JP2004027263A - 表面外観に優れた溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】GI鋼板に次の特性を付与する。
亜鉛めっき表面の中心線平均粗さRa: 0.5 〜1.5 μm
平均山間隔Sm : 40〜100 μm
好ましくは
Fe−Al金属間化合物のAl量 : 0.01〜0.20gm−2
めっき皮膜中のFe% : 0.5 〜3.0 %
製造に当たっては、溶融亜鉛めっき後に、Ra: 1.0 〜5.0 μm 、Sm: 40〜100 μm の表面粗度を有する圧延ロールにて調質圧延を施す。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法に関し、特に自動車用途に要求される均一な表面外観と、さらに要すれば連続スポット溶接性に優れる溶融亜鉛めっき鋼板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融亜鉛めっき鋼板には、微量のAlを含む溶融亜鉛めっき浴に鋼板を浸漬した後引き上げることで亜鉛を鋼板の両面に付着させ、次いでワイピングガスでめっき付着量を調整した後にそのまま使用する非合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下単に「GI」あるいは「GI鋼板」ということもある)と、めっき付着量調整後、鋼板中のFeをZnめっき層中に拡散させる合金化と呼ばれる加熱工程を経て使用する合金化溶融亜鉛めっき鋼板(以下単に「GA」あるいは「GA鋼板」ということもある)が挙げられる。
【0003】
GA鋼板は連続スポット溶接性、プレス性に優れるため自動車用途に好適であり従来から使用されていた。一方、GI鋼板はGA鋼板に比べ厚目付が可能であり耐食性に優れる上、GA鋼板に比べ電着塗装欠陥が生じにくいという特徴があった。
【0004】
先般より、自動車用めっき鋼板の防錆性能のさらなる向上が叫ばれている。しかし、これまで使用されていたGA鋼板は厚目付化によりプレス時のめっきの剥離(フレーキングやパウダリングと呼ばれる現象)が生じることが多かった。まためっき工程に加え合金化工程が必要なこと、その結果として製造コストがかさむという欠点があった。
【0005】
そこでより厚目付が可能で耐食性に優れ、製造コストが低いGI鋼板を自動車用鋼板として使用する要求が出てきた。しかし、これまでGI鋼板がGA鋼板に比べて自動車用防錆鋼板として余り広く使用されていなかった理由は、自動車用途に必須であるプレス性や連続スポット溶接性に劣っていたこと、及び均一な表面外観をもつ鋼板が得られにくいことにあった。(例えば、第138 ・139 回 西山記念技術講座(1991)p.195 〜200 を参照。)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
鋼板を成形および接合後、自動車部品として使用される用途において要求される品質として、均一な表面外観が挙げられる。GI鋼板の場合は、溶融亜鉛浴に浸漬してから引き上げることで製造されるため、めっき表面の「ぎらつき感」により均一な外観が得られにくい。(なお、「ぎらつき感」とは、亜鉛めっきの金属光沢が、めっき表面のスパングル模様やめっきタレ模様等により、不均一にギラギラして見える表面状態をいい、以下、この語を用いる)。したがって、その後、調質圧延などで表面外観を整えられて製品となるが、それでもなお、GI鋼板の場合、ぎらつき感の問題によって自動車部品等に必要な均一な表面外観を得るのが難しかった。
【0007】
GI鋼板のプレス性については、防錆油や潤滑油の改善やプレス金型の調整、さらにはプレス品の加工形状や加工方法の変更といった方法で対応可能であるが、連続スポット溶接性についてはGI鋼板のめっき皮膜の特有の問題であり、その解決方法については充分に解明されているとは言えなかった。
【0008】
GI鋼板の連続スポット溶接性について検討されている例としては、「NKK 技報vol.154(1996)p.26 〜31」があるが、これは、同じめっき付着量であればめっき皮膜中に含まれるAlの重量%により連続スポット溶接性が変化し、そのAlの重量%が大きいほど連続スポット溶接性が劣化するというものである。しかし本発明者らの検討したところでは同様のめっき付着量で同様のAl%でも連続スポット溶接性が異なるケースが散見された(実施例参照)。
【0009】
さらに同様の考えについては特開2001―247951号公報に開示されている。やはりめっき皮膜中のAl%が0.2 %以上0.5 %以下とし、かつ表面の粗度をRa≧0.1 μm 、PPI =80〜250 とすることで、プレス時のめっき密着性と連続スポット溶接性が両立できると開示されているのみで、上記のような同様のめっき付着量で同様のAl%でも連続スポット溶接性が異なる理由について、一切開示されていない。
【0010】
