造を有している(以下、このような放電を「面放電」という。)。
この面放電型PDPは、背面板に塗布され、カラー表示を実現するための蛍光体を、上記の平行電極の対からパネル厚み方向に遠ざけて配置することを可能にして、これにより、面放電で発生したプラズマイオンの蛍光体への衝撃を緩和しPDPの寿命を稼ぐことができる。
しかしながら、この面放電は、更なる高性能PDPを実用化するに当たっては、以下の問題点を有しており、このような問題点を改善するプラズマディスプレイパネルの放電技術の開発が望まれている。
第1に、面放電時に発生するガス放電の放電路を、平行電極の対を含む前面板の主面に対して横向きに曲げて、この主面に略平行に形成させることから、面放電による放電路は、不自然な方向に曲げられることになり、その結果として、面放電による放電の制御が困難になると共に、面放電による放電開始電圧が高電圧化する傾向にある。
第2に、面放電による放電路の放電領域は、前面板の主面近傍に限定され、これにより、面放電型PDPの発光効率の向上、延いては、PDPの輝度向上に一定の限界がある。
ここに述べた面放電の問題点を克服する新たな放電形成方式の一例として、前面板に平行に、放電セルを横断するように延びる放電路を形成可能にした表示電極(走査電極と維持電極)がある(例えば、特許文献1〜3参照)。
具体的には、放電空間を囲む隔壁内に、これらの表示電極を配置して、両電極の間に形成された放電(以下、「面方向対向放電」という。)を利用して、放電制御の容易化、放電開始電圧の低下および放電領域の拡大化を図った技術が開発されている。
特開2003−132804号公報 特開2001−176406号公報 特開平10−302646号公報
上述した通り、特許文献1〜3に記載のPDPによれば従来の面放電に比べて、互いに対向する表示電極の間に面方向対向放電を形成できることから、対向する表示電極の間で放電路をスムーズに延ばすことができ、PDPの放電制御の容易化や放電開始電圧の低減が図れる。
また、放電セルを横断するように放電路を延ばして、放電路の放電領域を拡大することも可能であることから、従来の面放電に比べてPDPの輝度向上が達成され得る。
しかしながら、本件発明者等は、PDPの放電セルの更なる微細化を目指す場合には、上記の面方向対向放電に基づく放電性能を凌ぐ放電セルの高輝度化および高階調化を図る必要性を感じている。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、面方向対向放電と同等の放電制御容易性や放電開始電圧の低電圧性能を維持しながら、この面方向対向放電に比べても放電路の放電領域の拡大化を可能にすると共に、高階調表示性能を発揮するPDPおよびこれの駆動方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るプラズマディスプレイパネルは、第1基板と、前記第1基板に対向配置された第2基板と、両基板の間に設けられ、発光最小領域に対応する複数の放電セルと、を備えており、前記第2基板に形成された表示電極と、前記放電セルに形成された表示電極と、の間に形成される放電路が、前記第2基板に対して傾斜してなるパネルである(このような放電を「斜め対向放電」という。)。ここで、このプラズマディスプレイパネルは、前記傾斜の方向を違えた複数の前記放電路を有して構成されている。
こうしたプラズマディスプレイパネルの構成によれば、傾斜方向を違えた複数の斜め対向放電を同時に放電セルに形成することにより、プラズマディスプレイパネルの放電セルの発光効率が高められ、延いては、更なる高精細プラズマディスプレイパネル(より微細な放電セルを採用したプラズマディスプレイパネル)に対しても充分対応可能なレベルにまでプラズマディスプレイパネルの輝度が向上する。
逆に言えば、傾斜方向を違えた複数の斜め対向放電を持つプラズマディスプレイパネルの輝度を、従来の面放電等によるプラズマディスプレイパネルの輝度レベルと同程度に保つ場合には、プラズマディスプレイパネルの消費電力を下げることが可能である。
また、放電セルの発光量を違えた複数種の斜め対向放電が選択可能になって、放電セルによる表示可能な階調数は、単一放電路に基づく従来のプラズマディスプレイパネルに比べて飛躍的に増加可能である。
逆に言えば、放電セルによる表示可能な階調数を従来の単一放電路で表示可能な階調数と同程度に保つ場合には 放電セルの発光量を違えた複数種の斜め対向放電が選択可能であれば、単一放電路による従来のプラズマディスプレイパネルに比べてサブフィールドの数を略半分に減らすことができる。
このようなプラズマディスプレイパネルの具体的な構成の一例として、前記第1基板および前記第2基板の間の空間を、平面視において前記放電セルを構成する空間がマトリクス状に配置されるように区画する、第1方向に延びる複数の第1隔壁および前記第1方向に直交する第2方向に延びる複数の第2隔壁と、前記放電セル毎に、前記第1方向に延びるように前記第1基板に配置された複数のデータ電極と、前記放電セル毎に、前記第2方向に延びるように前記第2基板に配置された複数の第1表示電極と、前記放電セル毎に、前記第2方向に延びるように前記第2隔壁に配置された第2表示電極と、を備え、前記第1表示電極と前記第2表示電極との間に前記放電路が形成されても良い。
なおここで、前記放電セルの底面および前記第1隔壁の側面に、蛍光体を設けても良い。
こうすると、第1表示電極と第2表示電極との間に発生する斜め対向放電に直接曝される可能性の第2隔壁の両側面には、蛍光体が設けられないことから、これらの表示電極との間の斜め対向放電による蛍光体材料の劣化を抑制でき好適である。
ここで前記第1および第2表示電極の一例としては、前記第2表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの書込み期間中に、前記データ電極との間で、前記放電セルを選択するための書込み電圧を印加する走査電極であり、前記第1表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの維持期間中に、前記走査電極との間で、前記選択された放電セルを発光するための維持電圧を印加する維持電極である。
こうして走査電極(第2表示電極)と維持電極(第1表示電極)との間に、適正に斜め対向放電が形成され得る。
また、前記第1表示電極は、前記走査電極との間で第1放電路を形成する第1維持電極および前記走査電極との間で第2放電路を形成する第2維持電極からなる維持電極の対であっても良い。
こうした構成により、走査電極(第2表示電極)と維持電極(第1表示電極)との間に、複数の斜め対向放電が形成され得る。また、維持電極の対のうちの一方と走査電極との間の放電ギャップ長および維持電極の対のうちの他方と走査電極との間の放電ギャップ長の最適化が図れて好適である。
若しくは、前記第2表示電極は、前記維持電極との間で第1放電路を形成する第1走査電極および前記維持電極との間で第2放電路を形成する第2走査電極からなる走査電極の対であっても良い。
こうした構成により、走査電極(第2表示電極)と維持電極(第1表示電極)との間に、複数の斜め対向放電が形成され得る。また、走査電極の対のうちの一方と維持電極との間の放電ギャップ長および走査電極の対のうちの他方と維持電極との間の放電ギャップ長の最適化が図れて好適である。
前記データ電極と前記第1走査電極との間の距離と、前記データ電極と前記第2走査電極との間の距離と、が相違して構成されても良い。
このような構成によれば、例えば、プラズマディスプレイパネルの書込み期間においてデータ電極に印加するデータパルスの電圧として高電圧VHと低電圧VLの何れかを適宜選別することにより、後続の維持期間における維持放電の形態を変えることが可能になる。
また、前記第1維持電極と前記第2維持電極との間に配置され、前記放電セルの内部を仕切る第3隔壁を設けても良い。
こうすると、放電セルの複数の斜め放電の放電領域が、この第3隔壁により適切に分割され、このことから走査電極と維持電極との間の誤放電が防止され好適である。
また、前記第3隔壁の表面に、蛍光体を設けても良い。
こうすると、第3隔壁に設けた蛍光体層を放電セルの発光に寄与させ得ることから放電セルの発光効率が更に向上する。
ここで前記第1および第2表示電極の他の例としては、前記第1表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの書込み期間中に、前記データ電極との間で前記放電セルを選択するための書込み電圧を印加する走査電極であり、前記第2表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの維持期間中に、前記走査電極との間で前記選択された放電セルを発光するための維持電圧を印加する維持電極である。
こうして走査電極(第1表示電極)と維持電極(第2表示電極)との間に、適正に斜め対向放電が形成され得る。
また、前記第1表示電極は、前記維持電極との間で第1放電路を形成する第1走査電極および前記維持電極との間で第2放電路を形成する第2走査電極からなる走査電極の対であっても良い。
こうした構成により、走査電極(第1表示電極)と維持電極(第2表示電極)との間に、複数の斜め対向放電が形成され得る。また、走査電極の対のうちの一方と維持電極との間の放電ギャップ長および走査電極の対のうちの他方と維持電極との間の放電ギャップ長の最適化が図れて好適である。
若しくは、前記第2表示電極は、前記走査電極との間で第1放電路を形成する第1維持電極および前記走査電極との間で第2放電路を形成する第2維持電極からなる維持電極の対であっても良い。
