JP2004027549A - 型枠支持用ジャッキ - Google Patents
型枠支持用ジャッキ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004027549A JP2004027549A JP2002183015A JP2002183015A JP2004027549A JP 2004027549 A JP2004027549 A JP 2004027549A JP 2002183015 A JP2002183015 A JP 2002183015A JP 2002183015 A JP2002183015 A JP 2002183015A JP 2004027549 A JP2004027549 A JP 2004027549A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- jack
- ratchet
- supporting
- spring
- gear
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Lining And Supports For Tunnels (AREA)
- Forms Removed On Construction Sites Or Auxiliary Members Thereof (AREA)
Abstract
【課題】生コンクリートが付着しても、再利用が容易な型枠支持用ジャッキを提供すること。
【解決手段】型枠支持用ジャッキ1は、ジャッキ本体がラチェット機構5により回転されることで第1及び第2の連結手段の長さが調節される。ラチェット機構5は、ラチェット用歯車51と、回動可能な支持部52と、支持部に傾動可能に枢着されたラチェット爪54と、スプリング55を備える。スプリング55は、一端がラチェット爪54の係止孔部54fに、他端がハンドル56の係止凹部56aに嵌入されて支持され、傾動された方向にラチェット爪54を付勢する。スプリング55は、コンクリートの付着物を除去する際に破壊、変形されても容易に着脱・交換でき、型枠支持用ジャッキ1は容易に再利用できる。
【選択図】 図2
【解決手段】型枠支持用ジャッキ1は、ジャッキ本体がラチェット機構5により回転されることで第1及び第2の連結手段の長さが調節される。ラチェット機構5は、ラチェット用歯車51と、回動可能な支持部52と、支持部に傾動可能に枢着されたラチェット爪54と、スプリング55を備える。スプリング55は、一端がラチェット爪54の係止孔部54fに、他端がハンドル56の係止凹部56aに嵌入されて支持され、傾動された方向にラチェット爪54を付勢する。スプリング55は、コンクリートの付着物を除去する際に破壊、変形されても容易に着脱・交換でき、型枠支持用ジャッキ1は容易に再利用できる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は型枠支持用ジャッキに係り、詳しくはトンネル施工に使用する型枠を支持するのに好適な型枠支持用ジャッキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりトンネル施工においては、図5に示すように、断面円弧状に形成されたトンネル穴11に周壁12が形成されるとともに、トンネル穴11の底面には路盤13が形成される。路盤13上にはトンネル穴11の延びる方向に沿って一対のレール14が敷設され、一対のレール14上をコの字型の支持フレーム15が移動するようになっている。そして、支持フレーム15の外面には複数のジャッキ支持部16が突出形成される。また、周壁12の内側には、同周壁12に沿って断面円弧状に形成された複数の型枠17が設けられ、各型枠17は支持フレーム15の各ジャッキ支持部16に一端がそれぞれ連結された型枠支持用ジャッキ18により支持されている。各型枠17と周壁12との間には隙間19が形成され、各型枠17には隙間19に生コンクリートを流し込むための流入孔10が形成されている。
【0003】
ここで、型枠支持用ジャッキ18は、ジャッキ本体が有底円筒状に形成され、その内部に螺入された支持手段が回転されて長さが調整されるように構成されていた。そして、操作性を高めるため例えば実開平7−38455号公報に記載した型枠支持用ジャッキのようにジャッキ本体の両端に第1ねじ軸及び第2ねじ軸を螺入し本体を回転することで型枠支持用ジャッキ全体の長さを調整するものが提案された。さらに、本体の回転を容易にするためラチェット機構を備えたものが提案された。ここで、図6(A)〜(C)は、従来の型枠支持用ジャッキ用のラチェット機構を示す図である。ラチェット機構においては、ラチェット爪を回転方向に合わせた方向に付勢する必要が生じる。そこで、図6(A)に示すラチェット機構Aのように、筒状の支持部材A1の内部に、先端が尖ったピストン状のノッチA2を摺動可能に嵌入し、その間にスプリングA3を配置する。このスプリングA3でこのノッチA2を付勢して、傾動軸A4に枢着されたラチェット爪A5に当接させて、ラチェット爪A5を右向き若しくは左向きに付勢することでラチェット爪A5をラチェット用歯車(不図示)に係止させるものであった。このようなノッチA2やスプリングA3が内蔵されたものでは、外部からの異物が進入しにくいという特徴があった。
【0004】
また、図6(B)に示すラチェット機構Bのように、棒状の支持部材B1の先端部に配置された細長矩形板状の板バネB2の一端が支持部材B1の先端部の側部に固定部材B3により固定される。そして、板バネB2が湾曲されて他端が支持部材B1の対向する位置で長穴B4が固定軸B5により任意の位置で固定される。そのため、図6において上下方向に撓むように構成されている。そして、この板バネB2を傾動軸B6に枢着されたラチェット爪B7に当接させて、ラチェット爪B7を右向き若しくは左向きに付勢することでラチェット爪B7をラチェット用歯車(不図示)に係止させるものであった。
【0005】
さらに、図6(C)に示すラチェット機構Cのように、棒状の支持部材C1の先端部に配置された細長矩形板状の板バネC2が、断面形状が中央部が上方に突出するような門形に形成され、上端部はRが付けられる。水平部分は支持部材C1の上端と所定の間隔が空けられる。断面門形に形成された板バネC2の下端部に設けられた長穴C3、C4が、固定軸C5,C6により任意の位置で固定される。そして、この板バネC2を傾動軸C7に枢着されたラチェット爪C8に当接させて、ラチェット爪C8を右向き若しくは左向きに付勢することでラチェット爪C8をラチェット用歯車(不図示)に係止させるものであった。
【0006】