ここに、本発明は、均一な表面外観を有する溶融亜鉛めっき鋼板 (GI鋼板) およびその製造方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、均一な表面外観を有し、かつ自動車用途等により好適なように連続スポット溶接性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板 (GI鋼板) およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
ここに、本発明者らはかかる課題を解決すべく、種々検討を重ねた結果、亜鉛めっき皮膜( 以下、単に「めっき皮膜」ということもある) の表面性状を特定範囲のものに調整することで均一な表面外観が得られることを知り、本発明に至った。特に、めっき皮膜中のAl含有量を特定範囲に限定することで、上述の表面外観および連続スポット溶接性はさらに安定して得られることが分かった。
【0012】
すなわち、本発明者らは、均一な表面外観を得るためのGI鋼板表面状態についての検討を行った。また、連続スポット溶接性を改善するために従来は不明確であっためっき浴中に含まれるAl%およびめっき皮膜中での分布と連続スポット溶接性に及ぼす作用について調査研究を行った。その結果、下記のことが判明した。
【0013】
▲1▼GI鋼板の表面外観を均一にするためには表面の不均一ぎらつき感を抑えることが表面外観を均一にするために有効であることが判明した。したがって、ぎらつき感を決定している因子について調査研究を行ったところ、めっき皮膜の表面粗さ曲線のパラメータの一つである平均山間隔(Sm)を小さくすることが有効であることが判明した。さらにめっき皮膜の中心線平均粗さ(Ra)を所定値以上にすることで、ぎらつき感による不均一感を無くしてプレス性に必要な摺動性を向上できることも判明した。
【0014】
このような表面性状の調整はめっき処理の最終工程である調質圧延に際して調質圧延ロールの表面性状を変えることで、また圧延条件を変えることで実現できる。
【0015】
▲2▼GI鋼板の連続スポット溶接性を決定しているのはめっき付着量に加え、めっき皮膜中に含まれるAl%の影響があることを再確認したが、めっき中のAl%が同じ場合でも連続スポット溶接性が異なる場合があり、そのときの鋼板と亜鉛めっき層との界面に存在するFe−Al合金層(以下、簡単に「界面合金層」と記述する)中に含まれるAl量と連続スポット溶接性は正相関が認められた。その結果、均一な表面外観および連続スポット溶接性に優れるGI鋼板を得ることが可能であることを見出した。
【0016】
このようなAl量はめっき浴のAl量を変えることで、まためっき処理後にリフロー処理を行うことで調整することができる。
よって、本発明の要旨とするところは次の通りである。
【0017】
(1) 亜鉛めっき皮膜の表面の中心線平均粗さRaが0.50μm 以上1.50μm 以下でかつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下であることを特徴とする、溶融亜鉛めっき鋼板。
【0018】
(2) 前記亜鉛めっき皮膜と鋼板の界面に存在するFe−Al金属間化合物に含まれるAl量がAlとして0.01gm−2以上0.20gm−2以下であることを特徴とする、(1) 記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
【0019】
(3) 前記亜鉛めっき皮膜中のFe%が0.5 %以上3.0 %以下とする、(1) または(2) 記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
(4) 溶融亜鉛めっき後の調質圧延工程において、Ra 1.0μm 以上5.0 μm 以下で、Sm40μm 以上100 μm 以下の表面粗度を有する圧延ロールにて調質圧延を施し、亜鉛めっき皮膜の表面の粗度をRaが0.5 μm 以上1.5 μm 以下で、かつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下とすることを特徴とする、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0020】
(5) 鋼板を、質量%で、Al:0.10 %以上0.14%未満含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、引き上げ後、めっき付着量を調整してから、Ra 1.0μm 以上5.0 μm 以下で、Sm40μm 以上100 μm 以下の表面粗度を有する圧延ロールにて調質圧延を施し、めっき表面の粗度をRaが0.50μm 以上1.50μm 以下で、かつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下とすることを特徴とする、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0021】
