JP2004027908A - オイルポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オイルポンプはハウジング1とロータ3とを有する。ハウジング1は、ロータ3の軸長方向において複数個に分割された分割ハウジング11,121,13で形成されている。各分割ハウジング11,12,13の各貫通孔6a,6fにはノックピン7,8が挿通されている。ノックピン7,8の軸長方向の一端部である位置決め突部71,81は、相手材100に対面する側にハウジング1の表面11sから突出すると共に相手材100の凹状の被係合部102に係合して位置決めされる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明はオイルポンプに関する。本発明は、例えば、車両のミッションケースまたはエンジン等に取り付けられるオイルポンプに利用できる。
【0002】
【従来の技術】
従来、オイルポンプとして、ハウジングをロータの軸長方向において複数個に分割した分割ハウジングを備えたものが知られている。このものによれば、各分割ハウジングに貫通孔を形成し、貫通孔にノックピンを挿通することにより各分割ハウジングの位置決めを行っている。更にポンプ取付用のノックピンをハウジングに突出状態に設け、ポンプ取付用のノックピンによりハウジングを位置決めしつつ締結ボルトによりハウジングを相手材に取り付けることにしている。
【0003】
更に従来、オイルポンプとして、特開2000−145655号公報に開示されているように、ロータの軸長方向において複数個に分割した分割ハウジングでハウジングを形成すると共に、ロータを回転させる駆動シャフトの外周面をシールするオイルシールを複数個の分割ハウジングのうち相手材に対面する側に設け、更に、オイルシールの端部が分割ハウジングの表面から突出するように取付け、そして、オイルシールの突出部を他の機器のケーシングの凹状部に嵌める構造のギヤポンプが知られている。これによれば、オイルシールを利用してギヤポンプのハウジングを位置決めすることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したノックピンを用いるオイルポンプによれば、各分割ハウジングを位置決めするノックピンと、分割ハウジングを一体化させたハウジングを相手材の凹状部に嵌めて位置決めするノックピンとの双方が必要とされる。
【0005】
特開2000−145655号公報に係る技術によれば、オイルシールのうちハウジングの端面よりも突出したオイルシール部分を利用してギヤポンプのハウジングを位置決めするため、オイルシールが損傷するおそれがある。このように駆動ギヤのシャフト部をシールするシール用の重要部品であるオイルシールが損傷すると、オイルシールのシール性が低下し、駆動ギヤのシャフト部からのオイル洩れを発生させるおそれがある。
【0006】
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、ノックピンの共通化を図り得ると共にオイル洩れを抑えるのに有利なオイルポンプを提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るオイルポンプは、相手材に取り付けられ、作動室と作動室に連通する吸込ポート及び吐出ポートとを有するハウジングと、
ハウジングの作動室に回転可能に設けられ回転に伴い吸込ポートから吸い込んだオイルを吐出ポートに吐出するロータとを具備するオイルポンプにおいて、
ハウジングは、
ロータの軸長方向において複数個に分割され且つロータの軸長方向に沿うと共に互いに連通する貫通孔をもつ分割ハウジングと、
各分割ハウジングの各貫通孔に挿通され挿通に伴い複数個の分割ハウジングの位置決めを行うノックピンとを有しており、
