JP2004026848A - 加硫接着用プライマー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アミノ基含有アルコキシシランとビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーおよび有機金属化合物を含有する加硫接着用プライマー。この加硫接着用プライマーは、塗布型クロメート処理剤に匹敵するあるいはそれ以上の耐水接着性を示す金属−ゴム複合体を与えるので、金属にゴムを接合したシール製品(例えば、オイルシール、パッキン類、ガスケット)、バルブ類、制振・防振製品(例えば、制振鋼板、防振ゴム)、工業用ゴム製品などの製造に用いられるステンレス鋼等の金属の表面処理に有効に用いることができる。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加硫接着用プライマーに関する。更に詳しくは、耐水接着性にすぐれた金属−ゴム複合体を形成させるのに有効な加硫接着用プライマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
水やLLC(ロングライフクーラント)に対する耐性が必要とされる金属とゴムとの複合体を形成させるためにはステンレス鋼が多く用いられるが、ステンレス鋼上に直接加硫接着剤を適用し、ゴムと加硫接着させると、得られるステンレス鋼−ゴム複合体は耐水、耐LLC性が悪く、これらの浸せき試験を実施すると接着剥離を生ずるようになる。
【0003】
このための対策として、加硫接着剤を塗布する前処理として、ステンレス鋼上に塗布型クロメート処理が施され、水やLLCに対する耐性を向上させることが行われている。しかしながら、塗布型クロメート処理では、Crイオンが含まれるため、環境対策上からみて好ましくない。
【0004】
本出願人は先に、アルコキシシランをベースとする種々の加硫接着剤組成物を提案しており(特開平7−34054号公報、同7−216309号公報、同8−209102号公報、同9−3432号公報、同9−40916号公報、同9−132758号公報、同10−7990号公報、同10−8021号公報、同11−1672号公報、特開2001−226642号公報)、これらの加硫接着剤組成物は、予め化学的、電気化学的または物理的表面処理している金属表面との接着に特に適しているが、無処理の金属表面に適用した場合には、例えば塗布型クロメート処理を施したステンレス鋼の場合程の密着性を得ることはできない。
【0005】
また、フェノール系樹脂をベースとする各種加硫接着剤用下塗り剤も市販されているが、ステンレス鋼との接着においては、十分なる接着性、耐水性を示さない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ステンレス鋼等の金属とゴムとの複合体を形成させるに際し、有害な塗布型クロメート処理などを金属に施さずとも、耐水接着性にすぐれた金属−ゴム複合体を形成させ得る加硫接着用プライマーを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明の目的は、アミノ基含有アルコキシシランとビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーおよび有機金属化合物を含有する加硫接着用プライマーによって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
共重合オリゴマーの一方の成分であるアミノ基含有アルコキシシランとしては、例えばγ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等が用いられる。これらのアミノ基含有アルコキシシランは、これをそのまま接着剤組成物の一成分として使用すると、皮膜形成が上手くできず、良好な接着剤を与えることができないので、ビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーとして用いられる。
【0009】
他の成分であるビニル基含有アルコキシシランとしては、例えばビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が用いられる。これらのビニル基含有アルコキシシランは、水に溶け難く、油状となって分離してしまい、他の成分と混合することができない。また、そのオリゴマーも水に溶け難く、沈殿を生じてしまうため、アミノ基含有アルコキシシランとのオリゴマーとして用いられる。
【0010】
