JP3105786B2 - 移動体通信受信機 - Google Patents

移動体通信受信機

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、移動体通信分野に
おける符号分割多重(以下、CDMAという)通信や無
線ローカルエリアネットワーク(以下、無線LANとい
う)通信に使用されるスペクトル拡散(以下、SSとい
う)通信用の移動体通信受信機に関し、特に、消費電力
の削減と、同期獲得や追跡範囲の拡大とを実現するもの
である。
【0002】
【従来の技術】移動体通信分野におけるSS通信は、符
号分割多重方式が可能で、また耐ノイズ性も優れている
ため、CDMA通信や無線LAN通信に応用されてい
る。従来のSS通信用移動体通信受信機は、図6に示す
ように、信号を受信する受信アンテナ1と、信号増幅器
(以下、アンプという)や周波数変換器や帯域ろ波器
(以下、BPFという)で構成される高周波回路部2
と、受信信号をべースバンド帯域に帯域制限する低周波
ろ波器(以下、LPFという)3と、送信側で拡散され
た受信信号を逆拡散し、変調データ成分を再生する3つ
の逆拡散・データ復調部(以下、fingerという)
4、9、14と、各fingerの出力信号を合成してデ
ータ信号強度を増幅する合成器20とを備えている。
【0003】各finger4、9、14は、送信機と同
じ疑似雑音(以下、PNという)符号系列を発生するP
N符号発生部5、10、15と、受信信号のPN符号のタイ
ミングと同期を取り、またそのタイミングを追跡しなが
ら逆拡散を行なう同期獲得・追跡部6、11、16と、逆拡
散された受信信号を一定時間積分してデータを再生する
積分器8、13、18と、PN符号発生部5、10、15のクロ
ックとなる電圧制御クロック(以下、VCCという)を
発生するVCC部7、12、17とで構成され、各fing
erのPN符号発生部5、10、15、積分器8、13、18、
及びVCC7、12、17は、それぞれ同じ構成で且つ同じ
動作を行ない、同期獲得・追跡部6、11、16は、それぞ
れ同じ構成であるが、異なるタイミングで逆拡散を行な
う。
【0004】このように、各fingerが異なるタイ
ミングでの逆拡散によってデータを再生し、得られたデ
ータを合成器20で合成することにより、この受信機で
は、直接波と多重反射波とを分離、合成してデータ再生
するパスダイバーシティが可能となる。
【0005】図7には、fingerの構成をさらに詳
しく示している。このfingerは、遅延ロックルー
プ(以下、DLLという)と呼ばれる構成を備えてお
り、逆拡散しているPN符号PN[k]よりも1拡散ク
ロック(1chip)位相の進んでいる(lead)P
N符号PN[k−I]と受信信号とを乗算する乗算器23
と、PN[k]よりも1chip位相の遅れている(l
ag)PN符号PN[k+l]と受信信号とを乗算する
乗算器24と、PN[k]と受信信号とを乗算して逆拡散
出力信号を出力する乗算器25と、乗算器23の出力信号を
積分する積分器26と、乗算器24の出力信号を積分する積
分器27と、積分器27出力信号から積分器26出力信号を減
じる減算器48と、減算器48出力成分から雑音成分を除去
するループフィルタ29と、乗算器25の出力信号を積分
し、データを再生する積分器30と、積分器30出力信号と
閾値とを比較して判定する閾値判定器49と、ループフィ
ルタ29の出力信号によって位相が制御されるVCC33
と、PN符号をVCC33出力クロックで巡回シフトさせ
るNレジスタ長(以下、タップという)帰還型シフトレ
ジスタ34と、送信機のPN符号パターンを発生するPN
符号発生器35とを具備している。
【0006】PN符号発生器35は、出力を数チップ区間
lagまたはleadする機能を持つ。
【0007】次に、図4を用いてDLL構成のfing
erの動作原理を説明する。SS通信では、逆拡散する
ために、送信機と受信機とが同じPN符号系列を持ち、
同じタイミングで同じ符号同士を乗算する。以下、同期
獲得及び追跡動作について説明する。
【0008】図4(a)は、積分器30出力を表してい
る。縦軸は送受信機のPN符号系列の自己相関関数R
(t)で、図7の積分器30出力に対応する。横軸は送受
信機間のPN符号のタイミング差を示す。dtは1ch
ip区間を示している。このように、R(t)は送受信
機間のPN符号のタイミング差が0の時、最大値を示
し、±1chip以上で1/L(L:積分数)となる
が、Lは十分大きいのでほぼ0である。従って、PN符
号の同期が取れない状態では、受信機はデータ復調が不
可能である。
【0009】そこで、受信機は同期を取るために、R
(t)を閾値判定器49で検査し、閾値以下のときは、P
N符号発生器35の出力PN符号を数chip区間lag
