JP2004028890A - X線異物検出装置及びx線異物検出方法 - Google Patents

X線異物検出装置及びx線異物検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】異物検出における精度及び信頼性の向上を図る。
【解決手段】X線異物検出装置1は、被検査物WにX線を曝射し、このX線の曝射に伴って被検査物Wを透過してくるX線の透過量から被検査物W中の異物Fの有無を検出する。X線異物検出装置1は、被検査物Wに対してX線を曝射するX線発生器6と、被検査物Wに対して曝射されたX線を検出するX線検出器7と、X線検出器7から得られるX線検出データS,Iに基づいて被検査物W内に異物Fが混入されているか否かを判定する異物判定手段11と、X線検出器7によるX線検出範囲の端縁Se,Ieに被検査物Wを透過したX線によるX線検出データSw,Iwが有るか否かにより被検査物W全体がX線に曝射されたか否かを判定する透過判定手段12と、を具備する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば生肉、魚、加工食品、医薬などの各品種の被検査物に対し、X線を曝射したときのX線の透過量から被検査物中の異物を検出するX線異物検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線異物検出装置は、搬送ライン上を順次搬送されてくる各品種の被検査物(生肉、魚、加工食品、医薬など)にX線を曝射し、この曝射したX線の透過量から被検査物中に金属、ガラス、石、骨などの異物が混入しているか否かを検出する装置である。
【0003】
図7はこの種の従来のX線異物検出装置を示す斜視図である。図示のように搬送ベルト4上を被検査物W(W1 )が搬送されて行く途中位置にX線発生器6と、X線検出器7が対向配置される。X線発生器6は、内部にX線管を有する。このX線管により生成されたX線は、下方のX線検出器7に向けて、X線発生器6の底面において長手方向に沿って形成された不図示のスリットにより略三角形状のスクリーン状にして曝射するようになっている。そして、被検査物W1 が所定速度でスクリーン状のX線の曝射領域Aを通過する都度、X線検出器7は、被検査物W1 を透過してくるX線を検出し、この検出したX線の透過量に応じた電気信号を出力している。
【0004】
このとき、スクリーン状のX線の曝射領域Aを通過する被検査物W1 の断面Waは、図7及び図8(a)に示すように、スクリーン状のX線の曝射領域Aからはみ出さず、曝射領域A内を通過していれば、被検査物W1 全体にX線を曝射させることができる。
【0005】
そして、図8(a)に示すように、被検査物W1 に異物Fが混入されている場合、被検査物W1 を透過したX線強度データ(透過量)Sは、図8(b)に示すように、搬送ベルト4のみを透過したX線強度データSbが最も高い。また、被検査物W1 は所定のX線強度データSwとなる。更に、X線は異物Fを透過することにより、X線強度も極端に低下してX線強度データSfが出現する。
【0006】
このX線強度データSを画像処理することにより、図13(a)に示すように、X線画像データIが得られる。このX線画像データIは、図8(c)に示すように、異物の画像データIfのみが急峻となっているため、所定の異物検出閾値Tfを適用することで、被検査物W1 に異物有りと判定することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9及び図10(a)に示すように、高さのある被検査物W2 を検査する場合、スクリーン状のX線の曝射領域Aを通過するときの被検査物W2 の断面の大部分Waが曝射領域Aに入っておりX線が透過することとなるが、被検査物W2 の断面の一部Wbが曝射領域Aからはみ出してしまうこととなり、はみ出した部分Wbについては、X線が透過されないこととなる。したがって、はみ出した部分Wbに異物Fが混入している場合は、図10(b)に示すように、異物FのX線強度データSfが検出できず、図10(c)及び図13(b)に示すように画像処理された場合であっても、異物Fの画像データIfが存在せず、異物Fを検出できないこととなる。
【0008】
