JP2004024208A - 糖転移作用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成における糖鎖とペプチド(タンパク質)との結合部位に存在するリンケージ四糖に対してN−アセチルガラクトサミン残基を転移する作用を有する糖転移作用剤を提供する。
【解決手段】コンドロイチン硫酸N−アセチルガラクトサミン転移酵素の特定のアミノ酸配列からなるタンパク質を遺伝子工学的に発現させ、それをコンドロイチン/コンドロイチン硫酸合成に使用する糖転移作用剤とする。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、D−グルクロン酸残基と二残基のD−ガラクトース残基とD−キシロース残基とがグリコシド結合してなる四糖を含むN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質に対してN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移する糖転移作用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
以下本明細書中の糖及び糖残基の表記においては特に明記しない限り光学異性体はすべてD体を示すものとする。
【0003】
コンドロイチン/コンドロイチン硫酸は、N−アセチルガラクトサミン(以下「GalNAc」とも記載する)にグルクロン酸(以下「GlcUA」とも記載する)がβ1,3結合によりグリコシド結合した二糖がβ1,4グリコシド結合で結合して連なる基本骨格を有したグリコサミノグリカンの一種である。生体内においてコンドロイチン/コンドロイチン硫酸は、タンパク質に結合したコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンとして合成される。その合成には様々な酵素が関与していることが知られている(糖鎖工学:産業調査会バイオテクノロジー情報センター発行(発行日:1992年8月1日))。
【0004】
コンドロイチンプロテオグリカンは、ペプチド又はタンパク質を構成するアミノ酸残基のうち、セリン残基の側鎖にコンドロイチン/コンドロイチン硫酸が結合した構造を有している。すなわちコンドロイチン/コンドロイチン硫酸とセリン残基との結合部分には下記式(4)で表される構造が存在する。
【0005】
GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl−Ser  (4)
式(4)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖に結合したD−キシロース残基を示し、「Ser」は前記Xylで示されるD−キシロース残基が側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「−」はグリコシド結合を示し、この構造中、下記式(1)で表される構造を便宜的に「リンケージ四糖」とも記載する。
【0006】
GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
式(1)中、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
【0007】
上記式(4)で表される構造を合成するための酵素のうち、非還元末端のGlcUAに対してGlaNAcを転移する十分な作用を有する糖転移作用剤はこれまでは知られていなかった。すなわち、J. Biol. Chem. 277 (2002), 8841−8846にはGenBank(商標名)受け入れ番号AB071403のcDNAがコードするアミノ酸配列のうち、アミノ酸番号42乃至532からなるアミノ酸配列のタンパク質が有するコンドロイチン合成作用に関する記載が存在する。すなわち、当該タンパク質には上記式(4)の構造を合成しうる「合成開始作用(イニシエーション作用)」及びコンドロイチン骨格を連続的に合成しうる「基本骨格伸長作用(エロンゲーション作用)」の双方を有する旨記載されている。しかし当該文献の記述によるとGalNAc−リンケージ四糖を生ずる活性は検出不能(0.01pmol/ml 培地/h未満)であり、リンケージ四糖に対してGalNAcをGalNAc供与体基質から転移する作用を実質的に有する糖転移作用剤は存在していなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
一方、コンドロイチン/コンドロイチン硫酸は生体由来の材料であり、これらの安定した供給を確保するためのコンドロイチン/コンドロイチン硫酸を人工的にプロテオグリカンとして合成する方法の探索が強く望まれている。しかし、コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成の開始点となるリンケージ四糖に対してN−アセチルガラクトサミンを転移する十分な作用を有する糖転移作用剤は存在せず、そのような糖転移作用剤の探索が大いに期待されていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題の解決のために鋭意検討した結果、公知のDNAデータベースに掲載されたcDNAの部分配列を発現させた際に、リンケージ四糖に対してGalNAcを転移する強い作用を有するタンパク質が得られることを発見した。そしてそれを糖転移作用剤とすることで本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
(1) 下記式(1)で示される糖鎖を含むN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質の下記式(1)における非還元末端に存在するD−グルクロン酸残基に対し、N−アセチル−D−ガラクトサミン供与体基質からN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移する作用を有することを特徴とする糖転移作用剤。
GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
式(1)中、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
(2) 下記式(2)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質の下記式(2)における非還元末端に存在するD−グルクロン酸残基に対し、N−アセチル−D−ガラクトサミン供与体基質からN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移する作用を有することを特徴とする糖転移作用剤。
GlcUA−Gal−Gal−Xyl−Ser  (2)
式(2)中、「Ser」は上記Xylで示されるD−キシロース残基がその側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「Xyl」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖に結合したD−キシロース残基を示し、「GlcUA」、「Gal」及び「−」は式(1)と同様である。
(3) N−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質に対し、N−アセチル−D−ガラクトサミン供与体基質からN−アセチル−D−ガラクトサミン残基をβ1,4結合で転移することを特徴とする(1)又は(2)記載の糖転移作用剤。