/leadし、タイミング調整して再検査する。この動
作を積分器30の出力が閾値を超えるまで繰り返し、閾値
を超えるとタイミングを固定し同期を獲得する。以上が
同期獲得動作原理である。
【0010】次に同期を保持するため、受信信号のPN
符号を追跡する。追跡動作について図4を用いて説明す
る。図4(b)は、減算器48の出力特性(D2(t))
を示している。乗算器23と乗算器24とが使用する受信機
のPN符号(それぞれPN[k−l]、PN[k+
1])は、乗算器25で逆拡散に使用されるPN符号PN
[k]と、それぞれ1chipのlead、lag信号
である。従って、その自己相関関数(積分器26、27出
力)は図4(a)のR(t)をそれぞれ−dt、+dt
シフトしたものとなり、それぞれ−dt、+dtで最大
値を持つ。減算器48により、積分器26出力が反転して積
分器27出力と合成されるので、その特性D2(t)は図
4(b)のようになる。従って、D2(t)は±dt区
間で原点を通る単調増加関数となるため、PN符号の位
相差を±dt以内に引き込めば、このD2(t)の雑音
成分をループフィルタ29で除去した信号で、VCC33の
位相を制御することにより受信信号のPN符号を追跡す
ることができる。
【0011】以上が、従来のSS通信用移動体通信受信
機の構成及び動作原理である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこの移
動体通信受信機では、複数のfingerを持つため、
消費電力が増大するという問題点を有している。
【0013】また、fingerとしてDLLを使用す
るとき、その特性上、同期獲得、追跡が最大±dtの範
囲に限定されるという問題点を有している。
【0014】本発明は、こうした従来の問題点を解決す
るものであり、各fingerの消費電力を削減し、ま
た、同期獲得、追跡範囲を拡大することができる移動体
通信受信機を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の移動体
通信受信機では、各fingerの再生出力のパワーと
それらを合わせた総パワーとを測定するパワー測定手段
と、合成器の出力データのエラーを検出するエラー検出
手段と、パワー測定手段の測定結果及びエラー検出手段
のエラー検出結果に基づいて各fingerの電源のO
N/OFFを制御する制御手段とを設けている。この構
成により、エラーの増大を招来しない範囲で、各fin
gerの電源をON/OFFし、消費電力の低減を図る
ことができる。
【0016】また、fingerに、送信機のPN符号
に同期するPN符号(PN[k])とベースバンド受信
信号とを乗算する第1乗算器と、PN[k]より1ch
ipだけ位相の進んでいるPN符号(PN[k−l])
とベースバンド受信信号とを乗算する第2乗算器と、P
N[k]よりlchipだけ位相の遅れているPN符号
(PN[k+l])とベースバンド受信信号とを乗算す
る第3乗算器と、第2乗算器及び第3乗算器の出力の積
算値を加算及び減算する加減算器と、PN符号発生器の
発生するPN符号を、その位相を変更して第1乗算器、
第2乗算器及び第3乗算器に供給するPN符号供給手段
と、加減算器の加算値と減算値及び第1乗算器の積分出
力に基づいて、PN符号供給手段が変更するPN符号の
位相量を制御するPN符号コントロール手段とを設けて
いる。この構成により、PN同期獲得、追跡範囲を拡大
することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の請求項lに記載の発明
は、複数のfingerと、各fingerによって再
生されたデータを合成する合成器とを備えるスペクトル
拡散通信方式の移動体通信受信機において、各fing
erの再生出力のパワーとそれらを合わせた総パワーと
を測定するパワー測定手段と、合成器の出力データのエ
ラーを検出するエラー検出手段と、パワー測定手段の測
定結果及びエラー検出手段のエラー検出結果に基づいて
各fingerの電源のON/OFFを制御する制御手
段とを設けたものであり、消費電力を削減することがで
きる。
【0018】請求項2に記載の発明は、制御手段が、パ
ワー測定手段の測定した総パワーとエラー検出手段の検
出したエラーとの関係から、基準エラーデータに対応す
る総パワーPsを記憶し、動作中の各fingerの再
生出力の総パワーからPsを減算した値が、動作中の各
fingerの中で再生出力パワーが最小のfinge
rのパワーと定数d(dは正の実数)とを加算した値以
上であれば、再生出力パワーが最小のfingerの電
源をOFFにするように構成したものであり、常に基準
エラーデータに対応するパワーPs以上の総パワーを確