例えば型枠支持用ジャッキ18のような型枠支持用ジャッキは、流入孔10から各型枠17と周壁12との間の隙間19に流し込まれた生コンクリートを各型枠17を介して支持する必要がある。この流し込まれた生コンクリートは流動性が高く、生コンクリートの流し込みに際して漏出が生じたり、各型枠17の間隙から漏出を生じたりすることがある。このように生コンクリートの漏出が生じると、型枠支持用ジャッキ18に液体の生コンクリートが付着してしまうことがある。型枠支持用ジャッキ18は隙間19に流し込まれた生コンクリートが固化するまで支持する必要があるため、型枠支持用ジャッキ18に付着した生コンクリートも、同様に固化してしまう。型枠支持用ジャッキ18は隙間19に流し込まれた生コンクリートが固化した後は回収されて、再利用される。このように型枠支持用ジャッキ18に付着し固化した生コンクリートは、型枠支持用ジャッキ18の再利用の妨げとなるため、例えば、鋼球からなるショットを高速で吹きつけて固化したコンクリートを除去していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなラチェット機構に付着した固化した生コンクリートを、ショットを吹き付け完全に除去しようとすると次のような問題がある。すなわち、板バネB2やC2やこれを固定している固定部材B3、固定軸B4,C5,C6など比較的精密な部品を破壊、変形してラチェット機構を損なってしまうばかりか、型枠支持用ジャッキ自体が再利用出来ないという問題があった。また、ラチェット機構Aのように生コンクリートが付着しないようにノッチA2やスプリングA3を支持部材A1に内蔵するものもある。この場合はショットによってはスプリングA3などは破壊されないが、支持部材A1とノッチA2の隙間にショットが挟まり噛んで動かなくなってしまい再利用が出来なくなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、生コンクリートが付着しても、再利用が容易な型枠支持用ジャッキを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の型枠支持用ジャッキでは、両端部の筒状部分の内部において互いに逆向きの雌ねじが形成された第1の螺入部及び第2の螺入部が配設されたジャッキ本体と、先端側に連結部が形成され、基端側に雄ねじを備えた螺合部が形成され前記第1の螺入部及び第2の螺入部にそれぞれ螺入されて変位可能な第1の連結手段及び第2の連結手段と、前記ジャッキ本体に設けられた本体回転用のラチェット機構とを備え、前記ラチェット機構により前記ジャッキ本体を回転させることで前記連結部間の間隔を変化可能に構成された型枠支持用ジャッキであって、前記ラチェット機構は、前記ジャッキ本体に固定されたラチェット用歯車と、前記歯車に対して相対回動可能な支持部と、当該支持部に枢着され傾動することで前記ラチェット用歯車に係止し若しくは係止を解除するラチェット爪と、一端が前記ラチェット爪に、他の一端が前記支持部に支持されて傾動された当該ラチェット爪を一方に付勢する弾性部材からなる付勢手段とから構成されることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の型枠支持用ジャッキでは、請求項1に記載の型枠支持用ジャッキの構成に加え、前記付勢手段は、前記弾性部材が前記支持部若しくは前記ラチェット爪の少なくとも一方に設けられた凹部において支持されることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の型枠支持用ジャッキでは、請求項1又は請求項2に記載の型枠支持用ジャッキの構成に加え、前記弾性部材は、圧縮コイルスプリングから構成されたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の型枠支持用ジャッキでは、請求項2又は請求項3に記載の型枠支持用ジャッキの構成に加え、前記凹部は、開口部側が底部より大きな断面積となるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の型枠支持用ジャッキを具体化した一実施形態である型枠支持用ジャッキ1を図1〜図4に従って説明する。
【0014】
図1は、型枠支持用ジャッキ1の正面図である。図2は、ラチェット爪54が中立位置にある図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図である。型枠支持用ジャッキ1は、円筒状の部材であって、両端部の筒状部分内部において互いに逆向きの雌ねじが形成された第1の螺入部21及び第2の螺入部22が配設されたジャッキ本体2を備える。
【0015】
ジャッキ本体2は、全体が概ね円筒形状の鉄製の筒部20を備えるが、その長さや径は、図5に示すように使用される部位に合わせて様々な種類が用いられる。筒部20の長手方向の一方(図1右方向)の端部から、ジャッキ本体2の中心軸に沿って、中心部近傍まで外形のおよそ2分の1の内径の孔が穿設される。この孔の内部には右ねじの雌ねじが刻設されて第1の螺入部21が形成されている。
【0016】
また、図1左方向からは、同様に第2の螺入部22が形成されるが、第2の螺入部22に刻設された雌ねじは、第1の螺入部21とは逆の左ねじとなっている。
【0017】
第1の螺入部21には、第1の連結手段3が螺入される。第1の連結手段3は、全体が概ね円柱形で、先端側(図1右側)が板状の連結部31に形成されている。連結部31には、連結用の孔33が穿設される。連結用の孔33により、図5に示す型枠17に設けられた孔にボルト及びナットで固定される。
【0018】
また、第1の連結手段3の基端側(図1左側)には、雄ねじが刻設された螺合部32が形成される。螺合部32に形成された雄ねじは右ねじで第1の螺入部21に螺入し、ジャッキ本体2を図1右手方向から見て右回転させると、二点鎖線で示す第1の連結手段3は、ジャッキ本体2に対して先端側(図1左側)に相対変位し、実線で示す位置に変位する。
【0019】
また、螺合部32の基部には、右ねじナット23が環装される。この右ねじナット23は、ジャッキ本体2が第1の連結手段3に対して不用意に回転しないように固定するロック用のナットである。
【0020】
第2の螺入部22には、第2の連結手段4が螺入される。第2の連結手段4は、全体が概ね円柱形で、先端側(図1左側)が板状の連結部41に形成される。連結部41には、連結用の孔43が穿設される。連結用の孔43により、図5に示す支持フレーム15の外面に配置されたジャッキ支持部16に設けられた孔にボルト及びナットで固定される。
【0021】
また、第2の連結手段4の基端側(図1右側)には、雄ねじが刻設された螺合部42が形成される。螺合部42に形成された雄ねじは螺合部32と異なり左ねじとして形成されている。また、螺合部42の基部には、左ねじナット24が環装される。この左ねじナット24は、ジャッキ本体2が第2の連結手段4に対して不用意に回転しないように固定するロック用のナットである。従って、実線で示す第2の螺入部22に螺入された第2の連結手段4は、図1右手方向から見てジャッキ本体2を右回転させると、ジャッキ本体2に対して先端側(図1左側)の二点鎖線の位置に相対変位する。
【0022】
つまり、ジャッキ本体2を図1右手方向から見て右回転すると、第1の連結手段3は右方向に変位し、第2の連結手段は左方向に変位する。従って、連結部31と連結部41は離間するように変位する。逆に、ジャッキ本体2を図1右手方向から見て左回転すると、第1の連結手段3は左方向に変位し、第2の連結手段は右方向に変位する。従って、連結部31と連結部41は近接するように変位する。そのため、ジャッキ本体2を回転させることで、型枠支持用ジャッキ1の長さを調節して、その両端の連結部31,41に連結された型枠17、ジャッキ支持部16との間の圧力を調整することができる。
【0023】
ジャッキ本体2には、本体を回転させるための回転用のラチェット機構5を備える。ラチェット機構5は、ジャッキ本体2に固定されたラチェット用歯車51と、この歯車に対して相対回動可能な支持部52と、この支持部52に傾動軸53により枢着され傾動するラチェット爪54を備える。ラチェット爪54は、ラチェット用歯車51に係止し若しくは係止を解除する。また、一端がラチェット爪54の下部に、他の一端が支持部52の一部を構成するハンドル56の上部にスプリング55が支持される。スプリング55は、ラチェット爪54を一方に付勢する弾性部材からなる付勢手段である。
