JP2004023717A - 移動無線端末装置および通信回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、安定してRake受信を行って高い通信品質を維持することを可能とする。
【解決手段】タイミング生成部70aは、位相制御信号生成部61aから通知される情報に基づいて、拡散コードのチップレートのクロックを生成する。コード生成部20aは、当該移動無線端末装置に割り当てられた拡散コードを、タイミング生成部70aから供給されるクロックに同期させて生成し、相関器11a,12a,13aに出力する。位相制御信号生成部61aは、フィンガFaにおけるDLL制御の中枢をなすもので、フィンガFaにて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガFb,Fcにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、上記位相差が拡散コード1チップ未満とならないようにタイミング生成部70a制御するようにしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】タイミング生成部70aは、位相制御信号生成部61aから通知される情報に基づいて、拡散コードのチップレートのクロックを生成する。コード生成部20aは、当該移動無線端末装置に割り当てられた拡散コードを、タイミング生成部70aから供給されるクロックに同期させて生成し、相関器11a,12a,13aに出力する。位相制御信号生成部61aは、フィンガFaにおけるDLL制御の中枢をなすもので、フィンガFaにて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガFb,Fcにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、上記位相差が拡散コード1チップ未満とならないようにタイミング生成部70a制御するようにしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、CDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用する無線通信システムで用いられる移動無線端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA方式を採用する移動通信システムでは、1つの基地局が複数のユーザを収容するために、基地局は各ユーザとの通信信号をユーザ毎に異なる拡散コードを用いて多重/分離する。
【0003】
すなわち、基地局による送信は、ユーザ毎に割り当てた拡散コードを用いて各ユーザ宛ての通信信号を拡散し、このようにして拡散したすべてのユーザ宛ての信号を加算して同一周波数で送信する。
また、基地局における受信は、ユーザ毎に割り当てた拡散コードで受信した信号を逆拡散することで、ユーザから送信された情報を抽出することができる。
【0004】
ユーザ(移動無線端末装置)における受信も同様であり、自己に割り当てられた拡散コードで受信した信号を逆拡散することで、自己宛てに送信された情報を抽出することができる。
【0005】
なお、逆拡散は、最適なタイミングから拡散コード1チップ分以上のずれが生じたタイミングで行うと、目的の情報を抽出することができないため、受信開始に先立ち、何らかの方法で最適な逆拡散のタイミングを求める必要がある。
【0006】
また、この最適タイミングは、送受信機間の距離の変動などにより時間的に変動するため、そのタイミング変動に追従して、拡散コードの乗算タイミングを調整する必要がある。
【0007】
図5は、逆拡散のタイミングと相関レベルの関係を示すもので、位相ずれ「0」が最も大きな相関レベルが得られる最適な逆拡散タイミングを示している。この図に示すように、最適タイミング「0」からの位相ずれが大きくなるに従い相関レベルの絶対値は小さくなり、タイミングが1チップ以上ずれてしまうと雑音と相関レベルは同程度になってしまう。これは、位相が早い方にずれた場合でも、遅い方にずれた場合でも、同様である。
【0008】
逆拡散タイミングの調整方法の一つに、DLL(Delay Lock Loop)方式と呼ばれる方法がある。
【0009】
図6(a)は、逆拡散のタイミングTと、そのタイミングで得られる相関レベルの関係を模式的に示すもので、T=0の時が逆拡散に最適なタイミングを示している。
【0010】
そして、図6(b)は、逆拡散のタイミングTと相関レベルの関係が図6(a)に示すような状況にある場合において、最適な逆拡散タイミング(T=0)からの位相のずれDと、この位相Pdから±dだけ遅延した2つのタイミングにおける相関レベルの差分との関係を表したものである。この図に示すように、上記差分が「0」あるいは十分小さな値になるところが最適なタイミングとなることがわかる。
【0011】
DLLは、この点に着目したもので、仮の逆拡散タイミングDに対して±dだけ遅延した2つのタイミングにおける相関レベルを求め、これらをそれぞれ時間的に平均化した値の差分を求める。
【0012】
そして、DLLでは、上記差分の符号(正/負)に応じて、タイミングDを+tあるいは−tだけずらすことを繰り返して上記差分を極小にすることで、最適な逆拡散タイミングD=0(=T)を求める。
【0013】
また、フィンガに逆拡散のタイミングとしてD=0を割り当てた状態にある時、通信相手との距離が変化するなどして、信号の受信タイミングが少し変化したとすると、相対的には逆拡散のタイミングはD=0ではなくなる。
【0014】
このような状況になっても、フィンガが持つDLL機能により上記差分が「0」になるように逆拡散タイミングDが制御されるため、D=0の状態に復帰する。よって、常に最適なタイミングで相関演算を行うことができることになる。
【0015】
ところで、CDMA方式の移動無線端末装置では、自己宛ての無線信号が複数の異なる経路を経てマルチパス信号となって到来するが、これらを複数のフィンガによりそれぞれ逆拡散して合成する、いわゆるRake受信を行うことで、通信品質を向上させている。
Rake受信を行う場合には、パス間の位相差が少なくとも拡散コード1チップ以上であれば、それぞれ分離できるので受信が可能である。
【0016】
図7は、パス間の位相差が拡散コード1チップ程度の2つのパスが存在する場合の逆拡散タイミングと相関レベルの関係を示すものである。
この図では、逆拡散タイミングが位相ずれ「0」と「+1」とにおいて、それぞれパスが受信可能な状態にあり、この2つのパスの相関レベルの差は3dB程度となっている。
【0017】
以下、図7に示すように、2つのパスが1チップ程度に接近している場合に、DLLを行うことを考える。
図8(a)は、位相ずれ「0」と「+1」で示される逆拡散タイミングにそれぞれパスP1,P2が存在する場合を示すもので、逆拡散のタイミングTと、そのタイミングで得られる相関レベルの関係を模式的に示すものである。
【0018】
2つのパスのうち、一方のパスP1はT=0の時が逆拡散に最適なタイミングであり、残る一方のパスP2はT=+1の時が逆拡散に最適なタイミングであることを示している。
【0019】
そして、図8(b)は、逆拡散のタイミングTと相関レベルの関係が図8(a)に示すような状況にある場合において、パスP1の最適な逆拡散タイミング(T=0)からの位相のずれDと、この位相Pdから±dだけ遅延した2つのタイミングにおける相関レベルの差分との関係を表したものである。
【0020】
図8(b)で示されるように、パスP1について相関レベルの差分が「0」になるのは、パスP1を受信するのに最適な逆拡散タイミングからパスP2を受信するのに最適な逆拡散タイミング側に若干ずれたところにある。
【0021】
また、パスP2を受信するのに最適な逆拡散タイミングであるD=+1では、相関レベルの差分が極小となっているものの、その近傍は正の値となっている。
【0022】
このため、初期状態として、2つのフィンガにそれぞれD=0、D=+1の逆拡散タイミングを割り当てたとしても、各フィンガはDLL機能により、上記差分が0になるように逆拡散のタイミングの制御を行うので、パスP1が割り当てられたフィンガははじめに割り当てられた逆拡散タイミングをほぼ保持するように制御するが、パスP2が割り当てられたフィンガは、逆拡散タイミングを早める(図8(b)の左方向)制御を行って、最終的にはパスP1を受信する逆拡散タイミングとなってしまう虞がある。
【0023】
このような状態は、2つのフィンガがあるにもかかわらず、これらで同一のパスP1を受信することになるため、Rake受信による通信品質向上は見込めないという問題が生じることになる。
【0024】
この問題を回避するために従来は、特開平9−181704にあるように、2つのフィンガにおける逆拡散タイミングが接近したことを検出すると、いずれか一方のフィンガに対して別のパスを再割り当てするなどの処理を行っている。
【0025】
しかしながら、このようなパスの再割り当て処理は、一時的には通信品質の向上が見込めるものの、再割り当てされる逆拡散タイミングは、以前に割り当てた同じものであることが多い。
【0026】
このため、従来の受信機では、再び逆拡散タイミングが近接し、2つのフィンガで相関レベルが高い同じパスを受信してしまい、再割り当てを行うといった繰り返し動作になってしまい、安定して通信品質を保つことはできなかった。
【0027】
また、このような従来の再割り当て処理には、プロセッサなどの演算回路による演算処理が必要になるので、演算回路に負荷をかけるだけでなく、電力を消費するという問題がある。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
従来の移動無線端末装置では、逆拡散タイミングが近接する2つのパスを受信する場合、相関レベルが低い方のパスが割り当てられたフィンガが、DLL機能により、相関レベルが高い方のパスを受信するように逆拡散タイミングを調整してしまうので、この結果、複数のフィンガが同じパスを受信してしまい、Rake受信による通信品質の向上が期待できなくなるという問題があった。
【0029】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、安定してRake受信を行って高い通信品質を維持することが可能な移動無線端末装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う移動無線端末装置において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した値以上となるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0031】
また請求項6に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う通信回路において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した値以上となるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0032】
上記構成の移動無線端末装置および通信回路では、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの間に予め設定した値以上の時間差が生じるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御するようにしている。
【0033】
したがって、上記構成の移動無線端末装置および通信回路によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することができる。
【0034】
また、請求項4に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う移動無線端末装置において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段の逆拡散の結果について、それぞれ相関レベルを検出するレベル検出手段とを備え、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が前記予め設定した値以上となるように制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0035】
そしてまた、請求項9に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う通信回路において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段の逆拡散の結果について、それぞれ相関レベルを検出するレベル検出手段とを備え、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が前記予め設定した値以上となるように制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0036】
上記構成の移動無線端末装置および通信回路では、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が予め設定した値以上となるように制御するようにしている。
【0037】
したがって、上記構成の移動無線端末装置および通信回路によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、相関レベルが高い1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる移動無線端末装置の受信部の構成を示すものである。