オリゴマー化反応に際しては、アミノ基含有アルコキシシラン100重量部に対して、ビニル基含有アルコキシシラン25〜400重量部、好ましくは50〜150重量部および加水分解用の水20〜150重量部が用いられる。ビニル基含有アルコキシシランをこれより多い割合で用いると、上塗り剤またはゴムとの相溶性が悪くなって接着性が低下するようになり、一方これよりも少ない割合で用いると、耐水性が低下するようになる。
【0011】
オリゴマー化反応は、これらを蒸留装置および攪拌機を有する反応器内に仕込み、約60℃で約1時間攪拌する。その後、酸、例えばギ酸をアミノ基含有アルコキシシラン1モルに対し約1〜2モルを1時間以内に添加する。この際の温度は約65℃に保たれる。さらに1〜5時間攪拌し、反応を進行させると同時に、加水分解によって生成したアルコールを減圧下で蒸留する。蒸留水が水しか存在しなくなった時点で蒸留を終了させ、その後シラン濃度が30〜80重量%になるように希釈して調節することにより、目的とする共重合オリゴマーが得られる。この共重合オリゴマーは、メタノール、エタノール等のアルコール系有機溶媒に可溶な程度のオリゴマーである。また、すでに共重合オリゴマーとして市販されているものをそのまま用いることもできる。
【0012】
なお、アミノ/ビニル基含有アルコキシシラン共重合オリゴマーをステンレス鋼等の金属とフッ素ゴムとの接合に用いることは、本出願人によって提案されているが、(WO 02/24826)、そこでは共重合オリゴマーが加硫接着剤として用いられており、一方本発明では加硫接着用プライマーとして用いられ、別に加硫接着剤を必要としている。
【0013】
また、有機金属化合物としては、トリイソプロポキシアルミニウム、モノ第2ブトキシジプロポキシアルミニウム、トリ第2ブトキシアルミニウム、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセテート)等の有機アルミニウム化合物、テトライソプロポキシチタン、テトラn−ブトキシチタン、イソプロポキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、1,3−プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシチタンビス(アセチルアセトネート)、チタンテトラアセチルアセトネート等の有機チタン化合物、テトラn−プロピルジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、ジn−ブトキシジルコニウムビス(アセチルアセトネート)、ジn−ブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)等の有機ジルコニウム化合物、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物が例示される。
【0014】
これらの有機金属化合物は、共重合オリゴマー100重量部当り約10〜100重量部、好ましくは約40〜80重量部の割合で用いられる。使用割合がこれよりも少ないと、耐水性が低下するようになり、一方これよりも多い割合で使用されると、上塗り剤やゴムとの相溶性が悪くなって接着性が低下するようになる。
【0015】
以上の各成分を必須成分とする加硫接着用プライマーは、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系有機溶媒またはアセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶媒と水との混合溶剤の約0.2〜3重量%濃度の溶液として調製され、用いられる。有機溶媒と水とは、前者が約100〜80重量%、また後者が約0〜20重量%となるような割合で混合して用いられる。水を併用した場合には、共重合オリゴマーのさらなる高分子量が進み、強じんな被膜を形成させることができる。この加硫接着用プライマーの経時安定性を必要とする場合には、有機または無機の酸を添加すると有効である。
【0016】
このような加硫接着用プライマーは、ステンレス鋼、軟鋼、銅、マグネシウム、アルミニウム、アルミニウムダイキャスト等の金属上に、これを浸せき、噴霧、はけ刷り、ロールコートなどの方法によって塗布し、室温下で、次いで約100〜200℃で約5〜10分間程度乾燥させる。一般に約0.1〜10μm程度の膜厚で形成される下塗り剤としてのこの加硫接着用プライマー上には、金属と複合されるゴムの種類に応じた加硫接着剤が上塗り剤として塗布され、それの焼付処理を行った後、未加硫のゴムコンパウンドを接合させ、ゴムの種類に応じた加硫温度での加硫が必要に応じて加圧下に行われる。未加硫のゴムコンパウンドは、有機溶媒に分散させたゴム溶液としてもコーティングして用いることができる。