(4) 糖転移作用剤が配列番号2中アミノ酸番号37乃至532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質又は当該タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質を含むことを特徴とする(1)乃至(3)何れか記載の糖転移作用剤。
(5) 糖転移作用剤が配列番号2中アミノ酸番号37乃至532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質を含むことを特徴とする(1)乃至(3)何れか記載の糖転移作用剤。
(6)  (1)乃至(5)何れか記載の糖転移作用剤を作用させて下記式(1)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質に対してN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移することを特徴とする、下記式(3)で示される構造を有する糖鎖の合成方法。
GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (3)
式(1)及び(3)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
(7) 下記式(1)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質の非還元末端に存在するD−グルクロン酸残基に対して、N−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移して下記式(3)で示される構造を有する糖鎖を合成するための、(1)乃至(5)何れか記載の糖転移作用剤の使用。
GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (3)
式(1)及び(3)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
(8) 組織における配列番号1記載の塩基配列を有するDNAの発現量と、当該組織の癌化とを関連づけることを特徴とする癌化の検出方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明を発明の実施の形態により詳説する。
1.本発明糖転移作用剤
本発明糖転移作用剤は下記式(1)で示される糖鎖を含むGalNAc受容体基質の下記式(1)における非還元末端に存在するGlcUAに対し、GalNAc供与体基質からGalNAcを転移する作用(イニシエーション作用)を有することを特徴とする。
【0012】
GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
式(1)中、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
【0013】
本発明糖転移作用剤におけるGalNAc受容体基質とは、GalNAcが転移される対象となる上記式(1)の糖鎖を含むものであれば特に限定はされない。しかし、本発明糖転移作用剤はコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成を開始することができることから、好ましくは上記式(1)に示される糖鎖の還元末端に存在するD−キシロース残基はセリン残基(ペプチド鎖中の場合も含む)の側鎖に結合した構造(下記式(2)で示される構造)を有することが好ましい。
【0014】
GlcUA−Gal−Gal−Xyl−Ser  (2)
式(2)中、「Ser」は上記Xylで示されるD−キシロース残基がその側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「Xyl」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖に結合したD−キシロース残基を示し、「GlcUA」、「Gal」及び「−」は式(1)と同様である。
【0015】
上記式(2)のGalNAc受容体基質に対して本発明糖転移作用剤を作用させてGalNAcを転移すると、下記式(4)で示す構造が得られる。
【0016】
GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl−Ser  (4)
式(4)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「Ser」は上記Xylで示されるD−キシロース残基がその側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「Xyl」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖に結合したD−キシロース残基を示し、「GlcUA」、「Gal」及び「−」は式(1)と同様である。
【0017】
コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの構造中、リンケージ四糖(プロテオグリカンにおけるペプチド(タンパク質)とコンドロイチン/コンドロイチン硫酸とが結合した領域)のグリコシド結合は各々特定の結合様式を有している。本発明糖転移作用剤は、このような特定の結合様式を有するリンケージ四糖に対してGalNAcを転移することが好ましい。生体内でコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成に使用できるからである。すなわち上記式(2)の構造を有するGalNAc受容体基質は下記式(2’)の構造を有することがより好ましい。
【0018】
GlcUAβ1−3Galβ1−3Galβ1−4Xyl−Ser  (2’)
式(2’)中の「GlcUA」、「Gal」、「Xyl」、「Ser」及び「−」は上記式(2)と同様である。βはβ結合を示し、数字は隣り合う糖残基との結合位置(グリコシド結合存在位置)を示す。
【0019】
本発明糖転移作用剤におけるGalNAc供与体基質としてはGalNAcを有する糖ヌクレオチドであることが好ましい。そのような物質としては例えばアデノシン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(ADP−GalNAc)、ウリジン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(UDP−GalNAc)、グアノシン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(GDP−GalNAc)、シチジン二リン酸−N−アセチルガラクトサミン(CDP−GalNAc)などが例示され、UDP−GalNAcが最も好ましいが特に限定はされない。
【0020】
本発明糖転移作用剤は、前記GalNAc受容体基質に対し前記GalNAc供与体基質からGalNAcをβ1,4グリコシド結合で転移する。コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンにおけるリンケージ四糖へのGalNAcの結合はβ1,4グリコシド結合でなされているからである。
【0021】
また更に、コンドロイチン及びコンドロイチン硫酸に共通の構造であるコンドロイチン骨格((4GlcUAβ1−3GalNAcβ1−) n≧1)中の非還元末端に存在するGlcUAに対しても、GalNAc供与体基質からGalNAcを転移する作用を本発明糖転移作用剤は有することが好ましい。更に上記と同様にGalNAcをβ1,4グリコシド結合によって転移する作用を有していることが天然のコンドロイチン/コンドロイチン硫酸を構成する基本骨格であるため好ましい。
【0022】