【0024】
ラチェット機構5は、ジャッキ本体2の長手方向中央部に設けられる。ラチェット機構5は、ラチェット用歯車51、支持部52、ハンドル56、傾動軸53、スプリング55から構成される。ラチェット用歯車51は、ジャッキ本体2の長手方向の略中央に配置され、筒部20と一体に形成される。筒部20の外周に矩形の係止用の歯が配設される。
【0025】
支持部52は、支持部材52aと支持部材52bとハンドル56とから構成され、筒部20のラチェット用歯車51の図1右側に隣接して支持部材52aと左側に隣接して支持部材52bとが配設される。図2に示すように支持部材52a,52bは、円盤状部分と台形部分が組み合わさった概ね鍵穴形状の鉄製の板状部材で、円盤状の部分に筒部20が挿入される孔が形成されている。この孔に筒部20が挿入され、ラチェット用歯車51の左右に環装され、ラチェット用歯車51の歯を隠すように配置される。この支持部材52a,52bの下端部には、厚みがラチェット用歯車51よりやや厚い棒状のハンドル56が支持部材52a,52bに固定され、外周方向に延設される。従って、この支持部材52a、52b、ハンドル56は、ラチェット用歯車51に対して一体となって相対的に回動自在となっている。
【0026】
また、支持部材52a,52bの台形部分の略中央部にはジャッキ本体2の長手方向に傾動軸53が貫通されて配置される。支持部材52a,52bの間には、この傾動軸53に傾動可能に枢着されたラチェット爪54が配設される。ラチェット爪54は、全体としては板状部材であり、図2に示す中立位置において、傾動軸53に支持された孔54aから左斜め45°上方に延設された左腕54bと右斜め45°上方に延設された右腕54cを備える。左腕54bの上端部は中立位置においてラチェット用歯車51から離間して山形の左爪54dが形成される。同様に、右腕54cの上端部は中立位置においてラチェット用歯車51から離間して山形の右爪54eが形成される。
【0027】
ラチェット爪54の図2下部には、スプリング55を嵌入する係止孔部54fが設けられる。また、ハンドル56の上端部には係止凹部56aが設けられる。そして、係止孔部54fに上端部を、係止凹部56aに下端部を支持されてスプリング55が配置される。
【0028】
本発明の弾性部材の一例であるスプリング55は、鋼製の圧縮コイルスプリングからなり、その自由長は、係止孔部54fの底部と係止凹部56aの底部の間隔のおよそ1.5倍の長さである。係止孔部54fの内径は、開口部と底部は略同一で、スプリング55の外径と略同一である。そのため、スプリング55を係止孔部54fに圧縮して嵌入するとその弾性反発力で両端が係止孔部54fの底部と係止凹部56aの底部に付勢されて当接されるため、安定して支持される。一方、係止凹部56aは、底部は略スプリング55の外径と略同一の内径を有する。係止凹部56aの開口部の内径は、ジャッキ本体2の長手方向には、スプリング55の外径より若干大きく、幅方向は、図2に示すように底部から開口部に向かって大きくなるように形成される。
【0029】
このように構成されたラチェット機構の作用について説明する。図2に示すラチェット爪54の中立位置では、スプリング55の付勢力は、傾動軸53に向かう力F1として作用するため、ラチェット爪54は中立位置を維持する。次に、図3は、ラチェット爪54が左回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図である。図2に示す中立状態から、ラチェット爪54の右腕54cを指先で上方に押すと、スプリング55が図2において逆「く」の字状に変形し、付勢力が図2において傾動軸53より右方向に変位する。そうするとスプリング55の付勢力は、ラチェット爪54を図2において傾動軸53を中心に左回転させるモーメントF2となり、右爪54eがラチェット用歯車51に押しつけられるように付勢される。このため、右爪54eがラチェット用歯車51の底部51bにある場合は、この底部51bから右爪54eが離れない方向に付勢される。
【0030】
支持部材52a,52bは、ジャッキ本体2の周囲に環状部分が環装されているため、ハンドル56、支持部材52a,52bは、ラチェット用歯車51に対して相対的に回動するように変位する。ここで、説明のため、ラチェット用歯車51は回転せず、位置が固定されているものと仮定して説明する。ハンドル56を図3において右回転(時計回り)させると、ラチェット爪54の右爪54eの左側の右腕54cの上部が、ラチェット用歯車51の頂部51aに当接する。さらにハンドル56を右回転させると、右腕54cがラチェット用歯車51の頂部51aに押し上げられ、ラチェット爪54が傾動軸53を中心に右向きに傾動し、右爪54eが頂部51aに乗り上げる。そして、さらにハンドル56を右回転すると、右爪54eが再び隣接する底部51bに落とし込まれる。この状態では、右爪54eは今乗り越えた頂部51aに再び乗り上げることはできず、ハンドル56は、左回転できない。
【0031】
つまり、ハンドル56を同じ位置で繰り返し左右に揺動する上述のような動作を行えば、ラチェット用歯車51は、ハンドル56に対して相対的に左回転することになる。そのため、第1の連結手段3、第2の連結手段4に大きな押圧力が掛かって回転しにくく、ハンドル56が一回転できないような狭いスペースでの作業でも、容易にラチェット用歯車51を回転させて長さを調節することができる。
【0032】
ラチェット爪54下部の係止孔部54fとハンドル56の係止凹部56aの間に配置されたスプリング55は、上述のようにラチェット爪54が傾動した状態でも、係止孔部fからはずれることがない。また、係止凹部56aは、開口部が広く形成されているため、スプリング55が係止孔部54fが右に変位したときに、これに合わせて逆くの字に変形してラチェット爪54を傾動軸53を中心に左回転する方向に付勢し、この姿勢を保ったまま付勢力を維持する。
【0033】
また、図4は、ラチェット爪54が右回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図である。図4に示すように、ラチェット爪54の左腕54bを押圧すると、スプリング55は、くの字状に変形してF3のモーメントを発生してラチェット爪54は、右回転するように傾動して、その姿勢を維持する。この場合は、ハンドル56を左右に揺動することでラチェット用歯車51が右回転する。
【0034】
このスプリング55は、ラチェット爪54下部の係止孔部54fとハンドル56の係止凹部56aの間に圧縮されて挿入され、スプリング55自体の弾性力で保持されており、端部が溶接や接着剤で固定されている訳ではない。そのため、スプリング55は変形させることで容易に取り外すことができる。
【0035】
本実施形態の型枠支持用ジャッキ1では、上述のように構成されているため、以下のような特徴がある。
○ 型枠の支持に使用した型枠支持用ジャッキ1は、前述のように生コンクリートが付着し、固化している場合がある。このような場合、前述のように鋼球からなるショットを高速で吹き付けることでこれを除去する。本実施形態の型枠支持用ジャッキ1のラチェット機構では、板バネやこれを固定する部品がなく、比較的肉厚の鉄製のラチェット用歯車51、支持部材52a,52b、傾動軸53、ラチェット爪54、ハンドル56などから構成されている。そのため、ショットによっては破壊、変形することがないという効果がある。
【0036】
