JP2004025150A - 高級アルコール系エマルション消泡剤組成物 - Google Patents
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Abstract
本発明者は、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤の貯蔵・保管中の増粘・ゲル化を抑制し、さらにエマルションの分離を抑制した高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を提供することにある。
【解決手段】(A)融点40〜100℃の高級アルコールあるいは(A)融点40〜100℃の高級アルコールと(B)融点40〜100℃の脂肪酸エステルのいずれかと(C)融点40〜100℃のパラフィンワックスを(D)一般式(1)で表されるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類(式中、Rは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基、MはH、Na、K、NH4を表す。)の存在下で水中に乳化してなることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物。
【化4】
【選択図】 なし
【解決手段】(A)融点40〜100℃の高級アルコールあるいは(A)融点40〜100℃の高級アルコールと(B)融点40〜100℃の脂肪酸エステルのいずれかと(C)融点40〜100℃のパラフィンワックスを(D)一般式(1)で表されるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類(式中、Rは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基、MはH、Na、K、NH4を表す。)の存在下で水中に乳化してなることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物。
【化4】
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物、更に詳しくは、エマルション安定性が改善された高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
高級アルコールを主成分とした高級アルコール系エマルション消泡剤は、比較的低価格でかつ消泡効果が高いことから、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における工程水や排水、都市下水・し尿処理場などの放流水の消泡に多用されている。特に紙パルプ工業においては、高級アルコール系エマルション消泡剤は消泡剤効果が優れているのに加え、サイズへの影響が少ないことから、急速にその使用が拡大してきた。
【0003】
しかし、高級アルコール系エマルション消泡剤は、貯蔵、保管中にエマルションの分離や増粘・ケル化を起こし易い欠点がある。エマルションが分離したり、増粘・ケル化した高級アルコール系エマルション消泡剤では消泡効果が十分発揮されなかったり、注入トラブルを引き起こし、操業の一時停止等の多大な損失をもたらすことがある。そこで、高級アルコール系エマルション消泡剤のエマルション安定化のために様々な対策が提案されてきた。
【0004】
例えば、高級アルコール系エマルション消泡剤にアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミドまたメタアクリアミドの水溶性高分子の単独重合体または共重合体を配合して長期の安定性を得る方法(特公平6−104165号公報)、高級アルコール系エマルション消泡剤にポリアクリル酸のアルカリ金属塩/アンモニウム塩と微生物産生多糖類を配合する方法(特開平8−155212号公報)、高級アルコール系エマルション消泡剤に炭素数16と18の高級アルコールと炭素数20〜24の高級アルコールが10:90〜50:50(重量比)で混合された高級アルコールと融点50℃以下の高級脂肪酸エステルを35:65〜50:50(重量比)で調製してエマルションを安定化させる方法(特公平8−24806号公報)、高級アルコール系エマルション消泡剤にポリエチレンオキシドあるいはザンサンガム等の微生物産生多糖類又はメチルセルロースなどを配合する方法(特開平9−234307号)、高級アルコール系エマルション消泡剤にポリオキシアルキレンアルキルエーテルコハク酸ハーフエステル塩/ポリオキシアルキレンアルキルエーテルマレイン酸ハーフエステル塩及び/又は非イオン性界面活性剤を使用してエマルション化する方法(特開平11−276805号公報)などがある。
【0005】
しかし、これらの方法では、依然として経時および温度の変動により粘度の上昇とエマルションの分離が起こり、満足できるエマルション安定性を得るには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高級アルコール系エマルション消泡剤の貯蔵・保管中の増粘・ゲル化を抑制し、さらにエマルションの分離を抑制した高級アルコール系エマルション消泡剤組成物を提供することにある。
【0007】
【発明を解決するため手段】
本発明者らは、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物のエマルション安定性について、鋭意研究を重ねた結果、パラフィンワックス及び特定のアニオン性界面活性剤を使用した高級アルコール系エマルション消泡剤組成物のエマルション安定性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、請求項1に係る発明は、高級アルコール系消泡剤組成物において、(A)融点が40〜100℃の高級アルコール、あるいは(A)融点が40〜100℃の高級アルコールと(B)融点が40〜100℃の高級脂肪酸エステルの組合せ、のいずれかと(C)融点が40〜120℃のパラフィンワックスとを(D)一般式(1)(式中、Rは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基であり、MはH、Na、K、NH4である。)で表されるアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩類の存在下で水中に乳化してなることを特徴とする高級アルコール系エマルション消泡剤組成物である。
【0009】
【化2】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物であり、(C)を、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)が含まれる場合は(A)に対して、あるいは高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)と(B)が含まれる場合は(A)と(B)の合計量に対して5〜10重量%配合することを特徴としている。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物であり、(D)を高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)が含まれる場合は(A)に対して、あるいは高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)と(B)が含まれる場合は(A)と(B)の合計量に対して1〜10重量%配合することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物(以下、「エマルション消泡剤組成物」とする)は、消泡成分である(A)高級アルコール、あるいは(A)高級アルコールと(B)高級脂肪酸エステルの組合せ、の何れかと(C)パラフィンワックスを、(D)アニオン性界面活性剤のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の存在下で水中に乳化することによって得られた高級アルコール系エマルション消泡剤組成物であり、エマルションの分離抑制が向上し、エマルションの増粘・ゲル化が抑制された高級アルコール系エマルション消泡剤組成物である。
