JP2004027202A - 接着性樹脂組成物、積層体およびガソリンタンク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成分(a)としてシングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体10重量%以上40重量%未満、成分(b)としてチーグラー系触媒またはクロム系触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体60重量%超90重量%以下(但し、両成分の合計量は100重量%)含有する組成物を不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性して成る接着性樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着性樹脂組成物、積層体およびガソリンタンクに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車のガソリンタンクとしては、耐ガソリン透過性に優れたエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂などのバリア性樹脂層とオレフィン系樹脂層とが変性オレフィン系樹脂などの接着樹脂層により接合された多層プラスチックタンクが多く使用されている。斯かる多層プラスチックタンクにおいては、初期性能のみならず、長時間の使用に耐える様に、長期の高接着および耐ガソリン性が求められている。
【0003】
従来から、接着性樹脂の接着強度を向上させる方法として、シングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン系重合体を利用する方法が知られている(例えば特許文献1〜5参照)。
【0004】
しかしながら、上記の従来の技術では、初期の接着性に優れるものの、長期の耐ガソリン性が不十分であり、使用環境が厳しい場合、長期間の使用後にエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂などのバリア樹脂層と変性オレフィン系樹脂層の間が剥離する等の問題がある。従って、ガソリンタンクの用途に使用した場合、長期の耐ガソリン性が劣ると言う問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−206947号公報
【特許文献2】
特開平7−102133号公報
【特許文献3】
特開平8−208915号公報
【特許文献4】
特開平8− 283684号公報
【特許文献5】
特開平9− 176391号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、強い初期の接着強度を示し、ガソリンタンクの用途に使用した場合、長期の耐ガソリン性を有する接着性樹脂組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、斯かる接着性樹脂組成物を利用した積層体および当該積層体を使用したガソリンタンクを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体の組成物を不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性された接着性樹脂組成物により、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に到った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の要旨は、成分(a)としてシングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体10重量%以上40重量%未満、成分(b)としてチーグラー系触媒またはクロム系触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体60重量%超90重量%以下(但し、両成分の合計量は100重量%)含有する組成物を不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性して成ることを特徴とする接着性樹脂組成物に存する。
【0009】
そして、本発明の第2の要旨は、上記の接着性樹脂組成物から成る接着層の一方の面にガスバリア層、他方の面にポリオレフィン層を有することを特徴とする積層体に存し、第3の要旨は、上記の積層体を含む本体を有することを特徴とするガソリンタンクに存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の接着性樹脂組成物について説明する。本発明の接着性樹脂組成物の調製には、成分(a)としてシングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体と、成分(b)としてチーグラー系触媒またはクロム系触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体とを使用する。
【0011】