○ また、これらに比較すれば比較的耐久性がないが、板バネなどに比較すれば比較的耐久性があるスプリング55は、ショットによっては破壊、変形されにくいという効果がある。
【0037】
○ また、もし破壊、変形した場合でもスプリング55のみを交換するだけで、極めて容易に元の機能を復活させることができる。従って、型枠支持用ジャッキ1自体を交換するような必要が生じないという効果がある。
【0038】
○ さらに、ラチェット用歯車51、支持部材52a,52b、傾動軸53、ラチェット爪54などの隙間にショットが挟まったような場合でも、構造が平面的であるので、平らな鋼製の薄板などで比較的簡単に除去できるという効果がある。
【0039】
○ たとえ除去が困難な場合でも比較的簡単に分解できるため、詰まったショットも容易に除去できる。そのため、ショットの詰まりにより型枠支持用ジャッキ1自体が使用できない状態になることがないという効果がある。
【0040】
○ なお、本実施形態の型枠支持用ジャッキ1では、従来のラチェット機構と異なり、中立位置を維持することができるので、メンテナンスなどが容易になるという効果もある。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 本実施形態ではスプリング55は、係止孔部54f、係止凹部56aにより係止されているが、スプリング55を係止するものとしては、これらに限定されず、例えば、コイルスプリングの内部に嵌入される係止凸部を設けたような構成であってもよい。
【0042】
○ また、弾性部材はコイルスプリングに限らず、板バネなどを使用することができる。この場合は、係止孔部54f、係止凹部56aに代えて、スリット状の係止部が好適に使用できる。
【0043】
○ また、弾性部材として、いわゆる筍バネなど他のスプリング類を使用することもできる。
○ スプリング55の材質も、鋼製のバネ以外にも、他の金属や樹脂製のものが使用できる。さらに、スプリングによらず、圧縮や変形に対して弾性力により復元しようとするものであれば好適に使用できる。その他、型枠支持用ジャッキ1を構成する各部の大きさ、形状、材質などは、使用される環境などに対応して当業者が種々変更し、改良して使用できることは言うまでもない。
【0044】
なお、上記実施形態及び別例から導かれる発明の構成及びその効果を以下に付記する。
(付記1) 前記弾性部材が前記支持部若しくは前記ラチェット爪の少なくとも一方に設けられた凸部において支持されることを特徴とする請求項1に記載の型枠支持用ジャッキ。このような構成であれば凹部と同様、容易に弾性部材を支持できるという効果がある。
(付記2) 前記弾性部材は、板バネから構成されたことを特徴とする請求項1、請求項2若しくは付記1に記載の型枠支持用ジャッキ。このような構成であれば、簡易な構成で低コストで生産できるという効果がある。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の型枠支持用ジャッキは、生コンクリートが付着、固化しても、容易に除去でき、容易に再利用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】型枠支持用ジャッキ1の正面図である。
【図2】ラチェット爪54が中立位置にある図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図。
【図3】ラチェット爪54が左回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図。
【図4】ラチェット爪54が右回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図。
【図5】トンネル施工における型枠支持用ジャッキの使用方法を説明する図。
【図6】(a)従来の型枠支持用ジャッキのラチェット機構の一例を示す図。
(b)従来の型枠支持用ジャッキのラチェット機構の他の例を示す図。
(c)従来の型枠支持用ジャッキのラチェット機構のさらに他の例を示す図。
【符号の説明】
1…型枠支持用ジャッキ、2…ジャッキ本体、21…第1の螺入部、22…第2の螺入部、3…第1の連結手段、31,41…連結部、32,42…螺合部、4…第2の連結手段、5…ラチェット機構、51…ラチェット用歯車、51a…頂部、51b…底部、52(52a,52b、56)…支持部、52a,52b…支持部材、54…ラチェット爪、54f…係止孔部、55…スプリング、56…ハンドル、56a…係止凹部
【発明の属する技術分野】
本発明は型枠支持用ジャッキに係り、詳しくはトンネル施工に使用する型枠を支持するのに好適な型枠支持用ジャッキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりトンネル施工においては、図5に示すように、断面円弧状に形成されたトンネル穴11に周壁12が形成されるとともに、トンネル穴11の底面には路盤13が形成される。路盤13上にはトンネル穴11の延びる方向に沿って一対のレール14が敷設され、一対のレール14上をコの字型の支持フレーム15が移動するようになっている。そして、支持フレーム15の外面には複数のジャッキ支持部16が突出形成される。また、周壁12の内側には、同周壁12に沿って断面円弧状に形成された複数の型枠17が設けられ、各型枠17は支持フレーム15の各ジャッキ支持部16に一端がそれぞれ連結された型枠支持用ジャッキ18により支持されている。各型枠17と周壁12との間には隙間19が形成され、各型枠17には隙間19に生コンクリートを流し込むための流入孔10が形成されている。
【0003】
ここで、型枠支持用ジャッキ18は、ジャッキ本体が有底円筒状に形成され、その内部に螺入された支持手段が回転されて長さが調整されるように構成されていた。そして、操作性を高めるため例えば実開平7−38455号公報に記載した型枠支持用ジャッキのようにジャッキ本体の両端に第1ねじ軸及び第2ねじ軸を螺入し本体を回転することで型枠支持用ジャッキ全体の長さを調整するものが提案された。さらに、本体の回転を容易にするためラチェット機構を備えたものが提案された。ここで、図6(A)〜(C)は、従来の型枠支持用ジャッキ用のラチェット機構を示す図である。ラチェット機構においては、ラチェット爪を回転方向に合わせた方向に付勢する必要が生じる。そこで、図6(A)に示すラチェット機構Aのように、筒状の支持部材A1の内部に、先端が尖ったピストン状のノッチA2を摺動可能に嵌入し、その間にスプリングA3を配置する。このスプリングA3でこのノッチA2を付勢して、傾動軸A4に枢着されたラチェット爪A5に当接させて、ラチェット爪A5を右向き若しくは左向きに付勢することでラチェット爪A5をラチェット用歯車(不図示)に係止させるものであった。このようなノッチA2やスプリングA3が内蔵されたものでは、外部からの異物が進入しにくいという特徴があった。
【0004】
また、図6(B)に示すラチェット機構Bのように、棒状の支持部材B1の先端部に配置された細長矩形板状の板バネB2の一端が支持部材B1の先端部の側部に固定部材B3により固定される。そして、板バネB2が湾曲されて他端が支持部材B1の対向する位置で長穴B4が固定軸B5により任意の位置で固定される。そのため、図6において上下方向に撓むように構成されている。そして、この板バネB2を傾動軸B6に枢着されたラチェット爪B7に当接させて、ラチェット爪B7を右向き若しくは左向きに付勢することでラチェット爪B7をラチェット用歯車(不図示)に係止させるものであった。