このような本発明糖転移作用剤の作用は、例えば実施例に記載した高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」とも記載する)を用いた方法によって容易に確認することが可能である。本発明糖転移作用剤のGalNAc転移作用によって生じた生成物の検出は、例えば吸光度を測定して行うことが可能である。また予めGalNAc供与体基質のGalNAcを蛍光色素や放射性同位元素(H(トリチウム)、C14など)で標識して、予想される生成物の分子量画分における標識物質の検出を組み合わせることによっても正確に検出することが可能である。本発明糖転移作用剤は本明細書中実施例2(3)記載の方法で転移作用を測定した結果、リンケージ四糖−メトキシフェニル(以下「リンケージ四糖−MP」と記載する)に対するGalNAc転移作用が10 pmol/ml培地/hであることが好ましく、15 pmol/ml培地/h以上であることがより好ましく、20pmol/ml培地/h以上であることが最も好ましい。また同様にコンドロイチンに対するGalNAc転移作用が10pmol/ml培地/h以上であることが好ましく、15pmol/ml培地/h以上であることがより好ましい。更に、リンケージ四糖−MPに対するGalNAc転移作用はコンドロイチンに対するGalNAc転移作用よりも高いことが、効率よくコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカン合成開始剤として働くため極めて好ましい。
【0023】
本発明糖転移作用剤の活性は本明細書中実施例2(3)記載の方法で測定した場合には、生化学工業株式会社製のコンドロイチンに対するGalNAc転移作用(C)とリンケージ四糖−MPに対するGalNAc転移作用(L)との相対活性比((C)/(L))が0.9未満、好ましくは0.85未満、0.75未満であること最も好ましい。このような本発明糖転移作用剤は、イニシエーション作用が強くコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成への使用に極めて適している。
【0024】
本発明糖転移作用剤の構造は、配列番号2中アミノ酸番号37乃至532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質又は当該タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質であることが、上述したGalNAc転移作用を強く有する観点から好ましい。特に配列番号2中アミノ酸番号37乃至532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質であることがリンケージ四糖に対するGalNAc転移作用が強いことから極めて好ましい。
【0025】
2.本発明糖転移作用剤の調製
本発明糖転移作用剤の調製は例えば以下の方法に従って行うことができる。
上記したように特に配列番号2中アミノ酸番号37乃至532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質が最も好ましい本発明糖転移作用剤であるので、それをコードするDNA(本発明糖転移作用剤のタンパク質をコードするDNA)の調製方法及びその発現方法を説明する
【0026】
コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンが存在するヒト組織のcDNAなどを用いることで効率的に該DNAを増幅することが可能である。このような組織としては例えば軟骨組織、骨髄組織、胎盤、甲状腺等が例示され、特に骨髄組織が好ましい。このような組織の細胞を使用して調製したcDNAライブラリーを鋳型として使用するポリメラーゼ チェイン リアクション法(以下「PCR法」とも記載する)等の既知の方法により本発明糖転移作用剤のタンパク質をコードするDNAを比較的容易に調製することが可能である。PCR法には例えば配列番号14の塩基配列からなる5’プライマーと配列番号15からなる3’プライマーとを使用することができ、常法に従って行うことができる。上記で例示したプライマーを用いる場合には約1.6kbpのDNA断片が増幅産物として生ずるので、この断片を単離する。単離の方法は常法によって行うことができ、例えばアガロースゲル電気泳動後に1.2kbp近辺をのゲルを切り出し、MagExtractor(商標名:東洋紡株式会社製)などを用いて容易に単離することが可能である。増幅産物は常法に従って適当な宿主細胞で発現するための基本ベクターに組み込むことが可能である。宿主細胞と基本ベクターの組み合わせは当業者であれば培養に使用する宿主細胞に合わせて適宜選択することができ、その選択された基本ベクターに適切な方法で増幅産物を基本ベクターに組み込むことが可能である。宿主細胞しては原核細胞(例えば大腸菌、枯草菌など)であっても真核細胞(例えば酵母、昆虫細胞、ほ乳類細胞など)であっても使用することは可能である。特に原核細胞を宿主細胞として用いた場合には、DNA断片を発現させた際に得られる産物には糖鎖が付加されないため、「タンパク質」のみを得ることが可能である。しかし、コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成は通常は真核生物で行われているため、本発明糖転移作用剤のタンパク質も真核細胞を宿主細胞として調製することが好ましい。その中でも特に昆虫細胞(大量合成の面で極めて優れる)又はほ乳類細胞(増幅産物が通常発現しているのはほ乳類細胞である)が例示される。
【0027】
また上記基本ベクターに挿入したDNA断片の発現を行う際に、生じたタンパク質の同定・分析及び単離・精製を容易とするために、DNA断片がコードするタンパク質と適当な識別ペプチドとの融合タンパク質としてDNA断片が発現しうるように構築することが好ましい。前記識別ペプチドとしては、例えばシグナルペプチド(多くのタンパク質のN末端に存在し、タンパク質の選別のために細胞内では機能している15〜30アミノ酸残基からなるペプチド:例えばOmpA、OmpT、Dsb等)、プロテインキナーゼA、プロテインA(黄色ブドウ球菌細胞壁の構成成分で分子量約42,000のタンパク質)、グルタチオンS転移酵素、Hisタグ(ヒスチジン残基を6〜10個並べて配したペプチド配列)、mycタグ(cMycタンパク質由来の13アミノ酸配列)、FLAGペプチド(8アミノ酸配列からなる分析用マーカー)、T7タグ(gene10タンパク質の最初の11アミノ酸配列)、Sタグ(膵臓RNaseA由来の15アミノ酸配列)、HSVタグ、pelB(大腸菌外膜タンパク質pelBの22アミノ酸配列)、HAタグ(ヘマグルチニン由来の10アミノ酸配列)、Trxタグ(チオレドキシン配列)、CBPタグ(カルモジュリン結合ペプチド)、CBDタグ(セルロース結合ドメイン)、CBRタグ(コラーゲン結合ドメイン)、β−lac/blu(βラクタマーゼ)、β−gal(βガラクトシダーゼ)、luc(ルシフェラーゼ)、HP−Thio(His−patchチオレドキシン)、HSP(熱ショックペプチド)、Lnγ(ラミニンγペプチド)、Fn(フィブロネクチン部分ペプチド)、GFP(緑色蛍光ペプチド)、YFP(黄色蛍光ペプチド)、CFP(シアン蛍光ペプチド)、BFP(青色蛍光ペプチド)、DsRed、DsRed2(赤色蛍光ペプチド)、MBP(マルトース結合ペプチド)、LacZ(ラクトースオペレーター)、IgG(免疫グロブリンG)、アビジン、プロテインGからなる群から選択されるいずれかのペプチドが例示され、何れの識別ペプチドであっても使用することが可能である。その中でも特にシグナルペプチド、プロテインキナーゼA、プロテインA、グルタチオンS転移酵素、Hisタグ、mycタグ、FLAGペプチド、T7タグ、Sタグ、HSVタグ、pelB又はHAタグが、遺伝子工学的手法によるタンパク質の発現、精製がより容易となることから好ましく、抗体を用いることで極めて容易にタンパク質の精製が可能となることから、特にFLAGペプチドが好ましい。
