JP2004028216A - 円筒ウォ−ム歯車 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォ−ム歯車の噛み合いにおいて、面圧応力を低下させ伝達トルクの向上、潤滑油膜の形成を容易にし、耐摩耗性の向上、効率の向上、発熱の低下を図る。
【解決手段】歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムの台形歯形の歯末部歯形を台形歯形のピッチラインより歯元側に配置した平歯車H1におけるインボリュ−ト歯形Isにピッチ点Pが一致するよう置き換えるとともに、台形歯形の歯元部歯形を台形歯形のピッチラインより歯末側に配置した平歯車H2のインボリュ−ト歯形Imにピッチ点Pが一致するよう置き換え左右対称の歯形としたものである。ウォ−ムホィ−ルはこの歯形を工具として創成歯切りしウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いを凹と凸にした。
【選択図】 図7
【解決手段】歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムの台形歯形の歯末部歯形を台形歯形のピッチラインより歯元側に配置した平歯車H1におけるインボリュ−ト歯形Isにピッチ点Pが一致するよう置き換えるとともに、台形歯形の歯元部歯形を台形歯形のピッチラインより歯末側に配置した平歯車H2のインボリュ−ト歯形Imにピッチ点Pが一致するよう置き換え左右対称の歯形としたものである。ウォ−ムホィ−ルはこの歯形を工具として創成歯切りしウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いを凹と凸にした。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、円筒ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルからなる円筒ウォ−ム歯車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
円筒ウォ−ム歯車は、食い違い歯車の一種で図10及び図11に示すよう円筒ウォ−ム1とウォ−ムホィ−ル2によって構成される。円筒ウォ−ム1はねじ形状をしており、ウォ−ムホィ−ル2はウォ−ムと同形の歯形をもつ工具によって創成歯切りされた歯車である。
【0003】
ウォ−ムホィ−ルは、ねじ状のウォ−ムを回転することによりウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの歯数比分回転し動力を伝達する。
【0004】
従来の円筒ウォ−ムの歯形は、図2に示すよう台形形状をしており、該歯形を工具歯形としてウォ−ムホィ−ルを創成歯切りする。歯形が単純なことで切削工具が製作しやすいためにほとんどのウォ−ム歯車は、この方法で製作されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ウォ−ム歯車の噛み合いは、図5に示すようウォ−ムホィ−ルの中央断面S(図10参照)においてラック3と平歯車4の関係で考えられる。前記、台形歯形のウォ−ムでは図5のごとくウォ−ムの歯形5は直線でウォ−ムホィ−ルの歯形6はインボリュ−ト曲線となる。このため噛み合いは、接触状態の概念を示す図3の如く平面Fと円筒C(凸)の接触となり面圧応力が大きく、潤滑油膜の形成が困難になり発熱、摩耗、効率の低下等種々の問題を生じた。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みて考案されたものである。従来の台形歯形とインポリュ−ト歯形の如く平面と凸面の噛み合いを凹と凸の噛み合いにすることにより面圧応力を低下させ伝達トルクの向上、潤滑油膜の形成を容易にし、耐摩耗性の向上、効率の向上、発熱の低下を実現させるウォ−ムとウォ−ムホィ−ルからなるウォ−ム歯車を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムの歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムのピッチラインにおいて、該ピッチラインより歯末側の台形歯形を、該ピッチラインを同じとする該ピッチラインより歯元側に配置した平歯車のピッチラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えるとともに、該ピッチラインより歯元側の台形歯形を、該ピッチラインを同じとする該ピッチラインより歯末側に配置した平歯車のピッチラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えると同時に該ピッチラインと該歯形の交点上において、前記歯末側に置き替えた前記インボリュ−ト歯形と圧力角を同一にして連続させることにより上記課題を解決したものである。(請求項1)
【0008】
請求項1に記載の構成は、ピッチラインを転位したいわゆる転位系の円筒ウォ−ムにも適用できる。(請求項2)
【0009】
