JP4109144B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイパネルに関し、さらに詳しくは、プラズマディスプレイ装置に用いられるプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)の電極構造に関する。PDPは、広視野角をもった薄型表示デバイスとして注目されており、ハイビジョン分野などへの用途拡大に向けて高精細化および大画面化が進められている。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレイ装置に用いられるPDPとして、高精細化を図るために、表示電極を、隣接する電極どうしを電極対として面放電が生じるように配置したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図16はこのPDPを平面的に見た状態を示す説明図である。
このPDPでは、複数の表示電極Xn(nは任意の自然数)と表示電極Ynが画面の列方向に、面放電が発生できる間隔たとえば等間隔に配置されており、隣り合う表示電極X,Y間と表示電極Y,X間が全て面放電可能な表示ラインLとなっている。そして、表示電極X,Yに対して垂直に交差する方向に複数の選択用電極としてのアドレス電極Aが配置され、アドレス電極Aとアドレス電極Aとの間には隔壁29が配置されている。表示ラインLとアドレス電極Aとの交差部がセル(単位発光領域)となる。なお、表示電極Xは、維持放電用の電極であるため維持電極と呼ばれたり、単にX電極と呼ばれたりもする。また、表示電極Yは、スキャン用の電極であるためスキャン電極と呼ばれたり、単にY電極と呼ばれたりもする。
【0004】
図17はこのPDPの駆動回路を示すブロック図である。
X1〜n電極はX電極ドライバ回路41に接続され、Y1〜n電極はYスキャンドライバ42を介してY電極ドライバ回路43に接続され、アドレス電極A1〜nはアドレスドライバ回路44に接続されている。そして、X電極ドライバ回路41、Y電極ドライバ回路43およびアドレスドライバ回路44は、制御回路部45に接続され、この制御回路部45によってPDPの駆動が制御されるようになっている。
【0005】
このPDPでは、X電極とY電極とで面放電のための電極対を構成する。このため、隣り合う2行の表示ラインに1本のY電極がスキャン電極として共用されることになる。つまり、発光させるべきセルを選択するための選択用放電(以後「アドレス放電」という)を発生させる際に、奇数行の表示ラインL2n-1と偶数行の表示ラインL2nとで1本のYn電極が共用される。なお、この表示電極が隣接する電極の全ての電極間で面放電を生じるよう配置された構造のPDPを、この明細書では、ALiS(Alternate Lighting of Surfaces)構造のPDPと呼ぶ。
【0006】
このALiS構造のPDPでは、画面の表示は、インタレース形式で行う。すなわち、1フレームを、奇数表示ラインを表示する奇数フィールドと、偶数表示ラインを表示する偶数フィールドとで構成し、各奇数フィールドと偶数フィールドを、さらに重み付けをした複数のサブフィールド(以後、サブフィールドを「sf」という)で構成する。
【0007】
そして、奇数フィールドの各sfでは、Y1〜n電極に順次走査用の電圧を印加し、その間に所望のアドレス電極Aに選択用の電圧を印加し、アドレス電極AとY電極間でアドレス放電を発生させてY電極の誘電体層上に壁電荷を形成することで、発光させるべきセルを選択する。そして、Xn電極とYn電極間に交互に維持電圧を印加して維持放電を発生させることで、奇数表示ラインの表示を行う。
【0008】
次に、偶数フィールドの各sfでは、再度Y1〜n電極に順次走査用の電圧を印加して、Y電極の誘電体層上に壁電荷を形成し、Yn電極とXn+1電極間に交互に維持電圧を印加して維持放電を発生させることで、偶数表示ラインの表示を行い、これにより、全ての表示ラインの表示を行うようにしている。
【0009】
このALiS構造のPDPでは、X電極とY電極と間の領域を全てセル領域として利用することができるため、画面の高精細化が可能である。
【0010】
【特許文献1】
特開平9−160525号公報(図1)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単位面積あたりの画素数を増加させて高精細化を図ると、セルどうしが接近し、そのため放電の干渉が発生して表示動作が不安定になる。現在パネル構造の主流となっているストライプリブ構造(隔壁が縦方向に直線的に形成された構造、図16参照)のPDPでは、画面を横方向に区切る隔壁は設けられておらず、縦方向に隣接するセルについての放電の干渉が起こりやすい。
【0012】
特に、ALiS構造のPDPは、1本のY電極に付けた壁電荷を奇数表示ラインと偶数表示ラインとの両サイドで利用するパネル構造であるため、縦方向に隣接するセル間での放電の分離が困難となる。
【0013】
ところで、一般に、1フレームを複数のsfで構成する階調駆動方式のPDPでは、1つのsfが終了すると、そのsfの維持放電により生じた残留壁電荷を調整するために、リセット放電を発生させて、セルの初期化を行うようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【0014】
しかし、ALiS構造のPDPでは、このセルの初期化の際、千鳥パターンのような特定パターンを画面表示したsfの後では、リセット放電を発生させても、発光セルと非発光セルとの残留壁電荷がアンバランスなままの状態となることがある。このように、セルの初期化が良好でない場合には、次のアドレス放電の際の放電の干渉がより加速される。また、このようにセルの初期化が良好に行われないと、アドレス放電がうまく発生せず、画素の表示が欠如したり、アドレス放電を発生させていないセルで維持放電が発生して、余剰発光となったりする等の不具合がある。