【0013】
本発明で使用する(A)高級アルコール(以下、「(A)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは45〜90℃の高級アルコールである。(A)成分の高級アルコールは、飽和アルコールと不飽和アルコール、直鎖アルコールと分岐アルコール、さらに天然アルコールと合成アルコール等があり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。高級アルコールの融点が40℃未満では、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような高温にあるときには充分な消泡効果を示さないことがあり、融点が100℃を越える高級アルコールは入手が困難で実用的ではない。
【0014】
融点が40〜100℃の高級アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール(ベヘニルアルコール)、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、オキソ法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール、チーグラー法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール、及び合成アルコールの蒸留残査、更にナタネアルコール等の天然植物油脂から得られた融点40〜100℃の高級アルコール等が挙げられる。
【0015】
高級アルコールの配合割合は、エマルション消泡剤組成物において1〜40重量%であり、好ましくは5〜35重量%、より好ましく10〜30重量%である。配合量が1重量%未満では、十分な消泡効果が得られないことがあり、40重量%を越える配合量ではエマルション消泡剤組成物の粘度が高くなり、ポンプ注入等の取り扱い性が悪くなり、使用できなくなることがある。
【0016】
本発明で使用する(B)高級脂肪酸エステル(以下、「(B)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは融点が45〜90℃の高級脂肪酸エステルである。
【0017】
高級脂肪酸エステルを構成する高級脂肪酸は炭素数10〜30の高級脂肪酸であり、高級脂肪酸エステルを構成するアルコールは炭素数1〜30の1価アルコール及び多価アルコールである。また、これらの高級脂肪酸、アルコールは、飽和型と不飽和型、直鎖型と分岐型、さらに天然と合成のいずれでも良く、また、その混合物を用いてもよい。
【0018】
融点が40℃未満の脂肪酸エステルでは、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような温度にあるときには充分な消泡効果を示さないことがあり、融点が100℃を越える脂肪酸エステルでは配合量の割に消泡効果の向上が少なく、また、エマルションの安定性の向上も少ない場合がある。
【0019】
融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルの具体的な例としては、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタンなどが挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0020】
(B)成分の配合量は、通常、(A)成分に対して10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。10重量%未満では消泡効果が十分発揮されない場合があり、50重量%より多いと配合量の増加の割には消泡効果の向上への寄与が少ない場合がある。
【0021】
本発明で使用する(C)パラフィンワックス(以下「(C)成分」とする)は、融点が40℃〜120℃のパラフィンワックスであり、エマルションの安定性に寄与する成分である。(C)成分は、エマルション消泡剤調製において、エマルション消泡剤組成物に(A)成分を配合している場合には、100℃以下で加熱溶融した(A)成分に溶解するパラフィンワックスであり、エマルション消泡剤組成物に(A)成分と(B)成分を組み合わせで配合している場合には、100℃以下で加熱溶融した(A)成分と(B)成分の混合物中に溶解するパラフィンワックスである。好ましくは融点が45〜110℃のパラフインワックスであり、より好ましくは融点が50〜100℃のパラフィンワックスである。
【0022】
パラフィンワックスとしては、石油抽出系や合成系の直鎖炭化水素系パラフィンワックス、分岐炭化水素系パラフィンワックス及びこれらを空気酸化した直鎖炭化水素系酸化パラフィンワックス、分岐炭化水素系酸化パラフィンワックス、分子量400〜4000程度の低分子ポリエチレンや低分子ポリプロピレン及び低分子エチレン−プロピレン共重合体、さらにこれらを空気酸化した酸化ポリエチレンや酸化ポリプロピレンおよび酸化低分子エチレン−プロピレン共重合体、低分子ポリエチレンや低分子ポリプロピレンの無水マレイン酸部分付加物等があり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0023】
パラフィンワックスの融点が40℃未満ではエマルション消泡剤組成物の安定性が十分に得られない場合があり、融点が120℃を越えると100℃以下で溶融した(A)成分、あるいは(A)成分と(B)成分の溶融混合物にパラフィンワックスが溶融しなくなり、本発明のエマルション消泡剤組成物を調製することができない場合があり、好ましくない。
【0024】
(C)成分の配合割合は、エマルション消泡剤組成物に(A)成分を配合している場合には(A)成分に対して、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%であり、エマルション消泡剤組成物に(A)成分と(B)成分の組み合わせで配合している場合には、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。5重量%未満ではエマルション消泡剤組成物の安定性の改善が十分に得られないことがあり、30重量部より多いと配合量の増加の割にはエマルション消泡剤組成物の安定性の向上が得られないことがある。
【0025】
パラフィンワックスが消泡効果を有することは既に知られており、エマルション消泡剤の消泡成分として使用されているが、(D)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩と併用することによりエマルション消泡剤組成物のエマルション安定性の向上に大きく寄与することは、全く知られていない。
【0026】
本発明で使用される(D)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩は一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤であり、(A)成分、(B)成分や(C)成分の水中油型エマルションの調製に使用され、(C)成分と共にエマルションを調製するとことにより該エマルションの安定性が大きく改善される。一般式(1)中のRは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基であり、MはH、Na、K、NH4である。
【0027】
【化3】
具体的には、ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヘキシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オクチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ドデシルアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヤシアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、硬化牛脂アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ステアリルジフェニルエーテルジスルフォン酸、イソステアリルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オレイルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ベヘニルジフェニルエーテルジスルフォン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩があり、これらの中の1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0028】