これらの、歯直角断面及び軸方向断面にインボリュ−ト歯形を有する円筒ウォ−ムと噛み合うウォ−ムホィ−ルは、該歯形を工具歯形とする切削工具により創成歯切りすることにより得られる。(請求項4)
【0010】
このようにして創成歯切りされたウォ−ムホィ−ルの歯形は、歯元側の歯形が凹形となり、歯末側では凸となる。ウォームの歯形も同じく歯元側の歯形が凹形で、歯末側は凸となる。ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いはウォ−ムの歯末側の歯形とウォ−ムホィ−ルの歯元側の歯形と噛み合うため、すなわち凹と凸の噛み合いが実現される。また、ウォ−ムの歯元側とウォ−ムホィ−ルの歯末側も同様に凹と凸の噛み合いになる。
【0011】
この結果、接触面全般にわたり凹凸の噛み合いとなり曲率差が小さくなり接触面積が増え面圧応力を小さくすることができる。この結果、伝達トルクの向上、潤滑油膜の形成を容易にし、耐摩耗性の向上、効率の向上、発熱の低下を実現させることができる。
【0012】
本発明は、歯直角断面及び軸方向断面のいづれにおいても同様の歯形を適用することができ同様の効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下の図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の実施形態である歯形の一部を図1に示す。図1は、図10における円筒ウォ−ム1の軸方向断面ASにおける歯形を示す。
【0015】
図1は、請求項1で述べたように台形歯形(図2)の歯末部D1を図7の台形歯形のピッチラインより歯元側に配置した平歯車H1におけるインボリュ−ト歯形Isにピッチ点Pが一致するよう置き換えるとともに、台形歯形の歯元部D2を図7の如く台形歯形のピッチラインより歯末側に配置した平歯車H2のインボリュ−ト歯形Imにピッチ点Pが一致するよう置き換え左右対称の歯形としたものである。
【0016】
このとき、図2における台形歯形の圧力角αと、図7における平歯車のピッチ点Pでの圧力角αはいづれも同じ値として置き換える。
【0017】
以上のようにして置き換えた歯形は、図1の如くピッチラインより歯末側I1が凸形の歯形となり、歯元側I2は凹形歯形となる。この歯形をインボリュ−ト複合歯形と呼ぶことにする。
【0018】
また、本歯形の請求項2で述べた歯形を図6に示す。図6は、図10における円筒ウォ−ムの軸方向断面ASにおける歯形を示す。
【0019】
図6は、請求項2で述べたように図2のピッチラインPLと平行な基準ラインPL1おいて歯末部D11を図7の台形歯形のピッチラインより歯末側に配置した平歯車におけるインボリュ−ト歯形Isのピッチ点Pが図2の基準ラインPL1におけるピッチ点P1に一致するよう置き換えるとともに、台形歯形の歯元部D21を図7の台形歯形のピッチラインPLより歯末側に配置した平歯車のインボリュ−ト歯形Imのピッチ点Pが図2の基準ラインPL1におけるピッチ点P1に一致するよう置き換え左右対称の歯形Is1としたものである。
【0020】
このとき、図2における台形歯形の圧力角αと、図7における平歯車のピッチ点P1での圧力角αはいづれも同じ値として置き換える。
【0021】
以上のようにして置き換えた歯形は、図6の如く基準ラインPL1より歯末側I11が凸形の歯形となり、歯元側I21は凹形歯形となる。この歯形を転位インボリュ−ト複合歯形と呼ぶことにする。
【0022】
図6の実施例では基準ラインPL1が、ピッチラインPLの歯末側に設定しているが、歯元側に設定することもできる。
【0023】
実際の円筒ウォ−ムの製作では、前述した歯形をねじ切りフライスやねじ研削用砥石をそのインボリュ−ト複合歯形形状に成形して周知の方法により加工製作することができる。
【0024】
ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い関係は、図11の中央断面Sにおいて図5のように基準ラック3と平歯車4の関係であらわすことができる。この中央断面Sにおいて基準ラックを図1のインボリ−ュト複合歯形としてウォ−ムホィ−ルを創成したものを図9に示す。
【0025】
ウォ−ムホィ−ルは、図1あるいは図6に示すインボリ−ュト複合歯形を切削工具の歯形として周知の方法にて創成歯切りされることによって製作することができる。
【0026】
本発明のウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い動作は、前述した図11の中央断面Sにおいて表すことができる。図8の如くウォ−ムの歯元付近7から噛み合い始めピッチ点Pを通りウォ−ム歯末付近の噛み合い点8に至り噛み合いを終える。
【0027】
図8から明らかなように噛み合い点7から8では凹と凸の噛み合い接触であることがわかる。台形歯形では、概念的に平面と凸面の噛み合い接触概念図3となり、本発明では凹と凸の噛み合い接触概念図4になる。この両者の違いは、下記にそれぞれの一般的な接触面積の計算式を表すことで明らかである。
接触概念図3の接触面積の計算式
b1=√(2/π・p・d・E)
ここで、
b1 :平面と円筒の接触面積
π :円周率