【0039】
移動無線端末装置の受信部は、フィンガFa,Fb,Fc、基準タイミング生成部80およびRAKE合成部90を備える。ここでは、3つのフィンガFa,Fb,Fcを備える場合を例に挙げる。
【0040】
フィンガFaは、相関器11a,12a,13a、コード生成部20a、同期検波部30a、電力平均化部41a,42a、減算部50a、位相制御信号生成部61aおよびタイミング生成部70aを備える。
【0041】
基地局から受信された受信信号は、相関器11a,12a,13aに入力される。
相関器11a,12a,13aは、それぞれ上記受信信号に、コード生成部20aで生成された拡散コードと乗算することで逆拡散を行い、この乗算結果をそれぞれ対応する電力平均化部41a,42a、同期検波部30aに出力する。
【0042】
コード生成部20aは、図示しない基地局から当該移動無線端末装置に割り当てられた拡散コードを、後述するタイミング生成部70aから供給されるクロックに同期したタイミングで生成し、相関器11a,12a,13aに出力する。
【0043】
ただし、コード生成部20aは、相関器11aに出力する拡散コードを、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、−1/2チップだけ位相を進ませており、一方、相関器12aに出力する拡散コードは、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、+1/2チップだけ位相を進ませる。
【0044】
同期検波部30aは、相関器13aにて得られた逆拡散結果に対して同期検波を行い、伝搬路で生じた位相変化を補正し、この補正結果をRAKE合成部90に出力する。
【0045】
なお、上記同期検波に必要な位相基準は、相関器13aにて得られた逆拡散結果(相関値)を利用するか、あるいは位相基準信号を生成するための相関器(図示しない)から得る。
【0046】
電力平均化部41aおよび電力平均化部42aでは、それぞれ対応する相関器11a,12aからの逆拡散結果の振幅を2乗して電力次元の値に変換した上で、所定時間の平均値を求め、雑音や干渉による測定誤差を軽減した値を求める。
【0047】
減算部50aは、電力平均化部41aおよび電力平均化部42aにてそれぞれ求められた平均値間の差を求める。この差は、差分情報として位相制御信号生成部61aに出力される。
【0048】
位相制御信号生成部61aは、フィンガFaにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50aにて求められた差分情報と、後述するタイミング生成部70aから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFb,Fcのタイミング生成部70b,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20aが相関器11a,12a,13aに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0049】
タイミング生成部70aは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部61aから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0050】
またタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0051】
フィンガFbは、フィンガFaと同様に、相関器11b,12b,13b、コード生成部20b、同期検波部30b、電力平均化部41b,42b、減算部50b、位相制御信号生成部61bおよびタイミング生成部70bを備える。
【0052】
このように、フィンガFbは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部61bおよびタイミング生成部70bを除いて、詳細な説明は省略する。
【0053】
位相制御信号生成部61bは、フィンガFbにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50bにて求められた差分情報と、後述するタイミング生成部70bから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fcのタイミング生成部70a,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20bが相関器11b,12b,13bに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70bに通知する。
【0054】
タイミング生成部70bは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部61bから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20bをはじめとするフィンガFbの各部に供給する。
【0055】
またタイミング生成部70bは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61bと、他のフィンガFa,Fcの位相制御信号生成部61a,61cに通知する。
【0056】
また、フィンガFcについても、フィンガFaと同様に、相関器11c,12c,13c、コード生成部20c、同期検波部30c、電力平均化部41c,42c、減算部50c、位相制御信号生成部61cおよびタイミング生成部70cを備える。
【0057】
このように、フィンガFcは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部61cおよびタイミング生成部70cを除いて、詳細な説明は省略する。
【0058】
位相制御信号生成部61cは、フィンガFcにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50cにて求められた差分情報と、後述するタイミング生成部70cから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fbのタイミング生成部70a,70bから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20cが相関器11c,12c,13cに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70cに通知する。
【0059】
タイミング生成部70cは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部61cから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20cをはじめとするフィンガFcの各部に供給する。
【0060】
またタイミング生成部70cは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61cと、他のフィンガFa,Fbの位相制御信号生成部61a,61bに通知する。
【0061】
基準タイミング生成部80は、所定の周波数の基準クロックを生成し、タイミング生成部70a,70b,70cに出力する。
RAKE合成部90は、同期検波部30a,30b,30cの各検波結果をレイク合成し、後段の信号処理部(図示しない)に出力する。
【0062】
次に、上記構成の移動無線端末装置の逆拡散タイミングの制御動作について説明する。
図2は、上記逆拡散タイミングの制御動作を説明するためのフローチャートで、位相制御信号生成部61a,61b,61cによってそれぞれ実行される。
【0063】
なお、この制御動作は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行される。また、以下の説明では、位相制御信号生成部61aを例に挙げて説明する。
【0064】
まず、ステップ2aで位相制御信号生成部61aは、タイミング生成部70a,70b,70cから、各フィンガFa,Fb,Fcのコード生成部20a,20b,20cが生成する拡散コードの生成タイミングを示す、クロックのタイミング情報を取得し、ステップ2bに移行する。
【0065】
ステップ2bで位相制御信号生成部61aは、ステップ2aで取得したタイミング情報に基づいて、自己のフィンガFaのクロックが、他のフィンガFb,Fcのクロックのいずれとも、拡散コード1チップ以上の位相差があるか否かを判定する。
【0066】
ここで、拡散コード1チップ以上の位相差がある場合には、ステップ2cに移行し、一方、拡散コード1チップ以上の位相差がない場合には、ステップ2eに移行する。
【0067】
ステップ2cで位相制御信号生成部61aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ2dに移行する。
ステップ2dで位相制御信号生成部61aは、ステップ2cで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。
【0068】
すなわち、ステップ2dのDLL制御では、ステップ2cで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進める方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0069】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0070】
一方、ステップ2cで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0071】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0072】
またタイミング生成部70aは、クロックの供給を開始した後、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0073】
一方、ステップ2eで位相制御信号生成部61aは、ステップ2aで取得したタイミング情報に基づいて、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にあるか否かを判定する。
【0074】
ここで、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にある場合には、ステップ2fに移行し、一方、そうでない場合には、ステップ2gに移行する。
【0075】
ステップ2fで位相制御信号生成部61aは、タイミング生成部70aに対して、現在生成しているクロックの位相を保持するように指示する情報を通知し、当該処理を終了する。
【0076】
これにより、タイミング生成部70aは、現在の位相でクロックの生成を継続し、これにより生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0077】
一方、ステップ2gで位相制御信号生成部61aは、フィンガFaのクロックと拡散コード1チップ以内の位相差にある他のフィンガ(FbあるいはFc)のクロックが、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいるのか遅れているのかを判断する。
【0078】
ここで、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいると判断した場合には、ステップ2hに移行し、一方、位相が遅れていると判断した場合には、ステップ2jに移行する。
【0079】
ステップ2hで位相制御信号生成部61aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ2iに移行する。
ステップ2iで位相制御信号生成部61aは、ステップ2hで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が進んだ方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を進める方向へのDLL制御は行わない。
【0080】
すなわち、ステップ2iのDLL制御では、ステップ2hで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ2hで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0081】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成することはあるが、進ませて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0082】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0083】
ステップ2jで位相制御信号生成部61aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ2kに移行する。
ステップ2kで位相制御信号生成部61aは、ステップ2jで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が遅れた方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を遅らせる方向へのDLL制御は行わない。
【0084】