【0028】
例えばFLAGペプチドとの融合タンパク質としてDNA断片を発現させた場合には、抗FLAG抗体(例えばM1など)が結合した樹脂などを使用することで、宿主細胞の培養物(培養上清や宿主細胞の抽出物など)からタンパク質を容易に単離・精製することが可能であり、またその樹脂をそのまま本発明糖転移作用剤として使用することも可能である。
【0029】
3.本発明合成方法
本発明合成方法は、本発明糖転移作用剤を作用させて、下記式(1)で示される構造を有するGalNAc受容体基質に対してGalNAcを転移することを特徴とする、下記式(3)で示される構造を有する糖鎖の合成方法である。
【0030】
GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (3)
式(1)及び(3)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
【0031】
本発明合成方法におけるGalNAc受容体基質とは、GalNAcが転移される対象となる上記式(1)の糖鎖を含むものであれば特に限定はされない。しかし、本発明糖転移作用剤はコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成を開始することができることから、好ましくは上記式(1)に示される糖鎖の還元末端に存在するD−キシロース残基はセリン残基(ペプチド鎖中の場合も含む)の側鎖に結合した構造(下記式(2)で示される構造)を有することが好ましい。
【0032】
GlcUA−Gal−Gal−Xyl−Ser  (2)
式(2)中、「Ser」は上記Xylで示されるD−キシロース残基がその側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「Xyl」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖に結合したD−キシロース残基を示し、「GlcUA」、「Gal」及び「−」は式(1)と同様である。
【0033】
上記式(2)のGalNAc受容体基質に対して本発明糖転移作用剤を作用させてGalNAcを転移すると、下記式(4)で示す構造が得られる。
【0034】
GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl−Ser  (4)
式(4)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「Ser」は上記Xylで示されるD−キシロース残基がその側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「Xyl」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖に結合したD−キシロース残基を示し、「GlcUA」、「Gal」及び「−」は式(1)と同様である。
【0035】
コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの構造中、リンケージ四糖のグリコシド結合は各々特定の結合様式を有している。本発明合成方法におけるGalNAc受容体基質も、このような特定の結合様式を有するリンケージ四糖であることが好ましい。生体内でコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの合成に使用できるからである。すなわち上記式(2)の構造を有するGalNAc受容体基質は下記式(2’)の構造を有することがより好ましい。
【0036】
GlcUAβ1−3Galβ1−3Galβ1−4Xyl−Ser  (2’)
式(2’)中の「GlcUA」、「Gal」、「Xyl」、「Ser」及び「−」は上記式(2)と同様である。βはβ結合を示し、数字は隣り合う糖残基との結合位置(グリコシド結合存在位置)を示す。
【0037】
本発明合成方法におけるGalNAcはGalNAc供与体基質からGalNAc受容体基質に対して転移される。ここでGalNAc供与体基質としてはGalNAcを有する糖ヌクレオチドであることが好ましい。そのような物質としては例えばADP−GalNAc、UDP−GalNAc、GDP−GalNAc、CDP−GalNAcなどが例示され、UDP−GalNAcが最も好ましいが特に限定はされない。生体内では主にUDP−GalNAcがGalNAc供与体基質として働いているからである。
【0038】
本発明合成方法に使用する本発明糖転移作用剤は、前記GalNAc受容体基質に対し前記GalNAc供与体基質からGalNAcをβ1,4グリコシド結合で転移する。コンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンにおけるリンケージ四糖へのGalNAcの結合はβ1,4グリコシド結合でなされているからである。
【0039】
本発明合成方法におけるGalNAc供与体基質からGalNAc受容体基質へのGalNAcの転移作用は、安定した一定のpH、温度条件下で行われることが好ましい。例えばpHは5.0乃至9.0が好ましく、5.5〜8.0がより好ましく、6.0〜7.5であることが最も好ましい。このような条件を保つために、上記転移反応は緩衝液中で行われることが好ましい。緩衝液としては酢酸緩衝液、2−モルホリノエタンスルホン酸緩衝液(以下単に「MES」とも記載する)、ヒドロキシメチルアミノエタン−塩酸緩衝液(以下単に「Tris−HCl緩衝液」とも記載する)、及びリン酸ナトリウム緩衝液等が挙げられ、いずれも使用することは可能である。しかし本発明合成方法において最も好ましいpH範囲(pH6.0〜7.5)全体において安定したpHを保つ作用が強いことからMESが最も好ましい。緩衝液の緩衝剤の濃度は特に限定はされないが10〜200mM、好ましい範囲としては20〜100mMが例示される。
作用時の温度条件は20〜45℃が例示され、好ましくは24〜40℃、最も好ましくは36〜37℃が例示される。
【0040】
なお、好ましい本発明糖転移作用剤はコンドロイチン及びコンドロイチン硫酸の基本骨格((4GlcUAβ1−3GalNAcβ1−) n≧1)中の非還元末端に存在するGlcUA残基に対しても、GalNAc供与体基質からGalNAcを転移する作用(「エロンゲーション作用」とも記載する)を有することが好ましい。
【0041】
上記と同条件を用いて本発明糖転移作用剤により、(GlcUA−GalNAc)で示される受容体基質にGalNAc供与体基質からGalNAcを転移して下記式(5)の構造を有する糖鎖の合成をすることも可能である。
【0042】
GalNAc−(GlcUA−GalNAc)  (5)
上記式(5)において「GalNAc」はN−アセチルガラクトサミン残基を、「GlcUA」、及び「−」は式(1)におけるものと同義であり、nは1以上の整数を示す。
【0043】
この場合において本発明糖転移作用剤は(GlcUA−GalNAc)(nは1以上の整数)の非還元末端に存在するGlcUAにGalNAcを転移してGalNAc−(GlcUA−GalNAc)を生成する反応を触媒する作用を示す。転移における結合様式はβ1,4結合である。
本発明糖転移作用剤は、上述の式(3)及び式(5)記載の糖鎖の合成に使用することができ、式(3)又は式(5)の構造を有する糖鎖の式(3)又は式(5)中の非還元末端に存在するGalNAcを転移するための使用は本発明使用となる。
【0044】
4.本発明検出方法
本発明検出方法は、組織における配列番号1記載の塩基配列を有するDNAの発現量と、当該組織の癌化とを関連づけることを特徴とする癌化の検出方法である。