【0005】
さらに、図6(C)に示すラチェット機構Cのように、棒状の支持部材C1の先端部に配置された細長矩形板状の板バネC2が、断面形状が中央部が上方に突出するような門形に形成され、上端部はRが付けられる。水平部分は支持部材C1の上端と所定の間隔が空けられる。断面門形に形成された板バネC2の下端部に設けられた長穴C3、C4が、固定軸C5,C6により任意の位置で固定される。そして、この板バネC2を傾動軸C7に枢着されたラチェット爪C8に当接させて、ラチェット爪C8を右向き若しくは左向きに付勢することでラチェット爪C8をラチェット用歯車(不図示)に係止させるものであった。
【0006】
例えば型枠支持用ジャッキ18のような型枠支持用ジャッキは、流入孔10から各型枠17と周壁12との間の隙間19に流し込まれた生コンクリートを各型枠17を介して支持する必要がある。この流し込まれた生コンクリートは流動性が高く、生コンクリートの流し込みに際して漏出が生じたり、各型枠17の間隙から漏出を生じたりすることがある。このように生コンクリートの漏出が生じると、型枠支持用ジャッキ18に液体の生コンクリートが付着してしまうことがある。型枠支持用ジャッキ18は隙間19に流し込まれた生コンクリートが固化するまで支持する必要があるため、型枠支持用ジャッキ18に付着した生コンクリートも、同様に固化してしまう。型枠支持用ジャッキ18は隙間19に流し込まれた生コンクリートが固化した後は回収されて、再利用される。このように型枠支持用ジャッキ18に付着し固化した生コンクリートは、型枠支持用ジャッキ18の再利用の妨げとなるため、例えば、鋼球からなるショットを高速で吹きつけて固化したコンクリートを除去していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなラチェット機構に付着した固化した生コンクリートを、ショットを吹き付け完全に除去しようとすると次のような問題がある。すなわち、板バネB2やC2やこれを固定している固定部材B3、固定軸B4,C5,C6など比較的精密な部品を破壊、変形してラチェット機構を損なってしまうばかりか、型枠支持用ジャッキ自体が再利用出来ないという問題があった。また、ラチェット機構Aのように生コンクリートが付着しないようにノッチA2やスプリングA3を支持部材A1に内蔵するものもある。この場合はショットによってはスプリングA3などは破壊されないが、支持部材A1とノッチA2の隙間にショットが挟まり噛んで動かなくなってしまい再利用が出来なくなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、生コンクリートが付着しても、再利用が容易な型枠支持用ジャッキを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の型枠支持用ジャッキでは、両端部の筒状部分の内部において互いに逆向きの雌ねじが形成された第1の螺入部及び第2の螺入部が配設されたジャッキ本体と、先端側に連結部が形成され、基端側に雄ねじを備えた螺合部が形成され前記第1の螺入部及び第2の螺入部にそれぞれ螺入されて変位可能な第1の連結手段及び第2の連結手段と、前記ジャッキ本体に設けられた本体回転用のラチェット機構とを備え、前記ラチェット機構により前記ジャッキ本体を回転させることで前記連結部間の間隔を変化可能に構成された型枠支持用ジャッキであって、前記ラチェット機構は、前記ジャッキ本体に固定されたラチェット用歯車と、前記歯車に対して相対回動可能な支持部と、当該支持部に枢着され傾動することで前記ラチェット用歯車に係止し若しくは係止を解除するラチェット爪と、一端が前記ラチェット爪に、他の一端が前記支持部に支持されて傾動された当該ラチェット爪を一方に付勢する弾性部材からなる付勢手段とから構成されることを要旨とする。
【0010】
請求項2に記載の型枠支持用ジャッキでは、請求項1に記載の型枠支持用ジャッキの構成に加え、前記付勢手段は、前記弾性部材が前記支持部若しくは前記ラチェット爪の少なくとも一方に設けられた凹部において支持されることを要旨とする。
【0011】
請求項3に記載の型枠支持用ジャッキでは、請求項1又は請求項2に記載の型枠支持用ジャッキの構成に加え、前記弾性部材は、圧縮コイルスプリングから構成されたことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の型枠支持用ジャッキでは、請求項2又は請求項3に記載の型枠支持用ジャッキの構成に加え、前記凹部は、開口部側が底部より大きな断面積となるように形成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の型枠支持用ジャッキを具体化した一実施形態である型枠支持用ジャッキ1を図1〜図4に従って説明する。
【0014】
図1は、型枠支持用ジャッキ1の正面図である。図2は、ラチェット爪54が中立位置にある図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図である。型枠支持用ジャッキ1は、円筒状の部材であって、両端部の筒状部分内部において互いに逆向きの雌ねじが形成された第1の螺入部21及び第2の螺入部22が配設されたジャッキ本体2を備える。
【0015】
ジャッキ本体2は、全体が概ね円筒形状の鉄製の筒部20を備えるが、その長さや径は、図5に示すように使用される部位に合わせて様々な種類が用いられる。筒部20の長手方向の一方(図1右方向)の端部から、ジャッキ本体2の中心軸に沿って、中心部近傍まで外形のおよそ2分の1の内径の孔が穿設される。この孔の内部には右ねじの雌ねじが刻設されて第1の螺入部21が形成されている。
【0016】
また、図1左方向からは、同様に第2の螺入部22が形成されるが、第2の螺入部22に刻設された雌ねじは、第1の螺入部21とは逆の左ねじとなっている。
【0017】
第1の螺入部21には、第1の連結手段3が螺入される。第1の連結手段3は、全体が概ね円柱形で、先端側(図1右側)が板状の連結部31に形成されている。連結部31には、連結用の孔33が穿設される。連結用の孔33により、図5に示す型枠17に設けられた孔にボルト及びナットで固定される。
【0018】
また、第1の連結手段3の基端側(図1左側)には、雄ねじが刻設された螺合部32が形成される。螺合部32に形成された雄ねじは右ねじで第1の螺入部21に螺入し、ジャッキ本体2を図1右手方向から見て右回転させると、二点鎖線で示す第1の連結手段3は、ジャッキ本体2に対して先端側(図1左側)に相対変位し、実線で示す位置に変位する。
【0019】
また、螺合部32の基部には、右ねじナット23が環装される。この右ねじナット23は、ジャッキ本体2が第1の連結手段3に対して不用意に回転しないように固定するロック用のナットである。
【0020】
第2の螺入部22には、第2の連結手段4が螺入される。第2の連結手段4は、全体が概ね円柱形で、先端側(図1左側)が板状の連結部41に形成される。連結部41には、連結用の孔43が穿設される。連結用の孔43により、図5に示す支持フレーム15の外面に配置されたジャッキ支持部16に設けられた孔にボルト及びナットで固定される。
【0021】
また、第2の連結手段4の基端側(図1右側)には、雄ねじが刻設された螺合部42が形成される。螺合部42に形成された雄ねじは螺合部32と異なり左ねじとして形成されている。また、螺合部42の基部には、左ねじナット24が環装される。この左ねじナット24は、ジャッキ本体2が第2の連結手段4に対して不用意に回転しないように固定するロック用のナットである。従って、実線で示す第2の螺入部22に螺入された第2の連結手段4は、図1右手方向から見てジャッキ本体2を右回転させると、ジャッキ本体2に対して先端側(図1左側)の二点鎖線の位置に相対変位する。