ノックピンの軸長方向の一端部は、相手材に対面する側にハウジングの表面から突出すると共に相手材の凹状の被係合部に係合して位置決めされる位置決め突部を有することを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係るオイルポンプによれば、ノックピンは各分割ハウジングの各貫通孔に挿通されており、挿通に伴い複数個の分割ハウジングの位置決めが行われる。ノックピンの一端部は、相手材に対面する側に突出すると共に相手材の被係合部に係合して位置決めされる位置決め突部を有する。このためノックピンの一端部の位置決め突部を相手材の凹状の被係合部に係合すれば、オイルポンプのハウジングと相手材との位置決めが行われる。上記したようにノックピンは複数個の分割ハウジングの位置決めを行う機能を有すると共に、ハウジングと相手材との位置決めを行う機能を併有するため、ノックピンの共通化を図り得る。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明に係るオイルポンプの好ましい形態によれば、複数個の分割ハウジングのうち相手材に背向する分割ハウジングは、ノックピンの軸長方向の他端部に係合してノックピンが相手材から遠ざかる方向に外れることを抑止する抑止部を有する。この場合、外力によりノックピンが相手材から遠ざかる方向に外れようとするときであっても、抑止部がノックピンの軸長方向の他端部に係合するため、ノックピンが相手材から遠ざかる方向に外れることを抑止することができる。従ってノックピンによる位置決め機能が良好に維持される。
【0010】
本発明に係るオイルポンプの好ましい形態によれば、ノックピンは筒形状をなしており、相手材に締結される締結ボルトがノックピンに挿通されている。この場合、ノックピンは上記した締結ボルトを挿通する挿通孔を兼用することができる。
【0011】
一般的には、吐出ポートは吸込ポートよりも高圧となり易く、分割ハウジング間の境界からのオイル漏れの対策を施す必要性が高い。そこで本発明に係るオイルポンプの好ましい形態によれば、ノックピンは、吸込ポートよりも吐出ポートに近い側に形成されている。ここでノックピンは位置決め機能を有するため、分割ハウジング間の境界における隙間を小さくするのに貢献できる。そこで位置決め機能をもつノックピンを前述したように、吸込ポートよりも吐出ポートに近い側に形成すれば、分割ハウジング間の境界における隙間の発生を抑えることができ、分割ハウジング間の境界からのオイル漏れを抑えるのに有利である。
【0012】
また上記したようにノックピンが複数個の分割ハウジングの位置決めを行う機能を有すると共に、ハウジングと相手材との位置決めを行う機能を併有すれば、ノックピンの共通化を図り得、部品点数の削減に貢献できる。
【0013】
【実施例】
本発明を具体化した実施例について図面を参照して説明する。図1はオイルポンプの内部構造を示す正面図であり、図2におけるI−I線に沿った矢視図である。図2は、オイルポンプを相手材に取り付けた状態の断面図であり、作図の便宜上、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5の他に、ノックピン7,8も図示している。
本実施例に係るオイルポンプはギヤの回転でオイルを供給するポンプであり、車両用の変速装置のミッションケース(相手材)に取り付けられるものである。図1に示すように、オイルポンプは、相手材に取り付けられるハウジング1と、回転可能なロータ3とを備えている。図1に示すように、ハウジング1は、3つの室15a、15b、15cが連設された作動室15と、作動室15に連通する第1吸込ポート21及び第1吐出ポート23と、作動室15に連通する第2吸込ポート22及び第2吐出ポート24とを有する。なお、図示はしないものの、第1吸込ポート21、第2吸込ポート22はオイル供給路に連通している。第1吐出ポート23、第2吐出ポート24は油圧機器に連通しており、油圧機器を作動させる。
【0014】
