JP2004008894A - 高級アルコール系エマルション消泡剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物、更に詳しくは、エマルション安定性が改善された高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
高級アルコールを主成分とした高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、比較的低価格でかつ消泡効果が高いことから、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における工程水や排水、都市下水・し尿処理場などの放流水の消泡に多用されている。特に紙パルプ工業においては、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は消泡剤効果が優れているのに加え、サイズへの影響が少ないことから、急速にその使用が拡大してきた。
【0003】
しかし、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、貯蔵、保管中にエマルションの分離や増粘・ケル化を起こし易い欠点がある。エマルションが分離したり、増粘・ケル化した高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤では消泡効果が十分発揮されなかったり、注入トラブルを引き起こし、操業の一時停止等の多大な損失をもたらすことがある。そこで、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤のエマルション安定化のために様々な対策が提案されてきた。
【0004】
例えば、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミドまたメタアクリアミドの水溶性高分子の単独重合体または共重合体を配合するし長期の安定性を得る方法(特公平6−104165号公報)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にポリアクリル酸のアルカリ金属塩/アンモニウム塩と微生物産生多糖類を配合する方法(特開平8−155212号公報)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤に炭素数16と18の高級アルコールと炭素数20〜24の高級アルコールが10:90〜50:50(重量比)で混合された高級アルコールと融点50℃以下の高級脂肪酸エステルを35:65〜50:50(重量比)で調製してエマルションを安定化させる方法(特公平8−24806号公報)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にポリエチレンオキサイドあるいはザンサンガム等の微生物産生多糖類又はメチルセルロースなどを配合する方法(特開平9−234307号)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にポリオキシアルキレンアルキルエーテルコハク酸ハーフエステル塩/ポリオキシアルキレンアルキルエーテルマレイン酸ハーフエステル塩及び/又は非イオン性界面活性剤を使用してエマルション化する方法(特開平11−276805号公報)などがある。
【0005】
しかし、これらの方法では、依然として経時および温度の変動により粘度の上昇とエマルションの分離が起こり、満足できるエマルション安定性を得るには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤の貯蔵・保管中の増粘・ゲル化を抑制し、さらにエマルションの分離を抑制した高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物のエマルション安定性について鋭意研究を重ねた結果、特定のアニオン性界面活性剤の含む乳化剤を用いたエマルションの安定性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、(A)融点40〜100℃の高級アルコールと(B)融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルを(C)一般式(1)で表されるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類(式中、Rは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基、MはH、Na、K、NH4を表す。)の存在下で水中に乳化してなることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【0009】
【化2】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類が(A)融点40〜100℃の高級アルコールと(B)融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルの合計重量に対して、1〜10重量%であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物(以下、「エマルション消泡剤組成物」とする)は、(C)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類の存在下で、消泡成分である(A)高級アルコールと(B)高級脂肪酸エステルを水中に乳化することによって得られたものであることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【0012】
本発明で使用する(A)高級アルコール(以下、「(A)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは45〜90℃の高級アルコールである。(A)成分の高級アルコールは、飽和アルコールと不飽和アルコール、直鎖アルコールと分岐アルコール、さらに天然アルコールと合成アルコールのいずれでも良く、またその混合物でも良い。
【0013】