すなわち、ステップ2kのDLL制御では、ステップ2jで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進ませる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ2jで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0085】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成することはあるが、遅らせて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0086】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0087】
図2のフローチャートに示した処理は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行され、また、位相制御信号生成部61b,61cにおいても同様に実施される。
【0088】
以上のように、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、上記位相差が拡散コード1チップ未満とならないようにDLL制御を行うようにしている。
【0089】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する2つのパスを受信する場合でも、DLL制御により2つのフィンガで同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0090】
また、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングが、他の2つのフィンガにて実施される逆拡散タイミングの間にあり、かつどの逆拡散タイミングとも位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、現状の位相を維持して逆拡散を行うようにしている。
【0091】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する3つのパスを受信する場合でも、そのうち間に挟まれた逆拡散タイミングは一定に保たれるので、DLL制御により他の2つのフィンガのいずれかと同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0092】
次に、この発明の第2の実施形態に係わる移動無線端末装置について説明する。図3は、上記移動無線端末装置の受信部の構成を示すものである。
移動無線端末装置の受信部は、フィンガFa,Fb,Fc、基準タイミング生成部80およびRAKE合成部90を備える。ここでは、3つのフィンガFa,Fb,Fcを備える場合を例に挙げる。
【0093】
フィンガFaは、相関器11a,12a,13a、コード生成部20a、同期検波部30a、電力平均化部41a,42a,43a、減算部50a、位相制御信号生成部62aおよびタイミング生成部70aを備える。
【0094】
基地局から受信された受信信号は、相関器11a,12a,13aに入力される。
相関器11a,12a,13aは、それぞれ上記受信信号に、コード生成部20aで生成された拡散コードと乗算することで逆拡散を行い、この乗算結果をそれぞれ対応する電力平均化部41a,42a,43a、同期検波部30aに出力する。
【0095】
コード生成部20aは、図示しない基地局から当該移動無線端末装置に割り当てられた拡散コードを、後述するタイミング生成部70aから供給されるクロックに同期したタイミングで生成し、相関器11a,12a,13aに出力する。
【0096】
ただし、コード生成部20aは、相関器11aに出力する拡散コードを、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、−1/2チップだけ位相を進ませており、一方、相関器12aに出力する拡散コードは、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、+1/2チップだけ位相を進ませる。
【0097】
同期検波部30aは、相関器13aにて得られた逆拡散結果に対して同期検波を行い、伝搬路で生じた位相変化を補正し、この補正結果をRAKE合成部90に出力する。
【0098】
なお、上記同期検波に必要な位相基準は、相関器13aにて得られた逆拡散結果(相関値)を利用するか、あるいは位相基準信号を生成するための相関器(図示しない)から得る。
【0099】
電力平均化部41a,42a,43aでは、それぞれ対応する相関器11a,12a,13aからの逆拡散結果の振幅を2乗して電力次元の値に変換した上で、所定時間の平均値を求め、雑音や干渉による測定誤差を軽減した値を求める。
【0100】
減算部50aは、電力平均化部41aおよび電力平均化部42aにてそれぞれ求められた平均値間の差を求める。この差は、差分情報として位相制御信号生成部62aに出力される。
【0101】
位相制御信号生成部62aは、フィンガFaにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50aにて求められた差分情報と、電力平均化部43aで求めた電力平均値と、他のフィンガFb,Fcの電力平均化部43b,43cから通知される電力平均値と、後述するタイミング生成部70aから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFb,Fcのタイミング生成部70b,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20aが相関器11a,12a,13aに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0102】
タイミング生成部70aは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部62aから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0103】
またタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0104】
フィンガFbは、フィンガFaと同様に、相関器11b,12b,13b、コード生成部20b、同期検波部30b、電力平均化部41b,42b,43b、減算部50b、位相制御信号生成部62bおよびタイミング生成部70bを備える。
【0105】
このように、フィンガFbは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部62bおよびタイミング生成部70bを除いて、詳細な説明は省略する。
【0106】
位相制御信号生成部62bは、フィンガFbにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50bにて求められた差分情報と、電力平均化部43bで求めた電力平均値と、他のフィンガFa,Fcの電力平均化部43a,43cから通知される電力平均値と、後述するタイミング生成部70bから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fcのタイミング生成部70a,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20bが相関器11b,12b,13bに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70bに通知する。
【0107】
タイミング生成部70bは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部62bから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20bをはじめとするフィンガFbの各部に供給する。
【0108】
またタイミング生成部70bは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62bと、他のフィンガFa,Fcの位相制御信号生成部62a,62cに通知する。
【0109】
また、フィンガFcについても、フィンガFaと同様に、相関器11c,12c,13c、コード生成部20c、同期検波部30c、電力平均化部41c,42c,43c、減算部50c、位相制御信号生成部62cおよびタイミング生成部70cを備える。
【0110】
このように、フィンガFcは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部62cおよびタイミング生成部70cを除いて、詳細な説明は省略する。
【0111】
位相制御信号生成部62cは、フィンガFcにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50cにて求められた差分情報と、電力平均化部43cで求めた電力平均値と、他のフィンガFa,Fbの電力平均化部43a,43bから通知される電力平均値と、後述するタイミング生成部70cから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fbのタイミング生成部70a,70bから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20cが相関器11c,12c,13cに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70cに通知する。
【0112】
タイミング生成部70cは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部62cから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20cをはじめとするフィンガFcの各部に供給する。
【0113】
またタイミング生成部70cは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62cと、他のフィンガFa,Fbの位相制御信号生成部62a,62bに通知する。
【0114】
基準タイミング生成部80は、所定の周波数の基準クロックを生成し、タイミング生成部70a,70b,70cに出力する。
RAKE合成部90は、同期検波部30a,30b,30cの各検波結果をレイク合成し、後段の信号処理部(図示しない)に出力する。
【0115】
次に、上記構成の移動無線端末装置の逆拡散タイミングの制御動作について説明する。
図4は、上記逆拡散タイミングの制御動作を説明するためのフローチャートで、位相制御信号生成部62a,62b,62cによってそれぞれ実行される。
【0116】
なお、この制御動作は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行される。また、以下の説明では、位相制御信号生成部62aを例に挙げて説明する。
【0117】
まず、ステップ4aで位相制御信号生成部62aは、タイミング生成部70a,70b,70cから、各フィンガFa,Fb,Fcのコード生成部20a,20b,20cが生成する拡散コードの生成タイミングを示す、クロックのタイミング情報を取得し、ステップ4bに移行する。
【0118】
ステップ4bで位相制御信号生成部62aは、ステップ4aで取得したタイミング情報に基づいて、自己のフィンガFaのクロックが、他のフィンガFb,Fcのクロックのいずれとも、拡散コード1チップ以上の位相差があるか否かを判定する。
【0119】
ここで、拡散コード1チップ以上の位相差がある場合には、ステップ4cに移行し、一方、拡散コード1チップ以上の位相差がない場合には、ステップ4eに移行する。
【0120】
ステップ4cで位相制御信号生成部62aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ4dに移行する。
ステップ4dで位相制御信号生成部62aは、ステップ4cで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。
【0121】
すなわち、ステップ4dのDLL制御では、ステップ4cで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進める方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0122】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0123】
一方、ステップ4cで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0124】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0125】
またタイミング生成部70aは、クロックの供給を開始した後、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0126】
一方、ステップ4eで位相制御信号生成部62aは、電力平均化部43a、およびフィンガFb,Fcの電力平均化部43b,43cから、それぞれ電力平均値を取得し、ステップ4fに移行する。
【0127】
ステップ4fで位相制御信号生成部62aは、ステップ4eで取得した電力平均値に基づいて、電力平均化部43aから取得した電力平均値が、位相差が拡散コード1チップ未満のパスを受信する他のフィンガ(Fb,Fcのうち少なくとも一方)の電力平均化部(43b,43c)から取得した電力平均値より、大きいか否かを判定する。
【0128】
ここで、電力平均化部43aから取得した電力平均値の方が大きい場合には、ステップ4cに移行し、一方、上記電力平均値が大きくない場合には、ステップ4gに移行する。