こうした構成により、走査電極(第1表示電極)と維持電極(第2表示電極)との間に、複数の斜め対向放電が形成され得る。また、維持電極の対のうちの一方と走査電極との間の放電ギャップ長および維持電極の対のうちの他方と走査電極との間の放電ギャップ長の最適化が図れて好適である。
また、前記第1走査電極および前記第2走査電極の間に配置され、前記放電セルの内部を仕切る第3隔壁を設けても良い。
こうすると、放電セルの複数の斜め放電の放電領域が、この第3隔壁により適切に分割され、このことから走査電極と維持電極との間の誤放電が防止され好適である。
また、前記第3隔壁の側面に、蛍光体を設けても良い。
こうすると、第3隔壁に設けた蛍光体層を放電セルの発光に寄与させ得ることから放電セルの発光効率が更に向上する。
本発明に係るプラズマディスプレイパネルの駆動方法は、互いに対向する第1基板と第2基板との間に配置された隔壁によりマトリクス状に区画され、発光最小領域に対応する複数の放電セルと、前記放電セル毎に、第1方向に延びるように前記第1基板に配置されたデータ電極と、前記放電セル毎に、第2方向に延びるように前記第2基板に配置された第1表示電極と、前記第1方向に延びるように前記隔壁に配置された第2表示電極と、制御装置と、を備えたプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、前記制御装置は、前記プラズマディスプレイパネルの書込み期間中に、前記第1および第2表示電極のうちの一方を走査電極として、この走査電極に前記データ電極との間で前記放電セルを選択するための書込み電圧を印加し、前記プラズマディスプレイパネルの維持期間中に、前記第1および第2表示電極のうちの他方を維持電極として、この維持電極に前記走査電極との間で前記選択された放電セルを発光するための維持電圧を印加して、前記プラズマディスプレイパネルを駆動する方法である。
こうしたプラズマディスプレイパネルの駆動方法によれば、傾斜方向を違えた複数の斜め対向放電を同時に放電セルに形成することにより、プラズマディスプレイパネルの放電セルの発光効率が高められ、延いては、更なる高精細プラズマディスプレイパネル(より微細な放電セルを採用したプラズマディスプレイパネル)に対しても充分対応可能なレベルにまでプラズマディスプレイパネルの輝度が向上する。
逆に言えば、傾斜方向を違えた複数の斜め対向放電を持つプラズマディスプレイパネルの輝度を、従来の面放電等によるプラズマディスプレイパネルの輝度レベルと同程度に保つ場合には、プラズマディスプレイパネルの消費電力を下げることが可能である。
また、放電セルの発光量を違えた複数種の斜め対向放電が選択可能になって、放電セルによる表示可能な階調数は、単一放電路に基づく従来のプラズマディスプレイパネルに比べて飛躍的に増加可能である。
逆に言えば、放電セルによる表示可能な階調数を従来の単一放電路で表示可能な階調数と同程度に保つ場合には 放電セルの発光量を違えた複数種の斜め対向放電が選択可能であれば、単一放電路による従来のプラズマディスプレイパネルに比べてサブフィールドの数を略半分に減らすことができる。
ここで、傾斜方向を違えた複数の斜め対向放電を放電セルに形成させるプラズマディスプレイパネルの駆動方法の一例として、前記制御装置は、前記第1表示電極を前記維持電極として前記プラズマディスプレイパネルを駆動し、前記維持期間中に、前記第2表示電極を、前記維持電極との間で第1放電路を形成する第1走査電極および前記維持電極との間で第2放電路を形成する第2走査電極からなる走査電極の対として、前記プラズマディスプレイパネルを駆動する。
より詳しくは、前記制御装置は、前記書込み期間中に、前記第1走査電極に印加する電圧と前記第2走査電極に印加する電圧とを違えるように前記プラズマディスプレイパネルを駆動しても良い。
こうすると、プラズマディスプレイパネルの書込み期間における前記第1および第2走査電極に印加する電圧の多寡に応じて、プラズマディスプレイパネルの維持期間における前記第1および第2放電路の形成の有無が適正に調整され得る。
若しくは、前記データ電極と前記第1走査電極との間の距離を、前記データ電極と前記第2走査電極との間の距離よりも長くして構成されたプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、前記制御装置は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第1および第2走査電極との間に第1電圧を印加することにより、前記維持期間中に、前記第2放電路を形成するように前記プラズマディスプレイパネルを駆動しても良く、この場合、前記第1電圧は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第2走査電極との間の放電により前記放電セルに壁電荷を形成可能な電圧である。
また、前記制御装置は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第1および第2走査電極との間に前記第1電圧より大きい第2電圧を印加することにより、前記維持期間中に、前記第1放電路および前記第2放電路を形成するように前記プラズマディスプレイパネルを駆動しても良く、この場合、前記第2電圧は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第1走査電極との間の放電および前記データ電極と前記第2走査電極との間の放電により前記放電セルに壁電荷を形成可能な電圧である。
このようにして、プラズマディスプレイパネルの書込み期間におけるデータ電極に印加する電圧の多寡に応じて、プラズマディスプレイパネルの維持期間における前記第1および第2放電路の形成の有無が適正に調整され得る。
本発明によれば、面方向対向放電と同等の放電制御容易性や放電開始の低電圧性能を維持しながら、この面方向対向放電に比べても放電路の放電領域の拡大化を可能にすると共に、高階調表示性能を発揮するPDPおよびこれの駆動方法が得られる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るPDPの構成例を示した立体斜視図であり、PDPの構造の理解を容易にするため、PDP100の3個×3個の放電セル23に相当する部分を、PDPの厚み方向に各部材を分離した形態により描かれている。
PDP100は、図1に示す如く、矩形状の背面板10と、矩形状の前面板11と、背面板10および前面板11の内表面間に設けられた凸状の横リブ12aおよび凸状の縦リブ12bからなる井桁形状の隔壁12と、前面板11の外表面に設けられたフィルタ13と、を備えて構成されている。
後程詳しく述べるとおり、このPDP100では、背面板10のうちの背面ガラス基板20の電極形成面(内表面)と前面板11のうちの前面ガラス基板30の電極形成面(内表面)を、双方の電極が直交するように対向させ、背面板10および前面板11を重ね合わせた状態において、隔壁12の高さ(正確には縦リブ12bの高さ)に両者間のギャップが規制され、このギャップに放電ガスが封止されている。
なお、隔壁12は、背面板10の誘電体層22の表面に、例えばスクリーン印刷法により、低融点ガラス材料のペーストを塗布した後、この塗布層に適宜の乾燥処理や焼結処理を施して製造されている。このため、隔壁12は、実際には、背面板10に固着され、背面板10と一体化して構成された部材である。
背面板10は、矩形状の透明な背面ガラス板20を有してなり、この背面ガラス基板20に内表面には、銀(Ag)等を含有する電極材料からなる、第1方向に延びた帯状(ストライプ状)の複数のデータ電極21が、走査電極51、52(後記)との間で、壁電荷形成のための書込み放電を発生させる書込み電圧印加用の電極として設けられている。
また、鉛系或いは非鉛系の低融点ガラスや酸化シリコン(SiO2)を材料とした透明な誘電体層22が、データ電極21を覆うように厚み数μm〜数十μmの範囲に調整されて背面ガラス基板20の内表面に設けられ、これにより、AC型PDPに特有の電流制限機能を発揮して、DC型PDPに比べて長寿命が実現される。
隔壁12を構成する複数の縦リブ12bは、誘電体層22の表面上に、データ電極21を中央に挟み込むようにして、第2方向において所定間隔を隔ててこのデータ電極21と同一の方向(第1方向)に延びている。
隔壁12を構成する複数の横リブ12aは、前面板11と背面板10とを接合した後に放電ガスの放電セル23への導入を可能にするため縦リブ12bの高さより低くして、かつ第1方向において所定間隔を隔てて縦リブ12bに直交する方向(第2方向)に延びている。かくして、縦リブ12bの高さにより、前面板11と背面板10との間のギャップ長が適正に規制されている。
こうして構成された隔壁12は、縦リブ12bおよび横リブ12aにより区画された井桁形状の多数の内部空間を有しており、これらの横リブ12aおよび縦リブ12bに囲まれた内部空間は、赤(R)、緑(G)および青(B)の何れかの発光最小領域に対応する放電セル23の放電空間に相当することになる。
即ち、これらのリブ12a、12bは、前面板11および背面板10の間の空間を、図1に示す如く、PDP100の平面視(PDP100の厚み方向に沿って見た場合)において、放電セル23を構成する空間(放電空間)を、マトリクス状に配置ように区画している。
このような井桁形状の内部空間を形作る横リブ12aおよび縦リブ12bは、例えば鉛系或いは非鉛系の低融点ガラス材料のペーストをスクリーン印刷法により複数回(例えば10回)に亘って所定の厚みに到達するようにベタ状に積層塗布させ、適宜の乾燥処理の後、サンドブラスト法と称されているブラスト材(一種の砥粒子)の吹き付けによる積層塗布層の掘り下げ微細加工に基づいて製造され得る。
