JP2004025231A - 溶接管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】Wベンド方式を採用し、特にロールの兼用を図った縁曲げ工程を有するロール成形方法において、縁曲げ工程の下サイドロールの局部的な磨耗によるロール寿命が短くなる問題を解消する。
【解決手段】下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更することでロール寿命の延長が可能であり、例えば帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更できる。
【選択図】 図3
【解決手段】下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更することでロール寿命の延長が可能であり、例えば帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更できる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロール成形による溶接管の製造法、特にWベンド方式を採用して端部をロール成形する縁曲げ工程の改良に係り、下ロールの成形面を下り傾斜面となしかつ下ロール、中央ロール、上ロールのいずれかを位置調整して帯材の端部が接触する位置を、該傾斜面上で順次ずらすことにより、当該下ロールの寿命を大幅に延長し、ロール交換が少なく生産効率よく溶接管を製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロール成形による溶接管、特に一般的な溶接鋼管の製造プロセスにおいては、突合せ溶接部となる帯鋼端部の成形形態は、溶接品質に多大な影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
そのため、ロール成形プロセスには、通常、帯鋼端部の良好な成形を目的とする縁曲げ工程が設けられる。しかし、曲げモーメントを加え難い帯鋼端部は、それを充分に成形するために種々の工法が採られるが、一般に図1に示すごときWベンド方式を用いることが多い。
【0004】
しかし、従来のロール成形方法では、少なくとも成形製品の外径寸法毎に異なるロールを用いなければならない。そこで、特公平3‐12977号公報では、伸開曲線をロールカリバーとして帯鋼との当接位置を選択することでロールを兼用可能にWベンド方式の成形が実施できることを開示し、煩雑なロール交換作業を無くすことを可能とした。
【0005】
さらに、特開2000−288633号公報では、伸開曲線のロールカリバーに加え、沿い曲げという新しい曲げ方式を採用し、強い成形機能と柔軟なロール兼用化との両立が可能とした。
【0006】
この沿い曲げ方法によれば、縁曲げ工程のロール配置と成形形態は図2のようである。つまり、目標成形領域である帯鋼1端部を上(凸)ロール5,6表面に沿わせることによって、上ロール5,6表面の曲率分布を帯鋼1端部に複写(転写)するものである。異なる製品サイズに対しては、製品内面の曲率に応じて、伸開曲線である上ロールカリバーから適切な曲率分布を有する部分を選んで帯鋼1端部に当てることで対応できる。
【0007】
一方、下ロール3,4のサイドロールは帯鋼1幅に応じて水平方向に移動し、上ロール5,6の位置に合わせて、目標成形領域の外側境界において最小ロールギャップ、すなわちピンチポイント(Pinch‐point)を一ヵ所形成し帯鋼1を拘束することで、帯鋼1に上記の沿い曲げを実施可能にしかつ所要の推力を与えることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した沿い曲げ方法は、成形機能を確保しながら、突合せ溶接にとって最も重要な縁曲げ工程のロール兼用化を実現した。しかし、帯鋼端部の成形を対象とするため、下サイドロール面が帯鋼の鋭い縁角と直接接触するため、局部的な摩耗は他のロールより遥かに速く進行する。
【0009】
摩耗がある程度まで進行すると、ロールの拘束形態、ひいては帯鋼端部の成形状態が大きく変化し、適正な突合せ形状を得られなくなる。このような場合は、通常、ロール表面を研磨し元のカリバー形状に戻すことが行われる。
【0010】
しかし、ロール兼用の場合は、ロールの周辺に位置調整装置などが設けられており、ロールをロールスタンドから外すための分解作業と研磨後の復帰作業は、従来型ミルの場合よりも煩雑で多くの工数を要する。言うまでもなく、研磨が頻繁に必要となると、ロール兼用化の本来の効果が得られなくなる。
【0011】
対策の一つとしては、下サイドロールに超硬合金など通常のダイス鋼より耐摩耗性の優れた材料を使用し、摩耗の進行を緩和することがある。ところが、かかる材料は高価な上、その製造可能な寸法にも制約があり、例えば、通常ロール径が500mmを超えると、超硬合金のロールの製作は非常に困難となり、大型ミルのロールには適用できない。
【0012】
