JP2004027306A - イオンビームスパッタリング装置 - Google Patents

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JP2004027306A JP2002187014A JP2002187014A JP2004027306A JP 2004027306 A JP2004027306 A JP 2004027306A JP 2002187014 A JP2002187014 A JP 2002187014A JP 2002187014 A JP2002187014 A JP 2002187014A JP 2004027306 A JP2004027306 A JP 2004027306A
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Abstract

【課題】均一な膜厚分布の成膜を再現性がよく行うことができ、しかも、成膜の製造コストを低減することを可能とする。
【解決手段】ターゲット5,6,7,8と、それらのターゲット5,6,7,8をスパッタリングするためにイオンビーム9,10を発生するスパッタリング用イオン源1,2とを備え、ターゲット5,6,7,8からスパッタリングされたスパッタリング粒子12,13を、基板14上に堆積させる。スパッタリング用イオン源1,2及びターゲット5,6,7,8は、回転基板ホルダ15の外側面へ、スパッタリング粒子12,13が飛来するように配置されている。基板14を外側面に配置する円柱形の回転基板ホルダ15を備えており、この回転基板ホルダ15は、回転軸16によって回転する。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スパッタリングにより薄膜成膜を行うスパッタリング装置に関し、特に、イオンビームによりスパッタリングを行うイオンビームスパッタリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は、従来のイオンビームスパッタリング装置の代表的な構造を示す図、図8,図9は、従来の回転基板ホルダの形状を示す図である。
(イオンビームスパッタリング装置の全体の構造)
従来のイオンビームスパッタリング装置は、イオンビーム9を発生するスパッタリングイオン源1と、円板状のターゲットホルダ3の表裏の円板面に装着され、スパッタリングイオン源1からのイオンビーム9が、シャッター21を介して照射されるターゲット5,6と、ターゲット5,6からスパッタリングされたスパッタリング粒子13が堆積される基板14を支持する回転基板ホルダ15−1等とを備えている。なお、17は膜厚測定器、22は補正板である。
【0003】
このイオンビームスパッタリング装置は、スパッタリングのためのイオンビーム9として、ビーム径が約10〜20cm程度の断面が円形又は長円形のビームを用い、ターゲット5,6に対して、20〜70度程度の入射角度で照射され、ターゲット5,6からスパッタされた粒子13を、ターゲット5,6から所定の距離離れたところに配置した基板14に堆積させる。
【0004】
(回転基板ホルダのタイプ)
回転基板ホルダ15は、基板14の配置によって、公転タイプと自公転タイプの2通りの形態がある。
(1)公転タイプ
回転基板ホルダ15−1は、図8に示すように、複数の基板14が円板状の円板面15aに配置され、回転軸16を中心にして公転運動をする。この場合には、複数の基板14は、回転基板ホルダ15−1の円板面15aの同心円周上に均等に配置されている。
【0005】
図8で示す基板の配置では、回転基板ホルダ15−1は、回転軸16で回転するので、回転基板ホルダ15−1の半径方向で周速度が比例して変化する。このため、図7において、ターゲット5,6から発生したスパッタリング粒子13のフラックス分布が空間的に均一である場合に、回転基板ホルダ15−1の外周に近い部分の成膜厚さは、内周に近い部分の成膜厚さに比べ必ず薄くなる。この様子を図10に示す。
【0006】
図10は、従来のイオンビームスパッタリング装置の基板上でのスパッタ膜厚分布を示す図である。
回転基板ホルダ15−1の中心、すなわち回転軸16が配置してある方向の膜厚が最大となる(a−b方向)。但し、回転基板ホルダ15−1の回転方向の成膜厚分布は、均一となる(c−d方向)。
【0007】
