JP2004029330A - ドライイメージング材料 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はドライイメージング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が商品化され急速に普及している。これらの光熱写真材料は、通常80〜140℃の温度で現像が行われるので、室温〜50℃の範囲で液現像される従来の感光材料と区別されドライイメージング材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプのドライイメージング材料は、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で反射するのを防ぐハレーション防止層(AH)或いは支持体の反対側に設けるバッキング層(BC)から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時の傷付きを防止するための保護層が設けられている。
【0004】
一般にドライイメージング材料は、微粒子ハロゲン化銀を物理現像核として有機銀塩からの銀イオンを析出させながら現像する物理現像であるため、現像後の現像銀の色調が黄色調になるので、これを黒色調にする色調剤を使用している。色調剤はハロゲン化銀や有機銀に吸着性があり、現像時の銀フィラメントの成長をコントロールして色調が黄色調に変化するのを抑制する。色調剤として好ましい性能は、写真感度や保存性を低下させずに色調を黒色調或いは冷黒色調にすることができるものである。ドライイメージング材料においてフタラジン化合物は、現像を促進して感度を高める作用と現像銀の色調を黒色調にすることができる化合物として常用されているが、ナノサイズの微粒子の感度をイリジウム、ロジウム或いはルテニウム等の貴金属原子のドープや分光増感色素で、高度に増感していくと銀色調は劣化するので、更に銀色調を劣化させない添加剤が求められている。
【0005】
フタラジン以外では、ポリハロメタン化合物を使用することが特開昭63−40611号、同59−57234号、同59−90842号、特開2001−171063に開示されている。しかし、いずれも、ポリハロメタン化合物は光カブリ抑制剤としての効果を狙っていて、銀色調の改良を主目的としてはいない。従って、ポリハロメタン化合物では銀色調改良の効果が充分でなく、高い感度が得にくい。ジスルフィド化合物はカブリ抑制剤として一般的に使用されるが、これも色調剤としての作用効果は少ないのが現実である。色調は還元された現像銀の形状により変化するので、還元剤の種類によっても色調を向上させることができる。しかし、従来のモノフェノール化合物やビスフェノール化合物とそれらの誘導体では不充分であった。また、銀色調改良剤を添加すると膜の強度を劣化させ、傷が付き易くなる。架橋剤の使用は膜強度を向上させるが、黄色みが増し、透明性が失われ色調を損ねていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は写真性能において高感度、低カブリで、銀色調を改良し、更には膜強度が高く傷の付きにくいドライイメージング材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
【0008】
1)支持体に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、この有機銀塩の還元剤および結合剤を含有するドライイメージング材料において、前記一般式(1)で示される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【0009】
2)前記一般式(2)で示される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とす前記1)に記載のドライイメージング材料。
【0010】
3)前記一般式(3)で示されるメルカプト化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする前記1)または2)に記載のドライイメージング材料。
【0011】
4)前記一般式(4)で示されるジスルフィド化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする前記1)〜3)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0012】
5)感光性ハロゲン化銀粒子の平均粒子径が10〜60nmであり、粒子の内部に銀1モル当たりイリジウム、ロジウム、オスミウムおよびルテニウム原子のいずれかの少なくとも1種が10ー8〜10−3モルドープされていることを特徴とする前記1)〜4)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0013】
6)還元剤が前記一般式(5)で示されるビスフェノール化合物であることを特徴とする前記1)〜5)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0014】
7)結合剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホニル化合物、エポキシ化合物およびアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤で架橋されていることを特徴とする前記1)〜6)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)において、R1〜R12の好ましい例としては水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基およびアシルオキシ基を挙げることができる。アリール基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、更に置換基を有してもよく、好ましい置換基の例はR1〜R12として挙げたものと同じである。また、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。本発明の化合物は特表平11−503112号を参考にして合成することができる。好ましい具体例を下記に示す。
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】
【0020】
本発明の一般式(1)で示される化合物の塗布液への添加は、公知の方法に従って行うことができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。又、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散するには、本発明の化合物をガラスビーズやジルコニア微粒子メディアを使用するサンドミル分散、細管から溶液を高速に噴出させて硬い板状で砕いたり、2方向からの細管の液体を衝突させて分散させる方法いずれでもよい。微粒子分散は水溶液中に平均粒子径1nm以上、10μm以下の大きさが好ましく、粒子分布が狭いことが好ましい。水溶液中に分散するには、攪拌により泡が発生しにくいものがよい。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。
【0021】
本発明の一般式(1)で示される化合物の添加量は、好ましくは銀1モル当たり1×10−8〜1×10−1モル、特に好ましくは1×10−5〜1×10−2モルである。銀のない感光層以外に添加する場合も単位面積に換算して添加量を決めることができる。添加量が多いと感度低下、コントラスト低下、最高濃度低下等を引き起こし、添加量が不足すると本発明の銀色調改良効果を得ることが難しくなる。
【0022】
一般式(2)において、Qは置換される基、X1、X2及びX3は置換基で水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基又はアリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。L1は2価の連結基を表し、qは1〜4の整数を表す。
【0023】