【0015】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、各主電極を、奇数表示ライン用の第1電極と偶数表示ライン用の第2電極とに分離するとともに、奇数表示ライン用の他方の第1電極と偶数表示ライン用の他方の第2電極とを接続することで、電極の引き出し線を増加させることなく、奇数表示ラインと偶数表示ラインとの放電の干渉を防止することを目的とするものである。
【0016】
【特許文献2】
特開平10−207417号公報。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、放電空間を形成する一対の基板間に、隣接する電極どうしを電極対として面放電が生じるように配置された複数の主電極と、それらの主電極と交差する方向に配置された複数の選択用電極とを備え、隣接する全ての主電極間に表示ラインが設定されるとともに、表示ラインと選択用電極との交差部にセルが設定され、発光させるべきセルを選択するための選択放電を発生させる際に、隣り合う奇数表示ラインと偶数表示ラインとで一本の主電極がスキャン用の電極として共用される電極構造のプラズマディスプレイパネルであって、前記主電極は、奇数表示ラインで面放電を発生させるための第1電極部と、その第1電極部と分離スリットによって電気的に絶縁され偶数表示ラインで面放電を発生させるための第2電極部とに分離され、かつ分離された第1電極部との間で奇数表示ラインを構成する他方の第1電極部が、分離された第2電極部との間で偶数表示ラインを構成する他方の第2電極部に電気的に接続されてなることを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
【0018】
本発明によれば、各主電極が、奇数表示ライン用の第1電極部(以下「部」を省略)と偶数表示ライン用の第2電極部(以下「部」を省略)とに分離されているので、奇数表示ラインと偶数表示ラインとで放電の干渉が発生しない。また、奇数表示ライン用の他方の第1電極と偶数表示ライン用の他方の第2電極とが接続されているので、主電極を分離しても、電極の引き出し線を分離前の本数に抑えて、電極を駆動回路に接続することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明において、一対の基板としては、ガラス、石英、セラミック等の基板や、これらの基板上に、電極、絶縁膜、誘電体層、保護膜等の所望の構成物を形成した基板が含まれる。
【0020】
複数の主電極は、一対の基板のいずれか一方の基板上に、隣接する電極どうしを電極対として面放電が生じるように配置されていればよく、当該分野で公知の各種の材料と方法を適用して形成することができる。具体的には、例えば、ITO、SnO2などの透明な導電性材料や、Ag、Au、Al、Cu、Crなどの金属の導電性材料を用いて形成することができる。
【0021】
主電極は、たとえば印刷などの厚膜形成技術を用いて形成してもよい。また、物理的堆積法または化学的堆積法からなる薄膜形成技術とフォトエッチングの技術を用いて形成してもよい。厚膜形成技術としては、スクリーン印刷法などが挙げられる。薄膜形成技術の内、物理的堆積法としては、蒸着法やスパッタ法などが挙げられる。化学的堆積方法としては、熱CVD法や光CVD法、あるいはプラズマCVD法などが挙げられる。フォトエッチングの技術としては、当該分野で公知のリソグラフィー技術とエッチング技術を適用することができる。
【0022】
選択用電極は、主電極と交差する方向に配置されていればよく、主電極と同様の材料と方法を用いて形成することができる。ただし、選択用電極は、一般に背面側の基板に形成されることが多く、その場合には、光透過性が要求されないので、ITO、SnO2などの透明な導電性材料を用いず、Ag、Au、Al、Cu、Crなどの金属の導電性材料だけを用いて形成される。
【0023】
本発明においては、各主電極を、奇数表示ラインで面放電を発生させるための第1電極と、偶数表示ラインで面放電を発生させるための第2電極とに分離し、第1電極と第2電極とを分離スリットによって電気的に絶縁する。そして、さらに、分離された第1電極と奇数表示ラインを介して面放電を発生させる他方の第1電極と、分離された第2電極と偶数表示ラインを介して面放電を発生させる他方の第2電極とを、互いに電気的に接続する。
【0024】
第1電極と第2電極は、分離スリットによって電気的に絶縁されていればよく、この分離スリットには、空気を絶縁物とする空間を設けてもよいし、ガラス、セラミックス、樹脂などの絶縁物を配置してもよい。
【0025】
また、他方の第1電極と他方の第2電極とは、互いに電気的に接続されていればよい。この接続は、どのような接続であってもよいが、前面側の基板または背面側の基板の表示領域外に配線用の電極を形成して接続することが望ましい。
【0026】
駆動回路は、表示データに応じて、上記のプラズマディスプレイパネルの電極に駆動電圧を供給できるものであればよい。
【0027】
上記の構成において、第1電極及び第2電極は、それぞれ帯状のバス電極と、そのバス電極から面放電間隙に向けて延出された突起形状の透明電極として形成することが望ましい。
【0028】
第1電極と第2電極との間の分離スリットの少なくとも選択用電極と平面的に見て交差する位置には、第1電極と第2電極との放電の干渉を防止する放電障壁を設けることが望ましい。
【0029】
第1電極と第2電極との間の分離スリットの位置には、光遮蔽体を設けておくことが望ましい。これによりパネルの反射率を低減させることができる。