ここで、放電セル23の放電空間を構成する各横リブ12aの内側には、データ電極21を含む水平面を基準にして高さを違え、かつ放電セル23を挟むように配置された帯状の一対の走査電極51、52からなる走査電極の対SCANが、データ電極21(第1方向)に直交する第2方向に延びて設けられている。
このような一対の走査電極51、52は、上記のデータ電極21との間で、壁電荷形成のための書込み放電を発生させる書込み電圧印加用の電極として機能すると共に、維持電極41、42(後記)との間の維持放電(PDP輝度確保放電)を発生させる維持電圧印加用の表示電極としても機能する。
なお、これらの走査電極51、52の配置構成は、維持電極41、42の配置との間の関連性と共に後程詳しく述べる。
また、R、GおよびBのうちの何れかの色に対応した蛍光体材料ペーストを、背面板10の適所にスクリーン印刷法により塗布して、この塗布層を乾燥および焼成するという一連の蛍光体形成工程により、蛍光体24が、上記維持放電(放電プラズマ)に直接曝されない領域に、例えば、放電セル23の放電空間の底面に相当する誘電体層22の表面および縦リブ12bの両側面に、パターンニング形成されている。
なお本実施の形態では、R、GおよびBの各蛍光体24の材料例として各々、(Y、Gd)BO3:Eu、Zn2SiO4:MnおよびBaMg2Al1424:Euの蛍光体材料が用いられるが、特にこれに限定されるものでは無い。
なおここで、図1に示す如く、維持電極41、42と走査電極51、52との間に発生する維持放電に直接曝される可能性の高い横リブ12aの両側面には、上記蛍光体24が設けられて無い。このような蛍光体24のパターンニング配置により、維持電極41、42と走査電極51、52との間の維持放電による蛍光体材料の劣化を抑制でき好適である。また、図1において図示を省略しているが、蛍光体材料を設けることを止めた横リブ12aの側面(露出面)に、後記のMgO(酸化マグネシウム)からなる保護膜53(図4参照)を設けても良い。
前面板11は、矩形状の透明な前面ガラス板30を有してなり、この前面ガラス板30の内表面には、外光の映り込みを防ぎ良好なコントラスト性能を確保するための帯状のブラックストライプ31が、各横リブ12aに対向して第2方向に延びて設けられている。
また、このブラックストライプ31の両側に位置する前面ガラス30の内表面には、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化スズ(SnO2)または酸化亜鉛(ZnO)からなる高抵抗のストライプ状の一対の透明電極32が、約100nmの厚みに調整されて第2方向に延びる如く配置されている。各透明電極32は、隣接する各透明電極32同士が、短絡しないように一定の隙間Gを確保しつつ、前面ガラス基板30の内表面に幅広に形成して配置されている。
そして、一対の透明電極32の各々の表面に、電極抵抗を下げる目的で銀(Ag)やアルミニウム(Al)系の電極材料からなる低抵抗の帯状の一対のバス電極(不透明電極)33が、数μmの厚みに調整されて第2方向に延びる如く配置されている。各バス電極33の幅は、低抵抗特性を維持すると同時に放電セル23から外部に放出する発光を遮ってPDP100の輝度低下を不必要に来たすことを回避可能な狭い幅に設定される。このため、バス電極33の幅は、少なくとも透明電極32の幅よりも狭くなる。
また、鉛系或いは非鉛系の低融点ガラスや酸化シリコン(SiO2)を材料とした透明な誘電体層34が、ブラックストライプ31、透明電極32およびバス電極33を覆うように、厚み数μm〜数十μmの範囲に調整されて前面ガラス基板30の内表面に設けられ、これにより、AC型PDPに特有の電流制限機能を発揮して、DC型PDPに比べて長寿命が実現される。
また、誘電体層34の表面上には、放電開始電圧低下を可能にするために2次電子放出係数γが大きく、放電イオン衝撃から誘電体層34を保護するように耐スパッタ性が高く、しかも透明性および絶縁耐性に優れた材料、例えばMgO(酸化マグネシウム)等の金属酸化物材料を用いた透明な保護層35が設けられ、この保護層35が厚み数百nm調整されている。
このようにして、横リブ12aに対向するブラックストライプ31の側部に配置された、一対の透明電極32と一対のバス電極33を積層させた帯状の維持電極の対SUSうちの維持電極41が、走査電極51との間の維持放電を発生させる維持電圧印加用の表示電極として機能すると共に、この維持電極の対SUSうちの維持電極42が、走査電極52との間の維持放電を発生させる維持電極印加用の表示電極として機能する。なお、これらの維持電極41、42の配置構成は、走査電極51、52の配置との関連性と共に後程詳しく述べる。
維持電極41、42におけるバス電極33の電極材料例としては、ここでは、AgおよびAlを挙げたが、これらの材料の他、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、クロム(Cr)、銅(Cu)およびパラジウム(Pt)等の金属を使用しても良い。また、これらの金属の炭化物や窒化物等の導電性セラミックス材料或いはこれらの材料の組合せ、或いはこれらの材料の層を複数積層してなる積層電極等であっても良い。
こうして構成された放電セル23の放電空間に、Xe(キセノン)とNe(ネオン)からなる混合希ガスやXeとHe(ヘリウム)からなる混合希ガスが、約数十kPa(例えば約65kPa)のガス圧力に保って充填され、走査電極51、52と維持電極41、42の間に適宜の交流電圧としての維持放電の電圧パルスを印加することにより、適量の壁電荷が形成された放電セル23には、パルス放電(維持放電)が発生せしめられる。そうすると、こうした維持放電による放電ガスプラズマ生成に基づき、放電セル23の放電空間に存在する励起キセノン原子から147nmの共鳴線(紫外線)が放射されると共に、励起キセノン分子から173nm主体の分子線(紫外線)が放射される。次いで、これらの紫外線が、放電セル23の蛍光体24に当って各蛍光体24の色に対応した可視光に変換され、この可視光が蛍光体24から放射され、これにより、放電セル23が、R、GおよびBのうちの何れかの発光最小領域として機能することになる。なお、適量の壁電荷が形成されなかった放電セル23では、維持放電を発生すること無く、このような放電セル23は、ブラック(B)を表示することになる。
次に、以上に述べたPDP100を駆動する回路の構成を説明する。
図2は、PDPの駆動用の回路構成例の概略を示したブロック図である。
なお、ここでは、図示簡素化の観点から一対の維持電極41、42および一対の走査電極51、52を各々一本の配線として図示している。
このように維持電極41、42の対SUSおよび走査電極51、52の対SCANは、PDP100の駆動時に同電圧に保たれるものであり、このことから維持電極41、42の対SUSおよび走査電極51、52の対SCANを共に、PDP100の周辺或いは外部において短絡線(不図示)を用いて結線させても構わない。
図2によれば、列方向(図1の第2方向)にはM列のデータ電極21が配列され、行方向には(図2の第1方向)には、N行の一対の走査電極51、52とN行の一対の維持電極41、42が配列され、互いにM列×N行のマトリクス構成をなしている。
放電セル23の駆動電極としては、一対の走査電極51、52(図1の走査電極の対SCAN)と、一対の維持電極41、42(図1の維持電極の対SUS)と、データ電極21と、が有る。
本実施の形態における放電セル23は、図2に示す如く、これらの電極に適宜の電圧を印加することにより、R、GおよびBのうちの何れかの発光を可能にする最小単位の領域を指すものである。また、R、GおよびBの各々を集めた3個の放電セルからなる放電セルの集合体が、PDP100の一画素Pに対応する。
PDP100を駆動する制御装置114は、例えばマイクロプロセッサにより構成され、走査電極ドライバ111(ドライバLSI)、維持電極ドライバ112(ドライバLSI)およびデータ電極ドライバ113(ドライバLSI)に接続されている。
また、走査電極ドライバ111、維持電極ドライバ112およびデータ電極ドライバ113は各々、N本の走査電極51、52、N本の維持電極41、42およびM本のデータ電極21に接続して構成されている。
なお、本明細書においては、制御装置とは、単独の制御装置だけではなく、複数の制御装置が協働してPDP100の動作を制御する制御装置群をも意味する。よって、制御装置114は、単独の制御装置で構成される必要性は無く、複数の制御装置が分散配置されていて、それらが協働してPDP100の動作を制御するように構成されていても構わない。
このようなPDP100の駆動回路の構成により、各電極21、41、42、51、52に、以下に述べるようなパルス電圧が印加され、PDP100は適切に画面表示される。
図3は、PDPを駆動するためのパルス電圧のタイミングおよびレベルを例示したパルス波形図である。
PDP100の駆動では、1枚の画面に相当する一フィールドが、複数個(例えば8個)のサブフィールドに区分され、各サブフィールドは、図3に示す如く(図3では第m−1番目サブフィールドの一部と第m番目サブフィールドを図示)、全ての放電セル23の壁電荷を初期化させる初期化期間と、複数の放電セル23のうちの何れの放電セル23を発光するかを指定して選択するため、選択対象の放電セル23に適量の壁電荷を形成させる書込み期間と、この書込み期間において選択された放電セル23を所定輝度に応じた時間長で発光(維持放電)を継続させる維持期間と、全ての放電セル23の壁電荷を消滅させる消滅期間と、を有して構成されている。
このように一フィールドを複数のサブフィールドに区分することにより、PDP100の各放電セル23において発光輝度の多寡に応じた階調表示がなされ得る。