K :円筒に作用する荷重
B :円筒の接触長さ
p :円筒の長さあたりの荷重(=K/B)
d :円筒の直径
E=(1−ν2)/E1−(1−ν2)/E2
ν :ポアソン比
E1,E2:縦弾性係数
次に接触概念図4の接触面積の計算式
b2=√{2/π・p・(d1・d2/(d1−d2))・E}
ここで、
b2 :円筒と円筒の接触面積
π :円周率
K :円筒に作用する荷重
B :円筒の接触長さ
p :円筒の長さあたりの荷重(=K/B)
d1,d2 :円筒の直径(d1<d2とする)
E=(1−ν2)/E1−(1−ν2)/E2
ν :ポアソン比
E1,E2:縦弾性係数
【0028】
接触概念図3と接触概念図4の接触面積の式を見ると明らかであるように相対的な曲率を表す項目が異なるだけである。すなわち、
接触概念図3では、d
接触概念図4では、d1・d2/(d1−d2)
であり、仮に円筒の直径が両者とも同じ、d=d1 とすれば式から明らかなように
d<d1・d2/(d1−d2) となり
接触概念図4は接触概念図3より接触面積が大きくなることがわかる。この結果から、円筒の長さあたりの荷重が同じであれば、単位面積あたり、すなわち応力が接触概念図4の凹円筒と凸円筒の接触のほうが小さくなることが理論的に明らかである。
【0029】
【発明の効果】
以上の結果から、インボリュ−ト複合歯形のウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いでは接触応力を小さくできるため、同じサイズのウォ−ム歯車であれば大きなトルクを伝達できる。また、凹と凸の噛み合いでは潤滑油膜の形成が良い為、伝達効率の向上や発熱の低下また摩耗を少なくできる。さらに接触面積が大きいことや噛み合い終始端が滑らかに行われることで騒音や振動も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の歯形を示す部分断面図。
【図2】従来の台形歯形ウォ−ムの軸方向断面における歯形の部分断面図
【図3】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの接触状態の概念図
【図4】本発明のインボリュ−ト複合歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い接触状態の概念図
【図5】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの状態を図11の中央断面Sにおける基準ラックと平歯車の関係に表した部分断面図
【図6】本発明の第2実施形態の歯形を示す部分断面図。
【図7】図3の台形歯形の歯末歯形及び歯元歯形を平歯車のインボリュ−ト歯形にそれぞれ置き換えたことを表す部分断面図
【図8】上記、インボリュ−ト歯形に置き換えた、図11における中央断面Sにおいてウォ−ムとウォ−ムホィ−ルとの噛み合い状態を示す断面図
【図9】前記、図1のインボリュ−ト複合歯形を工具として図11における中央断面Sにおいてウォ−ムホィ−ルを創成した図
【図10】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの状態を示した、一部断面の正面図
【図11】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの状態を示した側面の断面図
【符号の説明】
1…円筒ウォ−ム
2…ウォ−ムホィ−ル
3…ラック
4…平歯車
5…ラック台形歯形
6…平歯車インボリュ−ト歯形
7、8…ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い点
P,P1…ピッチ点
Is、Is1…歯末インボリュ−ト歯形
Im,Im1…歯元インボリュ−ト歯形
d,d1,d2…円筒直径
B…円筒の接触長さ
K…荷重
D1,D11…台形歯形の歯末長さ
D2,D21…台形歯形の歯元長さ
I1、I11…インボリュ−ト歯形の歯末長さ
I2、I21…インボリュ−ト歯形の歯元長さ
PL、PL1…ピッチライン
α…圧力角
【発明が属する技術分野】
本発明は、円筒ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルからなる円筒ウォ−ム歯車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
円筒ウォ−ム歯車は、食い違い歯車の一種で図10及び図11に示すよう円筒ウォ−ム1とウォ−ムホィ−ル2によって構成される。円筒ウォ−ム1はねじ形状をしており、ウォ−ムホィ−ル2はウォ−ムと同形の歯形をもつ工具によって創成歯切りされた歯車である。
【0003】
ウォ−ムホィ−ルは、ねじ状のウォ−ムを回転することによりウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの歯数比分回転し動力を伝達する。
【0004】