(D)成分の配合割合は、エマルション消泡剤組成物に(A)成分を配合している場合には(A)成分に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%であり、(A)成分と(B)成分の組み合わせで配合している場合には、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。(D)成分の配合割合が0.5重量%未満では得られるエマルションの安定性が劣る場合があり、20重量%を越えると配合割合に見合うだけのエマルション安定性が得られないだけでなく、エマルション消泡剤組成物に泡が多く含まれ、好ましくない。
【0029】
本発明のエマルション消泡剤の調製に(D)成分の効果を損なわない範囲において、他のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を併用することもできる。アニオン性界面活性剤としてはモノアルキルスルホコハク酸エステル塩類、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等があり、非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等があげられる。
【0030】
本発明のエマルション消泡剤組成物において、エマルションの分離抑制、増粘防止に水分散性増粘剤を用いても良い。水分散性増粘剤としては、ラムザンガム、キサンタンガム、ウェランガム等の微生物産生多糖類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の半合成天然高分子多糖類等、ポリアクリル酸及びその水溶性塩類、アクリル酸−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等があり、これらの中の1種あるいは2種以上が用いられる。水分散性増粘剤の配合量は、(A)成分あるいは(A)成分と(B)成分の合計量に対して、通常0.1〜10重量%であり、エマルション消泡剤組成物の組成、粘度等を考慮して適宜決定される。
【0031】
エマルションの調製に用いる水の量は、通常、〔(A)成分〜(C)成分の混合物及びその他配合される非水成分〕:水=1:1〜1:5(重量比)である。
【0032】
本発明のエマルション消泡剤組成物は、一般的に(A)成分あるいは(A)成分と(B)成分、および(C)成分を含み、加熱、溶融した油性混合液と、水および(D)成分を含む水性混合液とを撹拌混合してエマルジョンを調製して得られる。
【0033】
詳しくは、エマルション消泡剤組成物に(A)成分、(B)成分を配合する場合を例にとると、(A)成分、(B)成分、(C)成分を混合し、(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの高い融点よりも高い温度で、かつ100℃以下で、さらに(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱して、(A)成分、(B)成分、(C)成分が全て溶融した液状の油性混合液とする。一方、所定量の水に(D)成分、必要に応じて他の界面活性剤や増粘剤を添加し、撹拌、混合して均一な水性混合液とする。ミキサー等を用いて、強く撹拌しながら油性混合液と水性混合液を混合してエマルションを作り、粒度分布計、例えばレーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)を用いてエマルション粒子径が0.5〜20μになるまで攪拌を続行する。目的の粒径に達したならば、室温あるいは約30℃以下に撹拌、冷却して、本発明の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物が得られる。
【0034】
好ましいエマルション消泡剤の調製方法としては、油性混合液を(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの高い融点よりも更に約5〜10℃程、高い温度で、かつ100℃以下で(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱し、一方、油性混合液と水性混合液を混合した直後のエマルションの液温が(A)成分、(B)成分、(C)成分の少なくとも1種が固化・析出する温度を越えるように予め水性混合液を加温して、エマルションを調製する方法である。水性混合液の加熱温度は、油性混合液と水性混合液の混合比により異なるが、通常60〜85℃である。
【0035】
エマルションの調製に使用される攪拌装置は、特に限定されるものではなく、例えばプロペラ型撹拌機、ディソルバー、ホモミキサー、ラインミキサー、ニーダー、高速回転高剪断型攪拌機、コロイドミル、超音波乳化分散機等がある。
【0036】
その他、本発明のエマルション消泡剤組成物の効果を損なわない範囲で、消泡効果を有するポリグリコール系消泡剤やシリコーンオイル、(A)成分を加熱溶解する際の溶剤及びエマルションの調製を容易にするために、融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類、エマルション消泡剤組成物の表面乾燥性を抑制するための水溶性アルコール類等を配合することもできる。
【0037】
ポリグリコール系消泡剤としては、例えばポリオキシエチレン(5〜10モル)ポリオキシプロピレン(15〜30モル)ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(10〜15モル)ジステアリン酸エステル、ヤシアルキルアルコールのポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(15〜20モル)付加物のモノオレイン酸エステル等がある。
【0038】
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が2〜2000ミリパスカル・秒(mPa・s)のジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、末端にヒドロキシル基を持つジメチルポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン、一部側鎖にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した変性オルガノポリシロキサン等がある。
【0039】
融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類としては、例えばラウリン酸メチル、オレイン酸メチルなどの脂肪酸エステル類、フタル酸ジメチル、フタル酸ブチルなどの芳香族ジカルボン酸エステル類、デカン、スピンドル油などのパラフィン系炭化水素、流動パラフィンなどがあげられ、好ましくは25℃における粘度が10〜500ミリパスカル・秒(mPa・s)のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類のラウリン酸メチル、スピンドル油、流動パラフィンなどである。
【0040】
水溶性アルコール類としては、例えばグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、メチルセルソルブやブチルセルソルブ等のセルソルブ類等である。
【0041】
本発明のエマルション消泡剤組成物の添加方法は、一般に薬注ポンプを使って、発泡液に直接、添加したり、発泡箇所の手前の工程に添加して使用される。
