JP4254153B2 - ギア機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば内燃機関等の動力伝達系に用いられるギア機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、内燃機関の動力伝達系におけるギア機構では、大きな動力が伝達される系に用いられる都合上、互いに噛合するギアは、ともに金属製のものが用いられている(例えば実開平4―99448号公報参照)。
【0003】
また近年は、このような動力伝達系のギア機構において、機関出力軸の回転変動や各ギア噛合部のバックラッシに起因する歯打ち音、あるいは噛合するギアの各歯の歯面同士が擦れ合う噛合音等を低減するために樹脂製のギアを用いる技術も提案されている。
【0004】
一方、このようなギア機構は通常、高温、高負荷の過酷な環境下で使用されるため、樹脂製ギアと噛合する相手のギアとして金属製のものを用いて該樹脂製ギアの歯の消滅を抑制したり、樹脂製ギアの内部に補強繊維を織り込んで該樹脂製ギアの剛性を高めたりする技術も提案され、実用されている。
【0005】
このように、金属製ギアと補強繊維により強化された樹脂製ギアとが噛合されるギア機構とすることにより、前記動力伝達系においても、その過酷な環境に耐えつつ、金属製ギアと樹脂製ギアとの歯打ち音や噛合音の低減が図られるようになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記樹脂製ギアは、温度の上昇に伴ってギア自身が熱膨張し、その熱膨張によって歯が変形して歯形諸元が大きく変化することが発明者によって確認されている。また、前記ギア機構の作動時において樹脂製ギアの歯形諸元が変化すると、その樹脂製ギアの温度上昇に伴って同樹脂製ギアと金属製ギアとの接触部の面積が小さくなるとともに面圧が上昇し、それら両ギアの噛合音の音圧レベルが徐々に増大することも同じく発明者によって確認されている。
【0007】
特に、樹脂製ギアが前記補強繊維により強化されるものにあっては、樹脂材料の熱膨張率と補強繊維の熱膨張率とが異なるため、同樹脂製ギアの熱膨張時にはその内部に大きな歪みが生じることとなり、該樹脂製ギアの歯の歯形諸元が大きく変化され易くなる。
【0008】
なお、上述した金属製ギアと樹脂製ギアとが噛合されるギア機構に限らず、互いに異なる材料にて形成されたギアが噛合されるギア機構にあってはこうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ギアの熱膨張に起因した歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大をより好適に抑制することのできるギア機構を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための手段及びその作用効果について以下に記載する。
請求項1に記載の発明は、駆動側ギアに対して異なる材料にて形成される1つまたは2つ以上の従動側ギアが噛合されたギア機構であって、前記駆動側ギアと前記従動側ギアとは、所定の高温状態へと昇温されたときにそれらギアの歯形諸元が略一致するように、常温状態から前記所定の高温状態への温度変化による歯形諸元の変化分を加味して前記駆動側ギア及び前記従動側ギアの少なくとも一方の歯形諸元が設定されてなることを要旨とする。
【0011】
上記構成によれば、駆動側ギアと従動側ギアとが、それらの各歯の歯面同士の擦れによる摩擦熱や周囲からの熱等により徐々に昇温されて熱膨張すると、その熱膨張に伴って各ギアの歯の歯形諸元が徐々に変化するようになる。
【0012】
ここで、駆動側ギアと従動側ギアとは、それらギアの常温状態から所定の高温状態への温度変化による歯形諸元の変化分を加味して形成されるため、それらギアの歯形諸元は、常温状態では異なっていても、ギア自身の温度が高くなるにつれて一致する方向に徐々に変化する。そして、駆動側ギアと従動側ギアとが所定の高温状態まで昇温されると、それらギアの歯形諸元が略一致する。
【0013】