本発明検出方法における組織とは、いずれの組織であってもよく、例えば神経、甲状腺、血球、骨髄、大腸、胃、皮膚、肝臓、膵臓、卵巣等が例示されるがこれに限定はされない。これらの組織は、例えば生検などの方法で採取して本発明検出方法に使用することができる。本発明検出方法においては配列番号1記載の塩基配列を有するDNAの発現量が定量されるが、当該発現量の定量は例えば後述の実施例に記載された定量的リアルタイムPCR法(例えば配列番号18記載の塩基配列からなる5’プライマー、配列番号19記載の塩基配列から3’プライマー、及びマイナーグルーブ結合物質などが結合した配列番号20記載の塩基配列からなるプローブを用いる)等の常法を用いることで容易に行うことができる。PCR法などを用いて発現量の定量を行う場合には、必ずしも配列番号1記載の全塩基配列を増幅して定量する必要はなく、その一部分の領域(例えば当該塩基配列記載の塩基番号25乃至1623からなる領域の任意の0.1乃至1.5kbの領域)を増幅して定量することができる。なお、当該DNAの発現量の定量は、当該DNAがコードするタンパク質の量を常法に従って定量することによっても行うことができる。
【0045】
本発明検出方法においては、例えば生検によって得た患部域組織に含まれる健常組織部分と病変組織部分とで上記DNAの発現量を対比して、健常組織部分における上記DNAの発現量より病変組織部分における上記DNAの発現量が変化している場合、好ましくは低下している場合に、病変組織部分が癌化しているとすることで、癌化の検出を容易に行うことができる。例えば、後述の定量的リアルタイムPCR法を用いて上記DNAの発現量の定量を行なった場合、健常組織部分と比して病変組織部分における上記DNAの発現量が1/2以下、好ましくは1/3以下、最も好ましくは1/5以下に低下している場合に、病変組織部分が癌化しているとして癌化の検出することが好ましいが、これに限定はされない。
【0046】
【実施例】
以下、本発明をより具体的に詳説する。
試験例1
HPLCを用いた酵素活性の測定
基質を含む50mM MES緩衝液(pH6.5、0.1% TritonX−100(商標名)、1mMの糖残基供与体基質、10mM MnCl及び500μMの糖残基受容体基質を含む)20μlと酵素懸濁液10μlとを混合し、37℃で16時間反応させた。反応終了後、反応混液をウルトラフリー−MCカラム(ミリポア社製)で濾過した。10μlの濾液を逆相カラム(ODS−80Ts QAカラム:4.6×250mm 東ソー株式会社製)を用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。移動相としては0.1% TFA(トリフルオロ酢酸)/水を使用した。溶出は条件は流速1ml/分、50℃で行なった。
【0047】
溶出ピークの検出には210nmにおける吸光度測定を用い、SPD−10Avp(島津製作所株式会社製)を使用した。また、糖残基によって修飾されたペプチドの検出には蛍光標識を用いた。すなわちCy5(アマシャム バイオサイエンス株式会社製)を用いて修飾されたペプチドの蛍光標識を行い、RF−10AXL(島津製作所株式会社製)で検出した。
【0048】
試験例2
質量分析法による反応生成物の分析
エレクトロスプレーイオン化質量分析(以下「ESI−MS」と記載する)はEsquire3000plus(ブルッカーダルトニクス社製)で行なった。また、マトリックス支援レーザーイオン化−飛行時間質量分析(以下「MALDI−TOF−MS」と記載する)はReflex IV(ブルッカーダルトニクス社製)で行なった。
【0049】
ESI−MS用の試料の調製は以下の通り行った。すなわち試料25pmolを蒸留水5μlに溶解し、更に45μlの0.1%蟻酸及び50μlのメタノールを添加して試料溶液を調製した。試料溶液はキャピラリー電圧3kVで3μl/分で注入した。ESI−MSでの192.00 m/zのピークは再度エレクトロスプレーイオン化質量分析(ESI−MS/MS)を行った。これらの分析は陽イオン及び陰イオンの双方のモードで行った。
MALDI−TOF−MS用の試料は10pmolの試料を乾燥させ、1μlの蒸留水に溶解して調製した。
【0050】
試験例3
GalNAc転移作用の定量
試験例1と同様の反応液に、40,000から55,000 dpmのUDP−[14C]GalNAc(パーキンエルマーライフサイエンス社製)、及び1μg又は100μgのGalNAc受容体基質を添加し、37℃で1時間ないし16時間反応させた。反応液はSuperdex Peptide HR10/30(アマシャム バイオサイエンス社製)でゲルろ過分画し、各画分の放射能を液体シンチレーションカウンターで測定した。また、産物の定量は、1つのピークに相当する全画分の放射能を加算して行った。
【0051】
調製例1
β4ガラクトース転移酵素7(β4Gal−T7)、β3ガラクトース転移酵素6(β3Gal−T6)及びグルクロン酸転移酵素I(GlcAT−I)と、FLAGペプチドとの融合タンパク質の調製
β4Gal−T7、β3Gal−T6又はGlcAT−IはFLAGペプチドとの融合タンパク質として昆虫細胞又はほ乳類細胞で発現するように構築した。
【0052】
ヒト骨髄由来のMarathon−Ready(商標名) cDNAを鋳型としてPCR法を行った。β4Gal−T7の増幅には配列番号3の塩基配列からなる5’プライマーと配列番号4からなる3’プライマーとを使用してPCR法によりDNA断片を増幅した。同様にGlcAT−Iの増幅には配列番号5の塩基配列からなる5’プライマーと配列番号6からなる3’プライマーとを使用してPCR法によりDNA断片を増幅した。増幅産物をIwai, Tらの方法(J. Biol. Chem.発行準備中)によりプラスミドベクター pFBIFに挿入してpFBIF−β4Gal−T7及びpFBIF−GlcAT−Iを得た。
【0053】
β3Gal−T6の増幅には配列番号7の塩基配列からなる5’プライマーと配列番号8からなる3’プライマーとを使用してPCR法によりDNA断片を増幅し、断片をシグマ社製のpFLAG−CMV−1のBamHI−XbaIサイトに常法により挿入してpFLAG−β3Gal−T6を得た。
【0054】
pFBIF−β4Gal−T7及びpFBIF−GlcAT−Iは常法に従ってSf21(昆虫由来の培養細胞株)に導入し、pFLAG−β3Gal−T6は常法に従ってCOS−1(サル脾臓由来の培養細胞株)に導入した。ベクターにより組換えられた宿主細胞(組換体)を0.5% CO/Air条件下、37℃で2日間培養して各目的タンパク質を発現させた。その後培養上清を回収し、1000×gで15分間遠心処理して上清のみを50ml回収し、抗FLAG M1抗体が結合した樹脂(シグマ社製)と混合した。タンパク質と樹脂の混合物は1mMのCaClを含む50mM TBS(50mM Tris−HCl、pH7.4、150mM NaCl)で二回洗浄し、活性測定用緩衝液100μlに懸濁した(各々β4Gal−T7懸濁液、GlcAT−I懸濁液、及びβ3Gal−T6懸濁液とした)。
【0055】
実施例1
本発明糖転移作用剤の調製
(1)DNA断片の単離