成分(a)の製造に使用されるシングルサイト触媒は公知であり、本発明においては、従来公知のシングルサイト触媒を使用することが出来る。シングルサイト触媒の具体例としては、シクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、メチルシクロペンタジエニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、ジメチルシリルテトラメチルシクロペンタジエニル−p−n−ブチルフェニルアミドジルコニウムクロリド、メチルフェニルジリルテトラメチルシクロペンタジエニル−tert−ブチルアミドハフニウムジクロリド、インデニルチタニウムトリス(ジメチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジエチルアミド)、インデニルチタニウムトリス(ジ−n−プロピルアミド)、インデニルチタニウムビス(ジ−n−ブチルアミド)(ジ−n−プロピルアミド)等が挙げられる。なお、シングルサイト触媒を使用して重合は、公知の方法に従って行なえばよい。
【0012】
一方、成分(b)の製造に使用されるチーグラー系触媒またはクロム系触媒は周知であり、本発明においては、従来周知のチーグラー系触媒またはクロム系触媒を使用することが出来る。
【0013】
例えば、チーグラー系触媒は、固体触媒(チタン系触媒)と共触媒の有機金属化合物との組合せから成る触媒系であり、チタン系触媒の触媒成分としては、三塩化チタン、三塩化バナジウム、四塩化チタン又はチタンのハロアルコラートをマグネシウム化合物系単体に担持した成分、または、マグネシウム化合物とチタン化合物の共沈物もしくは共晶体などが挙げられる。また、共触媒としては、通常、有機アルミニウム化合物、例えば、一般式Al・Rm ・X3 −m (式中、Rは、炭素数20までの炭化水素基、Xはハロゲン原子、mは1〜3の数を示す)で表わされる化合物が挙げられる。クロム系触媒の触媒成分としては、シリカ又はシリカ−アルミナにクロム化合物を担持した成分が挙げられる。クロム化合物としては、Cr2O3の他、有機Cr(シリルクロメート、クロモセン)等が挙げられる。なお、チーグラー系触媒またはクロム系触媒を使用して重合は公知の方法に従って行なえばよい。
【0014】
成分(a)及び(b)の製造に使用されるエチレン以外のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素数3〜20のα−オレフィンが挙げられる。
【0015】
本発明において好ましい成分(a)及び(b)は、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体である。
【0016】
本発明においては、得られる樹脂組成物の接着強度および耐ガソリン性を一層高める観点から、成分(a)又は成分(b)の少なくとも一方の密度が0.9g/cm3以上であることが好ましく、成分(a)又は成分(b)の何れか一方のみ、特に成分(b)の密度が0.90g/cm3以上であることが好ましい。成分(a)の密度が0.85〜0.90g/cm3であり且つ成分(b)の密度が0.90〜0.97g/cm3であることが更に好ましい。そして、成分(a)の密度が0.87〜0.89g/cm3であり且つ成分(b)の密度が0.90〜0.97g/cm3であることが特に好ましい。
【0017】
成分(a)及び(b)は両者の組成物として変性に供されるが、この組成物において、成分(a)の割合は10重量%以上40重量%未満、成分(b)の割合は60重量%超90重量%以下でなければならない。好ましくは、成分(a)の割合は15重量%以上30重量%未満、成分(b)の割合は70重量%超85重量%以下である。成分(a)の割合が10重量%未満(成分(b)の割合が90重量%超過)の場合は、得られる接着性樹脂組成物の初期接着強度が劣り、成分(a)の割合が40重量%以上(成分(b)の割合が60重量%未満)の場合は、得られる接着性樹脂組成物が利用された積層体をガソリンタンクに使用した場合に耐ガソリン性が劣る。
【0018】
本発明の接着性樹脂組成物は、上記の成分(a)及び(b)の組成物(エチレン−α−オレフィン共重合体)を不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性して成る。すなわち、上記の成分(a)及び(b)は同時に変性する必要がある。何れか一方を変性した後、未変性の成分を混合した場合は、上記の耐ガソリン性が劣る。しかも、本発明に従った同時変性(1段変性)によれば、製造プロセスが簡略化できて製造コストを低減できるという経済的効果もある。
【0019】
上記の変性には、常用されている任意の方法を使用することが出来る。例えば、溶液変性法の場合は、エチレン−α−オレフィン共重合体の有機溶剤溶液に不飽和カルボン酸またはその酸無水物と必要な場合にはラジカル発生剤を加え、通常60〜350℃、好ましくは80〜190℃の温度で、通常0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させる。溶融変性法の場合は、押出機などを使用して、エチレン−α−オレフィン共重合体と不飽和カルボン酸またはその酸無水物とをエチレン−α−オレフィン共重合体の融点以上(例えば170〜280℃)で溶融し、通常0.5〜10分間反応させる。
【0020】
