JP2004027375A - ポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

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高橋 あすか
Junichi Kono
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Abstract

【課題】種々の共重合成分を含むポリエステルから製造されるポリエステル繊維における共重合組成のバラツキに伴う問題を解決し、強度特性に優れ、かつ染色斑の生じないポリエステル繊維を提供することを課題とするものである。
【解決手段】エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位として有し、ジエチレングリコールが1モル%以上の割合で共重合され、イソフタル酸、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等から選択される化合物群Aに属する化合物の1〜3種類がそれぞれ0.1モル%〜3.0モル%共重合され、ジエチレングリコールを含めた共重合割合の合計Sが6.0モル%以下である共重合ポリエステルより形成され、所定の方法で測定した上記共重合割合の合計Sの標準偏差σ(S)が0.5モル%以下の範囲にあることを特徴とするポリエステル繊維。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、強度特性に優れ、かつ染色斑の生じないポリエステル繊維及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル繊維、特に、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す)を主成分とするものは、高結晶性で高軟化点を有するため、強度、伸度等の機械的特性はもとより、耐熱性、耐薬品性などに優れた性能を示し、産業資材、衣料用品をはじめ、ボトル、フィルム、シート等の成形品等に幅広く利用されている。
これらのポリエステル製品は使用後に廃棄処分されているが、燃焼する場合には高熱が発生し、焼却炉の傷みが大きく、寿命が短くなるという問題がある。また、焼却しない場合には腐敗分解しないため永久的に残ることになり、環境の面からも問題となっている。
【0003】
近年は資源の再利用、環境問題等の面から、様々の分野や素材でリサイクル性が求められてきているが、ポリエステルについても、使用量が多く今後もその大幅な増加が予想されているので、液体飲料品用PETボトル等に一度成形使用されたポリエステル樹脂を再度使用、すなわちリサイクルすることが資源を保護し、地球環境の保全に資する点で重要視されている。
このポリエステル樹脂(リサイクルポリエステル樹脂)の注目される製品の一つとして、再溶融・紡糸によるポリエステルフィラメント糸があり、これらは衣料用途あるいは産業資材用途に使用が拡大している。
【0004】
リサイクルポリエステル樹脂についてはその回収法等が原因で、種々の共重合成分を含み、かつ共重合組成にバラツキが大きく生じるため、リサイクルポリエステル樹脂を主成分として含有するポリエステル系樹脂を紡糸することにより得られるフィラメント糸を染色した場合、製品内で色斑を生じたり、ロット間で色差を生じるという問題があった。
【0005】
そこで、リサイクルポリエステル樹脂に、重縮合法により得られた段階の未加工のポリエステル樹脂(バージンポリエステル樹脂)を混合して製造したマルチフィラメントが提案されている。例えば、溶融前のペレットの段階でバージンポリエステル樹脂とリサイクルポリエステル樹脂を混合する方法、各々別々に溶融押し出しされたバージンポリエステルとリサイクルポリエステルとをノズルパック内で混練する方法により得られたポリエステルフィラメントが提案されている。
【0006】
しかし、このような混合したポリエステルから得られたフィラメントでは、リサイクルポリエステル樹脂部分の組成の均一化が十分でないため、リサイクルポリエステルに起因する染色斑が発生するという問題があり、特にリサイクルポリエステル樹脂の混率が増加した場合には大きな問題であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような現状を鑑み、種々の共重合成分を含むポリエステルから製造されるポリエステル繊維における共重合組成のバラツキに伴う問題を解決し、強度特性に優れ、かつ染色斑の生じないポリエステル繊維を提供することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の共重合成分の共重合割合を規定して、その組成斑の小さいリサイクルポリエステル樹脂を所定の混合量で使用することにより、ポリエチレンテレフタレートの持っている強度特性を損ねることなく、分散染料に対する染色性が向上し、かつ染色斑が生じないポリエステル繊維が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の要旨は次の通りである。
