JP2004026750A - 薬物の安定化法 - Google Patents
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Abstract
【課題】薬物の新規な安定化法を提供することにある。
【解決手段】被混練材料を円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送して混練物を製造するものであって、回転円板と固定円板との谷間で両円板の境界線部によって外周方向に押し出され、回転円板の外周とシリンダ内面との間を送り出されるように構成された混練押出機に、少なくとも薬物と高分子重合体とを投入し、これらを一括して混練押出等の処理を行うことを特徴とする、薬物の安定化法である。
【選択図】 なし
【解決手段】被混練材料を円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送して混練物を製造するものであって、回転円板と固定円板との谷間で両円板の境界線部によって外周方向に押し出され、回転円板の外周とシリンダ内面との間を送り出されるように構成された混練押出機に、少なくとも薬物と高分子重合体とを投入し、これらを一括して混練押出等の処理を行うことを特徴とする、薬物の安定化法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬物の安定化法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薬物自身が不安定なために、保存中に薬物が分解したり、当該薬物を含む製剤が変色したり、吸湿によって薬物顆粒同士が付着したりするなどの好ましくない現象が生じることがある。このような現象は、主に、熱、湿度、水、光、酸、塩基、空気等によって引き起こされることが多い。また、これらの要因が複雑に絡み合って引き起こされることも考えられる。
このような現象を阻止するためには、個々の薬物について不安定要因を突き止め、その要因を克服する手法を検討することが考えられる。しかし、それでは煩雑なことが多い。
【0003】
最近、上記のような煩雑な手法を避け、同一の方法でしかも簡便に薬物の安定化を図る方法として、ニーディングパドルと呼ばれる特殊なスクリュウエレメントを有する2軸コンパウンドエクストルーダーにより、薬物と高分子重合体等を一括して混練押出処理する方法(例、WO95/13794)が知られている。
【0004】
一方、被混練材料を円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送して混練物を製造するものであって、シリンダ内で回転してその軸方向に流体を移送するように外周部にスクリュウを形成した回転軸に対して回転円板をその中心部で固着し、この円板の少なくとも片方の面には山と谷とを交互に放射状に形成し、この面に対向させて同軸に固定円板をシリンダに固着させ、かつ前記回転軸との間に隙間が形成されるように配置すると共にこの固定円板の回転円板に対する面にも山と谷とを交互に放射状に形成し、固定円板と回転軸との間を通って送り込まれた流体は両円板の谷間で両円板の境界線部によって外周方向に押し出され、回転円板の外周とシリンダ内面との間を送り出されるように構成された混練押出機(以下「本混練押出機」という)は、プラスチック(高分子)材料を始めとしてその他各種材料の混練物を製造するための機械であり、それはいわば挽き臼で原料を磨り潰す原理を発展させたものと考えることができる。このような混練押出機は、連続捏和機、捏和押出機、連続捏和押出機などとも言われている(例えば、特開平8−183027号公報記載の混練押出機)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、主に、薬物の新規な安定化法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本混練押出機により、薬物と高分子重合体とを一括して混練処理等を行うことにより、簡便に薬物を安定化させることを見出し、本発明を完成した。通常、薬物を高分子重合体に分散させると、薬物表面積の増大等により薬物は不安定になる傾向にあると思われるが、意外にも本発明によれば薬物を安定化させることができた。
【0007】
本発明の要旨は、本混練押出機に、少なくとも薬物と高分子重合体とを投入し、これらを一括して混練押出等の処理を行うことを特徴とする、薬物の安定化法にある。
【0008】
本混練押出機の具体例としては、次のものを挙げることができる。
(1)被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されているシリンダ部10とから構成されている混練押出機1であって、前記シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する可動部19に固定されて該可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られるもの。
【0009】
(2)被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成され、材料供給部2が前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる形状の先端部13a を有して該先端部13a が開口した供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を先端部13a に押し出すピストン部14とから構成されている混練押出機1であって、前記混練側シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動部19に固定されていると共に前記供給側シリンダ部13が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する供給側可動部20に固定されて混練側可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節すると共に供給側可動部20を往復動させて前記円板3の材料供給部側側面と前記供給側シリンダ部13の先端部13a 端面との間に形成される供給側隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られるもの。
【0010】
(3)被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成され、材料供給部2が前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる形状の先端部13a を有して該先端部13a が開口した供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13に回転可能に内設して前記回転軸6と同軸に前記円板3に固定されて供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を回転させながら先端部13a に押し出す移送スクリュウ軸36とから構成されている混練押出機1であって、前記混練側シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動部19に固定されて混練側可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られるもの。
【0011】
以下、本混練押出機の具体的形態を図面に基づき説明する。
(1)本混練押出機の具体的形態1
図1は本混練押出機に係る混練押出機を示した側面図、図2は図1に図示した混練押出機の平面図であり、図1において図2に示す供給側可動板及び混練側可動板は省略され、図1及び図2において供給側シリンダ部と混練側シリンダ部とは断面にて図示されている。また、図3は図1に図示した混練側シリンダ部の説明図であり、図3の(a)は混練側シリンダ部の縦断面図、図3の(b)は混練側シリンダ部の左側面図、図3の(c)は混練側シリンダ部の右側面図である。また、図4は図1に図示した円板の説明図であり、図4の(a)は円板の正面図、図4の(b)は円板の右側面図、図4の(c)は円板の左側面図、図4の(d)は図4の(c)に図示した円板のA−A線縦断面図である。さらに、図5は図2に図示した供給側可動板と混練側可動板とを往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。これらの図において、1は被混練材料を送り込む材料供給部2と該材料供給部2から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板3の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部4とが架台5の上に一連に横設されているバッチ式混練押出機である。
【0012】
前記材料混練部4は、前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、混練された被混練材料を排出する排出口7が先端部10a 側に設けられていると共に、円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられ、回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部10a の端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成されており、円柱状横穴開口部8は円板3が埋まってしまう深さに形成されて円柱状横穴開口部8の底面8aには、図3に示すように、前記筒状横穴9の開口を含んで走る放射状浅底溝8bが形成されている。
前記円板3は、図4に示すように、その中心部に回転軸6の嵌合後端部6b(図1参照)を嵌めて軸着する六角形軸孔3aが設けられており、円板3の両側面には、円板3の六角形軸孔3a近傍から放射状に広がる扇型浅底溝3bが複数形成されており、円板3の円周面には、該円周面を扇型浅底溝3bに向かって斜めに横断する複数の樋状浅底溝3cが間隔を有して形成されている。
【0013】
前記回転軸6は、図1及び図2に示すように、その先端部がモータ(図示せず。)に連結されて前記筒状横穴9に回転可能に内設できる径の連結回転軸部6cと、前記排出口7の径に納まる幅を有する周回括部6dを介して続く螺子型螺旋状スクリュウ6eを周設した、前記混練側シリンダ部10の先端部10a 側に納まる螺子型回転軸部6fと、該螺子型回転軸部6fに続く前記螺旋状スクリュウ6aを周設したスクリュウ回転軸部6gと、該スクリュウ回転軸部6gの後端に形成された六角頭の前記嵌合後端部6bとからなり、前記螺子型回転軸部6fの円周面には、回転軸6の長手方向と平行に螺子型回転軸部6fの両端に達しない長さの細溝6h(図2参照)が形成されており、両端から途中まで走る細溝6hと円周面の途中に形成された細溝6hとが間隔を有して重ならないように設けられている(なお、図2において、前記螺子型螺旋状スクリュウ6eは省略されている。)。
【0014】
そして、回転軸6の連結回転軸部6cを架台5に立設された混練部側固定アングル部11に設けた軸受12に通して連結回転軸部6cの先端部はカップリッグ等を介してモータに取付けられており、回転軸6の周回括部6dは排出口7に位置し、回転軸6の螺旋状スクリュウを周設した螺子型回転軸部6fとスクリュウ回転軸部6gとが筒状横穴9に内設され、回転軸6の嵌合後端部6bに嵌めた円板3が円柱状横穴開口部8に内設されている。
前記材料供給部2は、前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる円形状に形成された先端部13a を有し、該先端部13a から回転軸6を中心として該回転軸6の長手方向と同じ方向に形成されて両端が開口する被混練材料の送り出し用横穴型空洞部13b を設けた供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を先端部13a に押し出すピストン部14とから構成されており、供給側シリンダ部13の後部側上壁部には被混練材料を投入する開口部13c が形成されて該開口部13c にはホッパー15が取り付けられている。また、前記ピストン部14には円周面に螺子溝を形成した押し込み用ハンドル軸16が一体に設けられており、該ハンドル軸16は架台5に立設された供給部側固定アングル部17に設けられためねじ穴17a に螺着されてその後端部には手回ハンドル(図示せず。)が固定されている。
【0015】