クローニングされたβ1,4−ガラクトース転移酵素(以下「β4Gal−T1」と記載する)のアミノ酸配列を基にして、インターネット上の配列検索ソフト「BLAST」を用いて近似した配列を検索した。β4Gal−T1の特徴的アミノ酸配列(配列番号9)を有するEST(Expression−Sequence−Tag:GenBank(商標名)受け入れ番号 AK055154)を発見した。オープンリーディングフレーム(ORF)の塩基配列を得るためにMarathon−Ready(商標名) cDNA増幅キット(クロンテック社製)を用いてcDNA末端高速増幅法(5’RACE法)を行なった。5’末端の配列は二段階の5’RACE法で増幅した。第一段の5’RACE法には、PCR法のために配列番号10の塩基配列からなるプライマーを使用し、ネステッドPCR法のために配列番号11記載の塩基配列からなるプライマーを使用した。第二段の5’RACE法には配列番号12記載の塩基配列からなるプライマーと配列番号13記載の塩基配列からなるプライマーとを用いて行なった。得られた約1.6kbのDNA断片を常法に従って塩基配列の解析をしたところ、配列番号1記載の塩基配列からなることが確認された。このcDNAをCSGalNAc−T cDNAとし、それがコードするタンパク質をCSGalNAc−Tとした。この塩基配列がコードするアミノ酸配列は配列番号2記載の通りだった。また、上記BLASTでの検索に用いたβGal−T1とのアミノ酸配列の対比を図1に示した。この対比により得られたDNAがβGal−T1と相同性が見られたことから、CSGalNAc−Tは糖転移酵素の可能性が示唆された。
【0056】
(2)FLAG−CSGalNAc−T(活性部位)融合タンパク質の構築と精製
上記で得られたDNA断片がコードするアミノ酸配列(配列番号2)から、CSGalNAc−Tの活性部位はアミノ酸番号37乃至532の領域と予測された。この領域のアミノ酸配列からなるタンパク質とFLAGペプチドとが融合した分泌型のタンパク質を昆虫細胞に分泌させて得るために、付属マニュアルに従ってGATEWAY(商標名)システム(インビトロゲン社製)を行なった。
【0057】
まず、ヒト骨髄由来のMarathon−Ready(商標名) cDNAを鋳型として用い、配列番号14の塩基配列からなる5’プライマーと配列番号15からなる3’プライマーとを使用してPCR法によりDNA断片を増幅した。増幅産物をIwai, Tらの方法(J. Biol. Chem.発行準備中)によりプラスミドベクター pFBIFに挿入してpFBIF−CSGalNAc−T(活性部位)を得た(「CSGalNAc−Tの活性部位」を以下「CSGalNAc−TC」と記載する)。このpFBIF−CSGalNAc−TCを昆虫由来の培養細胞株 Sf21に常法に従って導入し、その後細胞を27℃で4日間培養した培養上清を1次ウィルスとした。さらに、同様の操作を4回繰り返し、4度目の培養上清を回収した。その後培養上清を1000×gで15分間遠心処理して上清のみを50ml回収し、抗FLAG M1抗体が結合した樹脂(シグマ社製)と混合した。タンパク質と樹脂の混合物は1mMのCaClを含む50mM TBS(50mM Tris−HCl、pH7.4、150mM NaCl)で二回洗浄し、活性測定用緩衝液100μlに懸濁した(作用剤懸濁液)。
【0058】
実施例2
CSGalNAc−TCの基質特異性の検討
GalNAc供与体基質としてウリジン二リン酸−GalNAc(UDP−GalNAc:シグマ社製)、GalNAc受容体基質としてGlcUA−β−パラニトロフェニル(GlcUA−β−pNp)を使用して試験例1に従ってHPLCによる酵素活性の分析を行った。アセトニトリルによる濃度勾配溶出法による溶出は0〜15%の濃度勾配を使用した。その結果、対照には見られなかった新たな溶出ピークが55.4分に検出された(図2B:Aは対照)。
【0059】
55.4分のピークを回収し試験例2に従ってESI−MSを行なった。陽イオンモードでは519.05m/zのピークが観察された(図3A)。このピークはGalNAc−GlcUA−pNpの分子量に相当していた。このピークを回収し、試験例2に従ってESI−MS/MSで更に分析したところ、203.91m/z及び298.97m/zに新たなピークが観察された(図3B)。203.91m/zのピークはGalNAcの分子量に相当し、298.97m/zのピークはGlcUA−pNpのピークに相当した。
【0060】
更に55.4分のピークを回収して試験例2に従ってESI−MSを陰イオンモードで行なったところ生成物はGalNAc−GlcUA−pNpに相当する517.19m/zと水を失ったGlcUA−pNpに相当する296.00m/zが観察された。
【0061】
これらの結果から、CSGalNAc−TCはGlcUAにGalNAcを転移する活性を有することが明らかになった。従来知られているGalNAcとGlcUAとの結合は、コンドロイチン/コンドロイチン硫酸にしか存在が知られていない。従ってCSGalNAc−TCはコンドロイチン/コンドロイチン硫酸のGlcUAにGalNAcを転移する作用を有しているものと考えられた。
【0062】
(1)エロンゲーション作用の検討
コンドロイチン/コンドロイチン硫酸鎖中でのGalNAc−GlcUA結合は、二糖の繰り返し構造(3GalNAcβ1−4GlcUAβ1−)中での結合、及びコンドロイチン硫酸とリンケージ四糖(GlcUAβ1−3Galβ1−3Galβ1−4Xyl)との結合の二種類が知られている。CSGalNAc−TCがエロンゲーション作用を有するか否かを調べるために、コンドロイチン(生化学工業株式会社製)及びコンドロイチン硫酸(コンドロイチン硫酸A(クジラ軟骨由来:生化学工業株式会社製)、コンドロイチン硫酸B(ブタ皮由来:生化学工業株式会社製)、コンドロイチン硫酸C(サメ軟骨由来:生化学工業株式会社製)、コンドロイチン硫酸D(サメ軟骨由来:生化学工業株式会社製))がGlcNAc受容体基質として働くか否かを調べた。糖残基受容体としてコンドロイチン及びコンドロイチン硫酸Cを用いて試験例1に従ってHPLCを用いて酵素活性の分析を行ったところ、逆相クロマトグラフィーで双方ともに新たなピークが観察された(コンドロイチン硫酸Cを糖残基受容体として使用した場合には溶出ピークは極めて低かった)(図4矢印)。この溶出ピークを回収し、コンドロイチナーゼACII(生化学工業株式会社製)で消化して、Superdex Peptide HR10/30(ファルマシア社製)でゲルろ過分析した。その結果、GalNAcがGlcUAにβ1−4結合で付加されていることが確認された。
【0063】
(2)イニシエーション作用の検討
イニシエーション作用は合成基質のリンケージ四糖−メトキシフェニル(GlcUAβ1−3Galβ1−3Galβ1−4Xylβ1−O−MP:生化学工業株式会社提供)をGalNAc受容体基質として用いて試験例1記載の方法により観察した。その結果、GalNAc受容体基質の29.7分の溶出ピーク(S)の他に、28.9分の新たな溶出ピーク(P)が生じた(図5B:Aは対照)。
【0064】
これらのピークを回収して試験例2に従ってMALDI−TOF MSで解析した。ピークSは質量779.20m/zを示し、この質量はリンケージ四糖の質量と同じであった(図6A)。一方、ピークPの分析においては982.23m/z及び1004.21m/zの二つのピークが観察された(図6B)。982.23m/zはGalNAcが結合したリンケージ四糖−MPの質量に相当し、1004.21m/zはGalNAcが結合したリンケージ四糖−MPとナトリウムイオンとが結合した質量に相当していた。更に、ピークPの物質は、「(1)コンドロイチン伸長作用の検討」で記載した方法と同様の方法でコンドロイチナーゼACII(生化学工業株式会社製)で消化して調べた結果、GalNAcは非還元末端に結合していることが明かとなった。
これらの結果からCSGalNAc−TCはリンケージ四糖の非還元末端のGlcUAに対してGalNAcを転移してコンドロイチン/コンドロイチン硫酸合成の開始を行うことが明かとなった。
【0065】
(3)各種基質に対するGalNAc転移作用の定量