【0009】
(1)エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位として有し、ジエチレングリコールが1モル%以上の割合で共重合され、下記の化合物群Aに属する化合物のいずれかが0.01モル%以上共重合されている共重合ポリエステルより形成されてなるポリエステル繊維において、当該0.01モル%以上共重合されている化合物は1〜3種類であって、かつ、それぞれの共重合割合は0.1モル%〜3.0モル%の範囲にあり、ジエチレングリコール及び化合物群Aに属する化合物の共重合割合の合計Sが6.0モル%以下の範囲にあり、該ポリエステル繊維10gから100mgの標本を10個抜き取り、各々の標本について測定した上記共重合割合の合計Sの標準偏差σ(S)が0.5モル%以下の範囲にあることを特徴とするポリエステル繊維。
(化合物群A)
酸成分としてのフタル酸、イソフタル酸、イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム塩、アジピン酸、アゼライン酸、及びグリコール成分としての1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール。
(2)ポリエステル繊維を形成するための共重合ポリエステルが、リサイクルポリエステル樹脂組成物を原料の20質量%以上使用して製造されたものであることを特徴とする上記(1)に記載のポリエステル繊維。
(3)リサイクルポリエステル樹脂組成物を含む成形用樹脂から繊維を成形するポリエステル繊維の製造方法において、該成形用樹脂は、その10kgから100mgの標本を10個抜き取り、各々の標本について測定した共重合割合の合計Sの標準偏差σ’(S)が1.0モル%以下であることを特徴とする上記(2)に記載のポリエステル繊維の製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のポリエステル繊維は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、これに、ジエチレングリコール(DEG)及び下記の化合物群Aに属する化合物のいずれかが共重合された共重合ポリエステルより形成された繊維である。
(化合物群A)
酸成分としてのフタル酸、イソフタル酸、イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム塩、アジピン酸、アゼライン酸、及びグリコール成分としての1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール。
【0011】
まず、本発明に用いる上記の共重合ポリエステルについて詳細に説明する。
なお、以下においては、上記の化合物群Aに属する化合物を、A群化合物と略称する。
【0012】
共重合ポリエステルにおけるDEGの共重合割合としては、1モル%以上であり、1〜4モル%が好ましく、1.3〜3.7モル%がさらに好ましく、1.6〜3.4モル%が特に好ましい。DEGの共重合割合が1モル%未満では、本発明を適用する対象とならない。一方、4.0モル%を越えると、得られるポリエステル繊維の強度特性が低下する傾向にあるので好ましくない。
【0013】
A群化合物の共重合割合としては、いずれかのA群化合物の共重合割合が
0.01モル%以上であることが、本発明の対象となるうえで必要である。なぜなら、本発明は、リサイクルその他の理由により共重合成分としてA群化合物を含む共重合ポリエステルを原料とした繊維について、それらの共重合割合の変動によって生じる染色斑を解消することを目的としているからであり、0.01 モル%未満の極めて小さい共重合割合では、もとより染色斑も生じない。
【0014】