【0129】
ステップ4gで位相制御信号生成部62aは、ステップ4aで取得したタイミング情報に基づいて、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にあるか否かを判定する。
【0130】
ここで、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にある場合には、ステップ4hに移行し、一方、そうでない場合には、ステップ4iに移行する。
【0131】
ステップ4hで位相制御信号生成部62aは、タイミング生成部70aに対して、現在生成しているクロックの位相を保持するように指示する情報を通知し、当該処理を終了する。
【0132】
これにより、タイミング生成部70aは、現在の位相でクロックの生成を継続し、これにより生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0133】
一方、ステップ4iで位相制御信号生成部62aは、フィンガFaのクロックと拡散コード1チップ以内の位相差にある他のフィンガ(FbあるいはFc)のクロックが、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいるのか遅れているのかを判断する。
【0134】
ここで、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいると判断した場合には、ステップ4jに移行し、一方、位相が遅れていると判断した場合には、ステップ4lに移行する。
【0135】
ステップ4jで位相制御信号生成部62aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ4kに移行する。
ステップ4kで位相制御信号生成部62aは、ステップ4jで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が進んだ方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を進める方向へのDLL制御は行わない。
【0136】
すなわち、ステップ4kのDLL制御では、ステップ4jで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ4jで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0137】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成することはあるが、進ませて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0138】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0139】
ステップ4lで位相制御信号生成部62aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ4mに移行する。
ステップ4mで位相制御信号生成部62aは、ステップ4lで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が遅れた方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を遅らせる方向へのDLL制御は行わない。
【0140】
すなわち、ステップ4mのDLL制御では、ステップ4lで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進ませる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ4lで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0141】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成することはあるが、遅らせて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0142】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0143】
図4のフローチャートに示した処理は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行され、また、位相制御信号生成部62b,62cにおいても同様に実施される。
【0144】
以上のように、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、上記位相差が拡散コード1チップ未満とならないようにDLL制御を行うようにしている。
【0145】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する2つのパスを受信する場合でも、DLL制御により2つのフィンガで同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0146】
また、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングが、他の2つのフィンガにて実施される逆拡散タイミングの間にあり、かつどの逆拡散タイミングとも位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、現状の位相を維持して逆拡散を行うようにしている。
【0147】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する3つのパスを受信する場合でも、そのうち間に挟まれた逆拡散タイミングは一定に保たれるので、DLL制御により他の2つのフィンガのいずれかと同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0148】
さらに、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合であっても、自己で得られる相関レベル(電力平均値)の方が、位相差が拡散コード1チップ未満のパスを受信する他のフィンガで得られる相関レベルよりも大きい場合には、通常のDLL制御で逆拡散タイミングを調整するようにしている。
【0149】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、位相差が拡散コード1チップ以内の場合であっても、相関レベルが高いパスを受信するフィンガについては、優先的に逆拡散タイミングを調整することができるので、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0150】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記第1の実施形態では、位相制御信号生成部61a,61b,61cが、それぞれフィンガFa,Fb,Fcに備えられ、フィンガFa,Fb,Fc毎に、自己が用いる逆拡散タイミングと他のフィンガが用いる逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ未満にならないように制御した。
【0151】
これに代わって例えば、別に設けられた制御部が、タイミング生成部70a,70b,70cからの情報に基づいて各フィンガFa,Fb,Fcの逆拡散タイミングを一括して監視し、フィンガ間の逆拡散タイミングの位相差が拡散コード1チップ未満にならないように、各フィンガのコード生成部20a,20b,20cを一括して制御するようにしてもよい。
【0152】
第2の実施形態においても同様に、位相制御信号生成部62a,62b,62cに代わって、別に設けられた制御部が、タイミング生成部70a,70b,70cからの情報および電力平均化部43a,43b,43cからの電力平均値に基づいて、各フィンガFa,Fb,Fcの逆拡散タイミングと相関レベルの大小関係を一括して監視し、フィンガ間の逆拡散タイミングの位相差が拡散コード1チップ未満にならないように、各フィンガのコード生成部20a,20b,20cを一括して制御するようにしてもよい。
【0153】
また、例えば、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、相関器11a,12a,13aの出力を平均化するのに、電力平均化部41a,42a,43aを用いるようにしたが、これに代わって例えば適当な特性を有するフィルタを使用することも可能である。
【0154】
さらに、図2および図4に示した逆拡散タイミングの制御では、拡散コード1チップを基準として種々の判定を行うようにしたが、位相差はこの値に限定されるものではなく、システムの構成やデバイスの特性、通信環境に応じて、例えば0.9チップあるいは1.1チップなどの値にすることも可能である。
【0155】
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0156】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの間に予め設定した値以上の時間差が生じるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御するようにしている。
【0157】
したがって、この発明によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することが可能な移動無線端末装置および通信回路を提供できる。
【0158】
また、この発明では、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が予め設定した値以上となるように制御するようにしている。
【0159】
したがって、この発明によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、相関レベルが高い1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することが可能な移動無線端末装置および通信回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる移動無線端末装置の受信部の第1の実施の形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した移動無線端末装置の位相制御信号生成部による位相制御を説明するためのフローチャート。
【図3】この発明に係わる移動無線端末装置の受信部の第2の実施の形態の構成を示す回路ブロック図。
【図4】図3に示した移動無線端末装置の位相制御信号生成部による位相制御を説明するためのフローチャート。
【図5】パスに対する逆拡散タイミングと相関レベルとの関係を示す図。
【図6】図5に示すような状況下において、逆拡散タイミングを調整するDLLの動作を説明するための図。
【図7】位相差の少ない2つのパスが近接する状況における、逆拡散タイミングと相関レベルとの関係を示す図。
【図8】図7に示すような状況下において、逆拡散タイミングを調整するDLLの動作を説明するための図。
【符号の説明】
11a,12a,13a…相関器
11b,12b,13b…相関器
11c,12c,13c…相関器
20a,20b,20c…コード生成部
30a,30b,30c…同期検波部
41a,42a,43a…電力平均化部
41b,42b,43b…電力平均化部
41c,42c,43c…電力平均化部
50a,50b,50c…減算部
61a,61b,61c…位相制御信号生成部
62a,62b,62c…位相制御信号生成部
70a,70b,70c…タイミング生成部
80…基準タイミング生成部
90…RAKE合成部
Fa,Fb,Fc…フィンガ
【発明の属する技術分野】
この発明は、CDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用する無線通信システムで用いられる移動無線端末装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
CDMA方式を採用する移動通信システムでは、1つの基地局が複数のユーザを収容するために、基地局は各ユーザとの通信信号をユーザ毎に異なる拡散コードを用いて多重/分離する。
【0003】
すなわち、基地局による送信は、ユーザ毎に割り当てた拡散コードを用いて各ユーザ宛ての通信信号を拡散し、このようにして拡散したすべてのユーザ宛ての信号を加算して同一周波数で送信する。
また、基地局における受信は、ユーザ毎に割り当てた拡散コードで受信した信号を逆拡散することで、ユーザから送信された情報を抽出することができる。
【0004】
ユーザ(移動無線端末装置)における受信も同様であり、自己に割り当てられた拡散コードで受信した信号を逆拡散することで、自己宛てに送信された情報を抽出することができる。
【0005】
なお、逆拡散は、最適なタイミングから拡散コード1チップ分以上のずれが生じたタイミングで行うと、目的の情報を抽出することができないため、受信開始に先立ち、何らかの方法で最適な逆拡散のタイミングを求める必要がある。
【0006】
また、この最適タイミングは、送受信機間の距離の変動などにより時間的に変動するため、そのタイミング変動に追従して、拡散コードの乗算タイミングを調整する必要がある。
【0007】
図5は、逆拡散のタイミングと相関レベルの関係を示すもので、位相ずれ「0」が最も大きな相関レベルが得られる最適な逆拡散タイミングを示している。この図に示すように、最適タイミング「0」からの位相ずれが大きくなるに従い相関レベルの絶対値は小さくなり、タイミングが1チップ以上ずれてしまうと雑音と相関レベルは同程度になってしまう。これは、位相が早い方にずれた場合でも、遅い方にずれた場合でも、同様である。