さらに、図2に示すように、連結して一連に横設された混練側シリンダ部10と供給側シリンダ部13とを挟んで二本の支柱軸18,18が前記回転軸6の長手方向と平行に混練部側固定アングル11と供給部側固定アングル17とに架設されており、支柱軸18,18にはそれぞれ混練側可動板(混練側可動部)19,19と供給側可動板(供給側可動部)20,20とのその一端部が往復動可能に取り付けられ、その他端部が混練側可動板19,19においては、両側から断熱板21を介して混練側シリンダ部10の後端部10b にボルト(図示せず。)等で固定されており、供給側可動板20,20においては、両側から断熱板21を介して供給側シリンダ部13の後端部外周に形成された鍔部13d にボルト(図示せず。)等で固定されている。そして、両可動板19,20と二本の支柱軸18,18との連結箇所には混練側シリンダ部10を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動させる混練側可動機構22,22と供給側シリンダ部13を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動させる供給側可動機構23,23とがそれぞれ設けられている。
なお、図1及び図2において、24は混練側シリンダ部10の端面10c に設けられた軸受け、25は混練側シリンダ部10の端面10c と軸受け24との間に嵌着された混練物の漏れ止めリング、26は混練側シリンダ部10の後端部10b 端面に嵌着された被混練材料の剪断物漏れ止めリングである。また、混練側シリンダ部10と供給側シリンダ部13にはヒータが温度調節可能に取り付けられている。
【0016】
前記混練側可動機構22,22と供給側可動機構23,23とは対称に配置されており、同じ構成となっているので、図2において上側に配置された混練側可動機構22を例に採って可動機構22,23の構成を説明する。
混練側可動機構22は、図5に示すように、混練側可動板19に対して左側から支柱軸18に往復動可能に通して混練側可動板19に当接させたスペーサ27と、混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に円板3が納まっている状態において混練側可動板19の左側に位置付けられるように形成された支柱軸18周面の螺子溝18a にスペーサ27に当接するまで螺着した六角ナット28と、混練側可動板19に対して右側から支柱軸18に往復動可能に通して混練側可動板19に当接させた隙間調節螺子部29とから構成されており、隙間調節螺子部29は、六角頭30a と円周面に螺子溝30b を有する胴部30c とからなるボルト状固定部30と、円柱状横穴開口部8の底面8aと円板3の側面との間にできる混練側隙間幅を表す目盛りを円周面に刻印してなる、固定部30の胴部30c に螺着したツマミ部31とから構成されている。なお、供給側可動機構23におけるツマミ部31に刻印された目盛りは供給側シリンダ部13の先端部13a 端面と円板3の側面との間にできる供給側隙間幅を表している。また、32は六角頭30a に形成された止め螺子用雌ねじ穴であり、止め螺子33を雌ねじ穴32に支柱軸18に達するまで螺着することにより、固定部30が支柱軸18に固定される。
【0017】
次に、可動機構22,23の動作について説明する。
図2に示すように、混練側可動機構22,22の六角ナット28と止め螺子33とを緩めて円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接するまで混練側可動板19,19を往復動させて混練側シリンダ部10を矢印X方向へ移動し、円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接した状態で止め螺子33を締め込んで固定部30を支柱軸18,18に固定する。この後、被混練材料の種類に応じた前記混練側隙間幅を得るためにツマミ部31を回して混練側可動板19,19を矢印Y方向(矢印X方向とは逆方向)へ移動させ、所望の混練側隙間幅が形成された状態で六角ナット28を締め込んでスペーサ27を混練側可動板19,19に押し付けて該混練側可動板19,19を固定する。次いで、供給側可動機構23,23の六角ナット28と止め螺子33とを緩めて供給側シリンダ部13の先端部13a 端面が円板3の側面に当接するまで供給側可動板20,20を往復動させて供給側シリンダ部13を矢印Y方向へ移動し、供給側シリンダ部13の先端部13a 端面が円板3の側面に当接した状態で止め螺子33を締め込んで固定部30を支柱軸18,18に固定する。この後、被混練材料の種類に応じた前記供給側隙間幅を得るためにツマミ部31を回して供給側可動板20,20を矢印X方向(矢印Y方向とは逆方向)へ移動させ、所望の供給側隙間幅が形成された状態で六角ナット28を締め込んでスペーサ27を供給側可動板20,20に押し付けて該供給側可動板20,20を固定する。
【0018】
次に、混練押出機1の動作について説明する。
ホッパー15から供給側シリンダ部13の空洞部13bに被混練材料を投入した後、手回しハンドルを回してピストン部14によって被混練材料を供給側シリンダ部13の先端部13a に移送する。先端部13a に移送された被混練材料は供給側隙間にて、回転する円板3の供給側側面に押圧され、加熱により溶解しながら該側面に形成された浅底溝3bによって圧縮・剪断される。圧縮・剪断された被混練材料が円板3の浅底溝3cを通る際に円柱状横穴開口部8の側壁との間でさらに圧縮・剪断され、混練されながら円板3の混練側側面に形成された浅底溝3bに達し、混練側隙間にて円柱状横穴開口部8の底面8aに形成された放射状浅底溝8bとの間で圧縮・剪断及び混練されながら該放射状浅底溝8bを通過して回転軸6の螺旋状スクリュウ6aによって混練側シリンダ部10の先端部10a に送られ、回転軸部6fによってさらに混練された後、周回括部6dを通って排出口7から排出される。
【0019】
該具体的形態1では、混練側シリンダ部10を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動板19,19に固定する共に、混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に供給側シリンダ部13の先端部13a を往復動可能に挿入した状態で該供給側シリンダ部13を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する供給側可動板20,20に固定し、混練側可動機構22,22によって混練側可動板19,19を往復動させて円板3の回転軸側側面と円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節すると共に、供給側可動機構23,23によって供給側可動板20,20を往復動させて円板3の材料供給部側側面と供給側シリンダ部13の先端部13a 端面との間に形成される供給側隙間を調節するようにしたので、被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いを得ることができ、回転円板を複数設けなくても混練度を向上させることができ、これにより、混練側シリンダ部10を短くすることができる。
【0020】
また、混練側可動機構22,22の六角ナット28を緩めて混練側可動板19,19を矢印Y方向に向かって移動させれば、回転軸6の螺子型回転軸部6f及びスクリュウ回転軸部6gと円板3とが混練側シリンダ部10から抜かれて剥き出しになるので、円板3と回転軸6とを容易に清掃することができる。
なお、円板3の周面に形成された浅底溝3b,3cは、該周面に突起部を形成することによりできる谷間状溝であってもよい。また、回転軸6は周回括部6dまで螺旋状スクリュウ6aが周設されているものであってもよい。
【0021】
(2)本混練押出機の具体的形態2
図6は本実施の形態に係る混練押出機を示した平面図であり、供給側シリンダ部と混練側シリンダ部とは断面にて図示されている。また、図7は図6に図示した軸受部を説明する縦断面図、図8は図6に図示した混練側可動板を往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。
図6に示す混練押出機は連続式混練押出機であり、図1〜図5と同一符号は同一又は相当部分を示し、材料混練部4における回転軸6には螺旋状スクリュウ6aが周設されてその先端部は螺旋状スクリュウ6aの外径より小さい径の小軸部34(図7参照)となっており、該小軸部34は混練側シリンダ部10の端面10c に固定された軸受部35に内包して軸着されている。また、材料供給部2においては、回転軸6と同軸に円板3に固定されて供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を回転させながら先端部13a に押し出す移送スクリュウ軸36が回転可能に供給側シリンダ部13に内設されており、移送スクリュウ軸36には、被混練材料を該移送スクリュウ軸36に送り込む噛合いスクリュウ軸37が螺合して設けられており、移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37とは供給側固定アングル部17を介してギヤボックス38に連結され、ギヤボックス38内のギヤ系39を介してモータ軸40に連結されている。また、混練側シリンダ部10は混練側可動板19,19に固定されて混練側可動機構22,22を介して支柱軸18,18に往復動可能に取り付けられている。そして、供給側隙間を設けた状態で供給側シリンダ部13の先端部13a が混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に往復動可能に挿入されており、材料供給部2と材料混練部4とが一連に横設されている。
【0022】
前記軸受部35は、図7に示すように、回転軸6の長手方向と平行に円周面の途中まで形成された案内溝41a と該案内溝41a の終端から端面に向かって開口した孔状溝41b とが形成されて回転軸6の小軸部34に螺旋状スクリュウ6aとの間に隙間を設けて固定された混練物案内リング41と、小軸部34に案内リング41を固定した状態で内設して回転・往復動できる広さの円柱状軸着開口部42a と該軸着開口部42a の底面がすり鉢状に形成されて先端に向かって開口した排出口7とを設けたスクリュウ受部42と、すり鉢状底面を塞いで円柱状軸着開口部42a に嵌めた無数を孔を有するレンコン型ブレーカープレート43とから構成されている。
前記混練側可動機構22,22は、図8に示すように、混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に円板3が納まっている状態において混練側可動板19を含む位置から左側の支柱軸18端面まで形成された螺子溝18a に螺着した六角ナット28と、混練側可動板19に対して右側から支柱軸18に往復動可能に通して混練側可動板19に形成された嵌合穴44に嵌めた外周面に鍔部45a を有する筒状スライダー45と、該筒状スライダー45に当接させた隙間調節螺子部29とから構成されている。
【0023】
なお、46はヒータ、47は漏れ止めリング26を固定する固定リング、48は供給部側固定アングル部17を架台5に固定したボルトである。
次に、可動機構22の動作について説明する。
混練側可動機構22,22の六角ナット28と止め螺子33とを緩め、図6に示すように、円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接するまで混練側可動板19,19を往復動させて混練側シリンダ部10を矢印X方向へ移動かし、円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接した状態で止め螺子33を締め込んで固定部30を支柱軸18,18に固定する。この後、図8に示すように、被混練材料の種類に応じた前記混練側隙間幅を得るためにツマミ部31を回して混練側可動板19,19を矢印Y方向(矢印X方向とは逆方向)へ移動させ、所望の混練側隙間幅が形成された状態で六角ナット28を締め込んで混練側可動板19,19を固定する。
前記軸受部35においては、混練側可動板19,19を矢印X,Y方向へ往復移動させることにより、回転軸6の小軸部34に固定された案内リング41がスクリュウ受部42の軸着開口部42a 内を往復動する。
【0024】
次に、混練押出機1の動作について説明する。
ホッパー15から移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37との螺合位置に向かって被混練材料を投入すれば、お互いに内向きに回転している移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37とによって供給側シリンダ部13の先端部13a に移送される。先端部13a に移送された被混練材料は供給側隙間にて、回転する円板3の供給側側面に押圧され、加熱により溶解しながら該側面に形成された浅底溝3bによって圧縮・剪断される。圧縮・剪断された被混練材料が円板3の浅底溝3cを通る際に円柱状横穴開口部8の側壁との間でさらに圧縮・剪断され、混練されながら円板3の混練側側面に形成された浅底溝3bに達し、混練側隙間にて円柱状横穴開口部8の底面8aに形成された放射状浅底溝8bとの間で圧縮・剪断及び混練されながら該放射状浅底溝8bを通過して回転軸6の螺旋状スクリュウ6aによって混練側シリンダ部10の先端部10a に送られ、小軸部34の案内溝41a と孔状溝41b とを通ってブレーカープレート43の孔を通過した後、排出口7から排出される。