A群化合物は、ポリエステルの共重合成分として使用されることのある化合物のうち、比較的少量でもポリエステルの染色性を高めるという特性を有する共重合成分である。中でも、酸成分としてはイソフタル酸が、グリコール成分としては1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが使用頻度の高い共重合成分であり、リサイクルポリエステル樹脂中に入っていることが多いので原料確保が容易な点で好ましい。
【0015】
共重合ポリエステルにおいて、0.01モル%以上共重合されているA群化合物の種類は、1〜3種類であることが必要である。3種類を超えると、染色斑が発生する。
また、当該0.01モル%以上共重合されているA群化合物のそれぞれの共重合割合としては、0.1〜3.0モル%の範囲にあることが必要であり、0.2〜2.5モル%以下が好ましく、0.3〜2.0モル%以下がさらに好ましい。これは、A群化合物のいずれかが0.01モル%以上で0.1モル%未満の割合で共重合されていると、その量が少ないがためにかえって均一に存在することを期待し得ず、そのために染色斑が生じるからである。 一方、A群化合物のいずれかが3.0モル%を超えて共重合されると、得られるポリエステル繊維の強度特性が低下する。
【0016】
また、共重合ポリエステルにおいては、DEGの共重合割合と、A群化合物それぞれの共重合割合の和との合計Sが、6.0モル%以下であることが必要であり、2.0〜6.0モル%が好ましく、2.5〜5.5モル%がより好ましく、3.0〜5.0モル%が特に好ましい。Sが6.0モル%を超えると、得られるポリエステル繊維の強度特性が低下する。
【0017】
本発明のポリエステル繊維は、上記した共重合ポリエステルより形成されてなる繊維であるが、染色斑を小さくするために、共重合ポリエステルにおける共重合成分の濃度斑を小さくしている点が重要であり、このための指標として、本発明においては繊維標本の標準偏差を採用する。
すなわち、本発明においては、ポリエステル繊維10gから100mgの標本を10個抜き取り、各々の標本について測定した上記共重合割合の合計Sの標準偏差σ(S)が0.5モル%以下の範囲にあることが必要であり、0.4モル%以下が好ましく、0.3モル%以下がより好ましく、0.2モル%以下が特に好ましい。σ(S)が0.5モル%を超えると、繊維に染色斑が発生する。
【0018】
本発明のポリエステル繊維には、繊維を形成するポリマーの本質的な特性を損なわない範囲内で、各種の添加剤、例えば、二酸化ケイ素、カオリン、クレー、テレフタル酸カルシウムもしくは酸化アルミニウム等の滑剤、又は炭酸カルシウム、二酸化チタンもしくはカーボン等の顔料、又はシリコーン粒子等の消泡剤、又はアルキル硫酸ナトリウムもしくはポリエチレングリコール等の帯電防止剤、又はポリエチレンもしくはMXD−6等の補強剤等の添加剤を、いずれか単独で用いてあるいは複数併用して含有させることができる。
【0019】
本発明のポリエステル繊維は、諸種のポリエステル製の産業廃棄物や使用済みのボトル、シート、その他成形品、繊維製品等を分別回収し、粉砕、精製等の処理を行うことにより得られたリサイクルポリエステル樹脂組成物を原料に用いて製造することができ、資源の再利用に貢献する上で好ましい。
リサイクルポリエステル樹脂組成物の形態としては、フレーク、ペレット、シート、繊維等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
リサイクルポリエステル樹脂組成物の平均的な組成としては、主としてはポリエチレンテレフタレートであるが、DEGが共重合され、かつ1〜3種類のA群化合物がそれぞれ0.1〜3.0モル%の割合で共重合されていることが好ましい。
【0021】
リサイクルポリエステル樹脂組成物を本発明のポリエステル繊維の原料として使用する場合、原料の20質量%以上使用することが好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、50質量%以上が特に好ましい。
【0022】
リサイクルポリエステル樹脂と併用するバージンポリエステル樹脂としては、主成分としてビス−(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート及び/又はその低重合体を溶融重縮合により高重合度化して得られたものを使用することができる。
【0023】
次に、本発明のポリエステル樹脂を製造する方法の好ましい例として、リサイクルポリエステル樹脂を原料に使用する製造方法を説明する。
【0024】