従来の円筒ウォ−ムの歯形は、図2に示すよう台形形状をしており、該歯形を工具歯形としてウォ−ムホィ−ルを創成歯切りする。歯形が単純なことで切削工具が製作しやすいためにほとんどのウォ−ム歯車は、この方法で製作されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ウォ−ム歯車の噛み合いは、図5に示すようウォ−ムホィ−ルの中央断面S(図10参照)においてラック3と平歯車4の関係で考えられる。前記、台形歯形のウォ−ムでは図5のごとくウォ−ムの歯形5は直線でウォ−ムホィ−ルの歯形6はインボリュ−ト曲線となる。このため噛み合いは、接触状態の概念を示す図3の如く平面Fと円筒C(凸)の接触となり面圧応力が大きく、潤滑油膜の形成が困難になり発熱、摩耗、効率の低下等種々の問題を生じた。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みて考案されたものである。従来の台形歯形とインポリュ−ト歯形の如く平面と凸面の噛み合いを凹と凸の噛み合いにすることにより面圧応力を低下させ伝達トルクの向上、潤滑油膜の形成を容易にし、耐摩耗性の向上、効率の向上、発熱の低下を実現させるウォ−ムとウォ−ムホィ−ルからなるウォ−ム歯車を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムの歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムのピッチラインにおいて、該ピッチラインより歯末側の台形歯形を、該ピッチラインを同じとする該ピッチラインより歯元側に配置した平歯車のピッチラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えるとともに、該ピッチラインより歯元側の台形歯形を、該ピッチラインを同じとする該ピッチラインより歯末側に配置した平歯車のピッチラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えると同時に該ピッチラインと該歯形の交点上において、前記歯末側に置き替えた前記インボリュ−ト歯形と圧力角を同一にして連続させることにより上記課題を解決したものである。(請求項1)
【0008】
請求項1に記載の構成は、ピッチラインを転位したいわゆる転位系の円筒ウォ−ムにも適用できる。(請求項2)
【0009】
これらの、歯直角断面及び軸方向断面にインボリュ−ト歯形を有する円筒ウォ−ムと噛み合うウォ−ムホィ−ルは、該歯形を工具歯形とする切削工具により創成歯切りすることにより得られる。(請求項4)
【0010】
このようにして創成歯切りされたウォ−ムホィ−ルの歯形は、歯元側の歯形が凹形となり、歯末側では凸となる。ウォームの歯形も同じく歯元側の歯形が凹形で、歯末側は凸となる。ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いはウォ−ムの歯末側の歯形とウォ−ムホィ−ルの歯元側の歯形と噛み合うため、すなわち凹と凸の噛み合いが実現される。また、ウォ−ムの歯元側とウォ−ムホィ−ルの歯末側も同様に凹と凸の噛み合いになる。
【0011】
この結果、接触面全般にわたり凹凸の噛み合いとなり曲率差が小さくなり接触面積が増え面圧応力を小さくすることができる。この結果、伝達トルクの向上、潤滑油膜の形成を容易にし、耐摩耗性の向上、効率の向上、発熱の低下を実現させることができる。
【0012】
本発明は、歯直角断面及び軸方向断面のいづれにおいても同様の歯形を適用することができ同様の効果を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下の図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の実施形態である歯形の一部を図1に示す。図1は、図10における円筒ウォ−ム1の軸方向断面ASにおける歯形を示す。
【0015】
図1は、請求項1で述べたように台形歯形(図2)の歯末部D1を図7の台形歯形のピッチラインより歯元側に配置した平歯車H1におけるインボリュ−ト歯形Isにピッチ点Pが一致するよう置き換えるとともに、台形歯形の歯元部D2を図7の如く台形歯形のピッチラインより歯末側に配置した平歯車H2のインボリュ−ト歯形Imにピッチ点Pが一致するよう置き換え左右対称の歯形としたものである。
【0016】
このとき、図2における台形歯形の圧力角αと、図7における平歯車のピッチ点Pでの圧力角αはいづれも同じ値として置き換える。
【0017】
以上のようにして置き換えた歯形は、図1の如くピッチラインより歯末側I1が凸形の歯形となり、歯元側I2は凹形歯形となる。この歯形をインボリュ−ト複合歯形と呼ぶことにする。
【0018】
また、本歯形の請求項2で述べた歯形を図6に示す。図6は、図10における円筒ウォ−ムの軸方向断面ASにおける歯形を示す。
【0019】
図6は、請求項2で述べたように図2のピッチラインPLと平行な基準ラインPL1おいて歯末部D11を図7の台形歯形のピッチラインより歯末側に配置した平歯車におけるインボリュ−ト歯形Isのピッチ点Pが図2の基準ラインPL1におけるピッチ点P1に一致するよう置き換えるとともに、台形歯形の歯元部D21を図7の台形歯形のピッチラインPLより歯末側に配置した平歯車のインボリュ−ト歯形Imのピッチ点Pが図2の基準ラインPL1におけるピッチ点P1に一致するよう置き換え左右対称の歯形Is1としたものである。