【0017】
金属に接合されるゴムとしては、フッ素ゴム、NBR、水素化NBR、アクリルゴム、クロロプレンゴム等が、加硫剤、補強剤その他必要な各種配合剤を配合した上で未加硫ゴムコンパウンドとして用いられる。未加硫ゴムコンパウンドの種類によっては、上塗り剤を塗布せず、本発明のプライマー処理だけで加硫接着させることもできる。
【0018】
フッ素ゴムとしては、ポリオール加硫性およびパーオキサイド加硫性のいずれも使用することができ、未加硫のフッ素ゴムコンパウンドとしては、例えば次のような配合例が示される。
【0019】
(配合例I)
フッ素ゴム(デュポン社製品バイトンE45) 100重量部
メタけい酸カルシウム 40 〃
MTカーボンブラック 2 〃
酸化マグネシウム(協和化学製品マグネシア#150) 6 〃
水酸化カルシウム 3 〃
加硫剤(デュポン社製品キュラティブ#30) 2 〃
加硫促進剤(同社製品キュラティブ#20) 1 〃
(配合例II)
フッ素ゴム(ダイキン製品ダイエルG901) 100重量部
メタけい酸カルシウム 20 〃
MTカーボンブラック 20 〃
酸化マグネシウム(マグネシア#150) 6 〃
水酸化カルシウム 3 〃
トリアリルイソシアヌレート 1.8 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B) 0.8 〃
【0020】
ポリオール加硫性フッ素ゴムとしては、一般にフッ化ビニリデンと他の含フッ素オレフィン、例えばヘキサフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フッ化ビニル、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)等の少なくとも一種との共重合体が挙げられ、これらのフッ素ゴムは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン、ヒドロキノン等のポリヒドロキシ芳香族化合物によってポリオール加硫される。
【0021】
また、パーオキサイド加硫性フッ素ゴムとしては、例えば分子中にヨウ素および/または臭素を有するフッ素ゴムが挙げられ、これらのフッ素ゴムは一般にパーオキサイド加硫に用いられている有機過酸化物によって加硫(架橋)される。この場合には、有機過酸化物と共に、トリアリルイソシアヌレートによって代表される多官能性不飽和化合物を併用することが好ましい。
【0022】
NBRまたは水素化NBRとしては、特に加硫剤の種類には関係なく、イオウ、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のイオウ系加硫剤またはパーオキサイド系架橋剤で加硫または架橋し得るものなどが任意に用いられる。パーオーキサイド架橋系の未加硫ニトリルゴムコンパウンドとしては例えば配合例IIIに示されるようなものが、またイオウ加硫系の未加硫ニトリルゴムコンパウンドとしては例えば配合例IVに示されるようなものが用いられる。
【0023】
(配合例III)
NBR(中高ニトリル;日本合成ゴム製品N237) 100重量部
HAFカーボンブラック 10 〃
SRFカーボンブラック 40 〃
セルロース粉末 10 〃
酸化亜鉛 10 〃
ステアリン酸 1 〃
マイクロクリスタリンワックス 2 〃
老化防止剤(大内新興化学製品ODA−NS) 4 〃
可塑剤(バイエル社製品ブカノールOT) 5 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B) 6 〃
N,N−m−フェニレンジマレイミド 1 〃
【0024】
(配合例IV)
NBR(日本ゼオン製品DN402;CN23%) 100重量部
SRFカーボンブラック 93 〃
可塑剤(DOP) 15 〃
酸化亜鉛 3 〃
ステアリン酸 1 〃
老化防止剤(大内新興化学製品ノクラック224) 1 〃
老化防止剤(同社製品ノクセラーM) 1 〃
老化防止剤(同社製品ノクセラーTT) 3 〃
老化防止剤(同社製品ノクセラーPZ) 0.8 〃
イオウ 0.5 〃
また、アクリルゴム、クロロプレンゴムの配合例としては、次のようなものが示される。
【0025】
(配合例V)
活性塩素含有アクリルゴム(ユニマテック製品PA402) 100重量部
HAFカーボンブラック 40 〃
粉末状シリカ 2 〃
マイクロクリスタリンワックス 6 〃
ステアリン酸 3 〃
4,4′−ビス(2,2′−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン 2 〃