融点が40℃未満の高級アルコールでは、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような高温にあるときには充分な消泡効果を示さない場合があり、融点が100℃を越える高級アルコールは入手が困難で実用的ではない。
【0014】
融点が40〜100℃の高級アルコールの具体的な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール(ベヘニルアルコール)、テトラコサノール、ヘキサコノール、オクタコノール、ミリシリルアルコール、オキソ法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール、チーグラー法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール及び合成アルコールの蒸留残査、更にナタネアルコール等の天然植物油脂から得られた融点40〜100℃の高級アルコール等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0015】
(A)成分の配合割合は、エマルション消泡剤全量に対して、通常1〜40重量%であり、好ましくは5〜35重量%、より好ましく10〜30重量%である。配合量が1重量%未満では、消泡効果が得られないことがあり、40重量%を越える配合量ではエマルション消泡剤組成物の粘度が高くなり、ポンプ注入等の取り扱い性が悪くなる場合がある。
【0016】
本発明で使用する(B)高級脂肪酸エステル(以下、「(A)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは融点が45〜90℃の高級脂肪酸エステルである。
【0017】
高級脂肪酸エステルを構成する高級脂肪酸は炭素数10〜30の高級脂肪酸であり、高級脂肪酸エステルを構成するアルコールは炭素数1〜30の1価アルコール及び多価アルコールである。また、これらの高級脂肪酸、アルコールは、飽和型と不飽和型、直鎖型と分岐型、さらに天然と合成のいずれでも良く、また、その混合物を用いてもよい。融点が40℃未満の脂肪酸エステルでは、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような高温にあるときには充分な消泡効果を示さないことがあり、融点が100℃を越える脂肪酸エステルでは配合量の割に消泡効果の向上が少なく、また、エマルションの安定性の向上も少ない場合がある。
【0018】
融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルの具体的な例としては、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタンなどが挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0019】
(B)成分の配合量は、通常、(A)成分に対して10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。10重量%未満では消泡効果が十分発揮されない場合があり、50重量%より多いと配合量の増加の割には消泡効果の向上への寄与が少ない場合がある。
【0020】
本発明で使用する(C)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類(以下、「C成分」とする)は、一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤である。一般式(1)におけるRは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基であり、MはH、Na、K、NH4である。
【0021】
【化3】
具体的には、ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヘキシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オクチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ドデシルアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヤシアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、硬化牛脂アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ステアリルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オレイルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ベヘニルジフェニルエーテルジスルフォン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等があり、これらの中の1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0022】
(C)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、通常、0.5〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。0.5重量%未満では得られるエマルションの安定性が劣る場合があり、20重量%を越えると配合割合に見合うだけのエマルション安定性が得られない場合がある。
【0023】
(C)成分と他のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を併用することもできる。アニオン性界面活性剤としてはモノアルキルスルホコハク酸エステル塩類、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等があり、非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等があげられる。
【0024】