また、被検査物Wは、前段の搬送ベルト4に適当に置かれて搬送されたり、X線異物検出装置内に適当に設けられているX線漏洩防止用カーテンに接触して搬送ベルト4上の位置がずれたりする場合があり、常に同じ位置に整列して搬送されない場合がある。このような場合、図11に示すように、被検査物Wが搬送ベルト4の一端部側に寄っている場合、図8の被検査物W1 と同程度の高さの被検査物W3 であっても、図11及び図12(a)に示すように、スクリーン状のX線の曝射領域Aを通過する被検査物W3 の断面の一部Wbが、曝射領域Aからはみ出してしまい、はみ出した部分Wbについては、X線が透過されないこととなる。このような場合、図12(b)に示すように、図10(b)と同様、異物FのX線強度データSfが検出できず、図12(c)に示すように、図10(c)と同様、画像処理された場合であっても、異物Fの画像データIfが存在せず、異物Fを検出できないこととなる。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、曝射されたX線が被検査物W全体を透過したか否かを検出することにより、異物検出における精度及び信頼性の向上を図ることを目的とする。またこれにより、異物混入の有無の誤判定を未然防止を図ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のX線異物検出装置は、被検査物WにX線を曝射し、このX線の曝射に伴って前記被検査物Wを透過してくるX線の透過量から前記被検査物W中の異物Fの有無を検出するX線異物検出装置1であって、
前記被検査物Wに対してX線を曝射するX線発生器6と、
前記被検査物Wに対して曝射されたX線を検出するX線検出器7と、
該X線検出器7から得られるX線検出データS,Iに基づいて、前記被検査物W内に異物Fが混入されているか否かを判定する異物判定手段11と、
前記X線検出器7によるX線検出範囲の端縁Se,Ieに、前記被検査物Wを透過したX線によるX線検出データSw,Iwが有るか否かにより、前記被検査物W全体がX線に曝射されたか否かを判定する透過判定手段12と、
を具備することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載のX線異物検出装置は、被検査物WにX線を曝射し、このX線の曝射に伴って前記被検査物Wを透過してくるX線をX線検出器7により検出し、透過X線の透過量から前記被検査物W中の異物Fの有無を検出するX線異物検出方法であって、
前記X線検出器7から得られるX線検出データS,Iに基づいて、前記被検査物W内に異物Fが混入されているか否かを判定する異物判定工程と、
前記X線検出器7によるX線検出範囲の端縁Se,Ieに、前記被検査物Wを透過したX線によるX線検出データSw,Iwが有るか否かにより、前記被検査物W全体がX線に曝射されたか否かを判定する透過判定工程と、
を含むことを特徴とする。
【0012】
このX線異物検出装置及び方法によれば、被検査物Wを透過したX線によるX線検出データが、X線検出器7によるX線検出範囲の端縁Se,Ieにある場合、曝射されたX線が被検査物Wの一部を透過していないと判定される。これにより、被検査物Wの非透過部分Wbに異物Fが混入されている場合でも誤判定することはなく、透過判定結果に基づいて再検査することが可能となる。
【0013】
一方、被検査物Wを透過したX線によるX線検出データがX線検出範囲の端縁Se,Ieにない場合、X線検出範囲の端縁Se,Ieには、被検査物Wを透過していないX線によるX線検出データSb,Ibが出現する。これにより、被検査物WはX線の曝射領域Aから食み出しておらず、曝射されたX線が被検査物W全体を透過したと判定される。これにより、異物判定において誤判定を生じることがなく、異物検出の精度及び信頼性の向上を図ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1はX線異物検出装置1の概略ブロック構成図である。X線異物検出装置1は、搬送ラインの一部に設けられ、所定間隔をおいて順次搬送されてくる被検査物W(W1 〜W3 )中(表面も含む)に混入される金属、ガラス、石、骨などの異物Fの有無を検出するものである。
【0015】
搬送部2は、例えば生肉、魚、加工食品、医薬などの各種の被検査物Wを搬送するもので、例えば装置1本体に対して水平に配置されたベルトコンベアで構成される。ベルトコンベア2には、4つのプーリ3,3,3,3に無端状の搬送ベルト4が巻回されている。搬送部2は、いずれかのプーリ3に接続された不図示の駆動モータの駆動により予め設定された所定の搬送速度で被検査物Wを搬送させる。
【0016】
図1,図7,図9及び図11に示すように、X線異物検出装置1は、搬送される被検査物Wを搬送路途中において異物Fを検出するもので、搬送部2の上方に所定高さ離れて設けられるX線発生器6と、搬送部2内にX線発生器6と対向して設けられるX線検出器7を備えて構成される。
【0017】