この製造方法においては、上記のリサイクルポリエステル樹脂に、必要に応じて上記のバージンポリエステル樹脂を加え、各種ブレンダーにて固体状態での混合均一化を行うか、バッチ式反応缶、パドルミキサ、ニーダ、スクリュー押出機等を用いて溶融混練することにより組成を均一化して、繊維を成形するための成形用樹脂(以下、繊維成形用樹脂と略記する)を得る。そしてこの繊維成形用樹脂を用いて、通常の溶融紡糸法により本発明の繊維を製造するものである。
【0025】
ここで重要なことは、繊維成形用樹脂の組成の均一性であり、その指標として本発明では、繊維成形用樹脂標本の標準偏差を採用する。すなわち、リサイクルポリエステル樹脂組成物を原料に用いる本発明の製造方法においては、繊維成形用樹脂の10kgから100mgの標本を10個抜き取り、各々の標本について測定した共重合割合の合計S(上述したDEGの共重合割合と、A群化合物それぞれの共重合割合の和との合計Sのことである)の標準偏差σ’(S)が1.0モル%以下であることが必要であり、0.5モル%以下がより好ましく、0.4モル%以下がさらに好ましく、0.3モル%以下が特に好ましい。σ’(S)が1.0モル%を超えると、得られるポリエステル繊維に染色斑が発生しやすくなる。
【0026】
ブレンダーとしては、混練効果のあるものなら特に指定はなく、例えばホイール型ミル、ボール型ミル、ブレード型ミル、ロール型ミル等により混合する方式のものが使用でき、単に配管内を循環させる方式のものでも使用でき、連続式のものでも回分式のものでもよい。
また、溶融混練に使用されるスクリュー押出機としては、単軸スクリュー、同方向または異方向の二軸スクリュー式のものが好ましく使用され、スクリューの形状や寸法等は適宜選択すればよい。また、回転数、吐出量は混練機や成形機の容量等に応じて適宜調節すればよい。
【0027】
溶融紡糸法としては、通常の溶融紡糸装置を用いて行なえばよく、例えば、2000m/min以上の紡糸速度で半未延伸糸として巻き取るPOY法、あるいは2000m/min以上の高速紡糸もしくは2000m/min未満の低速紡糸で溶融紡糸して、一旦巻き取った糸条を延伸熱処理する方法又は一旦巻き取ることなく続けて延伸する紡糸延伸法等が採用できる。
【0028】
【作用】
飲料用PETボトルをはじめ種々のポリエステル製品中には、ポリエチレンテレフタレート以外に、DEG、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の成分が共重合されていることがあり、それらの共重合割合は、リサイクルされた使用済みの製品の種類やリサイクルポリエステル樹脂のロット等により変動する。
そのため、リサイクルポリエステル樹脂組成物を原料に用いて製造されるポリエステル繊維においては、上記のような共重合成分の共重合割合(濃度)が高い部分ほどポリエステル繊維の分散染料による染色性が高いため、共重合成分の濃度斑による染色斑が問題となる。
したがって、染色斑を抑えるためには共重合成分の濃度斑を小さくする必要があり、そのために本発明では、共重合組成の斑を表す指標として、標本標準偏差を用い、この値によって共重合組成の斑をコントロールし、染色斑を抑えることを可能としている。
【0029】
また、共重合成分の共重合割合がある程度多い場合には、全体的に染色性が向上するため、共重合組成が多少変動しても染色斑が目立ちにくくなる傾向にあるが、ポリエステル繊維の強度特性は低下する傾向にある。一方、DEG以外の共重合成分(A群化合物)を含んでいる場合において、その共重合割合が一定の値より少ない場合には、かえって共重合割合の変動による染色斑が目立ちやすくなる傾向にある。
以上のことから、DEG以外の共重合成分の共重合割合は、高すぎても低すぎても染色斑が生じやすくなると考えられ、本発明では、その点を考慮して共重合割合の範囲を定めている。
【0030】
【実施例】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。
なお、各種の特性は以下の方法で測定、評価したものである。
1.極限粘度[η]
フェノールと四塩化エタンとの等質量量混合溶媒を用い、温度20℃で測定した。
2.染色斑
得られた糸ポリエステル繊維を用いて製編した筒編に、原糸用染料(バイエル社製Terasil Nevy SGL)を2.0%omfで用いて常法により染色(浴比1:50、温度99℃、60分間)したものの染色斑を目視で判定し、3段階で評価した。
○:斑がない
△:やや斑がある
×:斑が多い
【0031】
3.共重合割合