【0042】
本発明の方法で得られたエマルション消泡剤組成物の添加量は、発泡の状況により異なるが、一般的に発泡液に対して、1〜500mg/Lが目安となる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0044】
(A:高級アルコール)
A−1:高級アルコール混合物(炭素数28〜32、融点75−80℃)〔コンデア(株)製〕
A−2:チーグラー法合成アルコール(炭素数16〜22、融点45〜49℃)〔コンデア社製〕
A−3:(比較例)ラウリルアルコール(融点:23−24℃)〔日本油脂(株)製〕
[B:高級脂肪酸エステル]
B−1:ベヘニン酸ベヘニル(融点:73℃)〔日本油脂(株)製〕
B−2:硬化牛脂(融点:46〜50℃)〔日本油脂(株)製〕
B−3:ジステアリン酸ペンタエリスリット(融点:54℃)〔日本油脂(株)製〕
B−4:(比較例)ステアリン酸メチル(融点31〜35℃)〔日本油脂(株)〕
[C:パラフィンワックス]
C−1:パラフィンワックス(融点:46〜70℃)〔日本石油精製(株)製〕
C−2:ポリエチレン「ポリワックス500」(商品名、融点86℃、分子量500)〔東洋ペトロライト(株)製〕
C−3:酸化ポリエチレン「エポレンE−10」(商品名、融点106℃、分子量3,000)〔イーストマン・ケミカル(株)製〕
C−4:(比較例)パラフィンワックス(融点:33〜40℃未満)〔日本石油精製(株)製〕
[D:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩]
D−1:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム「ペレックスSS−H」(商品名、有効分50%)〔花王(株)製〕
D−2:ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸アンモニウム50重量%水溶液
D−3:デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸カリウム50重量%水溶液
[E:多糖類および高分子類]
E−1:「キサンタンガム」(商品名)〔三昌(株)製〕
E−2:「ウェランガム」(商品名)〔三昌(株)製〕
E−3:アクリル酸−アクリルアミド共重合体(7:3のモル比の共重合体、分子量300万)
E−4:ポリエチレンオキサイド(分子量500万)〔明成化学工業(株)製〕
[界面活性剤]
F−1:ソルビタンモノオレイン酸エステル「ノニオンOP−80R」(商品名)〔日本油脂(株)製〕
F−2:ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル「ノニオンOT−221」(商品名)〔日本油脂(株)製〕
F−3:グリセリンモノオレイン酸エステル「レオドールMO−60」(商品名)〔花王(株)製〕
F−4:ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム塩「PC−8600」(商品名、有効分70重量%)〔旭電化工業(株)製〕
[エマルション消泡剤組成物の製造]
(実施例−1)
1000mLのステンレスビーカーにベヘニルアルコール(A−1)200g、パラフィンワックス(C−1)10gを加え、3枚羽根のある攪拌機で攪拌しながら80℃に加熱し、油性混合液とした。また、別途2000mLのステンレス容器に水767gに3枚羽根のある攪拌機で攪拌し、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム50重量%水溶液(D−1)2.3gを添加して、これを80℃に加熱し水性混合液とした。この水性混合液を「TKオートホモミキサー M型」(商品名、特殊機化工業(株)製)で3000rpmに攪拌しながら、80℃に加温した上記油性混合液を加えて、エマルションを調製した。その後、70〜80℃を維持しながらレーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)でエマルション平均粒子径を測定し、2〜20μの範囲まで攪拌を続けた後、更に室温まで攪拌を続け本発明の実施例−1のエマルション消泡剤組成物を得た。
【0045】
以下同様に表1、表2に記載した配合組成の実施例2〜23および比較例1〜14のエマルション消泡剤組成物を調製した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
(エマルション消泡剤組成物の粘度安定性試験)
500mLの広口瓶にエマルション消泡剤組成物組成物を入れ、蓋して5℃と20℃の温度サイクル(5℃:10時間維持し、3〜4時間で昇温して20℃を10時間維持し、次いで5℃へ降温する。これを繰り返す。)の恒温槽に静置し、30日後の粘度測定及びゲル状物、凝集物の有無を目視観察した。粘度の測定は、B型回転粘度計(トキメック(株)製)で25℃、20rpmの条件下、ロータの回転開始より1分後に測定した。粘度が2000(mPa・s)以上になったもの、クリーム状物やゲル状物になったもの、凝集物の発生したものは好ましくない。結果を表3に示した。
【0048】
(エマルション消泡剤組成物の分離性評価)
目盛り付き1000mLメスシリダーに、調製したエマルション消泡剤組成物を1000mL入れ、蓋をして40℃の恒温槽で30日静置した。30日後に1000mLメスシリンダー内のエマルション消泡剤組成物の分離による下部の清澄部の体積を測定し、分離体積比(%)として求めた。この比が小さいほど良好なエマルション安定性を示し、10%以上は好ましくない。結果を表3にまとめた。
【0049】
【表3】
本発明のエマルション消泡剤組成物は、5〜20℃の温度サイクルによる温度環境の変化に対しても安定で増粘・ゲル化は生じず、経時によるエマルションの分離も小さくなり、エマルションの安定性が大きく改善されることが分かる。
【0050】
(消泡効果試験)
表1の実施例No.2、5〜7、11、12、14、19〜23及び比較例No.1、2、5〜10、14の各エマルション消泡剤組成物の調製直後のものと調製後、40℃で30日静置後のエマルション消泡剤組成物を用いて、消泡試験を行った。供試発泡液には、中性中質塗工原紙を製造している抄紙工程白水(pH:7.0、温度45℃)を使用した。アクリル樹脂製筒型容器(図1)に45℃に加温した供試白水1000mLを入れ、循環ポンプにて4.5mL/分で循環させた。循環前の供試液面を泡高の基準として、循環により泡高が10cmになった時、発泡液の上部よりエマルション消泡剤組成物を10mg(供試液中のエマルション消泡剤組成物の濃度:10ppm)を添加した。循環開始より60秒後、120秒後、180秒後に泡高を測定した。結果を表4に示した。
【0051】
【表4】
本発明のエマルション消泡剤組成物の消泡効果は、調製直後と30日静置後で変らないことが分かる。また、本発明のエマルション消泡剤組成物の実施例11と比較例1、実施例12と比較例2、5、実施例19と比較例6、実施例20と比較例7、実施例21と比較例8、実施例22と比較例9、実施例23と比較例10を比べて(C)パラフィンワックス、(D)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸類の配合がエマルション消泡剤組成物の消泡効果を低下させていないことが分かる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物により、消泡効果に影響することなく、貯蔵・保管中のエマルションの分離及び増粘・ゲル化が改善、抑制され、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の品質向上をもたらした。さらに、従来、エマルションの分離及び増粘・ゲル化に起因した注入不良等の操業上の障害が無くなり、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における安定操業や生産される製品の品質向上に寄与すること、大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エマルション消泡剤組成物の消泡性能評価に用いた消泡試験装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1:循環ポンプ