Qで表される基が環の場合は、飽和または不飽和の単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の基(例えば、アダマンチル基、シクロブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、ナフチル等)であり、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、フェニル基、ナフチル基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0024】
Qで表されるヘテロ環は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基である。
【0025】
このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、マレイミド、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
【0026】
Qで表される環基は−L1−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していてもよく、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。Qが環でない場合は、直鎖、分枝、星状の炭素数1〜25の炭化水素基でプロパン、ブタン、イソプロパン、イソブタン、2,3−ジメチルブタン、2,2,3,3−テトラメチルペンタン、オクタン等を骨格としている基を表す。
【0027】
X1、X2及びX3は、好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0028】
L1は具体的には−O−、−S−、−CO−、−NH−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。上記化合物は特開2001−288170記載の方法を参考にして合成することができる。下記に好ましい具体例を示す。
【0029】
【化10】
【0030】
一般式(2)で示される化合物の使用方法は、本発明の一般式(1)の化合物と同様な方法を採用することができる。
【0031】
一般式(3)において、W1はNH基、酸素原子、硫黄原子およびCH2基を、Qは置換基を有してもよい6員の芳香族環基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)を、環Q上の置換基は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基とその塩(例えば、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カリウム等)、カルボン酸基とその塩(例えば、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム等)、燐酸基とその塩(例えば、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム等)、炭素数1〜20アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等)、アルケニル基(例えば、ペンタジエニル基およびイソブテニル基等)、5又は6員の芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)およびヘテロ環基(例えば、ピリジル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基等)を、L3は2価の連結基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン、3−メチルプロピレン基、オクチレン基等)を、Mは水素原子、アルカリ金属原子(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等)又はNH4基を、nは0又は1を表す。
【0032】
本発明の好ましいメルカプト化合物を下記に示す。使用方法は、本発明の一般式(1)で示される化合物と同様である。
【0033】
【化11】
【0034】
一般式(4)中、Y1およびY2はそれぞれ5員又は6員の芳香族環基(例えば、ペンタジエニル基、フェニル基、ナフチル基等)又はヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チオフェニル基等)を表し、該環上の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基とその塩(例えば、スルホン酸リチウム、スルホン酸ナトリウム等)、カルボン酸基とその塩(例えば、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸リチウム等)、燐酸基とその塩(例えば、燐酸ナトリウム、燐酸化リム等)、炭素数1〜20アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等)、アルケニル基(例えば、エチレン基、イソブチレン基等)、5又は6員の芳香族基(例えば、ペンタジエニル基、フェニル基、ナフチル基等)又はヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基等)を表す。好ましい具体例を下記に示す。
【0035】
【化12】
【0036】
本発明のジスルフィド化合物の使用方法は、本発明の一般式(1)で示される化合物と同様とすることができる。
【0037】
一般式(5)中、R′およびR″はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基等)、アルケニル基(例えば、プロペニル基、ヘキセニル基等)又はシクロアルキル基(例えば、α−メチルシクロアルキル基、α−シクロペンチル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、L2は2価の連結基(例えば、メチレン基、1−(t−ブチル)メチレン基、1−(2−(t−ブチル)プロピル)メチレン基、エチレン基、2−メチルプロピレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキシレン基とアルキレン基の結合体、−S−基、−SO−基、−SO2−等)を表す。
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
本発明の還元剤の使用方法は、本発明の一般式(1)で示される化合物と同様にすることができる。
【0041】
本発明の一般式(1)〜(5)で示される化合物は、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤等の添加剤の存在する感光層および感光層に隣接する層に添加することが好ましい。
【0042】
本発明に使用する好ましい結合剤としては、ゼラチン、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール誘導体(ポリアセタールを含む)、メタクリレートポリマー誘導体、アクリレートポリマー誘導体、ポリイミド誘導体、ポリアミド誘導体、フェノール樹脂誘導体、ウレタン樹脂誘導体およびポリエステル誘導体等がある。特に好ましい誘導体はポリビニルアルコール誘導体あるいは酢酸ビニル誘導体である。
【0043】
結合剤は単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を使用することにより更に膜接着を高めることができる。しかし、架橋反応が遅いと写真性能が安定せず保存性が劣化する。本発明に使用する即効性で好ましい架橋剤は、イソシアナート基、エポキシ基、又はビニルスルホニル基のいずれかを少なくとも2個有する多官能型架橋剤、あるいはアルコキシシラン基を少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物を挙げることができる。好ましい架橋剤を下記に示す。
【0044】
H−1 ヘキサメチレンジイソシアナート
H−2 ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
H−3 トリレンジイソシアナート
H−4 フェニレンジイソシアナート
H−5 キシリレンジイソシアナート
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