図1に示すように、ロータ3は、作動室15の中央の室15aに回転可能に設けられ周方向に沿って列設された多数の外歯40を有する1個の駆動ギヤ4と、作動室15の端側の室15b、15cに回転可能にそれぞれ設けられ駆動ギヤ4の外歯40と噛合するように周方向に沿って列設された多数の外歯50を有する2個1組の従動ギヤ5とで構成されている。2個1組の従動ギヤ5は駆動ギヤ4により従動されるものであり、駆動ギヤ4を挟む位置に設けられている。なお、S1は駆動ギヤ4のピッチ円を示し、S2は従動ギヤ5のピッチ円を示す。
【0015】
図2に示すように、駆動ギヤ4は、外歯40を有する駆動ギヤ本体41と、駆動ギヤ本体41の軸長方向において両端側に突出すると共に第1軸受42mで回転可能に支持された駆動シャフト部42と、駆動シャフト部42に取り付けられた回転駆動体としてのスプロケット43とで形成されている。
【0016】
スプロケット43は第3軸受43mで回転可能にハウジング1に支持されている。スプロケット43は図略の駆動チェーンに係止しており、駆動チェーンにより回転駆動される。
【0017】
従動ギヤ5は、外歯50を有する従動ギヤ本体51と、従動ギヤ本体51の軸長方向において両端側に突出すると共に第2軸受52mで回転可能にハウジング1に支持された従動シャフト部52とで形成されている。
【0018】
本実施例によれば、図1に示すように、ハウジング1には、厚み方向に貫通するする複数個(実施例では6個)の断面円形状をなす貫通孔6a、6b、6c、6d、6e、6fが作動室15の周囲に分散して形成されている。図1において、駆動ギヤ4の回転中心線をP1とし、一方の従動ギヤ5の回転中心線をP2とし、他方の従動ギヤ5の回転中心線をP3と、回転中心線P1、P2、P3を仮想的に結ぶ仮想線をP4とする。仮想線P4の一方の片側には、断面円形状の貫通孔6a、貫通孔6b、貫通孔6cが配置されている。更に仮想線P4の他方の片側には、断面円形状の貫通孔6d、貫通孔6e、貫通孔6fが配置されている。
【0019】
図1に示すように、貫通孔6a、貫通孔6fは、ロータ3の主要部品である駆動ギヤ4駆動ギヤ4の回転中心線P1を挟むように対角位置に設けられている。貫通孔6c、貫通孔6dは、ロータ3の主要部品である駆動ギヤ4の回転中心線P1を挟むように対角位置に設けられている。貫通孔6b、貫通孔6eは、ロータ3の主要部品である駆動ギヤ4の回転中心線P1を挟むように対角位置に設けられている。断面円形状のボルト取付孔69は、ロータ3の主要部品である駆動ギヤ4の回転中心線P1を挟むように対角位置にハウジング1に設けられている。
【0020】
図2は相手材100に取り付けた状態のオイルポンプの断面を示す。図2に示すように、ハウジング1は、厚み方向に複数個(実施例では3個)に分割されている。即ち、ハウジング1は、相手材100に対面する側の第1分割ハウジング11と、ハウジング1の中央側に位置する第2分割ハウジング12と、相手材100に背向することにより相手材10から距離的に最も遠い第3分割ハウジング13とに分割されている。なお、第2分割ハウジング12の厚みt2は、第1分割ハウジング11の厚みt1、第3分割ハウジング13の厚みt3よりも厚く設定されている。作動室15が第2分割ハウジング12に形成されているため、ポンプ作用を行う作動室15の室容積を確保するためである。第1分割ハウジング11、第3分割ハウジング13は、アルミニウム合金で形成されており、第2分割ハウジング12は鉄系材料で形成されている。
【0021】
図1に示すように、ハウジング1の貫通孔6aには位置決め用の直状をなす第1ノックピン7が嵌合していると共に、ハウジング1の貫通孔6fには位置決め用の直状をなす第2ノックピン8が嵌合している。第1ノックピン7は円筒形状をなしており、断面円形状の挿通孔70を有する。第2ノックピン8は円筒形状をなしており、断面円形状の挿通孔80を有する。第1ノックピン7,第2ノックピン8は金属製(炭素鋼や合金鋼等の鉄系材料、あるいはアルミニウム合金)である。
【0022】