2:発泡試験筒(アクリル製・全容量2000ml)
3:循環ライン
4:発泡供試液
5:泡
【発明の属する技術分野】
本発明は、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物、更に詳しくは、エマルション安定性が改善された高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
高級アルコールを主成分とした高級アルコール系エマルション消泡剤は、比較的低価格でかつ消泡効果が高いことから、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における工程水や排水、都市下水・し尿処理場などの放流水の消泡に多用されている。特に紙パルプ工業においては、高級アルコール系エマルション消泡剤は消泡剤効果が優れているのに加え、サイズへの影響が少ないことから、急速にその使用が拡大してきた。
【0003】
しかし、高級アルコール系エマルション消泡剤は、貯蔵、保管中にエマルションの分離や増粘・ケル化を起こし易い欠点がある。エマルションが分離したり、増粘・ケル化した高級アルコール系エマルション消泡剤では消泡効果が十分発揮されなかったり、注入トラブルを引き起こし、操業の一時停止等の多大な損失をもたらすことがある。そこで、高級アルコール系エマルション消泡剤のエマルション安定化のために様々な対策が提案されてきた。
【0004】
例えば、高級アルコール系エマルション消泡剤にアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミドまたメタアクリアミドの水溶性高分子の単独重合体または共重合体を配合して長期の安定性を得る方法(特公平6−104165号公報)、高級アルコール系エマルション消泡剤にポリアクリル酸のアルカリ金属塩/アンモニウム塩と微生物産生多糖類を配合する方法(特開平8−155212号公報)、高級アルコール系エマルション消泡剤に炭素数16と18の高級アルコールと炭素数20〜24の高級アルコールが10:90〜50:50(重量比)で混合された高級アルコールと融点50℃以下の高級脂肪酸エステルを35:65〜50:50(重量比)で調製してエマルションを安定化させる方法(特公平8−24806号公報)、高級アルコール系エマルション消泡剤にポリエチレンオキシドあるいはザンサンガム等の微生物産生多糖類又はメチルセルロースなどを配合する方法(特開平9−234307号)、高級アルコール系エマルション消泡剤にポリオキシアルキレンアルキルエーテルコハク酸ハーフエステル塩/ポリオキシアルキレンアルキルエーテルマレイン酸ハーフエステル塩及び/又は非イオン性界面活性剤を使用してエマルション化する方法(特開平11−276805号公報)などがある。
【0005】
しかし、これらの方法では、依然として経時および温度の変動により粘度の上昇とエマルションの分離が起こり、満足できるエマルション安定性を得るには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高級アルコール系エマルション消泡剤の貯蔵・保管中の増粘・ゲル化を抑制し、さらにエマルションの分離を抑制した高級アルコール系エマルション消泡剤組成物を提供することにある。
【0007】
【発明を解決するため手段】
本発明者らは、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物のエマルション安定性について、鋭意研究を重ねた結果、パラフィンワックス及び特定のアニオン性界面活性剤を使用した高級アルコール系エマルション消泡剤組成物のエマルション安定性が向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、請求項1に係る発明は、高級アルコール系消泡剤組成物において、(A)融点が40〜100℃の高級アルコール、あるいは(A)融点が40〜100℃の高級アルコールと(B)融点が40〜100℃の高級脂肪酸エステルの組合せ、のいずれかと(C)融点が40〜120℃のパラフィンワックスとを(D)一般式(1)(式中、Rは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基であり、MはH、Na、K、NH4である。)で表されるアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩類の存在下で水中に乳化してなることを特徴とする高級アルコール系エマルション消泡剤組成物である。
【0009】
【化2】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物であり、(C)を、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)が含まれる場合は(A)に対して、あるいは高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)と(B)が含まれる場合は(A)と(B)の合計量に対して5〜10重量%配合することを特徴としている。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物であり、(D)を高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)が含まれる場合は(A)に対して、あるいは高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)と(B)が含まれる場合は(A)と(B)の合計量に対して1〜10重量%配合することを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0012】
本発明の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物(以下、「エマルション消泡剤組成物」とする)は、消泡成分である(A)高級アルコール、あるいは(A)高級アルコールと(B)高級脂肪酸エステルの組合せ、の何れかと(C)パラフィンワックスを、(D)アニオン性界面活性剤のアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩の存在下で水中に乳化することによって得られた高級アルコール系エマルション消泡剤組成物であり、エマルションの分離抑制が向上し、エマルションの増粘・ゲル化が抑制された高級アルコール系エマルション消泡剤組成物である。
【0013】
本発明で使用する(A)高級アルコール(以下、「(A)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは45〜90℃の高級アルコールである。(A)成分の高級アルコールは、飽和アルコールと不飽和アルコール、直鎖アルコールと分岐アルコール、さらに天然アルコールと合成アルコール等があり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。高級アルコールの融点が40℃未満では、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような高温にあるときには充分な消泡効果を示さないことがあり、融点が100℃を越える高級アルコールは入手が困難で実用的ではない。
【0014】
融点が40〜100℃の高級アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール(ベヘニルアルコール)、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、トリアコンタノール、オキソ法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール、チーグラー法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール、及び合成アルコールの蒸留残査、更にナタネアルコール等の天然植物油脂から得られた融点40〜100℃の高級アルコール等が挙げられる。