上記架橋剤は、水、アルコール類、ケトン類、非極性の有機溶媒類に溶解して添加してもよいし、塗布液中に固形のまま添加してもよい。添加量は結合剤の架橋する基と当量が好ましいが、10倍まで増量してもよいし、10分の1以下まで減量してもよい。少なすぎると架橋反応が進まないし、多すぎると未反応の架橋剤が写真性を劣化させるので好ましくない。
【0048】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェットもしくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法でも調製できる。
【0049】
ハロゲン化銀は高い感光性材料として機能するものであり、画像形成後の白濁を低く抑える為、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。本発明において、平均粒子サイズは10〜60nmであり、特に20〜50nmが好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体のいわゆる正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0050】
ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し50%以下好ましくは0.1〜25%、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
【0051】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、また英国特許第1,447,454号に記載されている様に、有機銀塩を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入する事で有機銀塩の生成とほぼ同時に生成させることができる。
【0052】
更に他の方法としては、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、又は有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩と有効に接触しており好ましい作用を呈する。
【0053】
これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整の為に元素周期律表の6族から11族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンをドープ(含有)させることができる。これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体又は錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。これらの遷移金属錯体及び金属錯体イオンとしては、6配位錯体イオンが好ましい。
【0054】
配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。特に好ましいドープ金属原子の具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。これらの金属錯体又は錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。
【0055】
これらの金属のイオン、金属錯体及び錯体イオンの含有量としては、銀1モル当たり1×10−8〜1×10−3モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。過度の添加量は感度の低下や軟調、最高濃度の低下を引き起こすので好ましくない。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物はハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。これらの金属化合物は水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。
【0056】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感する事ができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号に記載されている。
【0057】
本発明においては、感光層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のために、感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の全結合剤に対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。また、支持体をはさみ感光層の反対側に非感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中にマット剤を含有することが好ましく、感光材料のすべり性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の反対側の層の全結合剤に対し、質量比で0.5〜40%含有することが好ましい。
【0058】
本発明に使用するマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0059】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0060】
本発明に使用するマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数((粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100)としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0061】
本発明に使用するマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。マット剤の添加量はマット粒子の大きさによりヘイズの問題にならないレベルで適宜決定することができるが、0.01mg/m2〜1g/m2で使用するのがよい。過度の添加はヘイズが問題となる。
【0062】
支持体としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はシンジオタクチックポリスチレン等の支持体が好ましく、2軸延伸や熱固定した光学的に等方性が高く、寸法安定性のよい50〜400μm厚のものがよい。
【0063】
露光方法としては、特開平9−304869号、同9−311403号および特開2000−10230記載の方法によりレーザー露光することができる。本発明のドライイメージング材料の露光は、当該感材に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感材を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザーパワーがハイパワーである事や、感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザー(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0064】
ドライイメージング材料を現像する装置は、特開平11−65067号、同11−72897号および同11−84619号記載の装置を使用することができる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0066】
実施例1
〔下塗り済み写真用支持体の作製〕
光学濃度で0.170に青色着色した市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、コロナ放電処理(8W/m2・分)を施し、一方の面に下記下塗り塗布液a−1を塗設し、乾燥させて下塗り層A−1とし、また反対側の面に下記下塗り塗布液b−1を塗設し乾燥させてバック層側下塗り層B−1とした。
【0067】
引き続き、下塗り層A−1及び下塗り層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下塗り層A−1の上には、下記下塗り上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様にして下塗り上層A−2を形成し、下塗り層B−1の上には下記下塗り上層塗布液b−2を塗設し、下塗り上層B−2を形成した。