【0025】
該具体的形態2では、供給側隙間を調節できないが、混練側隙間を調節することができ、混練側可動機構22,22の六角ナット28を緩めることにより回転軸6が混練側シリンダ部10から抜かれて剥き出しになるので、前記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37とがお互いに外向きに回転するものであってもよく、回転軸6が二軸スクリュウより構成されているものであってもよい。さらに、噛合いスクリュウ軸37は設けず、移送スクリュウ軸36の一軸スクリュウで移送するようにしてもよい。
【0026】
本発明で用い得る高分子重合体は特に制限されないが、医薬上許容される水溶性高分子重合体が好ましい。例えば、セルロース誘導体、合成高分子重合体、天然高分子重合体(多糖類)又はその誘導体、及びデンプン類を挙げることができる。具体的には下記のような高分子重合体を挙げることができる。
【0027】
1.セルロース誘導体
メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;例、HPMC2208(メトローズ(登録商標、以下同じ)90SH、SB−4)、同2906(メトローズ65SH)、同2910(メトローズ60SH、TC−5(登録商標、以下同じ))など)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS;例、AQOAT(登録商標)L、同M、同H)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP;例、HPMCP220824(HP50)、同220731(HP55))、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)。
【0028】
2.合成高分子重合体
ポリビニルピロリドン(PVP;例、コリドン(登録商標、以下同じ)K30、同K60、同K90)、N−ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(例、コリドンVA64)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシビニルポリマー(ポリアクリル酸;例、カーボポール(登録商標)、ハイビスワコー(登録商標))、ポリエチレングリコール(マクロゴール;例、PEG4000、同6000)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(プルロニック(登録商標)、PEP101)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、メタアクリル酸コポリマー(例、オイドラギット(登録商標、以下同じ)L30D−55、同L100−55、同L100、同S100)、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(例、オイドラギットE100)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(例、オイドラギットRS30D、同RS100、同RL30D、同RL100)。
【0029】
3.天然高分子重合体(多糖類)又はその誘導体
アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天、ゼラチン、トラガント、キサンタンガム。
4.デンプン類
デンプン(例、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉)、デキストリン、α化デンプン(例、アミコール(登録商標)、マツノリン(登録商標))、カルボキシメチルスターチナトリウム(例、プリモジェル(登録商標)、エキスプロタブ(登録商標))、プルラン、部分α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ(HPS)。
【0030】
本発明に用い得る薬物としては、特に制限されないが、一般に空気中で不安定と言われる、昇華性薬物、揮発性薬物、易加水分解性薬物(例えば、水溶液状態で30℃下保存した場合、10日間で10%以上加水分解する薬物)、ホイスカー発生薬物、及び吸湿性又は潮解性薬物に対して特に有効である。具体的には下記のような薬物を挙げることができる。
【0031】
1.昇華性薬物
ソジウム 1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネート、L−メントール、パラホルム、トリメタジオン、カンフル、ナフタレン。
2.揮発性薬物
ケイヒアルコール、アネトール、オイゲノール、ケイヒ油、ユーカリ油、レモン油、ウイキョウ油、チョウジ油、ハッカ油。
3.易加水分解性薬物
アセチルサリチル酸、塩酸ピペサネート、塩酸L−エチルシステイン、臭化ピリドスチグミン、パントテン酸カルシウム、メピチオスタン、ペントバルビタールナトリウム、トリクロルイソシアヌール酸。
【0032】
4.ホイスカー発生薬物
エテンザミド、カフェイン、アセトアミノフェン、ブロムワレリル尿素、塩酸クロフェダノール。
5.吸湿性又は潮解性薬物
バルプロ酸ナトリウム、シアノコバラミン、クエン酸ジエチルカルバマジン、イソソルビド、ジクロフェナックナトリウム、メシル酸ベタヒスチン、塩化カルプロニウム、塩酸トラゾリン、塩酸レセルピリン酸ジメチルアミノエチル、カルバコール、コリンテオフィリン、サリチル酸コリン、シチコリン、臭化ヘキサメトニウム、銅クロロフィリンナトリウム、パンテノール、リン酸デキサメタゾンナトリウム、エキス類(例えば、ウラジロガシエキス、アカメガシワエキス、スギナエキス)、塩酸プロカインアミド、L−プロリン、塩化カルシウム。
【0033】
なお、吸湿性薬物、例えばバルプロ酸ナトリウムに対しては、高分子重合体としてポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが好ましく、マンニトールやキシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールをさらに加えると、より好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明は、一般的には、それぞれ所定量の高分子重合体、薬物、及び所望により他の添加剤のような被混練材料の予備混合物(被混練材料の単純混合物あるいは物理的混合物)を本混練押出機に投入するか、又は予備混合なしに個々の被混練材料を材料供給機等により同時かつ定量的に本混練押出機に投入し、使用する本混練押出機の機能に基づいて一括して圧縮、剪断、混練、押出等の処理を行うことにより実施することができ、薬物を安定化させることができる。
使用する高分子重合体と薬物との配合比率は、使用する高分子重合体や薬物の種類などにより異なるが、一般的には、重量比にして当該薬物に対して少なくとも0.1〜100倍量の高分子重合体を用いるのが適当である。0.2〜20倍量がより好ましい。
【0035】
吸湿性薬物をポリビニルアルコール(PVA)で安定化する場合には、重量比として吸湿性薬物に対して0.2〜50倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが適当であり、0.5〜10倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが、より好ましい。吸湿性薬物であるバルプル酸ナトリウムをポリビニルアルコール(PVA)で安定化する場合も、重量比としてバルプル酸ナトリウムに対して0.2〜50倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが適当であり、0.5〜10倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが、より好ましい。
【0036】
他の添加剤としては、お互い重複する化合物を含み得るが、例えば、増量剤、軟化剤、流動剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、安定化剤、香料、可溶化剤、吸着剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤、緩衝剤、矯味剤、防湿剤、甘味剤、発泡剤、崩壊補助剤、保存剤、清涼剤を挙げることができる。これらを適当量配合することができる。
【0037】
増量剤としては、例えば、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リン酸水素カルシウムを挙げることができる。軟化剤としては、例えば、水(水道水、蒸留水、精製水、生理食塩水等の等張化水、中性若しくは酸性若しくは塩基性緩衝液、又はアンモニア水等)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、エーテル類、ケトン類等に代表される溶媒;エリスリトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、マルチトール、アラビトール、ズルシトールなどの糖アルコール;クエン酸トリエチル、トリアセチン、プロピレングリコール、Span類、Tween類を挙げることができる。流動剤としては、例えば、ステアリン酸などの長鎖脂肪酸;長鎖(C10〜22)脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド;カルナバロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリルアルコール等の高級脂肪アルコール、セタノールなどのワックス;レシチン、ラウリル硫酸ナトリウムを挙げることができる。滑沢剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルクを挙げることができる。崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カルメロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル)、部分アルファ化澱粉を挙げることができる。着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、タール色素を挙げることができる。安定化剤としては、例えば、アスコルビン酸、安息香酸を挙げることができる。香料としては、例えば、1−メントール、オレンジエキスを挙げることができる。
【0038】
被混練材料の予備混合物は、常法通り、例えば、ニーダーミキサー、V型混合機、二重円錐型混合機、立方体型混合機、リボン型混合機などの機械や手動によって被混練材料を単純に混合することにより得ることができる。
被混練材料の予備混合物の本混練押出機への投入は、手動により、又は適当な材料供給機、例えば、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー、ベルトコンベア式定量供給機、電磁フィーダーによって行うことができる。また、これら材料供給機は、予備混合物を本混練押出機に投入するのみならず、個々の被混練材料を同時かつ定量的に投入する場合にも用いることができる。
【0039】
被混練材料の処理温度は、用いる高分子重合体や薬物、他の添加剤の種類や配合比率、使用する本混練押出機の種類(特に回転円板や固定円板の形状特性)、処理スピードなどによって異なるが、被混練材料のガラス転移温度以上ないし軟化温度以上であることが望ましい。ガラス転移温度ないし軟化温度よりも低い温度でも、用いる高分子重合体や薬物等の種類や配合比率等によっても本発明を実施しうる場合がある。なお、被混練材料は、回転円板部に到るまでに少なくとも前記処理温度近くに到達している方が好ましい。また、被混練材料が回転円板部を通過した後、押し出されるまでにおいても被混練材料の軟化温度近くの温度が維持される方が好ましい。
処理速度(スクリュの回転数)は、使用する本混練押出機の種類(特に回転円板と固定円板の形状特性)、被混練材料、処理温度等によって適宜使用する本混練押出機の許容範囲内で設定することができる。具体的には5rpm 以上が適当であり、10〜300rpmが好ましい。
【0040】
排出口から押し出されてきた混練押出物は、適当な裁断機、例えば、ローラー型解砕機、カッターミル、ピンミル等で所望の長さに裁断することができる。この裁断されたものは、そのまま又は乾燥して粒状の医薬品製剤とすることができる。なお、排出口の形状は、特に制限されず、例えば、円形、三角形や四角形、六角形等の多角形、星形を挙げることができる。排出口の口径は、0.5〜5mmが適当である。