イオウ 1 〃
ステアリン酸ナトリウム 3.5 〃
【0026】
(配合例VI)
クロロプレンゴム(デンカ製品DCR−31) 100重量部
HAFカーボンブラック 50 〃
酸化亜鉛 5 〃
酸化マグネシウム(#150) 4 〃
老化防止剤(川口化学製品3C) 3 〃
老化防止剤(大内新興化学製品ODA−NS) 3 〃
パラフィンワックス 2 〃
可塑剤(DIDA) 15 〃
老化防止剤(大内新興化学製品ノクセラーTT) 2 〃
加硫促進剤(川口化学製品アクセル22) 2 〃
【0027】
【発明の効果】
本発明にかかる加硫接着用プライマーは、塗布型クロメート処理剤に匹敵するあるいはそれ以上の耐水接着性を示す金属−ゴム複合体を与えるので、金属にゴムを接合したシール製品(例えば、オイルシール、パッキン類、ガスケット)、バイブ類、制振・防振製品(例えば、制振鋼板、防振ゴム)、工業用ゴム製品などの製造に用いられるステンレス鋼等の金属の表面処理に有効に用いることができる。
【0028】
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例1
攪拌機、加熱ジャケットおよび滴下ロートを備えた三口フラスコに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン40部(重量、以下同じ)および水20部を仕込み、pHが4〜5になる迄酢酸を加えて調製し、数分間攪拌した。さらに攪拌を続けながら、ビニルトリエトキシシラン40部を滴下ロートを使って徐々に滴下し、滴下終了後約60℃で5時間加熱還流を行い、室温迄冷却して共重合オリゴマーAを得た。
【0029】
参考例2
参考例1において、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン量を64部に、またビニルトリエトキシシラン量を16部にそれぞれ変更し、共重合オリゴマーBを得た。
【0030】
参考例3
参考例1において、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン量を16部に、またビニルトリエトキシシラン量を64部にそれぞれ変更し、共重合オリゴマーCを得た。
【0031】
参考例4
参考例1において、γ−アミノプロピルトリエトキシシランの代わりに同量のγ−アミノプロピルトリメトキシシランを用い、共重合エラストマーDを得た。
【0032】
実施例1
共重合オリゴマーA 2.5部
テタンテトラ(アセチルアセトネート) 1.0部
メタノール 86.5部
水 10.0部
以上の各成分を混合し、数分間攪拌することにより、加硫接着用プライマーを調製した。
【0033】
この加硫接着プライマーを脱脂したSUS304試験片に塗布し、室温下で風乾させた後、190℃で10分間の焼付け処理を行った。冷却後、次の各種加硫接着剤A,B,Cを上塗り剤として塗布し、室温下で風乾させた後、上塗り剤A,Cについては150℃、10分間の焼付処理を行い、上塗り剤Bについて室温乾燥のみで使用した。
上塗り剤A:ロームアンドハース社製品シクソン715
上塗り剤B:ロードファーイースト社製品ケムロック220
上塗り剤C:東洋化学研究所製品メタロックXN−870
【0034】
加硫接着は、上記処理した試験片上にそれぞれの未加硫ゴムコンパウンド(前記IおよびIII〜IV)を置き、180℃、6分間の加圧加硫によって行われた。
【0035】
実施例2
実施例1において、共重合オリゴマーAの代わりに同量の共重合オリゴマーBが用いられた。
【0036】
実施例3
実施例1において、共重合オリゴマーAの代わりに同量の共重合オリゴマーCが用いられた。
【0037】
実施例4
実施例1において、共重合オリゴマーAの代わりに同量の共重合オリゴマーDが用いられた。
【0038】
実施例5
実施例1において、有機金属化合物として同量のジn−ブトキシジルコニウムビス(エチルアセトアセテート)が用いられた。
【0039】
以上の各実施例で得られた接着試験片について、JIS K−6256の90°剥離試験に準ずる方法によりゴム残留面積率(%)を測定した。得られた結果は、次の表1に示される。
【0040】
比較例1
実施例1において、有機金属化合物が用いられなかった。
【0041】
比較例2
実施例1において、加硫接着用プライマーが用いられなかった。
【0042】
比較例3
実施例1において、加硫接着用プライマーとして市販のフェノール樹脂系下塗り接着剤(東洋化学研究所製品メタロックPA−3375)が用いられた。
【0043】
比較例4
実施例1において、加硫接着用プライマーとして市販のシラン系下塗り接着剤(ロードファーイースト社製品ケムロックAP−133)が用いられた。