【0068】
《感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlとこれと当量の(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液370mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加し、NaOHでpHを5.0に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子サイズの変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0069】
《粉末有機銀塩Aの調製》
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し十分に攪拌した。次に濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上記感光性ハロゲン化銀乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水450mlを添加し5分間攪拌した。次に1Mの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、更に20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去し乾燥した。
【0070】
上記で下塗りを施した支持体上(下塗り上層A−2上)に以下の各層を順次形成し、試料を作製した。尚、乾燥は各々75℃、1分間で行った。
【0071】
〔感光層側塗布〕
第1層:ハレーション防止層(AH)層
結合剤(PVB−1:重合度600) 1.2g/m2
ハレーション防止染料(C1) 2×10−5モル/m2
第2層:感光層
感光層の調製は以下の組成物をメチルエチルケトン溶液に添加し、塗布液を調製した。
【0072】
【0073】
【化17】
【0074】
第3層:保護層
結合剤(セルロースアセテートブチレート) 1.2g/m2
シリカマット剤(数平均粒子径3μm) 0.5g/m2
フタラジン 0.12g/m2
感光層と反対側(下塗り上層B−2)にバック層およびバック層保護層を塗布した。
【0075】
尚、一般式(2)で示す化合物を添加する場合は2.2×10−4モル/銀1モル、一般式(3)で示す化合物を使用する場合は4×10−4モル/銀1モル、一般式(4)で示す化合物を使用する場合は3.8×10−4モル/銀1モル、一般式(5)で示す化合物を使用する場合は現像剤の2,5−ジ−(tert−ブチル)−4−メチルフェノールの代わりに3×10−3モル/銀1モル、および架橋剤の場合はホルムアルデヒドに代えて本発明の架橋剤を、それぞれ感光層に添加し使用した。
【0076】
ハロゲン化銀粒子内の貴金属のドープは、上記感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製において、貴金属の塩化物体をコントロールドダブルジェット添加のハライド溶液中に2.3×10−6モル/銀1モル添加し、平均粒子径の調製は温度を8℃(最小粒径)〜43℃(最大粒子径)に変化させて調製した。
【0077】
〔写真性能の評価〕
露光および現像の条件は、ドライイメージング材料を810nmの半導体レーザーを有するレーザー感光計で露光し、次いで熱ドラムを用いて120℃で8秒間熱現像処理した。その際、露光及び現像は25℃、相対湿度50%に調湿した部屋で行った。得られた画像の感度とカブリを自動濃度計により評価を行った。感度はカブリより0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価した。表1の試料101の感度を100として、その相対値で示した。カブリの測定は未露光の試料を熱現像し、濃度を測定した。光カブリの試験は現像後の試料を1万ルクスの照度になるテーブル上に100時間放置したときのカブリ値の上昇分を測定した。
【0078】
銀色調の評価は目視5段階官能評価法で、ランク5を最もよい黒色調、ランク1を黄色みがある最も悪い色調、ランク3は実用的には問題ないレベルの色調でランク4はランク5とランク3の間、ランク2はランク3とランク1の間とし、0.5刻みで評価した。
【0079】
耐傷性の評価は深さ3μmの凹凸のあるローラーで5kPaの加重を掛けながら試料を擦過して傷のレベルを目視評価した。傷のないレベルを5、傷が最も多いレベルを1とし、中程度で実用的に問題ないレベルを3として評価した結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1より、本発明の一般式(1)〜(5)で示される化合物および架橋剤を用いると、写真特性においてカブリが低く、感度が高く、銀色調に優れ、傷の付きにくいドライイメージング材料を得ることができることが分かる。また、ハロゲン化銀粒子にドーピング剤を使用した場合でも同様の性能向上が見られた。
【0082】
【発明の効果】
本発明によって高感度、低カブリで、銀色調を改良し、更には膜強度が高く傷の付きにくいドライイメージング材料を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明はドライイメージング材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療や印刷の分野で環境保護や作業性の面から湿式処理に伴う廃液の出ない光熱写真材料が強く望まれており、特に熱現像により、高解像度で鮮明な黒色画像を形成することができる写真技術用途の光熱写真材料に関する技術が商品化され急速に普及している。これらの光熱写真材料は、通常80〜140℃の温度で現像が行われるので、室温〜50℃の範囲で液現像される従来の感光材料と区別されドライイメージング材料と呼ばれている。
【0003】
従来からこのタイプのドライイメージング材料は、色素で分光増感された高感度のハロゲン化銀粒子、有機銀塩及び還元剤を含む感光層と、該感光層に向けて照射した光が吸収されずに通過して支持体の界面や中間層や接着層等で反射するのを防ぐハレーション防止層(AH)或いは支持体の反対側に設けるバッキング層(BC)から構成され、更には感光層の上やBC層の上に取り扱い時の傷付きを防止するための保護層が設けられている。
【0004】
一般にドライイメージング材料は、微粒子ハロゲン化銀を物理現像核として有機銀塩からの銀イオンを析出させながら現像する物理現像であるため、現像後の現像銀の色調が黄色調になるので、これを黒色調にする色調剤を使用している。色調剤はハロゲン化銀や有機銀に吸着性があり、現像時の銀フィラメントの成長をコントロールして色調が黄色調に変化するのを抑制する。色調剤として好ましい性能は、写真感度や保存性を低下させずに色調を黒色調或いは冷黒色調にすることができるものである。ドライイメージング材料においてフタラジン化合物は、現像を促進して感度を高める作用と現像銀の色調を黒色調にすることができる化合物として常用されているが、ナノサイズの微粒子の感度をイリジウム、ロジウム或いはルテニウム等の貴金属原子のドープや分光増感色素で、高度に増感していくと銀色調は劣化するので、更に銀色調を劣化させない添加剤が求められている。
【0005】
フタラジン以外では、ポリハロメタン化合物を使用することが特開昭63−40611号、同59−57234号、同59−90842号、特開2001−171063に開示されている。しかし、いずれも、ポリハロメタン化合物は光カブリ抑制剤としての効果を狙っていて、銀色調の改良を主目的としてはいない。従って、ポリハロメタン化合物では銀色調改良の効果が充分でなく、高い感度が得にくい。ジスルフィド化合物はカブリ抑制剤として一般的に使用されるが、これも色調剤としての作用効果は少ないのが現実である。色調は還元された現像銀の形状により変化するので、還元剤の種類によっても色調を向上させることができる。しかし、従来のモノフェノール化合物やビスフェノール化合物とそれらの誘導体では不充分であった。また、銀色調改良剤を添加すると膜の強度を劣化させ、傷が付き易くなる。架橋剤の使用は膜強度を向上させるが、黄色みが増し、透明性が失われ色調を損ねていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は写真性能において高感度、低カブリで、銀色調を改良し、更には膜強度が高く傷の付きにくいドライイメージング材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は以下の手段により達成される。