【0015】
高級アルコールの配合割合は、エマルション消泡剤組成物において1〜40重量%であり、好ましくは5〜35重量%、より好ましく10〜30重量%である。配合量が1重量%未満では、十分な消泡効果が得られないことがあり、40重量%を越える配合量ではエマルション消泡剤組成物の粘度が高くなり、ポンプ注入等の取り扱い性が悪くなり、使用できなくなることがある。
【0016】
本発明で使用する(B)高級脂肪酸エステル(以下、「(B)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは融点が45〜90℃の高級脂肪酸エステルである。
【0017】
高級脂肪酸エステルを構成する高級脂肪酸は炭素数10〜30の高級脂肪酸であり、高級脂肪酸エステルを構成するアルコールは炭素数1〜30の1価アルコール及び多価アルコールである。また、これらの高級脂肪酸、アルコールは、飽和型と不飽和型、直鎖型と分岐型、さらに天然と合成のいずれでも良く、また、その混合物を用いてもよい。
【0018】
融点が40℃未満の脂肪酸エステルでは、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような温度にあるときには充分な消泡効果を示さないことがあり、融点が100℃を越える脂肪酸エステルでは配合量の割に消泡効果の向上が少なく、また、エマルションの安定性の向上も少ない場合がある。
【0019】
融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルの具体的な例としては、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタンなどが挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0020】
(B)成分の配合量は、通常、(A)成分に対して10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。10重量%未満では消泡効果が十分発揮されない場合があり、50重量%より多いと配合量の増加の割には消泡効果の向上への寄与が少ない場合がある。
【0021】
本発明で使用する(C)パラフィンワックス(以下「(C)成分」とする)は、融点が40℃〜120℃のパラフィンワックスであり、エマルションの安定性に寄与する成分である。(C)成分は、エマルション消泡剤調製において、エマルション消泡剤組成物に(A)成分を配合している場合には、100℃以下で加熱溶融した(A)成分に溶解するパラフィンワックスであり、エマルション消泡剤組成物に(A)成分と(B)成分を組み合わせで配合している場合には、100℃以下で加熱溶融した(A)成分と(B)成分の混合物中に溶解するパラフィンワックスである。好ましくは融点が45〜110℃のパラフインワックスであり、より好ましくは融点が50〜100℃のパラフィンワックスである。
【0022】
パラフィンワックスとしては、石油抽出系や合成系の直鎖炭化水素系パラフィンワックス、分岐炭化水素系パラフィンワックス及びこれらを空気酸化した直鎖炭化水素系酸化パラフィンワックス、分岐炭化水素系酸化パラフィンワックス、分子量400〜4000程度の低分子ポリエチレンや低分子ポリプロピレン及び低分子エチレン−プロピレン共重合体、さらにこれらを空気酸化した酸化ポリエチレンや酸化ポリプロピレンおよび酸化低分子エチレン−プロピレン共重合体、低分子ポリエチレンや低分子ポリプロピレンの無水マレイン酸部分付加物等があり、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0023】
パラフィンワックスの融点が40℃未満ではエマルション消泡剤組成物の安定性が十分に得られない場合があり、融点が120℃を越えると100℃以下で溶融した(A)成分、あるいは(A)成分と(B)成分の溶融混合物にパラフィンワックスが溶融しなくなり、本発明のエマルション消泡剤組成物を調製することができない場合があり、好ましくない。
【0024】
(C)成分の配合割合は、エマルション消泡剤組成物に(A)成分を配合している場合には(A)成分に対して、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%であり、エマルション消泡剤組成物に(A)成分と(B)成分の組み合わせで配合している場合には、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、5〜30重量%、好ましくは10〜20重量%である。5重量%未満ではエマルション消泡剤組成物の安定性の改善が十分に得られないことがあり、30重量部より多いと配合量の増加の割にはエマルション消泡剤組成物の安定性の向上が得られないことがある。
【0025】
パラフィンワックスが消泡効果を有することは既に知られており、エマルション消泡剤の消泡成分として使用されているが、(D)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩と併用することによりエマルション消泡剤組成物のエマルション安定性の向上に大きく寄与することは、全く知られていない。
【0026】
本発明で使用される(D)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸塩は一般式(1)で表されるアニオン界面活性剤であり、(A)成分、(B)成分や(C)成分の水中油型エマルションの調製に使用され、(C)成分と共にエマルションを調製するとことにより該エマルションの安定性が大きく改善される。一般式(1)中のRは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基であり、MはH、Na、K、NH4である。
【0027】
【化3】
具体的には、ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヘキシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オクチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ドデシルアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヤシアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、硬化牛脂アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ステアリルジフェニルエーテルジスルフォン酸、イソステアリルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オレイルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ベヘニルジフェニルエーテルジスルフォン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩があり、これらの中の1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0028】
(D)成分の配合割合は、エマルション消泡剤組成物に(A)成分を配合している場合には(A)成分に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%であり、(A)成分と(B)成分の組み合わせで配合している場合には、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。(D)成分の配合割合が0.5重量%未満では得られるエマルションの安定性が劣る場合があり、20重量%を越えると配合割合に見合うだけのエマルション安定性が得られないだけでなく、エマルション消泡剤組成物に泡が多く含まれ、好ましくない。
【0029】