具体的には、図2に示すように、第1分割ハウジング11の貫通孔6a、第2分割ハウジング12の貫通孔6a、第3分割ハウジング13の貫通孔6aは、直状に連通している。この結果、第1分割ハウジング11の貫通孔6a、第2分割ハウジング12の貫通孔6a、第3分割ハウジング13の貫通孔6aには、第1ノックピン7が嵌合している。
【0023】
本実施例によれば、第1ノックピン7は第3分割ハウジング13の貫通孔6aに圧入されているが、第1ノックピン7は第1分割ハウジング11の貫通孔6a、第2分割ハウジング12の貫通孔6aには圧入されていないように、公差が設定されている。
【0024】
また図2に示すように、第1分割ハウジング11の貫通孔6f、第2分割ハウジング12の貫通孔6f、第3分割ハウジング13の貫通孔6fは、直状に連通している。この結果、第1分割ハウジング11の貫通孔6f、第2分割ハウジング12の貫通孔6f、第3分割ハウジング13の貫通孔6fには、第2ノックピン8が嵌合されている。ここで第2ノックピン8は第3分割ハウジング13の貫通孔6fに圧入されているが、第2ノックピン8は第1分割ハウジング11の貫通孔6f、第2分割ハウジング12の貫通孔6fには圧入されていないように、公差が設定されている。
【0025】
上記した第1ノックピン7及び第2ノックピン8の位置決め機能により、第1分割ハウジング11、第2分割ハウジング12、第3分割ハウジング13は、これらの厚み方向に積層された状態で、第1ノックピン7及び第2ノックピン8の軸直角方向(図2に示す矢印Y方向)において位置決めされている。この結果、第1分割ハウジング11と第2分割ハウジング12との面接触性は向上しており、、第2分割ハウジング12と第3分割ハウジング13との面接触性は向上している。故に第1分割ハウジング11と第2分割ハウジング12との境界における隙間の発生は抑えられており、第2分割ハウジング12と第3分割ハウジング13との境界における隙間の発生は抑えられている。
【0026】
本実施例によれば、図4に示すように、第1ノックピン7の軸長方向の一端部には、円筒形状の位置決め突部71が形成されている。位置決め突部71は、相手材100に対面する側に向けて第1分割ハウジング11の表面11sから突出していると共に、相手材100の凹状の被係合部102に係合して位置決めされる。更に第2ノックピン8の軸長方向の一端部には、円筒形状の位置決め突部81が形成されている。図5に示すように、位置決め突部81は、相手材100に対面する側に向けて第1分割ハウジング11の表面11sから突出していると共に、相手材100の凹状の被係合部102に嵌まって係合し、相手材100に対して位置決めされる。このため、第1ノックピン7の位置決め突部71を相手材100の被係合部102に嵌めて係合させると共に、第2ノックピン8の位置決め突部81を相手材100の凹状の被係合部102に嵌めて係合させれば、ハウジング1(第1分割ハウジング11、第2分割ハウジング12、第3分割ハウジング13)と相手材100との位置決めが良好に行われる。
【0027】
このように本実施例によれば、ノックピン7、8が複数個の分割ハウジング1の位置決めを行う機能を有すると共に、ハウジング1と相手材100との位置決めを行う機能を併有するため、前記した従来技術とは異なり、ノックピンの共通化を図り得る。
【0028】
本実施例では、ノックピン7、8の挿通孔70、80の内径DAは、基本的には、ノックピン7、8が挿入されていない貫通孔6b、6c、6d、6eの内径DBと同じかまたは実質的に同じとされている。このためノックピン7、8の挿通孔70、80に挿通する締結ボルト9と、ノックピン7、8が挿入されていない貫通孔6b、6c、6d、6eに挿通する締結ボルト9とを共通化させ得、用いるボルトの種類を低減させ得るという利点が得られる。なお前記したように内径DAは基本的には内径DBと同じかまたは実質的に同じとされているため、ノックピン7、8を外した状態の貫通孔6a、6fの内径は、基本的には、ノックピン7、8が挿入されていない貫通孔6b、6c、6d、6eの内径DBよりも大きくされている。