重水素化トリフルオロ酢酸と重水素化クロロホルムとの容量比1:11の混合溶媒を調製し、前述の方法によりサンプリングした繊維100mgの標本を当該混合溶媒3mlに溶解させ、あるいは繊維成形用樹脂100mgの標本を当該混合溶媒3mlに溶解させて、NMR装置(日本電子株式会社製LA−400型)によりH−NMRを測定した。得られたチャート上の各共重合成分のプロトンのピークの積分強度から各共重合成分の共重合割合を求め、前述のS、σ(S)、σ’(S)の値をそれぞれ算出した。
なお、それぞれの共重合割合の値としては、10個の標本についての平均値を採用した。また、共重合割合としては、酸成分については酸成分全体で100モル%、グリコール成分についてはグリコール成分全体で100モル%となるように計算され、共重合成分の合計、和とは、酸成分、グリコール成分という分類に関係なく、それぞれの共重合割合を数字上で単純に足し合わせたものを意味する。
【0032】
4.繊維強度
引張試験機(株式会社島津製作所製、AG−100G型)を使用して、糸長100mmのサンプルを用い、引張速度500mm/minで引張試験を行ない、糸が切れた時点の値を測定した。
【0033】
実施例1
ボトル、シートを粉砕、洗浄して得られたリサイクルポリエステルのフレークを原料として用い、これを300℃の押出機に供給し、溶融した樹脂をストランド状に押出成形した後、水中で冷却しペレット状にカッティングした。得られたペレットをタンブラー型乾燥機の中に投入し、減圧度133Paのもとで、温度80℃で2時間、次いで温度130℃で8時間、回転させながら乾燥して均一化した。均一化された乾燥ペレットの極限粘度は0.68、共重合割合は、イソフタル酸(IPA)が1.5モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)が0.3モル%、DEGが2.4モル%であり、σ’(S)は0.3モル%であった。
この乾燥ペレットを繊維成形用樹脂として290℃の押出機に供給し、通常の溶融紡糸装置を用いて紡糸温度290℃で紡糸口金より溶融紡糸した。紡糸口金としては、孔径0.25mmの紡糸孔48個が穿設されたものを用い、糸条束を空気流により冷却し、油剤を0.5質量%の付着量となるように油剤を塗布し、集束ガイドにて集束し、交絡付与後紡糸速度3500m/分のローラーで引き取り、巻き取って、255dtex/48fの糸条を得た。さらに、これを通常の延伸装置を用いて、700m/分の速度で延伸することにより、167dtex/48fの本発明のポリエステル繊維(マルチフィラメント)を得た。
このポリエステル繊維の共重合割合は、IPAが1.5モル%、CHDM0.3モル%、DEGが2.4モル%であり、Sは4.2モル%、σ(S)は0.2モル%であった。
また、染色性については、染色斑もなく良好であり、強度は4.5cN/dtexと良好であった。
【0034】
実施例2
溶融押出によりペレットを成形するための原料として、ポリエチレンテレフタレートを主体としてIPAが20モル%及びDEGが5.4モル%共重合された共重合ポリエステルからなるポリエステル繊維の屑14質量部と、ポリエチレンテレフタレートにDEGが1.8モル%共重合されたポリエステル繊維屑86 質量部とを混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
【0035】
実施例3
溶融押出によりペレットを成形するための原料として、ボトル、シートを粉砕、洗浄して得られたリサイクルポリエステルのフレーク95質量部と、ポリエステル繊維屑5質量部とを混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
【0036】
実施例4
溶融押出によりペレットを成形するための原料として、イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム(SIP)が2.5モル%共重合されたカチオン可染ポリエステル繊維屑4質量部と、ボトル、シートを粉砕、洗浄して得られたリサイクルポリエステルのフレーク(共重合成分としてIPAを含まず、1,4−ブタンジオール(BD)を含むもの)96質量部とを混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
【0037】
実施例5
ポリエチレンテレフタレートにDEGが1.6モル%共重合された極限粘度が0.68であるバージンの共重合ポリエステル樹脂ペレット40質量部と、実施例1で使用したリサイクルポリエステルのペレット(均一化する前のもの)50質量部とを、タンブラー型回転乾燥機に投入し、実施例1と同様の方法で均一化を行ない、以降の工程も実施例1と同様にして行なった。