【0044】
比較例5
実施例1において、加硫接着用プライマーとして市販の塗布型クロメート処理剤(日本パーカライジング製品ジンクロムZM−1415A)が用いられた。
【0045】
以上の比較例1〜5で得られた接着試験片について、JIS K−6256の90°剥離試験に準ずる方法によりゴム残留面積率(%)を測定した。得られた結果は、次の表2に示される。
【0046】
比較例6
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(モノマー) 1.3部
ビニルトリエトキシシラン(モノマー) 1.3部
テタンテトラ(アセチルアセトネート) 1.0部
メタノール 86.4部
水 10.0部
以上の各成分を混合し、数分間攪拌することにより、加硫接着用プライマーを調製した。
【0047】
この加硫接着プライマーを脱脂したSUS304試験片に塗布し、室温下で風乾させた後、190℃で10分間の焼付け処理を行った。
【0048】
比較例7
比較例6において、加硫接着用プライマーの試験片上への焼付け処理を行った後試験片を冷却し、加硫接着剤C(メタロックXN−870)を上塗り剤として塗布し、室温下で風乾させた後、150℃、10分間の焼付処理を行った。
【0049】
比較例8
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(モノマー) 2.7部
ビニルトリエトキシシラン(モノマー) 2.7部
ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート 0.2部
メタノール 94.8部
以上の各成分を混合し、数分間攪拌することにより、加硫接着用プライマーを調製した。
【0050】
この加硫接着プライマーを脱脂したSUS304試験片に塗布し、室温下で風乾させた後、190℃で10分間の焼付け処理を行った。
【0051】
比較例9
比較例8において、加硫接着用プライマーの試験片上への焼付け処理を行った後試験片を冷却し、加硫接着剤C(メタロックXN−870)を上塗り剤として塗布し、室温下で風乾させた後、150℃、10分間の焼付処理を行った。
【0052】
以上の比較例6〜9で得られた接着試験片について、JIS K−6256の90°剥離試験に準ずる方法によりゴム残留面積率(%)を測定した。得られた結果は、次の表3に示される。
オリゴマー化反応は、これらを蒸留装置および攪拌機を有する反応器内に仕込み、約60℃で約1時間攪拌する。その後、酸、例えばギ酸や酢酸をアミノ基含有アルコキシシラン1モルに対し約1〜2モルを1時間以内に添加する。この際の温度は約65℃に保たれる。さらに1〜5時間攪拌し、反応を進行させると同時に、加水分解によって生成したアルコールを減圧下で蒸留する。蒸留水が水しか存在しなくなった時点で蒸留を終了させ、その後シラン濃度が30〜80重量%になるように希釈して調節することにより、目的とする共重合オリゴマーが得られる。この共重合オリゴマーは、メタノール、エタノール等のアルコール系有機溶媒に可溶な程度のオリゴマーである。また、すでに共重合オリゴマーとして市販されているものをそのまま用いることもできる。
【発明の効果】
本発明にかかる加硫接着用プライマーは、塗布型クロメート処理剤に匹敵するあるいはそれ以上の耐水接着性を示す金属−ゴム複合体を与えるので、金属にゴムを接合したシール製品(例えば、オイルシール、パッキン類、ガスケット)、バルブ類、制振・防振製品(例えば、制振鋼板、防振ゴム)、工業用ゴム製品などの製造に用いられるステンレス鋼等の金属の表面処理に有効に用いることができる。
加硫接着は、上記処理した試験片上にそれぞれの未加硫ゴムコンパウンド(前記配合処方IおよびIII〜IV)を置き、180℃、6分間の加圧加硫によって行われた。
この加硫接着プライマーを脱脂したSUS304試験片に塗布し、室温下で風乾させた後、190℃で10分間の焼付処理を行った。
比較例7
比較例6において、加硫接着用プライマーの試験片上への焼付処理を行った後試験片を冷却し、加硫接着剤C(メタロックXN−870)を上塗り剤として塗布し、室温下で風乾させた後、150℃、10分間の焼付処理を行った。
この加硫接着プライマーを脱脂したSUS304試験片に塗布し、室温下で風乾させた後、190℃で10分間の焼付処理を行った。
比較例9
比較例8において、加硫接着用プライマーの試験片上への焼付処理を行った後試験片を冷却し、加硫接着剤C(メタロックXN−870)を上塗り剤として塗布し、室温下で風乾させた後、150℃、10分間の焼付処理を行った。