【0008】
1)支持体に感光性ハロゲン化銀粒子、有機銀塩、この有機銀塩の還元剤および結合剤を含有するドライイメージング材料において、前記一般式(1)で示される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とするドライイメージング材料。
【0009】
2)前記一般式(2)で示される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とす前記1)に記載のドライイメージング材料。
【0010】
3)前記一般式(3)で示されるメルカプト化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする前記1)または2)に記載のドライイメージング材料。
【0011】
4)前記一般式(4)で示されるジスルフィド化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする前記1)〜3)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0012】
5)感光性ハロゲン化銀粒子の平均粒子径が10〜60nmであり、粒子の内部に銀1モル当たりイリジウム、ロジウム、オスミウムおよびルテニウム原子のいずれかの少なくとも1種が10ー8〜10−3モルドープされていることを特徴とする前記1)〜4)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0013】
6)還元剤が前記一般式(5)で示されるビスフェノール化合物であることを特徴とする前記1)〜5)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0014】
7)結合剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホニル化合物、エポキシ化合物およびアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤で架橋されていることを特徴とする前記1)〜6)の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(1)において、R1〜R12の好ましい例としては水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基およびアシルオキシ基を挙げることができる。アリール基の好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、カルボンアミド基、アルキルスルホンアミド基、アリールスルホンアミド基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、カルバモイル基、スルファモイル基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基およびアシル基を挙げることができる。これらの置換基が置換可能な基である場合、更に置換基を有してもよく、好ましい置換基の例はR1〜R12として挙げたものと同じである。また、これらの置換基は互いに結合して環を形成していてもよい。本発明の化合物は特表平11−503112号を参考にして合成することができる。好ましい具体例を下記に示す。
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】
【0020】
本発明の一般式(1)で示される化合物の塗布液への添加は、公知の方法に従って行うことができる。即ち、メタノールやエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトンやアセトン等のケトン類、ジメチルスルホキシドやジメチルホルムアミド等の極性溶媒等に溶解して添加することができる。又、サンドミル分散やジェットミル分散、超音波分散やホモジナイザー分散により1μm以下の微粒子にして水や有機溶媒に分散して添加することもできる。微粒子分散するには、本発明の化合物をガラスビーズやジルコニア微粒子メディアを使用するサンドミル分散、細管から溶液を高速に噴出させて硬い板状で砕いたり、2方向からの細管の液体を衝突させて分散させる方法いずれでもよい。微粒子分散は水溶液中に平均粒子径1nm以上、10μm以下の大きさが好ましく、粒子分布が狭いことが好ましい。水溶液中に分散するには、攪拌により泡が発生しにくいものがよい。微粒子分散技術については多くの技術が開示されているが、これらに準じて分散することができる。
【0021】
本発明の一般式(1)で示される化合物の添加量は、好ましくは銀1モル当たり1×10−8〜1×10−1モル、特に好ましくは1×10−5〜1×10−2モルである。銀のない感光層以外に添加する場合も単位面積に換算して添加量を決めることができる。添加量が多いと感度低下、コントラスト低下、最高濃度低下等を引き起こし、添加量が不足すると本発明の銀色調改良効果を得ることが難しくなる。
【0022】
一般式(2)において、Qは置換される基、X1、X2及びX3は置換基で水素原子、ハロゲン原子、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルフォニル基又はアリール基を表すが、少なくとも一つはハロゲン原子である。L1は2価の連結基を表し、qは1〜4の整数を表す。
【0023】
Qで表される基が環の場合は、飽和または不飽和の単環または縮環していてもよく、好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の基(例えば、アダマンチル基、シクロブチル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、フェニル基、ナフチル等)であり、より好ましくはアダマンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、フェニル基、ナフチル基であり、特に好ましくはフェニル基である。
【0024】
Qで表されるヘテロ環は、N、OまたはSの少なくとも一つの原子を含む3ないし10員の飽和もしくは不飽和のヘテロ環基であり、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。ヘテロ環基として好ましくは、縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、より好ましくは縮合環を有していてもよい5ないし6員の芳香族ヘテロ環基である。更に好ましくは窒素原子を含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の飽和または不飽和ヘテロ環基であり、特に好ましくは窒素原子を1ないし4原子含む縮合環を有していてもよい5ないし6員の不飽和ヘテロ環基である。
【0025】
このようなヘテロ環基におけるヘテロ環として、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、マレイミド、プリン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、インドレニン、テトラザインデンであり、より好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、オキサジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、テトラザインデンであり、更に好ましくはイミダゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、チアジアゾール、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、テトラゾール、チアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾールであり、特に好ましくはピペリジン、ピペラジン、ピリジン、チアジアゾール、キノリン、ベンズチアゾールである。