【0020】
このとき、図2における台形歯形の圧力角αと、図7における平歯車のピッチ点P1での圧力角αはいづれも同じ値として置き換える。
【0021】
以上のようにして置き換えた歯形は、図6の如く基準ラインPL1より歯末側I11が凸形の歯形となり、歯元側I21は凹形歯形となる。この歯形を転位インボリュ−ト複合歯形と呼ぶことにする。
【0022】
図6の実施例では基準ラインPL1が、ピッチラインPLの歯末側に設定しているが、歯元側に設定することもできる。
【0023】
実際の円筒ウォ−ムの製作では、前述した歯形をねじ切りフライスやねじ研削用砥石をそのインボリュ−ト複合歯形形状に成形して周知の方法により加工製作することができる。
【0024】
ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い関係は、図11の中央断面Sにおいて図5のように基準ラック3と平歯車4の関係であらわすことができる。この中央断面Sにおいて基準ラックを図1のインボリ−ュト複合歯形としてウォ−ムホィ−ルを創成したものを図9に示す。
【0025】
ウォ−ムホィ−ルは、図1あるいは図6に示すインボリ−ュト複合歯形を切削工具の歯形として周知の方法にて創成歯切りされることによって製作することができる。
【0026】
本発明のウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い動作は、前述した図11の中央断面Sにおいて表すことができる。図8の如くウォ−ムの歯元付近7から噛み合い始めピッチ点Pを通りウォ−ム歯末付近の噛み合い点8に至り噛み合いを終える。
【0027】
図8から明らかなように噛み合い点7から8では凹と凸の噛み合い接触であることがわかる。台形歯形では、概念的に平面と凸面の噛み合い接触概念図3となり、本発明では凹と凸の噛み合い接触概念図4になる。この両者の違いは、下記にそれぞれの一般的な接触面積の計算式を表すことで明らかである。
接触概念図3の接触面積の計算式
b1=√(2/π・p・d・E)
ここで、
b1 :平面と円筒の接触面積
π :円周率
K :円筒に作用する荷重
B :円筒の接触長さ
p :円筒の長さあたりの荷重(=K/B)
d :円筒の直径
E=(1−ν2)/E1−(1−ν2)/E2
ν :ポアソン比
E1,E2:縦弾性係数
次に接触概念図4の接触面積の計算式
b2=√{2/π・p・(d1・d2/(d1−d2))・E}
ここで、
b2 :円筒と円筒の接触面積
π :円周率
K :円筒に作用する荷重
B :円筒の接触長さ
p :円筒の長さあたりの荷重(=K/B)
d1,d2 :円筒の直径(d1<d2とする)
E=(1−ν2)/E1−(1−ν2)/E2
ν :ポアソン比
E1,E2:縦弾性係数
【0028】
接触概念図3と接触概念図4の接触面積の式を見ると明らかであるように相対的な曲率を表す項目が異なるだけである。すなわち、
接触概念図3では、d
接触概念図4では、d1・d2/(d1−d2)
であり、仮に円筒の直径が両者とも同じ、d=d1 とすれば式から明らかなように
d<d1・d2/(d1−d2) となり
接触概念図4は接触概念図3より接触面積が大きくなることがわかる。この結果から、円筒の長さあたりの荷重が同じであれば、単位面積あたり、すなわち応力が接触概念図4の凹円筒と凸円筒の接触のほうが小さくなることが理論的に明らかである。
【0029】
【発明の効果】
以上の結果から、インボリュ−ト複合歯形のウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いでは接触応力を小さくできるため、同じサイズのウォ−ム歯車であれば大きなトルクを伝達できる。また、凹と凸の噛み合いでは潤滑油膜の形成が良い為、伝達効率の向上や発熱の低下また摩耗を少なくできる。さらに接触面積が大きいことや噛み合い終始端が滑らかに行われることで騒音や振動も低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の歯形を示す部分断面図。
【図2】従来の台形歯形ウォ−ムの軸方向断面における歯形の部分断面図
【図3】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの接触状態の概念図
【図4】本発明のインボリュ−ト複合歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い接触状態の概念図
【図5】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの状態を図11の中央断面Sにおける基準ラックと平歯車の関係に表した部分断面図
【図6】本発明の第2実施形態の歯形を示す部分断面図。
【図7】図3の台形歯形の歯末歯形及び歯元歯形を平歯車のインボリュ−ト歯形にそれぞれ置き換えたことを表す部分断面図
【図8】上記、インボリュ−ト歯形に置き換えた、図11における中央断面Sにおいてウォ−ムとウォ−ムホィ−ルとの噛み合い状態を示す断面図