保しながら、fingerの電源をOFFして、消費電
力の低減を図ることができる。
【0019】請求項3に記載の発明は、finger
に、送信機のPN符号に同期するPN符号(PN
[k])とベースバンド受信信号とを乗算する第1乗算
器と、第1乗算器の出力を積分する第1積分器と、PN
[k]より1chipだけ位相の進んでいるPN符号
(PN[k−l])とベースバンド受信信号とを乗算す
る第2乗算器と、第2乗算器の出力を積分する第2積分
器と、PN[k]よりlchipだけ位相の遅れている
PN符号(PN[k+l])とベースバンド受信信号と
を乗算する第3乗算器と、第3乗算器の出力を積分する
第3積分器と、第2積分器及び第3積分器の出力を加算
及び減算する加減算器と、送信機と同じPN符号を発生
するPN符号発生器と、PN符号発生器の発生するPN
符号を、その位相を変更して第1乗算器、第2乗算器及
び第3乗算器に供給するPN符号供給手段と、加減算器
の加算値及び減算値並びに第1積分器の出力に基づいて
PN符号供給手段により変更されるPN符号の位相量を
制御するPN符号コントロール手段とを設けたものであ
り、PN同期獲得、追跡範囲を拡大することができる。
【0020】請求項4に記載の範囲、PN符号コントロ
ール手段に、第1積分器の出力と加減算器の加算値との
大小を比較する第1大小比較器と、加減算器の減算値と
数値0との大小を比較する第2大小比較器と、第1積分
器の出力に加減算器の加算値を加えた値ADDと数値0
との大小を比較し、ADD>0のときに1を出力し、そ
れ以外のときに0を出力する第3大小比較器と、第3大
小比較器の出力が0のときにPN符号供給手段の供給す
るPN符号の位相が積分時間ごとに1拡散クロックずつ
シフトするようにPN符号供給手段に対して位相量を制
御する値を出力する移相器と、第3大小比較器の出力が
1のときに、第1大小比較器及び第2大小比較器の出力
に基づいて、移相器の出力値に加算される0、1または
−1の値を選択して出力する位相追跡器とを設けたもの
であり、従来のDLLの2倍の範囲でPN符号の同期獲
得、追跡が可能なDLLを構成することができる。
【0021】請求項5に記載の発明は、PN符号供給手
段として、PN符号発生器の発生するPN符号を巡回シ
フトし、各レジスタ値PN[i](i=l、2、3、
‥、N)を出力する帰還型シフトレジスタと、この帰還
型シフトレジスタのレジスタ値PN[i]からPN[k
−l]、PN[k]、PN[k+1]を選択する選択器
(selecter)とを設け、帰還型シフトレジスタ
のシフト量が移相器の出力する値によって制御され、s
electerにおける選択が、移相器の出力値と位相
追跡器の出力とを加算した値によって制御されるように
構成したものであり、送信機のPN符号と受信機のPN
符号との位相差が同期獲得範囲に入るまで、帰還型シフ
トレジスタのシフト量が調整され、同期獲得後は、同期
追跡が可能となるようにselecterでの選択が制
御される。
【0022】以下、本発明の実施の形態について、図1
から図5を用いて説明する。
【0023】(第1の実施の形態)第1の実施形態の移
動体通信受信機は、図1に示すように、受信アンテナ1
と、高周波回路部2と、LPF3と、PN符号発生部
5、10、15、同期獲得・追跡部6、11、16、VCC7、
12、17、及び積分器8、13、18から成る3つのfing
er4、9、14と、各finger4、9、14の出力信
号のパワー及びその総パワーを測定するパワー測定器19
と、各fingerの出力信号を合成する合成器20と、
合成器20出力信号のエラーを検出するエラー検出器21
と、パワー測定器19及びエラー検出器21の測定・検出結
果を基にfinger4、9、14の電源のON/OFF
制御を行なう制御部(以下、CPUという)22とを備え
ている。
【0024】この移動体通信受信機の動作を説明する。
まず、受信アンテナ1、高周波回路部2、LPF3は、
従来の受信機(図6)と同じ構成を持ち、同じ動作を行
なう。 finger4は、PN符号発生部5と同期獲
得・追跡部6と積分器8と電圧制御クロック7とで構成
され、PN符号発生部5は送信機のPN符号と同じPN
符号を同じ速度で出力し、同期獲得・追跡部6は、受信
信号のPN符号のタイミングと同期を取り、またそのタ
イミングを追跡しながら逆拡散を行ない、逆拡散出力信
号を出力する。VCC7はPN符号発生部5にクロック
を供給し、同期獲得・追跡部6の出力電圧によってその
クロックの位相が制御される。積分器8は同期獲得・追
跡部6の出力する逆拡散された受信信号を一定時間積分
し、データを再生する。
【0025】finger9、14は、finger4と
同じ構成を持ち、同じ動作を行なうが、逆拡散のタイミ
ングが異なっている。そのため、finger4、9、