本発明のエマルション消泡剤の調製に(D)成分の効果を損なわない範囲において、他のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を併用することもできる。アニオン性界面活性剤としてはモノアルキルスルホコハク酸エステル塩類、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等があり、非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等があげられる。
【0030】
本発明のエマルション消泡剤組成物において、エマルションの分離抑制、増粘防止に水分散性増粘剤を用いても良い。水分散性増粘剤としては、ラムザンガム、キサンタンガム、ウェランガム等の微生物産生多糖類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の半合成天然高分子多糖類等、ポリアクリル酸及びその水溶性塩類、アクリル酸−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等があり、これらの中の1種あるいは2種以上が用いられる。水分散性増粘剤の配合量は、(A)成分あるいは(A)成分と(B)成分の合計量に対して、通常0.1〜10重量%であり、エマルション消泡剤組成物の組成、粘度等を考慮して適宜決定される。
【0031】
エマルションの調製に用いる水の量は、通常、〔(A)成分〜(C)成分の混合物及びその他配合される非水成分〕:水=1:1〜1:5(重量比)である。
【0032】
本発明のエマルション消泡剤組成物は、一般的に(A)成分あるいは(A)成分と(B)成分、および(C)成分を含み、加熱、溶融した油性混合液と、水および(D)成分を含む水性混合液とを撹拌混合してエマルジョンを調製して得られる。
【0033】
詳しくは、エマルション消泡剤組成物に(A)成分、(B)成分を配合する場合を例にとると、(A)成分、(B)成分、(C)成分を混合し、(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの高い融点よりも高い温度で、かつ100℃以下で、さらに(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱して、(A)成分、(B)成分、(C)成分が全て溶融した液状の油性混合液とする。一方、所定量の水に(D)成分、必要に応じて他の界面活性剤や増粘剤を添加し、撹拌、混合して均一な水性混合液とする。ミキサー等を用いて、強く撹拌しながら油性混合液と水性混合液を混合してエマルションを作り、粒度分布計、例えばレーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)を用いてエマルション粒子径が0.5〜20μになるまで攪拌を続行する。目的の粒径に達したならば、室温あるいは約30℃以下に撹拌、冷却して、本発明の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物が得られる。
【0034】
好ましいエマルション消泡剤の調製方法としては、油性混合液を(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの高い融点よりも更に約5〜10℃程、高い温度で、かつ100℃以下で(A)成分、(B)成分、(C)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱し、一方、油性混合液と水性混合液を混合した直後のエマルションの液温が(A)成分、(B)成分、(C)成分の少なくとも1種が固化・析出する温度を越えるように予め水性混合液を加温して、エマルションを調製する方法である。水性混合液の加熱温度は、油性混合液と水性混合液の混合比により異なるが、通常60〜85℃である。
【0035】
エマルションの調製に使用される攪拌装置は、特に限定されるものではなく、例えばプロペラ型撹拌機、ディソルバー、ホモミキサー、ラインミキサー、ニーダー、高速回転高剪断型攪拌機、コロイドミル、超音波乳化分散機等がある。
【0036】
その他、本発明のエマルション消泡剤組成物の効果を損なわない範囲で、消泡効果を有するポリグリコール系消泡剤やシリコーンオイル、(A)成分を加熱溶解する際の溶剤及びエマルションの調製を容易にするために、融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類、エマルション消泡剤組成物の表面乾燥性を抑制するための水溶性アルコール類等を配合することもできる。
【0037】
ポリグリコール系消泡剤としては、例えばポリオキシエチレン(5〜10モル)ポリオキシプロピレン(15〜30モル)ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(10〜15モル)ジステアリン酸エステル、ヤシアルキルアルコールのポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(15〜20モル)付加物のモノオレイン酸エステル等がある。
【0038】
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が2〜2000ミリパスカル・秒(mPa・s)のジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、末端にヒドロキシル基を持つジメチルポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン、一部側鎖にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した変性オルガノポリシロキサン等がある。
【0039】
融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類としては、例えばラウリン酸メチル、オレイン酸メチルなどの脂肪酸エステル類、フタル酸ジメチル、フタル酸ブチルなどの芳香族ジカルボン酸エステル類、デカン、スピンドル油などのパラフィン系炭化水素、流動パラフィンなどがあげられ、好ましくは25℃における粘度が10〜500ミリパスカル・秒(mPa・s)のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類のラウリン酸メチル、スピンドル油、流動パラフィンなどである。
【0040】
水溶性アルコール類としては、例えばグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、メチルセルソルブやブチルセルソルブ等のセルソルブ類等である。
【0041】
本発明のエマルション消泡剤組成物の添加方法は、一般に薬注ポンプを使って、発泡液に直接、添加したり、発泡箇所の手前の工程に添加して使用される。
【0042】
本発明の方法で得られたエマルション消泡剤組成物の添加量は、発泡の状況により異なるが、一般的に発泡液に対して、1〜500mg/Lが目安となる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
【0044】
(A:高級アルコール)
A−1:高級アルコール混合物(炭素数28〜32、融点75−80℃)〔コンデア(株)製〕
A−2:チーグラー法合成アルコール(炭素数16〜22、融点45〜49℃)〔コンデア社製〕
A−3:(比較例)ラウリルアルコール(融点:23−24℃)〔日本油脂(株)製〕
[B:高級脂肪酸エステル]
B−1:ベヘニン酸ベヘニル(融点:73℃)〔日本油脂(株)製〕
B−2:硬化牛脂(融点:46〜50℃)〔日本油脂(株)製〕
B−3:ジステアリン酸ペンタエリスリット(融点:54℃)〔日本油脂(株)製〕
B−4:(比較例)ステアリン酸メチル(融点31〜35℃)〔日本油脂(株)〕
[C:パラフィンワックス]
C−1:パラフィンワックス(融点:46〜70℃)〔日本石油精製(株)製〕
C−2:ポリエチレン「ポリワックス500」(商品名、融点86℃、分子量500)〔東洋ペトロライト(株)製〕
C−3:酸化ポリエチレン「エポレンE−10」(商品名、融点106℃、分子量3,000)〔イーストマン・ケミカル(株)製〕
C−4:(比較例)パラフィンワックス(融点:33〜40℃未満)〔日本石油精製(株)製〕
[D:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩]