CSGalNAc−TCの各種GalNAc受容体基質に対するGalNAc転移活性を比較した。使用したGalNAc受容体基質としては、コンドロイチン(クジラ軟骨由来のコンドロイチン硫酸Aから酸性メタノール溶液で脱硫酸して調製したもの:生化学工業株式会社製)、コンドロイチンのオリゴマー(14糖、12糖、10糖、8糖、6糖:生化学工業株式会社より恵与)、コンドロイチン硫酸(コンドロイチン硫酸A(クジラ軟骨由来:生化学工業株式会社製)、コンドロイチン硫酸B(ブタ皮由来:生化学工業株式会社製)、コンドロイチン硫酸C(サメ軟骨由来:生化学工業株式会社製)、コンドロイチン硫酸D(サメ軟骨由来:生化学工業株式会社))、コンドロイチン硫酸のオリゴマー(14糖、12糖、10糖、8糖、6糖:Biochem. J., 226(1985), 705−714に従って調製した)およびリンケージ四糖−MP(生化学工業株式会社より恵与)である。また、方法は実施例2に示した方法を用いた(表1)。
【0066】
【表1】
Figure 2004024208
【0067】
CSGalNAc−TCは、他の基質と比較してリンケージ四糖−MPにGalNAcを転移する作用が最も強いことがこの結果から明かとなった。また、コンドロイチン及びコンドロイチン硫酸伸長作用に関しては、何れも低い活性であるが、長いオリゴ糖へのGalNAc転移作用の方が短いオリゴ糖へのGalNAc転移作用よりも強いことが明かとなった。
【0068】
実施例3
組織におけるCSGalNAc−Tの発現の解析
(1)組織におけるCSGalNAc−T遺伝子の転写産物及びその量の解析
組織におけるCSGalNAc−T遺伝子の転写産物の分子量はノザンブロットハイブリダイゼーション法によって解析した。ノザンブロットハイブリダイゼーション法は実施例1(1)で調製したDNA断片の3’末端部に存在する695bpの翻訳されない領域をプローブとして行なった。プローブの調製は、上記DNA断片を鋳型として用い、配列番号16の塩基配列からなる5’プライマーと配列番号17の塩基配列からなる3’プライマーとを用いて常法に従ってPCR法により増幅して6.9kbpの断片として回収した。
【0069】
ノザンブロットハイブリダイゼーションはクロンテック社製のMultiple Tissue Northern Blot IIIをハイブリダイズ用RNAとして用いて行なった。またプローブのラベルと検出はAlkPhos Direct Labeling(アマシャム バイオサイエンス株式会社製)及び、CDP−StarとHyperfilmとを含んだ検出システム(アマシャムバイオサイエンス株式会社製)。
【0070】
ハイブリダイズは50%ホルムアミド、5×SSPE(20×SSPE:2.97M NaCl、0.2M NaHPO・HO、0.025M EDTAを含むpH7.4の水溶液)、5×デンハルト溶液(100×デンハルト液:1gのフィコール400(ファルマシア社製)、1gのポリビニルピロリドン(PVP−360:シグマ社製)、1gのBSAフラクションV(牛血清アルブミン:シグマ社製)を50mlの水に溶解した水溶液)、0.5%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、サケ精子DNAの存在下、42℃で16時間のインキュベートして行い、更にその後の0.1%SDSを含む1×SSPE、0.1%SDSを含む0.1×SSPEによる55℃での順次洗浄を行なった。
【0071】
その結果、CSGalNAc−Tの転写産物は約4.4kbpであることが明かとなった(図7)。組織毎にその量には差異があったものの、CSGalNAc−Tの転写産物は解析した全ての組織で検出された。
【0072】
(2)組織及び培養細胞株におけるCSGalNAc−T転写量の定量的リアルタイムPCR法による解析
定量的リアルタイムPCR法はIwai, T.ら(J. Biol. Chem., 277(2002), 12802−12809)、Genome Res. 6(1996), 995−1001、Genome Res., 6(1996), 986−994等に記載された方法によって行なった。様々なヒト組織から増幅されたMarathon Ready cDNA(クロンテック社製)及び培養細胞株(GOTO、SCCH−26:神経芽腫由来細胞、T98G、U251:膠芽腫由来細胞、SW1736:甲状腺癌由来細胞、HL−60:前骨髄球白血病由来細胞、Namalwa:B細胞白血病由来細胞、Daudi:B細胞バーキットリンパ腫由来細胞、U937:単球由来白血病由来細胞、K562:赤芽球様白血病由来細胞、U266:骨髄腫由来細胞、Colo205、HCT15、LSB、SW480:大腸癌由来細胞、MKN45、KATO III:胃癌由来細胞、G−361:黒色腫由来細胞、HepG2:肝臓癌由来細胞、Capan−2:膵臓癌由来細胞、PA−1:卵巣奇形腫由来細胞)から常法により増幅して得たcDNAライブラリーを用いた。定量の基準としては段階希釈したpCR2.1(インビトロゲン社製:グリセルアルデヒド三リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のDNAを含んでいる)を用いた。
【0073】
プライマー、プローブの組み合わせは配列番号18記載の塩基配列からなる5’プライマー、配列番号19記載の塩基配列からなる3’プライマー、及びマイナーグルーブ結合物質がついた配列番号20記載の塩基配列からなるプローブの組み合わせを用いた。PCR産物はABI PRISM 7700シークエンス検出システム(アプライドバイオシステムス社製)で継続的に検出した。GAPDH転写物の量によりCSGalNAc−T転写産物量を標準化した。
その結果、何れの組織に於いてもCSGalNAc−Tの転写は観察されたが、特に甲状腺と胎盤における転写量が高いことが明かとなった(図8)。また、いずれの癌由来の細胞においてもCSGalNAc−Tの転写量は極めて低いことが判明した(図9)。このことから、CSGalNAc−Tの転写量の低下は癌化の示標となりうることが示され、CSGalNAc−Tは癌化の検出に使用できる可能性が示唆された。
【0074】
(3)in situハイブリダイゼーション解析
in situハイブリダイゼーション解析に使用するためのリボプローブは、実施例1(1)で調製したDNA断片の翻訳されない3’末端の695bpの領域をpGEM−T Easy(プロメガ社製)に挿入して調製した。デオキシゲニンで標識したセンス及びアンチセンスのプローブはこのプラスミドのT7プロモータ及びSP6プロモータによって生ずるように構築した(センスプローブは陰性対照として働く)。胎盤組織の固定及びハイブリダイズはJ. Biol. Chem. 273(1998), 26729−26738記載の方法に従って行なった(図10)。その結果、胎盤の脱落膜、合胞体層、栄養膜細胞層、線維細胞などの全ての種類の細胞でCSGalNAc−Tの発現が観察された。センスプローブで検出した試料に於いては何も検出されなかった。
【0075】
実施例4
コンドロイチン五糖の酵素的合成
四種類の糖転移酵素(調製例1で調製したβ4Gal−T7・β3Gal−T6及びGlcAT−I、及びCSGalNAc−TC)及び四糖合成系の受容体基質(キシロース結合ペプチド(配列番号21:第9番目のアミノ酸残基であるセリンに側鎖としてキシロースが結合しているビクニンのN−末端配列:ペプチド研究所製))を使用し、合成された五糖合成系の受容体基質であるリンケージ四糖と、リンケージ四糖にGalNAcが結合した五糖の酵素学的合成を各々行なった。そして各々の反応後の産物を試験例1記載のHPLCによって分析した(四糖合成:図11B,五糖合成:図11C)。
【0076】