例えば、8個のサブフィールドの発光時間長の比率を1:2:4:8:19:32:64:128の2のべき乗にすれば、各放電セル23では、全てのサブフィールドにおいて発光無しの「0(ゼロ)」の状態(即ち、全てのサブフィールドにおける書込み期間の選択無しの状態)から全てのサブフィールドにおいて発光有りの「255」の状態(即ち、全てのサブフィールドにおける書込み期間の選択有りの状態)に亘る256階調の階調表示が実現可能である。なお本実施の形態では、第1番目サブフィールドから第8番目サブフィールドまで、第1番目から順に、「1」、「2」・・・「128」の時間長に対応した維持放電発光が実行されている。
次に、図3に示した第m番目サブフィールドを構成する初期化期間、書込み期間、維持期間および消去期間の各々について、走査電極51、52、維持電極41、42およびデータ電極21におけるパルス電圧のタイミングおよびレベルの概要を説明する。
但し、書込み期間におけるデータ電極21のパルス電圧を2段階に変更可能なことを除き、初期化期間、維持期間、書込み期間および消去期間のパルス電圧のタイミングやレベルは、公知技術に基づいており、本実施の形態では、これらの公知技術を用いたパルス電圧のタイミングやレベルの動作は簡略して説明する。
まず、第m番目サブフィールドの初期化期間の前半においては、図3に示す如く、走査電極51、52に初期化パルスとして漸増する電圧(上りランプ)を印加する一方、維持電極41、42およびデータ電極21を、接地電位(V0)に保つ。
また、その後半においては、走査電極51、52に初期化パルスとして漸減する電圧(下りランプ)を印加する一方、維持電極41、42に適宜の正極側の電圧を印加する。こうすることで、PDP100の全ての放電セル23の壁電荷を一定にするように弱放電を引き起こさせて、放電セル23が適切に初期化され活性化される。
次に、第m番目サブフィールドの書込み期間においては、例えば、M列×N行のマトリクス状放電セル23のうちの第1行目の放電セル23の選択を行うため、第1行目の走査電極51、52に所定の負極側の走査パルスを印加し、この走査パルスの印加期間中に、この書込み期間に後続する維持期間において、M個のデータ電極21のうちの、選択対象の放電セル23に対応するデータ電極21のみに正極側のデータパルスを印加する。
こうすると、第1行目の走査電極51、52とデータ電極21との間において、選択対象の放電セル23には、走査パルスとデータパルスの差電圧相当分の電圧に基づく書込み放電が生じせしめられ、これにより、放電セル23に適量の壁電荷が蓄積される。続いて、同様の動作を第N行目の走査電極51、52まで反復することにより、書込み期間が終了して第m番目サブフィールド分の潜像が、放電セル23に書き込まれることになる。
ここで、データ電極21に印加するデータパルスの電圧として接地電位(V0)を基準にして高電圧VHと低電圧VLのうちの何れか一方が選ばれる。そして、後程詳しく述べるように、データ電極21に印加するデータパルスの電圧として高電圧VHと低電圧VLの何れかを適宜選別することにより、後続の維持期間における維持放電の形態を変えることが可能になる。
次に、第m番目サブフィールドの維持期間においては、全てのデータ電極21を接地電位(V0)に保ち、予め設定された輝度に応じた時間長の間、全ての走査電極51、52と全ての維持電極41、42に互いに位相を違えて交互に維持パルス(例えば、200Vの矩形波電圧)を印加する。
こうすると、選択対象の放電セル23では、放電セル23に維持パルスを印加するたびに維持パルスに基づく走査電極51、52と維持電極41、42との間の維持放電による蛍光体発光が実行される。なお、非選択対象の放電セル23では、このような維持放電が形成されない。
その後、第m番目サブフィールドの消去期間においては、走査電極51、52に消去パルスとして漸減する電圧を印加することにより、全ての放電セル23の壁電荷が消滅する。
以上のようにして、第m番目サブフィールドに対応するPDP100の動作が終了する。
次に、図面を参照して、PDP100の放電セル23における維持電極41、42の配置および走査電極51、52の配置を詳細に述べると共に、書込み期間におけるデータ電極21に印加するデータパルスの2段階選別と、維持期間における維持放電の形態との関連性を説明する。
図4は、データ電極の幅方向(図1の第2方向)の中央部に位置するPDPの、データ電極の延びる方向(図1の第1方向)に沿った一放電セル分の断面を示した断面図である。
但し、図4では、透明電極32(図1参照)にバス電極33(図1参照)を重畳して構成された維持電極41、42を一層の電極として略図示すると共に、図1のブラックストライプ31およびフィルタ13の図示を省いている。
また、図4では便宜上、PDP100の方向を、上下、図示するように上下および左右として表示する。
PDP100の放電セル23は、図4に示す如く、左右方向(図1の第1方向)に互いに隣接する横リブ12aおよび紙面垂直方向(図1の第2方向)に互いに隣接する縦リブ12b(図4では不図示;図1参照)によって囲まれた内部空間(放電空間)を有して構成されている。
図4に示した放電セル23内のガス放電動作に寄与する電極としては、背面板10に配置され第1方向(左右方向)に延びるデータ電極21と、左側の横リブ12aの内側に存在する2本の走査電極のうちのデータ電極21(データ電極21を含む水平面)から遠い方の走査電極51と、右側の横リブ12aの内側に存在する2本の走査電極のうちのデータ電極21に近い方の走査電極52と、前面板11に配置され第2方向(紙面垂直方向)に延びる一対の維持電極41、42と、がある。
なお、左側の横リブ12aの内側に存在する2本の走査電極のうちの、データ電極21から近い方の走査電極52は、図4に示した放電セル23の左隣の放電セルのガス放電用電極として使用され、右側の横リブ12aの内側に存在する2本の走査電極のうちの、データ電極21に遠い方の走査電極51は、図4に示した放電セル23の右隣の放電セルのガス放電用電極として使用される。
ここで、データ電極21を含む水平面を基準にして、この水平面(データ電極21)から近い方の走査電極52の下端の高さ(データ電極21と走査電極52との間の上下方向の最短距離に相当)がL1であり、この水平面(データ電極21)から遠い方の走査電極51の下端の高さ(データ電極21と走査電極51との間の上下方向の最短距離に相当)はL2である。
数値L1の具体的な設計指標のひとつとして、L1−K(上記水平面を基準にした蛍光体上面の高さ)≧30μmになるように、走査電極52の下端と蛍光体24の上面との間に適正なギャップを持たせることを要するものであり、こうした構成により、走査電極52と維持電極42との間の維持放電による蛍光体の劣化が適切に防げる。
勿論、走査電極51の上端が、横リブ12aの上端に到達しないように、走査電極51の上下の長さおよび数値L2の値を設定する必要があり、これにより数値L1の上限も制約を受けることになる。
また、数値L2を数値L1で除した値(L2/L1)を、「1」を越えかつ「2」未満の範囲に調整することが、PDP100の放電制御容易性の兼ね合いから望ましいと考えられている。
本実施の形態では、走査電極51、52の配置の一例として、L1を約50μmに、L2を約70μmになるように構成されている。
以上に述べたとおり、PDP100の放電セル23は、データ電極21との間の距離を相違させた2種類の走査電極51、52(図1の走査電極の対SCAN)を設けて構成されている。
そこで、データ電極21に印加するデータパルスとして高電圧VHを選び、この高電圧VHに相当する第1の書込み電圧に基づき書込み期間に選択された放電セル23は、以下に述べる理由により、図4のAおよびBパターンで示す如く、その維持期間中には、左側の維持電極41と左側の横リブ12aに配置された走査電極51との間および右側の維持電極42と右側の横リブ12aに配置されたで走査電極52との間の両方において、放電ガスプラズマに基づく維持放電を生じせしめられる。
そしてこの場合、前面板11と放電セル23との間に形成されたAパターンの放電路は、前面板11に対して左向きに傾斜してなる。同様に、前面板11と放電セル23との間に形成されたBパターンの放電路は、前面板11に対して右向きに傾斜してなる。
こうして、放電セル23の左右方向の中央部を境にして左右方向に逆向きの2種類の放電(以下、これらの放電を「斜め対向放電」という。)が形成される。
同様に、データ電極21に印加するデータパルスとして低電圧VLを選び、この低電圧に相当する第2の書込み電圧に基づき書込み期間に選択された放電セル23は、以下に述べる理由により、図4のBパターンで示す如く、その維持期間中には、右側の維持電極42と右側の横リブ12aに配置された走査電極52との間のみにおいて、放電ガスプラズマに基づく維持放電を生じせしめられる。
そしてこの場合には、前面板11と放電セル23との間に形成されたBパターンの放電路は、前面板11に対して右向きに傾斜してなり、これにより、1種類の斜め対向放電が形成される。
次に、本実施の形態において、Aパターンの放電路とBパターンの放電路の両方からなる放電形態と、Bパターンの放電路の片方のみからなる放電形態と、を選別可能である理由を、図面を参照して説明する。
図5は、AおよびBパターンの放電路を選択形成するためのパルス波形の一例を示した図であり、更に詳しくは、図5には、PDP100の書込み期間における走査電極51、52に印加する走査パルス波形例およびデータ電極21に印加するデータパルス波形例が示されている。
PDP100の維持期間においてBパターンの放電路のみを選択対象の放電セル23に形成する場合には、図5の上段に示す如くこの維持期間の前のPDP100の書込み期間で、この放電セル23のデータ電極21に低電圧VLを印加する。