このように、図8に示す形状の回転基板ホルダ15−1を用いた場合には、回転基板ホルダ15−1に到達するスパッタリング粒子13のフラックス分布は、空間的に均一とならない。このため、回転基板ホルダ15−1の外周に近い部分のスパッタリング粒子13のフラックスを最大とし、回転中心へ近づくに従ってフラックスがリニアに減少するように、形状が調整された補正板22(図7参照)を配置している。
【0008】
(2)自公転タイプ
回転基板ホルダ15−2は、一般的に自公転タイプと呼ばれており、図9に示すように、回転基板ホルダ15−1上に、自転する回転基板ホルダ19が設けられている。つまり、回転基板ホルダ15−1内の同心円周上に回転基板ホルダ19が配置してあり、回転基板ホルダ19は、回転基板ホルダ15−1上で更に回転するようにしてある。したがって、基板14は、円板面15a上で、自公転運動を行う。
【0009】
この回転基板ホルダ15−2は、図8に示す回転基板ホルダ15−1で発生する成膜厚分布を解消することができる。
但し、回転基板ホルダ15−2は、回転軸16から機械式に回転基板ホルダ19の回転軸20へ回転を伝達する構造のため、数千回転/分(RPM)での高速回転はできない。従って、成膜厚の絶対値が重要な成膜には、用いることは難しかった。
【0010】
(回転させる理由)
上記いずれの場合であっても、基板表面の法線と基板回転軸は、平行か又は平行に近く、少なくとも90°になることはない。公転又は自公転する基板ホルダ15−1,15−2上に、基板14を配置する理由は、
(a) 基板14へ堆積させるスパッタ膜厚の基板14内での均一性を向上させるためと、
(b) 多層膜を成膜する場合に、1層あたりの絶対膜厚を精密に制御するためである。
【0011】
公転だけ行う基板ホルダ15−1は、回転させる理由が、主に、膜の絶対厚さを精密に制御するためであり、一般的に、その回転速度は速い方がよく、数百〜数千RPMの回転数で回転している。
自公転を行う基板ホルダ15−2は、膜厚の絶対値よりも、膜厚分布の制御を精密に行うためのものである。
但し、いずれの基板回転方法であっても、基板の回転軸方向とスパッタリング粒子の飛来方向の関係は平行か又は平行に近く、少なくとも90°となることはない。
【0012】
(イオンビームの形状)
イオンビームの形状に関しては、断面が円形のビームを用いる場合には、ターゲットにビームが到達したときに、その形状は長円形となるため、横長のターゲットが必要になる。
また、断面が長円形のビームを用いた場合は、ターゲット上で円形又は円形に近い形とすることができるので、円形ビームを用いた場合よりも、小さなターゲットを用いることができる。
【0013】
しかし、いずれの場合においても、スパッタリングするイオンビームが1本のビームのときには、そのイオンビームフラックスは、ビーム中央部が大きいために、ターゲットのスパッタリングによる消耗は、ビーム中央部が早い。
また、ターゲットの消耗に分布があるということは、スパッタリングされたターゲット粒子にも分布が生じるということであり、前述したように、基板を公転又は自公転させても、基板の成膜膜厚の均一性が損なわれる大きな原因となっていた。
特に、公転だけの場合には、回転基板ホルダの円周方向の均一性は得られるものの、半径方向の分布はスパッタリングされたターゲット粒子のフラックス分布に依存し、膜厚均一な部分、特に、この場合は、膜厚の絶対値が目標値の許容範囲に入っている部分は狭く、歩留まりの悪い成膜結果となっていた。
【0014】
さらに、基板ホルダの半径方向の膜厚分布を均一にするためには、半径方向で回転の周速度が外周方向に直線的に増加するために、スパッタリングされたターゲット粒子のフラックス分布も、半径方向に直線的に増加した形状にしなくてはならず、制御することは非常に困難であった。
従って、イオンビームのフラックス分布に傾斜をつけ、スパッタリングされたターゲット粒子のフラックス分布に傾斜を作ることは行わず、イオンビームのフラックス分布は均一とし、ターゲットと基板間にスパッタリングされたターゲット粒子を一部遮蔽するような補正板11を配置し、ターゲット粒子のフラックス分布に傾斜をつけ成膜の均一化を図る方法を採っていた。
【0015】
イオンビームのフラックス分布を均一とするために、一例としては、イオン源のイオン引き出し電極の形状が単純な平面形ではなく、球面と平面を組み合わせたような形状にしたり、引き出し電極の穴径に分布をもたせたりし、複雑な加工が施すことが提案されている。
しかし、円形又は長円形のビームでフラックス分布を一様とするイオン引き出し電極系を製作することは、寸法の再現性に難点があり、電極交換を行う毎にビームプロファイルが変化してしまうという問題があった。