14の出力によりバスダイバーシチが可能となる。また、
finger4、9、14はCPU22によってその電源が
ON/OFF制御される。
【0026】パワー測定器19は、finger4、9、
14の出力信号(再生データ信号d4、d9、d14)のそ
れぞれのパワー(P1、P2、P3)とその総パワー
(Pt)とを測定し、測定データをCPU22へ送信す
る。
【0027】合成器20は、d4、d9、d14を合成す
る。エラー検出器21は、合成器20出力信号のエラーを検
出し、そのエラーデータ(ED)をCPU22へ送信す
る。
【0028】CPU22は、P1、P2、P3、Pt、E
Dを用いて、finger4、9、14の電源のON/O
FF制御を行なう。
【0029】このCPU22によるON/OFF制御の手
順を図2に示している。CPU22は、まずPI、P2、
P3を検査する。次にPtとEDとの関係を検査し、合
成器20から出力される再生データが、性能上、許容でき
る最大限のエラーを含んでいるときのパワー測定器19の
総パワーPsを記憶する。つまり、再生データにそれ以
上のエラーがあってはならないと規定しているEDの基
準値に対応するパワー測定器19の信号パワーPsを記憶
する。
【0030】ここでは、Pl、P2、P3のパワー順位
を (数1) P1≦P2≦P3 であると仮定する。このように仮定しても一般性は失わ
ない。
【0031】CPU22は、 ステップ1:パワー測定器19の出力するパワーが次式
(数2)の関係を満たしているかどうかを判別する。こ
こで、dは正の実数である。 (数2) Pt−Ps>P1+d (Pt=P1+P2+P3) ステップ2:数2の関係を満たしているときは、fin
ger4の電源をOFFにする。
【0032】ステップ3:次式(数3)の関係 (数3) P2+P3−Ps>d を満たしていることを確認した後、 ステップ4:次式(数4)の関係を満たしているかどう
かを判別する。 (数4) P2+P3−Ps>P2+d ステップ5:数4の関係を満たしているときは、更にf
inger9をOFFにする。
【0033】次いで、ステップ4に戻って、数4の関係
が満たされているかどうかを確認する。ステップ4の関
係が満たされなくなったときは、 ステップ7:finger9の電源がONかOFFかを
調べ、OFFであるときは、 ステップ8:finger4及びfinger9の電源
をONにした後、ステップ1に戻る。
【0034】また、ステップ7において、finger
9の電源がONのときは、ステップ3に戻り、数3の関
係を満たしているかどうかを調べ、満たしていなけれ
ば、 ステップ6:finger4の電源をONにした後、ス
テップ1に戻る。
【0035】このように、この実施形態の受信機では、
基準エラーデータ(受信性能を保持する上で最低限維持
しなければならないエラーデータ限界値)に対応する信
号パワー(Ps)を記憶し、各finger出力の総パ
ワー(Pt)とPsとの差が、そのfingerの中の
最小のパワーと正の定数dとの和以上であれば、最小の
パワーを出力しているfingerの電源をOFFに
し、また、その状態において、動作中のfinger出
力の総パワー(Pt)とPsとの差が、動作中のfin
gerの中の最小のパワーと正の定数dとの和以上であ
れば、動作中の最小のパワーを出力しているfinge
rの電源をOFFにする、という動作を繰り返す。
【0036】つまり、動作中のfingerの内から出
力パワーの小さいfingerの電源をOFFにして
も、その総パワー(Pt)がPsよりd以上上回るとき
は、出力パワーの小さいfingerを順次OFFにし
て、消費電力の節約を図っている。
【0037】また、動作中のfingerの総パワーと
Psとの差が、動作中のfingerの出力パワーの最
小値(Pimin)と定数dとの和以下になれば、すべて
のfingerの電源を0Nにする。
【0038】このような制御を繰り返すことにより、常
に最小のfinger数で受信することができ、消費電
力を削減することができる。
【0039】なお、finger数は、整数M(M>
2)であれば、同様の効果を得ることができる。
【0040】(第2の実施の形態)第2の実施形態の移
動体通信受信機は、全体的には図1の構成を備え、各f
inger4、9、14が図3の構成を備えている。
【0041】このfingerは、逆拡散に使用される
PN符号PN[k]よりも1chip位相の進んだPN
符号PN[k−I]と受信信号とを乗算する乗算器23
と、PN[k]よりも1chip位相の遅れているPN
符号PN[k+l]と受信信号とを乗算する乗算器24
と、PN[k]と受信信号とを乗算して逆拡散出力信号
を出力する乗算器25と、乗算器23の出力信号を積分する
積分器26と、乗算器24の出力信号を積分する積分器27