【0030】
スキャン電極として用いられる第1電極および第2電極と平面的に見て重なる位置の選択用電極には、島状のパッドを形成しておいてもよい。これにより、スキャン電極として用いられる主電極と選択用電極との間で発生される選択用放電をスムーズに発生させることができる。
【0031】
駆動回路は、上記PDPに対し、1フレームを奇数フィールドと偶数フィールドで構成して画面表示を行い、奇数フィールドでは、奇数表示ラインを介して対向する第1電極間どうしで表示放電を発生させ、偶数フィールドでは、偶数表示ラインを介して対向する第2電極間どうしで表示放電を発生させるようにしてもよい。
【0032】
また、駆動回路は、上記PDPに対し、奇数フィールドの表示放電の期間では、奇数表示ラインの表示放電を全て同じタイミングで発生させ、偶数フィールドの表示放電の期間では、偶数表示ラインの表示放電を全て同じタイミングで発生させるようにしてもよい。
【0033】
さらに、駆動回路は、上記PDPに対し、奇数フィールドの表示放電の期間では、奇数表示ラインの表示放電を、奇数表示ライン中の奇数番目と偶数番目とで時間的に異なるタイミングで発生させ、偶数フィールドの表示放電の期間では、偶数表示ラインの表示放電を、偶数表示ライン中の奇数番目と偶数番目とで時間的に異なるタイミングで発生させるようにしてもよい。
【0034】
あるいは、駆動回路は、上記PDPに対し、奇数フィールド及び偶数フィールドを、それぞれ複数のサブフィールドで構成し、各サブフィールドにセルの電荷を均一にするためのリセット放電を発生させるリセット期間と、発光させるべきセルを選択するための選択放電を発生させる選択期間とを設定して画面表示を行い、リセット期間において、奇数表示ラインを介して対向する第1電極間どうし、および偶数表示ラインを介して対向する第2電極間どうしに、正極性または負極性のパルス電圧を印加して、リセット放電を発生させるようにしてもよい。
【0035】
また、駆動回路は、上記PDPに対し、奇数フィールド及び偶数フィールドを、それぞれ複数のサブフィールドで構成し、各サブフィールドにセルの電荷を均一にするためのリセット放電を発生させるリセット期間と、発光させるべきセルを選択するための選択放電を発生させる選択期間とを設定して画面表示を行い、選択期間において、分離された第1電極と第2電極に対し、異なる電位を印加して選択放電を発生させるようにしてもよい。
【0036】
以下、図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳述する。なお、本発明はこれによって限定されるものではなく、各種の変形が可能である。
【0037】
図1は本発明のプラズマディスプレイ装置に用いられるPDPの構成を示す部分分解斜視図である。このPDPはカラー表示用のAC型3電極面放電形式のPDPである。
【0038】
本PDP10は、前面側(表示面側)の基板11を含む前面側のパネルアセンブリと、背面側の基板21を含む背面側のパネルアセンブリから構成されている。前面側の基板11と背面側の基板21としては、ガラス基板、石英基板、セラミックス基板等を使用することができる。
【0039】
前面側の基板11の内側面には、水平方向に複数の表示電極Xと表示電極Yがすべての隣接する電極間で面放電を生じるように等間隔に形成されている。そして、各表示電極Xは奇数表示ライン用の第1表示電極Xaと偶数表示ライン用の第2表示電極Xbとに分離されている。また、各表示電極Yも奇数表示ライン用の第1表示電極Yaと偶数表示ライン用の第2表示電極Ybとに分離されている。各表示電極Xa,Xb,Ya,Ybは、ITO、SnO2などの幅の広い透明電極12と、例えばAg、Au、Al、Cu、Cr及びそれらの積層体(例えばCr/Cu/Crの積層構造)等からなる金属製の幅の狭いバス電極13から構成されている。これらの表示電極は、Ag、Auについてはスクリーン印刷のような厚膜形成技術を用い、その他については蒸着法、スパッタ法等の薄膜形成技術とフォトエッチング技術を用いることにより、所望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成することができる。
【0040】
表示電極X,Yの上には、それらの表示電極を覆うように交流(AC)駆動用の誘電体層17が形成されている。誘電体層17は、低融点ガラスペーストを、前面側の基板11上にスクリーン印刷法で塗布し、焼成することにより形成している。
【0041】
誘電体層17の上には、表示の際の放電により生じるイオンの衝突による損傷から誘電体層17を保護するための保護膜18が形成されている。この保護膜は、例えば、MgO、CaO、SrO、BaO等からなる。
【0042】
背面側の基板21の内側面には、平面的にみて表示電極X,Yと交差する方向に複数のアドレス電極(選択用電極であり、信号電極やデータ電極などとも呼ばれる)Aが形成され、そのアドレス電極Aを覆って誘電体層24が形成されている。アドレス電極Aは、スキャン用の表示電極Ya,Ybとの交差部で発光セルを選択するためのアドレス放電を発生させるものであり、Cr/Cu/Crの3層構造で形成されている。このアドレス電極Aは、その他に、例えばAg、Au、Al、Cu、Cr等で形成することもできる。アドレス電極Aも、表示電極と同様に、Ag、Auについてはスクリーン印刷のような厚膜形成技術を用い、その他については蒸着法、スパッタ法等の薄膜形成技術とフォトエッチング技術を用いることにより、所望の本数、厚さ、幅及び間隔で形成することができる。誘電体層24は、誘電体層17と同じ材料、同じ方法を用いて形成することができる。
【0043】