上記の不飽和カルボン酸またはその酸無水物としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エンドシス−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、これらの酸無水物が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。これらの中ではマレイン酸またはマレイン酸無水物が好ましい。
【0021】
本発明の接着性樹脂組成物(変性エチレン−α−オレフィン共重合体組成物)における不飽和カルボン酸またはその酸無水物に由来する構成単位の含有量は、通常0.01重量%以上10重量%以下、好ましくは0.05〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%である。不飽和カルボン酸またはその酸無水物に由来する構成単位の含有量が0.01重量%未満の場合には、得られる組成物の接着性が不十分となる傾向があり、含有量が10重量%超過の場合は、架橋が著しくなるため溶融粘度が増大し、成形した際の外観が不良となる傾向がある。
【0022】
なお、上記の構成単位の含有量(変性率)は次の様にして測定することが出来る。すなわち、先ず、圧縮成形機にて厚さ0.1〜0.4mmのプレスサンプルを作成する。次に、フーリエ変換型赤外分光光度計にてプレスサンプルの2000〜1600cm− 1のスペクトルを測定する。得られたスペクトルに、1950cm− 1と1665cm− 1との間でベースラインを引き、1827〜1665cm− 1の間のピーク面積Sを算出する。得られたピーク面積Sを使用し、不飽和カルボン酸またはその酸無水物に由来する構成単位の含有量Xm(以下、カルボン酸単位含有量と記す)を次の計算式より求める。
【0023】
【数1】
Xm=k・S/t・ρ
(ここで、kは無水マレイン酸を含有するポリオレフィンのメチルエステル化物のNMR定量値を元に求められた係数、t(mm)はサンプルの厚さ、ρはサンプルの密度(g/cm3)を表す。)
【0024】
本発明の接着性樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、常用されている配合剤を添加することが出来る。斯かる配合剤としては、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、防錆剤、顔料などが挙げられる。本発明においては、酸化防止剤、特に、フェノール系、硫黄系またはリン系の酸化防止剤を添加するのが好ましい。酸化防止剤の添加量は、変性エチレン−α−オレフィン共重合体100重量部に対し、通常0.1〜2重量部である。
【0025】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、常用されている樹脂成分を添加してもよい。斯かる樹脂成分としては、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、アクリル系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
【0026】
次に、本発明の積層体について説明する。本発明の積層体は、上記の接着性樹脂組成物から成る接着層の一方の面にガスバリア層、他方の面にポリオレフィン層を有することを特徴とする。
【0027】
上記のガスバリア層の構成樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66等のポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、液晶ポリマー、ポリ塩化ビニリデン樹脂などが挙げられる。これらの中では、ポリアミド系樹脂またはエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂がガスバリア性に優れているために好ましい。
【0028】
上記のポリオレフィン層の構成樹脂としては、エチレン又はプロピレンの単独重合体の他、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、及び4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン;アクリル酸エチル等の不飽和カルボン酸エステル;酢酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、α−メチルスチレン等の不飽和芳香族化合物などを共重合成分とした共重合体などが挙げられる。これらの中では、5mm以下の積層体(シートやフイルム)用途の場合は、成形性および透明性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、チレン−1−ヘキセン共重合体、チレン−1−オクテン共重合体が好ましい。また、ガソリンタンク用途の場合は、成形性および強度の観点から高密度のポリエチレンが好ましい。
【0029】
本発明の積層体は、ポリオレフィン層(A層)/接着層(B層)/ガスバリア層(C層)を基本構成とする。そして、更に、A層、B層、C層を適宜に積層してもよく、リサイクル樹脂層(D層)を積層してもよい。斯かる多層積層体は、例えば、多層ブロー成形法、多層シート成形法、多層フィルム成形法、多層チューブ成形法、多層ラミネーション成形法、または、これらの成形法の後に、延伸、絞り等の2次加工を施す方法などで製造することが出来る。通常、各層の厚さは、5mm以下の積層体(シートやフイルム)用途の場合は、A層:0.005〜0.5mm、B層:0.0005〜0.1mm、C層:0.0005〜0.2mm、D層:0.0005〜0.5mmである。また、ガソリンタンク用途の場合の各層の厚さは、A層:0.1〜10mm、B層:0.005〜1mm、C層:0.005〜1mm、D層:0.1〜10mmである。