【0029】
本実施例によれば、上述の記載から理解できるように、図1に示すごとく貫通孔6a及び貫通孔6fは駆動ギヤ4の回転中心線P1を挟むように対角的に設けられている。従って、貫通孔6aに挿入されている第1ノックピン7、貫通孔6fに挿入されている第2ノックピン8も、駆動ギヤ4の回転中心線P1を挟むように対角的に設けられている。これによりノックピン7、8による位置決めが良好に行われ、第1分割ハウジング11,第2分割ハウジング12,第3分割ハウジング13を精度よく位置決めできるため、オイル洩れを図るシール部材を省略している。更に、駆動部品である駆動ギヤ4や従動ギヤ5の組付精度を確保するのに有利となり、使用期間が長期化しても駆動ギヤ4や従動ギヤ5の摩耗低減に貢献できる。
【0030】
図3に示すように、第1分割ハウジング11のボルト取付孔69、第2分割ハウジング12のボルト取付孔69、第3分割ハウジング13のボルト取付孔69は、直状に連通している。なお第1分割ハウジング11のボルト取付孔69には雌螺子部69mが形成されているものの、第2分割ハウジング12のボルト取付孔69、第3分割ハウジング13のボルト取付孔69には雌螺子部は形成されていない。
【0031】
ハウジング1を一体化させるときには、図3に示すように、ハウジング1のボルト取付孔69に取付ボルト68を挿通する。取付ボルト68は、一端部に雄螺子部68bをもつボルト軸部68aと、ボルト軸部68aの他端部に設けられた鍔68wをもつ頭部68cとを有する。そして取付ボルト68の頭部68cを回して、取付ボルト68の先端部の雄螺子部68bを第1分割ハウジング11のボルト取付孔69の雌螺子部69mに螺合させる。これにより第1分割ハウジング11、第2分割ハウジング12、第3分割ハウジング13は、これの厚み方向に積層状態に一体化され、ハウジング1が構成される。なお、取付ボルト68の頭部68cの径は、ボルト取付孔69の内径よりも大きい。
【0032】
オイルポンプを取付ける際には、締結ボルト9を用いる。図5に示すように、締結ボルト9は、一端部に雄螺子部91を有するボルト軸部92と、ボルト軸部92の他端部に形成された鍔93wを有するボルト頭部93とを有する。そしてオイルポンプを取付ける際には、図4に示すように、ハウジング1の第1分割ハウジング11の表面11sを相手材100の被取付面104に対面させると共に、表面11sから突出している第1ノックピン7の位置決め突部71を相手材100の凹状の被係合部102にはめ込んで係合させる。同様に、表面11sから突出している第2ノックピン8の位置置決め突部81を相手材100の被取付面104に対面させると共に、別の凹状の被係合部102にはめ込んで係合させる。これによりハウジング1と相手材100との位置決めが行われる。
【0033】
その後、第1ノックピン7の挿通孔70に挿通した締結ボルト9をボルト頭部93を回し、締結ボルト9の雄螺子部91を相手材100の凹状の被係合部102の雌螺子部106に螺着させる。同様に、第2ノックピン8の挿通孔80に挿通した締結ボルト9のボルト頭部93を回し、その締結ボルト9の雄螺子部91を相手材100の別の凹状の被係合部102の雌螺子部106に螺着させる。
【0034】
このとき、ノックピン7,8が挿入されていないハウジング1の貫通孔6b、6c、6d、6e(図1参照)にも締結ボルト9をそれぞれ挿通させ、各締結ボルト9の雄螺子部91を相手材100の雌螺子部106に螺着させる。これによりオイルポンプを相手材100の被取付面104に着脱可能に取り付ける。なお、締結ボルト9のボルト頭部93の径は、貫通孔6a、6b、6c、6d、6e、6fの内径よりも大きい。
【0035】
また上記のように締結ボルト9を用い、オイルポンプを相手材100の被取付面104に取り付けた状態では、図5に示すように、ノックピン7、8の位置決め突部71、81の軸端と被係合部102との間にはリング状の隙間102wが形成されている。このように隙間102wが形成されているため、取付時における無用な応力負荷がノックピン7、8に作用せず、オイルポンプの取付時におけるノックピン7、8の変形が抑制され、更に相手材100とハウジング13への負荷によるオイルポンプ性能低下が抑制される。