と、積分器27出力信号と積分器26出力信号との加算及び
減算を行なう加減算器28と、加減算器28から出力された
減算結果の雑音成分を除去するループフィルタ29と、乗
算器25の出力信号を積分してデータを再生する積分器30
と、ループフィルタ29の出力信号で位相制御されるクロ
ックを出力するVCC33と、PN符号をVCC33出力ク
ロックで巡回シフトさせるNタップの帰還型シフトレジ
スタ34と、送信機と同じPN符号パターンを発生するP
N符号発生器35と、帰還型シフトレジスタ34の出力から
PN[k−l]、PN[k]、PN[k+l]を選択し
て乗算器23、24、25に出力する選択器(selecte
r)32と、加減算器28の出力や積分器30の出力に基づい
て帰還型シフトレジスタ34のシフト数をリセットし、ま
たselecter32の出力値を決定するPN符号コン
トロール部31とを具備している。
【0042】このように構成されたfingerの動作
を図4を用いて説明する。乗算器23は、逆拡散に使用さ
れるPN符号(PN[k])に対して1chipのle
ad信号であるPN符号(PN[k−1])と受信信号
とを乗算する。乗算器24は、PN[k]に対して1ch
ipのlag信号であるPN符号(PN[k+1])と
受信信号とを乗算する。
【0043】乗算器25は、PN[k]と受信信号とを乗
算する逆拡散を行なう。積分器26、27は、それぞれ乗算
器23、24出力信号を同じ一定時間積分し、加減算器28
は、その信号を加算及び減算する。減算の場合には、積
分器27出力信号から積分器26出力信号が減じられる。減
算信号はループフィルタ29へ出力され、また、加算信号
と減算信号とがPN符号コントロール部31へ出力され
る。
【0044】ループフィルタ29は減算信号の雑音を除去
する。このループフィルタ29からの出力信号は、図4
(b)のD2(t)となり、この信号でVCC33を制御
して受信信号のPN符号の位相を追跡する。
【0045】積分器30は、逆拡散された受信信号を積分
器26、27と同じ時間だけ積分し、データ再生する。この
再生データは、図1の合成器20及びパワー測定器19に出
力される。
【0046】PN符号コントロール部31は、後述するよ
うに、積分器30出力信号と加減算器28出力信号とを用い
て、selecter32及び帰還型シフトレジスタ34を
制御することにより、同期獲得及び位相追跡の範囲を拡
大する。
【0047】PN符号発生器35は帰還型シフトレジスタ
34の特定のタップ出力からPN符号パターンを計算して
送信機と同じPN符号パターンを発生する。
【0048】帰還型シフトジスタ34は、PN符号発生器
35から出力されたPN符号を、VCC33のクロックでシ
フトする。この帰還型シフトレジスタ34は、PN符号コ
ントロール部31によってリセット制御され、PN符号コ
ントロール部31の指定するシフト数でシフトを再開す
る。
【0049】帰還型シフトレジスタ34の各レジスタ出力
はselecter32に出力され、selecter32
は、帰還型シフトレジスタ34の各レジスタ出力の中か
ら、PN符号コントロール部31の信号に基づいて逆拡散
に使用するPN符号(PN[k])を1つ選択し、更に
その前後のレジスタ値(PN[k−1]、PN[k+
1])を選択して、それぞれ乗算器25、23、24に出力す
る。
【0050】PN符号コントロール部31は、図5に示す
ように、積分器30の出力と加減算器28の加算出力とを比
較する大小比較器40と、加減算器28の減算出力と閾値0
とを比較する大小比較器41と、積分器30の出力と加減算
器28の加算出力とを加算する加算器43と、加算器43の出
力と閾値0とを比較する大小比較器42と、各大小比較器
40、41、42の比較結果に基づいて1、−1、0のいずれ
かを出力する位相追跡器44と、VCC33出力を積分時間
にわたってカウントするカウンタ47と、カウンタ47から
出力される積分時間ごとに大小比較器42の比較結果に基
づいて帰還型シフトレジスタ34のシフト数を設定する信
号を出力する移相器46と、移相器46の出力に位相追跡器
44の出力を加算してselecter32での選択を指定
する信号を出力する加算器45とを具備している。
【0051】このPN符号コントロール部31の動作を図
4を用いて説明する。
【0052】図4(a)のR(t)は、積分器30の出力
である。図4(b)のD2(t)は、加減算器28の減算
出力である。図4(c)の|D2(t)|は、加減算器
28の加算出力である。図4(d)のADD(t)は、R
(t)と|D2(t)|とを加算した特性を示してお
り、加算器43の出力である。大小比較器42は、加算器43
の出力が0より大きいとき、即ち、送受信機間のタイミ