【0008】
逆拡散タイミングの調整方法の一つに、DLL(Delay Lock Loop)方式と呼ばれる方法がある。
【0009】
図6(a)は、逆拡散のタイミングTと、そのタイミングで得られる相関レベルの関係を模式的に示すもので、T=0の時が逆拡散に最適なタイミングを示している。
【0010】
そして、図6(b)は、逆拡散のタイミングTと相関レベルの関係が図6(a)に示すような状況にある場合において、最適な逆拡散タイミング(T=0)からの位相のずれDと、この位相Pdから±dだけ遅延した2つのタイミングにおける相関レベルの差分との関係を表したものである。この図に示すように、上記差分が「0」あるいは十分小さな値になるところが最適なタイミングとなることがわかる。
【0011】
DLLは、この点に着目したもので、仮の逆拡散タイミングDに対して±dだけ遅延した2つのタイミングにおける相関レベルを求め、これらをそれぞれ時間的に平均化した値の差分を求める。
【0012】
そして、DLLでは、上記差分の符号(正/負)に応じて、タイミングDを+tあるいは−tだけずらすことを繰り返して上記差分を極小にすることで、最適な逆拡散タイミングD=0(=T)を求める。
【0013】
また、フィンガに逆拡散のタイミングとしてD=0を割り当てた状態にある時、通信相手との距離が変化するなどして、信号の受信タイミングが少し変化したとすると、相対的には逆拡散のタイミングはD=0ではなくなる。
【0014】
このような状況になっても、フィンガが持つDLL機能により上記差分が「0」になるように逆拡散タイミングDが制御されるため、D=0の状態に復帰する。よって、常に最適なタイミングで相関演算を行うことができることになる。
【0015】
ところで、CDMA方式の移動無線端末装置では、自己宛ての無線信号が複数の異なる経路を経てマルチパス信号となって到来するが、これらを複数のフィンガによりそれぞれ逆拡散して合成する、いわゆるRake受信を行うことで、通信品質を向上させている。
Rake受信を行う場合には、パス間の位相差が少なくとも拡散コード1チップ以上であれば、それぞれ分離できるので受信が可能である。
【0016】
図7は、パス間の位相差が拡散コード1チップ程度の2つのパスが存在する場合の逆拡散タイミングと相関レベルの関係を示すものである。
この図では、逆拡散タイミングが位相ずれ「0」と「+1」とにおいて、それぞれパスが受信可能な状態にあり、この2つのパスの相関レベルの差は3dB程度となっている。
【0017】
以下、図7に示すように、2つのパスが1チップ程度に接近している場合に、DLLを行うことを考える。
図8(a)は、位相ずれ「0」と「+1」で示される逆拡散タイミングにそれぞれパスP1,P2が存在する場合を示すもので、逆拡散のタイミングTと、そのタイミングで得られる相関レベルの関係を模式的に示すものである。
【0018】
2つのパスのうち、一方のパスP1はT=0の時が逆拡散に最適なタイミングであり、残る一方のパスP2はT=+1の時が逆拡散に最適なタイミングであることを示している。
【0019】
そして、図8(b)は、逆拡散のタイミングTと相関レベルの関係が図8(a)に示すような状況にある場合において、パスP1の最適な逆拡散タイミング(T=0)からの位相のずれDと、この位相Pdから±dだけ遅延した2つのタイミングにおける相関レベルの差分との関係を表したものである。
【0020】
図8(b)で示されるように、パスP1について相関レベルの差分が「0」になるのは、パスP1を受信するのに最適な逆拡散タイミングからパスP2を受信するのに最適な逆拡散タイミング側に若干ずれたところにある。
【0021】
また、パスP2を受信するのに最適な逆拡散タイミングであるD=+1では、相関レベルの差分が極小となっているものの、その近傍は正の値となっている。
【0022】
このため、初期状態として、2つのフィンガにそれぞれD=0、D=+1の逆拡散タイミングを割り当てたとしても、各フィンガはDLL機能により、上記差分が0になるように逆拡散のタイミングの制御を行うので、パスP1が割り当てられたフィンガははじめに割り当てられた逆拡散タイミングをほぼ保持するように制御するが、パスP2が割り当てられたフィンガは、逆拡散タイミングを早める(図8(b)の左方向)制御を行って、最終的にはパスP1を受信する逆拡散タイミングとなってしまう虞がある。
【0023】
このような状態は、2つのフィンガがあるにもかかわらず、これらで同一のパスP1を受信することになるため、Rake受信による通信品質向上は見込めないという問題が生じることになる。
【0024】
この問題を回避するために従来は、特開平9−181704にあるように、2つのフィンガにおける逆拡散タイミングが接近したことを検出すると、いずれか一方のフィンガに対して別のパスを再割り当てするなどの処理を行っている。
【0025】
しかしながら、このようなパスの再割り当て処理は、一時的には通信品質の向上が見込めるものの、再割り当てされる逆拡散タイミングは、以前に割り当てた同じものであることが多い。
【0026】
このため、従来の受信機では、再び逆拡散タイミングが近接し、2つのフィンガで相関レベルが高い同じパスを受信してしまい、再割り当てを行うといった繰り返し動作になってしまい、安定して通信品質を保つことはできなかった。
【0027】
また、このような従来の再割り当て処理には、プロセッサなどの演算回路による演算処理が必要になるので、演算回路に負荷をかけるだけでなく、電力を消費するという問題がある。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
従来の移動無線端末装置では、逆拡散タイミングが近接する2つのパスを受信する場合、相関レベルが低い方のパスが割り当てられたフィンガが、DLL機能により、相関レベルが高い方のパスを受信するように逆拡散タイミングを調整してしまうので、この結果、複数のフィンガが同じパスを受信してしまい、Rake受信による通信品質の向上が期待できなくなるという問題があった。
【0029】
この発明は上記の問題を解決すべくなされたもので、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、安定してRake受信を行って高い通信品質を維持することが可能な移動無線端末装置を提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う移動無線端末装置において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した値以上となるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0031】
また請求項6に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う通信回路において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した値以上となるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0032】
上記構成の移動無線端末装置および通信回路では、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの間に予め設定した値以上の時間差が生じるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御するようにしている。
【0033】
したがって、上記構成の移動無線端末装置および通信回路によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することができる。
【0034】
また、請求項4に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う移動無線端末装置において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段の逆拡散の結果について、それぞれ相関レベルを検出するレベル検出手段とを備え、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が前記予め設定した値以上となるように制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0035】
そしてまた、請求項9に係わる本発明は、CDMA方式により無線通信を行う通信回路において、受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、複数の受信手段の逆拡散の結果について、それぞれ相関レベルを検出するレベル検出手段とを備え、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が前記予め設定した値以上となるように制御する制御手段とを具備して構成するようにした。
【0036】
上記構成の移動無線端末装置および通信回路では、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が予め設定した値以上となるように制御するようにしている。
【0037】
したがって、上記構成の移動無線端末装置および通信回路によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、相関レベルが高い1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係わる移動無線端末装置の受信部の構成を示すものである。
【0039】
移動無線端末装置の受信部は、フィンガFa,Fb,Fc、基準タイミング生成部80およびRAKE合成部90を備える。ここでは、3つのフィンガFa,Fb,Fcを備える場合を例に挙げる。
【0040】
フィンガFaは、相関器11a,12a,13a、コード生成部20a、同期検波部30a、電力平均化部41a,42a、減算部50a、位相制御信号生成部61aおよびタイミング生成部70aを備える。
【0041】
基地局から受信された受信信号は、相関器11a,12a,13aに入力される。
相関器11a,12a,13aは、それぞれ上記受信信号に、コード生成部20aで生成された拡散コードと乗算することで逆拡散を行い、この乗算結果をそれぞれ対応する電力平均化部41a,42a、同期検波部30aに出力する。
【0042】
コード生成部20aは、図示しない基地局から当該移動無線端末装置に割り当てられた拡散コードを、後述するタイミング生成部70aから供給されるクロックに同期したタイミングで生成し、相関器11a,12a,13aに出力する。
【0043】
ただし、コード生成部20aは、相関器11aに出力する拡散コードを、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、−1/2チップだけ位相を進ませており、一方、相関器12aに出力する拡散コードは、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、+1/2チップだけ位相を進ませる。
【0044】
同期検波部30aは、相関器13aにて得られた逆拡散結果に対して同期検波を行い、伝搬路で生じた位相変化を補正し、この補正結果をRAKE合成部90に出力する。
【0045】
なお、上記同期検波に必要な位相基準は、相関器13aにて得られた逆拡散結果(相関値)を利用するか、あるいは位相基準信号を生成するための相関器(図示しない)から得る。
【0046】
電力平均化部41aおよび電力平均化部42aでは、それぞれ対応する相関器11a,12aからの逆拡散結果の振幅を2乗して電力次元の値に変換した上で、所定時間の平均値を求め、雑音や干渉による測定誤差を軽減した値を求める。
【0047】
減算部50aは、電力平均化部41aおよび電力平均化部42aにてそれぞれ求められた平均値間の差を求める。この差は、差分情報として位相制御信号生成部61aに出力される。
【0048】
位相制御信号生成部61aは、フィンガFaにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50aにて求められた差分情報と、後述するタイミング生成部70aから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFb,Fcのタイミング生成部70b,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20aが相関器11a,12a,13aに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0049】
タイミング生成部70aは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部61aから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0050】
またタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0051】
フィンガFbは、フィンガFaと同様に、相関器11b,12b,13b、コード生成部20b、同期検波部30b、電力平均化部41b,42b、減算部50b、位相制御信号生成部61bおよびタイミング生成部70bを備える。
【0052】
このように、フィンガFbは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部61bおよびタイミング生成部70bを除いて、詳細な説明は省略する。