【0030】
次に、本発明のガソリンタンクについて説明する。本発明のガソリンタンクは、上記の積層体を含む本体を有することを特徴とする。
【0031】
具体的な層構成としては、前記の記号で示した場合、外層からA/B/C/B/A、A/B/C/B/D/A、A/D/B/C/B/A、A/D/B/C/B/D/A等が挙げられる。これらの層構成中では、A/D/B/C/B/Aが好ましい。
【0032】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の諸例において、MFRはJIS K7210に準拠し、特に記載したもの以外は、190℃、21.18Nの条件で測定した。
【0033】
以下の積層体(ボトル及びガソリンタンク)の例においては、ガスバリア層の構成樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(「ソアノール」(商標)、日本合成化学社製「DC3203FB」、エチレン含量32重量%、MFR210℃−21.18N荷重:3.2g/10分)を使用し、ポリオレフィン層の構成樹脂として、高密度ポリエチレン(日本ポリケム社製「HB214RW」、MFR190℃−211.8N荷重:5.0g/10分)を使用した。
【0034】
実施例1
<接着性樹脂組成物の製造>
シングルサイト触媒で製造したエチレン−1―オクテン共重合体(MFR:5(g/10min)、密度0.870g/cm3)20重量%とチーグラー系触媒で製造したエチレン−1―ブテン共重合体(MFR:2.0(g/10min)、密度0.920g/cm3)80重量%の合計100重量部に対し、無水マレイン酸を0.3重量部、2−5ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂製、商品名「パーヘキサ25B」)を0.015重量部添加し、スーパーミキサーで1分間混合し、口径30mmの2軸押出機により、230℃、スクリュー回転数300rpm、押出量15kg/hで溶融混練し、紐状に押し出した。冷却後、ペレット状に切断して接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0035】
<耐ガソリン性の評価>
次いで、上記のペレットを圧縮成形機で2mm厚のシート状に成形し、5cm角の大きさに切り取った後、40℃に保ったレギュラーガソリン85重量%とメタノール15重量%の混合ガソリン中に浸漬した。1ヶ月後と3ヶ月後のシート表面の形状変化有無を目視観察し、以下の表1に示す基準で評価した。結果を後記の表4に示す。
【0036】
【表1】
○:変化なし
△:ボイドあり
×:多数のボイドあり
【0037】
<多層ボトルの製造>
外層がガスバリア性樹脂、中間層が上記の接着性樹脂組成物、内層がポリオレフィンから成る3層ボトルを製造した。製造は、多層ブロー成型機を使用し、成形温度220℃、金型温度40℃の条件で行なった。ダイスリップの厚さは2mmであり、各層の厚さの比率は、外層/中間層/内層=2/1/6である。
【0038】
<接着強度の評価>
上記の多層ボトルについて、ガスバリア層と接着層の層間接着強度(N/cm)を下記の表2に記載の条件で測定した。なお、測定位置は、リップの厚さに対しブロー比2(ボトル厚さ1.0mm)の部位と、リップの厚さに対しブロー比4(ボトル厚さ0.5mm)の部位であった。結果を後記の表4に示す。
【0039】
【表2】
剥離幅:10mm
剥離状態:T−ピール
剥離速度:50mm/min
測定雰囲気温度:23℃
【0040】
実施例2
実施例1において、シングルサイト触媒で製造した共重合体としてMFR:1(g/10min)、密度0.885g/cm3のエチレン−1―オクテン共重合体を使用した以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.19重量%であった。
【0041】
上記の接着性樹脂組成物について実施例1と同様にして耐ガソリン性を評価した。また、上記の接着性樹脂組成物を使用し、実施例1と同一条件により、3層ボトルを製造し、接着強度の評価を行なった。これらの結果を後記の表4に示す。
【0042】
実施例3
実施例1において、シングルサイト触媒で製造した共重合体の割合を15重量%、チーグラー系触媒で製造した共重合体の割合を85重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0043】
上記の接着性樹脂組成物について実施例1と同様にして耐ガソリン性を評価した。また、上記の接着性樹脂組成物を使用し、実施例1と同一条件により、3層ボトルを製造し、接着強度の評価を行なった。これらの結果を後記の表4に示す。
【0044】
実施例4
実施例1において、シングルサイト触媒で製造した共重合体の割合を30重量%、チーグラー系触媒で製造した共重合体の割合を70重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0045】