本発明のエマルション消泡剤組成物において、エマルションの分離抑制、増粘防止に水分散性増粘剤を用いても良い。水分散性増粘剤としては、ラムザンガム、キサンタンガム、ウェランガム等の微生物産生多糖類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の半合成天然高分子多糖類等、ポリアクリル酸及びその水溶性塩類、アクリル酸−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等があり、これらの中の1種あるいは2種以上が用いられる。水分散性増粘剤の配合量は、(A)成分と(C)成分の合計量に対して、通常0.1〜10重量%であり、エマルション消泡剤組成物の組成、粘度等を考慮して適宜決定される。
【0025】
本発明のエマルション消泡剤組成物は、一般的に水、(C)成分を含む「水性混合液」と、(A)成分、(B)成分を含み、加熱、溶融した「油性混合液」を撹拌混合してエマルジョン消泡剤組成物を調製して得られる。
【0026】
エマルションの調製に用いる水の量は、通常、〔(A)成分〜(C)成分の混合物及びその他配合される非水成分〕:水=1:1〜1:5(重量比)である。
【0027】
具体的には、(A)成分、(B)成分を混合し、(A)成分、(B)成分のいずれかの高い融点よりも高い温度で、かつ100℃以下で(A)成分、(B)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱して、液状の油性混合液とする。一方、所定量の水に(C)成分、必要に応じて他の界面活性剤や増粘剤を添加し、撹拌、混合して均一な水性混合液とする。ミキサー等を用いて、強く撹拌しながら油性混合液と水性混合液を混合してエマルションを作り、レーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)を用いてエマルション粒子径が0.5〜20μになるまで攪拌を続行する。目的の粒径に達したならば、室温あるいは約30℃以下に撹拌、冷却して、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物が得られる。
【0028】
好ましくいエマルション消泡剤の調製方法としては、油性混合液を(A)成分、(B)成分のいずれかの高い融点よりも更に約5〜10℃程、高い温度で、かつ100℃以下で(A)成分、(B)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱し、油性混合液と水性混合液を混合してエマルションを調製した直後の液温が(A)成分、(B)成分のいずれかが固化・析出しない温度になるように、水性混合液を予め加温して、エマルションを調製する方法である。水性混合液の加熱温度は、油性混合液と水性混合液の混合比により異なるが、通常60〜85℃である。
【0029】
エマルションの調整に使用される攪拌装置は、特に限定されるものではなく、例えばプロペラ型撹拌機、ディソルバー、ホモミキサー、ラインミキサー、ニーダー、高速回転高剪断型攪拌機、コロイドミル、超音波乳化分散機等がある。
【0030】
その他、本発明のエマルション消泡剤組成物の効果を損なわない範囲で、消泡効果を有するポリグリコール系消泡剤やシリコーンオイル、(A)成分を加熱溶解する際の溶剤及びエマルションの調製を容易にするために、融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類、エマルション消泡剤組成物の表面乾燥性を抑制するための水溶性アルコール類等を配合することもできる。
【0031】
ポリグリコール系消泡剤としては、例えばポリオキシエチレン(5〜10モル)ポリオキシプロピレン(15〜30モル)ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(10〜15モル)ジステアリン酸エステル、ヤシアルキルアルコールのポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(15〜20モル)付加物のモノオレイン酸エステル等がある。
【0032】
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が2〜2000ミリパスカル・秒(mPa・s)のジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、末端にヒドロキシル基を持つジメチルポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン、一部側鎖にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した変性オルガノポリシロキサン等がある。
【0033】
融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類としては、例えばラウリン酸メチル、オレイン酸メチルなどの脂肪酸エステル類、フタル酸ジメチル、フタル酸ブチルなどの芳香族ジカルボン酸エステル類、デカン、スピンドル油などのパラフィン系炭化水素、流動パラフィンなどがあげられ、好ましくは25℃における粘度が10〜500ミリパスカル・秒(mPa・s)のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類のラウリン酸メチル、スピンドル油、流動パラフィンなどである。
【0034】
水溶性アルコール類としては、例えばグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、メチルセルソルブやブチルセルソルブ等のセルソルブ類等である。
【0035】
本発明のエマルション消泡剤組成物の添加方法は、一般に薬注ポンプを使って、発泡液に直接添加したり、発泡箇所の手前の工程に添加して使用される。
【0036】
本発明の方法で得れたエマルション消泡剤組成物の添加量は、発泡の状況により異なるが、一般的に発泡液に対して、1〜500mg/Lが目安となる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[A:高級アルコール]
A−1:ベヘニルアルコール(炭素数18〜24、融点:64〜71℃)〔コンデア社製〕
A−2:チーグラー法合成アルコール(炭素数16〜22)(融点:45〜49℃)〔コンデア社製〕
A−3:(比較例)ラウリルアルコール(融点:23−24℃)〔日本油脂(株)製〕
[B:高級脂肪酸エステル]
B−1:ベヘニン酸ベヘニル(融点:73℃)〔日本油脂(株)製〕