このように駆動側ギアと従動側ギアとが昇温されて、それらギアの歯形諸元が略一致する方向に変化すると、駆動側ギアと従動側ギアとの歯面同士の接触面積が徐々に増大し、それら歯面に作用する圧力が低下してくる。このため、駆動側ギアと従動側ギアとの熱膨張に起因した歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大を好適に抑制することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のギア機構において、前記駆動側ギア及び前記従動側ギアの一方が、他方のギアの前記温度変化による歯形諸元の変化分が加味されるように前記一方のギアの歯形諸元が設定されてなることを要旨とする。
【0015】
一般に、ギアは、例えば筒状の粗材に対してその粗材の外周部または内周部にて歯切り(荒加工)、シェービング(仕上加工)が行われることによってギアの各歯が所定の歯形諸元を有するように形成される。ただし、樹脂製のギアの場合には、その歯面の表面状態への影響等により上記シェービングの加工が適さないことがある。
【0016】
この点、上記構成によれば、例えば、一方のギアが金属製のギアであり、他方のギアが樹脂製のギアである場合でも、その金属製ギアに対するシェービング加工を通じて同金属製ギアの歯を、所望の歯形諸元を有するように精度よく形成することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のギア機構において、前記設定される前記駆動側ギア及び前記従動側ギアの少なくとも一方の歯形諸元として、圧力角または捩れ角の少なくとも一方を含むことを要旨とする。
【0018】
上記構成によれば、設定される駆動側ギア及び従動側ギアの少なくとも一方の歯形諸元として、駆動側ギアの歯と従動側ギアの歯との歯面同士の接触面積に大きく影響する圧力角または捩れ角の少なくとも一方を考慮することにより、駆動側ギアと従動側ギアとの熱膨張に起因した歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大をより好適に抑制することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載のギア機構において、前記一方のギアが金属製のギアからなり、前記他方のギアが樹脂製のギアからなることを要旨とする。
【0020】
上記構成によれば、熱膨張率の異なる金属製ギアと樹脂製ギアとが噛合するギア機構の場合であっても、それらギアの歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大をより好適に抑制することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のギア機構において、前記樹脂製のギアは、補強繊維により強化されてなり、同樹脂製のギアと前記金属製のギアとは、前記所定の高温状態へと昇温されたときにそれらギアの歯形諸元が略一致するように前記金属製のギアの歯形諸元が設定されてなることを要旨とする。
【0022】
一般に、樹脂製ギアを構成する樹脂材料と補強繊維とは、それらの熱膨張率が異なる。これにより、同樹脂製ギアが高温状態にあるときには、上記熱膨張率の違いに起因して同樹脂製ギアの内部に歪みが生じ易く、その歪みが生じた場合には、樹脂製ギアの歯の歯形諸元が大きく変化するようになる。
【0023】
この点、上記構成によれば、樹脂製ギアが昇温されることによってその樹脂製ギアの歯の歯形諸元が大きく変化する場合でも、熱膨張に起因した歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大をより好適に抑制することができる。
【0024】
請求項6に記載の発明は、請求項4または5に記載のギア機構において、前記金属製のギアは、その各歯の歯先部に面取りが施されてなることを要旨とする。