X線発生器6は、金属製の箱体内部に設けられる円筒状のX線管を不図示の絶縁油により浸漬した構成であり、X線管の陰極からの電子ビームを陽極ターゲットに照射させてX線を生成している。X線管は、その長手方向が被検査物Wの搬送方向Xと直交する幅方向Yに設けられている。X線管により生成されたX線は、下方のX線検出器7に向けて、箱体底面に長手方向に沿って形成された不図示のスリットにより、略三角形状のスクリーン状にして曝射するようになっている。
【0018】
X線検出器7は、被検査物Wに対してX線が曝射されたX線を検出する。このX線検出器7には、例えば、ライン状に配列された複数のフォトダイオードと、フォトダイオード上に設けられたシンチレータと、を備えたアレイ状のラインセンサ7aが用いられる。このフォトダイオードは、例えば、1ラインで構成されライン方向(Y方向)に0.4mmピッチで640個配置されて構成される。
【0019】
このX線検出器7では、被検査物Wに対してX線発生器6からX線が曝射されたときに、そのX線をシンチレータで受けて光に変換する。さらにシンチレータで変換された光は、その下部に配置されるフォトダイオードによって受光される。そして、各フォトダイオードは、受光した光を電気信号に変換し、X線検出データとして出力する。このときのX線検出データは、図8(b),図10(b),図12(b)に示すように、X線の強度を示すX線強度データSである。X線強度データSは、図示しないA/D変換部でA/D変換された後、データメモリ8に格納される。
【0020】
データメモリ8には、1ライン(Y方向)あたり上記640個のX線強度データSが、少なくとも搬送される被検査物Wの搬送方向Xの長さに対応した所定ライン数(例えば480ライン)格納される。
【0021】
したがって、このX線検出器7のX線検出範囲は、X線を受光したラインセンサ7aの検出幅と、搬送ベルト4の搬送速度に被検査物WがX線検出器7上を通過する所定の通過時間を乗じて得られる搬送方向幅と、がなす矩形領域である。
【0022】
処理手段9は、CPU及びメモリ等で構成される。処理手段9は、画像処理手段10と、異物判定手段11と、透過判定手段12と、を機能的に備える。処理手段9は、データメモリ8に格納されたX線強度データSに基づき被検査物Wに対する異物混入を検査処理する。
【0023】
画像処理手段10は、データメモリ8に格納されたX線強度データSを画像処理する。この画像処理では、元となるX線強度データSを輝度値からなるX線画像データに変換し、必要に応じてlog 変換,線形変換,フィルタリング処理を実行することで、異物FのX線画像データを強調処理する。図8(c),図10(c),図12(c)に示すように、この画像処理により生成された画像データの画素値は例えば256階調で表される。
【0024】
異物判定手段11は、画像処理手段10にて生成された図8(c),図10(c),図12(c)に示すX線画像データIに基づいて異物Fの有無を判定する。即ち、予め所定の異物検出閾値Tfが設定されており、X線画像データIの画素値にその閾値以上の画像データが検出された場合、異物F有りと判定される。生成されたX線画像データIが閾値Tf未満の画像データであるときは、異物F無しと判定される。なお、異物検出閾値Tfは、被検査物Wを透過したX線のX線画像データI(X線透過画像データ)の輝度値よりも十分に高い値に設定される。
【0025】
透過判定手段12は、X線検出器7によるX線検出範囲の端縁に、被検査物Wを透過したX線によるX線検出データが有るか否かにより、被検査物W全体がX線に曝射されたか否かを判定する。本実施の形態では、透過判定対象となるX線検出データは、画像処理されたX線画像データIである。
【0026】
このX線検出範囲(X線画像データI)の端縁の幅は、予め設定された所定の画素数幅とされている。そして、X線画像データIの端縁Ieに被検査物Wを透過したX線によるX線画像データ(X線透過画像データIw)が有るか否かの判定基準については、X線画像データIの端縁Ieの画素の輝度値が、所定の端縁閾値Te以上であるか否かにより判定する。この端縁閾値Teは、被検査物WのX線透過画像データIwの画素の輝度値よりも低く、X線を透過していないX線によるX線画像データ(背景画像データIb)の画素の輝度値よりも高く設定される。即ち、図10(c),図12(c),図13(b)及び図13(c)に示すように、X線画像データIの端縁Ieの画素が端縁閾値Te以上の場合は、X線画像データIの端縁Ieに被検査物WのX線透過画像データIwが存在することとなり、被検査物W全体が曝射されていないと判定される。一方、X線画像データIの端縁Ieの画素が端縁閾値Te未満の場合は、X線画像データIの端縁Ieに被検査物WのX線透過画像データIwが存在せず、X線画像データIの端縁Ieは、被検査物Wを透過していない背景画像データIbとなり、被検査物W全体が曝射されていないと判定される。