上記の接着性樹脂組成物について実施例1と同様にして耐ガソリン性を評価した。また、上記の接着性樹脂組成物を使用し、実施例1と同一条件により、3層ボトルを製造し、接着強度の評価を行なった。これらの結果を後記の表4に示す。
【0046】
実施例5
実施例1において、シングルサイト触媒で製造された共重合体として、MFR:1(g/10min)、密度0.902g/cm3のエチレン−1―オクテン共重合体を使用した以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得、耐ガソリン性を評価した。結果を後記の表4に示す。得られた組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0047】
比較例1
実施例1において、シングルサイト触媒で製造した共重合体の割合を70重量%、チーグラー系触媒で製造した共重合体の割合を30重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0048】
上記の接着性樹脂組成物について実施例1と同様にして耐ガソリン性を評価した。また、上記の接着性樹脂組成物を使用し、実施例1と同一条件により、3層ボトルを製造し、接着強度の評価を行なった。これらの結果を後記の表4に示す。
【0049】
比較例2
チーグラー系触媒で製造されたエチレン−1―ブテン共重合体(MFR:2.0(g/10min)、密度0.920g/cm3)100重量部に対し、無水マレイン酸を1.0重量部、2−5ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂製、商品名「パーヘキサ25B」)を0.05重量部添加し、スーパーミキサーで1分間混合し、口径30mmの2軸押出機により、230℃、スクリュー回転数300rpm、押出量15kg/hで溶融混練し、紐状に押し出した。冷却後、ペレット状に切断し、無水マレイン酸がグラフト重合した変性エチレン−1―ブテン共重合体を得た。
【0050】
上記で得られた変性エチレン−1―ブテン共重合体30重量%、シングルサイト触媒で製造したエチレン−1―オクテン共重合体(MFR:5(g/10min)、密度0.870g/cm3)20重量%、チーグラー系触媒で製造したエチレン−1―ブテン共重合体(MFR:2.0(g/10min)、密度0.920g/cm3)50重量%の合計100重量部をスーパーミキサーで1分間混合し、口径30mmの2軸押出機により、200℃、スクリュー回転数300rpm、押出量15kg/hで溶融混練し、紐状に押し出した。冷却後、ペレット状に切断して接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0051】
上記の接着性樹脂組成物について実施例1と同様にして耐ガソリン性を評価した。また、上記の接着性樹脂組成物を使用し、実施例1と同一条件により、3層ボトルを製造し、接着強度の評価を行なった。これらの結果を後記の表4に示す。
【0052】
実施例6
<接着性樹脂組成物の製造>
実施例1において、変性の際、口径44mmの2軸押出機を使用し、スクリュー回転数400rpm、押出量150kg/hの条件を採用し溶融混練を行なった以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.24重量%であった。
【0053】
<ガソリンタンクの製造>
上記の接着性樹脂組成物を使用し、(外層)ポリオレフィン層/接着層/ガスバリア層/接着層/ポリオレフィン層(内層)の3種5層から成る40Lのガソリンタンクを製造した。全体の厚さは5.7mmであり、層構成比は(外層)53/2/3/2/40(内層)であった。
【0054】
<ガソリン浸漬後の接着強度の測定>
上記で得たガソリンタンクを10mm幅に切り出し、65℃に保ったレギュラーガソリンに浸漬した。そして、以下の表3に示す条件でガスバリア層とその外側および内側の各接着層との間の接着強度を測定した。測定は、ガソリン浸漬前と浸漬後1ヶ月目および3ヶ月目に行なった。結果を後記の表5に示す。
【0055】
【表3】
剥離状態:T−ピール
剥離速度:50mm/min
測定雰囲気温度:23℃
【0056】
比較例3
比較例2において、変性の際、口径44mmの2軸押出機を使用し、スクリュー回転数400rpm、押出量150kg/hの条件を採用し溶融混練を行なった以外は、比較例2と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.24重量%であった。そして、この接着性樹脂組成物を使用し、実施例6と同一条件により、ガソリンタンクを製造し、接着強度の評価を行なった。結果を表5に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
<実施例1〜5及び比較例1〜3の結果の評価>
(1)成分(a)の割合が本発明の範囲外である比較例1では、接着性樹脂組成物の耐ガソリン性が劣っている。
(2)成分(a)及び(b)が同時に変性されていない比較例2では、接着性樹脂組成物の耐ガソリン性が劣っている。
(3)成分(a)及び(b)が同時に変性されていない比較例3では、接着性樹脂組成物が利用された積層体をガソリンタンクに使用した場合に接着強度が劣っている。
【0060】
実施例7