【0053】
位相制御信号生成部61bは、フィンガFbにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50bにて求められた差分情報と、後述するタイミング生成部70bから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fcのタイミング生成部70a,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20bが相関器11b,12b,13bに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70bに通知する。
【0054】
タイミング生成部70bは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部61bから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20bをはじめとするフィンガFbの各部に供給する。
【0055】
またタイミング生成部70bは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61bと、他のフィンガFa,Fcの位相制御信号生成部61a,61cに通知する。
【0056】
また、フィンガFcについても、フィンガFaと同様に、相関器11c,12c,13c、コード生成部20c、同期検波部30c、電力平均化部41c,42c、減算部50c、位相制御信号生成部61cおよびタイミング生成部70cを備える。
【0057】
このように、フィンガFcは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部61cおよびタイミング生成部70cを除いて、詳細な説明は省略する。
【0058】
位相制御信号生成部61cは、フィンガFcにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50cにて求められた差分情報と、後述するタイミング生成部70cから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fbのタイミング生成部70a,70bから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20cが相関器11c,12c,13cに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70cに通知する。
【0059】
タイミング生成部70cは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部61cから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20cをはじめとするフィンガFcの各部に供給する。
【0060】
またタイミング生成部70cは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61cと、他のフィンガFa,Fbの位相制御信号生成部61a,61bに通知する。
【0061】
基準タイミング生成部80は、所定の周波数の基準クロックを生成し、タイミング生成部70a,70b,70cに出力する。
RAKE合成部90は、同期検波部30a,30b,30cの各検波結果をレイク合成し、後段の信号処理部(図示しない)に出力する。
【0062】
次に、上記構成の移動無線端末装置の逆拡散タイミングの制御動作について説明する。
図2は、上記逆拡散タイミングの制御動作を説明するためのフローチャートで、位相制御信号生成部61a,61b,61cによってそれぞれ実行される。
【0063】
なお、この制御動作は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行される。また、以下の説明では、位相制御信号生成部61aを例に挙げて説明する。
【0064】
まず、ステップ2aで位相制御信号生成部61aは、タイミング生成部70a,70b,70cから、各フィンガFa,Fb,Fcのコード生成部20a,20b,20cが生成する拡散コードの生成タイミングを示す、クロックのタイミング情報を取得し、ステップ2bに移行する。
【0065】
ステップ2bで位相制御信号生成部61aは、ステップ2aで取得したタイミング情報に基づいて、自己のフィンガFaのクロックが、他のフィンガFb,Fcのクロックのいずれとも、拡散コード1チップ以上の位相差があるか否かを判定する。
【0066】
ここで、拡散コード1チップ以上の位相差がある場合には、ステップ2cに移行し、一方、拡散コード1チップ以上の位相差がない場合には、ステップ2eに移行する。
【0067】
ステップ2cで位相制御信号生成部61aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ2dに移行する。
ステップ2dで位相制御信号生成部61aは、ステップ2cで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。
【0068】
すなわち、ステップ2dのDLL制御では、ステップ2cで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進める方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0069】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0070】
一方、ステップ2cで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0071】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0072】
またタイミング生成部70aは、クロックの供給を開始した後、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0073】
一方、ステップ2eで位相制御信号生成部61aは、ステップ2aで取得したタイミング情報に基づいて、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にあるか否かを判定する。
【0074】
ここで、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にある場合には、ステップ2fに移行し、一方、そうでない場合には、ステップ2gに移行する。
【0075】
ステップ2fで位相制御信号生成部61aは、タイミング生成部70aに対して、現在生成しているクロックの位相を保持するように指示する情報を通知し、当該処理を終了する。
【0076】
これにより、タイミング生成部70aは、現在の位相でクロックの生成を継続し、これにより生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0077】
一方、ステップ2gで位相制御信号生成部61aは、フィンガFaのクロックと拡散コード1チップ以内の位相差にある他のフィンガ(FbあるいはFc)のクロックが、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいるのか遅れているのかを判断する。
【0078】
ここで、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいると判断した場合には、ステップ2hに移行し、一方、位相が遅れていると判断した場合には、ステップ2jに移行する。
【0079】
ステップ2hで位相制御信号生成部61aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ2iに移行する。
ステップ2iで位相制御信号生成部61aは、ステップ2hで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が進んだ方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を進める方向へのDLL制御は行わない。
【0080】
すなわち、ステップ2iのDLL制御では、ステップ2hで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ2hで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0081】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成することはあるが、進ませて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0082】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0083】
ステップ2jで位相制御信号生成部61aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ2kに移行する。
ステップ2kで位相制御信号生成部61aは、ステップ2jで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が遅れた方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を遅らせる方向へのDLL制御は行わない。
【0084】
すなわち、ステップ2kのDLL制御では、ステップ2jで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部61aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進ませる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ2jで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0085】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成することはあるが、遅らせて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0086】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部61aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部61b,61cに通知する。
【0087】
図2のフローチャートに示した処理は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行され、また、位相制御信号生成部61b,61cにおいても同様に実施される。
【0088】
以上のように、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、上記位相差が拡散コード1チップ未満とならないようにDLL制御を行うようにしている。
【0089】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する2つのパスを受信する場合でも、DLL制御により2つのフィンガで同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0090】
また、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングが、他の2つのフィンガにて実施される逆拡散タイミングの間にあり、かつどの逆拡散タイミングとも位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、現状の位相を維持して逆拡散を行うようにしている。
【0091】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する3つのパスを受信する場合でも、そのうち間に挟まれた逆拡散タイミングは一定に保たれるので、DLL制御により他の2つのフィンガのいずれかと同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0092】
次に、この発明の第2の実施形態に係わる移動無線端末装置について説明する。図3は、上記移動無線端末装置の受信部の構成を示すものである。
移動無線端末装置の受信部は、フィンガFa,Fb,Fc、基準タイミング生成部80およびRAKE合成部90を備える。ここでは、3つのフィンガFa,Fb,Fcを備える場合を例に挙げる。
【0093】
フィンガFaは、相関器11a,12a,13a、コード生成部20a、同期検波部30a、電力平均化部41a,42a,43a、減算部50a、位相制御信号生成部62aおよびタイミング生成部70aを備える。
【0094】
基地局から受信された受信信号は、相関器11a,12a,13aに入力される。
相関器11a,12a,13aは、それぞれ上記受信信号に、コード生成部20aで生成された拡散コードと乗算することで逆拡散を行い、この乗算結果をそれぞれ対応する電力平均化部41a,42a,43a、同期検波部30aに出力する。
【0095】
コード生成部20aは、図示しない基地局から当該移動無線端末装置に割り当てられた拡散コードを、後述するタイミング生成部70aから供給されるクロックに同期したタイミングで生成し、相関器11a,12a,13aに出力する。
【0096】