【0036】
上記のようにオイルポンプを相手材100(変速装置のミッションケース)の被取付面104に取り付けた状態では、第1ノックピン7及び第2ノックピン8により、第1ノックピン7及び第2ノックピン8の軸直角方向(矢印Y方向)において、ハウジング1を構成する第1分割ハウジング11、第2分割ハウジング12、第3分割ハウジング13の位置決めが行われている。また第1ノックピン7及び第2ノックピン8により、第1ノックピン7及び第2ノックピン8の軸直角方向(矢印Y方向)において、ハウジング1(第1分割ハウジング11、第2分割ハウジング12、第3分割ハウジング13)と相手材100との位置決めが行われている。
【0037】
上記したようにオイルポンプを相手材100の被取付面104に取り付けた状態で、スプロケット43を回転駆動させることにより駆動ギヤ4をこれの回転中心線P1の回りで矢印A1方向(図1参照)に回転駆動させる。すると、従動ギヤ5がこれの回転中心線P2、P3の回りで矢印A2方向(図1参照)に従動回転する。この結果、オイルが第1吸込ポート21から第1吐出ポート23及び第2吐出ポート24に供給される。同様に、オイルが第2吸込ポート22から第1吐出ポート23及び第2吐出ポート24に供給される。
【0038】
更に本実施例によれば、図5に示すように、複数個の分割ハウジング1のうち相手材100に背向する第3分割ハウジング13に抑止部13xが設けられている。抑止部13xは、第3分割ハウジング13の貫通孔6a、6fの内周部に形成されている。抑止部13xの内径D1は第1ノックピン7の外径D2及び第2ノックピン8の外径D3よりも小さく設定されている。この結果、抑止部13xは、第1ノックピン7の軸長方向の他端部7r及び第2ノックピン8の軸長方向の他端部8rと係合する。よって、第1ノックピン7及び第2ノックピン8が相手材100から遠ざかる方向(矢印X1方向)に外れることが抑止される。故に、第1ノックピン7及び第2ノックピン8が相手材100から遠ざかる方向(矢印X1方向)に外れようとするときであっても、抑止部13xが第1ノックピン7の他端部7r及び第2ノックピン8の他端部8rに係合するため、第1ノックピン7及び第2ノックピン8が相手材100から遠ざかる方向(矢印X1方向)に外れることが抑止される。
【0039】
また本実施例によれば、図2に示すように、第1ノックピン7及び第2ノックピン8は円筒形状をなしており、相手材100に締結される締結ボルト9が第1ノックピン7及び第2ノックピン8に挿通されている。この結果、第1ノックピン7及び第2ノックピン8は上記した締結ボルト9を挿通する挿通孔を兼用することができる。
【0040】
一般的には、オイルを吐出する吐出ポート23、24は、オイルを吸い込む吸込ポート21、22よりも高圧となり易い。したがって第1分割ハウジング11、第2分割ハウジング12、第3分割ハウジング13の締結状況の如何によっては、高圧となる吐出ポート23、24付近において、第1分割ハウジング11と第2分割ハウジング12と間の境界、第2分割ハウジング12と第3分割ハウジング13と間の境界からのオイル漏れが発生するおそれがある。
【0041】
この点本実施例によれば、図1に示すように、第1ノックピン7は、吸込ポート22よりも吐出ポート24に距離的に近い側に形成されている。第2ノックピン8は、吸込ポート21よりも吐出ポート23に距離的に近い側に形成されている。ここで第1ノックピン7及び第2ノックピン8は位置決め機能を有するため、第1分割ハウジング11と第2分割ハウジング12と間の境界、第2分割ハウジング12と第3分割ハウジング13と間の境界を小さくするのに貢献できる。そこで本実施例によれば、位置決め機能をもつ第1ノックピン7を上述したように吸込ポート22よりも吐出ポート24に近い側に設けていると共に、位置決め機能をもつ第2ノックピン8を吸込ポート21よりも吐出ポート23に近い側に設けている。このため、上記した境界における隙間の発生が極力抑られ、従って境界からのオイル漏れを抑えるのに有利である。