<接着性樹脂組成物の製造>
実施例1において、シングルサイト触媒で製造した共重合体としてMFR:2.5(g/10min)、密度0.918g/cm3のエチレン−1−ヘキセン共重合体(日本ポリケム社製「カーネルKF281」)を使用した以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0061】
<多層未延伸フィルムの製造>
多層インフレ成形機を使用し、外層にポリアミド6−66(三菱エンジニアリングプラスチック社製「ノバミッド2030CA」)、接着層に上記で得た接着性樹脂組成物、内層にエチレン−1−ヘキセン共重合体(日本ポリケム社製「ノバテックLL」、MFR:2.6(g/10分))を使用し、成形温度240℃、ラインスピード10m/minで、ポリアミド6−66:110μm/接着性樹脂:30μm/ポリエチレン:210μm(合計350μm)の3層未延伸フィルムを得た。
【0062】
<多層延伸フィルムの製造>
上記で得られた未延伸3層フィルムを、東洋精機製2軸延伸機にて、予熱温度80℃、予熱時間3分、ヒートセット温度80℃、ヒートセット時間1分の条件にて、縦横それそれ2倍延伸し、3層延伸フィルムを得た。
【0063】
<接着強度の評価>
上記の3層未延伸フィルムと3層延伸フィルムの夫々について、ポリアミド6−66層と接着樹脂層との層間接着力(N/cm)を前記表2の条件(但し剥離速度は300mm/minに変更)で測定した。これらの結果を表6に示す。
【0064】
比較例4
実施例1において、シングルサイト触媒で製造した共重合体としてエチレン−1−ヘキセン共重合体(日本ポリケム社製「カーネルKF281」)を使用し、その割合を80重量%、チーグラー系触媒で製造した共重合体の割合を20重量%に変更した以外は、実施例1と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0065】
上記の接着性樹脂組成物について実施例7と同様にして、3層未延伸フィルム、3層延伸フィルムを製造し、実施例7と同一条件により接着強度の評価を行った。これらの結果を表6に示す。
【0066】
比較例5
比較例2において、エチレン−1−オクテン共重合体(MFR:5(g/10min)、密度0.870g/cm3)の代わりに、エチレン−1−ヘキセン共重合体(日本ポリケム社製「カーネルKF281」)を使用した以外は、比較例2と同様にして接着性樹脂組成物を得た。この組成物のカルボン酸単位含有量は0.20重量%であった。
【0067】
上記の接着性樹脂組成物について実施例7と同様にして、3層未延伸フィルム、3層延伸フィルムを製造し、実施例7と同一条件により接着強度の評価を行った。これらの結果を表6に示す。
【0068】
【表6】
【0069】
<実施例7及び比較例4〜5の結果結果の評価>
(1)成分(a)の割合が本発明の範囲外である比較例4では、多層延伸フィルムの接着強度が劣っている。
(2)成分(a)及び成分(b)が同時に変性されていない比較例5では、多層延伸フィルムの接着強度が劣っている。
【0070】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、初期の接着強度が強く、且つ、ガソリンタンクの用途に使用した場合、長期の耐ガソリン性を有する接着性樹脂組成物が提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
Claims (8)
- 成分(a)としてシングルサイト触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体10重量%以上40重量%未満、成分(b)としてチーグラー系触媒またはクロム系触媒を使用して重合されたエチレン−α−オレフィン共重合体60重量%超90重量%以下(但し、両成分の合計量は100重量%)含有する組成物を不飽和カルボン酸またはその誘導体により変性して成ることを特徴とする接着性樹脂組成物。
- 成分(a)又は成分(b)の少なくとも一方の密度が0.9g/cm3以上である請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
- 成分(a)又は成分(b)の何れか一方のみの密度が0.9g/cm3以上である請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物。
- 成分(a)の密度が0.85〜0.9g/cm3、成分(b)の密度が0.9〜0.97g/cm3である請求項1〜3の何れかに記載の接着性樹脂組成物。
- 不飽和カルボン酸またはその酸無水物に由来する構成単位の含有量が0.01重量%以上10重量%以下である請求項1〜4の何れかに記載の接着性樹脂組成物。
- 請求項1〜5の何れかに記載の接着性樹脂組成物から成る接着層の少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂層を有することを特徴とする積層体。
- 請求項1〜5の何れかに記載の接着性樹脂組成物から成る接着層の一方の面にガスバリア層、他方の面にポリオレフィン層を有することを特徴とする積層体。
- 請求項6又は7に記載の積層体を含む本体を有することを特徴とするガソリンタンク。
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