上記構成によれば、金属製のギアと樹脂製のギアとが噛合回転している際において、金属製ギアの歯の歯先部の一部が樹脂製ギアの歯に食い込むことが抑制される。これにより、金属製ギアの歯が樹脂製ギアの歯に食い込むことに起因した金属性ギアと樹脂製ギアとの各歯の歯面に作用する面圧の増大を抑制することができる。この結果、噛合音等の音圧レベルの増大をさらに好適に抑制することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のギア機構において、前記駆動側ギアおよび前記従動側ギアは、内燃機関の動力伝達系に用いられるものであることを要旨とする。
【0026】
上記構成によれば、特に高温でかつ高負荷が作用した状態で作動される内燃機関の動力伝達系のギア機構であっても、駆動側ギアと従動側ギアとの熱膨張に起因した歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大を好適に抑制することができる。また、内燃機関の静粛性を向上することもできる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を内燃機関の動力伝達系に用いられるギア機構に具体化した一実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
【0028】
図1に示されるように、この動力伝達系11は、例えば機関出力軸等の駆動軸12と、同駆動軸12と並設される例えばバランスシャフト等の従動軸13とを備えている。これら駆動軸12と従動軸13とは、ギア機構を介して駆動連結されている。
【0029】
このギア機構は、上記駆動軸12とともに回転する駆動側ギア14と、この駆動側ギア14と噛合されて、上記従動軸13とともに回転する1つの従動側ギア15とを備えて構成されている。また、これら駆動側ギア14と従動側ギア15とは、ともにはすば歯車として構成されている。
【0030】
また、これら駆動側ギア14と従動側ギア15とは、互いに異なる材料にて形成されており、本実施形態では、上記駆動側ギア14として金属製のギアが、一方、上記従動側ギア15として樹脂製のギアが用いられている。また、この従動側ギア15は、例えば、従動軸13と接続される内周部分が金属材料によって形成され、金属製の駆動側ギア14と噛合する歯を有する外周部分がアラミド繊維織物などによって強化されたポリアミノアミドまたはフェノールといった熱硬化性樹脂からなる樹脂材料によって形成される構成等となっている。
【0031】
これにより、駆動側ギア14と従動側ギア15とをともに金属製のギアとした場合に比べて、前記駆動軸12の回転変動や各ギア14,15のギア噛合部のバックラッシが生じることに起因する歯打ち音、あるいは各ギア14,15の各歯14a,15aの歯面同士が擦れ合う噛合音等を低減することができる。
【0032】
ところで、前記樹脂製の従動側ギア15にあっては、前記内燃機関の運転時においてその内燃機関からの熱や両ギア14,15の歯14a,15aの歯面同士の摩擦による摩擦熱等により従動側ギア15自身が昇温されることとなる。そして、このように従動側ギア15が昇温されると、前記樹脂材料と補強繊維との熱膨張率が異なることに起因して従動側ギア15の内部に歪みが生じ、この歪みによって各歯15aが例えば図2(a)および(b)に示されるような態様で変形してそれら歯15aの歯形諸元が大きく変化する。
【0033】
すなわち、図2(a)に示すように、従動側ギア15自身の昇温により、各歯15aは、その歯元部では同図中実線にて示した状態から点線にて示した状態へと回転方向の幅が小さくなるように、逆に、歯先部では同図中実線にて示した状態から点線にて示した状態へと回転方向の幅が大きくなるように変形する。なお、同図2(a)において実線にて示した状態は、従動側ギア15自身の温度が常温状態(例えば20℃)にあるときを、また、同図2(a)において点線にて示した状態は、従動側ギア15自身の温度が高温状態(例えば100℃)にあるときを示している。
【0034】
また、図3(a)において従動側ギア15自身の温度に対する各歯15aの歯元部での歯面の回転方向の変位量a(図2(a)参照)の変化を示すように、この変位量aは、全体的には、従動側ギア15自身の温度が高くなるに従ってその値が大きくなっている。特に、従動側ギア15自身の温度が20℃よりも高くなると、変位量aは急激に大きくなる傾向が見られる。なお、変位量aの値やその変化態様は、従動側ギア15を構成する樹脂材料および補強繊維の材質や同従動側ギア15の仕様等によって異なるものである。