ただし、コード生成部20aは、相関器11aに出力する拡散コードを、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、−1/2チップだけ位相を進ませており、一方、相関器12aに出力する拡散コードは、相関器13aに出力する拡散コードと比べて、+1/2チップだけ位相を進ませる。
【0097】
同期検波部30aは、相関器13aにて得られた逆拡散結果に対して同期検波を行い、伝搬路で生じた位相変化を補正し、この補正結果をRAKE合成部90に出力する。
【0098】
なお、上記同期検波に必要な位相基準は、相関器13aにて得られた逆拡散結果(相関値)を利用するか、あるいは位相基準信号を生成するための相関器(図示しない)から得る。
【0099】
電力平均化部41a,42a,43aでは、それぞれ対応する相関器11a,12a,13aからの逆拡散結果の振幅を2乗して電力次元の値に変換した上で、所定時間の平均値を求め、雑音や干渉による測定誤差を軽減した値を求める。
【0100】
減算部50aは、電力平均化部41aおよび電力平均化部42aにてそれぞれ求められた平均値間の差を求める。この差は、差分情報として位相制御信号生成部62aに出力される。
【0101】
位相制御信号生成部62aは、フィンガFaにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50aにて求められた差分情報と、電力平均化部43aで求めた電力平均値と、他のフィンガFb,Fcの電力平均化部43b,43cから通知される電力平均値と、後述するタイミング生成部70aから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFb,Fcのタイミング生成部70b,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20aが相関器11a,12a,13aに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0102】
タイミング生成部70aは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部62aから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0103】
またタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0104】
フィンガFbは、フィンガFaと同様に、相関器11b,12b,13b、コード生成部20b、同期検波部30b、電力平均化部41b,42b,43b、減算部50b、位相制御信号生成部62bおよびタイミング生成部70bを備える。
【0105】
このように、フィンガFbは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部62bおよびタイミング生成部70bを除いて、詳細な説明は省略する。
【0106】
位相制御信号生成部62bは、フィンガFbにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50bにて求められた差分情報と、電力平均化部43bで求めた電力平均値と、他のフィンガFa,Fcの電力平均化部43a,43cから通知される電力平均値と、後述するタイミング生成部70bから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fcのタイミング生成部70a,70cから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20bが相関器11b,12b,13bに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70bに通知する。
【0107】
タイミング生成部70bは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部62bから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20bをはじめとするフィンガFbの各部に供給する。
【0108】
またタイミング生成部70bは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62bと、他のフィンガFa,Fcの位相制御信号生成部62a,62cに通知する。
【0109】
また、フィンガFcについても、フィンガFaと同様に、相関器11c,12c,13c、コード生成部20c、同期検波部30c、電力平均化部41c,42c,43c、減算部50c、位相制御信号生成部62cおよびタイミング生成部70cを備える。
【0110】
このように、フィンガFcは、フィンガFaと同様な構成であることより、位相制御信号生成部62cおよびタイミング生成部70cを除いて、詳細な説明は省略する。
【0111】
位相制御信号生成部62cは、フィンガFcにおけるDLL制御の中枢をなすもので、減算部50cにて求められた差分情報と、電力平均化部43cで求めた電力平均値と、他のフィンガFa,Fbの電力平均化部43a,43bから通知される電力平均値と、後述するタイミング生成部70cから通知されるタイミング情報と、他のフィンガFa,Fbのタイミング生成部70a,70bから通知されるタイミング情報とに基づいて、コード生成部20cが相関器11c,12c,13cに供給している拡散コードの位相を、進める方向に制御すべきか、遅らせる方向に制御すべきか、あるいは現在の状態を保持すべきかを判断して、この判断の結果をタイミング生成部70cに通知する。
【0112】
タイミング生成部70cは、拡散コードのチップレートのクロックを生成するもので、このクロックの位相を、位相制御信号生成部62cから通知される情報に基づいて可変制御し、生成したクロックをコード生成部20cをはじめとするフィンガFcの各部に供給する。
【0113】
またタイミング生成部70cは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62cと、他のフィンガFa,Fbの位相制御信号生成部62a,62bに通知する。
【0114】
基準タイミング生成部80は、所定の周波数の基準クロックを生成し、タイミング生成部70a,70b,70cに出力する。
RAKE合成部90は、同期検波部30a,30b,30cの各検波結果をレイク合成し、後段の信号処理部(図示しない)に出力する。
【0115】
次に、上記構成の移動無線端末装置の逆拡散タイミングの制御動作について説明する。
図4は、上記逆拡散タイミングの制御動作を説明するためのフローチャートで、位相制御信号生成部62a,62b,62cによってそれぞれ実行される。
【0116】
なお、この制御動作は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行される。また、以下の説明では、位相制御信号生成部62aを例に挙げて説明する。
【0117】
まず、ステップ4aで位相制御信号生成部62aは、タイミング生成部70a,70b,70cから、各フィンガFa,Fb,Fcのコード生成部20a,20b,20cが生成する拡散コードの生成タイミングを示す、クロックのタイミング情報を取得し、ステップ4bに移行する。
【0118】
ステップ4bで位相制御信号生成部62aは、ステップ4aで取得したタイミング情報に基づいて、自己のフィンガFaのクロックが、他のフィンガFb,Fcのクロックのいずれとも、拡散コード1チップ以上の位相差があるか否かを判定する。
【0119】
ここで、拡散コード1チップ以上の位相差がある場合には、ステップ4cに移行し、一方、拡散コード1チップ以上の位相差がない場合には、ステップ4eに移行する。
【0120】
ステップ4cで位相制御信号生成部62aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ4dに移行する。
ステップ4dで位相制御信号生成部62aは、ステップ4cで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。
【0121】
すなわち、ステップ4dのDLL制御では、ステップ4cで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進める方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0122】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0123】
一方、ステップ4cで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知する。
【0124】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成し、これをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0125】
またタイミング生成部70aは、クロックの供給を開始した後、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0126】
一方、ステップ4eで位相制御信号生成部62aは、電力平均化部43a、およびフィンガFb,Fcの電力平均化部43b,43cから、それぞれ電力平均値を取得し、ステップ4fに移行する。
【0127】
ステップ4fで位相制御信号生成部62aは、ステップ4eで取得した電力平均値に基づいて、電力平均化部43aから取得した電力平均値が、位相差が拡散コード1チップ未満のパスを受信する他のフィンガ(Fb,Fcのうち少なくとも一方)の電力平均化部(43b,43c)から取得した電力平均値より、大きいか否かを判定する。
【0128】
ここで、電力平均化部43aから取得した電力平均値の方が大きい場合には、ステップ4cに移行し、一方、上記電力平均値が大きくない場合には、ステップ4gに移行する。
【0129】
ステップ4gで位相制御信号生成部62aは、ステップ4aで取得したタイミング情報に基づいて、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にあるか否かを判定する。
【0130】
ここで、フィンガFbとフィンガFcのクロックの位相差が拡散コード2チップ以内で、かつ自己のフィンガFaのクロックの位相が、フィンガFbのクロックの位相とフィンガFcのクロックの位相との間にある場合には、ステップ4hに移行し、一方、そうでない場合には、ステップ4iに移行する。
【0131】
ステップ4hで位相制御信号生成部62aは、タイミング生成部70aに対して、現在生成しているクロックの位相を保持するように指示する情報を通知し、当該処理を終了する。
【0132】
これにより、タイミング生成部70aは、現在の位相でクロックの生成を継続し、これにより生成したクロックをコード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給する。
【0133】
一方、ステップ4iで位相制御信号生成部62aは、フィンガFaのクロックと拡散コード1チップ以内の位相差にある他のフィンガ(FbあるいはFc)のクロックが、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいるのか遅れているのかを判断する。
【0134】
ここで、フィンガFaのクロックよりも位相が進んでいると判断した場合には、ステップ4jに移行し、一方、位相が遅れていると判断した場合には、ステップ4lに移行する。
【0135】
ステップ4jで位相制御信号生成部62aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ4kに移行する。
ステップ4kで位相制御信号生成部62aは、ステップ4jで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が進んだ方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を進める方向へのDLL制御は行わない。
【0136】
すなわち、ステップ4kのDLL制御では、ステップ4jで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を遅らせる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ4jで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0137】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ遅らせて生成することはあるが、進ませて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0138】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0139】
ステップ4lで位相制御信号生成部62aは、減算部50aにて求められた差分情報を取得し、ステップ4mに移行する。
ステップ4mで位相制御信号生成部62aは、ステップ4lで取得した差分情報に基づくDLL制御を行い、当該処理を終了する。ただし、位相が遅れた方向には他のフィンガのクロックが存在することより、位相を遅らせる方向へのDLL制御は行わない。
【0140】
すなわち、ステップ4mのDLL制御では、ステップ4lで取得した差分情報が正の値を示す場合には、位相制御信号生成部62aは、逆拡散のタイミング(クロックの位相)を進ませる方向に制御すべきと判断し、この判断結果をタイミング生成部70aに通知するが、ステップ4lで取得した差分情報が負の値を示す場合には、位相を可変させる情報をタイミング生成部70aに通知せず、現状を維持させる。