そうすると、この書込み期間では、データ電極21と走査電極51、52との間に、負極側の走査パルスと正極側の低電圧VLのデータパルスとの電圧差に相当する電圧が印加される。データ電極21に印加されたデータパルスの電圧が低電圧VLであることから、データ電極21とこのデータ電極21に近い方の走査電極52との間には書込み放電が発生する一方で、データ電極21とこのデータ電極から遠い方の走査電極51との間には書込み放電が発生しない。
言い換えると、低電圧VLのデータパルスは、データ電極21から近い方の走査電極52に対応する隔壁12の近傍にのみ壁電荷を形成可能なパルス電圧であり、その結果として、書込み期間に低電圧VLのデータパルスを印加された放電セル23では、後続の維持期間においては、維持電極42と走査電極52との間のBパターンの放電路のみが形成されることになる。
また、放電セル23の維持期間においてAパターンおよびBパターンの両方の放電路を選択対象の放電セル23に形成する場合には、図5の下段に示す如くこの維持期間の前のPDP100の書込み期間で、この放電セル23のデータ電極21に高電圧VHを印加する。
そうすると、この書込み期間には、データ電極21と走査電極51、52との間に、負極側の走査パルスと正極側の高電圧VHのデータパルスとの電圧差に相当する電圧が印加される。データ電極21に印加されたデータパルスの電圧が高電圧VHであることから、データ電極21とこのデータ電極21に近い方の走査電極52との間には書込み放電が発生すると共に、データ電極21とこのデータ電極から遠い方の走査電極51との間にも書込み放電が発生する。
言い換えると、高電圧VHのデータパルスは、データ電極21に近い方の走査電極52に対応する隔壁12の近傍およびデータ電極21から遠い方の走査電極51に対応する隔壁12の近傍の両方に壁電荷を形成可能なパルス電圧であり、その結果として、書込み期間に高電圧VHのデータパルスを印加された放電セル23では、後続の維持期間においては、維持電極41と走査電極51との間のAパターンの放電路および維持電極42と走査電極52との間のBパターンの放電路の両方が同時に形成される。
なおここでは、データ電極21に印加するデータパルスを高電圧VHと低電圧VLの2段階に変更する電圧印加方法を述べたが、このような電圧印加方法に替えて、走査電極51、52に印加する走査パルスを2段階に変更する電圧印加方法を採用しても良い。
次に、放電セル23の製造方法を、図面を参照して説明する。
但し、横リブ12aの内側に高さを相違するように走査電極51、52の製造することを除き、放電セル23の製法は、公知技術に基づくものであり、ここでは、横リブ12aの内側に走査電極51、52を作り込む製法に限定して説明する。
図6は、横リブの内側に高さを相違するように走査電極を形成する放電セルの製造方法の一例を説明するための放電セルの断面図であり、図6(a)〜図6(e)は何れも、放電セルの、各製造工程途中の断面図である。
最初に、図6(a)に示した工程において、横リブ12aのうちの第1横リブ12a1の高さを、横リブ12aのトータル高さの約1/3に調整して、この第1横リブ12a1が背面板10の誘電体層22の表面に形成される。こうした第1横リブ12a1は、例えば、既に述べたスクリーン印刷法とサンドブラスト法の組合せにより形成可能である。
次に、図6(b)に示した工程において、第1横リブ12a1の上面の左寄りの部分に、スパッタリング法を使った真空蒸着やスクリーン印刷法を使った塗布により、データ電極21に近い方の走査電極52が形成される。
続いて、図6(c)に示した工程において、横リブ12aのうちの第2横リブ12a2の高さを、横リブ12aのトータル高さの約1/3に調整して、この第2横リブ12a2が、走査電極52を覆うように第1横リブ12a1の上面に形成される。こうした第2横リブ12a2は、例えば、既に述べたスクリーン印刷法とサンドブラスト法の組合せにより形成可能である。
次に、図6(d)に示した工程において、第2横リブ12a2の上面の右寄りの部分に、スパッタリング法を使った真空蒸着やスクリーン印刷法を使った塗布により、データ電極21から遠い方の走査電極51が形成される。
最後に、図6(e)に示した工程において、横リブ12aのうちの第3横リブ12a3の高さを、横リブ12aのトータル高さの約1/3に調整して、この第3横リブ12a3が、走査電極51を覆うように第2横リブ12a2の上面に形成される。こうした第3横リブ12a3は、例えば、既に述べたスクリーン印刷法とサンドブラスト法の組合せにより形成可能である。
そして、EB蒸着法により、MgO(酸化マグネシウム)等の金属酸化物材料からなる保護膜53が、横リブ12aの上面および側面の適所(端的には後工程において蛍光体を塗布しない箇所)を覆って形成される。
なおここでは、図示を省いているが、縦リブ12bも横リブ12aと同時に、それの高さを3つに区切って形成する方が望ましい。
このようなPDP100に基づく斜め対向放電によれば、以下に述べるように、PDPの高輝度表示や高階調表示の観点から既存の面放電や面方向対向放電の限界を打破した優れた効果が発揮される。
背景技術の欄で述べた面放電や面方向対向放電といった放電形態に比較して、図4に示したAおよびBパターンからなる斜め対向放電の放電領域は、面放電の放電領域をその大きさにおいて凌駕することは勿論、面方向対向放電の放電領域に比べても拡大すると期待される。
例えば、斜め対向放電(AおよびBパターン)の放電路の前面板11に対する傾斜角を45°に設定し、かつこれらの放電路が放電セル23の略中央部に位置する前面板11から左右に延びると仮定すれば、Aパターンの放電路の長さとBパターンの放電路の長さとを足したトータル長は、放電セル23の幅の約√2倍に相当する。このため、傾斜角45°の斜め対向放電を使用すれば、斜め対向放電の放電領域は、面方向対向放電の約√2倍に拡大する。
よって、AおよびBパターンの両方の斜め対向放電を同時に放電セル23に形成することにより、PDP100の放電セル23の発光効率が高められ、延いては、更なる高精細PDP(より微細な放電セル23を採用したPDP)に対しても充分対応可能なレベルにまでPDP100の輝度が向上する。
逆に言えば、AおよびBパターンからなる斜め対向放電を採用したPDP100の輝度を、従来の面放電等によるPDPの輝度レベルと同程度に保つ場合には、PDP100の消費電力を下げることが可能である。
また、PDPの階調表示は通常、既に述べたとおり、一フィールドを所定数に区分したサブフィールド駆動方式を採用することにより実現されている。よって、PDPの各放電セルによる表示可能な階調数の向上は、PDPの放電形態が従来の単一の面放電や単一の面方向対向放電であれば、一フィールドを区分するサブフィールドの数の増加に唯一、頼ることになり、このことが、サブフィールドの数増加の限界と相俟ってPDPの階調数の向上を困難にさせていた。
本実施の形態に係るPDP100によれば、Bパターンの放電路に基づいて放電セル23を発光することが可能であると共に、AおよびBパターンの両方の放電路に基づいて放電セル23を発光することも可能である。
即ち、このPDP100によれば、放電セル23の発光量を違えた2種類の放電形態が選択可能になって、放電セル23による表示可能な階調数は、単一放電路に基づく従来のPDPに比べて飛躍的(端的には2倍)に増加可能である。
逆に言えば、放電セル23による表示可能な階調数を従来の単一放電路で表示可能な階調数と同程度に保つ場合には 本実施の形態の如く放電セル23の発光量を違えた2種類の放電形態が選択可能であれば、単一放電路による従来のPDPに比べてサブフィールドの数を略半分に減らすことができる。
サブフィールドの数が減ると、サブフィールド内における維持期間を相対的に多く確保でき、その結果としてPDPの輝度向上に繋がる。
また、一フィールドを複数のサブフィールドに区分する際に、サブフィールドの数の増加に伴って必須となる駆動回路(例えば、維持電極ドライバ112や走査電極ドライバ111)のスイッチング速度の高速化を緩和することが可能であり、延いては、PDP駆動回路の高周波設計の設計裕度を確保できる。
更に、このような斜め対向放電は、従来の面放電に比べて、対向する電極の間において放電する対向放電の形態に近いことから、本実施の形態によるPDP100は、面放電型PDPよりも優れた放電制御の容易性および放電開始電圧の低電圧性能を実現し、これらの特性は面方向対向放電型PDPと同程度に達すると、考えられる。
なおここまで、放電セル23を区画する隔壁として井桁形状の隔壁12を使用する隔壁例を説明したが、これに限らず、ミアンダ隔壁の如く波形凹凸形状隔壁により放電セルを区画しても良い。
また、保護膜53を構成する金属酸化物材料としては、既に述べたMgOに限らず、蛍光体材料と異なっており、2次電子放出係数γが蛍光体材料よりも大きい値を有するものであれば他の材料でも良く、例えば、CaO、BaO、SrOおよびZrOのうちの少なくとも一種を含んだ金属酸化物材料(不純物含有も可)であっても構わない。
また本実施の形態において、R、GおよびBのうちの何れかの発光最小領域に対応する複数の放電セル23を備えたカラー表示PDPを述べたが、勿論、モノクロ表示PDPであっても本件技術を適用可能である。
〔変形例1〕
本実施の形態に係るPDP100の放電セル23では、走査電極51、52の各々の下端の高さが、データ電極21を含む水平面を基準に相違するように構成されているが(図4参照)、ここでは本実施の形態の変形例として(変形例1)、これらの走査電極51、52の下端の高さが共に、図7に示す如く、例えば、図4に示した数値L1に設定され構成されている。