この発明は、上述の問題に鑑み、Wベンド方式を採用し、特にロールの兼用を図った縁曲げ工程を有するロール成形方法において、縁曲げ工程の下サイドロールの局部的な摩耗によるロール寿命が短くなる問題を解消できる溶接管の製造方法の提供を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、縁曲げ工程の下サイドロールの局部的な摩耗とロール寿命の延長について種々検討した結果、下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更することでロール寿命の延長が可能であり、例えば帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更できることを知見し、この発明を完成した。
【0014】
すなわち、この発明は、溶接管をロール成形プロセスにて製造するに際し、帯材の中央部を中央下ロールで持ち上げて帯材断面をWベンドとなし、かつ上ロールと下ロールで帯材の端部をロール成形する縁曲げ工程で、前記下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更可能にしたことを特徴とする溶接管の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明は、縁曲げ工程で予め設定する成形時のロール配置を、下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更できるように、再定義することにより、摩耗したロール部位を避けて新たな部位を利用可能にして、ロール研磨の頻度を減らす方法として提案するものである。
【0016】
沿い曲げ方法による縁曲げを実施するためのロール配置を説明すると、図3Aに帯鋼1の左半分を示すごとく、中央下ロール2で帯鋼1の中央部を持ち上げて下サイドロール3と上ロール5で帯鋼1の縁端を成形するWベンド方式を採用し、前述した図2の構成と同様に、下サイドロール3はその成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯鋼1は縁端のあるピンチポイントで下サイドロール3と上ロール5で挟み、帯鋼1の幅方向の目標成形領域は上ロール5に沿わせて成形する構成である。
【0017】
ここで、図3Aに示すように、下サイドロール3のカリバーにおいて、帯鋼1の縁角と接触する領域αの摩耗が酷くなった時に、帯鋼の縁角と領域αが幅方向に完全にずれるように、下サイドロール3を外側または内側へSの距離で水平移動する。また同時に、中央下ロール1と下サイドロール3との相対高さも下サイドロール1の移動方向に応じてH=S×sinθの量で調整する。このように定義した新しいロール配置では、帯鋼1に対するロールの拘束形態が先に設定した旧配置のそれと全く同じとなる。
【0018】
上記のようなロール配置の再定義は、下サイドロール3のカリバーが直線状かそれに近い曲線であることを前提とする。すなわち、沿い曲げまたはそれに近い曲げ方式を使用すれば、この前提は容易に満足できる。
【0019】
また、同じ配置を用いる各種製品の成形において、帯鋼の縁角と接するサイドロールの部位はカリバーの全域に分散するのではなく、予め設定した一定の範囲内に集約することが好ましい。これも適切なロールフラワーの設計により容易に実現できる。
【0020】
前述の再定義において、帯材の端部が接触する該下サイドロール3の傾斜面上の部位を変更するには、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、上ロールの上下方向及び/又は帯材幅方向と帯材に対する当接方向、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更することができる。また、さらには下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整のみで実施すること、中央下ロールの上下方向の位置調整のみで実施すること、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更することもできる。
【0021】
この発明による効果は、鋼管を初めとする各種材質の溶接管の製造方法、Wベンド方式を採用する縁曲げ工程を有する公知のいずれのロール成形方法でも得られるが、最も有効に発揮できるロール成形方法は、上ロールと下ロールで帯材の端部をロール成形する縁曲げ工程が、上下一対のロールで帯材を挟む位置(pinch‐point)を、当該成形ロールで成形する予定の帯材幅方向の目標成形領域と、既成形領域(帯材縁部の曲げ不感部を含む)又は未成形領域との境部に設定し、当該目標成形領域の全体を曲げ外側から拘束することなく、主に曲げ内側にあるロール表面に沿わせて成形するロール成形方法である。
【0022】
【実施例】
外径が168mm〜406mm範囲の鋼管を製造するための沿い曲げ方式によるパイプミルにおいて、縁曲げ工程の第1段ロールスタンドに用いる下サイドロールの外径が650mmであるロール配置にこの発明を採用した。
【0023】
すなわち、図2及び図3に示す構成と同様の縁曲げ工程の第1段ロールスタンドロール配置において、下サイドロール3を外側又は内側へ所要のSの距離で水平移動すると同時に、中央下ロール1と下サイドロール3との相対高さも下サイドロール1の移動方向に応じてH=S×sinθの量で調整した。かかる第1段ロールスタンドロール配置では、ロールの配置を5〜10回の再定義を実施することが可能であった。
【0024】
【発明の効果】