B−2:硬化牛脂(融点:46〜50℃)〔日本油脂(株)製〕
B−3:ジステアリン酸ペンタエリスリット(融点:54℃)〔日本油脂(株)製〕
B−4:(比較例)ステアリン酸メチル(融点31〜35℃)(日本油脂(株))
[C:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩]
C−1:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム「ペレックスSS−H」(有効分50%)(商品名、花王(株)製)
C−2:ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸アンモニウム(試薬、東京化成工業(株)製)の50重量%水溶液
C−3:デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸カリウム(試薬、東京化成工業(株)製)50重量%水溶液
[D:多糖類]
D−1:「キサンタンガム」(商品名、三昌(株)製)
D−2:「ウェランガム」(商品名、三昌(株)製)
D−3:アクリル酸−アクリルアミド共重合体(7:3のモル比の共重合体で分子量300万)
D−4:ポリエチレンオキサイド(分子量700万)
[界面活性剤]
F−1:ソルビタンモノオレイン酸エステル「ノニオンOP−80R」〔商品名、日本油脂(株)製〕
F−2:ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル「ノニオンOT−221」〔商品名、日本油脂(株)製〕
F−3:グリセリンモノオレイン酸エステル「レオドールMO−60」〔商品名、花王(株)製〕
F−4:ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム塩「PC−8600(有効分70重量%)」(商品名、旭電化工業(株)製)
[エマルション消泡剤組成物の調製]
(実施例−1)
1000mLのステンレスビーカーにベヘニルアルコール(A−1)200g、ベヘニン酸ベヘニル(B−1)40g(ベヘニルアルコールに対して20重量%)を加え、3枚羽根のある攪拌機で攪拌しながら80℃に加熱し、油性混合液とした。また、別途2000mLのステンレス容器に水755g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(濃度50重量%水溶液)(C−1)5g(ベヘニルアルコールとベヘニル酸ベヘニルの合計量に対して1.0重量%)を添加して、これを80℃に加熱し水性混合液とした。この水性混合液を「TKオートホモミキサー M型」(商品名、特殊機化工業(株)製)で3000rpmに攪拌しながら、加熱した上記油性混合液を加えて、エマルションを調製した。その後、80℃を維持しながらレーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)でエマルション平均粒子径を測定し、2〜20μの範囲に達するまで攪拌を続けた。目標の粒径に達したならば、更に攪拌を続けて30℃〜室温まで冷却し、本発明のエマルション消泡剤組成物の実施例−1を得た。
【0038】
以下同様に表1に記載した配合組成の実施例2〜17、比較例1〜10のエマルション消泡剤組成物を調製した。
【0039】
【表1】
(エマルション消泡剤組成物の粘度安定性試験)
500mLの広口瓶にエマルション消泡剤組成物組成物を入れ、蓋して5℃と20℃を繰り返す条件(5℃:10時間維持し、3〜4時間で昇温し20℃を10時間維持。次いで5℃へ降温し、これを繰り返した。)で静置し、30日後の粘度の測定及びゲル状物、凝集物の有無を目視観察した。粘度の測定は、B型回転粘度計で25℃、20rpmの条件下、ローターの回転開始より1分後に測定した。粘度が2000(mPa・s)以上になったもの、クリーム状物やゲル状物になったもの、凝集物の発生したものは好ましくない。結果を表2に示した。(エマルション消泡剤組成物の分離性評価)
目盛り付き1000mLメスシリダーに、調製したエマルション消泡剤組成物を1000mL入れ、蓋をして40℃の恒温槽で30日静置した。30日後に1000mLメスシリンダー内のエマルション消泡剤組成物の分離による下部の清澄部の体積を測定し、分離体積比(%)として求めた。この比が小さいほど良好なエマルション安定性を示し、10%以上は好ましくない。結果を表2にまとめた。
【0040】
【表2】
本発明のエマルション消泡剤組成物の調製直後の粘度は低く、しかも5〜20℃の温度サイクルによる温度環境の変化に対しても安定で増粘・ゲル化は生じず、経時によるエマルションの分離も小さくなり、エマルションの安定性が大きく改善されることが分かる。
〔消泡性能試験〕
調製直後のエマルション消泡剤組成物と調製後、40℃で30日静置後のエマルション消泡剤組成物を用いて、消泡試験を行った。供試発泡液は、中性中質塗工原紙を製造している抄紙工程より白水(pH:7.0、温度45℃)を採取し使用した。アクリル樹脂製筒型容器(図1)に45℃の加温した供試白水1000mLを入れ、供試液面を発泡による泡高の基準として循環ポンプにて4.5mL/分で循環させた。泡高が10cmになった時、発泡液の上部より消泡剤組成物6mg(供試液中のエマルション消泡剤組成物の濃度:6ppm)を添加し、循環開始より30秒後、60秒後、120秒後、180秒後に泡高を測定した。結果を表3に示した。
【0041】
【表3】
本発明のエマルション消泡剤組成物の消泡効果は、調製直後と30日静置後で変らないことが分かる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物により、消泡効果に影響することなく、貯蔵・保管中のエマルションの分離及び増粘・ゲル化が改善、抑制され、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の品質向上をもたらした。さらに、従来、エマルションの分離及び増粘・ゲル化に起因した注入不良等の操業上の障害が無くなり、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における安定操業や生産される製品の品質向上に寄与すること、大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エマルション消泡剤組成物の消泡性能評価に用いた消泡試験装置の構成を示す概念図である。