【0035】
このように従動側ギア15の各歯15aの形状が変化することにより、図2(a)中に示す直線L1と接線L2とのなす角、いわゆる圧力角αが変化する。なお、上記直線L1は、従動側ギア15のピッチ円Cと歯15aの歯面との交点であるピッチ点Pと上記ピッチ円Cの中心点Oとを通過する直線であり、上記接線L2は、上記歯15aにおける上記ピッチ点Pでの接線である。
【0036】
一方、図2(b)に示すように、従動側ギア15の昇温により、各歯15aは、同図中実線にて示した状態から点線にて示した状態へと従動側ギア15の中心軸線mの方向の両側面15bの間において、一方の側面15bから離間するにつれてその一方の側面15bとの回転位相差が大きくなるようにも変形する。なお、図2(a)と同様に、図2(b)において実線にて示した状態は、従動側ギア15自身が常温状態(例えば20℃)にあるときを、また、同図2(b)において点線にて示した状態は、従動側ギア15自身が高温状態(例えば100℃)にあるときを示している。
【0037】
また、図3(b)は、従動側ギア15自身の温度に対する各歯15aの両側面15bのうちの一方の側面15b側の端部における回転方向の変位量b(図2(b)参照)の変化を示している。同図3(b)より、この変位量bについても前記変位量aと同様に、全体的には、従動側ギア15自身の温度が高くなるに従ってその値が大きくなっていることが分かる。特に、従動側ギア15自身の温度が20℃よりも高くなると、変位量bは急激に大きくなる傾向が見られる。なお、変位量bの値やその変化態様も、従動側ギア15を構成する樹脂材料および補強繊維の材質や同従動側ギア15の仕様等によって異なるものである。
【0038】
このように従動側ギア15の各歯15aの形状が変化することにより、図2(b)に示す従動側ギア15の中心軸線mに対して直交する平面と各歯15aにおける前記歯面とのなす角、いわゆる捩れ角βが変化する。
【0039】
ここで、金属製の駆動側ギア14は、前記所定の高温状態にあっても、樹脂製の従動側ギア15の歯15aほどその歯14aの歯形諸元は変化されない。これにより、これらギア14,15が昇温された状態で互いに噛合回転されると、駆動側ギア14の歯14aと従動側ギア15の歯15aとの歯形諸元が異なるために、それら歯14a,15aの噛合部の接触面積が小さくなり、各歯14a,15aの歯面に作用する圧力が増大される。
【0040】
こうした各歯14a,15aに作用する面圧の増大は、駆動側ギア14と従動側ギア15とが噛合回転している際において噛合音の音圧レベルの増大を招き、前記動力伝達系11において樹脂製の従動側ギア15を用いることによる効果が半減されることとなる。
【0041】
特に、従動側ギア15は前記補強繊維により強化されているため、同従動側ギア15の内部に生じる樹脂材料と補強繊維との熱膨張差に起因した歪みによって、従動側ギア15の歯15aが変形され易いものとなる。また、従動側ギア15は、高温となった内燃機関からの熱を受け易いため、該従動側ギア15自身が高温となり、上記熱膨張差に起因した歪みも自ずと大きなものとなる。
【0042】
そこで、本実施形態では、以下のような構成とすることにより、駆動側ギア14と従動側ギア15との熱膨張に起因した歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大を抑制することとしている。
【0043】
すなわち、本実施形態では、金属製の駆動側ギア14における各歯14aの圧力角と捩れ角とを、樹脂製の従動側ギア15における歯15aの圧力角と捩れ角との温度変化による変化分を加味して設定している。
【0044】
詳しくは、図4および図5に示すように、駆動側ギア14の歯14aの圧力角と捩れ角とを、両ギア14,15が常温状態(図中点線にて示した状態)から所定の高温状態(図中実線にて示した状態)へと昇温されたときに両ギア14,15の各歯14a,15aの圧力角および捩れ角が一致するように設定している。なお、前記所定の高温状態とは、本実施形態では、前記内燃機関の運転時において、従動側ギア15が最も長い期間を占める温度(例えば100℃)となっている状態としている。