また、その製作過程では、電極の幾何形状をつくり出すためのプレス工程と、電極材料の熱処理工程が複数回必要となり、高価な電極となっていた。
さらに、電極構造を工夫しても、ターゲットの消耗により、スパッタリングされたターゲット粒子のフラックス分布が変化するので、成膜厚分布が許容範囲から外れた場合には、補正板22の形状を変更しなければ、ならなかった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、上述した従来の技術では、以下のような問題があった。
(1) 成膜厚の均一性を得るために、基板を公転又は自公転させていたが、スパッタリングするイオンビームのフラックス均一性が保たれていても、スパッタリングターゲットの消耗によって、スパッタリングされたターゲット粒子のフラックス分布が変化し、均一な膜厚分布の成膜が難しかった。
【0017】
(2) 基板の公転及び自公転の回転軸の方向がターゲット粒子の飛来する方向と平行か又は平行に近い方向であるので、特に、基板を公転するだけの回転基板ホルダの場合には、回転基板ホルダの半径方向の回転周速度変化率に見合ったターゲット粒子のフラックス分布を形成しなければ、回転基板ホルダの半径方向の膜厚均一性が得られない。このため、非常に制御が難しく、適切なターゲット粒子のフラックス分布を実現する補正板の形状及び配置位置を頻繁に修正する必要があった。この修正は、経験的に行われており、成膜処理の再現性を得ることは、熟練を要していた。
【0018】
(3) イオン源のイオン引き出し電極にいろいろな工夫を施し、フラックス分布が均一なイオンビームが形成できても、消耗品である電極を交換すると、ビームプロファイルが変化し、成膜プロセスを修正する必要があるとともに、電極部品が高価であるために、成膜の製造コストを低減することが難しかった。
【0019】
本発明の課題は、均一な膜厚分布の成膜を再現性がよく行うことができ、しかも、成膜の製造コストを低減することができるイオンビームスパッタリング装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、ターゲットと、そのターゲットをスパッタリングするためにイオンビームを発生するスパッタリング用イオン源とを備え、前記ターゲットからスパッタリングされたスパッタリング粒子を、被処理基板上に堆積させるイオンビームスパッタリング装置において、前記被処理基板を外側面に配置する円柱形の回転基板ホルダを備え、前記ターゲット及び前記スパッタリング用イオン源は、前記回転基板ホルダの外側面へ、前記スパッタリング粒子が飛来するように配置されていること、を特徴としたイオンビームスパッタリング装置である。
【0021】
請求項2の発明は、請求項1に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、前記スパッタリング用イオン源は、イオンビームの断面が矩形であり、その矩形の長手方向でエネルギー及び密度が均一であること、を特徴とするイオンビームスパッタリング装置である。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、前記ターゲット及び前記スパッタリング用イオン源は、前記回転ホルダに対して、対称な位置に2組配置されていること、を特徴とするイオンビームスパッタリング装置である。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、前記回転基板ホルダは、その回転軸方向に、前記被処理基板を複数段配置すること、を特徴とするイオンビームスパッタリング装置である。
【0024】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、前記回転基板ホルダは、その回転軸方向に、移動可能であること、を特徴とするイオンビームスパッタリング装置である。
【0025】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、前記回転基板ホルダの外側面へ、アシストイオンビームを照射するように配置したアシストイオン源を備えること、を特徴とするイオンビームスパッタリング装置である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しくに説明する。
図1は、本発明の実施形態によるイオンビームスパッタリング装置を、上方から見た様子を示す図である。なお、前述した従来例と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