上記粒状物をカプセル等に詰めれば、カプセル製剤とすることができ、圧縮成形すれば錠剤とすることができる。
また、粒状物にコーティング処理などを施したもの又は粒状物若しくはそれをコーティング処理したものをカプセルに詰めるなどすることもできる。これにより医薬品製剤の強度を更に向上させることができ、また医薬品の安定性を高めることができる。
当然ながら、上記製剤化においては、種々の医薬上許容される添加剤や高分子化合物を適宜配合して行うことができる。
【0041】
【実施例】
次に、実施例、比較例、試験例を掲げて、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。なお、以下の実施例は、図1及び図2に示すバッチ式混練押出機1を使用して行った。
【0042】
実施例1
ソジウム 1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネート0.5gに対しコーンスターチ50gを単純に混合し、乳鉢で攪拌しながら、10w/w%のポリビニルピロリドン(PVP、ポリプラスドン(登録商標)K90、五協産業社製)水溶液10gを添加した。この予備混合物を、直径50mm、幅20mmの円板(材質:窒化処理したSACM645 )3と、直径20mm、螺旋状スクリュウ6aと螺子型回転軸部6fとを合わせた長さ 100mmの回転軸(材質:窒化処理したSACM645 )6と、排出口7の径2mm とを備えたバッチ式混練押出機(混練側シリンダ部の材質:窒化処理したSACM645 、供給側シリンダ部の材質:窒化処理したSACM645 )1を使用し、条件を回転数20rpm,混練側シリンダ部10の温度60℃,供給側シリンダ部13の温度50℃とし、それぞれ混練側隙間2mm,供給側隙間2mmで処理した。得られた混練押出物は、45℃で乾燥後、クアドロ・コーミル(QC−197S型、パウレック社製、以下同じ)を用いて製粒し、得られた顆粒を物性評価の試料とした。
【0043】
実施例2
バルプロ酸ナトリウム20gに対しポリビニルアルコール(PVA、ゴーセノール(登録商標)EG−05、日本合成化学社製、以下同じ)14g、エリスリトール4g、軽質無水ケイ酸(アエロジル(登録商標)200、以下同じ)2gを単純に混合した。この予備混合物を、実施例1と同じバッチ式混練押出機1を使用し、条件を回転数20rpm,混練側シリンダ部10の温度170℃,供給側シリンダ部13の温度160℃とし、それぞれ混練側隙間2mm,供給側隙間2mmで処理した。
実施例3
アセチルサリチル酸30g、ポリエチレングリコール(PEG6000)12g、ステアリン酸6g、軽質無水ケイ酸6g、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC、LH−11、信越化学、以下同じ)6gの予備混合物を用い、供給側シリンダ部13の温度を55℃、混練側シリンダ部10の温度を60℃とした以外は実施例2と同様に処理した。得られた混練押出物は、クアドロ・コーミルを用いて製粒し、得られた顆粒を物性評価の試料とした。
【0044】
実施例4
酸化マグネシウム30g、ポリビニルアルコール12g、エリスリトール12g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6g、及び水溶性色素である青色1号60mgの予備混合物を用い、供給側シリンダ部13の温度160℃、混練側シリンダ部10の温度を170℃とした以外は実施例2と同様に処理した。得られた混練押出物は、クアドロ・コーミルを用いて製粒し、得られた顆粒を物性評価の試料とした。
【0045】
比較例1
アセチルサリチル酸30gに対しポリエチレングリコール(PEG6000)12g、ステアリン酸6g、軽質無水ケイ酸6g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6gを単純に混合した。この混合末に対して、水10w/w%を添加し、乳鉢内で練合した。得られた練合物を、45℃で乾燥後、クアドロ・コーミルで整粒した。得られた顆粒を比較用の試料とした。
比較例2
酸化マグネシウム30gに対しポリビニルアルコール12g、エリスリトール12g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6g、及び水溶性色素である青色1号60mgを単純に混合した。この混合末に対して、水10w/w%を添加し、乳鉢内で練合した。得られた練合物を、45℃で乾燥後、クアドロ・コーミルで整粒した。得られた顆粒を比較用の試料とした。
【0046】
試験例1 ソジウム1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネートの安定性
実施例1で得られた顆粒(本発明実施品)と、実施例1における予備混合物の45℃乾燥物とを50℃の条件下、開放状態で保存し、製剤中のソジウム 1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネートの含有量を測定することによって、安定性を評価した。なお、定量はHPLC法により、検出波長285 nmにおける吸光度を測定することにより行った。その結果を図9に示す。
図9から明らかなように、本発明実施品は、50℃の苛酷条件下で長期間保存しても、充分に薬物が安定化された。
【0047】
試験例2 バルプロ酸ナトリウムの安定性
実施例2で得られた顆粒(本発明実施品)5gと、実施例2における予備混合物5gとを各々ガラス製シャーレに入れ、これを40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下に2週間保存し、吸湿状況を観察した。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
本発明実施品は、40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下に保存しても、外観上吸湿性が抑制され、充分に薬物が安定化された。
【0050】
試験例3 アセチルサリチル酸の安定性
実施例3で得られた顆粒10g及び実施例4で得られた顆粒2.5gの混合顆粒(本発明実施品)と、比較例1で得られた顆粒10g及び比較例2で得られた顆粒2.5gの混合顆粒(比較品)を40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下、開放状態で保存し、製剤中のアセチルサリチル酸の含有量を測定することによって、安定性を評価した。なお、定量はHPLC法により、検出波長237nmにおける吸光度を測定することにより行った。その結果を図10に示す。
図10から明らかなように、本発明実施品は、40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下に保存しても、充分に薬物が安定化された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る混練押出機を示した側面図である。
【図2】図1に図示した混練押出機の平面図である。
【図3】図1に図示した混練側シリンダ部の説明図である。
【図4】図1に図示した円板の説明図である。
【図5】図2に図示した供給側可動板と混練側可動板とを往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る混練押出機を示した平面図である。
【図7】図6に図示した軸受部を説明する縦断面図である。
【図8】図6に図示した混練側可動板を往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。
【図9】ソジウム1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネートの安定化に関する結果を示す。縦軸は当該薬物の残存率(%)、横軸は保存時間(日)を表す。−○−は薬物原末の結果を、−△−は実施例1における予備混合物の45℃乾燥物の結果を、−□−は実施例1で得られた顆粒(本発明実施品)の結果を、それぞれ表す。
【図10】アセチルサリチル酸の安定化に関する結果を示す。縦軸は当該薬物の残存率(%)、横軸は保存時間(日)を表す。−○−は比較例1で得られた顆粒及び比較例2で得られた顆粒の混合顆粒(比較品)の結果を、−□−は実施例3で得られた顆粒及び実施例4で得られた顆粒の混合顆粒(本発明実施品)の結果を、それぞれ表す。
【符号の説明】
1 混練押出機(バッチ式混練押出機、連続式混練押出機)
2 材料供給部
3 円板
4 材料混練部
6 回転軸
7 排出口
8 円柱状横穴開口部
10 混練側シリンダ部
13 供給側シリンダ部
18 支柱軸
19 混練側可動板
20 供給側可動板
22 混練側可動機構
23 供給側可動機構
29 隙間調節螺子部
30 固定部
31 ツマミ部
36 移送スクリュウ軸
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬物の安定化法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
薬物自身が不安定なために、保存中に薬物が分解したり、当該薬物を含む製剤が変色したり、吸湿によって薬物顆粒同士が付着したりするなどの好ましくない現象が生じることがある。このような現象は、主に、熱、湿度、水、光、酸、塩基、空気等によって引き起こされることが多い。また、これらの要因が複雑に絡み合って引き起こされることも考えられる。
このような現象を阻止するためには、個々の薬物について不安定要因を突き止め、その要因を克服する手法を検討することが考えられる。しかし、それでは煩雑なことが多い。
【0003】
最近、上記のような煩雑な手法を避け、同一の方法でしかも簡便に薬物の安定化を図る方法として、ニーディングパドルと呼ばれる特殊なスクリュウエレメントを有する2軸コンパウンドエクストルーダーにより、薬物と高分子重合体等を一括して混練押出処理する方法(例、WO95/13794)が知られている。
【0004】
一方、被混練材料を円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送して混練物を製造するものであって、シリンダ内で回転してその軸方向に流体を移送するように外周部にスクリュウを形成した回転軸に対して回転円板をその中心部で固着し、この円板の少なくとも片方の面には山と谷とを交互に放射状に形成し、この面に対向させて同軸に固定円板をシリンダに固着させ、かつ前記回転軸との間に隙間が形成されるように配置すると共にこの固定円板の回転円板に対する面にも山と谷とを交互に放射状に形成し、固定円板と回転軸との間を通って送り込まれた流体は両円板の谷間で両円板の境界線部によって外周方向に押し出され、回転円板の外周とシリンダ内面との間を送り出されるように構成された混練押出機(以下「本混練押出機」という)は、プラスチック(高分子)材料を始めとしてその他各種材料の混練物を製造するための機械であり、それはいわば挽き臼で原料を磨り潰す原理を発展させたものと考えることができる。このような混練押出機は、連続捏和機、捏和押出機、連続捏和押出機などとも言われている(例えば、特開平8−183027号公報記載の混練押出機)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、主に、薬物の新規な安定化法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、本混練押出機により、薬物と高分子重合体とを一括して混練処理等を行うことにより、簡便に薬物を安定化させることを見出し、本発明を完成した。通常、薬物を高分子重合体に分散させると、薬物表面積の増大等により薬物は不安定になる傾向にあると思われるが、意外にも本発明によれば薬物を安定化させることができた。
【0007】
本発明の要旨は、本混練押出機に、少なくとも薬物と高分子重合体とを投入し、これらを一括して混練押出等の処理を行うことを特徴とする、薬物の安定化法にある。
【0008】
本混練押出機の具体例としては、次のものを挙げることができる。
(1)被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されているシリンダ部10とから構成されている混練押出機1であって、前記シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する可動部19に固定されて該可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られるもの。
【0009】