隣接するアドレス電極Aとアドレス電極Aとの間の誘電体層24上には、複数の隔壁29が形成されている。隔壁29は、サンドブラスト法、印刷法、フォトエッチング法等により形成することができる。例えば、サンドブラスト法では、低融点ガラスフリット、バインダー樹脂、溶媒等からなるガラスペーストを誘電体層24上に塗布して乾燥させた後、そのガラスペースト層上に隔壁パターンの開口を有する切削マスクを設けた状態で切削粒子を吹きつけて、マスクの開口に露出したガラスペースト層を切削し、さらに焼成することにより形成する。また、フォトエッチング法では、切削粒子で切削することに代えて、バインダー樹脂に感光性の樹脂を使用し、マスクを用いた露光及び現像の後、焼成することにより形成する。
【0044】
隔壁29の側面及び隔壁間の誘電体層24上には、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体層28R、28G、28Bが形成されている。蛍光体層28R、28G、28Bは、蛍光体粉末とバインダー樹脂と溶媒とを含む蛍光体ペーストを隔壁29間の凹溝状の放電空間内にスクリーン印刷、又はディスペンサーを用いた方法などで塗布し、これを各色毎に繰り返した後、焼成することにより形成している。この蛍光体層28R、28G、28Bは、蛍光体粉末と感光性材料とバインダー樹脂とを含むシート状の蛍光体層材料(いわゆるグリーンシート)を使用し、フォトリソグラフィー技術で形成することもできる。この場合、所望の色のシートを基板上の表示領域全面に貼り付けて、露光、現像を行い、これを各色毎に繰り返すことで、対応する隔壁間に各色の蛍光体層を形成することができる。
【0045】
PDP10は、上記した前面側のパネルアセンブリと背面側のパネルアセンブリとを、表示電極X、Yとアドレス電極Aとが交差するように対向配置し、周囲を封止し、隔壁29で囲まれた放電空間30に放電ガスを充填することにより作製されている。このPDPでは、表示電極Xa,Ya間の奇数表示ラインとアドレス電極Aとの交差部の放電空間30、および表示電極Xb,Yb間の偶数表示ラインとアドレス電極Aとの交差部の放電空間30が、表示の最小単位である1つのセル領域(単位発光領域)となる。1画素はR、G、Bの3つのセルで構成される。
【0046】
図2は表示電極の詳細構成を示す説明図である。
表示電極は、X側の電極に関しては、各X電極が、奇数表示ラインLoddを表示するためのXa電極(第1電極)と、偶数表示ラインLevenを表示するためのXb電極(第2電極)とに、分離スリットSを隔てて電気的に分離されている。また、Y側の電極に関しても同様に、各Y電極が、奇数表示ラインLoddを表示するためのYa電極(第1電極)と、偶数表示ラインLevenを表示するためのYb電極(第2電極)とに、分離スリットSを隔てて電気的に分離されている。
【0047】
そして、分離されたXa電極と奇数表示ラインLoddを介して面放電を発生させるYa電極と、分離されたXb電極と偶数表示ラインLevenを介して面放電を発生させるYb電極とが、互いに電気的に接続されている。同様に、分離されたYa電極と奇数表示ラインLoddを介して面放電を発生させるXa電極と、分離されたYb電極と偶数表示ラインLevenを介して面放電を発生させるXb電極とが、互いに電気的に接続されている。そして、この接続されたYa電極とYb電極が一本のY電極として基板の一方端に引き出され、接続されたXa電極とXb電極が一本のX電極として基板の他方端に引き出されている。
【0048】
図中Hは画面の表示領域であり、一方のYa電極と2表示ライン越えた他方のYb電極との接続、および一方のXa電極と2表示ライン越えた他方のXb電極との接続は、それぞれ前面側の基板の画面の表示領域H外に接続用の電極を形成することにより行われ、基板の一方と他方の端部に引き出されている。
【0049】
本発明の電極構造と比較して、Y電極が、Ya電極とYb電極のように分離されていない場合には、Y電極の両側にあるセルに対してリセット放電を行うため、放電の始まりの差がリセット後における電荷アンバランスを助長することがあった。しかし、本発明の電極構造であれば、隣接しているY電極が、Ya電極とYb電極として電気的に分離されているため、それぞれの表示セルに対して、独立にリセット放電を発生させて、セルの初期化を確実に行うことができる。これにより、千鳥パターンのような特定パターンを画面表示したsfの後でも、セルの初期化が確実に行われるので、表示品位を向上させることができる。
【0050】
また、奇数表示ラインLoddと偶数表示ラインLevenを挟んで対向するXa電極とXb電極を接続するとともに、Ya電極とYb電極を接続するようにしたので、電極の引き出し線については、従来のALiS構造のPDPと同じ本数とすることができる。
【0051】
本発明の電極構造において、放電スリット(表示ラインLのスリット)と分離スリットは任意に設定してよい。分離スリットを放電スリットより小さくした場合には、維持放電における放電がより伸びるので高輝度化が可能である。すなわち、たとえば、Xb電極−Yb電極間で維持放電を発生させた場合、Xbに隣接するXa電極と、Ybに隣接するYa電極まで放電が伸びるので、高輝度化が可能である。
【0052】
一方、分離スリットを放電スリットより大きくした場合は、維持放電の伸びを抑えることができるため、放電の拡散によるマージンへの影響を少なくすることができる。このように、分離スリットと放電スリットに関しては、マージン、輝度等の総合的評価で決定すればよい。
【0053】
また、本発明におけるセル構造において、バス電極の位置も任意に設定することができる。バス電極を放電スリット付近に配置した場合には、放電が始まる部分の電気抵抗が低いので、放電開始電圧を低減することができる。逆に、バス電極を分離スリット付近に配置した場合には、放電強度の弱い部分を遮光することとなるので、放電スリット付近に配置した場合よりも高輝度化を図ることができる。