【符号の説明】
1:循環ポンプ
2:発泡試験筒(アクリル製・全容量2000ml)
3:循環ライン
4:発泡供試液
5:泡
【発明の属する技術分野】
本発明は、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物、更に詳しくは、エマルション安定性が改善された高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
高級アルコールを主成分とした高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、比較的低価格でかつ消泡効果が高いことから、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における工程水や排水、都市下水・し尿処理場などの放流水の消泡に多用されている。特に紙パルプ工業においては、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は消泡剤効果が優れているのに加え、サイズへの影響が少ないことから、急速にその使用が拡大してきた。
【0003】
しかし、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤は、貯蔵、保管中にエマルションの分離や増粘・ケル化を起こし易い欠点がある。エマルションが分離したり、増粘・ケル化した高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤では消泡効果が十分発揮されなかったり、注入トラブルを引き起こし、操業の一時停止等の多大な損失をもたらすことがある。そこで、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤のエマルション安定化のために様々な対策が提案されてきた。
【0004】
例えば、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にアクリル酸、メタアクリル酸、アクリルアミドまたメタアクリアミドの水溶性高分子の単独重合体または共重合体を配合するし長期の安定性を得る方法(特公平6−104165号公報)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にポリアクリル酸のアルカリ金属塩/アンモニウム塩と微生物産生多糖類を配合する方法(特開平8−155212号公報)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤に炭素数16と18の高級アルコールと炭素数20〜24の高級アルコールが10:90〜50:50(重量比)で混合された高級アルコールと融点50℃以下の高級脂肪酸エステルを35:65〜50:50(重量比)で調製してエマルションを安定化させる方法(特公平8−24806号公報)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にポリエチレンオキサイドあるいはザンサンガム等の微生物産生多糖類又はメチルセルロースなどを配合する方法(特開平9−234307号)、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤にポリオキシアルキレンアルキルエーテルコハク酸ハーフエステル塩/ポリオキシアルキレンアルキルエーテルマレイン酸ハーフエステル塩及び/又は非イオン性界面活性剤を使用してエマルション化する方法(特開平11−276805号公報)などがある。
【0005】
しかし、これらの方法では、依然として経時および温度の変動により粘度の上昇とエマルションの分離が起こり、満足できるエマルション安定性を得るには至っていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤の貯蔵・保管中の増粘・ゲル化を抑制し、さらにエマルションの分離を抑制した高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物のエマルション安定性について鋭意研究を重ねた結果、特定のアニオン性界面活性剤の含む乳化剤を用いたエマルションの安定性が飛躍的に向上することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、請求項1の発明は、(A)融点40〜100℃の高級アルコールと(B)融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルを(C)一般式(1)で表されるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類(式中、Rは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基、MはH、Na、K、NH4を表す。)の存在下で水中に乳化してなることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【0009】
【化2】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物であり、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類が(A)融点40〜100℃の高級アルコールと(B)融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルの合計重量に対して、1〜10重量%であることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0011】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物(以下、「エマルション消泡剤組成物」とする)は、(C)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類の存在下で、消泡成分である(A)高級アルコールと(B)高級脂肪酸エステルを水中に乳化することによって得られたものであることを特徴とする高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物である。
【0012】