この発明による溶接管の製造方法、すなわち縁曲げ工程で下サイドロールの寿命延長を目的に行うロール配置の再定義は、予め設定するロール配置やロールフラワーの設計等に何らの影響を与えることなく、実施することが可能であり、沿い曲げ方法や採用するロール成形方法に何らの変更も効果の変動もなく実施することが可能である。
【0025】
この発明により、前述のロール配置をn回再定義することができるとすれば、ロール研磨とそれに伴う機械の分解、復帰作業の回数は1/nとなり、ロール交換に要する時間と費用が大幅減らすことが可能となる。また、下サイドロールのカリバーの大部分が有効に利用されるため、ロール自体の研磨代がなくなるまでのロール寿命がn倍となり、ロール製作費用を大幅に削減することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の上下ロール形状を示す説明図である。
【図2】沿い曲げ方式によるロール成形方法のロール配置を示す説明図であり、Aは大径鋼管の製造例、Bは小径鋼管の製造例を示す。
【図3】この発明の製造方法によるロール成形方法のロール配置を示す説明図であり、Aは初期設定時、Bは再定義後の構成を示す。
【符号の説明】
1 帯鋼
2 中央下ロール
3,4 下サイドロール
5,6 上ロール
【発明の属する技術分野】
この発明は、ロール成形による溶接管の製造法、特にWベンド方式を採用して端部をロール成形する縁曲げ工程の改良に係り、下ロールの成形面を下り傾斜面となしかつ下ロール、中央ロール、上ロールのいずれかを位置調整して帯材の端部が接触する位置を、該傾斜面上で順次ずらすことにより、当該下ロールの寿命を大幅に延長し、ロール交換が少なく生産効率よく溶接管を製造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ロール成形による溶接管、特に一般的な溶接鋼管の製造プロセスにおいては、突合せ溶接部となる帯鋼端部の成形形態は、溶接品質に多大な影響を及ぼすことが知られている。
【0003】
そのため、ロール成形プロセスには、通常、帯鋼端部の良好な成形を目的とする縁曲げ工程が設けられる。しかし、曲げモーメントを加え難い帯鋼端部は、それを充分に成形するために種々の工法が採られるが、一般に図1に示すごときWベンド方式を用いることが多い。
【0004】
しかし、従来のロール成形方法では、少なくとも成形製品の外径寸法毎に異なるロールを用いなければならない。そこで、特公平3‐12977号公報では、伸開曲線をロールカリバーとして帯鋼との当接位置を選択することでロールを兼用可能にWベンド方式の成形が実施できることを開示し、煩雑なロール交換作業を無くすことを可能とした。
【0005】
さらに、特開2000−288633号公報では、伸開曲線のロールカリバーに加え、沿い曲げという新しい曲げ方式を採用し、強い成形機能と柔軟なロール兼用化との両立が可能とした。
【0006】
この沿い曲げ方法によれば、縁曲げ工程のロール配置と成形形態は図2のようである。つまり、目標成形領域である帯鋼1端部を上(凸)ロール5,6表面に沿わせることによって、上ロール5,6表面の曲率分布を帯鋼1端部に複写(転写)するものである。異なる製品サイズに対しては、製品内面の曲率に応じて、伸開曲線である上ロールカリバーから適切な曲率分布を有する部分を選んで帯鋼1端部に当てることで対応できる。
【0007】
一方、下ロール3,4のサイドロールは帯鋼1幅に応じて水平方向に移動し、上ロール5,6の位置に合わせて、目標成形領域の外側境界において最小ロールギャップ、すなわちピンチポイント(Pinch‐point)を一ヵ所形成し帯鋼1を拘束することで、帯鋼1に上記の沿い曲げを実施可能にしかつ所要の推力を与えることができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記した沿い曲げ方法は、成形機能を確保しながら、突合せ溶接にとって最も重要な縁曲げ工程のロール兼用化を実現した。しかし、帯鋼端部の成形を対象とするため、下サイドロール面が帯鋼の鋭い縁角と直接接触するため、局部的な摩耗は他のロールより遥かに速く進行する。
【0009】
摩耗がある程度まで進行すると、ロールの拘束形態、ひいては帯鋼端部の成形状態が大きく変化し、適正な突合せ形状を得られなくなる。このような場合は、通常、ロール表面を研磨し元のカリバー形状に戻すことが行われる。
【0010】
しかし、ロール兼用の場合は、ロールの周辺に位置調整装置などが設けられており、ロールをロールスタンドから外すための分解作業と研磨後の復帰作業は、従来型ミルの場合よりも煩雑で多くの工数を要する。言うまでもなく、研磨が頻繁に必要となると、ロール兼用化の本来の効果が得られなくなる。
【0011】
対策の一つとしては、下サイドロールに超硬合金など通常のダイス鋼より耐摩耗性の優れた材料を使用し、摩耗の進行を緩和することがある。ところが、かかる材料は高価な上、その製造可能な寸法にも制約があり、例えば、通常ロール径が500mmを超えると、超硬合金のロールの製作は非常に困難となり、大型ミルのロールには適用できない。
【0012】