以上の比較例6〜9で得られた焼付処理試験片上に未加硫のフッ素ゴムコンパウンド ( 前記配合処方 I) を置き、 180 ℃で 6 分間加圧加硫した接着試験片について、JIS K−6256の90°剥離試験に準ずる方法によりゴム残留面積率(%)を測定した。得られた結果は、次の表3に示される。
【従来の技術】
水やLLC(ロングライフクーラント)に対する耐性が必要とされる金属とゴムとの複合体を形成させるためにはステンレス鋼が多く用いられるが、ステンレス鋼上に直接加硫接着剤を適用し、これにゴムを加硫接着させると、得られるステンレス鋼−ゴム複合体は耐水、耐LLC性が悪く、これらの浸せき試験を実施すると接着剥離を生ずるようになる。
(配合例III)
NBR(中高ニトリル;JSR 製品N237) 100重量部
HAFカーボンブラック 10 〃
SRFカーボンブラック 40 〃
セルロース粉末 10 〃
酸化亜鉛 10 〃
ステアリン酸 1 〃
マイクロクリスタリンワックス 2 〃
老化防止剤(大内新興化学製品ODA−NS) 4 〃
可塑剤(バイエル社製品ブカノールOT) 5 〃
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B) 6 〃
N,N−m−フェニレンジマレイミド 1 〃
このような加硫接着用プライマーは、ステンレス鋼、軟鋼、銅、マグネシウム、アルミニウム、アルミニウムダイキャスト等の金属上に、これを浸せき、噴霧、刷毛塗り、ロールコートなどの方法によって塗布し、室温下で、次いで約100〜200℃で約5〜10分間程度乾燥させる。一般に約0.1〜10μm程度の膜厚で形成される下塗り剤としてのこの加硫接着用プライマー上には、金属と複合されるゴムの種類に応じた加硫接着剤が上塗り剤として塗布され、それの焼付処理を行った後、未加硫のゴムコンパウンドを接合させ、ゴムの種類に応じた加硫温度での加硫が必要に応じて加圧下に行われる。未加硫のゴムコンパウンドは、有機溶媒に分散させたゴム溶液としてもコーティングして用いることができる。
【実施例】
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例1
攪拌機、加熱ジャケットおよび滴下ロートを備えた三口フラスコに、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン40部(重量、以下同じ)および水20部を仕込み、pHが4〜5になる迄酢酸を加えてpHを調整し、数分間攪拌した。さらに攪拌を続けながら、ビニルトリエトキシシラン40部を滴下ロートを使って徐々に滴下し、滴下終了後約60℃で5時間加熱還流を行い、室温迄冷却して共重合オリゴマーAを得た。
実施例1
共重合オリゴマーA 2.5部
チタンテトラ(アセチルアセトネート) 1.0部
メタノール 86.5部
水 10.0部
以上の各成分を混合し、数分間攪拌することにより、加硫接着用プライマーを調製した。
比較例6
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(モノマー) 1.3部
ビニルトリエトキシシラン(モノマー) 1.3部
チタンテトラ(アセチルアセトネート) 1.0部
メタノール 86.4部
水 10.0部
以上の各成分を混合し、数分間攪拌することにより、加硫接着用プライマーを調製した。
Claims (9)
- アミノ基含有アルコキシシランとビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーおよび有機金属化合物を含有してなる加硫接着用プライマー。
- アミノ基含有アルコキシシラン100重量部に対してビニル基含有アルコキシシラン25〜400重量部を共重合させたオリゴマーが用いられた請求項1記載の加硫接着用プライマー。
- アルコール系有機溶媒可溶性共重合オリゴマーが用いられた請求項1または2記載の加硫接着用プライマー。
- 共重合オリゴマー100重量部に対し有機金属化合物が10〜100重量部の割合で用いられた加硫接着用プライマー。
- アルコール系有機溶媒−水混合溶媒溶液として用いられる請求項1または4記載の加硫接着用プライマー。
- 金属とゴムとの加硫接着に用いられる請求項1または5記載の加硫接着用プライマー。
- ゴム用加硫接着剤の下塗り剤として用いられる請求項1または6記載の加硫接着用プライマー。
- 金属がステンレス鋼である請求項1、6または7記載の加硫接着用プライマー。
- 耐水性が必要とされる用途に用いられる請求項1、5、6、7または8記載の加硫接着用プライマー。
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