本発明で使用する(A)高級アルコール(以下、「(A)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは45〜90℃の高級アルコールである。(A)成分の高級アルコールは、飽和アルコールと不飽和アルコール、直鎖アルコールと分岐アルコール、さらに天然アルコールと合成アルコールのいずれでも良く、またその混合物でも良い。
【0013】
融点が40℃未満の高級アルコールでは、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような高温にあるときには充分な消泡効果を示さない場合があり、融点が100℃を越える高級アルコールは入手が困難で実用的ではない。
【0014】
融点が40〜100℃の高級アルコールの具体的な例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、エイコサノール、ドコサノール(ベヘニルアルコール)、テトラコサノール、ヘキサコノール、オクタコノール、ミリシリルアルコール、オキソ法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール、チーグラー法で合成された融点が40〜100℃の高級アルコール及び合成アルコールの蒸留残査、更にナタネアルコール等の天然植物油脂から得られた融点40〜100℃の高級アルコール等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0015】
(A)成分の配合割合は、エマルション消泡剤全量に対して、通常1〜40重量%であり、好ましくは5〜35重量%、より好ましく10〜30重量%である。配合量が1重量%未満では、消泡効果が得られないことがあり、40重量%を越える配合量ではエマルション消泡剤組成物の粘度が高くなり、ポンプ注入等の取り扱い性が悪くなる場合がある。
【0016】
本発明で使用する(B)高級脂肪酸エステル(以下、「(A)成分」とする)は、消泡効果を発揮し、融点が40〜100℃、好ましくは融点が45〜90℃の高級脂肪酸エステルである。
【0017】
高級脂肪酸エステルを構成する高級脂肪酸は炭素数10〜30の高級脂肪酸であり、高級脂肪酸エステルを構成するアルコールは炭素数1〜30の1価アルコール及び多価アルコールである。また、これらの高級脂肪酸、アルコールは、飽和型と不飽和型、直鎖型と分岐型、さらに天然と合成のいずれでも良く、また、その混合物を用いてもよい。融点が40℃未満の脂肪酸エステルでは、適用する対象の系の液温が40℃を越えるような高温にあるときには充分な消泡効果を示さないことがあり、融点が100℃を越える脂肪酸エステルでは配合量の割に消泡効果の向上が少なく、また、エマルションの安定性の向上も少ない場合がある。
【0018】
融点40〜100℃の高級脂肪酸エステルの具体的な例としては、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸ベヘニル、ジステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸トリエチレングリコール、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ジステアリン酸ペンタエリスリトール、テトラステアリン酸ペンタエリスリトール、モノステアリン酸ソルビタン、ジステアリン酸ソルビタンなどが挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0019】
(B)成分の配合量は、通常、(A)成分に対して10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%である。10重量%未満では消泡効果が十分発揮されない場合があり、50重量%より多いと配合量の増加の割には消泡効果の向上への寄与が少ない場合がある。
【0020】
本発明で使用する(C)アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類(以下、「C成分」とする)は、一般式(1)で表されるアニオン性界面活性剤である。一般式(1)におけるRは炭素数4〜22の分岐あるいは直鎖のアルキル基であり、MはH、Na、K、NH4である。
【0021】
【化3】
具体的には、ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヘキシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オクチルジフェニルエーテルジスルフォン酸、デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ドデシルアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ヤシアルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸、硬化牛脂アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、ステアリルジフェニルエーテルジスルフォン酸、オレイルジフェニルエーテルジスルフォン酸、ベヘニルジフェニルエーテルジスルフォン酸およびこれらのナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等があり、これらの中の1種あるいは2種以上を用いることができる。
【0022】
(C)成分の配合割合は、(A)成分と(B)成分の合計量に対して、通常、0.5〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。0.5重量%未満では得られるエマルションの安定性が劣る場合があり、20重量%を越えると配合割合に見合うだけのエマルション安定性が得られない場合がある。
【0023】
(C)成分と他のアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤を併用することもできる。アニオン性界面活性剤としてはモノアルキルスルホコハク酸エステル塩類、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等があり、非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等があげられる。