【0022】
つまり、ジャッキ本体2を図1右手方向から見て右回転すると、第1の連結手段3は右方向に変位し、第2の連結手段は左方向に変位する。従って、連結部31と連結部41は離間するように変位する。逆に、ジャッキ本体2を図1右手方向から見て左回転すると、第1の連結手段3は左方向に変位し、第2の連結手段は右方向に変位する。従って、連結部31と連結部41は近接するように変位する。そのため、ジャッキ本体2を回転させることで、型枠支持用ジャッキ1の長さを調節して、その両端の連結部31,41に連結された型枠17、ジャッキ支持部16との間の圧力を調整することができる。
【0023】
ジャッキ本体2には、本体を回転させるための回転用のラチェット機構5を備える。ラチェット機構5は、ジャッキ本体2に固定されたラチェット用歯車51と、この歯車に対して相対回動可能な支持部52と、この支持部52に傾動軸53により枢着され傾動するラチェット爪54を備える。ラチェット爪54は、ラチェット用歯車51に係止し若しくは係止を解除する。また、一端がラチェット爪54の下部に、他の一端が支持部52の一部を構成するハンドル56の上部にスプリング55が支持される。スプリング55は、ラチェット爪54を一方に付勢する弾性部材からなる付勢手段である。
【0024】
ラチェット機構5は、ジャッキ本体2の長手方向中央部に設けられる。ラチェット機構5は、ラチェット用歯車51、支持部52、ハンドル56、傾動軸53、スプリング55から構成される。ラチェット用歯車51は、ジャッキ本体2の長手方向の略中央に配置され、筒部20と一体に形成される。筒部20の外周に矩形の係止用の歯が配設される。
【0025】
支持部52は、支持部材52aと支持部材52bとハンドル56とから構成され、筒部20のラチェット用歯車51の図1右側に隣接して支持部材52aと左側に隣接して支持部材52bとが配設される。図2に示すように支持部材52a,52bは、円盤状部分と台形部分が組み合わさった概ね鍵穴形状の鉄製の板状部材で、円盤状の部分に筒部20が挿入される孔が形成されている。この孔に筒部20が挿入され、ラチェット用歯車51の左右に環装され、ラチェット用歯車51の歯を隠すように配置される。この支持部材52a,52bの下端部には、厚みがラチェット用歯車51よりやや厚い棒状のハンドル56が支持部材52a,52bに固定され、外周方向に延設される。従って、この支持部材52a、52b、ハンドル56は、ラチェット用歯車51に対して一体となって相対的に回動自在となっている。
【0026】
また、支持部材52a,52bの台形部分の略中央部にはジャッキ本体2の長手方向に傾動軸53が貫通されて配置される。支持部材52a,52bの間には、この傾動軸53に傾動可能に枢着されたラチェット爪54が配設される。ラチェット爪54は、全体としては板状部材であり、図2に示す中立位置において、傾動軸53に支持された孔54aから左斜め45°上方に延設された左腕54bと右斜め45°上方に延設された右腕54cを備える。左腕54bの上端部は中立位置においてラチェット用歯車51から離間して山形の左爪54dが形成される。同様に、右腕54cの上端部は中立位置においてラチェット用歯車51から離間して山形の右爪54eが形成される。
【0027】
ラチェット爪54の図2下部には、スプリング55を嵌入する係止孔部54fが設けられる。また、ハンドル56の上端部には係止凹部56aが設けられる。そして、係止孔部54fに上端部を、係止凹部56aに下端部を支持されてスプリング55が配置される。
【0028】
本発明の弾性部材の一例であるスプリング55は、鋼製の圧縮コイルスプリングからなり、その自由長は、係止孔部54fの底部と係止凹部56aの底部の間隔のおよそ1.5倍の長さである。係止孔部54fの内径は、開口部と底部は略同一で、スプリング55の外径と略同一である。そのため、スプリング55を係止孔部54fに圧縮して嵌入するとその弾性反発力で両端が係止孔部54fの底部と係止凹部56aの底部に付勢されて当接されるため、安定して支持される。一方、係止凹部56aは、底部は略スプリング55の外径と略同一の内径を有する。係止凹部56aの開口部の内径は、ジャッキ本体2の長手方向には、スプリング55の外径より若干大きく、幅方向は、図2に示すように底部から開口部に向かって大きくなるように形成される。
【0029】
このように構成されたラチェット機構の作用について説明する。図2に示すラチェット爪54の中立位置では、スプリング55の付勢力は、傾動軸53に向かう力F1として作用するため、ラチェット爪54は中立位置を維持する。次に、図3は、ラチェット爪54が左回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図である。図2に示す中立状態から、ラチェット爪54の右腕54cを指先で上方に押すと、スプリング55が図2において逆「く」の字状に変形し、付勢力が図2において傾動軸53より右方向に変位する。そうするとスプリング55の付勢力は、ラチェット爪54を図2において傾動軸53を中心に左回転させるモーメントF2となり、右爪54eがラチェット用歯車51に押しつけられるように付勢される。このため、右爪54eがラチェット用歯車51の底部51bにある場合は、この底部51bから右爪54eが離れない方向に付勢される。
【0030】
支持部材52a,52bは、ジャッキ本体2の周囲に環状部分が環装されているため、ハンドル56、支持部材52a,52bは、ラチェット用歯車51に対して相対的に回動するように変位する。ここで、説明のため、ラチェット用歯車51は回転せず、位置が固定されているものと仮定して説明する。ハンドル56を図3において右回転(時計回り)させると、ラチェット爪54の右爪54eの左側の右腕54cの上部が、ラチェット用歯車51の頂部51aに当接する。さらにハンドル56を右回転させると、右腕54cがラチェット用歯車51の頂部51aに押し上げられ、ラチェット爪54が傾動軸53を中心に右向きに傾動し、右爪54eが頂部51aに乗り上げる。そして、さらにハンドル56を右回転すると、右爪54eが再び隣接する底部51bに落とし込まれる。この状態では、右爪54eは今乗り越えた頂部51aに再び乗り上げることはできず、ハンドル56は、左回転できない。
【0031】
つまり、ハンドル56を同じ位置で繰り返し左右に揺動する上述のような動作を行えば、ラチェット用歯車51は、ハンドル56に対して相対的に左回転することになる。そのため、第1の連結手段3、第2の連結手段4に大きな押圧力が掛かって回転しにくく、ハンドル56が一回転できないような狭いスペースでの作業でも、容易にラチェット用歯車51を回転させて長さを調節することができる。
【0032】
ラチェット爪54下部の係止孔部54fとハンドル56の係止凹部56aの間に配置されたスプリング55は、上述のようにラチェット爪54が傾動した状態でも、係止孔部fからはずれることがない。また、係止凹部56aは、開口部が広く形成されているため、スプリング55が係止孔部54fが右に変位したときに、これに合わせて逆くの字に変形してラチェット爪54を傾動軸53を中心に左回転する方向に付勢し、この姿勢を保ったまま付勢力を維持する。
【0033】