(6) 鋼板を、質量%で、Al:0.10 %以上0.18%以下含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、引き上げ後、めっき付着量を調整してから、420 ℃以上600 ℃以下で3秒以上60秒以下保持するリフロー処理を施した後、Ra 1.0μm 以上 5.0μm 以下で、Sm 40 μm 以上 100μm 以下の表面粗度を有する圧延ロールにて調質圧延を施し、亜鉛めっき皮膜の表面の粗度をRaが0.50μm 以上1.50μm 以下で、かつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下とすることを特徴とする、溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態をその作用効果とともにさらに詳細に説明する。
まず、本発明における各構成について詳細に説明する。本明細書において、めっき皮膜の組成等を表す「%」は特にことわりがない限り「質量%」である。
【0023】
−素地鋼板−
鋼板の種類は、家電製品、建材、さらには自動車などの用途に従来から使用されている鋼板である極低炭素鋼、低炭素鋼、さらにはSi、Mn、P、Al、Cu等の各種合金元素を含有する炭素鋼など、用途で言えば一般用、絞り加工用、高強度用など、形態で言えば冷間圧延鋼板 熱間圧延鋼板などの公知の鋼板を用いることができる。
【0024】
―亜鉛めっき皮膜―
・亜鉛めっき皮膜の付着量
亜鉛めっき皮膜の付着量は、自動車用途を考えた場合、その腐食環境を考慮すると片面当たりZnとして40gm−2以上であることが好ましい。但しGI鋼板はGA鋼板に比べ容易に厚目付化が可能であることと、前述の防錆力の向上要求があることから60gm−2以上であることが望ましい。
【0025】
・亜鉛めっき皮膜中のAl%
溶融亜鉛めっき浴にAlを含有させて溶融めっきをすることで、めっき皮膜と素地鋼板の界面にFe−Al界面合金層が形成され、めっき付着量制御精度の向上やめっき皮膜の密着性を向上させる効果が得られる。したがって、亜鉛めっき皮膜中には0.10%以上のAlを含むことが好ましい。一方、めっき皮膜中のAl含有量は多すぎると後述する界面合金層中のAl量を減じるためのリフロー処理が困難となるため、好ましくは1.0 %以下、望ましくは0.5 %以下とすることが良い。
【0026】
・素地鋼板/めっき界面合金層
GI鋼板は溶融亜鉛めっき浴中のAlをGA鋼板のそれに比べ高めとすることで、溶融亜鉛めっき浴浸漬時のFe−Al合金層の反応を促し良好なめっき密着性が確保される。しかし十分な連続スポット溶接性を得るためには、界面合金層中の金属Al量を0.20gm−2以下とすることが必要である。界面合金層中のAl量を低くするためには、下記の方法が上げられる。
【0027】
▲1▼Al%の低い溶融亜鉛めっき浴でめっきを行う。
▲2▼溶融亜鉛めっき浴内の通板時間を短くする。
▲3▼通常の溶融亜鉛めっきを行った後、再加熱処理(リフロー処理)により界面合金層に含まれるAlの一部をめっき中に拡散させ、結果として界面合金層中のAl量を減じることができる。
【0028】
本発明にしたがって、界面合金層中の金属Al量を0.20gm−2以下とするためには、上記▲1▼〜▲3▼のいずれの方法も取りうるが、▲1▼は、ドロス等の操業面での問題を生じる可能性があることと (この面から浴中Al含有量は0.10%以上が好ましく、0.12%以上であればさらに好ましい。) 、▲2▼は、設備能力(通板速度が大きい必要がある)に課題を残すため、▲3▼の方法によるのが最も簡便である。
【0029】
界面合金層中のAl量の定量については「材料とプロセス」VOL.4 (1991) pp1412 に記載された発煙硝酸を使用する方法が適用できる。
・亜鉛めっき皮膜中のFe%
めっき皮膜中のFe%はめっき皮膜の融点や硬度に影響を及ぼす。GA鋼板はFe%が 8%〜12%程度のものを指し、連続スポット溶接性は良好であるがめっき皮膜の密着性(加工時のめっき/鋼板界面の密着性)はGI鋼板に比べ劣る。前述のリフロー処理はGA鋼板と同様に溶融亜鉛めっき浴通板後、加熱を行う処理であるが、めっき皮膜の密着性を損なわずかつ界面合金層中Al量を減じるには、有効な処理方法である。かかる態様におけるめっき層中のFe%は、0.5 %以上とすれば、めっき皮膜の密着性を損なわずかつ界面合金層中Al量を減じることが可能である。Fe%の上限はめっき皮膜の密着性を考慮するとは3.0 %以下が良い。
【0030】
・リフロー処理加熱条件
加熱温度としては、亜鉛の融点である420 ℃以上が良く、加熱時間を短くし効率よく合金化を行わせるためには450 ℃以上とするが好ましい。効率よく制御性の良い処理を考慮すると加熱温度の上限は600℃以下であり、好ましくは550 ℃以下である。また加熱時間は、めっき中のAl%が高い場合でも界面Al量を0.2 gm−2以下とするためには加熱時間は3秒以上は必要で、60秒を越えると加熱ムラが生じやすくなり外観が劣るようになる上経済的にも不利である。好ましくは5〜20秒である。