【0054】
図3は表示電極の形状を櫛歯状にした例を示す説明図である。
上述の表示電極はストレート構造のものを示したが、この例では、透明電極12を、帯状のバス電極13から面放電間隙に向けて延出された突起形状としており、表示電極の形状が全体として櫛歯状になっている。
【0055】
図4は透明電極の形状をT字状にした例を示す説明図である。
この例では、透明電極12を、帯状のバス電極13から面放電間隙に向けて延出されたT字状としている。
図3および図4に示したように、透明電極12を突起状電極とすることにより、ピーク電流の集中を防ぐことができる。
【0056】
図5は分離スリットに放電障壁を設けた例を示す説明図である。
この例は、分離したXa電極とXb電極との間の分離スリットS、および分離したYa電極とYb電極との間の分離スリットSに、放電障壁Bを設けた例である。この放電障壁Bは、平面的に見てアドレス電極Aと重なる位置に設けている。この放電障壁Bは、隔壁29と同じ材料を用いて、隔壁29と同時に形成する。つまり、誘電体層24の上に、隔壁29と同じ高さで形成する。
【0057】
この例では、隔壁29と同じ高さの放電障壁Bを、平面的に見てアドレス電極Aと重なる位置に設けているが、隔壁29よりも低い高さの放電障壁Bを分離スリットS全体に配置してもよい。
この放電障壁Bにより、Xa電極とXb電極との間の放電の干渉、およびYa電極とYb電極との間の放電の干渉を防止する。
【0058】
図6は分離スリットに光遮蔽体を配置した例を示す説明図である。
この例は、分離したXa電極とXb電極との間の分離スリットS、および分離したYa電極とYb電極との間の分離スリットSに、光遮蔽体Cを配置した例である。この光遮蔽体Cは、分離スリットS全体に配置している。
【0059】
この光遮蔽体Cは、たとえば黒色顔料を添加した低融点ガラスペーストなどを用い、この低融点ガラスペーストを、電極形成後に分離スリットに塗布して焼成することにより形成する。この光遮蔽体Cを分離スリットSに配置することにより、パネルの反射率を低減させることができる。
【0060】
図7はアドレス電極のY電極対応位置に島状のパッドを形成した例を示す説明図である。
この例は、スキャン電極として用いられるYa電極と平面的に見て重なるアドレス電極Aの位置と、Yb電極と平面的に見て重なるアドレス電極Aの位置とに、島状のパッドPを、それぞれ形成した例である。
これにより、アドレス放電を発生させる際のアドレス電極AとYa電極との間の放電、およびアドレス電極AとYb電極との間の放電を、スムーズに生じさせることができる。
【0061】
図8はPDPの駆動回路を示すブロック図である。
Xa電極とXb電極が接続されたX1〜n電極は、X電極ドライバ回路31に接続され、Ya電極とYb電極が接続されたY1〜n電極は、Yスキャンドライバ32を介してY電極ドライバ回路33に接続され、アドレス電極A1〜nはアドレスドライバ回路34に接続されている。そして、X電極ドライバ回路31、Y電極ドライバ回路33およびアドレスドライバ回路34は、制御回路部35に接続され、この制御回路部35によってPDPの駆動が制御されるようになっている。
【0062】
図9(a)および図9(b)は本電極構造のPDPの駆動方法を示す説明図であり、図10はその駆動方法で駆動する際に印加する電圧波形を示す説明図である。この電圧波形印加の制御は制御回路部35にて行う。
本電極構造のPDPでは、画面の表示をインタレース形式で行うこともできるし、プログレッシブ形式で行うこともできる。
【0063】
まず、インタレース形式で画面表示を行う場合について説明する。
画面表示の際には、1フレームFを、画面の奇数表示ラインを表示する奇数フィールドf1と、画面の偶数表示ラインを表示する偶数フィールドf2とで構成する。なお、必ずしもこの手順で表示する必要はなく、奇数フィールドで偶数表示ラインを表示し、偶数フィールドで奇数表示ラインを表示してもよい。
【0064】
そして、各奇数フィールドf1と偶数フィールドf2を、さらに1:2:4:8:16:32:64:128の比で重み付けをした複数のサブフィールドsf1〜sf8で構成する(図9(a)参照)。
【0065】
そして、各サブフィールドsf1〜sf8の期間Tsfおいて、それぞれ、セルの電荷を初期化するリセット期間TRと、発光させるべきセルを選択するアドレス期間TAと、選択したセルを発光させる維持放電期間TSを設定する(図9(b)参照)。
【0066】
そして、奇数フィールドの各sfでは、リセット期間TRでセルの初期化を行う。このリセット期間では、Y電極に関しては、Y1〜n電極の内の奇数番目のY1〜2n-1電極と、偶数番目のY2〜2n電極とに同じ波形の電圧を印加する。X電極に関しても、X1〜n電極の内の奇数番目のX1〜2n-1電極と、偶数番目のX2〜2n電極とに同じ波形の電圧を印加する。
【0067】
次のアドレス期間TAでは、X 2n-1 電極に電圧Vxを印加した状態でY1〜n電極の内の奇数番目のY1〜2n-1電極に順次走査用の電圧−Vyを印加してゆき、その間に所望のアドレス電極Aに選択用の電圧Vaを印加し、アドレス電極AとYa,Xa電極間でアドレス放電を発生させてYa,Xa電極の誘電体層上に壁電荷を形成することで、発光させるべき奇数表示ラインのセルを選択する(図10中、「前半ADD」として示す)。なお、この前半ADD期間中、Yb電極側ではX 2n 電極に電圧Vxが印加されていないので、Yb,Xb電極間にて放電が発生せず、次の維持放電期間にて放電できる壁電荷が蓄積されない。次に、同様にして、X 2n 電極に電圧Vxを印加した状態でY1〜n電極の内の偶数番目のY2〜2n電極に順次走査用の電圧を印加してゆき、発光させるべき奇数表示ラインのセルを選択する(図10中、「後半ADD」として示す)。