ング差が|2dt|<tの範囲内にあるとき“1”を出
力し、その範囲を外れているとき“0”を出力する。
【0053】このfingerでは、送受信機間のPN
符号のタイミング差が|2dt|<tの範囲内にあれば
同期追跡が可能である。しかし、この範囲から外れてい
るときは、帰還型シフトレジスタ34のシフト数を1ch
ipずつ増やすように、移相器46からの出力数を順次変
更し、それを大小比較器42の出力が“1”になるまで続
ける。
【0054】大小比較器42の出力が“1”になると、移
相器46の出力数を固定し、その状態での送受信機間のタ
イミング差に応じて、位相追跡器44から、1、0または
−1を出力する。この数と移相器46の出力数との加算値
がselecter32に設定され、それ以降、同期追跡
動作が実行される。
【0055】この一連の動作をさらに詳しく説明する。
大小比較器40は、図4(a)のR(t)と、図4(c)
の|D2(t)|とを比較する。図4(a)、(c)か
ら分かるように、 (数6) R(t)≧|D2(t)| の区間は、 (数7) −dt/2≦t≦dt/2 である。この区間では、図4(b)のD2(t)は原点
を通る単調増加関数となる。即ち、同期追跡範囲であ
り、送受信機間のPN符号のタイミング差をこの範囲に
引き込めば、加減算器28の減算出力を用いてVCC33の
位相を制御するだけで、受信信号のPN符号を追跡する
ことが可能となる。
【0056】大小比較器40は、この区間に在るとき
“l”を出力し、それ以外で“0”を出力する(この出
力値をCOMP1とする)。
【0057】大小比較器41は、D2(t)と閾値0とを
比較し、 (数8) D2(t)≦0 の時、“0”を出力し、それ以外で“1”を出力する
(この出力値をCOMP2とする)。加算器43は、R
(t)と|D2(t)|とを加算し、その出力特性は図
4(d)のADD(t)となる。大小比較器42は、AD
D(t)と閾値0とを比較し、 (数9) ADD(t)≦0 即ち、 (数10) |2dt|<t の時、“0”を出力し、それ以外で“1”を出力する
(この出力値をCOMP3とする)。
【0058】位相追跡器44は、COMPl、COMP
2、COMP3に基づいて加算器45に1、−1、0のい
ずれかを出力する。
【0059】この位相追跡器44の出力条件を(表l)に
示す。
【0060】いま、受信PN符号の同期獲得開始時にお
けるCOMP1出力が“0”であるとする。
【0061】(数11) −2dt≦t≦2dt の時、 (数12) COMP3=1 となる。更に (数13) COMP2=1 即ち、 (数14) 0≦t≦2dt かつ、 (数15) COMP1=0 即ち、 (数16) |dt/2|>t であれば、 (数17) dt/2<t≦2dt となる。このとき、位相追跡器44出力を“−1”とす
る。即ち、1chipのleadを指示する。このle
adにより、送受信機間のPN符号のタイミング差が、 (数18) −dt/2<t≦dt となり、D2(t)の単調増加の範囲 (数19) −dt≦t≦dt に入るので、同期追跡範囲に引き込める。
【0062】次に、(数11)の時、 (数20) COMP2=0 即ち、 (数21) −2dt≦t<0 かつ、(数15)即ち、(数16)であれば (数22) −2dt≦t≦−dt/2 となる。このとき、位相追跡器44出力を“+l”とす
る。即ち、1chipのlagを指示する。このlag
により送受信機間のタイミング差が (数23) −dt≦t<dt/2 となり、D2(t)の単調増加の範囲(数19)に入る
ので、同期追跡範囲に引き込める。
【0063】また、 (数24) COMP3=0 の時は、相関が検出されていない状態なので、位相追跡
器44は“0”を出力する。即ち、同期獲得、追跡動作に
関与しない。また、COMP1出力が“1”の時は、位
相追跡器44の出力は保持される。
【0064】このように、このfingerでは、(数
11)の区間であれば、この構成のDLLで、受信PN
符号の位相を追跡することができる。
【0065】一方、移相器46は、送受信機間のPN符号
の同期を取るために、受信機のPN符号の位相PN
[k]を選択する。以下、その動作について説明する。
【0066】同期獲得手段は、自己相関値が検出される
まで、PN[k]を1chipずつ遅延していく(la
g)方式と1chipずつ進めていく方式(lead)
とがある。ここでは前者を用いる。
【0067】同期獲得開始時に、移相器46は、加算器45
及び帰還型シフトレジスタ34に、数値3以上の値、例え
ば“4”を出力する。これは、位相追跡器44のlag/
lead(+/−)操作及びPN[k−1]の使用によ
るタップ数のオーバーフロウを防ぐためである。
【0068】移相器46は、カウンタ47のカウント値が積