【0031】
・亜鉛めっき皮膜中の他の化学成分
GIの溶融亜鉛浴は不可避的にPb、Sbなどが混入する可能性がある。これらの元素の含有量は少ないほど良い。これは連続スポット溶接性の問題ではなく自動車用鋼板として重要視される外板性能(塗装後の鋼板表面の平滑さ)をクリアするために必要である。やむを得ず混入する場合はPb、Sbのそれぞれの上限を0.05%とすることが望ましく、それぞれ0.02%以下に制御することが望ましい。
【0032】
・めっき皮膜表面の凹凸
GI鋼板は前述のように微量のAlを含む溶融亜鉛めっき浴に鋼板を浸漬後、引き上げることで鋼板の両面に溶融亜鉛めっき皮膜を付着させ、次いでワイピングガスでめっき付着量を調整され作成されるが、表面性状の均一化などを目的として、調質圧延が施されるのが通常である。
【0033】
ワイピングガスでめっき付着量を調整されたGI鋼板の表面粗さは小さく、Raで0.2 〜0.3 μm 程度でこのままでは表面性状が不均一になるばかりでなく、表面粗さが小さいことでプレス加工時の鋼板表面の保油性(粗さのある部分に油溜まりができること)が低下し、潤滑不良による金型との焼付やカジリが生じたりすることがある。このような現象を抑制するためには表面粗さを大きくすることが肝要であり、中心線平均粗さRaで0.50μm 以上とすることが好ましい。これは、均一な表面外観を得るためにも有効である。一方、Raの上限は、調質圧延時のロールへの負荷(亜鉛の巻き付き)が大きくなることと、Raが大きすぎるとプレス時の接触面圧が局所的に大きくなり摺動性が劣化することから、1.50μm 以下とする。望ましい範囲としてはRa0.8 μm 以上1.2 μm 以下である。
【0034】
また、均一な表面外観を得るには、めっき皮膜の表面のRaの調整だけでなく、粗さの波長間隔であるSmを細かくすることも重要である。具体的には、Smを100 μm 以下とすれば、ぎらつき感がおさえられ、均一な表面外観が得られることがわかった。一方、調質圧延ロール加工上の制約から、Sm=40μm 未満の鋼板表面を得るのは難しい。
【0035】
上記のような表面粗さのGI鋼板を得るためには、調質圧延時にRa1.0 μm 以上5.0 μm 以下でSm40μm 以上100 μm 以下の表面粗度を有する圧延ロールを使用して圧延することが望ましい。このような圧延ロール表面を調整するには、ブラスト加工や放電ダル加工などで処理する方法が考えられるが、本発明者らの検討では特に放電ダル加工により比較的容易に本発明の範囲内のロール表面状態を得ることができた。
【0036】
なお、調質圧延時には適正な鋼板伸び率を付与できるように所定の圧下率・荷重を調整すればよい。また、調質圧延の際に、適切な調質圧延油(通常、水に分散させて用いる)を使用することは、圧延ロールへの亜鉛粉の巻き付き等が抑えられ、生産性が向上するため好ましい。
【0037】
【実施例】
本例では、表1に示す冷延鋼板を母材鋼板として使用し、研究室にて溶融めっきシュミレータを用い、各冷延鋼板を550 ℃で還元雰囲気(90%N2 +10%H2 )で10秒間焼鈍した後、そのまま種々にAl%を変化させた460 ℃前後の溶融亜鉛めっき浴に5秒間浸漬してから引き上げ、次いでめっき付着量をガスワイピングにて調整した。なお、溶融亜鉛めっき浴はいずれのAl%のめっき浴についても、Pb、Cd、Sb、Snなどの不純物は、それぞれの含有量を0.01%以下とした。このようにして得られためっき鋼板を、放電ダル加工によって表面状態を本発明にしたがって調整した圧延ロールを用いて、調質圧延を施した。
【0038】
次に、本実施例における各試験法について下記に示す。
(1) 連続スポット溶接性
測定対象の溶融亜鉛めっき鋼板同士を2枚重ね合わせ、下記条件下でスポット溶接を連続して行い、50回溶接する毎にナゲット径を測定して、ナゲット径が4√t[t:鋼板板厚(mm)] を形成できなくなるまでの連続打点溶接可能数で評価した。連続打点溶接可能数は多いほど好ましく、自動車用亜鉛めっき鋼板としては1500点以上であることが必要である。
(スポット溶接条件)
加圧力: :1300N
溶接電流: :9500A
スクイズ時間:15サイクル
通電時間 :7サイクル
保持時間 :5サイクル
チップ形状 :5mm (直径) CF型。
【0039】
(2) 摺動性
バウデン試験機を使用して下記条件にて測定を行った。
(摺動性試験条件)
荷重 :1kgf
プローブ:直径5mm
温度 :50℃
潤滑油 :パーカー興産株式会社製ノックスラスト550 HN
摺動速度:4mm/秒
摺動距離:50 mm