【0027】
判定結果記憶手段13は、HD又はRAM等の読取り及び書込み可能なメモリで構成されている。判定結果記憶手段13は、各被検査物Wごとに、異物判定手段11での異物NG及び透過判定手段12での透過NGを記憶する。
【0028】
総合判定手段14は、判定結果記憶手段13内の記憶内容に基づいて、最終的な判定を実行する。即ち、被検査物W毎に、異物NGがある場合は不良品と判定される。また、透過NG及び異物NGがともに無い場合は良品と判定される。一方、透過NGのみが有る場合は、被検査物Wの一部が検査されていないので未検査と判定される。
【0029】
出力手段15は、液晶パネル等の表示器とアラーム部で略構成される。表示器には、画像処理されたX線画像データIが表示される。また、総合判定の結果、良品と判定された場合は「OK」,不良品と判定された場合は「NG」の文字が表示される。また、未検査と判定された場合は、「NG」又は異物NGと区別できる表示文字、例えば「NG2」と表示される。アラーム部は、総合判定で「NG」又は「未検査」と判定されると、警報音を発生する。
【0030】
次に、本実施の形態の処理手順について、図2のフローチャートを用いて説明する。まず、X線発生器6からX線を略三角形状のスクリーン状に曝射する(S1)。被検査物Wは、図7,図9,図11に示すように搬送ベルト4にて搬送されて、スクリーン状のX線の曝射領域Aを通過する。
【0031】
そして曝射されたX線の一部が被検査物Wを透過し、図8(b),図10(b),図12(b)に示すようにX線検出器7により、検出されたX線検出データが、X線強度データSとしてデータメモリ8に格納される(S2)。
【0032】
データメモリ8に格納されたX線強度データSは、順次読み出されて画像処理され、図8(c),図10(c),図12(c)及び図13に示すように、X線画像データIに生成される(S3)。
【0033】
そして、生成されたX線画像データIにより、透過判定が実行される(S4)。すなわち、X線画像データIの端縁Ieの画素が、所定の端縁閾値Te以上であるか否かを判定する。ここでは、図13(a)に示すように、X線画像データIの端縁Ieの総ての画素が端縁閾値Te未満であれば(S4−Yes)、X線画像データIの端縁Ieに被検査物WのX線透過画像データIwが存在しない。
【0034】
一方、図13(a)に示すように、X線画像データIの端縁Ieの総ての画素が端縁閾値Te以上であれば(S4−No)、X線画像データIの端縁Ieに被検査物WのX線透過画像データIwが存在し、図9,図10(a),図11,図12(a)に示すように、曝射されたX線は被検査物Wの一部Wbが透過していない、すなわち透過NGと判定され、判定結果記憶手段13に記憶される(S5)。
【0035】
透過判定(S4,S5)の後、異物判定処理を実行する(S6)。異物判定処理は、被検査物WのX線透過画像データIwの輝度値が、所定の異物検出閾値Tf以上で有るか否かにより判定される。したがって、異物検出閾値Tf未満であれば(S6−No)、異物F無しと判定される。一方、異物検出閾値Tf以上であれば(S6−Yes)、異物Fありと判定され、判定結果記憶手段13に異物NGが記憶される(S7)。
【0036】
この後、総合判定が実行される(S8)。総合判定では、メモリ内の透過NGと異物NGの有無により、その被検査物Wが良品か不良品かを判定する。即ち、異物NGが有れば、不良品と判定し、表示器に「NG」表示し、アラーム部により警報音が発生する。また、透過NG及び異物NGがともに無い場合は、良品と判定し、表示器に「OK」表示する。更に、透過NGのみある場合は、被検査物Wの一部が検査されていないので未検査と判定し、表示器に「NG」、又は異物NGと区別できる表示文字、例えば「NG2」を表示し、アラーム部により警報音を発生させる。
【0037】
本実施の形態では、X線検出器7から得られる被検査物WのX線透過画像データIwが、X線画像データIの端縁Ieにある場合、被検査物Wの一部WbがX線に曝射されていないと判定される(透過NG)。これにより、被検査物Wの非透過部分Wbに異物Fが混入されている場合でも誤判定することはなく、透過判定結果に基づいて再検査することが可能となる。
【0038】