(2)被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成され、材料供給部2が前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる形状の先端部13a を有して該先端部13a が開口した供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を先端部13a に押し出すピストン部14とから構成されている混練押出機1であって、前記混練側シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動部19に固定されていると共に前記供給側シリンダ部13が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する供給側可動部20に固定されて混練側可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節すると共に供給側可動部20を往復動させて前記円板3の材料供給部側側面と前記供給側シリンダ部13の先端部13a 端面との間に形成される供給側隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られるもの。
【0010】
(3)被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成され、材料供給部2が前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる形状の先端部13a を有して該先端部13a が開口した供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13に回転可能に内設して前記回転軸6と同軸に前記円板3に固定されて供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を回転させながら先端部13a に押し出す移送スクリュウ軸36とから構成されている混練押出機1であって、前記混練側シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動部19に固定されて混練側可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られるもの。
【0011】
以下、本混練押出機の具体的形態を図面に基づき説明する。
(1)本混練押出機の具体的形態1
図1は本混練押出機に係る混練押出機を示した側面図、図2は図1に図示した混練押出機の平面図であり、図1において図2に示す供給側可動板及び混練側可動板は省略され、図1及び図2において供給側シリンダ部と混練側シリンダ部とは断面にて図示されている。また、図3は図1に図示した混練側シリンダ部の説明図であり、図3の(a)は混練側シリンダ部の縦断面図、図3の(b)は混練側シリンダ部の左側面図、図3の(c)は混練側シリンダ部の右側面図である。また、図4は図1に図示した円板の説明図であり、図4の(a)は円板の正面図、図4の(b)は円板の右側面図、図4の(c)は円板の左側面図、図4の(d)は図4の(c)に図示した円板のA−A線縦断面図である。さらに、図5は図2に図示した供給側可動板と混練側可動板とを往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。これらの図において、1は被混練材料を送り込む材料供給部2と該材料供給部2から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板3の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部4とが架台5の上に一連に横設されているバッチ式混練押出機である。
【0012】
前記材料混練部4は、前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、混練された被混練材料を排出する排出口7が先端部10a 側に設けられていると共に、円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられ、回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部10a の端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成されており、円柱状横穴開口部8は円板3が埋まってしまう深さに形成されて円柱状横穴開口部8の底面8aには、図3に示すように、前記筒状横穴9の開口を含んで走る放射状浅底溝8bが形成されている。
前記円板3は、図4に示すように、その中心部に回転軸6の嵌合後端部6b(図1参照)を嵌めて軸着する六角形軸孔3aが設けられており、円板3の両側面には、円板3の六角形軸孔3a近傍から放射状に広がる扇型浅底溝3bが複数形成されており、円板3の円周面には、該円周面を扇型浅底溝3bに向かって斜めに横断する複数の樋状浅底溝3cが間隔を有して形成されている。
【0013】
前記回転軸6は、図1及び図2に示すように、その先端部がモータ(図示せず。)に連結されて前記筒状横穴9に回転可能に内設できる径の連結回転軸部6cと、前記排出口7の径に納まる幅を有する周回括部6dを介して続く螺子型螺旋状スクリュウ6eを周設した、前記混練側シリンダ部10の先端部10a 側に納まる螺子型回転軸部6fと、該螺子型回転軸部6fに続く前記螺旋状スクリュウ6aを周設したスクリュウ回転軸部6gと、該スクリュウ回転軸部6gの後端に形成された六角頭の前記嵌合後端部6bとからなり、前記螺子型回転軸部6fの円周面には、回転軸6の長手方向と平行に螺子型回転軸部6fの両端に達しない長さの細溝6h(図2参照)が形成されており、両端から途中まで走る細溝6hと円周面の途中に形成された細溝6hとが間隔を有して重ならないように設けられている(なお、図2において、前記螺子型螺旋状スクリュウ6eは省略されている。)。
【0014】
そして、回転軸6の連結回転軸部6cを架台5に立設された混練部側固定アングル部11に設けた軸受12に通して連結回転軸部6cの先端部はカップリッグ等を介してモータに取付けられており、回転軸6の周回括部6dは排出口7に位置し、回転軸6の螺旋状スクリュウを周設した螺子型回転軸部6fとスクリュウ回転軸部6gとが筒状横穴9に内設され、回転軸6の嵌合後端部6bに嵌めた円板3が円柱状横穴開口部8に内設されている。
前記材料供給部2は、前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる円形状に形成された先端部13a を有し、該先端部13a から回転軸6を中心として該回転軸6の長手方向と同じ方向に形成されて両端が開口する被混練材料の送り出し用横穴型空洞部13b を設けた供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を先端部13a に押し出すピストン部14とから構成されており、供給側シリンダ部13の後部側上壁部には被混練材料を投入する開口部13c が形成されて該開口部13c にはホッパー15が取り付けられている。また、前記ピストン部14には円周面に螺子溝を形成した押し込み用ハンドル軸16が一体に設けられており、該ハンドル軸16は架台5に立設された供給部側固定アングル部17に設けられためねじ穴17a に螺着されてその後端部には手回ハンドル(図示せず。)が固定されている。
【0015】
さらに、図2に示すように、連結して一連に横設された混練側シリンダ部10と供給側シリンダ部13とを挟んで二本の支柱軸18,18が前記回転軸6の長手方向と平行に混練部側固定アングル11と供給部側固定アングル17とに架設されており、支柱軸18,18にはそれぞれ混練側可動板(混練側可動部)19,19と供給側可動板(供給側可動部)20,20とのその一端部が往復動可能に取り付けられ、その他端部が混練側可動板19,19においては、両側から断熱板21を介して混練側シリンダ部10の後端部10b にボルト(図示せず。)等で固定されており、供給側可動板20,20においては、両側から断熱板21を介して供給側シリンダ部13の後端部外周に形成された鍔部13d にボルト(図示せず。)等で固定されている。そして、両可動板19,20と二本の支柱軸18,18との連結箇所には混練側シリンダ部10を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動させる混練側可動機構22,22と供給側シリンダ部13を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動させる供給側可動機構23,23とがそれぞれ設けられている。
なお、図1及び図2において、24は混練側シリンダ部10の端面10c に設けられた軸受け、25は混練側シリンダ部10の端面10c と軸受け24との間に嵌着された混練物の漏れ止めリング、26は混練側シリンダ部10の後端部10b 端面に嵌着された被混練材料の剪断物漏れ止めリングである。また、混練側シリンダ部10と供給側シリンダ部13にはヒータが温度調節可能に取り付けられている。
【0016】
前記混練側可動機構22,22と供給側可動機構23,23とは対称に配置されており、同じ構成となっているので、図2において上側に配置された混練側可動機構22を例に採って可動機構22,23の構成を説明する。
混練側可動機構22は、図5に示すように、混練側可動板19に対して左側から支柱軸18に往復動可能に通して混練側可動板19に当接させたスペーサ27と、混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に円板3が納まっている状態において混練側可動板19の左側に位置付けられるように形成された支柱軸18周面の螺子溝18a にスペーサ27に当接するまで螺着した六角ナット28と、混練側可動板19に対して右側から支柱軸18に往復動可能に通して混練側可動板19に当接させた隙間調節螺子部29とから構成されており、隙間調節螺子部29は、六角頭30a と円周面に螺子溝30b を有する胴部30c とからなるボルト状固定部30と、円柱状横穴開口部8の底面8aと円板3の側面との間にできる混練側隙間幅を表す目盛りを円周面に刻印してなる、固定部30の胴部30c に螺着したツマミ部31とから構成されている。なお、供給側可動機構23におけるツマミ部31に刻印された目盛りは供給側シリンダ部13の先端部13a 端面と円板3の側面との間にできる供給側隙間幅を表している。また、32は六角頭30a に形成された止め螺子用雌ねじ穴であり、止め螺子33を雌ねじ穴32に支柱軸18に達するまで螺着することにより、固定部30が支柱軸18に固定される。
【0017】
次に、可動機構22,23の動作について説明する。
図2に示すように、混練側可動機構22,22の六角ナット28と止め螺子33とを緩めて円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接するまで混練側可動板19,19を往復動させて混練側シリンダ部10を矢印X方向へ移動し、円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接した状態で止め螺子33を締め込んで固定部30を支柱軸18,18に固定する。この後、被混練材料の種類に応じた前記混練側隙間幅を得るためにツマミ部31を回して混練側可動板19,19を矢印Y方向(矢印X方向とは逆方向)へ移動させ、所望の混練側隙間幅が形成された状態で六角ナット28を締め込んでスペーサ27を混練側可動板19,19に押し付けて該混練側可動板19,19を固定する。次いで、供給側可動機構23,23の六角ナット28と止め螺子33とを緩めて供給側シリンダ部13の先端部13a 端面が円板3の側面に当接するまで供給側可動板20,20を往復動させて供給側シリンダ部13を矢印Y方向へ移動し、供給側シリンダ部13の先端部13a 端面が円板3の側面に当接した状態で止め螺子33を締め込んで固定部30を支柱軸18,18に固定する。この後、被混練材料の種類に応じた前記供給側隙間幅を得るためにツマミ部31を回して供給側可動板20,20を矢印X方向(矢印Y方向とは逆方向)へ移動させ、所望の供給側隙間幅が形成された状態で六角ナット28を締め込んでスペーサ27を供給側可動板20,20に押し付けて該供給側可動板20,20を固定する。
【0018】
次に、混練押出機1の動作について説明する。
ホッパー15から供給側シリンダ部13の空洞部13bに被混練材料を投入した後、手回しハンドルを回してピストン部14によって被混練材料を供給側シリンダ部13の先端部13a に移送する。先端部13a に移送された被混練材料は供給側隙間にて、回転する円板3の供給側側面に押圧され、加熱により溶解しながら該側面に形成された浅底溝3bによって圧縮・剪断される。圧縮・剪断された被混練材料が円板3の浅底溝3cを通る際に円柱状横穴開口部8の側壁との間でさらに圧縮・剪断され、混練されながら円板3の混練側側面に形成された浅底溝3bに達し、混練側隙間にて円柱状横穴開口部8の底面8aに形成された放射状浅底溝8bとの間で圧縮・剪断及び混練されながら該放射状浅底溝8bを通過して回転軸6の螺旋状スクリュウ6aによって混練側シリンダ部10の先端部10a に送られ、回転軸部6fによってさらに混練された後、周回括部6dを通って排出口7から排出される。