本実施形態のイオンビームスパッタリング装置は、ターゲット5,6,7,8と、それらのターゲット5,6,7,8をスパッタリングするためにイオンビーム9,10を発生するスパッタリング用イオン源1,2とを備え、ターゲット5,6,7,8からスパッタリングされたスパッタリング粒子12,13を、基板14上に堆積させるようにしてものである。
【0027】
スパッタリング用イオン源1,2及びターゲット5,6,7,8は、回転基板ホルダ15の外側面へ、スパッタリング粒子12,13が飛来するように配置されている。ターゲット5,6及びターゲット7,8は、それぞれターゲットホルダ3,4に装着されている。
【0028】
このイオンビームスパッタリング装置は、基板14を外側面に配置する円柱形の回転基板ホルダ15を備えており、この回転基板ホルダ15は、回転軸16によって回転する。回転基板ホルダ15は、その側面に、後述する図2及び図3に示すように、基板14が配置してある。
【0029】
本実施形態では、スパッタリング用イオン源1,2は、基板回転ホルダ15に対称な位置に2台配置してあるが、必ずしも2台必要ではなく1台でもよいし、真空容器23のサイズが大きくなるが、2台以上のイオン源を配置してもよい。スパッタリング用イオン源1,2は、その台数を増やせば、成膜速度を向上させることができる。スパッタリング用イオン源1,2の配置台数によって、ターゲット5,6,7,8やターゲットホルダ3,4の個数が変化することとなる。
基板回転ホルダ15に対称な位置に2台配置すれば、均一な膜厚成形に寄与する。
【0030】
アシストイオン源18は、基板14の表面を、成膜前にクリーニングするためのアシストイオンビーム11を発生するイオン源である。
【0031】
図2,図3は、本実施形態によるイオンビームスパッタリング装置の回転基板ホルダを示す図である。
図2の回転基板ホルダ15Aは、円柱側面15bに、基板14が1段で配置されている。図3の回転基板ホルダ15Bは、円柱側面15bに、基板14が2段で配置されている。円柱側面15bに基板14を配置する段数は、前述した例に限定されることはなく、3 段以上の段数にしてもよい。
【0032】
なお、本実施形態によるイオンビームスパッタリング装置は、図1に示すように、誘電体多層膜による反射膜や無反射膜の成膜時に、透過型の膜厚測定器17を用いているので、基板14の段数毎に、膜厚測定器17を配置した方が精度のよい成膜ができるため、基板14は2段にし、それぞれの段に膜厚測定器17を配置することが望ましい。
また、膜厚測定器17は、水晶振動子を用いて膜厚の測定を行える場合には、基板14の段数を、3段以上にしても差し支えない。このとき、段数に応じて、膜厚測定する測定素子を適切な数だけ配置すればよい。例えば、各段毎に測定素子を用意してもよいし、基板14の2段分の膜厚を1つの測定素子で測定してもよい。
【0033】
回転軸16は、回転基板ホルダ15を回転させる軸であり、図2及び図3に示すように、回転基板ホルダ15の上下に配置されている。回転軸16は、回転基板ホルダ15の上面又は下面のいずれか一方に設けてもよいが、回転基板ホルダ15は、数千回転の高速で回転させるため、回転の振れを少なくするためには、両軸の方が望ましい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態と従来例との大きな差異の一つは、回転基板ホルダ15への基板14の配置の仕方である。以下に、本実施形態における基板配置の利点を詳しく説明する。
図4は、本実施形態によるイオンビームスパッタリング装置で製造した基板内の成膜厚分布を示す図である。
本実施形態では、円柱型の回転基板ホルダ15の円柱側面15bに基板14を配置するため、基板14内の成膜厚分布は、回転基板ホルダ15の円柱直径と比較して、基板14の回転方向の寸法が数十分の一の場合に、回転方向の膜厚分布c−dは、ほぼ一定となる。
例えば、c−d方向の膜厚分布を0.1%以下とするためには、基板14の回転方向長さを1とした場合に、回転基板ホルダ15の円柱直径を、約22とすればよい。すなわち、基板14の回転方向長さを4cmとした場合に、回転基板ホルダ15の円柱直径を、1mとすれば、0.1%以下の均一性で成膜できることになる。
これに対して、従来例による装置の場合に、均一性0.1%を確保するためには、回転基板ホルダの半径は、基板の半径方向の長さの約1000倍にする必要があった。
【0035】