【0026】
Qで表される環基は−L1−C(X1)(X2)(X3)の他に置換基を有していてもよく、置換基として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヘテロ環基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子である。Qが環でない場合は、直鎖、分枝、星状の炭素数1〜25の炭化水素基でプロパン、ブタン、イソプロパン、イソブタン、2,3−ジメチルブタン、2,2,3,3−テトラメチルペンタン、オクタン等を骨格としている基を表す。
【0027】
X1、X2及びX3は、好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、ヘテロ環基であり、より好ましくはハロゲン原子、ハロアルキル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルホニル基であり、更に好ましくはハロゲン原子、トリハロメチル基であり、特に好ましくはハロゲン原子である。ハロゲン原子の中でも好ましくは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、更に好ましくは塩素原子、臭素原子であり、特に好ましくは臭素原子である。
【0028】
L1は具体的には−O−、−S−、−CO−、−NH−、−SO−、−SO2−を表し、好ましくは−SO2−である。上記化合物は特開2001−288170記載の方法を参考にして合成することができる。下記に好ましい具体例を示す。
【0029】
【化10】
【0030】
一般式(2)で示される化合物の使用方法は、本発明の一般式(1)の化合物と同様な方法を採用することができる。
【0031】
一般式(3)において、W1はNH基、酸素原子、硫黄原子およびCH2基を、Qは置換基を有してもよい6員の芳香族環基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)を、環Q上の置換基は水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基とその塩(例えば、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸カリウム等)、カルボン酸基とその塩(例えば、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム等)、燐酸基とその塩(例えば、燐酸ナトリウム、燐酸カリウム等)、炭素数1〜20アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、オクチル基等)、アルケニル基(例えば、ペンタジエニル基およびイソブテニル基等)、5又は6員の芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)およびヘテロ環基(例えば、ピリジル基、トリアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基等)を、L3は2価の連結基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン、3−メチルプロピレン基、オクチレン基等)を、Mは水素原子、アルカリ金属原子(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等)又はNH4基を、nは0又は1を表す。
【0032】
本発明の好ましいメルカプト化合物を下記に示す。使用方法は、本発明の一般式(1)で示される化合物と同様である。
【0033】
【化11】
【0034】
一般式(4)中、Y1およびY2はそれぞれ5員又は6員の芳香族環基(例えば、ペンタジエニル基、フェニル基、ナフチル基等)又はヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基、チオフェニル基等)を表し、該環上の置換基は、ハロゲン原子、シアノ基、ヒドロキシ基、スルホン酸基とその塩(例えば、スルホン酸リチウム、スルホン酸ナトリウム等)、カルボン酸基とその塩(例えば、カルボン酸ナトリウム、カルボン酸リチウム等)、燐酸基とその塩(例えば、燐酸ナトリウム、燐酸化リム等)、炭素数1〜20アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、オクチル基、ドデシル基、オクタデシル基等)、アルケニル基(例えば、エチレン基、イソブチレン基等)、5又は6員の芳香族基(例えば、ペンタジエニル基、フェニル基、ナフチル基等)又はヘテロ環基(例えば、ピリジル基、ピリミジル基、フリル基等)を表す。好ましい具体例を下記に示す。
【0035】
【化12】
【0036】
本発明のジスルフィド化合物の使用方法は、本発明の一般式(1)で示される化合物と同様とすることができる。
【0037】
一般式(5)中、R′およびR″はそれぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜25のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基等)、アルケニル基(例えば、プロペニル基、ヘキセニル基等)又はシクロアルキル基(例えば、α−メチルシクロアルキル基、α−シクロペンチル基、4−メチルシクロヘキシル基等)、L2は2価の連結基(例えば、メチレン基、1−(t−ブチル)メチレン基、1−(2−(t−ブチル)プロピル)メチレン基、エチレン基、2−メチルプロピレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘキシレン基とアルキレン基の結合体、−S−基、−SO−基、−SO2−等)を表す。
【0038】
【化13】
【0039】
【化14】
【0040】
本発明の還元剤の使用方法は、本発明の一般式(1)で示される化合物と同様にすることができる。
【0041】
本発明の一般式(1)〜(5)で示される化合物は、ハロゲン化銀、有機銀塩、還元剤等の添加剤の存在する感光層および感光層に隣接する層に添加することが好ましい。
【0042】
本発明に使用する好ましい結合剤としては、ゼラチン、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール誘導体(ポリアセタールを含む)、メタクリレートポリマー誘導体、アクリレートポリマー誘導体、ポリイミド誘導体、ポリアミド誘導体、フェノール樹脂誘導体、ウレタン樹脂誘導体およびポリエステル誘導体等がある。特に好ましい誘導体はポリビニルアルコール誘導体あるいは酢酸ビニル誘導体である。
【0043】
結合剤は単独で造膜することにより、下層や上層との接着を保持し、傷の付きにくい膜強度を得ることができるが、架橋剤を使用することにより更に膜接着を高めることができる。しかし、架橋反応が遅いと写真性能が安定せず保存性が劣化する。本発明に使用する即効性で好ましい架橋剤は、イソシアナート基、エポキシ基、又はビニルスルホニル基のいずれかを少なくとも2個有する多官能型架橋剤、あるいはアルコキシシラン基を少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物を挙げることができる。好ましい架橋剤を下記に示す。
【0044】
H−1 ヘキサメチレンジイソシアナート
H−2 ヘキサメチレンジイソシアナートの3量体
H−3 トリレンジイソシアナート
H−4 フェニレンジイソシアナート
H−5 キシリレンジイソシアナート
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
上記架橋剤は、水、アルコール類、ケトン類、非極性の有機溶媒類に溶解して添加してもよいし、塗布液中に固形のまま添加してもよい。添加量は結合剤の架橋する基と当量が好ましいが、10倍まで増量してもよいし、10分の1以下まで減量してもよい。少なすぎると架橋反応が進まないし、多すぎると未反応の架橋剤が写真性を劣化させるので好ましくない。
【0048】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、シングルジェットもしくはダブルジェット法などの写真技術の分野で公知の方法により、例えばアンモニア法乳剤、中性法、酸性法等のいずれかの方法でも調製できる。
【0049】