【0024】
本発明のエマルション消泡剤組成物において、エマルションの分離抑制、増粘防止に水分散性増粘剤を用いても良い。水分散性増粘剤としては、ラムザンガム、キサンタンガム、ウェランガム等の微生物産生多糖類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等の半合成天然高分子多糖類等、ポリアクリル酸及びその水溶性塩類、アクリル酸−アクリルアミド共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等があり、これらの中の1種あるいは2種以上が用いられる。水分散性増粘剤の配合量は、(A)成分と(C)成分の合計量に対して、通常0.1〜10重量%であり、エマルション消泡剤組成物の組成、粘度等を考慮して適宜決定される。
【0025】
本発明のエマルション消泡剤組成物は、一般的に水、(C)成分を含む「水性混合液」と、(A)成分、(B)成分を含み、加熱、溶融した「油性混合液」を撹拌混合してエマルジョン消泡剤組成物を調製して得られる。
【0026】
エマルションの調製に用いる水の量は、通常、〔(A)成分〜(C)成分の混合物及びその他配合される非水成分〕:水=1:1〜1:5(重量比)である。
【0027】
具体的には、(A)成分、(B)成分を混合し、(A)成分、(B)成分のいずれかの高い融点よりも高い温度で、かつ100℃以下で(A)成分、(B)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱して、液状の油性混合液とする。一方、所定量の水に(C)成分、必要に応じて他の界面活性剤や増粘剤を添加し、撹拌、混合して均一な水性混合液とする。ミキサー等を用いて、強く撹拌しながら油性混合液と水性混合液を混合してエマルションを作り、レーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)を用いてエマルション粒子径が0.5〜20μになるまで攪拌を続行する。目的の粒径に達したならば、室温あるいは約30℃以下に撹拌、冷却して、高級アルコール系エマルション消泡剤組成物が得られる。
【0028】
好ましくいエマルション消泡剤の調製方法としては、油性混合液を(A)成分、(B)成分のいずれかの高い融点よりも更に約5〜10℃程、高い温度で、かつ100℃以下で(A)成分、(B)成分のいずれかの低い沸点よりも低い温度に加熱し、油性混合液と水性混合液を混合してエマルションを調製した直後の液温が(A)成分、(B)成分のいずれかが固化・析出しない温度になるように、水性混合液を予め加温して、エマルションを調製する方法である。水性混合液の加熱温度は、油性混合液と水性混合液の混合比により異なるが、通常60〜85℃である。
【0029】
エマルションの調整に使用される攪拌装置は、特に限定されるものではなく、例えばプロペラ型撹拌機、ディソルバー、ホモミキサー、ラインミキサー、ニーダー、高速回転高剪断型攪拌機、コロイドミル、超音波乳化分散機等がある。
【0030】
その他、本発明のエマルション消泡剤組成物の効果を損なわない範囲で、消泡効果を有するポリグリコール系消泡剤やシリコーンオイル、(A)成分を加熱溶解する際の溶剤及びエマルションの調製を容易にするために、融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類、エマルション消泡剤組成物の表面乾燥性を抑制するための水溶性アルコール類等を配合することもできる。
【0031】
ポリグリコール系消泡剤としては、例えばポリオキシエチレン(5〜10モル)ポリオキシプロピレン(15〜30モル)ステアリン酸エステル、ポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(10〜15モル)ジステアリン酸エステル、ヤシアルキルアルコールのポリオキシエチレン(3〜6モル)ポリオキシプロピレン(15〜20モル)付加物のモノオレイン酸エステル等がある。
【0032】
シリコーンオイルとしては、25℃における粘度が2〜2000ミリパスカル・秒(mPa・s)のジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、末端にヒドロキシル基を持つジメチルポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン、一部側鎖にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加した変性オルガノポリシロキサン等がある。
【0033】
融点20℃以下のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類としては、例えばラウリン酸メチル、オレイン酸メチルなどの脂肪酸エステル類、フタル酸ジメチル、フタル酸ブチルなどの芳香族ジカルボン酸エステル類、デカン、スピンドル油などのパラフィン系炭化水素、流動パラフィンなどがあげられ、好ましくは25℃における粘度が10〜500ミリパスカル・秒(mPa・s)のカルボン酸エステル類及び/又は炭化水素油類のラウリン酸メチル、スピンドル油、流動パラフィンなどである。
【0034】
水溶性アルコール類としては、例えばグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、メチルセルソルブやブチルセルソルブ等のセルソルブ類等である。
【0035】
本発明のエマルション消泡剤組成物の添加方法は、一般に薬注ポンプを使って、発泡液に直接添加したり、発泡箇所の手前の工程に添加して使用される。
【0036】
本発明の方法で得れたエマルション消泡剤組成物の添加量は、発泡の状況により異なるが、一般的に発泡液に対して、1〜500mg/Lが目安となる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
[A:高級アルコール]
A−1:ベヘニルアルコール(炭素数18〜24、融点:64〜71℃)〔コンデア社製〕
A−2:チーグラー法合成アルコール(炭素数16〜22)(融点:45〜49℃)〔コンデア社製〕
A−3:(比較例)ラウリルアルコール(融点:23−24℃)〔日本油脂(株)製〕
[B:高級脂肪酸エステル]