反応液の組成は下表の通りで、反応は37℃で16時間行った。既知酵素によるそれぞれの産物は、各酵素を一つずつ添加していき、新たに一種類のみのピークが生じることを確認した。また、CSGalNAc−Tによる産物は、実施例2で示したコンドロイチナーゼAC−II消化により確認した。これらの結果から、四糖合成系ではセリン残基の側鎖にリンケージ四糖が結合したビクニンのN−末端配列(プロテオグリカン)が合成され、また五糖合成系では同様にリンケージ四糖とGalNAcとが結合した五糖を糖鎖として有するコンドロイチンプロテオグリカンが合成されたことが明かとなった。
【0077】
【表2】
Figure 2004024208
【0078】
【発明の効果】
リンケージ四糖に対してGalNAcをGalNAc供与体基質から転移する十分な作用を有する糖転移作用剤が本発明により提供され、それによりコンドロイチン/コンドロイチン硫酸プロテオグリカンの効率よい合成が可能となる。
【0079】
【配列表】
Figure 2004024208
Figure 2004024208
Figure 2004024208
Figure 2004024208
Figure 2004024208
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【図面の簡単な説明】
【図1】CSGalNAc−Tのアミノ酸配列とβ4Gal−T1のアミノ酸配列とのホモロジーを示す図である。
【図2】UDP−GalNAcからGlcUA−β−pNpへのGalNAc転移活性をHPLCによって分析したチャートを示す図。Aは対照を示す。
【図3】UDP−GalNAcからGlcUA−β−pNpへのGalNAc転移活性をESI−MS及びESI−MS/MSで観察したチャートを示す図。AはESI−MSのチャートを示し、BはESI−MS/MSのチャートを示す。
【図4】コンドロイチン及びコンドロイチン硫酸Cに対するGalNAc転移活性をHPLCによって分析したチャートを示す図。
【図5】UDP−GalNAcからリンケージ四糖−MPへのGalNAc転移活性をHPLCによって分析したチャートを示す図。Aは対照 を示す。
【図6】UDP−GalNAcからリンケージ四糖−MPへのGalNAc転移活性をMALDI−TOFMSによって分析したチャートを示す図。Aは図5BのSピークを分析した図であり、Bは図5BのPピークを分析した図である。
【図7】組織におけるCSGalNAc−Tの発現のノザンブロットハイブリダイゼーションによる像を示す写真である。
【図8】各組織におけるCSGalNAc−Tの発現量のリアルタイムPCRでの相対比較を示す図である。
【図9】各培養細胞におけるCSGalNAc−Tの発現量のリアルタイムPCRでの相対比較を示す図である。
【図10】in situハイブリダイゼーションで胎盤組織におけるCSGalNAc−Tの発現を観察した写真である。
【図11】本発明糖転移作用剤によるコンドロイチンプロテオグリカン合成を示す図である。Aはキシロース結合ペプチドをHPLCで分析したチャートを示す。Bは四糖合成系での反応生成物をHPLCで分析したチャートを示す図であり、Cは五糖合成系での反応生成物をHPLCで分析したチャートを示す図である。Dは各ピークに存在する物質を模式的に示した図である。

Claims (8)

  1. 下記式(1)で示される糖鎖を含むN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質の下記式(1)における非還元末端に存在するD−グルクロン酸残基に対し、N−アセチル−D−ガラクトサミン供与体基質からN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移する作用を有することを特徴とする糖転移作用剤。
    GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
    式(1)中、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
  2. 下記式(2)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質の下記式(2)における非還元末端に存在するD−グルクロン酸残基に対し、N−アセチル−D−ガラクトサミン供与体基質からN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移する作用を有することを特徴とする糖転移作用剤。
    GlcUA−Gal−Gal−Xyl−Ser  (2)
    式(2)中、「Ser」は上記Xylで示されるD−キシロース残基がその側鎖に結合したセリン残基(ペプチド鎖中の場合を含む)を示し、「Xyl」は前記Serで示されるセリン残基の側鎖に結合したD−キシロース残基を示し、「GlcUA」、「Gal」及び「−」は式(1)と同様である。
  3. N−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質に対し、N−アセチル−D−ガラクトサミン供与体基質からN−アセチル−D−ガラクトサミン残基をβ1,4結合で転移することを特徴とする請求項1又は2記載の糖転移作用剤。
  4. 糖転移作用剤が配列番号2中アミノ酸番号37乃至532で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質又は当該タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質を含むことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の糖転移作用剤。
  5. 糖転移作用剤が配列番号2中アミノ酸番号37乃至532で示されるアミノ酸配列からなるタンパク質又は当該タンパク質に糖鎖が結合した糖タンパク質を含むことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項記載の糖転移作用剤。
  6. 請求項1乃至5何れか一項記載の糖転移作用剤を作用させて下記式(1)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質に対してN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移することを特徴とする、下記式(3)で示される構造を有する糖鎖の合成方法。
    GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
    GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (3)
    式(1)及び(3)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
  7. 下記式(1)で示される構造を有するN−アセチル−D−ガラクトサミン受容体基質の非還元末端に存在するD−グルクロン酸残基に対して、N−アセチル−D−ガラクトサミン残基を転移して下記式(3)で示される構造を有する糖鎖を合成するための、請求項1乃至5何れか一項記載の糖転移作用剤の使用。
    GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (1)
    GalNAc−GlcUA−Gal−Gal−Xyl  (3)
    式(1)及び(3)中、「GalNAc」はN−アセチル−D−ガラクトサミン残基を示し、「GlcUA」はD−グルクロン酸残基を示し、「Gal」はD−ガラクトース残基を示し、「Xyl」はD−キシロース残基を示し、「−」はグリコシド結合を示す。
  8. 組織における配列番号1記載の塩基配列を有するDNAの発現量と、当該組織の癌化とを関連づけることを特徴とする癌化の検出方法。
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