また、図4は、ラチェット爪54が右回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図である。図4に示すように、ラチェット爪54の左腕54bを押圧すると、スプリング55は、くの字状に変形してF3のモーメントを発生してラチェット爪54は、右回転するように傾動して、その姿勢を維持する。この場合は、ハンドル56を左右に揺動することでラチェット用歯車51が右回転する。
【0034】
このスプリング55は、ラチェット爪54下部の係止孔部54fとハンドル56の係止凹部56aの間に圧縮されて挿入され、スプリング55自体の弾性力で保持されており、端部が溶接や接着剤で固定されている訳ではない。そのため、スプリング55は変形させることで容易に取り外すことができる。
【0035】
本実施形態の型枠支持用ジャッキ1では、上述のように構成されているため、以下のような特徴がある。
○ 型枠の支持に使用した型枠支持用ジャッキ1は、前述のように生コンクリートが付着し、固化している場合がある。このような場合、前述のように鋼球からなるショットを高速で吹き付けることでこれを除去する。本実施形態の型枠支持用ジャッキ1のラチェット機構では、板バネやこれを固定する部品がなく、比較的肉厚の鉄製のラチェット用歯車51、支持部材52a,52b、傾動軸53、ラチェット爪54、ハンドル56などから構成されている。そのため、ショットによっては破壊、変形することがないという効果がある。
【0036】
○ また、これらに比較すれば比較的耐久性がないが、板バネなどに比較すれば比較的耐久性があるスプリング55は、ショットによっては破壊、変形されにくいという効果がある。
【0037】
○ また、もし破壊、変形した場合でもスプリング55のみを交換するだけで、極めて容易に元の機能を復活させることができる。従って、型枠支持用ジャッキ1自体を交換するような必要が生じないという効果がある。
【0038】
○ さらに、ラチェット用歯車51、支持部材52a,52b、傾動軸53、ラチェット爪54などの隙間にショットが挟まったような場合でも、構造が平面的であるので、平らな鋼製の薄板などで比較的簡単に除去できるという効果がある。
【0039】
○ たとえ除去が困難な場合でも比較的簡単に分解できるため、詰まったショットも容易に除去できる。そのため、ショットの詰まりにより型枠支持用ジャッキ1自体が使用できない状態になることがないという効果がある。
【0040】
○ なお、本実施形態の型枠支持用ジャッキ1では、従来のラチェット機構と異なり、中立位置を維持することができるので、メンテナンスなどが容易になるという効果もある。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 本実施形態ではスプリング55は、係止孔部54f、係止凹部56aにより係止されているが、スプリング55を係止するものとしては、これらに限定されず、例えば、コイルスプリングの内部に嵌入される係止凸部を設けたような構成であってもよい。
【0042】
○ また、弾性部材はコイルスプリングに限らず、板バネなどを使用することができる。この場合は、係止孔部54f、係止凹部56aに代えて、スリット状の係止部が好適に使用できる。
【0043】
○ また、弾性部材として、いわゆる筍バネなど他のスプリング類を使用することもできる。
○ スプリング55の材質も、鋼製のバネ以外にも、他の金属や樹脂製のものが使用できる。さらに、スプリングによらず、圧縮や変形に対して弾性力により復元しようとするものであれば好適に使用できる。その他、型枠支持用ジャッキ1を構成する各部の大きさ、形状、材質などは、使用される環境などに対応して当業者が種々変更し、改良して使用できることは言うまでもない。
【0044】
なお、上記実施形態及び別例から導かれる発明の構成及びその効果を以下に付記する。
(付記1) 前記弾性部材が前記支持部若しくは前記ラチェット爪の少なくとも一方に設けられた凸部において支持されることを特徴とする請求項1に記載の型枠支持用ジャッキ。このような構成であれば凹部と同様、容易に弾性部材を支持できるという効果がある。
(付記2) 前記弾性部材は、板バネから構成されたことを特徴とする請求項1、請求項2若しくは付記1に記載の型枠支持用ジャッキ。このような構成であれば、簡易な構成で低コストで生産できるという効果がある。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明の型枠支持用ジャッキは、生コンクリートが付着、固化しても、容易に除去でき、容易に再利用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】型枠支持用ジャッキ1の正面図である。
【図2】ラチェット爪54が中立位置にある図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図。
【図3】ラチェット爪54が左回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図。
【図4】ラチェット爪54が右回りに傾動した状態を示す図1のA−A線に沿った型枠支持用ジャッキ1の断面図。
【図5】トンネル施工における型枠支持用ジャッキの使用方法を説明する図。
【図6】(a)従来の型枠支持用ジャッキのラチェット機構の一例を示す図。
(b)従来の型枠支持用ジャッキのラチェット機構の他の例を示す図。
(c)従来の型枠支持用ジャッキのラチェット機構のさらに他の例を示す図。
【符号の説明】
1…型枠支持用ジャッキ、2…ジャッキ本体、21…第1の螺入部、22…第2の螺入部、3…第1の連結手段、31,41…連結部、32,42…螺合部、4…第2の連結手段、5…ラチェット機構、51…ラチェット用歯車、51a…頂部、51b…底部、52(52a,52b、56)…支持部、52a,52b…支持部材、54…ラチェット爪、54f…係止孔部、55…スプリング、56…ハンドル、56a…係止凹部
Claims (4)
- 両端部の筒状部分内部において互いに逆向きの雌ねじが形成された第1の螺入部及び第2の螺入部が配設されたジャッキ本体と、
先端側に連結部が形成され、基端側に雄ねじを備えた螺合部が形成され前記第1の螺入部及び第2の螺入部にそれぞれ螺入されて変位可能な第1の連結手段及び第2の連結手段と、
前記ジャッキ本体に設けられた本体回転用のラチェット機構とを備え、前記ラチェット機構により前記ジャッキ本体を回転させることで前記連結部間の間隔を変化可能に構成された型枠支持用ジャッキであって、
前記ラチェット機構は、前記ジャッキ本体に固定されたラチェット用歯車と、前記歯車に対して相対回動可能な支持部と、当該支持部に枢着され傾動することで前記ラチェット用歯車に係止し若しくは係止を解除するラチェット爪と、一端が前記ラチェット爪に、他の一端が前記支持部に支持されて傾動された当該ラチェット爪を一方に付勢する弾性部材からなる付勢手段とから構成されることを特徴とする型枠支持用ジャッキ。 - 前記付勢手段は、前記弾性部材が前記支持部若しくは前記ラチェット爪の少なくとも一方に設けられた凹部において支持されることを特徴とする請求項1に記載の型枠支持用ジャッキ。
- 前記弾性部材は、圧縮コイルスプリングから構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の型枠支持用ジャッキ。