B−1:ベヘニン酸ベヘニル(融点:73℃)〔日本油脂(株)製〕
B−2:硬化牛脂(融点:46〜50℃)〔日本油脂(株)製〕
B−3:ジステアリン酸ペンタエリスリット(融点:54℃)〔日本油脂(株)製〕
B−4:(比較例)ステアリン酸メチル(融点31〜35℃)(日本油脂(株))
[C:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩]
C−1:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム「ペレックスSS−H」(有効分50%)(商品名、花王(株)製)
C−2:ブチルジフェニルエーテルジスルフォン酸アンモニウム(試薬、東京化成工業(株)製)の50重量%水溶液
C−3:デシルジフェニルエーテルジスルフォン酸カリウム(試薬、東京化成工業(株)製)50重量%水溶液
[D:多糖類]
D−1:「キサンタンガム」(商品名、三昌(株)製)
D−2:「ウェランガム」(商品名、三昌(株)製)
D−3:アクリル酸−アクリルアミド共重合体(7:3のモル比の共重合体で分子量300万)
D−4:ポリエチレンオキサイド(分子量700万)
[界面活性剤]
F−1:ソルビタンモノオレイン酸エステル「ノニオンOP−80R」〔商品名、日本油脂(株)製〕
F−2:ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル「ノニオンOT−221」〔商品名、日本油脂(株)製〕
F−3:グリセリンモノオレイン酸エステル「レオドールMO−60」〔商品名、花王(株)製〕
F−4:ジオクチルスルホコハク酸エステルナトリウム塩「PC−8600(有効分70重量%)」(商品名、旭電化工業(株)製)
[エマルション消泡剤組成物の調製]
(実施例−1)
1000mLのステンレスビーカーにベヘニルアルコール(A−1)200g、ベヘニン酸ベヘニル(B−1)40g(ベヘニルアルコールに対して20重量%)を加え、3枚羽根のある攪拌機で攪拌しながら80℃に加熱し、油性混合液とした。また、別途2000mLのステンレス容器に水755g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム(濃度50重量%水溶液)(C−1)5g(ベヘニルアルコールとベヘニル酸ベヘニルの合計量に対して1.0重量%)を添加して、これを80℃に加熱し水性混合液とした。この水性混合液を「TKオートホモミキサー M型」(商品名、特殊機化工業(株)製)で3000rpmに攪拌しながら、加熱した上記油性混合液を加えて、エマルションを調製した。その後、80℃を維持しながらレーザー回折式粒度分布計「LP−500」(商品名、堀場製作所(株)製)でエマルション平均粒子径を測定し、2〜20μの範囲に達するまで攪拌を続けた。目標の粒径に達したならば、更に攪拌を続けて30℃〜室温まで冷却し、本発明のエマルション消泡剤組成物の実施例−1を得た。
【0038】
以下同様に表1に記載した配合組成の実施例2〜17、比較例1〜10のエマルション消泡剤組成物を調製した。
【0039】
【表1】
(エマルション消泡剤組成物の粘度安定性試験)
500mLの広口瓶にエマルション消泡剤組成物組成物を入れ、蓋して5℃と20℃を繰り返す条件(5℃:10時間維持し、3〜4時間で昇温し20℃を10時間維持。次いで5℃へ降温し、これを繰り返した。)で静置し、30日後の粘度の測定及びゲル状物、凝集物の有無を目視観察した。粘度の測定は、B型回転粘度計で25℃、20rpmの条件下、ローターの回転開始より1分後に測定した。粘度が2000(mPa・s)以上になったもの、クリーム状物やゲル状物になったもの、凝集物の発生したものは好ましくない。結果を表2に示した。(エマルション消泡剤組成物の分離性評価)
目盛り付き1000mLメスシリダーに、調製したエマルション消泡剤組成物を1000mL入れ、蓋をして40℃の恒温槽で30日静置した。30日後に1000mLメスシリンダー内のエマルション消泡剤組成物の分離による下部の清澄部の体積を測定し、分離体積比(%)として求めた。この比が小さいほど良好なエマルション安定性を示し、10%以上は好ましくない。結果を表2にまとめた。
【0040】
【表2】
本発明のエマルション消泡剤組成物の調製直後の粘度は低く、しかも5〜20℃の温度サイクルによる温度環境の変化に対しても安定で増粘・ゲル化は生じず、経時によるエマルションの分離も小さくなり、エマルションの安定性が大きく改善されることが分かる。
〔消泡性能試験〕
調製直後のエマルション消泡剤組成物と調製後、40℃で30日静置後のエマルション消泡剤組成物を用いて、消泡試験を行った。供試発泡液は、中性中質塗工原紙を製造している抄紙工程より白水(pH:7.0、温度45℃)を採取し使用した。アクリル樹脂製筒型容器(図1)に45℃の加温した供試白水1000mLを入れ、供試液面を発泡による泡高の基準として循環ポンプにて4.5mL/分で循環させた。泡高が10cmになった時、発泡液の上部より消泡剤組成物6mg(供試液中のエマルション消泡剤組成物の濃度:6ppm)を添加し、循環開始より30秒後、60秒後、120秒後、180秒後に泡高を測定した。結果を表3に示した。
【0041】
【表3】
本発明のエマルション消泡剤組成物の消泡効果は、調製直後と30日静置後で変らないことが分かる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物により、消泡効果に影響することなく、貯蔵・保管中のエマルションの分離及び増粘・ゲル化が改善、抑制され、高級アルコール系水中油型エマルション消泡剤組成物の品質向上をもたらした。さらに、従来、エマルションの分離及び増粘・ゲル化に起因した注入不良等の操業上の障害が無くなり、紙パルプ製造業、石油化学工業、繊維工業、塗料工業などの製造業における安定操業や生産される製品の品質向上に寄与すること、大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エマルション消泡剤組成物の消泡性能評価に用いた消泡試験装置の構成を示す概念図である。
【符号の説明】
1:循環ポンプ
2:発泡試験筒(アクリル製・全容量2000ml)
3:循環ライン
4:発泡供試液
5:泡
Claims (2)
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