【0019】
該具体的形態1では、混練側シリンダ部10を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動板19,19に固定する共に、混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に供給側シリンダ部13の先端部13a を往復動可能に挿入した状態で該供給側シリンダ部13を回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する供給側可動板20,20に固定し、混練側可動機構22,22によって混練側可動板19,19を往復動させて円板3の回転軸側側面と円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節すると共に、供給側可動機構23,23によって供給側可動板20,20を往復動させて円板3の材料供給部側側面と供給側シリンダ部13の先端部13a 端面との間に形成される供給側隙間を調節するようにしたので、被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いを得ることができ、回転円板を複数設けなくても混練度を向上させることができ、これにより、混練側シリンダ部10を短くすることができる。
【0020】
また、混練側可動機構22,22の六角ナット28を緩めて混練側可動板19,19を矢印Y方向に向かって移動させれば、回転軸6の螺子型回転軸部6f及びスクリュウ回転軸部6gと円板3とが混練側シリンダ部10から抜かれて剥き出しになるので、円板3と回転軸6とを容易に清掃することができる。
なお、円板3の周面に形成された浅底溝3b,3cは、該周面に突起部を形成することによりできる谷間状溝であってもよい。また、回転軸6は周回括部6dまで螺旋状スクリュウ6aが周設されているものであってもよい。
【0021】
(2)本混練押出機の具体的形態2
図6は本実施の形態に係る混練押出機を示した平面図であり、供給側シリンダ部と混練側シリンダ部とは断面にて図示されている。また、図7は図6に図示した軸受部を説明する縦断面図、図8は図6に図示した混練側可動板を往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。
図6に示す混練押出機は連続式混練押出機であり、図1〜図5と同一符号は同一又は相当部分を示し、材料混練部4における回転軸6には螺旋状スクリュウ6aが周設されてその先端部は螺旋状スクリュウ6aの外径より小さい径の小軸部34(図7参照)となっており、該小軸部34は混練側シリンダ部10の端面10c に固定された軸受部35に内包して軸着されている。また、材料供給部2においては、回転軸6と同軸に円板3に固定されて供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を回転させながら先端部13a に押し出す移送スクリュウ軸36が回転可能に供給側シリンダ部13に内設されており、移送スクリュウ軸36には、被混練材料を該移送スクリュウ軸36に送り込む噛合いスクリュウ軸37が螺合して設けられており、移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37とは供給側固定アングル部17を介してギヤボックス38に連結され、ギヤボックス38内のギヤ系39を介してモータ軸40に連結されている。また、混練側シリンダ部10は混練側可動板19,19に固定されて混練側可動機構22,22を介して支柱軸18,18に往復動可能に取り付けられている。そして、供給側隙間を設けた状態で供給側シリンダ部13の先端部13a が混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に往復動可能に挿入されており、材料供給部2と材料混練部4とが一連に横設されている。
【0022】
前記軸受部35は、図7に示すように、回転軸6の長手方向と平行に円周面の途中まで形成された案内溝41a と該案内溝41a の終端から端面に向かって開口した孔状溝41b とが形成されて回転軸6の小軸部34に螺旋状スクリュウ6aとの間に隙間を設けて固定された混練物案内リング41と、小軸部34に案内リング41を固定した状態で内設して回転・往復動できる広さの円柱状軸着開口部42a と該軸着開口部42a の底面がすり鉢状に形成されて先端に向かって開口した排出口7とを設けたスクリュウ受部42と、すり鉢状底面を塞いで円柱状軸着開口部42a に嵌めた無数を孔を有するレンコン型ブレーカープレート43とから構成されている。
前記混練側可動機構22,22は、図8に示すように、混練側シリンダ部10の円柱状横穴開口部8に円板3が納まっている状態において混練側可動板19を含む位置から左側の支柱軸18端面まで形成された螺子溝18a に螺着した六角ナット28と、混練側可動板19に対して右側から支柱軸18に往復動可能に通して混練側可動板19に形成された嵌合穴44に嵌めた外周面に鍔部45a を有する筒状スライダー45と、該筒状スライダー45に当接させた隙間調節螺子部29とから構成されている。
【0023】
なお、46はヒータ、47は漏れ止めリング26を固定する固定リング、48は供給部側固定アングル部17を架台5に固定したボルトである。
次に、可動機構22の動作について説明する。
混練側可動機構22,22の六角ナット28と止め螺子33とを緩め、図6に示すように、円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接するまで混練側可動板19,19を往復動させて混練側シリンダ部10を矢印X方向へ移動かし、円柱状横穴開口部8の底面8aが円板3の側面に当接した状態で止め螺子33を締め込んで固定部30を支柱軸18,18に固定する。この後、図8に示すように、被混練材料の種類に応じた前記混練側隙間幅を得るためにツマミ部31を回して混練側可動板19,19を矢印Y方向(矢印X方向とは逆方向)へ移動させ、所望の混練側隙間幅が形成された状態で六角ナット28を締め込んで混練側可動板19,19を固定する。
前記軸受部35においては、混練側可動板19,19を矢印X,Y方向へ往復移動させることにより、回転軸6の小軸部34に固定された案内リング41がスクリュウ受部42の軸着開口部42a 内を往復動する。
【0024】
次に、混練押出機1の動作について説明する。
ホッパー15から移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37との螺合位置に向かって被混練材料を投入すれば、お互いに内向きに回転している移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37とによって供給側シリンダ部13の先端部13a に移送される。先端部13a に移送された被混練材料は供給側隙間にて、回転する円板3の供給側側面に押圧され、加熱により溶解しながら該側面に形成された浅底溝3bによって圧縮・剪断される。圧縮・剪断された被混練材料が円板3の浅底溝3cを通る際に円柱状横穴開口部8の側壁との間でさらに圧縮・剪断され、混練されながら円板3の混練側側面に形成された浅底溝3bに達し、混練側隙間にて円柱状横穴開口部8の底面8aに形成された放射状浅底溝8bとの間で圧縮・剪断及び混練されながら該放射状浅底溝8bを通過して回転軸6の螺旋状スクリュウ6aによって混練側シリンダ部10の先端部10a に送られ、小軸部34の案内溝41a と孔状溝41b とを通ってブレーカープレート43の孔を通過した後、排出口7から排出される。
【0025】
該具体的形態2では、供給側隙間を調節できないが、混練側隙間を調節することができ、混練側可動機構22,22の六角ナット28を緩めることにより回転軸6が混練側シリンダ部10から抜かれて剥き出しになるので、前記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、移送スクリュウ軸36と噛合いスクリュウ軸37とがお互いに外向きに回転するものであってもよく、回転軸6が二軸スクリュウより構成されているものであってもよい。さらに、噛合いスクリュウ軸37は設けず、移送スクリュウ軸36の一軸スクリュウで移送するようにしてもよい。
【0026】
本発明で用い得る高分子重合体は特に制限されないが、医薬上許容される水溶性高分子重合体が好ましい。例えば、セルロース誘導体、合成高分子重合体、天然高分子重合体(多糖類)又はその誘導体、及びデンプン類を挙げることができる。具体的には下記のような高分子重合体を挙げることができる。
【0027】
1.セルロース誘導体
メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;例、HPMC2208(メトローズ(登録商標、以下同じ)90SH、SB−4)、同2906(メトローズ65SH)、同2910(メトローズ60SH、TC−5(登録商標、以下同じ))など)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS;例、AQOAT(登録商標)L、同M、同H)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP;例、HPMCP220824(HP50)、同220731(HP55))、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)。
【0028】
2.合成高分子重合体
ポリビニルピロリドン(PVP;例、コリドン(登録商標、以下同じ)K30、同K60、同K90)、N−ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体(例、コリドンVA64)、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシビニルポリマー(ポリアクリル酸;例、カーボポール(登録商標)、ハイビスワコー(登録商標))、ポリエチレングリコール(マクロゴール;例、PEG4000、同6000)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(プルロニック(登録商標)、PEP101)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、メタアクリル酸コポリマー(例、オイドラギット(登録商標、以下同じ)L30D−55、同L100−55、同L100、同S100)、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(例、オイドラギットE100)、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(例、オイドラギットRS30D、同RS100、同RL30D、同RL100)。
【0029】
3.天然高分子重合体(多糖類)又はその誘導体
アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天、ゼラチン、トラガント、キサンタンガム。
4.デンプン類
デンプン(例、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉)、デキストリン、α化デンプン(例、アミコール(登録商標)、マツノリン(登録商標))、カルボキシメチルスターチナトリウム(例、プリモジェル(登録商標)、エキスプロタブ(登録商標))、プルラン、部分α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ(HPS)。
【0030】
本発明に用い得る薬物としては、特に制限されないが、一般に空気中で不安定と言われる、昇華性薬物、揮発性薬物、易加水分解性薬物(例えば、水溶液状態で30℃下保存した場合、10日間で10%以上加水分解する薬物)、ホイスカー発生薬物、及び吸湿性又は潮解性薬物に対して特に有効である。具体的には下記のような薬物を挙げることができる。
【0031】
1.昇華性薬物
ソジウム 1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネート、L−メントール、パラホルム、トリメタジオン、カンフル、ナフタレン。
2.揮発性薬物
ケイヒアルコール、アネトール、オイゲノール、ケイヒ油、ユーカリ油、レモン油、ウイキョウ油、チョウジ油、ハッカ油。
3.易加水分解性薬物
アセチルサリチル酸、塩酸ピペサネート、塩酸L−エチルシステイン、臭化ピリドスチグミン、パントテン酸カルシウム、メピチオスタン、ペントバルビタールナトリウム、トリクロルイソシアヌール酸。