一方、被検査物WのX線透過画像データIwがX線画像データIの端縁Ieにない場合、X線画像データIの端縁Ieには、被検査物Wを透過していない背景画像データIbが出現する。これにより、被検査物WはX線の曝射領域Aからはみ出しておらず、曝射されたX線が被検査物W全体を透過したと判定される。これにより、異物判定において誤判定を生じることがなく、異物検出の精度及び信頼性の向上を図ることができる。
【0039】
次に本発明の第二実施の形態のX線異物検出装置1について説明する。図3はその概略ブロック構成図である。本実施の形態は、データメモリ8に格納されたX線検出データとしてのX線強度データSを、画像処理せずに透過判定処理に用いる。なお第一実施の形態と同一個所には同一符号を付しその説明を省略する。
【0040】
図4に示すように、X線強度データSは、X線検出器7から出力されたラインデータとなってデータメモリ8に格納されている。各列のX線強度データSのラインデータ個数nは、本例では640個であり、X線強度データSのラインデータ列数mは480ラインである。そして、透過判定では、各X線強度データSごとに、両端の2×i個のデータの強度に基づいて透過判定をする。判定基準としては、予め設定された端縁閾値Teを適用する。この端縁閾値Teは、搬送ベルト4を透過したX線のX線強度データSbよりやや低く、被検査物Wを透過したX線のX線強度データSwより十分高い値に設定される。そして、各ラインデータ両端のX線強度データSeが端縁閾値Te以上であり、かつ、所定ライン数連続して検出されれば、曝射されたX線が被検査物W全体を透過したと判定される。一方、ラインデータ両端のX線強度データSeが端縁閾値Te未満である場合又は端縁閾値Te以上のX線強度データSeが所定ライン数連続して検出されない場合は、曝射されたX線が被検査物Wの一部Wbを透過していないと判定される。
【0041】
次に本実施の形態の処理手順を図5及び図6のフローチャートにより説明する。まず、X線発生器6からX線を略三角形状のスクリーン状に曝射する(S1)。被検査物Wは、図7,図9,図11に示すように搬送ベルト4にて搬送されて、スクリーン状のX線の曝射領域Aを通過する。
【0042】
そして曝射されたX線の一部が被検査物Wを透過し、図8(b),図10(b),図12(b)に示すようにX線検出器7により、X線強度データSとして検出されてデータメモリ8に格納される(S2)。
【0043】
そして、透過判定処理が実行される(S9)。透過判定処理は、図6のフローチャートに示すように、初期状態では、取り込むべきX線強度データSの列アドレス値jがj=1とされ、連続フラグFgがFg=0とされ、連続検出カウント値CがC=0とされている。
【0044】
まず、データメモリ8に格納されている1列目のX線強度データSを取り込む(S11)。そして、その両端、即ちX線強度データSの1番目からi番目までのデータSe及び(n−i+1)番目からn番目までのデータSeが、所定の端縁閾値Te以上か否かを判定する(S12)。端縁閾値Te以上である場合は(S12−Yes)、連続フラグFgと連続カウント値を0にリセットする(S13)。列アドレス値jを1加算する(S14)。列アドレス値jがmに到達していない場合は(S15−No)、次の列のX線強度データSを取り込む(S11)。
【0045】
また、端縁閾値Te未満の場合は(S12−No)、連続フラグFgを参照し、Fg=0ときは(S17−Yes)、連続フラグFgをFg=1にセットして(S18)、列アドレス値jを1加算する(S14)。列アドレス値jがmに到達していない場合は(S15−No)、次の列のX線強度データSを取り込む(S11)。
【0046】
更に、端縁閾値Te未満の場合は(S12−No)、連続フラグFgを参照し、Fg=1のときは(S17−No)、連続カウント値Cを1加算する(S19)。この連続カウント値Cがk未満の場合は(S20−No)、列アドレス値jを1加算する(S14)。列アドレス値jがmに到達していない場合は(S15−No)、次の列のX線強度データSを取り込む(S11)。
【0047】
この連続カウント値Cがkに到達した場合(S20−Yes)、X線検出範囲の端縁に被検査物WのX線強度データSwが存在していることとなり、被検査物Wの一部Wbが、曝射されたX線に透過されておらず、NG判定となる(S21)。NG判定の場合(S10−Yes)、透過NGが記憶される(S5)。この後、X線強度データSは、画像処理がされる(S3)。
【0048】
一方、NG判定されずに、列アドレス値jがmに到達した場合(S15−Yes)、X線検出範囲の端縁に被検査物WのX線強度データSwが存在しないこととなり、被検査物W全体が、曝射されたX線に透過されたこととなりOK判定とされる(S16)。OK判定の場合(S10−No)、X線強度データSは、画像処理される(S3)。そして、第一実施の形態と同様、S6〜S8の処理が実行される。