【0141】
これにより、タイミング生成部70aは、クロックの位相を現在よりも所定時間tだけ進ませて生成することはあるが、遅らせて生成することはない。このようにして生成されたクロックは、コード生成部20aをはじめとするフィンガFaの各部に供給される。
【0142】
そしてタイミング生成部70aは、基準タイミング生成部80にて生成される基準クロックを基準とした、自己が生成するクロックのタイミング情報を位相制御信号生成部62aと、他のフィンガFb,Fcの位相制御信号生成部62b,62cに通知する。
【0143】
図4のフローチャートに示した処理は、電源が投入されてから、電源が遮断されるまで繰り返し実行され、また、位相制御信号生成部62b,62cにおいても同様に実施される。
【0144】
以上のように、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、上記位相差が拡散コード1チップ未満とならないようにDLL制御を行うようにしている。
【0145】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する2つのパスを受信する場合でも、DLL制御により2つのフィンガで同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0146】
また、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングが、他の2つのフィンガにて実施される逆拡散タイミングの間にあり、かつどの逆拡散タイミングとも位相差が拡散コード1チップ以内の場合には、現状の位相を維持して逆拡散を行うようにしている。
【0147】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、逆拡散タイミングが近接する3つのパスを受信する場合でも、そのうち間に挟まれた逆拡散タイミングは一定に保たれるので、DLL制御により他の2つのフィンガのいずれかと同じパスを受信してしまうことが防止できるので、安定したRake受信を行うことができ、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0148】
さらに、上記構成の移動無線端末装置では、フィンガFa,Fb,FcにおいてそれぞれDLL制御を行うにあたり、自己にて実施される逆拡散タイミングと、他のフィンガにて実施される逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ以内の場合であっても、自己で得られる相関レベル(電力平均値)の方が、位相差が拡散コード1チップ未満のパスを受信する他のフィンガで得られる相関レベルよりも大きい場合には、通常のDLL制御で逆拡散タイミングを調整するようにしている。
【0149】
したがって、上記構成の移動無線端末装置によれば、位相差が拡散コード1チップ以内の場合であっても、相関レベルが高いパスを受信するフィンガについては、優先的に逆拡散タイミングを調整することができるので、高い通信品質を維持することが可能となる。
【0150】
尚、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、上記第1の実施形態では、位相制御信号生成部61a,61b,61cが、それぞれフィンガFa,Fb,Fcに備えられ、フィンガFa,Fb,Fc毎に、自己が用いる逆拡散タイミングと他のフィンガが用いる逆拡散タイミングとの位相差が拡散コード1チップ未満にならないように制御した。
【0151】
これに代わって例えば、別に設けられた制御部が、タイミング生成部70a,70b,70cからの情報に基づいて各フィンガFa,Fb,Fcの逆拡散タイミングを一括して監視し、フィンガ間の逆拡散タイミングの位相差が拡散コード1チップ未満にならないように、各フィンガのコード生成部20a,20b,20cを一括して制御するようにしてもよい。
【0152】
第2の実施形態においても同様に、位相制御信号生成部62a,62b,62cに代わって、別に設けられた制御部が、タイミング生成部70a,70b,70cからの情報および電力平均化部43a,43b,43cからの電力平均値に基づいて、各フィンガFa,Fb,Fcの逆拡散タイミングと相関レベルの大小関係を一括して監視し、フィンガ間の逆拡散タイミングの位相差が拡散コード1チップ未満にならないように、各フィンガのコード生成部20a,20b,20cを一括して制御するようにしてもよい。
【0153】
また、例えば、上記第1の実施形態および第2の実施形態では、相関器11a,12a,13aの出力を平均化するのに、電力平均化部41a,42a,43aを用いるようにしたが、これに代わって例えば適当な特性を有するフィルタを使用することも可能である。
【0154】
さらに、図2および図4に示した逆拡散タイミングの制御では、拡散コード1チップを基準として種々の判定を行うようにしたが、位相差はこの値に限定されるものではなく、システムの構成やデバイスの特性、通信環境に応じて、例えば0.9チップあるいは1.1チップなどの値にすることも可能である。
【0155】
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【0156】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの間に予め設定した値以上の時間差が生じるように、受信手段の逆拡散のタイミングを制御するようにしている。
【0157】
したがって、この発明によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することが可能な移動無線端末装置および通信回路を提供できる。
【0158】
また、この発明では、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、レベル検出手段の検出結果に基づいて、2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が予め設定した値以上となるように制御するようにしている。
【0159】
したがって、この発明によれば、逆拡散タイミングが近接する複数のパスを受信する場合でも、相関レベルが高い1つのパスを複数の受信手段が受信してしまうことを防止できるので、安定してRAKE受信を行って高い通信品質を維持することが可能な移動無線端末装置および通信回路を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係わる移動無線端末装置の受信部の第1の実施の形態の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した移動無線端末装置の位相制御信号生成部による位相制御を説明するためのフローチャート。
【図3】この発明に係わる移動無線端末装置の受信部の第2の実施の形態の構成を示す回路ブロック図。
【図4】図3に示した移動無線端末装置の位相制御信号生成部による位相制御を説明するためのフローチャート。
【図5】パスに対する逆拡散タイミングと相関レベルとの関係を示す図。
【図6】図5に示すような状況下において、逆拡散タイミングを調整するDLLの動作を説明するための図。
【図7】位相差の少ない2つのパスが近接する状況における、逆拡散タイミングと相関レベルとの関係を示す図。
【図8】図7に示すような状況下において、逆拡散タイミングを調整するDLLの動作を説明するための図。
【符号の説明】
11a,12a,13a…相関器
11b,12b,13b…相関器
11c,12c,13c…相関器
20a,20b,20c…コード生成部
30a,30b,30c…同期検波部
41a,42a,43a…電力平均化部
41b,42b,43b…電力平均化部
41c,42c,43c…電力平均化部
50a,50b,50c…減算部
61a,61b,61c…位相制御信号生成部
62a,62b,62c…位相制御信号生成部
70a,70b,70c…タイミング生成部
80…基準タイミング生成部
90…RAKE合成部
Fa,Fb,Fc…フィンガ
Claims (10)
- CDMA(Code Division Multiple Access)方式により無線通信を行う移動無線端末装置において、
受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、
この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、
前記複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した値以上となるように、前記受信手段の逆拡散のタイミングを制御する制御手段とを具備することを特徴とする移動無線端末装置。 - 少なくとも3つの受信手段を備え、
前記制御手段は、前記3つの受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングが予め設定した時間差内にある場合に、前記3つの受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングのうち、間のタイミングで逆拡散を行う受信手段のタイミングをほぼ一定に保持するように制御することを特徴とする請求項1に記載の移動無線端末装置。 - 前記受信手段は、DLL(Delay Lock Loop)方式により逆拡散のタイミングを調整することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動無線端末装置。
- CDMA(Code Division Multiple Access)方式により無線通信を行う移動無線端末装置において、
受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、
この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、
前記複数の受信手段の逆拡散の結果について、それぞれ相関レベルを検出するレベル検出手段とを備え、
2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、前記レベル検出手段の検出結果に基づいて、前記2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が前記予め設定した値以上となるように制御する制御手段とを具備することを特徴とする移動無線端末装置。 - 前記制御手段は、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、前記レベル検出手段の検出結果に基づいて、前記2つの受信手段のうち、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、DLL(Delay Lock Loop)方式により調整することを特徴とする請求項4に記載の移動無線端末装置。
- CDMA(Code Division Multiple Access)方式により無線通信を行うための通信回路において、
受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、
この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、
前記複数の受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した値以上となるように、前記受信手段の逆拡散のタイミングを制御する制御手段とを具備することを特徴とする通信回路。 - 少なくとも3つの受信手段を備え、
前記制御手段は、前記3つの受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングが予め設定した時間差内にある場合に、前記3つの受信手段がそれぞれ実施する逆拡散のタイミングのうち、間のタイミングで逆拡散を行う受信手段のタイミングをほぼ一定に保持するように制御することを特徴とする請求項6に記載の通信回路。 - 前記受信手段は、DLL(Delay Lock Loop)方式により逆拡散のタイミングを調整することを特徴とする請求項6または請求項7に記載の通信回路。
- CDMA(Code Division Multiple Access)方式により無線通信を行うための通信回路において、
受信信号を逆拡散して復調する受信手段を複数備え、
この複数の受信手段にて復調した信号をレイク合成するレイク合成手段と、
前記複数の受信手段の逆拡散の結果について、それぞれ相関レベルを検出するレベル検出手段とを備え、
2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、前記レベル検出手段の検出結果に基づいて、前記2つの受信手段のうち、相関レベルが低い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングとの時間差が前記予め設定した値以上となるように制御する制御手段とを具備することを特徴とする通信回路。 - 前記制御手段は、2つの受信手段の逆拡散のタイミングの時間差が予め設定した時間未満の場合に、前記レベル検出手段の検出結果に基づいて、前記2つの受信手段のうち、相関レベルが高い方の逆拡散の結果が得られる受信手段の逆拡散のタイミングを、DLL(Delay Lock Loop)方式により調整することを特徴とする請求項9に記載の通信回路。
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