また、この回転基板ホルダ15の回転軸方向の成膜厚分布a−bは、スパッタリング粒子12,13のフラックス分布により決まり、均一なスパッタリング粒子12,13のフラックス分布を形成することが重要となる。これは、スパッタリング用イオン源1,2のイオンビーム9,10のフラックス分布を均一にすることに繋がり、従来の断面が円形又は楕円形のイオンビームでは難しい。
【0036】
図5は、イオンビーム断面が円形であるイオン源のイオンビームフラックス分布を示す図である。
イオンビームの進行方向をZとした場合に、X,Y方向のイオンビームフラックス分布は、Z軸上が最大となるのが普通である。従って、図5に示すようなイオンビームでターゲットをスパッタリングした場合に、ターゲットから出射するスパッタリング粒子のフラックス分布も、イオンビームのフラックス分布に応じた分布を持つようになり、均一な部分のあるスパッタリング粒子のフラックス分布を得ることは難しい。
【0037】
図6は、本実施形態で用いるイオン源のイオンビーム形状とそのフラックス分布を示す図である。
本実施形態では、イオンビーム形状は矩形とし、その矩形の長手方向でエネルギー及び密度が均一であり、したがって、フラックス分布はY方向で均一になるように形成した。X方向の分布は、従来のイオンビームと大きな差異はなく、むしろ急峻である。
この矩形のイオンビームをターゲットに照射することにより発生するスパッタリング粒子のフラックス分布は、回転基板ホルダ15の回転軸方向に均一な部分を有する形状となり、その均一な部分が基板14のa−b方向の寸法より大きければ、基板上の成膜厚の分布は、a−b及びc−dの方向とも均一になる(図4参照)。
【0038】
図5のイオンビームのフラックス分布を有するイオン源を用いて成膜処理を行うと、イオンビームによりターゲットがスパッタリングされて消耗し、スパッタリング粒子のフラックス分布が基板14のa−b及びc−dの方向の両方で経時変化することとなる。したがって、基板14の成膜厚分布の均一性を維持することは、図7の補正板22を用いても不可能であり、成膜厚は、成膜処理中に連続的に分布が変化していた。
【0039】
図6で示す本実施形態で用いているイオンビームのフラックス分布は、ターゲットが消耗してきた場合には、スパッタリング粒子のフラックスの絶対値が変化するだけで、スパッタリング粒子のフラックスの回転基板ホルダ15の回転軸方向の分布が変化することはない。
膜厚測定器17で膜厚を検出し、成膜時間にフィードバックしながら成膜すれば、再現よく均一な成膜が行える。
また、イオンビームの断面が矩形であるから、ターゲットに入射した場合も、イオンビームの断面は矩形である。このため、矩形のターゲットを用い非常に効率よくターゲットを使用することができる。
【0040】
また、本実施形態において、図4で示すa−b方向に矩形のイオンビームサイズを大きくすれば、従来のイオンビームスパッタリング装置では成膜が難しい大形の基板に均一性よく成膜をすることができる。
但し、基板サイズを大きくするときに、a−b方向へ大きくする場合には、イオンビームサイズとターゲットサイズを、それに見合うサイズにするだけで容易に拡大可能であるが、c−d方向に大きくする場合には、前述したように、成膜厚の均一性と回転基板ホルダ15の円柱直径との間に一定の関係があるために、成膜厚の分布精度により、回転基板ホルダ15の寸法を決める必要はある。
【0041】
本実施形態によれば、円柱型の回転基板ホルダ15の円柱側面に基板14を配置し、均一なイオンビームのフラックス分布でターゲットをスパッタリングできるので、ターゲットの消耗による成膜厚分布の経時変化がない高精度な成膜が可能である。
また、回転基板ホルダ15の回転軸16は1軸であり、従来の自公転タイプの回転基板ホルダのように、多軸の回転機構を必要とせず、かつ、回転基板ホルダ15を貫通し、両軸で支持することができるので、容易に高速で回転基板ホルダ15を回転させることができ、膜厚の絶対値の制御が重要である光学薄膜の製造に最適である。
【0042】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
回転基板ホルダ14は、その回転軸16の方向に移動できるようにすれば、成膜厚の均一性をより向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、以下のような効果がある。
(1) 被成膜基板を円柱形の回転基板ホルダの外側面に配置し、回転基板ホルダの外側面へスパッタリング粒子が飛来するようにターゲットとイオン源を配置したので、回転基板ホルダの回転方向の成膜厚の均一性を得ると共に、スパッタリング用イオンビームのフラックスを均一にするだけで、回転基板ホルダの回転軸方向の成膜厚均一性が得られる。