【0032】
4.ホイスカー発生薬物
エテンザミド、カフェイン、アセトアミノフェン、ブロムワレリル尿素、塩酸クロフェダノール。
5.吸湿性又は潮解性薬物
バルプロ酸ナトリウム、シアノコバラミン、クエン酸ジエチルカルバマジン、イソソルビド、ジクロフェナックナトリウム、メシル酸ベタヒスチン、塩化カルプロニウム、塩酸トラゾリン、塩酸レセルピリン酸ジメチルアミノエチル、カルバコール、コリンテオフィリン、サリチル酸コリン、シチコリン、臭化ヘキサメトニウム、銅クロロフィリンナトリウム、パンテノール、リン酸デキサメタゾンナトリウム、エキス類(例えば、ウラジロガシエキス、アカメガシワエキス、スギナエキス)、塩酸プロカインアミド、L−プロリン、塩化カルシウム。
【0033】
なお、吸湿性薬物、例えばバルプロ酸ナトリウムに対しては、高分子重合体としてポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが好ましく、マンニトールやキシリトール、エリスリトールなどの糖アルコールをさらに加えると、より好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】
本発明は、一般的には、それぞれ所定量の高分子重合体、薬物、及び所望により他の添加剤のような被混練材料の予備混合物(被混練材料の単純混合物あるいは物理的混合物)を本混練押出機に投入するか、又は予備混合なしに個々の被混練材料を材料供給機等により同時かつ定量的に本混練押出機に投入し、使用する本混練押出機の機能に基づいて一括して圧縮、剪断、混練、押出等の処理を行うことにより実施することができ、薬物を安定化させることができる。
使用する高分子重合体と薬物との配合比率は、使用する高分子重合体や薬物の種類などにより異なるが、一般的には、重量比にして当該薬物に対して少なくとも0.1〜100倍量の高分子重合体を用いるのが適当である。0.2〜20倍量がより好ましい。
【0035】
吸湿性薬物をポリビニルアルコール(PVA)で安定化する場合には、重量比として吸湿性薬物に対して0.2〜50倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが適当であり、0.5〜10倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが、より好ましい。吸湿性薬物であるバルプル酸ナトリウムをポリビニルアルコール(PVA)で安定化する場合も、重量比としてバルプル酸ナトリウムに対して0.2〜50倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが適当であり、0.5〜10倍量のポリビニルアルコール(PVA)を用いるのが、より好ましい。
【0036】
他の添加剤としては、お互い重複する化合物を含み得るが、例えば、増量剤、軟化剤、流動剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、安定化剤、香料、可溶化剤、吸着剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤、緩衝剤、矯味剤、防湿剤、甘味剤、発泡剤、崩壊補助剤、保存剤、清涼剤を挙げることができる。これらを適当量配合することができる。
【0037】
増量剤としては、例えば、乳糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、D−マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リン酸水素カルシウムを挙げることができる。軟化剤としては、例えば、水(水道水、蒸留水、精製水、生理食塩水等の等張化水、中性若しくは酸性若しくは塩基性緩衝液、又はアンモニア水等)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、ヘキサン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素、エーテル類、ケトン類等に代表される溶媒;エリスリトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、イノシトール、マルチトール、アラビトール、ズルシトールなどの糖アルコール;クエン酸トリエチル、トリアセチン、プロピレングリコール、Span類、Tween類を挙げることができる。流動剤としては、例えば、ステアリン酸などの長鎖脂肪酸;長鎖(C10〜22)脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド;カルナバロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリルアルコール等の高級脂肪アルコール、セタノールなどのワックス;レシチン、ラウリル硫酸ナトリウムを挙げることができる。滑沢剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルクを挙げることができる。崩壊剤としては、例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、カルメロース、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム(プリモジェル)、部分アルファ化澱粉を挙げることができる。着色剤としては、例えば、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、酸化チタン、タール色素を挙げることができる。安定化剤としては、例えば、アスコルビン酸、安息香酸を挙げることができる。香料としては、例えば、1−メントール、オレンジエキスを挙げることができる。
【0038】
被混練材料の予備混合物は、常法通り、例えば、ニーダーミキサー、V型混合機、二重円錐型混合機、立方体型混合機、リボン型混合機などの機械や手動によって被混練材料を単純に混合することにより得ることができる。
被混練材料の予備混合物の本混練押出機への投入は、手動により、又は適当な材料供給機、例えば、スクリューフィーダー、テーブルフィーダー、ベルトコンベア式定量供給機、電磁フィーダーによって行うことができる。また、これら材料供給機は、予備混合物を本混練押出機に投入するのみならず、個々の被混練材料を同時かつ定量的に投入する場合にも用いることができる。
【0039】
被混練材料の処理温度は、用いる高分子重合体や薬物、他の添加剤の種類や配合比率、使用する本混練押出機の種類(特に回転円板や固定円板の形状特性)、処理スピードなどによって異なるが、被混練材料のガラス転移温度以上ないし軟化温度以上であることが望ましい。ガラス転移温度ないし軟化温度よりも低い温度でも、用いる高分子重合体や薬物等の種類や配合比率等によっても本発明を実施しうる場合がある。なお、被混練材料は、回転円板部に到るまでに少なくとも前記処理温度近くに到達している方が好ましい。また、被混練材料が回転円板部を通過した後、押し出されるまでにおいても被混練材料の軟化温度近くの温度が維持される方が好ましい。
処理速度(スクリュの回転数)は、使用する本混練押出機の種類(特に回転円板と固定円板の形状特性)、被混練材料、処理温度等によって適宜使用する本混練押出機の許容範囲内で設定することができる。具体的には5rpm 以上が適当であり、10〜300rpmが好ましい。
【0040】
排出口から押し出されてきた混練押出物は、適当な裁断機、例えば、ローラー型解砕機、カッターミル、ピンミル等で所望の長さに裁断することができる。この裁断されたものは、そのまま又は乾燥して粒状の医薬品製剤とすることができる。なお、排出口の形状は、特に制限されず、例えば、円形、三角形や四角形、六角形等の多角形、星形を挙げることができる。排出口の口径は、0.5〜5mmが適当である。
上記粒状物をカプセル等に詰めれば、カプセル製剤とすることができ、圧縮成形すれば錠剤とすることができる。
また、粒状物にコーティング処理などを施したもの又は粒状物若しくはそれをコーティング処理したものをカプセルに詰めるなどすることもできる。これにより医薬品製剤の強度を更に向上させることができ、また医薬品の安定性を高めることができる。
当然ながら、上記製剤化においては、種々の医薬上許容される添加剤や高分子化合物を適宜配合して行うことができる。
【0041】
【実施例】
次に、実施例、比較例、試験例を掲げて、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものではないことは言うまでもない。なお、以下の実施例は、図1及び図2に示すバッチ式混練押出機1を使用して行った。
【0042】
実施例1
ソジウム 1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネート0.5gに対しコーンスターチ50gを単純に混合し、乳鉢で攪拌しながら、10w/w%のポリビニルピロリドン(PVP、ポリプラスドン(登録商標)K90、五協産業社製)水溶液10gを添加した。この予備混合物を、直径50mm、幅20mmの円板(材質:窒化処理したSACM645 )3と、直径20mm、螺旋状スクリュウ6aと螺子型回転軸部6fとを合わせた長さ 100mmの回転軸(材質:窒化処理したSACM645 )6と、排出口7の径2mm とを備えたバッチ式混練押出機(混練側シリンダ部の材質:窒化処理したSACM645 、供給側シリンダ部の材質:窒化処理したSACM645 )1を使用し、条件を回転数20rpm,混練側シリンダ部10の温度60℃,供給側シリンダ部13の温度50℃とし、それぞれ混練側隙間2mm,供給側隙間2mmで処理した。得られた混練押出物は、45℃で乾燥後、クアドロ・コーミル(QC−197S型、パウレック社製、以下同じ)を用いて製粒し、得られた顆粒を物性評価の試料とした。
【0043】
実施例2
バルプロ酸ナトリウム20gに対しポリビニルアルコール(PVA、ゴーセノール(登録商標)EG−05、日本合成化学社製、以下同じ)14g、エリスリトール4g、軽質無水ケイ酸(アエロジル(登録商標)200、以下同じ)2gを単純に混合した。この予備混合物を、実施例1と同じバッチ式混練押出機1を使用し、条件を回転数20rpm,混練側シリンダ部10の温度170℃,供給側シリンダ部13の温度160℃とし、それぞれ混練側隙間2mm,供給側隙間2mmで処理した。
実施例3
アセチルサリチル酸30g、ポリエチレングリコール(PEG6000)12g、ステアリン酸6g、軽質無水ケイ酸6g、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC、LH−11、信越化学、以下同じ)6gの予備混合物を用い、供給側シリンダ部13の温度を55℃、混練側シリンダ部10の温度を60℃とした以外は実施例2と同様に処理した。得られた混練押出物は、クアドロ・コーミルを用いて製粒し、得られた顆粒を物性評価の試料とした。
【0044】
実施例4
酸化マグネシウム30g、ポリビニルアルコール12g、エリスリトール12g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6g、及び水溶性色素である青色1号60mgの予備混合物を用い、供給側シリンダ部13の温度160℃、混練側シリンダ部10の温度を170℃とした以外は実施例2と同様に処理した。得られた混練押出物は、クアドロ・コーミルを用いて製粒し、得られた顆粒を物性評価の試料とした。
【0045】
比較例1
アセチルサリチル酸30gに対しポリエチレングリコール(PEG6000)12g、ステアリン酸6g、軽質無水ケイ酸6g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6gを単純に混合した。この混合末に対して、水10w/w%を添加し、乳鉢内で練合した。得られた練合物を、45℃で乾燥後、クアドロ・コーミルで整粒した。得られた顆粒を比較用の試料とした。
比較例2
酸化マグネシウム30gに対しポリビニルアルコール12g、エリスリトール12g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース6g、及び水溶性色素である青色1号60mgを単純に混合した。この混合末に対して、水10w/w%を添加し、乳鉢内で練合した。得られた練合物を、45℃で乾燥後、クアドロ・コーミルで整粒した。得られた顆粒を比較用の試料とした。
【0046】
試験例1 ソジウム1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネートの安定性
実施例1で得られた顆粒(本発明実施品)と、実施例1における予備混合物の45℃乾燥物とを50℃の条件下、開放状態で保存し、製剤中のソジウム 1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネートの含有量を測定することによって、安定性を評価した。なお、定量はHPLC法により、検出波長285 nmにおける吸光度を測定することにより行った。その結果を図9に示す。