D−1:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム「ペレックスSS−H」(商品名、有効分50%)〔花王(株)製〕
D−2:ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸アンモニウム50重量%水溶液
D−3:デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸カリウム50重量%水溶液
[E:多糖類および高分子類]
E−1:「キサンタンガム」(商品名)〔三昌(株)製〕
E−2:「ウェランガム」(商品名)〔三昌(株)製〕
E−3:アクリル酸−アクリルアミド共重合体(7:3のモル比の共重合体、分子量300万)
E−4:ポリエチレンオキサイド(分子量500万)〔明成化学工業(株)製〕
[界面活性剤]
F−1:ソルビタンモノオレイン酸エステル「ノニオンOP−80R」(商品名)〔日本油脂(株)製〕
F−2:ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル「ノニオンOT−221」(商品名)〔日本油脂(株)製〕
F−3:グリセリンモノオレイン酸エステル「レオドールMO−60」(商品名)〔花王(株)製〕
F−4:ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム塩「PC−8600」(商品名、有効分70重量%)〔旭電化工業(株)製〕
[エマルション消泡剤組成物の製造]
(実施例−1)
1000mLのステンレスビーカーにベヘニルアルコール(A−1)200g、パラフィンワックス(C−1)10gを加え、3枚羽根のある攪拌機で攪拌しながら80℃に加熱し、油性混合液とした。また、別途2000mLのステンレス容器に水767gに3枚羽根のある攪拌機で攪拌し、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム50重量%水溶液(D−1)2.3gを添加して、これを80℃に加熱し水性混合液とした。この水性混合液を「TKオートホモミキサー M型」(商品名、特殊機化工業(株)製)で3000rpmに攪拌しながら、80℃に加温した上記油性混合液を加えて、エマルションを調製した。その後、70〜80℃を維持しながらレーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)でエマルション平均粒子径を測定し、2〜20μの範囲まで攪拌を続けた後、更に室温まで攪拌を続け本発明の実施例−1のエマルション消泡剤組成物を得た。
【0045】
以下同様に表1、表2に記載した配合組成の実施例2〜23および比較例1〜14のエマルション消泡剤組成物を調製した。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
(エマルション消泡剤組成物の粘度安定性試験)
500mLの広口瓶にエマルション消泡剤組成物組成物を入れ、蓋して5℃と20℃の温度サイクル(5℃:10時間維持し、3〜4時間で昇温して20℃を10時間維持し、次いで5℃へ降温する。これを繰り返す。)の恒温槽に静置し、30日後の粘度測定及びゲル状物、凝集物の有無を目視観察した。粘度の測定は、B型回転粘度計(トキメック(株)製)で25℃、20rpmの条件下、ロータの回転開始より1分後に測定した。粘度が2000(mPa・s)以上になったもの、クリーム状物やゲル状物になったもの、凝集物の発生したものは好ましくない。結果を表3に示した。
【0048】
(エマルション消泡剤組成物の分離性評価)
目盛り付き1000mLメスシリダーに、調製したエマルション消泡剤組成物を1000mL入れ、蓋をして40℃の恒温槽で30日静置した。30日後に1000mLメスシリンダー内のエマルション消泡剤組成物の分離による下部の清澄部の体積を測定し、分離体積比(%)として求めた。この比が小さいほど良好なエマルション安定性を示し、10%以上は好ましくない。結果を表3にまとめた。
【0049】
【表3】
本発明のエマルション消泡剤組成物は、5〜20℃の温度サイクルによる温度環境の変化に対しても安定で増粘・ゲル化は生じず、経時によるエマルションの分離も小さくなり、エマルションの安定性が大きく改善されることが分かる。
【0050】
(消泡効果試験)
表1の実施例No.2、5〜7、11、12、14、19〜23及び比較例No.1、2、5〜10、14の各エマルション消泡剤組成物の調製直後のものと調製後、40℃で30日静置後のエマルション消泡剤組成物を用いて、消泡試験を行った。供試発泡液には、中性中質塗工原紙を製造している抄紙工程白水(pH:7.0、温度45℃)を使用した。アクリル樹脂製筒型容器(図1)に45℃に加温した供試白水1000mLを入れ、循環ポンプにて4.5mL/分で循環させた。循環前の供試液面を泡高の基準として、循環により泡高が10cmになった時、発泡液の上部よりエマルション消泡剤組成物を10mg(供試液中のエマルション消泡剤組成物の濃度:10ppm)を添加した。循環開始より60秒後、120秒後、180秒後に泡高を測定した。結果を表4に示した。
【0051】
【表4】
本発明のエマルション消泡剤組成物の消泡効果は、調製直後と30日静置後で変らないことが分かる。また、本発明のエマルション消泡剤組成物の実施例11と比較例1、実施例12と比較例2、5、実施例19と比較例6、実施例20と比較例7、実施例21と比較例8、実施例22と比較例9、実施例23と比較例10を比べて(C)パラフィンワックス、(D)アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸類の配合がエマルション消泡剤組成物の消泡効果を低下させていないことが分かる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物により、消泡効果に影響することなく、貯蔵・保管中のエマルションの分離及び増粘・ゲル化が改善、抑制され、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の品質向上をもたらした。さらに、従来、エマルションの分離及び増粘・ゲル化に起因した注入不良等の操業上の障害が無くなり、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における安定操業や生産される製品の品質向上に寄与すること、大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エマルション消泡剤組成物の消泡性能評価に用いた消泡試験装置の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1:循環ポンプ
2:発泡試験筒(アクリル製・全容量2000ml)
3:循環ライン
4:発泡供試液
5:泡
Claims (3)
- (C)を、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)が含まれる場合は(A)に対して、あるいは高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)と(B)が含まれる場合は(A)と(B)の合計量に対して5〜30重量%配合する請求項1記載の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物。
- (D)を、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)が含まれる場合は(A)に対して、あるいは高級アルコール系エマルション消泡剤組成物に(A)と(B)が含まれる場合は(A)と(B)の合計量に対して1〜10重量%配合する請求項1記載の高級アルコール系エマルション消泡剤組成物。
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- 2002-06-28 JP JP2002189784A patent/JP2004025150A/ja active Pending
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