この発明は、上述の問題に鑑み、Wベンド方式を採用し、特にロールの兼用を図った縁曲げ工程を有するロール成形方法において、縁曲げ工程の下サイドロールの局部的な摩耗によるロール寿命が短くなる問題を解消できる溶接管の製造方法の提供を目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、縁曲げ工程の下サイドロールの局部的な摩耗とロール寿命の延長について種々検討した結果、下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更することでロール寿命の延長が可能であり、例えば帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更できることを知見し、この発明を完成した。
【0014】
すなわち、この発明は、溶接管をロール成形プロセスにて製造するに際し、帯材の中央部を中央下ロールで持ち上げて帯材断面をWベンドとなし、かつ上ロールと下ロールで帯材の端部をロール成形する縁曲げ工程で、前記下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更可能にしたことを特徴とする溶接管の製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明は、縁曲げ工程で予め設定する成形時のロール配置を、下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更できるように、再定義することにより、摩耗したロール部位を避けて新たな部位を利用可能にして、ロール研磨の頻度を減らす方法として提案するものである。
【0016】
沿い曲げ方法による縁曲げを実施するためのロール配置を説明すると、図3Aに帯鋼1の左半分を示すごとく、中央下ロール2で帯鋼1の中央部を持ち上げて下サイドロール3と上ロール5で帯鋼1の縁端を成形するWベンド方式を採用し、前述した図2の構成と同様に、下サイドロール3はその成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯鋼1は縁端のあるピンチポイントで下サイドロール3と上ロール5で挟み、帯鋼1の幅方向の目標成形領域は上ロール5に沿わせて成形する構成である。
【0017】
ここで、図3Aに示すように、下サイドロール3のカリバーにおいて、帯鋼1の縁角と接触する領域αの摩耗が酷くなった時に、帯鋼の縁角と領域αが幅方向に完全にずれるように、下サイドロール3を外側または内側へSの距離で水平移動する。また同時に、中央下ロール1と下サイドロール3との相対高さも下サイドロール1の移動方向に応じてH=S×sinθの量で調整する。このように定義した新しいロール配置では、帯鋼1に対するロールの拘束形態が先に設定した旧配置のそれと全く同じとなる。
【0018】
上記のようなロール配置の再定義は、下サイドロール3のカリバーが直線状かそれに近い曲線であることを前提とする。すなわち、沿い曲げまたはそれに近い曲げ方式を使用すれば、この前提は容易に満足できる。
【0019】
また、同じ配置を用いる各種製品の成形において、帯鋼の縁角と接するサイドロールの部位はカリバーの全域に分散するのではなく、予め設定した一定の範囲内に集約することが好ましい。これも適切なロールフラワーの設計により容易に実現できる。
【0020】
前述の再定義において、帯材の端部が接触する該下サイドロール3の傾斜面上の部位を変更するには、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、上ロールの上下方向及び/又は帯材幅方向と帯材に対する当接方向、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更することができる。また、さらには下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整のみで実施すること、中央下ロールの上下方向の位置調整のみで実施すること、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更することもできる。
【0021】
この発明による効果は、鋼管を初めとする各種材質の溶接管の製造方法、Wベンド方式を採用する縁曲げ工程を有する公知のいずれのロール成形方法でも得られるが、最も有効に発揮できるロール成形方法は、上ロールと下ロールで帯材の端部をロール成形する縁曲げ工程が、上下一対のロールで帯材を挟む位置(pinch‐point)を、当該成形ロールで成形する予定の帯材幅方向の目標成形領域と、既成形領域(帯材縁部の曲げ不感部を含む)又は未成形領域との境部に設定し、当該目標成形領域の全体を曲げ外側から拘束することなく、主に曲げ内側にあるロール表面に沿わせて成形するロール成形方法である。
【0022】
【実施例】
外径が168mm〜406mm範囲の鋼管を製造するための沿い曲げ方式によるパイプミルにおいて、縁曲げ工程の第1段ロールスタンドに用いる下サイドロールの外径が650mmであるロール配置にこの発明を採用した。
【0023】
すなわち、図2及び図3に示す構成と同様の縁曲げ工程の第1段ロールスタンドロール配置において、下サイドロール3を外側又は内側へ所要のSの距離で水平移動すると同時に、中央下ロール1と下サイドロール3との相対高さも下サイドロール1の移動方向に応じてH=S×sinθの量で調整した。かかる第1段ロールスタンドロール配置では、ロールの配置を5〜10回の再定義を実施することが可能であった。
【0024】
【発明の効果】