図9から明らかなように、本発明実施品は、50℃の苛酷条件下で長期間保存しても、充分に薬物が安定化された。
【0047】
試験例2 バルプロ酸ナトリウムの安定性
実施例2で得られた顆粒(本発明実施品)5gと、実施例2における予備混合物5gとを各々ガラス製シャーレに入れ、これを40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下に2週間保存し、吸湿状況を観察した。その結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
本発明実施品は、40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下に保存しても、外観上吸湿性が抑制され、充分に薬物が安定化された。
【0050】
試験例3 アセチルサリチル酸の安定性
実施例3で得られた顆粒10g及び実施例4で得られた顆粒2.5gの混合顆粒(本発明実施品)と、比較例1で得られた顆粒10g及び比較例2で得られた顆粒2.5gの混合顆粒(比較品)を40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下、開放状態で保存し、製剤中のアセチルサリチル酸の含有量を測定することによって、安定性を評価した。なお、定量はHPLC法により、検出波長237nmにおける吸光度を測定することにより行った。その結果を図10に示す。
図10から明らかなように、本発明実施品は、40℃75%RH(相対湿度)の加湿条件下に保存しても、充分に薬物が安定化された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る混練押出機を示した側面図である。
【図2】図1に図示した混練押出機の平面図である。
【図3】図1に図示した混練側シリンダ部の説明図である。
【図4】図1に図示した円板の説明図である。
【図5】図2に図示した供給側可動板と混練側可動板とを往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。
【図6】本発明の実施の形態2に係る混練押出機を示した平面図である。
【図7】図6に図示した軸受部を説明する縦断面図である。
【図8】図6に図示した混練側可動板を往復動させる可動機構を説明する縦断面図である。
【図9】ソジウム1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネートの安定化に関する結果を示す。縦軸は当該薬物の残存率(%)、横軸は保存時間(日)を表す。−○−は薬物原末の結果を、−△−は実施例1における予備混合物の45℃乾燥物の結果を、−□−は実施例1で得られた顆粒(本発明実施品)の結果を、それぞれ表す。
【図10】アセチルサリチル酸の安定化に関する結果を示す。縦軸は当該薬物の残存率(%)、横軸は保存時間(日)を表す。−○−は比較例1で得られた顆粒及び比較例2で得られた顆粒の混合顆粒(比較品)の結果を、−□−は実施例3で得られた顆粒及び実施例4で得られた顆粒の混合顆粒(本発明実施品)の結果を、それぞれ表す。
【符号の説明】
1 混練押出機(バッチ式混練押出機、連続式混練押出機)
2 材料供給部
3 円板
4 材料混練部
6 回転軸
7 排出口
8 円柱状横穴開口部
10 混練側シリンダ部
13 供給側シリンダ部
18 支柱軸
19 混練側可動板
20 供給側可動板
22 混練側可動機構
23 供給側可動機構
29 隙間調節螺子部
30 固定部
31 ツマミ部
36 移送スクリュウ軸
Claims (16)
- 被混練材料を円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送して混練物を製造するものであって、シリンダ内で回転してその軸方向に流体を移送するように外周部にスクリュウを形成した回転軸に対して回転円板をその中心部で固着し、この円板の少なくとも片方の面には山と谷とを交互に放射状に形成し、この面に対向させて同軸に固定円板をシリンダに固着させ、かつ前記回転軸との間に隙間が形成されるように配置すると共にこの固定円板の回転円板に対する面にも山と谷とを交互に放射状に形成し、固定円板と回転軸との間を通って送り込まれた流体は両円板の谷間で両円板の境界線部によって外周方向に押し出され、回転円板の外周とシリンダ内面との間を送り出されるように構成された混練押出機に、少なくとも薬物と高分子重合体とを投入し、これらを一括して混練押出等の処理を行うことを特徴とする、薬物の安定化法。
- 混練押出機が、被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されているシリンダ部10とから構成されている混練押出機1であって、前記シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する可動部19に固定されて該可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られことを特徴とするものである、請求項1記載の方法。
- 混練押出機が、被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成され、材料供給部2が前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる形状の先端部13a を有して該先端部13a が開口した供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を先端部13a に押し出すピストン部14とから構成されている混練押出機1であって、前記混練側シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動部19に固定されていると共に前記供給側シリンダ部13が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する供給側可動部20に固定されて混練側可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節すると共に供給側可動部20を往復動させて前記円板3の材料供給部側側面と前記供給側シリンダ部13の先端部13a 端面との間に形成される供給側隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られることを特徴とするものである、請求項1記載の方法。
- 混練押出機が、被混練材料を送り込む材料供給部と該材料供給部から送り込まれた被混練材料を周面に浅底溝を有する円板の回転により圧縮・剪断して螺旋状スクリュウの回転により螺旋移送する材料混練部とが一連に横設されており、材料混練部4が前記螺旋状スクリュウ6aを周設した回転軸6と、材料供給部2側に位置付けられて材料供給部2から送り込まれた前記被混練材料を圧縮・剪断して混練しながら回転軸6側へ移送する該回転軸6と同軸に固定された該回転軸6より大径の一枚の前記円板3と、該円板3を内設して回転できる広さに形成された円柱状横穴開口部8が後端部10b に設けられて前記回転軸6を内設して回転できる広さの筒状横穴9が円柱状横穴開口部8の底面8aから先端部端面10c に向かって形成されている混練側シリンダ部10とから構成され、材料供給部2が前記円柱状横穴開口部8に往復動可能に嵌まる形状の先端部13aを有して該先端部13a が開口した供給側シリンダ部13と、該供給側シリンダ部13に回転可能に内設して前記回転軸6と同軸に前記円板3に固定されて供給側シリンダ部13内に投入された被混練材料を回転させながら先端部13a に押し出す移送スクリュウ軸36とから構成されている混練押出機1であって、前記混練側シリンダ部10が前記回転軸6の長手方向と同一方向に往復動する混練側可動部19に固定されて混練側可動部19を往復動させて前記円板3の回転軸側側面と前記円柱状横穴開口部8の底面8aとの間に形成される混練側隙間を調節することによって前記被混練材料の種類に応じた圧縮・剪断度合いが得られることを特徴とするものである、請求項1記載の薬物の安定化法。
- 薬物が、昇華性薬物、揮発性薬物、易加水分解性薬物、ホイスカー発生薬物、又は吸湿性若しくは潮解性薬物である、請求項1〜4のいずれかに記載の薬物の安定化法。
- 昇華性薬物が、ソジウム 1,4−ジメチルイソプロピルアズレン−3−スルホネート、L−メントール、パラホルム、トリメタジオン、カンフル、及びナフタレンからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項5記載の薬物の安定化法。
- 揮発性薬物が、ケイヒアルコール、アネトール、オイゲノール、ケイヒ油、ユーカリ油、レモン油、ウイキョウ油、チョウジ油、及びハッカ油からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項5記載の薬物の安定化法。
- 易加水分解性薬物が、アセチルサリチル酸、塩酸ピペサネート、塩酸L−エチルシステイン、臭化ピリドスチグミン、パントテン酸カルシウム、メピチオスタン、ペントバルビタールナトリウム、及びトリクロルイソシアヌール酸からなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項5記載の薬物の安定化法。
- ホイスカー発生薬物が、エテンザミド、カフェイン、アセトアミノフェン、ブロムワレリル尿素、及び塩酸クロフェダノールからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項5記載の薬物の安定化法。
- 吸湿性又は潮解性薬物が、バルプロ酸ナトリウム、シアノコバラミン、クエン酸ジエチルカルバマジン、イソソルビド、ジクロフェナックナトリウム、メシル酸ベタヒスチン、塩化カルプロニウム、塩酸トラゾリン、塩酸レセルピリン酸ジメチルアミノエチル、カルバコール、コリンテオフィリン、サリチル酸コリン、シチコリン、臭化ヘキサメトニウム、銅クロロフィリンナトリウム、パンテノール、リン酸デキサメタゾンナトリウム、エキス類、塩酸プロカインアミド、L−プロリン、及び塩化カルシウムからなる群から選ばれる少なくとも一つである、請求項5記載の薬物の安定化法。
- 高分子重合体が、医薬上許容される高分子重合体である、請求項1〜4のいずれかに記載の薬物の安定化法。
- 高分子重合体が、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシメチルセルロース(HMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)で代表されるセルロース誘導体;ポリビニルピロリドン(PVP)、N−ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシビニルポリマー(ポリアクリル酸)、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリエチレンオキサイド(PEO)、メタアクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーで代表される合成高分子重合体;アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、寒天、ゼラチン、トラガント、キサンタンガムで代表される天然高分子重合体(多糖類)若しくはその誘導体;デンプン、デキストリン、α化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プルランで代表されるデンプン類である、請求項11記載の薬物の安定化法。
- 薬物が吸湿性薬物であり、高分子重合体がポリビニルアルコールである、請求項1〜4のいずれかに記載の薬物の安定化法。
- 吸湿性薬物がバルプロ酸ナトリウムである、請求項13記載の薬物の安定化法。
- 少なくとも吸湿性薬物とポリビニルアルコールとを、請求項1〜4のいずれかに記載の混練押出機に投入し、一括して混練押出等の処理を行うことにより製造されることを特徴とする、吸湿性薬物とポリビニルアルコールとを必須構成成分とする医薬組成物。
- 吸湿性薬物がバルプロ酸ナトリウムである、請求項15記載の医薬組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002187913A JP2004026750A (ja) | 2002-06-27 | 2002-06-27 | 薬物の安定化法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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