【0045】
また、本実施形態では、図6に示すように、金属製の駆動側ギア14の各歯14aには、その歯先部における周方向の両側の角部に対し面取り加工を施すことによって面取り部14bを形成している。また、本実施形態では、同図6に示すように、この歯14aの歯先部における周方向の面取り幅cを、前記内燃機関の動力伝達系11において金属製のギア同士が噛合されるギア機構のそれらギアの歯に面取り部が設けられる場合の面取り幅よりも大きな値に設定されている。
【0046】
このような駆動側ギア14と従動側ギア15とを用いることにより、それらギア14,15が、各歯14a,15aの歯面同士の擦れによる摩擦熱や内燃機関からの熱等により常温状態から徐々に昇温されて熱膨張すると、その熱膨張に伴って、従動側ギア15の各歯15aの圧力角および捩れ角が徐々に変化する。
【0047】
しかしながら、本実施形態では、駆動側ギア14は、従動側ギア15の歯15aにおける前記圧力角および捩れ角の温度変化による変化分を加味して形成されている。このため、それらギア14,15の歯14a,15aの圧力角および捩れ角は、前記常温状態では異なっていても、両ギア14,15自身の温度が高くなるにつれて、上記圧力角および捩れ角が一致する方向に徐々に変化する。そして、これら駆動側ギア14と従動側ギア15とが前記所定の高温状態まで昇温されると、それら両ギア14,15の歯14a,15aの圧力角および捩れ角がそれぞれ一致するようになる。
【0048】
こうして両ギア14,15の昇温に伴って歯14a,15aの圧力角および捩れ角がそれぞれ一致するように変化すると、各ギア14,15が例えば等回転速度で噛合回転されている状態では、両歯14a,15aの歯面同士の接触面積が徐々に増大するともに、それら歯面に作用する圧力が徐々に低下する。このため、駆動側ギア14と従動側ギア15とが熱膨張したとしても、その熱膨張に起因した両歯14a,15aの歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大を好適に抑制することができ、ひいては、内燃機関の静粛性を向上することができる。また、駆動側ギア14と従動側ギア15とが温度の高い状態で噛合回転される場合でも、それらギア14,15の円滑な噛合回転を実現することができる。
【0049】
また、本実施形態の構成では、金属製の駆動側ギア14と樹脂製の従動側ギア15との熱膨張率が大きく異なり、さらに従動側ギア15は補強繊維によって強化されている。また、これらギア14,15は、内燃機関からの熱を受け易い動力伝達系11のギア機構に用いられている。このように、ギア14,15自身が高温となり易く、駆動側ギア14に対して従動側ギア15の歯14aの圧力角や捩れ角が変化され易いものであっても、上述した効果を顕著なものとすることができる。
【0050】
また、前記圧力角および捩れ角は、歯形諸元の中でも両ギア14,15の歯14a,15aにおける歯面同士の接触面積に大きく影響する因子であるため、これら圧力角と捩れ角とを考慮して駆動側ギア14を形成することによっても、上述した効果を顕著なものとすることができる。
【0051】
なお、内燃機関が停止され、駆動側ギア14および従動側ギア15が前記所定の高温状態から前記常温状態またはさらに温度の低い状態へと変化すると、それらギア14,15自身の温度の低下に伴って従動側ギア15の歯15aの圧力角および捩れ角が変化する。この場合、駆動側ギア14の歯14aと従動側ギア15の歯15aとの圧力角の差および捩れ角の差は徐々に大きくなる。
【0052】