この発明による溶接管の製造方法、すなわち縁曲げ工程で下サイドロールの寿命延長を目的に行うロール配置の再定義は、予め設定するロール配置やロールフラワーの設計等に何らの影響を与えることなく、実施することが可能であり、沿い曲げ方法や採用するロール成形方法に何らの変更も効果の変動もなく実施することが可能である。
【0025】
この発明により、前述のロール配置をn回再定義することができるとすれば、ロール研磨とそれに伴う機械の分解、復帰作業の回数は1/nとなり、ロール交換に要する時間と費用が大幅減らすことが可能となる。また、下サイドロールのカリバーの大部分が有効に利用されるため、ロール自体の研磨代がなくなるまでのロール寿命がn倍となり、ロール製作費用を大幅に削減することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の上下ロール形状を示す説明図である。
【図2】沿い曲げ方式によるロール成形方法のロール配置を示す説明図であり、Aは大径鋼管の製造例、Bは小径鋼管の製造例を示す。
【図3】この発明の製造方法によるロール成形方法のロール配置を示す説明図であり、Aは初期設定時、Bは再定義後の構成を示す。
【符号の説明】
1 帯鋼
2 中央下ロール
3,4 下サイドロール
5,6 上ロール
Claims (5)
- 溶接管をロール成形プロセスにて製造するに際し、帯材の中央部を中央下ロールで持ち上げて帯材断面をWベンドとなし、かつ上ロールと下ロールで帯材の端部をロール成形する縁曲げ工程で、前記下ロールの成形面を帯材中心側に下り傾斜する平坦形状となし、帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を変更可能にした溶接管の製造方法。
- 帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更する請求項1に記載の溶接管の製造方法。
- 帯材の端部が接触する該傾斜面上の部位を、下ロールの帯材幅方向及び/又は上下方向の位置調整、中央下ロールの上下方向の位置調整、上ロールの上下方向及び/又は帯材幅方向と帯材に対する当接方向、あるいはこれらの位置調整の組合せにより変更する請求項1に記載の溶接管の溶接鋼管の製造方法。
- 中央下ロールが複数の分割型ロールで帯材幅方向に相対的位置調整が可能である請求項1から請求項3に記載の溶接管の溶接鋼管の製造方法。
- 上ロールと下ロールで帯材の端部をロール成形する縁曲げ工程が、上下一対のロールで帯材を挟む位置(pinch‐point)を、当該成形ロールで成形する予定の帯材幅方向の目標成形領域と、既成形領域(帯材縁部の曲げ不感部を含む)又は未成形領域との境部に設定し、当該目標成形領域の全体を曲げ外側から拘束することなく、主に曲げ内側にあるロール表面に沿わせて成形するロール成形方法である請求項1に記載の溶接管の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002184630A JP2004025231A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 溶接管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002184630A JP2004025231A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 溶接管の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004025231A true JP2004025231A (ja) | 2004-01-29 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002184630A Pending JP2004025231A (ja) | 2002-06-25 | 2002-06-25 | 溶接管の製造方法 |
Country Status (1)
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008279490A (ja) * | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Nippon Steel Corp | 鋼板の曲げ成形用ロール及びこれを用いた鋼板のロール曲げ成形方法 |
JP2009012063A (ja) * | 2007-07-09 | 2009-01-22 | Nippon Steel Corp | 曲げ成形用ロールの製造方法 |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002184630A patent/JP2004025231A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008279490A (ja) * | 2007-05-14 | 2008-11-20 | Nippon Steel Corp | 鋼板の曲げ成形用ロール及びこれを用いた鋼板のロール曲げ成形方法 |
JP2009012063A (ja) * | 2007-07-09 | 2009-01-22 | Nippon Steel Corp | 曲げ成形用ロールの製造方法 |
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