摩擦係数の算出は摺動力/荷重(1kgf)により、1往復目の摩擦係数と10往復目の摩擦係数の調査を行い、1往復目の摩擦係数が0.15以下でかつ10往復目の摩擦係数が0.30以下のサンプルを摺動性良好とした。
【0040】
(3) 表面状態
下記評価基準に基づく目視評価および下記要領の表面粗さ測定により評価を行い、目視評価は○を良好とした。
【0041】
○:ぎらつき感無し
△:ぎらつき感やや有り、あるいはムラ有り
×:ぎらつき感顕著
(調質圧延を行わない溶融亜鉛めっき鋼板並み)
(表面粗さ測定の要領)
JIS−B0601 にしたがって、東京精密製サーフコムを用い測定を行った。得られた断面曲線について、カットオフ波長を0.8mm で演算処理を行うことで粗さ曲線を得、中心線平均粗さ(Ra)および平均山間隔(Sm)について測定した。
【0042】
これらの試験結果を表2、3にまとめて示すが、表2、3から分かるように、GIの表面のRaおよびSmを所定値以内とすることで、摺動性・表面外観を良好とすることができた。また、調質圧延ロール表面のRaおよびSmを所定値以内とすることで、前記の表面状態を有するGIを高い確率で得ることができた。
【0043】
さらに、表2のように界面Al量を所定値以下とすることで連続スポット溶接性を向上させることができる。さらに、表3に示すように、Al%の高いめっき浴を用いてめっきをしても、溶融めっき後の後加熱処理であるリフロー処理を施すことで、界面Al量を所定値以下とし、連続スポット溶接性を向上させることができた。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば溶融亜鉛めっき鋼板 (GI) において、自動車用鋼板に要求される均一表面外観を得ることが可能となり、またスポット溶接の連続スポット溶接性を向上させることができることがわかった。
【0048】
これらの鋼板は必ずしも自動車用鋼板に限らず、長期耐食性や美麗な外観が要求される部材のめっき鋼板として、各用途に適用できるためその工業的効果は大きい。
Claims (6)
- 亜鉛めっき皮膜の表面の中心線平均粗さRaが0.50μm 以上1.50μm 以下でかつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下であることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記亜鉛めっき皮膜と鋼板の界面に存在するFe−Al金属間化合物に含まれるAl量がAlとして0.01gm−2以上0.20gm−2以下であることを特徴とする請求項1記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
- 前記亜鉛めっき皮膜中のFe%が0.5 %以上3.0 %以下とする請求項1または2記載の溶融亜鉛めっき鋼板。
- 溶融亜鉛めっき後の調質圧延工程において、Ra 1.0μm 以上5.0 μm 以下で、Sm40μm 以上100 μm 以下の表面粗度を有する圧延ロールにて調質圧延を施し、めっき表面の粗度をRaが0.5 μm 以上1.5 μm 以下で、かつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下とすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 鋼板を、質量%で、Al:0.10 %以上0.14%未満含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、引き上げ後、めっき付着量を調整してから、Ra 1.0μm 以上5.0 μm 以下で、Sm40μm 以上100 μm 以下の表面粗度を有する圧延ロールにて調質圧延を施し、亜鉛めっき皮膜の表面の粗度をRaが0.50μm 以上1.50μm 以下で、かつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下とすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
- 鋼板を、質量%で、Al:0.10 %以上0.18%以下含有する溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、引き上げ後、めっき付着量を調整してから、420 ℃以上600 ℃以下で3秒以上60秒以下保持するリフロー処理を施した後、Ra 1.0μm 以上 5.0μm 以下で、Sm 40 μm 以上 100μm 以下の表面粗度を有する圧延ロールにて調質圧延を施し、亜鉛めっき皮膜の表面の粗度をRaが0.50μm 以上1.50μm 以下で、かつ平均山間隔Smが40μm 以上100 μm 以下とすることを特徴とする溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。
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