そして、本実施の形態では、左側の横リブ12aの内側にある走査電極51と、右側の横リブ12aの内側にある走査電極52とが、PDP100の書込み期間において同一のパルス電圧を印加されるようなPDP100の駆動例を説明したが、ここでは、このような走査電極51および走査電極52の印加パルス電圧を互いに相違させている。
なお、本実施の形態(図4)におけるPDP100の放電セル23の各部材に対応する図5の各部材には、図4の参照番号と同一の番号を付し、これらの部材の詳細な説明を省略する。
PDPの書込み期間において、例えば、選択対象の放電セル23に、データ電極に低電圧VL(図5参照)を印加し、かつ両方の走査電極51、52に走査パルス(図5参照)を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には維持電極41と走査電極51との間に、図7の点線で示す如くAパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成され、維持電極42と走査電極52との間に、図7の点線で示す如くBパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成される。
また、PDPの書込み期間において、例えば、選択対象の放電セル23に、データ電極に低電圧VL(図5参照)を印加しかつ片方の走査電極51にのみ走査パルス(図5参照)を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には維持電極41と走査電極51との間に、図7の点線で示す如くAパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)のみが形成される。
また、PDPの書込み期間において、例えば、選択対象の放電セル23に、データ電極に低電圧VL(図5参照)を印加しかつ片方の走査電極52にのみ走査パルス(図5参照)を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には維持電極42と走査電極52との間に、図7の点線で示す如くBパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)のみが形成される。
本変形例に係るPDPによれば、本実施の形態に係るPDP100と同様に、AおよびBパターンの両方の斜め対向放電を同時に放電セル23に形成することにより、PDPの放電セル23の発光効率が高められ、延いては、更なる高精細PDPに充分対応可能なレベルにまでPDPの輝度が向上する。
逆に言えば、AおよびBパターンからなる斜め対向放電を採用したPDPの輝度を、従来の面放電等によるPDPの輝度レベルと同程度に保つ場合には、PDPの消費電力を下げることが可能である。
また、本変形例に係るPDPによれば、放電セル23の発光量を違えた少なくとも2種類(Aパターンの放電路の形態とBパターンの放電路の形態とを相違させれば、3種類)の放電形態が選択可能になって、放電セル23による表示可能な階調数は、単一放電路に基づく従来のPDPに比べて飛躍的に増加可能である。
逆に言えば、放電セル23による表示可能な階調数を従来の単一放電路で表示可能な階調数と同程度に保つ場合には 本変形例の如く放電セル23の発光量を違えた複数の放電形態が選択可能であれば、単一放電路による従来のPDPに比べてサブフィールドの数を減らすことができる。
更に、このような斜め対向放電は、従来の面放電に比べて、対向する電極の間おいて放電する対向放電の形態に近いことから、本変形例によるPDPは、面放電型PDPよりも優れた放電制御の容易性および放電開始電圧の低電圧性能を実現し、これらの特性は面方向対向放電型PDPと同程度に達すると、考えられる。
〔変形例2〕
変形例1に係るPDPの放電セル23では、放電セル23の左右方向(図1の第1方向)に分離した紙面垂直方向(図1の第2方向に)延びる一対の帯状の維持電極41、42に駆動時に同電圧を印加するように構成されているが(図7参照)、ここでは変形例1に対する更なる変形例として(変形例2)、図8に示す如く、上記一対の帯状の維持電極41、42を、同一方向に延びる1本の帯状の維持電極61として放電セル23の左右方向の略中央部に配置して構成されている。
なお、変形例1(図7)におけるPDPの放電セル23の各部材に対応する図8の各部材には、図7の参照番号と同一の番号を付し、これらの部材の詳細な説明を省略する。
PDPの書込み期間において、例えば、選択対象の放電セル23に、データ電極に低電圧VL(図5参照)を印加し、かつ両方の走査電極51、52に走査パルス(図5参照)を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には1本の維持電極61と走査電極51との間に、図8の点線で示す如くAパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成され、1本の維持電極61と走査電極52との間に、図8の点線で示す如くBパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成される。
また、PDPの書込み期間において、例えば、選択対象の放電セル23に、データ電極に低電圧VL(図5参照)を印加しかつ片方の走査電極51にのみ走査パルス(図5参照)を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には1本の維持電極61と走査電極51との間に、図8の点線で示す如くAパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)のみが形成される。
また、PDPの書込み期間において、例えば、選択対象の放電セル23に、データ電極に低電圧VL(図5参照)を印加しかつ片方の走査電極52にのみ走査パルス(図5参照)を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には1本の維持電極61と走査電極52との間に、図8の点線で示す如くBパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)のみが形成される。
本変形例に係るPDPによれば、本実施の形態に係るPDP100と同様に、AおよびBパターンの両方の斜め対向放電を同時に放電セル23に形成することにより、PDPの放電セル23の発光効率が高められ、延いては、更なる高精細PDPに充分対応可能なレベルにまでPDPの輝度が向上する。
逆に言えば、AおよびBパターンからなる斜め対向放電を採用したPDPの輝度を、従来の面放電等によるPDPの輝度レベルと同程度に保つ場合には、PDPの消費電力を下げることが可能である。
また、本変形例に係るPDPによれば、放電セル23の発光量を違えた少なくとも2種類(Aパターンの放電路の形態とBパターンの放電路の形態とを相違させれば、3種類)の放電形態が選択可能になって、放電セル23による表示可能な階調数は、単一放電路に基づく従来のPDPに比べて飛躍的に増加可能である。
逆に言えば、放電セル23による表示可能な階調数を従来の単一放電路で表示可能な階調数と同程度に保つ場合には 本変形例の如く放電セル23の発光量を違えた複数の放電形態が選択可能であれば、単一放電路による従来のPDPに比べてサブフィールドの数を減らすことができる。
更に、このような斜め対向放電は、従来の面放電に比べて、対向する電極の間において放電する対向放電の形態に近いことから、本変形例によるPDPは、面放電型PDPよりも優れた放電制御の容易性および放電開始電圧の低電圧性能を実現し、これらの特性は面方向対向放電型PDPと同程度に達すると、考えられる。
同時に、前面板11にある維持電極41、42の対SUS(図7)を1本の帯状の維持電極61に変更したことにより、一放電セル23に対応する透明電極32およびバス電極33(図1参照)の本数も同様に2本から1本に減らせる。そうすると、放電セル23の開口部(隔壁12の上面)を跨いで延びる透明電極32(実際にはITO等の透明電極であっても所定の透過率を有している。)や不透明なバス電極33の数が減って、これにより、放電セル23の開口部の開口率が高まり、PDPの輝度が更に向上する。
なお、図示を省略しているが、本変形例に係るPDPの放電セル23において、横リブ12aの内側にある2本の走査電極51、52を、例えば、横リブ12aの第1層(下層)と第2層(上層)の間に挟まれた、1個の層間電極に変更することも可能である。こうすると、横リブ12aの第1層および第2層並びに層間電極を何れも、スクリーン印刷法により連続的に形成できてPDPの製造工程の簡素化が図れ、好適である。
〔変形例3〕
変形例2に係るPDPの放電セル23では、1本の維持電極61を前面板11に配置し、かつ走査電極51、52からなる走査電極の対SCANを横リブ12aの内側に配置して構成されているが(図8参照)、ここでは、変形例2に対する更なる変形例として(変形例3)、図9に示す如く、図8の走査電極51、52からなる走査電極の対SCANを、1本の帯状の走査電極62に替えて、かつこれを前面板11に配置する一方、1本の維持電極61を維持電極71、72からなる維持電極の対SUSに替えて、かつ維持電極の対SUSを横リブ12aの内側に配置するように構成されている。
即ち、本変形例によるPDPの放電セル23は、図8に示した放電セル23に対し、走査電極と維持電極の配置関係を逆にして構成されている点で、図8の放電セル23と相違している。
なお、1本の走査電極62は、図示を省略しているが、図1に示した透明電極32に相当する電極と図1に示したバス電極33に相当する電極からなる積層電極構造を有している。