【0042】
本実施例によれば、第2吐出ポート24の開口面積を第2吸込ポート22の開口面積よりも小さく設定しており、且つ、第1吐出ポート23の開口面積を第1吸込ポート21の開口面積よりも小さく設定している。このように開口面積が相対的に小さい第2吐出ポート24に距離的に近い側に第1ノックピン7が設けられているため、第2吐出ポート24付近のスペースを有効利用でき、ハウジング1のサイズの小型化に有利となる。更に、開口面積が相対的に小さい第1吐出ポート23に距離的に近い側に第2ノックピン8が設けられているため、第1吐出ポート23付近のスペースを有効利用でき、ハウジング1のサイズの小型化に有利となる。
【0043】
以上説明したように第1ノックピン7及び第2ノックピン8は、複数個の分割ハウジング11、12、13の位置決めを行う機能を有すると共に、ハウジング1と相手材100との位置決めを行う機能を併有する。このためノックピンの共通化を図り得、部品点数の削減に貢献できる。
【0044】
更に本実施例では第1ノックピン7及び第2ノックピン8で位置決めを行うため、特開2000−145655号公報に係る技術とは異なり、オイルシールでハウジングの位置決めを行う方式を廃止しているため、オイルシールの損傷が防止される。
【0045】
加えて本実施例によれば、前述したように第1ノックピン7は第3分割ハウジング13の貫通孔6aに圧入されているが、第1ノックピン7は第1分割ハウジング11の貫通孔6a、第2分割ハウジング12の貫通孔6aには圧入されていない。第2ノックピン8は第3分割ハウジング13の貫通孔6fに圧入されているが、第2ノックピン8は第1分割ハウジング11の貫通孔6f、第2分割ハウジング12の貫通孔6fには圧入されていない。このためメンテナンス時には、第1分割ハウジング11及び第2分割ハウジング12を、第1ノックピン7及び第2ノックピン8から容易に取り外すことができ、駆動ギヤ4及び従動ギヤ5等についてのメンテナンス作業を良好に行うことができる利点が得られる。なお、メンテナンス時には、取付ボルト68の先端部の雄螺子部68bと第1分割ハウジング11のボルト取付孔69の雌螺子部69mとの螺合を解除する。
【0046】
(その他)
上記した実施例においては、1個の駆動ギヤ4に対して従動ギヤ5は2個1組設けられているが、これに限らず、駆動ギヤ4が1個で従動ギヤ5が1個のタイプのギヤポンプでも良い。上記した実施例においては、ギヤポンプに適用しているが、これに限らず複数個のベーンをロータの外周部に差し込んだベーンポンプでも良い。上記した実施例においては、第1分割ハウジング11、第3分割ハウジング13は、アルミニウム合金で形成されており、第2分割ハウジング12は鉄系材料で形成されているが、これに限らず、第1分割ハウジング11、第2分割ハウジング12、第3分割ハウジング13の三者は、アルミニウム合金で形成されていても良いし、あるいは、鉄系材料で形成されていても良い。相手材100は変速装置のミッションケースとされているが、これに限らず、エンジンのシリンダブロック、あるいは他の機器でも良い。その他、本発明は上記した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【0047】
上記した記載から次の技術的思想も把握できる。
(付記項1)各請求項において、ノックピンは、相手材から最も遠い側の分割ハウジングから、相手材に最も近い側の分割ハウジングにかけて直状に延設されていると共に、ノックピンの軸長方向の一端部は、相手材に最も近い側分割ハウジングの表面から相手材に向けて突出していることを特徴とするオイルポンプ。各分割ハウジングの位置決めに有利である。