しかしながら、内燃機関が再び運転されて両ギア14,15が昇温されると、それらギア14,15の歯14a,15aの圧力角および捩れ角は再び一致するように変化する。このため、両ギア14,15の熱膨張に起因した両歯14a,15aの歯打ち音や噛合音等の音圧レベルの増大を好適に抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態の金属製の駆動側ギア14は、例えば、筒状の粗材に対してその粗材の外周部にて歯切り(荒加工)、シェービング(仕上加工)等が行われることによって各歯14aが所定の歯形諸元を有するように形成される。一方、樹脂製の従動側ギア15は、例えば、筒状の粗材に対してその粗材の外周部にて歯切り(荒加工)が行われるのみで上記シェービング(仕上加工)は行われない。これは、従動側ギア15に対してシェービング(仕上加工)を行うと、その歯15aの表面において補強繊維の各繊維が切断されるためである。
【0054】
このように、シェービング(仕上加工)をおこなうことのできる金属製の駆動側ギア14を、従動側ギア15の歯15aにおける前記圧力角および捩れ角の温度変化による変化分を加味して形成するため、その駆動側ギア14の歯14aを、所望の歯形諸元を有するように精度よく形成(修正)することができる。
【0055】
また、本実施形態では、駆動側ギア14の各歯14aに対し、その歯先部における周方向の両側の角部に面取り加工を施すことによって面取り部14bを形成している。これにより、図7に示すように、駆動側ギア14と従動側ギア15とが噛合回転している際において、金属製の駆動側ギア14の歯14aの歯先部の一部が樹脂製の従動側ギア15の歯15aに食い込むことが抑制される。このため、駆動側ギア14の歯14aが従動側ギア15の歯15aに食い込むことに起因したそれら各歯14a,15aの歯面に作用する面圧の増大を抑制することができ、噛合音等の音圧レベルの増大をさらに好適に抑制することができる。
【0056】
以上詳述したように、この実施形態にかかるギア機構によれば、以下に示すような効果が得られるようになる。
(1)金属製の駆動側ギア14と樹脂製の従動側ギア15とが噛合回転している際におけるそれらギア14,15の歯14a,15aの歯打ち音や噛合音の音圧レベルの増大をより好適に抑制することができる。
【0057】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように適宜変更することもできる。
・上記実施形態において、駆動側ギア14を樹脂製とするとともに、従動側ギア15を金属製とする構成としてもよい。
【0058】
・上記実施形態において、金属製ギアの各歯(駆動側ギア14の各歯14a)の歯先部に対し、面取り部14bを、該金属製ギアの回転方向側、すなわち噛み合い始め側の角部にのみ形成する構成としてもよい。
【0059】
また、樹脂製ギア(従動側ギア15)に対する金属製ギア(駆動側ギア14)の歯14aの食い込みが生じない場合等には、その金属製ギア(駆動側ギア14)における各歯の歯先部に面取り部14bを設けない構成としてもよい。
【0060】
・上記実施形態において、樹脂製ギア(従動側ギア15)が、例えば樹脂材料のみで形成されていても所望の剛性を確保することができる場合等には、その樹脂製ギア(従動側ギア15)が補強繊維によって強化されるものでなくてもよい。
【0061】
・上記実施形態において、駆動側ギア14と従動側ギア15との材質は、金属または樹脂には限定されない。要は、駆動側ギア14と従動側ギア15とが、互いに異なる材料から形成される構成であればよい。
【0062】
・上記実施形態において、樹脂製ギアの歯(従動側ギア15の歯15a)の熱膨張時の変形態様によっては、金属製ギア(駆動側ギア14)を、樹脂製ギア(従動側ギア15)の温度変化による圧力角および捩れ角のどちらか一方のみの変化分を加味して形成する構成としてもよい。
【0063】
また、金属製ギア(駆動側ギア14)を、樹脂製ギア(従動側ギア15)の温度変化による圧力角および捩れ角以外の歯形諸元、例えば歯の高さ等も加味して形成する構成としてもよい。
【0064】