(2) 特に、イオンビームの断面形状を矩形にした場合には、スパッタリングイオンビームの長手方向のイオンビームのフラックス分布を均一にすることが容易であるので、従来の円形又は楕円形のスパッタリングイオンビームを用いた場合よりも、さらに均一な基板内成膜厚分布を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態によるイオンビームスパッタリング装置を、上方から見た様子を示す図である。
【図2】本実施形態によるイオンビームスパッタリング装置の回転基板ホルダを示す図である。
【図3】本実施形態によるイオンビームスパッタリング装置の回転基板ホルダを示す図である。
【図4】本実施形態によるイオンビームスパッタリング装置で製造した基板内の成膜厚分布を示す図である。
【図5】イオンビーム断面が円形であるイオン源のイオンビーム形状とのフラックス分布を示す図である。
【図6】本実施形態で用いるイオン源のイオンビーム形状とそのフラックス分布を示す図である。
【図7】従来のイオンビームスパッタリング装置の代表的な構造を示す図である。
【図8】従来のイオンビームスパッタリング装置の回転基板ホルダの形状(公転タイプ)を示す図である。
【図9】従来のイオンビームスパッタリング装置の回転基板ホルダの形状(自公転タイプ)を示す図である。
【図10】従来のイオンビームスパッタリング装置の基板上でのスパッタ膜厚分布を示す図である。
【符号の説明】
1,2スパッタリング用イオン源
3,4 ターゲットホルダ
5,6,7,8 ターゲット
9,10,11 イオンビーム
12,13 スパッタリング粒子
14 スパッタリング粒子
15 回転基板ホルダ
16 回転軸
17 膜厚測定器
18 アシストイオン源
19 回転基板ホルダ
20 回転軸
21 シャッター
22 補正板

Claims (6)

  1. ターゲットと、そのターゲットをスパッタリングするためにイオンビームを発生するスパッタリング用イオン源とを備え、前記ターゲットからスパッタリングされたスパッタリング粒子を、被処理基板上に堆積させるイオンビームスパッタリング装置において、
    前記被処理基板を外側面に配置する円柱形の回転基板ホルダを備え、
    前記ターゲット及び前記スパッタリング用イオン源は、前記回転基板ホルダの外側面へ、前記スパッタリング粒子が飛来するように配置されていること、
    を特徴としたイオンビームスパッタリング装置。
  2. 請求項1に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、
    前記スパッタリング用イオン源は、イオンビームの断面が矩形であり、その矩形の長手方向でエネルギー及び密度が均一であること、
    を特徴とするイオンビームスパッタリング装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、
    前記ターゲット及び前記スパッタリング用イオン源は、前記回転ホルダに対して、対称な位置に2組配置されていること、
    を特徴とするイオンビームスパッタリング装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、
    前記回転基板ホルダは、その回転軸方向に、前記被処理基板を複数段配置すること、
    を特徴とするイオンビームスパッタリング装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、
    前記回転基板ホルダは、その回転軸方向に、移動可能であること、
    を特徴とするイオンビームスパッタリング装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたイオンビームスパッタリング装置において、
    前記回転基板ホルダの外側面へ、アシストイオンビームを照射するように配置したアシストイオン源を備えること、
    を特徴とするイオンビームスパッタリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8992740B2 (en) 2009-10-08 2015-03-31 Fujikura Ltd. IBAD apparatus and IBAD method

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