分時間を示すごとに、大小比較器42の出力を調べ、
“1”であれば、出力をそのまま固定する。“0”であ
れば、1chipだけPN符号を遅延するため、“5”
を出力し、更に“0”であれば、“1”が検出されるま
で、カウントアップを続ける。ただし、その上限をN−
2(N:帰還型シフトレジスタ34のタップ数)までとす
る。これはタップ数のオーバーフロウを防ぐためであ
る。
【0069】“1”が検出されない場合、帰還型シフト
レジスタ34をリセットし、同様な手段で再検出を開始す
る。カウンタ47はVCC33出力を積分区間カウントする
という作用を有し、その出力は移相器46の入力信号とな
り、積分時間を示すフラグとして使用される。加算器45
は移相器46出力と位相追跡器44出力とを加算する。この
出力は、図3のselecter32の入力信号となり、
受信機のPN符号(PN[k−l]、PN[k]、Pn
N[K+1])を決定する。同期が獲得されるまでは、
位相追跡器44出力は“0”なので移相器46出力が、ま
た、同期獲得後は、(表1)に示したパターンの位相追
跡器44出力と移相器46との加算値が受信機のPN[k]
となる。
【0070】このように、第2の実施形態の受信機で
は、|D2(t)|とR(t)とを比較する大小比較器
40と、D2(t)と閾値0とを比較する大小比較器41
と、|D2(t)|とR(t)とを加算する加算器43
と、加算器43出力と閾値0とを比較する大小比較器42
と、大小比較器40出力、大小比較器41出力、及び大小比
較器42出力に基づいて、(表1)のパターンで“±1、
0”を出力する位相追跡器44と、大小比較器42出力に基
づいて受信器のPN符号PN[k]を選択し、また帰還
型シフトレジスタ34をリセットする移相器46と、積分時
間をカウントするカウンタ47と、位相追跡器44出力と移
相器46出力とを合成する加算器45とを備えるPN符号コ
ントロール部を設けたことにより、従来のDLL(同期
獲得、追跡範囲:(数19))の2倍の範囲でPN符号
の同期獲得及び追跡を行なうことができる。従って、同
期獲得の高速化及び広範囲にわたる同期追跡が可能とな
る。
【0071】なお、この実施形態では、PN符号発生器
35の発生するPN符号の位相を、帰還型シフトレジスタ
34及びselecter32を通じて変更し、位相変更後
のPN符号を各乗算器23、24、25に供給しているが、帰
還型シフトレジスタのみを使用して位相を変更し、この
帰還型シフトレジスタのシフト量をPN符号コントロー
ル部で制御したり、あるいはその他の構成とすることも
可能である。
【0072】また、第1の実施形態及び第2の実施形態
の構成は、適宜、組み合わせることができる。
【0073】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の移動体通信受信機は、各fingerをON/OFF
制御することにより、消費電力の削減を図ることができ
る。
【0074】また、fingerの同期追跡の範囲を拡
大し、同期獲得を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における移動体通信受
信機の構成を示すブロック図、
【図2】本発明の第1の実施形態におけるfinger
のON/OFF制御アルゴリズムを示すフローチャー
ト、
【図3】本発明の第2の実施形態におけるfinger
の構成を示すブロック図、
【図4】本発明の第2の実施形態におけるfinger
の各ブロックの出力特性を示す波形図、
【図5】本発明の第2の実施形態におけるPN符号コン
トロール部の構成を示すブロック図、
【図6】従来の移動体通信受信機の構成を示すブロック
図、
【図7】従来のfingerの構成を示すブロック図で
ある。
【符号の説明】
l 受信アンテナ 2 高周波回路部 3 低域ろ波器(LPF) 4、9、14 逆拡散・データ復調部(finger) 5、10、15、35 擬似雑音(PN)符号発生部 6、11、16 同期獲得・追跡部 7、12、17、33 電圧制御クロック(VCC) 8、13、18、26、27、30 積分器 19 パワー測定器 20 合成器 21 エラー検出器 22 制御部 23、24、25 乗算器 28 加減算器 29 ループフィルタ 31 擬似雑音(PN)符号コントロール部 32 selecter 34 帰還型シフトレジスタ 40、41、42 大小比較器 43、45 加算器 44 位相追跡器 46 移相器 47 カウンタ 48 減算器 49 閾値判定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04B 7/24 - 7/26 102 H04Q 7/00 - 7/38 H04J 13/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の逆拡散・データ復調部と、各逆拡