また、金属製ギア(駆動側ギア14)を、樹脂製ギア(従動側ギア15)における圧力角および捩れ角に関わるその他の変化量、例えば図2(a)にて示した変位量aや図2(b)にて示した変位量b等の変化分を加味して形成する構成としてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、金属製ギアの歯(駆動側ギア14の歯14a)における圧力角と捩れ角とを、樹脂製ギアの歯(従動側ギア15の歯15a)における圧力角と捩れ角との温度変化による変化分を加味して設定することとしたが、金属製ギア(駆動側ギア14)をこのように形成することには限定されない。金属製ギアと樹脂製ギアとの双方の歯形諸元を、それらギア自身の歯における歯形諸元の温度変化による変化分を加味して設定する構成としてもよい。
【0066】
・上記実施形態において、駆動側ギア14と従動側ギア15とをともにはすば歯車とする構成としたが、これらギア14,15をともに、例えばやまば歯車や平歯車等とする構成としてもよい。また、これらギア14,15のどちらか一方をはすばラックやラックギアや内歯車やウォームギア等とする構成としてもよい。
【0067】
また、駆動軸12と従動軸13とが交差するように設けられた状態で駆動側ギア14と従動側ギア15とが噛合するギア機構とする構成としてもよい。この場合、駆動側ギア14と従動側ギア15として、例えばかさ歯車や曲がりかさ歯車等を用いる構成としてもよい。
【0068】
・上記実施形態において、駆動側ギア14に対して複数の従動側ギア15が噛合されるギア機構とする構成としてもよい。
・上記実施形態では、内燃機関の動力伝達系11のギア機構の例を示したが、本発明は、内燃機関の動力伝達系11に用いられるギア機構には限定されない。要は、駆動側ギアと従動側ギアとが互いに異なる材料にて形成されたギア機構であれば本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が適用されたギア機構の模式図。
【図2】同実施形態の樹脂製の従動側ギアが熱膨張した際の変化態様を説明するための説明図。
【図3】従動側ギア自身の温度に対する歯の変位量a,bを示すグラフ。
【図4】駆動側ギアと従動側ギアとの噛合部を拡大して示す部分断面図。
【図5】駆動側ギアと従動側ギアとの噛合状態を示す部分断面図。
【図6】駆動側ギアの歯を拡大して示す部分断面図。
【図7】駆動側ギアと従動側ギアとの噛合部を拡大して示す部分断面図。
【符号の説明】
11…動力伝達系、12…駆動軸、13…従動軸、14…金属製の駆動側ギア、14a…歯、14b…面取り部、15…樹脂製の従動側ギア、15a…歯、15b…側面。

Claims (7)

  1. 駆動側ギアに対して異なる材料にて形成される1つまたは2つ以上の従動側ギアが噛合されたギア機構であって、
    前記駆動側ギアと前記従動側ギアとは、所定の高温状態へと昇温されたときにそれらギアの歯形諸元が略一致するように、常温状態から前記所定の高温状態への温度変化による歯形諸元の変化分を加味して前記駆動側ギア及び前記従動側ギアの少なくとも一方の歯形諸元が設定されてなる
    ことを特徴とするギア機構。
  2. 前記駆動側ギア及び前記従動側ギアの一方が、他方のギアの前記温度変化による歯形諸元の変化分が加味されるように前記一方のギアの歯形諸元が設定されてなる
    請求項1に記載のギア機構。
  3. 前記設定される前記駆動側ギア及び前記従動側ギアの少なくとも一方の歯形諸元として、圧力角または捩れ角の少なくとも一方を含む
    請求項1または2に記載のギア機構。
  4. 前記一方のギアが金属製のギアからなり、前記他方のギアが樹脂製のギアからなる
    請求項2または3に記載のギア機構。
  5. 前記樹脂製のギアは、補強繊維により強化されてなり、同樹脂製のギアと前記金属製のギアとは、前記所定の高温状態へと昇温されたときにそれらギアの歯形諸元が略一致するように前記金属製のギアの歯形諸元が設定されてなる
    請求項4に記載のギア機構。
  6. 前記金属製のギアは、その各歯の歯先部に面取りが施されてなる
    請求項4または5に記載のギア機構。
  7. 前記駆動側ギアおよび前記従動側ギアは、内燃機関の動力伝達系に用いられるものである
    請求項1〜6のいずれかに記載のギア機構。
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