ハロゲン化銀は高い感光性材料として機能するものであり、画像形成後の白濁を低く抑える為、また良好な画質を得るために粒子サイズが小さいものが好ましい。本発明において、平均粒子サイズは10〜60nmであり、特に20〜50nmが好ましい。又、ハロゲン化銀の形状としては特に制限はなく、立方体、八面体のいわゆる正常晶や正常晶でない球状、棒状、平板状等の粒子がある。又ハロゲン化銀組成としても特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃化銀のいずれであってもよい。
【0050】
ハロゲン化銀の量はハロゲン化銀及び後述の有機銀塩の総量に対し50%以下好ましくは0.1〜25%、更に好ましくは0.1〜15%の間である。
【0051】
本発明のドライイメージング材料に使用される感光性ハロゲン化銀は、また英国特許第1,447,454号に記載されている様に、有機銀塩を調製する際にハライドイオン等のハロゲン成分を有機銀塩形成成分と共存させ、これに銀イオンを注入する事で有機銀塩の生成とほぼ同時に生成させることができる。
【0052】
更に他の方法としては、予め調製された有機銀塩の溶液もしくは分散液、又は有機銀塩を含むシート材料にハロゲン化銀形成成分を作用させて、有機銀塩の一部を感光性ハロゲン化銀に変換することもできる。このようにして形成されたハロゲン化銀は有機銀塩と有効に接触しており好ましい作用を呈する。
【0053】
これらの感光性ハロゲン化銀には、照度不軌や、階調調整の為に元素周期律表の6族から11族に属する金属、例えばRh、Ru、Re、Ir、Os、Fe等のイオン、その錯体又は錯イオンをドープ(含有)させることができる。これらの金属イオンは金属塩をそのままハロゲン化銀に導入してもよいが、金属錯体又は錯体イオンの形でハロゲン化銀に導入できる。これらの遷移金属錯体及び金属錯体イオンとしては、6配位錯体イオンが好ましい。
【0054】
配位子の具体例としては、ハロゲン化物(弗化物、塩化物、臭化物及び沃化物)、シアン化物、シアナート、チオシアナート、セレノシアナート、テルロシアナート、アジド及びアコの各配位子、ニトロシル、チオニトロシル等が挙げられ、好ましくはアコ、ニトロシル及びチオニトロシル等である。アコ配位子が存在する場合には、配位子の一つ又は二つを占めることが好ましい。特に好ましいドープ金属原子の具体例は、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)及びオスミウム(Os)である。これらの金属錯体又は錯体イオンは一種類でもよいし、同種の金属及び異種の金属を二種以上併用してもよい。
【0055】
これらの金属のイオン、金属錯体及び錯体イオンの含有量としては、銀1モル当たり1×10−8〜1×10−3モルが適当であり、好ましくは1×10−8〜1×10−4モルである。過度の添加量は感度の低下や軟調、最高濃度の低下を引き起こすので好ましくない。これらの金属のイオン又は錯体イオンを提供する化合物はハロゲン化銀粒子形成時に添加し、ハロゲン化銀粒子中に組み込まれることが好ましく、ハロゲン化銀粒子の調製、つまり核形成、成長、物理熟成、化学増感の前後のどの段階で添加してもよいが、特に核形成、成長、物理熟成の段階で添加するのが好ましく、更には核形成、成長の段階で添加するのが好ましく、最も好ましくは核形成の段階で添加する。添加に際しては、数回に渡って分割して添加してもよく、ハロゲン化銀粒子中に均一に含有させることもできるし、特開昭63−29603号、特開平2−306236号、同3−167545号、同4−76534号、同6−110146号、同5−273683号等に記載されている様に粒子内に分布を持たせて含有させることもできる。これらの金属化合物は水或いは適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類)に溶解して添加することができるが、例えば金属化合物の粉末の水溶液もしくは金属化合物とNaCl、KClとを一緒に溶解した水溶液を、粒子形成中の水溶性銀塩溶液又は水溶性ハライド溶液中に添加しておく方法、或いは銀塩溶液とハライド溶液が同時に混合されるとき第3の水溶液として添加し、3液同時混合の方法でハロゲン化銀粒子を調製する方法、粒子形成中に必要量の金属化合物の水溶液を反応容器に投入する方法、或いはハロゲン化銀調製時に予め金属のイオン又は錯体イオンをドープしてある別のハロゲン化銀粒子を添加して溶解させる方法等がある。
【0056】
上記した各種の方法によって調製される感光性ハロゲン化銀は、例えば含硫黄化合物、金化合物、白金化合物、パラジウム化合物又はこれらの組み合わせによって化学増感する事ができる。この化学増感の方法及び手順については、例えば米国特許第4,036,650号、英国特許第1,518,850号、特開昭51−22430号、同51−78319号、同51−81124号に記載されている。
【0057】
本発明においては、感光層側にマット剤を含有することが好ましく、熱現像後の画像の傷つき防止のために、感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の全結合剤に対し、質量比で0.5〜30%含有することが好ましい。また、支持体をはさみ感光層の反対側に非感光層を設ける場合は、非感光層側の少なくとも1層中にマット剤を含有することが好ましく、感光材料のすべり性や指紋付着防止のためにも感光材料の表面にマット剤を配することが好ましく、そのマット剤を感光層側の反対側の層の全結合剤に対し、質量比で0.5〜40%含有することが好ましい。
【0058】
本発明に使用するマット剤の材質は、有機物及び無機物のいずれでもよい。例えば、無機物としては、スイス特許第330,158号等に記載のシリカ、有機物としては、米国特許第2,322,037号等に記載の澱粉、ベルギー特許第625,451号や英国特許第981,198号等に記載された澱粉誘導体、特公昭44−3643号等に記載のポリビニルアルコール、スイス特許第330,158号等に記載のポリスチレン或いはポリメタアクリレート、米国特許第3,079,257号等に記載のポリアクリロニトリル、米国特許第3,022,169号等に記載されたポリカーボネートの様な有機マット剤を用いることができる。
【0059】
マット剤の形状は、定形、不定形どちらでもよいが、好ましくは定形で球形が好ましく用いられる。マット剤の大きさはマット剤の体積を球形に換算したときの直径で表される。本発明においてマット剤の粒径とはこの球形換算した直径のことを示すものとする。
【0060】
本発明に使用するマット剤は、平均粒径が0.5〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは1.0〜8.0μmである。又、粒子サイズ分布の変動係数((粒径の標準偏差)/(粒径の平均値)×100)としては、50%以下であることが好ましく、更に好ましくは40%以下であり、特に好ましくは30%以下となるマット剤である。
【0061】
本発明に使用するマット剤の添加方法は、予め塗布液中に分散させて塗布する方法であってもよいし、塗布液を塗布した後、乾燥が終了する以前にマット剤を噴霧する方法を用いてもよい。また複数の種類のマット剤を添加する場合は、両方の方法を併用してもよい。マット剤の添加量はマット粒子の大きさによりヘイズの問題にならないレベルで適宜決定することができるが、0.01mg/m2〜1g/m2で使用するのがよい。過度の添加はヘイズが問題となる。
【0062】
支持体としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート又はシンジオタクチックポリスチレン等の支持体が好ましく、2軸延伸や熱固定した光学的に等方性が高く、寸法安定性のよい50〜400μm厚のものがよい。
【0063】
露光方法としては、特開平9−304869号、同9−311403号および特開2000−10230記載の方法によりレーザー露光することができる。本発明のドライイメージング材料の露光は、当該感材に付与した感色性に対し適切な光源を用いることが望ましい。例えば、当該感材を赤外光に感じ得るものとした場合は、赤外光域ならば如何なる光源にも適用可能であるが、レーザーパワーがハイパワーである事や、感光材料を透明にできる等の点から、赤外半導体レーザー(780nm、820nm)がより好ましく用いられる。
【0064】
ドライイメージング材料を現像する装置は、特開平11−65067号、同11−72897号および同11−84619号記載の装置を使用することができる。