【0068】
そして、次の維持放電期間TSでは、Xn電極群とYn電極群との間に交互に維持電圧を印加して維持放電を発生させる。このとき、奇数番目のY1〜2n-1電極群と奇数番目のX1〜2n-1電極群との間の放電のタイミングと、偶数番目のY2〜2n電極群と偶数番目のX2〜2n電極群との間の放電のタイミングとを、同一にする。つまり、全てのY電極に同波形の電圧を同位相で印加し、全てのX電極に同波形の電圧を同位相で印加し、これを交互に繰り返して、奇数表示ラインで維持放電を発生させる。そして、このサブフィールドをsf1〜sf8まで繰り返すことにより、奇数表示ラインの表示を行う。
【0069】
次に、偶数フィールドの各sfでは、X 2n 電極に電圧Vxを印加した状態で再度Y1〜n電極の内の奇数番目のY 1 〜 2n-1 電極に順次走査用の電圧−Vyを印加してゆき、その間に所望のアドレス電極Aに選択用の電圧Vaを印加し、アドレス電極AとYb,Xb電極間でアドレス放電を発生させてYb,Xb電極の誘電体層上に壁電荷を形成することで、発光させるべき偶数表示ラインのセルを選択する。なお、Ya電極側ではX 2n-1 電極に電圧Vxが印加されていないので、Ya,Xa電極間にて放電が発生せず、次の維持放電期間にて放電できる壁電荷が蓄積されない。次に、同様にして、X 2n-1 電極に電圧Vxを印加した状態でY1〜n電極の内の偶数番目のY 2 〜 2n 電極に順次走査用の電圧を印加してゆき、発光させるべき偶数表示ラインのセルを選択する。そして、Yn電極群とXn+1電極群との間に交互に維持電圧を印加して、偶数表示ラインで維持放電を発生させる。そして、このサブフィールドをsf1〜sf8まで繰り返すことにより、偶数表示ラインの表示を行い、これにより、全ての表示ラインの表示を行う。
【0070】
各セルの発光は、維持放電によって発生された紫外線で蛍光体層中の蛍光体を励起して、蛍光体から所望の色の可視光を発生させることにより行われる。
【0071】
上記の例では、維持放電期間TSにおいて、奇数Xodd電極と奇数Yodd電極との間での放電発光と、偶数Xeven電極と偶数Yeven電極との間での放電発光とを、同じタイミングで行ったが、異なるタイミングで行うようにしてもよい。同じタイミングで行う場合には、維持放電周期を短くできる利点がある。一方、異なるタイミングで行った場合には、放電における回路負荷を軽減することができる。
【0072】
また、本発明の電極構造では、Y電極がYa電極とYb電極として電気的に分離されているので、アドレス放電時にYa電極とYb電極に対して異なる電位を印加することができる。その電位差によって、選択させるセルにはより選択的に放電を発生させることができ、さらに隣接セルに対する放電干渉を抑えることができる。また、図7に示したように、アドレス電極Aに島状のパッドを形成した場合には、さらに選択的にアドレス放電を発生させることができる。
【0073】
図11は電極を分離しない従来のALiS構造のPDPを駆動する際に印加する電圧波形を示す説明図である。
本発明の電極構造であれば、この図に示すような電圧波形を印加して、PDPの画面表示を行うこともできる。
【0074】
図10に示した電圧波形との違いは、維持放電期間TSに印加する電圧波形のみである。この例では、奇数番目のY1〜2n-1電極群と奇数番目のX1〜2n-1電極群との間の放電のタイミングと、偶数番目のY2〜2n電極群と偶数番目のX2〜2n電極群との間の放電のタイミングを、逆相にしている。これを交互に行って奇数表示ラインの表示を行い、その後、偶数表示ラインの表示を行い、これにより、全ての表示ラインの表示を行う。
【0075】
図12はアドレス放電の広がりが防止される様子を示す説明図である。図13は比較例であり、電極を分離していない場合のアドレス放電が広がる様子を示す説明図である。
図13の比較例に示すように、電極を分離していない場合には、アドレス期間にY3電極を走査して、Y3電極とアドレス電極Aとの間で放電を発生させると、放電D1は、Y3電極上全体まで少なくとも広がる。これに対し、本発明の電極構造のように電極を分離した場合には、図12に示すように、アドレス期間にY3電極を走査して、Y3電極とアドレス電極Aとの間で放電を発生させても、放電D2は、Y3電極に隣接するY4電極の電位によってアドレス放電の広がりが抑制され、局所的なアドレス放電を発生させることができる。
【0076】
次に、プログレッシブ形式で画面を表示する場合について説明する。
図14は本電極構造のPDPをプログレッシブ形式で駆動するための駆動シーケンスを示す説明図である。
プログレッシブ形式で画面表示を行うには、本願出願人が平成13年6月19日に出願した特願2001−185387号(特開2003−5699号公報)に記載のプラズマディスプレイパネルの駆動方法を適用することができる。ただし、本電極構造ではX電極とY電極とが、それぞれ2つに分離されている。
【0077】
本駆動シーケンスでは、各サブフィールドsfを、第1リセット期間TR1、第1アドレス期間TA1、第2リセット期間TR2、第2アドレス期間TA2、およびサスティン(維持放電)期間TSで構成する。
【0078】
さらに、第1リセット期間TR1を、第1工程TR1a,第2工程TR1b,第3工程TR1cの3つのシーケンスで構成する。
【0079】
また、第2リセット期間TR2も、第1工程TR2a,第2工程TR2b,第3工程TR2cの3つのシーケンスで構成する。
【0080】
全体の動作としては、表示電極Xを、配列順位が奇数か偶数かでXodd電極とXeven電極に分け、Xodd電極を使用する表示ラインに対しては第1アドレス期間でアドレスを行い、Xeven電極を使用する表示ラインに対しては第2アドレス期間でアドレスを行った上で、サスティン期間に全表示ラインを動作させることにより、プログレッシブ表示を行う。