【0049】
本実施の形態によれば、複数列の端縁のX線強度データSに基づいて透過判定処理を実行するため、透過判定処理の精度向上を図ることができる。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、被検査物を透過したX線によるX線検出データが、X線検出器によるX線検出範囲の端縁にある場合、曝射されたX線が被検査物の一部を透過していないと判定される。これにより、被検査物の非透過部分に異物が混入されている場合でも誤判定することはなく、透過判定結果に基づいて再検査することが可能となる。
【0051】
一方、被検査物を透過したX線によるX線検出データがX線検出範囲の端縁にない場合、X線検出範囲の端縁には、被検査物を透過していないX線によるX線検出データが出現する。これにより、被検査物はX線の曝射領域から食み出しておらず、曝射されたX線が被検査物全体を透過したと判定される。これにより、異物判定において誤判定を生じることがなく、異物検出の精度及び信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるX線異物検出装置の第1及び第2実施の形態の電気的構成を示す概略ブロック構成図。
【図2】本発明によるX線異物検出装置の第1実施の形態の概略フローチャート。
【図3】本発明によるX線異物検出装置の第2実施の形態の電気的構成を示す概略ブロック構成図。
【図4】本発明によるX線異物検出装置1の第2実施の形態におけるデータメモリに格納されたX線強度データを示す図。
【図5】本発明によるX線異物検出装置の第2実施の形態の概略フローチャート。
【図6】本発明によるX線異物検出装置の第2実施の形態における透過判定処理の概略フローチャート。
【図7】正常に搬送されている被検査物にX線を曝射している概略斜視図。
【図8】(a)図7の状態の側断面図
(b)(a)の場合のX線強度データを示す図
(c)(a)の場合のX線画像データを示す図
【図9】高さのある被検査物を搬送してX線を曝射している概略斜視。
【図10】(a)図9の状態の側断面図
(b)(a)の場合のX線強度データを示す図
(c)(a)の場合のX線画像データを示す図
【図11】搬送ベルトの一端部側に寄っている被検査物にX線を曝射している概略斜視図。
【図12】(a)図11の状態の側断面図
(b)(a)の場合のX線強度データを示す図
(c)(a)の場合のX線画像データを示す図
【図13】(a)図8(c)のX線画像データの平面展開図
(b)図10(c)のX線画像データの平面展開図
(c)図12(c)のX線画像データの平面展開図
【符号の説明】
1…X線異物検出装置
6…X線発生器
7…X線検出器
11…異物判定手段
12…透過判定手段
W(W1 〜W3 )…被検査物
F…異物
I,S…X線検出データ

Claims (2)

  1. 被検査物(W)にX線を曝射し、このX線の曝射に伴って前記被検査物を透過してくるX線の透過量から前記被検査物中の異物(F)の有無を検出するX線異物検出装置であって、
    前記被検査物に対してX線を曝射するX線発生器(6)と、
    前記被検査物に対して曝射されたX線を検出するX線検出器(7)と、
    該X線検出器から得られるX線検出データ(S,I)に基づいて、前記被検査物内に異物が混入されているか否かを判定する異物判定手段(11)と、
    前記X線検出器によるX線検出範囲の端縁(Se,Ie)に、前記被検査物を透過したX線によるX線検出データ(Sw,Iw)が有るか否かにより、前記被検査物全体がX線に曝射されたか否かを判定する透過判定手段(12)と、
    を具備することを特徴とするX線異物検出装置。
  2. 被検査物(W)にX線を曝射し、このX線の曝射に伴って前記被検査物を透過してくるX線をX線検出器(7)により検出し、透過X線の透過量から前記被検査物中の異物(F)の有無を検出するX線異物検出方法であって、
    前記X線検出器から得られるX線に基づくX線検出データ(S,I)に基づいて、前記被検査物内に異物が混入されているか否かを判定する異物判定工程と、
    前記X線検出器によるX線検出範囲の端縁(Se,Ie)に、前記被検査物を透過したX線によるX線検出データ(Sw,Iw)が有るか否かにより、前記被検査物全体がX線に曝射されたか否かを判定する透過判定工程と、
    を含むことを特徴とするX線異物検出方法。
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