【図9】前記、図1のインボリュ−ト複合歯形を工具として図11における中央断面Sにおいてウォ−ムホィ−ルを創成した図
【図10】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの状態を示した、一部断面の正面図
【図11】従来の台形歯形ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合いの状態を示した側面の断面図
【符号の説明】
1…円筒ウォ−ム
2…ウォ−ムホィ−ル
3…ラック
4…平歯車
5…ラック台形歯形
6…平歯車インボリュ−ト歯形
7、8…ウォ−ムとウォ−ムホィ−ルの噛み合い点
P,P1…ピッチ点
Is、Is1…歯末インボリュ−ト歯形
Im,Im1…歯元インボリュ−ト歯形
d,d1,d2…円筒直径
B…円筒の接触長さ
K…荷重
D1,D11…台形歯形の歯末長さ
D2,D21…台形歯形の歯元長さ
I1、I11…インボリュ−ト歯形の歯末長さ
I2、I21…インボリュ−ト歯形の歯元長さ
PL、PL1…ピッチライン
α…圧力角
Claims (5)
- 歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムのピッチラインにおいて、該ピッチラインより歯末側の台形歯形を、該ピッチラインを同じとする該ピッチラインより歯元側に配置した平歯車のピッチラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えるとともに、該ピッチラインより歯元側の台形歯形を、該ピッチラインを同じとする該ピッチラインより歯末側に配置した平歯車のピッチラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えると同時に該ピッチラインと該歯形の交点上において、前記歯末側に置き替えた前記インボリュ−ト歯形と圧力角を同一にして連続させたことを特徴とする円筒ウォ−ム。
- 歯直角断面及び軸方向断面の歯形を台形とする円筒ウォ−ムのピッチラインと平行な基準ラインにおいて、該基準ラインより歯末側の台形歯形を、該基準ラインを同じとする該基準ラインより歯元側に配置した平歯車の該基準ラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えるとともに、該基準ラインより歯元側の台形歯形を、該基準ラインを同じとする該基準ラインより歯末側に配置した平歯車の該基準ラインより歯末側のインボリュ−ト歯形に置き替えると同時に該基準ライインと該歯形の交点上において、前記歯末側に置き替えた前記インボリュ−ト歯形と圧力角を同一にして連続させたことを特徴とする円筒ウォ−ム。
- 請求項1〜2において、圧力角の取りうる範囲を10度〜35度としたことを特徴とする円筒ウォ−ム。
- 請求項1〜3のいづれか記載の円筒ウォ−ムの歯形を、工具歯形として創成歯切りして得られるウォ−ムホィ−ル。
- 請求項1〜4のいづれか記載の円筒ウォ−ムと請求項8に記載したウォ−ムホィ−ルからなる円筒ウォ−ム歯車。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002185685A JP2004028216A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 円筒ウォ−ム歯車 |
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JP2002185685A JP2004028216A (ja) | 2002-06-26 | 2002-06-26 | 円筒ウォ−ム歯車 |
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Family Applications (1)
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JP (1) | JP2004028216A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104948450A (zh) * | 2015-05-29 | 2015-09-30 | 重庆红宇精密工业有限责任公司 | 一种油泵转子 |
JP2018132080A (ja) * | 2017-02-13 | 2018-08-23 | 株式会社ジェイテクト | ウォームを含む減速機 |
WO2019044139A1 (ja) * | 2017-08-30 | 2019-03-07 | 株式会社ミツバ | 減速機構付モータ |
-
2002
- 2002-06-26 JP JP2002185685A patent/JP2004028216A/ja active Pending
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CN104948450A (zh) * | 2015-05-29 | 2015-09-30 | 重庆红宇精密工业有限责任公司 | 一种油泵转子 |
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