(付記項2)各請求項において、ノックピンは、ロータの回転中心線を挟むように対角位置に2個1組で設けられていることを特徴とするオイルポンプ。分割ハウジングの位置決めに有利であり、ロータの組み付け精度の向上に貢献できる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ノックピンの共通化を図り得る。これにより部品点数を削減でき、コスト低減に貢献できる。また特開2000−145655号公報に係る技術とは異なり、オイルシールを位置決めに用いないため、オイルシールの損傷を回避でき、オイル洩れを抑えるのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】オイルポンプのハウジングの作動室に駆動ギヤ及び従動ギヤを配置した状態の正面図であり、図2におけるI−I線に沿った矢視図である。
【図2】駆動ギヤ及び従動ギヤをもつオイルポンプを相手材に取り付けた状態の断面図である。
【図3】第1分割ハウジング、第2分割ハウジング及び第3分割ハウジングを
【図4】第1分割ハウジング、第2分割ハウジング及び第3分割ハウジングを積層状態に一体化させると共に、ノックピンを貫通孔に挿通した状態の断面図である。
【図5】ノックピンを利用してオイルポンプのハウジングを相手材に取り付けた状態の断面図である。
【図6】オイルポンプのハウジングを相手材に取り付けた状態の正面図であり、図2の矢印Vから視認した状態(スプロケットを省く)の図である。
【符号の説明】
図中、1はハウジング、11は第1分割ハウジング、12は第2分割ハウジング、13は第3分割ハウジング、13xは抑止部、15は作動室、21,22は吸込ポート、23,24は吐出ポート、3はロータ、4は駆動ギヤ、5は従動ギヤ、6a〜6fは貫通孔、7は第1ノックピン、8は第2ノックピン、13xは抑止部、100は相手材、102は被係合部を示す。
Claims (5)
- 相手材に取り付けられ、作動室と前記作動室に連通する吸込ポート及び吐出ポートとを有するハウジングと、
前記ハウジングの前記作動室に回転可能に設けられ回転に伴い前記吸込ポートから吸い込んだオイルを前記吐出ポートに吐出するロータとを具備するオイルポンプにおいて、
前記ハウジングは、
前記ロータの軸長方向において複数個に分割され且つ前記ロータの軸長方向に沿うと共に互いに連通する貫通孔をもつ分割ハウジングと、
各前記分割ハウジングの各前記貫通孔に挿通され挿通に伴い複数個の前記分割ハウジングの位置決めを行うノックピンとを有しており、
前記ノックピンの軸長方向の一端部は、前記相手材に対面する側に前記ハウジングの表面から突出すると共に前記相手材の凹状の被係合部に係合して位置決めされる位置決め突部を有することを特徴とするオイルポンプ。 - 請求項1において、複数個の前記分割ハウジングのうち相手材に背向する分割ハウジングは、前記ノックピンの軸長方向の他端部に係合して前記ノックピンが相手材から遠ざかる方向に外れることを抑止する抑止部を有することを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1または請求項2において、前記ノックピンは筒形状をなしており、前記相手材に締結される前記締結ボルトが前記ノックピンに挿通されていることを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1〜請求項3のいずれか一項において、前記吐出ポートの開口面積は前記吸込ポートの開口面積よりも小さく設定されており、且つ、前記ノックピンは、前記吸込ポートよりも前記吐出ポートに距離的に近い側に形成されていることを特徴とするオイルポンプ。
- 請求項1〜請求項4のいずれか一項において、前記ロータは、前記作動室に回転可能に設けられた駆動ギヤと、前記作動室に回転可能に設けられ前記駆動ギヤに従動する従動ギヤとで構成されていることを特徴とするオイルポンプ。
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