【0081】
第1リセット期間TR1は、次の第1アドレス期間TA1におけるアドレス放電を正常に動作させるための準備期間である。第1アドレス期間TA1では、Xodd電極を使用する表示ラインに対してのみアドレスを行う。したがって、第1リセット期間TR1では、Xodd電極を使用する表示ラインをアドレス放電が可能な状態にし、Xeven電極を使用する表示ラインをアドレス放電が発生しない状態にする。
【0082】
まず、第1リセット期間の第1工程TR1aにおいて、全表示ラインをアドレス放電が不可能な電荷状態にする(アドレス不能化)。その上で、Xodd電極を使用する表示ラインのみ、第2工程TR1bで書き込みを行い、第3工程TR1cで電荷を調整し、アドレス放電が可能な状態にする。この第2工程TR1bおよび第3工程TR1cでは、Xeven電極を使用する表示ラインは反応させず、アドレス放電が発生しない状態のままにする。
【0083】
次に、第1アドレス期間TA1において、Y電極にスキャンパルスを上から順次印加し、A電極にアドレスパルスを印加することによりアドレスを行う。第1アドレス期間TA1は、Xodd電極を使用する表示ラインのみがアドレス放電可能な状態であるため、Y電極のXodd電極と隣接する表示ラインのみがアドレスされる。アドレスされる表示ラインは順に表示ライン1,4,5,8,9,…で、以下2ライン毎にアドレスされる。したがって、A電極に印加されるアドレスパルスもこれらの順番に合わせる必要がある。
【0084】
第2リセット期間TR2は、次の第2アドレス期間TA2におけるアドレス放電を正常に動作させるための準備期間である。第2アドレス期間TA2では、第1アドレス期間TA1とは逆に、Xeven電極を使用する表示ラインに対してのみアドレスを行う。よって、この第2リセット期間TR2では、第1リセット期間TR1の、Xodd電極を使用する表示ラインとXeven電極を使用する表示ラインを逆にしたシーケンスとなる。
【0085】
第2アドレス期間TA2は、第1アドレス期間TA1と同様、Y電極にスキャンパルスを上から順次印加し、A電極にアドレスパスルを印加することによりアドレスを行うシーケンスである。第2アドレス期間TA2は、Y電極のXeven電極と隣接する表示ラインのみがアドレス可能であるため、アドレスされる表示ラインは順に表示ライン2,3,6,7,…で、以下2ライン毎にアドレスされる。
【0086】
以上で、全ての表示ラインのアドレスが完了する。この後、サスティン期間TSで維持放電を行うことによって、プログレッシブ表示を行う。
【0087】
図15は本電極構造のPDPをプログレッシブ形式で駆動するための印加電圧波形を示す説明図である。
【0088】
本駆動による印加電圧波形は以下の電圧パルスで構成されている。
・X電極に印加される、到達電圧Vqの鈍波パルスPrx1
・X電極に印加される、電圧Vxの方形波パルスPrx2
・X電極に印加される、電圧Vsの方形波パルスPrx3
・Y電極に印加される、到達電圧Vyの鈍波パルスPry1
・Y電極に印加される、到達電圧Vsの鈍波パルスPry2
・Y電極に印加される、最低電圧Vy、振幅VscのスキャンパルスPy
・A電極に印加される、電圧Vaの方形波パルスPra
・A電極に印加される、電圧VaのアドレスパルスPa
・X電極およびY電極に印加される、電圧VsのサスティンパルスPs
【0089】
各電圧の典型例を次に示す。
Vq=−140V、Vx=90V、Vs=170V、Vy=−170V、
Vsc=120V、Va=70V
【0090】
第1リセット期間TR1の第1工程TR1a,第2工程TR1b,第3工程TR1cは以下のようになる。
第1工程TR1a(アドレス不能化)は、パルスPraとパルスPry1で構成され、X電極はXodd電極およびXeven電極ともに0V(接地レベル)である。パルスPraとパルスPry1が印加された状態は、アドレス時にA−Y電極間に印加される電圧状態と同じであるため、第1工程TR1aの後はアドレス放電が発生しない電荷状態となる。パルス幅は100マイクロ秒程度である。
【0091】
第2工程TR1b(Xodd電極側のみの書き込み)は、Xodd電極はパルスPrx1、Xeven電極はパルスPrx3、Y電極はパルスPry2、A電極は0Vで構成される。ここで、Xodd電極はY電極と逆極性であり、Xeven電極はY電極と同極性であるため、Xodd電極側のみ書き込まれる。パルス幅は100マイクロ秒程度である。
【0092】
第3工程TR1c(電荷調整)は、Xodd電極はパルスPrx2、Xeven電極は0V、Y電極はパルスPry1、A電極は0Vで構成される。Xodd電極側で、第2工程TR1bで書き込まれた電荷がパルスPrx2およびパルスPry1で調整され、アドレスに適した電荷状態となる。Xeven電極側は、第2工程TR1bで書き込まれていないため、ここでは反応しない。パルス幅は120マイクロ秒程度である。
【0093】
第1アドレス期間TA1は、Xodd電極はパルスPrx2、Xeven電極は0V、Y電極はパルスPy、A電極はパルスPaで構成され、Xodd電極を使用する表示ラインがアドレスされる。各スキャンパルスの幅は1.2〜1.7マイクロ秒である。
【0094】
第2リセット期間TR2は、第1リセット期間TR1のXodd電極とXeven電極を入れ替えた波形となり、Xeven電極のみをアドレスが可能な状態にする。
第2アドレス期間TA2は、Xeven電極はパルスPrx2、Xodd電極は0V、Y電極はパルスPy、A電極はパルスPaで構成され、Xeven電極を使用する表示ラインがアドレスされる。各スキャンパルスの幅は1.2〜1.7マイクロ秒である。
【0095】