なお、変形例2(図8)におけるPDPの放電セル23の各部材に対応する図9の各部材には、図8の参照番号と同一の番号を付し、これらの部材の詳細な説明を省略する。
PDPの書込み期間において、選択対象の放電セル23に、データ電極21と走査電極62との間に適正なパルス電圧を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には、1本の走査電極62と維持電極71との間に、図9の点線で示す如くAパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成され、1本の走査電極62と維持電極72との間に、図9の点線で示す如くBパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成される。
本変形例に係るPDPによれば、本実施の形態に係るPDP100と同様に、AおよびBパターンの両方の斜め対向放電を同時に放電セル23に形成することにより、PDPの放電セル23の発光効率が高められ、延いては、更なる高精細PDPに充分対応可能なレベルにまでPDPの輝度が向上する。
逆に言えば、AおよびBパターンからなる斜め対向放電を採用したPDPの輝度を、従来の面放電等によるPDPの輝度レベルと同程度に保つ場合には、PDPの消費電力を下げることが可能である。
更に、このような斜め対向放電は、従来の面放電に比べて、対向する電極の間において放電する対向放電の形態に近いことから、本変形例によるPDPは、面放電型PDPよりも優れた放電制御の容易性および放電開始電圧の低電圧性能を実現し、これらの特性は面方向対向放電型PDPと同程度に達すると、考えられる。
また、前面板11に1本の帯状の走査電極62に配置したことにより、一放電セル23に対応する透明電極32およびバス電極33(図1参照)の本数も1本になる。そうすると、放電セル23の開口部(隔壁12の上面の開口部分)を跨いで延びる所定透過率の透明電極32および不透明なバス電極33の数が最小限に限定され、これにより、放電セル23の開口部の開口率が高まり、PDPの輝度が更に向上する。
勿論、前面板11にある1本の帯状の走査電極62を、一対の走査電極からなる走査電極の対に分割して構成することも可能であり、このような構成により、走査電極の対のうちの左側の走査電極と維持電極71との間の放電ギャップ長および走査電極の対のうちの右側の走査電極と維持電極72との間の放電ギャップ長の最適化が図れて好適である。
〔変形例4〕
変形例3に係るPDPの放電セル23では、横リブ12aの内側に2本の維持電極71、72を配置して構成されているが(図9参照)、ここでは、変形例3に対する更なる変形例として(変形例4)、図10に示す如く、左右両方の横リブ12aに、横リブ12aの第1層(下層)と第2層(上層)に間に挟まれ、2本の維持電極71、72を一体化させた層間維持電極81を配置して構成されている。
なお、変形例3(図9)におけるPDPの放電セル23の各部材に対応する図10の各部材には、図9の参照番号と同一の番号を付し、これらの部材の詳細な説明を省略する。
PDPの書込み期間において、選択対象の放電セル23にデータ電極21と維持電極62との間に適正なパルス電圧を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には、1本の走査電極62と、左側の横リブ12aにある層間維持電極81の右側面81aと、の間に、図10の点線で示す如くAパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成され、1本の走査電極62と、左側の横リブ12aにある層間維持電極81の左側面81bと、の間に、図10の点線で示す如くBパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成される。
本変形例に係るPDPによれば、本実施の形態に係るPDP100と同様に、AおよびBパターンの両方の斜め対向放電を同時に放電セル23に形成することにより、PDPの放電セル23の発光効率が高められ、延いては、更なる高精細PDPに充分対応可能なレベルにまでPDPの輝度が向上する。
逆に言えば、AおよびBパターンからなる斜め対向放電を採用したPDPの輝度を、従来の面放電等によるPDPの輝度レベルと同程度に保つ場合には、PDPの消費電力を下げることが可能である。
更に、このような斜め対向放電は、従来の面放電に比べて、対向する電極の間において放電する対向放電の形態に近いことから、本変形例によるPDPは、面放電型PDPよりも優れた放電制御の容易性および放電開始電圧の低電圧性能を実現し、これらの特性は面方向対向放電型PDPと同程度に達すると、考えられる。
また、前面板11に1本の帯状の走査電極62に配置したことにより、一放電セル23に対応する透明電極32およびバス電極33(図1参照)の本数も1本になる。そうすると、放電セル23の開口部(隔壁12の上面の開口部分)を跨いで延びる所定透過率の透明電極32や不透明なバス電極33の数が最小限に限定され、これにより、放電セル23の開口部の開口率が高まり、PDPの輝度が向上する。
更に、横リブ12aの第1層および第2層並びに層間維持電極81を何れも、スクリーン印刷法により連続的に形成でき、PDPの製造工程の簡素化が図れる。
勿論、前面板11にある1本の帯状の走査電極62を、一対の走査電極からなる走査電極の対に分割して構成することも可能であり、このような構成により、走査電極の対のうちの左側の走査電極と維持電極71との間の放電ギャップ長および走査電極の対のうちの右側の走査電極と維持電極72との間の放電ギャップ長の最適化が図れて好適である。
〔変形例5〕
変形例4に係るPDPの放電セル23では、前面板11に1本の帯状の走査電極62を配置して構成されているが(図10参照)、ここでは、変形例4に対する更なる変形例として(変形例5)、図11に示す如く、紙面垂直方向(図1の第2方向)に延びる1本の帯状の走査電極62を、左右方向(図1の第1方向)に所定の間隙を設けて第2方向に延びる一対の帯状の走査電極91、92からなる走査電極の対SCANに分割するように替えている。
更に、前面板11の前面ガラス板30の内表面から走査電極の対SCANの間隙を介して下方に、前面板11の誘電体層34や保護層35を貫通して放電セル23の内部(放電空間)を仕切るように延びる板状の仕切り壁93(隔壁)と、この仕切り壁93の表面に設けられた蛍光体層94と、が設けられている。
なお、変形例4(図10)におけるPDPの放電セル23の各部材に対応する図11の各部材には、図10の参照番号と同一の番号を付し、これらの部材の詳細な説明を省略する。
PDPの書込み期間において、選択対象の放電セル23にデータ電極21と走査電極91、92との間に適正なパルス電圧を印加することにより、PDPの維持期間において、選択対象の放電セル23には、走査電極91と、左側の横リブ12aにある層間維持電極81の右側面81aと、の間に、図11の点線で示す如くAパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成され、走査電極92と、右側にある層間維持電極81の左側面81bと、の間に、図11の点線で示す如くBパターンの放電路(維持放電;斜め対向放電)が形成される。
本変形例に係るPDPによれば、本実施の形態に係るPDP100と同様に、本実施の形態に係るPDP100と同様に、AおよびBパターンの両方の斜め対向放電を同時に放電セル23に形成することにより、PDPの放電セル23の発光効率が高められ、延いては、更なる高精細PDPに充分対応可能なレベルにまでPDPの輝度が向上する。
逆に言えば、AおよびBパターンからなる斜め対向放電を採用したPDPの輝度を、従来の面放電等によるPDPの輝度レベルと同程度に保つ場合には、PDPの消費電力を下げることが可能である。
更に、このような斜め対向放電は、従来の面放電に比べて、対向する電極の間において放電する対向放電の形態に近いことから、本変形例によるPDPは、面放電型PDPよりも優れた放電制御の容易性および放電開始電圧の低電圧性能を実現し、これらの特性は面方向対向放電型PDPと同程度に達すると、考えられる。
また、横リブ12aの第1層および第2層並びに層間維持電極81を何れも、スクリーン印刷法により連続的に形成でき、PDPの製造工程の簡素化が図れる。
更に、放電セル23の左右方向(第1方向)略中央部に設けた仕切り壁93によれば、Aパターンの放電路の放電領域とBパターンの放電路の放電領域とが、この仕切り壁93により適切に分割され、このことから走査電極91、92と層間維持電極81との間の誤放電が防止され好適である。
また、こうした仕切り壁93の表面に蛍光体層94を設けることにより、この蛍光体層94を放電セル23の発光に寄与させ得ることから放電セル23の発光効率が更に向上する。
なお、ここで述べた仕切り壁93と同様のものを、図4(実施の形態)および図7(変形例1)に示したPDPに設けることが可能である。また、図9(変形例3)の1本の走査電極62を一対の走査電極の対に分割すれば、同様の仕切り壁を図9に示したPDPに設けることもできる。
本発明のPDPおよびこれの駆動方法は、放電領域の拡大化を可能にして、高階調表示性能を発揮することができ、例えば高精細型PDPに適用できる。
本実施の形態に係るPDPの構成例を示した立体斜視図である。 PDPの駆動用の回路構成例の概略を示したブロック図である。 PDPを駆動するためのパルス電圧のタイミングおよびレベルを例示したパルス波形図である。 データ電極の幅方向の中央部に位置するPDPの、データ電極の延びる方向に沿った一放電セル分の断面を示した断面図である。 AおよびBパターンの放電路を選択形成するためのパルス波形の一例を示した図である。 横リブの内側に高さを相違するように走査電極を形成する放電セルの製造方法の一例を説明するための放電セルの断面図である。 変形例1における放電セルの断面を示した断面図である。 変形例2における放電セルの断面を示した断面図である。 変形例3における放電セルの断面を示した断面図である。 変形例4における放電セルの断面を示した断面図である。 変形例5における放電セルの断面を示した断面図である。