【0065】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0066】
実施例1
〔下塗り済み写真用支持体の作製〕
光学濃度で0.170に青色着色した市販の2軸延伸熱固定済みの厚さ175μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの両面に、コロナ放電処理(8W/m2・分)を施し、一方の面に下記下塗り塗布液a−1を塗設し、乾燥させて下塗り層A−1とし、また反対側の面に下記下塗り塗布液b−1を塗設し乾燥させてバック層側下塗り層B−1とした。
【0067】
引き続き、下塗り層A−1及び下塗り層B−1の上表面に、8W/m2・分のコロナ放電を施し、下塗り層A−1の上には、下記下塗り上層塗布液a−2を乾燥膜厚0.1μmになる様にして下塗り上層A−2を形成し、下塗り層B−1の上には下記下塗り上層塗布液b−2を塗設し、下塗り上層B−2を形成した。
【0068】
《感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製》
水900ml中にイナートゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して温度35℃、pHを3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlとこれと当量の(98/2)のモル比の臭化カリウムと沃化カリウムを含む水溶液370mlを、pAg7.7に保ちながらコントロールドダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加し、NaOHでpHを5.0に調整して平均粒子サイズ0.06μm、粒子サイズの変動係数8%、〔100〕面比率87%の立方体沃臭化銀粒子を得た。この乳剤にゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整して、感光性ハロゲン化銀乳剤Aを得た。
【0069】
《粉末有機銀塩Aの調製》
4720mlの純水にベヘン酸111.4g、アラキジン酸83.8g、ステアリン酸54.9gを80℃で溶解した。次に高速で攪拌しながら1.5Mの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し十分に攪拌した。次に濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して有機酸ナトリウム溶液を得た。該有機酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上記感光性ハロゲン化銀乳剤A(銀0.038モルを含む)と純水450mlを添加し5分間攪拌した。次に1Mの硝酸銀溶液760.6mlを2分間かけて添加し、更に20分攪拌し、濾過により水溶性塩類を除去し乾燥した。
【0070】
上記で下塗りを施した支持体上(下塗り上層A−2上)に以下の各層を順次形成し、試料を作製した。尚、乾燥は各々75℃、1分間で行った。
【0071】
〔感光層側塗布〕
第1層:ハレーション防止層(AH)層
結合剤(PVB−1:重合度600) 1.2g/m2
ハレーション防止染料(C1) 2×10−5モル/m2
第2層:感光層
感光層の調製は以下の組成物をメチルエチルケトン溶液に添加し、塗布液を調製した。
【0072】
【0073】
【化17】
【0074】
第3層:保護層
結合剤(セルロースアセテートブチレート) 1.2g/m2
シリカマット剤(数平均粒子径3μm) 0.5g/m2
フタラジン 0.12g/m2
感光層と反対側(下塗り上層B−2)にバック層およびバック層保護層を塗布した。
【0075】
尚、一般式(2)で示す化合物を添加する場合は2.2×10−4モル/銀1モル、一般式(3)で示す化合物を使用する場合は4×10−4モル/銀1モル、一般式(4)で示す化合物を使用する場合は3.8×10−4モル/銀1モル、一般式(5)で示す化合物を使用する場合は現像剤の2,5−ジ−(tert−ブチル)−4−メチルフェノールの代わりに3×10−3モル/銀1モル、および架橋剤の場合はホルムアルデヒドに代えて本発明の架橋剤を、それぞれ感光層に添加し使用した。
【0076】
ハロゲン化銀粒子内の貴金属のドープは、上記感光性ハロゲン化銀乳剤Aの調製において、貴金属の塩化物体をコントロールドダブルジェット添加のハライド溶液中に2.3×10−6モル/銀1モル添加し、平均粒子径の調製は温度を8℃(最小粒径)〜43℃(最大粒子径)に変化させて調製した。
【0077】
〔写真性能の評価〕
露光および現像の条件は、ドライイメージング材料を810nmの半導体レーザーを有するレーザー感光計で露光し、次いで熱ドラムを用いて120℃で8秒間熱現像処理した。その際、露光及び現像は25℃、相対湿度50%に調湿した部屋で行った。得られた画像の感度とカブリを自動濃度計により評価を行った。感度はカブリより0.3高い濃度を与える露光量の比の逆数で評価した。表1の試料101の感度を100として、その相対値で示した。カブリの測定は未露光の試料を熱現像し、濃度を測定した。光カブリの試験は現像後の試料を1万ルクスの照度になるテーブル上に100時間放置したときのカブリ値の上昇分を測定した。
【0078】
銀色調の評価は目視5段階官能評価法で、ランク5を最もよい黒色調、ランク1を黄色みがある最も悪い色調、ランク3は実用的には問題ないレベルの色調でランク4はランク5とランク3の間、ランク2はランク3とランク1の間とし、0.5刻みで評価した。
【0079】
耐傷性の評価は深さ3μmの凹凸のあるローラーで5kPaの加重を掛けながら試料を擦過して傷のレベルを目視評価した。傷のないレベルを5、傷が最も多いレベルを1とし、中程度で実用的に問題ないレベルを3として評価した結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1より、本発明の一般式(1)〜(5)で示される化合物および架橋剤を用いると、写真特性においてカブリが低く、感度が高く、銀色調に優れ、傷の付きにくいドライイメージング材料を得ることができることが分かる。また、ハロゲン化銀粒子にドーピング剤を使用した場合でも同様の性能向上が見られた。
【0082】
【発明の効果】
本発明によって高感度、低カブリで、銀色調を改良し、更には膜強度が高く傷の付きにくいドライイメージング材料を提供することができた。
Claims (7)
- 感光性ハロゲン化銀粒子の平均粒子径が10〜60nmであり、粒子の内部に銀1モル当たりイリジウム、ロジウム、オスミウムおよびルテニウム原子のいずれかの少なくとも1種が10ー8〜10−3モルドープされていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
- 結合剤がイソシアナート化合物、ビニルスルホニル化合物、エポキシ化合物およびアルコキシシラン化合物から選ばれる少なくとも1種の架橋剤で架橋されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のドライイメージング材料。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002184702A JP2004029330A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | ドライイメージング材料 |
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CN102050797A (zh) * | 2010-11-30 | 2011-05-11 | 大连化工研究设计院 | 2-(4-联苯基)-4,6-二(2-羟基-4-烷氧基苯基)-1,3,5-三嗪紫外线吸收剂 |
CN115448891A (zh) * | 2022-10-08 | 2022-12-09 | 烟台新特路新材料科技有限公司 | 一种三嗪类耐紫外蓝光吸收剂及其制备方法 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184702A patent/JP2004029330A/ja active Pending
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