- 前記凹部は、開口部側が底部より大きな断面積となるように形成されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の型枠支持用ジャッキ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002183015A JP2004027549A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 型枠支持用ジャッキ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002183015A JP2004027549A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 型枠支持用ジャッキ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004027549A true JP2004027549A (ja) | 2004-01-29 |
Family
ID=31179350
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002183015A Pending JP2004027549A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | 型枠支持用ジャッキ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004027549A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008282733A (ja) * | 2007-05-11 | 2008-11-20 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 接地棒操作装置 |
JP2009282428A (ja) * | 2008-05-26 | 2009-12-03 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 位置調整装置 |
JP2011137334A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Ps Mitsubishi Construction Co Ltd | 支保工ジャッキダウン装置 |
CN103042515A (zh) * | 2011-10-14 | 2013-04-17 | 无锡沃骐医疗科技有限公司 | 一种便于拆卸的旋转手柄 |
CN109577637A (zh) * | 2018-12-05 | 2019-04-05 | 山西八建集团有限公司 | 一种工具式脚手架连墙件 |
CN113250486A (zh) * | 2021-06-01 | 2021-08-13 | 杭州固特建筑加固技术工程有限公司 | 一种建筑结构置换侧向支撑施工工艺 |
CN114837220A (zh) * | 2022-03-28 | 2022-08-02 | 中建一局集团第一建筑有限公司 | 一种已建高压管廊不均匀沉降的管内加固控装置 |
-
2002
- 2002-06-24 JP JP2002183015A patent/JP2004027549A/ja active Pending
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008282733A (ja) * | 2007-05-11 | 2008-11-20 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 接地棒操作装置 |
JP2009282428A (ja) * | 2008-05-26 | 2009-12-03 | Konica Minolta Business Technologies Inc | 位置調整装置 |
JP2011137334A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Ps Mitsubishi Construction Co Ltd | 支保工ジャッキダウン装置 |
CN103042515A (zh) * | 2011-10-14 | 2013-04-17 | 无锡沃骐医疗科技有限公司 | 一种便于拆卸的旋转手柄 |
CN109577637A (zh) * | 2018-12-05 | 2019-04-05 | 山西八建集团有限公司 | 一种工具式脚手架连墙件 |
CN109577637B (zh) * | 2018-12-05 | 2020-11-13 | 山西八建集团有限公司 | 一种工具式脚手架连墙件 |
CN113250486A (zh) * | 2021-06-01 | 2021-08-13 | 杭州固特建筑加固技术工程有限公司 | 一种建筑结构置换侧向支撑施工工艺 |
CN114837220A (zh) * | 2022-03-28 | 2022-08-02 | 中建一局集团第一建筑有限公司 | 一种已建高压管廊不均匀沉降的管内加固控装置 |
CN114837220B (zh) * | 2022-03-28 | 2024-03-08 | 中建一局集团第一建筑有限公司 | 一种已建高压管廊不均匀沉降的管内加固装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3425941B2 (ja) | トグルボルト装置 | |
JP2004027549A (ja) | 型枠支持用ジャッキ | |
JP2011508686A5 (ja) | ||
US20070212196A1 (en) | Split nut with magnetic coupling | |
JP2001153128A (ja) | 2部材を相互結合するための締結部材 | |
JP2005298154A (ja) | 長尺物巻取装置 | |
JP2000294064A (ja) | 取付寸法調整部材 | |
JP2006238982A (ja) | モップヘッドの継手構造 | |
JP3031388U (ja) | コンクリートブロックの貫通孔形成用ホースの変形防止具 | |
US20190230840A1 (en) | Method and apparatus for extending the service life of an agricultural planter | |
JPH08135189A (ja) | 型枠解体金具 | |
JP3201617U (ja) | 型枠支持用ジャッキ装置 | |
US11794268B2 (en) | Metal cutting device | |
JP3648198B2 (ja) | コンクリートセグメントの製造用型枠 | |
JP2000102916A (ja) | レジンコンクリート製マンホール側塊用金型 | |
JP3658707B2 (ja) | 型枠固定体の支持構造 | |
JP2004011874A (ja) | アンカー部材 | |
JP2000205473A (ja) | 管体の伸縮継手 | |
JP2004017462A (ja) | 型枠装置用内型枠及び型枠装置 | |
JP3209461U (ja) | 型枠保持具 | |
JP4000136B2 (ja) | 係止ピン | |
JP2008238373A (ja) | 回動工具 | |
JP2008013093A (ja) | 自動車運転補助ペダル | |
JP2006192604A (ja) | 埋込部材の固定装置 | |
JP2013000818A (ja) | ラチェット式スパナ |