【0038】
比較例1
溶融押出によりペレットを成形するための原料として、イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム(SIP)が2.5モル%共重合されたカチオン可染ポリエステル繊維屑4質量部と、ボトル、シートを粉砕、洗浄して得られたリサイクルポリエステルのフレーク(共重合成分としてIPA,BDの両方を含むもの)96質量部とを混合したものを用いた以外は、実施例1と同様にして行った。
【0039】
比較例2〜4
ボトル、シートを粉砕、洗浄して得られたリサイクルポリエステルのフレークとして、共重合成分の種類及び割合が下記表1中に示すようなものを選んで使用した以外は、実施例1と同様にして行なった。
【0040】
比較例5
タンブラー型乾燥機を用いた均一化を行なうことなく、箱形乾燥機内で静置状態にてペレットを乾燥させて繊維成形用樹脂として用いた以外は、実施例3と同様にして行なった。
【0041】
上記した実施例及び比較例を行なった結果について、下記表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 2004027375
【0043】
表1に示す通り、実施例1〜5では、本発明の要件を満たしているため染色斑を生じず、強度特性にも優れたポリエステル繊維が得られた。
一方、比較例では以下のような問題が生じた。
比較例1では、共重合されたA群化合物の種類が多すぎるため、染色斑が発生した。
比較例2では、IPAの共重合割合が大きすぎるため、ポリエステル繊維の強度が低下した。
比較例3では、IPA及びCHDMの共重合割合が小さかったため、染色斑が発生した。
比較例4は、Sの値が大きすぎたため、ポリエステル繊維の強度が低下した。
比較例5では、繊維成形用樹脂が均一化されておらずσ’(S)の値が大きかった結果、ポリエステル繊維のσ(S)の値も大きくなり、染色斑が発生した。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、リサイクルポリエステル樹脂を原料に使用しても、強度特性に優れ、かつ染色斑の生じないポリエステル繊維を提供することができる。

Claims (3)

  1. エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位として有し、ジエチレングリコールが1モル%以上の割合で共重合され、下記の化合物群Aに属する化合物のいずれかが0.01モル%以上共重合されている共重合ポリエステルより形成されてなるポリエステル繊維において、当該0.01モル%以上共重合されている化合物は1〜3種類であって、かつ、それぞれの共重合割合は0.1モル%〜3.0モル%の範囲にあり、ジエチレングリコール及び化合物群Aに属する化合物の共重合割合の合計Sが6.0モル%以下の範囲にあり、該ポリエステル繊維10gから100mgの標本を10個抜き取り、各々の標本について測定した上記共重合割合の合計Sの標準偏差σ(S)が0.5モル%以下の範囲にあることを特徴とするポリエステル繊維。
    (化合物群A)
    酸成分としてのフタル酸、イソフタル酸、イソフタル酸−5−スルホン酸ナトリウム塩、アジピン酸、アゼライン酸、及びグリコール成分としての1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール。
  2. ポリエステル繊維を形成するための共重合ポリエステルが、リサイクルポリエステル樹脂組成物を原料の20質量%以上使用して製造されたものであることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル繊維。
  3. リサイクルポリエステル樹脂組成物を含む成形用樹脂から繊維を成形するポリエステル繊維の製造方法において、該成形用樹脂は、その10kgから100mgの標本を10個抜き取り、各々の標本について測定した共重合割合の合計Sの標準偏差σ’(S)が1.0モル%以下であることを特徴とする請求項2に記載のポリエステル繊維の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115110184A (zh) * 2022-07-04 2022-09-27 江苏普来得科技发展有限公司 一种抗振型高速导丝轮的设计方法

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