    散・データ復調部によって再生されたデータを合成する
    合成器とを備えるスペクトル拡散通信方式の移動体通信
    受信機において、 前記各逆拡散・データ復調部の再生出力のパワーとそれ
    らを合わせた総パワーとを測定するパワー測定手段と、 前記合成器の出力データのエラーを検出するエラー検出
    手段と、 前記パワー測定手段の測定結果及び前記エラー検出手段
    のエラー検出結果に基づいて前記各逆拡散・データ復調
    部の電源のON/OFFを制御する制御手段とを備える
    ことを特徴とする移動体通信受信機。
  2. 【請求項2】 前記制御手段が、前記パワー測定手段の
    測定した総パワーと前記エラー検出手段の検出したエラ
    ーとの関係から、基準エラーデータに対応する総パワー
    Psを記憶し、動作中の前記各逆拡散・データ復調部の
    再生出力の総パワーからPsを減算した値が、動作中の
    各逆拡散・データ復調部の中で再生出力パワーが最小の
    逆拡散・データ復調部のパワーと定数d(dは正の実
    数)とを加算した値以上であれば、前記再生出力パワー
    が最小の逆拡散・データ復調部の電源をOFFにするこ
    とを特徴とする請求項1に記載の移動体通信受信機。
  3. 【請求項3】 複数の逆拡散・データ復調部と、各逆拡
    散・データ復調部によって再生されたデータを合成する
    合成器とを備えるスペクトル拡散通信方式の移動体通信
    受信機において、 前記逆拡散・データ復調部が、 送信機のPN符号に同期するPN符号(PN[k])と
    ベースバンド受信信号とを乗算する第1乗算器と、 前記第1乗算器の出力を積分する第1積分器と、 前記PN[k]より1拡散クロックだけ位相の進んでい
    るPN符号(PN[k−l])とベースバンド受信信号
    とを乗算する第2乗算器と、 前記第2乗算器の出力を積分する第2積分器と、 前記PN[k]よりl拡散クロックだけ位相の遅れてい
    るPN符号(PN[k+l])とベースバンド受信信号
    とを乗算する第3乗算器と、 前記第3乗算器の出力を積分する第3積分器と、 前記第2積分器及び第3積分器の出力を加算及び減算す
    る加減算器と、 送信機と同じPN符号を発生するPN符号発生器と、 前記PN符号発生器の発生するPN符号を、その位相を
    変更して前記第1乗算器、第2乗算器及び第3乗算器に
    供給するPN符号供給手段と、 前記加減算器の加算値及び減算値、並びに前記第1積分
    器の出力に基づいて前記PN符号供給手段により変更さ
    れる前記PN符号の位相量を制御するPN符号コントロ
    ール手段とを備えることを特徴とする移動体通信受信
    機。
  4. 【請求項4】 前記PN符号コントロール手段が、前記
    第1積分器の出力と前記加減算器の加算値との大小を比
    較する第1大小比較器と、前記加減算器の減算値と数値
    0との大小を比較する第2大小比較器と、前記第1積分
    器の出力に前記加減算器の加算値を加えた値ADDと数
    値0との大小を比較し、ADD>0のときに1を出力
    し、それ以外のときに0を出力する第3大小比較器と、
    前記第3大小比較器の出力が0のときに前記PN符号供
    給手段の供給する前記PN符号の位相が積分時間ごとに
    1拡散クロックずつシフトするように前記PN符号供給
    手段に対して位相量を制御する値を出力する移相器と、
    前記第3大小比較器の出力が1のときに、前記第1大小
    比較器及び第2大小比較器の出力に基づいて、前記移相
    器の出力値に加算される0、1または−1の値を選択し
    て出力する位相追跡器とを具備することを特徴とする請
    求項3に記載の移動体通信受信機。
  5. 【請求項5】 前記PN符号供給手段が、前記PN符号
    発生器の発生するPN符号を巡回シフトし、各レジスタ
    値PN[i](i=l、2、3、‥、N)を出力する帰
    還型シフトレジスタと、前記帰還型シフトレジスタのレ
    ジスタ値PN[i]から前記PN[k−l]、PN
    [k]、PN[k+1]を選択する選択器とを具備し、
    前記帰還型シフトレジスタのシフト量が前記移相器の出
    力する値によって制御され、前記選択器における選択
    が、前記移相器の出力値と前記位相追跡器の出力とを加
    算した値によって制御されることを特徴とする請求項4
    に記載の移動体通信受信機。
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