サスティン期間TSは、X電極およびY電極に交互にパルスPsを印加することによって維持放電を行う。
【0096】
以上述べたように、各X電極を奇数表示ライン用の第1電極Xaと偶数表示ライン用の第2電極Xbとに分離する。また、各Y電極を奇数表示ライン用の第1電極Yaと偶数表示ライン用の第2電極Ybとに分離する。そして、X電極については、奇数表示ライン用の他方の第1電極Xaと偶数表示ライン用の他方の第2電極Xbとを接続し、Y電極についても、奇数表示ライン用の他方の第1電極Yaと偶数表示ライン用の他方の第2電極Ybとを接続する。これにより、電極の引き出し線を増加させることなく、奇数表示ラインと偶数表示ラインとの放電の干渉を防止することができる。
【0097】
これにより、直前のサブフィールドで千鳥パターンのような特定パターンを発光表示した場合であっても、リセット放電の際に、発光セルと非発光セルとの間の残留壁電荷が均等になるので、アドレス放電の干渉が加速されることがない。すなわち、放電干渉を低減し、かつ、リセット不良による電荷アンバランスを低減することにより、良好な表示を行うことができる。
【0098】
【発明の効果】
本発明によれば、リセット不良が低減され、アドレス時の放電干渉を抑えることができ、消灯チラツキや余剰発光といった表示不良を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマディスプレイ装置に用いられるPDPの構成を示す部分分解斜視図である。
【図2】実施形態の表示電極の詳細構成を示す説明図である。
【図3】実施形態の表示電極の形状を櫛歯状にした例を示す説明図である。
【図4】実施形態の透明電極の形状をT字状にした例を示す説明図である。
【図5】実施形態の分離スリットに放電障壁を設けた例を示す説明図である。
【図6】実施形態の分離スリットに光遮蔽体を配置した例を示す説明図である。
【図7】実施形態のアドレス電極のY電極対応位置に島状のパッドを形成した例を示す説明図である。
【図8】実施形態のPDPの駆動回路を示すブロック図である。
【図9】実施形態のPDPの駆動方法を示す説明図である。
【図10】図9の駆動方法で駆動する際に印加する電圧波形を示す説明図である。
【図11】電極を分離しない従来のALiS構造のPDPを駆動する際に印加する電圧波形を示す説明図である。
【図12】アドレス放電の広がりが防止される様子を示す説明図である。
【図13】電極を分離していない場合のアドレス放電が広がる様子を示す比較例である。
【図14】本電極構造のPDPをプログレッシブ形式で駆動するための駆動シーケンスを示す説明図である。
【図15】本電極構造のPDPをプログレッシブ形式で駆動するための印加電圧波形を示す説明図である。
【図16】従来のPDPを平面的に見た状態を示す説明図である。
【図17】従来のPDPの駆動回路を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 PDP
11 前面側の基板
12 透明電極
13 バス電極
17,24 誘電体層
21 背面側の基板
28R、28G、28B 蛍光体層
29 隔壁
30 放電空間
31 X電極ドライバ回路
32 Yスキャンドライバ
33 Y電極ドライバ回路
34 アドレスドライバ回路
35 制御回路部
A アドレス電極
B 放電障壁
C 光遮蔽体
L 表示ライン
S 分離スリット
X、Y 表示電極
Xa,Ya 奇数表示ライン用の第1電極
Xb,Yb 偶数表示ライン用の第2電極
Claims (5)
- 放電空間を形成する一対の基板間に、隣接する電極どうしを電極対として面放電が生じるように配置された複数の主電極と、それらの主電極と交差する方向に配置された複数の選択用電極とを備え、隣接する全ての主電極間に表示ラインが設定されるとともに、表示ラインと選択用電極との交差部にセルが設定され、発光させるべきセルを選択するための選択放電を発生させる際に、隣り合う奇数表示ラインと偶数表示ラインとで一本の主電極がスキャン用の電極として共用される電極構造のプラズマディスプレイパネルであって、
前記主電極は、奇数表示ラインで面放電を発生させるための第1電極部と、その第1電極部と分離スリットによって電気的に絶縁され偶数表示ラインで面放電を発生させるための第2電極部とに分離され、かつ分離された第1電極部との間で奇数表示ラインを構成する他方の第1電極部が、分離された第2電極部との間で偶数表示ラインを構成する他方の第2電極部に電気的に接続されてなる
ことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。 - 第1電極部及び第2電極部が、それぞれ帯状のバス電極と、そのバス電極から面放電間隙に向けて延出された突起形状の透明電極とからなる請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
- 第1電極部と第2電極部との間の分離スリットの少なくとも選択用電極と平面的に見て交差する位置に第1電極部と第2電極部との放電の干渉を防止する放電障壁を設けてなる請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
- 第1電極部と第2電極部との間の分離スリットの位置に光遮蔽体が設けられてなる請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
- スキャン用の電極として用いられる第1電極部および第2電極部と平面的に見て重なる位置の選択用電極に島状のパッドが形成されてなる請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
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