符号の説明
10 背面板
11 前面板
12 隔壁
12a 横リブ
12a1 第1横リブ
12a2 第2横リブ
12a3 第3横リブ
12b 縦リブ
13 フィルタ
20 背面ガラス板
21 データ電極
22 誘電体層
23 放電セル
24 蛍光体
30 前面ガラス板
31 ブラックストライプ
32 透明電極
33 バス電極
34 誘電体層
35 保護層
41、42、71、72 維持電極
51、52、91、92 走査電極
53 保護膜
61 1本の維持電極
62 1本の走査電極
81 層間維持電極
81a 右側面
81b 左側面
93 仕切り壁
94 蛍光体層
100 PDP
111 走査電極ドライバ
112 維持電極ドライバ
113 データ電極ドライバ
114 制御装置
G 隙間
SCAN 走査電極の対
SUS 維持電極の対
P 一画素

Claims (22)

  1. 第1基板と、前記第1基板に対向配置された第2基板と、両基板の間に設けられ、発光最小領域に対応する複数の放電セルと、を備え、
    前記第2基板に形成された表示電極と、前記放電セルに形成された表示電極と、の間に形成される放電路が、前記第2基板に対して傾斜してなるプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記傾斜の方向を違えた複数の前記放電路を有している請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記第1基板および前記第2基板の間の空間を、平面視において前記放電セルを構成する空間がマトリクス状に配置されるように区画する、第1方向に延びる複数の第1隔壁および前記第1方向に直交する第2方向に延びる複数の第2隔壁と、前記放電セル毎に、前記第1方向に延びるように前記第1基板に配置された複数のデータ電極と、前記放電セル毎に、前記第2方向に延びるように前記第2基板に配置された複数の第1表示電極と、前記放電セル毎に、前記第2方向に延びるように前記第2隔壁に配置された第2表示電極と、を備え、
    前記第1表示電極と前記第2表示電極との間に前記放電路が形成される請求項1または2記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 前記放電セルの底面および前記第1隔壁の側面に、蛍光体を設けてなる請求項3記載のプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記第2表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの書込み期間中に、前記データ電極との間で、前記放電セルを選択するための書込み電圧を印加する走査電極であり、前記第1表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの維持期間中に、前記走査電極との間で、前記選択された放電セルを発光するための維持電圧を印加する維持電極である請求項3記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記第1表示電極は、前記走査電極との間で第1放電路を形成する第1維持電極および前記走査電極との間で第2放電路を形成する第2維持電極からなる維持電極の対である請求項5記載のプラズマディスプレイパネル。
  7. 前記第2表示電極は、前記維持電極との間で第1放電路を形成する第1走査電極および前記維持電極との間で第2放電路を形成する第2走査電極からなる走査電極の対である請求項5記載のプラズマディスプレイパネル。
  8. 前記データ電極と前記第1走査電極との間の距離と、前記データ電極と前記第2走査電極との間の距離と、が相違して構成される請求項7記載のプラズマディスプレイパネル。
  9. 前記第1維持電極と前記第2維持電極との間に配置され、前記放電セルの内部を仕切る第3隔壁を設けてなる請求項6記載のプラズマディスプレイパネル。
  10. 前記第3隔壁の表面に、蛍光体を設けてなる請求項9記載のプラズマディスプレイパネル。
  11. 前記第1表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの書込み期間中に、前記データ電極との間で前記放電セルを選択するための書込み電圧を印加する走査電極であり、前記第2表示電極が、前記プラズマディスプレイパネルの維持期間中に、前記走査電極との間で前記選択された放電セルを発光するための維持電圧を印加する維持電極である請求項3記載のプラズマディスプレイパネル。
  12. 前記第1表示電極は、前記維持電極との間で第1放電路を形成する第1走査電極および前記維持電極との間で第2放電路を形成する第2走査電極からなる走査電極の対である請求項11記載のプラズマディスプレイパネル。
  13. 前記第2表示電極は、前記走査電極との間で第1放電路を形成する第1維持電極および前記走査電極との間で第2放電路を形成する第2維持電極からなる維持電極の対である請求項11記載のプラズマディスプレイパネル。
  14. 前記第1走査電極および前記第2走査電極の間に配置され、前記放電セルの内部を仕切る第3隔壁を設けてなる請求項12記載のプラズマディスプレイパネル。
  15. 前記第3隔壁の側面に、蛍光体を設けてなる請求項14記載のプラズマディスプレイパネル。
  16. 互いに対向する第1基板と第2基板との間に配置された隔壁によりマトリクス状に区画され、発光最小領域に対応する複数の放電セルと、前記放電セル毎に、第1方向に延びるように前記第1基板に配置されたデータ電極と、前記放電セル毎に、前記第1方向に直交する第2方向に延びるように前記第2基板に配置された第1表示電極と、前記第1方向に延びて前記隔壁に配置された第2表示電極と、制御装置と、を備えたプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
    前記制御装置は、前記プラズマディスプレイパネルの書込み期間中に、前記第1および第2表示電極のうちの一方を走査電極として、この走査電極に前記データ電極との間で前記放電セルを選択するための書込み電圧を印加し、前記プラズマディスプレイパネルの維持期間中に、前記第1および第2表示電極のうちの他方を維持電極として、この維持電極に前記走査電極との間で前記選択された放電セルを発光するための維持電圧を印加して、前記プラズマディスプレイパネルを駆動するプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
  17. 前記制御装置は、前記第1表示電極を前記維持電極として前記プラズマディスプレイパネルを駆動し、前記維持期間中に、前記第2表示電極を、前記維持電極との間で第1放電路を形成する第1走査電極および前記維持電極との間で第2放電路を形成する第2走査電極からなる走査電極の対として、前記プラズマディスプレイパネルを駆動する請求項16記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
  18. 前記制御装置は、前記書込み期間中に、前記第1走査電極に印加する電圧と前記第2走査電極に印加する電圧とを違えるように前記プラズマディスプレイパネルを駆動する請求項17記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
  19. 前記データ電極と前記第1走査電極との間の距離を、前記データ電極と前記第2走査電極との間の距離よりも長くして構成されたプラズマディスプレイパネルの駆動方法であって、
    前記制御装置は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第1および第2走査電極との間に第1電圧を印加することにより、前記維持期間中に、前記第2放電路を形成するように前記プラズマディスプレイパネルを駆動する請求項17記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
  20. 前記第1電圧は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第2走査電極との間の放電により前記放電セルに壁電荷を形成可能な電圧である請求項19記載のプラズマディスプレイパネル。
  21. 前記制御装置は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第1および第2走査電極との間に前記第1電圧より大きい第2電圧を印加することにより、前記維持期間中に、前記第1放電路および前記第2放電路を形成するように前記プラズマディスプレイパネルを駆動する請求項19記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。
  22. 前記第2電圧は、前記書込み期間中に、前記データ電極と前記第1走査電極との間の放電および前記データ電極と前記第2走査電極との間の放電により前記放電セルに壁電荷を形成可能な電圧である請求項21記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法。


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